説明

車両用放送受信機

【課題】特別な設備を必要とせずに、車両に搭載された機材のプログラムの更新に用いる書き換えデータを入手できるようにする。
【解決手段】
地上波デジタル放送により放送されるインデックスデータをデジタル放送受信部19によって受信することにより書き換えデータの放送予定時刻を入手し、放送予定時刻において車両が位置する受信予定地点が地上波デジタル放送波の受信可能地域内となるように、書き換えデータの受信スケジュールを決める。この受信スケジュールに従って、書き換えデータを走行中に受信するように、または現在地や目的地で受信するように、あるいは推奨経路の途中で停車して受信するように、車両の運転者に対して指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載して用いられる放送受信機に関し、特に各種コンテンツと自身の書き換えプログラムとを放送によって受信する車両用放送受信機に関する。
【背景技術】
【0002】
衛星放送や地上波などのデジタル放送によって提供されるバージョンアップ用データを車両に搭載された車載端末で受信し、車載端末のプログラムを更新するシステムが知られている(特許文献1)。このシステムでは、放送されるバージョンアップ用データなどの様々なデータを、車両とは別に設置された情報サービスステーションに記憶しておき、車載端末からの要求に応じて情報サービスステーションから車載端末へとダウンロードする。このようにして、バージョンアップ用データが放送されたときに車載端末で受信できなくても、ユーザにとって必要なバージョンアップ用データを入手できるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−53699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるシステムは、情報サービスステーションのように特別な設備の設置が必要であり、コスト面などから必ずしも最適な方法とは言えない。したがって、特別な設備を必要とせずに、車両に搭載された機材のプログラムの更新に用いるデータを入手できる方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明による車両用放送受信機は、車両に搭載される放送受信機であって、放送受信機自身のプログラムを書き換えるための書き換えデータと、書き換えデータの放送予定時刻の情報とを放送波によって受信する受信手段と、放送予定時刻において車両が位置する受信予定地点が放送波の受信可能地域内となるように、車両の運転者に対して指示する指示手段とを備えるものである。
請求項2の発明は、請求項1の車両用放送受信機において、指示手段は、書き換えデータを走行中に受信するよう車両の運転者に対して指示するものである。
請求項3の発明は、請求項2の車両用放送受信機において、指示手段は、放送予定時刻に車両が予め設定された推奨経路上を走行中であり、そのときの走行予定地点が受信可能地域内である場合に、書き換えデータを走行中に受信するよう指示するものである。
請求項4の発明は、請求項2または3の車両用放送受信機において、予め設定された推奨経路の道路地図を表示し、さらに書き換えデータを受信する受信予定地帯を推奨経路の途中に表示する表示手段をさらに備えるものである。
請求項5の発明は、請求項1の車両用放送受信機において、指示手段は、書き換えデータを現在地で受信するよう車両の運転者に対して指示するものである。
請求項6の発明は、請求項5の車両用放送受信機において、指示手段は、放送予定時刻が現在時刻から所定時間内である場合に、書き換えデータを現在地で受信するよう指示するものである。
請求項7の発明は、請求項5または6の車両用放送受信機において、放送予定時刻までの間現在地で待つように車両の運転者に指示する旨の説明を表示する表示手段をさらに備えるものである。
請求項8の発明は、請求項1の車両用放送受信機において、指示手段は、書き換えデータを予め設定された推奨経路の途中で停車して受信するよう車両の運転者に対して指示するものである。
請求項9の発明は、請求項8の車両用放送受信機において、指示手段は、車両が推奨経路上を走行中に受信可能地域内を通過するときの通過予定時刻が、放送予定時刻から所定時間内である場合に、書き換えデータを推奨経路の途中で停車して受信するよう指示するものである。
請求項10の発明は、請求項8または9の車両用放送受信機において、受信可能地域において一旦停車し、放送予定時刻までの間待つように車両の運転者に指示する旨の説明を表示する表示手段をさらに備えるものである。
請求項11の発明は、請求項1の車両用放送受信機において、指示手段は、書き換えデータを予め設定された目的地で受信するよう車両の運転者に対して指示するものである。
請求項12の発明は、請求項11の車両用放送受信機において、指示手段は、放送予定時刻が目的地への到着予定時刻から所定時間内である場合に、書き換えデータを目的地で受信するよう指示するものである。
請求項13の発明は、請求項11または12の車両用放送受信機において、目的地で放送予定時刻までの間車両からの電源供給を止めずに待つように車両の運転者に指示する旨の説明を表示する表示手段をさらに備えるものである。
請求項14の発明は、請求項1〜13のいずれかの車両用放送受信機において、受信手段は、さらに書き換えデータのデータ量を表す情報を放送波によって受信し、指示手段は、データ量に基づいて、放送予定時刻から書き換えデータの受信を完了するまでの間において受信予定地点が放送波の受信可能地域内となるように、車両の運転者に対して指示するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、書き換えデータの放送予定時刻において車両が位置する受信予定地点が放送波の受信可能地域内となるように、車両の運転者に対して指示することとしたので、特別な設備を必要とせずに、車両に搭載された機材のプログラムの更新に用いる書き換えデータを入手することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を図1に示す。このナビゲーション装置は車両に搭載されており、道路地図を表示して設定された目的地までユーザを案内する。さらに、地上波デジタル放送を受信することにより、テレビ番組をユーザに視聴させたり、自身の動作用プログラムであるファームウェアの一部を書き換えたりすることもできる。図1に示すナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、デジタル放送受信部19、データ記憶部20およびディスクドライブ21を有している。デジタル放送受信部19には、アンテナ22が接続されている。ディスクドライブ21には、地図データが記録されたDVD−ROM23が装填される。
【0008】
制御回路11は、マイクロプロセッサおよびその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、後で説明するような各種の処理や制御を行う。現在地検出装置14は、自車両の現在地を検出する装置であり、たとえば、自車両の進行方位を検出する振動ジャイロ14a、車速を検出する車速センサ14b、GPS衛星からのGPS信号を検出するGPSセンサ14c等からなる。ナビゲーション本体1は、この現在地検出装置14により検出される自車両の現在地に基づいて、後述する経路探索開始点を決定することができる。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを一時的に格納する。この画像データは、道路地図を表示するための道路地図描画用データや各種の図形データ等からなり、DVD−ROM23に記録されている地図データに基づいて、制御回路11において作成される。制御回路11により作成された画像データが画像メモリ15に出力されることによって、表示モニタ16に道路地図が表示され、さらに、その道路地図上に様々な道路交通情報が表示される。
【0010】
表示モニタ16は、たとえば液晶ディスプレイなどを用いた映像表示用のディスプレイであり、上記の道路地図や道路交通情報が表示される。さらに、デジタル放送受信部19から後で説明するようにして出力されるTV(テレビジョン)映像信号を制御回路11を介して入力することにより、TV映像の表示を行うこともできる。以下の説明では、道路地図や道路交通情報を表示するときの画面をナビゲーション画面といい、TV映像を表示するときの画面をTV画面という。ユーザは、入力装置17の操作によって表示モニタ16に表示する画面を切り替えることができ、上記のナビゲーション画面またはTV画面のいずれか一方を表示モニタ16に表示させることができる。
【0011】
スピーカ17は、音声出力用のスピーカであり、設定された目的地までユーザを案内するための各種の案内用音声、たとえば右左折をユーザに指示する音声などが出力される。また、デジタル放送受信部19から後で説明するようにして出力されるTV音声を制御回路11を介して入力することにより、TV音声を出力することもできる。なお、スピーカ17から出力される音声と、前述の表示モニタ16において表示される画面とは必ずしも連動していなくてもよい。たとえば、表示モニタ16にナビゲーション画面を表示しているときに、スピーカ17からTV音声が出力されるようにしてもよい。
【0012】
入力装置18は、車両の目的地や経由地(以下、これらを合わせて単に目的地という)をユーザが設定したり、表示モニタ16に表示するナビゲーション画面とTV画面を切り替えたりするための各種の入力スイッチを有している。この入力装置18は、操作パネルやリモコンなどによって実現される。ユーザは、表示モニタ16に表示される画面指示に従って入力装置18を操作することにより、地名や地図上の位置などを指定して目的地を設定することができる。また、表示モニタ16にTV画面が表示されているときには、入力装置18の操作によってデジタル放送受信部19に対して受信周波数の切り替えを指示することができる。これにより、TV画面において表示するTV映像のチャンネルを切り替えることができる。
【0013】
デジタル放送受信部19は、不図示の放送局によって放送される地上波デジタル放送をアンテナ22を介して受信する。ここでいう地上波デジタル放送とは、近年になって日本国内の一部地域などでサービスの提供が開始されたデジタル方式による地上波TV放送サービスのことである。この地上波デジタル放送では、従来のアナログ方式によるTV放送サービスとは異なり、TV映像やTV音声がデジタルデータとして放送される。さらに地上波デジタル放送では、これらのTV映像データやTV音声データに加えて他の様々なデータも放送される。たとえば、テレビ番組の放送予定のデータなどが放送される。以下の説明では、これらのTV映像データやTV音声データ以外のデータのことを、付加データということとする。この付加データとして、デジタル放送受信部19のファームウェアを書き換えてバージョンアップするために用いられる書き換えデータ(以下、単に書き換えデータという)が放送される場合がある。
【0014】
デジタル放送受信部19により受信されたTV映像データは、デジタル放送受信部19において復調された後、TV映像信号として制御回路11を介して表示モニタ16へ出力される。これにより、表示モニタ16においてTV画面が表示される。また、デジタル放送受信部19により受信されたTV音声データは、デジタル放送受信部19において復調された後、TV音声信号として制御回路11を介してスピーカ17へ出力される。これにより、スピーカ17においてTV音声が出力される。
【0015】
一方、デジタル放送受信部19により受信された付加データは、制御回路11に出力された後、制御部11においてそのデータ内容に応じた処理が実行される。以下では、付加データとして前述の書き換えデータが受信された場合の処理内容について、説明を行うものとする。なお、その他の内容の付加データが受信された場合の処理内容については、本発明には関係しないため説明を省略する。
【0016】
デジタル放送受信部19から制御回路11に出力された書き換えデータは、制御回路11においてファームウェアのバージョン照合や機種照合などが行われた後、適用可能な書き換えデータである場合にはデータ記憶部20へ出力される。データ記憶部20は、メモリなどデータを一時的に記憶可能な部材を用いて構成されており、データ記憶部20から出力された書き換えデータを一時的に記憶しておく。データ記憶部20に記憶された書き換えデータは、制御回路11の制御によって読み出され、これを用いてデジタル放送受信部19のファームウェアが書き換えられる。
【0017】
ディスクドライブ21は、装填されたDVD−ROM23より、ナビゲーション画面において道路地図を表示するための地図データを読み出す。この地図データには、ルート探索に用いられる経路計算データや、交差点名称および道路名称など、推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導するために用いられる経路誘導データ、さらに道路を表す道路データなどが含まれている。また、河川や鉄道、地図上の各種施設等(ランドマーク)など、道路以外の地図形状を表す背景データなども地図データに含まれている。
【0018】
道路データにおいて、道路区間を表す最小単位はリンクと呼ばれており、各道路は複数のリンクによって構成されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれ、このノードはそれぞれに位置情報(座標情報)を有している。このノードの位置情報によって、リンク形状、すなわち道路の形状が決定される。なお、ここではDVD−ROMを用いた例について説明しているが、DVD−ROM以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどより、地図データを読み出すこととしてもよい。
【0019】
ユーザが入力装置18を操作して目的地を設定すると、ナビゲーション装置1は、現在地検出装置14により検出された現在地を経路探索開始点として、前述の経路計算データに基づいて所定のアルゴリズムの演算を行うことにより、現在地から目的地までのルート探索を行う。ルート探索の結果求められた推奨経路は、その表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路とは区別してナビゲーション画面において道路地図上に表される。これにより、ユーザは推奨経路を表示モニタ16に表示された道路地図上において認識することができる。また、この推奨経路に従って自車両が走行できるよう、ナビゲーション装置1は、ユーザに対して画像や音声などによる進行方向指示を行うことにより、自車両を誘導する。このように、道路地図を表示して推奨経路に従って自車両を目的地まで誘導することにより、目的地までのルート案内が行われる。
【0020】
ここで、付加データとして書き換えデータを受信するときの処理内容について説明する。放送される付加データの中には、前述したようにテレビ番組の放送スケジュールのデータが含まれていることがある。このデータには、テレビ番組だけでなく、付加データとして放送される書き換えデータなどの放送スケジュールも含まれている。以下の説明では、この書き換えデータの放送スケジュールを表すデータのことをインデックスデータという。ナビゲーション装置1は、予め受信したインデックスデータを参照することにより、書き換えデータの放送予定時刻を前もって知ることができる。
【0021】
前述のようにして目的地までの推奨経路が設定されると、制御回路11はインデックスデータを参照して書き換えデータの放送予定時刻を確認する。そして、現在時刻や目的地への到着予定時刻、あるいは受信電界強度マップなどに基づいて、その放送予定時刻において車両が位置する受信予定地点が地上波デジタル放送波の受信可能地域内となるように、書き換えデータの受信スケジュールを決める。ここでいう受信電界強度マップとは、道路地図上の各地点について地上波デジタル放送波の受信可能地域内であるか否かを記録したものであり、詳しくは後で説明する。
【0022】
書き換えデータの受信は、そのときの状況の違いによって、(a)走行中に受信する場合、(b)出発地で受信する場合、(c)途中で停車して受信する場合、および(d)目的地で受信する場合が考えられる。書き換えデータの受信スケジュールは、これらの場合のいずれかに合わせて以下に説明するように決定される。
【0023】
(a)走行中に受信する場合
書き換えデータの放送予定時刻に自車両が推奨経路上を走行中であり、そのときの走行予定地点が受信電界強度マップにおいて受信可能地域内である場合には、走行中に書き換えデータを受信することができる。したがって、このような条件を満たす場合は、出発前に図2に示すような画面を表示モニタ16に表示して、書き換えデータを走行中に受信するようユーザに対して指示する。以下の説明では、この画面を走行中受信画面という。この走行中受信画面では、出発地31から目的地32までの推奨経路30が表示されており、その途中に受信予定地帯33が表示される。
【0024】
受信予定地帯33は、出発時刻すなわち現在時刻から書き換えデータの放送予定時刻までの時間と、推奨経路30を自車両が走行するときの予測走行速度から特定することができる。このとき予測走行速度は、道路種別や渋滞状況などによって決定できる。図2の走行中受信画面において、受信予定地帯33には、この辺りで書き換えデータを受信する旨の説明表示41が付されている。これにより、ユーザは推奨経路上のどこで書き換えデータを受信するのか出発前に確認することができる。なお、放送予定時刻における自車両の走行予定地点すなわち受信予定地点は、道路状況などによって前後する可能性があるため、受信予定地帯33はある程度の幅を持たせて表示することが好ましい。
【0025】
しかし、書き換えデータの放送予定時刻における自車両の走行予定地点が、受信電界強度マップにおいて受信可能地域内ではない場合は、走行中に書き換えデータを受信することができない。そのため、このような場合には受信可能地域内で受信するように、ユーザに対して指示する必要がある。このとき、現在時刻または目的地への到着予定時刻と放送予定時刻との関係によって、次の3つのいずれかの場合に従ってユーザへ指示することができる。
【0026】
(b)出発地で受信する場合
書き換えデータの放送予定時刻が、出発時刻すなわち現在時刻から所定時間内である場合には、出発地すなわち現在地において放送予定時刻まで待つことにより、書き換えデータを出発地で受信することができる。したがって、このような場合は、出発前に図3に示すような画面を表示モニタ16に表示して、書き換えデータを出発地(現在地)で受信するようユーザに対して指示する。以下の説明では、この画面を出発地受信画面という。この出発地受信画面では、推奨経路30の途中に、図2の受信予定地帯33との違いが分かるように異なる表示形態で受信不可地帯34が示される。
【0027】
受信不可地帯34も、受信予定地帯33と同様に、出発時刻すなわち現在時刻から書き換えデータの放送予定時刻までの時間と、推奨経路30を自車両が走行するときの予測走行速度から特定することができる。図3の出発地受信画面において、受信不可地帯34には、書き換えデータをここでは受信できないため、書き換えデータの放送予定時刻までの間(たとえば10分間)出発地31において待つようユーザに指示する旨の説明表示42が付されている。これにより、書き換えデータを受信するためには発車せずに待つ必要があることをユーザに認識させることができる。
【0028】
(c)途中で停車して受信する場合
自車両が推奨経路上を走行中に受信可能地域内を通過するときの通過予定時刻が、書き換えデータの放送予定時刻から所定時間内である場合には、その受信可能地域内で停車して書き換えデータを受信することができる。したがって、このような場合は、出発前に図4に示すような画面を表示モニタ16に表示して、書き換えデータを推奨経路の途中で停車して受信することをユーザに対して指示する。以下の説明では、この画面を停車受信画面という。この停車受信画面では、推奨経路30の途中に受信予定地帯33と受信不可地帯34が示される。
【0029】
図4の停車受信画面において、受信予定地帯34には、書き換えデータをここでは受信できないため、その手前の受信予定地帯33において一旦停車し、書き換えデータの放送予定時刻までの間(たとえば5分間)待つようユーザに指示する旨の説明表示43が付されている。また、受信予定地帯33には、この辺りで書き換えデータを受信できる旨の説明表示44が付されている。これにより、書き換えデータを受信するためには途中で停車して待つ必要があることを出発前にユーザに認識させることができる。
【0030】
(d)目的地で受信する場合
書き換えデータの放送予定時刻が、目的地への到着予定時刻から所定時間内である場合には、目的地に到着してから車両のエンジンを止めずに放送予定時刻まで待つことにより、書き換えデータを目的地で受信することができる。したがって、このような場合には、出発前に図5に示すような画面を表示モニタ16に表示して、書き換えデータを目的地で受信することをユーザに対して指示する。以下の説明では、この画面を目的地受信画面という。
【0031】
図5の目的地受信画面において、目的地32には、到着予定時刻から所定時間後(たとえば10分後)に書き換えデータを受信するため、目的地でエンジンを止めずに、ナビゲーション装置1へ電源供給している状態で待つようにユーザに指示する旨の説明表示45が付されている。これにより、書き換えデータを受信するためには目的地への到着後に待つ必要があることをユーザに認識させることができる。
【0032】
以上説明したようにして、上記(a)〜(d)のいずれかの場合に従って書き換えデータの受信スケジュールが決定され、出発前に図2〜5のいずれかの画面が表示される。これらの画面によって、放送予定時刻における書き換えデータの受信予定地点が受信可能地域内となるように、ユーザに対しての指示が行われる。書き換えデータを受信できたら、その書き換えデータは前述したようにデータ記憶部20に記憶される。そして、制御回路11の制御によって読み出され、デジタル放送受信部19のファームウェアの書き換えが実行される。このときの書き換えの実行タイミングは、任意に設定することができる。たとえば、ユーザの操作に応じて実行されることとしてもよいし、予め設定された条件を満たしたときに実行されることとしてもよい。
【0033】
なお、上記のいずれかの場合に従って書き換えデータを受信する際には、上記の各画面を出発前に表示するだけでなく、受信する前や受信中にも音声や画像によってユーザへ必要な案内を行うことが好ましい。たとえば、書き換えデータの放送予定時刻の直前になったときに残り時間を案内したり、途中で停車して受信する場合には停車地点に近づいたら停車するように案内したりすると共に、受信中にはその旨をユーザに伝えるようにすることができる。
【0034】
次に、受信電界強度マップについての説明を行う。前述したように受信電界強度マップとは、道路地図上の各地点について地上波デジタル放送の受信可能地域内であるか否かを記録したものである。これは、地域ごとの地上波デジタル放送の受信電界強度に関する情報を地図データに予め記録しておくことで実現できる。すなわち、地図データにおいて受信電界強度が所定値以上であると記録されている地域内の地点については、受信可能地域内であると判断することができる。
【0035】
または、過去に各地点において測定された受信電界強度の履歴を記録しておき、この測定履歴に基づいて受信可能地域内であるか否かを判断してもよい。このとき過去の測定履歴がない地点については、その周囲の地点における測定履歴から受信可能地域内であるか否かを推測することもできる。なお、現在地が受信可能地域内であるか否かについては、その地点における過去の履歴がなくても現在の受信電界強度を測定することによって判断できる。
【0036】
あるいは、地図データの地形的特徴によって判断してもよい。たとえば、トンネルや山岳地帯、市街地、地下駐車場など、受信電界強度が比較的低いと考えられる地域内の地点については、受信可能地域内にはないと判断することができる。
【0037】
以上説明した処理内容を制御回路11において実行するときのフローチャートを図6に示す。このフローチャートは、目的地までの推奨経路が設定されたときに実行される。ステップS1では、予め受信したインデックスデータを参照して、書き換えデータの放送予定時刻を入手する。なお、このときにインデックスデータを受信していなかった場合は、図6の処理フローを終了して以降の処理を行わないようにすればよい。
【0038】
ステップS2では、ステップS1で入手した書き換えデータの放送予定時刻と、設定された推奨経路より求められた目的地到着予定時刻とを比較することにより、目的地到着予定時刻より前に書き換えデータを受信するか否かを判定する。放送予定時刻が目的地到着予定時刻よりも早く、目的地到着予定時刻より前に受信すると判定した場合は、ステップS3へ進む。逆に、目的地到着予定時刻が放送予定時刻よりも早く、目的地到着予定時刻より後に受信すると判定した場合は、ステップS11へ進む。以下では、ステップS3へ進んだ場合から先に説明する。
【0039】
ステップS3では、受信電界強度マップに基づいて、書き換えデータの受信予定地点が受信可能地域内であるか否かを判定する。受信可能地域内である場合はステップS4へ進み、受信可能地域内ではない場合はステップS5へ進む。ステップS4では、走行中に書き換えデータを受信することとして、図2の走行中受信画面を表示する。ステップS4を実行した後は、図6の処理フローを終了する。
【0040】
ステップS5では、受信電界強度マップに基づいて、現在地が受信可能地域内であるか否かを判定する。受信可能地域内である場合はステップS6へ進み、受信可能地域内ではない場合はステップS8へ進む。ステップS6では、ステップS1で入手した書き換えデータの放送予定時刻と現在時刻とを比較することにより、現在時刻から予め設定された所定時間内に書き換えデータを受信するか否かを判定する。
【0041】
ステップS6において現在時刻から所定時間内に受信すると判定した場合は、ステップS7へ進み、所定時間内には受信しないと判定した場合は、ステップS8へ進む。ステップS7では、出発地で書き換えデータを受信することとして、図3の出発地受信画面を表示する。ステップS7を実行した後は、図6の処理フローを終了する。
【0042】
ステップS8では、受信電界強度マップに基づいて、推奨経路が受信可能地域内を通過するか否かを判定する。受信可能地域内を通過する場合はステップS9へ進む。通過しない場合は図6の処理フローを終了し、この場合には書き換えデータの受信を行わないこととする。ステップS9では、ステップS1で入手した書き換えデータの放送予定時刻と、自車両が推奨経路上を走行中に受信可能地域を通過するときの通過予定時刻とを比較することにより、通過予定時刻から所定時間内に受信するか否かを判定する。
【0043】
ステップS9において通過予定時刻から所定時間内に受信すると判定した場合は、ステップS10へ進む。ステップS10では、途中で停車して書き換えデータを受信することとして、図4の停車受信画面を表示する。ステップS10を実行した後は、図6の処理フローを終了する。一方、ステップS9において所定時間内には受信しないと判定した場合は、ステップS10を実行せずに図6の処理フローを終了する。この場合も、書き換えデータの受信を行わないこととする。
【0044】
次に、ステップS2からステップS11へ進んだ場合を説明する。ステップS11では、受信電界強度マップに基づいて、目的地が受信可能地域内であるか否かを判定する。受信可能地域内である場合はステップS12へ進む。一方、受信可能地域内ではない場合はステップS5へ進んで、上記に説明した処理を行う。ステップS12では、ステップS1で入手した書き換えデータの放送予定時刻と目的地到着予定時刻とを比較することにより、目的地到着予定時刻から予め設定された所定時間内に書き換えデータを受信するか否かを判定する。
【0045】
ステップS12において目的地到着予定時刻から所定時間内に受信すると判定した場合は、ステップS13へ進む。ステップS13では、目的地で書き換えデータを受信することとして、図5の目的地受信画面を表示する。ステップS13を実行した後は、図6の処理フローを終了する。一方、ステップS12において所定時間内には受信しないと判定した場合は、ステップS13を実行せずに図6の処理フローを終了する。この場合も、書き換えデータの受信を行わないこととする。
【0046】
以上説明したようにして、(a)〜(d)のいずれかの場合に従って、書き換えデータの受信スケジュールが決定される。
【0047】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果が得られる。
(1)書き換えデータの受信スケジュールを決めた後に図2〜5のいずれかの画面を出発前に表示モニタ16に表示することにより、書き換えデータの放送予定時刻において車両が位置する受信予定地点が地上波デジタル放送波の受信可能地域内となるように、車両の運転者に対して指示することとした。このようにしたので、特別な設備を必要とせずに、書き換えデータを入手することができる。
【0048】
(2)そのときの状況に応じて、書き換えデータを走行中に受信するように、または現在地や目的地で受信するように、あるいは推奨経路の途中で停車して受信するように、車両の運転者に対して指示することとした。具体的には、前述の(a)〜(d)のいずれかの場合に該当する条件を満たしている場合には、それに従って図2〜5のいずれかの画面を表示モニタ16に表示して運転者への指示を行うこととした。このようにしたので、状況に応じて適切な方法で書き換えデータを入手するように、運転者に対して指示することができる。
【0049】
なお、上記の実施の形態では、地上波デジタル放送によって書き換えデータとインデックスデータを受信する例について説明したが、本発明はこの内容に限定されない。たとえば、衛星からのデジタル放送によってこれらを受信してもよいし、あるいはラジオ放送などから受信してもよい。また、上記の実施の形態では図2〜5のいずれかの画面を表示することにより車両の運転者に対して指示を行っていたが、本発明はこの内容に限定されない。たとえば、異なる画面内容であってもよいし、音声で出力してもよい。書き換えデータとその放送予定時刻の情報とを放送によって受信し、放送予定時刻における受信予定地点が受信可能地域内となるように車両の運転者に対して指示するものである限り、本発明の適用範囲内に含まれる。
【0050】
また、上記の実施の形態では、推奨経路が設定されたときに図6のフローチャートを実行し、書き換えデータの受信スケジュールを決定して図2〜5のいずれかの画面を出発前に表示する例を説明したが、所定時間ごとに図6のフローチャートを実行するようにしてもよい。この場合、予測走行速度と実際の走行速度との違いなどによって、出発後に受信スケジュールの内容が変わることがある。そのため、出発後に受信スケジュールの内容が変わらなければユーザに対して特に何も指示せず、変わったときには変わった後の内容に合わせて図2〜5のいずれかの画面が表示されるようにすることが好ましい。
【0051】
上記の実施の形態において、書き換えデータの放送スケジュールだけでなく、書き換えデータのデータ量の情報もインデックスデータに含めるようにして、受信スケジュールを決定するときにそのデータ量を加味するようにしてもよい。すなわち、インデックスデータに含まれる書き換えデータのデータ量の情報から、書き換えデータの受信を開始してから受信を完了するまでに要する時間を求める。そして、書き換えデータの放送予定時刻から書き換えデータの受信を完了するまでの間において受信予定地点が全て受信可能地域内となるように、受信スケジュールを決定する。このようにすることで、書き換えデータのデータ量が多く受信時間が長いときでも、確実に受信できるように受信スケジュールを決定することができる。
【0052】
上記実施の形態では、ナビゲーション装置において、DVD−ROMなどの記憶メディアに記録された地図データに基づいて経路探索を行い、探索された推奨経路にしたがって自車両を案内する例について説明しているが、本発明はこの内容には限定されない。たとえば、携帯電話などによる無線通信を用いて、地図データを情報配信センターからダウンロードする通信ナビゲーション装置などにおいても、本発明を適用できる。
【0053】
上記実施の形態では、受信手段をデジタル放送受信部19によって実現し、指示手段と表示手段を制御回路11および表示モニタ16によって実現する例を説明した。しかし、本発明はこれらの内容に限定されない。本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も、本発明の範囲内に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】走行中に書き換えデータを受信する場合に表示される走行中受信画面の例を示す図である。
【図3】出発地で書き換えデータを受信する場合に表示される出発地受信画面の例を示す図である。
【図4】途中で停車して書き換えデータを受信する場合に表示される停車受信画面の例を示す図である。
【図5】目的地で書き換えデータを受信する場合に表示される目的地受信画面の例を示す図である。
【図6】書き換えデータの受信スケジュールを決定するときに実行される処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1 ナビゲーション本体
11 制御回路
12 ROM
13 RAM
14 現在地検出装置
15 画像メモリ
16 表示モニタ
17 スピーカ
18 入力装置
19 デジタル放送受信部
20 データ記憶部
21 ディスクドライブ
22 アンテナ
23 DVD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される放送受信機であって、
前記放送受信機自身のプログラムを書き換えるための書き換えデータと、前記書き換えデータの放送予定時刻の情報とを放送波によって受信する受信手段と、
前記放送予定時刻において前記車両が位置する受信予定地点が前記放送波の受信可能地域内となるように、前記車両の運転者に対して指示する指示手段とを備えることを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項2】
請求項1の車両用放送受信機において、
前記指示手段は、前記書き換えデータを走行中に受信するよう前記車両の運転者に対して指示することを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項3】
請求項2の車両用放送受信機において、
前記指示手段は、前記放送予定時刻に前記車両が予め設定された推奨経路上を走行中であり、そのときの走行予定地点が前記受信可能地域内である場合に、前記書き換えデータを走行中に受信するよう指示することを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項4】
請求項2または3の車両用放送受信機において、
予め設定された推奨経路の道路地図を表示し、さらに前記書き換えデータを受信する受信予定地帯を前記推奨経路の途中に表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項5】
請求項1の車両用放送受信機において、
前記指示手段は、前記書き換えデータを現在地で受信するよう前記車両の運転者に対して指示することを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項6】
請求項5の車両用放送受信機において、
前記指示手段は、前記放送予定時刻が現在時刻から所定時間内である場合に、前記書き換えデータを現在地で受信するよう指示することを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項7】
請求項5または6の車両用放送受信機において、
前記放送予定時刻までの間現在地で待つように前記車両の運転者に指示する旨の説明を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項8】
請求項1の車両用放送受信機において、
前記指示手段は、前記書き換えデータを予め設定された推奨経路の途中で停車して受信するよう前記車両の運転者に対して指示することを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項9】
請求項8の車両用放送受信機において、
前記指示手段は、前記車両が前記推奨経路上を走行中に前記受信可能地域内を通過するときの通過予定時刻が、前記放送予定時刻から所定時間内である場合に、前記書き換えデータを前記推奨経路の途中で停車して受信するよう指示することを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項10】
請求項8または9の車両用放送受信機において、
前記受信可能地域において一旦停車し、前記放送予定時刻までの間待つように前記車両の運転者に指示する旨の説明を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項11】
請求項1の車両用放送受信機において、
前記指示手段は、前記書き換えデータを予め設定された目的地で受信するよう前記車両の運転者に対して指示することを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項12】
請求項11の車両用放送受信機において、
前記指示手段は、前記放送予定時刻が前記目的地への到着予定時刻から所定時間内である場合に、前記書き換えデータを前記目的地で受信するよう指示することを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項13】
請求項11または12の車両用放送受信機において、
前記目的地で前記放送予定時刻までの間前記車両からの電源供給を止めずに待つように前記車両の運転者に指示する旨の説明を表示する表示手段をさらに備えることを特徴とする車両用放送受信機。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかの車両用放送受信機において、
前記受信手段は、さらに前記書き換えデータのデータ量を表す情報を放送波によって受信し、
前記指示手段は、前記データ量に基づいて、前記放送予定時刻から前記書き換えデータの受信を完了するまでの間において前記受信予定地点が前記放送波の受信可能地域内となるように、前記車両の運転者に対して指示することを特徴とする車両用放送受信機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−20228(P2006−20228A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198183(P2004−198183)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】