説明

車両通行管理システム

【課題】重量、寸法等の車両諸元を計測する装置の設置地点にかかわらず、違反車両のドライバが通行制限のある道路に進入することを防止することができる車両通行管理システムを提供する。
【解決手段】車両自動計測装置1は、計測エリアAを通過する車両100の車両諸元を計測して、車両100が許容値を超過する車両であるか否かを判定する。許容値超過車両であれば、上記計測データを上位処理装置2に送信する。上位処理装置2は、上記計測データを受信すると、これに基づいて許容値を超えている車両諸元がある旨の警告情報を道路情報板3aに表示させる。また、上位処理装置2は、車番読取装置4aが認識した車番データを受信し、当該車番データが許容値超過車両の車番であるか否かを判定し、許容値超過車両の車番であれば、非制限道路RBへの退出を指示する警告情報を道路情報板3bに表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両通行管理システムに関し、特に、車両の重量や寸法などの車両諸元を計測して、道路法規に違反している場合に警告を行う車両通行管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
重量、寸法等の車両諸元が道路法規で認められた許容値を超える車両の通行を制限している道路の上流に計測エリアを設け、当該計測エリアで車両の車両諸元を計測し、上記許容値を超えるか否かを判定して、超える場合は当該車両に違反車両である旨の警告を表示し、通行制限のない道路への進入を促すことが行われている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−230104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、車両諸元を計測する装置は門型柱が複数設置される大規模な装置であることや、高い精度で重量を計測するために平坦な直線路に設置することが必要であるため、設置地点が限られるという問題があった。そのため、上記計測装置及びその直後で警告を表示する装置は、必ずしも本来警告したい地点、すなわち、通行制限のある道路と通行制限のない道路の分岐点の直前に設置されるとは限らなかった。
【0004】
これらの装置が上記分岐点よりもかなり上流の地点に設置された場合、違反車両のドライバは、当該地点で警告を受けても、上記分岐点に辿りつくまでに時間がかかることから、実際に当該分岐点に近づいたときには自車両が通行制限のない道路に進入すべきことを忘れたり、複数の分岐先がある場合に、どれが自車両が進入すべき通行制限のない道路なのかわからずに、誤って通行制限のある道路に進入するおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、車両諸元を計測する装置の設置地点にかかわらず、違反車両のドライバが通行制限のある道路に進入することを防止することができる車両通行管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両通行管理システムは、車両諸元が所定範囲を超える所定車両の通行を制限する制限道路と当該所定車両の通行を制限しない非制限道路との分岐点よりも上流の第一地点を通過する車両が前記所定車両に該当するか否かを判定し、該当すると判定した場合に当該車両に警告する車両通行管理システムであって、前記第一地点に、当該第一地点を通過する車両の車両諸元及び当該車両を特定するための第一特定情報を取得する第一取得手段を備え、前記第一地点よりも下流でかつ前記分岐点よりも上流の第二地点に、当該第二地点を通過する車両を特定するための第二特定情報を取得する第二取得手段と、該車両に対して第一警告情報を出力する第一出力手段とを備え、第一取得手段が取得した車両諸元と前記所定範囲とに基づいて、車両が前記所定車両に該当するか否かを判定する第一判定手段と、前記第一判定手段が前記所定車両に該当すると判定した車両についての前記第一特定情報と、前記第二特定情報とが一致するか否かを判定する第二判定手段とを備え、前記第一出力手段は、前記第二判定手段が一致すると判定した場合に、前記第一警告情報を出力するように構成してあることを特徴とする(請求項1)
【0007】
ここで、車両諸元とは、車両の重量、車幅、車高、車長、軸重、軸数、軸距などをいう。また、地点は空間的な広がりを持っており、例えば、第一地点は道路の進行方向に15m、道路の道幅方向に当該道路の道幅分の広がりを持っており、第二地点は道路の進行方向に100m、道路の道幅方向に当該道路の道幅分の広がりを持っている。
【0008】
例えば、通行制限のある制限道路と通行制限のない非制限道路の分岐点よりも上流の第一地点で、通過する車両の車両諸元を計測して、当該車両が違反車両(許容値超過車両)か否かを判定する。このとき、同時に当該車両の車番も読み取っておく。違反車両と判定した場合には、第一地点よりも下流でかつ分岐点のすぐ上流の第二地点で、通行する車両の車番を読み取り、これが上記違反車両の車番と一致すれば、この車両に対して非制限道路に進入すべき旨を警告する。警告は例えば道路情報板への表示により行う。これにより、車両諸元を計測する装置が設置される第一地点が分岐点よりもかなり上流であったとしても、分岐点のすぐ上流の第二地点で違反車両のドライバに警告するので、ドライバが誤って制限道路に進入することを防止することができる。
【0009】
また、上記車両通行管理システムは、前記分岐点よりも下流の前記制限道路上の第三地点に、当該第三地点を通過する車両を特定するための第三特定情報を取得する第三取得手段と、該車両に対して第二警告情報を出力する第二出力手段とを備え、前記第一判定手段が前記所定車両に該当すると判定した車両についての前記第一特定情報と、前記第三特定情報とが一致するか否かを判定する第三判定手段を備え、前記第二出力手段は、前記第三判定手段が一致すると判定した場合に、前記第二警告情報を出力するように構成してあることが好ましい(請求項2)。
【0010】
ここで、第三地点は空間的な広がりを持っており、例えば、道路の進行方向に100m、道路の道幅方向に当該道路の道幅分の広がりを持っている。
【0011】
例えば、上記分岐点よりも下流の制限道路上の第三地点で、通過する車両の車番を読み取り、これが上記違反車両の車番と一致すれば、この車両に対して低速走行すべき旨を警告する。これにより、違反車両のドライバが第二地点の道路情報板に表示された警告を見逃し、誤って制限道路に進入した場合であっても、制限道路において違反車両のドライバに低速走行すべき旨等を警告するので、違反車両が制限道路を走行することによって生じる道路の損傷などを最小限に抑えることができる。
【0012】
また、前記特定情報は、車番の情報であることが好ましい(請求項3)。車番の情報であれば、通過する全ての車両から取得することができるからである。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明の車両通行管理システムによれば、車両諸元を計測する装置が通行制限のある道路と通行制限のない道路の分岐点よりもかなり上流の地点に設置された場合であっても、当該設置地点よりも下流でかつ上記分岐点よりも上流の地点で違反車両のドライバに警告を表示するので、ドライバが誤って通行制限のある道路に進入することを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
実施の形態1:
以下、本発明の実施の形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明に係る車両通行管理システムの概要を示す模式図である。本発明に係る車両通行管理システムは、車両自動計測装置1、上位処理装置2、道路情報板3a、3b、3c、車番読取装置4a、4b、4cなどを含む。上位処理装置2は、車両自動計測装置1、道路情報板3a、3b、3c、車番読取装置4a、4b、4cのそれぞれと電話回線などの通信回線を介して接続されている。制限道路RAは、重量、寸法等の車両諸元が道路法規で認められた許容値を超える車両の通行を制限している道路であり、非制限道路RB、RCは、制限道路RAのような通行の制限がない道路である。分岐点Pは、非制限道路RCが制限道路RAと非制限道路RBに分岐する地点である。
【0015】
車両自動計測装置1は、分岐点Pの上流の非制限道路RC上に設置され、計測エリアAを通過する車両100の車両諸元を計測して、車両100が許容値を超過する車両(以下、許容値超過車両という)であるか否かを判定する。許容値超過車両であれば、車両100の計測データを上位処理装置2に送信する。車両自動計測装置1は、車両検知装置11a、11b、寸法計測装置12a、12b、軸重計測装置13、車番読取装置14、走行状況撮像装置15、路側処理装置16などを含む。路側処理装置16は、車両検知装置11a、11b、寸法計測装置12a、12b、軸重計測装置13、車番読取装置14、走行状況撮像装置15のそれぞれと電話回線などの通信回線を介して接続されている。また、路側処理装置16は、上位処理装置2とも電話回線などの通信回線を介して接続されている。
【0016】
図2は、計測エリア付近の車両自動計測装置及び道路情報板を示す斜視図である。車両検知装置11a、11bは、ループコイル式車両センサなどで構成されており、非制限道路RCに埋設されている。車両検知装置11a、11bは、通過する車両をループコイルで検知し、その検知信号(車両検知信号)を寸法計測装置12a、12b、軸重計測装置13、車番読取装置14、走行状況撮像装置15の各装置に送信する。なお、車両検知装置11a、11bは、超音波式車両センサ、光学式車両センサなど、他の方式の車両センサで構成されていても良い。
【0017】
寸法計測装置12a、12bは、ステレオカメラや超音波車両センサなどで構成されており、非制限道路RC上の門型柱に設置されている。寸法計測装置12aに含まれる超音波車両センサが車両の進入を感知すると、寸法計測装置12a、12bのそれぞれに含まれるステレオカメラが所定の時間をおいて車両を撮像し、その画像情報から車幅、車高、車長を計測する。計測した車幅、車高、車長のデータは路側処理装置16に送信する。
【0018】
軸重計測装置13は、ロードセル(ひずみゲージ)などで構成されており、非制限道路RCに埋設されている。軸重計測装置13は、ロードセルからの電気信号を変換して軸重、軸数を計測する。また、計測した軸重と車両検知装置11a、11bからの車両検知信号に基づいて車両総重量を算出する。また、時系列の計測値を解析することにより、走行速度や軸距を計測する。計測した軸重、軸数、車両総重量、走行速度、軸距のデータは路側処理装置16に送信する。
【0019】
車番読取装置14は、路上の車両を撮像する画像カメラなどで構成されており、非制限道路RC上の門型柱に設置されている。車番読取装置14は、撮像した画像データを解析して車両の車番(ナンバープレートの番号)を計測する。具体的には、画像データの輝度変化のある部分(エッジ)から車両の先頭(車頭)を検出し、当該車頭から所定の範囲内においてパターンマッチングによりナンバープレートを検出し、当該ナンバープレート内の文字を検出して、車番を認識する。計測した車番のデータは路側処理装置16に送信する。
【0020】
走行状況撮像装置15は、路上の車両を撮像する画像カメラなどで構成されており、非制限道路RC上の門型柱に設置されている。走行状況撮像装置15は、車両の走行状況を撮像した画像データを路側処理装置16に送信する。なお、車番読取装置14が走行状況撮像装置15を兼ねていても良い。
【0021】
道路情報板3aは、計測エリアAから所定の距離をおいた非制限道路RC上の門型柱に設置されており、上位処理装置2から送信される情報に基づいて文字や図形等を表示する。
【0022】
図3は路側処理装置16の構成を示すブロック図である。路側処理装置16は、ROM161、RAM162、ハードディスク等の記憶部163、通信部164、CPU等の処理部165等で構成されており、内部バスを介して相互にデータ通信することが可能に接続されている。
【0023】
処理部165は、通信部164を介して、寸法計測装置12a、12b、軸重計測装置13、車番読取装置14、走行状況撮像装置15の各装置からの計測データを受信する。処理部165は、これらの計測データを統合して、1台の車両の車両データを作成し、記憶部163に記憶する。車両データには、車幅、車高、車長、軸重、軸数、車両総重量、走行速度、軸距、車番、走行状況の画像の各データが含まれている。
【0024】
処理部165は、車両データと制限道路RAにおける車両諸元の許容値を比較して、車両が許容値超過車両であるか否かを判定し、許容値超過車両であると判定した場合には、上位処理装置2に当該許容値超過車両の車両データ及び超過している車両諸元を示す情報を送信する。具体的には、車両データの車幅、車高、車長、軸重、車両総重量のそれぞれについて、車幅、車高、車長、軸重、車両総重量のそれぞれの許容値(例えば、それぞれ2.5m、3.8m、12.0m、10.0t、20.0t)に所定の係数(例えば、1.05。0.05は誤差を考慮している)を乗じた比較値よりも大きいか否かを判定する。いずれか1つでも比較値よりも大きいと判定した場合には、許容値超過車両であると判定する。また、車幅、車高、車長、軸重、車両総重量のうちで比較値よりも大きいと判断したものを抽出して、超過している車両諸元を示す情報とする。なお、比較値は許容値に所定の係数を乗じた値に限定されず、許容値に所定値を加算した値などであっても良い。
【0025】
図4は、分岐点付近の車番読取装置及び道路情報板を示す斜視図である。車番読取装置4a、4b、4cは、路上の車両を撮像する画像カメラなどで構成されている。車番読取装置4aは、分岐点Pのすぐ上流の非制限道路RC上の門型柱に設置されている。車番読取装置4bは、分岐点Pの下流の制限道路RA上の門型柱に設置されている。車番読取装置4cは、分岐点Pの下流の非制限道路RB上の門型柱に設置されている。車番読取装置4a、4b、4cは、それぞれ撮像した画像データを解析して車両の車番を計測し、データを上位処理装置2に送信する。
【0026】
道路情報板3bは、分岐点Pのすぐ上流の、車番読取装置4aから所定の距離をおいた非制限道路RC上の門型柱に設置されており、道路情報板3cは、車番読取装置4bから所定の距離をおいた制限道路RA上の門型柱に設置されている。道路情報板3b、3cは、それぞれ上位処理装置2から送信される情報に基づいて文字や図形等を表示する。
【0027】
図5は上位処理装置2の構成を示すブロック図である。上位処理装置2は、ROM201、RAM202、ハードディスク等の記憶部203、通信部204、CPU等の処理部205等で構成されており、内部バスを介して相互にデータ通信することが可能に接続されている。
【0028】
処理部205は、通信部204を介して、車両自動計測装置1から許容値超過車両の車両データ及び超過車両諸元を示す情報を受信する。処理部205は、これらのデータに基づいて許容値を超えている車両諸元がある旨の警告情報W1を作成し、道路情報板3aに送信して当該警告情報W1を表示させる。警告情報W1は、例えば、車番「12−34」の車両の車両総重量が許容値を超えている場合には、「12−34 総重量超過」などである。
【0029】
また、処理部205は、受信した許容値超過車両の車両データ及び超過車両諸元を示す情報を許容値超過車両テーブルとして記憶部203に蓄積する。図6は許容値超過車両テーブルのフォーマットの例を示す説明図である。許容値超過車両テーブルは、車両自動計測装置1の設置地点の識別番号を示す「自動計測箇所番号」、車両自動計測装置1が許容値超過車両の車両データを作成した日時(年,月,日,時,分)を示す「監視日時」、許容値超過車両の通し番号を示す「車両通し番号」、許容値超過車両の車両総重量(t)、軸数のそれぞれを示す「車両総重量」、「軸数」、許容値超過車両の第1軸から第7軸までのそれぞれの軸重(t)を示す「軸重」、許容値超過車両の第1軸から第7軸までの各隣接する軸間の距離(m)を示す「軸距」、許容値超過車両の走行速度(km/h)、車高(m)、車幅(m)、車長(m)、車番のそれぞれを示す「走行速度」、「車高」、「車幅」、「車長」、「車番」、許容値超過車両の走行状況の画像データのファイル名を示す「画像ファイル名」、超過している車両諸元を列挙した「超過車両諸元」の各データから構成されている。
【0030】
図7は許容値超過車両テーブルの1レコードの具体例を示す説明図である。車両自動計測装置1の設置地点の識別番号が706、車両自動計測装置1が許容値超過車両の車両データを作成したのが2006年1月16日10時15分、許容値超過車両の通し番号が1592、総重量が23.0t、軸数が5、第1軸の軸重が3.0t、第2軸の軸重が4.8t、第3軸の軸重が4.8t、第4軸の軸重が5.2t、第5軸の軸重が5.2t、第1軸と第2軸の軸距が3.0m、第2軸と第3軸の軸距が1.0m、第3軸と第4軸の軸距が5.0m、第4軸と第5軸の軸距が1.0m、走行速度が30.5km/h、車高が3.7m、車幅が2.4m、車長が11.5m、車番が12−34、走行状況の画像データのファイル名が200601161015003、超過している車両諸元が車両総重量であることを示している。
【0031】
また、処理部205は、通信部204を介して、車番読取装置4aから車番データを受信する。処理部205は、受信した車番データが許容値超過車両の車番であるか否かを判定する。具体的には、記憶部203に記憶した許容値超過車両テーブルの車両データの中に、受信した車番データと一致するものがあるか否かを判定し、一致すると判定した場合には、許容値超過車両の車番であると判定する。処理部205は、許容値超過車両の車番であると判定した場合には、当該許容値超過車両に非制限道路RBへの退出を指示する警告情報W2を作成し、道路情報板3bに送信して当該警告情報W2を表示させる。警告情報W2は、例えば、車番「12−34」の車両が許容値超過車両であると判定した場合には、「12−34 退出せよ」などである。
【0032】
これにより、車両自動計測装置1の計測エリアAが分岐点Pよりもかなり上流の地点に設置された場合であっても、制限道路RAと非制限道路RBの分岐点Pの手前で許容値超過車両のドライバに非制限道路RBに退出するよう警告するため、ドライバが制限道路RAに進入することを防止することができる。
【0033】
また、処理部205は、通信部204を介して、車番読取装置4bから車番データを受信する。処理部205は、受信した車番データが許容値超過車両の車番であるか否かを判定する。判定の仕方は車番読取装置4aから受信した車番データの場合と同様である。許容値超過車両の車番であると判定した場合には、当該許容値超過車両に低速での走行を指示する警告情報W3を作成し、道路情報板3cに送信して当該警告情報W3を表示させる。警告情報W3は、例えば、車番「12−34」の車両が許容値超過車両である場合には、「12−34 速度落とせ」などである。
【0034】
これにより、許容値超過車両のドライバが道路情報板3bの警告情報W2を見逃し、当該車両が制限道路RAに進入した場合であっても、制限道路RAにおいて低速走行するよう警告するため、許容値超過車両が制限道路RAを走行することによって生じる道路の損傷を最小限に抑えることができる。
【0035】
また、処理部205は、通信部204を介して、車番読取装置4cから車番データを受信する。処理部205は、受信した車番データが許容値超過車両の車番であるか否かを判定する。判定の仕方は車番読取装置4aから受信した車番データの場合と同様である。許容値超過車両の車番であると判定した場合には、当該許容値超過車両が非制限道路RBに退出したと判断し、記憶部203に蓄積している許容値超過車両テーブルから上記車番のデータを削除する。
【0036】
上述の実施の形態においては、車両を特定する情報を取得する手段として、車両の車番を認識することできる車番読取装置14、4a、4b、4cを用いる構成であったが、これに限定されるものではなく、個々の車両を識別できる装置であればいかなるものであっても良い。例えば、車両の識別コードを受信することができる光ビーコン、電波ビーコン、DSRC(Dedicated Short Range Communication:専用狭域通信)、WiMAX(Worldwide interoperability for microwave access)などの通信装置であっても良い。この場合、上記の実施の形態において、車番読取装置14、4a、4b、4cに代えて通信装置14、4a、4b、4cとし、車番に代えて車両識別コードとすれば良い。
【0037】
また、路側処理装置16と上位処理装置2は異なる装置であったが、これに限定されるものではなく、路側処理装置16が上位処理装置2を兼ねていても良い。
【0038】
また、分岐点Pの下流の制限道路RA上には車番読取装置4bと道路情報板3cが1つずつ設置される構成であったが、これに限定されるものではなく、それぞれ2つ以上設置される構成であっても良い。
【0039】
また、制限道路RA、非制限道路RB、RCは1車線に限定されるものではなく、それぞれ2車線以上であっても良い。
【0040】
実施の形態2:
上述の実施の形態においては、路側処理装置16は計測した車両データが許容値を超えていれば、許容値超過車両であると判定する構成であったが、これに限定されるものではなく、車両データが許容値を超えていても、当該車両について事前に制限道路RAの通行許可が申請され、通行が許可されている場合には、車両データが当該車両の車両諸元の申請値を超えていなければ、許容値超過車両でないと判定する構成であっても良い。
【0041】
本実施の形態においては、路側処理装置16は、記憶部163に制限道路RAの許容値を超える車両について当該制限道路RAの通行許可を申請したデータ(以下、申請データという)を記憶している。制限道路RAの許容値超過を運転するドライバが当該制限道路RAの通行を希望する場合は、事前に通行許可申請書を当該制限道路RAを管理する事務所に提出する。事務所は当該通行許可書を確認して、通行を許可する場合には、上記ドライバにその旨を通知するとともに、外部入力装置(不図示)によって通行許可申請書に記載されている情報を路側処理装置16に入力する。通行許可申請書には、通行許可を申請する車両の車幅、車高、車長、軸重、車両総重量などの情報が記載されており、これらの情報を入力したデータが申請データである。
【0042】
路側処理装置16は、上述の実施の形態1と同様にして、車両データと制限道路RAにおける車両諸元の許容値を比較する。車両データの車幅、車高、車長、軸重、車両総重量のいずれかが上述の比較値(許容値に所定の係数を乗じた値)よりも大きければ、上記申請データに含まれている車番のなかに、当該車両データに含まれる車番と一致するものがあるか否かを判定する。一致するものがない場合は、許容値超過車両であると判定し、上述の実施の形態1と同様に、当該許容値超過車両の車両データ及び比較値よりも大きい車両諸元の情報を上位処理装置2に送信する。一致するものがある場合には、さらに車両データと当該一致した車番に係る申請データを比較する。具体的には、車両データの車幅、車高、車長、軸重、車両総重量のそれぞれについて、申請データの車幅、車高、車長、軸重、車両総重量のそれぞれに所定の係数(例えば、1.05)を乗じた第二比較値よりも大きいか否かを判定する。いずれかが第二比較値よりも大きい場合には、申請された車両諸元の情報が虚偽であったとみなして、当該車両が許容値超過車両であると判定し、当該車両データ及び第二比較値よりも大きい車両諸元の情報を上位処理装置2に送信する。いずれも第二比較値よりも大きくない場合には、当該車両は許容値超過車両でないと判定し、上位処理装置2にデータを送信しない。なお、第二比較値は申請データの値に所定の係数を乗じた値に限定されず、申請データの値に所定値を加算した値などであっても良い。
【0043】
その他の点は上述の実施の形態1と同様であるので、説明を省略する。本実施の形態に係る発明によれば、車両自動計測装置1の計測エリアAが分岐点Pよりもかなり上流の地点に設置された場合であっても、制限道路RAと非制限道路RBの分岐点Pの手前で許容値超過車両のドライバに非制限道路RBに退出するよう警告するため、ドライバが制限道路RAに進入することを防止することができる。
【0044】
また、上記ドライバが道路情報板3bの警告情報W2を見逃し、制限道路RAに進入した場合であっても、制限道路RAにおいて低速走行するよう警告するため、上記許容値超過車両が制限道路RAを走行することによって生じる道路の損傷を最小限に抑えることができる。
【0045】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る車両通行管理システムの概要を示す模式図である。
【図2】計測エリア付近の車両自動計測装置及び道路情報板を示す斜視図である。
【図3】路側処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】分岐点付近の車番読取装置及び道路情報板を示す斜視図である。
【図5】上位処理装置の構成を示すブロック図である。
【図6】許容値超過車両テーブルのフォーマットの例を示す説明図である。
【図7】許容値超過車両テーブルの1レコードの具体例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
1 車両自動計測装置
2 上位処理装置
201 ROM
202 RAM
203 記憶部
204 通信部
205 処理部
3a、3b、3c 道路情報板
4a、4b、4c 車番読取装置
11a、11b 車両検知装置
12a、12b 寸法計測装置
13 軸重計測装置
14 車番読取装置
15 走行状況撮像装置
16 路側処理装置
161 ROM
162 RAM
163 記憶部
164 通信部
165 処理部
100 車両
A 計測エリア
RA 制限道路
RB、RC 非制限道路
P 分岐点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両諸元が所定範囲を超える所定車両の通行を制限する制限道路と当該所定車両の通行を制限しない非制限道路との分岐点よりも上流の第一地点を通過する車両が前記所定車両に該当するか否かを判定し、該当すると判定した場合に当該車両に警告する車両通行管理システムであって、
前記第一地点に、
当該第一地点を通過する車両の車両諸元及び当該車両を特定するための第一特定情報を取得する第一取得手段を備え、
前記第一地点よりも下流でかつ前記分岐点よりも上流の第二地点に、
当該第二地点を通過する車両を特定するための第二特定情報を取得する第二取得手段と、
該車両に対して第一警告情報を出力する第一出力手段とを備え、
第一取得手段が取得した車両諸元と前記所定範囲とに基づいて、車両が前記所定車両に該当するか否かを判定する第一判定手段と、
前記第一判定手段が前記所定車両に該当すると判定した車両についての前記第一特定情報と、前記第二特定情報とが一致するか否かを判定する第二判定手段とを備え、
前記第一出力手段は、前記第二判定手段が一致すると判定した場合に、前記第一警告情報を出力するように構成してあることを特徴とする車両通行管理システム。
【請求項2】
前記分岐点よりも下流の前記制限道路上の第三地点に、
当該第三地点を通過する車両を特定するための第三特定情報を取得する第三取得手段と、
該車両に対して第二警告情報を出力する第二出力手段とを備え、
前記第一判定手段が前記所定車両に該当すると判定した車両についての前記第一特定情報と、前記第三特定情報とが一致するか否かを判定する第三判定手段を備え、
前記第二出力手段は、前記第三判定手段が一致すると判定した場合に、前記第二警告情報を出力するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の車両通行管理システム。
【請求項3】
前記特定情報は、車番の情報であることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両通行管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−299707(P2008−299707A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146678(P2007−146678)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】