説明

車載装置

【課題】運転者およびそれ以外の者が共用する入力手段による操作が運転者によるものか否かを判定し、その判定結果に基づいてスイッチ等の入力手段に割り当てられる機能を切り替える車載装置を提供することを目的とする。
【解決手段】車載装置1は、車載装置1を操作するために運転者と運転者でない者とが共用する操作入力手段23と、操作入力手段23を介した操作が運転者によるか否かを判定する操作者判定手段11と、操作者判定手段11が運転者によると判定した場合と、運転者でない者によると判定した場合とで、操作入力手段23に割り当てられる機能を切り替える割り当て機能切り替え手段12とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載装置に関し、特に、車載装置のスイッチによる操作が車両運転者によるものか否かを判定し、その判定結果に基づいてスイッチに割り当てられる機能を切り替えられる車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用ディスプレイは、ナビゲーションシステムによる地図情報、テレビ放送やDVD等からの映像情報、G−BOOK(登録商標)等の車載ネットワークサービスからの情報等を表示し、それら種々の機能を操作するための多くのスイッチ類を備える。
【0003】
近年、車載用ディスプレイは、扱う機能および表示させる情報が増大するにつれ、ますます多くのスイッチ類を備えるようになり、操作方法が複雑になってきている。
【0004】
また、係る車載用ディスプレイは、通常、運転者が運転に集中できるよう、車両走行中にはテレビ放送やDVD等からの映像を表示させないようにしたり、或いは、地図情報の拡大縮小表示等の簡単な操作を除き、スイッチによるこれら機能の複雑な操作を禁止したりする。このような安全のための措置は、たとえ運転者がスイッチ類を操作するのではなく、例えば、助手席の搭乗者が操作する場合であっても車両が走行中の場合には操作を禁止してしまい、必ずしも使い勝手が良いものと言えない場合もある。
【0005】
こうした現状に対し、車載用ディスプレイ等の車載装置のなかには、カメラで撮影した画像を処理することにより、車載装置の操作を行う者が、運転者かそれ以外の者かを判定し、車速等の情報を考慮した上で、車載装置における所定の機能を制限するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−67031号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明は、たとえ車両が走行中であっても、運転者以外の者による車載装置の操作を可能にするが、多くの機能を操作するためのスイッチ類の数を低減させることはできない。
【0007】
係る問題に鑑み、本発明は、運転者およびそれ以外の者が共用する入力手段による操作が運転者によるものか否かを判定し、その判定結果に基づいてスイッチ等の入力手段に割り当てられる機能を切り替える車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、第1の発明に係る車載装置は、当該車載装置を操作するため運転者と運転者でない者とが共用する操作入力手段と、該操作入力手段を介した操作が運転者によるか否かを判定する操作者判定手段と、該操作者判定手段が前記運転者によると判定した場合と、前記運転者でない者によると判定した場合とで、前記操作入力手段に割り当てられる機能を切り替える割り当て機能切り替え手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2の発明は、第1の発明に係る車載装置であって、前記割り当て機能切り替え手段により切り替えられる機能であって、前記運転者が使用制限を受ける機能が割り当てられる代替操作入力手段を備え、該代替操作入力手段は、前記操作入力手段が設置される場所より前記運転者に近い場所に設置されることを特徴とする。
【0010】
また、第3の発明は、第1または第2の発明に係る車載装置であって、第1視野角方向から視認することができる第1の画像と、該第1視野角方向と異なる第2視野角方向から視認することができる第2の画像とを同時に表示する表示手段を備え、前記割り当て機能切り替え手段は、前記第1の画像と前記第2の画像とが同じである場合に、前記操作入力手段に割り当てられる機能を同じにすることを特徴とする。
【0011】
また、第4の発明は、第3の発明に係る車載装置であって、前記割り当て機能切り替え手段は、前記第1の画像と前記第2の画像とが同じである場合に、前記操作入力手段に割り当てられる機能を、運転者が位置する方向から視認される画像に適した機能とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記手段により、本発明は、運転者およびそれ以外の者が共用する入力手段による操作が車両運転者によるものか否かを判定し、その判定結果に基づいてスイッチ等の入力手段に割り当てられる機能を切り替える車載装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1は、実施例1に係る車載装置の構成例を示す図である。車載装置1は、制御装置10、ディスプレイ21、スピーカ22およびエスカッションスイッチ23を有し、ナビゲーションシステム2、オーディオ装置3、テレビチューナー4、DVD(Digital Versatile Disc)ドライブ5、着座センサー6、接近センサー7、カメラ8およびステアリングスイッチ9に接続される。
【0015】
ナビゲーションシステム2は、自車の位置を地図データ上に表示して目的地までの走行を支援するシステムであり、人工衛星からの信号を受信して自車の経度、緯度および高度を測位するGPS(Grobal Positioning System)、地図情報等の電子データを記憶するHDD(Hard Disk Drive)並びに自立航法を支援するジャイロセンター等を備える。なお、表示する画像データは、ディスプレイ21に送信される。
【0016】
オーディオ装置3は、音声情報を制御する装置であり、アンプ、イコライザ等を備え、CD(Compact Disk)やFM放送等の音声情報をスピーカ22に出力する。
【0017】
テレビチューナー4は、アンテナを介して受信したテレビ画像データをディスプレイ21に表示し、音声情報をスピーカ22に出力する。
【0018】
DVDドライブ5は、DVDに記憶された映像情報をディスプレイ21に表示し、音声情報をスピーカ22に出力する。
【0019】
着座センサー6は、シートにかかる圧力を測定することでシートに着座する搭乗者の有無や着座姿勢を検出し、エアバッグの展開要否や展開出力を制御する。
【0020】
接近感知センサー7は、超音波や赤外線等を用いて操作入力手段であるエスカッションスイッチ23に接近する手を検知し、その手が運転者のものか助手席等に着座する運転者以外の搭乗者のものかを検出するためのセンサーである。
【0021】
カメラ8は、車室内の天井等に設置され、エスカッションスイッチ23の周りを撮影し、撮影した画像を処理してエスカッションスイッチに接近する手が運転者或いは助手席等に着座する搭乗者の何れの者の手かを検出するために使用される。
【0022】
ステアリングスイッチ9は、カーナビゲーションシステム等の操作入力を行うためにステアリングに配置されるスイッチであり、操作入力手段であるエスカッションスイッチ23に割り当てられる機能の一部または全部の機能が割り当てられる代替操作入力手段である。ステアリングスイッチ9は、ステアリング上に配置されるために、運転者がステアリングを握りながら操作入力でき、運転中のスイッチ操作をより安全にする。また、係る代替操作入力手段を有することで、運転者は、エスカッションスイッチ23を介しての操作が制限される機能を操作することができ、運転者以外の者が車両に搭乗していない場合であっても必要な操作を行うことができる。
【0023】
制御装置10は、操作者判定手段11および割り当て機能切り替え手段12を有し、ナビゲーションシステム2、オーディオ装置3、テレビチューナー4およびDVDドライブ5からのオーディオビジュアル情報を受信し、ディスプレイ21およびスピーカ22への出力を制御する。また、制御装置10は、操作者判定手段11にエスカッションスイッチ23を操作する者を判定させ、エスカッションスイッチ23に割り当てられる機能を操作者に応じて切り替えたり、ディスプレイ21およびスピーカ22から出力されるオーディオビジュアル情報を操作者に応じて制御したりする。また、ステアリングスイッチ9からの運転者による操作入力を受信し、ディスプレイ21およびスピーカ22を制御する。
【0024】
操作者判定手段11は、着座センサー6からの信号を受信して運転席や助手席等に着座している者が存在するか否かを検出し、かつ、接近感知センサー7やカメラ8からの信号を受信してエスカッションスイッチ23に接近する手が運転者のものか助手席等に着座する運転者以外の搭乗者のものかを検出して、操作者を判定する。例えば、操作者判定手段11は、着座センサー6が助手席への着座を認識しない場合には、仮に接近感知センサー7またはカメラ8が助手席側からエスカッションスイッチに接近する手を検出したときであっても、助手席からの操作入力であるとは判定しないようにする。なお、操作者判定手段11は、着座センサー6からの信号を用いず、接近感知センサー7またはカメラ8からの信号のみに基づいて操作者の判定を行ってもよい。
【0025】
応答機能切り替え手段12は、操作者判定手段11の判定結果に基づいて、エスカッションスイッチ23のそれぞれに割り当てられる機能を切り替える。例えば、応答機能切り替え手段12は、ナビゲーションシステムにおいて現在地を表示させるための機能と、FM文字多重放送を受信して交通情報を表示させるための機能とをエスカッションスイッチのうちの1つのスイッチに割り当て、操作者判定手段11が運転者の操作入力であると判定した場合には、現在地を表示させるためのスイッチとして機能させ、一方、操作者判定手段11が運転者以外の操作入力であると判定した場合には、FM文字多重放送を表示させるためのスイッチとして機能させる。
【0026】
ディスプレイ21は、地図情報、オーディオに関する情報、テレビやDVDの映像情報を表示する表示手段であり、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(ElectroLuminescence)ディスプレイ等である。
【0027】
また、ディスプレイ21は、1の視野角方向から視認することができる画像と、他の視野角方向から視認することができる画像とを同時に表示するデュアルビジョン機能を備えたディスプレイ(以下、「デュアルビジョン対応ディスプレイ」という。)であってもよい。例えば、ディスプレイ21は、運転者が運転席方向から閲覧する場合には地図情報が見えるようにし、同時に、運転者以外の者が助手席方向から閲覧する場合にはテレビ画像が見えるようにする。これは、運転席からディスプレイ21を見る角度と、助手席からディスプレイ21を見る角度との違いを利用したものである。
【0028】
スピーカ22は、音声出力装置であり、制御装置10の制御下、DVDデバイス等からの信号を受信して音声を出力する。ディスプレイ21がデュアルビジョン対応ディスプレイの場合、スピーカ22は、助手席側のスピーカからの出力と、運転席側のスピーカからの出力を異なるものにしてもよい。
【0029】
エスカッションスイッチ23は、ディスプレイ21の表示画面付近に配置されるハードボタン等の操作入力手段であり、LCD上に配置されるタッチパネルのソフトボタンであってもよい。また、エスカッションスイッチ23は、LCDとは分離してセンターコンソール等に配置されるタッチパネルのソフトボタンであってもよい。
【0030】
次に、実施例1に係るディスプレイ21について説明する。
【0031】
図2は、従来の車載装置と実施例1に係る車載装置との違いを説明する図である。ここでは、同じ部材に同じ参照番号が使用される。図2(A)は、従来のディスプレイ21’を示し、図2(C)は、実施例1に係る車載装置で使用されるディスプレイ21を示す。両ディスプレイ共に、中央部に表示部210、側部にエスカッションスイッチを有する。図2(B)は、従来のディスプレイ21’のエスカッションスイッチ23とそのスイッチに割り当てられた機能との対応を示す表である。スイッチ番号欄30にスイッチ番号が示され、機能欄31にそれぞれのスイッチに割り当てられた機能を示す。また、図2(D)は、実施例1に係るディスプレイ21のエスカッションスイッチ23とそのスイッチに割り当てられた機能との対応を示す表である。スイッチ番号欄40にスイッチ番号が示され、機能(運転者)欄41にスイッチ操作者が運転者の場合におけるそれぞれのスイッチに割り当てられた機能を、機能(運転者以外の者)欄42にスイッチ操作者が運転者以外の場合におけるそれぞれのスイッチに割り当てられた機能を示す。
【0032】
従来のディスプレイ21’は、エスカッションスイッチ23の数が12個あり、表示部210の横に左右対称に6個ずつ配置される。エスカッションスイッチ23は、運転者が操作入力しても、運転者以外の者が操作入力しても同じ機能が実行される。
【0033】
エスカッションスイッチ23には、図2(B)に示すように、スイッチ23に電源をオン・オフさせる機能、スイッチ23にオーディオ機器に関する情報を表示させる機能、スイッチ23にテレビやDVD等のモードを変更する機能、スイッチ23に音量調節機能、スイッチ23にFM文字多重放送を表示させる機能、スイッチ23に画質設定画面を表示させる機能、スイッチ23にカーナビゲーションシステムにおいて現在地を表示させる機能、スイッチ23にカーナビゲーションシステムにおいて目的地を表示させる機能、スイッチ23にカーナビゲーション、DVD、テレビ等のそれぞれにおけるメニュー画面を表示させる機能、スイッチ2310にカーナビゲーションシステムにおいて地図を拡大縮小させる機能、スイッチ2311にVICS(Vehicle Information and Communication Service)等の交通情報を表示させる機能、および、スイッチ2312にG−BOOKの画面を表示させる機能がそれぞれ割り当てられる。ここで、「モード」とは、テレビモード、DVDモード、ナビゲーションモード等、車載装置がどのような情報を表示しているかの状態をいう。
【0034】
一方、実施例1に係るディスプレイ21は、従来のディスプレイ21’に比べ、エスカッションスイッチ23の数が8個と少なく、各スイッチのサイズも大きく押し易いものとなっている。また、エスカッションスイッチ23は、運転者が操作入力した場合と、運転者以外の者が操作入力した場合とで、割り当てられている機能が切り替わる。なお、運転者が操作入力したか運転者以外の者が操作入力したかは操作者判定手段11が判定する。
【0035】
図2(D)に示すように、従来のディスプレイ21’におけるスイッチ23、23、23および2312は省略され、他のスイッチには、運転者が操作入力をする場合には、スイッチ23にG−BOOKの画面を表示させる機能、スイッチ23にVICS等の交通情報を表示させる機能、スイッチ23に音量調節機能、スイッチ23にカーナビゲーションにおけるメニュー画面を表示させる機能、スイッチ23にカーナビゲーションシステムにおいて現在地を表示させる機能、スイッチ23にカーナビゲーションシステムにおいて目的地を表示させる機能、および、スイッチ2310にカーナビゲーションシステムにおいて地図を拡大縮小させる機能がそれぞれ割り当てられる。
【0036】
また、運転者以外の者が操作入力をする場合には、上述の運転者が操作入力できる機能に加えて、スイッチ23に電源をオン・オフさせる機能、スイッチ23にオーディオ機器に関する情報を表示させる機能、スイッチ23にテレビやDVD等のモードを変更する機能、スイッチ23にFM文字多重放送を表示させる機能、スイッチ23に画質設定画面を表示させる機能が切り替え可能に割り当てられ、スイッチ2311は、これら機能を切り替えるスイッチとして使用される。
【0037】
この場合、運転者は、これら切り替え可能に割り当てられる機能の一部を、エスカッションスイッチを介して操作入力することができないが、代替操作入力手段であるステアリングスイッチ9を介して操作入力することができる。これにより、たとえ、運転者以外の者が同乗していない場合であっても、運転者は必要な操作入力を行うことができる。
【0038】
次に、車載装置1が各スイッチに割り当てられる機能を切り替える処理について説明する。
【0039】
図3は、車載装置1が各スイッチに割り当てられる機能を切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
【0040】
先ず、操作者判定手段11は、接近感知センサー7等からの信号に基づいて、エスカッションスイッチ23を操作入力する者を判定する(ステップS1)。操作者判定手段11は、操作入力する者が運転者であると判定した場合に(ステップS1のYES)、割り当て機能切り替え手段12をしてエスカッションスイッチ23のそれぞれに割り当てられる機能を運転者用に切り替えさせる(ステップS2)。運転者用に割り当てられた機能とは、例えば、図2(D)の機能(運転者)欄41に規定される機能である。
【0041】
一方、操作者判定手段11は、操作入力する者が運転者以外の者であると判定した場合に(ステップS1のNO)、割り当て機能切り替え手段12をしてエスカッションスイッチ23のそれぞれに割り当てられる機能を運転者以外の者用に切り替えさせる(ステップS2)。運転者以外の者用に割り当てられた機能とは、例えば、図2(D)の機能(運転者以外の者)欄42に規定される機能である。
【0042】
なお、車載装置1は、操作者判定手段11が一旦判定をした場合には、その判定結果を所定の期間にわたって有効としてもよく、或いは、スイッチが操作入力される度に随時判定を行ってもよい。
【0043】
これにより、車載装置1は、スイッチを操作入力する者を判定することにより、車両が走行中の場合であっても、運転者による所定の操作入力を適切に制限しながら、運転者以外の者がすべての操作入力を行えるようにすることができる。また、1つのスイッチに複数の機能を割り当てられることにより、スイッチの数を低減し、かつ、スイッチの大きさや配置の自由度を向上させることができる。
【0044】
さらに、ステアリングスイッチ9のような代替操作入力手段を備えることにより、運転者以外の者が搭乗せず運転者が一人で運転するような場合であっても、運転者は、上述の切り替え可能に割り当てられる機能を操作入力することができる。
【実施例2】
【0045】
実施例2の車載装置は、デュアルビジョン対応ディスプレイを有し、他の構成は、図1に示す実施例1に係る車載装置1と同様である。以下、実施例2の車載装置がエスカッションスイッチ23のそれぞれに割り当てられる機能を切り替える処理について説明する。
【0046】
図4は、実施例2の車載装置が各スイッチに割り当てられる機能を切り替える処理の流れを示すフローチャートである。ここで、実施例2の車載装置は、デュアルビジョン対応ディスプレイを備えているため、運転者が視認する画面表示と、助手席に搭乗する者(以下、「助手席搭乗者」という。)が視認する画面表示と、が異なる場合がある。例えば、デュアルビジョン対応ディスプレイ21は、運転者に対してナビゲーションシステムによる地図情報を表示し、助手席搭乗者に対してテレビ画像を表示する。係る場合、運転者が操作入力するエスカッションスイッチ23はナビゲーションシステムにおける地図情報に関するものである必要があり、一方、搭乗者が操作入力するエスカッションスイッチ23はテレビ放送に関するものである必要がある。
【0047】
そこで、実施例2に係る車載装置は、操作者判定手段11が運転者を判定した場合には、運転者が視認していた画面表示に関する機能をエスカッションスイッチに割り当て、助手席搭乗者を判定した場合には、助手席搭乗者が視認していた画面表示に関する機能をエスカッションスイッチに割り当てる。なお、運転者および助手席搭乗者は、モードスイッチ等により、テレビ、DVD、オーディオ、交通情報または地図情報等の画面を切り替えることができる。
【0048】
先ず、操作者判定手段11は、接近感知センサー7やカメラ等からの信号に基づいて、エスカッションスイッチ23を操作入力する者を判定する(ステップS11)。操作者判定手段11は、操作入力する者が運転者であると判定した場合に(ステップS11のYES)、割り当て機能切り替え手段12をしてエスカッションスイッチ23のそれぞれに割り当てられる機能を運転者が視認していた画面表示に適するものに切り替えさせる(ステップS12)。一方、操作者判定手段11は、操作入力する者が助手席搭乗者であると判定した場合に(ステップS11のNO)、割り当て機能切り替え手段12をしてエスカッションスイッチ23のそれぞれに割り当てられる機能を助手席搭乗者が視認していた画面表示に適するものに切り替えさせる(ステップS13)。
【0049】
また、運転者が視認していた画面表示と、助手席搭乗者が視認していた画面表示とが同じである場合には、エスカッションスイッチ23のそれぞれに割り当てられる機能を共通とし、原則的には運転者が視認していた画面表示に対応するものとする。同じ画面表示であるにもかかわらず、各スイッチに割り当てられる機能が異なると混同を生じるおそれがあるためであり、また、助手席搭乗者が存在せず運転者のみが乗車している場合であって、両方向への画面表示が同じである場合にも運転者がエスカッションスイッチ23を適切に使用できるようにするためである。なお、実施例1に示すように、運転者と助手席搭乗者が同じ画面表示を見ている場合であっても、入力操作が複雑な機能等に関しては、各スイッチに割り当てる機能を切り替えるようにし、運転者による操作入力を一部制限するようにしてもよい。
【0050】
このように、実施例2に係る車載装置は、スイッチを操作入力する者を判定し、スイッチに割り当てられる機能をその操作入力を行った者が視認していた画面表示に適した機能に切り替えることにより、スイッチの数を低減し、かつ、スイッチの大きさや配置の自由度を向上させることができる。
【実施例3】
【0051】
実施例3の車載装置は、運転者による操作入力であっても、車両が走行中の場合でなければ、運転者以外の者に許容されるのと同様の操作入力を許容する。また、実施例3の車載装置の構成は、図1に示す車載装置1と同じであり、エスカッションスイッチ23と、各スイッチに割り当てられる機能との関係も図2(C)および(D)に示すものと同じである。
【0052】
図5は、実施例3の車載装置が各スイッチに割り当てられる機能を切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
【0053】
先ず、操作者判定手段11は、接近感知センサー7やカメラ等からの信号に基づいて、エスカッションスイッチ23を操作入力する者を判定する(ステップS21)。操作者判定手段11は、操作入力する者が運転者であると判定した場合に(ステップS21のYES)、車両が走行中であるか否かを図示しない車速センサーの信号に基づいて判定し(ステップS22)、車両が走行中であると判定した場合に(ステップS22のYES)、割り当て機能切り替え手段12をしてエスカッションスイッチ23のそれぞれに割り当てられる機能を運転者用に切り替えさせる(ステップS23)。車両が走行中でないと判定したときには(ステップS22のNO)、割り当て機能切り替え手段12をしてエスカッションスイッチ23のそれぞれに割り当てられる機能を運転者以外の者用に切り替えさせる(ステップS24)。操作者判定手段11は、操作入力する者が運転者以外の者であると判定した場合にも(ステップS21のNO)、割り当て機能切り替え手段12をしてエスカッションスイッチ23のそれぞれに割り当てられる機能を運転者以外の者用に切り替えさせる(ステップS24)。
【0054】
これにより、実施例3の車載装置は、スイッチを操作入力する者を判定し、運転者による所定の操作入力を制限する手段を備えながらも、車両が走行中でない場合には、運転者にも運転者以外の者同様、エスカッションスイッチ23を介してすべての操作入力を行えるようにすることにより、操作性を向上させることができる。
【実施例4】
【0055】
実施例4の車載装置は、操作入力を行う者を判定し、操作入力を行う者にかかわらず同じモードを表示させるスイッチが操作入力された場合であっても、そのモードにおける初期画面を操作入力する者に適した画面に切り替える。また、実施例4の車載装置の構成は、図1に示す車載装置1と同じであり、エスカッションスイッチ23と、各スイッチに割り当てられる機能との関係も図2(C)および(D)に示すものと同じである。
【0056】
図6は、実施例4の車載装置が操作入力する者に応じて所定のモードの初期画面を切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
先ず、操作者判定手段11は、接近感知センサー7やカメラ等からの信号に基づいて、G−BOOKを呼び出す機能が割り当てられたスイッチ23を操作入力する者を判定する(ステップS31)。操作者判定手段11は、操作入力する者が運転者であると判定した場合に(ステップS31のYES)、割り当て機能切り替え手段12をしてスイッチ23が操作入力されたときに表示されるG−BOOKの初期画面を交通情報画面に切り替えさせる(ステップS32)。一方、操作者判定手段11は、操作入力する者が運転者以外の者であると判定した場合に(ステップS31のNO)、割り当て機能切り替え手段12をしてスイッチ23が操作入力されたときに表示されるG−BOOKの初期画面をアミューズメント画面に切り替えさせる(ステップS32)。
【0058】
これにより、実施例4の車載装置は、G−BOOK等の所定のモードにおいて初期画面だけを操作入力した者に適した画面にさせたい場合に、「G−BOOK交通情報画面」や「G−BOOKアミューズメント画面」のようにモードは同じであって初期画面のみを切り替えるためのスイッチを用意する必要なく、操作入力をした者を判定することにより操作入力した者に適した初期画面を表示させることができる。その結果、スイッチの数を低減し、かつ、スイッチの大きさや配置の自由度を向上させることができる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0060】
例えば、上述の実施例は、ナビゲーションシステム等のディスプレイを有する車載用表示装置に関するものを説明するが、エアコン装置等、スイッチ類を共用とし、自席付近での風向や温度調整等は、運転者とそれ以外の者とが互いに独立して設定させるような車載装置等、表示画面を有さない車載装置にも適用可能である。
【0061】
また、上述の実施例では、運転者による操作入力であるか運転者以外の者による操作入力であるかを判定するが、必ずしも運転者以外の者の操作入力であることを判定する必要はなく、運転者の操作入力でないことさえ検出できれば足りる。従って、操作者判定手段による判定は、運転者以外の者による操作入力であることの判定は行わず、操作入力が運転者によるか否かのみに基づいて行われてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明に係る車載装置の構成例を示す図である。
【図2】従来の車載装置と本発明に係る車載装置との違いを説明する図である。
【図3】本発明に係る車載装置が各スイッチに割り当てられる機能を切り替える処理の流れを示すフローチャート(その1)である。
【図4】本発明に係る車載装置が各スイッチに割り当てられる機能を切り替える処理の流れを示すフローチャート(その2)である。
【図5】本発明に係る車載装置が各スイッチに割り当てられる機能を切り替える処理の流れを示すフローチャート(その3)である。
【図6】本発明に係る車載装置が操作入力する者に応じて所定のモードの初期画面を切り替える処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 車載装置
2 ナビゲーションシステム
3 オーディオ装置
4 テレビチューナー
5 DVDドライブ
6 着座センサー
7 接近感知センサー
8 カメラ
9 ステアリングスイッチ
10 制御装置
11 操作者判定手段
12 割り当て機能切り替え手段
21、21’ ディスプレイ
22 スピーカ
23 エスカッションスイッチ
30、40 スイッチ番号欄
31、41、42 機能欄
210 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該車載装置を操作するために運転者と運転者でない者とが共用する操作入力手段と、
該操作入力手段を介した操作が運転者によるか否かを判定する操作者判定手段と、
該操作者判定手段が前記運転者によると判定した場合と、前記運転者でない者によると判定した場合とで、前記操作入力手段に割り当てられる機能を切り替える割り当て機能切り替え手段と、
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記割り当て機能切り替え手段により切り替えられる機能であって、前記運転者が使用制限を受ける機能が割り当てられる代替操作入力手段を備え、
該代替操作入力手段は、前記操作入力手段が設置される場所より前記運転者に近い場所に設置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
第1視野角方向から視認することができる第1の画像と、該第1視野角方向と異なる第2視野角方向から視認することができる第2の画像とを同時に表示する表示手段を備え、
前記割り当て機能切り替え手段は、前記第1の画像と前記第2の画像とが同じである場合に、前記操作入力手段に割り当てられる機能を同じにする、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記割り当て機能切り替え手段は、前記第1の画像と前記第2の画像とが同じである場合に、前記操作入力手段に割り当てられる機能を、運転者が位置する方向から視認される画像に適した機能とする、
ことを特徴とする請求項3に記載の車載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−145283(P2007−145283A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345830(P2005−345830)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
2.G−BOOK
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】