説明

車両用表示装置

【課題】ユーザに違和感を与えるのを抑制することが可能な車両用表示装置を提供する。
【解決手段】この車両用表示装置1は、互いに異なる方向を向いた表示面11a(表示部11)および表示面12a(表示部12)を備えている。表示面11aおよび12aは、所定の方向に沿って補正された画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両用表示装置に関し、特に、2つの表示面を含む車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション装置やカーテレビジョン受像機などの自動車(車両)内で用いられ、2つの表示面を含む車両用表示装置が知られている。
【0003】
図11は、従来の一例による車両用表示装置の表示部(表示面)に表示される画像を運転者から見た状態を示した図である。従来の一例による車両用表示装置は、図11に示すように、運転者(ユーザ)から向かって左側に配置された表示面111aを有する表示部111と、右側に配置された表示面112aを有する表示部112とを含んでいる。この表示部111および112は、互いに異なる方向を向くように配置されている。
【0004】
また、車両用表示装置には、表示部111の表示面111aと表示部112の表示面112aとに跨って、例えば、道路や建物などを表した地図画像が表示される。
【0005】
なお、互いに異なる方向を向いた2つの表示面を含む車両用表示装置は、例えば、特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特開2007−127993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図11に示した従来の一例による車両用表示装置のように、互いに異なる方向を向いた表示面111aおよび112aに跨って地図画像などを表示した場合、図11に示すように、表示面111a(表示部111)と表示面112a(表示部112)との境界部分を境に、画像(地図画像など)の角度が異なって見える。すなわち、表示面111aおよび112aに跨って表示される道路などが、境界部分で折れ曲がって見えてしまう。このため、運転者に違和感を与えてしまうという問題点がある。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、ユーザに違和感を与えるのを抑制することが可能な車両用表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による車両用表示装置は、互いに異なる方向を向いた第1表示面および第2表示面を含む表示部を備え、第1表示面および第2表示面は、所定の方向に沿って補正された画像を表示する。
【0009】
この一の局面による車両用表示装置では、上記のように、第1表示面および第2表示面が所定の方向に沿って補正された画像を表示するように、車両用表示装置を構成することによって、互いに異なる方向を向いた第1表示面および第2表示面に跨って画像を表示した場合にも、第1表示面と第2表示面との境界部分を境に画像の角度が異なって見えるのを抑制することができる。これにより、ユーザに違和感を与えるのを抑制することができる。
【0010】
上記一の局面による車両用表示装置において、好ましくは、画像は、ユーザに対する第1表示面および第2表示面の取付角度と、ユーザが第1表示面および第2表示面を見る際の見下ろし角度とに基づいて補正される。このように構成すれば、画像を容易に補正することができるとともに、第1表示面と第2表示面との境界部分を境に画像の角度が異なって見えるのを、容易に抑制することができる。これにより、ユーザに違和感を与えるのを、容易に抑制することができる。
【0011】
上記一の局面による車両用表示装置において、好ましくは、画像は、第1表示面と第2表示面との境界部分の延びる方向に沿って補正される。このように構成すれば、第1表示面と第2表示面との境界部分を境に画像の角度が異なって見えるのを、容易に抑制することができる。
【0012】
上記一の局面による車両用表示装置において、好ましくは、画像は、複数の画素を含み、第1表示面上における縦軸をY軸とし、第2表示面上における縦軸をy軸とした場合、補正前における第1表示面上のY座標の値と補正前における第2表示面上のy座標の値とが同じである複数の画素は、ユーザから見て略一直線状に配置されるように補正される。このように構成すれば、第1表示面と第2表示面との境界部分を境に画像の角度が異なって見えるのを、より容易に抑制することができる。
【0013】
上記一の局面による車両用表示装置において、好ましくは、第1表示面上における横軸をX軸とし、第2表示面上における横軸をx軸とした場合、第1表示面上のX座標の値がX1である各画素の補正量は、全て同じであり、第1表示面上のX座標の値がX1である画素の補正量と、X座標の値がX2である画素の補正量とは異なり、第2表示面上のx座標の値がx1である各画素の補正量は、全て同じであり、第2表示面上のx座標の値がx1である画素の補正量と、x座標の値がx2である画素の補正量とは異なる。このように構成すれば、第1表示面と第2表示面との境界部分を境に画像の角度が異なって見えるのを、より容易に抑制することができる。
【0014】
上記画像が取付角度と見下ろし角度とに基づいて補正される車両用表示装置において、好ましくは、第1表示面および第2表示面の取付角度を検知する角度検知部をさらに備え、画像は、角度検知部により検知された第1表示面および第2表示面の取付角度に基づいて補正される。このように構成すれば、ユーザが第1表示面および第2表示面の取付角度を変更した場合にも、角度検知部を用いて、第1表示面および第2表示面の取付角度を容易に検知することができるので、第1表示面および第2表示面の変更後の取付角度に基づいて、画像を容易に補正することができる。
【0015】
上記一の局面による車両用表示装置において、表示部を、第1表示面を有する第1表示部と、第2表示面を有する第2表示部とを含むように構成してもよい。
【0016】
上記一の局面による車両用表示装置を、カーナビゲーション装置またはカーテレビジョン受像機に用いてもよい。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、ユーザに違和感を与えるのを抑制することが可能な車両用表示装置を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による車両用表示装置が車両に搭載されている様子を示した図である。図2は、図1に示した車両用表示装置の構成を示したブロック図である。図3〜図7は、図1に示した本発明の第1実施形態による車両用表示装置を詳細に説明するための図である。図1〜図7を参照して、本発明の第1実施形態による車両用表示装置1の構成について説明する。
【0019】
本発明の第1実施形態による車両用表示装置1は、図1に示すように、車両(自動車など)100に搭載されており、カーナビゲーション装置として用いられている。この車両用表示装置1は、液晶表示装置であってもよいし、液晶表示装置以外の表示装置であってもよい。また、車両用表示装置1は、透過型、半透過型または反射型のいずれの表示装置であってもよい。
【0020】
車両100には、運転席2や、運転席2の前方に配置された複数の計器類3などが設けられており、車両用表示装置1は、運転席2の左斜め前方に設置されている。
【0021】
ここで、第1実施形態では、図2および図3に示すように、車両用表示装置1は、運転席2(図1参照)から向かって左側に配置され表示面11aを有する表示部11と、右側に配置され表示面12aを有する表示部12と、車両用表示装置1全体を制御する制御部13(図2参照)と、表示面11aおよび12aに表示する画像を形成する画像形成IC(Integrated Circuit)14(図2参照)とを含んでいる。なお、表示面11aは、本発明の「第1表示面」の一例であり、表示部11は、本発明の「第1表示部」の一例である。また、表示面12aは、本発明の「第2表示面」の一例であり、表示部12は、本発明の「第2表示部」の一例である。
【0022】
また、第1実施形態では、表示部11(表示面11a)および表示部12(表示面12a)は、図3に示すように、180度よりも小さい角度だけ開いた状態で、互いに異なる方向を向くように設けられている。
【0023】
具体的には、表示部11(表示面11a)は、平面的に見て、運転者200(図1参照)から表示部11および12に向かう方向(B1方向)に垂直な面S1に対して、角度(取付角度)α1だけ傾斜するように配置されている。また、表示部12(表示面12a)は、平面的に見て、面S1に対して、角度(取付角度)α2だけ傾斜するように配置されている。なお、運転者200は、本発明の「ユーザ」の一例である。また、角度(取付角度)α1は、本発明の「ユーザに対する第1表示面の取付角度」の一例であり、角度(取付角度)α2は、本発明の「ユーザに対する第2表示面の取付角度」の一例である。
【0024】
また、表示面11a(表示部11)および表示面12a(表示部12)は、図4に示すように、鉛直方向(上下方向)に延びるように配置されている。
【0025】
また、表示部11および12は、運転者200から角度(見下ろし角度)βだけ見下ろす方向に配置されている。このため、図5に示すように、運転者200から表示部11(表示面11a)を見ると、表示部11(表示面11a)が水平方向(A方向)に対して角度(傾斜角度)θ1だけ上下方向に傾斜しているように見える。同様に、運転者200から表示部12(表示面12a)を見ると、表示部12(表示面12a)が水平方向に対して角度(傾斜角度)θ2だけ上下方向に傾斜しているように見える。
【0026】
なお、第1実施形態では、表示部11および12の各々の取付位置および取付角度(α1、α2)や、運転者200の標準的な頭部(または目)の位置が予め設定されている。そして、表示部11および12の取付位置と、運転者200の標準的な頭部(または目)の位置とに基づいて、運転者200が表示部11および12を見る際の見下ろし角度βが予め設定されている。
【0027】
また、上記角度(傾斜角度)θ1およびθ2は、角度α1、α2およびβを用いて以下の式(1)および(2)でそれぞれ表される。
【0028】
θ1=tan-1(tanα1・sinβ)・・・(1)
θ2=tan-1(tanα2・sinβ)・・・(2)
上記式(1)および(2)の導出方法を詳細に説明する。
【0029】
図3に示すように、平面的に見て、表示面11aのB方向に垂直な方向(A方向)の長さをa1、B方向の長さをb1とし、表示面12aのB方向に垂直な方向(A方向)の長さをa2、B方向の長さをb2とすると、角度(取付角度)α1と長さa1およびb1との関係は以下の式(3)で表され、角度(取付角度)α2と長さa2およびb2との関係は以下の式(4)で表される。
【0030】
tanα1=b1/a1・・・(3)
tanα2=b2/a2・・・(4)
また、図4および図5に示すように、運転者200から表示面11a(表示部11)を見ると、表示面11a(表示部11)のB方向の長さb1(図3および図4参照)は、長さc1に見える。この長さc1は、長さb1および角度(見下ろし角度)β(図4参照)を用いて以下の式(5)で表される。
【0031】
c1=b1・sinβ・・・(5)
同様に、運転者200から表示面12a(表示部12)を見ると、表示面12a(表示部12)のB方向の長さb2(図3参照)は、長さc2(図5参照)に見える。この長さc2は、長さb2および角度(見下ろし角度)β(図4参照)を用いて以下の式(6)で表される。
【0032】
c2=b2・sinβ・・・(6)
また、図5に示すように、運転者200から見た表示面11aの傾斜角度θ1と長さa1およびc1との関係は、以下の式(7)で表される。
【0033】
tanθ1=c1/a1・・・(7)
そして、上記式(3)および(5)を用いることにより、
tanθ1=(b1・sinβ)/(b1/tanα1)
=tanα1・sinβ
となる。ゆえに、
θ1=tan-1(tanα1・sinβ)・・・(1)
となる。
【0034】
同様に、運転者200から見た表示面12aの傾斜角度θ2と長さa2およびc2との関係は、以下の式(8)で表される。
【0035】
tanθ2=c2/a2・・・(8)
そして、上記式(4)および(6)を用いることにより、
tanθ2=(b2・sinβ)/(b2/tanα2)
=tanα2・sinβ
となる。ゆえに、
θ2=tan-1(tanα2・sinβ)・・・(2)
となる。
【0036】
制御部13は、図2に示すように、画像形成IC14に接続されている。また、制御部13は、画像を表示する前に画素(画像)を上下方向に沿って補正するように、画像形成IC14に指示する機能を有する。
【0037】
画像形成IC14は、画素(画像)を上下方向に沿って補正する機能を有する。また、画像形成IC14は、補正した複数の画素からなる画像を、表示面11aおよび12aに表示するように構成されている。
【0038】
具体的には、図6に示すように、表示面11a上における横軸をX軸、縦軸をY軸とすると、表示面11a上の点Pは、P(X、Y)で表される。同様に、表示面12a上における横軸をx軸、縦軸をy軸(=Y軸)とすると、表示面12a上の点pは、p(x、y)で表される。なお、X軸、x軸、Y軸およびy軸は、表示面11aと表示面12aとの境界部分の最下点O1を通過する軸である。
【0039】
そして、画像形成IC14は、表示面11a上の点P1(X1、Y1)の画素(画像)を点P2(X1、Y2)の画素(画像)として補正する機能を有する。すなわち、画像形成IC14は、表示面11a上の点PをY軸(表示面11aと表示面12aとの境界部分)の延びる方向に沿って補正する機能を有する。
【0040】
同様に、画像形成IC14は、表示面12a上の点p1(x1、y1)の画素(画像)を点p2(x1、y2)の画素(画像)として補正する機能を有する。すなわち、画像形成IC14は、表示面12a上の点pをy軸(表示面11aと表示面12aとの境界部分)の延びる方向に沿って補正する機能を有する。
【0041】
ここで、補正後の点P2(X1、Y2)は、運転者200から見ると、点P3(0、Y1)の水平方向(A方向)の位置に位置する。同様に、補正後の点p2(x1、y2)は、運転者200から見ると、点p3(0、y1)の水平方向(A方向)の位置に位置する。
【0042】
このため、補正前における表示面11a上のY座標の値と補正前における表示面12a上のy座標の値とが同じである複数の画素を補正した場合、補正後の複数の画素は、運転者200から見て略一直線状に水平方向に延びるように配置される。
【0043】
また、表示面11aにおける補正量をV、表示面12aにおける補正量をvとすると、X座標の値がX1である画素(画像)の補正量V1およびx座標の値がx1である画素(画像)の補正量v1は、以下の式でそれぞれ表される。
【0044】
V1=X1・sinθ1
v1=x1・sinθ2
これらの式に、上記式(1)および(2)をそれぞれ代入すると、
V1=X1・sin(tan-1(tanα1・sinβ))・・・(9)
v1=x1・sin(tan-1(tanα2・sinβ))・・・(10)
となる。
【0045】
すなわち、表示面11aおよび12a上の画素(画像)は、運転者200に対する表示面11aおよび12aの取付角度(α1およびα2)と、運転者200が表示面11aおよび12aを見る際の見下ろし角度βとに基づいて補正される。
【0046】
また、上記式(9)から、表示面11a上のX座標の値がX1である各画素の補正量V1は全て同じになる。また、表示面11a上のX座標の値がX1である画素の補正量V1とX座標の値がX2である画素の補正量V2とは異なる。同様に、上記式(10)から、表示面12a上のx座標の値がx1である各画素の補正量v1は全て同じになる。また、表示面12a上のx座標の値がx1である画素の補正量v1とx座標の値がx2である画素の補正量v2とは異なる。
【0047】
また、表示面11a上のX座標の値が大きくなるにしたがって画素の補正量Vも大きくなり、表示面12a上のx座標の値が大きくなるにしたがって画素の補正量vも大きくなる。
【0048】
また、上記式(9)および(10)を用いることにより、補正後のY座標の値Y2およびy座標の値y2は、以下の式(11)および(12)でそれぞれ表される。
【0049】
Y2=Y1+V1
=Y1+X1・sin(tan-1(tanα1・sinβ))・・・(11)
y2=y1+v1
=y1+x1・sin(tan-1(tanα2・sinβ))・・・(12)
そして、上記式(11)および(12)を用いて画像形成IC14により補正された複数の画素からなる画像が、表示面11aおよび12aに表示される。
【0050】
具体的には、図7に示すように、表示面11aおよび12aの両方に跨って、例えば、地図画像、車両位置画像および運転指示画像21などのナビゲーション画像や、天気画像22などが表示される。
【0051】
このとき、運転者200から見ると、表示面11aおよび12aに表示される画像(地図画像など)の角度は、表示面11aと表示面12aとの境界部分(Y軸(=y軸))を境に異ならない。すなわち、運転者200から見ると、道路などの画像は、境界部分で折れ曲がることなく表示面11aおよび12aに跨って表示される。
【0052】
なお、地図画像とは、例えば、道路や建物などを表した画像である。また、車両位置画像とは、例えば、図7中の黒い三角形で表したものであり、三角形の指す方向は、車両100の走行方向を示している。また、図7中の運転指示画像21には、例えば、「300m先右折」といった運転に関する情報(画像)が表示される。また、図7中の天気画像22には、例えば、「天気 晴」といった天気に関する情報(画像)が表示される。
【0053】
第1実施形態では、上記のように、表示面11a(表示部11)および表示面12a(表示部12)が境界部分の延びる方向(上下方向)に沿って補正された画像を表示するように、車両用表示装置1を構成することによって、互いに異なる方向を向いた表示面11aおよび12aに跨って画像を表示した場合にも、表示面11aと表示面12aとの境界部分(Y軸=(y軸))を境に画像の角度が異なって見えるのを抑制することができる。すなわち、運転者200から見て、道路などの画像が境界部分で折れ曲がって見えるのを抑制することができる。
【0054】
また、第1実施形態では、上記のように、画像(画素)を、運転者200に対する表示面11aの角度(取付角度)α1および表示面12aの角度(取付角度)α2と、運転者200が表示面11aおよび12aを見る際の角度(見下ろし角度)βとに基づいて補正する。これにより、画像(画素)を容易に補正することができるとともに、表示面11aと表示面12aとの境界部分を境に画像の角度が異なって見えるのを、容易に抑制することができる。これにより、運転者200に違和感を与えるのを、容易に抑制することができる。
【0055】
また、第1実施形態では、上記のように、画像(画素)を、表示面11aと表示面12aとの境界部分の延びる方向(上下方向)に沿って補正することによって、境界部分を境に画像の角度が異なって見えるのを、容易に抑制することができる。
【0056】
また、第1実施形態では、上記のように、補正前における表示面11a上のY座標の値と補正前における表示面12a上のy座標の値とが同じである複数の画素を、運転者200から見て略一直線状に水平方向に延びるように配置されるように補正することによって、表示面11aと表示面12aとの境界部分を境に画像の角度が異なって見えるのを、より容易に抑制することができる。
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態による車両用表示装置の構成を示したブロック図である。図9は、図8に示した本発明の第2実施形態による車両用表示装置の表示部を示した平面図である。この第2実施形態では、図8および図9を参照して、上記第1実施形態と異なり、運転者200の頭部の位置を検知する位置検知センサ15と、表示部11(表示面11a)および表示部12(表示面12a)の取付角度(α1、α2)を検知する角度検知部16とを設ける場合について説明する。
【0057】
本発明の第2実施形態による車両用表示装置1aは、図8に示すように、表示部11および12と、車両用表示装置1a全体を制御する制御部13aと、画像形成IC14と、位置検知センサ15と、角度検知部16とを含んでいる。
【0058】
第2実施形態では、図9に示すように、表示部11(表示面11a)は、平面的に見て、運転者から表示部11および12に向かう方向(B1方向)に垂直な面S1に対する角度(取付角度)α1を変更することが可能に構成されている。また、表示部12(表示面12a)は、平面的に見て、面S1に対する角度(取付角度)α2を変更することが可能に構成されている。これにより、運転者から表示部11(表示面11a)および表示部12(表示面12a)をより見えやすくすることが可能である。
【0059】
位置検知センサ15(図8参照)は、運転者の頭部の位置を検知する機能を有する。なお、位置検知センサ15は、運転者の目の位置を検知するように構成されていてもよい。
【0060】
角度検知部16は、図8に示すように、表示部11および12に接続または取り付けられており、表示部11(表示面11a)の取付角度α1および表示部12(表示面12a)の取付角度α2を検知する機能を有する。
【0061】
制御部13aは、位置検知センサ15および角度検知部16にも接続されている。
【0062】
この制御部13aは、表示部11および12の取付位置と、位置検知センサ15によって検知された運転者の頭部の位置とに基づいて、運転者から表示部11および12に向かう方向(B1方向)と、B1方向に垂直な面S1と、運転者が表示部11および12を見る際の見下ろし角度とを算出する機能を有する。
【0063】
また、制御部13aは、運転者が表示部11および12を見る際の見下ろし角度と、角度検知部16によって検知された表示部11(表示面11a)の取付角度α1および表示部12(表示面12a)の取付角度α2とに基づいて、運転者から見た表示面11aの傾斜角度と、運転者から見た表示面12aの傾斜角度とを算出する機能を有する。
【0064】
なお、車両用表示装置1aに演算部を設け、演算部に上記の演算(算出)を行わせてもよい。
【0065】
また、第2実施形態では、画素(画像)は、角度検知部16によって検知された表示面11a(表示部11)の取付角度α1および表示面12a(表示部12)の取付角度α2と、運転者が表示部11および12を見る際の見下ろし角度とに基づいて補正される。
【0066】
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0067】
第2実施形態では、上記のように、表示面11aの角度(取付角度)α1および表示面12aの角度(取付角度)α2を検知する角度検知部16を設け、画素(画像)を、角度検知部16により検知された表示面11aの角度(取付角度)α1および表示面12aの角度(取付角度)α2に基づいて補正する。これにより、運転者200などが表示面11aおよび12aの取付角度(α1およびα2)を変更した場合にも、角度検知部16を用いて、表示面11aおよび12aの取付角度(α1およびα2)を容易に検知することができるので、表示面11aおよび12aの変更後の取付角度(α1およびα2)に基づいて、画素(画像)を容易に補正することができる。
【0068】
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0069】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0070】
例えば、上記実施形態では、車両用表示装置が、カーナビゲーション装置やカーテレビジョン受像機に用いられる場合について説明したが、本発明はこれに限らず、車両用表示装置を、カーナビゲーション装置やカーテレビジョン受像機以外の装置に用いてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、ユーザの一例として運転者を例に挙げたが、本発明はこれに限らず、ユーザは運転者以外の搭乗者であってもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、表示面11aを有する表示部11と、表示面12aを有する表示部12とを設けた例について示したが、本発明はこれに限らず、図10に示した本発明の変形例による車両用表示装置のように構成してもよい。すなわち、図10に示すように、電子ペーパーなどの湾曲可能な1つの表示部31を設け、表示部31を所定の位置で湾曲させることにより、表示部31の一方側の表示面31aと他方側の表示面31bとが互いに異なる方向を向くように構成してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、表示部11(表示面11a)および表示部12(表示面12a)が、180度よりも小さい角度だけ開いた状態になるように配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、表示部11(表示面11a)および表示部12(表示面12a)が、180度よりも大きい角度開いた状態になるように配置してもよい。
【0074】
また、上記第2実施形態では、運転者の頭部の位置を検知し、かつ、表示部の取付角度を検知するように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、運転者の頭部の位置または表示部の取付角度の一方を検知するように構成してもよい。具体的には、例えば、運転者の標準的な頭部の位置を予め設定しておくとともに、表示部の取付角度のみを検知してもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、表示部11(表示面11a)および表示部12(表示面12a)を、鉛直方向(上下方向)に延びるように配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、表示部11(表示面11a)および表示部12(表示面12a)を、鉛直方向に対して傾斜するように配置してもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、補正前における表示面11a上のY座標の値と補正前における表示面12a上のy座標の値とが同じである複数の画素を補正した場合、補正後の複数の画素が、運転者から見て略一直線状に水平方向に延びるように配置される例について示したが、本発明はこれに限らず、補正前における表示面11a上のY座標の値と補正前における表示面12a上のy座標の値とが同じである複数の画素を補正した場合に、補正後の複数の画素が運転者から見て略一直線状に配置されるのであれば、水平方向に延びるように配置されなくてもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、表示面11aおよび12aを、運転者から向かって左側および右側にそれぞれ配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、表示面11aおよび12aを、運転者から向かって上側および下側にそれぞれ配置してもよい。この場合、画像(画素)を、水平方向に沿って補正してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第1実施形態による車両用表示装置が車両に搭載されている様子を示した図である。
【図2】図1に示した車両用表示装置の構成を示したブロック図である。
【図3】図1に示した本発明の第1実施形態による車両用表示装置の表示部を示した平面図である。
【図4】図1に示した本発明の第1実施形態による車両用表示装置の表示部を示した側面図である。
【図5】図1に示した本発明の第1実施形態による車両用表示装置の表示部(表示面)を運転者から見た状態を示した図である。
【図6】図1に示した本発明の第1実施形態による車両用表示装置の画像の補正方法を説明するための図である。
【図7】図1に示した本発明の第1実施形態による車両用表示装置の表示部(表示面)に表示される画像を運転者から見た状態を示した図である。
【図8】本発明の第2実施形態による車両用表示装置の構成を示したブロック図である。
【図9】図8に示した本発明の第2実施形態による車両用表示装置の表示部を示した平面図である。
【図10】本発明の変形例による車両用表示装置の表示部を示した平面図である。
【図11】従来の一例による車両用表示装置の表示部(表示面)に表示される画像を運転者から見た状態を示した図である。
【符号の説明】
【0079】
1、1a 車両用表示装置
11 表示部(第1表示部)
11a 表示面(第1表示面)
12 表示部(第2表示部)
12a 表示面(第2表示面)
16 角度検知部
31 表示部
31a 表示面(第1表示面)
31b 表示面(第2表示面)
200 運転者(ユーザ)
α1、α2 角度(取付角度)
β 角度(見下ろし角度)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに異なる方向を向いた第1表示面および第2表示面を含む表示部を備え、
前記第1表示面および前記第2表示面は、所定の方向に沿って補正された画像を表示することを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記画像は、ユーザに対する前記第1表示面および前記第2表示面の取付角度と、前記ユーザが前記第1表示面および前記第2表示面を見る際の見下ろし角度とに基づいて補正されることを特徴とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記画像は、前記第1表示面と前記第2表示面との境界部分の延びる方向に沿って補正されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記画像は、複数の画素を含み、
前記第1表示面上における縦軸をY軸とし、前記第2表示面上における縦軸をy軸とした場合、
補正前における前記第1表示面上のY座標の値と補正前における前記第2表示面上のy座標の値とが同じである前記複数の画素は、ユーザから見て略一直線状に配置されるように補正されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記第1表示面上における横軸をX軸とし、前記第2表示面上における横軸をx軸とした場合、
前記第1表示面上のX座標の値がX1である各画素の補正量は、全て同じであり、
前記第1表示面上のX座標の値がX1である画素の補正量と、X座標の値がX2である画素の補正量とは異なり、
前記第2表示面上のx座標の値がx1である各画素の補正量は、全て同じであり、
前記第2表示面上のx座標の値がx1である画素の補正量と、x座標の値がx2である画素の補正量とは異なることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記第1表示面および前記第2表示面の取付角度を検知する角度検知部をさらに備え、 前記画像は、前記角度検知部により検知された前記第1表示面および前記第2表示面の取付角度に基づいて補正されることを特徴とする請求項2に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
前記表示部は、前記第1表示面を有する第1表示部と、前記第2表示面を有する第2表示部とを含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の車両用表示装置。
【請求項8】
カーナビゲーション装置またはカーテレビジョン受像機に用いられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の車両用表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−149654(P2010−149654A)
【公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−328985(P2008−328985)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】