説明

車両用インストルメントパネルへの機器の取付構造

【課題】 締付用のスクリュなどが乗員から見えず、一体部品として組付けることができ、外観品質および作業効率の向上を図ることが可能な車両用インストルメントパネルへの機器の取付構造を提供することにある。
【解決手段】 機器を固定する断面略U字形状のブラケット16と、ブラケット16の車両後方側に配置されるガーニッシュ17とを備え、ブラケット16の縦壁面16aの車両後方端部に車両幅方向へ延びる取付壁面18を設け、取付壁面18に挿通孔20を設けると共に、ガーニッシュ17の車両前方側にボス部25を設け、取付壁面18の挿通孔20およびボス部25にスクリュ19を挿入しブラケット16とガーニッシュ17とを組付けて一体部品の機器部材15として構成し、開口部3の車両幅方向両側部に車両前方へ延びる側面部4を設け、開口部3に機器部材15を挿入配置し、車両幅方向からブラケット16の縦壁面16aの前端部を側面部4の前端部4aに締付けて固定することにより、機器部材15をインストルメントパネル1に取付けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のインストルメントパネルに取付けられる機器の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用インストルメントパネルの中央部には、オーディオやラジオ等の各種機器が配設されている。そのため、機器の側面部には、複数の取付片を有するブラケットが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
このような機器をインストルメンパネルに取付けるには、まず、当該機器を車室内側からインストルメンパネルの中央開口部に挿入して配置する。次いで、取付ブラケットの車室内側に位置する正面の取付片をスクリュにて締付けることにより、当該機器はインストルメンパネルに固定されることになる。
【特許文献1】特開平6−183287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した従来の取付構造では、インストルメントパネルの中央部に機器を取付けた後に、スクリュが車室内側に露出することになるので、乗員からスクリュを見えないようにすべく、別部品のカバー部材を取付けて覆い隠す必要があった。
ところが、このような別部品を用いると、部品点数のみならず取付工数も余計に掛かってしまうので、コスト高を招くおそれがあった。
【0004】
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、締付用のスクリュなどが乗員から見えず、一体部品として組付けることができ、外観品質および作業効率の向上を図ることが可能な車両用インストルメントパネルへの機器の取付構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来技術の有する課題を解決するために、本発明は、機器を固定する断面略U字形状のブラケットと、該ブラケットの車両後方側に配置されるガーニッシュとを備え、前記ブラケットの縦壁面の車両後方端部に車両幅方向へ延びる取付壁面を設け、該取付壁面に挿通孔を設けると共に、前記ガーニッシュの車両前方側にボス部を設け、前記取付壁面の挿通孔および前記ボス部に締付部材を挿入して前記ブラケットと前記ガーニッシュとを組付けることにより一体部品の機器部材として構成する一方、インストルメントパネルの開口部の車両幅方向両側部に車両前方へ延びる側面部を設け、前記インストルメントパネルの開口部に前記機器部材を挿入配置し、車両幅方向から前記ブラケットの縦壁面の前端部を前記側面部の前端部に締付けて固定することにより、前記機器部材を前記インストルメントパネルに取付けている。
【0006】
また、本発明において、前記インストルメントパネルの側面部の前端部および前記ブラケットの縦壁面の前端部には、締付部材を挿入する取付孔がそれぞれ対応して設けられている。
【0007】
さらに、本発明において、前記インストルメントパネルの側面部の前端部には、車両幅方向内側へ延び、かつ車体側に固定する前面部が設けられ、これら側面部および前面部の上辺には上面部が連続して設けられている。
【0008】
そして、本発明において、前記インストルメントパネルの側面部には、ボックス形状に形成した取付面部が設けられている。
【発明の効果】
【0009】
上述の如く、本発明に係る車両用インストルメントパネルへの機器の取付構造は、機器を固定する断面略U字形状のブラケットと、該ブラケットの車両後方側に配置されるガーニッシュとを備え、前記ブラケットの縦壁面の車両後方端部に車両幅方向へ延びる取付壁面を設け、該取付壁面に挿通孔を設けると共に、前記ガーニッシュの車両前方側にボス部を設け、前記取付壁面の挿通孔および前記ボス部に締付部材を挿入して前記ブラケットと前記ガーニッシュとを組付けることにより一体部品の機器部材として構成する一方、インストルメントパネルの開口部の車両幅方向両側部に車両前方へ延びる側面部を設け、前記インストルメントパネルの開口部に前記機器部材を挿入配置し、車両幅方向から前記ブラケットの縦壁面の前端部を前記側面部の前端部に締付けて固定することにより、前記機器部材を前記インストルメントパネルに取付けているので、締付部材のスクリュなどが乗員から見えず、一体部品として組付けることができ、外観品質および作業効率を向上させることができる。
【0010】
また、本発明において、前記インストルメントパネルの側面部の前端部および前記ブラケットの縦壁面の前端部には、締付部材を挿入する取付孔がそれぞれ対応して設けられているので、インストルメントパネルを車体側に取付ける前に、インストルメントパネルの裏側から締付けることが可能となり、締付部材が乗員から見えるということはない。
【0011】
さらに、本発明において、前記インストルメントパネルの側面部の前端部には、車両幅方向内側へ延び、かつ車体側に固定する前面部が設けられ、これら側面部および前面部の上辺には上面部が連続して設けられているので、機器部材の取付部分の剛性向上を図ることができる。
【0012】
そして、本発明において、前記インストルメントパネルの側面部には、ボックス形状に形成した取付面部が設けられているので、上記発明と同様、機器部材の取付部分の剛性向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を図示の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
【0014】
図1〜図4は本発明に係る車両用インストルメントパネルへの機器の取付構造の実施の形態を示している。本実施形態の機器の取付構造が適用されるインストルメントパネル1は、図1および図2に示す如く、ステアリングサポートメンバ2を介して車室内の車体前部および側部に取付けられる合成樹脂製の一体成形品であり、車室内の車両幅方向のほぼ全幅にわたる長さで、図示しないオーディオやラジオ等の機器を組込める形状に形成されている。
【0015】
このため、インストルメントパネル1の車両幅方向の中央部に位置する縦壁面1aには、図示しない機器を挿入配置して取付けるための開口部3が設けられており、この開口部3の車両幅方向左右両側部には、図1、図3および図4に示す如く、車両前方へ向かって延びる側面部4が車両前後方向に沿ってそれぞれ設けられている。これら側面部4の前端部4aには、車両幅方向内側へ向かって延び、かつ車体側のステアリングサポートメンバ2に固定する前面部5が設けられており、該前面部5の上部または下部(本実施形態では上部)には、スクリュ6を挿入するスクリュ孔7が設けられている。
また、インストルメントパネル1の側面部4であって、前面部5の下部または上部(本実施形態では下部)には、当該側面部4から互いに対向面へ向かって内側に突出し、当該側面部4と略平行な取付面部8がそれぞれ設けられている。これら取付面部8は、剛性を高めるためにボックス形状に形成されており、その前端部には、車両幅方向から締付部材のボルト9を挿入させる取付孔10が設けられている。そして、側面部4および前面部5の上辺には、上面部11が連続して設けられている。
【0016】
ステアリングサポートメンバ2の左右両端部には、図2に示す如く、車体(サイドボディ)への固定に用いられるサイドブラケット12が設けられていると共に、車両幅方向の中央部には、下方かつ車両後方へ向かって延びる左右一対の中央部ブラケット13が配設されている。これら中央部ブラケット13の下端部には、挿入孔14が前面部5のスクリュ孔7と対応して穿設されている。
【0017】
一方、図示しないオーディオやラジオ等の機器は、図3に示すような一体部品の機器部材15を用いて、インストルメントパネル1の車両幅方向の中央部に取付けられるようになっている。そのため、機器部材15は、当該機器を固定する断面略U字形状のブラケット16と、該ブラケット16の車両後方側に配置され、意匠面になるガーニッシュ17とを備えている。
ブラケット16の左右両側に位置する縦壁面16aの車両後方端部には、これを外側にほほ直角に折り曲げて車両幅方向へ延びる取付壁面18がそれぞれ設けられている。これら取付壁面18の上下部には、スクリュ19を挿通させる挿通孔20がそれぞれ穿設されていると共に、挿通孔20の上下間には、後述の位置決めピンを差込む上下一対の差込孔21が穿設されている。そして、ブラケット16の縦壁面16aの前端部付近には、ハット形状の部材を用いて形成した取付部22が設けられており、該取付部22には、取付孔23および溶接ナット24がインストルメントパネル1の取付面部8の取付孔10と対応して設けられている。
【0018】
また、ガーニッシュ17は、図示しない機器の車室内側面やブラケット16などを覆う部材であり、車両前方側の幅方向両側部の裏面には、スクリュ19を螺入させるネジ穴を有する上下一対のボス部25が取付壁面18の挿通孔20と対応してそれぞれ突設されている。また、ボス部25の上下間には、上下一対の位置決めピン26が取付壁面18の差込孔21と対応してそれぞれ突設されている。
【0019】
本発明の実施形態の取付構造によって機器(図示せず)および機器部材15をインストルメントパネル1の車両幅方向の中央部に取付けるには、図3に示すガーニッシュ17の位置決めピン26をブラケット16の取付壁面18の差込孔21に差込んで位置決めし、この状態でスクリュ19を取付壁面18の挿通孔20およびボス部25のネジ穴に螺入させて締付けることにより、ブラケット16とガーニッシュ17とを組付けて一体化し、機器部材15として構成する。
次いで、この機器部材15をインストルメントパネル1の開口部3に挿入配置し、車両幅方向からボルト9を取付面部8の取付孔10および取付部22の取付孔23に挿入し、溶接ナット24に螺合させて締付けることにより固定すれば、機器部材15はインストルメントパネル1に取付けられる。しかる後、インストルメントパネル1をステアリングサポートメンバ2の中央部ブラケット13等にスクリュ6などで締付ければ、インストルメントパネル1は車体側に取付けられることになる。すなわち、機器部材15をインストルメントパネル1に取付ける作業は、インストルメントパネル1を車体側に取付ける作業よりも前で、インストルメントパネル1の裏側(車室内側と反対側にあって、車両搭載時点で乗員から見えない位置)から行われるので、作業の困難性は生じない。なお、図示しない機器は、これをブラケット16の所定位置に載置し、孔27より図外のスクリュなどを挿入して締付けることにより固定すれば、機器部材15に取付けられることになる。
【0020】
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両用インストルメントパネルへの機器の取付構造が適用されるインストルメントパネルの全体を示す斜視図である。
【図2】図1における車両用インストルメントパネルを取付ける車体側のステアリングサポートメンバを示す斜視図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るインストルメントパネルの開口部に機器部材が取付けられる前の状態を示す斜視図である。
【図4】図1における車両用インストルメントパネルを示す断面図である。
【符号の説明】
【0022】
1 インストルメントパネル
2 ステアリングサポートメンバ
3 開口部
4 側面部
4a 側面部の前端部
5 前面部
6 スクリュ
7 スクリュ孔
8 取付面部
9 ボルト(締付部材)
10 取付孔
11 上面部
15 機器部材
16 ブラケット
16a 縦壁面
17 ガーニッシュ
18 取付壁面
19 スクリュ(締付部材)
20 挿通孔
22 取付部
23 取付孔
24 溶接ナット
25 ボス部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器を固定する断面略U字形状のブラケットと、該ブラケットの車両後方側に配置されるガーニッシュとを備え、前記ブラケットの縦壁面の車両後方端部に車両幅方向へ延びる取付壁面を設け、該取付壁面に挿通孔を設けると共に、前記ガーニッシュの車両前方側にボス部を設け、前記取付壁面の挿通孔および前記ボス部に締付部材を挿入して前記ブラケットと前記ガーニッシュとを組付けることにより一体部品の機器部材として構成する一方、インストルメントパネルの開口部の車両幅方向両側部に車両前方へ延びる側面部を設け、前記インストルメントパネルの開口部に前記機器部材を挿入配置し、車両幅方向から前記ブラケットの縦壁面の前端部を前記側面部の前端部に締付けて固定することにより、前記機器部材を前記インストルメントパネルに取付けたことを特徴とする車両用インストルメントパネルへの機器の取付構造。
【請求項2】
前記インストルメントパネルの側面部の前端部および前記ブラケットの縦壁面の前端部には、締付部材を挿入する取付孔がそれぞれ対応して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用インストルメントパネルへの機器の取付構造。
【請求項3】
前記インストルメントパネルの側面部の前端部には、車両幅方向内側へ延び、かつ車体側に固定する前面部が設けられ、これら側面部および前面部の上辺には上面部が連続して設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用インストルメントパネルへの機器の取付構造。
【請求項4】
前記インストルメントパネルの側面部には、ボックス形状に形成した取付面部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用インストルメントパネルへの機器の取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−117175(P2006−117175A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−309059(P2004−309059)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】