説明

車載電子機器制御システム及び車載電子機器の制御方法

【課題】システム構成を単純なものとしながら、ステアリングスイッチ等の集中スイッチ装置からの操作入力に応じて、複数の車載電子機器の動作を適切に制御することができるようにする。
【解決手段】車載ハンズフリー通話装置2をステアリングスイッチ1に接続し、この車載ハンズフリー通話装置2を介して車載オーディオ装置3をステアリングスイッチ1に接続する。そして、車載ハンズフリー通話装置2にモード判定部22を設け、現在のモードがハンズフリーモードであれば、ステアリングスイッチ1から車載ハンズフリー通話装置2に入力された信号に基づいてハンズフリー通話の各種機能を実行し、現在のモードがオーディオモードであれば、ステアリングスイッチ1から車載ハンズフリー通話装置2に入力された信号を車載オーディオ装置3へと転送して、この転送した信号に基づいて車載オーディオ装置3の動作制御を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばステアリングスイッチ等の集中スイッチ装置からの操作入力に応じて複数の車載電子機器の動作が制御される車載電子機器制御システム及び車載電子機器の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車等の車両においては、エアコン装置やオーディオ装置、ハンズフリー通話装置、ナビゲーション装置など、様々な電子機器が搭載されるようになってきており、これらの各種車載電子機器を操作するためのスイッチの数が増加する傾向にある。このようなスイッチの増加は、車両のインストパネルなどの限られたスペースの有効利用に支障を来すばかりか、ユーザが適切なスイッチを選択するのに手間がかかり、操作性の低下を招くことになる。このような観点から、複数の車載電子機器を操作するためのスイッチを共用化し、このような共用スイッチを備えた集中スイッチ装置を用いて、複数の車載電子機器を操作できるようにする試みがなされている。
【0003】
この種の集中スイッチ装置としては、例えば、ステアリングホイールに設けられたステアリングスイッチが広く知られている。ステアリングスイッチは、特に運転中に操作頻度の高いスイッチ類をステアリングホイールに集約して設置したものであり、ドライバがステアリングホイールを握ったまま、前方から視線を動かすことなく操作できるようにすることで、利便性の向上を実現させたものである。このステアリングスイッチの共用スイッチで操作される車載電子機器としては、例えば、車載ハンズフリー通話装置と車載オーディオ装置とが挙げられる。これら車載ハンズフリー通話装置と車載オーディオ装置とは、制御内容として類似点が多く、スイッチの共用化が比較的容易な車載電子機器である。
【0004】
ところで、ステアリングスイッチの共用スイッチを用いた操作で、車載ハンズフリー通話装置や車載オーディオ装置といった異なる車載電子機器の動作を制御できるようにするためには、ステアリングスイッチからの信号を、制御対象となる車載電子機器に対して適切に伝達する必要がある。このため、従来は、ステアリングスイッチと各車載電子機器との間に通信変換ユニットを設け、ステアリングスイッチから多重通信により送られてくる信号をこの通信変換ユニットで解釈して、異なる車載電子機器に分配させるようにしていた(例えば、非特許文献1参照。)。
【非特許文献1】「FAIRLADY Z 新型車解説書」,日産自動車株式会社,平成14年7月,p.F−91,F−104
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、以上のような従来の手法では、通信変換ユニットといった、多重通信を解釈してステアリングスイッチからの信号を各車載電子機器に分配するための特別な装置が必要となり、その分、システム構成が複雑となってコストアップを招く要因となるといった問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点を解決すべく創案されたものであって、システム構成を単純なものとしながら、ステアリングスイッチ等の集中スイッチ装置からの操作入力に応じて、複数の車載電子機器の動作を適切に制御することができる車載電子機器制御システム及び車載電子機器の制御方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、前記目的を達成するために、集中スイッチ装置からの操作入力に応じて動作が制御される複数の車載電子機器のうちの1つ(第1の車載電子機器)を集中スイッチ装置に接続し、この第1の車載電子機器以外の他の車載電子機器(第2の車載電子機器)を第1の車載電子機器を介して集中スイッチ装置に接続するようにしている。そして、第1の車載電子機器にモード判定手段を設け、このモード判定手段によって、現在のモードが、第1の車載電子機器を動作させる第1のモードであると判定されたときには、集中スイッチからの操作入力に応じた信号に基づいて第1の車載電子機器の動作を制御するようにし、モード判定手段によって、現在のモードが、第2の車載電子機器を動作させる第2のモードであると判定されたときには、集中スイッチからの操作入力に応じた信号を第1の車載電子機器から第2の車載電子機器へと転送し、転送した信号に基づいて第2の車載電子機器の動作を制御するようにしている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、集中スイッチ装置に接続された第1の車載電子機器でのモード判定の結果、第1のモードであれば、集中スイッチ装置からの信号に基づいて第1の車載電子機器が制御され、第2のモードであれば、集中スイッチ装置からの信号が第1の車載電子機器から第2の車載電子機器に転送されて、転送された信号に基づいて第2の車載電子機器が制御されるので、システム構成を単純なものとしながら、集中スイッチ装置からの操作入力に応じた複数の車載電子機器の適切な動作制御を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の具体的な実施形態として、集中スイッチ装置であるステアリングスイッチからの操作入力に応じて、車載電子機器である車載ハンズフリー通話装置の動作と車載オーディオ装置の動作とを制御するようにした車載電子機器制御システムに本発明を適用した場合を例に挙げ、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明は、ここで例示する車載電子機器制御システムに限らず、集中スイッチ装置からの操作入力に応じて複数の電子機器の動作が制御される構成の各種車載電子機器制御システムに対して広く適用可能である。
【0010】
図1は、本実施形態の車載電子機器制御システムのシステム構成を概略的に示す図である。本実施形態の車載電子機器制御システムは、図1に示すように、集中スイッチ装置であるステアリングスイッチ1に対して、第1の車載電子機器である車載ハンズフリー通話装置2と、第2の車載電子機器である車載オーディオ装置3とが、この順で接続されて構成される。
【0011】
ステアリングスイッチ1は、例えば図2に示すように、車両のステアリングホイール10に設けられた集中スイッチ装置であり、共用スイッチを含む複数の操作子から構成される。図2では、4つの操作子11,12,13,14を備えるステアリングスイッチ1を例示している。
【0012】
この図2に示すステアリングスイッチ1において、操作子11は音量を調整するための操作スイッチである。この操作子11が図2中A側に操作されると音量アップ、図2中B側に操作されると音量ダウンを指示する信号が出力される。また、操作子12は音声認識の開始(PTT:Push To Talk)や車載ハンズフリー通話装置2の通話開始を指示するためのプッシュスイッチである。この操作子12が押圧操作されると(図2中C操作)音声認識開始や車載ハンズフリー通話装置2の通話開始を指示する信号が出力される。また、操作子13は車載オーディオ装置3のモード切り替えや車載ハンズフリー通話装置2の通話終了を指示するためのプッシュスイッチである。車載オーディオ装置3を動作させるオーディオモードのときにこの操作子13が押圧操作されると(図2中D操作)、「CD」→「MD」→「FMラジオ」→「AMラジオ」といった車載オーディオ装置3のモード切り替えを指示する信号が出力され、車載ハンズフリー通話装置2を動作させるハンズフリーモードのときにこの操作子13が押圧操作されると、通話終了を指示する信号が出力される。また、操作子14は車載オーディオ装置3のラジオ選局のための操作スイッチである。この操作子14が図2中E側に操作されると高周波数側のシーク、図2中F側に操作されると低周波数側のシークを指示する信号が出力される。
【0013】
以上のステアリングスイッチ1を構成する各操作子11,12,13,14のうちで、操作子11,13は、車載ハンズフリー通話装置2と車載オーディオ装置3とで共用される共用スイッチである。すなわち、音量の調整は車載ハンズフリー通話装置2と車載オーディオ装置3との双方で必要な機能であるので、音量調整を指示するための操作子11は共用化している。そして、本実施形態の車載電子機器制御システムにおいては、ハンズフリーモードのときにこの操作子11が操作されると車載ハンズフリー通話装置2での音量調整が行われ、オーディオモードのときにこの操作子11が操作されると車載オーディオ装置3での音量調整が行われるようになっている。また、車載オーディオ装置3のモード切り替えや車載ハンズフリー通話装置2の通話終了の指示は、互いに同時に指示されることのない排反の関係にあるので、操作子13を共用化してこれら排反の関係にある2つの機能を1つの操作子13に割り当てている。そして、本実施形態の車載電子機器制御システムにおいては、ハンズフリーモードのときにこの操作子13が押圧操作されると車載ハンズフリー通話装置2での通話終了の処理が行われ、オーディオモードのときにこの操作子11が操作されると車載オーディオ装置3でのモード切り替えが行われるようになっている。
【0014】
車載ハンズフリー通話装置2は、図1に示すように、スイッチ信号入力部21と、モード判定部22と、ハンズフリー機能実行部23と、信号転送部24とを有している。
【0015】
スイッチ信号入力部21は、ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じた信号が入力されるものである。ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じた信号は、スリップリングを介してステアリングホイールの外部に取り出されるようになっており、ステアリングスイッチ1の各スイッチ操作(図2で示したA〜F操作)に対応した電圧信号として、車載ハンズフリー通話装置2のスイッチ信号入力部21に入力される。スイッチ信号入力部21は、この電圧信号(アナログ信号)をA/D変換して、ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じたデジタル信号をモード判定部22に送る。
【0016】
モード判定部22は、本実施形態の車載電子機器制御システムにおける現在のモードが、車載ハンズフリー通話装置2を動作させるハンズフリーモード(第1のモード)であるのか、或いは車載オーディオ装置3を動作させるオーディオモード(第2のモード)であるのかの判定を行うものである。具体的には、この車載ハンズフリー通話装置2のモード判定部22は、ステアリングスイッチ1を用いたドライバの操作入力や通話相手からの着信などが何もない通常状態のときは、オーディオモードであると判断する。そして、例えば、ステアリングスイッチ1でのスイッチ操作C(操作子12の押圧操作)に対応して、スイッチ信号入力部21に音声認識開始や通話開始を指示する信号が入力されたとき、或いは通話相手からの着信があってハンズフリー機能実行部23がこの着信を受け付ける処理を行ったときに、オーディオモードからハンズフリーモードへ移行したと判断する。また、モード判定部22は、ハンズフリーモードのときに、ステアリングスイッチ1でのスイッチ操作D(操作子13の押圧操作)に対応して、スイッチ信号入力部21に通話終了を指示する信号が入力されたとき、或いは通話相手からの着信が途切れてハンズフリー機能実行部23が通話終了の処理を行ったときに、ハンズフリーモードからオーディオモードへ移行したと判断する。
【0017】
本実施形態の車載電子機器制御システムでは、この車載ハンズフリー通話装置2のモード判定部22によって、現在のモードがハンズフリーモードであると判定されたときには、ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じたデジタル信号が、スイッチ信号入力部21からハンズフリー機能実行部23へと送られる。一方、この車載ハンズフリー通話装置2のモード判定部22によって、現在のモードがオーディオモードであると判定されたときには、ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じたデジタル信号が、スイッチ信号入力部21から信号転送部24へと送られる。
【0018】
ハンズフリー機能実行部23は、車内に設置された図示しないスピーカやマイク等を用いて、自動車電話機、或いは車載ハンズフリー通話装置2に接続された携帯電話機などでの通話を代替し、ドライバが受話器を持たない状態での通話を行うハンズフリー通話の機能を実行するものである。本実施形態の車載電子機器制御システムでは、このハンズフリー機能実行部23は、モード判定部22によって現在のモードがハンズフリーモードであると判定されたときに、スイッチ信号入力部21から送られるステアリングスイッチ1からの操作入力に応じたデジタル信号に基づいて、ハンズフリー通話の各種機能を実行する。
【0019】
信号転送部24は、モード判定部22によって現在のモードがオーディオモードであると判定されたときに、スイッチ信号入力部21から送られるステアリングスイッチ1からの操作入力に応じたデジタル信号を、車載オーディオ装置3へと転送するものである。本実施形態の車載電子機器制御システムでは、車載ハンズフリー通話装置2にこれらモード判定部22と信号転送部24とを設けることにより、オーディオモードのときにはステアリングスイッチ1からの操作入力に応じた信号が、車載ハンズフリー通話装置2を経由して車載オーディオ装置3へと送られるようになっている。
【0020】
本実施形態の車載電子機器制御システムにおいて、ステアリングスイッチ1に対して車載ハンズフリー通話装置2を介して接続される車載オーディオ装置3は、図1に示すように、転送信号入力部31と、オーディオ機能実行部32とを有している。
【0021】
転送信号入力部31は、車載ハンズフリー通話装置2の信号転送部24から送られた信号、すなわちオーディオモードのときにステアリングスイッチ1から車載ハンズフリー通話装置2のスイッチ信号入力部21に入力されてA/D変換された信号であって、信号転送部24から車載オーディオ装置3へと転送された、ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じた信号が入力されるものである。この転送信号入力部31に入力されたステアリングスイッチ1からの操作入力に応じた信号は、オーディオ機能実行部32へと送られる。
【0022】
オーディオ機能実行部32は、CD(Compact Disc)プレーヤやMD(Mini Disc)プレーヤ、FMラジオチューナ、AMラジオチューナといったオーディオ音源となる機器の動作を制御して、これらオーディオ音源からの音声をスピーカから出力させるオーディオ機能を実行するものである。本実施形態の車載電子機器制御システムでは、このオーディオ機能実行部32は、車載ハンズフリー通話装置2のモード判定部22によって現在のモードがオーディオモードであると判定され、ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じた信号が車載ハンズフリー通話装置2から車載オーディオ装置3へと転送されて転送信号入力部31に入力されたときに、この転送された信号に基づいて、オーディオ音源となる機器の動作を制御して各種機能を実行する。
【0023】
以上のように構成される本実施形態の車載電子機器制御システムでは、ステアリングスイッチ1に対して直接接続されている車載ハンズフリー通話装置2においてモードの管理を行うことで、当該車載ハンズフリー通話装置2や、この車載ハンズフリー通話装置2を介してステアリングスイッチ1に接続された車載オーディオ装置3の双方で、ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じた信号に基づいて適切な動作制御が行われるようにしている。このような車載ハンズフリー通話装置2でのモード管理は、車載ハンズフリー通話装置2のモード判定部22及び信号転送部24で例えば図3のフローチャートで示すような処理が行われることで実現される。
【0024】
すなわち、まず、ステップS1においてステアリングスイッチ1からの操作入力に応じた信号が車載ハンズフリー通話装置2のスイッチ信号入力部21に入力されると、モード判定部22が、次のステップS2において、このスイッチ信号入力部21に入力された信号が、ステアリングスイッチ1の共用スイッチ(図2に示した例では操作子11,13)での操作(図2に示した例ではA,B,D操作)に対応した信号かどうかを判定する。
【0025】
そして、ステップS2の判定の結果、スイッチ信号入力部21に入力された信号が共用スイッチでの操作に対応した信号であると判定した場合、モード判定部22は、次のステップS3において、現在のモードがオーディオモードであるかどうかを判定する。そして、オーディオモードであると判定された場合には、次のステップS4において、信号転送部24が、スイッチ信号入力部21に入力された信号を車載オーディオ装置3に転送する。この信号転送部24から車載オーディオ装置3へと転送された信号は、車載オーディオ装置3の転送信号入力部31に入力され、オーディオ機能実行部32での機器の動作制御に使用される。一方、ステップS3でオーディオモードではない、すなわちハンズフリーモードであると判定された場合には、ステップS5において、スイッチ信号入力部21に入力された信号に基づいて、ハンズフリー機能実行部23によりハンズフリー通話の各種機能が実行される。
【0026】
一方、ステップS2での判定の結果、スイッチ信号入力部21に入力された信号が共用スイッチ以外の操作子(図2に示した例では操作子12,14)での操作(図2に示した例ではC,E,F操作)に対応した信号であると判定した場合、モード判定部22は、次に、ステップS6において、スイッチ信号入力部21に入力された信号がオーディオ専用の操作子(図2に示した例では操作子14)での操作(図2に示した例ではE,F操作)に対応した信号かどうかを判定する。そして、スイッチ信号入力部21に入力された信号がオーディオ専用の操作子での操作に対応した信号ではない、すなわちハンズフリー専用の操作子(図2に示した例では操作子12)での操作(図2に示した例ではC操作)に対応した信号であると判定された場合には、ステップS5に進んで、スイッチ信号入力部21に入力された信号に基づき、ハンズフリー機能実行部23によりハンズフリー通話の各種機能が実行される。
【0027】
一方、ステップS6での判定の結果、スイッチ信号入力部21に入力された信号がオーディオ専用の操作子での操作に対応した信号であると判定した場合、モード判定部22は、次のステップS7において、現在のモードがオーディオモードであるかどうかを判定する。そして、オーディオモードであると判定された場合には、ステップS4に進んで、信号転送部24が、スイッチ信号入力部21に入力された信号を車載オーディオ装置3に転送する。一方、ステップS7でオーディオモードではない、すなわちハンズフリーモードであると判定された場合には、ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じた動作制御が行われることなく、一連の処理が終了する。
【0028】
以上詳細に説明したように、本実施形態の車載電子機器制御システムにおいては、ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じて動作が制御される車載ハンズフリー通話装置2と車載オーディオ装置3のうち、車載ハンズフリー通話装置2をステアリングスイッチ1に接続して、車載オーディオ装置3は車載ハンズフリー通話装置2を介してステアリングスイッチ1に接続するようにしている。そして、車載ハンズフリー通話装置2にモード判定部22を設け、現在のモードがハンズフリーモードであれば、ステアリングスイッチ1から車載ハンズフリー通話装置2に入力された信号に基づいてハンズフリー通話の各種機能を実行し、現在のモードがオーディオモードであれば、ステアリングスイッチ1から車載ハンズフリー通話装置2に入力された信号を車載オーディオ装置3へと転送して、この転送した信号に基づいて車載オーディオ装置3の動作制御を実行するようにしている。
【0029】
したがって、本実施形態の車載電子機器制御システムによれば、従来の通信変換ユニットといったような特別な装置を設けることなく、ステアリングスイッチ1からの信号を車載ハンズフリー通話装置2と車載オーディオ装置3とに適切に分配することができ、システム構成を単純なものとしながら、ステアリングスイッチ1からの操作入力に応じて車載ハンズフリー通話装置2と車載オーディオ装置3との双方での適切な動作制御を実現することができる。
【0030】
また、一般に車載ハンズフリー通話装置2は高性能のCPU(Central Proccessing Unit)を備えているので、この高性能のCPUを利用して車載ハンズフリー通話装置2にモード判定部22の機能を持たせることにより、モードの判定を迅速に且つ精度良く行うことができる。
【0031】
なお、以上説明した本実施形態の車載電子機器制御システムは本発明の一適用例であり、本発明が以上の例に限定されるものではなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば種々の変更が可能であることは勿論である。例えば、上述した実施形態では、車載ハンズフリー通話装置2をステアリングスイッチ1に接続して、車載オーディオ装置3は車載ハンズフリー通話装置2を介してステアリングスイッチ1に接続するようにしているが、これとは逆に、車載オーディオ装置3をステアリングスイッチ1に接続して、車載ハンズフリー通話装置3を車載オーディオ装置3を介してステアリングスイッチ1に接続するようにしてもよい。この場合には、車載オーディオ装置3にモード判定部22としての機能と信号転送部24としての機能とを持たせるようにすればよい。
【0032】
また、上述した実施形態では、車載ハンズフリー通話装置2と車載オーディオ装置3といった2つの車載電子機器の動作を制御する車載電子機器制御システムを例に挙げて説明したが、3つ以上の車載電子機器の動作を制御する車載電子機器制御システムに対しても、本発明は有効に適用可能である。3つ以上の車載電子機器の動作を制御する車載電子機器制御システムの場合は、これらの各車載電子機器のうちの1つをステアリングスイッチ1等の集中スイッチ装置に接続して、この車載電子機器にモード判定部22としての機能と信号転送部24としての機能とを持たせ、この車載電子機器を介して他の車載電子機器がステアリングスイッチ1等の集中スイッチ装置に接続されるようにすればよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明を適用した車載電子機器制御システムの概略構成を示すシステム構成図である。
【図2】前記車載電子機器制御システムにおいて集中スイッチ装置として用いられるステアリングスイッチの具体的な一例を示す図である。
【図3】前記車載電子機器制御システムにおける車載ハンズフリー通話装置でモードの管理を行うために実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
1 ステアリングスイッチ(集中スイッチ装置)
2 車載ハンズフリー通話装置(第1の車載電子機器)
3 車載オーディオ装置(第2の車載電子機器)
21 スイッチ信号入力部
22 モード判定部
23 ハンズフリー機能実行部
24 信号転送部
31 転送信号入力部
32 オーディオ機能実行部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の車載電子機器で共用される共用スイッチを備えた集中スイッチ装置からの操作入力に応じて、前記複数の車載電子機器の動作が制御される車載電子機器制御システムにおいて、
前記集中スイッチに接続される第1の車載電子機器と、
前記集中スイッチに対して前記第1の車載電子機器を介して接続される第2の車載電子機器とを備え、
前記第1の車載電子機器が、
前記集中スイッチ装置からの操作入力に応じた信号が入力される第1の信号入力手段と、
現在のモードが、当該第1の車載電子機器を動作させる第1のモードであるか、或いは前記第2の車載電子機器を動作させる第2のモードであるかの判定を行うモード判定手段と、
前記モード判定手段によって第1のモードであると判定された場合に、前記第1の信号入力手段に入力された信号に基づいて当該第1の車載電子機器の動作を制御する第1の動作制御手段と、
前記モード判定手段によって第2のモードであると判定された場合に、前記第1の信号入力手段に入力された信号を前記第2の車載電子機器に転送する信号転送手段とを有し、
前記第2の車載電子機器が、
前記第1の車載電子機器の信号転送手段から転送された信号が入力される第2の信号入力手段と、
前記第2の信号入力手段に入力された信号に基づいて当該第2の車載電子機器の動作を制御する第2の動作制御手段とを有すること
を特徴とする車載電子機器制御システム。
【請求項2】
前記第1の車載電子機器が車載ハンズフリー通話装置であり、前記第2の車載電子機器が車載オーディオ装置であること
を特徴とする請求項1に記載の車載電子機器制御システム。
【請求項3】
前記車載ハンズフリー通話装置のモード判定手段は、前記集中スイッチ装置が備える各スイッチのうちで通話開始コマンドに対応したスイッチが操作されたとき、或いは通話相手からの着信があったときに、第2のモードであるオーディオモードから第1のモードであるハンズフリーモードへと移行したと判断し、前記集中スイッチ装置が備える各スイッチのうちで通話終了コマンドに対応したスイッチが操作されたとき、或いは通話相手からの着信が途絶えたときに、第1のモードであるハンズフリーモードから第2のモードであるオーディオモードへと移行したと判断すること
を特徴とする請求項2に記載の車載電子機器制御システム。
【請求項4】
複数の車載電子機器で共用される共用スイッチを備えた集中スイッチ装置からの操作入力に応じて、前記複数の車載電子機器の動作を制御する車載電子機器の制御方法であって、
前記複数の車載電子機器のうちの1つを前記共用スイッチに接続するとともに、他の車載電子機器を前記車載電子機器を介して前記共用スイッチに接続し、
前記共用スイッチに接続される車載電子機器である第1の車載電子機器にモード判定手段を設け、当該モード判定手段によって、現在のモードが、当該第1の車載電子機器を動作させる第1のモードであると判定したときは、前記集中スイッチからの操作入力に応じた信号に基づいて当該第1の車載電子機器の動作を制御し、前記モード判定手段によって、現在のモードが、前記他の車載電子機器である第2の車載電子機器を動作させる第2のモードであると判定したときは、前記集中スイッチからの操作入力に応じた信号を前記第1の車載電子機器から前記第2の車載電子機器へと転送し、転送した信号に基づいて前記第2の車載電子機器の動作を制御すること
を特徴とする車載電子機器の制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2006−205866(P2006−205866A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19682(P2005−19682)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】