説明

車両後部の衝突対応構造

【課題】車両後方から加わる衝撃荷重を効果的に吸収することで、車室内における乗員の安全性を高める。
【解決手段】車両後部において車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレーム2と、該リアサイドフレーム2間に架設されたリアサスペンションクロスメンバ20と、エンジンの排気経路28に設けられるとともに、リアサスペンションクロスメンバ20の後方に配設された中空の排気サイレンサ30と、を有する車両後部の衝突対応構造であって、車両1後方から該車両1に衝撃荷重が加わったときに排気サイレンサ30がリアサスペンションクロスメンバ20に向かって移動するように排気サイレンサ30の移動方向を規制する移動方向規制手段80を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両後方から加わる衝撃荷重を吸収するための車両後部の衝突対応構造に関する。
【背景技術】
【0002】
衝突等により車両に加わる衝撃荷重を、サイドフレーム等の車体の一部が潰れることで吸収する技術が知られており、この技術によれば、車室内に伝わる衝撃を緩和することができ、乗員の安全性を高めることができる。
【0003】
例えば、前方衝突の場合、先ず、フロントサイドフレームの前端部とフロントバンパとに跨って設けられたクラッシュカンが潰れることで、このクラッシュカンで衝撃荷重を吸収し、これにより吸収しきれない衝撃荷重は、さらにフロントサイドフレームが潰れることで吸収する技術が広く知られている。
【0004】
この他にも、車両前部の衝突対応構造に関しては、特許文献1及び2等に開示されているように種々の技術が開発されている。
【0005】
例えば、特許文献1の技術は、前方車両との衝突が予知される緊急時にアクチュエータを作動させることにより、車両前端部に設けられたサブバンパビームを、前方車両後端部の車体部分に対応する高さまで降下させて、該サブバンパビームを前方車両の車体に衝突させることで、衝突エネルギーを効率的に吸収するものである。
【0006】
また、特許文献2の技術は、前方車両との衝突が予知される緊急時にねじ機構を作動させることにより、特許文献1の技術と同様にサブバンパビームを降下させて、該サブバンパビームを前方車両の車体に衝突させるものである。
【0007】
一方、後方衝突の対策に関しては、例えば、先ず、リアサイドフレームの後端部とリアバンパとに跨って設けられたクラッシュカンが潰れることで、このクラッシュカンで衝撃荷重を吸収し、これにより吸収しきれない衝撃荷重は、さらにリアサイドフレームが潰れることで吸収する技術が知られている。
【0008】
また、これとは別の車両後部の衝突対応構造として、特許文献3には、後方車両が衝突するときに、リアシートを前方へスライドさせることで、後部座席の乗員の安全性を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−203807号公報
【特許文献2】特開2007−203808号公報
【特許文献3】特開平11−208337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、後方衝突の対策に関して、車両後部のクラッシュカン及びリアサイドフレームだけでは必ずしも十分に衝撃荷重を吸収できない場合があるため、より効果的に衝撃荷重を吸収するための技術の開発が求められている。
【0011】
また、特許文献3の技術は、後方衝突時に後部座席の乗員を衝突部分から遠ざけるために前方へ移動させるものであって、衝撃荷重を効果的に吸収しようとしたものでないため、車室内に伝わる衝撃を軽減することはできない。
【0012】
そこで、本発明は、車両後方から加わる衝撃荷重を効果的に吸収することができ、乗員の安全性向上に貢献することができる車両後部の衝突対応構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決するため、本発明に係る車両後部の衝突対応構造は、次のように構成したことを特徴とする。
【0014】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、
車両後部において車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレームと、
該左右のリアサイドフレーム間に架設されたリアサスペンションクロスメンバと、
エンジンの排気経路に設けられるとともに、前記リアサスペンションクロスメンバの後方に配設された中空の排気サイレンサと、を有する車両後部の衝突対応構造であって、
車両後方から該車両に衝撃荷重が加わったときに前記排気サイレンサが前記リアサスペンションクロスメンバに向かって移動するように前記排気サイレンサの移動方向を規制する移動方向規制手段を有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記移動方向規制手段は、前記リアサスペンションクロスメンバから後方に向かって前記排気サイレンサの下方空間または該下方空間の前側近傍部まで延設されたガイド部材であることを特徴とする。
【0016】
なお、ここでいう「下方空間の前側近傍部」とは、排気サイレンサの下方空間の前方部分であって、且つ、車両後方から該車両に衝撃荷重が加わったときに排気サイレンサを下側から支持可能な部分を指す。
【0017】
さらに、請求項3に記載の発明は、前記請求項2に記載の発明において、
前記ガイド部材は、前記車両に衝撃荷重が加わっていない状態において前記ガイド部材の後端部が前記排気サイレンサと車両前後方向に重なるように配置されていることを特徴とする。
【0018】
またさらに、請求項4に記載の発明は、前記請求項2または請求項3に記載の発明において、
前記ガイド部材は、走行時における車両後部の底面の空気抵抗を低減するためのアンダーカバーとして機能し得るように水平方向に拡がる板状水平部を備えていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項2または請求項3に記載の発明において、
前記ガイド部材は、車両前後方向に細長い部材であり、且つ、車幅方向に間隔を空けて複数設けられ、
該複数のガイド部材に跨って、走行時における車両後部の底面の空気抵抗を低減するためのアンダーカバーが取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、
前記移動方向規制手段は、各リアサイドフレームが前記排気サイレンサを吊り下げ支持するのに用いる前後一対のハンガ部材であり、
該ハンガ部材は、前記リアサイドフレームに固定されたフレーム側固定部材と、前記排気サイレンサに固定されたサイレンサ側固定部材と、前記フレーム側固定部材と前記サイレンサ側固定部材とにそれぞれ車幅方向に延びる軸を中心として回転自在に連結された連結部材とを有し、
前側の前記ハンガ部材では、前記サイレンサ側固定部材が前記排気サイレンサの前部に固定されるとともに、該サイレンサ側固定部材と前記連結部材との連結部が、前記フレーム側固定部材と前記連結部材との連結部よりも下側かつ前側に配置され、
後側の前記ハンガ部材では、前記サイレンサ側固定部材が前記排気サイレンサの後部に固定されるとともに、該サイレンサ側固定部材と前記連結部材との連結部が、前記フレーム側固定部材と前記連結部材との連結部よりも下側かつ後側に配置されていることを特徴とする。
【0021】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の発明において、
前記車両は、前記リアサイドフレームよりも後方において車幅方向に延設されたリアバンパを更に有し、
該リアバンパ内部に設けられたリアバンパレインフォースメントに、車両後方から前記リアバンパに衝撃荷重が加わったときに前記排気サイレンサの後端部に当接して該排気サイレンサに前記衝撃荷重を伝達する荷重伝達部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
まず、請求項1に記載の発明によれば、車両後方から該車両に衝撃荷重が加わったとき、移動方向規制手段により、排気サイレンサがリアサスペンションクロスメンバに向かって移動するように排気サイレンサの移動方向が規制されるため、該排気サイレンサよりも後方に配設された車両構成部材または後方車両等の衝突物と、リアサスペンションクロスメンバとにより、排気サイレンサを前後両側から挟み込むことができ、これにより、該排気サイレンサを押し潰して衝撃荷重を吸収することができる。したがって、排気サイレンサを利用することで車両後方側からの衝撃荷重の吸収を効果的に行うことができる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明によれば、車両後方から該車両に衝撃荷重が加わったとき、リアサスペンションクロスメンバから後方に向かって排気サイレンサの下方空間または該下方空間の前側近傍部まで延設されたガイド部材により、排気サイレンサの底面が下側から支持されるため、該排気サイレンサを脱落させないように前方のリアサスペンションクロスメンバに向かって確実に案内することができる。
【0024】
さらに、請求項3に記載の発明を請求項2に記載の発明に適用すれば、車両後方からリアバンパに衝撃荷重が加わり始めたときから、前記ガイド部材により排気サイレンサの底部を支持することができるため、排気サイレンサの脱落を一層確実に防止することができる。
【0025】
またさらに、請求項4に記載の発明を請求項2又は3に記載の発明に適用すれば、前記ガイド部材の板状水平部が、走行時における車両後部の底面の空気抵抗を低減するためのアンダーカバーとして機能するため、車両底面において良好な空力特性を得ることができる。また、これによって、排気サイレンサの底面を、空力特性を考慮した形状にしなくても済むため、排気サイレンサの設計自由度を高めることができる。したがって、排気サイレンサをより潰れやすい形状にすることで、排気サイレンサによる衝撃吸収効果を一層高めることができる。
【0026】
また、請求項5に記載の発明を請求項2又は3に記載の発明に適用すれば、車両前後方向に細長い複数のガイド部材に跨って、走行時における車両後部の底面の空気抵抗を低減するためのアンダーカバーが取り付けられているため、車両底面において良好な空力特性を得ることができる。また、これによって、排気サイレンサの底面を、空力特性を考慮した形状にしなくても済むため、排気サイレンサの設計自由度を高めることができる。したがって、排気サイレンサをより潰れやすい形状にすることで、排気サイレンサによる衝撃吸収効果を一層高めることができる。
【0027】
またさらに、請求項6に記載の発明によれば、排気サイレンサをリアサイドフレームにより吊り下げ支持するのに用いる前後一対のハンガ部材のうち、前側のハンガ部材では、サイレンサ側固定部材と連結部材との連結部が、フレーム側固定部材と連結部材との連結部よりも下側かつ前側に配置され、後側のハンガ部材では、サイレンサ側固定部材と連結部材との連結部が、フレーム側固定部材と連結部材との連結部よりも下側かつ後側に配置されているため、排気サイレンサに後方から衝撃荷重が加わったときに、前側ハンガ部材では、サイレンサ側固定部材と連結部材との連結部がフレーム側固定部材と連結部材との連結部を中心軸として前上方へ回動し、後側ハンガ部材では、サイレンサ側固定部材と連結部材との連結部がフレーム側固定部材と連結部材との連結部を中心軸として前下方へ回動する。そのため、排気サイレンサは、前端部が後端部よりも高く持ち上げられた状態で、リアサスペンションクロスメンバに向かって前方へ移動するように移動方向が規制される。よって、このようにして高さが極力維持された排気サイレンサの前端部を、リアサスペンションクロスメンバに当接させるように確実に案内することができる。
【0028】
さらに、請求項7に記載の発明によれば、車両後方からリアバンパに衝撃荷重が加わったときに、該衝撃荷重を、リアバンパレインフォースメントに設けられた荷重伝達部材により排気サイレンサに伝達することができるため、この荷重伝達部材により排気サイレンサをリアサスペンションクロスメンバに向かって前方へ押し込んだ後、荷重伝達部材とリアサスペンションクロスメンバとで排気サイレンサを挟み潰すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る衝突対応構造が適用される車両後部を示す底面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】第1の実施形態における排気サイレンサ、荷重伝達部材及びガイド部材の一部を示す斜視図である。
【図4】車両後方からリアバンパに衝撃荷重が加わり始めた状態における図1のA−A線断面図である。
【図5】排気サイレンサがリアサスペンションクロスメンバに当接するまで前方へ押し込まれた状態における図1のA−A線断面図である。
【図6】排気サイレンサが押し潰された状態における図1のA−A線断面図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る衝突対応構造が適用される車両後部を示す底面図である。
【図8】図7のB−B線断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る衝突対応構造が適用される車両後部を示す底面図である。
【図10】図9のC−C線断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る衝突対応構造が適用される車両後部を示す車両左側から見た側面図である。
【図12】排気サイレンサに車両後方側から衝撃荷重が加わったときにおける図11の車両後部の状態を示す車両左側から見た側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、「前」、「後」、「前後」、「右」、「左」、「左右」等の方向を示す用語は、特段の説明がある場合を除いて、車両の進行方向を「前」とした場合の方向を指すものとする。
【0031】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両後部の衝突対応構造が適用される車両1の後部を示す底面図であり、図2は、図1のA−A線断面図である。
【0032】
図1及び図2に示すように、車両1の後部には、車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレーム2,3が設けられている。これら左右のリアサイドフレーム2,3間には、図示しない荷室フロア材が架設されている。
【0033】
リアサイドフレーム2,3よりも後方には、リアバンパ4が車幅方向に延設されている。リアバンパ4は、車幅方向に延びるリアバンパレインフォースメント6と、該リアバンパレインフォースメント6を覆う図示しないリアバンパカバーとを備えている。リアバンパレインフォースメント6は、車両後方側に向かって開放した断面倒ハット状の前側部材8と、この前側部材8の後面開放部を塞ぐように該前側部材8に接合された後側部材10とを有する。
【0034】
また、各リアサイドフレーム2,3の後端部と、リアバンパ4内部に設けられたリアバンパレインフォースメントとに跨ってそれぞれクラッシュカン12,13が設けられている。クラッシュカン12,13の前端にはフランジ14が設けられており、このフランジ14と、リアサイドフレーム2,3の後端に設けられたフランジ16とが接合されることで、クラッシュカン12,13とリアサイドフレーム2,3とが連結されている。車両後方からリアバンパ4に衝撃荷重が加わったときは、先ずクラッシュカン12,13が潰れながら該衝撃荷重を吸収することで、車体への衝撃の伝達が抑制されるようになっている。
【0035】
さらに、左右のリアサイドフレーム2,3間にはリアサスペンションクロスメンバ20が架設されている。このリアサスペンションクロスメンバ20は、後輪用のサスペンション装置の一部を構成するものであり、左右のリアサイドフレーム2,3の下面にそれぞれ連結される左右一対の連結メンバ部22,23と、これらの連結メンバ部22,23間に架設された横メンバ部24とを有する。各連結メンバ部22,23は、車幅方向内側へ膨出するように湾曲して設けられ、該連結メンバ部22,23の両端部がリアサイドフレーム2,3の下面に固定されている。
【0036】
リアサスペンションクロスメンバ20の後方には、エンジンの排気経路28に設けられた中空の排気サイレンサ30が配置されている。図1に示すように、排気サイレンサ30は、車幅方向に関して左右のリアサイドフレーム2,3間に配設されている。また、排気サイレンサ30は、リアサイドフレーム2,3と車両前後方向に重なる位置に配設されている。なお、本実施形態において、排気サイレンサ30の後端部は、リアサイドフレーム2,3の後端よりも後側に配置されているが、リアサイドフレーム2,3の後端よりも前側に収まるように配置するようにしてもよい。また、図2に示すように、排気サイレンサ30は、リアサイドフレーム2,3及びリアバンパレインフォースメント6よりも低い位置に設けられており、図示しないハンガ部材を介して左右のリアサイドフレーム2,3に吊り下げ支持されている。
【0037】
排気サイレンサ30の前部には、排気ガスを導入するための入口管32が設けられており、この入口管32は、エンジン側から後方に延設された排気管50に接続されている。また、排気サイレンサ30の車幅方向両端部には、排気ガスを排出するための出口管34,35が設けられており、排気サイレンサ30を通過した排気ガスが出口管34,35を経由して車両後方へ排出されるようになっている。
【0038】
図3に示すように、排気サイレンサ30は、車幅方向に延びる扁平な筒状壁部38と、この筒状壁部38の両端開口部を塞ぐ左右一対の側壁板40,42と、排気サイレンサ30の内部空間を車幅方向に区切る仕切板44,46とを有する。筒状壁部38の上面は略水平な面となっているが、筒状壁部38の下面は後方に向かって上側へ傾斜した傾斜面となっている(図2参照)。側壁板40,42と仕切板44,46とは、平面視において段状に形成されており、これにより、車両後方側から衝撃荷重を受けたときに、車両前後方向に短くなるように折り畳まれやすくなっている。よって、排気サイレンサ30は、車両後方側から衝撃荷重を受けたときに、車両前後方向に圧縮されるように潰れやすくなっており、これにより、該衝撃荷重を効果的に吸収することができるようになっている。
【0039】
図1及び図2に戻って、本実施形態では、車両1の後部において、車両後方から該車両1に衝撃荷重が加わったときに排気サイレンサ30がリアサスペンションクロスメンバ20に向かって移動するように排気サイレンサ30の移動方向を規制する移動方向規制手段として、ガイド部材80,82が設けられている。
【0040】
ガイド部材80,82は、車両前後方向に細長い帯板状の部材であり、車幅方向に間隔を空けて例えば左右一対設けられている。ただし、本発明において、ガイド部材80,82の個数は特に限定されるものでない。
【0041】
各ガイド部材80,82は、リアサスペンションクロスメンバ20から後方に向かって排気サイレンサの下方空間まで延設されており、車両1に衝撃荷重が加わっていない状態においてガイド部材80,82の後端部が排気サイレンサ30と車両前後方向に重なるように配置されている。
【0042】
図2に示すように、ガイド部材80,82は、リアサスペンションクロスメンバ20の横メンバ部24の下方において略水平方向に沿って配設された前側水平部84と、該水平部84の後端から後方に向かって上側に傾斜して延びる後側傾斜部86とを備える。この後側傾斜部86の傾斜方向は、排気サイレンサ30の底面の傾斜方向と略平行となっており、この後側傾斜部86は、排気サイレンサ30の底面に対して当接するか又は僅かに隙間を空けて配置されている。
【0043】
ガイド部材80,82は、前後一対の支持部材90,94を介してリアサスペンションクロスメンバ20の横メンバ部24に吊り下げ支持されている。
【0044】
前側の支持部材90は、横メンバ部24の前面に例えば溶接により固定された上側固定部91と、該上側固定部91の下端から前方へ延びる下側固定部92とを有する。この下側固定部92はガイド部材80,82の前側水平部84の上面に例えば溶接により固定されており、これにより、ガイド部材80,82の前端部が前側支持部材90を介して横メンバ部24により吊り下げ支持されている。
【0045】
一方、後側の支持部材94は、横メンバ部24の後面に例えば溶接により固定された上側固定部95と、該上側固定部95の下端から後下方へ斜めに延びる傾斜部96と、該傾斜部96の下端から後方へ延びる下側固定部97とを有する。この下側固定部97はガイド部材80,82の後側傾斜部86の上面に例えば溶接により固定されており、これにより、ガイド部材80,82の中央部が後側支持部材94を介して横メンバ部24により吊り下げ支持されている。
【0046】
また、図1に示すように、左右のガイド部材80,82は、後方に向かうに連れて両者の間隔が拡がるように平面視においてハの字状に配置されている。これにより、車幅方向において横メンバ部24よりも長い排気サイレンサ30を両ガイド部材30により下側から良好に支持できるようになっている。
【0047】
さらに、図1〜図3に示すように、排気サイレンサ30の後方には、車両後方からリアバンパ4に加わった衝撃荷重を排気サイレンサ30に伝達する例えば左右一対の荷重伝達部材52が配設されている。ただし、本発明において、荷重伝達部材52の構造および個数は特に限定されるものでなく、また、必ずしも荷重伝達部材52を設けなくてもよい。
【0048】
荷重伝達部材52は、車両後方からリアバンパ4に衝撃荷重が加わったときに排気サイレンサ30の後端部に当接可能なようにリアバンパレインフォースメント6から下側に向かって延設されている。荷重伝達部材52は、リアバンパレインフォースメント6の前側部材8の下面に例えば溶接により接合されている。
【0049】
荷重伝達部材52における排気サイレンサ30後端部との対向面55は略鉛直方向に沿って配設されており、これにより、該対向面55が排気サイレンサ30の後端部に当接したときに、車両後方から加わった衝撃荷重を荷重伝達部材52から排気サイレンサ30へ効率的に伝達することができるようになっている。
【0050】
排気サイレンサ30の後端部と前記対向面55との間には、車両後方からリアバンパ4に衝撃荷重が加わったときにクラッシュカン12,13が潰れてから荷重伝達部材52が排気サイレンサ30に当接するために必要な間隔dが設けられている。これにより、先ずクラッシュカン12,13が潰れた後に、荷重伝達部材52が排気サイレンサ30に当接することとなるため、クラッシュカン12,13による衝撃荷重の吸収がなされた後に、排気サイレンサ30により衝撃荷重を吸収することができる。そのため、車両後方からの衝撃荷重がクラッシュカン12,13のみで十分に対応できる程度に小さい場合、排気サイレンサ30の破損を回避することができる。
【0051】
図4〜図6を参照しながら、車両後方からリアバンパ4に衝撃荷重が加わるときに車両1の後部において衝撃荷重を吸収する態様の具体例を説明する。
【0052】
図4に示すように、車両後方からリアバンパ4に衝撃荷重が加わると、先ず、クラッシュカン12,13が潰れて、該クラッシュカン12,13により衝撃荷重が吸収される。衝撃荷重が比較的小さい場合、このクラッシュカン12,13による衝撃吸収のみで対応できるが、衝撃荷重が比較的大きい場合は、引き続き次のような態様で衝撃吸収が行われる。
【0053】
クラッシュカン12,13が車両前後方向に圧縮されるように潰れると、これに伴い、荷重伝達部材52は前方へ押し込まれて、該荷重伝達部材52の当接部54が排気サイレンサ30の後端部に当接し、荷重伝達部材52による排気サイレンサ30への荷重伝達が開始される。また、これに続いて、図5に示すように、リアサイドフレーム2,3が潰れ始めて、該リアサイドフレーム2,3が車両前後方向に圧縮されることに伴い、荷重伝達部材52が更に前方へ移動して、排気サイレンサ30を前方へ押し込む。
【0054】
ここで、排気サイレンサ30の底面は、車両後方からリアバンパ4に衝撃荷重が加わり始めたときから継続してガイド部材80,82により下側から支持されるため、排気サイレンサ30を脱落させないように前方のリアサスペンションクロスメンバ20の横メンバ部24に向かって確実に案内することができる。
【0055】
その後、図6に示すように、リアサイドフレーム2,3が潰れるのと並行して、排気サイレンサ30は、サスペンションクロスメンバ20と荷重伝達部材52とで挟み込まれることで押し潰される。このように、リアサイドフレーム2,3だけでなく、排気サイレンサ30によっても衝撃荷重を吸収することができるため、衝撃吸収効果を高めることができる。
【0056】
排気サイレンサ30による衝撃吸収が終了すると、荷重伝達部材52は、リアサスペンションクロスメンバ20から受ける反力によりリアバンパレインフォースメント6から離脱して落下する。これにより、引き続き行われるリアサイドフレーム2,3による衝撃吸収が荷重伝達部材52によって阻害されることを回避することができる。
【0057】
なお、本実施形態において、仮に荷重伝達部材52を設けなかった場合、排気サイレンサ30は、例えば後方車両等の衝突物から衝撃荷重が伝達され、この衝突物とリアサスペンションクロスメンバ20とで挟み込まれて押し潰されることで、衝撃荷重を吸収することができる。この場合も、衝突物により前方へ押し込まれる排気サイレンサ30は、上記と同様、脱落しないようにガイド部材80,82により移動方向が規制されるため、排気サイレンサ30による衝撃荷重の吸収を確実に行うことができる。
【0058】
[第2の実施形態]
図7及び図8を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。また、図7及び図8において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0059】
図7は、本発明の第2の実施形態に係る車両後部の衝突対応構造が適用される車両101の後部を示す底面図であり、図8は、図7のB−B線断面図である。
【0060】
図7及び図8に示すように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、車両後方から該車両101に衝撃荷重が加わったときに排気サイレンサ30がリアサスペンションクロスメンバ20に向かって移動するように排気サイレンサ30の移動方向を規制する左右一対のガイド部材80,82が設けられており、各ガイド部材80,82は、前後一対の支持部材90,94を介してリアサスペンションクロスメンバ20の横メンバ部24に吊り下げ支持されている。
【0061】
そして、本実施形態では、左右のガイド部材80,82に跨って、走行時における車両101後部の底面の空気抵抗を低減するためのアンダーカバー110が取り付けられている。このアンダーカバー110は、各ガイド部材80,82の下面に対して例えば複数のボルト120により固定されている。
【0062】
図7に示すように、アンダーカバー110は、前縁部と後縁部とが車幅方向に沿うように配された略台形状に設けられており、アンダーカバー110の前縁部はリアサスペンションクロスメンバ20の横メンバ部24の後縁部に沿って配置され、アンダーカバー110の後縁部はリアバンパ4の前縁部に沿って配置されている。
【0063】
本実施形態では、上記のようにアンダーカバー110が設けられることで、車両101底面において良好な空力特性を得ることができる。また、これによって、排気サイレンサ30の底面を、空力特性を考慮した形状にしなくても済むため、排気サイレンサ30の設計自由度を高めることができる。したがって、排気サイレンサ30をより潰れやすい形状にすることで、排気サイレンサ30による衝撃吸収効果を一層高めることができる。
【0064】
また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、車両後方から該車両101に衝撃荷重が加わったときにガイド部材80,82により排気サイレンサ30の移動方向を適切に規制して、該排気サイレンサ30を確実にリアサスペンションクロスメンバ20に当接させることができ、これにより、排気サイレンサ30を利用した効率的な衝撃荷重の吸収を実現することができる。
【0065】
[第3の実施形態]
図9及び図10を参照しながら、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。また、図9及び図10において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。
【0066】
図9は、本発明の第3の実施形態に係る車両後部の衝突対応構造が適用される車両201の後部を示す底面図であり、図10は、図9のC−C線断面図である。
【0067】
図9及び図10に示すように、本実施形態では、第1及び第2の実施形態とは異なるガイド部材210が設けられている。このガイド部材210は、側面視L字形の形状を有し、リアサスペンションクロスメンバ20の横メンバ部24に固定された被固定部212と、該被固定部212の下端部から後方へ延びる板状水平部214とを有する。
【0068】
図10に示すように、被固定部212は、車両前後方向に垂直な面に沿って配設されており、横メンバ部24の後面に例えば溶接により固定されている。被固定部212の車幅方向中央部には、排気管50との干渉を避けるための挿通穴216が設けられており、該挿通穴216に排気管50が挿通されている。
【0069】
一方、図9に示すように、板状水平部214は、横メンバ部24の後端から排気サイレンサ30の前端部に亘る空間を下側から塞ぐようにして水平方向に拡がって設けられており、走行時における車両201後部の底面の空気抵抗を低減するためのアンダーカバーとして機能するようになっている。そのため、車両201の底面において良好な空力特性を得ることができる。また、これによって、排気サイレンサ30の底面を、空力特性を考慮した形状にしなくても済むため、排気サイレンサ30の設計自由度を高めることができる。したがって、排気サイレンサ30をより潰れやすい形状にすることで、排気サイレンサ30による衝撃吸収効果を一層高めることができる。
【0070】
また、板状水平部214は、車両後方から該車両201に衝撃荷重が加わったとき、排気サイレンサ30を下側から支持して、該排気サイレンサ30を脱落させないように前方のリアサスペンションクロスメンバ20の横メンバ部24に向かって確実に案内することができる。
【0071】
さらに、本実施形態では、荷重伝達部材52が、車両後方からリアバンパ4に衝撃荷重が加わったときに排気サイレンサ30の後端部に当接可能なようにリアバンパレインフォースメント6から下側に向かって延設された当接部54と、該当接部54が排気サイレンサ30の後端部に当接した状態において該排気サイレンサ30の底部を支持可能なように当接部54から前方へ延設された支持部56と、を有する。
【0072】
支持部56は、当接部56の下端部から前方へ延設されており、支持部56の少なくとも前端部が、排気サイレンサ30の後端部の下端よりも低い位置に配設されている。これにより、車両後方からの衝撃荷重によりクラッシュカン12,13が潰れて、これに伴い荷重伝達部材52が前方へ移動するときに、支持部56の前端部が排気サイレンサ30の後端部に干渉することを回避して、支持部56を確実に排気サイレンサ30の下方に配置することができる。よって、本実施形態では、ガイド部材210の板状水平部214に加えて、荷重伝達部材52の支持部56によっても排気サイレンサ30を下側から支持することができ、これにより、排気サイレンサ30の脱落を一層確実に防止することができる。
【0073】
また、支持部56の前端部は、排気サイレンサ30と車両前後方向に重なるように配設されている。そのため、車両後方からリアバンパ4に衝撃荷重が加わり始めたときから、支持部56により排気サイレンサ30の底部を支持することができるため、排気サイレンサ30の脱落を更に確実に防止することができる。
【0074】
よって、本実施形態においても、排気サイレンサ30による衝撃荷重の吸収を実現することができ、車両後方からの衝撃荷重を効果的に吸収することができる。
【0075】
[第4の実施形態]
図11及び図12を参照しながら、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第4の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。また、図11及び図12において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材には同符号を付してある。さらに、図11及び図12では、リアバンパ4及び荷重伝達部材52の図示を省略しているが、これら両部材4,52は、第1の実施形態と同様に設けられているものとする。
【0076】
図11に示すように、本実施形態では、排気サイレンサ30が前後一対のハンガ部材60,62を介してリアサイドフレーム2,3に吊り下げ支持されている。なお、図11及び図12では、排気サイレンサ30を左側のリアサイドフレーム3により支持するためのハンガ部材60,62のみが図示されているが、排気サイレンサ30を右側のリアサイドフレーム2により支持するためのハンガ部材60,62も同様の構成を有する。
【0077】
本実施形態では、前後のハンガ部材60,62が、車両後方から該車両1に衝撃荷重が加わったときに排気サイレンサ30がリアサスペンションクロスメンバ20に向かって移動するように排気サイレンサ30の移動方向を規制する移動方向規制手段として機能する。以下、具体的に説明する。
【0078】
前側のハンガ部材60は、リアサイドフレーム3に一端が固定されたフレーム側固定ピン64と、排気サイレンサ30の前部にブラケット76を介して一端が固定されたサイレンサ側固定ピン68と、フレーム側固定ピン64の他端とサイレンサ側固定ピン68の他端とにそれぞれ車幅方向に延びる軸を中心として回転自在に連結された側面視略楕円形の連結部材72とを有する。連結部材72の長軸方向は鉛直方向に対して前下方へ傾斜しており、連結部材72は、その長軸方向における上側の端部においてフレーム側固定ピン64に連結され、長軸方向における下側の端部においてサイレンサ側固定ピン68に連結されている。すなわち、サイレンサ側固定ピン68と連結部材72との連結部(サイレンサ側連結部)69は、フレーム側固定ピン64と連結部材72との連結部(フレーム側連結部)65よりも下側かつ前側に配置されている。これにより、排気サイレンサ30に後方から衝撃荷重が伝達されたとき、サイレンサ側連結部69はフレーム側連結部65を中心軸として前上方へ回動するようになっている。
【0079】
一方、後側のハンガ部材62は、リアサイドフレーム3にフランジ14,16を介して一端が固定されたフレーム側固定ピン66と、排気サイレンサ30の後部にブラケット78を介して一端が固定されたサイレンサ側固定ピン70と、フレーム側固定ピン66の他端とサイレンサ側固定ピン70の他端とにそれぞれ車幅方向に延びる軸を中心として回転自在に連結された側面視略楕円形の連結部材74とを有する。連結部材74の長軸方向は鉛直方向に対して後下方へ傾斜しており、連結部材72は、その長軸方向における上側の端部においてフレーム側固定ピン66に連結され、長軸方向における下側の端部においてサイレンサ側固定ピン70に連結されている。すなわち、サイレンサ側固定ピン70と連結部材74との連結部(サイレンサ側連結部)71は、フレーム側固定ピン66と連結部材72との連結部(フレーム側連結部)67よりも下側かつ前側に配置されている。これにより、排気サイレンサ30に後方から衝撃荷重が伝達されたとき、サイレンサ側連結部71はフレーム側連結部67を中心軸として前下方へ回動するようになっている。
【0080】
このように、排気サイレンサ30に後方から衝撃荷重が加わったとき、前側ハンガ部材60では、サイレンサ側連結部69がフレーム側連結部65を中心軸として前上方へ回動し、後側ハンガ部材62では、サイレンサ側連結部71がフレーム側連結部67を中心軸として前下方へ回動する。これにより、図8に示すように、排気サイレンサ30は、前端部が後端部よりも高く持ち上げられた状態で、リアサスペンションクロスメンバ20の横メンバ部24に向かって前方へ移動するように移動方向が規制される。よって、このようにして高さが極力維持された排気サイレンサ30の前端部を、横メンバ部24に当接させるように確実に案内することができ、排気サイレンサ30による衝撃荷重の吸収を実現することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、図7及び図8において図示を省略しているが、第1〜第3の実施形態と同様に荷重伝達部材52を設けてもよい。また、本実施形態において、第1〜第3の実施形態に係るガイド部材80,82,210を更に設けてもよく、この場合、ガイド部材80,82,210とハンガ部材60,62の両者を用いることによって、排気サイレンサ30の移動方向の規制を一層確実に行うことができる。
【0082】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0083】
例えば、本発明において衝撃荷重を吸収するために用いる排気サイレンサは、上述のように構成された排気サイレンサ30に限られず、種々の排気サイレンサを使用することができる。
【0084】
また、上述の第1〜第3の実施形態では、ガイド部材80,82,210が排気サイレンサ30の下方空間まで延設された構成について説明したが、本発明において、ガイド部材は、必ずしも排気サイレンサ30の下方空間まで延設する必要はなく、排気サイレンサ30の下方空間の前方部分であって、且つ、車両後方から該車両に衝撃荷重が加わったときに排気サイレンサ30を下側から支持可能な部分まで延設するようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0085】
以上のように、本発明によれば、車両後方から加わる衝撃荷重を排気サイレンサにより効果的に吸収することで、車室内における乗員の安全性を高めることが可能となるから、排気サイレンサを備えた車両の製造産業分野において好適に利用される可能性がある。
【符号の説明】
【0086】
1,101,201,301:車両、2,3:リアサイドフレーム、4:リアバンパ、6:リアバンパレインフォースメント、12,13:クラッシュカン、20:リアサスペンションクロスメンバ、30:排気サイレンサ、52:荷重伝達部材、60,62:ハンガ部材、64,66:フレーム側固定ピン、68,70:サイレンサ側固定ピン、72,74:連結部材、65,67:フレーム側連結部、69,71:サイレンサ側連結部、80,82,210:ガイド部材、110:アンダーカバー、214:板状水平部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両後部において車両前後方向に延びる左右一対のリアサイドフレームと、
該左右のリアサイドフレーム間に架設されたリアサスペンションクロスメンバと、
エンジンの排気経路に設けられるとともに、前記リアサスペンションクロスメンバの後方に配設された中空の排気サイレンサと、を有する車両後部の衝突対応構造であって、
車両後方から該車両に衝撃荷重が加わったときに前記排気サイレンサが前記リアサスペンションクロスメンバに向かって移動するように前記排気サイレンサの移動方向を規制する移動方向規制手段を有することを特徴とする車両後部の衝突対応構造。
【請求項2】
前記移動方向規制手段は、前記リアサスペンションクロスメンバから後方に向かって前記排気サイレンサの下方空間または該下方空間の前側近傍部まで延設されたガイド部材であることを特徴とする請求項1に記載の車両後部の衝突対応構造。
【請求項3】
前記ガイド部材は、前記車両に衝撃荷重が加わっていない状態において前記ガイド部材の後端部が前記排気サイレンサと車両前後方向に重なるように配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両後部の衝突対応構造。
【請求項4】
前記ガイド部材は、走行時における車両後部の底面の空気抵抗を低減するためのアンダーカバーとして機能し得るように水平方向に拡がる板状水平部を備えていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両後部の衝突対応構造。
【請求項5】
前記ガイド部材は、車両前後方向に細長い部材であり、且つ、車幅方向に間隔を空けて複数設けられ、
該複数のガイド部材に跨って、走行時における車両後部の底面の空気抵抗を低減するためのアンダーカバーが取り付けられていることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の車両後部の衝突対応構造。
【請求項6】
前記移動方向規制手段は、各リアサイドフレームが前記排気サイレンサを吊り下げ支持するのに用いる前後一対のハンガ部材であり、
該ハンガ部材は、前記リアサイドフレームに固定されたフレーム側固定部材と、前記排気サイレンサに固定されたサイレンサ側固定部材と、前記フレーム側固定部材と前記サイレンサ側固定部材とにそれぞれ車幅方向に延びる軸を中心として回転自在に連結された連結部材とを有し、
前側の前記ハンガ部材では、前記サイレンサ側固定部材が前記排気サイレンサの前部に固定されるとともに、該サイレンサ側固定部材と前記連結部材との連結部が、前記フレーム側固定部材と前記連結部材との連結部よりも下側かつ前側に配置され、
後側の前記ハンガ部材では、前記サイレンサ側固定部材が前記排気サイレンサの後部に固定されるとともに、該サイレンサ側固定部材と前記連結部材との連結部が、前記フレーム側固定部材と前記連結部材との連結部よりも下側かつ後側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の車両後部の衝突対応構造。
【請求項7】
前記車両は、前記リアサイドフレームよりも後方において車幅方向に延設されたリアバンパを更に有し、
該リアバンパ内部に設けられたリアバンパレインフォースメントに、車両後方から前記リアバンパに衝撃荷重が加わったときに前記排気サイレンサの後端部に当接して該排気サイレンサに前記衝撃荷重を伝達する荷重伝達部材が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車両後部の衝突対応構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−166612(P2012−166612A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27398(P2011−27398)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】