説明

車載用ナビゲーション装置及びプログラム

【課題】立ち寄った施設にてユーザが目的を達成できなかった場合、ユーザが目的を達成できると推定される施設を案内する車載用ナビゲーション装置、及びプログラムを提供する。
【解決手段】車載用ナビゲーション装置は、ユーザが立ち寄った施設を特定し(S103:YES)、立寄施設に立ち寄った目的を達成できたか否かを判断する。立寄施設に立ち寄った目的を達成できなかった場合(S104:NO)、立寄施設及び立寄施設と同一ジャンルの施設について、複数の要因に関する現況情報を取得し(S106)、複数の要因の現況情報に基づき、立寄施設と同一ジャンルの施設からユーザが目的を達成できると推定される施設を検索し(S107)、案内する(S108)。これにより、複数の要因に関する現況情報に基づいて施設検索を行うので、ユーザが目的を達成できると推定される施設を検索し、案内することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザの所望する地点を目的地や経由地として設定し、経路を探索し、経路案内を行うことが可能な車載用ナビゲーション装置が公知である。ところで、このような車載用ナビゲーション装置の案内により目的地に到着したとしても、当該目的地にて目的を達成できるとは限らない。特許文献1では、ユーザが利用した施設を特定し、当該施設での滞在時間が所定時間未満である場合に、目的が達成されなかったと判断し、同一ジャンルでの検索を促し、検索の指示が入力された場合に、同一ジャンルの周辺施設を検索し、案内する車載用ナビゲーション装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−267961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、同一ジャンルでの施設検索を行い、案内するのみであって、同一ジャンル内のどの施設においてユーザの目的が達成できるかについてはなんら考慮されていなかった。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、立ち寄った施設にてユーザが目的を達成できなかった場合、ユーザが目的を達成できると推定される施設を案内する車載用ナビゲーション装置、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置は、ユーザが立ち寄った立寄施設を特定する施設特定手段と、立寄施設に立ち寄った目的を達成できたか否かを判断する達成判断手段と、立寄施設及び立寄施設と同一のジャンルの施設について、複数の要因に関する現況情報を取得する現況情報取得手段と、達成判断手段により目的が達成できなかったと判断された場合、複数の要因に関する現況情報に基づき、立寄施設と同一のジャンルの施設からユーザが目的を達成できると推定される施設を検索する検索手段と、検索手段により検索された施設を案内する案内手段と、を備えることを特徴とする。
このような構成によれば、立寄施設にて立ち寄った目的を達成できなかった場合、複数の要因に関する現況情報に基づいて施設検索を行うので、ユーザが目的を達成できると推定される施設を検索し、案内することができる。
【0006】
請求項2に記載の車載用ナビゲーション装置における複数の要因は、立寄施設のジャンルに基づき特定される。
このような構成によれば、立寄施設のジャンルに基づいて複数の要因を特定するので、特定された複数の要因に関する現況情報に基づいて、ユーザが目的を達成できると推定される施設をより適切に検索し、案内することができる。
【0007】
請求項3に記載の車載用ナビゲーション装置における複数の要因に関する現況情報は、各要因の段階的な評価を表す評価情報である。また、検索手段は、立寄施設と同一のジャンルの施設であって、当該施設の評価情報と立寄施設の現況情報とを比較し立寄施設よりも評価が高い施設を、ユーザが目的を達成できると推定される施設として検索する。
このような構成によれば、立寄施設よりも評価が高い施設を検索するので、ユーザが目的を達成できると推定される施設をより適切に検索し、案内することができる。
【0008】
以上は、車載用ナビゲーション装置の発明として説明してきたが、次に示すようなプログラムの発明として実現することもできる。
すなわち、ユーザが立ち寄った立寄施設を特定する施設特定手段、立寄施設に立ち寄った目的を達成できたか否かを判断する達成判断手段、立寄施設及び立寄施設と同一のジャンルの施設について、複数の要因に関する現況情報を取得する現況情報取得手段、達成判断手段により目的が達成できなかったと判断された場合、複数の要因に関する現況情報に基づき、立寄施設と同一のジャンルの施設からユーザが目的を達成できると推定される施設を検索する検索手段、及び、検索手段により検索された施設を案内する案内手段、としてコンピュータを機能させるプログラムである。このようなプログラムを実行することで、上記と同様の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態の車載用ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態の候補要因テーブルを示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態の評価情報テーブルを示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態の施設案内処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態の施設案内処理の具体例を説明する説明図である。
【図6】本発明の一実施形態の変形例による施設案内処理を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明による車載用ナビゲーション装置を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による車載用ナビゲーション装置1の全体構成を示すブロック図である。車載用ナビゲーション装置1は、制御部10を中心に構成されており、制御部10に接続される位置検出器20、地図データ記憶部30、操作スイッチ群40、通信部50、描画部60、音声出力部70、及び情報記憶部80等を備えている。
制御部10は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、I/O、および、これらの構成を接続するバスラインなどが備えられている。
位置検出器20は、いずれも周知の地磁気センサ21、ジャイロスコープ22、距離センサ23、および、衛星からの電波を受信するGPS(Global Positioning System)受信機24等を有している。これらのセンサ等21〜24は、各々が性質の異なる誤差を持っているため、相互に補完しながら使用される。
【0011】
地図データ記憶部30は、例えばハードディスク装置(HDD)として実現される記憶装置である。なお、本実施形態ではHDDを用いたが、DVD−ROMや、メモリカード等の他の媒体を用いても差し支えない。地図データ記憶部30は、位置検出の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データおよび経路を探索するための地図データを記憶している。地図データには、各種データが含まれるが、その一つとして施設に関する施設情報が含まれる。施設情報は、具体的には、施設を特定するIDと関連づけて記憶されているPOI(Point Of Interest)情報である。POI情報には、施設ID、住所、種別(ジャンル)、領域を示すデータなどが含まれる。
【0012】
また、図2に示すように、地図データ記憶部30は、施設ジャンルと対応づけて複数の候補要因が記憶された候補要因テーブルを有している。ここでいう「複数の候補要因」が「複数の要因」と対応している。候補要因とは、ユーザが立寄施設にて目的を達成できない事象を引き起こす要因である。目的を達成する事象とは、施設ジャンルが店舗であれば「商品を購入する」、映画館であれば「映画を見る」、レジャー施設であれば「レジャー施設で遊ぶ」という事象などが例示される。一方、目的を達成できない事象とは、施設ジャンルが店舗であれば「店舗に立ち寄ったが、商品を購入しなかった」、映画館であれば「映画館に入ったが、満席で見られなかった」、レジャー施設であれば「入口まで行ったが、混雑していて入場するまでの待ち時間が長かったので入るのをやめた」という事象などが例示される。
目的を達成できない事象を引き起こす要因である候補要因は、例えば施設ジャンルがレジャー施設であれば、営業情報や混雑情報が候補要因となりうるが、価格情報や在庫情報は、目的の達成との関連性が低いため、候補要因とはならない。したがって、レジャー施設の場合、営業情報および混雑情報が候補要因として対応づけられている。同様に、飲食店の場合、営業情報、混雑情報、及び価格情報が候補要因として対応づけられており、電器屋の場合、営業情報、価格情報、及び在庫情報が候補要因として対応づけられている、といった具合である。
【0013】
さらにまた、図3に示すように、地図データ記憶部30は、上述した候補要因と関連づけられた段階的な評価を示す評価情報テーブルを有している。なお、図4に示すテーブルでは、各候補要因において左側ほど評価が高いものとなっている。すなわち、候補要因が営業情報である場合、「営業時間外」よりも「営業時間内」であるとき、評価が高い。また、候補要因が混雑情報である場合、混雑度が低いほど評価が高く、本実施形態においては、「空き」が最も評価が高く、続いて「混雑」、「満員」の順である。また、候補要因が価格情報である場合、価格が安いほど評価が高く、本実施形態においては、「ディスカウント店ではない」より「ディスカウント店」のとき、評価が高い。また、候補要因が在庫情報である場合、在庫が多いほど評価が高く、本実施形態においては、「多」が最も評価が高く、続いて「中」、「少」、「無」の順である。
【0014】
操作スイッチ群40は、ディスプレイ61と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチやリモコン装置等で構成され、各種入力に使用される。
通信部50は、情報センタ90が有する現況情報を、携帯電話網、WLAN(ワイヤレスLAN)等の双方向通信網を介して取得する。なお、現況情報の取得方法として、光ビーコンやFM多重放送を用いてもよい。
【0015】
描画部60には、上述したようにディスプレイ61が接続されている。ディスプレイ61は、液晶やCRTを用いたカラーディスプレイである。このディスプレイ61を介して情報表示が行われる。
音声出力部70にはスピーカ71が接続されており、このスピーカ71を介して音声による案内が行われる。
【0016】
情報記憶部80は、通信部50にて受信される現況情報を記憶するためのものであり、地図データ記憶部30と同様のHDDで構成されている。もちろん、メモリカード等の他の媒体を用いてもよい。なお、本実施形態における現況情報は、各候補要因の段階的な評価を示す評価情報である。
【0017】
情報センタ90は、候補要因の評価情報を施設毎に記憶している現況情報データベースを有している。情報センタ90は、候補要因の評価情報である現況情報を各施設から定期的に取得し、取得された現況情報に基づいて現況情報データベースを更新する。なお、現況情報を取得する間隔を短く設定することにより、現況情報データベースの正確さが高められる。
【0018】
ところで、本実施形態においては、立ち寄った施設にてユーザが目的を達成できなかった場合、複数の候補要因に関する現況情報に基づいてユーザが目的を達成できると推定される施設を案内する点に特徴を有している。そこで、図4に示すフローチャートに基づき、施設案内処理を説明する。
【0019】
最初のステップS101(以下、「ステップ」を省略し、単に記号「S」で示す)では、施設検索が行われる。施設検索は、操作スイッチ群40を介して条件が入力されることにより、地図データ記憶部30に記憶されたPOI情報が検索され、入力された条件に合った施設のリストがディスプレイ61に表示される。例えば、「電器屋」という条件が入力されることにより、車両の現在位置に近い順に、電器屋のリストが表示される。そして、ユーザが操作スイッチ群40を操作することにより、表示されたリストの中から案内を所望する施設が選択される。施設が選択されると、当該施設の位置が地図データから検索され、検索された位置がカーソルの中心となるように地図が表示される。そして、所定操作をすることによって、検索された施設が目的地として設定される。なお、目的地は、例えばディスプレイ61に表示された地図をスクロールして地図上の座標から設定してもよいし、住所或いは電話番号等から設定してもよい。なお、施設検索以外の方法で目的地が設定された場合、設定された目的地の位置座標が地図データ記憶部30に記憶された施設の施設領域内にない場合、本処理の対象から除外する。
【0020】
S102では、S101にて検索され、目的地として設定された施設への経路を探索し、探索された経路に基づいて当該施設への経路案内を行う。
S103では、目的地として設定された施設に立ち寄ったか否かを判断する。ここでは、経路案内後、目的地周辺(例えば、施設を中心とした半径100mの円形の範囲内)にてアクセサリ電源がオフされた後、アクセサリ電源がオンされることにより、目的地として設定された施設に立ち寄ったと判断する。目的地として設定された施設に立ち寄っていないと判断された場合(S103:NO)、S102へ戻り、施設案内を継続する。目的地として設定された施設に立ち寄ったと判断された場合(S103:YES)、S104へ移行する。また、S103にて立ち寄ったと判断されて以降は、目的地として設定された施設を立寄施設という。
【0021】
S104では、立寄施設に立ち寄った目的を達成したか否かを判断する。ここでは、アクセサリ電源がオンされた後、所定時間(例えば5分)以内に立寄施設と同一ジャンルの施設の再検索指示があった場合に、「立寄施設にて目的を達成していない」と判断する。立寄施設にて目的を達成したと判断された場合(S104:YES)、本処理を終了する。立寄施設にて目的を達成していないと判断された場合(S104:NO)、すなわちアクセサリ電源がオンされた後、所定時間内に立寄施設と同一ジャンルの施設の再検索指示があった場合、S105へ移行する。
【0022】
S105では、立寄施設のジャンルに基づいて、候補要因を特定する。すなわち、立寄施設のジャンルについて、候補要因を地図データ記憶部30から取得する。例えば、立寄施設のジャンルが電器屋である場合、候補要因として、営業情報、価格情報、及び在庫情報が取得される(図2参照)。
S106では、立寄施設と同一ジャンルの施設であり、車両の現在位置から所定範囲内(例えば10km以内)にある施設を検索し、立寄施設及びS106において検索された施設について、S105において取得された複数の候補要因、例えば、立寄施設が電器屋である場合、営業情報、価格情報、及び在庫情報の現況情報を情報センタ90から取得し、情報記憶部80に記憶する。
【0023】
S107では、S106において検索された施設について、S106にて取得された現況情報に基づき、ユーザが目的を達成できると推定される施設を検索する。ここでは、立寄施設の評価情報と、立寄施設と同一ジャンルの所定範囲内施設の評価情報とを比較し、立寄施設のよりも評価が高い施設を、S106において検索された施設からさらに検索する。ここでS107において検索された施設が「ユーザが目的を達成できると推定される施設」である。そして、検索された施設をリスト表示し、ユーザが操作スイッチ群40を操作することにより、表示されたリストの中から案内を所望する施設が選択される。
S108では、S107にて選択された施設への経路を探索し、探索された経路に基づいて、当該施設への経路案内を行う。そしてS103に戻る。
【0024】
ここで、図4に示すフローチャートに基づいて説明した施設案内処理の具体例について、図5に基づいて説明する。
ユーザは、電器屋であるA店周辺にてアクセサリ電源をオフし、オンしたものとする(S103:YES)。その後、所定時間内に「電器屋」というジャンルの条件にて再検索指示があった、すなわち、目的を達成できなかったものとする(S104:NO)。立寄施設であるA店の施設ジャンルは「電器屋」であるので、図2に示すように、候補要因として営業情報、価格情報、及び在庫情報が取得される(S105)。また、「電器屋」というジャンルの条件にて車両の現在位置から所定範囲内にある施設を検索する(S106)。その結果、B店、C店、及びD店が検索されたものとする。立寄施設であるA店、及び検索されたB〜D店について、営業情報、価格情報、及び在庫情報の現況情報が取得され、図5に示す現況情報テーブルとして情報記憶部80に記憶する(S106)。なお、在庫情報については、白物家電、AV機器、パソコン、及びゲームといった商品カテゴリー毎の評価情報が取得され、記憶される。そして、A店の評価情報とB〜D店の評価情報とを比較し、A店よりも評価が高い施設をB〜D店からさらに検索する。
【0025】
A店の評価情報は、図5を参照すると、営業情報は営業時間内であり、価格情報はディスカウント店ではない。また、在庫情報は、白物家電とAV機器については在庫が多く、パソコンについては在庫が少なく、ゲームについては在庫がない。ここで、A店は営業時間内であるため、ユーザがA店にて目的を達成できなかった要因が営業情報である可能性は低い。一方、A店はディスカウント店ではないため、ユーザがA店にて目的を達成できなかった要因が、価格である可能性がある。このとき、価格情報の評価がA店より高い施設であるD店にて、ユーザは目的を達成できると推定される。また、A店の在庫状況は、白物家電とAV機器の在庫は多いものの、パソコンの在庫は少なく、ゲームの在庫はない。ユーザの目的がパソコンやゲームであった場合、ユーザがA店にて目的を達成できなかった要因が、在庫である可能性がある。このとき、パソコン及びゲームの在庫情報の評価がA店より高い施設であるC店にて、ユーザは目的を達成できると推定される。したがって、A店のよりも評価が高い施設、すなわちユーザが目的を達成できると推定される施設であるC店及びD店が、所定範囲内の施設であるB〜D店の中からさらに検索される。そしてC店及びD店をリスト表示し、ユーザが操作スイッチ群40を操作することにより、いずれかの施設、ここではC店、が選択される。(S107)。そして選択されたC店への経路を探索し、経路案内を行う(S108)。
【0026】
なお、リスト表示に際し、C店、及びD店について、どの候補要因の評価が高いかを併せて表示するように構成してもよい。評価情報に基づき、ユーザが目的を達成できないと推定されたB店については、リスト表示しないように構成してもよいし、優先度を下げて表示するように構成してもよい。具体的には、C店及びD店よりも下の位置、つまり、リスト上の下位にB店を表示するようにしてもよい。
【0027】
以上詳述したように、車載用ナビゲーション装置1によれば、ユーザが立ち寄った施設を特定し(S103:YES)、立寄施設に立ち寄った目的を達成できたか否かを判断する。立寄施設に立ち寄った目的を達成できなかった場合(S104:NO)、立寄施設及び立寄施設と同一のジャンルの施設について、複数の要因に関する現況情報を取得し(S106)、複数の要因の現況情報に基づき、立寄施設と同一のジャンルの施設からユーザが目的を達成できると推定される施設を検索し(S107)、案内する(S108)。これにより、立寄施設にて立ち寄った目的を達成できなかった場合、複数の要因に関する現況情報に基づいて施設検索を行うので、ユーザが目的を達成できると推定される施設を検索し、案内することができる。
【0028】
また、複数の要因は、立寄施設のジャンルに基づき特定される(S105)。これにより、立寄施設のジャンルに基づいて複数の要因を特定するので、特定された複数の要因に関する現況情報に基づいて、ユーザが目的を達成できると推定される施設をより適切に検索し、案内することができる。
【0029】
さらにまた、複数の要因に関する現況情報は、各要因の段階的な評価を表す評価情報である。そして、立寄施設と同一のジャンルの施設であって、当該施設の評価情報と立寄施設の評価情報とを比較し立寄施設よりも評価が高い施設を、ユーザが目的を達成できると推定される施設として検索する(S107)。これにより、立寄施設よりも評価が高い施設を検索するので、ユーザが目的を達成できると推定される施設をより適切に検索し、案内することができる。
【0030】
なお、本実施形態における制御部10が「施設特定手段」、「達成判断手段」、「現況情報取得手段」、「検索手段」、及び「案内手段」を構成する。また、図4中のS103が「施設特定手段」の機能としての処理に相当し、S104が「達成判断手段」の機能としての処理に相当し、S106が「現況情報取得手段」の機能としての処理に相当し、S107が「検索手段」の機能としての処理に相当し、S108が「案内手段」の機能としての処理に相当する。
【0031】
以下、本発明の技術思想の理解を容易にするため、上記実施形態のバリエーションを紹
介する。
(ア)施設特定手段
上記実施形態では、施設周辺にて、アクセサリ電源がオフされた後、オンされたことにより「当該施設に立ち寄った」と判断したが、目的地周辺にて所定時間停止したことによって「当該施設に立ち寄った」と判断してもよい。なお、所定時間は、一定の時間、例えば5分、としてもよいし、施設毎に異なる時間、例えば立寄施設の平均滞在時間、に基づいて決定してもよい。平均滞在時間は、施設毎に設定されていてもよいし、施設ジャンル毎に設定されていてもよい。
【0032】
(イ)達成判断手段
上記達成判断手段では、アクセサリ電源がオンされた後、所定時間内に立寄施設と同一ジャンルで再検索の指示あった場合、「立寄施設に立ち寄った目的を達成できなかった」と判断した。所定時間は、アクセサリ電源をオンしてから、走行を開始するまでの時間としてもよいし、車両が立寄施設の領域から出るまでの時間としてもよい。この他に、アクセサリ電源がオンされた後、目的を達成できたか否かをユーザに問い合わせるように構成し、ユーザにより入力された入力情報に基づいて判断してもよい。
【0033】
また、上記実施形態のS104で行われる施設検索は、所定範囲として半径10km以内を例示したが、所定範囲を施設ジャンル毎に範囲を設定してもよい。例えば、コンビニエンスストアであれば3km以内、映画館であれば15km以内、といった具合である。
【0034】
(ウ)現況情報取得手段
上記実施形態では、地図データ記憶部30に施設ジャンル毎の候補要因が記憶されていたが、施設毎に候補要因が記憶されているように構成してもよい。また、操作スイッチ群40を介してユーザにより入力される入力情報に基づき、現況情報を取得する候補要因を特定してもよい。換言すると、「ユーザにより入力される入力情報を取得し、当該入力情報に基づいて現況情報を取得する候補要因を特定する」ということである。具体的には、S105において施設ジャンル毎或いは施設毎に記憶された候補要因をリスト表示し、目的を達成できなかった要因をリストの中からユーザが選択するといった具合である。また、上記実施形態では、S105にて候補要因を取得した後、S106にて候補要因の現況情報を取得したが、S105とS106の順序を逆にし、所定範囲内にある立寄施設と同一ジャンルの施設の現況情報を全て取得した後、候補要因を特定してもよい。
候補要因は、候補要因テーブル(図2参照)に示すもの以外のものであっても、もちろんよい。
【0035】
(エ)現況情報
上記実施形態の現況情報は、例えば電器屋の在庫情報の場合、白物家電、AV機器といった商品カテゴリー毎に設定された4段階の情報であったが、商品毎に設定してもよい。また、現況情報は、商品毎の在庫数量であってもよい。価格についても同様に、現況情報は、商品毎の実売価格であってもよい。
また、現況情報は、施設毎の予想待ち時間であってもよい。
【0036】
(オ)検索手段
上記実施形態では、立寄施設よりも評価が高い同一ジャンルの施設をリスト表示するように構成した。リスト表示を行う場合、例えば、営業情報については、営業時間内であれば10ポイント、営業時間外であれば0ポイントと設定し、価格については、ディスカウント店であれば3ポイント、ディスカウント店でなければ0ポイントと設定するといった具合に、評価情報毎に予めポイントを設定しておき、それぞれの施設について候補要因毎のポイントを加算して合計ポイントとし、合計ポイントに基づいて施設の優先度を決めることができる。そして、優先度に基づいてリスト表示を行うように構成してもよい。また、どの候補要因の評価が立寄施設よりも高いかを施設名称と併せて表示するように構成してもよい。
さらに、リスト表示を行わず、最も評価の高い施設、例えば上述の優先度が最も高い施設を特定するように構成してもよい。換言すると、「検索手段は、立寄施設と同一ジャンルに施設のうち、評価情報に基づいて決定された優先度が最も高い施設を、ユーザが目的を達成できる施設として特定する」ということである。
【0037】
ここで紹介したバリエーションを踏まえた変形例を図6に基づいて説明する。
ユーザは、施設ジャンルがスーパーであるP店に立ち寄ったが、目的を達成できなかったとする。スーパーの候補要因は、営業情報、混雑情報、価格情報、及び在庫情報であるものとする。このとき、P店にユーザがいる場合、ユーザの現在位置から所定範囲内にあるスーパーは、Q店、R店、S店、及びT店である。また、立寄施設であるP店及びQ店、R店、S店、T店の評価情報は、図6に示すごとくであり、営業情報に関しては全ての施設が営業時間内であるものとする。なお、この例においては、候補要因がリスト表示され、このリストに基づいてユーザが目的を達成できなかった要因を選択可能に構成されているものとする。
【0038】
ユーザにより選択された目的を達成できなかった要因が「Xの在庫」である場合、目的を達成できる施設は、立寄施設であるP店よりもXの在庫数が多いR店であると推定されるので、R店が検索され、案内される。ここで、目的を達成できなかった要因が「Xの在庫」である場合とは、Xの在庫が全くない場合或いは不足している場合である。在庫が不足している場合とは、例えばユーザがXを5個購入する予定であるが、Xの在庫が5個未満しかない場合である。このような場合に、ユーザは目的を達成できなかった要因として「Xの在庫」を選択する蓋然性が高い。
また、ユーザにより選択された目的を達成できなかった要因が「Xの価格」である場合、目的を達成できる施設は、立寄施設であるP店よりもXの価格が安いS店であると推定されるので、S店が検索され、案内される。
さらに、ユーザにより選択された目的を達成できなかった要因が「混雑」である場合、目的を達成できる施設は、立寄施設であるP店よりも空いているT店であると推定されるので、T店が検索され、案内される。
このように構成しても、ユーザが目的を達成できると推定される施設を適切に検索し、案内することができる。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0039】
1:車載用ナビゲーション装置、10:制御部(施設特定手段、達成判断手段、現況情報取得手段、検索手段、案内手段)、20:位置検出器、21:地磁気センサ、22:ジャイロスコープ、23:距離センサ、24:GPS受信機、30:地図データ記憶部、40:操作スイッチ群、50:通信部、60:描画部、61:ディスプレイ、70:音声出力部、71:スピーカ、80:情報記憶部、90:情報センタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが立ち寄った立寄施設を特定する施設特定手段と、
前記立寄施設に立ち寄った目的を達成できたか否かを判断する達成判断手段と、
前記立寄施設及び前記立寄施設と同一のジャンルの施設について、複数の要因に関する現況情報を取得する現況情報取得手段と、
前記達成判断手段により前記目的が達成できなかったと判断された場合、前記複数の要因に関する現況情報に基づき、前記立寄施設と同一のジャンルの施設から前記ユーザが前記目的を達成できると推定される施設を検索する検索手段と、
前記検索手段により検索された前記施設を案内する案内手段と、
を備えることを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記複数の要因は、前記立寄施設のジャンルに基づき特定されることを特徴とする請求項1に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
前記複数の要因に関する現況情報は、前記各要因の段階的な評価を表す評価情報であり、
前記検索手段は、前記立寄施設と同一のジャンルの施設であって、当該施設の評価情報と前記立寄施設の評価情報とを比較し前記立寄施設よりも評価が高い施設を、前記ユーザが前記目的を達成できると推定される施設として検索することを特徴とする請求項1または2に記載の車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
ユーザが立ち寄った立寄施設を特定する施設特定手段、
前記立寄施設に立ち寄った目的を達成できたか否かを判断する達成判断手段、
前記立寄施設及び前記立寄施設と同一のジャンルの施設について、複数の要因に関する現況情報を取得する現況情報取得手段、
前記達成判断手段により前記目的が達成できなかったと判断された場合、前記複数の要因に関する現況情報に基づき、前記立寄施設と同一のジャンルの施設から前記ユーザが前記目的を達成できると推定される施設を検索する検索手段、
及び、前記検索手段により検索された前記施設を案内する案内手段、
としてコンピュータを機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−230395(P2010−230395A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−76577(P2009−76577)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】