説明

車両周辺監視装置

【課題】検出結果の正確性を明確にし、運転者が物体の存在する位置を直感的に把握することができるように報知する車両周辺監視装置を提供する。
【解決手段】車両周辺監視装置100は、車両の周囲の物体を検出する物体検出部11と、車両の上方を視点とする車両のイメージ画像を生成する車両イメージ画像生成部14と、車両のイメージ画像を含む、車両の周囲のイメージ画像を生成する周囲イメージ画像生成部15と、物体検出部11の検出結果に基づいて周囲のイメージ画像において対応する位置を演算する位置演算部13と、物体検出部11の検出結果の確証度が予め設定された判定閾値以上である場合に、周囲のイメージ画像での対応する位置を明示すると共に、検出結果の確証度が判定閾値未満である場合に、周囲のイメージ画像での対応する領域を明示する明示部16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の周囲に存在する物体を報知する車両周辺監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転者に自車の周囲に存在する物体を報知する車両周辺監視装置が用いられてきた。この種の技術として、下記に出典を示す特許文献1−3に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の物体検出装置は、レーダによって物体を検出するレーダ検出手段と、画像によって物体を検出する画像検出手段とを備え、これらを複合利用することにより、車両周辺に存在する物体の認識精度を高めている。一方、物体が車両の遠くに存在する場合には画像検出手段の認識精度が悪くなるので、このような場合には、車両から物体までの距離が近い場合より判定条件を緩和して判定を行っている。
【0004】
特許文献2に記載の画像表示制御装置は、自車両の周囲に存在する対象物を検出し、危険度に応じて強調表示を行っている。危険度は、自車両の速度、対象物までの距離、対象物の種類に応じて決定される。
【0005】
特許文献3に記載の車両用周辺監視装置は、運転者からの死角領域を監視する技術である。この車両用周辺監視装置は、車両の前方に死角領域の実画像を撮像する実画像撮像手段が備えられる。運転者が、この実画像の奥行きを直感的に把握できるように、当該実画像に対して道路の奥行き感を表わす格子状グリッド画像が重畳表示される。運転者が死角領域を目視可能な位置に到達した場合には、格子状グリッド画像の重畳表示は中止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−292475号公報
【特許文献2】特開2009−40107号公報
【特許文献3】特開2009−226978号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1には、物体を検出した場合の報知方法については何ら示されていない。また、判定条件を緩和することは、障害物の存在を簡易的に運転者に伝達することはできるものの、障害物の判定の精度と安全性とが両立しえていない。即ち、運転者は判定の精度に拘らず、安全面に細心の注意を図る必要がある。したがって、判定の精度(検出の精度)が低い障害物に対しても注意する必要があり、精神的な疲労により運転に支障をきたすおそれがある。
【0008】
特許文献2に記載の物体検出装置では、危険の認知という点で直感性に欠ける。自車両と障害物との距離が近い場合には、より危険レベルを上げて報知を行う必要があるが、画面上で直接表現する事ができていない。即ち、「非常に危険」、「少々危険」というような報知を行うことは可能であるが、「近いから危険」、「遠いが少々危険」という表現は行えていない。報知形態(例えばアイコン)の種類を増やす等して対応できなくも無いが、種類の増加はシステムの複雑化と直感性の低下につながる。また、広角レンズを使用して車両の周囲の状況を示す撮像画像を取得している場合には、運転者が撮像画像を見た際、当該撮像画像が歪んでいる可能性があり、特に障害物までの距離及び方向の認識は難しくなる。このため、「非常に危険」というアイコンが表示された場合には、対象となる障害物が近くにいるから非常に危険であるのか否かを特定することは非常に困難である。
【0009】
特許文献3に記載の車両用周辺監視装置は、認識した障害物を、格子状グリッド上に所定のマーカーで表示し、また障害物の移動時に矢印を表示する等している。しかしながら、危険レベルの判定や、それに伴う表示の切り替え等については開示されていない。また、画面上方の空間に格子状グリッドと障害物アイコンの表示を行っているため、前記空間に表示されているアイコンを確認後、視線を下げて、その真下にある実際の障害物を確認するという手間が必要になる。このため、たとえ画面下方の路面上に格子状グリッドを重畳表示したとしても視認性を低下させてしまう。
【0010】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、検出結果の正確性を明確にして運転者に伝達すると共に、運転者が物体の存在する位置を直感的に把握することができるように報知する車両周辺監視装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係る周辺監視装置の特徴構成は、車両に備えられ、前記車両の周囲の物体を検出する物体検出部と、前記車両の上方を視点とする前記車両のイメージ画像を生成する車両イメージ画像生成部と、前記車両のイメージ画像の周囲に複数の領域に区分けされた、前記視点からの前記車両の周囲のイメージ画像を生成する周囲イメージ画像生成部と、前記物体検出部の検出結果に基づいて前記周囲のイメージ画像において対応する位置を演算する位置演算部と、前記物体検出部により検出された検出結果の確証度が予め設定された判定閾値以上であるか否かを判定する確証度判定部と、前記検出結果の確証度が前記判定閾値以上である場合に、前記位置演算部の演算結果に基づいて前記周囲のイメージ画像において対応する位置を明示すると共に、前記検出結果の確証度が前記判定閾値未満である場合に、前記位置演算部の演算結果に基づいて前記周囲のイメージ画像において対応する領域を明示する明示部と、を備えている点にある。
【0012】
このような特徴構成とすれば、運転者は車両を上方から見た場合における周囲の状況を確認することができるので、車両と物体との位置関係を直感的に把握することが可能となる。また、物体検出部により検出された検出結果に応じて、物体の存在を明示する形態を変更することができる。これにより、運転者は、物体検出部による検出の正確性も明確に理解することが可能となる。
【0013】
また、前記物体検出部は、検出方法が異なる複数の物体検出部から構成され、前記確証度判定部は、前記複数の物体検出部のうち少なくとも2つの物体検出部の検出結果に相関関係がある場合に前記確証度が前記判定閾値以上であると判定すると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、物体検出部の検出結果の確証度を適切に判定することができる。したがって、明示部が検出結果の正確性に応じて適切に物体の存在を明示することができる。
【0015】
また、前記少なくとも2つの物体検出部が、第1物体検出部と第2物体検出部とを備え、前記第1物体検出部が前記車両からの前記物体が存在する方向を検出し、前記第2物体検出部が少なくとも前記車両から予め設定された所定の角度で規定される検出範囲内に存在する前記物体までの距離を検出すると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、車両からの物体の方向と、車両から物体までの距離に応じて、物体の存在する位置を正確に特定することができる。したがって、運転者に対して正確性の良い報知を行うことが可能となる。
【0017】
また、前記第1物体検出部は、前記車両の周囲の状況を撮影して取得した撮像画像に含まれる物体を画像認識により検出して前記方向を検出すると共に、前記第2物体検出部は、前記検出範囲内に送信された送信波と当該送信波が物体に当たって反射する反射波との差に基づいて前記距離を検出し、前記確証度判定部は、前記第1物体検出部により検出された前記方向が、前記車両から所定の距離に存在する物体を検出した前記第2物体検出部の検出範囲内に含まれる場合に前記相関関係があるとして前記確証度が判定閾値以上であると判定することが可能である。
【0018】
このような構成とすれば、確証度判定部が、第1物体検出部の検出結果と第2物体検出部の検出結果との間に相関関係があるか否かを適切に判断することができるので、これらの検出結果の確証度について適切に判定することが可能となる。
【0019】
また、前記第1物体検出部は、前記車両の周囲の状況を撮影して取得した撮像画像に含まれる物体を画像認識により検出して前記方向を検出すると共に、前記第2物体検出部は、前記検出範囲内に送信された送信波と当該送信波が物体に当たって反射する反射波との差に基づいて前記距離を検出し、前記確証度判定部は、前記第1物体検出部により取得された撮像画像に含まれる物体と前記車両との距離を画像認識により演算し、当該演算の結果と前記第2物体検出部により検出された前記距離が略一致する場合に前記相関関係があるとして前記確証度が判定閾値以上であると判定することも可能である。
【0020】
このような構成とすれば、確証度判定部が、第1物体検出部の検出結果と第2物体検出部の検出結果との間に相関関係があるか否かを適切に判断することができるので、これらの検出結果の確証度について適切に判定することが可能となる。
【0021】
また、前記明示部は、前記確証度が予め設定された判定閾値以上である場合に、前記周囲のイメージ画像において対応する位置に指標を表示すると好適である。
【0022】
このような構成とすれば、運転者に対して、物体の存在と共に、物体検出部の検出結果の正確性が高いことを適切に伝達することができる。
【0023】
また、前記明示部は、前記確証度が予め設定された判定閾値未満である場合に、前記周囲のイメージ画像において対応する領域を着色すると好適である。
【0024】
このような構成とすれば、運転者に対して、物体の存在と共に、物体検出部の検出結果の正確性が低いことを適切に伝達することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】車両周辺監視装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。
【図2】車両に備えられるカメラ及びカメラの撮影範囲を示す図である。
【図3】車両に備えられるソナー及びソナーの検出範囲を示す図である。
【図4】車両のイメージ画像及び周囲のイメージ画像を示す図である。
【図5】車両の周囲に存在する物体を周囲のイメージ画像に明示した場合の一例を示す図である。
【図6】車両周辺監視装置が行う処理に係るフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本発明に係る車両周辺監視装置100は、車両50(図2参照)の周辺を関する機能を備えている。より詳細には、本車両周辺監視装置100は、車両50の周辺に存在する物体を検出し、当該物体の存在を車両50の運転者が直感的に認識することができるように報知する機能を有する。図1は、本発明に係る車両周辺監視装置100の概略構成を模式的に示すブロック図である。当該車両周辺監視装置100は、物体検出部11、確証度判定部12、位置演算部13、車両イメージ画像生成部14、周囲イメージ画像生成部15、明示部16、表示画像生成部17、モニタ18を備えて構成される。このように構成される車両周辺監視装置100は、CPUを中核部材として車両50の周辺を監視する種々の処理を行うための上述の機能部がハードウェア又はソフトウェア或いはその両方で構築されている。
【0027】
物体検出部11は、車両50に備えられ、当該車両50の周囲の物体を検出する。本実施形態では、車両50の周囲とは車両50の前方、後方、左側方、右側方が相当する。車両50の前方、後方、左側方、右側方の少なくともいずれか一方に存在する物体を検出する構成とすることも可能である。また、物体とは、移動物に限定されるものではなく、停止状態にある物体も含まれる。このような物体は物体検出部11に検出されることにより、車両周辺監視装置100が障害物として認識することが可能となる。
【0028】
物体検出部11は、検出方法が異なる複数の物体検出部から構成される。検出方法とは、物体検出部11が検出する方法である。したがって、検出方法が異なるとは、検出する方法の種類が異なることを示している。本実施形態では、このような異なる検出方法により、車両50からの物体が存在する方向、及び車両50から物体までの距離を検出する。物体検出部11は、このような検出方法が異なる複数の物体検出部から構成される。本実施形態では、理解を容易にするために、複数の物体検出部は、第1物体検出部21と第2物体検出部22との2つを備えるとして説明する。
【0029】
第1物体検出部21は、車両50からの物体が存在する方向と距離を検出する。本実施形態では、第1物体検出部21として、車両50に搭載されるカメラが用いられる。図2には、車両50に搭載されるカメラが示されている。車両50には、フロントカメラ31、サイドカメラ32、リアカメラ33が備えられる。フロントカメラ31は、車両50の前方の情景を撮影した撮像画像を取得する。フロントカメラ31は例えばCCDカメラ等により構成される。このようなフロントカメラ31は、図2に示されるように、車両50のフロント部分(例えばフロントグリル等)に備えられる。フロントカメラ31は、例えば魚眼レンズを用いて構成すると好適であり、係る場合には少なくとも図2のAで示される領域の情景を含む撮像画像が取得される。
【0030】
サイドカメラ32は、車両50が有するサイドミラー60に備えられる。また、当該サイドカメラ32は、サイドミラー60の鉛直下方を含む車両50の左側方の情景及び右側方の情景を撮影した撮像画像を取得する一対のサイドカメラ32a、32b(左サイドカメラ32a及び右サイドカメラ32b)から構成される。本実施形態では、図2に示されるように、車両50の進行方向に対して左側方のサイドミラー60aに備えられるものを左サイドカメラ32aとし、進行方向に対して右側方のサイドミラー60bに備えられるものを右サイドカメラ32bとして説明する。また、特に左サイドカメラ32a及び右サイドカメラ32bのいずれかを限定する必要がない場合には、サイドカメラ32として記載する。
【0031】
左サイドカメラ32aは、左側方のサイドミラー60aの鉛直下方を含む車両50の左側方の情景を撮影し、撮像画像を取得する。上述のフロントカメラ31と同様に、サイドカメラ32も魚眼レンズを用いて構成すると好適である。係る場合には、左サイドカメラ32aにより少なくとも図2のBで示される領域の情景を撮影した撮像画像が取得される。右サイドカメラ32bは、右側方のサイドミラー60bの鉛直下方を含む車両50の右側方の情景を撮影し、撮像画像を取得する。右サイドカメラ32bにより少なくとも図2のCで示される領域の情景を撮影した撮像画像が取得される。
【0032】
リアカメラ33は、車両50の後方の情景を撮影した撮像画像を取得する。リアカメラ33は、図2に示されるように、車両50のリア部分(例えばリアバンパーやリア部分に備えられるモール等)に備えられる。リアカメラ33も、例えば魚眼レンズを用いて構成すると好適であり、係る場合には少なくとも図2のDで示される領域の情景を撮影した撮像画像が取得される。このように、各カメラで撮影される領域は、互いの境界部分において重複するように構成することが可能である。また、図示はしないが、上述の領域A−Dは、夫々重複する領域を有さないように構成することも可能である。
【0033】
これらの各カメラにより取得された撮像画像は、各カメラの配設位置、配設角度等により、車両から見た場合の物体の存在する方向を特定するのに用いられる。各カメラに取得された撮像画像は、後述する確証度判定部12及び位置演算部13に伝達される。
【0034】
第2物体検出部22は、少なくとも車両50から予め設定された所定の角度で規定される検出範囲内に存在する物体までの距離を検出する。本実施形態では、第2物体検出部22として、車両50に搭載されるソナー(例えば赤外線センサ)が用いられる。図3は、車両50に搭載されるソナーが示されている。ソナーは、車両50のフロント部に4つ(ソナー41〜44)、リア部に4つ(ソナー45〜48)備えられる。各ソナーは、夫々備えられた位置を中心として、延直方向及び水平方向に所定の角度で規定される範囲を検出するよう設定される。図3では平面図を示しているので、延直方向の範囲の図示は省略している。
【0035】
ソナー41〜44は、夫々図3のI〜Lで示される領域を検出領域として設定される。また、ソナー45〜48は、夫々図3のU〜Xで示される領域を検出領域として設定される。ソナー41〜48は、夫々の検出領域内に送信信号として超音波を送信し、物体に当たって反射される反射波を受信する。これらの送信信号及び反射波の時間差に基づいて、車両50から物体までの距離を検出する。ただし、ソナー41〜44の検出結果においては、車両50から物体までの距離は検出できるが、その方向は検出領域内(例えば領域I)であるとしてしか判断できない。このような検出過程については、公知であるため説明は省略する。各ソナーにより検出された検出結果は、後述する確証度判定部12及び位置演算部13に伝達される。
【0036】
車両イメージ画像生成部14は、車両50の上方を視点とする車両50のイメージ画像ICを生成する。車両50の上方を視点とするとは、車両50を見下ろす視点である。したがって、車両50の斜め前方から車両50の後方を見下ろす視点とすることも可能であるし、車両50の斜め後方から車両50の前方を見下ろす視点とすることも可能である。また、車両50の鉛直上方から車両50を見下ろす視点とすることも可能である。このような車両50のイメージ画像ICが図4に示される。本実施形態では、図4に示すように、車両50の延直上方を視点とした場合の例を示す。したがって、車両50のイメージ画像ICとは、延直上方から車両50を見た場合に車両50を模式的に示す画像が相当する。このイメージ画像ICは、カメラ等で車両を実際に撮影した画像でも良いし、イラストでも良い。イメージ画像生成部14により生成されたイメージ画像ICは、後述の位置算定部13及び表示画像生成部17に伝達される。
【0037】
周囲イメージ画像生成部15は、車両50のイメージ画像ICの周囲に複数の領域に区分けされた、上述の視点からの車両50の周囲のイメージ画像IAを生成する。車両50の周囲のイメージ画像IAとは、車両50の周囲の状況を模式的に示す画像である。この周囲のイメージ画像IAは、上述の車両イメージ画像生成部14により生成された車両50のイメージ画像ICの視点と同じ視点で生成される。このような周囲のイメージ画像IAに区分線77が重畳して描画される。これにより、周囲のイメージ画像IAが、複数の領域に区分けされる。
【0038】
図4には、このような区分線77が縦方向及び横方向に描画されている例(格子状の区分)が示されている。このような区分線77は、単なる一例であり他の形態で描画することは当然に可能である。周囲イメージ画像生成部15は、周囲のイメージ画像IAに対して区画線77を描画する。周囲イメージ画像生成部15により生成された、区分線77が描画された周囲のイメージ画像IAは、後述の位置演算部13及び表示画像生成部17に伝達される。
【0039】
位置演算部13は、物体検出部11の検出結果に基づいて周囲のイメージ画像IAにおいて対応する位置を演算する。物体検出部11とは、第1物体検出部21及び第2物体検出部22であり、夫々カメラ及びソナーが相当する。ここで、上述のようにカメラは車両50からの物体の方向を検出し、ソナーは車両50から物体までの距離を検出する。一方、図4に示される周囲のイメージ画像IAは、車両50の上方を視点とする車両50の周囲を模式的に示す画像である。このため、周囲のイメージ画像IA上にカメラ及びソナーの検出結果を単純に表示することはできない。したがって、位置算定部13は、カメラ及びソナーの検出結果に基づいて、周囲のイメージ画像IA上での位置、即ち、周囲のイメージ画像IAを2次元平面とした場合の座標を演算する。位置演算部13により演算された演算結果は、後述する明示部16に伝達される。
【0040】
確証度判定部12は、物体検出部11により検出された検出結果の確証度が予め設定された判定閾値以上であるか否かを判定する。物体検出部11により検出された検出結果とは、第1物体検出部21としてのカメラにより検出された車両50から見た物体の方向を示す結果、及び第2物体検出部22としてのソナーにより検出された車両50から物体までの距離を示す結果である。確証度とは正確度(正確性)に相当する。したがって、確証度判定部12は、検出結果の正確度が予め設定された判定閾値以上であるか否かを判定する。
【0041】
ここで、確証度判定部12は、2つの物体検出部11の検出結果に相関関係がある場合に確証度が判定閾値以上であると判定する。本実施形態では、2つの物体検出部11とは、第1物体検出部21及び第2物体検出部22である。これらの検出結果に相関関係があるとは、第1物体検出部21としてのカメラにより検出された車両50から見た物体の方向を示す結果と、第2物体検出部22としてのソナーにより検出された車両から物体までの距離を示す結果との間に相関関係があるということである。
【0042】
即ち、第1物体検出部21としてのカメラが、車両50の周囲の状況を撮影して取得した撮像画像に含まれる物体を画像認識により検出して物体が存在する方向を検出し、第2物体検出部22としてのソナーが、予め設定された所定の角度で規定される検出範囲内に送信された送信波と当該送信波が物体に当たって反射する反射波との差に基づいて車両50から物体までの距離を検出する構成の場合には、確証度判定部12は、第1物体検出部21により検出された物体の方向が、車両50から所定の距離に存在する物体を検出した第2物体検出部22の検出範囲内に含まれる場合に相関関係があるとして確証度が判定閾値以上であると判定することが可能である。
【0043】
また、確証度判定部12は、第1物体検出部21により取得された撮像画像に含まれる物体と車両50との距離を画像認識により演算し、当該演算の結果と第2物体検出部22により検出された距離が略一致する場合に相関関係があるとして確証度が判定閾値以上であると判定することも可能である。
【0044】
ここで、第1物体検出部21として用いられるカメラにより取得された撮像画像では、遠くに位置する物体は小さく表示される。したがって、車両50から離れるにしたがって、第1物体検出部21による検出結果の正確性は悪くなる。このため、確証度判定部12は、第1物体検出部21により取得された撮像画像に含まれる物体が特定し難い場合においては、確証度が判定閾値未満であると判定する。このような判定結果は、後述する明示部16に伝達される。
【0045】
明示部16は、検出結果の確証度が判定閾値以上である場合に、位置演算部13の演算結果に基づいて周囲のイメージ画像IAにおいて対応する位置を明示すると共に、検出結果の確証度が判定閾値未満である場合に、位置演算部13の演算結果に基づいて周囲のイメージ画像IAにおいて対応する領域を明示する。検出結果の確証度が判定閾値以上であるか否かは、上述の確証度判定部12により判定される。第1物体検出部21及び第2物体検出部22の検出結果に基づく周囲のイメージ画像IAでの対応する位置は、位置演算部13により演算され伝達される。
【0046】
上述したように、検出結果の確証度が判定閾値以上である場合には、車両50から見た物体の方向及び距離の正確度が高いことから、明示部16はその対応する位置を明示する。具体的には、明示部16は、確証度が予め設定された判定閾値以上である場合に、周囲のイメージ画像IAにおいて対応する位置に指標を表示する。このような指標が、図5において、符号P1やP2として示される。このように、確証度が予め設定された判定閾値以上である場合には、物体の存在を示す指標は区分線77及び当該区分線77により区分けされた領域に拘らず表示される。換言すると、確証度が予め設定された判定閾値以上である場合には、物体の存在を示す指標は区分線77及び当該区分線77により区分けされた領域に拘らないで、対応する位置に表示される。
【0047】
一方、検出結果の確証度が判定閾値未満である場合には、車両50から見た物体の方向及び距離の正確度が低いことから、明示部16はその対応する領域を明示する。具体的には、明示部16は、確証度が予め設定された判定閾値未満である場合に、周囲のイメージ画像IAにおいて対応する領域を着色する。このような着色された領域が、図5において、符号R1やR2として示される。このように、確証度が予め設定された判定閾値未満である場合には、物体の存在を示す領域は区分線77により区分けされた領域にしたがって表示される。なお、このような明示は、表示画像生成部17にある周囲イメージ画像生成部15から伝達された周囲のイメージ画像IAに対して施される。
【0048】
表示画像生成部17は、モニタ18に表示する表示画像を生成する。表示画像は、車両イメージ画像生成部14により生成された車両50のイメージ画像IC及び周囲イメージ画像生成部15により生成された周囲のイメージ画像IAである。この周囲のイメージ画像IAに重畳して明示された指標や領域の着色も含まれる。このような表示画像がモニタ18に伝達され、表示される。このような表示はリアルタイムで行われ、車両50の移動と共に、又物体の移動と共にモニタ18に表示される。このように車両50の周囲に存在する物体をモニタ18に表示して報知することにより、運転者が直感的に車両50の周囲の状況を把握できると共に、その正確性も知ることができる。
【0049】
次に、本車両周辺監視装置100が物体を検出した場合の報知に関する処理について説明する。図6は、車両周辺監視装置100の処理に係るフローチャートである。なお、このフローチャートは、処理の一例を示したものであり、処理順序はこれに限定されるものではない。即ち、適宜、処理順序を入れ替えることは当然に可能である。
【0050】
まず、車両イメージ画像生成部14が車両50の上方を視点とする車両50のイメージ画像ICを生成すると共に、周囲イメージ画像生成部15が車両50のイメージ画像ICと同様の視点からの車両50の周囲のイメージ画像IAを生成する(ステップ#01)。
【0051】
第1物体検出部21により物体が検出されると共に(ステップ#02:第1物体検出部)、第2物体検出部22でも物体が検出された場合には(ステップ#03:Yes)、確証度判定部12がその検出結果の確証度が判定される。確証度判定部12は、確証度が予め設定された判定閾値以上であれば、即ち、第1物体検出部21の検出結果と第2物体検出部22の検出結果とに相関関係があれば(ステップ#04:Yes)、位置演算部13はこれらの検出結果に基づいて周囲のイメージ画像IAにおける物体の存在する位置を演算する(ステップ#05)。
【0052】
明示部16は、このように演算された位置を周囲のイメージ画像IAに指標を付して明示する(ステップ#06)。これにより、車両50の運転者に物体の存在を報知すると共に、当該物体の検出の正確性が高いことを知らせることが可能となる。
【0053】
ステップ#02に戻り、第2物体検出部22により物体が検出されると共に(ステップ#02:第2物体検出部)、第1物体検出部21でも物体が検出された場合には(ステップ#07:Yes)、確証度判定部12がその検出結果の確証度が判定される。確証度判定部12は、確証度が予め設定された判定閾値以上であれば、即ち、第1物体検出部21の検出結果と第2物体検出部22の検出結果とに相関関係があれば(ステップ#04:Yes)、位置演算部13はこれらの検出結果に基づいて周囲のイメージ画像IAにおける物体の存在する位置を演算する(ステップ#05)。
【0054】
明示部16は、このように演算された位置を周囲のイメージ画像IAに指標を付して明示する(ステップ#06)。これにより、車両50の運転者に物体の存在を報知すると共に、当該物体の存在を示す報知の確証度が高いことを知らせることが可能となる。
【0055】
ステップ#02において第1物体検出部21により物体が検出されたにも拘らず(ステップ#02:第1物体検出部)、第2物体検出部22で物体が検出されなかった場合(ステップ#03:No)や、ステップ#02において第2物体検出部22により物体が検出されたにも拘らず(ステップ#02:第2物体検出部)、第1物体検出部21で物体が検出されなかった場合(ステップ#07:No)や、ステップ#04において第1物体検出部21の検出結果と第2物体検出部22の検出結果とに相関関係がない場合(ステップ#04:No)には、位置演算部13は夫々の検出結果に基づいて周囲のイメージ画像IAにおける物体の存在する領域を演算する(ステップ#08)。
【0056】
明示部16は、このように演算された領域を周囲のイメージ画像IAに着色して明示する(ステップ#09)。これにより、車両50の運転者に物体の存在を報知すると共に、当該物体の検出の正確性が低いことを知らせることが可能となる。なお、ステップ#02において、第1物体検出部21及び第2物体検出部22の双方により物体が検出されない場合には、少なくともいずれか一方から物体が検出されるまで処理を保留しても良いし、車両50の周囲に物体が存在しない旨の報知を行うように処理しても良い。本車両周辺監視装置100は、このようなフローチャートに沿って車両50の運転者に周囲に状況を報知する。
【0057】
〔その他の実施形態〕
上記実施形態では、物体検出部11は、第1物体検出部21及び第2物体検出部22の2つを備えるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。物体検出部11は、3つ以上から構成しても良いし、また、1つの物体検出部11で異なる検出対象が検出可能なものであっても良い。このような物体検出部11であっても、適切に車両50からの物体の方向及び車両50から物体までの距離を検出することが可能である。
【0058】
上記実施形態では、第2物体検出部22が、車両50のフロント部及びリア部に夫々4つずつ備えられるとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。第2物体検出部22は、フロント部及びリア部に夫々3つ以下で構成することも可能であるし、5つ以上で構成することも可能である。もちろん、フロント部及びリア部の夫々を別々の個数で構成することも当然に可能である。また、第2物体検出部22をフロント部のみ或いはリア部のみ備える構成とすることも当然に可能である。
【0059】
上記実施形態では、明示部16による明示が、対応する領域を着色するとして説明した。しかしながら、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではない。明示部16による明示は、対応する領域を立体表示するようにしても良い。また、明示部16による領域の着色は、対応する領域全面を着色しても良いし、その領域の外周部分の区画線77を着色しても良い。また、着色は半透明表示であっても良い。このような明示であっても、車両50の運転者に対して適切に車両50の周囲に存在する物体を報知することは当然に可能である。
【0060】
上記実施形態では、明示部16により対応する位置に指標が表示されるとして説明した。しかしながら、本発明に適用範囲はこれに限定されるものではない。例えば、明示部16による指標の表示は、物体が移動物である場合には、移動予測を行って矢印を付与して良い。このような明示を行うことにより、車両50の運転者は物体が移動物であることを認識することができると共に、物体の移動方向に対しても注意することが可能となる。
【0061】
本発明は、車両の周囲に存在する物体を報知する車両周辺監視装置に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0062】
11:物体検出部
12:確証度判定部
13:位置演算部
14:車両イメージ画像生成部
15:周囲イメージ画像生成部
16:明示部
17:表示画像生成部
18:モニタ
21:第1物体検出部
22:第2物体検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に備えられ、前記車両の周囲の物体を検出する物体検出部と、
前記車両の上方を視点とする前記車両のイメージ画像を生成する車両イメージ画像生成部と、
前記車両のイメージ画像の周囲に複数の領域に区分けされた、前記視点からの前記車両の周囲のイメージ画像を生成する周囲イメージ画像生成部と、
前記物体検出部の検出結果に基づいて前記周囲のイメージ画像において対応する位置を演算する位置演算部と、
前記物体検出部により検出された検出結果の確証度が予め設定された判定閾値以上であるか否かを判定する確証度判定部と、
前記検出結果の確証度が前記判定閾値以上である場合に、前記位置演算部の演算結果に基づいて前記周囲のイメージ画像において対応する位置を明示すると共に、前記検出結果の確証度が前記判定閾値未満である場合に、前記位置演算部の演算結果に基づいて前記周囲のイメージ画像において対応する領域を明示する明示部と、
を備える車両周辺監視装置。
【請求項2】
前記物体検出部は、検出方法が異なる複数の物体検出部から構成され、
前記確証度判定部は、前記複数の物体検出部のうち少なくとも2つの物体検出部の検出結果に相関関係がある場合に前記確証度が前記判定閾値以上であると判定する請求項1に記載の車両周辺監視装置。
【請求項3】
前記少なくとも2つの物体検出部が、第1物体検出部と第2物体検出部とを備え、前記第1物体検出部が前記車両からの前記物体が存在する方向を検出し、前記第2物体検出部が少なくとも前記車両から予め設定された所定の角度で規定される検出範囲内に存在する前記物体までの距離を検出する請求項2に記載の車両周辺監視装置。
【請求項4】
前記第1物体検出部は、前記車両の周囲の状況を撮影して取得した撮像画像に含まれる物体を画像認識により検出して前記方向を検出すると共に、
前記第2物体検出部は、前記検出範囲内に送信された送信波と当該送信波が物体に当たって反射する反射波との差に基づいて前記距離を検出し、
前記確証度判定部は、前記第1物体検出部により検出された前記方向が、前記車両から所定の距離に存在する物体を検出した前記第2物体検出部の検出範囲内に含まれる場合に前記相関関係があるとして前記確証度が判定閾値以上であると判定する請求項3に記載の車両周辺監視装置。
【請求項5】
前記第1物体検出部は、前記車両の周囲の状況を撮影して取得した撮像画像に含まれる物体を画像認識により検出して前記方向を検出すると共に、
前記第2物体検出部は、前記検出範囲内に送信された送信波と当該送信波が物体に当たって反射する反射波との差に基づいて前記距離を検出し、
前記確証度判定部は、前記第1物体検出部により取得された撮像画像に含まれる物体と前記車両との距離を画像認識により演算し、当該演算の結果と前記第2物体検出部により検出された前記距離が略一致する場合に前記相関関係があるとして前記確証度が判定閾値以上であると判定する請求項3に記載の車両周辺監視装置。
【請求項6】
前記明示部は、前記確証度が予め設定された判定閾値以上である場合に、前記周囲のイメージ画像において対応する位置に指標を表示する請求項1から5のいずれか一項に記載の車両周辺監視装置。
【請求項7】
前記明示部は、前記確証度が予め設定された判定閾値未満である場合に、前記周囲のイメージ画像において対応する領域を着色する請求項1から6のいずれか一項に記載の車両周辺監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−175485(P2011−175485A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39317(P2010−39317)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】