説明

車載用の情報通信装置

【課題】 通信装置に関し、特に車両同士の間で電子メールを用いたエンド-ツー-エンド通信により、ナビゲーション機能と連携する送受信元の情報を相互に取得できる車載用の情報通信装置を提供する。
【解決手段】 車載用の情報通信装置は、外部接続される携帯電話端末と、カーナビゲーション機能と、前記携帯電話端末を介して車両同士の間でエンド-ツー-エンドのデータ送受信を行なうモデム機能と、前記データの送受信を電子メールで行なうメール送受信機能と、送受信される電子メールの情報を前記カーナビゲーション機能と連携させて処理するカーナビゲーション連携機能と、で構成される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は通信装置に関し、特に車両同士の間で電子メールを用いたエンド-ツー-エンド通信により、ナビゲーション機能と連携する送受信元の情報(現在位置、目的地等)を相互に取得できる車載用の情報通信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、ある車両のドライバーと他の車両のドライバーとの間で現在位置や行先等の情報を相互に取得し確認するには、携帯電話機等が使用されてきた。しかしながら、走行中の車両では事故防止等のため携帯電話機が使用できず、種々の不便が生じていた。
【0003】一方、近年のインターネットの普及をはじめとする通信技術の急速な進歩・発展をうけて、各自動車メーカを中心に所定の情報通信装置を搭載する車両に対して種々の情報を提供する情報サービスネットワークが構築されている。自動車メーカ等は、有料会員制の情報提供サービス会社を設立し、その情報センターを介して各会員に交通情報、ニュース、天気予報、電子メール、インターネット情報等の種々の情報を提供している。
【0004】図1は、上記情報サービスネットワークシステムの一例を図式的に示したものである。図1において、車両1は、カーナビゲーションや携帯電話の機能を有する情報通信装置を搭載し、それにより携帯電話網等で構成される通信ネットワーク2を介して情報センター3へアクセスする。情報センター3は、車両1からの要求に応じてカーナビゲーション機能と連携する交通情報や、電子メール、WEBサーフィン等のインターネットサービスを提供する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、走行中の車両では携帯電話を使った会話による情報交換ができないという問題があった。また、自動車メーカ等が提供する情報提供サービスでは、有料会員制による月額料金や通信料金等のコスト面で問題があり、さらに入手できる情報も情報センター3が保有する情報に限られるため、走行車両のドライバが現時点で取得を望むリアルタイムな情報、例えば相手車両の現在位置、走行状況や交通情報等、が容易に得られないという情報内容面でも問題があった。
【0006】そこで本発明の目的は、上記各問題点に鑑み、各車両同士の間で送受信元の情報(現在位置、目的地等)が容易且つ低コストで取得でき、円滑で快適な車両走行を実現する車載用の情報通信装置を提供することにある。そのため、前記情報通信装置は、従来の情報センター等を介することなく各車両同士の間で電子メールを用いたエンド-ツー-エンド通信によって送受信元の情報を直接取得し、また前記送受信元の情報に対してカーナビゲーション機能と連携した操作及び表示を可能にする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、外部接続される携帯電話端末と、カーナビゲーション機能と、前記携帯電話端末を介して車両同士の間でエンド-ツー-エンドのデータ送受信を電子メールで行なうメール送受信機能と、送受信される電子メールの情報を前記カーナビゲーション機能と連携させて処理するカーナビゲーション連携機能と、で構成される車載用の情報通信装置が提供される。
【0008】前記情報通信装置を備えた車両同士の間は、前記携帯電話端末を通じてダイヤルアップ接続される。前記電子メールの情報には、送信側車両から受信側車両へ通知される送信元の車両に関する情報、又は送信側車両からの要求により受信側車両から返信される受信元の車両に関する情報が含まれる。
【0009】
【発明の実施の形態】図2は、本発明による車載用の情報通信装置を搭載した車両間における基本的な通信構成を示したものである。図2に示すように、車両11は、本発明による車載用の情報通信装置を使って他の1つの車両12又は13との間でエンド-ツー-エンドの通信を行なう。一例として、走行中の車両11は情報通信装置のモデム機能を使い、情報通信装置に外部接続された携帯電話を通じて並走する車両12へダイヤル発信を行う。同様の装置構成を有する車両12への着信が完了すると、走行中の車両11と車両12との間には移動通信網を介してその間を直接結ぶ無線回線が開設される。
【0010】本例では、車両11及び車両12の各情報通信装置のメール送受信機能が前記無線回線を通じて電子メールの送受信を開始し、それによって走行中の車両11と車両12との2地点間(エンド−ツー−エンド)で現在位置や走行状況等の情報交換を行なう。受信された送受信元の情報は直ちに各送信先車両のディスプレイ上に情報通信装置のナビゲーション連携機能を使って表示される。同様の通信が、車両12と車両13との間でも、また車両13と車両11との間でも行なわれる。従って、これらの通信において従来の通信センターは不要である。
【0011】図3は、本発明による車載用の情報通信装置の一構成例を示したものである。図3の情報通信装置は、外部接続される携帯電話21を通じて車両同士の間でエンド−ツー−エンドの物理的な無線回線の設定・開放処理を行って回線設定中にデータの送受信を行なうモデム機能と、電子メールの送受信を行なうメール送受信機能と、受信した電子メールの情報をカーナビゲーションの情報と連携させてディスプレイ等に出力するカーナビゲーション連携機能と、を備える。
【0012】ネットワークIF部22は、前記モデム機能に相当する部分であってハードウェア又はソフトウェアで構成したモデムを備え、またダイアルアップアクセスのためのプロトコルとしてはPPP (Point to Point Protocol)を用いる。なお、ネットワークIF部22には携帯電話をケーブル接続するためのソケットが設けられている。
【0013】ネットワークIF部22ではPPPクライアント/サーバプロセスが稼動しており、図2の例でいえば車両11の発信時には前記モデムを制御してダイアルアップ接続処理を行い、車両12の着信時にはリモートアクセスサーバとして前記モデムを介した自動着信処理を行なう。着信の際にはPAP (Personal Authentication Protocol) 又はCHAP (Challenge Authentication Protocol) を用いた発側車両11のユーザID及びパスワードによるユーザ認証を行い、ユーザ認証が完了すると車両11と車両12との間にPPPに基づくデータリンクが開設される。
【0014】メール送受信制御部23は、前記メール送受信機能に相当する部分であって前記開設されたデータリンクを介して車両11と車両12との間でTCP/IP (Transmission Control Protocol/Internet Protocol) に基づく電子メールの送受信を行なう。電子メールアプリケーションにはSMTP (Simple Mail Transfer Protocol)及びPOP (Post Office Protocol)が使用され、メール送受信制御部23ではSMTP/POPサーバプロセスが稼動している。
【0015】さらに、電子メールでテキスト以外の地図データや音声データ等を送るためにMIME (Multipurpose Internet Mail Extension)が用いられる。なお、送信元/送信先を示すIPアドレスにはいわゆるプライベートアドレスが使用され、IPアドレスは各車両毎に固定的に割り付けても、又は着信時に動的に割り付けてもよい。
【0016】上記以外の各部は、従来のカーナビゲーション機能に相当する部分である。カーナビゲーション連携機能は、メール送受信機能で得られた情報と従来のカーナビゲーション機能からの情報を連携させて処理する。従って、従来のカーナビゲーション機能の構成部分はそのまま使用されるが、メインコントロール制御部27についてはカーナビゲーション処理に加えてさらにメール送受信制御部23との間でメール送受信に関する処理を行う。
【0017】例えば、メインコントロール制御部27がメール送受信制御部23からメール受信通知を受けると、メールボックスにスプーリングされている受信メールをPOPコマンドで読み出し、その内容を解析してカーナビゲーション情報と関連するものはディスプレイ30上の地図情報に重ねて表示する。
【0018】一方、メインコントロール制御部27からメール送受信制御部23へMAILコマンドによって送信元情報を添付した電子メールの送信を指示する。メインコントロール制御部27は、さらに送受信元情報の送受信に関するメニューをディスプレイ30上に表示し、ユーザが選択した項目に応じて種々の処理を実行する。
【0019】ナビ制御部24は、CD−ROMの地図データベース25、GPS受信機28からの位置情報、及び/又はVICS受信機29からの交通情報をもとにナビゲーション制御を行う。表示コントロール部31はメモリ32に格納されているデータをディスプレイ30に表示するための描画制御を行う。なお、メインコントロール制御部27は、上述したメール送受信制御部23、ナビ制御部24、GPS受信機28、VICS受信機29、及び表示コントロール部31を総括的に制御する。
【0020】図4は、現在位置や自動車の走行状況等の送信元情報の通知又はそれらの受信元情報の要求の基本的な手順を示したものである。ここでは、発信車両11からのダイヤルアップ接続により着信車両12との間で既に無線回線が設定されており、双方の車両11及び12による電子メールの送受信が可能と状態となっている。
【0021】先ず、送信元の車両11では、ユーザがディスプレイ30に表示されたメニュー項目から「送信」を選択することで送信要求を行い(S101)、それを受けてメインコントロール制御部27は送信バッファに一時格納してある送信メールを送信するようメール送受信制御部23へ指示する(S102)。メール送受信制御部23は、送信先の車両12へメール送信を行ってその送信完了をディスプレイ30上に表示する(S103及び106)。
【0022】送信先の車両12では、メール送受信制御部23が受信したメールを一旦メールボックスに保管し、メインコントロール制御部27に対してメール受信を通知する(S201)。メインコントロール制御部27は、受信したメールを読み出してその内容の解析結果等をディスプレイ30上に表示し、必要なら返信メールを作成してメール送受信制御部23にその送信を指示する(S203)。メール送受信制御部23は返信メールを送信元の車両11へ送信する(S202)。
【0023】送信元の車両11では、メール送受信制御部23が受信した返信メールを一旦メールボックスに保管し、メインコントロール制御部27に対してメール受信を通知する(S104)。メインコントロール制御部27は、返信メールを読み出してその内容の解析結果等をディスプレイ30上に表示する(S105及び106)。
【0024】上記の手順で、送信元から送信先へ送信元情報(現在位置、自車両の走行状況、等)を通知する場合には、送信メールに前記送信元情報が添付され、それに対する返信メールにはメール受信の確認情報が含まれる。一方、受信元情報(現在位置、自車両の走行状況、等)を要求する場合には、送信メールにはメール送信要求情報が含まれ、それに対する返信メールには前記受信元情報が添付される。
【0025】以降では、本願発明の具体的な実施例について説明する。図5及び6は、本発明の第1の実施例を示したものである。図5は送信側の車両11が受信側の車両12へ「現在位置(緯度経度)」を通知する手順を図式的に示したものであり、図6の(a)には車両11の通知制御フロー例を、また図6の(b)には車両12の受信制御フロー例を示している。
【0026】車両11のユーザが自車の現在位置(画面101参照)を車両12へ通知するには、先ずディスプレイ上の「現在位置送信」ボタン103を押下する。それにより、送信先登録選択画面102が表示され、車両12又はそのユーザ名を示すボタン(例えば、「XXXX」)を選択してから「送信」ボタンを押下する。以降は、図4で示した手順により送信元情報(現在位置の緯度経度)が車両12へ送信される。このとき、車両11と車両12との間に無線回線が開設されていないと、車両11は車両12へのダイヤルアップ接続手順から開始する(S1101〜1104)。
【0027】一方、車両12は車両11から現在位置を示す緯度経度データを受信すると、ディスプレイの自車位置マークに加えて通知された車両11の位置マークも地図画面(202)上に重ねて表示する。本例では、車両11の位置マークの近傍に「送信者名」も表示される(S2101〜2105)。
【0028】図7及び8は、本発明の第2の実施例を示したものであり、前述した第1の実施例の変形例に相当する。図7は送信側の車両11が受信側の車両12へ「現在位置(テキストデータ)」を通知する手順を図式的に示したものであり、図8の(a)には車両11の通知制御フロー例を、また図8の(b)には車両12の受信制御フロー例を示している。
【0029】車両11のユーザが自車の現在位置(画面101参照)を車両12へ通知するには、先ずディスプレイ上の「現在位置 テキスト送信」ボタン104を押下する。それにより、送信先登録選択画面102が表示され、車両12又はそのユーザ名を示すボタン(例えば、「XXXX」)を選択してから「送信」ボタンを押下する。それにより、目印選択画面及びテキスト入力画面(105)が表示される。本例では、目印として「カンバン」を選択して「OK」ボタンを押下する。これにより、送信元情報(本例では現在位置を示すテキストデータ)が車両12へ送信される。(S1201〜1206)。
【0030】一方、車両12は車両11から現在位置を示すテキストデータを受信すると、テキスト画面(203)に切り替えて受信内容を表示する(S2201〜2204)。表示されるテキスト内容は、“a時b分現在xxはYYカンバン近くを走行中です”のように定型文に選択された語句を挿入する形式で送信してもよく、反対に受信側で前記挿入文を組み立ててもよい。このように、自車近辺の目印となる駅や公園の名称、地図データベースにない地域特有の呼び名、カンバン、ロゴマーク等の簡易な選択や定型文の使用等によりユーザによるテキスト入力が簡略化される。
【0031】また、テキストデータは、図3の音声入力部26のマイクから音声により近隣の景色や目標物等を入力し、音声認識によりテキストデータに変換してもよい。さらに、「固有」ボタンを押下して予め保管してある所定の建物等の画像ファイルを添付したり、車両に搭載してあるカメラからその時の目印となる建物やカンバン等を撮影し、その静止画ファイルや動画ファイルを添付するようにしてもよい。
【0032】図9及び10は、本発明の第3の実施例を示したものである。図9は送信側の車両11が受信側の車両12へ「現在位置」の返信要求を行なう手順を図式的に示したものであり、図10の(a)には車両11の要求制御フロー例を、また図10の(b)には車両12の返信制御フロー例を示している。
【0033】車両11のユーザが車両12へ現在位置(画面201参照)の返信を要求するには、先ずディスプレイ上の「現在位置要求送信」ボタン106を押下する。それにより、送信先登録選択画面102が表示され、車両12又はそのユーザ名を示すボタン(例えば、「XXXX」)を選択してから「送信」ボタンを押下する。ここで返信メールの受信待ち状態になり、車両12から受信元情報(現在位置の緯度経度)を含む返信メールを受信すると、ディスプレイの自車位置マークに加えて通知された車両12の位置マークも「受信者名」と併せて地図画面(107)上に重ねて表示する(S1301〜1308)。
【0034】一方、車両12は車両11から現在位置要求メールを受信すると、その受信内容と対応する返信メニュー画面(204)とをディスプレイ上に表示する。本例では車両12のユーザがデフォルトの緯度経度を選択する。これにより、受信元情報(現在位置の緯度経度)を含む返信メールが送信側の車両11へ送信される(S2301〜2306)。
【0035】本例では、受信側のユーザがマニュアル操作により現在位置として緯度経度を選択しているが、受信元でデフォルトの「緯度経度」を自動返信するようにしてもよく、また受信側でマニュアル返信選択又は自動返信のいずれかを選択設定できるようにしてもよい。さらには、送信側の現在位置要求メールで返信すべき現在位置情報の種別を指定するようにしてもよい。
【0036】他の返信時の態様としては、返信できる権限を特定のユーザに限定してもよく、この場合にはメール返信時にユーザIDやパスワードによる認証が行なわれる。また、現在位置要求に対する自動返信時刻や自動返信地域を限定してもよく、例えば現在位置要求の受信日時の制限(時間滞、日付、曜日、等)、送信元の現在位置と受信元の現在位置との距離(1Kmメートル以内等)や返信エリア(東京23区内等)の制限、等を設定できるようにしてもよい。
【0037】図11及び12は、本発明の第4の実施例を示したものであり、前述した第3の実施例の変形例に相当する。図11は送信側の車両11が受信側の車両12へ「現在位置+目的地」の返信要求を行なう手順を図式的に示したものであり、図12の(a)には車両11の要求制御フロー例を、また図12の(b)には車両12の返信制御フロー例を示している。
【0038】車両11のユーザが車両12へ現在位置+目的地の返信を要求するのに、本例ではディスプレイ上の「現在位置+目的地要求送信」ボタン108を押下する。以降は第3の実施例と同様であり、ただ車両12からの受信元情報には現在位置(緯度経度)に加えて目的地(本例では、「行先」と「到着時刻」のデータ)が含まれる点だけが異なる。車両11は返信メールを受信すると、ディスプレイの自車位置マークに加えて通知された車両12の位置マーク及び「受信者名」、さらに「行先」と「到着時刻」とを併せて地図画面(109)上に重ねて表示する(S1401〜1408)。
【0039】一方、車両12は車両11から現在位置+目的地要求メールを受信すると、その受信内容と現在位置及び目的地を含む返信メニュー画面(205)とをディスプレイ上に表示する。本例では車両12のユーザが「緯度経度」、「行先」、及び「到着時刻」を選択する。これにより、受信元情報(現在位置の緯度経度、行先、及び到着時刻)を含む返信メールが送信側の車両11へ送信される(S2401〜2407)。
【0040】なお、ここでは行先や到着時刻の詳細な設定手順にはふれていないが、先に説明したテキスト入力、音声入力、又は所定画像データの選択画面の利用等、種々の方法が適用される。また、前述した自動返信時の種々の返信方法も同様に適用できることは明らかである。
【0041】図13及び14は、本発明の第5の実施例を示したものであり、前述した第3の実施例の変形例に相当する。図13は送信側の車両11が受信側の車両12へ「現在位置/目的地+待合せ」の返信要求を行なう手順を図式的に示したものであり、図14の(a)には車両11の要求制御フロー例を、また図14の(b)には車両12の返信制御フロー例を示している。
【0042】車両11のユーザが車両12へ現在位置/目的地+待合せの返信を要求するのに、本例ではディスプレイ上の「現在位置/目的地+待合せ要求送信」ボタン110を押下する。以降は第3の実施例と同様であり、ただ車両11からの送信メールには送信元の現在位置と目的地情報が含まれ、また車両12からの返信メールには受信元情報として「待合せ場所」と「到着時刻」のデータが含まれる。車両11は返信メールを受信すると、ディスプレイの自車位置マークに加えて通知された車両12の「受信者名」と「待合せ場所」及びその「到着時刻」とを併せて地図画面(109)上に重ねて表示する(S1501〜1508)。
【0043】一方、車両12は車両11から現在位置/目的地+待合せ要求メールを受信すると、その受信内容と「返信」ボタンを含む画面(206)をディスプレイ上に表示する。本例では車両12のユーザが「返信」ボタンを押下すると、受信側では送信元の現在位置と目的地情報から最適(時間的、距離的)な待合せ場所と到着予想時刻を算出し、その結果を返信メールの受信元情報として返信する(S2501〜2506)。なお、ここでもマニュアル返信又は自動返信のいずれかを選択でき、自動返信の方法も上述したような種々の方法が適用できる。
【0044】図15及び16は、本発明の第6の実施例を示したものであり、前述した第3の実施例の変形例に相当する。図15は送信側の車両11が受信側の車両12へ「現在位置+目的地+移動履歴情報」の返信要求を行なう手順を図式的に示したものであり、図16の(a)には車両11の要求制御フロー例を、また図16の(b)には車両12の返信制御フロー例を示している。
【0045】車両11のユーザが車両12へ現在位置+目的地+移動履歴情報の返信を要求するのに、本例ではディスプレイ上の「現在位置+目的地+移動履歴情報要求」ボタン112を押下する。以降は第3の実施例と同様であり、ただ車両12からの返信メールには受信元情報として新に「目的地名」及び「平均速度」のデータが含まれる。車両11は返信メールを受信すると、ディスプレイの自車位置マークに加えて通知された車両12の「受信者名」と「目的地名」及びその「平均速度」とを併せて地図画面(113)上に重ねて表示する(S1601〜1608)。
【0046】一方、車両12は車両11から現在位置+目的地+移動履歴情報要求メールを受信すると、その受信内容と「返信」ボタンを含む画面(207)をディスプレイ上に表示する。本例では車両12のユーザが「返信」ボタンを押下すると、受信側では単位時間当たりの平均速度を算出し、その結果を返信メールの受信元情報(「現在位置」、「目的地情報」、及び「平均速度」)として返信する(S2601〜2606)。なお、マニュアル返信又は自動返信のいずれかを選択でき、自動返信の方法も上述したような種々の方法が適用できる。
【0047】図17及び18は、本発明の第7の実施例を示したものであり、前述した第3の実施例の変形例に相当する。図18は送信側の車両11が受信側の車両12へ「交通情報」の返信要求を行なう手順を図式的に示したものであり、図18の(a)には車両11の要求制御フロー例を、また図18の(b)には車両12の返信制御フロー例を示している。本例では、VICS受信機を非装備の車両11がそれを装備する車両12から交通情報を取得する通信手順の一例を示している。
【0048】車両11のユーザが車両12へ交通情報の返信を要求するのに、本例ではディスプレイ上の「交通情報要求」ボタン114を押下する。以降は第3の実施例と同様であり、ただ車両12からの返信メールには受信元情報として「交通情報」のデータが含まれる。車両11は返信メールを受信すると、ディスプレイの自車位置マークに加えて通知されたVICS関連の交通情報データを地図画面(115)上に重ねて表示し、さらに前記交通情報データに含まれる音声データ又は必要ならテキストデータを音声出力(116)する(S1701〜1708)。
【0049】一方、車両12は車両11から交通情報要求メールを受信すると、その受信内容と「返信」ボタンを含む画面(208)をディスプレイ上に表示する。本例では車両12のユーザが「返信」ボタンを押下すると、受信元情報としてVICS関連の交通情報データが添付された返信メールが返信される(S2701〜2706)。なお、交通情報の要求時にはその情報種別(事故、渋滞、等)を指定することもできる。また、マニュアル返信又は自動返信のいずれかを選択でき、自動返信の方法も新たな交通情報の受信時に限定したり又は先に説明した時間制限を設ける等の種々の方法が適用できる。
【0050】図19及び20は、本発明の第8の実施例を示したものである。図19は、第7の実施例の場合を例に、送信側の車両11から送信した「交通情報要求」が、受信側の複数の車両12、13、・・・でそれぞれ無事受信されたことを確認する手順を図式的に示したものである。図20の(a)には車両11側での受信確認フロー例を、また図20の(b)には車両12、13、・・・側での受信確認返信フロー例を示している。
【0051】車両11のユーザがディスプレイ上の「交通情報要求」ボタン114を押下して各車両12、13、・・・へ交通情報要求を送信すると、それ以降、各車両12、13、・・・からの受信完了メールを受信待機する。受信時には各車両12、13、・・・毎に「受信者名」及び「受信完了」を示す画面117がディスプレイ上に表示され、必要ならその旨が音声出力(116)される(S1801〜1808)。
【0052】一方、車両12は車両11から交通情報要求メールを受信すると、その旨及び「送信者名」を示す画面(209)をディスプレイ上に表示し、その後に受信完了メールを自動返信する(S2701〜2706)。なお、本例では示していないが、これ以降の手順は前述した第7の実施例と同様であり、車両11には各車両12、13、・・・からそれぞれの「交通情報」が返信され、車両11のディプレイには受信した各交通情報が重ねて表示される(図17の115参照)。
【0053】以上では、電子メールの使用を前提に本発明について説明してきたが、電子メールに限定されることなく、例えばFTP (File Transfer Protocol) やHTTP (Hyper Text Transfer Protocol) 等を使用しても同様な通信機能を実現することができる。
【0054】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、電子メールの送受信によって走行中の各車両の状況(居場所、走行状態、時間の余裕度等)が即座に把握でき、それをカーナビゲーション機能と連携させることで、円滑且つ快適な車両走行を実現することがきる。また、通信センター等を介さず、各車両間のエンド-ツー-エンドの簡易な通信によるため、通常の携帯電話使用料のみの低コストな通信が実現できる。このような通信を実現するサーバソフトウェア等もいわゆる実績のあるフリーソフトウェアが使用でき、装置コストも低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の情報サービスネットワークシステムの一例を図式的に示した図である。
【図2】本発明による車載用の情報通信装置を搭載した車両間における基本的な通信構成を示した図である。
【図3】本発明による車載用の情報通信装置の一構成例を示した図である。
【図4】車両間の電子メールを用いた基本的な通信手順を示した図である。
【図5】本発明の第1の実施例を示した図である。
【図6】図5の制御フロー例を示した図である。
【図7】本発明の第2の実施例を示した図である。
【図8】図7の制御フロー例を示した図である。
【図9】本発明の第3の実施例を示した図である。
【図10】図9の制御フロー例を示した図である。
【図11】本発明の第4の実施例を示した図である。
【図12】図11の制御フロー例を示した図である。
【図13】本発明の第5の実施例を示した図である。
【図14】図13の制御フロー例を示した図である。
【図15】本発明の第6の実施例を示した図である。
【図16】図15の制御フロー例を示した図である。
【図17】本発明の第7の実施例を示した図である。
【図18】図17の制御フロー例を示した図である。
【図19】本発明の第8の実施例を示した図である。
【図20】図19の制御フロー例を示した図である。
【符号の説明】
1、11、12、13…車両
2…通信ネットワーク
3…情報センター
21…携帯電話
22…ネットワークインタフェース
23…メール送受信制御部
24…ナビゲーション制御部
25…地図データベース部
26…音声入力部
27…メインコントロール制御部
28…GPS受信機
29…VICS受信機
30…ディスプレイ
31…表示コントロール部
32…メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 外部接続される携帯電話端末と、カーナビゲーション機能と、前記携帯電話端末を介して車両同士の間で行なわれるエンド-ツー-エンドのデータ送受信を電子メールで行なうメール送受信機能と、送受信される電子メールの情報を前記カーナビゲーション機能と連携させて処理するカーナビゲーション連携機能と、で構成されることを特徴とする車載用の情報通信装置。
【請求項2】 車両同士の間は、前記携帯電話端末を通じてダイヤルアップ接続される、請求項1記載の装置。
【請求項3】 前記電子メールの情報には、送信側車両から受信側車両へ通知される送信元の車両に関する情報が含まれる、請求項1又は2記載の装置。
【請求項4】 前記送信元の情報には現在位置の情報、及び/又はその関連情報が含まれ、受信側車両の前記カーナビゲーション連携機能は、受信した送信側車両の現在位置を受信側車両の現在位置と重ねて表示し、前記関連情報は所定の位置に表示する、請求項3記載の装置。
【請求項5】 前記電子メールの情報には、送信側車両からの要求により受信側車両から返信される受信元の車両に関する情報が含まれる、請求項1又は2記載の装置。
【請求項6】 前記受信元の情報には現在位置の情報、及び/又はその関連情報が含まれ、前記カーナビゲーション連携機能は、受信した受信側車両の現在位置を送信側車両の現在位置と重ねて表示し、前記関連情報は所定の位置に表示する、請求項3記載の装置。
【請求項7】 前記現在位置の情報は、受信側車両の緯度経度情報である、請求項4又は6記載の装置。
【請求項8】 前記関連情報は、「交通情報」「目的地」、「待合せ」、又は「移動履歴」の何れかである、請求項4又は6記載の装置。
【請求項9】 前記関連情報には、テキスト、ロゴマーク、カンバン、又は画像データの何れかが使われる、請求項8記載の装置。
【請求項10】 前記関連情報には、さらに音声データが含まれ、前記カーナビゲーション連携機能は、前記音声データ又は所定のテキストデータを音声出力する、請求項9記載の装置。
【請求項11】 さらに、前記送信側車両からの要求によってする前記受信元の車両に関する情報の返信を自動又は手動のいずれか選択できる返信選択手段を有する、請求項5記載の装置。
【請求項12】 前記返信選択手段は、前記自動の選択時において、さらに即時返信か所定の条件を満足する時に返信するかを選択できる、請求項11記載の装置。
【請求項13】 前記所定の条件は、送信側車両からの要求における自動返信指示の有無、所定の日時的条件、又は所定の地理的条件の何れかである、請求項12記載の装置。
【請求項14】 さらに、前記自動返信指示で指示する返信事項に返信内容を限定できる、請求項13記載の装置。
【請求項15】 前記返信選択手段は、前記手動の選択時において、さらにユーザの返信権限の有無を判断する、請求項11記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2003−109185(P2003−109185A)
【公開日】平成15年4月11日(2003.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−296306(P2001−296306)
【出願日】平成13年9月27日(2001.9.27)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】