説明

車両用駆動装置

【課題】ケースの大型化やコストの増大を抑制しつつ、掻き上げ部材により掻き上げられた潤滑液を、当該掻き上げ部材とは隔壁により隔てられた位置に供給することが可能な車両用駆動装置を実現する。
【解決手段】第二収容室S2に、少なくとも径方向Rに延びるとともに、第二回転電機12のロータ軸22の第一収容室S1側とは反対側の端部である対象端部13から支持軸受91に潤滑液を流通させる径方向流路71が形成され、第二回転電機12のロータ軸22が、隔壁61を貫通して配置されるとともに、第一収容室S1内に位置する部分に掻き上げ部材8aにより掻き上げられた潤滑液が供給される潤滑液被供給部14を備え、ロータ軸22の内部に、潤滑液被供給部14と第二収容室S2内に位置する対象端部13とを連通する軸内流路72が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、車輪に駆動連結される出力部材と、入力部材と第一回転電機と第二回転電機と出力部材との間で動力の伝達を行う動力伝達機構と、ケースと、を備えた車両用駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような車両用駆動装置として、例えば下記の特許文献1に記載された装置が既に知られている。以下、この背景技術の説明では、特許文献1の符号又は名称を適宜()内に記載して引用する。この特許文献1に記載の装置では、車両の被牽引時や内燃機関(エンジン)の停止時における駆動装置の潤滑を可能とすべく、出力部材の回転に伴い回転する掻き上げ部材(デフリングギヤ51)を利用した潤滑液の供給機構を備えている。
【0003】
具体的には、特許文献1の構成では、当該特許文献1の段落0019,0021及び図6に示されているように、掻き上げ部材が収容される収容室と潤滑液を必要とする部位(ブレーキ6の摩擦材)が収容される収容室とを区画する隔壁(端壁94)に開口部(94a)が形成されるとともに、当該開口部から軸方向にケース(9A,9B)の端部まで延びる専用の部材(樋90a,90b)が設けられる。これらの開口部及び専用の部材を利用することで、掻き上げ部材により掻き上げられた潤滑液を、当該掻き上げ部材とは隔壁により隔てられた位置(ブレーキ6)に供給することが可能となっている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成では、隔壁を挟んだ両側の収容室間での潤滑液の授受のための軸方向に延びる専用の部材を設ける必要があり、ケースが大型化したり製造コストが増大したりするおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−83471号公報(段落0019、0021、図6等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、ケースの大型化やコストの増大を抑制しつつ、掻き上げ部材により掻き上げられた潤滑液を、当該掻き上げ部材とは隔壁により隔てられた位置に供給することが可能な車両用駆動装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る内燃機関に駆動連結される入力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、車輪に駆動連結される出力部材と、前記入力部材と前記第一回転電機と前記第二回転電機と前記出力部材との間で動力の伝達を行う動力伝達機構と、ケースと、を備えた車両用駆動装置の特徴構成は、前記第二回転電機のロータ軸は、前記第一回転電機のロータ軸より上方に配置され、前記動力伝達機構は、前記出力部材の回転に伴い回転するとともに、回転時に前記ケース内に貯留された潤滑液を掻き上げる掻き上げ部材を備え、前記ケースは、ケース内空間を前記第二回転電機の軸方向に区画して、前記掻き上げ部材が収容される第一収容室と、前記第一回転電機及び前記第二回転電機が収容される第二収容室とを形成する隔壁を備え、前記第一回転電機のロータ本体に対して前記軸方向における前記隔壁とは反対側に、当該第一回転電機のロータ軸を支持する支持軸受が設けられ、前記第二収容室に、少なくとも前記第二回転電機の径方向に延びるとともに、前記第二回転電機のロータ軸の前記第一収容室側とは反対側の端部である対象端部から前記支持軸受に潤滑液を流通させる径方向流路が形成され、前記第二回転電機のロータ軸が、前記隔壁を貫通して配置されるとともに、前記第一収容室内に位置する部分に前記掻き上げ部材により掻き上げられた潤滑液が供給される潤滑液被供給部を備え、前記第二回転電機のロータ軸の内部に、前記潤滑液被供給部と前記第二収容室内に位置する前記対象端部とを連通する軸内流路が形成されている点にある。
【0008】
本願において、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を指し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば摩擦係合要素や噛み合い式係合要素等が含まれていてもよい。なお、「駆動力」は「トルク」と同義で用いている。
また、本願において、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
【0009】
上記の特徴構成によれば、第一収容室から当該第一収容室とは隔壁により隔てられた第二収容室に対して、第二回転電機のロータ軸(以下、「第二ロータ軸」という。)の内部に形成された軸内流路を介して潤滑液を供給することができる。すなわち、第二回転電機を構成する既存の部品である第二ロータ軸を有効に利用して、第一収容室から第二収容室へ潤滑液を供給することができる。この際、軸内流路は、第二ロータ軸として例えば軸方向に延びる孔が形成された中空軸を採用することで形成することができるため、軸内流路を備える構成とすることによるコストの増大やケースの径方向における大型化は低く抑えることが可能である。
そして、上記の特徴構成では、この軸内油路は、掻き上げ部材により掻き上げられた潤滑液が供給される潤滑液被供給部と、支持軸受に対して径方向流路を介して潤滑液を供給可能な部位である対象端部とを連通しているため、掻き上げ部材により掻き上げられた潤滑液は、軸内油路を介して支持軸受に供給され、当該支持軸受の潤滑が行われる。この際、第二ロータ軸が第一回転電機のロータ軸(以下、「第一ロータ軸」という。)よりも上方に配置されているため、重力を利用した簡素な構成で、潤滑液を径方向流路に沿って下流側(支持軸受側)に流すことが可能である。
このように、上記の特徴構成によれば、ケースの大型化やコストの増大を抑制しつつ、掻き上げ部材により掻き上げられた潤滑液を、当該掻き上げ部材とは隔壁により隔てられた位置に配置された支持軸受に供給することが可能となる。
【0010】
ここで、前記第二回転電機のロータ本体に対して前記軸方向における前記隔壁とは反対側に、当該第二回転電機のロータ軸を支持する第二支持軸受が設けられ、前記径方向流路が、前記第二支持軸受にも潤滑液を流通させるように形成されていると好適である。
【0011】
この構成によれば、掻き上げ部材により掻き上げられた潤滑液を、共通の流路である径方向流路を介して、第一ロータ軸を支持する支持軸受だけでなく、第一ロータ軸とは異なる軸上に配置された第二ロータ軸を支持する支持軸受(第二支持軸受)にも供給することができる。よって、それぞれの支持軸受に対して専用の供給流路を設ける場合に比べて、コストの増大やケースの大型化を抑制することができる。
また、径方向流路の潤滑液の供給先を複数の支持軸受とすることで、掻き上げ部材による潤滑液の掻き上げ量が過大になった場合であっても、各支持軸受に供給される潤滑液が適切な量に抑えられる構成、すなわち、各支持軸受において過大な引き摺り損失が発生しない構成とするのが容易となる。
【0012】
また、前記支持軸受が第一支持軸受であり、前記第二回転電機のロータ本体に対して前記軸方向における前記隔壁とは反対側に、当該第二回転電機のロータ軸を支持する第二支持軸受が設けられ、前記ケースは、前記第二収容室の前記軸方向における前記隔壁とは反対側を区画する端壁を備え、前記端壁が、前記第一支持軸受及び前記第二支持軸受を支持するとともに、当該端壁に前記径方向流路が形成されていると好適である。
【0013】
この構成によれば、径方向流路の潤滑液の供給先である第一支持軸受、或いは第一支持軸受及び第二支持軸受の双方が、当該径方向流路が形成される端壁に支持されるため、径方向流路の構成を簡素なものとすることができ、ケースの大型化やコストの増大をより確実に抑制することができる。
【0014】
上記のように、前記ケースが、前記第一支持軸受及び前記第二支持軸受が支持されるとともに前記径方向流路が形成された前記端壁を備える構成において、前記入力部材と前記第一回転電機のロータ軸とが同軸状に配置され、前記入力部材の回転により動作するポンプと、前記端壁に対して前記第二収容室の内部側から取り付けられるとともに当該端壁との間に前記ポンプのロータを収容するポンプ室を形成するポンプカバーと、を更に備え、前記第一支持軸受が、前記ポンプカバーに支持されるとともに、前記径方向流路の一部が、前記端壁と前記ポンプカバーとの接合部に沿って形成されていると好適である。
【0015】
この構成によれば、第一支持軸受がポンプカバーに支持されるため、軸方向における端壁と第一ロータ軸との間に、ポンプ室を形成するポンプカバーが配置された構成とすることができる。よって、ポンプを駆動する入力部材と第一ロータ軸とが同軸状に配置された構成を容易に実現することができる。
また、径方向流路の一部が端壁とポンプカバーとの接合部に沿って形成されるため、当該接合部における端壁の合わせ面及びポンプカバーの合わせ面の少なくとも一方に凹溝を設けるだけで、径方向流路の当該一部を形成することができる。よって、端壁又はポンプカバーへの穴あけ加工により径方向流路の当該一部を形成する場合に比べ、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0016】
また、上記のように、前記ケースが、前記第一支持軸受及び前記第二支持軸受が支持されるとともに前記径方向流路が形成された前記端壁を備える構成において、前記端壁の内面に、前記第二回転電機の周方向の一方側を向くとともに少なくとも前記径方向に延びる段差面を備えた段差部が形成され、前記径方向流路の一部が、前記段差部により形成されていると好適である。
【0017】
この構成によれば、重力や表面張力を利用して潤滑液を段差部の延在方向に沿って流すことができるため、径方向流路の構成を簡素なものとしつつ、潤滑液を適切に支持軸受に供給することが可能となる。
また、径方向流路の一部を段差部により形成することで、掻き上げ部材による潤滑液の掻き上げ量が過大になった場合であっても、特別な構成を設けることなく、余剰な潤滑液を段差部から径方向流路の外部へ流出させることができる。よって、支持軸受に過剰な量の潤滑液が供給されることを抑制でき、過大な引き摺り損失が支持軸受で発生するのを容易かつ確実に抑制することができる。
【0018】
上記各構成の車両用駆動装置において、前記第一回転電機のステータと前記第二回転電機のステータとが、前記径方向視で重複する部分を有するように配置されていると好適である。
【0019】
本願において、2つの部材の配置に関して、「径方向視で重複する部分を有する」とは、当該径方向を視線方向として当該視線方向に直交する各方向に視点を移動させた場合に、2つの部材が重なって見える視点が少なくとも一部の領域に存在することを指す。
【0020】
上記のような構成では、第一回転電機と第二回転電機とが径方向視で重複する分だけ、これらが占有する空間の軸方向長さを短縮することができる。よって、軸方向長さを小さくすることが求められる車両用の駆動装置に適した配置構成となっている。一方、このような配置構成では、第一回転電機及び第二回転電機が占有する空間の径方向の大きさは、概ね第一回転電機及び第二回転電機の双方の直径を合わせた大きさとなる。そのため、このような構成では、他の部品の配置や構成に関してケースの径方向の短縮化が図られていることが好ましい。この点に関し、本発明に係る車両用駆動装置によれば、上述したように、第一収容室から第二収容室へ潤滑液を供給するための機構が、ケースの径方向における大型化を抑制して実現可能となっており、上記のような構成に適した発明となっている。
【0021】
また、上記各構成の車両用駆動装置において、少なくとも第一回転要素、第二回転要素、及び第三回転要素の3つの回転要素を備えた差動歯車機構を更に備え、前記3つの回転要素に関して互いに他の回転要素を介することなく、前記第一回転要素に前記第一回転電機が駆動連結され、前記第二回転要素に前記入力部材が駆動連結され、前記第三回転要素に前記第二回転電機及び前記出力部材が駆動連結されていると好適である。
【0022】
この構成によれば、内燃機関を停止した状態で第二回転電機のトルクを出力部材に伝達して車輪を駆動する電動走行モードを実現することができる。そして、上記の構成によれば、内燃機関により駆動されるポンプのみが備えられている場合であっても、電動走行モードの実行中に、掻き上げ部材により掻き上げられた潤滑液を支持軸受に供給して当該支持軸受を適切に潤滑することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用駆動装置を軸方向に沿って切断した部分断面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1におけるIII−III断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車両用駆動装置の全体構成を示すスケルトン図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る車両用駆動装置の実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態に係る車両用駆動装置1(以下、単に「駆動装置」という。)は、図4に示すように、内燃機関2と2個の回転電機(第一回転電機11及び第二回転電機12)とを車輪5の駆動力源として備えた、いわゆる2モータスプリットタイプのハイブリッド車両に用いる駆動装置とされている。すなわち、この駆動装置1は、内燃機関2に駆動連結される入力軸3と、第一回転電機11及び第二回転電機12と、車輪5に駆動連結される出力軸4と、入力軸3と第一回転電機11と第二回転電機12と出力軸4との間で動力の伝達を行う動力伝達機構100と、ケース60(図1参照)と、を備えている。
【0025】
本実施形態では、入力軸3が本発明における「入力部材」に相当し、出力軸4が本発明における「出力部材」に相当する。なお、以下の説明では、特に断らない限り、「軸方向L」、「周方向C」、「径方向R」は、第二回転電機12の軸心(第二軸A2、図1及び図2参照)を基準として定義している。また、「軸第一方向L1」は、軸方向Lに沿って第一収容室S1から第二収容室S2側へ向かう方向(隔壁61から端壁62側へ向かう方向、図1における左方向)を表し、「軸第二方向L2」は、軸方向Lに沿って第二収容室S2から第一収容室S1側へ向かう方向(端壁62から隔壁61側へ向かう方向、図1における右方向)を表す。
【0026】
また、以下の説明では、特に断らない限り、「上」及び「下」は、駆動装置1の車両への搭載状態での鉛直方向V(図2、図3参照)を基準として定義している。なお、各部材についての方向は、当該各部材が駆動装置1に組み付けられた状態での方向を表す。ここで、各部材についての方向や、2つの部材間の配置方向の関係(例えば、「平行」や「直交」等)は、製造上の誤差に応じたずれを含む概念として用いている。このような製造上の誤差は、例えば、寸法や取り付け位置の公差の範囲内のずれにより生じる。
【0027】
この駆動装置1は、車両の被牽引時や内燃機関2の停止時における各部の潤滑を可能とすべく、出力軸4の回転に伴い回転する差動入力ギヤ8a(図3参照)を利用した潤滑液の供給機構を備えている。そして、この駆動装置1では、差動入力ギヤ8aが配置された第一収容室S1から、第一収容室S1とは隔壁61により隔てられた第二収容室S2に対して潤滑液を供給すべく、第二回転電機12を構成する既存の部品である第二ロータ軸22を利用して潤滑液の供給機構を構成している。これにより、ケース60の大型化やコストの増大を抑制しつつ、差動入力ギヤ8aとは隔壁61により隔てられた位置に配置された部材に対して潤滑液を供給することが可能となっている。以下、本実施形態に係る駆動装置1の構成について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する各図面は、本願発明の理解に必要な構成を模式的に示したものであり、一部の構成を適宜省略し、或いは一部の構成を適宜簡略化して示している。
【0028】
1.駆動装置の全体の概略構成
まず、本実施形態に係る駆動装置1の全体構成について説明する。図4に示すように、駆動装置1は、車輪5の駆動力源として、内燃機関2と、2個の回転電機(第一回転電機11及び第二回転電機12)と、を備えたハイブリッド車両に用いるための駆動装置とされている。そして、この駆動装置1は、入力軸3と、第一回転電機11と、第二回転電機12と、車輪5に駆動連結される出力軸4と、動力伝達機構100と、ケース60と、を備えている。動力伝達機構100は、入力軸3と第一回転電機11と第二回転電機12と出力軸4とを駆動連結し、これらの間で動力の伝達を行う機構である。本実施形態では、動力伝達機構100は、遊星歯車機構6、カウンタギヤ機構7、差動入力ギヤ8aを備える出力用差動歯車機構8、第一ロータ軸21、第二ロータ軸22、第二回転電機出力ギヤ20を有して構成されている。また、本実施形態では、ケース60は、動力伝達機構100、第一回転電機11、及び第二回転電機12を収容するように構成されている。
【0029】
入力軸3は、内燃機関2に駆動連結される。ここで、内燃機関2は、燃料の燃焼により動力を出力する原動機であり、例えば、ガソリンエンジン等の火花点火機関やディーゼルエンジン等の圧縮着火機関等を用いることができる。本例では、入力軸3は、内燃機関2のクランクシャフト等の内燃機関出力軸に直接駆動連結されている。なお、入力軸3が、ダンパやクラッチ等を介して内燃機関出力軸に駆動連結された構成としても好適である。
【0030】
第一回転電機11は、ケース60に固定されたステータ11bと、当該ステータ11bの径方向(第一軸A1を基準とする径方向)内側に回転自在に支持されたロータ本体11aと、を有している。第一回転電機11のロータ本体11aは、第一ロータ軸21に固定され、当該第一ロータ軸21を介して遊星歯車機構6のサンギヤ6aと一体回転するように駆動連結されている。また、ステータ11bは、当該ステータ11bに巻装されたコイルが形成するコイルエンド部11cを備えている。本実施形態では、第一ロータ軸21が本発明における「第一回転電機のロータ軸」に相当する。
【0031】
第二回転電機12は、ケース60に固定されたステータ12bと、当該ステータ12bの径方向R内側に回転自在に支持されたロータ本体12aと、を有している。第二回転電機12のロータ本体12aは、第二ロータ軸22に固定され、当該第二ロータ軸22を介して第二回転電機出力ギヤ20と一体回転するように駆動連結されている。また、ステータ12bは、当該ステータ12bに巻装されたコイルが形成するコイルエンド部12cを備えている。本実施形態では、第二ロータ軸22が、本発明における「第二回転電機のロータ軸」に相当する。
【0032】
図1及び図2に示すように、第二回転電機12は、第一回転電機11とは異なる軸上に配置されている。そして、第二ロータ軸22は、第一ロータ軸21より上方に配置されている。本実施形態では、第一回転電機11のステータ11bと第二回転電機12のステータ12bとが、径方向R視で重複する部分を有するように配置されている。具体的には、図1に示すように、本例では、第一回転電機11のステータ11bにおけるコイルエンド部11cを除く部分(ステータコア)と、第二回転電機12のステータ12bにおけるコイルエンド部12cを除く部分(ステータコア)とが、径方向R視で重複する部分を有するように配置されている。
【0033】
そして、第一回転電機11及び第二回転電機12のそれぞれは、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能とを果たすことが可能とされている。そのため、第一回転電機11及び第二回転電機12のそれぞれは、図示しない蓄電装置と電気的に接続されている。この蓄電装置としては、バッテリやキャパシタ等の公知の各種の蓄電装置を用いることができる。
【0034】
図4に示すように、本実施形態では、第一回転電機11は、主に遊星歯車機構6を介して入力される入力軸3(内燃機関2)のトルクにより発電を行い、蓄電装置を充電し、或いは第二回転電機12を駆動するための電力を供給するジェネレータとして機能する。また、第二回転電機12は、主に車両を走行させるための駆動力を発生するモータとして機能する。但し、車両の高速走行時や内燃機関2の始動時等には、第一回転電機11は力行して駆動力を発生するモータとして機能する場合がある。また、車両の減速時等には、第二回転電機12は車両の慣性力を電気エネルギとして回生するジェネレータとして機能する場合がある。
【0035】
遊星歯車機構6は、本実施形態では、入力軸3と同軸上に配置されたシングルピニオン型の遊星歯車機構とされている。すなわち、遊星歯車機構6は、複数のピニオンギヤを支持するキャリヤ6bと、ピニオンギヤにそれぞれ噛み合うサンギヤ6a及びリングギヤ6cと、の3つの回転要素を有している。
【0036】
なお、リングギヤ6cは、カウンタギヤ機構7を介して第二回転電機12に駆動連結されているとともに、カウンタギヤ機構7及び出力用差動歯車機構8を介して出力軸4に駆動連結されている。よって、本実施形態では、遊星歯車機構6が備える3つの回転要素に関して互いに他の回転要素を介することなく、サンギヤ6aに第一回転電機11(第一ロータ軸21)が駆動連結され、キャリヤ6bに入力軸3が駆動連結され、リングギヤ6cに第二回転電機12及び出力軸4が駆動連結されている。本実施形態では、遊星歯車機構6が本発明における「差動歯車機構」に相当し、サンギヤ6a、キャリヤ6b、及びリングギヤ6cが、それぞれ本発明における「第一回転要素」、「第二回転要素」、及び「第三回転要素」に相当する。
【0037】
遊星歯車機構6が有する上記3つの回転要素は、回転速度の順にサンギヤ5a、キャリヤ5b、及びリングギヤ5cとなっている。なお、「回転速度の順」は、高速側から低速側へ向かう順、又は低速側から高速側へ向かう順のいずれかであり、遊星歯車機構6の回転状態によりいずれともなり得るが、いずれの場合にも回転要素の順は変わらない。
【0038】
遊星歯車機構6は、入力軸3に伝達される内燃機関2のトルクを第一回転電機11とリングギヤ6c(カウンタドライブギヤ24)とに分配して伝達する動力分配装置として機能する。遊星歯車機構6においては、回転速度の順で中間となるキャリヤ6bに入力軸3が駆動連結される。また、回転速度の順で一方側となるサンギヤ6aには第一ロータ軸21を介して第一回転電機11のロータ本体11aが駆動連結されている。本実施形態に係る駆動装置1では、回転速度の順で中間となるキャリヤ6bに入力軸3を介して内燃機関2の正方向のトルクが伝達され、回転速度の順で一方側となるサンギヤ6aに第一回転電機11が出力する負方向のトルクが伝達される。第一回転電機11の負方向のトルクは内燃機関2のトルクの反力として機能し、これにより、遊星歯車機構6は、入力軸3を介してキャリヤ6bに伝達される内燃機関2のトルクの一部を第一回転電機11に分配し、内燃機関2のトルクに対して減衰されたトルクを、回転速度の順で他方側となるリングギヤ6cに伝達する。なお、リングギヤ6cは、図4に示すようにカウンタドライブギヤ24と一体回転するように駆動連結されている。
【0039】
図4に示すように、カウンタギヤ機構7は、カウンタドライブギヤ24の回転方向を逆転させると共に、当該カウンタドライブギヤ24から伝達されるトルクを車輪5側の出力用差動歯車機構8へ伝達する。このカウンタギヤ機構7は、カウンタ第一ギヤ7aと、カウンタ第二ギヤ7bと、これらが一体回転するように連結するカウンタ軸7cと、を有して構成されている。カウンタ第一ギヤ7aはカウンタドライブギヤ24に噛み合っている。また、カウンタ第一ギヤ7aは、カウンタドライブギヤ24とは周方向(第三軸A3を基準とする周方向)の異なる位置で第二回転電機出力ギヤ20にも噛み合っている。カウンタ第二ギヤ7bは、出力用差動歯車機構8の差動入力ギヤ8aに噛み合っている。従って、カウンタギヤ機構7は、カウンタドライブギヤ24及び第二回転電機出力ギヤ20の回転方向を逆転させると共に、カウンタドライブギヤ24に伝達されるトルク及び第二回転電機出力ギヤ20に伝達されるトルクを出力用差動歯車機構8へ伝達する。
【0040】
出力用差動歯車機構8は、差動入力ギヤ8aを有し、当該差動入力ギヤ8aに伝達されるトルクを複数の車輪5に分配して伝達する。本例では、出力用差動歯車機構8は、互いに噛み合う複数の傘歯車を用いた差動歯車機構とされており、カウンタギヤ機構7のカウンタ第二ギヤ7bを介して差動入力ギヤ8aに伝達されるトルクを2つの出力軸4に分配し、当該出力軸4を介して左右2つの車輪5に伝達する。なお、この際、出力用差動歯車機構8はカウンタ第二ギヤ7bの回転方向を逆転させて車輪5に伝達する。これにより、駆動装置1は、前進走行時には、入力軸3(内燃機関2)の回転方向と同方向に車輪5を回転させると共に、入力軸3(内燃機関2)及び第二回転電機12と同方向のトルクを車輪5に伝達して車両を走行させる。本実施形態では、差動入力ギヤ8aが本発明における「掻き上げ部材」に相当する。
【0041】
なお、出力用差動歯車機構8は、差動入力ギヤ8aと出力軸4とを常時駆動連結するように構成されているため、差動入力ギヤ8aは、出力軸4の回転に伴い回転する。そして、この差動入力ギヤ8aは、後述するように、回転時にケース60内に貯留された潤滑液を掻き上げるように構成されている(図3参照)。このように、動力伝達機構100が備える出力用差動歯車機構8は、出力軸4の回転に伴い回転するとともに、回転時にケース60内に貯留された潤滑液を掻き上げる差動入力ギヤ8aを備えている。
【0042】
本実施形態に係る駆動装置1は、図3に示すように、入力軸3、遊星歯車機構6、及び第一回転電機11が配置される第一軸A1、第二回転電機12が配置される第二軸A2、カウンタギヤ機構7が配置される第三軸A3、及び出力用差動歯車機構8が配置される第四軸A4をそれぞれ別に備えた四軸構成とされている。そして、第一軸A1、第二軸A2、第三軸A3、及び第四軸A4は、互いに平行に配置されている。このように、本実施形態では、第一回転電機11と第二回転電機12とは、互いに異なる軸であって互いに平行な軸上に配置されており、第一ロータ軸21と第二ロータ軸22とは、互いに平行に配置されている。また、上述したように、第二ロータ軸22(第二軸A2)は、第一ロータ軸21(第一軸A1)よりも上方に配置されている。また、図4に示すように、入力軸3は、第一回転電機11と同軸状、すなわち、第一ロータ軸21と同軸状に配置されている。
【0043】
そして、本実施形態に係る駆動装置1は、内燃機関2と回転電機11、12の双方の出力トルクにより走行するハイブリッド走行モードと、内燃機関2を停止した状態で、第二回転電機12のトルクを出力軸4に伝達して車輪5を駆動するEV(電動)走行モードと、を選択可能に備えている。ハイブリッド走行モードでは、上述したように、遊星歯車機構6により、内燃機関2のトルクが第一回転電機11とリングギヤ6cとに分配される状態となる。一方、EV走行モードにおいては、内燃機関2は停止状態とされ、更に、内燃機関2の内部の摩擦力により内燃機関出力軸(入力軸3)の回転速度もゼロとなる。
【0044】
また、図1に示すように、本実施形態に係る駆動装置1は、入力軸3の回転により動作する機械式ポンプであるポンプ10を備えている。本実施形態では、潤滑液は潤滑に加えて冷却にも用いられる潤滑冷却液(例えばオイル等)とされており、ポンプ10は、駆動装置1を構成する部材の潤滑及び冷却の双方のために必要な液圧を発生するように構成されている。ポンプ10は、図4に示すように、入力軸3と一体回転するポンプ駆動軸10aを介して内燃機関2に駆動連結されており、内燃機関2のトルクにより駆動される。なお、ポンプ10としては、インナロータとアウタロータとを有する内接歯車型ポンプが好適に用いられる。なお、外接歯車型ポンプやベーンポンプ等を用いても好適である。
【0045】
上記のようなポンプ10を備えることで、内燃機関2が動作中であって入力軸3が回転している状態では、ポンプ10により潤滑液を循環させることができる。一方、内燃機関2が停止している状態では、入力軸3の回転も停止しているため、ポンプ10は動作しない。そこで、この駆動装置1では、詳細は後述するが、車両の走行時には必ず回転する出力軸4の回転を利用する構成を備えている。具体的には、出力軸4の回転に伴い回転する掻き上げ部材(本例では、差動入力ギヤ8a)によって掻き上げられた潤滑液を、潤滑液を必要とする部位に供給する機構を備えている。これにより、EV走行モード中や、車両の被牽引中等のように、内燃機関2が停止中であって入力軸3の回転が停止している状態でも、適切に潤滑を行うことが可能となっている。
【0046】
2.駆動装置の要部の具体的構成
次に、本実施形態に係る駆動装置1の要部の具体的構成について、図1〜図3を用いて説明する。図1に示すように、駆動装置1は、少なくとも動力伝達機構100が備える各部材(図4参照)を収容するケース60を備えている。本実施形態では、ケース60は、動力伝達機構100に加えて、第一回転電機11及び第二回転電機12を収容し、更には、入力軸3の少なくとも一部及び出力軸4の少なくとも一部も収容するように構成されている。
【0047】
ケース60は、当該ケース60の内部に形成されるケース内空間Sを軸方向Lに区画する隔壁61を備えている。そして、この隔壁61により、ケース内空間Sは、差動入力ギヤ8aを備える出力用差動歯車機構8、遊星歯車機構6、及びカウンタギヤ機構7が収容される第一収容室S1と、第一回転電機11及び第二回転電機12が収容される第二収容室S2とに区画されている。すなわち、ケース内空間Sには、第一収容室S1と第二収容室S2とが形成されている。また、ケース60は、第二収容室S2の軸方向Lにおける隔壁61とは反対側を区画する端壁62を備えている。本実施形態では、隔壁61及び端壁62の双方は、径方向R及び周方向Cに延びる形状を有している。
【0048】
図1及び図3に示すように、第一収容室S1の上部には、差動入力ギヤ8aにより掻き上げられた潤滑液を受け止める潤滑液受け部90が設けられている。図3に示すように、差動入力ギヤ8aは、第一収容室S1の下部に貯留された潤滑液を掻き上げることが可能な位置に配置されている。そして、差動入力ギヤ8aにより掻き上げられた潤滑液は、ケース60の内面を伝う等して潤滑受け部90に供給される。本実施形態では、潤滑液受け部90は、潤滑液を受け止めて貯留するオイルキャッチタンクとして構成されている。
【0049】
具体的には、図3に示すように、潤滑液受け部90は、第二ロータ軸22より上方に配置されており、差動入力ギヤ8aにより掻き上げられた潤滑液を導き入れるための開口部90aを有している。また、ケース60には潤滑液受け部90と第二ロータ軸22の内部に形成された軸内流路72(後述する)とを連通するための連通流路87が設けられており、潤滑液受け部90には当該連通流路87が開口している。本実施形態では、図1に示すように、連通流路87は、ケース60の壁内に形成された孔部により形成されている。なお、連通流路87を、ケース60の壁面に形成された溝等や、或いはケース60内に配置された管状部材や樋状部材により形成することも可能である。
【0050】
図1に示すように、端壁62には、第二収容室S2の内部側から、ポンプ10が備えるポンプカバー40が取り付けられている。このポンプカバー40は、径方向R及び周方向Cに延びる形状を有している。そして、ポンプカバー40と端壁62との間に、ポンプ10のロータであるポンプロータ10bを収容するポンプ室10cが形成されている。上記のように、ポンプ10は、入力軸3の回転により動作する機械式ポンプである。そのため、ポンプロータ10bには、入力軸3に駆動連結されたポンプ駆動軸10aが固定されている。なお、ポンプ駆動軸10aは、ポンプカバー40に設けられた軸方向(第一軸A1の軸方向)の貫通孔を貫通するように配置されており、ポンプ室10c内に位置するポンプ駆動軸10aの先端側部分に、ポンプロータ10bが固定されている。
【0051】
本実施形態では、ポンプ駆動軸10aは、入力軸3と一体回転するように駆動連結されているとともに、入力軸3と同軸状に配置されている。また、上記のように、入力軸3は、第一ロータ軸21とも同軸状に配置されている。このような配置構成を実現すべく、本実施形態では、図1に示すように、第一ロータ軸21を、径方向(第一軸A1を基準とする径方向)の内側が中空の円筒状部材により構成し、当該中空の部分にポンプ駆動軸10aが配置される構成を採用している。なお、ポンプ駆動軸10aは、第一ロータ軸21に対して相対回転可能に配置されている。
【0052】
また、本実施形態では、ポンプ駆動軸10aの内部に軸内流路が形成されており、ポンプ10から吐出された潤滑液の一部は、この軸内流路に供給される。そして、この軸内流路を介して、ポンプ10から吐出された潤滑液が遊星歯車機構6に対して径方向(第一軸A1を基準とする径方向)の内側から供給される構成となっている。
【0053】
第二収容室S2の内部には、第一回転電機11のロータ本体11aに対して軸第一方向L1側に、第一ロータ軸21を支持する第一支持軸受91が設けられている。本実施形態では、第一支持軸受91は、第一回転電機11のロータ本体11aに対して軸第一方向L1側にある端壁62に、ポンプカバー40を介して支持されている。具体的には、端壁62に取り付けられているポンプカバー40は、第二収容室S2側に突出するように形成された支持突部40aを一体的に備えている。ここで、支持突部40aは、第一ロータ軸21の軸心と同軸の円筒状に形成されている。そして、この支持突部40aの内周面に、第一支持軸受91が配置されている。このように、本実施形態では、第一支持軸受91は、ポンプカバー40に支持されることで、端壁62に間接的に支持されている。
【0054】
第一ロータ軸21は、第一支持軸受91によって、径方向(第一軸A1の径方向)外側から端壁62に対して回転可能に支持されている。本例では、第一支持軸受91は、外輪、内輪、及び転動体(図1に示す例では玉)を備えたころがり軸受とされている。本実施形態では、第一支持軸受91が本発明における「支持軸受」に相当する。
【0055】
なお、本例では、第一ロータ軸21は、隔壁61を貫通するように配置されており、隔壁61における第一ロータ軸21の貫通部位に、第一ロータ軸21を径方向(第一軸A1の径方向)の外側から支持する第四支持軸受94(本例ではころがり軸受)が設けられている。
【0056】
また、第二収容室S2の内部には、第二回転電機12のロータ本体12aに対して軸第一方向L1側に、第二ロータ軸22を支持する第二支持軸受92が設けられている。本実施形態では、第二支持軸受92は、第二回転電機12のロータ本体12aに対して軸第一方向L1側にある端壁62に、直接支持されている。そして、第二ロータ軸22は、第二支持軸受92によって、径方向R外側から端壁62に対して回転可能に支持されている。本例では、第二支持軸受92は、外輪、内輪、及び転動体(図1に示す例では玉)を備えたころがり軸受とされている。
【0057】
第二ロータ軸22は、図1に示すように、隔壁61を貫通するように配置されている。第二ロータ軸22は、第一収容室S1の内部に設けられた第三支持軸受93(本例ではころがり軸受)によって、径方向R外側からケース60に対して回転可能に支持されている。そして、第二ロータ軸22の第一収容室S1内に位置する部分に、差動入力ギヤ8aにより掻き上げられた潤滑液が供給される潤滑液被供給部14が設けられている。具体的には、上記のように、ケース60には連通流路87が形成されており、連通流路87の潤滑液受け部90とは反対側の端部が、第二ロータ軸22の軸第二方向L2側の端部の近傍で開口している。そして、後述するように、第二ロータ軸22は、中空の円筒状に形成されており、第二ロータ軸22の軸第二方向L2側の開口部に、潤滑液受け部90から連通流路87に流れた潤滑液が供給されるように構成されている。すなわち、第二ロータ軸22の軸第二方向L2側の開口部が、潤滑液被供給部14となっている。
【0058】
また、隔壁61における第二ロータ軸22の貫通部位には、第二ロータ軸22を径方向R外側から支持する軸受(本例ではころがり軸受)が設けられている。なお、本実施形態では、第二ロータ軸22は、第二支持軸受92により軸第一方向L1側から支持されるとともに第二収容室S2内に位置する第一軸部22aと、第三支持軸受93により軸第二方向L2側から支持されるとともに大部分が第一収容室S1内に位置する第二軸部22bとが、互いに軸方向に結合(本例ではスプライン結合)されて構成されている。そのため、本実施形態では、隔壁61における第二ロータ軸22の貫通部位には、第一軸部22aを支持する第五支持軸受95と、第二軸部22bを支持する第六支持軸受96とが軸方向に隣接して配置されている。なお、図1に示すように、第二軸部22bには第二回転電機出力ギヤ20が一体的に形成されている。
【0059】
第二ロータ軸22は、径方向Rの内側が中空の円筒状に形成されており、当該中空の部分が軸内流路72として機能するように構成されている。本実施形態では、上記のように、第二ロータ軸22は、第一軸部22aと第二軸部22bとが互いに結合されて構成されており、第一軸部22aと第二軸部22bとのそれぞれが中空の円筒状に形成されているとともに、それぞれの中空部分が軸方向に連通している。これにより、第二ロータ軸22に形成される軸内流路72は、軸第二方向L2側の端部である潤滑液被供給部14と、第一収容室S1内に位置する軸第一方向L1側の端部(以下、「対象端部13」という。)とを連通するように構成され、差動入力ギヤ8aにより掻き上げられた潤滑液は、潤滑液受け部90、連通流路87、軸内流路72を介して、第二ロータ軸22の対象端部13に供給される。なお、図1に示すように、対象端部13と端壁62との間には、潤滑液を一時的に貯留するための軸端室83が形成されている。
【0060】
そして、第二収容室S2の内部には、第二ロータ軸22の第一収容室S1側とは反対側(軸第一方向L1側)の端部である対象端部13から、第一支持軸受91に潤滑液を流通させるための径方向流路71が形成されている。本例では、第二ロータ軸22は、上記のように第一軸部22aと第二軸部22bとを備え、第一軸部22aの隔壁61とは反対側の端部が対象端部13とされている。なお、径方向流路71に対する潤滑液の供給元である対象端部13と、径方向流路71の潤滑液の供給先である第一支持軸受91は、径方向Rに異なる位置に配置されているため、径方向流路71は、少なくとも径方向Rに延びるように形成される。
【0061】
本実施形態では、図1に示すように、径方向流路71は端壁62に形成されている。具体的には、径方向流路71は、図1及び図2に示すように、第一段差部81と、第二段差部82と、接合部流路86とを備えて構成されている。すなわち、本実施形態では、径方向流路71の一部が、第一段差部81及び第二段差部82により形成されているとともに、径方向流路71の別の一部が接合部流路86により形成されている。本実施形態では、図2に示すように、第一段差部81と第二段差部82とは、第二軸A2の径方向(すなわち径方向R)に延びるように形成され、接合部流路86は、第一軸A1の径方向に延びるように形成されている。本実施形態では、第一段差部81及び第二段差部82が、本発明における「段差部」を構成している。
【0062】
これらの第一段差部81及び第二段差部82は、端壁62の内面に形成されており、周方向Cの一方側を向くとともに少なくとも径方向Rに延びる段差面を備えるように構成されている。具体的には、本実施形態では、端壁62の内面に、軸第一方向L1側に窪むとともに径方向Rに延びる直線状の凹溝状部が形成されており、この凹溝状部が第一段差部81及び第二段差部82を構成している。よって、本実施形態では、第一段差部81及び第二段差部82の双方は、図2に示すように、周方向Cの一方側を向く段差面と、周方向Cの他方側を向く段差面との2つの段差面を備えて構成されている。なお、第一段差部81と第二段差部82とは、本例では上記凹溝状部の溝幅が互いに異なるように形成されているとともに(図2参照)、軸方向Lの位置も互いに異なるように形成されている(図1参照)。また、第一段差部81と第二段差部82を構成する凹溝状部は、例えば、断面形状が矩形状、U字状、或いはV字状の溝状部とすることができる。
【0063】
そして、端壁連通孔84(後述する)から第一段差部81に供給された潤滑液は、当該第一段差部81が備える2つの段差面の内の下側に位置する段差面(法線方向が上方向の成分を有する段差面)によって主に案内されながら、第二段差部82に供給される。そして、第二段差部82に供給された潤滑液は、同様に、当該第二段差部82が備える2つの段差面の内の下側に位置する段差面(法線方向が上方向の成分を有する段差面)によって主に案内されながら、接合部流路86に供給される。
【0064】
また、接合部流路86は、端壁62とポンプカバー40との接合部に沿って形成されている。本実施形態では、接合部流路86は、第一軸A1の径方向に延びる直線状に形成されている。このような接合部流路86は、上記接合部における端壁62の合わせ面及びポンプカバー40の合わせ面の少なくとも一方に設けられた凹部(本例では、直線状の凹部)により形成することができる。本実施形態では、上記接合部における端壁62の合わせ面に形成された、第一軸A1の径方向に延びる直線状の凹部により、接合部流路86が形成されている。なお、端壁62の合わせ面に加えてポンプカバー40の合わせ面にも凹部が形成された構成や、ポンプカバー40の合わせ面にのみ凹部が形成された構成とすることも可能である。なお、接合部流路86を形成するための凹部は、例えば、断面形状が矩形状、U字状、或いはV字状の凹部とすることができる。
【0065】
そして、図1及び図2に示すように、軸端室83と第一段差部81の上流側部分とを連通するように、端壁62に端壁連通孔84が形成されている。本例では、端壁連通孔84は、端壁62に形成された孔部により構成されている。また、接合部流路86の下流側部分と支持突部40aの内周側空間とを連通するように、ポンプカバー40を軸方向(第一軸A1の軸方向)に貫通するポンプカバー連通孔85が形成されている。これにより、差動入力ギヤ8aにより掻き上げられ対象端部13に供給された潤滑液は、端壁連通孔84、第一段差部81、第二段差部82、接合部流路86、及びポンプカバー連通孔85を介して、第一支持軸受91が配置された支持突部40aの内周側空間に供給され、第一支持軸受91の潤滑が行われる。
【0066】
なお、図2に示すように、第二ロータ軸22が配置される第二軸A2は、第一ロータ軸21が配置される第一軸A1よりも上方に位置するため、重力や表面張力を利用した簡素な構成で、潤滑液を対象端部13から第一支持軸受91に流通させることが可能となっている。
【0067】
また、本実施形態では、径方向流路71は、第二支持軸受92にも潤滑液を流通させるように形成されている。このため、第二支持軸受92の側面が、径方向流路71と連通するように構成されている。具体的には、図1に示すように、第二支持軸受92は、軸第一方向L1側の端部が軸端室83に連通するように配置されており、差動入力ギヤ8aにより掻き上げられ対象端部13に供給された潤滑液の一部は第二支持軸受92に供給され、第二支持軸受92の潤滑が行われる。
【0068】
なお、詳細な説明は省略するが、支持突部40aの内周側空間に供給された潤滑液の一部は、第一支持軸受91だけでなく第一ロータ軸21の中空部分にも供給され、当該中空部分を介して駆動装置1の各部(例えば、第一回転電機11に形成された冷却回路等)に供給される。
【0069】
3.その他の実施形態
最後に、本発明に係るその他の実施形態を説明する。なお、以下の各々の実施形態で開示される特徴は、その実施形態でのみ利用できるものではなく、矛盾が生じない限り、別の実施形態にも適用可能である。
【0070】
(1)上記の実施形態では、差動入力ギヤ8aが本発明における「掻き上げ部材」に相当する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、掻き上げ部材として、出力軸4の回転に伴い回転するあらゆる回転部材(ギヤ等)を採用することができる。このような場合において、潤滑液を掻き上げるための専用の部材を別途設けた構成とすることもできる。
【0071】
(2)上記の実施形態では、端壁62が、第一支持軸受91及び第二支持軸受92を支持している構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一支持軸受91及び第二支持軸受92の少なくとも一方が、端壁62以外のケース60の部分に支持された構成とすることもできる。
【0072】
(3)上記の実施形態では、第一段差部81及び第二段差部82の双方が、径方向Rに延びるように形成された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一段差部81及び第二段差部82の少なくとも一方が、径方向Rに加えて周方向Cにも延びるように形成された構成とすることができる。このような場合において、当該段差部を、軸方向L視で湾曲した曲線状に形成することが可能である。
【0073】
(4)上記の実施形態では、第一段差部81及び第二段差部82の双方が、端壁62の内面に形成された凹溝状部により形成されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一段差部81及び第二段差部82の少なくとも一方が、端壁62の内面から軸第二方向L2側に突出する突条部により形成された構成とすることも可能である。また、上記の実施形態では、段差部として第一段差部81と第二段差部82との2つの段差部を備える構成を例として説明したが、1つ或いは3つ以上の段差部を備える構成や、段差部を備えない構成とすることも可能である。
【0074】
(5)上記の実施形態では、径方向流路71の一部が、端壁62とポンプカバー40との接合部に沿って形成された接合部流路86を備えた構成を例として説明したが、径方向流路71が接合部流路86を備えない構成とすることもできる。このような構成において、例えば、端壁62の内部やポンプカバー40の内部に、第二段差部82とポンプカバー連通孔85とを連通する流路が形成された構成とすることができる。
【0075】
(6)上記の実施形態では、端壁62に径方向流路71が形成されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、径方向流路71の少なくとも一部が、ケース60内に配置された管状部材や樋状部材により形成された構成とすることも可能である。
【0076】
(7)上記の実施形態では、第二ロータ軸22が、複数(上記の例では2つ)の軸部が互いに軸方向に結合されて形成された構成を例として説明したが、第二ロータ軸22を、単一或いは3つ以上の互いに結合された軸部により形成することも可能である。
【0077】
(8)上記の実施形態では、入力軸3の回転により動作するポンプ10が備えられた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、駆動装置1が入力軸3の回転により動作するポンプを備えない構成とすることができる。また、駆動装置1が、入力軸3の回転により動作するポンプに加えて、或いは、入力軸3の回転により動作するポンプを備えずに、別の動力(例えば、蓄電装置の電力)により動作するポンプ(例えば、電動ポンプ等)を備えた構成とすることもできる。
【0078】
(9)上記の実施形態では、入力軸3と第一ロータ軸21とが同軸状に配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、入力軸3と第一ロータ軸21とが互いに異なる軸上に配置された構成とすることもできる。
【0079】
(10)上記の実施形態では、第一回転電機11のステータ11bにおけるコイルエンド部11cを除く部分(ステータコア)と、第二回転電機12のステータ12bにおけるコイルエンド部12cを除く部分(ステータコア)とが、径方向R視で重複する部分を有するように配置されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一回転電機11のステータコアと第二回転電機12のステータコアとが、径方向R視で重複する部分を有さないように軸方向Lにずらして配置された構成とすることもできる。この場合、例えば、第一回転電機11及び第二回転電機12の双方のコイルエンド部11c,12c同士のみが、径方向R視で重複する部分を有するように配置された構成とすることができる。また、第一回転電機11のステータ11bと第二回転電機12のステータ12bとが、径方向R視で重複する部分を有さないように配置された構成とすることもできる。
【0080】
(11)上記の実施形態では、第一回転電機11と第二回転電機12とが、互いに異なる軸であって互いに平行な軸上に配置された構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一回転電機11と第二回転電機12とが、互いに異なる軸であって互いに平行ではない(非平行な)軸上に配置された構成とすることもできる。
【0081】
(12)上記の実施形態では、第一支持軸受91、第二支持軸受92、第三支持軸受93、及び隔壁61に設けられた軸受が、全てころがり軸受である構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、これらの軸受の少なくとも一部として、滑り軸受等の他の形態の軸受を用いることも可能である。
【0082】
(13)上記の実施形態では、3つの回転要素を備えたシングルピニオン型の遊星歯車機構6が本発明における「差動歯車機構」に相当する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、差動歯車機構として、3つの回転要素を備えたダブルピニオン型の遊星歯車機構や、4つ以上(例えば4つ)の回転要素を備えた差動歯車機構を採用することもできる。
【0083】
(14)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載された構成及びこれと均等な構成を備えている限り、特許請求の範囲に記載されていない構成の一部を適宜改変した構成も、当然に本発明の技術的範囲に属する。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、車輪に駆動連結される出力部材と、入力部材と第一回転電機と第二回転電機と出力部材との間で動力の伝達を行う動力伝達機構と、ケースと、を備えた車両用駆動装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1:駆動装置(車両用駆動装置)
2:内燃機関
3:入力軸(入力部材)
4:出力軸(出力部材)
5:車輪
6:遊星歯車機構(差動歯車機構)
6a:第一回転要素
6b:第二回転要素
6c:第三回転要素
8a:差動入力ギヤ(掻き上げ部材)
10:ポンプ
10b:ポンプロータ(ロータ)
10c:ポンプ室
11:第一回転電機
11a:ロータ本体
11b:ステータ
12:第二回転電機
12a:ロータ本体
12b:ステータ
13:対象端部
14:潤滑液被供給部
21:第一ロータ軸(ロータ軸)
22:第二ロータ軸(ロータ軸)
40:ポンプカバー
41:接合部
60:ケース
61:隔壁
62:端壁
71:径方向流路
72:軸内流路
81:第一段差部(段差部)
82:第二段差部(段差部)
91:第一支持軸受(支持軸受)
92:第二支持軸受
100:動力伝達機構
L:軸方向
R:径方向
C:周方向
S:ケース内空間
S1:第一収容室
S2:第二収容室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に駆動連結される入力部材と、第一回転電機と、第二回転電機と、車輪に駆動連結される出力部材と、前記入力部材と前記第一回転電機と前記第二回転電機と前記出力部材との間で動力の伝達を行う動力伝達機構と、ケースと、を備えた車両用駆動装置であって、
前記第二回転電機のロータ軸は、前記第一回転電機のロータ軸より上方に配置され、
前記動力伝達機構は、前記出力部材の回転に伴い回転するとともに、回転時に前記ケース内に貯留された潤滑液を掻き上げる掻き上げ部材を備え、
前記ケースは、ケース内空間を前記第二回転電機の軸方向に区画して、前記掻き上げ部材が収容される第一収容室と、前記第一回転電機及び前記第二回転電機が収容される第二収容室とを形成する隔壁を備え、
前記第一回転電機のロータ本体に対して前記軸方向における前記隔壁とは反対側に、当該第一回転電機のロータ軸を支持する支持軸受が設けられ、
前記第二収容室に、少なくとも前記第二回転電機の径方向に延びるとともに、前記第二回転電機のロータ軸の前記第一収容室側とは反対側の端部である対象端部から前記支持軸受に潤滑液を流通させる径方向流路が形成され、
前記第二回転電機のロータ軸が、前記隔壁を貫通して配置されるとともに、前記第一収容室内に位置する部分に前記掻き上げ部材により掻き上げられた潤滑液が供給される潤滑液被供給部を備え、
前記第二回転電機のロータ軸の内部に、前記潤滑液被供給部と前記第二収容室内に位置する前記対象端部とを連通する軸内流路が形成されている車両用駆動装置。
【請求項2】
前記第二回転電機のロータ本体に対して前記軸方向における前記隔壁とは反対側に、当該第二回転電機のロータ軸を支持する第二支持軸受が設けられ、
前記径方向流路が、前記第二支持軸受にも潤滑液を流通させるように形成されている請求項1に記載の車両用駆動装置。
【請求項3】
前記支持軸受が第一支持軸受であり、
前記第二回転電機のロータ本体に対して前記軸方向における前記隔壁とは反対側に、当該第二回転電機のロータ軸を支持する第二支持軸受が設けられ、
前記ケースは、前記第二収容室の前記軸方向における前記隔壁とは反対側を区画する端壁を備え、
前記端壁が、前記第一支持軸受及び前記第二支持軸受を支持するとともに、当該端壁に前記径方向流路が形成されている請求項1又は2に記載の車両用駆動装置。
【請求項4】
前記入力部材と前記第一回転電機のロータ軸とが同軸状に配置され、
前記入力部材の回転により動作するポンプと、前記端壁に対して前記第二収容室の内部側から取り付けられるとともに当該端壁との間に前記ポンプのロータを収容するポンプ室を形成するポンプカバーと、を更に備え、
前記第一支持軸受が、前記ポンプカバーに支持されるとともに、前記径方向流路の一部が、前記端壁と前記ポンプカバーとの接合部に沿って形成されている請求項3に記載の車両用駆動装置。
【請求項5】
前記端壁の内面に、前記第二回転電機の周方向の一方側を向くとともに少なくとも前記径方向に延びる段差面を備えた段差部が形成され、
前記径方向流路の一部が、前記段差部により形成されている請求項3又は4に記載の車両用駆動装置。
【請求項6】
前記第一回転電機のステータと前記第二回転電機のステータとが、前記径方向視で重複する部分を有するように配置されている請求項1から5のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。
【請求項7】
少なくとも第一回転要素、第二回転要素、及び第三回転要素の3つの回転要素を備えた差動歯車機構を更に備え、
前記3つの回転要素に関して互いに他の回転要素を介することなく、前記第一回転要素に前記第一回転電機が駆動連結され、前記第二回転要素に前記入力部材が駆動連結され、前記第三回転要素に前記第二回転電機及び前記出力部材が駆動連結されている請求項1から6のいずれか一項に記載の車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−166738(P2012−166738A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30810(P2011−30810)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】