説明

転写層にパターンを形成する方法

【課題】充填剤を含む転写層に微細パターンを生産効率良く形成する方法を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂と充填剤を含む熱可塑性組成物からなる転写層に所望のパターンの反転パターンを有するモールドを圧着させる工程、該転写層に所望のパターンを形成する工程、および該モールドを該転写層から離脱させる工程を具備する転写層にパターンを形成する方法、ならびに、硬化性単量体と充填剤を含む硬化性組成物からなる転写層に所望のパターンの反転パターンを有するモールドを押し付ける工程、該転写層と該モールドを押し付けた状態で硬化性組成物を硬化させる工程、および硬化性組成物の硬化により形成された硬化物からモールドを離脱させる工程を具備する転写層にパターンを形成する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写層にパターンを形成する方法、該方法により得られる所望のパターンが形成された転写層に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造等の分野では、500μm以下の微細パターンを生産効率良く形成する方法として、ナノインプリント法が検討されている。ナノインプリント法とは、微細パターンを有するモールドのパターンを転写層に転写する微細パターンの形成方法である。
【0003】
ナノインプリント法としては、熱可塑性重合体からなる転写層を加熱して軟化させる工程、転写層とモールドを圧着してモールドのパターンを転写層に形成する工程、モールドを転写層から離脱させる工程を順次行う方法(特許文献1参照)、硬化性単量体からなる転写層をモールドに接触させる工程、硬化性単量体を硬化させる工程、硬化性単量体の硬化物からモールドを離脱させる工程を順次行う方法(特許文献2参照)等が知られている。
【0004】
一方、熱可塑性樹脂と充填剤を含む熱可塑性組成物は、熱可塑性樹脂と充填剤に由来する特性を発現することが一般に知られている。しかし、該熱可塑性組成物は成形加工性が充分でなく微細パターンを有する物品に加工するのが困難である。
【0005】
【特許文献1】特表2004−504718号公報
【特許文献2】特表2002−539604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ナノインプリント法を用いて、表面にマイクロメートルまたはナノメートルスケールのパターンを有する充填剤を含む転写層を形成する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記方法1および下記方法2を提供する。
[方法1]
熱可塑性樹脂と充填剤を含む熱可塑性組成物からなる転写層に所望のパターンの反転パターンを有するモールドを圧着させる工程、該転写層に所望のパターンを形成する工程、および該モールドを該転写層から離脱させる工程を具備する転写層にパターンを形成する方法。
【0008】
[方法2]
硬化性単量体と充填剤を含む硬化性組成物からなる転写層に所望のパターンの反転パターンを有するモールドを押し付ける工程、該転写層と該モールドを押し付けた状態で硬化性組成物を硬化させる工程、および硬化性組成物の硬化により形成された硬化物からモールドを離脱させる工程を具備する転写層にパターンを形成する方法を提供する。
【0009】
また本発明は、方法1または方法2により所望のパターンが形成された転写層を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、充填剤を含む転写層に微細パターンを生産効率良く形成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書において式(1)で表される化合物を化合物1と記す。他式で表される化合物も同様に記す。また本明細書において(メタ)アクリル酸とはアクリル酸またはメタクリル酸、(メタ)アクリレートとはアクリレートまたはメタクリレート、を意味する。
【0012】
本発明の方法1における転写層は、熱可塑性樹脂と充填剤を含む熱可塑性組成物からなる。
【0013】
熱可塑性樹脂は、軟化温度を有すれば特に限定されない。ここで軟化温度とは、熱可塑性樹脂が非結晶性である場合はガラス転移温度(以下、単にTと言う。)を意味し、熱可塑性樹脂が結晶性である場合は融解温度(以下、単にTと言う。)を意味する。
【0014】
熱可塑性樹脂は、フッ素原子を含まない熱可塑性重合体または熱可塑性含フッ素重合体が好ましい。熱可塑性樹脂は、モールドとの離型性に優れる観点から、熱可塑性含フッ素重合体が好ましく、フッ素原子の含有量が40〜76質量%の熱可塑性含フッ素重合体がより好ましい。
【0015】
熱可塑性樹脂としてフッ素原子を含まない熱可塑性重合体と熱可塑性含フッ素重合体を併用する場合、熱可塑性樹脂中の熱可塑性含フッ素重合体/フッ素原子を含まない熱可塑性重合体(質量比)は、1/99〜99/1が好ましく、50/50〜99/1がより好ましく、70/30〜99/1が特に好ましい。
【0016】
フッ素原子を含まない熱可塑性重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル/スチレン系重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン系重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。
【0017】
熱可塑性含フッ素重合体としては、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン系共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体、含フッ素アクリレート系重合体、主鎖に含フッ素脂肪族環構造を有する重合体(以下、単に含フッ素環状重合体という。)、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン/エチレン系共重合体、クロロトリフルオロエチレン/炭化水素系アルケニルエーテル系共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体等が挙げられる。
【0018】
熱可塑性含フッ素重合体としては、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン/ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体、テトラフルオロエチレン/エチレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン系共重合体、テトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体、含フッ素アクリレート系重合体、および含フッ素環状重合体からなる群から選ばれる1種以上の熱可塑性含フッ素重合体が好ましく、含フッ素アクリレート系重合体または含フッ素環状重合体がより好ましく、含フッ素環状重合体が特に好ましい。
【0019】
含フッ素アクリレート系重合体としては、後述の化合物2または後述の化合物3を重合させて得た含フッ素重合体が好ましい。
含フッ素環状重合体とは、主鎖が炭素原子の連鎖からなる含フッ素重合体であり、かつ脂肪族環の環を構成する炭素原子の1個以上がその主鎖を構成する炭素原子に含まれる含フッ素重合体である。含フッ素環状重合体としては、下式(A)で表される繰り返し単位を含む含フッ素環状重合体、下式(B)で表される繰り返し単位を含む含フッ素環状重合体または下式(C)で表される繰り返し単位を含む含フッ素環状重合体が好ましい。
【0020】
【化1】

【0021】
ここで、X11、X12、X13、X14、X15、およびX16は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、メチル基または炭素数1〜3の含フッ素アルキル基を示し、少なくとも1つはフッ素原子である。
17は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3の含フッ素アルキル基を、
18は、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3の含フッ素アルキル基、水酸基、スルホニル基、チオール基、カルボキシル基、およびアミノ基から選ばれる官能基を有する炭素数1〜6の含フッ素アルキル基を、
およびY2は、それぞれ独立に、単結合、酸素原子、メチレン基、ジフルオロメチレン基、オキシジフルオロメチレン基、もしくはフッ素原子、炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基または炭素数1〜3のペルフルオロアルコキシ基で置換されたメチレン基を、
21、X22、X23、およびX24は、それぞれ独立に、フッ素原子、炭素数1〜3のペルフルオロアルキル基または炭素数1〜3のペルフルオロアルコキシ基を、
31およびX32は、それぞれ独立に、フッ素原子または炭素数1〜7のペルフルオロアルキル基を、示す。
これらの含フッ素環状重合体は、後述の化合物4、後述の化合物5または後述の化合物6を重合させて得ることが好ましい。
【0022】
本発明の方法1において、熱可塑性組成物中の熱可塑性樹脂の含有量は、50〜99.99質量%が好ましく、75〜99.9質量%がより好ましい。熱可塑性樹脂中の充填剤の含有量は、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜25質量%がより好ましい。
【0023】
本発明の方法1における充填剤としては、無機材料、炭素材料、導電性高分子、フタロシアニン等の色素材料、ポルフィリン等の有機金属錯体、有機磁性体、有機半導体、液晶材料等が挙げられる。充填剤は、無機材料または炭素材料が好ましい。
【0024】
無機材料としては、珪素化合物(珪素、炭化珪素、二酸化珪素、窒化珪素、シリコンゲルマニウム、鉄シリサイド等。)、金属(白金、金、ロジウム、ニッケル、銀、チタン、ランタノイド系元素、銅、鉄、亜鉛等。)、金属酸化物(酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、ITO、酸化鉄、酸化銅、酸化ビスマス、酸化マンガン、酸化ホフニウム、酸化イットリウム、酸化スズ、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化銀等。)、無機化合物塩(チタン酸バリウム等の強誘電体材料、チタン酸ジルコン酸鉛等の圧電材料、リチウム塩等の電池材料等。)、金属合金(フェライト系磁石、ネオジウム系磁石等の磁性体、ビスマス/テルル合金、ガリウム/砒素合金等の半導体、窒化ガリウム等の蛍光材料等。)等が挙げられる。無機材料は、珪素化合物、金属または金属酸化物が好ましい。
【0025】
炭素材料としては、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、グラファイト、ダイヤモンドまたは活性炭が好ましい。炭素材料には、熱可塑性樹脂との混合を容易にする観点から、官能基が導入されていてもよい。
【0026】
充填剤の形状としては、繊維状、粒子状、粉末状等が挙げられる。充填剤の形状は、粒子状が好ましく、混合性に優れることから平均粒子径が1〜100nmの微粒子がより好ましく、平均粒子径が1〜10nmの微粒子が特に好ましい。充填剤は表面処理されていてもよい。
【0027】
本発明の方法1における転写層は、基材上に形成されることが好ましい。この場合、転写層は、基材上に直接形成されてもよく、他の層を介して基材上に形成されていてもよい。
【0028】
基材の材質としては、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、ゲルマニウム、チタン、シリコン等の金属材料、ガラス、石英、アルミナ等の無機材料、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアリレート、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等の高分子材料、ダイヤモンド、黒鉛等の炭素材料等が挙げられる。
【0029】
本発明の方法1におけるモールドは、特に限定されず、反転パターンとして凹凸構造を有するモールド(以下、単にモールドAとも言う。)が好ましい。モールドAの断面の1例を図1に示す。モールドAは、横方向にLの幅、縦方向にLの高さを有する凸構造がLの間隔で配置された凹凸構造を有する。
【0030】
凸構造の配置される間隔(L)は、10nm〜50μmが好ましく、30nm〜5μmがより好ましく、50nm〜500nmが特に好ましい。
凸構造の幅(L)は、5nm〜300μmが好ましく、10nm〜200nmがより好ましく、20nm〜150nmが特に好ましい。
凸構造の高さ(L)は、30nm〜50μmが好ましく、50nm〜2μmがより好ましく、50nm〜1μmが特に好ましい。
【0031】
モールドの材質としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアリレート、エポキシ樹脂等の高分子材料、ニッケル、鉄、ステンレス鋼、シリコン等の金属類、石英ガラス等のガラス類、サファイヤ、ダイヤモンド、グラッシーカーボン等が挙げられる。基材の表面は、転写層との離型性に優れる観点から、ニッケルメッキを施されていてもよく、離型剤が塗布されていてもよい。
【0032】
本発明の方法1における圧着工程は、熱可塑性樹脂の軟化温度以上に加熱したモールドを転写層に圧着させて行うか、熱可塑性樹脂の軟化温度以上に転写層を加熱してからモールドに圧着させて行うことが好ましい。これらの場合の加熱温度は、熱可塑性樹脂の軟化温度〜(熱可塑性樹脂の軟化温度+60℃)が好ましく、(熱可塑性樹脂の軟化温度+5℃)〜(熱可塑性樹脂の軟化温度+40℃)がより好ましい。この範囲の加熱温度であると、本発明の方法1における形成工程を効率的に実施できる。圧着の圧力は、モールドの耐久性の観点から、1MPa〜200MPa(絶対圧)が好ましく、1MPa〜80MPa(絶対圧)がより好ましい。
【0033】
本発明の方法1における離脱工程は、熱可塑性樹脂の軟化温度以下の温度で行うことが好ましく、(熱可塑性樹脂の軟化温度−10℃)〜(熱可塑性樹脂の軟化温度−50℃)で行うことがより好ましい。この範囲の温度であると、転写層のパターン形状の精度が特に高い。
【0034】
本発明の方法1の具体例を、下記第1工程と下記第2工程を具備する実施形態にて説明する。
第1工程は、基材上の熱可塑性組成物からなる転写層側にモールドAを圧着させる工程である。モールドAまたは転写層は、熱可塑性樹脂の軟化温度以上に予め加熱されている。
第2工程は、基材を熱可塑性樹脂の軟化温度以下に冷却してモールドAを転写層から離脱させる工程である。該工程後の転写層には、モールドAのパターンが反転したパターンが形成される。該パターンは、横方向にLの幅、縦方向にLの高さを有する凸構造がLの間隔で配置される形状を有する。
【0035】
本発明の方法2における転写層は、硬化性単量体と充填剤を含む硬化性組成物からなる。
【0036】
硬化性単量体とは、硬化性基を有する化合物である。硬化性基は、硬化性組成物を硬化させる反応を起こす基であり、ビニル基、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、エポキシ基または式−(CH2aSi(Z13-b(Z2bで表される加水分解性シリル基が好ましい。
【0037】
ただし、Z1は加水分解反応により水酸基に変換される基である。水酸基に変換される基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシロキシ基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、塩素原子が好ましい。アルコキシ基は、メトキシ基またはエトキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。Z1としては、アルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
【0038】
2は、1価の炭化水素基である。Z2は、アルキル基、1以上のアリール基で置換されたアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、アリール基が挙げられ、アルキル基またはアルケニル基が好ましい。Z2がアルキル基である場合、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。Z2がアルケニル基である場合、炭素数2〜4のアルケニル基が好ましく、ビニル基またはアリル基がより好ましい。
aは1〜3の整数であり、1が好ましい。bは0〜3の整数であり、0が好ましい。
【0039】
式−(CHaSi(Z13-b(Z2bで表される加水分解性シリル基としては、(CH3O)3SiCH2−、(CH3CH2O)3SiCH2−、(CH3O)3SiCH2CH2CH2−または(CH3CH2O)3SiCH2CH2CH2−が好ましい。
【0040】
アクリロイル基としては、CH2=CHC(O)O−またはCH2=CFC(O)O−が好ましい。
メタクリロイル基としては、CH2=C(CH3)C(O)O−、CH2=C(CF3)C(O)O−または−CH2=C(Ph)C(O)O−が好ましい。ただし、Phはフェニル基を示す。
【0041】
硬化性単量体中の硬化性基の数は、1〜4が好ましく、3または4がより好ましい。該範囲にあると、硬化性性組成物を硬化させて得た硬化物の物性に優れる。また2種以上の硬化性単量体を用いる場合、硬化性単量体中の硬化性基の平均数は2〜3が好ましい。
【0042】
硬化性単量体は、フッ素原子を含まない硬化性単量体であっても硬化性含フッ素単量体であってもよく、モールドとの離型性に優れることから、硬化性含フッ素単量体が好ましく、フッ素原子含有量が40〜76質量%の硬化性含フッ素単量体がより好ましい。
【0043】
硬化性単量体としてフッ素原子を含まない硬化性単量体と硬化性含フッ素単量体を併用する場合、硬化性組成物中の硬化性含フッ素単量体/フッ素原子を含まない硬化性単量体の比率(質量比)は、1/99〜99/1が好ましく、50/50〜99/1がより好ましく、70/30〜99/1が特に好ましい。
【0044】
フッ素原子を含まない硬化性単量体としては、下記の化合物等が挙げられる。
炭化水素系オレフィン:ノルボルネン等。
炭化水素系ジエン:ノルボルナジエン等。
炭化水素系アルケニルエーテル:シクロヘキシルメチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル、グリシジルビニルエーテル等。
炭化水素系ビニルエステル:酢酸ビニル、ビニルピバレート等。
【0045】
(メタ)アクリル酸誘導体:(メタ)アクリル酸、芳香族系の(メタ)アクリレート[フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート等。]、炭化水素系の(メタ)アクリレート[ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタアエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等。]、エーテル性酸素原子を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[エトキシエチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、テトラヒドロフルフリールアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリオキシエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート等。]、官能基を含む炭化水素系の(メタ)アクリレート[2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアミノエチルメタクリレート等。]、シリコーン系のアクリレート等。
【0046】
その他の化合物:無水マレイン酸、ビニレンカーボネート等。
【0047】
硬化性含フッ素単量体としては、下記化合物1、下記化合物2、下記化合物3、下記化合物4、下記化合物5および下記化合物6からなる群れから選ばれる1種以上の化合物が好ましい。
CR1112=CR13−(O)Z−Q11−W11 (1)
CR2122=CR23−C(O)O−Q21−W21 (2)
CH2=CR31−C(O)O−Q31−O(O)C−CR32=CH2 (3)
CX1112=CX13−Y1−CX1718−Y2−CX14=CX1516 (4)
【0048】
【化2】

【0049】
化合物1中、R11、R12、およびR13は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のポリフルオロアルキル基を示し、Q11は、単結合、炭素数1〜20のポリフルオロアルキレン基または炭素数1〜20のエーテル性酸素原子を含むポリフルオロアルキレン基を示し、W11は、臭素原子、ヨウ素原子、−CH2OH、−COOH、−COOCH3、−COOM1、−SO2F、−SO3H、−SO32、−CN、−CH2OPO2Hまたは−CH2PO32(ただし、M1およびM2は、それぞれ独立に、アルカリ金属を示す。)を示し、zは、0または1を示す。
【0050】
化合物2中、R21、R22、およびR23は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のポリフルオロアルキル基を示し、Q21は、炭素数1〜20の水酸基を含有していてもよいポリフルオロアルキレン基または炭素数1〜20の水酸基を含有していてもよいエーテル性酸素原子を含むポリフルオロアルキレン基を示し、W21は、水素原子、フッ素原子、−CH2OH、−COOH、−COOCH3、−COOM1、−SO2F、−SO3H、−SO32、−CN、−CH2OPO2Hまたは−CH2PO32(ただしM1 およびM2 は、それぞれ独立に、アルカリ金属を示す。)を、示す。
【0051】
化合物3中、R31およびR32は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のポリフルオロアルキル基を示し、Q31は、炭素数1〜20のエーテル性酸素原子を有していてもよいポリフルオロアルキル基、炭素数1〜20の水酸基を有するポリフルオロアルキル基を示す。
【0052】
化合物4中、X11、X12、X13、X14、X14、X15、X16、X17、X18、Y1およびY2は前記と同じ意味を示す。
化合物5中、X21、X22、X23およびX24は前記と同じ意味を示す。
化合物6中、X21およびX22は前記と同じ意味を示す。
【0053】
化合物1の具体例としては、CF2=CFOCF2CF2SO2F、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2SO2F、CF2=CFCOOH、CF2=CFO(CF23COOCH3、CF2=CFO(CF23CH2OH、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF2CH2I等が挙げられる。
【0054】
化合物2の具体例としては、CH2=CHCOO(CH22(CF210F、CH2=CHCOO(CH22(CF28F、CH2=CHCOO(CH22(CF26F、CH2=C(CH3)COO(CH22(CF210F、CH2=C(CH3)COO(CH22(CF28F、CH2=C(CH3)COO(CH22(CF26F、CH2=CHCOOCH2(CF26F、CH2=C(CH3)COOCH2(CF26F、CH2=CHCOOCH2(CF27F、CH2=C(CH3)COOCH2(CF27F、CH2=CHCOOCH2CF2CF2H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF22H、CH2=CHCOOCH2(CF2CF24H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF2)H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF22H、CH2=C(CH3)COOCH2(CF2CF24H、CH2=CHCOOCH2CF2OCF2CF2OCF3、CH2=CHCOOCH2CF2O(CF2CF2O)3CF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2OCF2CF2OCF3、CH2=C(CH3)COOCH2CF2O(CF2CF2O)3CF3、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF23F、CH2=CHCOOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)2(CF23F、CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)O(CF23F、CH2=C(CH3)COOCH2CF(CF3)O(CF2CF(CF3)O)2(CF23F、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF26CF(CF32、CH2=CFCOOCH2CH(CH2OH)CH2(CF26CF(CF32、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF210F、CH2=CFCOOCH2CH(OH)CH2(CF210F等が挙げられる。
【0055】
化合物3の具体例としては、CH2=CHCOOCH2CH2(CF2CF2k1CH2CH2OCOCH=CH2、CH2=CHCOOCH2CF2(OCF2CF2k2OCF2CH2OCOCH=CH2、CH2=C(CH3)COOCH2CH2(CF2CF2k3CH2CH2OCOC(CH3)=CH2、CH2=C(CH3)COOCH2CF2(OCF2CF2k4OCF2CH2OCOC(CH3)=CH2、CH2=CHCOOCH2CyCH2OCOCH=CH2、CH2=C(CH3)COOCH2CyCH2OCOC(CH3)=CH2等が挙げられる。ただし、k1、k2、k3およびk4は、それぞれ独立に、3〜10の整数を示し、Cyはペルフルオロ(1,4−シクロへキシレン)基を示す。
【0056】
化合物4の具体例としては、CF2=CFCF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF2CF=CF2、CF2=CFOCF(CF3)CF2CF=CF2、CF2=CFOCF2CF(CF3)CF=CF2、CF2=CFOCF2OCF=CF2、CF2=CFOCF2CF(CF3)OCF2CF=CF2、CF2=CFCF2C(OH)(CF3)CH2CH=CH2、CF2=CFCF2C(OH)(CF3)CH=CH2、CF2=CFCF2C(CF3)(OCH2OCH3)CH2CH=CH2、CF2=CFCH2C(C(CF32OH)(CF3)CH2CH=CH2等が挙げられる。
【0057】
化合物5の具体例としては、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)、ペルフルオロ(4−メトキシ−1,3−ジオキソール)等が挙げられる。
化合物6の具体例としては、ペルフルオロ(2−メチレン−4−メチル−1,3−ジオキソラン)等が挙げられる。
【0058】
その他の好ましい硬化性含フッ素単量体としては、化合物1、化合物2、化合物3、化合物4、化合物5および化合物6からなる群から選ばれる1種以上の化合物を重合させて得た2〜20の繰り返し単位からなる硬化性含フッ素プレポリマー、下記化合物7、フルオロノルボルネン等が挙げられる。
【0059】
【化3】

【0060】
硬化性含フッ素プレポリマーは、(メタ)アクリロイル基を有する含フッ素プレポリマーまたはビニル基を有する含フッ素プレポリマーが好ましい。硬化性含フッ素プレポリマーの数平均分子量は、硬化性の観点から500〜50000が好ましい。
【0061】
本発明の方法2において、硬化性組成物中の硬化性単量体の含有量は、50〜99.99質量%が好ましく、75〜99.9質量%がより好ましい。硬化性組成物中の充填剤の含有量は、0.01〜50質量%が好ましく、0.1〜25質量%がより好ましい。
【0062】
本発明の方法2における充填剤は、方法1における充填剤と同様の充填剤が用いられる。
本発明の方法2における転写層は、基材上に形成されることが好ましい。この場合、転写層は、基材上に直接形成されてもよく、他の層を介して基材上に形成されていてもよい。基材は方法1における基材と同様の基材が用いられる。
本発明の方法2におけるモールドは、方法1におけるモールドと同様のモールドが用いられる。
【0063】
本発明の方法2における押付工程は、硬化性組成物とモールドを加圧して行うことが好ましい。加圧の圧力は、硬化性組成物の粘度にしたがって適宜決定され、通常は10MPa(絶対圧)以下が好ましい。
【0064】
本発明の方法2における硬化工程は、硬化性組成物を硬化させる方法であれば特に限定されず、熱および/または光照射により硬化性組成物を硬化させる方法が好ましい。
熱により硬化性組成物を硬化させる場合、硬化性組成物は熱硬化開始剤を含むことが好ましい。熱硬化開始剤としては、有機過酸化化合物、アゾ化合物、過硫酸塩類等の公知の熱硬化開始剤が挙げられる。
【0065】
光照射により硬化性組成物を硬化させる場合、硬化性組成物は光硬化開始剤を含むことが好ましい。この場合、硬化が低温(0〜60℃)で高い反応収率で進行するため、硬化に伴う着色と硬化物の体積変化が抑制される。ただし、光照射により硬化を行う場合、モールドまたは基材のいずれかは光を透過する材質からなる。該材質としては、ガラス、石英等の無機材料、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート等の高分子材料等が挙げられる。
【0066】
光硬化開始剤は、光によりラジカル反応またはイオン反応を引き起こすものであり、ラジカル反応を引き起こす光硬化開始剤が好ましい。光硬化開始剤としては、下記の光硬化開始剤が挙げられる。
【0067】
アセトフェノン系の光硬化開始剤:アセトフェノン、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、クロロアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ヒドロキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2’−フェニルアセトフェノン、2−アミノアセトフェノン、ジアルキルアミノアセトフェノン等。
【0068】
ベンゾイン系の光硬化開始剤:ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−2−メチルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール等。
【0069】
ベンゾフェノン系の光硬化開始剤:ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、メチル−o−ベンゾイルベンゾエート、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシプロピルベンゾフェノン、アクリルベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン等。
【0070】
チオキサントン系の光硬化開始剤:チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ジメチルチオキサントン等。
【0071】
フッ素原子を含有する光硬化開始剤:ペルフルオロ(tert−ブチルペルオキシド)、ペルフルオロベンゾイルペルオキシド等。
【0072】
その他の光硬化開始剤:α−アシルオキシムエステル、ベンジル−(o−エトキシカルボニル)−α−モノオキシム、アシルホスフィンオキサイド、グリオキシエステル、3−ケトクマリン、2−エチルアンスラキノン、カンファーキノン、テトラメチルチウラムスルフィド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシピバレート等。
【0073】
光硬化開始剤は、硬化性単量体の100質量部に対して、0.05質量部以上を用いることが好ましく、0.1〜10質量部を用いることがより好ましい。0.05質量部以上とすることにより、硬化が充分に進行し、硬化物に重合性化合物が残存することがなく、10質量部以下とすることにより、硬化物の分子量が充分に高くなり、得られる精密パターンの機械特性が損なわれることがない。
【0074】
光照射に用いる光は、光硬化開始剤が反応する光であり、前記光硬化開始剤が容易に反応し、硬化性単量体をより低温で硬化できる観点から、400nm以下の波長光(紫外線、X線、γ線等の活性エネルギー線)が好ましい。操作性の観点から、200〜400nmの波長光がより好ましい。
【0075】
また光照射時に、全体を加熱することにより、硬化性単量体の硬化を加速させてもよい。加熱する場合の温度は、300℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましい。この場合、硬化物に形成されるパターン形状の精度が高く保持される。
【0076】
本発明の方法2における硬化性組成物の硬化物をモールドから離脱させる工程は、硬化物を25℃付近(硬化工程で加熱した場合は25℃付近まで冷却して)にて行うことが好ましい。
【0077】
本発明の方法2の具体例を、下記第1工程、下記第2工程および下記工程3からなる実施形態にて説明する。
第1工程は、透明な材質からなるモールドAの凹凸構造側を光硬化性組成物に接触するように、モールドAを基板上の光硬化性組成物に押し付ける工程である。
第2工程は、モールドAを光硬化性組成物に押し付けた状態で、光をモールドA上に照射して光硬化性組成物を硬化させる工程である。
第3工程は、光硬化性組成物の硬化により形成された硬化物からなる転写層からモールドAを離脱させる工程である。
【0078】
本発明の方法により得られる所望のパターンが形成された転写層は、充填剤を含むため充填剤の種類により種々の特性を発現する。
たとえば、充填剤としてフラーレンまたは二酸化珪素を用いる場合、得られる転写層はドライエッチング耐性に優れるレジスト層として半導体の微細加工に適用できる。
また、充填剤として白金等の触媒微粒子を用いる場合、得られる転写層は表面積の大きい触媒担持体として有用である。
【0079】
さらに本発明の方法において、予め表面に熱可塑性樹脂からなる被膜が形成されたモールドを用い、該被膜と転写層が圧着するまで熱圧着すると、表面に熱可塑性樹脂の被膜を有する微細パターンが形成された転写層を製造できる。
【実施例】
【0080】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
以下において、テトラヒドロフランをTHF、CFClCFClをR−113、テトラフルオロエチレンをTFE、と略記する。
【0081】
[例1(含フッ素重合体1の合成例)]
反応器(耐圧ガラス製、内容積50mL)に、CF=CFCFC(CF)(OH)CHCH=CHの10g、および酢酸メチルの23gを仕込んでから、ペルフルオロベンゾイルペルオキシドの0.24gを仕込んだ。反応器内を凍結脱気してから、反応器内の温度を70℃にて6時間保持して重合を行った。
【0082】
つぎに反応器内溶液をヘキサン中に滴下して凝集した含フッ素重合体を回収し、150℃にて12時間、真空乾燥して25℃で白色粉末状の含フッ素重合体(以下、単に含フッ素重合体1という。)の8gを得た。
【0083】
含フッ素重合体1は、下式A1で表される繰り返し単位を含む非結晶性の含フッ素環状重合体であることを確認した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリスチレン換算)を用いて求めた含フッ素重合体1の分子量は数平均分子量で14200、重量平均分子量が41300であり、DSC法を用いて求めた含フッ素重合体1のTgは148℃あった。
【0084】
【化4】

【0085】
[例2(パターンの形成例(その1))]
含フッ素重合体1の0.5gにアセトンの2.5gを加えた溶液に、白金微粒子(平均粒子径30nm)の3mgを加えて組成物溶液を得る。シリコンウェハ上に組成物溶液をスピンコート法を用いて塗布し薄膜を形成する。シリコンウェハを100℃に加熱してアセトンを留去すると、熱可塑性組成物1(白金微粒子を含む含フッ素重合体1)からなる薄膜(膜厚450nm)が形成されるシリコンウェハが得られる。
【0086】
幅が300nm、高さが150nmの凸構造が10μmの間隔で配置される凹凸構造のパターンを有するモールド(ニッケル製)の表面を、フッ素系シランカップリング剤で処理してから155℃に加熱する。つぎに該モールドを該シリコンウェハの薄膜側に20MPa(絶対圧)の圧力にて圧着させる。つづいて、全体を125℃以下に冷却し、モールドをシリコンウェハから離脱させるとシリコンウェハ上に凹凸構造のパターンを有する、熱可塑性組成物1からなる転写層を得る。該転写層の凹構造の深さと幅、ならびに凹構造の配置される間隔を表1に示す。
【0087】
[例3(パターンの形成例(その2))]
紫外光をカットしたクリーンルーム内にて、CF=CFCFC(CF)(OH)CHCH=CHの0.1g、および白金微粒子(平均粒子径30nm)の0.5mgをバイヤル容器(内容積1.3mL)内で混合し、さらにペルフルオロベンゾイルペルオキシドの6mgを加えて混合してなる硬化性組成物1を得る。硬化性組成物1をシリコンウェハ上にスピンコート法を用いて塗布して薄膜が形成されるシリコンウェハを得る。
【0088】
つぎに、幅が300nm、高さが150nmの凸構造が10μmの間隔で配置される凹凸構造のパターンを有するモールド(石英製)の表面を、フッ素系シランカップリング剤で処理する。該モールドを該シリコンウェハの薄膜側に押し付ける。モールド上に紫外線(波長365nm、照度63mW/cm)を30秒間、照射してから、モールドをシリコンウェハから離脱させるとシリコンウェハ上に凹凸構造のパターンを有する、硬化性組成物1を硬化させて得た硬化物からなる転写層を得る。該転写層の凹構造の深さと幅、ならびに凹構造の配置される間隔を表1に示す。
【0089】
[例4(パターンの形成例(その3))]
白金微粒子のかわりにフラーレン(C60)(アルドリッチ社製)の0.2mgをトルエンの0.05gに溶解した溶液を用いる以外は、例3と同様にして硬化性組成物2を得る。例3と同様にしてシリコンウェハ上に凹凸構造を有する、硬化性組成物2を硬化させて得た硬化物からなる転写層を得る。該転写層の凹構造の深さと幅、ならびに凹構造の配置される間隔を表1に示す。
【0090】
該転写層をレジスト層として、シリコンウェハのドライエッチング(エッチングガスはCHF/Oである。)を行うと、モールドのパターンに従い表面がエッチングされたシリコンウェハを得る。
【0091】
[例5(パターンの形成例(その4))]
白金微粒子のかわりにヘキサデカフルオロフタロシアニン亜鉛錯体(アルドリッチ社製)の0.2mgをアセトンの0.01gに溶解させた溶液を用いる以外は例3と同様にして硬化性組成物3を得る。例3と同様にしてシリコンウェハ上に凹凸構造のパターンを有する、硬化性組成物3を硬化させて得た硬化物からなる転写層を得る。該転写層の凹構造の深さと幅、ならびに凹構造の配置される間隔を表1に示す。
【0092】
[例6(パターンの形成例(その5))]
白金微粒子のかわりに単層カーボンナノチューブ(アルドリッチ社製)の0.5mgを用いる以外は、例3と同様にして硬化性組成物4を得る。例3と同様にしてシリコンウェハ上に凹凸構造のパターンを有する、硬化性組成物4を硬化させて得た硬化物からなる転写層を得る。該転写層の凹構造の深さと幅、ならびに凹構造の配置される間隔を表1に示す。
【0093】
[例7(パターンの形成例(その6))]
白金微粒子のかわりに銀微粒子(アルドリッチ社製)の0.5mgを用いる以外は、例3と同様にして硬化性組成物5を得る。例3と同様にしてシリコンウェハ上に凹凸構造のパターンを有する、硬化性組成物5を硬化させて得た硬化物からなる転写層を得る。該転写層の凹構造の深さと幅、ならびに凹構造の配置される間隔を表1に示す。
【0094】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明の方法によれば、光学素子(マイクロレンズアレイ、光導波路、光スイッチング、フレネルゾーンプレート、バイナリー光学素子、ブレーズ光学素子、フォトニクス結晶等)、ARコート部材、バイオチップ、μ−TAS用チップ、マイクロリアクターチップ、パターンドメディア等の記録メディア、ディスプレイ材料、触媒の担持体、リチウム二次電池や燃料電池用膜電極接合体、各種フィルター、センサー部材等が得られる。また本発明の転写層は、半導体製造工程に用いるドライエッチング耐性に優れるレジスト層として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】所望のパターンの反転パターンとして凹凸構造を有するモールドの断面図。
【符号の説明】
【0097】
1:モールドA
:モールドAの凸構造の配置される間隔
:モールドAの凸構造の幅
:モールドAの凸構造の高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と充填剤を含む熱可塑性組成物からなる転写層に所望のパターンの反転パターンを有するモールドを圧着させる工程、該転写層に所望のパターンを形成する工程、および該モールドを該転写層から離脱させる工程を具備することを特徴とする転写層にパターンを形成する方法。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂が、熱可塑性含フッ素重合体である請求項1に記載の転写層にパターンを形成する方法。
【請求項3】
硬化性単量体と充填剤を含む硬化性組成物からなる転写層に所望のパターンの反転パターンを有するモールドを押し付ける工程、該転写層と該モールドを押し付けた状態で硬化性組成物を硬化させる工程、および硬化性組成物の硬化により形成された硬化物からモールドを離脱させる工程を具備することを特徴とする転写層にパターンを形成する方法。
【請求項4】
前記硬化性単量体が、硬化性含フッ素単量体である請求項3に記載の転写層にパターンを形成する方法。
【請求項5】
前記充填剤が、平均粒子径が1〜100nmの微粒子である請求項1〜4のいずれかに記載の転写層にパターンを形成する方法。
【請求項6】
前記充填剤が、無機材料または炭素材料である請求項1〜5のいずれかに記載の転写層にパターンを形成する方法。
【請求項7】
前記モールドの反転パターンが凹凸構造を有し、凸構造の配置される間隔が10nm〜50μmである請求項1〜6のいずれかに記載の転写層にパターンを形成する方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の転写層にパターンを形成する方法により所望のパターンが形成された転写層。

【図1】
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【公開番号】特開2006−150741(P2006−150741A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−344218(P2004−344218)
【出願日】平成16年11月29日(2004.11.29)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】