説明

車載電子制御装置

【課題】新たな制御装置を必要としないで燃料タンクの減圧処理が行え、フィラーキャップを開放したときに燃料タンクから燃料蒸発ガスが放散しないようにする車載電子制御装置を提供する。
【解決手段】車両運転時に電源スイッチ103が閉路されたことによって付勢される電源リレー102を介して給電される車載電子制御装置100Aが併用され、電源スイッチ103が開路された車両停止時においてフィラーリッド開放指令スイッチ104が閉路すると電源リレー102が付勢され、作動開始したマイクロプロセッサ10は自己保持指令出力DR1を発生して電源リレー102の付勢を持続するとともに、燃料タンク内の減圧処理制御を行なってから安全扉であるフィラーリッドを開放し、手動操作でフィラーキャップの開放と給油作業を行い、フィラーキャップとフィラーリッドが閉鎖されるか、又は所定時間の経過によって自己保持指令出力DR1を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、給油時における燃料蒸発ガスの放散を防止する燃料蒸発防止機能を包含した車載電子制御装置、特に、給油口を閉鎖するフィラーキャップや安全扉であるフィラーリッドの締め忘れに対し、車載バッテリの過放電を防止する車載電子制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車載エンジンの燃料を貯蔵した車載の燃料タンクにおいて、給油を行うときに燃料タンクの給油口に設けられたフィラーキャップを開放することに伴って、燃料タンク内に蓄積した蒸発燃料が大気放出されるのを防止する様々な手段が用いられている。
例えば、特許第2538101号公報(特許文献1)によれば、フィラーキャップと該フィラーキャップに対する安全扉であるフィラーリッドのそれぞれに対して開閉状態を検出するスイッチを設けるとともに、燃料タンクとキャニスタとを接続するエバポチューブにチェックバルブとバイパス用のソレノイドバルブを設けている。そして、車両走行中でフィラーキャップとフィラーリッドが共に閉鎖されているときと、給油中でフィラーキャップとフィラーリッドが共に開放されているときには、ソレノイドを付勢してソレノイドバルブを閉弁し、給油に際してまずフィラーリッドが開放されて、まだフィラーキャップが開放されていない過渡期間においてはソレノイドを消勢してソレノイドバルブを開弁するようになっている。その結果、燃料タンク内の蒸発燃料がバイパス通路からエバポチューブを経てキャニスタに導出され、フィラーキャップを開いた場合に燃料タンク内の圧力によって蒸発燃料が大気に放出されることがなく、大気汚染を防止できるようになっている。
【0003】
また、特許第2962166号公報(特許文献2)によれば、給油に先だって給油スイッチが操作されると、電子制御ユニットの制御下で、燃料タンクとキャニスタ間を接続するパイプに設けられた電磁弁が開くと共に、コンプレッサが作動して、燃料タンク内の燃料蒸発ガスがパイプを介してリザーバ内に送り込まれる。その後、圧力センサにより検出される燃料タンク内圧が大気圧以下になると、電磁弁が閉じると共にコンプレッサが作動停止し、フィラーリッド開放用モータが駆動されてフィラーリドが開放され、給油が可能となるようになっている。その結果、給油時における燃料タンクからの燃料蒸発ガスの放出を防止できるようになっている。
【0004】
また、特許第4567534号公報(特許文献3)によれば、エンジンを制御するエンジンコントロールモジュールとは個別に設けられ、燃料供給系に設けられた電装品を制御する燃料系コントロールモジュールである車両の制御装置は、エンジンの停止状態において、給油キャップ又はフューエルヒラーリッドが開かれているかどうかによって前記燃料タンクへの給油要求の有無を判断する。そして、給油要求がないときに低消費電力モードに移行し、給油要求が発生すると通常モードに復帰して、前記電磁弁を開いて給油可能状態とすべく駆動信号を出力するとともに、前記燃料タンクへの給油要求状態が所定時間以上継続したときに、強制的に低消費電力モードに移行するようになっている。低消費電力モードでは制御出力は発生しないが、CPUのクロック周波数を低下させるとともに、外部信号の読込み処理や通信機能を行う部分のみを動作させたりすることで、マイクロコンピュータを低消費電力状態とするモードとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2538101号公報(請求項1、図1)
【特許文献2】特許第2962166号公報(請求項2、段落0022、図1)
【特許文献3】特許第4567534号公報(請求項1〜3、段落0022、0023、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記特許文献1による燃料タンク装置は、フィラーリッド及びフィラーキャップが閉鎖されて、本来はフィラーリッドスイッチ及びフィラーキャップスイッチの双方が閉路していなければならない状態で、フィラーリッドスイッチ又はフィラーキャップスイッチの一方に接触不良が発生するとソレノイドを消勢し、ソレノイドバルブが常時開弁されるというフェールセーフ上の問題点がある。
【0007】
また、フィラーリッド及びフィラーキャップが閉鎖されていて、フィラーリッドスイッチ及びフィラーキャップスイッチの双方が正常に閉路しているときには、一対のリレーとソレノイドが付勢されてソレノイドバルブが常時閉弁されるようになっていて、車両の駐車状態において一対のリレーとソレノイドに対して負荷電流が流れて車載バッテリの過放電が発生する節電上の問題点がある。なお、電源スイッチが開路されているときに、一対のリレーやソレノイドに対する給電を行わないようにした場合には上記節電上の問題は解消するが、電源スイッチが開路されている状態で給油を行うためには、電源スイッチが開路されていても一対のリレーやソレノイドに対する給電が可能となるようにしておく必要があり、節電上の問題は解消できない構成となっている。
【0008】
また、前記特許文献2による燃料蒸散防止装置は、フィラーリッド開放指令スイッチやフィラーリッド開放検出スイッチ、或いは各種の電磁弁やフィラーリッド開放モータが電子制御ユニットの管理下で制御されるようになっているので、車両の駐車状態では給油作業は行えない問題点がある。但し、電子制御ユニットは、イグニッションキーがオン位置にある間、および、イグニッションキーがオフ操作されてから少なくとも所定期間(最大給油時間よりも十分に長い時間)が経過するまでは作動状態にあって、燃料蒸散防止制御用プログラムが実行されるようにはなっているが、所定時間を経過した後に給油作業を行いたいときには、一旦イグニッションキーをオン位置にする必要がある。従って、所定時間は十分に余裕のある時間でなければ、給油作業中に電源が切れるおそれがあり、長時間にわたって電子制御ユニットに無為に給電する必要がある。従って、電子制御ユニットにマイクロプロセッサを内蔵させる場合には、プログラムメモリの容量が小さくて低速動作を行う低消費電力型のマイクロプロセッサを使用する必要がある。
【0009】
また、前記特許文献3による車両の制御装置は、同じ入出力信号を取り扱う2種類のコントロールモジュールが使用されて相互に信号交信を行う必要があるとともに、燃料系コントロールモジュールは2モードで動作する複雑なマイクロプロセッサを必要とし、たとえ低消費電力モードとは言え、常時給電しておく必要のあるモジュールが増加する問題がある。なお、エンジンコントロールモジュールは通常は燃料蒸散検出のための低消費電力のソークタイマ回路を内蔵し、このソークタイマ回路は車載バッテリから常時給電されるようになっている。
【0010】
この発明は、上記のような問題点を解決することを目的とするものであって、新たな制御装置を必要としないで燃料タンクの減圧処理が行え、フィラーキャップを開放したときに燃料タンクから燃料蒸発ガスが放散しないようにする車載電子制御装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明による車載電子制御装置は、車両運転用の電源スイッチが閉路したときに、車
載バッテリから直接付勢される電源リレーの出力接点を介して給電され、車載センサ群の動作状態に応動して少なくとも燃料噴射用電磁弁を含む電気負荷群を駆動制御するマイクロプロセッサを備えた車載電子制御装置であって、
前記マイクロプロセッサと協働するとともに、車両運転用の入出力制御手段となる制御プログラムに加えて、遮断用タイマを包含した減圧処理手段となる制御プログラムを格納したプログラムメモリを備え、
前記電源リレーは、フィラーリッド開放指令スイッチ又はフィラーリッド開放検出スイッチの少なくとも一方が閉路することによって、前記電源スイッチが閉路されていない車両停止状態において前記車載バッテリから付勢トランジスタを介して直接付勢され、前記フィラーリッド開放検出スイッチの閉路状態が所定の制限期間を超過して持続すると付勢しないように時限付勢されるとともに、直接付勢されて前記マイクロプロセッサが作動開始すると、前記マイクロプロセッサの発生する自己保持指令出力によって自己保持付勢が行われ、
前記フィラーリッド開放検出スイッチは、燃料タンクに連通する燃料パイプの開口端を封鎖するフィラーキャップの外面に配置されたフィラーリッドの開閉状態に応動し、フィラー開放アクチェータの駆動又は手動操作によって前記フィラーリッドが全開又は半開又は閉鎖ロックが解除されて、前記フィラーキャップを手動開閉できる状態であるときに閉路し、
前記減圧処理手段は、前記フィラーリッド開放指令スイッチ又は前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路すると、少なくとも一旦は前記燃料タンクと蒸散燃料を吸着するキャニスタとの間に設けられた密閉弁開放用電磁弁を開放付勢して、前記燃料タンク内の気圧を前記キャニスタを介して大気開放するとともに、前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路してから所定時間が経過するか、又は前記燃料タンク内の気圧が大気圧に接近した所定の閾値範囲となったことを検出してから、前記フィラー開放アクチェータを有する場合には該フィラー開放アクチェータを開放駆動し、
給油完了に伴って前記フィラーキャップと前記フィラーリッドとが閉鎖されたこと、及び前記密閉弁開放用電磁弁が消勢密閉されていることによって前記自己保持指令出力を停止するか、前記自己保持指令出力が停止したことに伴って前記密閉弁開放用電磁弁を消勢密閉し、
前記遮断用タイマは、前記フィラーリッド開放指令スイッチ又は前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路してから所定の遮断用閾値時間を経過しても、前記フィラーリッドが閉鎖されないときに前記自己保持指令出力を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明による車載電子制御装置は、電源スイッチが閉路されて車両運転時に入出力制御動作を行うマイクロプロセッサを利用して、電源スイッチが開路された車両停止状態においても該マイクロプロセッサを作動させて、フィラーリッド開放指令スイッチ又はフィラーリッド開放検出スイッチの動作に応動して燃料タンク内の気圧を大気開放する密閉弁開放用電磁弁を開放付勢してから、フィラーキャップの手動開放が行われ、給油完了に伴って前記フィラーキャップとフィラーリッドが手動閉鎖される前後において密閉弁開放用電磁弁を消勢密閉するようになっている。従って、新たな制御装置を必要としないで燃料タンクの減圧処理が行えて、フィラーキャップを開放したときに燃料タンクから蒸発燃料が流出しないようにすることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】この発明の実施の形態1による車載電子制御装置の全体回路ブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による車載電子制御装置の入出力周辺機器の概略構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1による車載電子制御装置の動作説明用のフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1による車載電子制御装置の動作説明用のフローチャートである。
【図5】この発明の実施の形態1による車載電子制御装置の動作説明用のフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1による車載電子制御装置の全体動作説明用タイムチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2による車載電子制御装置の全体回路ブロック図である。
【図8】この発明の実施の形態2による車載電子制御装置の周辺機器の概略構成図である。
【図9】この発明の実施の形態3による車載電子制御装置の全体回路ブロック図である。
【図10】この発明の実施の形態3による車載電子制御装置のサブCPUの動作説明用フローチャートである。
【図11】この発明の実施の形態3による車載電子制御装置のメインCPUの動作説明用フローチャートである。
【図12】この発明の実施の形態3による車載電子制御装置のメインCPUの動作説明用フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明による車載電子制御装置の好適な実施の形態について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態により発明が限定されるものではなく、諸種の設計的変更を含むものである。
【0015】
実施の形態1
以下、この発明の実施の形態1による車載電子制御装置の全体回路ブロック図である図1について説明する。
図1において、密閉筐体内に収納されている車載電子制御装置100Aは、例えば車載エンジン制御装置であって、マイクロプロセッサ10を主体として構成されている。このマイクロプロセッサ10は、負端子がグランド回路GNDとなる車体に接続された車載バッテリ101から、電源リレー102の出力接点102aを介して電源電圧Vbとなる電源が供給され、図示しない接続コネクタを介して外部接続された車載センサ群106の動作状態と、後述のプログラムメモリ11Aに格納された制御プログラムの内容に応動して車載電気負荷群107を駆動制御する。
【0016】
電源スイッチ103とフィラーリッド開放指令スイッチ104、およびフィラーリッド開放検出スイッチ105aは、一端が車載バッテリ101に接続されて、それぞれが後述の付勢トランジスタ118aを介して電源リレー102の励磁コイル102bを付勢するようになっている。
【0017】
なお、フィラーリッド開放検出スイッチ105aは、図2で後述するフィラーリッド203が半開状態であって手動操作によって全開可能である状態、又は全開状態において閉路するスイッチであるのに対し、一端がグランド回路GNDに接続されているフィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bは、フィラーリッド203が閉鎖され、フィラーキャップ202の締め忘れがない状態で閉路するスイッチである。
【0018】
車載センサ群106は、例えばアクセルペダルの踏込み度合やスロットル弁開度を検出するアナログセンサや、車速やエンジン回転速度を検出するための開閉センサを包含しているとともに、図2で後述する燃料タンク200内の気圧を測定するタンク圧力センサ6
1、キャニスタ210の大気開放通路に設けられた減圧ポンプ75の上流位置におけるポンプ圧力センサ62、燃料タンク200内の燃料量を測定するレベルセンサ63を包含している。
【0019】
また、車載電気負荷群107は、例えば点火コイル(ガソリンエンジンの場合)や燃料噴射用電磁弁77やスロットル弁開度の制御用モータなど、車載エンジンを駆動制御する機器を包含するとともに、図2で後述するフィラー開放アクチェータ71、密閉弁開放用電磁弁72、切換用電磁弁73、パージ用電磁弁74、減圧ポンプ75、開放禁止報知器76や、これ等の電気負荷に給電する負荷電源リレー70を備え、この負荷電源リレー70が付勢されるとその出力接点70aを介して車載バッテリ101から車載電気負荷群107への給電が可能となるようになっている。
【0020】
車載電子制御装置100Aの内部にあって、主電源回路112は車載バッテリ101から電源リレー102の出力接点102aを介して給電され、例えばDC5Vの安定化された出力電圧である主制御電源電圧Vcc1を発生し、主制御回路部110Aに給電する。主制御回路部110Aは、マイクロプロセッサ10、例えば不揮発フラッシュメモリであるプログラムメモリ11A、演算処理用の揮発性のRAMメモリ12、不揮発性のデータメモリ13、多チャンネルAD変換器14、直並列変換器15が相互にバス接続されて構成されている。なお、プログラムメモリ11Aは、図3〜図5で後述する入出力制御手段111aと、給油優先手段538を包含したリーク検出制御手段111bと、遮断用タイマ422を包含した減圧処理手段111cと、退避処理手段111dとなる制御プログラムが格納されている。
【0021】
副電源回路122は、車載バッテリ101から直接給電されて、例えばDC5Vの安定化された出力電圧である副制御電源電圧Vcc2を発生し、副制御回路部120Aに給電するとともに、主制御回路部110A内のRAMメモリ12は、ダイオード16a、16bを介して副制御電源電圧Vcc2と主制御電源電圧Vcc1の双方から給電されるようになっている。
【0022】
副制御回路部120Aは、直並列変換器15とシリアル接続された直並列変換器25と、例えばハードウエアで構成された長時間タイマであるソークタイマ28bを備え、ソークタイマ28bの設定値レジスタ又は現在値レジスタ28aに対して目標となる覚醒時間がマイクロプロセッサ10から送信設定され、マイクロプロセッサ10の停止直前に送信された計時開始指令信号STAによって計時動作を開始し、例えば5時間後にタイムアップして覚醒指令信号出力DR2を発生するようになっている。
【0023】
駆動抵抗113cと直列ダイオード113dは互いに直列接続されて、電源スイッチ103と付勢トランジスタ118aのベース端子との間に接続されているとともに、論理反転素子113eは、電源スイッチ103が閉路したときに論理レベル「L」となる電源スイッチ閉路信号IGSLをマイクロプロセッサ10に入力するようになっている。
【0024】
駆動抵抗114cと直列ダイオード114dは互いに直列接続されて、フィラーリッド開放指令スイッチ104と付勢トランジスタ118aのベース端子との間に接続されているとともに、論理反転素子114eは、フィラーリッド開放指令スイッチ104が閉路したときに論理レベル「L」となるフィラー開指令信号FOSLをマイクロプロセッサ10に入力するようになっている。
【0025】
駆動抵抗115cと直列ダイオード115dは、互いに直列接続されて、フィラーリッド開放検出スイッチ105aと付勢トランジスタ118aのベース端子との間に接続されているとともに、論理反転素子115eは、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが
閉路したときに論理レベル「L」となるフィラー開検出信号FODLをマイクロプロセッサ10に入力するようになっている。
【0026】
フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bはプルアップ抵抗115hを介して電源電圧Vbが印加され、理反転素子115gは、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bが閉路したときに論理レベル「H」となるフィラー閉検出信号FCDHをマイクロプロセッサ10に入力するようになっている。
【0027】
駆動抵抗118cと直列ダイオード118dは互いに直列接続されて、マイクロプロセッサ10が発生する自己保持指令出力DR1と付勢トランジスタ118aのベース端子との間に接続されている。
【0028】
駆動抵抗128cと直列ダイオード128dは互いに直列接続されて、覚醒指令信号出力DR2と付勢トランジスタ118aのベース端子との間に接続されている。
【0029】
付勢トランジスタ118aは、エミッタ端子がグランド回路GNDに接続されたNPN型トランジスタであり、そのコレクタ端子は電源リレー102の励磁コイル102bと直列接続され、ベース端子とエミッタ端子との間には開路安定抵抗118bが接続されている。
【0030】
入力インタフェース回路116は、車載センサ群106のそれぞれの入力信号に対して接続されて、マイクロプロセッサ10に対してセンサ入力信号INPを供給するものであり、アナログ信号及び開閉信号に対する仲介回路であって、信号電圧レベルの変換やノイズフィルタ機能を備えている。また、出力インタフェース回路117は、マイクロプロセッサ10が発生する負荷駆動信号OUTに応動する複数のパワートランジスタによって構成され、各パワートランジスタの出力端子には車載電気負荷群107の中の各電気負荷が個別に接続されるようになっている。
【0031】
時限付勢回路119Aは、フィラーリッド開放検出スイッチ105aを介して車載バッテリ101から給電されてラッチ回路を構成するPNP型のトランジスタである第1トランジスタ90aと、NPN型のトランジスタである第2トランジスタ91a、第3トランジスタ92aを包含している。第1駆動抵抗90bは、第1トランジスタ90aのコレクタ端子と第2トランジスタ91aのベース端子間に接続されて第2トランジスタ91aを導通駆動し、第2駆動抵抗91bは、第2トランジスタ91aのコレクタ端子と第1トランジスタ90aのベース端子間に接続されて第1トランジスタ90aを導通駆動する。また、第3駆動抵抗92bは、第1トランジスタ90aのコレクタ端子と第3トランジスタ92aのベース端子間に接続されて第3トランジスタ92aを導通駆動する。そして、駆動抵抗93cと直列ダイオード93dは、互いに直列接続されてマイクロプロセッサ10が発生するシャットダウン指令SHDによって、第2トランジスタ91aと第3トランジスタ92aを導通駆動するようになっている。
【0032】
なお、第1から第3のトランジスタ90a、91a、92aのエミッタ端子とベース端子間には第1から第3の開路安定抵抗90c、91c、92cが接続されている。また、第3トランジスタ92aのコレクタ端子はフィラーリッド開放検出スイッチ105aと直列接続された駆動抵抗115cと直列ダイオード115dとの接続点に接続されているとともに、モニタ回路抵抗115fを介してマイクロプロセッサ10へモニタ信号MNIを入力するようになっている。
【0033】
次に、図1における入出力周辺機器の概略構成図である図2について説明する。
図2において、燃料タンク200には、タンク内の気圧を測定するタンク圧力センサ6
1と、タンク内の燃料量を測定するレベルセンサ63が設けられている。燃料タンク200に連通した燃料パイプ201の開口部は、フィラーキャップ202で封鎖され、フィラーキャップ202の外面には安全扉であるフィラーリッド203が設けられている。
【0034】
フィラーリッド203は、リッド支軸204aに巻回された蓄勢ばね204bに抗しながら手動閉鎖されて、閉鎖ロック機構205によって閉鎖ロックがかかり、この閉鎖ロック機構205は図示しないリモートワイヤによって手動解除されて、蓄勢された開放ばねによって半開状態となり、手動操作で全開されるものであるが、リモートワイヤに付加されたフィラー開放アクチェータ71によって閉鎖ロックを解除することもできるようになっている。
【0035】
フィラーリッド開放検出スイッチ105aは、フィラーリッド203の閉鎖ロックがフィラー開放アクチェータ71又は手動操作によって解除され、フィラーリッド203が半開ないし全開の状態にあるときに閉路するスイッチである。また、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bは、フィラーリッド203が閉鎖され、しかもフィラーキャップ202の締め忘れがない状態で閉路するスイッチである。
【0036】
蒸発燃料を吸着するための例えば活性炭フィルタを内蔵したキャニスタ210は、チェックバルブ211を設けたベーパ通路によって燃料タンク200と連通し、燃料タンク200内の気圧が所定値を超過するとチェックバルブ211が開弁して、蒸発燃料を包含した空気がキャニスタ210に流入するようになっている。キャニスタ210によって浄化された空気は、後述の切換用電磁弁73と減圧ポンプ75を介して大気に開放されるとともに、キャニスタ210で分離された蒸発燃料はパージ用電磁弁74を含むパージ通路を介してエンジンの吸気管に連結され、負圧によって気筒内に吸引されて燃焼するようになっている。
【0037】
燃料タンク200とキャニスタ210間に連通するバイパス通路には密閉弁開放用電磁弁72が設けられ、密閉弁開放用電磁弁72を給電付勢するとバイパス通路が開通して、チェックバルブ211が開弁していなくても蒸発燃料を包含した空気がキャニスタ210へ流入するようになっている。
【0038】
キャニスタ210の大気開放通路には、切換用電磁弁73とポンプ圧力センサ62、および減圧ポンプ75が設けられ、切換用電磁弁73が消勢されているときには減圧ポンプ75によってキャニスタ210内の空気が減圧されるようになっている。しかし、切換用電磁弁73を給電付勢するとリーク検出の基準となるオリフィス220側に切換り、減圧ポンプ75はオリフィス220から流入する大気を吸引するようになっている。
【0039】
なお、オリフィス220は、燃料タンク220に対する漏洩許容細口に相当した流路細口を持ち、減圧ポンプ75を駆動してオリフィス220から大気を吸引した場合のポンプ圧力センサ62の測定値を比較基準値として使用するようになっている。密閉弁開放用電磁弁72と切換用電磁弁73を共に給電付勢してから減圧ポンプ75を駆動すると、燃料タンク200内の空気が減圧ポンプ75によって吸引され、ポンプ圧力センサ62の測定値は燃料タンク200及び関連する配管通路による漏洩細口の大きさによって変化し、漏洩細口が大きいと十分な負圧が得られないので、オリフィス220を用いた比較基準値と対比することによって許容された漏洩細口未満であるかどうかを判定することができるようになっている。
【0040】
以下、図1のとおり構成された実施の形態1による車載電子制御装置について、図3〜図5で示すフローチャートと、図6で示すタイムチャートを用いて作用動作の詳細を説明する。
まず、図1、図2について概括説明を行なうと、車両の運転に当たって電源スイッチ103を閉路すると、駆動抵抗113cと直列ダイオード113dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給され、付勢トランジスタ118aが導通する。これによって電源リレー102の励磁コイル102bが付勢され、電源リレー102の出力接点102aが閉路する。そして、車載電子制御装置100A内の主電源回路112に給電され、主制御電源電圧Vcc1が主制御回路部110Aに印加されてマイクロプロセッサ10が動作を開始し、車載センサ群106の動作状態と、プログラムメモリ11Aに予め書込まれている入出力制御手段111aとなる制御プログラムの内容に応動して、例えば燃料噴射用電磁弁や点火コイル、或いはスロットル弁開度制御用モータなどの車載電気負荷群107の駆動制御が行われる。
【0041】
マイクロプロセッサ10が一旦動作を開始すると、マイクロプロセッサ10が発生する自己保持指令出力DR1から駆動抵抗118cと直列ダイオード118dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給され、電源リレー102はマイクロプロセッサ10によって自己保持付勢されるようになっている。
【0042】
車両停止によって電源スイッチ103が開路されると、電源リレー102は自己保持指令出力DR1によって持続付勢されてマイクロプロセッサ10には持続給電が行われ、この持続給電期間において退避処理手段111dとなる制御プログラムが実行される。この制御プログラムの実行により、例えばRAMメモリ12に格納されていた運転中の学習情報や異常発生情報を不揮発性のデータメモリ13に転送退避したり、ソークタイマ28bに対する計時開始指令信号STAの送信を行うなどの処理が完了してから自己保持指令出力DR1が解除され、電源リレー102が消勢されて出力接点102aが開路するようになっている。
【0043】
なお、この持続給電期間は、例えば0.1秒以下の短時間であるのに対し、ソークタイ
マ28bが覚醒指令信号出力DR2を発生するのは、計時開始指令信号STAを受信するか又はマイクロプロセッサ10が作動停止してから例えば5時間後のエンジンが十分に冷却された時期である。
【0044】
電源スイッチ103が開路された駐車状態において、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、駆動抵抗114c、115cと直列ダイオード114d、115dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給されて電源リレー102が付勢される。そして、マイクロプロセッサ10が起動されて自己保持指令出力DR1を発生するとともに、後述の減圧処理手段111cとなる制御プログラムが実行され、給油完了に伴ってフィラーリッド203が手動閉鎖されるか、又は例えば20分である遮断用閾値時間T1が経過すると自己保持指令出力DR1が解除されて電源リレー102は消勢される。
【0045】
但し、フィラーリッド203の締め忘れによってフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したままである場合には、マイクロプロセッサ10が発生するシャットダウン指令SHDが論理レベル「H」となることによって第2、第3トランジスタ91a、92aが導通駆動される。その結果として第1トランジスタ90aも導通駆動され、第1トランジスタ90aは第2、第3トランジスタ91a、92aに対して第1、第3駆動抵抗90b、92bを介してベース電流を供給し、第2トランジスタ91aは第2駆動抵抗91bを介して第1トランジスタ90aのベース電流を供給する。
【0046】
従って、シャットダウン指令SHDが解除されても第1、第2トランジスタ90a、91aによってラッチ回路が構成されて相互に導通状態が維持されており、第1トランジスタ90aから第2駆動抵抗92bを介して導通駆動される第3トランジスタ92aは、フィラーリッド開放検出スイッチ105aから付勢トランジスタ118aに至るベース電流の供給を遮断するようになっている。その結果、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路されたままであっても電源リレー102が付勢持続されることがない。但し、フィラーリッド203を閉じてフィラーリッド開放検出スイッチ105aが一旦開路されると、第1、第2トランジスタ90a、91aによる記憶状態が解除され、再度フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すれば、駆動抵抗115cと直列ダイオード115dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給されるようになっている。なお、シャットダウン指令SHDによって時限付勢回路119Aが正常に作動して、遮断トランジスタである第3トランジスタ92aが導通維持しているかどうかは、モニタ信号MNIによってマイクロプロセッサ10が監視するようになっている。
【0047】
図2において、フィラーキャップ202は紛失防止のために図示しないチェーンでフィラーリッド203の内部に固定されており、フィラーキャップ202を取り付けなければフィラーリッド203を閉じることができないようになっている。また、フィラーキャップ202が確実に燃料パイプ201の給油口に装着されていないときには、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bが閉路できないように構成されている。
【0048】
図1において、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bはグランド回路GNDに接続され、電源リレー102の出力接点102aが閉路したときに有効となるシンク回路に設けられている。これに対し、フィラーリッド開放指令スイッチ104とフィラーリッド開放検出スイッチ105aは車載バッテリ101に接続されたソース回路に設けられているので、電源リレー102を付勢することができるとともに、電源リレー102が消勢されていても時限付勢回路119Aの動作状態を維持することができるようになっている。
【0049】
次に、図3において、工程300aでは電源スイッチ103が閉路されるか、又はフィラーリッド開放指令スイッチ104かフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路されるか、或いは覚醒指令信号出力DR2が論理レベル「H」になったことによって、付勢トランジスタ118aに対する導通指令が発生し、続く工程300bによって電源リレー102が作動すると、続く工程301によってマイクロプロセッサ10が動作を開始するようになっている。
【0050】
続く工程302aは、電源スイッチ閉路信号IGSLを監視することによって電源スイッチ103が閉路されているのかどうかを判定し、閉路されていればYESの判定を行って工程303へ移行し、閉路されていなければNOの判定を行って中継端子Aを経由して図4の工程420へ移行する判定ステップである。
【0051】
工程303では自己保持指令出力DR1を発生してから工程304へ移行する。工程304は、フィラー閉検出信号FCDHを監視することによってフィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bが閉路されているのかどうかを判定し、閉路されていればYESの判定を行って工程ブロック305aへ移行し、閉路されていなければNOの判定を行って工程ブロック305bへ移行する判定ステップである。
【0052】
工程ブロック305aではエンジンの始動制御、燃料噴射制御、点火制御、スロットル弁開度の制御などのエンジン制御を行ないながら定期的に工程302bへ移行するようになっている。
【0053】
工程ブロック305bでは工程ブロック305aと同様の入出力制御が行われるが、エンジンの始動制御が禁止され、既にエンジンが回転中である場合には少なくとも異常報知が行われるようになっている。
【0054】
工程302bは、工程ブロック305a又は工程ブロック305bに続いて実行され、工程302aと同様に電源スイッチ閉路信号IGSLを監視することによって電源スイッチ103が開路されているのかどうかを判定し、開路されていなければNOの判定を行って動作終了工程310へ移行し、開路されていればYESの判定を行って工程ブロック311へ移行する判定ステップである。
【0055】
動作終了工程310では他の制御プログラムを実行し、例えば10msec以下の所定時間内には再度動作開始工程301が活性化され、電源スイッチ103が閉路されている場合には工程302a、工程303、工程304、工程ブロック305a又は305b、工程302b、工程310、工程301を循環しながら自己保持指令出力DR1の発生持続と、工程ブロック305aによる入出力制御、又は工程ブロック305bによる異常処理と入出力制御が行われるようになっている。
【0056】
工程302bの判定がYESであって電源スイッチ103が開路されている場合、又は後述する図4の工程423b、又は後述する図5の工程530、工程536から中継端子Cを介して活性化される工程ブロック311では、RAMメモリ12に格納されていた運転中の学習情報や異常発生情報を不揮発性のデータメモリ13に転送退避してから工程312へ移行する。
【0057】
工程312は、リーク検出の要否を判定し、リーク検出を行う場合にはYESの判定を行って工程313へ移行し、直近の過去にリーク検出が行われていて、今回はリーク検出が不要である場合にはNOの判定を行って工程314へ移行する判定ステップである。
【0058】
工程313ではソークタイマ28bに対する覚醒時間の設定送信と計時開始指令信号STAの送信を行ってから工程314へ移行する。工程314では工程303又は後述する図4の工程421a、又は後述する図5の工程531で発生した自己保持指令出力DR1を解除するとともに、マイクロプロセッサ10が自ら作動停止し、その結果として工程315において電源リレー102が消勢されるようになっている。なお、工程302aから工程302bに至る一連の工程ブロック111aは車両運転中の入出力制御手段となるものであり、工程ブロック311から工程314に至る一連の工程ブロック111dは退避処理手段となるものである。
【0059】
次に、図4において、図3の工程302aの判定がNOであって電源スイッチ103が開路されているときに、中継端子Aを介して活性化される工程420は、フィラー開指令信号FOSLとフィラー開検出信号FODLとモニタ信号MNIを監視することにより、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路されていてしかもモニタ信号MNIの論理レベルが「H」であるかどうか、又はフィラーリッド開放指令スイッチ104が閉路されているかどうかを判定し、どちらかでも閉路していればYESの判定を行って工程421aへ移行し、閉路していなければNOの判定を行って工程421cへ移行する判定ステップである。
【0060】
工程421aでは自己保持指令出力DR1を発生してから工程421bへ移行し、工程421bでは給油処理を開始したことを記憶してから工程422へ移行し、工程422では工程421aで発生した自己保持指令出力DR1が最長発生期間である遮断用閾値時間T1に達したかどうかを計時するための遮断用タイマを計時開始させてから工程423aへ移行する。
【0061】
工程421cは、工程421bが給油処理の開始を記憶しているかどうかを判定し、給油処理中であればYESの判定を行って工程423aへ移行し、給油処理中でなければNOの判定を行って中継端子Bを介して後述する図5の工程530へ移行する判定ステップ
であり、フィラーリッド開放指令スイッチ104によって一旦給油処理を開始すると、フィラーリッド開放指令スイッチ104が開路しても工程423a以降の工程が実行されるようになっている。
【0062】
工程423aは、工程422で起動された遮断用タイマがタイムアップしたかどうかを判定し、所定の遮断用閾値時間T1を経過していないときにはNOの判定を行って工程424aへ移行し、タイムアップしたときはYESの判定を行って工程423bへ移行する判定ステップである。
【0063】
工程423bでは工程424bで駆動された開放禁止報知器76を駆動停止し、工程425b又は工程425cで駆動された密閉弁開放用電磁弁72を消勢密閉するとともに、工程425bで駆動された減圧ポンプ75を停止する。そして、工程426bで駆動されたフィラー開放アクチェータ71を停止し、工程421bで記憶した給油処理開始記憶を解除してから中継端子Cを介して図3の工程ブロック311へ移行し、給油処理開始記憶が解除されると工程421cによる判定はNOになる。
【0064】
工程424aは、フィラー開検出信号FODLを監視することによってフィラーリッド開放検出スイッチ105aがすでに閉路しているかどうかを判定し、閉路していればYESの判定を行って工程424bへ移行し、閉路していなければNOの判定を行って工程425aへ移行する判定ステップである。工程424bでは例えば給油口の近傍に設置されたLED表示器であるフィラーキャップ202の開放禁止報知器76を点滅駆動してから工程425aへ移行する。
【0065】
工程425aは、燃料タンク200内に設置されたタンク圧力センサ61の検出出力が、大気圧に接近した所定の閾値範囲に低下したかどうかを判定し、大気開放が完了していなければNOの判定を行って工程425bへ移行し、大気開放が完了すればYESの判定を行って工程425cへ移行する判定ステップである。
【0066】
工程425bでは密閉弁開放用電磁弁72を給電付勢することによって燃料タンク200とキャニスタ210との間を連通するバイパス通路を開通するとともに、減圧ポンプ75を駆動して動作終了工程310へ移行する。但し、燃料タンク200内のリーク検出を行なっている最中に給油作業が開始されて、燃料タンク200内の気圧が負圧になっているときには減圧ポンプ75は駆動されないようになっている。また、減圧ポンプ75を駆動すれば燃料タンク200内の気圧を速やかに低下させることができるが、必ずしも減圧ポンプ75を駆動しなければならないわけではなく、特にフィラー開放アクチェータ71を備え、減圧完了まではフィラーリッド203が開放しない構成である場合には減圧ポンプ75の駆動を省略することも可能である。
【0067】
動作終了工程310へ移行すると、図3の工程301、工程302a、中継端子Aから図4の工程420、工程421c、工程423a、工程424a、工程425a、工程425b、工程310に至る循環ループが構成され、やがて燃料タンク200内の気圧が低下すると工程425aがYESの判定を行って循環ループを脱出し、圧力が低下する前に工程423aがYESの判定を行うと循環ループを脱出して図3の工程ブロック311へ移行するようになっている。
【0068】
タンク圧力が低下したときに実行される工程425cでは、密閉弁開放用電磁弁72を消勢又は継続付勢するとともに、減圧ポンプ75を停止して工程426aへ移行する。なお、タンク圧力が一旦低下した後は密閉弁開放用電磁弁72を消勢密閉してもよいが、給油作業の開始が遅れて燃料キャップ202が遅れて開放された場合を想定すれば、密閉弁開放用電磁弁72だけは付勢開弁しておくのが望ましい。
【0069】
工程426aは、工程424aと同様にフィラー開検出信号FODLを監視することによってフィラーリッド開放検出スイッチ105aがすでに閉路しているかどうかを判定し、閉路していればYESの判定を行って工程426cへ移行し、閉路していなければNOの判定を行って工程426bへ移行する判定ステップである。
【0070】
工程426bではフィラー開放アクチェータ71を駆動してから動作終了工程310へ移行する。動作終了工程310へ移行すると、図3の工程301、工程302a、中継端子Aから図4の工程420、工程421c、工程423a、工程424a、工程425a、工程425c、工程426a、工程426b、工程310に至る循環ループが構成される。そして、やがてフィラーリッド203が開放されると工程426aがYESの判定を行って循環ループを脱出して工程426cへ移行し、フィラーリッド203が開放される前に工程423aがYESの判定を行うと循環ループを脱出して図3の工程311ブロックへ移行するようになっている。
【0071】
工程426cでは工程424bで駆動されたフィラーキャップ202の開放禁止報知器76の駆動を停止することによって開放許可を報知してから工程427aへ移行する。工程427aではフィラーキャップ202を手動開放して給油作業を行い、給油完了に伴ってフィラーキャップ202とフィラーリッド203を閉鎖する一連の手動操作が行われるが、マイクロプロセッサ10の制御動作としては工程426aがYESの判定を行うか、又は工程426cに続いて直ちに工程427bへ移行するようになっている。
【0072】
工程427bは、フィラー閉検出信号FCDHを監視することによってフィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bが閉路されたかどうかを判定し、閉路していればYESの判定を行って工程428へ移行し、閉路していなければNOの判定を行って動作終了工程310へ移行する判定ステップである。
【0073】
動作終了工程310へ移行すると、図3の工程301、工程302a、中継端子Aから図4の工程420、工程421c、工程423a、工程424a、工程425a、工程425c、工程426a、工程426c、工程427b、工程310に至る循環ループが構成される。そして、やがてフィラーリッド203が閉鎖されると工程427bがYESの判定を行って循環ループを脱出して工程428へ移行し、フィラーリッド203が閉鎖される前に工程423aがYESの判定を行うと循環ループを脱出して図3の工程ブロック311へ移行するようになっている。なお、フィラーリッド203の閉鎖検出はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが開路したかどうかによって判定することもできるが、確実に閉鎖されたかどうかを判定するためにはフィラーリッド203が閉鎖されたときに閉路するフィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bを用いるのが望ましい。
【0074】
工程428では時限付勢回路119Aに対するシャットダウン指令SHDを発生してから工程429aへ移行し、工程429aでは工程425cで付勢された密閉弁開放用電磁弁72を消勢閉鎖してから工程429bへ移行し、工程429bでは工程421bで記憶した給油処理開始記憶を解除してから動作終了工程310へ移行し、給油処理開始記憶が解除されると工程421cによる判定はNOになる。
【0075】
給油完了によって工程429bを経て動作終了工程310へ移行すると、マイクロプロセッサ10は他の制御プログラムを実行してから所定の繰返し時間後には図3の動作開始工程301が活性化され、この時点で電源スイッチ103が開路され、フィラーリッド開放指令スイッチ104とフィラーリッド開放検出スイッチ105aとが開路していれば、図3の工程302aの判定はNOであり、これに続く図4の工程420と工程421cの判定もNOであるため、中継端子Bを介して図5の工程530へ移行する。なお、工程4
28は工程421a以降であって、工程423aがYESの判定を行うまでのどの時点に設けてもよく、要は電源リレー102が自己保持動作を行ってから、遮断用タイマによって自己保持動作が解除されるまでの任意の時期に時限付勢回路119Aを駆動すればよいようになっている。
【0076】
また、後述の図7で説明する実施の形態2の場合には、時限付勢回路119Bが使用されていて、工程428によるシャットダウン指令SHDを発生する必要がないようになっている。
【0077】
工程420から工程429bに至る一連の工程ブロック111cは減圧処理手段となるものであり、工程422は遮断用タイマの起動工程を示している。
【0078】
次に、図5において、電源スイッチ103が開路され、しかもフィラーリッド開放指令スイッチ104とフィラーリッド開放検出スイッチ105aが開路しているのにマイクロプロセッサ10が動作を行っている場合は工程530が実行される。
【0079】
工程530は、副制御回路部120Aからリーク検出指令を受信しているかどうかを判定し、受信していればYESの判定を行って工程531へ移行し、受信していなければNOの判定を行って中継端子Cを介して図3の工程ブロック311へ移行するようになっている。
【0080】
工程531では自己保持指令出力DR1を発生してから工程532へ移行し、工程532では覚醒指令信号出力DR2の停止指令を送信してから工程533aへ移行し、工程533aではリーク検出を実行開始してから完了するまでの正常な時間に見合ったリーク検出時間Tbの監視タイマを起動してから工程533bへ移行する。
【0081】
工程533bは、工程533aで起動された監視タイマによる経時時間が所定の測定時間を超過したかどうかを判定し、超過すればYESの判定を行って工程538へ移行し、時間超過していなければNOの判定を行って工程534へ移行する判定ステップである。
【0082】
工程534は、フィラー閉検出信号FCDHを監視することによってフィラーリッド203が閉鎖されたかどうかを判定し、フィラーリッド203が閉鎖されていればYESの判定を行って工程ブロック535へ移行し、閉鎖されていなければNOの判定を行って工程538へ移行する判定ステップである。
【0083】
工程ブロック535は燃料タンク200の機密性を点検するためのリーク検出工程であり、具体的には図6において後述する。
【0084】
続く工程536は、工程ブロック535の実行過程で定期的に活性化され、リーク検出が完了したかどうかを判定して、完了であればYESの判定を行って中継端子Cを介して図3の工程ブロック311へ移行し、未完了であればNOの判定を行って工程537へ移行する判定ステップである。
【0085】
工程537は、図4の工程420と同様にフィラー開指令信号FOSLとフィラー開検出信号FODLとモニタ信号MNIを監視することによってフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路されていてしかもモニタ信号MNIの論理レベルが「H」であるかどうか、又はフィラーリッド開放指令スイッチ104が閉路されているかどうかを判定し、どちらかでも閉路していればYESの判定を行って工程538へ移行し、閉路していなければNOの判定を行って工程533bへ復帰移行する判定ステップである。
【0086】
工程538は,工程ブロック535によるリーク点検を中断停止して、減圧ポンプ75の駆動停止、切換用電磁弁73の駆動停止、密閉弁開放用電磁弁72の消勢密閉を行ってから動作終了工程310へ移行する。
【0087】
なお、リーク点検が中断されてから図3の動作開始工程301が活性化されると、図3の工程302aから図4の工程420へ移行し、工程420がYESの判定を行うことによって減圧処理手段111cが実行され、減圧処理が完了すると再び図5の工程530へ移行してリーク点検が再度実行されるようになっている。
【0088】
図4と図5において中継端子Cを介して図3の工程ブロック311へ移行するのは、減圧処理が時間超過による強制完了であった場合(工程423aの判定がYES)と、リーク点検指令が発生していない場合(工程530の判定がNO)、又はリーク点検の正常完了(工程536がYESの判定)を行った場合であって、いずれも減圧処理やリーク点検を続行できない状態であるか正常完了した場合である。この場合、図3の工程ブロック311において異常履歴の保存処理が行われ、工程313によって次回の覚醒時間の設定を行ってから工程314によって自己保持指令出力DR1の解除とマイクロプロセッサ10の停止が行われるようになっている。なお、図4の工程425aではタンク圧力センサ61によって燃料タンク200内の圧力が所定値以下に低下したかどうかを判定するようになっているが、タンク圧力センサ61を持たない車両の場合には、工程425bによる減圧処理を開始してからの経過時間を測定し、当該経過時間が所定時間を経過したことによってタンク圧力が所定値以下に低下したであろうことを推定することも可能である。
【0089】
次に、図3から図5で示したフローチャートの全体動作概要を示すタイムチャートである図6について説明する。
図6(A)において、図形601は電源スイッチ103が閉路されている期間を示しており、この閉路期間は車両運転時間Tdで示されている。
【0090】
図6(B)は電源リレー102及び負荷電源リレー70が付勢されている期間を示しており、図形602aは電源スイッチ103が閉路されたことによって付勢され、図形602bは図6(F)で示したフィラーリッド開放指令スイッチ104が閉路したことによって付勢され、図形602cは図6(H)で示した覚醒指令信号出力DR2が発生したことによって付勢されるようになっている。
【0091】
図6(C)は図6(B)によって電源リレー102が付勢されたことに伴ってマイクロプロセッサ10が動作を開始し、応答遅延時間ΔTをおいて発生する自己保持指令出力DR1の状態を示しており、図6(B)の図形602a、602b、602cに対応した図形603a、603b、603cによって出力発生期間を示している。なお、この応答遅延時間ΔTは例えば0.1秒以下の微小時間であって、この間にマイクロプロセッサ10
はRAMメモリ12の初期化処理を実行するようになっている。
【0092】
図6(D)において、図形604は図3の入出力制御手段111aが実行されている期間を示しており、この期間はマイクロプロセッサ10が作動開始してから電源スイッチ103が開路されるまでの期間となっている。
【0093】
図6(E)は図3の退避処理手段111dが実行されている期間を示しており、退避処理時間Teは例えば0.1秒以下の微小時間であり、退避処理の完了に伴って図6(C)
で示された自己保持指令出力DR1が解除され、図6(B)で示した電源リレー102と負荷電源リレー70が消勢されるようになっている。なお、図形605aは図6(A)で示された電源スイッチ103の開路に対応した退避処理期間を示し、図形605bは図6(G)で後述する給油処理の完了時の退避処理期間を示し、図形605cは図6(H)か
ら図6(N)で示したリーク検出の一連の工程が完了したときの退避処理期間を示している。
【0094】
図6(F)において、図形606はフィラーリッド開放指令スイッチ104が閉路された期間を示している。
【0095】
図6(G)において、図形607は図形606によってフィラーリッド開放指令スイッチ104が閉路されたことに伴って、図4の減圧処理手段111cが実行されている給油処理期間Tcを示している。この給油処理期間Tcには、後述する図6(J)の図形609aで示す密閉弁開放用電磁弁72の開放付勢、後述する図6(M)の図形612aで示す減圧ポンプ75の駆動による燃料タンク200の減圧処理、後述する図6(K)の図形510で示すフィラー開放アクチェータ71の駆動、フィラーキャップ202の手動開放、燃料の手動供給、フィラーキャップ202及びフィラーリッド203の手動閉鎖が行われるが、給油作業が遅れたり、フィラーキャップ202やフィラーリッド203の締め忘れがあると、所定の遮断用閾値時間T1を限度として減圧処理手段111cの実行が完了し、給油処理期間Tcの完了に伴って図形605bで示す退避処理手段111dが実行される。
【0096】
図6(H)において、図形608は図形601によって電源スイッチ103が開路され、所定の覚醒時間Tuが経過したことに伴って、覚醒指令信号出力DR2が発生したことを示しており、以降において図5のリーク検出制御手段111bが実行されるが、図形608と図形605cとの間のリーク点検時間Tbは点検上限時間T2で規制されている。
【0097】
図6(J)は密閉弁開放用電磁弁72の駆動状態を示したものであり、前述した図形609aは給油処理期間Tcに相当し、図形609bは後述するリーク点検時間Tbの中での駆動期間を示している。
【0098】
図6(K)において、図形510は前述した給油処理期間Tcの中でのフィラー開放アクチェータ71の駆動期間を示している。
【0099】
図6(L)において、図形611は切換用電磁弁73を駆動して、図2の大気開放通路をオリフィス220側に切換えている期間を示している。
【0100】
図6(M)において、図形612aは前述した図形606に対応した減圧ポンプ75の駆動期間を示し、図形612bは図形611に対応した減圧ポンプ75の駆動期間を示し、図形612cは図形611による切換用電磁弁73の駆動が解除されて、図2の大気開放通路がキャニスタ210側に切換った後の減圧ポンプ75の駆動期間を示している。
【0101】
図6(N)は図2の大気開放通路に設けられたポンプ圧力センサ62によって検出された負圧の波形を示しており、図形611と図形612bに対応する波形613aは切換用電磁弁73が駆動されてオリフィス220から大気を吸引した場合の大気開放通路の圧力変化を示し、時間の経過に伴って圧力は低下し、やがて第1の飽和負圧PR1の値に収斂する。
【0102】
マイクロプロセッサ10は、第1の飽和負圧PR1の値を記憶してから切換用電磁弁73を消勢し、図6(J)の図形609bで示す密閉弁開放用電磁弁72の開放付勢を行うとともに、引き続いて図形612cによって減圧ポンプ75を駆動してキャニスタ210を介して燃料タンク200から空気を吸引する。その結果、波形613aで示すとおり、ポンプ圧力センサ62の検出出力は一旦上昇した後に第2の飽和負圧PR2に収斂下降する。
【0103】
マイクロプロセッサ10は、第2の飽和負圧PR2の値を読出してから減圧ポンプ75と密閉弁開放用電磁弁72の駆動を停止するとともに、第2の飽和負圧PR2が第1の飽和負圧PR1よりも絶対値として大きな負圧となっていれば燃料タンク200は正常であり、絶対値として小さな負圧であれば漏洩細口が基準値よりも大きいとする判定してから図形605cで示す退避処理を行って、判定結果を記憶保存するようになっている。
【0104】
以上詳細説明したように、実施の形態1による車載電子制御装置は、車両運転用の電源スイッチ103が閉路したときに、搭載されたマイクロプロセッサ10が不作動であっても、車載バッテリ101から直接付勢される電源リレー102の出力接点102aを介して給電され、車載センサ群106の動作状態に応動して少なくとも燃料噴射用電磁弁77を含む車載電気負荷群107を駆動制御するマイクロプロセッサ10を備えた車載電子制御装置100Aであって、マイクロプロセッサ10と協働するプログラムメモリ11Aには車両運転用の入出力制御手段111aとなる制御プログラムに加えて、遮断用タイマ422を包含した減圧処理手段111cとなる制御プログラムが格納されている。
【0105】
電源リレー102は、電源スイッチ103の代替となるフィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aの少なくとも一方が閉路すると、電源スイッチ103が閉路されていない車両停止状態においても直接付勢されるとともに、フィラーリッド開放検出スイッチ105aの閉路状態が所定の制限期間T0を超過して持続すると電源リレー102の付勢は行わないように時限付勢が行われる。そして、電源リレー102が直接付勢されてマイクロプロセッサ10が作動開始すると、マイクロプロセッサ10が正常動作していることにより発生する自己保持指令出力DR1によって電源リレー102の自己保持付勢が行われる。
【0106】
フィラーリッド開放検出スイッチ105aは、燃料タンク200に連通する燃料パイプ201の開口端を封鎖するフィラーキャップ202の外面に配置された安全扉であるフィラーリッド203が、フィラー開放アクチェータ71又は手動操作によって全開又は半開されてフィラーキャップ202を手動開閉できる状態であるときに閉路するスイッチである。
【0107】
フィラー開放アクチェータ71は、フィラーリッド203の全開又は半開を行うか、又はフィラーリッド203の閉鎖ロックを解除して半開状態にするモータ又は電磁石で、減圧処理手段111cは、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、少なくとも一旦は燃料タンク200と蒸散燃料を吸着するキャニスタ210との間に設けられた密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢することによって、燃料タンク200内の気圧をキャニスタ210を介して大気開放する。そして、所定時間が経過するか又は車載センサ群106の一部であるタンク圧力センサ61によって検出された燃料タンク200内の気圧が大気圧に接近した所定の閾値範囲となったことを検出してから、フィラー開放アクチェータ71を有する場合にはフィラー開放アクチェータ71を開放駆動し、給油完了に伴ってフィラーキャップ202とフィラーリッド203とが手動閉鎖されたこと、及び密閉弁開放用電磁弁72が消勢密閉されていることによって自己保持指令出力DR1を停止するか、又は自己保持指令出力DR1が停止したことに伴って密閉弁開放用電磁弁72が消勢密閉される。
【0108】
遮断用タイマ422は、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路してから所定の遮断用閾値時間T1を経過してもなお、フィラーリッド203が閉鎖されないときに自己保持指令出力DR1を停止するようになっている。
【0109】
減圧処理手段111cは、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、少なくとも一旦は燃料タンク200と蒸散燃料を吸着するキャニスタ210との間に設けられた密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢することによって、燃料タンク200内の気圧をキャニスタ210を介して大気開放する。そして、所定時間が経過するか又は車載センサ群106の一部であるタンク圧力センサ61によって検出された燃料タンク200内の気圧が大気圧に接近した所定の閾値範囲となったことを検出してから、フィラーリッド203を手動開放するものである場合にはフィラーリッド203の開放許可報知器を駆動するか、又は密閉弁開放用電磁弁72の開放付勢に伴って駆動されていた開放禁止報知器76の駆動停止を行なうようになっている。
【0110】
このように、フィラー開放アクチェータ71が使用されない場合には、フィラーリッド203が手動開放されてから燃料タンク200の減圧処理が完了するまでは、フィラーキャップ202の開放禁止報知器76を作動させるか、又は減圧処理が完了してからフィラーキャップ202の開放許可報知器が作動するようになっている。
【0111】
従って、フィラー開放アクチェータ71が異常となってフィラーリッド203の開放が行えないとき、又はフィラー開放アクチェータ71を備えていないものであっても、フィラーキャップ202を開放したときに燃料タンク200から蒸発燃料が流出しないようにすることができる。
【0112】
また、フィラーリッド203は、フィラー開放アクチェータ71又は手動操作により閉鎖ロック状態が解除され、手動開放が可能となった半開以上の状態でフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路し、電源リレー102は、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したことによって所定の制限期間T0の期間内において直接付勢される。そして、マイクロプロセッサ10は、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したときに、少なくとも一旦は燃料タンク200内の圧力が大気圧に接近した所定の閾値範囲に低下するまでは密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢する。所定の制限期間T0は、電源リレー102が付勢されてマイクロプロセッサ10が正常動作を開始するまでの応答遅延時間ΔT以上であって、遮断用タイマ422の設定時間である所定の遮断用閾値時間T1以下となっている。
【0113】
このように、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したことに応動して所定の制限期間T0において電源リレー102が直接付勢され、マイクロプロセッサ10によって少なくとも密閉弁開放用電磁弁72の開放付勢と消勢閉鎖が行われるようになっている。
【0114】
従って、フィラーリッド203を閉め忘れた場合にはフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したままであっても、電源リレー102の直接付勢回路が所定の制限時間T0をおいて無効となって、所定の遮断用閾値時間T1内に自己保持指令出力が解除されたことによって電源リレー102が消勢され、密閉弁開放用電磁弁72の密閉消勢が行われる。
【0115】
また、電源リレー102の励磁コイル102bは付勢トランジスタ118aを介して車載バッテリ101から給電駆動され、付勢トランジスタ118aには電源スイッチ103、フィラーリッド開放指令スイッチ104、フィラーリッド開放検出スイッチ105a、自己保持指令出力DR1のそれぞれから、駆動抵抗113c、114c、115c、118cと直列ダイオード113d、114d、115d、118dを介して導通駆動信号が供給される。
【0116】
そして、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると時限付勢回路119A
に給電され、時限付勢回路119Aは所定の制限期間T0の任意の時期にマイクロプロセッサ10が出力するシャットダウン指令SHDの発生を第1、第2トランジスタ90a、91aによるラッチ回路で記憶して、第3トランジスタ92aによってフィラーリッド開放検出スイッチ105aに接続された前記駆動抵抗115cと直列ダイオード115dによる付勢トランジスタ118aに対する導通駆動信号を遮断する。第1、第2トランジスタ90a、91aによるラッチ回路は、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが開路したことによってリセットされるようになっている。
【0117】
このように、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したことに応動して電源リレー102が付勢された場合、所定の制限期間T0の経過に伴って時限付勢回路が動作して、フィラーリッド開放検出スイッチ105aによる電源リレー102の直接付勢回路を遮断するようになっている。
【0118】
従って、フィラーリッド203を閉め忘れた場合には、電源リレー102の付勢回路が無効となって、所定の遮断用閾値時間T1内に電源リレー102が消勢され、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したままであっても再度電源リレー102が付勢されることはなく、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが一旦開路して時限付勢回路に対する給電が停止されることによって初期状態に復帰することができる。
【0119】
実施の形態2.
次に、この発明の実施の形態2による車載電子制御装置の全体回路ブロック図である図7について、図1で説明した実施の形態1との相違点を中心にして説明する。なお、図7において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示している。
図7において、車載電子制御装置100Bの外部には図1の場合と同様に、車載バッテリ101、電源リレー102、電源スイッチ103、フィラーリッド開放指令スイッチ104、フィラーリッド開放検出スイッチ105a、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105b、車載センサ群106、車載電気負荷群107が接続されている。
【0120】
車載電子制御装置100Bの内部には図1の場合と同様に、主電源回路112から給電される主制御回路部110Bと、副電源回路122から常時給電される副制御回路部120Bが設けられ、電源リレー102を付勢する付勢トランジスタ118aの駆動回路や入力インタフェース回路116、出力インタフェース回路117も同様に設けられている。但し、マイクロプロセッサ10が発生する自己保持指令出力DR1に代わって、ウォッチドッグタイマ18が発生する出力許可信号OUTEが自己保持指令出力として使用され、駆動抵抗118cと直列ダイオード118dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流を供給するようになっている。
【0121】
主制御回路部110Bは図1のものと同様に、マイクロプロセッサ10とプログラムメモリ11Bと、RAMメモリ12、データメモリ13、多チャンネルAD変換器14、直並列変換器15が相互にバス接続されて構成されている。プログラムメモリ11Bは実施の形態1の図3〜図5で前述した入出力制御手段111aと、給油優先手段538を包含したリーク検出制御手段111bと、遮断用タイマ422を包含した減圧処理手段111cと図示しない退避処理手段となる制御プログラムが格納されている。
【0122】
マイクロプロセッサ10は、パルス間隔が所定値以下となるパルス列信号であるウォッチドッグ信号WDSを発生する。そして、ウォッチドッグタイマ18は、ウォッチドッグ信号WDSのパルス幅を監視して、所定の周期以下であれば出力許可信号OUTEの論理レベルを「H」とし、所定の周期を超えると出力許可信号OUTEの論理レベルを「L」にするとともに、リセット信号RSTを発生してマイクロプロセッサ10を初期化して再起動するようになっている。
【0123】
時限付勢回路119Bは、フィラーリッド開放検出スイッチ105aと駆動抵抗115cとの間に直列接続されたPNP型のトランジスタである遮断用トランジスタ95a、該遮断用トランジスタ95aのベース回路に直列接続された充電抵抗95bとコンデンサ95c、遮断用トランジスタ95aのエミッタ端子とベース端子間に接続された開路安定抵抗95d、コンデンサ95cに並列接続されて該コンデンサ95cの充電電荷を急速放電する放電トランジスタ96a、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが開路されたときに、放電トランジスタ96aのベース電流が流れるベース抵抗96b、駆動抵抗115cと電源リレー102を付勢する付勢トランジスタ118aのベース端子との間に接続された直列ダイオード115d、によって構成されている。そして、遮断用トランジスタ95aのコレクタ端子は、モニタ回路抵抗115fと図示しない分圧抵抗を介してマイクロプロセッサ10のモニタ信号MNIとして入力されるようになっている。
【0124】
次に、図7における入出力周辺機器を構成するフィラーリッドの開閉機構の詳細を図8によって説明する。
図8において、燃料パイプ201の開口端である給油口は、車体の外装板金部材230から突出しており、フィラーキャップ202によって封鎖されている。フィラーリッド203は、外装板金部材230に固定されたリッド支軸204aによって一端が回動可能に軸承され、リッド支軸204aに巻回された蓄勢ばね204bによって開放方向に回動するように付勢されている。
【0125】
フックレバー206aはフィラーリッド203の内面に固定されたレバー支軸206bに対して回動可能に軸承され、一端はフィラーキャップ202の外周部に係合するとともに、他端は閉鎖ばね207によって回動駆動される。これによりフックレバー206aのフックがフィラーキャップ202の外周部に係合するようになっている。
【0126】
フックレバー206aの他端は開放ロッド208を介してフィラー開放アクチェータ71と開放ワイヤ209に連結され、フィラー開放アクチェータ71又は開放ワイヤ209によって閉鎖ばね207に抗してフックレバー206aを回動してフックを解除し、蓄勢ばね204bによってフィラーリッド203を開放することができるようになっている。フィラーリッド開放検出スイッチ105aはフィラーリッド203の閉鎖ロックが、フィラー開放アクチェータ71又は手動操作によって解除され、フィラーリッド203が半開ないし全開の状態にあるときに閉路するスイッチである。
【0127】
以下、図7のとおり構成された実施の形態2による車載電子制御装置について、図1で説明した実施の形態1との相違点を中心にして作用動作を説明する。なお、図3〜図5で示すフローチャートと、図6で示すタイムチャートについては、後述する一部の動作を除いて同じ作用動作となっている。
【0128】
まず、図7、図8について概括説明を行なうと、車両の運転に当たって電源スイッチ103を閉路すると、駆動抵抗113cと直列ダイオード113dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給され、付勢トランジスタ118aが導通する。これによって電源リレー102の励磁コイル102bが付勢され、電源リレー102の出力接点102aが閉路する。そして、車載電子制御装置100B内の主電源回路112に給電され、主制御電源電圧Vcc1が主制御回路部110Bに印加されてマイクロプロセッサ10が動作を開始し、車載センサ群106の動作状態と、プログラムメモリ11Bに予め書込まれている入出力制御手段111aとなる制御プログラムの内容に応動して、例えば燃料噴射用電磁弁や点火コイル、或いはスロットル弁開度制御用モータなどの車載電気負荷群107の駆動制御が行われる。
【0129】
マイクロプロセッサ10が一旦動作を開始すると、マイクロプロセッサ10が正常動作していることによってウォッチドッグタイマ18が発生する出力許可信号OUTEが自己保持指令出力OUTEとなって、駆動抵抗118cと直列ダイオード118dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給され、電源リレー102はマイクロプロセッサ10によって自己保持付勢されるようになっている。
【0130】
車両停止によって電源スイッチ103が開路されると、電源リレー102は自己保持指令出力OUTEによって持続付勢されてマイクロプロセッサ10には持続給電が行われ、この持続給電期間において前記退避処理手段となる制御プログラムが実行される。この制御プログラムの実行により、例えばRAMメモリ12に格納されていた運転中の学習情報や異常発生情報を不揮発性のデータメモリ13に転送退避したり、ソークタイマ28bに対する計時開始指令信号STAの送信を行うなどの処理が完了してからウォッチドッグ信号WDSを停止することによって自己保持指令出力OUTEが解除され、電源リレー102が消勢されて出力接点102aが開路するようになっている。なお、この持続給電期間は、例えば0.1秒以下の短時間であるのに対し、ソークタイマ28bが覚醒指令信号出
力DR2を発生するのは、計時開始指令信号STAを受信するか又はマイクロプロセッサ10が作動停止してから例えば5時間後のエンジンが十分に冷却された時期である。
【0131】
電源スイッチ103が開路された駐車状態において、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、駆動抵抗114c、115cと直列ダイオード114d、115dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給されて電源リレー102が付勢される。そして、マイクロプロセッサ10が起動されて自己保持指令出力OUTEを発生するとともに、前述の減圧処理手段111cとなる制御プログラムが実行され、給油完了に伴ってフィラーリッド203が手動閉鎖されるか、又は例えば20分である所定の遮断用閾値時間T1が経過するとウォッチドッグ信号WDSが停止されることによって自己保持指令出力OUTEが解除されて電源リレー102は消勢される。
【0132】
但し、フィラーリッド203の締め忘れによってフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したままである場合には、時限付勢回路119B内のコンデンサ95cに対する充電電流が減少して遮断用トランジスタ95aが不導通となり、付勢トランジスタ118aに対するベース電流が遮断されるとともに、モニタ信号MNIの論理レベルは「L」となる。その結果、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路されたままであっても電源リレー102が付勢持続されることがない。
【0133】
従って、実施の形態2の場合には、実施の形態1で説明した図4の工程428は不要であって、マイクロプロセッサ10はシャットダウン指令SHDを発生する必要がないようになっている。なお、フィラーリッド203を閉じてフィラーリッド開放検出スイッチ105aが一旦開路されると、コンデンサ95cの充電電荷は放電トランジスタ96aを介して急速放電され、再びフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると遮断用トランジスタ95aが一時的に導通して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給されるようになっている。
【0134】
副制御回路部120Bにおけるソークタイマ28bの作用は図1の場合と同様であり、電源スイッチ103が開路されてから所定の覚醒時間Tuが経過すると覚醒指令信号出力DR2を発生して電源リレー102を付勢し、マイクロプロセッサ10を覚醒起動するようになっている。
【0135】
以上の説明で明らかなとおり、この発明の実施形態2による車載電子制御装置は、
運転用の電源スイッチ103が閉路したときに、搭載されたマイクロプロセッサ10が
不作動であっても車載バッテリ101から直接付勢される電源リレー102の出力接点102aを介して給電され、車載センサ群106の動作状態に応動して少なくとも燃料噴射用電磁弁77を含む電気負荷群107を駆動制御するための前記マイクロプロセッサ10を備えた車載電子制御装置100Bであって、
前記マイクロプロセッサ10と協働するプログラムメモリ11Bには車両運転用の入出力制御手段111aとなる制御プログラムに加えて、遮断用タイマ422を包含した減圧処理手段111cとなる制御プログラムが格納されている。
前記電源リレー102は、前記電源スイッチ103の代替となるフィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aの少なくとも一方が閉路すると、前記電源スイッチ103が閉路されていない車両停止状態においても直接付勢されるとともに、前記フィラーリッド開放検出スイッチ105aの閉路状態が所定の制限期間T0を超過して持続すると前記電源リレー102の付勢は行わないように時限付勢が行
われ、
前記電源リレー102が直接付勢されて前記マイクロプロセッサ10が作動開始すると、当該マイクロプロセッサ10が正常動作していることによって発生する自己保持指令出力OUTEによって前記電源リレー102の自己保持付勢が行われ、前記フィラーリッド開放検出スイッチ105aは燃料タンク200に連通する燃料パイプ201の開口端を封鎖するフィラーキャップ202の外面に配置された安全扉であるフィラーリッド203が、フィラーリッド開放アクチェータ71又は手動操作によって全開又は半開されて前記フィラーキャップ202を手動開閉できる状態であるときに閉路するスイッチである。
【0136】
前記フィラー開放アクチェータ71は、前記フィラーリッド203の全開又は半開を行うか、又はフィラーリッド203の閉鎖ロックを解除して半開状態にするモータ又は電磁石であり、
前記減圧処理手段111cは、前記フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、少なくとも一旦は前記燃料タンク200と蒸散燃料を吸着するキャニスタ210との間に設けられた密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢することによって、前記燃料タンク200内の気圧を前記キャニスタ210を介して大気開放し、所定時間が経過するか又は前記車載センサ群106の一部であるタンク圧力センサ61によって検出された前記燃料タンク200内の気圧が大気圧に接近した所定の閾値範囲となったことを検出してから、前記フィラー開放アクチェータ71を有する場合には当該フィラー開放アクチェータを開放駆動し、給油完了に伴って前記フィラーキャップ202とフィラーリッド203とが手動閉鎖されたこと、及び前記密閉弁開放用電磁弁72が消勢密閉されていることによって前記自己保持指令出力OUTEを停止するか、又は前記自己保持指令出力OUTEが停止したことに伴って前記密閉弁開放用電磁弁72が消勢密閉される。
前記遮断用タイマ422は、前記フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路してから所定の遮断用閾値時間T1を経過してもなお、前記フィラーリッド203が閉鎖されないときに前記自己保持指令出力OUTEを停止するようになっている。
【0137】
前記減圧処理手段111cは、前記フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、少なくとも一旦は前記燃料タンク200と蒸散燃料を吸着するキャニスタ210との間に設けられた密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢することによって、前記燃料タンク200内の気圧を前記キャニスタ210を介して大気開放し、所定時間が経過するか又は前記車載センサ群106の一部であるタンク圧力センサ61によって検出された前記燃料タンク200内の気圧が大気圧に接近した所定の閾値範囲となったことを検出してから、前記フィラーリッド203を手動開放するものである場合には当該フィラーリッドの開放許可報知器を駆動するか、又は前記密閉弁開放用電磁弁72の開放付勢に伴って駆動されていた開放禁止報知器76の駆動停止を行な
うようになっている。
【0138】
前記フィラーリッド203は、前記フィラーリッド開放アクチェータ71又は手動操作によって閉鎖ロック状態が解除され、手動開放が可能となった半開以上の状態で前記フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路し、
前記電源リレー102は前記フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したことによって前記所定の制限期間T0の期間内において直接付勢され、
前記マイクロプロセッサ10は前記フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したときに、少なくとも一旦は前記燃料タンク200内の圧力が大気圧に接近した所定の閾値範囲に低下するまでは前記密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢し、
前記所定の制限期間T0は前記電源リレー102が付勢されて前記マイクロプロセッサ10が正常動作を開始するまでの応答遅延時間ΔT以上であって、前記遮断用タイマ422の設定時間である前記所定の遮断用閾値時間T1以下となっている。
【0139】
前記電源リレー102の励磁コイル102bは付勢トランジスタ118aを介して前記車載バッテリ101から給電駆動され、
前記付勢トランジスタ118aには前記電源スイッチ103及びフィラーリッド開放指令スイッチ104及びフィラーリッド開放検出スイッチ105a及び自己保持指令出力OUTEのそれぞれから、駆動抵抗113c、114c、115c、118cと直列ダイオード113d、114d、115d、118dとを介して導通駆動信号が供給されるとともに、前記フィラーリッド開放検出スイッチ105aと前記駆動抵抗115cとの間には時限付勢回路119Bを構成する遮断用トランジスタ95aが直列接続されていて、
前記時限付勢回路119Bは前記フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路してから前記所定の制限期間T0が経過したことに伴って前記遮断用トランジスタ95aを開路するコンデンサ95cを有し、前記フィラーリッド開放検出スイッチ105aが開路したことによって前記コンデンサ95cの充電電荷が放出されて初期化されるようになっている。
【0140】
以上のとおり、フィラーリッド開放検出スイッチが閉路したことに応動して電源リレーが付勢された場合、所定の制限期間の経過に伴って時限付勢回路が動作して、フィラーリッド開放検出スイッチによる電源リレーの直接付勢回路を遮断するようになっている。
従って、フィラーリッドを閉め忘れた場合には電源リレーの付勢回路が無効となって、所定の遮断用閾値時間内に電源リレーが消勢され、フィラーリッド開放指令スイッチが閉路したままであっても再度電源リレーが付勢されることはなく、フィラーリッド開放指令スイッチが一旦開路して時限付勢回路に対する給電が停止されることによって初期状態に復帰することができる特徴がある。
【0141】
この発明の実施の形態1及び実施の形態2による車載電子制御装置100A、100Bにおいて、前記マイクロプロセッサ10と前記プログラムメモリ11A、11Bを主体として構成された主制御回路部110A、110Bは、前記電源リレー102の出力接点102aを介して前記車載バッテリ101から給電される主電源回路112の出力電圧によって動作し、前記プログラムメモリ11A、11Bは更にリーク検出手段111bとなる制御プログラムを包含するとともに、前記車載バッテリ101から直接給電される副電源回路122と、当該副電源回路122から給電されて動作する副制御回路部120A、120Bを更に備え、前記副制御回路部120A、120Bは直並列変換器15・25を介して前記マイクロプロセッサ10と相互にシリアル接続されているソークタイマ28bを備えている。
【0142】
前記ソークタイマ28bは、予め前記マイクロプロセッサ10から覚醒時間Tuの設定値を受信して設定値レジスタ又は現在値レジスタ28aに格納し、前記電源スイッチ10
3が開路されて前記自己保持指令出力DR1、OUTEによって持続給電されている時間帯に受信した計時開始指令信号STAに基づいて計時動作を開始し、設定された覚醒時間Tuの経過に伴って覚醒指令信号出力DR2を発生し、
前記付勢トランジスタ118aは、前記覚醒指令信号出力DR2から駆動抵抗128cと直列ダイオード128dを介して導通駆動信号が供給されて電源リレー102を付勢する。
前記マイクロプロセッサ10は、前記計時開始指令信号STAの送信に伴って前記自己保持指令出力DR1、OUTEを停止して電源リレー102を消勢するが、前記覚醒指令信号出力DR2の発生に応動して覚醒起動されて再び前記自己保持指令DR1、OUTEを発生し、前記ソークタイマ28bに対してリセット指令を送信して前記覚醒指令信号出力DR2を停止させるとともに、前記リーク検出制御手段111bによって前記燃料タンク200の漏洩細口の有無を判定してから再び前記自己保持指令DR1、OUTEを停止する。
前記リーク検出制御手段111bは更に、前記減圧処理手段111cの実行を優先する給油優先手段538を包含し、リーク検出制御手段111bの実行中に前記減圧処理手段111cの実行要件が成立したときにはリーク検出制御手段111bは実行停止されるようになっている。
【0143】
以上のとおり、車載バッテリから常時給電されて動作するソークタイマは、電源スイッチが遮断された後に所定の覚醒時間が到来したときにマイクロプロセッサを覚醒起動して、燃料タンクのリーク検出を行うようになっているとともに、給油時に実行される燃料タンクの減圧処理手段はリーク検出手段よりも優先して実行されるようになっている。従って、フィラーキャップの開放中にリーク検出が行われて誤った判定を行うことがなく、フィラー開放制御とリーク検出制御とが相互に連携して正しい判定が行えるとともに、フィラー開放制御とリーク検出制御を同時刻に行なう必要がないのでマイクロプロセッサの制御負担を軽減することができる特徴がある。
【0144】
実施の形態3.
次に、この発明の実施の形態3による車載電子制御装置の全体回路ブロック図である図9について、図1で説明した実施の形態1との相違点を中心にして説明する。なお、図9において、図1と同一符号は同一又は相当部分を示している。
図9において、車載電子制御装置100Cの外部には図1の場合と同様に、車載バッテリ101、電源リレー102、電源スイッチ103、フィラーリッド開放指令スイッチ104、フィラーリッド開放検出スイッチ105a、車載センサ群106、車載電気負荷群107が接続されている。但し、フィラーリッド開放指令スイッチ104とフィラーリッド開放検出スイッチ105aとはグランド回路GND側に接続されて副制御回路部120Cに入力されている。また、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bにはフィラーキャップ閉鎖検出スイッチ105cが直列接続されている。
【0145】
車載電子制御装置100Cの内部には図1の場合と同様に、主電源回路112から給電される主制御回路部110Cと、副電源回路122から常時給電される副制御回路部120Cが設けられ、電源リレー102を付勢する付勢トランジスタ118aの駆動回路や入力インタフェース回路116、出力インタフェース回路117も同様に構成されている。但し、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したときの付勢トランジスタ118aのベース電流は、副制御回路120Cが発生する覚醒指令信号出力DR2によって駆動抵抗128cと直列ダイオード128dを介して供給されるようになっている。
【0146】
主制御回路部110Cは図1のものと同様に、マイクロプロセッサ10とプログラムメモリ11Cと、RAMメモリ12、データメモリ13、多チャンネルAD変換器14、直
並列変換器15が相互にバス接続されて構成されている。プログラムメモリ11Cは、図3で前述した入出力制御手段111aと図示しない退避処理手段、及び図12で後述する給油優先手段538を包含したリーク検出制御手段111bbと、図11で後述する遮断用タイマ422を包含した減圧処理手段111ccとなる制御プログラムが格納されている。但し、データメモリ13はフラッシュメモリであるプログラムメモリ11Cの一部領域を使用するようになっている。
【0147】
副制御回路部120Cは、サブCPU20、例えばマスクROMメモリである補助プログラムメモリ21C、RAMメモリ22、直並列変換器25をバス接続して構成されており、補助プログラムメモリ21Cは、図10で後述するソークタイマ128と時限付勢手段129となる制御プログラムを包含している。
【0148】
電源スイッチ103と自己保持指令出力DR1による付勢トランジスタ118aの接続構成や電源スイッチ閉路信号IGSLとの関係、及びフィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bとフィラー閉検出信号FCDHとの関係は図1の場合と同様に構成されている。
【0149】
車載バッテリ101に直接接続されたPNP型トランジスタである第1ソーストランジスタ40のベース抵抗41は、フィラーリッド開放指令スイッチ104を介してグランド回路GNDに接続され、フィラーリッド開放指令スイッチ104が閉路すると第1ソーストランジスタ40が導通する。そして、論理反転素子124eを介してフィラー開指令信号FOSLがサブCPU20に入力され、フィラーリッド開放指令スイッチ104が閉路するとフィラー開指令信号FOSLの論理レベルは「L」となるようになっている。なお、第1ソーストランジスタ40のエミッタ端子とベース端子との間には、開路安定抵抗42が接続され、論理反転素子124eの入力端子には、プルダウン抵抗43が接続されている。
【0150】
同様に、車載バッテリ101に直接接続されたPNP型トランジスタである第2ソーストランジスタ50のベース抵抗51は、フィラーリッド開放検出スイッチ105aを介してグランド回路GNDに接続され、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると第2ソーストランジスタ50が導通する。そして、論理反転素子125eを介してフィラー開検出信号FODLがサブCPU20に入力され、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路するとフィラー開検出信号FODLの論理レベルは「L」となるようになっている。なお、第2ソーストランジスタ50のエミッタ端子とベース端子との間には、開路安定抵抗52が接続され、論理反転素子125eの入力端子には、プルダウン抵抗53が接続されている。
【0151】
なお、第1ソーストランジスタ40を削除し、フィラーリッド開放指令スイッチ104を車載バッテリ101に接続して論理反転素子124eに入力するようにしてもよい。同様に、第2ソーストランジスタ50を削除し、フィラーリッド開放検出スイッチ105aを車載バッテリ101に接続して論理反転素子125eに入力するようにしてもよい。
【0152】
以下、図9のとおり構成された実施の形態3による車載電子制御装置について、図1で説明した実施の形態1との相違点を中心にして作用動作を説明する。なお、図3で示したフローチャートと、図6で示したタイムチャートについては、後述する一部の動作を除いて同じ作用動作となっている。
【0153】
まず、図9について概括説明を行なうと、車両の運転に当たって電源スイッチ103を閉路すると、駆動抵抗113cと直列ダイオード113dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給される。付勢トランジスタ118aが導通することによって電源リレー102の励磁コイル102bが付勢され、電源リレー102の出力接点102aが閉路すると、車載電子制御装置100C内の主電源回路112に給電され、主制御電源電圧Vcc1が主制御回路部110Cに印加されてマイクロプロセッサ10が動作を開始し、車載センサ群106の動作状態と、プログラムメモリ11Cに予め書込まれている入出力制御手段111aとなる制御プログラムの内容に応動して、例えば燃料噴射用電磁弁や点火コイル、或いはスロットル弁開度制御用モータなどの車載電気負荷群107の駆動制御が行われる。
【0154】
マイクロプロセッサ10が一旦動作を開始すると、マイクロプロセッサ10が正常動作していることによって、マイクロプロセッサ10が発生する自己保持指令出力DR1から駆動抵抗118cと直列ダイオード118dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給され、電源リレー102はマイクロプロセッサ10によって自己保持付勢されるようになっている。
【0155】
車両停止によって電源スイッチ103が開路されると、電源リレー102は自己保持指令出力DR1によって持続付勢されてマイクロプロセッサ10には持続給電が行われる。この持続給電期間において図3で示した退避処理手段111dとなる制御プログラムが実行され、例えばRAMメモリ12に格納されていた運転中の学習情報や異常発生情報を不揮発性のデータメモリ13に転送退避したり、ソークタイマ128に対する計時開始指令信号STAの送信を行うなどの処理が完了してから自己保持指令出力DR1が解除され、電源リレー102が消勢されて出力接点102aが開路するようになっている。なお、この持続給電期間は、例えば0.1秒以下の短時間であるのに対し、ソークタイマ128が
覚醒指令信号出力DR2を発生するのは、計時開始指令信号STAを受信するか又はマイクロプロセッサ10が作動停止してから例えば5時間後のエンジンが十分に冷却された時期である。
【0156】
電源スイッチ103が開路された駐車状態において、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、後述の図10で示す時限付勢手段129によって所定期間だけ覚醒指令信号出力DR2が発生し、駆動抵抗128cと直列ダイオード128dを介して付勢トランジスタ118aのベース電流が供給される。そして電源リレー102が付勢され、マイクロプロセッサ10が起動されて自己保持指令出力DR1を発生するとともに、前述した減圧処理手段111ccとなる制御プログラムが実行され、給油完了に伴ってフィラーリッド203が手動閉鎖されるか、又は例えば20分である所定の遮断用閾値時間T1が経過すると自己保持指令出力DR1が解除されて電源リレー102は消勢される。但し、フィラーリッド203の締め忘れによってフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したままである場合には、時限付勢手段129によって覚醒指令信号出力DR2が継続発生しないようになっている。
【0157】
副制御回路部120Cにおけるソークタイマ128の作用は図1の場合と同様であり、電源スイッチ103が開路されてから所定の覚醒時間Tuが経過すると覚醒指令信号出力DR2を発生して電源リレー102を付勢し、マイクロプロセッサ10を覚醒起動するようになっている。
【0158】
次に、図9のサブCPU20の動作説明用フローチャートである図10と、図9のメインCPUとなるマイクロプロセッサ10の中段動作説明用フローチャートである図11と、図9のメインCPUとなるマイクロプロセッサ10の後段動作説明用フローチャートである図12について説明する。メインCPUの前段動作説明用フローチャートは図3と同様であり、図11、図12は図4、図5を一部修正したものとなっている。
【0159】
図10において、工程1000では車載バッテリ101と車載電子制御装置100Cが接続されると、電源スイッチ103の開閉とは無関係に工程1001においてサブCPU
20が起動されるようになっている。
【0160】
続く工程1002は、メインCPUとなるマイクロプロセッサ10が停止中であるかどうかを判定し、停止中であればYESの判定を行って工程1003へ移行し、停止中でなければNOの判定を行って工程1020へ移行する判定ステップである。マイクロプロセッサ10が停止中であるかどうかは、サブCPU20に対して入力された電源スイッチ閉路信号IGSLの論理レベルを監視するか、又は直並列変換器15、25によるシリアル通信が成立するかどうかによって判定されるようになっている。
【0161】
工程1003は、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aの少なくとも一方が閉路しているかどうかを監視し、閉路していればYESの判定を行って工程1004へ移行し、閉路していなければNOの判定を行って工程1011へ移行する判定工程である。
【0162】
工程1004は、給油作業を行うために後述の工程1006で燃料タンク200の減圧要求が発生しているかどうかを読み出して、既に減圧要求が記憶されていればYESの判定を行って工程1007へ移行するが、初回の動作であってまだ減圧要求が発生していないときにはNOの判定を行って工程1005へ移行する判定ステップである。
【0163】
工程1005では覚醒指令信号出力DR2を発生してから工程1006へ移行し、工程1006では減圧要求が発生したことを記憶して工程1007へ移行する。工程1006で記憶された減圧要求は、工程1005によって覚醒指令信号出力DR2が発生したことに伴って電源リレー102が付勢され、マイクロプロセッサ10が起動されたことによって後述の工程1020でマイクロプロセッサ10に送信されるようになっている。なお、マイクロプロセッサ10が起動されると、後述する図11の工程1128によって覚醒指令信号出力DR2は停止されるようになっている。
【0164】
工程1007は、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路から開路に変化したかどうかを監視し、変化していればYESの判定を行って工程1008へ移行し、変化がなければNOの判定を行って工程1009へ移行する判定ステップである。
【0165】
工程1009は、フィラーリッド開放指令スイッチ104が再度閉路されたかどうかを判定し、再度閉路すればYESの判定を行って工程1008へ移行し、再度閉路していなければNOの判定を行って動作終了工程1010へ移行する判定工程である。
【0166】
工程1008は、工程1006によって記憶された減圧要求をリセットしてから動作終了工程1010へ移行し、動作終了工程1010ではサブCPU20は他の制御プログラムを実行し、所定の制限時間以内に動作開始工程1001へ復帰するようになっている。従って、工程1003においてフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路されたままで放置されても、工程1006によって一旦減圧要求が記憶されると、工程1005による覚醒指令信号出力DR2は再度発生することはなく、この状態は給油作業の完了によってフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉鎖開路されて工程1007がYESの判定を行うか、フィラーリッド開放指令スイッチ104が再度閉路されて工程1009がYESの判定を行って、工程1008による減圧要求記憶のリセットが行われるまで持続することになる。
【0167】
工程1011では後述の工程1024と工程1026で受信した設定時間と計時開始指令STAに基づいてリーク検出用の覚醒時間を測定するためのソークタイマ128が計時動作を行う。
【0168】
続く工程1012は、ソークタイマ128がタイムアップしたかどうかを判定し、タイムアップしていなければNOの判定を行って動作終了工程1010へ移行することによって計時動作を続行し、タイムアップすればYESの判定を行って工程1013へ移行する判定ステップである。
【0169】
工程1013は、覚醒指令信号出力DR2を発生し、続いて工程1014によってリーク検出要求を記憶してから動作終了工程1010へ移行する。工程1013で覚醒指令信号出力DR2が発生すると電源リレー102が付勢されて、マイクロプロセッサ10が起動することによって工程1020でリーク検出要求が送信される。
【0170】
工程1020では工程1006で発生した減圧要求、又は工程1014で発生したリーク検出要求をマイクロプロセッサ10に送信して工程1021へ移行する。
【0171】
工程1021は、図11で後述する工程1128、又は図12で後述する工程532による覚醒指令信号出力DR2の停止指令を受信したかどうかを監視し、受信すればYESの判定を行って工程1022へ移行し、まだ受信していなければNOの判定を行って工程1023へ移行する判定ステップである。
【0172】
工程1022は、覚醒指令信号出力DR2を停止するとともに、工程1014によって記憶され工程1020で送信されたリーク検出要求をリセットするとともに、ソークタイマ128の現在値をリセットしてから工程1023へ移行するようになっている。
【0173】
工程1023は、前述した図3における工程313で送信されたソークタイマ128の設定値を受信したかどうかを監視して、受信すればYESの判定を行って工程1024へ移行し、受信していなければNOの判定を行って工程1025へ移行する判定ステップである。なお、ソークタイマ128の設定値は電源スイッチ103が閉路している時点で送信してもよく、一旦送信された設定時間は再度設定送信しなければ同じ設定値が利用されるようになっている。
【0174】
工程1025は、前述した図3における工程313で送信されたソークタイマ128の経時開始指令STAを受信したかどうかを監視して、受信すればYESの判定を行って工程1026へ移行し、受信していなければNOの判定を行って動作終了工程1010へ移行する判定ステップである。工程1026ではソークタイマ128の計時開始指令を発生して動作終了工程1010へ移行するようになっている。
【0175】
工程1004から工程1009によって構成された工程ブロック129は後述する図11の減圧処理手段111ccを実行するための時限付勢手段となるものであって、図1と図7における時限付勢回路119A、119Bの代わりとなるものである。
【0176】
工程1011から工程1014によって構成された工程ブロック128は、ソークタイマとなるものであり、工程1020は要求信号送信手段となっている。なお、図1、図7の場合には覚醒指令信号出力DR2による電源リレー102の付勢はリーク検出を目的とした場合に限定されているが、図9の場合には覚醒指令信号出力DR2が発生するのは給油作業のための燃料タンク200の減圧処理の場合とリーク検出の場合とがあり、工程1020ではこれを識別してマイクロプロセッサ10に送信するようになっている。
【0177】
マイクロプロセッサ10の前段動作は図3に示すとおりであるが、中段動作は図11、後段動作は図12のフローチャートによって示されている。
【0178】
図11における400番台の符号で示された工程は図4の場合と同じ動作を行うもので
あるとともに、図12における500番台の符号で示された工程は図5の場合と同じ動作を行うものであって、以下にその相違点である1100番台の符号と1200番台の符号で示された工程について説明する。
【0179】
図11において、工程1120は、図10の工程1020によってサブCPU20が送信した減圧要求信号の有無を監視して、減圧要求があればYESの判定を行って工程421aへ移行し、減圧要求が無ければNOの判定を行って工程421cへ移行する判定ステップである。
【0180】
工程1128は、図10の工程1005で発生した覚醒指令信号出力DR2に対する停止指令を送信する工程であり、この工程は工程421aによって自己保持指令出力DR1が発生した直後であってもよい。
【0181】
図12において、工程1133は、図10の工程1014で発生したリーク検出要求に対する解除指令を送信してから工程533aへ移行する工程である。
【0182】
工程1137は、フィラーリッド開放指令スイッチ104が閉路しているかどうか、又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路しているかを監視して、いずれかが閉路していればYESの判定を行って工程538へ移行し、いずれも開路していればNOの判定を行って工程533bへ復帰する判定ステップである。
【0183】
以上の説明では、フィラー開放アクチェータ71は閉鎖ロック機構を解除するためのモータ又は電磁石であるとしたが、フィラーリッド203を全開動作させるモータであってもよい。また、フィラー開放アクチェータ71を設けないで、リモートワイヤで閉鎖ロック機構を手動開放するものであれば、フィラーリッド203が開放されたときにフィラーキャップ202の開放禁止報知器76を点滅又は吹鳴させるか、或いは燃料タンク200の減圧処理が完了してから開放許可報知器を作動させるようにすることも可能である。
【0184】
また、各実施の形態において、電源リレー102に対する自己保持指令出力は、図1で示したようにマイクロプロセッサ10が直接発生する自己保持指令出力DR1であるか、図7で示したようにウォッチドッグタイマ18が発生する出力許可信号OUTEであるかはどちらであってもよい。また、各実施の形態において、トランジスタはエミッタ、コレクタ、ベース端子を有する接合型トランジスタとして説明し、導通駆動信号はベース電流となっているが、各トランジスタはソース、ドレイン、ゲート端子を有する電界効果型トランジスタを使用することも可能であり、この場合にはゲート端子に印加されるゲート電圧が導通駆動信号となるものである。
【0185】
以上詳細説明したように、実施の形態3による車載電子制御装置は、車両運転用の電源スイッチ103が閉路したときに、搭載されたマイクロプロセッサ10が不作動であっても車載バッテリ101から直接付勢される電源リレー102の出力接点102aを介して給電され、車載センサ群106の動作状態に応動して少なくとも燃料噴射用電磁弁77を含む車載電気負荷群107を駆動制御するマイクロプロセッサ10を備えた車載電子制御装置100Cであって、マイクロプロセッサ10と協働するプログラムメモリ11Cには車両運転用の入出力制御手段111aとなる制御プログラムに加えて、遮断用タイマ422を包含した減圧処理手段111ccとなる制御プログラムが格納されている。
【0186】
電源リレー102は、電源スイッチ103の代替となるフィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aの少なくとも一方が閉路すると、電源スイッチ103が閉路されていない車両停止状態においても直接付勢されるとともに、フィラーリッド開放検出スイッチ105aの閉路状態が所定の制限期間T0を超過して持続すると電源リレー102の付勢は行わないように時限付勢が行われる。そして、電源リレー102が直接付勢されてマイクロプロセッサ10が作動開始すると、マイクロプロセッサ10が正常動作していることにより発生する自己保持指令出力DR1によって電源リレー102の自己保持付勢が行われる。
【0187】
フィラーリッド開放検出スイッチ105aは、燃料タンク200に連通する燃料パイプ201の開口端を封鎖するフィラーキャップ202の外面に配置された安全扉であるフィラーリッド203が、フィラー開放アクチェータ71又は手動操作によって全開又は半開されてフィラーキャップ202を手動開閉できる状態であるときに閉路するスイッチである。
【0188】
フィラー開放アクチェータ71は、フィラーリッド203の全開又は半開を行うか、又はフィラーリッド203の閉鎖ロックを解除して半開状態にするモータ又は電磁石で、減圧処理手段111ccは、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、少なくとも一旦は燃料タンク200と蒸散燃料を吸着するキャニスタ210との間に設けられた密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢することによって、燃料タンク200内の気圧を前記キャニスタ210を介して大気開放する。そして、所定時間が経過するか又は車載センサ群106の一部であるタンク圧力センサ61によって検出された燃料タンク200内の気圧が大気圧に接近した所定の閾値範囲となったことを検出してから、フィラー開放アクチェータ71を有する場合には、フィラー開放アクチェータ71を開放駆動し、給油完了に伴ってフィラーキャップ202とフィラーリッド203とが手動閉鎖されたこと、及び密閉弁開放用電磁弁72が消勢密閉されていることによって自己保持指令出力DR1を停止するか、又は自己保持指令出力DR1が停止したことに伴って密閉弁開放用電磁弁72が消勢密閉される。
【0189】
遮断用タイマ422は、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路してから所定の遮断用閾値時間T1を経過してもなお、フィラーリッド203が閉鎖されないときに自己保持指令出力DR1を停止するようになっている。
【0190】
減圧処理手段111ccは、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、少なくとも一旦は燃料タンク200と蒸散燃料を吸着するキャニスタ210との間に設けられた密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢することによって、燃料タンク200内の気圧をキャニスタ210を介して大気開放する。そして、所定時間が経過するか又は車載センサ群106の一部であるタンク圧力センサ61によって検出された燃料タンク200内の気圧が大気圧に接近した所定の閾値範囲となったことを検出してから、フィラーリッド203を手動開放するものである場合にはフィラーリッド203の開放許可報知器を駆動するか、又は密閉弁開放用電磁弁72の開放付勢に伴って駆動されていた開放禁止報知器76の駆動停止を行なうようになっている。
【0191】
フィラーリッド203は、フィラー開放アクチェータ71又は手動操作によって閉鎖ロック状態が解除され、手動開放が可能となった半開以上の状態でフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路する。そして、電源リレー102は、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したことによって所定の制限期間T0の期間内において直接付勢される。
【0192】
マイクロプロセッサ10は、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路したときに、少なくとも一旦は燃料タンク200内の圧力が大気圧に接近した所定の閾値範囲に低下するまでは密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢する。そして、所定の制限期間T0は、電源リレー102が付勢されてマイクロプロセッサ10が正常動作を開始するまでの応答
遅延時間ΔT以上であって、遮断用タイマ422の設定時間である所定の遮断用閾値時間T1以下となっている。
【0193】
マイクロプロセッサ10とプログラムメモリ11Cを主体として構成された主制御回路部110Cは、電源リレー102の出力接点102aを介して車載バッテリ101から給電される主電源回路112の出力電圧によって動作する。プログラムメモリ11Cは、リーク検出制御手段111bbとなる制御プログラムを包含するとともに、車載バッテリ101から直接給電される副電源回路122と、副電源回路122から給電されて動作する副制御回路部120Cを更に備えている。
【0194】
副制御回路部120Cは、直並列変換器15、25を介してマイクロプロセッサ10と相互にシリアル接続されていて、補助プログラムメモリ21Cと協働するサブCPU20を備える。そして、少なくともフィラーリッド開放指令スイッチ104とフィラーリッド開放検出スイッチ105aはサブCPU20に入力され、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、覚醒指令信号出力DR2を発生して電源リレー102を付勢するとともに、減圧処理要求信号を送信する。
【0195】
補助プログラムメモリ21Cは、ソークタイマ128となる制御プログラムを包含している。ソークタイマ128は、予めマイクロプロセッサ10から覚醒時間Tuの設定値を受信して補助RAMメモリ22に格納し、電源スイッチ103が開路されて自己保持指令出力DR1、OUTEによって持続給電されている時間帯に受信した計時開始指令信号に基づいて計時動作を開始する。そして、設定された覚醒時間Tuの経過に伴って覚醒指令信号出力DR2を発生して電源リレー102を付勢するとともに、リーク検出要求信号を送信する。
【0196】
マイクロプロセッサ10は、前記計時開始指令信号の送信に伴って自己保持指令出力DR1、OUTEを停止して電源リレー102を消勢するが、覚醒指令信号出力DR2の発生に応動して覚醒起動されて再び自己保持指令出力DR1、OUTEを発生する。そして、サブCPU20に対してリセット指令を送信して覚醒指令信号出力DR2を停止させるとともに、要求信号の内容に応動してリーク検出制御手段111bbによって燃料タンク200の漏洩細口の有無の判定を行なうか、減圧処理手段111ccによる減圧処理を行ってから再び自己保持指令出力DR1、OUTEを停止する。
【0197】
リーク検出制御手段111bbは更に、減圧処理手段111ccの実行を優先する給油優先手段538を包含し、リーク検出制御手段111bbの実行中に前記減圧処理要求信号が発生したときには、リーク検出制御手段111bbは実行停止されるようになっている。
【0198】
以上のとおり、車載バッテリ101から常時給電されて動作するサブCPU20は、電源スイッチ103が遮断された後に所定の覚醒時間Tuが到来したときに、覚醒指令信号出力DR2によってマイクロプロセッサ10を覚醒起動して、燃料タンク200のリーク検出を行うようになっている。そして、給油時に実行される燃料タンク200の減圧処理手段111ccは、リーク検出制御手段111bbよりも優先して実行されるようになっている。また、フィラーリッド開放指令スイッチ104とフィラーリッド開放検出スイッチ105aは、サブCPU20に入力され、燃料タンク200の減圧処理は覚醒指令信号出力DR2と減圧処理要求信号によって開始するようになっている。
【0199】
従って、フィラーキャップ202の開放中にリーク検出が行われて、誤った判定を行うことがなく、フィラー開放制御とリーク検出制御とが相互に連携して正しい判定が行えるとともに、フィラー開放制御とリーク検出制御を同時刻に行なう必要がないのでマイクロ
プロセッサ10の制御負担を軽減することができる。
【0200】
電源リレー102の励磁コイル102bは、付勢トランジスタ118aを介して車載バッテリ101から給電駆動される。付勢トランジスタ118aには電源スイッチ103、覚醒指令信号出力DR2、及び自己保持指令出力DR1、OUTEのそれぞれから、駆動抵抗113c、128c、118cと直列ダイオード113d、128d、118dを介して導通駆動信号が供給される。補助プログラムメモリ21Cは更に、時限付勢手段129となる制御プログラムを包含し、時限付勢手段129は、フィラーリッド開放指令スイッチ104又はフィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路すると、所定の制限期間T0において覚醒指令信号出力DR2を発生する。覚醒指令信号出力DR2の発生に伴って、マイクロプロセッサ10に送信するための前記減圧処理要求の発生を記憶し、該減圧処理要求が一旦発生するとフィラーリッド開放検出スイッチ105aが開路するか、又はフィラーリッド開放指令スイッチ104が再度閉路されるまでは覚醒指令信号出力DR2の発生を禁止する。そして、所定の制限期間T0は電源リレー102が付勢されてマイクロプロセッサ10が正常動作を開始するまでの応答遅延時間ΔT以上であって、遮断用タイマ422の設定時間である所定の遮断用閾値時間T1以下となっている。
【0201】
以上のとおり、サブCPU20で実行される時限付勢手段129は、覚醒指令信号出力DR2が一旦発生するとフィラーリッド開放検出スイッチ105aが開路するか、又はフィラーリッド開放指令スイッチ104が再度閉路されるまでは、再度覚醒指令信号出力DR2が発生するのを禁止するようになっている。
【0202】
従って、ハードウエアに依存しないでフィラーリッド開放検出スイッチ105aの閉路持続状態を判定し、安価な構成で電源リレー102の継続付勢状態を回避することができる。
【0203】
また、実施の形態1から3による車載電子制御装置100A、100B、100Cにおいて、キャニスタ210の大気開放通路には減圧ポンプ75が配置されていて、減圧処理手段111c、111ccは燃料タンク200内の気圧が高いときには、少なくとも一旦は燃料タンク200内の圧力が大気圧に接近した所定の閾値範囲に低下するまでは密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢するとともに、減圧ポンプ75を駆動する。リーク検出制御手段111b、111bbは、フィラーキャップ202が閉鎖されているときに、密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢するとともに、減圧ポンプ75を駆動して、燃料タンク200内又は減圧配管通路の負圧の変化を測定し、基準値と対比することによって漏洩細口の有無を判定するようになっている。
【0204】
以上のとおり、キャニスタ210の下流位置に減圧ポンプ75が配置され、給油作業の開始に当たって燃料タンク200内の気圧が高いときには密閉弁開放用電磁弁72を開放付勢するとともに、減圧ポンプ75を駆動して大気圧まで減圧する。リーク検出制御に当たっては更に減圧を行って燃料タンク200又は減圧配管通路に発生する負圧を測定するようになっている。
【0205】
従って、燃料タンク200のリーク検出を行うための減圧ポンプ75を用いて、給油作業の開始時に燃料タンク200内の圧力を速やかに減圧して、遅滞なくフィラーキャップを202開放することができる。
【0206】
更に、実施の形態1から3による車載電子制御装置100A、100B、100Cにおいて、マイクロプロセッサ10又はサブCPU20には、フィラーリッド開放検出スイッチ105aに加えてフィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bが入力信号として接続されている。フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bは、フィラーリッド203が閉鎖され
、しかもフィラーキャップ202の締め忘れがない状態で閉路するか、又はフィラーキャップ202の閉鎖状態において閉路するフィラーキャップ閉鎖検出スイッチ105cが直列接続されている。そして、フィラーリッド開放検出スイッチ105aとフィラーリッド開放指令スイッチ104とは、電源リレー102が不作動であっても車載バッテリ101の出力電圧を入力信号電圧として供給するのに対し、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bは、電源リレー102が作動しているときに限って入力信号として有効となり、リーク検出制御手段111b、111bbは、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bが閉路しているときに実行されるようになっている。
【0207】
以上のとおり、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bを備え、リーク検出制御手段111b、111bbは、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bが閉路しているときに実行されるようになっている。また、フィラーリッド開放検出スイッチ105aとフィラーリッド開放指令スイッチ104は、電源リレー102が不作動であっても有効となるソース回路に設けられているのに対し、フィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bは電源リレー102が作動しているときに有効となるシンク回路に設けられている。
【0208】
従って、スイッチの接触不良又は接続コネクタの接触不良に対して、フィラーリッド203の開放と閉鎖をフェールセーフで確実に検出することができ、フィラーキャップ202が開いたままで誤ったリーク検出が行われない。
【0209】
また、フィラーリッド203が閉鎖された通常の駐車状態にあっては、フィラーリッド開放検出スイッチ105a及びフィラーリッド閉鎖検出スイッチ105bに対する信号電流が流れず、車載バッテリ101の消費を抑制することができるとともに、駐車状態でフィラーリッド203が開放されたままになっているときには、フィラーリッド開放検出スイッチ105aが閉路されたままであっても減圧処理回路や入力信号回路に流れる電流は微小であり車載バッテリ101の消費を抑制することができる。
【符号の説明】
【0210】
10 マイクロプロセッサ
11A、11B、11C プログラムメモリ
15、25 直並列変換器
20 サブCPU
21C 補助プログラムメモリ
22 補助RAMメモリ
28a 設定値レジスタ又は現在値レジスタ
28b ソークタイマ
61 タンク圧力センサ
71 フィラー開放アクチェータ
72 密閉弁開放用電磁弁
75 減圧ポンプ
76 開放許可報知器
77 燃料噴射用電磁弁
90a 第1トランジスタ
91a 第2トランジスタ
92a 第3トランジスタ
95a 遮断用トランジスタ
95c コンデンサ
100A、100B、100C 車載電子制御装置
101 車載バッテリ
102 電源リレー
102a 出力接点
102b 励磁コイル
103 電源スイッチ
104 フィラーリッド開放指令スイッチ(フィラー開指令)
105a フィラーリッド開放検出スイッチ(フィラー開検出)
105b フィラーリッド閉鎖検出スイッチ(フィラー閉検出)
105c フィラーキャップ閉鎖検出スイッチ
106 車載センサ群
107 車載電気負荷群
110A、110B、110C 主制御回路部
111a 入出力制御手段
111b、111bb リーク検出制御手段
111c、111cc 減圧処理手段
112 主電源回路
113c、114c、115c 駆動抵抗
113d、114d、115d 直列ダイオード
118a 付勢トランジスタ
118c、128c 駆動抵抗
118d、128d 直列ダイオード
119A、119B 時限付勢回路
120A、120B、120C 副制御回路部
122 副電源回路
128 ソークタイマ
129 時限付勢手段
200 燃料タンク
201 燃料パイプ
202 フィラーキャップ
203 フィラーリッド
210 キャニスタ
422 遮断用タイマ
538 給油優先手段
DR1 自己保持指令出力
DR2 覚醒指令信号出力
OUTE 自己保持指令出力(出力許可信号)
SHD シャットダウン指令
STA 計時開始指令信号
T0 所定の制限期間
T1 遮断用閾値時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両運転用の電源スイッチが閉路したときに、車載バッテリから直接付勢される電源リレーの出力接点を介して給電され、車載センサ群の動作状態に応動して少なくとも燃料噴射用電磁弁を含む電気負荷群を駆動制御するマイクロプロセッサを備えた車載電子制御装置であって、
前記マイクロプロセッサと協働するとともに、車両運転用の入出力制御手段となる制御プログラムに加えて、遮断用タイマを包含した減圧処理手段となる制御プログラムを格納したプログラムメモリを備え、
前記電源リレーは、フィラーリッド開放指令スイッチ又はフィラーリッド開放検出スイッチの少なくとも一方が閉路することによって、前記電源スイッチが閉路されていない車両停止状態において前記車載バッテリから付勢トランジスタを介して直接付勢され、前記フィラーリッド開放検出スイッチの閉路状態が所定の制限期間を超過して持続すると付勢しないように時限付勢されるとともに、直接付勢されて前記マイクロプロセッサが作動開始すると、前記マイクロプロセッサの発生する自己保持指令出力によって自己保持付勢が行われ、
前記フィラーリッド開放検出スイッチは、燃料タンクに連通する燃料パイプの開口端を封鎖するフィラーキャップの外面に配置されたフィラーリッドの開閉状態に応動し、フィラー開放アクチェータの駆動又は手動操作によって前記フィラーリッドが全開又は半開又は閉鎖ロックが解除されて、前記フィラーキャップを手動開閉できる状態であるときに閉路し、
前記減圧処理手段は、前記フィラーリッド開放指令スイッチ又は前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路すると、少なくとも一旦は前記燃料タンクと蒸散燃料を吸着するキャニスタとの間に設けられた密閉弁開放用電磁弁を開放付勢して、前記燃料タンク内の気圧を前記キャニスタを介して大気開放するとともに、前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路してから所定時間が経過するか、又は前記燃料タンク内の気圧が大気圧に接近した所定の閾値範囲となったことを検出してから、前記フィラー開放アクチェータを有する場合には該フィラー開放アクチェータを開放駆動し、
給油完了に伴って前記フィラーキャップと前記フィラーリッドとが閉鎖されたこと、及び前記密閉弁開放用電磁弁が消勢密閉されていることによって前記自己保持指令出力を停止するか、前記自己保持指令出力が停止したことに伴って前記密閉弁開放用電磁弁を消勢密閉し、
前記遮断用タイマは、前記フィラーリッド開放指令スイッチ又は前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路してから所定の遮断用閾値時間を経過しても、前記フィラーリッドが閉鎖されないときに前記自己保持指令出力を停止することを特徴とする車載電子制御装置。
【請求項2】
前記減圧処理手段は前記フィラーリッド開放指令スイッチ又はフィラーリッド開放検出スイッチが閉路すると、少なくとも一旦は前記燃料タンクと蒸散燃料を吸着するキャニスタとの間に設けられた密閉弁開放用電磁弁を開放付勢することによって,前記燃料タンク内の気圧を前記キャニスタを介して大気開放し、所定時間が経過するか又は前記車載センサ群の一部であるタンク圧力センサによって検出された前記燃料タンク内の気圧が大気圧に接近した所定の閾値範囲となったことを検出してから、前記フィラーリッドを手動開放するものである場合には当該フィラーリッドの開放許可報知器を駆動するか、又は前記密閉弁開放用電磁弁の開放付勢に伴って駆動されていた開放禁止報知器の駆動停止を行なうことを特徴とする請求項1に記載の車載電子制御装置。
【請求項3】
前記フィラーリッドは、前記フィラーリッド開放アクチェータ又は手動操作によって閉鎖ロック状態が解除され、手動開放が可能となった半開以上の状態で前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路し、
前記電源リレーは、前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路したことによって前記所定の制限期間の期間内において直接付勢され、
前記マイクロプロセッサは、前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路したときに、少なくとも一旦は前記燃料タンク内の圧力が大気圧に接近した所定の閾値範囲に低下するまでは前記密閉弁開放用電磁弁を開放付勢し、
前記所定の制限期間は、前記電源リレーが付勢されて前記マイクロプロセッサが正常動作を開始するまでの応答遅延時間以上であって、前記遮断用タイマの設定時間である前記所定の遮断用閾値時間以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車載電子制御装置。
【請求項4】
前記電源リレーの励磁コイルは、付勢トランジスタを介して前記車載バッテリから給電駆動され、
前記付勢トランジスタには前記電源スイッチ、前記フィラーリッド開放指令スイッチ、前記フィラーリッド開放検出スイッチ、前記自己保持指令出力のそれぞれから、駆動抵抗と直列ダイオードとを介して導通駆動信号を供給するとともに、
前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路すると時限付勢回路に給電され、前記時限付勢回路は、前記所定の制限期間の任意の時期に前記マイクロプロセッサが出力するシャットダウン指令の発生をラッチ回路で記憶して、遮断用トランジスタによって前記フィラーリッド開放検出スイッチに接続された前記駆動抵抗と直列ダイオードによる前記付勢トランジスタに対する導通駆動信号を遮断し、前記ラッチ回路は前記フィラーリッド開放検出スイッチが開路したことによってリセットされることを特徴とする請求項3に記載の車載電子制御装置。
【請求項5】
前記電源リレーの励磁コイルは、付勢トランジスタを介して前記車載バッテリから給電駆動され、
前記付勢トランジスタに前記電源スイッチ、前記フィラーリッド開放指令スイッチ、前記フィラーリッド開放検出スイッチ、及び前記自己保持指令出力のそれぞれから、駆動抵抗と直列ダイオードとを介して導通駆動信号を供給するとともに、
前記フィラーリッド開放検出スイッチと前記駆動抵抗との間に時限付勢回路を構成する遮断用トランジスタを直列接続し、
前記時限付勢回路は、前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路してから前記所定の制限期間が経過したことに伴って前記遮断用トランジスタを開路するコンデンサを有し、前記フィラーリッド開放検出スイッチが開路したことによって前記コンデンサの充電電荷が放出されて初期化されることを特徴とする請求項3に記載の車載電子制御装置。
【請求項6】
前記マイクロプロセッサと前記プログラムメモリを主体として主制御回路部を構成し、該主制御回路部は、前記電源リレーの出力接点を介して前記車載バッテリから給電される主電源回路の出力電圧によって動作し、前記プログラムメモリはリーク検出制御手段となる制御プログラムを包含するとともに、
前記車載バッテリから直接給電される副電源回路と、該副電源回路から給電されて動作する副制御回路部と、前記副制御回路部を構成し、直並列変換器を介して前記マイクロプロセッサと相互にシリアル接続されるソークタイマと、を備え、
前記ソークタイマは、予め前記マイクロプロセッサから覚醒時間の設定値を受信して設定値レジスタ又は現在値レジスタに格納し、前記電源スイッチが開路されて前記自己保持指令出力によって持続給電されている時間帯に受信した計時開始指令信号に基づいて計時動作を開始し、設定された覚醒時間の経過に伴って覚醒指令信号出力を発生し、
前記付勢トランジスタは、前記覚醒指令信号出力から駆動抵抗と直列ダイオードを介して導通駆動信号が供給されて電源リレーを付勢し、
前記マイクロプロセッサは、前記計時開始指令信号の送信に伴って前記自己保持指令出力を停止して電源リレーを消勢するが、前記覚醒指令信号出力の発生に応動して覚醒起動
されて再び前記自己保持指令を発生し、前記ソークタイマに対してリセット指令を送信して前記覚醒指令信号出力を停止させるとともに、前記リーク検出制御手段によって前記燃料タンクの漏洩細口の有無を判定してから再び前記自己保持指令を停止し、
前記リーク検出制御手段は更に、前記減圧処理手段の実行を優先する給油優先手段を包含し、リーク検出制御手段の実行中に前記減圧処理手段の実行要件が成立したときに前記リーク検出制御手段は実行停止することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の車載電子制御装置。
【請求項7】
前記マイクロプロセッサと前記プログラムメモリを主体として主制御回路部を構成し、該主制御回路部は、前記電源リレーの出力接点を介して前記車載バッテリから給電される主電源回路の出力電圧によって動作し、前記プログラムメモリは更にリーク検出制御手段となる制御プログラムを包含するとともに、
前記車載バッテリから直接給電される副電源回路と、該副電源回路から給電されて動作する副制御回路部と、を備え、
前記副制御回路部は、直並列変換器を介して前記マイクロプロセッサと相互にシリアル接続されて、補助プログラムメモリと協働するサブCPUを備えるとともに、少なくとも前記フィラーリッド開放指令スイッチと前記フィラーリッド開放検出スイッチは、前記サブCPUに入力され、前記フィラーリッド開放指令スイッチ又は前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路すると、覚醒指令信号出力を発生して前記電源リレーを付勢するとともに、減圧処理要求信号を送信し、
前記補助プログラムメモリはソークタイマとなる制御プログラムを包含し、前記ソークタイマは予め前記マイクロプロセッサから覚醒時間の設定値を受信して補助RAMメモリに格納し、前記電源スイッチが開路されて前記自己保持指令出力によって持続給電されている時間帯に受信した計時開始指令信号に基づいて計時動作を開始し、設定された覚醒時間の経過に伴って前記覚醒指令信号出力を発生して前記電源リレーを付勢するとともに、リーク検出要求信号を送信し、
前記マイクロプロセッサは、前記計時開始指令信号の送信に伴って前記自己保持指令出力を停止して前記電源リレーを消勢するとともに、前記覚醒指令信号出力の発生に応動して覚醒起動されて再び前記自己保持指令を発生し、前記サブCPUに対してリセット指令を送信して前記覚醒指令信号出力を停止させ、前記要求信号の内容に応動して前記リーク検出制御手段によって前記燃料タンクの漏洩細口の有無の判定を行なうか、前記減圧処理手段による減圧処理を行ってから再び前記自己保持指令を停止し、
前記リーク検出制御手段は更に、前記減圧処理手段の実行を優先する給油優先手段を包含し、リーク検出制御手段の実行中に前記減圧処理要求信号が発生したときに前記リーク検出制御手段は実行停止されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車載電子制御装置。
【請求項8】
前記電源リレーの励磁コイルは付勢トランジスタを介して前記車載バッテリから給電駆動され、
前記付勢トランジスタは前記電源スイッチ、前記覚醒指令信号出力、及び前記自己保持指令出力のそれぞれから、駆動抵抗と直列ダイオードとを介して導通駆動信号が供給されるとともに、前記補助プログラムメモリは時限付勢手段となる制御プログラムを包含し、
前記時限付勢手段は、前記フィラーリッド開放指令スイッチ又は前記フィラーリッド開放検出スイッチが閉路すると、所定の制限期間において前記覚醒指令信号出力を発生し、
前記覚醒指令信号出力の発生に伴って、前記マイクロプロセッサに送信する前記減圧処理要求の発生を記憶し、該減圧処理要求が一旦発生すると前記フィラーリッド開放検出スイッチが開路するか、又は前記フィラーリッド開放指令スイッチが再度閉路されるまで前記覚醒指令信号出力の発生を禁止し、
前記所定の制限期間は、前記電源リレーが付勢されて前記マイクロプロセッサが正常動作を開始するまでの応答遅延時間以上であって、前記遮断用タイマの設定時間である前記
所定の遮断用閾値時間以下であることを特徴とする請求項7に記載の車載電子制御装置。
【請求項9】
前記キャニスタの大気開放通路に減圧ポンプを配置し、前記減圧処理手段は、前記燃料タンク内の気圧が高いときには、少なくとも一旦は前記燃料タンク内の圧力が大気圧に接近した所定の閾値範囲に低下するまで前記密閉弁開放用電磁弁を開放付勢するとともに、前記減圧ポンプを駆動し、
前記リーク検出制御手段は、前記フィラーキャップが閉鎖されているときに、前記密閉弁開放用電磁弁を開放付勢するとともに、前記減圧ポンプを駆動して前記燃料タンク内又は減圧配管通路の負圧の変化を測定し、基準値と対比することによって漏洩細口の有無を判定するものであることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車載電子制御装置。
【請求項10】
前記マイクロプロセッサ又は前記サブCPUに、前記フィラーリッド開放検出スイッチに加えてフィラーリッド閉鎖検出スイッチを入力信号として接続し、
前記フィラーリッド閉鎖検出スイッチは、前記フィラーリッドが閉鎖され、しかも前記フィラーキャップの締め忘れがない状態で閉路するか、又は前記フィラーキャップの閉鎖状態において閉路する補助スイッチが接続されており、
前記フィラーリッド開放検出スイッチと前記フィラーリッド開放指令スイッチは、前記電源リレーが不作動であっても前記車載バッテリの出力電圧を入力信号電圧として供給するのに対し、
前記フィラーリッド閉鎖検出スイッチは、前記電源リレーが作動しているときに限って入力信号として有効となり、
前記リーク検出制御手段は、前記フィラーリッド閉鎖検出スイッチが閉路しているときに実行されることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の車載電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−86644(P2013−86644A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228610(P2011−228610)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】