説明

車載機と地上波デジタル放送受信機からなるシステムの情報処理方法

【課題】地上波デジタル放送の情報を、ナビゲーション装置等の車載機で簡便に用いる技術を提供する。
【解決手段】
地上波デジタル放送受信機は、放送局から受信した情報(例えば、店の位置情報)を、車載機での用途(例えば、ナビゲーション装置の場合、目的地設定)とともに記憶する。そして、車載機は、用途をキーとして記憶された情報の中から必要な情報を探す。そして、記憶された情報が、対応する用途に用いられるように設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載機に関し、特に車載機の地上波デジタル放送情報の利用技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地上波デジタル放送で流された情報を車載機が容易に利用できると便利である。例えば、車載用ナビゲーション装置が、地上波デジタル放送で紹介された特定の店の位置情報を利用できれば、その店を目的地としてナビゲーション処理を行うことができる。また、地上波デジタル放送で流された映像を車載機の画面の壁紙等に設定したり、放送された音楽を車載機で再生したりすることができる。
【0003】
この点、特許文献1に記載の技術では、まず、テレビ受信機が受信した情報をメモリカードに記録する。メモリカードはユーザにより車載用ナビゲーション装置に移動可能である。車載用ナビゲーション装置は、メモリカードに記憶された情報を読み取り、読み取った店の位置情報等から目的地を設定してナビゲーション処理を行う。こうして、放送された情報を車載用ナビゲーション装置で利用することを可能としている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−221424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、メモリカードに、様々な用途に使用される多くの情報が記憶されると、その中から必要な情報を取り出す作業は煩雑となる。また、取り出した情報をどのような処理に利用するかの設定も煩雑となる。例えば、放送された店を目的地に設定するためには、まず、メモリカードに記憶された情報を一つ一つチェックしていき、目的の店の位置情報を見つけ出さなければならない。そして、さらに、見つけ出した位置情報に基づいて、目的地を設定するという作業をしなければならない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、放送された情報を車載機で簡便に用いる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の地上波デジタル放送受信機と車載機とを有するシステムは、地上波デジタル放送受信機に、放送局から受信した情報をその用途とともに記憶させる。そして、車載機は、記憶された情報をその用途に用いる。
【0008】
例えば、地上波デジタル放送受信機と車載機とを有するシステムにおいて、前記地上波デジタル放送受信機は、放送局から受信した情報を、当該情報の前記車載機での用途に対応させて記憶装置に記憶させる。前記車載機は、前記記憶装置に記憶された情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用する。
【0009】
また、前記車載機は、用途の選択を受け付ける用途受付ステップと、前記記憶装置に記憶された情報の中から、前記用途受付ステップにより受け付けた用途に対応する情報を抽出する情報抽出ステップと、前記情報抽出ステップにより抽出した情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用する情報利用ステップとを行うようにしてもよい。
【0010】
また、前記地上波デジタル放送受信機は、放送局から受信した情報の前記車載機での用途の選択を受け付ける用途選択受付ステップと、放送局から受信した情報を、前記用途選択受付ステップにより受け付けた用途に対応させて記憶装置に記憶させる記憶ステップとを行うようにしてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明の一実施形態が適用された、地上波デジタル放送の情報利用システムを説明する。
【0012】
本実施形態の地上波デジタル放送の情報利用システムは、地上波デジタル放送受信機(以下、「放送受信機」という。)200と、車載機とを有する。以下では、車載機が車載用ナビゲーション装置100である場合について説明する。
【0013】
図1は、放送受信機200の概略構成図である。図示するように、放送受信機200は、アンテナ210と、受信部220と、AVコントローラ230と、入力装置240と、情報記録装置250と、スピーカ260と、ディスプレイ270とを有する。
【0014】
放送受信機200と車載用ナビゲーション装置100との間の情報の受け渡しはメモリカード500を介して行われる。本実施形態では、ICカード、磁気カード等のメモリカード500を使用した形態について説明するが、必要な情報を記録することができる情報記録媒体であれば、その記録方式、形状に制限はない。
【0015】
受信部220は、アンテナ210で受信した地上波デジタル信号からデジタル音響信号、デジタル映像信号及びその他のデータ信号を復元し、AVコントローラ230に出力する。図示するように、放送波受信部220は、チューナ221と、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)復調部222と、DEMUX(分離部)223と、デコーダ224と、を有する。
【0016】
チューナ221は、アンテナ210で受信した地上波デジタル放送信号から、入力装置240を介してユーザより指定されたチャンネルを選局する。OFDM復調部222は、チューナ221で選局されたチャンネルのOFDM変調信号をOFDM復調してTS(Transport Stream)を出力する。DEMUX223は、OFDM復調部222から出力されたTSを放送コンテンツの符号化音響データ及び符号化映像データに分離する。デコーダ224は、DEMUX223から出力された符号化音響データ及び符号化映像データをデコードし、AVコントローラ230へ出力する。
【0017】
AVコントローラ230は、放送波受信機220から出力されたデジタル映像信号又はデジタル映像信号をスピーカ260又はディスプレイ270に出力する。図示するように、AVコントローラ230は、主制御部231と、バッファ235と、データ処理部232と、音響処理部233と、描画処理部234とを有する。
【0018】
主制御部231は、各処理部を制御する。バッファ235は、スピーカ260に出力される音響信号や、ディスプレイ270に出力される映像信号を一時的に記憶する。
【0019】
データ処理部232は、主制御部231の指示に従って、番組に含まれる情報を、情報記録装置250を介してメモリカード500に記録する。
【0020】
音響処理部233は、主制御部231の指示に従い、デジタル音響信号をスピーカ260に出力する。描画処理部234は、主制御部231の指示に従い、デジタル描画信号をディスプレイ270に出力する。
【0021】
図2は、入力装置240の概略構成を示す図である。図示するように、入力装置240は、電源のON・OFFの指示を受け付ける電源ボタン241と、チャンネルの選択を受け付けるチャンネルボタン242と、用途選択受付ボタン245〜247とを有する。用途選択受付ボタン245〜247は、放送された情報の記憶指示を受け付けるとともに、車載用ナビゲーション装置100で利用する場合の用途の指定を受け付けるためのボタンである。用途選択受付ボタン245〜247は、記憶する情報の用途ごとに設けられている。詳しくは、後述する。
【0022】
図3は、車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算装置110と、測位装置120と、入力装置130と、ディスプレイ140と、スピーカ150と、データ記憶装置160と、メモリカード読書装置170とを有する。
【0023】
演算装置110は、様々な処理を行う中心的ユニットである。演算装置110は、ユーザ操作解析部111と、ナビ処理部112と、表示処理部113と、音声処理部114と、放送情報処理部115とを有する。
【0024】
ユーザ操作解析部111は、入力装置130を介してなされたユーザの操作を解析し操作に応じた処理を行うように他の処理部に指示する。
【0025】
ナビ処理部112は、各種のナビゲーション処理を行う。例えば、測位装置120から出力される情報を基にして現在地を検出し、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データをデータ記憶装置160から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィックス展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ140へ表示するように表示処理部113に指示する。また、データ記憶装置160に記憶されている地図データを用いて、ユーザから指示された目的地と現在地(出発地)とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索し、ディスプレイ140を用いてユーザを誘導する。
【0026】
表示処理部113は、要求された映像がディスプレイ140に表示されるようにコマンドを生成し、生成したコマンドをディスプレイ140に出力する。音声処理部114は、ユーザ操作解析部111やナビ処理部112の指示に従って、音響信号を生成し、スピーカ150に出力する。
【0027】
放送情報処理部115は、メモリカード500を介して放送受信機200から入手した放送情報に関する処理を行う。例えば、放送情報が車載用ナビゲーション装置の処理に利用されるように設定する。
【0028】
このように構成される各処理部の機能は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)と、データ記憶装置160から読み出した地図データや演算データなどを格納するRAM(Random Access Memory)と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)と、メモリ間およびメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラと、グラフィックスイメージデータを蓄えるVRAM(Video Random Access Memory)と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレットと、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器と、シリアル信号をバスに同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)と、パラレル信号をバスに同期させてバス上にのせるPIO(Parallel Input/Output)と、パルス信号を積分するカウンタと、を有するコンピュータにより達成される。
【0029】
測位装置120は、車両の現在位置(自車位置)を算出するための情報を出力する装置である。測位装置120は、車輪速センサ、地磁気センサ、ジャイロセンサ、GPS(Global Positioning System)受信装置等から構成される。
【0030】
入力装置130は、ユーザからの指示を受け付けるユニットで、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成される。
【0031】
ディスプレイ140は、演算装置110で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットで、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。
【0032】
データ記憶装置160は、CD-ROMやDVD-ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、地図データが記憶されている。地図データには、道路を構成する各リンクのリンクデータや、特定の地点(例えば、目印になりうる地点)についての名称、その地点の座標情報等が含まれている。
【0033】
スピーカ150は、演算装置110で生成したユーザへのメッセージを音声信号に変換し出力する。
【0034】
メモリカード読書装置170は、メモリカード500が挿入可能に構成されている。そして、メモリカード500に記録された情報を読み取り、演算装置110に送信する。また、演算装置110からの指示に従って、記録内容の削除、変更等を行う。
【0035】
[動作の説明]次に、上記のように構成されるシステムの動作について説明する。まず、放送受信機200の動作について説明する。
【0036】
図4は、放送受信機200の番組放映中の動作を説明するためのフロー図である。
【0037】
放送受信機200の主制御部231は、番組放映中、放送情報の記憶指示を受け付ける(S106)。本実施形態では、図2に示したように、入力装置240は、放送情報の記憶指示をその情報の用途とともに受け付ける用途選択受付ボタン245〜247を有している。したがって、主制御部231は、このボタン245〜247が押下されたか否かで、放送情報の記憶指示及びその用途を受け付ける。
【0038】
放送情報の記憶指示とその情報の用途とを受け付けると(S106でYes)、主制御部231は、その情報の優先度の選択を受け付ける(S107)。
【0039】
図5は、情報の用途が「目的地設定」であった場合におけるディスプレイ270に表示される優先度受付画面272の表示例である。なお、主制御部231は、描画処理部234を介して画面の表示を行う。
【0040】
図示するように、表示画面272には、放送番組273が表示される。そして、現在放映している地域の情報を「目的地設定」の用途に利用する情報として記憶する旨のメッセージ274と、優先度の指定をユーザに促すメッセージ275が表示される。
【0041】
主制御部231は、入力装置240を介してユーザから優先度の選択を受け付ける。優先度は、放送情報の指標となる情報である。優先度は、例えば、車載用ナビゲーション装置100での放送情報の表示の順番を決めるのに用いられる。また、優先度は、ユーザが放送情報の中身を思い出し易くするために用いられる。本実施形態では、1〜5の範囲で優先度の選択ができるようになっている。
【0042】
次に、主制御部231は、放送情報の記憶指示を受け付けたときに放送されていた情報を、バッファ235に記憶されている情報の中から抽出する。このとき、必要に応じて関連ある情報も抽出する(S108)。
【0043】
例えば、その情報の用途が「目的地設定」であった場合、記憶指示を受け付けたときの放映内容のうち、店や地域等の特定の地点に関する情報を、バッファ235から抽出する。地点に関する情報としては、例えば、その地点、場所、店等の名称、住所、電話番号、ファクシミリ番号、URL、電子メールアドレス、緯度・経度等である。
【0044】
また、その情報の用途が「スナップショット」の場合、記憶指示を受け付けたときに放映されていた映像の映像データをバッファ235から抽出する。動画の場合は、数秒間の映像を動画データとして抽出する。このとき、記憶指示を受け付けたときの前後(例えば、前後5分間)の映像を抽出するようにしてもよい。
【0045】
また、その情報の用途が「音声再生」の場合、記憶指示を受け付けたときにスピーカ260から出力されていた音声の音声データをバッファ235から抽出する。音声が、楽曲の場合は、一曲分の音声データを抽出する。
【0046】
また、情報の用途が「映像再生」の場合、記憶指示を受け付けたときに放映されていたTV番組、映画等のデータをバッファ235から抽出する。
【0047】
なお、抽出する情報は、必ずしもディスプレイ270に表示された情報に限られない。放送受信機200が放送局(図示しない)から受信しバッファ235に記憶している情報であればよい。
【0048】
次に、主制御部231は、抽出した情報(放送情報)502と、その情報の用途(用途情報)504と、優先度506とを、データ処理部232を介してメモリカード500に記憶させる(S109)。このとき、主制御部231は、図6に示すように、表示画面272に、放送情報がその用途とともに記憶されたことを知らせるメッセージ278を表示するようにしてもよい。
【0049】
メモリカード500への記憶を行うと、主制御部231は、S106に戻って処理を続ける。
【0050】
番組放映中、放送情報の記憶指示を受け付けると、このような処理(S106〜S109)が繰り返される。そして、メモリカード500には、図7に示すように、放送情報502と、その用途504と、優先度506とがセットになって蓄積される。
【0051】
なお、同じ放送情報に対して、複数の用途を指定できるようにしてもよい。例えば、主制御部231は、S109の終了後、同じ放送情報について、他の用途を指定するか否かの選択を受け付けるようにする。そして、他の用途の指定をするように選択された場合は、他の用途の指定を受け付けた後、S107以降の処理を行うようにする。こうすれば、放映された同一の情報を、車載用ナビゲーション装置100で複数の用途で用いることができるようになる。
【0052】
次に、車載用ナビゲーション装置100の動作について説明する。図8は、車載用ナビゲーション装置100の放送情報502の利用についての処理の流れを示すフロー図である。
【0053】
このフローは、放送情報502を特定の用途に利用するように要求があったときに開始される。ただし、メモリカード500に記憶された情報の読み取り要求があったとき、またはメモリカード500がメモリカード読書装置170に挿入されたときに自動的に開始されるようにしてもよい。
【0054】
まず、放送情報処理部115は、メモリカード500に記憶されている情報をメモリカード読書装置170を介して読み取る(S202)。次に、読み取った情報の中から、放送情報502の用途504を抽出する。そして、抽出した用途504をディスプレイ140に列挙して表示する(S204)。次いで、いずれかの用途の選択を入力装置130を介して受け付ける(S206)。
【0055】
図9は、用途選択の受付画面600の表示例である。符号610に示すように、用途選択の受付画面600には、用途611〜613が列挙される。
【0056】
いずれかの用途が選択されと、放送情報処理部115は、その用途の放送情報502及び対応する優先度506とをメモリカード500の情報の中から抽出する。そして、抽出した放送情報502と優先度506とをディスプレイ140の画面に表示する(S208)。ここで、同一の用途の放送情報502が複数ある場合は、記憶日時の早い順に表示する。なお、記憶日時の遅い順、または優先度の高い順に表示してもよい。
【0057】
図9は、S206において、用途として「目的地設定」が選択された場合である。図示するように、メモリカード500に記憶された情報のうち、用途504が「目的地設定」である放送情報502が放送情報表示枠620に表示されている。
【0058】
放送情報表示枠620には、放送情報502に基づいて、その地点の名称、住所、緯度・経度等の情報621、その地域の画像622が表示される。また、優先度630も表示される。また、画像が複数ある場合は、画像を順にめくって変更する指示を受け付けるボタン623が表示される。
【0059】
また、同一の用途の放送情報が複数ある場合は、「次」又は「前」の放送情報の表示の指示を受け付けるためのボタン625及び626が表示される。戻りボタン629は、用途の選択の受け付け(S204)に戻るためのボタンである。
【0060】
図10は、S206において、用途として「音声再生」が選択された場合である。図示するように、メモリカード500に記憶された情報のうち、用途504が「音声再生」である放送情報502が放送情報表示枠620に表示されている。また、図9で示した各表示(621,623,625,626,628,629)及び曲目等の音声に関する情報627のほかに、試聴ボタン624が表示されている。この試聴ボタン624が押されると、放送情報処理部115は、放送情報502に含まれる音声データを用いてスピーカ150に音声を出力させる。これにより、ユーザは、音声の試聴ができる。
【0061】
図9や図10に示す画面600の表示中において、設定ボタン628が押されると、放送情報処理部115は、表示されている放送情報が、対応する用途に利用されるように設定する(S210)。
【0062】
例えば、用途が「目的地設定」の放送情報の場合、その放送情報により特定される地点を、経路探索の目的地に設定する。そして、放送情報処理部115は、ナビ処理部112に、現在位置から目的地までの経路探索を行うように指示する。
【0063】
また、例えば、用途が「スナップショット」の放送情報の場合、ユーザからの要求に応じて、その放送情報に含まれる映像を、起動時(ブート時)の画面の映像等に設定する。また、ユーザの要求に応じて、その放送情報により特定される地点に車両が近づいたときに、その放送情報に含まれる映像が表示されるように設定してもよい。かかる場合、放送情報処理部115は、ナビ処理部112に指示して、現在位置がその地点から所定の距離範囲(例えば300m)に近づいたかどうか監視させる。そして、近づいた場合、放送情報処理部115は、ディスプレイ140にその地点の映像を表示する。
【0064】
また、例えば、用途が「音声再生」の放送情報の場合、ユーザの要求に応じて、その放送情報に含まれる音声データにより生成される音声を、起動時にスピーカ150から出力する音声に設定する。また、ユーザの要求に応じて、その放送情報により特定される地点に車両が近づいたときに、その放送情報に含まれる音声が出力されるようにしてもよい。かかる場合、放送情報処理部115は、ナビ処理部112に指示して、現在位置がその地点から所定の距離範囲(例えば300m)に近づいたかどうか監視させる。そして、近づいた場合、放送情報処理部115は、スピーカ150にその音声を出力させる。
【0065】
また、例えば、用途が「映像再生」の放送情報の場合、放送情報処理部115は、ユーザの要求に応じて、その放送情報に含まれる映画等の続きの映像を出力するように設定してもよい。
【0066】
以上、本発明の一実施形態について説明した。上記実施形態によれば、放送された情報が、その用途と対応して記憶される。したがって、用途を指定するだけで、目的の情報を素早く検索できる。すなわち、車載機に、地上波デジタル放送で流された情報を、簡便な操作で利用させることができる。
【0067】
また、従来、目的の情報を検索するためには、メニュー画面から多くの選択ステップを経なければならなかった。これに対し、本実施形態によれば、車載機は、放送された情報を入手すると、すぐに用途の選択受付画面を表示する。そして、選択された用途の放送情報を提示して、選択を受け付ける。次いで選択された放送情報がその用途に利用されるように設定する。したがって、簡便な操作で、入手した放送情報を車載機に利用させることができる。
【0068】
また、記憶された放送情報が表示される際、指標となる優先度が表示される。したがって、ユーザは容易に放送情報を思い出すことができ、目的の情報を検索するのが容易となる。
【0069】
また、記憶された放送情報が表示される際、放送情報の記憶指示を受け付けたときの前後の映像を表示することができる。したがって、ユーザは容易に放送情報を思い出すことができ、目的の情報を検索するのが容易となる。
【0070】
上記実施形態は、本発明の要旨の範囲で様々な変形が可能である。
【0071】
例えば、上記実施形態では、図2に示すように、放送受信機200の入力装置240に用途選択受付ボタン245〜247が設けられている。これに限らず、ディスプレイ270にタッチパネルを設けて、タッチパネル上に用途選択受付ボタンを設けてもよい。また、用途選択受付ボタンをディスプレイ270に表示させて入力装置240を介して選択させるようにしてもよい。
【0072】
また、放映されている情報の中に、車載機で利用され得る情報がある場合にのみ、その情報の記憶指示を受け付けるようにしてもよい。
【0073】
図11は、かかる場合の処理のフロー図である。このフローは、図4のフローにS101〜S104の処理が追加されている。
【0074】
まず、放送受信機200の主制御部231は、放送中の情報を調べる(S101)。そして、放送中の情報の中に、車載機で利用され得る情報があるか否か、すなわち、「用途」と対応させて記憶すべき情報があるか否か判定する(S102)。
【0075】
具体記には、目的地として設定され得る地点情報が含まれているか否か、車載機の表示に利用され得る映像情報が含まれているか否か、車載機の音声出力に利用され得る音声データが含まれているか否かにより判定する。
【0076】
そして、車載機で利用され得る情報がある場合(S102でYes)、主制御部231は、その情報を記憶させるか否かの指示を受け付ける指示受付画面を表示する(S103)。次いで、記憶指示を受け付けたか否か判定する(S104)
図12は、放映内容に目的地として設定可能な情報が含まれている場合における指示受付画面282の表示例である。画面には、放映中の映像283のほかに、目的地として設定可能な情報が含まれていることを知らせるメッセージ285と、記憶させるかどうかの指示を受け付けるボタン286とが表示される。
【0077】
ボタン286が入力装置240を介して押されると(S104でYes)、主制御部231は、S107に処理を移行する。S107〜S109の処理は、図4のフローと同様であるので説明を省略する。
【0078】
このようなフローによれば、対象となる情報が放映されている場合に、放送情報を記憶するか否かの質問がユーザに対してなされる。したがって、ユーザにとって使い勝手がよいものとなる。
【0079】
また、図8に示す処理では、車載機(ナビゲーション装置100)は、メモリカード500から放送情報を読み取っている。これに限らず、メモリカード500の記録内容を予めデータ記憶装置160に読み込んでおいてもよい。そして、放送情報処理部115は、図8の処理を行う際、データ記憶装置160から必要な情報を読取るようにしてもよい。例えば、メモリカード500がメモリカード読書装置170に挿入されると、自動的に若しくはユーザの要求に応じて、メモリカード読書装置170はメモリカード500の記録内容を読み取り、データ記憶装置160に記憶するようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、放送受信機200と車載機(ナビゲーション装置100)との間の情報の受け渡しは、メモリカード500を介して行われている。これに限らず、有線あるいは無線の通信ネットワークを介して情報を授受するようにしてもよい。例えば、放送受信機200をユーザの家の中に設置し、無線LANを経由して、車載機に情報を送信するようにしてもよい。また、車載機の通信装置が放送受信機200に対して情報を要求するようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、車載機がナビゲーション装置である場合について主に説明したが、これに限られない。車載機は、オーディオ機器であってもよい。また、放送受信機200は、ユーザの家の中など、車載機が搭載された車両の外に設置されてるものであってもよいし、車載機が搭載された車両の中に設置されるものであってもよい。
【0082】
また、放送受信機200の受信部220とAVコントローラ230とは一つの筐体に収められているものであってもよい。また、AVコントローラ230は、車載機に組み込まれているものであってもよい。
【0083】
また、放送受信機200と、車載機とが、一の筐体に一体に設けられていても良い。そして、CPU、メモリ、入出力装置等のハードウエア資源を共有するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】図1は地上波デジタル放送受信機の概略構成図である。
【図2】図2は地上波デジタル放送受信機の入力装置の概略構成図である。
【図3】図3は車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図4】図4は地上波デジタル放送受信機の放映中の処理を示すフロー図である。
【図5】図5は記憶する放送情報の優先度受付画面の表示例である。
【図6】図6は放送情報を記憶したこと示す画面の表示例である。
【図7】図7はメモリカードに記録される情報の構成を示す図である。
【図8】図8は車載用ナビゲーション装置の放送情報利用のため処理のフロー図である。
【図9】図9は用途選択受付画面及び選択された用途の放送情報の表示画面の一例である。
【図10】図10は用途選択受付画面及び放送情報の表示画面の一例である。
【図11】図11は地上波デジタル放送受信機の放映中の処理を示すフロー図である。
【図12】図12は記憶指示の受付画面の表示例である。
【符号の説明】
【0085】
100…車載用ナビゲーション装置、110…演算装置、111…ユーザ操作解析部、112…ナビ処理部、113…表示処理部、114…音声処理部、115…放送情報処理部、120…測位装置、130…入力装置、140…ディスプレイ、150…スピーカ、160…データ記憶装置、170…メモリカード読書装置、
200…地上波デジタル放送受信機、210…アンテナ、220…受信部、221…チューナ、222…OFDM復調部、223…分離部、224…デコーダ、230…AVコントローラ、231…主制御部、232…データ処理部、233…音響処理部、234…描画処理部、235…バッファ、240…入力装置、250…情報記録装置、260…スピーカ、270…ディスプレイ、
241…電源ボタン、242…チャンネルボタン、245〜247…用途選択受付ボタン、
500…メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上波デジタル放送受信機と車載機とを有するシステムの情報処理方法であって、
前記地上波デジタル放送受信機は、放送局から受信した情報を、当該情報の前記車載機での用途に対応させて記憶装置に記憶させ、
前記車載機は、前記記憶装置に記憶された情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用することを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項2】
地上波デジタル放送受信機と車載機とを有するシステムの情報処理方法であって、
前記地上波デジタル放送受信機は、放送局から受信した情報を、当該情報の前記車載機での用途に対応させて記憶装置に記憶させ、
前記車載機は、用途の選択を受け付ける用途受付ステップと、
前記記憶装置に記憶された情報の中から、前記用途受付ステップにより受け付けた用途に対応する情報を抽出する情報抽出ステップと、
前記情報抽出ステップにより抽出した情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用する情報利用ステップとを行うことを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項3】
地上波デジタル放送受信機と車載機とを有するシステムの情報処理方法であって、
前記地上波デジタル放送受信機は、
放送局から受信した情報の前記車載機での用途の選択を受け付ける用途選択受付ステップと、
放送局から受信した情報を、前記用途選択受付ステップにより受け付けた用途に対応させて記憶装置に記憶させる記憶ステップとを行い、
前記車載機は、前記記憶装置に記憶された情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用することを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項4】
請求項3において、
前記用途選択受付ステップは、複数の用途の選択を受け付ける
ことを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項5】
地上波デジタル放送受信機と車載機とを有するシステムの情報処理方法であって、
前記地上波デジタル放送受信機は、
放送局から受信した情報の中に、前記車載機で利用される情報があるか否か判定する判定ステップと、
前記判定ステップにより放送局から受信した情報の中に、前記車載機で利用される情報があると判定された場合、放送中の情報を記憶する指示を受け付けるステップと、
前記放送局から受信した情報を、当該情報の前記車載機での用途に対応させて記憶装置に記憶させる記憶ステップとを行い、
前記車載機は、前記記憶装置に記憶された情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用することを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項6】
地上波デジタル放送受信機と車載機とを有するシステムの情報処理方法であって、
前記地上波デジタル放送受信機は、
指標情報を受け付ける指標情報受付ステップと、
放送局から受信した情報を、当該情報の前記車載機での用途および前記指標情報受付ステップにより受け付けた指標情報に対応させて記憶装置に記憶させる記憶ステップとを行い、
前記車載機は、前記記憶装置に記憶された情報を、当該情報に対応させて記憶された指標情報とともに表示するとともに、当該情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用する指示を受け付ける指示受付ステップと、
当該情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用する情報利用ステップとを行うことを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項7】
地上波デジタル放送受信機と車載機とを有するシステムの情報処理方法であって、
前記地上波デジタル放送受信機は、
放送中の情報の記憶指示を受け付ける記憶指示受付ステップと、
前記記憶指示受付ステップにより記憶指示を受け付けたときに放送されていた情報を、当該情報の車載機での用途に対応させて記憶装置に記憶させる記憶ステップとを行い、
前記車載機は、前記記憶装置に記憶された情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用することを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記記憶ステップは、前記記憶指示受付ステップにより記憶指示を受け付けたときの前後所定時間内に放送された情報を、当該情報の車載機での用途に対応させて記憶装置に記憶させる
ことを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項9】
請求項3において、
前記地上波デジタル放送受信機は、自身の入力装置に用途受付手段を有し、
前記用途選択受付ステップは、前記用途受付手段により用途の選択を受け付ける
ことを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項10】
請求項2において、
前記用途受付ステップは、用途の選択を受け付ける際、用途の選択受付画面を表示する
ことを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項11】
地上波デジタル放送受信機と車載用ナビゲーション装置とを有するシステムの情報処理方法であって、
前記地上波デジタル放送受信機は、
用途の選択を受け付ける用途選択受付ステップと、
放送局から受信した情報を、前記用途受付ステップにより受け付けた用途に対応させて記憶装置に記憶させる記憶ステップとを行い、
前記車載用ナビゲーション装置は、前記記憶装置に記憶された情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用し、
前記記憶ステップは、前記用途選択受付ステップが用途として目的地設定を受け付けた場合、放送局から受信した情報に含まれる地点の位置情報を、目的地設定の用途に利用される情報として記憶装置に記憶させ、
前記車載用ナビゲーション装置は、前記記憶装置に記憶された位置情報を用いて目的地を設定し、出発地から当該目的地までのナビゲーション処理を行うことを特徴とするシステムの情報処理方法。
【請求項12】
地上波デジタル放送受信機と車載機とを有するシステムに用いられる車載機の情報処理方法であって、
前記地上波デジタル放送受信機が放送局から受信しその用途と対応させて記憶させた情報を入手するステップと、
入手した情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用する情報利用ステップとを行うことを特徴とする車載機の情報処理方法。
【請求項13】
地上波デジタル放送受信機と車載機とを有するシステムであって、
前記地上波デジタル放送受信機は、放送局から受信した情報を、その用途と対応させて記憶装置に記憶させる手段を有し、
前記車載機は、前記記憶装置に記憶された情報を、当該情報に対応させて記憶された用途に利用する手段を有することを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−186471(P2006−186471A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−375454(P2004−375454)
【出願日】平成16年12月27日(2004.12.27)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】