説明

車載用ナビゲーション装置

【課題】経路案内中に設定した経由地周辺の地図を容易に表示させる。
【解決手段】制御部は、経路案内中の地図を、指定経由地を含む地図に切り替えて表示する(S23)。当該指定経由地を含む地図の切替は、切替後の地図内に車両の現在位置が含まれる場合のように、車両の現在位置と指定経由地とが地図画面上、比較的近く、既に画像メモリに地図データが格納されている場合には、車両の現在位置から、指定経由地まで自動的にスクロールを行って地図の切替がなされる。また、切替後の地図内に車両の現在位置が含まれない場合のように、車両の現在位置と指定経由地とが地図画面上、比較的遠く、新たに指定経由地付近の地図データを画像メモリに読み込む必要がある場合には、地図データの画像メモリへの読み込みが完了した時点で、画面切替(ジャンプ)により地図の切替がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両を運転する場合に、運転者を支援するために、出発地から目的地までの経路案内を行う車載用ナビゲーション装置が知られている。
この車載用ナビゲーション装置では、ユーザーが出発地および経由地(最終経由地が目的地に相当)を設定すると、出発地から全ての経由地を通って、最終経由地に至るまでの案内経路の検索が行われ、表示装置に案内経路を含む地図が表示されて、経路案内を音声と表示により行うこととなっていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−20334号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、車載用ナビゲーション装置を用いて経路案内を行っている場合に、各経由地の渋滞情報や、周辺施設を検索したいという場合には、各経由地の近傍まで地図をユーザの手動操作によりスクロールさせてから、渋滞情報の取得操作や周辺施設の検索操作を行う必要があり、手間が煩わしいという問題点があった。特に経由地までの距離が長い場合には、表示までの時間を短縮するためには、地図の表示縮尺も変更する必要があるが、この場合には、さらに必要な表示縮尺に戻した場合に、経由地が地図から外れてしまうおそれもあった。
そこで、本発明の目的は、経路案内中に設定した経由地周辺の地図を容易に表示させることが可能な車載用ナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、設定された一または複数の経由地を経由する案内経路を表示装置の地図上に表示して、経路案内を行う車載用ナビゲーション装置において、前記経路案内中の地図を、前記一または複数の経由地のうち、指定経由地を含む地図に切り替え可能にしたことを特徴とする。
上記構成によれば、経路案内中の地図を、設定した一または複数の経由地のうち、指定経由地を含む地図に切り替えられるので、延々とスクロール操作を行ったり、拡大縮小操作を行ったりすることなく、指定経由地を含む地図を表示させることが可能となる。
【0006】
本発明の第2の態様は、第1の態様において、前記指定経由地を含む地図の縮尺を変更する場合、前記指定経由地を中心に地図の縮尺を変更することを特徴とする。
上記構成によれば、指定経由地を含む地図の縮尺を変更する場合、指定経由地を中心に地図の縮尺を変更するので、縮尺を変更しても指定経由地が表示画面から外れてしまうことがない。
【0007】
本発明の第3態様は、第1態様または第2態様において、指定経由地を含む地図を経路案内中に表示していた地図と同一の縮尺で表示し、あるいは、同一の縮尺で表示できない場合は経路案内中に表示していた地図の縮尺に最も近い縮尺で表示することを特徴とする。
上記構成によれば、地図の切り替え前後で縮尺が変更されないか、あるいは、より近い縮尺で表示されるので、距離感や、敷地の面積、建物の大きさなどの把握が容易となり、有用な情報として取得できる。
【0008】
本発明の第4態様は、第1態様乃至第3態様のいずれかにおいて、経路案内中の地図をヘディングアップモード及びノースアップモードのいずれかで表示し、さらに平面図モード及び鳥瞰図モードのいずれかで表示し、前記指定経由地を含む地図を切り替える場合には、前記経路案内中の地図と同じモードで表示することを特徴とする。
上記構成によれば、指定経由地を含む地図を切り替える場合には、前記経路案内中の地図と同じモードで表示するので、切替前後で地図の方位や画面構成などが変化することはなく、容易に切り替え後の地図の表示内容を把握することができる。
【0009】
本発明の第5態様は、第1態様乃至第4態様のいずれかにおいて、経路案内中の地図の表示画面に、前記指定経由地を指定する操作ボタンを表示したことを特徴とする。
上記構成によれば、経路案内中の地図の表示画面には、指定経由地を指定する操作ボタンが表示されているので、この操作ボタンの操作により容易に指定経由地を含む地図を表示させることができる。
【0010】
本発明の第6態様は、第1態様乃至第4態様のいずれかにおいて、経路案内中の地図の表示画面に、前記指定経由地以外の経由地を呼び出して指定可能にする操作ボタンを設けたことを特徴とする。
上記構成によれば、設定された複数の経由地のいずれかを指定経由地とする地図を容易に表示させることができる。
【0011】
本発明の第7態様は、第1態様ないし第6態様のいずれかにおいて、前記指定経由地を含む地図に、当該指定経由地への自車の進入方向を表示することを特徴とする。
上記構成によれば、指定経由地を含む地図に、当該指定経由地への自車の進入方向が表示されるため、指定経由地に向かう際に自己の進行方向の状況を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、経路案内中に設定した経由地周辺の地図を容易に表示させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】カーナビゲーション装置の概要構成ブロック図である。
【図2】実施形態の表示画面の説明図である。
【図3】実施形態の処理フローチャートである。
【図4】指定経由地地図表示サブルーチンの処理フローチャートである。
【図5】指定経由地を含む地図に切り替え後の表示例の説明図である。
【図6】第1変形例の指定経由地地図表示サブルーチンの処理フローチャートである。
【図7】第1変形例の動作説明概要図である。
【図8】第2変形例の動作説明概要図である。
【図9】第3変形例の動作説明概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して本発明の好適な実施の形態について説明する。
[1]実施形態
図1は、カーナビゲーション装置の概要構成ブロック図である。
カーナビゲーション装置10は、乗用車などの車両に搭載され、当該車両の経路案内を行うナビゲーション機能や施設検索機能を有する装置である。
カーナビゲーション装置10は、GPSユニット11と、ジャイロユニット12と、自己が搭載された車両側から車両の走行状態を示す信号が入力されるインターフェース(I/F)部13と、記憶部14と、操作部15と、表示制御部16と、表示部17と、音声出力制御部18と、音声出力部19と、無線ネットワーク制御部20と、これら各部を中枢的に制御する制御部21と、を備えている。
【0015】
GPSユニット11は、GPSアンテナ11aを介してGPS衛星からのGPS電波を受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号から、車両の現在位置を示す位置座標と進行方向とを演算により取得する。
ジャイロユニット12は、図示しないジャイロセンサーを備え、ジャイロセンサーにより検出した車両の相対的な方位情報を制御部21へ出力するものである。
インターフェース部13には、車両側から車両の走行状態を示す信号として、パーキングブレーキ信号BS及び車速パルス信号SPが入力される。これらの車両の走行状態を示す信号は制御部21に出力され、制御部21では、これらのパーキングブレーキ信号BS及び車速パルス信号SPに基づいて、車両の移動速度や、車両が現在走行中であるか、停止中であるかを判別可能になっている。
【0016】
記憶部14は、比較的大きなデータ格納領域を有する記録媒体を有するハードディスクドライブ装置、あるいは、CD/DVDドライブ装置を有して構成されている。この記憶部14には、経路案内のための制御プログラムのほか、地図情報や経路案内に供される表示画像データ等の各種データを格納した経路案内データベースが記憶される経路案内データベース14aを有している。
【0017】
操作部15は、複数の上記操作ボタン15a1〜15anに加え、さらに、上記表示部17の表示パネル17aの手前側に重ねて配設されたタッチパネル15bを有し、ユーザーが表示パネル17aに表示されている各種ボタン表示に対応づけてタッチパネル15bに指などで触れた場合、触れた箇所を示す信号が制御部21に入力される。これにより、制御部21は、表示パネル17aに表示している各種ボタン表示の位置と対比して、ユーザがどのボタンをタッチ操作しようとしたかを特定する。
【0018】
表示部17は、上述した表示パネル17aを備え、この表示パネル17aとしては、例えば液晶ディスプレイパネルやEL(Electro Luminescent)ディスプレイパネル等を用いて構成することができる。表示制御部16は、図示しない描画プロセッサーを有し、制御部21から地図情報、ボタン表示等の表示指示を含む描画コマンドを受け取り、この描画コマンドに基づいた表示を行うように表示部17を制御する。
【0019】
音声出力制御部18は、図示しないD/Aコンバータ、アンプ等を備え、経路案内用の音声データ信号をディジタル/アナログ変換し、アンプにより増幅して、スピーカー等により構成される音声出力部19を介して車室内に音声出力する。
無線ネットワーク制御部20は、無線アンテナ20aを備え、図示しないアクセスポイントと無線通信を確立し、アクセスポイントを介して通信ネットワークに接続し、通信ネットワークを介して接続される外部サーバー等の他の装置との間でデータの送受信を制御する。
【0020】
制御部21は、カーナビゲーション装置10を構成する各部を中枢的に制御するCPU21aと、CPU21aの作業領域として機能し、各種データを一時的に記憶するRAM21cと、CPU21aにより実行される各種制御プログラムおよびデータが不揮発的に記憶されるROM21bとを備え、GPSユニット11とジャイロユニット12との検出結果に基づき車両の現在地及び進行方向を特定し、現在地周辺の地図を表示させる。また、制御部21は、目的地が設定された場合、目的地までの最適経路を計算し、表示地図中に表示して目的地まで経路案内処理を実行する。
【0021】
図2は、実施形態の表示画面の説明図である。
表示部17の表示画面31には、自車の現在位置M及び案内経路NVが表示された地図画面32と、案内経路における進行方向にある直近の交差点の情報を表示する交差点情報表示領域33と、時刻を表示する時刻表示領域34と、指定経由地を含む地図に切り替える地図位置切替ボタン35と、現在地メニューを表示させる現在地メニュー表示ボタン36と、地図表示モードを切り替えるモード変更ボタン37と、地図表示をヘディングアップモードで行うか、ノースアップモードで行うかを切り替える地図向き切替ボタン38と、表示している地図に含まれる自車両の周辺情報およびハイウェイ出入口情報を表示する情報表示領域39と、表示している地図の縮尺を変更する表示縮尺変更ボタン40と、オーディオの再生状態および変更を行うオーディオ再生状態ボタン41と、を備えている。なお、オーディオ再生状態ボタン45上には、例えば、オーディオ非再生時には、「オーディオオフ」と表示され、CD再生時には、「CD」と表示され、AM放送受信時には「AM」と表示され、FM放送受信時には「FM」と表示され、オーディオの再生状態を容易に把握できるようにしている。
【0022】
ここで、地図位置切替ボタン35、現在地メニュー表示ボタン36、モード変更ボタン37、地図表示モード切替ボタン38、表示縮尺変更ボタン40及びオーディオ再生状態ボタン41は、表示パネル17a及びタッチパネル15bが共働して各ボタンとして機能している。
上記構成において、地図位置切替ボタン35には、切替先の指定経由地を表す情報(図2では、目的地を示す旗を表示)、当該指定経由地までの距離(図2では、7.5km)、当該指定経由地までの予想到着時刻(図2では、10:49着)が表示されており、運転計画(ドライブプラン)を立てやすくなっている。
【0023】
次に実施形態の動作について説明する。
図3は、実施形態の処理フローチャートである。
経路案内を行わせる場合、まず、ユーザは、操作部15を操作して、一または複数の経由地を設定する(ステップS11)。
具体的には、タッチパネル15bを介して、地図画面上で地点を直接入力したり、住所、電話番号、緯度・経度、地図コードなどの経由地指定情報を入力したりして経由地を特定する。
【0024】
これにより制御部21は、記憶部14の経路案内データベース14aを探索して、案内経路を生成する。この場合において、一つの経由地のみを設定した場合には、当該経由地は目的地となり、自車の現在位置から目的地に至る案内経路を探索することとなる。また、複数の経由地を設定した場合には、最後に経由すべき経由地として設定された経由地が目的地となり、他の経由地は、目的地に向かう際に途中で経由する途中経由地となる。
そして、案内経路を生成した制御部21は、図2に示したように、自車の現在位置M及び案内経路NVが表示された地図画面32を表示部17の表示画面31に表示する(ステップS13)。
続いて、制御部21は、生成した案内経路NVに従って、音声および画面表示により経路案内を行う(ステップS14)。
【0025】
ところで、本実施形態においては、経路案内中に、いずれかの経由地を指定することにより、直ちに指定経由地を含む地図を表示できるようにしている。
これは、経由地は、休憩ポイントや、交通の要となる地点を設定しているのが一般的であり、当該経由地の周辺の施設や、交通渋滞、工事区間(工事に伴う迂回路)などの交通情報の取得を容易とするためである。
【0026】
図4は、指定経由地地図表示サブルーチンの処理フローチャートである。
制御部21は、図3に示した経路案内の処理フローチャートに従った経路案内処理において、地図位置切替ボタン35の操作がなされたか否かを判別する指定経由地地図表示サブルーチンを割り込み処理により処理している。
すなわち、制御部21は、指定経由地地図表示サブルーチンの割込タイミングに至ると、地図位置切替ボタン35の操作がなされたか否かを判別する(ステップS21)。
ステップS21の判別において、地図位置切替ボタン35の操作がなされなかった場合には(ステップS21;No)、再び処理を経路案内の処理フローチャートに移行する。従って、制御部21は、現在、表示部17の表示画面31に表示している地図の表示を維持しつつ経路案内を継続することとなる。
【0027】
ステップS21の判別において、地図位置切替ボタン35の操作がなされた場合には(ステップS21;Yes)、制御部21は、地図位置切替ボタン35の操作に対応する地図表示地点を指定経由地として特定する(ステップS22)。
この場合において、地図位置切替ボタン35の操作に対応する地図表示地点は、予め、最後に経由すべき経由地(目的地)あるいは複数の経由地が設定されている場合には、最後に経由すべき経由地以外の経由地のうち、次に通過すべき経由地を指定経由地として特定することとなる。
【0028】
そして制御部21は、経路案内中の地図を、指定経由地を含む地図に切り替えて表示する(ステップS23)。
この場合において、指定経由地を含む地図の切替は、切替後の地図内に車両の現在位置が含まれる場合のように、車両の現在位置と指定経由地とが地図画面上、比較的近く、既に画像メモリに地図データが格納されている場合には、車両の現在位置から、指定経由地まで自動的にスクロールを行って地図の切替がなされる。
また、切替後の地図内に車両の現在位置が含まれない場合のように、車両の現在位置と指定経由地とが地図画面上、比較的遠く、新たに指定経由地付近の地図データを画像メモリに読み込む必要がある場合には、地図データの画像メモリへの読み込みが完了した時点で、画面切替(ジャンプ)により地図の切替がなされる。
【0029】
図5は、指定経由地を含む地図に切り替え後の表示例の説明図である。
図5において、図2と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
表示部17の表示画面31には、指定経由地を表すリング状のカーソルCS、自車の現在位置M及び案内経路NVが表示された地図画面51と、指定経由地の情報を表示する指定経由地情報表示領域52と、時刻を表示する時刻表示領域34と、直前に表示していた経路案内画面に表示を戻すための戻るボタン53と、地図表示地点を微調整するための微調整ボタン54と、位置を確定し、渋滞情報の取得操作や、周辺施設の検索操作などを行うメニューを表示する決定ボタン55と、地図表示を平面図で行う平面図モード、地図表示を鳥瞰図で行う鳥瞰図モードなどの地図表示モードを切り替えるモード変更ボタン37と、地図表示をヘディングアップモードで行うか、ノースアップモードで行うかを切り替える地図向き切替ボタン38と、表示している地図の縮尺を変更する表示縮尺変更ボタン40と、指定経由地の緯度・経度座標に相当するマップコードを表示するマップコード表示領域56と、指定経由地の緯度・経度座標を表示する緯度・経度座標表示領域57と、を備えている。
【0030】
図5においては、指定経由地が、目的地以外の経由地のうち、次に通過すべき経由地である場合であり、次の経由地がリング状のカーソルCSの中心に表示されている。
これにより、指定経由地を含む切替後の地図において、より詳細を確認するために拡大表示を行ったり、周囲の地図を大雑把に把握するために縮小(広域)表示を行ったりした場合に、指定経由地を中心に地図の縮尺を変更することにより、常に指定経由地が画面内(の中央部)に位置して、確実に指定経由地周辺の状況を把握できることとなる。
【0031】
そして、このときの指定経由地の緯度・経度座標に相当するマップコードがマップコード表示領域56に表示され、当該指定経由地の緯度・経度座標が緯度・経度座標表示領域57に表示されている。
また、指定経由地情報表示領域52は、指定経由地の情報である自車両の現在位置からの距離、方向及び地名が表示されている。具体的には、図5に示す例の場合、現在指定されている指定経由地は、自車の進行方向に対して斜め左前方方向に位置していることを矢印により示している。さらに自車位置から指定経由地までの距離(図5では、5.7km)が表示され、指定経由地付近の地名(図5では、「川口市北園町」)が表示されている。
【0032】
さらに、指定経由地を含む地図は、図2に示した経路案内中に表示していた地図と同一の縮尺で表示している。
これは、地図の切替前後で、縮尺を同一にすることで、地図の切替前の経路案内中にユーザが把握している距離(長さ)感覚や面積の感覚を切替後の新たな地図でも同様に感じられるようにするためである。すなわち、二地点間の距離や、特定箇所の敷地面積や、詳細画面における建物の大きさなどを容易に地図上で把握することができるようにするためである。
なお、現在表示している地図が縮尺の大きい詳細な地図である市街地図であり、切替後の地図が郊外や、山間部などの地図であり、同一の縮尺の地図がなく、より縮尺の小さい地図しか存在しない場合には、最も切替前の地図の縮尺に近い縮尺の地図を用いて表示を行うようにすればよい。
また、地図の切替後の縮尺については、ユーザの好みにより予め設定しておくように構成することも可能である。この場合において、詳細地図データが設けられている市街地と、詳細地図データが設けられていない郊外とで、表示縮尺を異ならせて設定するように構成することも可能である。
【0033】
さらにまた、指定経由地を含む地図は、図2に示した経路案内中に表示していた地図と同一の表示モードで表示している。すなわち、経路案内中の地図をヘディングアップモードで表示していた場合には、指定経由地を含む地図に表示を切り替えた後もヘディングアップモード(自車両の進行方向を地図の上側に表示)で表示し、経路案内中の地図をノースアップモード(北方向を地図の上側に表示)で表示していた場合には、指定経由地を含む地図に表示を切り替えた後もノースアップモードで表示することとなる。また、経路案内中の地図を平面図モードで表示していた場合には、指定経由地を含む地図に表示を切り替えた後も平面図モードで表示し、経路案内中の地図を鳥瞰図モードで表示していた場合には、指定経由地を含む地図に表示を切り替えた後も鳥瞰図モードで表示することとなる。なお、ヘディングアップモード、ノースアップモード、平面図モードまたは鳥瞰図モード以外の表示モードが存在する場合には、それらの表示モードについても、指定経由地を含む地図に表示を切り替えた後も維持するように構成すればよい。
【0034】
これは、地図の切替前後で表示モードが、ユーザの意識しない状態で切り替えられることによるユーザの地図の表示内容(方向など)の認識ミスをなくすとともに、切替に伴う違和感をなくすようにするためである。
また、指定経由地を含む地図には、指定経由地への自車の進入方向を表示する構成を採っている。具体的には、指定経由地への自車の進入方向を表示するために車両の現在位置と指定経由地とを結ぶ破線LDを地図中に表示している。なお、図5の例は、車両の現在位置および指定経由地が同一の地図上に含まれている場合のものであるが、車両の現在位置が指定経由地を含む地図上に表示されていない場合にも、破線LDが表示され、進入方向を大まかに把握することができる。
【0035】
この結果、指定経由地が近づいてきた場合に、当該指定経由地付近の渋滞情報をVICSのようにFM多重放送や、道路脇に設置されたビーコン、あるいは、車載した図示しない携帯電話を介した通信ネットワークにより交通情報配信サーバから取得し、取得した交通渋滞情報を指定経由地を含む地図に表示する場合に、自車の進入方向における渋滞の有無を判別して、そのまま進入を継続したり、迂回経路を考慮したりするなどの対策を講じることができる。
以上の説明のように、本実施形態によれば、経由地付近の施設の配置や、経由地付近の交通情報を取得して、表示させる場合などのように、経由地を指定して指定経由地を含む地図に切り替えて表示する場合に、ボタン操作一つで行うことができ、使い勝手が向上する。
【0036】
[2]変形例
[2.1]第1変形例
以上の説明においては、経路案内中の地図の表示画面に、指定経由地を指定する操作ボタンとして、地図位置切替ボタン35を一つ表示している場合のものであり、この地図位置切替ボタン35には、予め設定された指定経由地(例えば、目的地に相当する経由地あるいは次に通過する予定の経由地)を指定して、指定経由地の地図に切り替える場合のものであったが、本第1変形例は、複数の経由地が存在している場合に、それらのいずれかを指定経由地として地図切替を行う場合の変形例である。
以下の説明において、第1実施形態と同様の部分については、その説明を援用するものとする。
【0037】
図6は、第1変形例の指定経由地地図表示サブルーチンの処理フローチャートである。
また、図7は、第1変形例の動作説明概要図である。
本第1変形例においても、制御部21は、図3に示した経路案内の処理フローチャートに従った経路案内処理において、地図位置切替ボタン35A(図7参照)の操作がなされたか否かを判別する指定経由地地図表示サブルーチンを割り込み処理により処理している。
すなわち、制御部21は、指定経由地地図表示サブルーチンの割込タイミングに至ると、地図位置切替ボタン35Aの操作がなされたか否かを判別する(ステップS31)。
ステップS31の判別において、地図位置切替ボタン35Aの操作がなされなかった場合には(ステップS31;No)、再び処理を図3に示した経路案内の処理フローチャートに移行する。従って、制御部21は、現在、表示部17の表示画面31に表示している地図の表示を維持しつつ経路案内を継続することとなる。
【0038】
ステップS31の判別において、地図位置切替ボタン35Aの操作がなされた場合には、制御部21は、地図位置切替ボタン35Aが長押し(例えば、2秒)されたか否かを判別する(ステップS32)。
ステップS32の判別において、地図位置切替ボタン35Aが長押しされていない場合には(ステップS32;No)、制御部21は、地図位置切替ボタン35の操作に対応する地図表示地点は、目的地に相当する最後の経由地を指定経由地として特定する(ステップS35)。
そして制御部21は、経路案内中の地図を、第1実施形態のステップS23と同様に、指定経由地を含む地図に切り替えて表示する(ステップS36)。
【0039】
一方、ステップS32の判別において、地図位置切替ボタン35Aが長押しされていた場合には(ステップS32;Yes)、図7(b)に示すように、地図位置切替ボタン表示領域61に、地図位置切替ボタン35Aの長押し操作前に表示されていた地図位置切替ボタン35Aを含む複数の地図位置切替ボタン35A〜35Eを表示する(ステップS33)。
具体的には、図7(b)の例の場合、地図位置切替ボタン35Aは、最後の経由地である目的地を指定経由地とするボタンであり、地図位置切替ボタン35B〜35Eは、それぞれ第1〜第4の経由地を指定経由地とするボタンである。
【0040】
この場合において、いまだいずれの経由地も通過していない初期段階においては、全ての経由地を(あるいは、所定数の経由地を段階的に)選択可能に地図位置切替ボタンを表示することとなるが、既に通過した経由地については、表示対象から除外するように構成することも可能である。
この地図位置切替ボタン35Aを含む複数の地図位置切替ボタン35A〜35Eを表示している時間については、地図位置切替ボタン35Aの長押しを検出してから、所定時間としても良いし、地図位置切替ボタン35Aの長押しを検出してから、所定時間の表示に加えて、タッチパネル15bに指が触れていることを検出している期間中は、表示するように構成しても良い。
【0041】
次に制御部21は、地図位置切替ボタン35A〜35Eのいずれかの地図位置切替ボタンの操作がなされたか否かを判別する(ステップS34)。
ステップS34の判別において、地図位置切替ボタン35A〜35Eのいずれの地図位置切替ボタンの操作もなされていない場合には、待機状態となる。なお、待機時間が所定の待機時間を超えた場合には、処理を強制的に、図3の処理ルーチンに戻すように構成しても良い。
【0042】
一方、ステップS34の判別において、地図位置切替ボタン35A〜35Eのいずれかの地図位置切替ボタンの操作がなされた場合には、制御部21は、操作された地図位置切替ボタン35i(i=A〜E)の操作に対応する経由地を指定経由地として特定する(ステップS35)。
そして制御部21は、経路案内中の地図を、第1実施形態のステップS23と同様に、指定経由地を含む地図に切り替えて表示する(ステップS36)。
【0043】
以上の説明のように、本第1変形例によれば、経由地を指定して指定経由地を含む地図に切り替えて表示する場合に、複数の経由地から所望の経由地を簡易な操作で指定することができ、使い勝手が向上する。
【0044】
[2.2]第2変形例
上記第1変形例においては、地図位置切替ボタン35Aの長押しにより、他の地図位置切替ボタン35B〜35Eを表示する場合の変形例であったが、本第2変形例は、一つの地図位置切替ボタンの機能を他の選択ボタンにより切り替える場合の変形例である。
図8は、第2変形例の動作説明概要図である。
本第2変形例においても、制御部21は、図3に示した経路案内の処理フローチャートに従った経路案内処理において、地図位置切替ボタン35F(図8参照)の操作がなされたか否かを判別する指定経由地地図表示サブルーチンを割り込み処理により処理している。
また、本第2変形例の表示画面31Aにおいては、地図位置切替ボタン35Fの上下に地図位置切替ボタン61U、61Dが表示されており、例えば、経由地が目的地以外に第1〜第4経由地まである場合、地図位置切替ボタン61Uの押し下げを繰り返すことで、地図位置切替ボタン35Fに表示されている指定経由地が目的地→第1経由地→第2経由地→第3経由地→第4経由地→目的地→…という順番で切り替わり、地図位置切替ボタン35Fの操作がなされると、経路案内中の地図が、そのときに地図位置切替ボタン35Fに表示されている指定経由地の地図に切り替えられて表示されることとなる。
同様に地図位置切替ボタン61Dの押し下げを繰り返すことで、地図位置切替ボタン35Fに表示されている指定経由地が目的地→第4経由地→第3経由地→第2経由地→第1経由地→目的地→…という順番で切り替わり、地図位置切替ボタン35Fの操作がなされると、経路案内中の地図が、そのときに地図位置切替ボタン35Fに表示されている指定経由地の地図に切り替えられて表示されることとなる。
以上の説明のように、本第2変形例によれば、経由地を指定して指定経由地を含む地図に切り替えて表示する場合に、複数の経由地から所望の経由地を簡易な操作で指定することができ、操作方法も理解しやすく、操作性が向上する。
【0045】
[2.3]第3変形例
上記第1変形例においては、地図位置切替ボタン35Aの長押しにより、他の地図位置切替ボタン35B〜35Eを表示する場合の変形例であったが、本第3変形例は、二つの地図位置切替ボタンの機能を現在の地図の表示状態に応じて切り替える場合の変形例である。
【0046】
図9は、第3変形例の動作説明概要図である。
本第3変形例においても、制御部21は、図3に示した経路案内の処理フローチャートに従った経路案内処理において、地図位置切替ボタン62Uあるいは62D(図9参照)の操作がなされたか否かを判別する指定経由地地図表示サブルーチンを割り込み処理により処理している。
【0047】
また、本第3変形例の表示画面31Bにおいては、図3の地図位置切替ボタン35に代えて、地図位置切替ボタン61U、61Dが上下に表示されており、例えば、図9(a)は、指定経由地が第1経由地(図中、旗V1で示す。図9(a)では、岩槻付近)の地図が表示されている状態である。
この場合において、目的地への経路案内は、出発地→第1経由地→…→第4経由地→目的地の順番でなされるものであり、図9(a)に示す状態で、地図位置切替ボタン61Uが押し下げられると、図9(b)に示すように、指定経由地が第2経由地(図9(b)では、宇都宮近辺)となって、第2経由地(図中、旗V2で示す)の地図が表示されている状態となる。
【0048】
この時点で、地図位置切替ボタン61Uは、第2経由地の次に経由する第3経由地を指定経由地として指定するボタンとなり、地図位置切替ボタン61Dは、第2経由地の前に経由する第1経由地を指定経由地として指定するボタンとなる。
このように、本第3変形例によれば、地図位置切替ボタン61U、61Dの機能を現在の地図の表示状態(具体的には、いずれの指定経由地の地図表示を行っているか)に基づいて切り替えることにより、経由地を指定して指定経由地を含む地図に切り替えて表示する場合に、経由順が定まっている複数の経由地から所望の経由地を経由順に沿って簡易な操作で指定することができ、操作方法も理解しやすく、操作性が向上する。
【符号の説明】
【0049】
10 カーナビゲーション装置(車載用ナビゲーション装置)
15 操作部
15b タッチパネル
17 表示部
21 制御部
31、31A、31B 表示画面
32 地図画面
35、35A〜35E 地図位置切替ボタン
51 地図画面
61 地図位置切替ボタン表示領域
61D 地図位置切替ボタン
61U 地図位置切替ボタン
62U 地図位置切替ボタン
CS カーソル
LD 破線
M 現在位置
NV 案内経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定された一または複数の経由地を経由する案内経路を表示装置の地図上に表示して、経路案内を行う車載用ナビゲーション装置において、
前記経路案内中の地図を、前記一または複数の経由地のうち、指定経由地を含む地図に切り替え可能にしたことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記指定経由地を含む地図の縮尺を変更する場合、前記指定経由地を中心に地図の縮尺を変更することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の車載用ナビゲーション装置において、
指定経由地を含む地図を、経路案内中に表示していた地図と同一の縮尺で表示し、あるいは、同一の縮尺で表示できない場合は経路案内中に表示していた地図の縮尺に最も近い縮尺で表示することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載用ナビゲーション装置において、
経路案内中の地図をヘディングアップモード及びノースアップモードのいずれかで表示し、さらに平面図モード及び鳥瞰図モードのいずれかで表示し、
前記指定経由地を含む地図を切り替える場合には、前記経路案内中の地図と同じモードで表示することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車載用ナビゲーション装置において、
経路案内中の地図の表示画面に、前記指定経由地を指定する操作ボタンを表示したことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車載用ナビゲーション装置において、
経路案内中の地図の表示画面に、前記指定経由地以外の経由地を呼び出して指定可能にする操作ボタンを設けたことを特徴とする車載用ナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の車載用ナビゲーション装置において、
前記指定経由地を含む地図に、当該指定経由地への自車の進入方向を表示することを特徴とする車載用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−227002(P2011−227002A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−99261(P2010−99261)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】