説明

車体前部構造

【課題】衝撃吸収部材を利用して車体補強を図りつつ、該衝撃吸収部材によって良好な衝撃吸収機能を得ることができる車体前部構造を得る。
【解決手段】車体前部構造10は、車両前後方向に延在されたフロントサイドメンバ12と、各フロントサイドメンバ12の車両前後方向の前端部12Bに固定されたクラッシュボックス18と、クラッシュボックス18とフェンダサポートアッパ32との間に介在する強度ガセット50とを備える。強度ガセット50は、上端側がフェンダサポートアッパ32に固定されており、下端側がクラッシュボックス18に接着固定されたブラケット54に固定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミ材又は合成樹脂材等フレームとは異種の材料にて構成されたクラッシュビームを、構造用接着剤にて上側フレームの前端部及び下側フレームの上面に固定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平6−255533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の如き従来の技術は、クラッシュビームを衝撃吸収部材としてのみ機能させるためのものであり、衝撃吸収部材を利用した補強構造について考慮されていなかった。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、衝撃吸収部材を利用して車体補強を図りつつ、該衝撃吸収部材によって良好な衝撃吸収機能を得ることができる車体前部構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明に係る車体前部構造は、車両前後方向に延在された第1骨格部材と、前記第1骨格部材の車両前後方向の前端部に固定され、車両前後方向の後向きに入力される衝撃荷重を吸収するための衝撃吸収部材と、前記衝撃吸収部材に接着にて固定された第1固定部と、車体を構成する第2骨格部材に固定された第2固定部と、前記第2固定部と第1固定部とを連結する連結部とを有する連結構造体と、を備えている。
【0006】
請求項1記載の車体前部構造では、車体を構成する第2骨格部材が連結構造体を介して衝撃吸収部材に連結されている。これにより、第2骨格部材は、第1骨格部材に固定されている衝撃吸収部材によって補強される。ここで、本車体前部構造では、連結構造体の第1固定部が接着にて衝撃吸収部材に固定されているので、例えば衝撃吸収部材に所定値以上の衝撃荷重が入力された場合には、連結部剤の接着部が剥がれる。このため、連結構造体を介して第2骨格部材が衝撃吸収部材を拘束することがなく、衝撃吸収部材の所要の衝撃吸収特性が確保される。
【0007】
このように、請求項1記載の車体前部構造では、衝撃吸収部材を利用して車体補強を図りつつ、該衝撃吸収部材によって良好な衝撃吸収機能を得ることができる。
【0008】
請求項2記載の発明に係る車体前部構造は、車両前後方向に延在された第1骨格部材と、車両前後方向に長手とされ、車両前後方向の後端部が前記第1骨格部材の車両前後方向の前端部に固定され、車両前後方向の後向きに入力される衝撃荷重を吸収するための衝撃吸収部材と、前記衝撃吸収部材に対する車両上下方向の上側を横切るように車幅方向に延在され、車両構成部品を支持するための第2骨格部材と、前記衝撃吸収部材に接着にて固定された第1固定部と、該第1固定部に対する車両上下方向の上側で前記第2骨格部材に固定された第2固定部と、前記第2固定部と第1固定部とを連結する連結部とを有する連結構造体と、を備えている。
【0009】
請求項2記載の車体前部構造では、車両構成部品を支持する第2骨格部材が連結構造体を介して衝撃吸収部材に連結されている。これにより、第2骨格部材は、第1骨格部材に固定されている衝撃吸収部材によって補強される。ここで、本車体前部構造では、連結構造体の第1固定部が接着にて衝撃吸収部材に固定されているので、例えば衝撃吸収部材に所定値以上の衝撃荷重が入力された場合には、連結部剤の接着部が剥がれる。このため、連結構造体を介して第2骨格部材が衝撃吸収部材を拘束することがなく、衝撃吸収部材の所要の衝撃吸収特性が確保される。
【0010】
このように、請求項2記載の車体前部構造では、衝撃吸収部材を利用して車体補強を図りつつ、該衝撃吸収部材によって良好な衝撃吸収機能を得ることができる。
【0011】
請求項3記載の発明に係る車体前部構造は、請求項1又は請求項2記載の車体前部構造において、前記衝撃吸収部材は、樹脂を含む材料にて構成されている。
【0012】
請求項3記載の車体前部構造では、樹脂を含む材料で構成された衝撃吸収部材が連結構造体を介して第2骨格部材を補強している。樹脂材を含む衝撃吸収部材は、微小に破壊されながら衝撃吸収するため、一部が拘束されると衝撃吸収特性が変化しやすいが、本車体前部構造では、上記の通り衝撃吸収時には連結構造体を介した衝撃吸収部材の拘束が解除されるので、衝撃吸収部材は所要の衝撃吸収特性が確保される。
【0013】
請求項4記載の発明に係る車体前部構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の車体前部構造において、前記第1固定部は、前記連結部から独立したブラケットとして構成されている。
【0014】
請求項4記載の車体前部構造では、連結構造体の第1固定部が連結部から独立して形成されたブラケットであるため、衝撃吸収部材に対する所要の接着面積を確保する寸法形状を容易に得ることができる。
【0015】
請求項5記載の発明に係る車体前部構造は、請求項4記載の車体前部構造において、前記ブラケットは、前記衝撃吸収部材と同種の材料にて構成されている。
【0016】
請求項5記載の車体前部構造では、衝撃吸収部材とブラケットとが同種の材料にて構成されているので、簡単な又はコンパクトな構造で所要の接着強度を確保し易い。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように本発明に係る車体前部構造は、衝撃吸収部材を利用して車体補強を図りつつ、該衝撃吸収部材によって良好な衝撃吸収機能を得ることができるという優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る車体前部構造10について、図1〜図7に基づいて説明する。先ず、車体前部構造10の概略全体構成を説明し、次いで、本発明の要部であるサポート部補強構造11について詳細に説明することとする。なお、図中矢印FRは車両前後方向の前方向を、矢印UPは車両上下方向の上方向を、矢印RHは矢印FR方向を向いた場合の右(車幅方向外)側を、矢印LHは矢印FR方向を向いた場合の左(車幅方向外)側をそれぞれ示す。
【0019】
(車体前部構造の概略全体構成)
図5には、車体前部構造10の概略全体構成が斜視図にて示されている。この図に示される如く、車体前部構造10は、車両前後方向に長手とされた第1骨格部材としての左右一対のフロントサイドメンバ12を備えている。各フロントサイドメンバ12は、それぞれの後端部12Aが、衝撃吸収材14を介して、エンジンコンパートメントEと車室Cとを隔てるダッシュパネル16に接続されている。また、各フロントサイドメンバ12は、それぞれの前端部12Bが、後述する衝撃吸収部材としてのクラッシュボックス18を介して、車幅方向に延在する図示しないバンパリインフォースメントに連結されている。
【0020】
また、車体前部構造10は、左右一対のクラッシュボックス18の間に配置されたコンデンササポート20を備えている。このコンデンササポート20の車幅方向の両外側には、それぞれフェンダサポート22が結合されている。
【0021】
コンデンササポート20は、それぞれ車幅方向に延在されると共に車両上下方向に略対向するように平行に配置されたコンデンササポートアッパ24及びコンデンササポートロア26と、これらコンデンササポートアッパ24及びコンデンササポートロア26の車幅方向両端部を車両上下方向に繋ぐ左右一対のコンデンササポートサイド28と、コンデンササポートアッパ24及びコンデンササポートロア26の車幅方向中央部を車両上下方向に繋ぐコンデンササポートセンタ30とを有している。したがって、コンデンササポート20は、正面視で略矩形状を成す枠体として形成されており、この実施形態では、車幅方向に長手の矩形枠状を成している。
【0022】
左右のフェンダサポート22は、略車幅方向に沿って延在するフェンダサポートアッパ32と、フェンダサポートアッパ32に対し車両上下方向の下側に配置されたフェンダサポートロア34と、これらフェンダサポートアッパ32及びフェンダサポートロア34の車幅方向外側端部を車両上下方向に繋ぐフェンダサポートサイド36と、フェンダサポートサイド36とクラッシュボックス18の後端部とを架け渡すフェンダサポートリア38とをそれぞれ有している。
【0023】
この実施形態では、コンデンササポートアッパ24の車幅方向の両外端と、各フェンダサポートアッパ32の車幅方向内端とは互いに重ね合わされており、該重ね合わせ部分にコンデンササポートサイド28の上端部が結合されている。したがって、車体前部構造10では、図7に示される如く、平面視でフェンダサポートアッパ32がクラッシュボックス18上を横切るように車幅方向に延在されている。また、図5及び図6に示される如く、各フェンダサポートロア34の車幅方向の内端は、ブラケット40を介して対応するコンデンササポートサイド28の下部に連結されている。
【0024】
また、図5に示される如く、左右のフロントサイドメンバ12の車体上側には、それぞれエプロンアッパメンバ42が設けられている。左右のエプロンアッパメンバ42は、それぞれ車両前後方向に略沿って延在されており、後端部42Aがダッシュパネル16に結合されると共に、前端部42Bがコンデンササポートアッパ24とフェンダサポートアッパ32との重ね合わせ部分に結合されている。
【0025】
これにより、車体前部構造10では、コンデンササポート20及びフェンダサポート22が車体に支持されて車体構造(骨格)を成している。図6にも示される如く、このフェンダサポート22の各フェンダサポートアッパ32における車幅方向外側端部には、それぞれL字状のブラケット44が結合されている。このL字状のブラケット44には、図7に示される如く車体構成部品としてのフェンダパネル46の前部が結合されている。
【0026】
また、図5に示される如く、フェンダサポート22とコンデンササポートサイド28とに囲まれた空間(この実施形態では、車体右側の空間)には、車体構成部品としての重量物であるオイルクーラー48が配設されている。このオイルクーラー48は、フェンダサポートサイド36側に寄せて配置されている。一方、コンデンササポート20には、図示しない車両構成部品としてのコンデンサ(空調用の凝縮器)、ラジエータ等が固定されるようになっている。
【0027】
以上説明した車体前部構造10では、各フロントサイドメンバ12、衝撃吸収材14、コンデンササポート20(コンデンササポートアッパ24、コンデンササポートロア26、左右一対のコンデンササポートサイド28)、フェンダサポート22(フェンダサポートアッパ32、フェンダサポートロア34、フェンダサポートサイド36、フェンダサポートリア38)が、アルミニウム又はアルミニウム合金等の金属材で構成されている。
【0028】
(サポート部補強構造)
図5に示される如く、クラッシュボックス18とフェンダサポートアッパ32の車幅方向内端側の部分との間には、強度ガセット50が介在されている。これにより、コンデンササポート20及びフェンダサポート22が、各クラッシュボックス18(を介して各フロントサイドメンバ12)に支持されるサポート部補強構造11が構成されている。したがって、この実施形態では、フェンダサポートアッパ32が本発明における第2骨格部材に相当する。なお、広義には、コンデンササポート20、フェンダサポート22が本発明における第2骨格部材に相当する。以下、具体的に説明する。
【0029】
図3に示される如く、クラッシュボックス18は、略波型の断面形状を有する。この実施形態では、クラッシュボックス18は、上壁18Aと下壁18Bとの間に2つの中間壁18Cを有し、これらが車幅方向に互い違いに側壁18Dにて連結された如く構成されている。このクラッシュボックス18は、樹脂材にて構成されている。そして、クラッシュボックス18は、フロントサイドメンバ12(衝撃吸収材14)と比較してそれぞれの長手方向に一致する車体前後方向に沿った圧縮荷重に対し低強度(低剛性)とされている。これにより、クラッシュボックス18は、前端側から所定値以上の後向きの圧縮荷重が入力された場合には、圧縮破壊されつつフロントサイドメンバ12に伝達する衝撃荷重(動荷重)を低減するようになっている。
【0030】
図4に示される如く、強度ガセット50は、車両前後方向に対向する一対の壁部50Aと、一対の壁部50A間で該一対の壁部50Aを連結する複数(この実施形態では3つ)の内部リブ50Bと、一対の壁部50Aの車幅方向中間部に対し若干車幅方向内側に寄った部分から垂下された係合片50Cとが一体的に形成されている。この強度ガセット50は、例えばアルミニウムやアルミニウム合金等の金属材の鋳物、押し出し材等として形成されている。
【0031】
また、強度ガセット50は、一対の壁部50Aの上部における係合片50Cに対する車幅方向の両側にそれぞれ設けられた複数のボルト孔50Dを有する。図1及び図2に示される如く、強度ガセット50は、各ボルト孔50Dに挿通されたボルト52がナット(ウェルドナット)53に螺合されることでフェンダサポートアッパ32に固定されている。
【0032】
そして、図1〜図4に示される如く、強度ガセット50は、ブラケット54を介して、クラッシュボックス18の上壁18Aに固定されている。この実施形態では、ブラケット54は、一対の壁部50Aのそれぞれに対応して前後一対設けられている。図2及び図4に示される如く、各ブラケット54は、平板状の基部54Aと、基部54Aから立設され対応する壁部50Aを挟む前後一対の立壁54Bとを有して構成されている。各立壁54Bには、それぞれボルト孔54Cが形成されている。この実施形態では、各ブラケット54は、樹脂材にて構成されている。すなわち、車体前部構造10では、クラッシュボックス18とブラケット54とが同種の材料にて構成されている。
【0033】
一方、図4に示される如く、強度ガセット50の各壁部50Aにおける強度ガセット50よりも車幅方向内側には、強度ガセット50のボルト孔54Cに対応してボルト孔50Eが形成されている。したがって、強度ガセット50とブラケット54とは、各ボルト孔54C、ボルト孔50Eに挿通されたボルト56及び該ボルト56に螺合されたナット58によって互いに固定されている。
【0034】
そして、車体前部構造10では、図2及び図3に示される如く、ブラケット54の基部54Aは、接着剤Aによってクラッシュボックス18の上壁18Aに固定されている。したがって、クラッシュボックス18には、ブラケット54(強度ガセット50)を取り付けるためのボルト孔等は形成されていない。
【0035】
このクラッシュボックス18に対するブラケット54を介した強度ガセット50の固定姿勢において、強度ガセット50の係合片50Cは、クラッシュボックス18の車両上下方向の上端側の側壁18Dに接触又はごく近接して位置している。
【0036】
以上により、車体前部構造10では、強度ガセット50及びブラケット54を介してフェンダサポートアッパ32がクラッシュボックス18に連結(支持)されている。したがって、この実施形態では、強度ガセット50及びブラケット54が本発明における連結構造体に相当する。また、強度ガセット50における一対の壁部50Aの上部(ボルト52によるフェンダサポートアッパ32への固定部)が本発明における第2固定部に相当する。一方、ブラケット54が本発明における第1固定部に相当し、強度ガセット50の一対の壁部50A、内部リブ50Bが本発明における連結部に相当する。
【0037】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0038】
上記構成の車体前部構造10では、コンデンササポート20、フェンダサポート22は、エプロンアッパメンバ42、クラッシュボックス18を介して車体に対し支持されている。また、フェンダサポート22は、フェンダパネル46やオイルクーラー48を車体に対し支持しており、コンデンササポート20は、コンデンサやラジエータを車体に対し支持している。
【0039】
例えば、コンデンサが車両上下方向に振動した場合、コンデンササポート20には、該コンデンササポート20を変形させ(コンデンササポートアッパ24と左右のコンデンササポートサイド28とに相対角変位を生じさせ)ようとする力が作用する。
【0040】
ここで、本車体前部構造10では、コンデンササポートアッパ24に一体化されたフェンダサポートアッパ32がサポート部補強構造11の強度ガセット50を介してクラッシュボックス18に連結されているので、コンデンサの振動に起因するコンデンササポート20の変形が抑制される。このため、コンデンササポート20(の各接合部等)の耐久強度の低下が抑制される。同様に、フェンダサポート22の変形が抑制されることで、フェンダサポート22(の各接合部等)の耐久強度の低下が抑制される。
【0041】
一方、車体前部構造10が適用された車両(自動車等)が前面衝突に至った場合、左右少なくとも一方のクラッシュボックス18には、バンパリインフォースメントを介して車両前後方向に沿った圧縮荷重が作用する。この圧縮荷重が所定値以上である場合、クラッシュボックス18は、衝突荷重の一部を支持しつつ長手方向に圧縮破壊される。これにより、衝突に伴う衝撃エネルギの一部が吸収され、フロントサイドメンバ12すなわち車体に作用する荷重が緩和される。
【0042】
ここで、車体前部構造10では、ブラケット54がクラッシュボックス18に接着剤Aによって接着固定されているため、車体前部構造10が適用された車両が前面衝突(例えば、軽衝突を超える程度の衝突)に至った場合、接着剤Aによるブラケット54の固定部が剥がれる。したがって、クラッシュボックス18は、ブラケット54及び強度ガセット50を介して接続されたフェンダサポートアッパ32によって拘束されることなく、衝突エネルギの吸収に伴い圧縮破壊される。すなわち、クラッシュボックス18の所要の破壊形態(衝撃吸収挙動)が確保される。
【0043】
このように、本実施形態に係る車体前部構造10では、クラッシュボックス18を利用してコンデンササポート20、フェンダサポート22補強を図りつつ、該クラッシュボックス18によって良好な衝撃吸収機能を得ることができる。
【0044】
特に、樹脂製のクラッシュボックス18は、金属製のものと比較して延性、靭性が低いので、拘束により破壊形態(変形挙動)が影響を受けやすい。例えば、図8に示す比較例の如く、ボルト100及びナット102を用いて強度ガセット50を直接的にクラッシュボックス18に固定する構造では、ボルト100が起点となってクラッシュボックス18の破壊形態が変化してしまうので、所要の衝撃吸収性能を確保するために特別な対策が要求される。
【0045】
これに対して車体前部構造10では、上記の通り衝突時にはクラッシュボックス18が自由状態になるので、良好な衝撃吸収特性を得ることができる(良好な衝撃吸収特性を得るための設計等が容易である)。
【0046】
また、車体前部構造10では、強度ガセット50とは別部材とされたブラケット54がクラッシュボックス18に接着されるので、強度ガセット50、ブラケット54の設計自由度が高い。例えば、強度ガセット50は、所要の強度(剛性)を確保すべく金属材にて構成でき、かつクラッシュボックス18への接着部を有する構成と比較して金型や加工の簡素化を図ることができる。すなわち、鋳物や押し出し成形品として強度ガセット50を形成することができる。
【0047】
一方、ブラケット54は、クラッシュボックス18に対する所要の接着面積を確保する寸法形状を得易い。しかも、車体前部構造10では、ブラケット54がクラッシュボックス18と同種材料である樹脂材にて構成されているので、簡単な構成又はコンパクトな構成で、クラッシュボックス18とブラケット54との所要の接着強度を確保し易い。
【0048】
なお、上記した実施形態では、ブラケット54がクラッシュボックス18の上壁18Aに接着固定された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、クラッシュボックス18の側壁18Dにブラケット54を接着するようにしても良い。
【0049】
また、上記した実施形態では、フェンダサポート22を備えた車体前部構造10に本発明が適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、コンデンササポートアッパ24(を車幅方向に延長した部分でも良い)が強度ガセット50、ブラケット54を介してクラッシュボックス18に支持された構造としても良い。
【0050】
さらに、上記した実施形態では、クラッシュボックス18、ブラケット54が樹脂製である例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、クラッシュボックス18、ブラケット54を繊維強化樹脂等にて構成しても良い。また、本発明は、クラッシュボックス18の上記した形状に限定されないことはいうまでもない。
【0051】
その他、本発明は、上記した実施形態における各部の構造に限定されずことはなく、各種変形して実施可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態に係る車体前部構造を構成するサポート部補強構造を示す斜視図である。
【図2】図1の2−2線に沿った断面図である。
【図3】図1の3−3線に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る車体前部構造を構成する強度ガセット、ブラケットの固定前の状態を示す斜視図斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る車体前部構造の概略全体構成を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る車体前部構造の前側部分を示す側面図である。
【図7】本発明の実施形態に係る車体前部構造の車幅方向外側部分を示す平面図である。
【図8】本発明の実施形態との比較例に係るサポート部補強構造を示す図3に対応する断面図である。
【符号の説明】
【0053】
10 車体前部構造
12 フロントサイドメンバ(第1骨格部材)
18 クラッシュボックス(衝撃吸収部材)
20 コンデンササポート(第2骨格部材)
22 フェンダサポート(第2骨格部材)
32 フェンダサポートアッパ(第2骨格部材)
50 強度ガセット(連結構造体)
50A 壁部(連結部、第2固定部)
54 ブラケット(第1固定部)
A 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両前後方向に延在された第1骨格部材と、
前記第1骨格部材の車両前後方向の前端部に固定され、車両前後方向の後向きに入力される衝撃荷重を吸収するための衝撃吸収部材と、
前記衝撃吸収部材に接着にて固定された第1固定部と、車体を構成する第2骨格部材に固定された第2固定部と、前記第2固定部と第1固定部とを連結する連結部とを有する連結構造体と、
を備えた車体前部構造。
【請求項2】
車両前後方向に延在された第1骨格部材と、
車両前後方向に長手とされ、車両前後方向の後端部が前記第1骨格部材の車両前後方向の前端部に固定され、車両前後方向の後向きに入力される衝撃荷重を吸収するための衝撃吸収部材と、
前記衝撃吸収部材に対する車両上下方向の上側を横切るように車幅方向に延在され、車両構成部品を支持するための第2骨格部材と、
前記衝撃吸収部材に接着にて固定された第1固定部と、該第1固定部に対する車両上下方向の上側で前記第2骨格部材に固定された第2固定部と、前記第2固定部と第1固定部とを連結する連結部とを有する連結構造体と、
を備えた車体前部構造。
【請求項3】
前記衝撃吸収部材は、樹脂を含む材料にて構成されている請求項1又は請求項2記載の車体前部構造。
【請求項4】
前記第1固定部は、前記連結部から独立したブラケットとして構成されている請求項1〜請求項3の何れか1項記載の車体前部構造。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記衝撃吸収部材と同種の材料にて構成されている請求項4記載の車体前部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−120012(P2009−120012A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295640(P2007−295640)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】