車載用呼気中アルコール測定装置
【課題】 飲酒運転の発生を従来より抑えることができる車載用呼気中アルコール測定装置を提供する。
【解決手段】 アルコールインターロックシステムは、車両の運転者の呼気中のアルコール濃度の測定を行うアルコール燃料電池センサと、呼気中のアルコール濃度の測定を再び行うことを運転者に催促する通知(再測定催促通知)を行う表示部およびスピーカと、所定の時期までの時間を管理するCPUとを備えており、CPUは、車両が停止していると判断したときに所定の時期までの時間の減算を停止し(ステップS252、S254)、所定の時期に達したか否かを時間によって判断し(ステップS256、S262、S264、S266)、所定の時期に達したときに表示部およびスピーカに再測定催促通知を行わせる(ステップS258)ことを特徴とする。
【解決手段】 アルコールインターロックシステムは、車両の運転者の呼気中のアルコール濃度の測定を行うアルコール燃料電池センサと、呼気中のアルコール濃度の測定を再び行うことを運転者に催促する通知(再測定催促通知)を行う表示部およびスピーカと、所定の時期までの時間を管理するCPUとを備えており、CPUは、車両が停止していると判断したときに所定の時期までの時間の減算を停止し(ステップS252、S254)、所定の時期に達したか否かを時間によって判断し(ステップS256、S262、S264、S266)、所定の時期に達したときに表示部およびスピーカに再測定催促通知を行わせる(ステップS258)ことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する車載用呼気中アルコール測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されて運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する車載用呼気中アルコール測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−118177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者の中には、車両の運転前に行われるアルコール濃度の測定において飲酒状態とは判定されないが、その後、車両の内部で飲酒を行うことによって飲酒運転を行う者がいる。
【0005】
そこで、本発明は、飲酒運転の発生を従来より抑えることができる車載用呼気中アルコール測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、車両の運転者の呼気中のアルコール濃度の測定を行うアルコール測定部と、前記測定を再び行うことを前記運転者に催促する通知を行う測定催促部と、所定の時期までの時間を管理する時間管理部と、前記時期に達したときに前記測定催促部に前記通知を行わせる通知制御部と、前記車両が停止しているか否かを判断する停車判断部とを備えており、前記通知制御部は、前記時期に達したか否かを前記時間によって判断し、前記時間管理部は、前記車両が停止していることが前記停車判断部によって判断されたときに前記時間の減算を停止することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、アルコール濃度の測定を再び行うことを運転者に催促する時期(以下「測定催促時期」という。)に達したときにアルコール濃度の測定を催促するので、運転者に複数回のアルコール濃度の測定を行わせることになる。したがって、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、飲酒運転の発生を従来より抑えることができる。また、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、車両が停止しているときに測定催促時期までの時間の減算を停止することができるので、車両が停止しているときにアルコール濃度の測定の催促を開始することを防止することができる。
【0008】
本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、前記車両のエンジンの始動を禁止するエンジン始動禁止部と、前記アルコール測定部によって測定された前記アルコール濃度に基づいて前記運転者が飲酒状態であるか否かを判定する飲酒判定部とを備えており、前記エンジン始動禁止部は、前記運転者が飲酒状態であることが前記飲酒判定部によって判定されたときに前記始動を禁止することが好ましい。
【0009】
この構成により、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、運転者が飲酒状態であるときに車両のエンジンの始動を禁止するので、飲酒運転の発生をより強力に抑えることができる。
【0010】
本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、前記時期をランダムに決定する時期決定部を備えていることが好ましい。
【0011】
この構成により、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、アルコール濃度の測定の催促をランダムな時期に抜き打ちに行うので、測定催促時期が運転者に予想されることを防止することができる。したがって、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、運転者に常に飲酒を止めさせることができ、飲酒運転の発生をより強力に抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、飲酒運転の発生を従来より抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアルコールインターロックシステムの斜視図である。
【図2】図1に示すアルコールインターロックシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すハンディーユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す表示ユニットの構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示すカメラユニットの構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示すコントロールユニットの構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のフローチャートである。
【図8】図1に示すハンディーユニットのマウスピースに吹込まれた空気の圧力、炭酸ガス濃度、温度および体積の時間経過の例を示すグラフである。
【図9】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のうち図7に示す動作の続きのフローチャートである。
【図10】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のうち図9に示す動作の続きのフローチャートである。
【図11】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のうち図10に示す動作の続きのフローチャートである。
【図12】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のうち図11に示す動作の続きのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
まず、本実施の形態に係る車載用呼気中アルコール測定装置としてのアルコールインターロックシステムの構成について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るアルコールインターロックシステム10の斜視図である。図2は、アルコールインターロックシステム10の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1および図2に示すように、アルコールインターロックシステム10は、車両100のダッシュボード101の正面のうちハンドル102の左側の部分に着脱可能に取り付けられたハンディーユニット20と、ダッシュボード101の上面のうちハンドル102の近傍の部分に設置されて各種の表示を行う表示ユニット40と、車両100のバックミラー103の上部に設置されて運転者を撮影するためのカメラユニット60と、ダッシュボード101の内部に設置されてハンディーユニット20、表示ユニット40およびカメラユニット60の制御を行うコントロールユニット80と、ハンディーユニット20およびコントロールユニット80を電気的に接続するケーブル11と、表示ユニット40およびコントロールユニット80を電気的に接続するケーブル12と、カメラユニット60およびコントロールユニット80を電気的に接続するケーブル13とを備えている。アルコールインターロックシステム10は、運転者が飲酒状態であるときに運転者による車両100の運転を許可しないシステムである。
【0018】
図2に示すように、コントロールユニット80は、スイッチ81aと、スイッチ81aの接続状態を切り替えるための電磁石81bとを備えたインターロック用リレー81を備えている。スイッチ81aは、端子81cおよび端子81dを備えている。
【0019】
車両100は、バッテリ111と、バッテリ111によって駆動されてエンジンを始動させるためのセルモータ112と、バッテリ111およびセルモータ112の電気的な接続状態を切り替えるスタータリレー113と、キーが回されることによってバッテリ111およびスタータリレー113の電気的な接続状態を切り替えるスタータキースイッチ114と、車両100の速度を表す車速パルス信号を発生させる車速パルス発生器115とを備えている。バッテリ111は、アースに電気的に接続されたマイナス端子111aと、プラス端子111bとを備えている。セルモータ112は、アースおよびバッテリ111のマイナス端子111aに電気的に接続された端子112aと、端子112bとを備えている。スタータリレー113は、スイッチ113aと、スイッチ113aの接続状態を切り替えるための電磁石113bとを備えている。スタータリレー113のスイッチ113aは、セルモータ112の端子112bに電気的に接続された端子113cと、バッテリ111のプラス端子111bに電気的に接続された端子113dとを備えている。スタータリレー113の電磁石113bは、アース、バッテリ111のマイナス端子111aおよびセルモータ112の端子112aに電気的に接続された端子113eと、インターロック用リレー81のスイッチ81aの端子81cに電気的に接続された端子113fとを備えている。スタータキースイッチ114は、バッテリ111のプラス端子111bおよびスタータリレー113の端子113dに電気的に接続された端子114aと、車両100のエンジンを切るためのOFF端子114bと、車両100のアクセサリ電源をオン状態とするためのACC端子114cと、イグニッション電源をオン状態とするためのON端子114dと、セルモータ112を始動させるためのSTART端子114eとを備えている。START端子114eは、コントロールユニット80のインターロック用リレー81の端子81dに電気的に接続されている。
【0020】
なお、バッテリ111の電力は、コントロールユニット80に供給され、コントロールユニット80からケーブル11、12、13を介してハンディーユニット20、表示ユニット40、カメラユニット60にも供給されている。以下の説明においては、電力の供給についての説明を省略する。
【0021】
図1に示すハンディーユニット20は、運転者が運転前に呼気中のアルコール濃度を測るための装置である。図1に示すように、ハンディーユニット20は、ケース21と、ケース21の上部に設けられた交換可能なマウスピース23と、ケース21の正面に設けられて運転者に押されるスイッチ25とを備えており、ケース21の下部にケーブル11が接続されている。マウスピース23は、運転者の呼気が注入されるためのものである。
【0022】
図3は、ハンディーユニット20の構成を示すブロック図である。
【0023】
図3に示すように、ハンディーユニット20は、ケーブル11(図1参照。)を介してコントロールユニット80に電気的に接続された外部インターフェース29と、運転者の呼気の温度を測定するための呼気温度センサ31と、呼気の圧力を測定するための呼気圧センサ32と、呼気中の炭酸ガスの濃度を測定するための呼気CO2センサ33と、呼気中のアルコール濃度を測定するためのアルコール測定部としてのアルコール燃料電池センサ34と、アルコール燃料電池センサ34から出力された信号を増幅するアンプ35と、アルコール燃料電池センサ34の内部に呼気を取り込むための吸引ポンプ36と、ハンディーユニット20の各構成を制御するCPU(Central Processing Unit)38とをケース21(図1参照。)の内部に備えている。
【0024】
図1に示す表示ユニット40は、運転者の呼気中のアルコール濃度を表示したり、操作手順を音声および表示によって示したりする装置である。図1に示すように、表示ユニット40は、ケース41と、ケース41の正面の左端に設けられてハンディーユニット20のアルコール燃料電池センサ34(図3参照。)がウォームアップ中であることを表示するためのWarmUPランプ43と、ケース41の正面のWarmUPランプ43の右隣に設けられて運転者に呼気の吹込みを促すためのBlowランプ44と、ケース41の正面のBlowランプ44の右隣に設けられてアルコール燃料電池センサ34によるアルコール濃度の測定中であることを表示するためのWaitランプ45と、ケース41の正面のWaitランプ45の右隣に設けられて運転者が飲酒状態であると判定されなかったことを表示するOKランプ46と、ケース41の正面のOKランプ46の右隣に設けられて運転者が飲酒状態であると判定されたことを表示するNGランプ47と、ケース41の正面のNGランプ47の右隣に設けられてアルコール濃度を表示する7セグメント表示の表示部48と、ケース41の上面に設けられて運転者の右手の指の指紋を読み取る指紋読取部50と、ケース41の上面の指紋読取部50の右隣に設けられたスピーカ52とを備えており、ケース41の背面にケーブル12が接続されている。
【0025】
図4は、図1に示す表示ユニット40の構成を示すブロック図である。
【0026】
図4に示すように、表示ユニット40は、ケーブル12(図1参照。)を介してコントロールユニット80に電気的に接続された外部インターフェース54と、数千人の指紋の画像をID(以下「登録者ID」という。)とともに登録可能であって登録された指紋の画像に基づいて指紋読取部50によって読み取られた指紋の認証を行う指紋認証モジュール55と、スピーカ52によって出力される音声を生成する音声LSI(Large Scale Integration)57と、表示ユニット40の各構成を制御するCPU58とをケース41(図1参照。)の内部に備えている。
【0027】
図1に示すように、カメラユニット60は、ケース61と、ケース61の正面の中央に設けられたレンズ63とを備えており、ケース61にケーブル13が接続されている。
【0028】
図5は、カメラユニット60の構成を示すブロック図である。
【0029】
図5に示すように、カメラユニット60は、ケーブル13(図1参照。)を介してコントロールユニット80に電気的に接続された外部インターフェース66と、レンズ63(図1参照。)を介して運転者を撮影するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ67と、場所を特定するためのGPS(Global Positioning System)電波を受信する内蔵アンテナ68と、内蔵アンテナ68によって受信したGPS電波を復号するためのGPS受信モジュール69と、CCDイメージセンサ67によって撮影された画像データがコントロールユニット80に転送されるまで画像データを一時的に記録するメモリ70と、カメラユニット60の各構成を制御するCPU71とをケース61(図1参照。)の内部に備えている。
【0030】
図1に示すように、コントロールユニット80は、ケース82と、ケース82の上面に立てられたアンテナ83とを備えており、ケース82の背面にケーブル11〜13が接続されている。
【0031】
図6は、コントロールユニット80の構成を示すブロック図である。
【0032】
図6に示すように、コントロールユニット80は、上述したインターロック用リレー81と、外部インターフェース85と、インターロック用リレー81の電磁石81bに電気的に接続されたアンプ86と、アンテナ83を介して外部と無線通信を行うための通信モジュール87と、時間を計測するための時計LSI88と、時計LSI88の電力源であるリチウム電池89と、車両100(図1参照。)の加速度を測定するための加速度センサ90と、飲酒状態の判定結果の履歴情報などの各種のデータを記録するLOGメモリ94と、コントロールユニット80の各構成を制御するCPU95とをケース82(図1参照。)の内部に備えている。インターロック用リレー81の端子81cは、図1に示していないケーブルを介してスタータリレー113(図2参照。)の端子113fに電気的に接続されている。インターロック用リレー81の端子81dは、図1に示していないケーブルを介してスタータキースイッチ114(図2参照。)のSTART端子114eに電気的に接続されている。外部インターフェース85は、それぞれケーブル11、12、13(図1参照。)を介してハンディーユニット20、表示ユニット40、カメラユニット60に電気的に接続されているとともに、図1に示していないケーブルを介してバッテリ111(図2参照。)のマイナス端子111aおよびプラス端子111bと、スタータキースイッチ114のACC端子114cと、車速パルス発生器115とに電気的に接続されている。
【0033】
次に、アルコールインターロックシステム10の動作について説明する。
【0034】
図7は、アルコールインターロックシステム10の動作のフローチャートである。
【0035】
運転者が車両100の運転席に座ってハンディーユニット20のスイッチ25を押すと、コントロールユニット80のCPU95は、スイッチ25が押されたことを検知して、図7に示す動作を開始する。
【0036】
図7に示すように、まず、CPU95は、車両100の車速パルス発生器115からの出力に基づいて車両100の速度が0より大きいか否かを判断する(ステップS202)。CPU95は、ステップS202において車両100の速度が0より大きいと判断すると、車両100を止めてから操作をやり直すように表示ユニット40のスピーカ52から音声で出力して(ステップS204)、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、車両100の速度が0より大きかったこととをLOGメモリ94に記録した後、一連の処理を終了する。
【0037】
CPU95は、ステップS202において車両100の速度が0であると判断すると、加速度センサ90からの出力に基づいて車両100の加速度が0より大きいか否かを判断する(ステップS206)。CPU95は、ステップS206において車両100の加速度が0より大きいと判断すると、車両100を止めてから操作をやり直すように表示ユニット40のスピーカ52から音声で出力して(ステップS204)、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、車両100の加速度が0より大きかったこととをLOGメモリ94に記録した後、一連の処理を終了する。
【0038】
なお、車両100が動いているか否かは、車両100の速度や加速度以外の情報に基づいても判断することができる。例えば、車両100が動いているときにはバッテリ111が発電および充電されて電圧が高くなることを利用して、バッテリ111の電圧が所定の電圧以上であるときに車両100が動いていると判断することもできる。また、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置の変化によっても、車両100が動いているか否かを判断することもできる。
【0039】
CPU95は、ステップS206において車両100の加速度が0であると判断すると、表示ユニット40の指紋認証モジュール55に指紋認証を行わせる。指紋認証モジュール55は、自身に事前に登録されている指紋の画像と、表示ユニット40の指紋読取部50から読み取った運転者の指紋の画像とに基づいて認証を行って、認証が成功した場合には、指紋読取部50から読み取った運転者の指紋の画像に対応する登録者IDをCPU95に送信し、認証が失敗した場合には、認証の失敗を示す登録者ID、例えばNo.9999をCPU95に送信する。CPU95は、指紋認証モジュール55から登録者IDが送信されると、指紋認証モジュール55から送信された登録者IDに基づいて、認証が成功したか否かを判断する(ステップS208)。なお、CPU95は、指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置とをLOGメモリ94に記録する。
【0040】
CPU95は、ステップS208において認証が失敗したと判断すると、認証が失敗したことをスピーカ52から音声で出力して(ステップS210)、一連の処理を終了する。
【0041】
CPU95は、ステップS208において認証が成功したと判断すると、ハンディーユニット20のアルコール燃料電池センサ34のウォームアップを開始して、表示ユニット40のWarmUPランプ43の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって、アルコール燃料電池センサ34をウォームアップ中であることを通知する(ステップS212)。ここで、アルコール燃料電池センサ34のウォームアップとは、周囲の気温が例えば−45℃のように低温であってもアルコール燃料電池センサ34の内部のヒータ回路によってアルコール燃料電池センサ34を加熱して、アルコール燃料電池センサ34の内部の温度を一定の33℃まで引き上げることにより均一な測定性能を維持する動作である。そして、CPU95は、ウォームアップが完了するまで待機する(ステップS214)。
【0042】
CPU95は、ステップS214においてウォームアップが完了したと判断すると、時計LSI88の出力値に基づいて時間の計測を開始して、表示ユニット40のBlowランプ44の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって、運転者による呼気の吹き込みを促す(ステップS216)。
【0043】
次いで、CPU95は、計測中の時間が所定の時間を経過したか否かを判断する(ステップS218)。CPU95は、ステップS218において計測中の時間が所定の時間を経過したと判断すると、計測中の時間が所定の時間を経過したことをスピーカ52から音声で出力し(ステップS220)、ステップS208において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、計測中の時間が所定の時間を経過したこととをLOGメモリ94に記録して、一連の処理を終了する。
【0044】
CPU95は、ステップS218において計測中の時間が所定の時間を経過していないと判断すると、呼気の圧力が所定の圧力の範囲内であるか否かを呼気圧センサ32の測定値に基づいて判断する(ステップS222)。呼気の圧力が判断対象となる理由は、ある程度の適正な圧力の呼気でなければアルコール濃度の正確な測定ができないからである。CPU95は、ステップS222において呼気の圧力が所定の圧力の範囲内ではないと判断すると、ステップS218に戻る。
【0045】
コントロールユニット80のCPU95は、ステップS222において呼気の圧力が所定の圧力の範囲内であると判断すると、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上であるか否かを呼気CO2センサ33の測定値に基づいて判断する(ステップS224)。呼気中の炭酸ガスの濃度が判断対象となる理由は、アルコールを含んでいない空気をマウスピース23に空気入れなどで吹込むことによって飲酒状態と判定されないようにする不正を防止するためである。人間の呼気には、空気と比較して、炭酸ガスが多く含まれている。CPU95は、ステップS224において呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上ではないと判断すると、ステップS208において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上ではないこととをLOGメモリ94に記録した後、ステップS218に戻る。
【0046】
CPU95は、ステップS224において呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上であると判断すると、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内であるか否かを呼気温度センサ31の測定値に基づいて判断する(ステップS226)。呼気の温度が判断対象となる理由は、アルコールを含んでいない空気をマウスピース23に空気入れなどで吹込むことによって飲酒状態と判定されないようにする不正を防止するためである。空気入れによって吹込まれた空気は、ハンディーユニット20の周囲の空気の温度に収束するのに対して、人間の呼気は、人間の体温に依存して安定しているためハンディーユニット20の周囲の空気の温度によらず常に34℃付近に収束する。CPU95は、ステップS226において呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内ではないと判断すると、ステップS208において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内ではないこととをLOGメモリ94に記録した後、ステップS218に戻る。
【0047】
CPU95は、ステップS226において呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内であると判断すると、運転者によってマウスピース23から吹込まれた空気の体積が所定の体積、例えば1.0L以上であるか否かを時計LSI88によって計測した時間と、呼気圧センサ32の測定値とに基づいて判断する(ステップS228)。吹込まれた空気の体積が判断対象となる理由は、吹込まれた空気の体積が少ないときにアルコール濃度を測定してしまうと口に入ったばかりの新鮮な空気のアルコール濃度を測定してしまうおそれがあり、呼気、すなわち肺に入っていた空気のアルコール濃度を測定するためにある程度の体積の空気が吹込まれる必要があるからである。CPU95は、吹込まれた空気の体積が所定の体積以上ではないとステップS228において判断すると、ステップS218に戻る。
【0048】
図8は、図1に示すハンディーユニット20のマウスピース23に吹込まれた空気の圧力、炭酸ガス濃度、温度および体積の時間経過の例を示すグラフである。図8において、縦軸は、ハンディーユニット20の呼気温度センサ31(図3参照。)、呼気圧センサ32(図3参照。)および呼気CO2センサ33(図3参照。)の出力電圧の大きさ、すなわち運転者の呼気の温度、呼気の圧力および呼気中の炭酸ガスの濃度の大きさを示している。また、横軸は、経過時間を示している。上述したステップS218からステップS228までの処理について、図8の例を使用して具体的に説明する。
【0049】
図8において、コントロールユニット80のCPU95は、計測中の時間txが時間311より前であるとき、計測中の時間txが所定の時間300aを経過しておらず(ステップS218)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が所定の圧力の範囲301a外であるので(ステップS222)、ステップS218からステップS222に進んだ後、再びステップS218に戻るという処理を繰り返す。
【0050】
次いで、CPU95は、計測中の時間txが時間311以降であって時間312より前になっているとき、計測中の時間txが所定の時間300aを経過しておらず(ステップS218)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が所定の圧力の範囲301a内であり(ステップS222)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度302が所定の濃度302a未満であるので(ステップS224)、ステップS218からステップS222を介してステップS224に進んだ後、再びステップS218に戻るという処理を繰り返す。
【0051】
次いで、CPU95は、計測中の時間txが時間312以降であって時間313より前になっているとき、計測中の時間txが所定の時間300aを経過しておらず(ステップS218)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が所定の圧力の範囲301a内であり(ステップS222)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度302が所定の濃度302a以上であり(ステップS224)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の温度303が34℃を中心とした所定の温度の範囲303a外であるので(ステップS226)、ステップS218からステップS222およびステップS224を介してステップS226に進んだ後、再びステップS218に戻るという処理を繰り返す。
【0052】
次いで、CPU95は、計測中の時間txが時間313以降であって時間314より前になっているとき、計測中の時間txが所定の時間300aを経過しておらず(ステップS218)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が所定の圧力の範囲301a内であり(ステップS222)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度302が所定の濃度302a以上であり(ステップS224)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の温度303が34℃を中心とした所定の温度の範囲303a内であり(ステップS226)、運転者によってマウスピース23から吹込まれた空気の体積304(図8においてハッチングで示した面積)が所定の体積未満であるので(ステップS228)、ステップS218からステップS222、ステップS224およびステップS226を介してステップS228に進んだ後、再びステップS218に戻るという処理を繰り返す。
【0053】
次いで、CPU95は、計測中の時間txが時間314になったとき、計測中の時間txが所定の時間300aを経過しておらず(ステップS218)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が所定の圧力の範囲301a内であり(ステップS222)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度302が所定の濃度302a以上であり(ステップS224)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の温度303が34℃を中心とした所定の温度の範囲303a内であり(ステップS226)、運転者によってマウスピース23から吹込まれた空気の体積304が所定の体積以上であるので(ステップS228)、ステップS218からステップS222、ステップS224およびステップS226を介してステップS228に進んだ後、ステップS228から次のステップに進む。
【0054】
図9は、アルコールインターロックシステム10の動作のうち図7に示す動作の続きのフローチャートである。
【0055】
図9に示すように、コントロールユニット80のCPU95は、吹込まれた空気の体積が所定の体積以上であるとステップS228(図7参照。)において判断すると、カメラユニット60にシャッタコマンドを転送することによってCCDイメージセンサ67に運転者を撮影させる(ステップS230)。したがって、ハンディーユニット20のマウスピース23から呼気を吹込んでいる最中の運転者の画像がカメラユニット60のメモリ70に記録される。
【0056】
次いで、CPU95は、ハンディーユニット20の吸引ポンプ36を駆動させてアルコール燃料電池センサ34の内部に呼気を導入することによって、アルコール燃料電池センサ34によるアルコール濃度の測定を開始し(ステップS232)、表示ユニット40のWaitランプ45の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって、アルコール燃料電池センサ34によるアルコール濃度の測定中であることを通知する(ステップS234)。
【0057】
そして、CPU95は、ステップS232において開始した測定が終了すると、ステップS208において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、測定されたアルコール濃度と、ステップS230において撮影されてカメラユニット60のメモリ70に記録されている画像とをLOGメモリ94に記録し(ステップS236)、測定されたアルコール濃度を表示ユニット40の表示部48の表示によって通知する(ステップS238)。次いで、CPU95は、測定されたアルコール濃度が所定の基準値以下であるか否かを判断する(ステップS240)。
【0058】
CPU95は、ステップS240においてアルコール濃度が所定の基準値を超えていると判断すると、飲酒状態であると判定したためにエンジンを始動できないことを、表示ユニット40のNGランプ47の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって通知して(ステップS242)、一連の処理を終了する。
【0059】
CPU95は、ステップS240においてアルコール濃度が所定の基準値以下であると判断すると、アンプ86を介してインターロック用リレー81の電磁石81bに電力を供給してスイッチ81aを閉じ(ステップS244)、飲酒状態であると判定しなかったためにエンジンを始動できることを、表示ユニット40のOKランプ46の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって通知する(ステップS246)。なお、CPU95は、ステップS244においてスイッチ81aを閉じた後、5分間が経過すると、スイッチ81aを開く。したがって、運転者は、5分以内にスタータキースイッチ114のキーを回して端子114aと、START端子114eとを電気的に接続させることによって、車両100のエンジンを始動することができる。すなわち、スタータキースイッチ114の端子114aと、START端子114eとが電気的に接続させられると、コントロールユニット80のインターロック用リレー81のスイッチ81aと、スタータキースイッチ114とを介してスタータリレー113の電磁石113bにバッテリ111の電力が供給されてスイッチ113aが閉じ、それによってスタータリレー113のスイッチ113aを介してセルモータ112にバッテリ111の電力が供給されて、車両100のエンジンが始動させられる。
【0060】
このように、CPU95は、アルコール燃料電池センサ34によって測定されたアルコール濃度に基づいて運転者が飲酒状態であるか否かを判定する(ステップS240)ようになっており、飲酒判定部を構成している。また、CPU95は、運転者が飲酒状態であることを判定したときに車両100のエンジンの始動を禁止する(ステップS242)ようになっており、エンジン始動禁止部を構成している。
【0061】
図10は、アルコールインターロックシステム10の動作のうち図9に示す動作の続きのフローチャートである。
【0062】
CPU95は、ステップS246の処理の後、車両100からエンジンの始動を示す信号を受信すると、図10に示すように、ランダムな時間を決定して(ステップS248)、決定した時間をLOGメモリ94にセットする(ステップS250)。なお、ステップS248において決定される時間は、例えば60分から180分までのランダムな時間である。
【0063】
次いで、CPU95は、車両100が停止中であるか否かを判断する(ステップS252)。車両100は、アイドリング中や信号待ちなどのときに、エンジンを停止することなく停車していることがある。ここで、車両100が停止中であるか否かは、どのような方法によって判断されても良い。例えば、CPU95は、ステップS202のように車両100の車速パルス発生器115からの出力に基づいて車両100の速度が0より大きいか否かによって車両100が停止中であるか否かを判断しても良い。また、CPU95は、加速度センサ90からの出力に基づいて車両100が停止中であるか否かを判断しても良い。また、車両100が動いているときにはバッテリ111が発電および充電されて電圧が高くなることを利用して、CPU95は、バッテリ111の電圧が所定の電圧以上であるときに車両100が動いていると判断することもできる。また、CPU95は、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置の変化によっても、車両100が動いているか否かを判断することもできる。このように、CPU95は、車両100が停止しているか否かを判断する(ステップS255)ようになっており、停車判断部を構成している。
【0064】
CPU95は、ステップS252において車両100が停止中ではないと判断すると、ステップS250においてLOGメモリ94にセットした時間(以下「セット時間」という。)を減算して(ステップS254)、セット時間が30分であるか否かを判断する(ステップS256)。一方、CPU95は、ステップS252において車両100が停止中であると判断すると、セット時間を減算せずに、セット時間が30分であるか否かを判断する(ステップS256)。なお、セット時間は、0まで減算されると、それ以降は0に維持される。
【0065】
CPU95は、ステップS256においてセット時間が30分であると判断すると、「車両100のエンジンを停止してアルコール濃度の測定を再び行う」ことを運転者に催促する通知(以下「再測定催促通知」という。)を、表示ユニット40の表示部48の表示と、スピーカ52からの音声による出力とによって行い(ステップS258)、ハンディーユニット20のスイッチ25が押されたか否かを判断する(ステップS260)。運転者は、再測定催促通知を受けた場合、アルコール濃度の測定を再び行うために、車両100を路肩などに停止させることができる。
【0066】
一方、CPU95は、ステップS256においてセット時間が30分ではないと判断すると、セット時間が20分であるか否かを判断する(ステップS262)。CPU95は、ステップS262においてセット時間が20分であると判断すると、再測定催促通知を行い(ステップS258)、スイッチ25が押されたか否かを判断する(ステップS260)。
【0067】
一方、CPU95は、ステップS262においてセット時間が20分ではないと判断すると、セット時間が10分であるか否かを判断する(ステップS264)。CPU95は、ステップS264においてセット時間が10分であると判断すると、再測定催促通知を行い(ステップS258)、スイッチ25が押されたか否かを判断する(ステップS260)。
【0068】
一方、CPU95は、ステップS264においてセット時間が10分ではないと判断すると、セット時間が0分であるか否かを判断する(ステップS266)。CPU95は、ステップS266においてセット時間が0分であると判断すると、再測定催促通知を行い(ステップS258)、スイッチ25が押されたか否かを判断する(ステップS260)。
【0069】
以上に説明したように、表示部48およびスピーカ52は、ステップS258において再測定催促通知を行うようになっており、測定催促部を構成している。また、CPU95は、再測定催促通知を行う所定の時期、すなわち測定催促時期に達したか否かをセット時間によって判断し、セット時間が30分、20分、10分および0分である測定催促時期に達したときに表示部48およびスピーカ52に再測定催促通知を行わせるようになっており(ステップS256、S258、S262、S264、S266)、通知制御部を構成している。また、CPU95は、測定催促時期までの時間を管理し、車両100が停止していると判断したときにセット時間の減算を停止するようになっており(ステップS252、S254)、時間管理部を構成している。また、CPU95は、セット時間の初期値をランダムに決定する(ステップS248)ことによって、セット時間が30分、20分、10分および0分である測定催促時期をランダムに決定しており、時期決定部を構成している。
【0070】
CPU95は、ステップS266においてセット時間が0分ではないと判断すると、再測定催促通知を行わずに、スイッチ25が押されたか否かを判断する(ステップS260)。
【0071】
CPU95は、ステップS260においてスイッチ25が押されていないと判断すると、ステップS252に戻る。
【0072】
したがって、ステップS250においてLOGメモリ94に時間をセットしたCPU95は、スイッチ25が押されない場合、車両100が停止中ではないときにのみセット時間を減算し、セット時間が30分、20分および10分になったときに1回ずつ再測定催促通知を行い、セット時間が0分になったとき以降はセット時間が常に0分になるので、再測定催促通知を行い続ける。
【0073】
図11は、アルコールインターロックシステム10の動作のうち図10に示す動作の続きのフローチャートである。
【0074】
CPU95は、ステップS260(図10参照。)においてスイッチ25が押されていると判断すると、図7に示すステップS202〜ステップS228の処理と同様に、図11に示すステップS402〜ステップS428の処理を行う。ただし、CPU95は、図7に示すステップS204、ステップS210およびステップS220の処理の後に一連の処理を終了するが、図11に示すステップS404、ステップS410およびステップS420の処理の後はステップS252に戻る。
【0075】
図12は、アルコールインターロックシステム10の動作のうち図11に示す動作の続きのフローチャートである。
【0076】
CPU95は、吹込まれた空気の体積が所定の体積以上であるとステップS428(図11参照。)において判断すると、図9に示すステップS230〜ステップS240の処理と同様に、図12に示すステップS430〜ステップS440の処理を行う。
【0077】
図12に示すように、CPU95は、ステップS440においてアルコール濃度が所定の基準値を超えていると判断すると、飲酒状態であると判定したことを、表示ユニット40のNGランプ47の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって通知し続ける(ステップS442)。
【0078】
CPU95は、ステップS440においてアルコール濃度が所定の基準値以下であると判断すると、飲酒状態であると判定しなかったことを、表示ユニット40のOKランプ46の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって通知して(ステップS446)、ステップS248(図10参照。)に戻る。
【0079】
なお、CPU95は、図10に示すステップS248から図12に示すステップS446までの何れの処理においても、車両100からエンジンの停止を示す信号を受信した場合には、一連の処理を終了する。
【0080】
したがって、図9に示すステップS246の処理の後に車両100からエンジンの始動を示す信号を受信したCPU95は、車両100からエンジンの停止を示す信号を受信しないとき、飲酒状態であると判定しない限り、例えば60分から180分までのランダムな時間の間隔で運転者にアルコール濃度の測定を繰り返し行わせる。
【0081】
なお、LOGメモリ94に記録された各種情報は、後で様々な目的で使用されることができる。例えば、LOGメモリ94に記録された飲酒状態の判定結果は、飲酒運転の常習者の場合には定期的に所轄の警察署で監視に使用されたり、業務用の場合には定期的に管理本部で監視に使用されたりすることができる。
【0082】
また、LOGメモリ94に記録される各種情報は、コントロールユニット80のアンテナ83および通信モジュール87によって外部に送信されるようになっていても良い。例えば、飲酒状態の判定結果は、飲酒運転の常習者の場合にはリアルタイムで所轄の警察署のメールサーバに送信されたり、業務用の場合にはリアルタイムで管理本部のメールサーバに送信されたりすることができる。もちろん、LOGメモリ94に記録された各種情報は、コントロールユニット80のアンテナ83および通信モジュール87を介して外部から読み出されるようになっていても良い。
【0083】
また、アルコールインターロックシステム10は、登録者IDを指紋認証によって入力するようになっているが、他の方法によって入力するようになっていても良い。例えば、登録者IDは、磁気カードやIC(Integrated Circuit)カードによって入力されるようになっていても良い。
【0084】
以上に説明したように、アルコールインターロックシステム10は、測定催促時期に達したときにアルコール濃度の測定を催促するので、運転者に複数回のアルコール濃度の測定を行わせることになる。したがって、アルコールインターロックシステム10は、飲酒運転の発生を従来より抑えることができる。
【0085】
また、アルコールインターロックシステム10は、車両100が停止しているときに測定催促時期までの時間の減算を停止することができるので、車両100が停止しているときにアルコール濃度の測定の催促を開始することを防止することができる。例えば、長距離を運転する運転者などは、夏の夜に車両100をサービスエリアなどに停めながら車両100の冷房を機能させて車両100の内部で睡眠をとったり、冬の夜に車両100をサービスエリアなどに停めながら車両100の暖房を機能させて車両100の内部で睡眠をとったりすることがあるが、このようにエンジンを停止させずに車両100が停止している状態ではアルコール濃度の測定の催促が開始されないので、アルコール濃度の測定の催促によって睡眠が妨害されず、十分に安眠することができる。
【0086】
また、アルコールインターロックシステム10は、運転者が飲酒状態であるときに車両100のエンジンの始動を禁止するので、飲酒運転の発生をより強力に抑えることができる。
【0087】
また、アルコールインターロックシステム10は、アルコール濃度の測定の催促をランダムな時期に抜き打ちに行うので、測定催促時期が運転者に予想されることを防止することができる。したがって、アルコールインターロックシステム10は、運転者に常に飲酒を止めさせることができ、飲酒運転の発生をより強力に抑えることができる。
【0088】
なお、アルコールインターロックシステム10は、本実施の形態において、図11および図12に示す処理が行われている期間にセット時間を減算する(図10に示すステップS254)ことがないようになっているが、図11および図12に示す処理が行われている期間にもセット時間を減算するようになっていても良い。例えば、アルコールインターロックシステム10は、車両100が停止中ではない限り、セット時間を常に1秒ずつ減算するようになっていても良い。
【符号の説明】
【0089】
10 アルコールインターロックシステム(車載用呼気中アルコール測定装置)
34 アルコール燃料電池センサ(アルコール測定部)
48 表示部(測定催促部)
52 スピーカ(測定催促部)
95 CPU(時間管理部、通知制御部、停車判断部、エンジン始動禁止部、飲酒判定部、時期決定部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する車載用呼気中アルコール測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されて運転者の呼気中のアルコール濃度を測定する車載用呼気中アルコール測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−118177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、運転者の中には、車両の運転前に行われるアルコール濃度の測定において飲酒状態とは判定されないが、その後、車両の内部で飲酒を行うことによって飲酒運転を行う者がいる。
【0005】
そこで、本発明は、飲酒運転の発生を従来より抑えることができる車載用呼気中アルコール測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、車両の運転者の呼気中のアルコール濃度の測定を行うアルコール測定部と、前記測定を再び行うことを前記運転者に催促する通知を行う測定催促部と、所定の時期までの時間を管理する時間管理部と、前記時期に達したときに前記測定催促部に前記通知を行わせる通知制御部と、前記車両が停止しているか否かを判断する停車判断部とを備えており、前記通知制御部は、前記時期に達したか否かを前記時間によって判断し、前記時間管理部は、前記車両が停止していることが前記停車判断部によって判断されたときに前記時間の減算を停止することを特徴とする。
【0007】
この構成により、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、アルコール濃度の測定を再び行うことを運転者に催促する時期(以下「測定催促時期」という。)に達したときにアルコール濃度の測定を催促するので、運転者に複数回のアルコール濃度の測定を行わせることになる。したがって、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、飲酒運転の発生を従来より抑えることができる。また、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、車両が停止しているときに測定催促時期までの時間の減算を停止することができるので、車両が停止しているときにアルコール濃度の測定の催促を開始することを防止することができる。
【0008】
本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、前記車両のエンジンの始動を禁止するエンジン始動禁止部と、前記アルコール測定部によって測定された前記アルコール濃度に基づいて前記運転者が飲酒状態であるか否かを判定する飲酒判定部とを備えており、前記エンジン始動禁止部は、前記運転者が飲酒状態であることが前記飲酒判定部によって判定されたときに前記始動を禁止することが好ましい。
【0009】
この構成により、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、運転者が飲酒状態であるときに車両のエンジンの始動を禁止するので、飲酒運転の発生をより強力に抑えることができる。
【0010】
本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、前記時期をランダムに決定する時期決定部を備えていることが好ましい。
【0011】
この構成により、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、アルコール濃度の測定の催促をランダムな時期に抜き打ちに行うので、測定催促時期が運転者に予想されることを防止することができる。したがって、本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、運転者に常に飲酒を止めさせることができ、飲酒運転の発生をより強力に抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車載用呼気中アルコール測定装置は、飲酒運転の発生を従来より抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係るアルコールインターロックシステムの斜視図である。
【図2】図1に示すアルコールインターロックシステムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示すハンディーユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す表示ユニットの構成を示すブロック図である。
【図5】図1に示すカメラユニットの構成を示すブロック図である。
【図6】図1に示すコントロールユニットの構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のフローチャートである。
【図8】図1に示すハンディーユニットのマウスピースに吹込まれた空気の圧力、炭酸ガス濃度、温度および体積の時間経過の例を示すグラフである。
【図9】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のうち図7に示す動作の続きのフローチャートである。
【図10】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のうち図9に示す動作の続きのフローチャートである。
【図11】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のうち図10に示す動作の続きのフローチャートである。
【図12】図1に示すアルコールインターロックシステムの動作のうち図11に示す動作の続きのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
まず、本実施の形態に係る車載用呼気中アルコール測定装置としてのアルコールインターロックシステムの構成について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係るアルコールインターロックシステム10の斜視図である。図2は、アルコールインターロックシステム10の構成を示すブロック図である。
【0017】
図1および図2に示すように、アルコールインターロックシステム10は、車両100のダッシュボード101の正面のうちハンドル102の左側の部分に着脱可能に取り付けられたハンディーユニット20と、ダッシュボード101の上面のうちハンドル102の近傍の部分に設置されて各種の表示を行う表示ユニット40と、車両100のバックミラー103の上部に設置されて運転者を撮影するためのカメラユニット60と、ダッシュボード101の内部に設置されてハンディーユニット20、表示ユニット40およびカメラユニット60の制御を行うコントロールユニット80と、ハンディーユニット20およびコントロールユニット80を電気的に接続するケーブル11と、表示ユニット40およびコントロールユニット80を電気的に接続するケーブル12と、カメラユニット60およびコントロールユニット80を電気的に接続するケーブル13とを備えている。アルコールインターロックシステム10は、運転者が飲酒状態であるときに運転者による車両100の運転を許可しないシステムである。
【0018】
図2に示すように、コントロールユニット80は、スイッチ81aと、スイッチ81aの接続状態を切り替えるための電磁石81bとを備えたインターロック用リレー81を備えている。スイッチ81aは、端子81cおよび端子81dを備えている。
【0019】
車両100は、バッテリ111と、バッテリ111によって駆動されてエンジンを始動させるためのセルモータ112と、バッテリ111およびセルモータ112の電気的な接続状態を切り替えるスタータリレー113と、キーが回されることによってバッテリ111およびスタータリレー113の電気的な接続状態を切り替えるスタータキースイッチ114と、車両100の速度を表す車速パルス信号を発生させる車速パルス発生器115とを備えている。バッテリ111は、アースに電気的に接続されたマイナス端子111aと、プラス端子111bとを備えている。セルモータ112は、アースおよびバッテリ111のマイナス端子111aに電気的に接続された端子112aと、端子112bとを備えている。スタータリレー113は、スイッチ113aと、スイッチ113aの接続状態を切り替えるための電磁石113bとを備えている。スタータリレー113のスイッチ113aは、セルモータ112の端子112bに電気的に接続された端子113cと、バッテリ111のプラス端子111bに電気的に接続された端子113dとを備えている。スタータリレー113の電磁石113bは、アース、バッテリ111のマイナス端子111aおよびセルモータ112の端子112aに電気的に接続された端子113eと、インターロック用リレー81のスイッチ81aの端子81cに電気的に接続された端子113fとを備えている。スタータキースイッチ114は、バッテリ111のプラス端子111bおよびスタータリレー113の端子113dに電気的に接続された端子114aと、車両100のエンジンを切るためのOFF端子114bと、車両100のアクセサリ電源をオン状態とするためのACC端子114cと、イグニッション電源をオン状態とするためのON端子114dと、セルモータ112を始動させるためのSTART端子114eとを備えている。START端子114eは、コントロールユニット80のインターロック用リレー81の端子81dに電気的に接続されている。
【0020】
なお、バッテリ111の電力は、コントロールユニット80に供給され、コントロールユニット80からケーブル11、12、13を介してハンディーユニット20、表示ユニット40、カメラユニット60にも供給されている。以下の説明においては、電力の供給についての説明を省略する。
【0021】
図1に示すハンディーユニット20は、運転者が運転前に呼気中のアルコール濃度を測るための装置である。図1に示すように、ハンディーユニット20は、ケース21と、ケース21の上部に設けられた交換可能なマウスピース23と、ケース21の正面に設けられて運転者に押されるスイッチ25とを備えており、ケース21の下部にケーブル11が接続されている。マウスピース23は、運転者の呼気が注入されるためのものである。
【0022】
図3は、ハンディーユニット20の構成を示すブロック図である。
【0023】
図3に示すように、ハンディーユニット20は、ケーブル11(図1参照。)を介してコントロールユニット80に電気的に接続された外部インターフェース29と、運転者の呼気の温度を測定するための呼気温度センサ31と、呼気の圧力を測定するための呼気圧センサ32と、呼気中の炭酸ガスの濃度を測定するための呼気CO2センサ33と、呼気中のアルコール濃度を測定するためのアルコール測定部としてのアルコール燃料電池センサ34と、アルコール燃料電池センサ34から出力された信号を増幅するアンプ35と、アルコール燃料電池センサ34の内部に呼気を取り込むための吸引ポンプ36と、ハンディーユニット20の各構成を制御するCPU(Central Processing Unit)38とをケース21(図1参照。)の内部に備えている。
【0024】
図1に示す表示ユニット40は、運転者の呼気中のアルコール濃度を表示したり、操作手順を音声および表示によって示したりする装置である。図1に示すように、表示ユニット40は、ケース41と、ケース41の正面の左端に設けられてハンディーユニット20のアルコール燃料電池センサ34(図3参照。)がウォームアップ中であることを表示するためのWarmUPランプ43と、ケース41の正面のWarmUPランプ43の右隣に設けられて運転者に呼気の吹込みを促すためのBlowランプ44と、ケース41の正面のBlowランプ44の右隣に設けられてアルコール燃料電池センサ34によるアルコール濃度の測定中であることを表示するためのWaitランプ45と、ケース41の正面のWaitランプ45の右隣に設けられて運転者が飲酒状態であると判定されなかったことを表示するOKランプ46と、ケース41の正面のOKランプ46の右隣に設けられて運転者が飲酒状態であると判定されたことを表示するNGランプ47と、ケース41の正面のNGランプ47の右隣に設けられてアルコール濃度を表示する7セグメント表示の表示部48と、ケース41の上面に設けられて運転者の右手の指の指紋を読み取る指紋読取部50と、ケース41の上面の指紋読取部50の右隣に設けられたスピーカ52とを備えており、ケース41の背面にケーブル12が接続されている。
【0025】
図4は、図1に示す表示ユニット40の構成を示すブロック図である。
【0026】
図4に示すように、表示ユニット40は、ケーブル12(図1参照。)を介してコントロールユニット80に電気的に接続された外部インターフェース54と、数千人の指紋の画像をID(以下「登録者ID」という。)とともに登録可能であって登録された指紋の画像に基づいて指紋読取部50によって読み取られた指紋の認証を行う指紋認証モジュール55と、スピーカ52によって出力される音声を生成する音声LSI(Large Scale Integration)57と、表示ユニット40の各構成を制御するCPU58とをケース41(図1参照。)の内部に備えている。
【0027】
図1に示すように、カメラユニット60は、ケース61と、ケース61の正面の中央に設けられたレンズ63とを備えており、ケース61にケーブル13が接続されている。
【0028】
図5は、カメラユニット60の構成を示すブロック図である。
【0029】
図5に示すように、カメラユニット60は、ケーブル13(図1参照。)を介してコントロールユニット80に電気的に接続された外部インターフェース66と、レンズ63(図1参照。)を介して運転者を撮影するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ67と、場所を特定するためのGPS(Global Positioning System)電波を受信する内蔵アンテナ68と、内蔵アンテナ68によって受信したGPS電波を復号するためのGPS受信モジュール69と、CCDイメージセンサ67によって撮影された画像データがコントロールユニット80に転送されるまで画像データを一時的に記録するメモリ70と、カメラユニット60の各構成を制御するCPU71とをケース61(図1参照。)の内部に備えている。
【0030】
図1に示すように、コントロールユニット80は、ケース82と、ケース82の上面に立てられたアンテナ83とを備えており、ケース82の背面にケーブル11〜13が接続されている。
【0031】
図6は、コントロールユニット80の構成を示すブロック図である。
【0032】
図6に示すように、コントロールユニット80は、上述したインターロック用リレー81と、外部インターフェース85と、インターロック用リレー81の電磁石81bに電気的に接続されたアンプ86と、アンテナ83を介して外部と無線通信を行うための通信モジュール87と、時間を計測するための時計LSI88と、時計LSI88の電力源であるリチウム電池89と、車両100(図1参照。)の加速度を測定するための加速度センサ90と、飲酒状態の判定結果の履歴情報などの各種のデータを記録するLOGメモリ94と、コントロールユニット80の各構成を制御するCPU95とをケース82(図1参照。)の内部に備えている。インターロック用リレー81の端子81cは、図1に示していないケーブルを介してスタータリレー113(図2参照。)の端子113fに電気的に接続されている。インターロック用リレー81の端子81dは、図1に示していないケーブルを介してスタータキースイッチ114(図2参照。)のSTART端子114eに電気的に接続されている。外部インターフェース85は、それぞれケーブル11、12、13(図1参照。)を介してハンディーユニット20、表示ユニット40、カメラユニット60に電気的に接続されているとともに、図1に示していないケーブルを介してバッテリ111(図2参照。)のマイナス端子111aおよびプラス端子111bと、スタータキースイッチ114のACC端子114cと、車速パルス発生器115とに電気的に接続されている。
【0033】
次に、アルコールインターロックシステム10の動作について説明する。
【0034】
図7は、アルコールインターロックシステム10の動作のフローチャートである。
【0035】
運転者が車両100の運転席に座ってハンディーユニット20のスイッチ25を押すと、コントロールユニット80のCPU95は、スイッチ25が押されたことを検知して、図7に示す動作を開始する。
【0036】
図7に示すように、まず、CPU95は、車両100の車速パルス発生器115からの出力に基づいて車両100の速度が0より大きいか否かを判断する(ステップS202)。CPU95は、ステップS202において車両100の速度が0より大きいと判断すると、車両100を止めてから操作をやり直すように表示ユニット40のスピーカ52から音声で出力して(ステップS204)、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、車両100の速度が0より大きかったこととをLOGメモリ94に記録した後、一連の処理を終了する。
【0037】
CPU95は、ステップS202において車両100の速度が0であると判断すると、加速度センサ90からの出力に基づいて車両100の加速度が0より大きいか否かを判断する(ステップS206)。CPU95は、ステップS206において車両100の加速度が0より大きいと判断すると、車両100を止めてから操作をやり直すように表示ユニット40のスピーカ52から音声で出力して(ステップS204)、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、車両100の加速度が0より大きかったこととをLOGメモリ94に記録した後、一連の処理を終了する。
【0038】
なお、車両100が動いているか否かは、車両100の速度や加速度以外の情報に基づいても判断することができる。例えば、車両100が動いているときにはバッテリ111が発電および充電されて電圧が高くなることを利用して、バッテリ111の電圧が所定の電圧以上であるときに車両100が動いていると判断することもできる。また、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置の変化によっても、車両100が動いているか否かを判断することもできる。
【0039】
CPU95は、ステップS206において車両100の加速度が0であると判断すると、表示ユニット40の指紋認証モジュール55に指紋認証を行わせる。指紋認証モジュール55は、自身に事前に登録されている指紋の画像と、表示ユニット40の指紋読取部50から読み取った運転者の指紋の画像とに基づいて認証を行って、認証が成功した場合には、指紋読取部50から読み取った運転者の指紋の画像に対応する登録者IDをCPU95に送信し、認証が失敗した場合には、認証の失敗を示す登録者ID、例えばNo.9999をCPU95に送信する。CPU95は、指紋認証モジュール55から登録者IDが送信されると、指紋認証モジュール55から送信された登録者IDに基づいて、認証が成功したか否かを判断する(ステップS208)。なお、CPU95は、指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置とをLOGメモリ94に記録する。
【0040】
CPU95は、ステップS208において認証が失敗したと判断すると、認証が失敗したことをスピーカ52から音声で出力して(ステップS210)、一連の処理を終了する。
【0041】
CPU95は、ステップS208において認証が成功したと判断すると、ハンディーユニット20のアルコール燃料電池センサ34のウォームアップを開始して、表示ユニット40のWarmUPランプ43の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって、アルコール燃料電池センサ34をウォームアップ中であることを通知する(ステップS212)。ここで、アルコール燃料電池センサ34のウォームアップとは、周囲の気温が例えば−45℃のように低温であってもアルコール燃料電池センサ34の内部のヒータ回路によってアルコール燃料電池センサ34を加熱して、アルコール燃料電池センサ34の内部の温度を一定の33℃まで引き上げることにより均一な測定性能を維持する動作である。そして、CPU95は、ウォームアップが完了するまで待機する(ステップS214)。
【0042】
CPU95は、ステップS214においてウォームアップが完了したと判断すると、時計LSI88の出力値に基づいて時間の計測を開始して、表示ユニット40のBlowランプ44の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって、運転者による呼気の吹き込みを促す(ステップS216)。
【0043】
次いで、CPU95は、計測中の時間が所定の時間を経過したか否かを判断する(ステップS218)。CPU95は、ステップS218において計測中の時間が所定の時間を経過したと判断すると、計測中の時間が所定の時間を経過したことをスピーカ52から音声で出力し(ステップS220)、ステップS208において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、計測中の時間が所定の時間を経過したこととをLOGメモリ94に記録して、一連の処理を終了する。
【0044】
CPU95は、ステップS218において計測中の時間が所定の時間を経過していないと判断すると、呼気の圧力が所定の圧力の範囲内であるか否かを呼気圧センサ32の測定値に基づいて判断する(ステップS222)。呼気の圧力が判断対象となる理由は、ある程度の適正な圧力の呼気でなければアルコール濃度の正確な測定ができないからである。CPU95は、ステップS222において呼気の圧力が所定の圧力の範囲内ではないと判断すると、ステップS218に戻る。
【0045】
コントロールユニット80のCPU95は、ステップS222において呼気の圧力が所定の圧力の範囲内であると判断すると、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上であるか否かを呼気CO2センサ33の測定値に基づいて判断する(ステップS224)。呼気中の炭酸ガスの濃度が判断対象となる理由は、アルコールを含んでいない空気をマウスピース23に空気入れなどで吹込むことによって飲酒状態と判定されないようにする不正を防止するためである。人間の呼気には、空気と比較して、炭酸ガスが多く含まれている。CPU95は、ステップS224において呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上ではないと判断すると、ステップS208において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上ではないこととをLOGメモリ94に記録した後、ステップS218に戻る。
【0046】
CPU95は、ステップS224において呼気中の炭酸ガスの濃度が所定の濃度以上であると判断すると、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内であるか否かを呼気温度センサ31の測定値に基づいて判断する(ステップS226)。呼気の温度が判断対象となる理由は、アルコールを含んでいない空気をマウスピース23に空気入れなどで吹込むことによって飲酒状態と判定されないようにする不正を防止するためである。空気入れによって吹込まれた空気は、ハンディーユニット20の周囲の空気の温度に収束するのに対して、人間の呼気は、人間の体温に依存して安定しているためハンディーユニット20の周囲の空気の温度によらず常に34℃付近に収束する。CPU95は、ステップS226において呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内ではないと判断すると、ステップS208において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内ではないこととをLOGメモリ94に記録した後、ステップS218に戻る。
【0047】
CPU95は、ステップS226において呼気の温度が34℃を中心とした所定の温度の範囲内であると判断すると、運転者によってマウスピース23から吹込まれた空気の体積が所定の体積、例えば1.0L以上であるか否かを時計LSI88によって計測した時間と、呼気圧センサ32の測定値とに基づいて判断する(ステップS228)。吹込まれた空気の体積が判断対象となる理由は、吹込まれた空気の体積が少ないときにアルコール濃度を測定してしまうと口に入ったばかりの新鮮な空気のアルコール濃度を測定してしまうおそれがあり、呼気、すなわち肺に入っていた空気のアルコール濃度を測定するためにある程度の体積の空気が吹込まれる必要があるからである。CPU95は、吹込まれた空気の体積が所定の体積以上ではないとステップS228において判断すると、ステップS218に戻る。
【0048】
図8は、図1に示すハンディーユニット20のマウスピース23に吹込まれた空気の圧力、炭酸ガス濃度、温度および体積の時間経過の例を示すグラフである。図8において、縦軸は、ハンディーユニット20の呼気温度センサ31(図3参照。)、呼気圧センサ32(図3参照。)および呼気CO2センサ33(図3参照。)の出力電圧の大きさ、すなわち運転者の呼気の温度、呼気の圧力および呼気中の炭酸ガスの濃度の大きさを示している。また、横軸は、経過時間を示している。上述したステップS218からステップS228までの処理について、図8の例を使用して具体的に説明する。
【0049】
図8において、コントロールユニット80のCPU95は、計測中の時間txが時間311より前であるとき、計測中の時間txが所定の時間300aを経過しておらず(ステップS218)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が所定の圧力の範囲301a外であるので(ステップS222)、ステップS218からステップS222に進んだ後、再びステップS218に戻るという処理を繰り返す。
【0050】
次いで、CPU95は、計測中の時間txが時間311以降であって時間312より前になっているとき、計測中の時間txが所定の時間300aを経過しておらず(ステップS218)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が所定の圧力の範囲301a内であり(ステップS222)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度302が所定の濃度302a未満であるので(ステップS224)、ステップS218からステップS222を介してステップS224に進んだ後、再びステップS218に戻るという処理を繰り返す。
【0051】
次いで、CPU95は、計測中の時間txが時間312以降であって時間313より前になっているとき、計測中の時間txが所定の時間300aを経過しておらず(ステップS218)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が所定の圧力の範囲301a内であり(ステップS222)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度302が所定の濃度302a以上であり(ステップS224)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の温度303が34℃を中心とした所定の温度の範囲303a外であるので(ステップS226)、ステップS218からステップS222およびステップS224を介してステップS226に進んだ後、再びステップS218に戻るという処理を繰り返す。
【0052】
次いで、CPU95は、計測中の時間txが時間313以降であって時間314より前になっているとき、計測中の時間txが所定の時間300aを経過しておらず(ステップS218)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が所定の圧力の範囲301a内であり(ステップS222)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度302が所定の濃度302a以上であり(ステップS224)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の温度303が34℃を中心とした所定の温度の範囲303a内であり(ステップS226)、運転者によってマウスピース23から吹込まれた空気の体積304(図8においてハッチングで示した面積)が所定の体積未満であるので(ステップS228)、ステップS218からステップS222、ステップS224およびステップS226を介してステップS228に進んだ後、再びステップS218に戻るという処理を繰り返す。
【0053】
次いで、CPU95は、計測中の時間txが時間314になったとき、計測中の時間txが所定の時間300aを経過しておらず(ステップS218)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の圧力301が所定の圧力の範囲301a内であり(ステップS222)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気中の炭酸ガスの濃度302が所定の濃度302a以上であり(ステップS224)、運転者によってマウスピース23から吹込まれる呼気の温度303が34℃を中心とした所定の温度の範囲303a内であり(ステップS226)、運転者によってマウスピース23から吹込まれた空気の体積304が所定の体積以上であるので(ステップS228)、ステップS218からステップS222、ステップS224およびステップS226を介してステップS228に進んだ後、ステップS228から次のステップに進む。
【0054】
図9は、アルコールインターロックシステム10の動作のうち図7に示す動作の続きのフローチャートである。
【0055】
図9に示すように、コントロールユニット80のCPU95は、吹込まれた空気の体積が所定の体積以上であるとステップS228(図7参照。)において判断すると、カメラユニット60にシャッタコマンドを転送することによってCCDイメージセンサ67に運転者を撮影させる(ステップS230)。したがって、ハンディーユニット20のマウスピース23から呼気を吹込んでいる最中の運転者の画像がカメラユニット60のメモリ70に記録される。
【0056】
次いで、CPU95は、ハンディーユニット20の吸引ポンプ36を駆動させてアルコール燃料電池センサ34の内部に呼気を導入することによって、アルコール燃料電池センサ34によるアルコール濃度の測定を開始し(ステップS232)、表示ユニット40のWaitランプ45の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって、アルコール燃料電池センサ34によるアルコール濃度の測定中であることを通知する(ステップS234)。
【0057】
そして、CPU95は、ステップS232において開始した測定が終了すると、ステップS208において指紋認証モジュール55から送信された登録者IDと、時計LSI88から得られる現在時刻と、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置と、測定されたアルコール濃度と、ステップS230において撮影されてカメラユニット60のメモリ70に記録されている画像とをLOGメモリ94に記録し(ステップS236)、測定されたアルコール濃度を表示ユニット40の表示部48の表示によって通知する(ステップS238)。次いで、CPU95は、測定されたアルコール濃度が所定の基準値以下であるか否かを判断する(ステップS240)。
【0058】
CPU95は、ステップS240においてアルコール濃度が所定の基準値を超えていると判断すると、飲酒状態であると判定したためにエンジンを始動できないことを、表示ユニット40のNGランプ47の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって通知して(ステップS242)、一連の処理を終了する。
【0059】
CPU95は、ステップS240においてアルコール濃度が所定の基準値以下であると判断すると、アンプ86を介してインターロック用リレー81の電磁石81bに電力を供給してスイッチ81aを閉じ(ステップS244)、飲酒状態であると判定しなかったためにエンジンを始動できることを、表示ユニット40のOKランプ46の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって通知する(ステップS246)。なお、CPU95は、ステップS244においてスイッチ81aを閉じた後、5分間が経過すると、スイッチ81aを開く。したがって、運転者は、5分以内にスタータキースイッチ114のキーを回して端子114aと、START端子114eとを電気的に接続させることによって、車両100のエンジンを始動することができる。すなわち、スタータキースイッチ114の端子114aと、START端子114eとが電気的に接続させられると、コントロールユニット80のインターロック用リレー81のスイッチ81aと、スタータキースイッチ114とを介してスタータリレー113の電磁石113bにバッテリ111の電力が供給されてスイッチ113aが閉じ、それによってスタータリレー113のスイッチ113aを介してセルモータ112にバッテリ111の電力が供給されて、車両100のエンジンが始動させられる。
【0060】
このように、CPU95は、アルコール燃料電池センサ34によって測定されたアルコール濃度に基づいて運転者が飲酒状態であるか否かを判定する(ステップS240)ようになっており、飲酒判定部を構成している。また、CPU95は、運転者が飲酒状態であることを判定したときに車両100のエンジンの始動を禁止する(ステップS242)ようになっており、エンジン始動禁止部を構成している。
【0061】
図10は、アルコールインターロックシステム10の動作のうち図9に示す動作の続きのフローチャートである。
【0062】
CPU95は、ステップS246の処理の後、車両100からエンジンの始動を示す信号を受信すると、図10に示すように、ランダムな時間を決定して(ステップS248)、決定した時間をLOGメモリ94にセットする(ステップS250)。なお、ステップS248において決定される時間は、例えば60分から180分までのランダムな時間である。
【0063】
次いで、CPU95は、車両100が停止中であるか否かを判断する(ステップS252)。車両100は、アイドリング中や信号待ちなどのときに、エンジンを停止することなく停車していることがある。ここで、車両100が停止中であるか否かは、どのような方法によって判断されても良い。例えば、CPU95は、ステップS202のように車両100の車速パルス発生器115からの出力に基づいて車両100の速度が0より大きいか否かによって車両100が停止中であるか否かを判断しても良い。また、CPU95は、加速度センサ90からの出力に基づいて車両100が停止中であるか否かを判断しても良い。また、車両100が動いているときにはバッテリ111が発電および充電されて電圧が高くなることを利用して、CPU95は、バッテリ111の電圧が所定の電圧以上であるときに車両100が動いていると判断することもできる。また、CPU95は、カメラユニット60からのGPS情報に基づいた現在位置の変化によっても、車両100が動いているか否かを判断することもできる。このように、CPU95は、車両100が停止しているか否かを判断する(ステップS255)ようになっており、停車判断部を構成している。
【0064】
CPU95は、ステップS252において車両100が停止中ではないと判断すると、ステップS250においてLOGメモリ94にセットした時間(以下「セット時間」という。)を減算して(ステップS254)、セット時間が30分であるか否かを判断する(ステップS256)。一方、CPU95は、ステップS252において車両100が停止中であると判断すると、セット時間を減算せずに、セット時間が30分であるか否かを判断する(ステップS256)。なお、セット時間は、0まで減算されると、それ以降は0に維持される。
【0065】
CPU95は、ステップS256においてセット時間が30分であると判断すると、「車両100のエンジンを停止してアルコール濃度の測定を再び行う」ことを運転者に催促する通知(以下「再測定催促通知」という。)を、表示ユニット40の表示部48の表示と、スピーカ52からの音声による出力とによって行い(ステップS258)、ハンディーユニット20のスイッチ25が押されたか否かを判断する(ステップS260)。運転者は、再測定催促通知を受けた場合、アルコール濃度の測定を再び行うために、車両100を路肩などに停止させることができる。
【0066】
一方、CPU95は、ステップS256においてセット時間が30分ではないと判断すると、セット時間が20分であるか否かを判断する(ステップS262)。CPU95は、ステップS262においてセット時間が20分であると判断すると、再測定催促通知を行い(ステップS258)、スイッチ25が押されたか否かを判断する(ステップS260)。
【0067】
一方、CPU95は、ステップS262においてセット時間が20分ではないと判断すると、セット時間が10分であるか否かを判断する(ステップS264)。CPU95は、ステップS264においてセット時間が10分であると判断すると、再測定催促通知を行い(ステップS258)、スイッチ25が押されたか否かを判断する(ステップS260)。
【0068】
一方、CPU95は、ステップS264においてセット時間が10分ではないと判断すると、セット時間が0分であるか否かを判断する(ステップS266)。CPU95は、ステップS266においてセット時間が0分であると判断すると、再測定催促通知を行い(ステップS258)、スイッチ25が押されたか否かを判断する(ステップS260)。
【0069】
以上に説明したように、表示部48およびスピーカ52は、ステップS258において再測定催促通知を行うようになっており、測定催促部を構成している。また、CPU95は、再測定催促通知を行う所定の時期、すなわち測定催促時期に達したか否かをセット時間によって判断し、セット時間が30分、20分、10分および0分である測定催促時期に達したときに表示部48およびスピーカ52に再測定催促通知を行わせるようになっており(ステップS256、S258、S262、S264、S266)、通知制御部を構成している。また、CPU95は、測定催促時期までの時間を管理し、車両100が停止していると判断したときにセット時間の減算を停止するようになっており(ステップS252、S254)、時間管理部を構成している。また、CPU95は、セット時間の初期値をランダムに決定する(ステップS248)ことによって、セット時間が30分、20分、10分および0分である測定催促時期をランダムに決定しており、時期決定部を構成している。
【0070】
CPU95は、ステップS266においてセット時間が0分ではないと判断すると、再測定催促通知を行わずに、スイッチ25が押されたか否かを判断する(ステップS260)。
【0071】
CPU95は、ステップS260においてスイッチ25が押されていないと判断すると、ステップS252に戻る。
【0072】
したがって、ステップS250においてLOGメモリ94に時間をセットしたCPU95は、スイッチ25が押されない場合、車両100が停止中ではないときにのみセット時間を減算し、セット時間が30分、20分および10分になったときに1回ずつ再測定催促通知を行い、セット時間が0分になったとき以降はセット時間が常に0分になるので、再測定催促通知を行い続ける。
【0073】
図11は、アルコールインターロックシステム10の動作のうち図10に示す動作の続きのフローチャートである。
【0074】
CPU95は、ステップS260(図10参照。)においてスイッチ25が押されていると判断すると、図7に示すステップS202〜ステップS228の処理と同様に、図11に示すステップS402〜ステップS428の処理を行う。ただし、CPU95は、図7に示すステップS204、ステップS210およびステップS220の処理の後に一連の処理を終了するが、図11に示すステップS404、ステップS410およびステップS420の処理の後はステップS252に戻る。
【0075】
図12は、アルコールインターロックシステム10の動作のうち図11に示す動作の続きのフローチャートである。
【0076】
CPU95は、吹込まれた空気の体積が所定の体積以上であるとステップS428(図11参照。)において判断すると、図9に示すステップS230〜ステップS240の処理と同様に、図12に示すステップS430〜ステップS440の処理を行う。
【0077】
図12に示すように、CPU95は、ステップS440においてアルコール濃度が所定の基準値を超えていると判断すると、飲酒状態であると判定したことを、表示ユニット40のNGランプ47の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって通知し続ける(ステップS442)。
【0078】
CPU95は、ステップS440においてアルコール濃度が所定の基準値以下であると判断すると、飲酒状態であると判定しなかったことを、表示ユニット40のOKランプ46の点灯と、スピーカ52からの音声による出力とによって通知して(ステップS446)、ステップS248(図10参照。)に戻る。
【0079】
なお、CPU95は、図10に示すステップS248から図12に示すステップS446までの何れの処理においても、車両100からエンジンの停止を示す信号を受信した場合には、一連の処理を終了する。
【0080】
したがって、図9に示すステップS246の処理の後に車両100からエンジンの始動を示す信号を受信したCPU95は、車両100からエンジンの停止を示す信号を受信しないとき、飲酒状態であると判定しない限り、例えば60分から180分までのランダムな時間の間隔で運転者にアルコール濃度の測定を繰り返し行わせる。
【0081】
なお、LOGメモリ94に記録された各種情報は、後で様々な目的で使用されることができる。例えば、LOGメモリ94に記録された飲酒状態の判定結果は、飲酒運転の常習者の場合には定期的に所轄の警察署で監視に使用されたり、業務用の場合には定期的に管理本部で監視に使用されたりすることができる。
【0082】
また、LOGメモリ94に記録される各種情報は、コントロールユニット80のアンテナ83および通信モジュール87によって外部に送信されるようになっていても良い。例えば、飲酒状態の判定結果は、飲酒運転の常習者の場合にはリアルタイムで所轄の警察署のメールサーバに送信されたり、業務用の場合にはリアルタイムで管理本部のメールサーバに送信されたりすることができる。もちろん、LOGメモリ94に記録された各種情報は、コントロールユニット80のアンテナ83および通信モジュール87を介して外部から読み出されるようになっていても良い。
【0083】
また、アルコールインターロックシステム10は、登録者IDを指紋認証によって入力するようになっているが、他の方法によって入力するようになっていても良い。例えば、登録者IDは、磁気カードやIC(Integrated Circuit)カードによって入力されるようになっていても良い。
【0084】
以上に説明したように、アルコールインターロックシステム10は、測定催促時期に達したときにアルコール濃度の測定を催促するので、運転者に複数回のアルコール濃度の測定を行わせることになる。したがって、アルコールインターロックシステム10は、飲酒運転の発生を従来より抑えることができる。
【0085】
また、アルコールインターロックシステム10は、車両100が停止しているときに測定催促時期までの時間の減算を停止することができるので、車両100が停止しているときにアルコール濃度の測定の催促を開始することを防止することができる。例えば、長距離を運転する運転者などは、夏の夜に車両100をサービスエリアなどに停めながら車両100の冷房を機能させて車両100の内部で睡眠をとったり、冬の夜に車両100をサービスエリアなどに停めながら車両100の暖房を機能させて車両100の内部で睡眠をとったりすることがあるが、このようにエンジンを停止させずに車両100が停止している状態ではアルコール濃度の測定の催促が開始されないので、アルコール濃度の測定の催促によって睡眠が妨害されず、十分に安眠することができる。
【0086】
また、アルコールインターロックシステム10は、運転者が飲酒状態であるときに車両100のエンジンの始動を禁止するので、飲酒運転の発生をより強力に抑えることができる。
【0087】
また、アルコールインターロックシステム10は、アルコール濃度の測定の催促をランダムな時期に抜き打ちに行うので、測定催促時期が運転者に予想されることを防止することができる。したがって、アルコールインターロックシステム10は、運転者に常に飲酒を止めさせることができ、飲酒運転の発生をより強力に抑えることができる。
【0088】
なお、アルコールインターロックシステム10は、本実施の形態において、図11および図12に示す処理が行われている期間にセット時間を減算する(図10に示すステップS254)ことがないようになっているが、図11および図12に示す処理が行われている期間にもセット時間を減算するようになっていても良い。例えば、アルコールインターロックシステム10は、車両100が停止中ではない限り、セット時間を常に1秒ずつ減算するようになっていても良い。
【符号の説明】
【0089】
10 アルコールインターロックシステム(車載用呼気中アルコール測定装置)
34 アルコール燃料電池センサ(アルコール測定部)
48 表示部(測定催促部)
52 スピーカ(測定催促部)
95 CPU(時間管理部、通知制御部、停車判断部、エンジン始動禁止部、飲酒判定部、時期決定部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の呼気中のアルコール濃度の測定を行うアルコール測定部と、前記測定を再び行うことを前記運転者に催促する通知を行う測定催促部と、所定の時期までの時間を管理する時間管理部と、前記時期に達したときに前記測定催促部に前記通知を行わせる通知制御部と、前記車両が停止しているか否かを判断する停車判断部とを備えており、
前記通知制御部は、前記時期に達したか否かを前記時間によって判断し、
前記時間管理部は、前記車両が停止していることが前記停車判断部によって判断されたときに前記時間の減算を停止することを特徴とする車載用呼気中アルコール測定装置。
【請求項2】
前記車両のエンジンの始動を禁止するエンジン始動禁止部と、前記アルコール測定部によって測定された前記アルコール濃度に基づいて前記運転者が飲酒状態であるか否かを判定する飲酒判定部とを備えており、
前記エンジン始動禁止部は、前記運転者が飲酒状態であることが前記飲酒判定部によって判定されたときに前記始動を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車載用呼気中アルコール測定装置。
【請求項3】
前記時期をランダムに決定する時期決定部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用呼気中アルコール測定装置。
【請求項1】
車両の運転者の呼気中のアルコール濃度の測定を行うアルコール測定部と、前記測定を再び行うことを前記運転者に催促する通知を行う測定催促部と、所定の時期までの時間を管理する時間管理部と、前記時期に達したときに前記測定催促部に前記通知を行わせる通知制御部と、前記車両が停止しているか否かを判断する停車判断部とを備えており、
前記通知制御部は、前記時期に達したか否かを前記時間によって判断し、
前記時間管理部は、前記車両が停止していることが前記停車判断部によって判断されたときに前記時間の減算を停止することを特徴とする車載用呼気中アルコール測定装置。
【請求項2】
前記車両のエンジンの始動を禁止するエンジン始動禁止部と、前記アルコール測定部によって測定された前記アルコール濃度に基づいて前記運転者が飲酒状態であるか否かを判定する飲酒判定部とを備えており、
前記エンジン始動禁止部は、前記運転者が飲酒状態であることが前記飲酒判定部によって判定されたときに前記始動を禁止することを特徴とする請求項1に記載の車載用呼気中アルコール測定装置。
【請求項3】
前記時期をランダムに決定する時期決定部を備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車載用呼気中アルコール測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−221786(P2010−221786A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69871(P2009−69871)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【特許番号】特許第4450859号(P4450859)
【特許公報発行日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(302031454)東海電子株式会社 (34)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【特許番号】特許第4450859号(P4450859)
【特許公報発行日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(302031454)東海電子株式会社 (34)
【Fターム(参考)】
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