車両用衝撃吸収体
【課題】 衝撃吸収体が押し潰された際に衝撃吸収体の壁面の一部を破裂誘導部より早期に破壊させて開口させることによって、中空部内に介在する空気の影響を排除し、安定した衝撃吸収性能を発揮させることができるとともに、外気の温度に依存することなく高温から低温まで広範囲にわたって所要の衝撃吸収性能を維持することができる車両用衝撃吸収体を提供する。
【解決手段】 衝撃吸収体1は、ブロー成形によって一体に成形された中空構造である。衝撃吸収体1には少なくとも1つの破裂誘導部12が形成されている。破裂誘導部12は衝撃吸収体1の壁面に形成されたノッチ状の突条13からなる。衝撃吸収体1はポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成されている。
【解決手段】 衝撃吸収体1は、ブロー成形によって一体に成形された中空構造である。衝撃吸収体1には少なくとも1つの破裂誘導部12が形成されている。破裂誘導部12は衝撃吸収体1の壁面に形成されたノッチ状の突条13からなる。衝撃吸収体1はポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両構成部材、例えばドア、ドアトリムあるいはボディーサイドパネル、ルーフパネル、ピラー、バンパー(特に、バンパーフェイシアとバンパービームとの間に介在させてバンパーフェイシアが受ける衝撃を吸収させるもの)などに内設することによって搭乗員が車両構成部材の内壁への衝突するような内部または他の車両との衝突のような外部からの衝撃を吸収するための車両用衝撃吸収体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用衝撃吸収体であって、熱可塑性樹脂をブロー成形して中空二重壁構造で中空部を有し、その表面壁と裏面壁から凹状リブを形成してその互いの先端部を接合して一体化し、衝撃吸収性の向上を企図したものは、特開2004−149074公報に記載されている。また、曲げ弾性率が5000kg/cm2〜2500kg/cm2のポリプロピレン樹脂により構成した車両用衝撃吸収体は、特許第3313999号公報に記載されている。
【0003】
なお、円筒状の衝撃エネルギー吸収部材に破壊のトリガーとして、切れ込みまたはノッチ形状を形成し、安定した自己破壊を生じさせるものとしては、特開2000−193008公報に記載されている。またさらに、中空袋状のブロー成形製の車両用側面衝突対応パッドであって、応力集中部によりパッド全体を破裂させ、衝突エネルギーを吸収するものは特開2000−177518公報に記載されている。
【特許文献1】特開2004−149074公報
【特許文献2】特許第3313999号公報
【特許文献3】特開2000−193008公報
【特許文献4】特開2000−177518
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開2004−149074公報に記載されている車両用衝撃吸収体のように、ブロー成形製の中空二重壁構造からなる車両用衝撃吸収体にあっては、衝撃によるエネルギーを吸収する過程において衝撃吸収体、特に凹状リブの壁面が押し潰されるように破壊される。ところが、衝撃吸収体が押し潰されるに従い衝撃吸収体の中空部内に介在する空気が圧縮され、内部圧力が上昇して衝撃吸収特性に影響を与える。この影響は一般に荷重の値にバラツキを生じさせることとなって、衝撃吸収性能を調整することが困難となる。
【0005】
また、上記特許第3313999号公報に記載されている車両用衝撃吸収体のように、曲げ弾性率が5000kg/cm2〜25000kg/cm2のポリプロピレン樹脂により構成したものにあっては、中空部内に介在する空気の影響を受けるとともに、60℃〜−15℃の外気の温度変化により衝撃吸収時の応力が変化し、同様に荷重の値にバラツキまたは低下を生じて衝撃吸収性能が変化してしまう。すなわち、ポリプロピレン樹脂製の衝撃吸収体の圧縮歪みが50%における常温時の荷重応力を基準とすると、外気の温度が−15℃のときでは応力変化率は21%であり、外気の温度が60℃のときでは応力変化率は−34%である。
【0006】
そして、この種の車両用衝撃吸収体にあっては、衝撃吸収性能に影響を与える要因を排除し、設計時において調整可能な制御手段(ここでは凹状リブの形状、個数、または衝撃吸収体を構成する壁面の肉厚など)により衝撃吸収性能を設定するとともに、衝撃吸収性能の温度依存性を改善することが望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、ブロー成形によって一体に成形された中空構造の衝撃吸収体であって、中空部を有する本体と、この本体の互いに対向する第一壁および第二壁をそれぞれ他方へ向けて窪ませて互いの先端部を接合させた対をなす凹状リブを複数個有しているとともに、壁面に破裂誘導部を形成することにより、衝撃吸収体が押し潰された際に衝撃吸収体の壁面の一部を破裂誘導部より早期に破壊させて開口させることにより中空部内に介在する空気の影響を排除し、衝撃吸収体が押し潰され変形することによる安定した衝撃吸収性能を発揮させることができ、さらに衝撃吸収体をポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成することで破裂誘導部での破壊による開口を容易にし、中空部内の空気を好適に外気に排出して中空部内の空気の圧縮を防止することができるとともに、外気の温度に依存することなく高温から低温まで広範囲にわたって所要の衝撃吸収性能を維持することができる車両用衝撃吸収体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、請求項1ないし8に係る車両用衝撃吸収体を提供する。すなわち、請求項1に係る車両用衝撃吸収体は、車両構成部材に内設することによって車両の内部または外部からの衝撃を吸収するための熱可塑性樹脂製の車両用衝撃吸収体において、衝撃吸収体は、ブロー成形によって一体に成形された中空構造であって、中空部を有する本体と、この本体の互いに対向する第一壁および第二壁をそれぞれ他方へ向けて窪ませて互いの先端部を接合させた対をなす凹状リブを複数個有しているとともに、衝撃吸収体を構成する壁面には少なくとも1つの破裂誘導部が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1の構成において、破裂誘導部が衝撃吸収体を構成する壁面の相対的に薄肉となった薄肉部であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1または2の構成において、破裂誘導部が衝撃吸収体の壁面に形成されたノッチ状の突条または溝条であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1または2の構成において、破裂誘導部が衝撃吸収体の壁面に形成された屈曲部であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1、2、3または4の構成において、衝撃吸収体は中空部を有する本体と、この本体の互いに対向する第一壁および第二壁をそれぞれ他方へ向けて窪ませて互いの先端部を接合させた対をなす凹状リブを形成してなる破裂誘導部が衝撃吸収体を構成する壁面のうち凹状リブを形成する壁面内に形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1、2、3、4または5の構成において、衝撃吸収体は曲げ弾性率が10000kg/cm2以上、かつ常温時におけるアイゾット衝撃値が35kg/cm2以下である熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1、2、3、4または5の構成において、衝撃吸収体はポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項8に係る車両用衝撃吸収体は、請求項7の構成において、ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂であり、非晶性樹脂がポリスチレン樹脂、ABS樹脂、変性PPE樹脂またはその混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるり、ポリマーアロイからなる熱可塑性樹脂は曲げ弾性率が9000〜22000k/cm2であるとともに、常温時におけるアイゾット衝撃値が15〜40kg/cm2であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用衝撃吸収体によれば、衝撃吸収体をブロー成形によって一体に成形された中空構造であって、中空部を有する本体と、この本体の互いに対向する第一壁および第二壁をそれぞれ他方へ向けて窪ませて互いの先端部を接合させた対をなす凹状リブを複数個有しているとともに、壁面に破裂誘導部を形成することにより、衝撃吸収体が押し潰された際に衝撃吸収体の壁面の一部を破裂誘導部より早期に破壊させて開口させることにより中空部内に介在する空気の影響を排除し、衝撃吸収体が押し潰され変形することによる安定した衝撃吸収性能を発揮させることができ、さらに衝撃吸収体をポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成することで破裂誘導部での破壊による開口を容易にし、中空部内の空気を好適に外気に排出して中空部内の空気の圧縮を防止することができるとともに、外気の温度に依存することなく高温から低温まで広範囲にわたって所要の衝撃吸収性能を維持することができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の一実施の形態に係る車両用衝撃吸収体を一部破断して示す斜視図、図2は正面図、図3は要部の詳細を示す断面図、図4は図1のA−A断面図、図5は同じくB−B断面図、図6は本発明の一実施の形態に係る車両用衝撃吸収体の荷重とひずみとの関係を示すグラフである。図7は本発明の一実施の形態に係る衝撃吸収体のブロー成形態様を示す断面図、図8は同上型締めした状態の断面図である。図9は本発明に係る車両用衝撃吸収体を車両のドアトリムに内設した態様を示す断面図、図10は本発明に係る車両用衝撃吸収体を自動車のリヤーピラーに内設した態様を示す断面図、図11は本発明に係る車両用衝撃吸収体を内設したリヤーバンパーの背面図、図12は本発明に係る車両用衝撃吸収体をフロントバンパーのバンパーフェイシアとバンパービームの間に装着した態様の一部破断斜視図である。
【0018】
図1ないし図5において、1は衝撃吸収体である。この衝撃吸収体1は、熱可塑性プラスチックをブロー成形して中空状に成形されたものであって2は中空部、3は周壁面、4は第一壁、5は第二壁である。上記中空状の車両用衝撃吸収体1を形成する第一壁4および第二壁5の両方をそれぞれ他方へ向けて窪ませて形成された対をなす凹状リブ6,7を多数有しており、これら凹状リブ6,7の先端部が互いに当接して溶着面8をなしている。第一壁4には凹状リブ6間を繋ぐように連結リブ9が形成されている。衝撃吸収体1の周囲壁3には、そのパーティングライン近傍から第二壁5側に向けて取付片10が複数形成されており、11は取付孔である。
【0019】
衝撃吸収体1には少なくとも1つの破裂誘導部12が形成されている。すなわち、周囲壁3に略半分が開いている凹状リブ6,7にはそれぞれの長さ方向にノッチ状の突条(断面がV字状の突条)13が形成されていて、このノッチ状の突条13が破裂誘導部12をなしている。なお、この破裂誘導部12は、ノッチ状の溝条、衝撃吸収体1を構成する壁面の相対的に薄肉となった薄肉部、さらには、衝撃吸収体1の壁面に形成された屈曲部であってもよい。
【0020】
破裂誘導部12としては、前記のように衝撃吸収体1の壁面に形成した薄肉部、ノッチ状の突条または凹溝、さらには屈曲部などが好適であり、薄肉部はノッチ状に形成した突条、凹溝または屈曲部の先端として形成することができる。薄肉部としては衝撃吸収体を構成する壁面において相対的に薄肉であれば特にその肉厚は限定されないが、衝撃吸収体の平均肉厚を2.0mm程度のものとした場合、薄肉部の肉厚は0.5mm以下であることが好ましい。また、突条13または凹溝としては幅が1.0〜4.0mm、深さが2.0〜3.0mmのV字形状に形成されていることが好ましく、さらに壁面において突条13または凹溝の先端が相対的に薄肉であることが特に好ましい。ただし、突条13または凹溝は衝撃吸収体の形状または大きさにより適宜選択することができ、ノッチ効果により所定の部位に応力を集中させることにより、破裂または破壊による開口をするものであればよく、上記範囲に限定されるものではない。またさらに、屈曲部としてはノッチ形状と同様に応力が集中する形状として衝撃吸収体の壁面に形成されるもので、特に曲率半径が3.0mm以下の屈曲形状が好ましく、例えば衝撃吸収体の壁面と取付片の境界部として形成することができる。ここで、破裂誘導部12は衝撃吸収体1の壁面の任意の位置に形成することができるが、破裂または破壊による開口を容易とする観点から、側壁または凹状リブ内に衝撃を受ける方向すなわち第一壁と第二壁とに略垂直な方向に延びる筋状に形成することが好ましい。
【0021】
本発明に係る車両用衝撃吸収体は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタート等のポリエステル系樹脂、ポリアミドなど、剛性等の機械的高度の大きい樹脂で構成する。特に、破裂誘導部を好適に機能させる観点からポリプロピレン、ABS樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリフェニレンエーテル樹脂が好適であり、さらにこれらのブレンド物またはポリマーアロイとすることが好ましく、曲げ弾性率が10000kg/cm2以上であるとともに、常温時におけるアイゾット衝撃値が35kg/cm2以下の範囲であることが好ましい。
【0022】
図6のグラフには本発明に係る車両用衝撃吸収体の圧縮荷重に対する変位(圧縮歪みの変化)を計測した結果を簡略的に示している。すなわち、グラフに実線で示すように、本発明に係る自動車の衝撃吸収体1においては、衝撃吸収体1が押し潰された際に衝撃吸収体1の壁面の一部を破裂誘導部12より早期に破壊させて開口させることによって、中空部2内に介在する空気の影響を排除し、安定した衝撃吸収性能を発揮させることができるのに対し、グラフに破線で示すように、衝撃吸収体が破裂誘導部12を有しないものでは、衝撃吸収体が押し潰されるに従い衝撃吸収体の中空部内に介在する空気が圧縮され、内部圧力が上昇して衝撃吸収特性に影響を与え、グラフにおいては荷重の値のバラツキとして発現され、衝撃吸収性能を調整することが困難となる。
【0023】
そして、衝撃吸収体1をポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成すれば、破裂誘導部12での破壊による開口を容易にして中空部2内の空気を好適に外気に排出して中空部2内の空気の圧縮を防止することができるとともに、外気の温度に依存することなく高温から低温まで広範囲にわたって所要の衝撃吸収性能を維持することができるものとなる。
【0024】
図1ないし図4に示す衝撃吸収体1は、図7および図8に示すようにブロー成形される。すなわち、14,14は一対の分割金型、15,15は凹状リブ成形キャビティ、16は押出ダイ、17はパリソンである。図7に示すように、一対の分割金型14,14の間にパリソン17を配置後、図8に示すように型締めして吹込みノズル(図示せず)をパリソンに突き刺し、ブロー成形する。
【0025】
図9ないし図11は、本発明に係る車両用衝撃吸収体の使用例を示している。すなわち、図9はドアトリム18に、図10は自動車のリヤピラー19に、図11はリヤーバンパー20に、それぞれ本発明に係る車両用衝撃吸収体を内設した例である。図10においてAは乗車者の頭部を示している。図12はフロントバンパーのバンパーフェイシアとバンパービームの間に内設した例である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る車両用衝撃吸収体は、自動車等のドア、ドアトリムあるいはボディーサイドパネル、ルーフパネル、ピラー、バンパーなどの車両構成部材に内設して、それらの部分の衝撃吸収性を格段に高めることができるものであり、自動車の安全性向上に大いに貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車両用衝撃吸収体を一部破断して示す斜視図である。
【図2】同上正面図である。
【図3】要部の詳細を示す断面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】図1のB−B断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る車両用衝撃吸収体の荷重とひずみとの関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施の形態に係る衝撃吸収体のブロー成形態様を示す断面図である。
【図8】同上型締めした状態の断面図である。
【図9】本発明に係る車両用衝撃吸収体を車両のドアトリムに内設した態様を示す断面図である。
【図10】本発明に係る車両用衝撃吸収体を自動車のリヤーピラーに内設した態様を示す断面図である。
【図11】本発明に係る車両用衝撃吸収体を内設したリヤーバンパーの背面図である。
【図12】本発明に係る車両用衝撃吸収体をフロントバンパーのバンパーフェイシアとバンパービームの間に装着した態様の一部破断斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 衝撃吸収体
2 中空部
3 周壁面
4 第一壁
5 第二壁
6,7 凹状リブ
8 溶着面
9 連結リブ
10 取付片
11 取付孔
12 破裂誘導部
13 突条
14,14 一対の分割金型
15,15 凹状リブ成形キャビティ
16 押出ダイ
17 パリソン
18 ドアトリム
19 リヤピラー
20 リヤーバンパー
21 フロントバンパー
22 バンパービーム
A 乗車者の頭部
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両構成部材、例えばドア、ドアトリムあるいはボディーサイドパネル、ルーフパネル、ピラー、バンパー(特に、バンパーフェイシアとバンパービームとの間に介在させてバンパーフェイシアが受ける衝撃を吸収させるもの)などに内設することによって搭乗員が車両構成部材の内壁への衝突するような内部または他の車両との衝突のような外部からの衝撃を吸収するための車両用衝撃吸収体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の車両用衝撃吸収体であって、熱可塑性樹脂をブロー成形して中空二重壁構造で中空部を有し、その表面壁と裏面壁から凹状リブを形成してその互いの先端部を接合して一体化し、衝撃吸収性の向上を企図したものは、特開2004−149074公報に記載されている。また、曲げ弾性率が5000kg/cm2〜2500kg/cm2のポリプロピレン樹脂により構成した車両用衝撃吸収体は、特許第3313999号公報に記載されている。
【0003】
なお、円筒状の衝撃エネルギー吸収部材に破壊のトリガーとして、切れ込みまたはノッチ形状を形成し、安定した自己破壊を生じさせるものとしては、特開2000−193008公報に記載されている。またさらに、中空袋状のブロー成形製の車両用側面衝突対応パッドであって、応力集中部によりパッド全体を破裂させ、衝突エネルギーを吸収するものは特開2000−177518公報に記載されている。
【特許文献1】特開2004−149074公報
【特許文献2】特許第3313999号公報
【特許文献3】特開2000−193008公報
【特許文献4】特開2000−177518
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特開2004−149074公報に記載されている車両用衝撃吸収体のように、ブロー成形製の中空二重壁構造からなる車両用衝撃吸収体にあっては、衝撃によるエネルギーを吸収する過程において衝撃吸収体、特に凹状リブの壁面が押し潰されるように破壊される。ところが、衝撃吸収体が押し潰されるに従い衝撃吸収体の中空部内に介在する空気が圧縮され、内部圧力が上昇して衝撃吸収特性に影響を与える。この影響は一般に荷重の値にバラツキを生じさせることとなって、衝撃吸収性能を調整することが困難となる。
【0005】
また、上記特許第3313999号公報に記載されている車両用衝撃吸収体のように、曲げ弾性率が5000kg/cm2〜25000kg/cm2のポリプロピレン樹脂により構成したものにあっては、中空部内に介在する空気の影響を受けるとともに、60℃〜−15℃の外気の温度変化により衝撃吸収時の応力が変化し、同様に荷重の値にバラツキまたは低下を生じて衝撃吸収性能が変化してしまう。すなわち、ポリプロピレン樹脂製の衝撃吸収体の圧縮歪みが50%における常温時の荷重応力を基準とすると、外気の温度が−15℃のときでは応力変化率は21%であり、外気の温度が60℃のときでは応力変化率は−34%である。
【0006】
そして、この種の車両用衝撃吸収体にあっては、衝撃吸収性能に影響を与える要因を排除し、設計時において調整可能な制御手段(ここでは凹状リブの形状、個数、または衝撃吸収体を構成する壁面の肉厚など)により衝撃吸収性能を設定するとともに、衝撃吸収性能の温度依存性を改善することが望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、ブロー成形によって一体に成形された中空構造の衝撃吸収体であって、中空部を有する本体と、この本体の互いに対向する第一壁および第二壁をそれぞれ他方へ向けて窪ませて互いの先端部を接合させた対をなす凹状リブを複数個有しているとともに、壁面に破裂誘導部を形成することにより、衝撃吸収体が押し潰された際に衝撃吸収体の壁面の一部を破裂誘導部より早期に破壊させて開口させることにより中空部内に介在する空気の影響を排除し、衝撃吸収体が押し潰され変形することによる安定した衝撃吸収性能を発揮させることができ、さらに衝撃吸収体をポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成することで破裂誘導部での破壊による開口を容易にし、中空部内の空気を好適に外気に排出して中空部内の空気の圧縮を防止することができるとともに、外気の温度に依存することなく高温から低温まで広範囲にわたって所要の衝撃吸収性能を維持することができる車両用衝撃吸収体を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、請求項1ないし8に係る車両用衝撃吸収体を提供する。すなわち、請求項1に係る車両用衝撃吸収体は、車両構成部材に内設することによって車両の内部または外部からの衝撃を吸収するための熱可塑性樹脂製の車両用衝撃吸収体において、衝撃吸収体は、ブロー成形によって一体に成形された中空構造であって、中空部を有する本体と、この本体の互いに対向する第一壁および第二壁をそれぞれ他方へ向けて窪ませて互いの先端部を接合させた対をなす凹状リブを複数個有しているとともに、衝撃吸収体を構成する壁面には少なくとも1つの破裂誘導部が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1の構成において、破裂誘導部が衝撃吸収体を構成する壁面の相対的に薄肉となった薄肉部であることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1または2の構成において、破裂誘導部が衝撃吸収体の壁面に形成されたノッチ状の突条または溝条であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1または2の構成において、破裂誘導部が衝撃吸収体の壁面に形成された屈曲部であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1、2、3または4の構成において、衝撃吸収体は中空部を有する本体と、この本体の互いに対向する第一壁および第二壁をそれぞれ他方へ向けて窪ませて互いの先端部を接合させた対をなす凹状リブを形成してなる破裂誘導部が衝撃吸収体を構成する壁面のうち凹状リブを形成する壁面内に形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1、2、3、4または5の構成において、衝撃吸収体は曲げ弾性率が10000kg/cm2以上、かつ常温時におけるアイゾット衝撃値が35kg/cm2以下である熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に係る車両用衝撃吸収体は、請求項1、2、3、4または5の構成において、衝撃吸収体はポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成されていることを特徴とするものである。
【0015】
請求項8に係る車両用衝撃吸収体は、請求項7の構成において、ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂であり、非晶性樹脂がポリスチレン樹脂、ABS樹脂、変性PPE樹脂またはその混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂からなるり、ポリマーアロイからなる熱可塑性樹脂は曲げ弾性率が9000〜22000k/cm2であるとともに、常温時におけるアイゾット衝撃値が15〜40kg/cm2であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る車両用衝撃吸収体によれば、衝撃吸収体をブロー成形によって一体に成形された中空構造であって、中空部を有する本体と、この本体の互いに対向する第一壁および第二壁をそれぞれ他方へ向けて窪ませて互いの先端部を接合させた対をなす凹状リブを複数個有しているとともに、壁面に破裂誘導部を形成することにより、衝撃吸収体が押し潰された際に衝撃吸収体の壁面の一部を破裂誘導部より早期に破壊させて開口させることにより中空部内に介在する空気の影響を排除し、衝撃吸収体が押し潰され変形することによる安定した衝撃吸収性能を発揮させることができ、さらに衝撃吸収体をポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成することで破裂誘導部での破壊による開口を容易にし、中空部内の空気を好適に外気に排出して中空部内の空気の圧縮を防止することができるとともに、外気の温度に依存することなく高温から低温まで広範囲にわたって所要の衝撃吸収性能を維持することができる効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は本発明の一実施の形態に係る車両用衝撃吸収体を一部破断して示す斜視図、図2は正面図、図3は要部の詳細を示す断面図、図4は図1のA−A断面図、図5は同じくB−B断面図、図6は本発明の一実施の形態に係る車両用衝撃吸収体の荷重とひずみとの関係を示すグラフである。図7は本発明の一実施の形態に係る衝撃吸収体のブロー成形態様を示す断面図、図8は同上型締めした状態の断面図である。図9は本発明に係る車両用衝撃吸収体を車両のドアトリムに内設した態様を示す断面図、図10は本発明に係る車両用衝撃吸収体を自動車のリヤーピラーに内設した態様を示す断面図、図11は本発明に係る車両用衝撃吸収体を内設したリヤーバンパーの背面図、図12は本発明に係る車両用衝撃吸収体をフロントバンパーのバンパーフェイシアとバンパービームの間に装着した態様の一部破断斜視図である。
【0018】
図1ないし図5において、1は衝撃吸収体である。この衝撃吸収体1は、熱可塑性プラスチックをブロー成形して中空状に成形されたものであって2は中空部、3は周壁面、4は第一壁、5は第二壁である。上記中空状の車両用衝撃吸収体1を形成する第一壁4および第二壁5の両方をそれぞれ他方へ向けて窪ませて形成された対をなす凹状リブ6,7を多数有しており、これら凹状リブ6,7の先端部が互いに当接して溶着面8をなしている。第一壁4には凹状リブ6間を繋ぐように連結リブ9が形成されている。衝撃吸収体1の周囲壁3には、そのパーティングライン近傍から第二壁5側に向けて取付片10が複数形成されており、11は取付孔である。
【0019】
衝撃吸収体1には少なくとも1つの破裂誘導部12が形成されている。すなわち、周囲壁3に略半分が開いている凹状リブ6,7にはそれぞれの長さ方向にノッチ状の突条(断面がV字状の突条)13が形成されていて、このノッチ状の突条13が破裂誘導部12をなしている。なお、この破裂誘導部12は、ノッチ状の溝条、衝撃吸収体1を構成する壁面の相対的に薄肉となった薄肉部、さらには、衝撃吸収体1の壁面に形成された屈曲部であってもよい。
【0020】
破裂誘導部12としては、前記のように衝撃吸収体1の壁面に形成した薄肉部、ノッチ状の突条または凹溝、さらには屈曲部などが好適であり、薄肉部はノッチ状に形成した突条、凹溝または屈曲部の先端として形成することができる。薄肉部としては衝撃吸収体を構成する壁面において相対的に薄肉であれば特にその肉厚は限定されないが、衝撃吸収体の平均肉厚を2.0mm程度のものとした場合、薄肉部の肉厚は0.5mm以下であることが好ましい。また、突条13または凹溝としては幅が1.0〜4.0mm、深さが2.0〜3.0mmのV字形状に形成されていることが好ましく、さらに壁面において突条13または凹溝の先端が相対的に薄肉であることが特に好ましい。ただし、突条13または凹溝は衝撃吸収体の形状または大きさにより適宜選択することができ、ノッチ効果により所定の部位に応力を集中させることにより、破裂または破壊による開口をするものであればよく、上記範囲に限定されるものではない。またさらに、屈曲部としてはノッチ形状と同様に応力が集中する形状として衝撃吸収体の壁面に形成されるもので、特に曲率半径が3.0mm以下の屈曲形状が好ましく、例えば衝撃吸収体の壁面と取付片の境界部として形成することができる。ここで、破裂誘導部12は衝撃吸収体1の壁面の任意の位置に形成することができるが、破裂または破壊による開口を容易とする観点から、側壁または凹状リブ内に衝撃を受ける方向すなわち第一壁と第二壁とに略垂直な方向に延びる筋状に形成することが好ましい。
【0021】
本発明に係る車両用衝撃吸収体は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABS樹脂等のスチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタート等のポリエステル系樹脂、ポリアミドなど、剛性等の機械的高度の大きい樹脂で構成する。特に、破裂誘導部を好適に機能させる観点からポリプロピレン、ABS樹脂、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)、ポリフェニレンエーテル樹脂が好適であり、さらにこれらのブレンド物またはポリマーアロイとすることが好ましく、曲げ弾性率が10000kg/cm2以上であるとともに、常温時におけるアイゾット衝撃値が35kg/cm2以下の範囲であることが好ましい。
【0022】
図6のグラフには本発明に係る車両用衝撃吸収体の圧縮荷重に対する変位(圧縮歪みの変化)を計測した結果を簡略的に示している。すなわち、グラフに実線で示すように、本発明に係る自動車の衝撃吸収体1においては、衝撃吸収体1が押し潰された際に衝撃吸収体1の壁面の一部を破裂誘導部12より早期に破壊させて開口させることによって、中空部2内に介在する空気の影響を排除し、安定した衝撃吸収性能を発揮させることができるのに対し、グラフに破線で示すように、衝撃吸収体が破裂誘導部12を有しないものでは、衝撃吸収体が押し潰されるに従い衝撃吸収体の中空部内に介在する空気が圧縮され、内部圧力が上昇して衝撃吸収特性に影響を与え、グラフにおいては荷重の値のバラツキとして発現され、衝撃吸収性能を調整することが困難となる。
【0023】
そして、衝撃吸収体1をポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成すれば、破裂誘導部12での破壊による開口を容易にして中空部2内の空気を好適に外気に排出して中空部2内の空気の圧縮を防止することができるとともに、外気の温度に依存することなく高温から低温まで広範囲にわたって所要の衝撃吸収性能を維持することができるものとなる。
【0024】
図1ないし図4に示す衝撃吸収体1は、図7および図8に示すようにブロー成形される。すなわち、14,14は一対の分割金型、15,15は凹状リブ成形キャビティ、16は押出ダイ、17はパリソンである。図7に示すように、一対の分割金型14,14の間にパリソン17を配置後、図8に示すように型締めして吹込みノズル(図示せず)をパリソンに突き刺し、ブロー成形する。
【0025】
図9ないし図11は、本発明に係る車両用衝撃吸収体の使用例を示している。すなわち、図9はドアトリム18に、図10は自動車のリヤピラー19に、図11はリヤーバンパー20に、それぞれ本発明に係る車両用衝撃吸収体を内設した例である。図10においてAは乗車者の頭部を示している。図12はフロントバンパーのバンパーフェイシアとバンパービームの間に内設した例である。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明に係る車両用衝撃吸収体は、自動車等のドア、ドアトリムあるいはボディーサイドパネル、ルーフパネル、ピラー、バンパーなどの車両構成部材に内設して、それらの部分の衝撃吸収性を格段に高めることができるものであり、自動車の安全性向上に大いに貢献するものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車両用衝撃吸収体を一部破断して示す斜視図である。
【図2】同上正面図である。
【図3】要部の詳細を示す断面図である。
【図4】図1のA−A断面図である。
【図5】図1のB−B断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係る車両用衝撃吸収体の荷重とひずみとの関係を示すグラフである。
【図7】本発明の一実施の形態に係る衝撃吸収体のブロー成形態様を示す断面図である。
【図8】同上型締めした状態の断面図である。
【図9】本発明に係る車両用衝撃吸収体を車両のドアトリムに内設した態様を示す断面図である。
【図10】本発明に係る車両用衝撃吸収体を自動車のリヤーピラーに内設した態様を示す断面図である。
【図11】本発明に係る車両用衝撃吸収体を内設したリヤーバンパーの背面図である。
【図12】本発明に係る車両用衝撃吸収体をフロントバンパーのバンパーフェイシアとバンパービームの間に装着した態様の一部破断斜視図である。
【符号の説明】
【0028】
1 衝撃吸収体
2 中空部
3 周壁面
4 第一壁
5 第二壁
6,7 凹状リブ
8 溶着面
9 連結リブ
10 取付片
11 取付孔
12 破裂誘導部
13 突条
14,14 一対の分割金型
15,15 凹状リブ成形キャビティ
16 押出ダイ
17 パリソン
18 ドアトリム
19 リヤピラー
20 リヤーバンパー
21 フロントバンパー
22 バンパービーム
A 乗車者の頭部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両構成部材に内設することによって車両の内部または外部からの衝撃を吸収するための熱可塑性樹脂製の車両用衝撃吸収体において、
衝撃吸収体は、ブロー成形によって一体に成形された中空構造であって、中空部を有する本体と、この本体の互いに対向する第一壁および第二壁をそれぞれ他方へ向けて窪ませて互いの先端部を接合させた対をなす凹状リブを複数個有しているとともに、
衝撃吸収体を構成する壁面には少なくとも1つの破裂誘導部が形成されている
ことを特徴とする車両用衝撃吸収体。
【請求項2】
破裂誘導部が衝撃吸収体を構成する壁面の相対的に薄肉となった薄肉部であることを特徴とする請求項1記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項3】
破裂誘導部が衝撃吸収体の壁面に形成されたノッチ状の突条または溝条であることを特徴とする請求項1または2記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項4】
破裂誘導部が衝撃吸収体の壁面に形成された屈曲部であることを特徴とする請求項1または2記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項5】
破裂誘導部が衝撃吸収体を構成する壁面のうち凹状リブを形成する壁面内に形成されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項6】
衝撃吸収体は曲げ弾性率が10000kg/cm2以上、かつ常温時におけるアイゾット衝撃値が35kg/cm2以下である熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項7】
衝撃吸収体はポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項8】
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂であり、
非晶性樹脂がポリスチレン樹脂、ABS樹脂、変性PPE樹脂またはその混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる
ことを特徴とする請求項7記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項1】
車両構成部材に内設することによって車両の内部または外部からの衝撃を吸収するための熱可塑性樹脂製の車両用衝撃吸収体において、
衝撃吸収体は、ブロー成形によって一体に成形された中空構造であって、中空部を有する本体と、この本体の互いに対向する第一壁および第二壁をそれぞれ他方へ向けて窪ませて互いの先端部を接合させた対をなす凹状リブを複数個有しているとともに、
衝撃吸収体を構成する壁面には少なくとも1つの破裂誘導部が形成されている
ことを特徴とする車両用衝撃吸収体。
【請求項2】
破裂誘導部が衝撃吸収体を構成する壁面の相対的に薄肉となった薄肉部であることを特徴とする請求項1記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項3】
破裂誘導部が衝撃吸収体の壁面に形成されたノッチ状の突条または溝条であることを特徴とする請求項1または2記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項4】
破裂誘導部が衝撃吸収体の壁面に形成された屈曲部であることを特徴とする請求項1または2記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項5】
破裂誘導部が衝撃吸収体を構成する壁面のうち凹状リブを形成する壁面内に形成されていることを特徴とする請求項1、2、3または4記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項6】
衝撃吸収体は曲げ弾性率が10000kg/cm2以上、かつ常温時におけるアイゾット衝撃値が35kg/cm2以下である熱可塑性樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項7】
衝撃吸収体はポリオレフィン系樹脂と非晶性樹脂のポリマーアロイである熱可塑性樹脂により構成されていることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の車両用衝撃吸収体。
【請求項8】
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン樹脂であり、
非晶性樹脂がポリスチレン樹脂、ABS樹脂、変性PPE樹脂またはその混合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の樹脂からなる
ことを特徴とする請求項7記載の車両用衝撃吸収体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−96307(P2006−96307A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−288025(P2004−288025)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000104674)キョーラク株式会社 (292)
【Fターム(参考)】
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