説明

車載器

【課題】ETCの決済が可能でない旨の通知を的確に行うことによって、ETCゲートへの衝突事故の防止を図る。
【解決手段】ETC機能及びDSRC機能を有する車載器10において、ETCの決済が可能なETCカード、DSRCの決済が可能なDSRCカード、又はETC及びDSRCの両方の決済が可能なコンビカードのうち、何れか一のカードを挿入可能なカード挿入部2eと、前記ETCカード、又は前記コンビカードがカード挿入部2eに挿入されているか否か判断し、挿入されていないと判断した場合、ETCの決済が可能でない旨の通知を行う制御部3と、を備える車載器10とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ETC(Electronic Toll Collection System)機能を有する車載器が普及している。ETCの利用に際しては、ETCの決済が可能なETCカードを車載器のカード挿入部に挿入する必要がある。
【0003】
また近年、DSRC(Dedicated Short Range Communication)機能を有する車載器が検討されている。DSRCによれば、駐車場等に設置された路側無線装置と狭域無線通信を行い、地域に密着した情報やサービスの提供を受けることが可能となる。DSRCを利用する際には、ETCの利用と同様、DSRCの決済が可能なDSRCカードを車載器のカード挿入部に挿入する必要がある。なお、DSRCカードもETCカードと同様、ICチップが埋め込まれたクレジットカードである。
【0004】
ここで、ETCカードの挿入の有無についてのチェックは、一般に車載器の電源投入時に行われる。電源投入時にETCカードが挿入されていない場合、車載器は音声等でユーザに対しエラー通知を行う。
なお、電源投入時以外でETCカードのチェックを行う車載器も存在する(特許文献1参照)。特許文献1の車載器によれば、ETC専用の入口の料金所(以下、「ETCゲート」という)を通過する際に挿入されていたETCカードと、車載器が停止後再起動した際に挿入されているカードとの同一性を出口のETCゲート付近でチェックする。
【特許文献1】特開2004−102582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、DSRC機能を有する車載器ではETC機能も有しており、こうした車載器を特に、ITS(Intelligent Transport Systems)車載器という場合がある。
ITS車載器では、ETCカードが挿入されていない場合であっても、DSRCカードが挿入されていれば電源投入時のエラー通知は行われない。従って、ユーザは、ETCカードが挿入されていないことに気付かず、入口又は出口のETCゲートに衝突してしまう危険性がある。
こうした状況が起こり得る具体例として、例えばサービスエリアの駐車場等でDSRCカードによる決済を行った後にETCカードに差し替えない場合が考えられる。なお、ETC及びDSRCの両方の決済が可能なコンビカードも存在するが、市場における普及率は数パーセントである。よって、多くの場合は上記した衝突の危険性を伴う。
【0006】
本発明の目的は、ETCの決済が可能でない旨の通知を的確に行うことによって、ETCゲートへの衝突事故の防止を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、
ETC機能及びDSRC機能を有する車載器において、
ETCの決済が可能なETCカード、DSRCの決済が可能なDSRCカード、又はETC及びDSRCの両方の決済が可能なコンビカードを挿入可能なカード挿入部と、
前記ETCカード、又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されているか否か判断し、挿入されていないと判断した場合、ETCの決済が可能でない旨の通知を行う制御部と、
を備える車載器が提供される。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、
前記制御部は、DSRCの決済を前記DSRCカードによって行った後、前記ETCカード、又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されているか否か判断する車載器が提供される。
【0009】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、
前記制御部は、ETCゲート付近に予め設置されている予告アンテナを検出した際、前記ETCカード、又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されているか否かを判断する車載器が提供される。
【0010】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、
前記制御部は、ナビゲーションシステムによって探索された誘導経路上に前記ETCゲートが設置されている場合であって、前記車載器を搭載する車両が予め定められた規定距離まで前記ETCゲートに接近した場合、前記ETCカード、又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されているか否かを判断する車載器が提供される。
【0011】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、
前記制御部は、ナビゲーションシステムによる経路誘導中ではないが前記車両周辺の地図が案内されている場合であって、前記車両の進路上、又は周辺に前記ETCゲートがあり、前記車両が予め定められた規定距離まで前記ETCゲートに接近した場合、前記ETCカード、又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されているか否かを判断する車載器が提供される。
【0012】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明において、
前記制御部は、前記カード挿入部に挿入されている前記ETCカード、又は前記コンビカードの有効期限が切れているか否か判断し、有効期限が切れていると判断した場合、ETCの決済が可能でない旨の通知を行う車載器が提供される。
【0013】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6の何れか一項に記載の発明において、
記憶部を更に備え、
前記制御部は、ETCの決済が可能でない旨の通知を予め定められた回数だけ通知した後であって、通知後も前記ETCカード又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されていない場合、ETCの決済が可能でない旨を示すステータス情報を生成し、当該生成したステータス情報を前記記憶部に記憶させ、当該記憶されたステータス情報に基づいて、ETCの決済が可能でない旨を通知する車載器が提供される。
【0014】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1〜7の何れか一項に記載の発明において、
前記制御部は、音声によってETCの決済が可能でない旨の通知を行う車載器が提供される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ETCの決済ができない旨を的確に通知することができ、ETCゲートへの衝突事故を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<第1実施形態>
まず、構成を説明する。
図1に、第1実施形態における車載器10の構成を示す。
車載器10は、カーナビ部1、DSRC部2、制御部3等を備えて構成される。
【0017】
カーナビ部1は、カーナビ制御部1a、現在地検出部1b、地図記憶部1c、入力部1d、表示部1e、記憶部1f、音声出力部1g等を備えて構成される。カーナビ部1は、車載器10を搭載した車両(以下、単に「車両」という)の現在地から目的地までの経路を算出し、算出した経路に従って車両を目的地へ誘導する等のナビゲーションに係る処理を行う。
【0018】
カーナビ制御部1aは、現在地検出部1bから検出した現在地の位置情報及び地図記憶部1cに記憶された地図DB(データベース)等に基づいて、車両の現在地から入力部1dを介して設定された目的地までの経路を算出する。そして、カーナビ制御部1aは、地図記憶部1cに記憶されている地図DBを用いて、目的地までの経路に誘導するための地図画面を生成し、表示部1eに表示させる。
【0019】
現在地検出部1bは、GPSアンテナ、角度センサ、方位センサ、距離センサ等の各種センサを備え、これらセンサによる検出結果に基づいて車両の現在地を検出する。GPSアンテナは、GPS衛星から送信されるGPS信号を検出する。また、角度センサは移動方向の変化量を示す車両の加速度を検出し、方位センサは地磁気の検出を行って車両の絶対方位を検出する。現在地検出部1bは、これらセンサから取得した各検出結果に基づいて車両の現在地を示す位置情報(経度、緯度等の情報)を生成し、カーナビ制御部1aに出力する。
【0020】
地図記憶部1cは、メモリやDVD等の記録媒体から構成され、案内表示に必要な地図DB、駐車場DB等を記憶しており、記憶手段として機能する。地図DBは、表示用の地図画面、経路探索用の情報、施設や公園等の地点の情報等を含んでいる。地点の情報は、例えば地点の名称、緯度経度、住所、電話番号等である。
【0021】
入力部1dは、操作キーや表示部1eのモニタと一体に構成されるタッチパネル等から構成されている。入力部1dは、これらの操作に対応する操作信号を生成し、カーナビ制御部1aに出力する。
【0022】
表示部1eは、モニタを備え、制御部3やカーナビ制御部1aの表示制御に従ってモニタ上に各種情報を表示する。例えば、設定画面や地図画面等を表示する。
【0023】
記憶部1fは、メモリから構成され、制御部3やカーナビ制御部1aにより実行される制御プログラム、プログラムの実行に必要なパラメータやデータ等を記憶している。
【0024】
音声出力部1gは、音声処理部、D/A変換器、増幅器、スピーカ等を備えて構成される。音声出力部1gは、制御部3やカーナビ制御部1aから指示された音声データをD/A変換器によりアナログ信号に変換してスピーカにより音声出力する。また、音声出力部1gは、制御部3やカーナビ制御部1aから指示された表音文字列データに基づいて音声処理部により合成音声信号を生成し、スピーカにより音声出力する。
【0025】
DSRC部2は、DSRC制御部2a、DSRC通信部2b、記憶部2c、ETC処理部2d、カード挿入部2eを備えて構成されており、DSRCによる無線通信処理等を行う。
【0026】
DSRC制御部2aは、CPU、RAM等から構成され、記憶部2cに記憶されている制御プログラムとの協働によりDSRC部2の各部の動作を制御する。
例えばETCによる決済を行う際、DSRC通信部2bの通信動作を制御してETC基地局(ETC決済を行うためにETCゲート付近等に設けられる無線基地局)と決済情報の送受信を行わせる。また、ETC処理部2dにより決済情報の書込処理を行わせる。
【0027】
DSRC通信部2bは、車両のダッシュボード上でフロントガラス近傍に固設されたアンテナを備え、このアンテナを介して路側無線装置やETC基地局等とDSRCの電波の送受信を行う。
【0028】
記憶部2cは、DSRC制御部2aにより実行される制御プログラム等を記憶している。
【0029】
ETC処理部2dは、カード挿入部2eに挿入されるICチップが埋め込まれたクレジットカード又はデビットカード等に対して決済情報等の読み書きを行う。
以下、ETCの決済可能なクレジットカード等をETCカードという。
【0030】
カード挿入部2eは、ETCカード等のスロットを備え、このスロットに挿入されたETCカード等のICとETC処理部2dとの間で情報のやりとりを仲介する。
【0031】
制御部3は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等を備えて構成される。制御部3は、記憶部1fに記憶された制御プログラムとの協働により各種演算を行う他、各部の集中制御を行う。例えば、DSRC部2のDSRC通信動作を制御する。なお、DSRC部2の制御にあたってはDSRC部2のDSRC制御部2aとの協働により制御を行う。
【0032】
次に、動作について説明する。
図2に、第1カード判別処理を示す。
制御部3は、カード挿入部2eにカードが挿入されているか否か判断する(ステップS1)。
【0033】
カードが挿入されていない場合(ステップS1;N)、制御部3は、音声出力部1gを介して、カードが挿入されていない旨のアナウンスを出力する(ステップS2)。
出力するアナウンスの例としては、「カードが挿入されていません。カードを挿入して下さい」等がある。
【0034】
制御部3は、カードが挿入されていない旨のアナウンスを予め定められた回数(N回)以上出力したか否か判断する(ステップS3)。
N回以上アナウンスしていない場合(ステップS3;N)、制御部3は、ステップS1に移行する。
N回以上アナウンスした場合(ステップS3;Y)、制御部3は、ステータス1のステータス情報を生成して記憶部1fに記憶し(ステップS4)、第1カード判別処理を終了する。
ここで、ステータス1のステータス情報とは、カードが挿入されていない旨を示す情報であって、具体的には、「カードが挿入されていません。ETCカードを挿入して下さい。」との音声情報である。
【0035】
カードが挿入されている場合(ステップS1;Y)、制御部3は、挿入されているカードがETCカードであるか否か判断する(ステップS5)。
ETCカードでない場合(ステップS5;N)、制御部3は、挿入されているカードがDSRCカードであるか否か判断する(ステップS6)。
【0036】
DSRCカードでない場合(ステップS6;N)、制御部3は、カード挿入部2eに挿入されているカードはETC及びDSRCの決済が可能でないカードであると判別する(ステップS7)。そして、制御部3は、カードが適切に挿入されていない旨のアナウンスを出力する(ステップS8)。
出力するアナウンスの例としては、「カードが正しく挿入されていません。カードを確認して下さい。」等がある。
【0037】
制御部3は、カードが適切に挿入されていない旨のアナウンスを予め定められた回数(N回)以上出力したか否か判断する(ステップS9)。
N回以上アナウンスしていない場合(ステップS9;N)、制御部3は、ステップS1に移行する。
N回以上アナウンスした場合(ステップS9;Y)、制御部3は、ステータス2のステータス情報を生成して記憶部1fに記憶し(ステップS10)、第1カード判別処理を終了する。
ここで、ステータス2のステータス情報とは、ETCカードが適切に挿入されていない旨を示す情報であって、具体的には、「ETCカードを挿入して下さい。」との音声情報である。
【0038】
ステップS6に戻り、挿入されているカードがDSRCカードである場合(ステップS6;Y)、制御部3は、カード挿入部2eに挿入されているカードはDSRCの決済が可能なカードであると判別する(ステップS11)。
【0039】
制御部3は、ETCの決済は可能でないが、DSRCの決済は可能である旨のアナウンスを出力する(ステップS12)。
出力するアナウンスの例としては、「クレジット決済が可能です。ETCはご利用になりません。」等がある。
そして、制御部3は、ステータス3のステータス情報を生成して記憶部1fに記憶し(ステップS13)、第1カード判別処理を終了する。
ここで、ステータス3のステータス情報とは、カードは挿入されているがETCカードが挿入されていない旨を示す情報であって、具体的には、「ETCカードに交換して下さい。」との音声情報である。
【0040】
ステップS5に戻り、挿入されているカードがETCカードである場合(ステップS5;Y)、制御部3は、DSRCの決済も可能なコンビカードであるか否か判断する(ステップS14)。
コンビカードである場合(ステップS14;Y)、制御部3は、ETC及びDSRCの両方の決済が可能なカードであると判別する(ステップS15)。そして、制御部3は、ETC及びDSRCの両方の決済が可能である旨のアナウンスを出力し(ステップS16)、第1カード判別処理を終了する。
出力するアナウンスの例としては、「ETCが利用可能です。クレジット決済が可能です。」等がある。
【0041】
コンビカードでない場合(ステップS14;N)、制御部3は、ETCの決済が可能なカードであると判別する(ステップS17)。そして、制御部3は、ETCの決済が可能である旨のアナウンスを出力し(ステップS18)、第1カード判別処理を終了する。
出力するアナウンスの例としては、「ETCが利用可能です。クレジット決済にはクレジットカードを挿入して下さい。」等がある。
【0042】
図3及び図4を参照して、ステータス情報に基づく通知処理について説明する。
図3に、予告アンテナを利用した通知処理を示す。
制御部3は、DSRC通信部2bを介して、ETC予告アンテナを検出したか否か判断する(ステップS21)。
なお、ETC予告アンテナは、ETCゲートの数百メートル程度手前に設置されており、ETCゲートに進入してくる車両に対してETCゲートの動作状態を通知するものである。
【0043】
ETC予告アンテナを検出しない場合(ステップS21;N)、制御部3は、継続してETC予告アンテナを検出したか否か判断する。
ETC予告アンテナを検出した場合(ステップS21;Y)、制御部3は、記憶部2cにステータス情報が記憶されているか否か判断する(ステップS22)。
【0044】
ステータス情報が記憶されていない場合(ステップS22;N)、制御部3は、ETC予告アンテナを利用した通知処理を終了する。
ステータス情報が記憶されている場合(ステップS22;Y)、制御部3は、記憶されているステータス情報を音声により出力し(ステップS23)、ETC予告アンテナを利用した通知処理を終了する。
【0045】
ここで、音声により出力されるステータス情報は、記憶されているステータス情報がステータス1〜3の何れであるかによって異なる。なお、ステータス1〜3のステータス情報は、図2のステップS4、S10、S13において記憶されている。
具体的には、ステータス1のステータス情報によれば、「カードが挿入されていません。ETCカードを挿入して下さい。」との音声が出力される。ステータス2のステータス情報によれば、「ETCカードを挿入して下さい。」との音声が出力される。ステータス3のステータス情報によれば、「ETCカードに交換して下さい。」との音声が出力される。
【0046】
図4に、ナビゲーションシステムを利用した通知処理を示す。
制御部3は、カーナビ部1による経路誘導中であるか否か判断する(ステップS31)。
【0047】
経路誘導中でない場合(ステップS31;N)、制御部3は、車両の進行方向において、車両から規定距離以内にETCゲートが設置されているか否か判断する(ステップS32)。
なお、車両を中心とし、半径が規定距離以内にETCゲートが設置されているか否かを判断するとしてもよい。
また、道路によっては高速道路入口への専用レーンが設置されている場合があるため、光ビーコンのレーン情報と併せて、高速道路入口への専用レーン走行を判断基準として利用しても良い。
【0048】
規定距離以内にETCゲートが設置されていない場合(ステップS32;N)、制御部3は、ステップS31に移行する。
規定距離以内にETCゲートが設置されている場合(ステップS32;Y)、制御部3は、ステップS34に移行する。
【0049】
一方、経路誘導中である場合(ステップS31;Y)、制御部3は、誘導経路において、車両から規定距離以内にETCゲートが設置されているか否か判断する(ステップS32)。
【0050】
規定距離以内にETCゲートが設置されていない場合(ステップS32;N)、制御部3は、継続して規定距離以内にETCゲートが設置されているか否か判断する。
規定距離以内にETCゲートが設置されている場合(ステップS32;Y)、制御部3は、ステータス情報が記憶部2cに記憶されているか否か判断する(ステップS33)。
【0051】
ステータス情報が記憶されていない場合(ステップS33;N)、制御部3は、ナビゲーションシステムを利用した通知処理を終了する。
ステータス情報が記憶されている場合(ステップS33;Y)、制御部3は、記憶されているステータス情報を音声により出力し(ステップS34)、ナビゲーションシステムを利用した通知処理を終了する。
なお、ここで出力される音声は、図3のステップS23と同様、記憶されているステータス情報がステータス1〜3の何れであるかによって異なる。また、出力される具体的な音声の内容は、図3のステップS23において説明した内容と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0052】
以上のように、第1実施形態によれば、ETCの決済が可能でない旨の通知を的確に行い得る。よって、ETCカード、又はコンビカードの挿入忘れによるETCゲートへの衝突事故を防止することができる。
【0053】
また、ETCカード、又はコンビカードの挿入忘れが起こり得る一例として、DSRCの決済を行った後にETCの決済が可能なETCカード、又はコンビカードへ差し替えることを忘れる場合がある。しかし、こうした場合でも、ETCの決済が可能でない旨の通知を的確に行い得るため、ETCゲートへの衝突事故を防止することができる。
【0054】
また、予告アンテナが設置されている有料道路へ車両が進入する場合、予告アンテナを検出した際にETCの決済が可能であるか否か判断することができる。よって、ETCの決済ができない旨の通知をETCゲートの数百m手前で的確に行うことができる。
【0055】
また、カーナビ部1による経路誘導中において経路上にETCゲートが設置されている場合、ETCゲートの数百m手前でETCの決済が可能であるか否か判断することができる。よって、ETCの決済ができない旨の通知を的確に行うことができる。
【0056】
また、カーナビ部1による経路誘導中でない場合であっても、車両の進行方向、又は車両の周辺にETCゲートが設置されている場合、ETCゲートの数百m手前でETCの決済が可能であるか否か判断することができる。よって、ETCの決済ができない旨の通知を的確に行うことができる。
【0057】
また、ETCの決済が可能でない旨を複数回通知したにも拘らず、尚も継続してETCカード、又はコンビカードが挿入されない場合、ETCの決済が可能でない旨を示すステータス情報を生成して記憶しておくことができる。そして、記憶しておいたステータス情報に基づいて、ETCゲートの数百m手前でETCの決済ができない旨の通知を的確に行うことができる。
【0058】
また、ステータス情報はステータス1〜3の3種類あり、カードが挿入されていない、又は適切なカードが挿入されていない等の状況に応じて、ETCの決済が可能でない旨を適切に通知することができる。
【0059】
また、ETCの決済が可能でない旨の通知は、音声により通知することができる。
【0060】
またETCの決済が可能でない旨の通知を、カーナビ部1の表示部1eにより行うとしても良い。
【0061】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態における車載器10Aについて説明する。
図5に、車載器10Aの構成を示す。
図5に示す車載器10Aは、図1に示した車載器10からカーナビ部1、及び制御部3を除いた構成となっており、DSRC機能のみを有する車載器である。
DSRC部20における各部の機能は図1の車載器10と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0062】
図6に、車載器10Aによる第2カード判別処理を示す。
図6に示す第2カード判別処理は、図2に示した第1カード判別処理と主として同様の内容であり、一部の処理が異なる。具体的には、図6に示す第2カード判別処理ではステータス情報を記憶する処理を行わない。
以下、一部の異なる処理についてのみ説明する。
【0063】
ステップS3Aにおいて、DSRC制御部20aは、カードが挿入されていない旨のアナウンスを予め定められた回数(N回)以上出力したか否か判断する(ステップS3A)。
N回以上アナウンスしていない場合(ステップS3A;N)、DSRC制御部20aは、ステップS1Aに移行する。
N回以上アナウンスした場合(ステップS3A;Y)、DSRC制御部20aは、第2カード判別処理を終了する。
【0064】
ステップS9Aにおいて、DSRC制御部20aは、カードが適切に挿入されていない旨のアナウンスを予め定められた回数(N回)以上出力したか否か判断する(ステップS9A)。
N回以上アナウンスしていない場合(ステップS9A;N)、DSRC制御部20aは、ステップS1Aに移行する。
N回以上アナウンスした場合(ステップS9A;Y)、DSRC制御部20aは、第2カード判別処理を終了する。
【0065】
ステップS12Aにおいて、DSRC制御部20aは、ETCの決済は可能でないが、DSRCの決済は可能である旨のアナウンスを出力し(ステップS12A)、第2カード判別処理を終了する。
出力するアナウンスの例としては、「クレジット決済が可能です。ETCはご利用になりません。」等がある。
【0066】
以上のように、第2実施形態によれば、カーナビ部1を備えておらず安価な車載器10Aであっても、ETCの決済が可能でない旨の通知を的確に行い得る。よって、ETCカード、又はコンビカードの挿入忘れによるETCゲートへの衝突事故を防止することができる。
【0067】
なお、第1実施形態及び第2実施形態では、カード挿入部2e、20eのカード挿入口は1つであることを前提にしているが、必ずしもこれに限られない。
例えば、挿入口がETCカード用とDSRCカード用で2つある場合、制御部3又はDSRC制御部20aは、各挿入口におけるカードの有無を判断する(ステップS1、S1A参照)。そして、各挿入口における判別結果をアナウンスする(ステップS2、S2A参照)。何れか一方の挿入口にのみETCカード、又はDSRCカードが挿入されている場合は、各挿入口の条件を合わせた判別結果をアナウンスする(ステップS12、S12A等参照)。また、両方の挿入口にETCカード及びDSRCカードがそれぞれ挿入されている場合には、コンビカードと同様の処理を行う(ステップSS16、S16A参照)。
以上のように、カード挿入口が2つある場合でも、第1実施形態及び第2実施形態と同様の処理を行うことで、ETCゲートへの衝突事故を防止することができる。
【0068】
<第3実施形態>
第3実施形態における車載器は、第1実施形態における車載器10と同様の構成及び機能を有し、主な処理動作も同様であるが、一部の処理が異なる。具体的には、図7に示す第3カード判別処理において、カードの有効期限のチェックを行う。
以下、図7を参照して、異なる処理についてのみ説明する。なお、第3実施形態における車載器の構成は図1の車載器10と同様であるため、同一の符号を付して説明する。
【0069】
制御部3は、カード挿入部2eに挿入されているカードがETCカードか否か判断する(ステップS5B)。
ETCカードの場合(ステップS5B;Y)、制御部3は、挿入されているカードの有効期限が切れているか否か判断する(ステップS51B)。
【0070】
有効期限が切れていない場合(ステップS51B;N)、制御部3は、有効期限までの日数が所定の規定値以上であるか否か判断する(ステップS52B)。
なお、所定の規定値は例えば「1ヶ月」等であればよく、1ヶ月の場合、制御部3は、カードの有効期限が1ヶ月で切れるか否か判断する。
【0071】
規定値以上である場合(ステップS52B;Y)、制御部3は、ステップS14Bに移行する。
規定値以下である場合(ステップS52B;N)、制御部3は、有効期限が迫っている旨のアナウンスを出力し(ステップS53)、第3カード判別処理を終了する。
なお、有効期限が迫っている旨のアナウンスには、例えば「ETCカードの有効期限が迫っています。ご注意下さい」等がある。
【0072】
ステップS51Bに戻り、有効期限が切れている場合(ステップS51B;Y)、制御部3は、カードの有効期限が切れており、カードの差し替えが必要である旨のアナウンスを出力する(ステップS54B)。
なお、出力されるアナウンスには、例えば「ETCカードの有効期限が切れています。利用できるETCカードに差し替えて下さい。」等がある。
【0073】
制御部3は、カードがカード挿入部2eから抜かれたか否か判断する(ステップS55B)。
カードが抜かれた場合(ステップS55B;Y)、制御部3は、ステップS1Bに移行する。
カードが抜かれない場合(ステップS55B;N)、制御部3は、ステータス4のステータス情報を生成して記憶部1fに記憶し(ステップS56B)、第3カード判別処理を終了する。
【0074】
ここで、ステータス4のステータス情報とは、カードの有効期限が切れており、カードの差し替えが必要である旨を示す情報である。具体的には、「ETCカードの有効期限が切れています。利用できるETCカードに差し替えて下さい。」や、「コンビカードの有効期限が切れています。利用できるコンビカードに差し替えて下さい。」との音声情報である。
ステータス4のステータス情報は、図3及び図4に示したステータス情報に基づく通知処理において用いられることになる。
【0075】
以上のように、第3実施形態によれば、ETCカード、又はコンビカードの有効期限をチェックし、有効期限が切れている場合にはETCの決済が可能でない旨の通知を的確に行い得る。よって、ETCカード、又はコンビカードの有効期限切れによるETCゲートへの衝突事故を防止することができる。なお、ステップS51Bで有効期限切れと判断された後にカード判別処理によりETCカードかコンビカードかを判別するようにしてもよい。コンビカードと判別された場合にはコンビカードで有効期限が切れているというステータス情報を記憶させ、DSRCの決済時またはDSRCの決済が予測される場合には、コンビカードの有効期限が切れている旨を通知するようにしてもよい。通常コンビカードの有効期限は、ETCカードの有効期限とDSRCカードの有効期限が一致するためである。
【0076】
<第4実施形態>
第4実施形態における車載器は、第1実施形態における車載器10と同様の構成及び機能を有し、主な処理動作も同様であるが、一部の処理が異なる。具体的には、図8に示すカード確認処理を行う。
以下、図8を参照して、カード確認処理を説明する。なお、第4実施形態における車載器の構成は図1の車載器10と同様であるため、同一の符号を付して説明する。
【0077】
制御部3は、DSRCカードによるDSRCの決済が終了したか否か判断する(ステップS41)。なお、DSRCの決済は、通常店舗の駐車場等の私有地内で行われる。
DSRCの決済が終了していない場合(ステップS41;N)、制御部3は、DSRCの決済が終了するまで待機する。
DSRCの決済が終了した場合(ステップS41;Y)、制御部3は、車両の速度は規定値以上であるか否か判断する(ステップS42)。
なお、車両の速度が規定値以上であるか否かは、例えば車速パルスによって判断することができる。
【0078】
規定値以上でない場合(ステップS42;N)、制御部3は、車両の速度が規定値以上となるまで待機する。
規定値以上である場合(ステップS42;Y)、制御部3は、マップマッチしている道路は公道であるか否か判断する(ステップS43)。
なお、マップマッチ機能がカーナビ部1にない場合や、何らかの理由でマップマッチできない場合、制御部3は、ステップS44に移行するとしてもよい。マップマッチできない場合とは、具体的には、カーナビ部1が記憶する地図データが古くて道路データがない場合等がある。
【0079】
マップマッチしている道路が公道でない場合(ステップS43;N)、制御部3は、公道になるまで待機する。
マップマッチしている道路が公道である場合(ステップS43;Y)、制御部3は、カード挿入部2eに挿入されているカードがコンビカードであるか否か判断する(ステップS44)。
【0080】
コンビカードである場合(ステップS44;Y)、制御部3は、カード確認処理を終了する。
コンビカードでない場合(ステップS44;N)、制御部3は、ETCカード、又はコンビカードへの差し替えを促す旨のアナウンスを出力する(ステップS45)。
なお、出力されるアナウンスには、例えば「車を停車させてETCカードに交換して下さい。」等がある。
【0081】
制御部3は、カード挿入部2eからカードが抜かれたか否か判断する(ステップS46)。
カードが抜かれた場合(ステップS46;Y)、制御部3は、カード判別処理に移行して(ステップS47)、カード確認処理を終了する。なお、ステップS46のカード確認処理は、図1、図6、図7に示した第1〜第3カード確認処理の何れであってもよい。
【0082】
カードが抜かれていない場合(ステップS46)、制御部3は、ETCカードへの差し替えを促す旨のアナウンスを予め定められた回数(N回)以上出力したか否か判断する(ステップS48)。
【0083】
N回以上アナウンスしていない場合(ステップS48;N)、制御部3は、ステップS45に移行する。
N回以上アナウンスした場合(ステップS48;Y)、制御部3は、ステータス5のステータス情報を生成して記憶部1fに記憶し(ステップS49)、カード確認処理を終了する。
ここで、ステータス5のステータス情報とは、ETCカードへの差し替えを促す旨を示す情報であって、具体的には、「車を停止させてETCカードに交換して下さい。」との音声情報である。
ステータス5のステータス情報は、図3及び図4に示したステータス情報に基づく通知処理において用いられることになる。
【0084】
以上のように、第4実施形態によれば、DSRCの決済終了後には常にカード判別処理が行われるため、ETCの決済が可能でない場合にはその旨の通知を的確に行い得る。よって、ETCカード、又はコンビカードの挿入忘れや有効期限切れによるETCゲートへの衝突事故を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】車載器の構成を説明する図である。
【図2】第1カード判別処理を説明するフロー図である。
【図3】予告アンテナを利用した通知処理を説明するフロー図である。
【図4】ナビゲーションシステムを利用した通知処理を説明するフロー図である。
【図5】車載器の構成を説明する図である。
【図6】第2カード判別処理を説明するフロー図である。
【図7】第3カード判別処理を説明するフロー図である。
【図8】カード確認処理を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0086】
10 車載器
1 カーナビ部
2 DSRC部
20a DSRC制御部
2c 記憶部
2e カード挿入部
3 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ETC機能及びDSRC機能を有する車載器において、
ETCの決済が可能なETCカード、DSRCの決済が可能なDSRCカード、又はETC及びDSRCの両方の決済が可能なコンビカードを挿入可能なカード挿入部と、
前記ETCカード、又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されているか否か判断し、挿入されていないと判断した場合、ETCの決済が可能でない旨の通知を行う制御部と、
を備える車載器。
【請求項2】
前記制御部は、DSRCの決済を前記DSRCカードによって行った後、前記ETCカード、又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されているか否か判断する請求項1に記載の車載器。
【請求項3】
前記制御部は、ETCゲート付近に予め設置されている予告アンテナを検出した際、前記ETCカード、又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されているか否かを判断する請求項1に記載の車載器。
【請求項4】
前記制御部は、ナビゲーションシステムによって探索された誘導経路上に前記ETCゲートが設置されている場合であって、前記車載器を搭載する車両が予め定められた規定距離まで前記ETCゲートに接近した場合、前記ETCカード、又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されているか否かを判断する請求項1に記載の車載器。
【請求項5】
前記制御部は、ナビゲーションシステムによる経路誘導中ではないが前記車両周辺の地図が案内されている場合であって、前記車両の進路上、又は周辺に前記ETCゲートがあり、前記車両が予め定められた規定距離まで前記ETCゲートに接近した場合、前記ETCカード、又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されているか否かを判断する請求項1に記載の車載器。
【請求項6】
前記制御部は、前記カード挿入部に挿入されている前記ETCカード、又は前記コンビカードの有効期限が切れているか否か判断し、有効期限が切れていると判断した場合、ETCの決済が可能でない旨の通知を行う請求項1に記載の車載器。
【請求項7】
記憶部を更に備え、
前記制御部は、ETCの決済が可能でない旨の通知を予め定められた回数だけ通知した後であって、通知後も利用可能な前記ETCカード又は前記コンビカードが前記カード挿入部に挿入されていない場合、ETCの決済が可能でない旨を示すステータス情報を生成し、当該生成したステータス情報を前記記憶部に記憶させ、当該記憶されたステータス情報に基づいて、ETCの決済が可能でない旨を通知する請求項1〜6の何れか一項に記載の車載器。
【請求項8】
前記制御部は、音声によってETCの決済が可能でない旨の通知を行う請求項1〜7の何れか一項に記載の車載器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−55132(P2010−55132A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−209561(P2008−209561)
【出願日】平成20年8月18日(2008.8.18)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】