説明

車載装置および車載システム

【課題】電気自動車など電気をエネルギーとする車両に、効率良くエネルギーを充電させることを課題とする。
【解決手段】車載装置は、車両駆動に用いるエネルギーとして、少なくとも電気エネルギーを用いる車両に搭載され、車両の走行履歴から車両が利用される運転習慣を特定する。そして、車載装置は、特定された運転習慣に基づいて、すぐに駆動できるだけの電気をすぐに充電するようにしたり、無駄な充電を省いたり、電気代が安い夜に充電を行うようにしたり、余っている電気を他の電気機器に提供したりするように、車両に電気エネルギーを充電する充電計画を作成する。その後、車載装置は、作成された充電計画にしたがって、電気エネルギーを車両に充電する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両駆動に用いるエネルギーとして、少なくとも電気エネルギーを用いる車両に搭載される車載装置および車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガソリン車に代わって、ガソリンと電力とを用いるハイブリッドカーや電力のみを用いる電気自動車を普及すべく開発が行われている。また、電気自動車では、自宅などのコンセントから電気を充電することのできるプラグイン電気自動車も開発されている。このような電気自動車は、ガソリン車と比較して、エネルギー(燃料)の供給に多大な時間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−251698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この電気エネルギーを用いて駆動する車両では、充電に多大な時間を必要とする状況により、例えば、ある1台の車両が充電施設を占領することで、他の車両が充電するタイミングを逸したりして、蓄電量が減って走行できないといった問題が発生する恐れがある。そのため、安定した蓄電量で走行できない状態が発生するという課題があった。
【0005】
そこで、この発明は、上述した従来技術の課題を解決するためになされたものであり、運転者の運転傾向に合わせた充電計画を作成し、常に安定した蓄電量で走行できるように支援する車載装置および車載システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、車両駆動に用いるエネルギーとして、少なくとも電気エネルギーを用いる車両に搭載される車載装置であって、前記車両の走行履歴から前記車両が利用される運転習慣を特定する運転習慣特定手段と、前記運転習慣特定手段によって特定された運転習慣に基づいて、前記車両に電気エネルギーを充電する充電計画を作成する充電計画作成手段と、前記充電計画作成手段によって作成された充電計画にしたがって、前記電気エネルギーを前記車両に充電する充電実行手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電気自動車など電気をエネルギーとする車両に、効率良くエネルギーを充電させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、実施例1に係る車載システムの概要を説明するための図である。
【図2】図2は、実施例1に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、電気代DBに記憶される情報の例を示す図である。
【図4−1】図4−1は、走行履歴DBに記憶される自宅の位置情報の例を示す図である。
【図4−2】図4−2は、走行履歴DBに記憶される走行履歴の例を示す図である。
【図5】図5は、運転習慣DBに記憶される情報の例を示す図である。
【図6】図6は、作成される充電計画の例を示す図である。
【図7】図7は、実施例1に係る車載装置における充電計画処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、センターを利用して充電計画を作成する車載システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る車載装置および車載システムの実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0010】
[車載装置の概要]
最初に、図1を用いて、実施例1に係る車載装置の概要について説明する。図1は、実施例1に係る車載システムの概要を説明するための図である。
【0011】
実施例1に係る車載装置は、電気を駆動エネルギーとするハイブリッド車や電気自動車などに設置され、車速を検知する車速センサ、加速度を検知する加速度センサ、ブレーキを検知するブレーキセンサ、位置情報を検出するGPS(Global Positioning System)、VICS情報を受信する受信機、走行データを収集するドライブレコーダ、カーナビゲーション装置などを有する。このような車載装置は、電気自動車など電気をエネルギーとする車両に、効率良くエネルギーを充電させることができる。
【0012】
具体的には、実施例1に係る車載装置は、図1に示すように、車両の走行履歴から車両が利用される運転習慣を特定し、特定された運転習慣に基づいて、車両に電気エネルギーを充電する充電計画を作成し、作成された充電計画にしたがって、電気エネルギーを車両に充電する。
【0013】
例えば、実施例1に係る車載装置は、運転日数、運転時間、走行距離など車両の走行距離から、1ヶ月の平均運転日数、1日の平均運転時間、1日の平均走行距離、目的地情報(設定された回数など)、運転時間帯など運転習慣を特定する。そして、車載装置は、特定した運転習慣と現地点での残量や電気代などを考慮して、すぐに運転できる電気量を保ちつつ、できるだけ安く充電できる充電計画や、すぐに車両が駆動できる電気量のみを短時間で充電し、残りの充電にかかるコストを抑えるなどの充電計画を作成する。その後、車載装置は、家庭用コンセントや車両充電用コンセントに接続されると、作成された充電計画に基づいて、電気エネルギーを車両に充電する。
【0014】
このように、実施例1に係る車載装置は、無駄な充電を省いたり、電気代が安い夜に充電を行うようにしたり、余っている電気を他の電気機器に提供したりすることができる結果、電気自動車など電気をエネルギーとする車両に、効率良くエネルギーを充電させることが可能である。
【0015】
[車載装置の構成]
次に、図2を用いて、図1に示した車載装置の構成を説明する。図2は、実施例1に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
【0016】
図2に示すように、この車載装置10は、無線通信部11と、カメラ12と、GPS受信機13と、VICS受信機14と、ドライブレコーダ15と、車速センサ16と、加速度センサ17と、ブレーキセンサ18と、カーナビゲーション19と、蓄電量センサ20と、充電プラグ25と、充電電池21と、電気代DB22と、走行履歴DB23と、運転習慣DB24と、制御部30とを有する。なお、上記したセンサは、あくまで一例であり、例えば、雨を検知する雨滴センサなど車両に関する情報を取得する様々なセンサを有していてもよい。
【0017】
無線通信部11は、後述する運転習慣特定部32、充電計画作成部33や電気代DB22などに接続され、センターや他車両の車載装置と無線通信を行う無線通信機やハンズフリーフォン、又は、本願が開示する車載システム専用の通信機などである。例えば、センターを管理する管理会社から識別子(例えば、車両ID)が割り与えられた無線通信機などを用いてもよく、このような構成の場合、センターでは、無線通信を行った車両(車載装置)を一意に識別することができる。さらには、ユーザ登録を条件に無線通信機を割り与えることで、ユーザ(運転者)の情報も取得すること(ユーザ情報と無線識別情報を関連付けて登録)ができる。
【0018】
このような無線通信部11は、制御部30から送信された情報を宛先となる装置(例えば、センターや他の車載装置など)に送信したり、外部の装置(例えば、センターや他の車載装置など)から受信した充電計画を制御部30に出力したりする。また、無線通信部11は、インターネットなどに接続される各種サーバ装置から地域(自車両が位置する地域)ごとの電気代情報を取得して電気代DB22に格納する。
【0019】
カメラ12は、車内又は車外に複数設置され、車内外を撮像してメモリなどに格納したり、ドライブレコーダ15に出力したり、制御部30に出力したりする。GPS受信機13は、GPS人工衛星からのデータを受信して特定した自車両の位置を取得し、カーナビゲーション19や制御部30、ドライブレコーダ15などに出力する。
【0020】
VICS受信機14は、VICSセンターにより送信された渋滞情報、区間通過所要時間、事故・故障車・工事情報、速度規制・車線規制情報、サービスエリア情報、パーキングエリア情報などを受信して、カーナビゲーション19や制御部30、ドライブレコーダ15などに出力する。
【0021】
ドライブレコーダ15は、車載装置10内の各種センサ、カーナビゲーション19や制御部30などに接続され、走行データを取得してメモリなどに格納する。具体的には、ドライブレコーダ15は、車速、加速度、ブレーキ情報・方向指示器など各種センサの情報、カメラ12により撮像された車両内外の画像情報、GPS受信機13により受信された車両の位置情報などを対応付けた走行データを連続して取得し、メモリなどに格納する。
【0022】
車速センサ16は、スピードメータやアクセス開度から車両の速度を連続的に検出し、検出した車両の速度をドライブレコーダ15、制御部30などに出力する。加速度センサ17は、アクセス開度やブレーキセンサ18からの情報、車速センサ16からの速度情報に基づいて車両の加速度を検出し、ドライブレコーダ15や走行履歴格納部31などに出力する。
【0023】
ブレーキセンサ18は、ブレーキの作動状況を検知して、ドライブレコーダ15や走行履歴格納部31などに出力する。カーナビゲーション19は、ディスプレイやスピーカーなどに接続され、高精度な地図情報やユーザにより選択された目的地までのルート案内などを実行する。
【0024】
蓄電量センサ20は、充電電池21と接続され、現在充電が行われているか否かや現地点で蓄電されている蓄電量を充電電池21から取得する。そして、蓄電量センサ20は、取得した情報を制御部30などに出力する。
【0025】
充電プラグ25は、車両を駆動する電気エネルギーを蓄電する充電電池21に、電気を充電するプラグである。例えば、充電プラグ25は、後述する充電計画実行部34の指示に従って、接続された家庭用コンセントや車両充電用コンセントから電気を取得し、充電電池21に格納する。また、充電プラグ25は、充電計画実行部34の指示に従って、接続された家庭用コンセントや車両充電用コンセントに対して電気を出力し、当該コンセントを介して接続される他の電化製品に電気を提供する。
【0026】
充電電池21は、車両を駆動する電気エネルギーを蓄電するリチウムイオン蓄電池などであり、充電プラグ25によって電気を蓄電したり、放電したりする。また、充電電池21は、制御部30によって車両を駆動する電気エネルギーを車両駆動モーターなどに出力したりする。
【0027】
電気代DB22は、無線通信部11により取得されて格納された電気代情報を格納する。具体的には、電気代DB22は、図3の(a)に示すように、「昼間、10円/1kWh」、「夜間、6円/1kWh」などを記憶したり、基本料金=1000円なども記憶したりする。また、電気代DB22は、図3の(b)に示すように、「最初の120kWhまで、10円/1kWh」、「120kWh超過300kWhまで、15円/1kWh」、「300kWh超過、17円/1kWh」なども記憶する。なお、図3は、電気代DBに記憶される情報の例を示す図である。
【0028】
走行履歴DB23は、走行履歴格納部31や運転習慣特定部32に接続され、走行履歴格納部31によって格納された車両の走行履歴や自車両が駐車する自宅の位置情報などを記憶する。具体的には、走行履歴DB23は、図4−1に示すように、「自宅、東京都○×」と自宅の位置情報を記憶する。また、走行履歴DB23は、図4−2に示すように、『車両が駆動または走行した「日時」、車両が駆動または走行した「曜日」、車両が走行した時間帯「走行時間帯」、車両が走行した「目的地」、車両が走行した「距離」』などを対応付けて記憶する。例えば、走行履歴DB23は、「日時、曜日、走行時間帯、目的地、距離」として「2009/1/15、日、10:00〜12:00、東京都○○、10km」や「2009/1/25、水、15:00〜15:15、東京都××/△スーパー、3km」などを記憶する。なお、図4−1は、走行履歴DBに記憶される自宅の位置情報の例を示す図であり、図4−2は、走行履歴DBに記憶される走行履歴の例を示す図である。
【0029】
運転習慣DB24は、運転習慣特定部32や充電計画作成部33に接続され、運転習慣特定部32によって特定された車両が利用される運転習慣を記憶する。運転習慣とは、所定の時間(24時間、1週間、1ヶ月など)における運転者による運転傾向のことであり、運転習慣DB24に所定期間ごとの運転状況(平均運転時間、平均運転距離、運転時間帯など)が記憶される。
【0030】
具体的には、運転習慣DB24は、図5に示すように、「1ヶ月の平均運転日数、1日の平均運転時間、1日の平均走行距離、運転時間帯、目的地の回数情報(設定された回数など)」などを記憶する。なお、図5は、運転習慣DBに記憶される情報の例を示す図である。
【0031】
制御部30は、制御プログラム、各種の処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを格納するためのメモリを有するとともに、特に、走行履歴格納部31と、運転習慣特定部32と、充電計画作成部33と、充電計画実行部34とを有し、これらによって種々の処理を実行する。
【0032】
また、制御部30は、車両の駆動モーターなどに接続され、スターター(イグニションキーなど)がONにされると、充電電池21に蓄電される電気を駆動モーターに出力し、アクセル開度に応じて、その出力量を調整する。また、制御部30は、スターターがOFFにされた場合やシフトレバーがPポジション、Nポジションになった場合には、充電電池21から駆動モーターへの電気供給を停止する。
【0033】
走行履歴格納部31は、車両の走行履歴を取得して走行履歴DB23に格納する。具体的には、走行履歴格納部31は、カメラ12、GPS受信機13、VICS受信機14、ドライブレコーダ15、車速センサ16、加速度センサ17、ブレーキセンサ18、カーナビゲーション19などから車両の走行情報として、例えば、日時、目的地、走行距離、速度、加速度、画像、ドライブレコーダの走行データを取得する。そして、走行履歴格納部31は、取得した車両の走行情報から、「日時、曜日、目的地、距離」の対応付けのように、「いつ、どこまで走行したのか」などを抽出して走行履歴DB23に格納する。
【0034】
運転習慣特定部32は、車両の走行履歴から車両が利用される運転習慣を特定する。具体的には、運転習慣特定部32は、走行履歴DB23に記憶される走行履歴に基づいて、「どのような日時や曜日に、どのような時間帯に、どのぐらいの距離にあるどのような場所まで走行しているのか」などを示す運転習慣を特定し、特定した運転習慣を運転習慣DB24に格納する。例えば、運転習慣特定部32は、走行履歴DB23に記憶される走行履歴に基づいて、「1ヶ月の平均運転日数、1日の平均運転時間、1日の平均走行距離、運転時間帯、目的地の回数情報(設定された回数など)」を特定して運転習慣DB24に格納する。
【0035】
また、運転習慣特定部22は、例えば、走行履歴DB23から1週間単位や1日単位(24時間単位)で走行履歴を取得し、1週間単位や1日単位で運転習慣を特定するようにしてもよい。つまり、運転習慣特定部32は、運転者が車を運転する運転周期に応じた任意な単位で運転習慣を特定することができるので、適切な運転習慣を特定することができる。
【0036】
充電計画作成部33は、運転習慣特定部32によって特定された運転習慣に基づいて、車両に電気エネルギーを充電する充電計画を作成する。具体的には、充電計画作成部33は、特定した運転習慣と現地点での残量や電気代などを考慮して、すぐに運転できる電気量を保ちつつ、できるだけ安く充電できる充電計画や、すぐに運転できる電気量のみを短時間で充電し、残りの充電にかかるコストを抑えるような充電計画を作成する。例えば、充電計画作成部33は、図6に示すように、電気代が安い夜間に充電し、その他の時間帯は他の電化製品に電気を供給するプラン「19:00〜21:00:待機、21:00〜24:00:他の電化製品に電力(電気)供給、24:00〜6:00:充電」や、予め指定された必要最低限の電力量のみを充電するプラン「19:00〜22:00:他の電化製品に電力(電気)供給、22:00〜4:00:○○Wまで充電、4:00〜6:00:待機」などを作成する。なお、作成された充電計画は、メモリなどに格納しておいてもよい。また、図6は、作成される充電計画の例を示す図である。
【0037】
また、充電計画作成部33は、上述した計画の計画期間及び作成タイミングを任意に設定することができる。具体的には、充電計画作成部33は、1週間単位の充電計画、すなわち、月曜日から日曜日まで1週間で電池をどのように充電するか、又は、月曜日から日曜日までのそれぞれの曜日でどのように充電するかなど1週間単位の充電計画を作成することができる。もっとも、ここで示した1週間単位とはあくまで例示であり、例えば、1日単位や運転習慣特定部22が特定した運転習慣の単位ごとなど任意に設定することができる。一般的に多くの人が1週間単位や1日単位で運転することが多いことを考慮すると、上述したような期間で作成することで適切な計画が作成できる。
【0038】
また、充電計画作成部33は、所定時間ごと(例えば、6時間ごと)に作成した充電計画を見直すようにしてもよい。例えば、充電計画作成部33は、6時間ごとに実際の充電容量(残量)を確認し、作成した1週間単位や1日単位の充電計画を見直す、実際の充電内容と計画とのズレを確認する。そして、充電計画作成部33は、例えば、充電時間になったが残量が多い・充電時間ではないが残量が少ないなどズレが大きい場合には、充電計画の再作成を実行する。このようにすることで、実際の充電(蓄電)状況に応じた充電計画が作成することもでき、作成した計画を実際の充電(蓄電)状況に応じて更新することもできる。
【0039】
充電計画実行部34は、充電計画作成部33によって作成された充電計画にしたがって、電気エネルギーを車両に充電する。具体的には、充電計画実行部34は、充電プラグ25が家庭用コンセントや車両充電用コンセントなどに接続されると、充電計画作成部33によって作成された充電計画をメモリなど取得し、充電計画に沿って電気エネルギーを充電電池20に充電する。例えば、充電計画実行部34は、充電計画が「19:00〜21:00:待機、21:00〜24:00:他の電化製品に電力(電気)供給、24:00〜6:00:充電」であった場合、充電プラグ21が家庭用コンセントや車両充電用コンセントなどに接続されても、21:00までは充電を行わず待機する。そして、充電計画実行部34は、21:00〜24:00の間は、充電プラグやコンセントを介して、充電電池21に蓄電されている電気を他の電化製品に電力(電気)供給する。その後、充電計画実行部34は、24:00になると充電を開始し、6:00に終了する。
【0040】
充電計画実行部34は、充電計画作成部33によって作成された充電計画の実行などを運転者に報知することもできる。具体的には、充電計画実行部34は、エンジン停止時、目的地や自宅到着時、充電予定時点、エンジン起動時に充電計画全体を報知したり、その時点での予定(「充電予定のため充電プラグを接続して下さい」等)を報知したりすることができる。また、充電計画実行部34は、音声によって通知してもよいし、ディスプレイに画像で表示してもよい。
【0041】
[車載装置による処理]
次に、図7を用いて、車載装置による処理を説明する。図7は、実施例1に係る車載装置における充電計画処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
図7に示すように、車載装置10の運転習慣特定部32は、充電計画作成開始指示を受信すると(ステップS101肯定)、走行履歴格納部31によって走行履歴DB23に格納された走行履歴を用いて、運転習慣を特定する(ステップS102)。
【0043】
例えば、運転習慣特定部32は、車両の位置が自宅周辺に近付いた場合、ユーザの開始指示を受け付けた場合、1ヶ月や1週間など決められた周期に到達した場合など、ユーザに設定される任意の様々な契機で運転習慣を特定する。
【0044】
続いて、車載装置10の充電計画作成部33は、運転習慣特定部32によって特定された運転習慣に基づいて、車両に電気エネルギーを充電する充電計画を作成する(ステップS103)。
【0045】
その後、充電計画実行部34は、車両が駐車し、充電プラグ25が家庭用コンセントや車両充電用コンセントなどに接続されると(ステップS104肯定)、充電計画作成部33によって作成された充電計画にしたがって、電気エネルギーを充電電池21に充電する(ステップS105)。
【0046】
そして、充電計画実行部34は、ステップS105で充電中に、エンジン(駆動モータ)が始動されたことを検出すると(ステップS106肯定)、充電を終了する(ステップS107)。
【0047】
[実施例1による効果]
このように、実施例1によれば、無駄な充電を省いたり、電気代が安い夜に充電を行うようにしたり、余っている電気を他の電気機器に提供したりすることができる結果、電気自動車など電気をエネルギーとする車両に、効率良くエネルギーを充電させることが可能である。また、運転習慣に基づいて作成された充電計画で充電されるので、運転したいときにはすぐに運転できる充電量を確保することができる。
【実施例2】
【0048】
ところで、実施例1では、車両の運転習慣を特定して運転計画を作成し充電を実行する一連の処理を車載装置で実行する例について説明したが、本願はこれに限定されるものではなく、一部の処理をセンターなどが実施することもできる。
【0049】
そこで、実施例2では、図8を用いて、センターを利用して充電計画を作成する車載システムの処理の流れを説明する。図8は、センターを利用して充電計画を作成する車載システムの処理の流れを示すシーケンス図である。
【0050】
図8に示すように、車載装置10は、カメラ12、GPS受信機13、VICS受信機14、ドライブレコーダ15、車速センサ16、加速度センサ17、ブレーキセンサ18、カーナビゲーション19などから情報を随時取得して、走行履歴を走行履歴DB23に随時格納する(ステップS201)。
【0051】
そして、車載装置10は、車両の位置が自宅周辺に近付いた場合、ユーザの開始指示を受け付けた場合、1ヶ月や1週間など決められた周期に到達した場合など、ユーザに設定される任意の様々な契機など所定の契機に到達すると(ステップS202肯定)、走行履歴DB23から走行履歴を取得してセンターに送信する(ステップS203)。
【0052】
その後、センターは、車載装置10から取得した走行履歴に基づいて、走行履歴を送信した車両の運転習慣を特定し(ステップS204)、特定した運転習慣に基づいて作成した充電計画を車載装置10に送信する(ステップS205)。なお、上述したように、センターを管理する管理会社から識別子(例えば、車両ID)が割り与えられた無線通信機などを用いて情報をやり取りすることで、センターは一意に車両を識別することができる。
【0053】
そして、車載装置10は、センターから充電計画を受信し(ステップS206)、受信した充電計画に従って充電を実行する(ステップS207)。
【0054】
このようにすることで、車載装置側の処理負荷を軽減することができるとともに、センター側で充電計画を一括管理することができる。そのため、ユーザは、インターネットなどを用いてセンターにアクセスし、自分の車両の充電計画を自宅などから確認することができるとともに、必要に応じて充電計画を変更することができる。そして、センターは、充電計画が変更された場合には、モーター(エンジン)停止している車載装置の通信ポートの一部に電気を供給して、変更された充電計画を車載装置に配信することもできる。このように、ユーザにとっても利便性が向上する。
【0055】
また、センターでは、多くの車両の充電計画情報を集めることができる。従って、センターでは、施設での充電設備の満車状態を防ぐために、充電設備の空き状態を考慮した各車両への案内を行うことが可能となる。充電設備の空き状態は、例えば、各車両の充電予定から判断するなどして把握する。また、別の方法として、センターと充電設備とで通信ネットワークが構築されており、充電設備の使用状況に関する情報をセンターで収集し、充電設備の空き状態を把握することも可能である。
【実施例3】
【0056】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に示すように、(1)回生プランニング、(2)電池特性、(3)オーナーへの送付、(4)システム構成等、(5)プログラムにそれぞれ区分けして異なる実施例を説明する。
【0057】
(1)回生プランニング
例えば、車載装置またはセンターは、充電計画を作成する際に、運転習慣から翌日の目的地を予測し、自宅(車両の駐車場所)から目的地までの勾配をナビ情報やHDDの地図データなどから確認する。そして、車載装置またはセンターは、下り坂道が多い、自宅からすぐに下り坂道に入るなど、回生によって充電できる量や場所を考慮し、回生によって充電できる量は充電しないなどの充電計画を作成することもできる。
【0058】
具体的に例を挙げると、車載装置またはセンターは、以下の表に示す勾配データを含む地図データをHDDなどに記憶する。なお、以下の表に示した「道路リンクID」とは、交差点など所定の区間で区切った道路を特定する情報(道路特性データ)であり、「始点ノード位置」とは、道路リンクIDによって特定される道路の開始位置であり、「終点ノード位置」とは、道路リンクIDによって特定される道路の終了位置である。また、「リンク長」とは、始点ノード位置から終点ノード位置までの長さ(距離)を示す情報であり、「基準電力量」とは、道路リンクIDによって特定される道路を走行するのに必要となる電力量であり、回生で電力が得られる場合は「+電力量」で示し、回生で電力が得られない(消費するだけ)場合は「−電力量」で示している。尚、交差点等、道路の端部を示すのがノード(道路位置データ)で、ノード間を結んだ線がリンク(距離や道路の特性を示す道路特性データ)で、ノードは経路探索、描画が適切に行われるように設計者によって設定される。
【0059】
【表1】

【0060】
車載装置またはセンターは、このようなデータを保持することで、車両の現在地から目的地までの走行ルートにおいて、どのくらの電力を消費し、どのくらい回収できるのかを把握することができので、回生によって充電できる量や場所を考慮し、回生によって充電できる量は充電しないなどの充電計画を作成することもできる。
【0061】
尚、勾配データ(表(1))の代わりに、直接回生データ(電気消費量、回生量)を関連付けて記憶する方法も考えられる。この場合、回生基準値が直接回生データとして記憶され、車種毎に予め定めた補正値で補正して(例えば、基準値と補正値を積算する)、実際の回生量を求める。
【0062】
例えば、基準値を「X」、電気自動車の補正値を「Y」、ハイブリッド自動者の補正を「Z」としたとする。また、「X」は、上述した「道路リンクID、始点ノード位置、終点ノード位置、リンク長」に対応付けてセンターや車載装置に記憶される。この場合、電気自動車に対しては「X×Y」で回生値を算出でき、ハイブリッド自動車に対しては「X×Z」で回生値を算出できる。そうすることで、上述した場合と同様、車載装置またはセンターは、車両の現在地から目的地までの走行ルートにおいて、どのくらいの電力を消費し、どのくらい回収できるのかを把握することができので、回生によって充電できる量や場所を考慮し、回生によって充電できる量は充電しないなどの充電計画を作成することもできる。
【0063】
(2)電池特性
また、車載装置またはセンターは、車両に搭載される充電電池21の特性を考慮して充電計画を作成することもできる。例えば、電気が所定値以上充電されていないと劣化が激しい充電電池21である場合には、充電プラグ25がコンセントなどに接続されると、所定値(所定値+α)まではすぐに充電するような充電計画を作成することもできる。また、残量が常に所定値(所定値+α)以下にならないように回生で充電するように制御することもできる。
【0064】
この場合、蓄電量を検出し、所定値+αの蓄電量となるように、充電時間を算出する。なお、急に走行が必要な場合もあるので、ある程度余裕を持った蓄電量となるようにαを設定するのが望ましい。
【0065】
(3)オーナーへの送付
また、車載装置またはセンターは、車両のオーナーの携帯端末アドレスなどを所持しておくことで、作成した充電計画をオーナーの携帯端末に送信することもできる。また、上記したように、作成された充電計画が変更された場合にも、変更された充電計画をオーナーの携帯端末に送信することもできる。
【0066】
(4)システム構成等
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。なお、手動で行う場合、ディスプレイ40やスピーカー50などを用いて充電計画の報知(表示・音声)を行うのが望ましい。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報(例えば、図3〜図6など)については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0067】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合(例えば、充電計画作成部33と充電計画実行部34とを統合するなど)して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0068】
(5)プログラム
なお、本実施例で説明した充電計画作成方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明に係る車載装置および車載システムは、車両駆動に用いるエネルギーとして、少なくとも電気エネルギーを用いる車両に有用であり、特に、電気自動車など電気をエネルギーとする車両に、効率良くエネルギーを充電させることに適する。
【符号の説明】
【0070】
10 車載装置
11 無線通信部
12 カメラ
13 GPS送受信機
14 VICS受信機
15 ドライブレコーダ
16 車速センサ
17 加速度センサ
18 ブレーキセンサ
19 カーナビゲーション
25 充電プラグ
21 充電電池
22 電気代DB
23 走行履歴DB
24 運転習慣DB
30 制御部
31 走行履歴格納部
32 運転習慣特定部
33 充電計画作成部
34 充電計画実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両駆動に用いるエネルギーとして、少なくとも電気エネルギーを用いる車両に搭載される車載装置であって、
前記車両の走行履歴から前記車両が利用される運転習慣を特定する運転習慣特定手段と、
前記運転習慣特定手段によって特定された運転習慣に基づいて、前記車両に電気エネルギーを充電する充電計画を作成する充電計画作成手段と、
前記充電計画作成手段によって作成された充電計画にしたがって、前記電気エネルギーを前記車両に充電する充電実行手段と、
を有することを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記充電計画作成手段は、電気料金が安い時間帯に充電するように、前記充電計画を作成することを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記充電計画作成手段は、前記運転習慣特定手段によって特定された運転習慣から翌日の目的地を予測し、車両の現在位置から予測した目的地までの走行ルートにおいて回生による充電できる回生量を算出し、算出した回生量分は充電しないように、前記充電計画を作成することを特徴とする請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記充電計画作成手段は、前記電気エネルギーを蓄電する電池の特性に基づいて、前記充電計画を作成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項5】
前記充電計画作成手段により作成された充電計画の変更を受け付ける変更受付手段を有し、
前記充電実行手段は、前記変更受付手段によって変更された充電計画にしたがって、前記電気エネルギーを前記車両に充電することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車載装置。
【請求項6】
車両駆動に用いるエネルギーとして、少なくとも電気エネルギーを用いる車両に搭載される車載装置とセンターとを有する車載装置であって、
前記車載装置は、
前記車両の走行履歴を収集して前記センターに送信する送信手段と、
前記車両に電気エネルギーを充電する充電計画を前記センターから受信し、受信された充電計画にしたがって、前記電気エネルギーを前記車両に充電する充電実行手段と、を有し、
前記センターは、
前記車載装置から受信した走行履歴から前記車両が利用される運転習慣を特定する運転習慣特定手段と、
前記運転習慣特定手段によって特定された運転習慣に基づいて、前記車両に電気エネルギーを充電する充電計画を作成して、前記センターに送信する充電計画作成手段と、
を有することを特徴とする車載システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−239849(P2010−239849A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88467(P2009−88467)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】