説明

透明積層体の検査方法およびこの検査方法が用いられてなる透明積層体

【課題】第1透明体上に第2透明体を配設した透明積層体において、第1透明体の所定の位置に第2透明体が配設されているか否かを高精度に検査する。
【解決手段】第1透明体と、前記第1透明体の一方側面上に第2透明体が配設されてなる透明積層体において、撮像手段で前記第2透明体側の略直上から略直下に向けて前記透明積層体の外周端部を撮像する撮像工程と、前記撮像工程で撮像された画像の明/暗の違いを元にして、前記第1透明体の面取り部分および第2透明体の傾斜部分の領域を識別し、このそれぞれの領域が識別された場合には第1透明体の所定位置に第2透明体が配設されていると判断し、またこのそれぞれの領域が識別されない場合には第1透明体の所定位置に第2透明体が配設されていないと判断する識別工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば電子機器の表示窓パネルのように、第1透明体の一方側面に第2透明体を配設してなる透明積層体において、第1透明体の所定の位置に第2透明体が配設されているか否かを検査する検査方法、およびこの検査方法を用いてなる透明積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フラットパネルディスプレイ,デジタルカメラ,デジタルビデオカメラ,携帯電話,携帯用ゲーム機に代表される電子機器などにおいて、その表示部分に反射防止処理がなされた表示窓パネルを配設することで、表示部分を良好に保護しつつ、視認性も良好に維持できるようにしている。
【0003】
このような表示窓パネル100は、例えば図4に示したように、高透明性を有する透明基板(第1透明体)110を成形機で成形しておき、この透明基板110の一方側面に、粘着材を介して反射防止シート(第2透明体)120を貼着してなるものが広く用いられている。
【0004】
また、透明基板の一方側面と他方側面の両面に、ディップ(浸漬)成形法で反射防止層を設けることで、反射防止効果を高めた表示窓パネルも用いられている。
【0005】
さらに透明基板の一方側面と他方側面にそれぞれ異なる光学特性を有する反射防止シートを貼着した表示窓パネル(特許文献1)、また透明基板の一方側面に反射防止効果を有するモスアイ構造のパターンを予め形成しておき、他方側面にはモスアイ構造のパターンとは異なる光学特性を有する反射防止シートを貼着した表示窓パネル(特許文献2)も、本出願人によって既に開発されている。
【0006】
ところで、ディップ(浸漬)成形法を用いて製造された表示窓パネル以外の表示窓パネル100において、透明基板110上に反射防止シート120を貼着する際には、図5に示したように、まず透明基板110上にこれよりも一回り大きな反射防止シート120を貼着し、この後、レーザー130を用いて反射防止シート120を所定の位置でカットするようにしている。反射防止シート120の切断面は傾斜面となり、この傾斜具合はレーザーの照射角度などで調整可能である。図5の符号122は傾斜部分である。
【0007】
なお、透明基板110の外周縁部稜線112の位置よりも内側に反射防止シート120の端部が位置するよう、カット時の位置設定がなされている。
【0008】
しかしながら、反射防止シート120のカット位置が、何らかの要因でズレが生じてしまった場合には、例えば図6に示したように、透明基板110の外周縁部稜線112の上に反射防止シート120の傾斜部分122の端部が張り出した状態(オーバーハングの状態)で貼着されてしまうことがある。
【0009】
このような表示窓パネル100は、反射防止シート120のオーバーハング箇所124に物が引っ掛かってしまい反射防止シートの剥離を引き起したり、この部分に接触して怪我をしてしまう虞が有るため、不良品として扱われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特願2010−028981号
【特許文献2】特願2010−028982号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
表示窓パネルにおけるオーバーハング有無の検査は、表示窓パネルを目視するなどして行われているが、表示窓パネルが透明であるために不良箇所が見えづらく、不良品を見落とす虞が有るため、更なる検査精度の向上が求められているのが実情である。
【0012】
本発明はこのような現状に鑑み、少なくとも第1透明体上に第2透明体を配設した透明積層体において、第1透明体の所定の位置に第2透明体が配設されているか否かを高精度に検査することのできる透明積層体の検査方法およびこの検査方法が用いられてなる透明積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前述したような従来技術における課題および目的を達成するために発明されたものであって、
本発明の透明積層体の検査方法は、
板状形態であり一方面の外周端部に面取り部分を有する第1透明体と、前記第1透明体の一方面上に、板状形態であり外周端部に傾斜部分を有する第2透明体が配設されてなる透明積層体において、前記第1透明体の所定位置に第2透明体が配設されているか否かを検査する透明積層体の検査方法であって、
前記透明積層体の検査方法は、
撮像手段で前記第2透明体側の略直上から略直下に向けて前記透明積層体の外周端部を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像された画像の明/暗の違いを元にして、前記第1透明体の面取り部分および第2透明体の傾斜部分の領域を識別し、このそれぞれの領域が識別された場合には第1透明体の所定位置に第2透明体が配設されていると判断し、またこのそれぞれの領域が識別されない場合には第1透明体の所定位置に第2透明体が配設されていないと判断する識別工程と、
を少なくとも有することを特徴とする。
【0014】
このような検査方法であれば、第1透明体の面取り部分が他の平坦な部分よりも戻り光が少ない暗部として領域を識別でき、また第2透明体の面取り部分も他の部分よりも戻り光が少ない暗部として領域を識別できる。
【0015】
このため、良品である透明積層体を略直上から略直下に向けて撮像した場合には両領域が識別でき、不良品である透明積層体を略直上から略直下に向けて撮像した場合には面取り部分と傾斜部分が上下で重なり合うために両領域が上手く識別できないこととなる。この識別を行うことにより透明積層体が不良であるか否かを確実に検査することができる。
【0016】
また、本発明の透明積層体の検査方法は、
前記識別工程において、
前記第1透明体の面取り部分および第2透明体の傾斜部分の領域が識別された場合、
さらにそれぞれの領域の位置を元にして、前記第1透明体の外周端部から前記第2透明体の外周端部の位置までの距離を算出し、この距離が予め定められた所定の閾値内にあるとき、前記第1透明体の所定位置に第2透明体が配設されていると判断することを特徴とする。
【0017】
このような検査方法であれば、上記した識別工程に加えてさらに第1透明体に対する第
2透明体の配設位置を確実に検査することができる。
【0018】
また、本発明の透明積層体の検査方法は、
前記透明積層体を垂直方向から視認した際において、
前記第1透明体の面取り部分の水平方向の距離が、20μm以上であることを特徴とする。
【0019】
第1透明体の面取り部分がこのような距離を有していれば、撮像工程で撮像した画像において、傾斜部分の領域を確実に識別することができる。このため、透明積層体の検査を確実に行うことができ、不良品があれば確実にそれを見つけることができる。
【0020】
また、本発明の透明積層体の検査方法は、
前記傾斜部分が、直線状の角面取りであることを特徴とする。
【0021】
このように面取り部分が直線状であれば、撮像した際に面取り部分とそうでない部分との領域が画像により鮮明に表れるため、検査に最適な面取り部分の形状として特に好ましい。
【0022】
また、本発明の透明積層体の検査方法は、
前記透明積層体を垂直方向から視認した際において、
前記第2透明体の傾斜部分の水平方向の距離が、20μm以上であることを特徴とする。
【0023】
第2透明体の傾斜部分がこのような距離を有していれば、撮像工程で撮像した画像において、傾斜部分の領域を確実に識別することができる。このため、透明積層体の検査を確実に行うことができ、不良品があれば確実にそれを見つけることができる。
【0024】
また、本発明の透明積層体の検査方法は、
前記第2透明体の外周端部に形成された傾斜部分が、前記第2透明体をレーザーでカットして形成された切断面であることを特徴とする。
【0025】
このように傾斜部分がレーザーによる切断面であれば、傾斜部分の角度も自由に設定可能であり、また切断面の形状もきれいであるため、透明積層体の製造時の使用に好適である。
【0026】
また、本発明の透明積層体の検査方法は、
前記第1透明体の550〜600nmの波長帯域における分光反射率が、15%以下であることを特徴とする。
【0027】
このような分光反射率を有する第1透明体であれば、本出願の検査方法を用いることで、第1透明体と第2透明体の領域を識別可能であり、不良品があれば確実にそれを見つけることができる。
【0028】
また、本発明の透明積層体の検査方法は、
前記第2透明体の550〜600nmの波長帯域における分光反射率が、10%以下であることを特徴とする。
【0029】
このような分光反射率を有する第2透明体であれば、本出願の検査方法を用いることで、第1透明体と第2透明体の領域を識別可能であり、不良品があれば確実にそれを見つけることができる。
【0030】
また、本発明の透明積層体の検査方法は、
前記第1透明体が透明基板であり、
前記第2透明体が反射防止シートであり、
前記透明積層体が、電子機器の表示窓パネルであって、
前記表示窓パネルは、前記透明基板の一方側面に粘着材を介して前記反射防止シートが貼着されてなることを特徴とする。
【0031】
このように透明基板の一方面に粘着材を介して反射防止シートが貼着された表示窓パネルであれば、電子機器の表示部分として好適であり、本検査方法を用いることで、不良な表示窓パネルが誤って出荷されてしまうことを確実に防止することができる。
【0032】
また、本発明の透明積層体は、
上記いずれかに記載の透明積層体の検査方法によって、第1透明体に対する第2透明体の配設位置の検査がなされてなることを特徴とする。
【0033】
このように本検査方法を用いてなる透明積層体であれば、第1透明体の所定の位置に確実に第2透明体が配設されていることが検査済みであるため、所望のスペックを有する透明積層体として、次工程のユーザーに確実に提供することができる。
【発明の効果】
【0034】
図4に示す従来の表示窓パネルの形状で、図6のように反射防止シート(第2透明体)が透明基板(第1透明体)の端部でオーバーハングした場合、透明基板(第1透明体)の端面の外周縁部稜線は、撮像で光の拡散による明確な暗領域を作り出すことができず、隣接した平坦部の反射光の明の部分と識別できない状態であった。
【0035】
したがって外周縁部稜線が存在せず、反射防止シート(第2透明体)の傾斜部分のみ暗部に見える撮像となり、反射防止シート(第2透明体)が透明基板(第1透明体)をオーバーハングしていることを検査できなかった。
【0036】
本発明によれば、少なくとも第1透明体上に第2透明体を配設した透明積層体において、第1透明体の面取り部分と第2透明体の傾斜部分とを撮像して、各部分の領域を画像上で識別することで、第1透明体の所定の位置に第2透明体が配設されているか否かを高精度に検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の検査方法において、表示窓パネルの端部を撮像した状況、およびその状況を撮像した画像について説明する概略図である。
【図2】図2は、本発明の検査方法において、オーバーハング箇所を有する表示窓パネルの端部を撮像した状況、およびその状況を撮像した画像について説明する概略図である。
【図3】図3は、本発明の検査方法において、透明基板の面取り部分の形状が図1および図2とは異なる形態となっている表示窓パネルの端部を撮像した状況、およびその撮像画像について説明する概略図である。
【図4】図4は、表示窓パネルの端部を拡大した概略図である。
【図5】図5は、表示窓パネルにおいて反射防止シートのカットについて説明する概略図である。
【図6】図6は、オーバーハング箇所を有する表示窓パネルの端部を拡大した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、第1透明体の一方面に第2透明体を配設してなる透明積層体において、第1透明体の所定の位置に第2透明体が配設されているか否かを検査する検査方法、およびこの検査方法を用いてなる透明積層体である。
【0039】
以下、本発明の検査方法について、透明積層体の実施形態の一つとして、例えば電子機器の表示部分に用いられる表示窓パネルを例にして説明を行う。
【0040】
また、本明細書中で「面取り部分」とは、面と面とが交わった部分の角部に加工が施された部分、および板状形態の端部を斜めに切り落とされた部分であり、その形状を限定するものではないものである。
【0041】
さらに「傾斜部分」とは、直線状の傾斜面をはじめ、曲面カーブをも含んだ意味で用いられており、端部から端部までの高低差があればその形状を限定するものではないものである。
【0042】
透明積層体の実施形態の一つである図1に示した表示窓パネル10は、板状形態であり一方面の外周端部に面取り部分22を有する透明基板20と、この透明基板20の一方面上に、板状形態であり外周端部に傾斜部分32を有する反射防止シート30が粘着材を介して貼着されてなるものである。
【0043】
透明基板20の面取り部分22は、例えば電子機器の表示部分の表面側に位置するため、電子機器を使用するユーザーが角部分で怪我をしたりしないように予め角を落としてなる部分である。
【0044】
反射防止シート30の傾斜部分32は、透明基板20から反射防止シート30が剥がれ難くするためのものである。傾斜部分32の形成方法としては、背景技術の欄で説明したように、レーザーによる反射防止シート30のカットの際、レーザーの照射角度によってその傾斜部分32が形成される。なお、後述するように傾斜部分32が検査で必要な箇所となるため、切断部分が傾斜されるのであれば、レーザー以外に切断刃を用いるなど特に切断手段は限定されないものである。
【0045】
このような透明基板20の材質としては、高透明性を有する合成樹脂を用いることができ、例えばポリカーボネート(PC)またはポリメチルメタクリレイト(PMMA)またはシクロオレフィンポリマーを用いることが好ましい。
【0046】
なお、高透明性を有する合成樹脂の選定については、製品として求められるスペックに合わせて適宜選択すれば良いものであるが、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計U−3010を用いた1mm厚みの基板測定(波長帯域550〜600nm)で、分光反射率15%以下のものであれば、視認性を良好に維持するうえでも好ましい。
【0047】
一方、反射防止シート30としては、製品として求められるスペックに合わせて適宜市販品の中から選択して使用することが好ましく、例えば反射防止層(図示せず)とハードコート層(図示せず)と基材層(図示せず)とが積層され、片面に粘着材層を有する日油株式会社製の反射防止シート,日本化薬株式会社製の反射防止シートなどを用いることが好ましく、波長帯域550〜600nmで分光反射率10%以下のものが視認性を良好に維持するうえで好ましい。
【0048】
このような表示窓パネル10は、例えば電子機器の表示部分に用いられ、これにより表示部分を良好に保護しつつ、視認性も良好に維持することができる。
【0049】
ここで透明基板20上に貼着された反射防止シート30は、透明基板20の外周端部に形成された面取り部分22よりも内側に、その外周端部に形成された傾斜部分32の端部が位置するように位置決めされている。
【0050】
このようにして構成される表示窓パネル10において、透明基板20の所定の位置で反射防止シート30が確実にカットされているか否かの検査は、まず撮像手段(図示せず)で反射防止シート30側の略直上から略直下に向けて表示窓パネル10の外周端部を撮像する。
【0051】
すると、図1の楕円で囲われた画像イメージのように、透明基板20の面取り部分22と、反射防止シート30の傾斜部分(切断面)32が他の平坦な部分よりも暗く表示されることとなる。これは、表示窓パネル10の略直上から略直下に向けて光を照射した場合、表示窓パネル10の平坦部からは正反射光が反射するが、透明基板20の面取り部分22および反射防止シート30の傾斜部分32では光が拡散されるため、殆ど反射しないことになる。このため、撮像時に表示窓パネル10に照射された光の反射具合の違いが、画像に明/暗の違いとして現れたものである。
【0052】
なお、図1に示した表示窓パネル10は良品であり、このように良品の場合には画像として透明基板20の面取り部分22の領域Aと、反射防止シート30の傾斜部分32の領域Bの2つの領域が存在することとなる。
【0053】
これに対して図2に示したように不良品である表示窓パネル10は、透明基板20の面取り部分22上に反射防止シート30の傾斜部分32が位置し、反射防止シート30がオーバーハング箇所34を有するため、この不良品である表示窓パネル10を撮像した画像は、反射防止シート30の傾斜部分32が透明基板20の面取り部分22上に重なり合ってしまい、図1のように透明基板20の面取り部分22の領域Aと、反射防止シート30の傾斜部分32の領域Bの2つの領域が確認できず、2つが合体した1つの領域Cが確認されるだけである。
【0054】
したがって、このように表示窓パネル10の略直上から略直下に向けて撮像した画像を用いて行われる表示窓パネル10の検査では、透明基板20の面取り部分22の領域Aと反射防止シート30の傾斜部分32の領域Bの2つの領域が確認された場合には、明らかに透明基板20の面取り部分22の内側に反射防止シート30の傾斜部分32の端部が位置しており良品であると判断でき、透明基板20の面取り部分22の領域Aと反射防止シート30の傾斜部分32の領域Bの2つの領域が確認されない場合には、透明基板20の面取り部分22上に反射防止シート30の傾斜部分32の端部が位置しており不良品であると判断することができる。
【0055】
なお、透明基板20の面取り部分22の領域Aと反射防止シート30の傾斜部分32の領域Bの2つの領域が確認された場合には、透明基板20の面取り部分22端部から反射防止シート30の傾斜部分32の端部までの距離Lが、予め設定された閾値内であるか否かを、画像中の面取り部分22の領域Aの端部の位置と、傾斜部分32の領域Bの端部の位置を元にして求めることで、寸法範囲内に表示窓パネル10ができているか否かを確認することができ、これによりこの寸法範囲内に入らなかった表示窓パネル10について最終的な不良品と判断することができる。
【0056】
ここで透明基板20の面取り部分22の水平方向の幅T1、および反射防止シート30の傾斜部分32の水平方向の幅T2としては、それぞれ20μm以上であることが好ましい。この数値よりも小さい場合には、撮像した画像において、透明基板20の面取り部分
22および反射防止シート30の傾斜部分32のそれぞれの領域A,Bを識別するために非常に高価で高精度な撮像機と照明を使い、且つ時間の掛かる検査が必要となり、コストパフォーマンスが悪い。このため、この幅は、上記したような幅を持っていることが好ましい。
【0057】
また反射率が低い透明基板20および更に反射率が低い反射防止シート30の検査のため、画像検査に用いる照明には平行光を用いて画像の明暗差を出すことが好ましい。
【0058】
さらに透明基板20の面取り部分22は、直線状の傾斜面であることが好ましく、図1に示したような形態や図3に示したような形態であれば、面取り部分22の領域Aが画像に明/暗の違いとして明確に現れる。
【0059】
しかしながら、面取り部分22の形態としては、これに限定されるものではなく、球状としたり凹部とするなど、要は表示窓パネル10を略直上から略直下に向けて撮像した際に、透明基板20の面取り部分22が画像に明/暗の違いとして現れるか否かが重要であるため、光を拡散させて反射率が平坦部分と異なるようにしさえすれば、如何なる形態でも良いものである。
【0060】
以上、本発明の検査方法の好ましい実施の態様について、図1〜図3に示した形態の表示窓パネルを用いて説明したが、本発明はこのような形態の表示パネルに限定されるものではなく、例えば背景技術の欄に記載したように、透明基板(第1透明体)の一方面と他方面にそれぞれ異なる光学特性を有する反射防止シート(第2透明体)を貼着した表示窓パネル(透明積層体)、また透明基板(第1透明体)の成形時に、透明基板(第1透明体)の一方面に反射防止効果を有するモスアイ構造のパターンを形成しておき、透明基板(第1透明体)の他方面にのみ、反射防止シート(第2透明体)を貼着した表示窓パネル(透明積層体)の検査にも適用可能な汎用性の高い検査方法であり、表示窓パネル(透明積層体)の形態に合わせて変更や追加が可能であることは当然のことである。
【符号の説明】
【0061】
10・・・表示窓パネル
20・・・透明基板
22・・・面取り部分
30・・・反射防止シート
32・・・傾斜部分
34・・・オーバーハング箇所
A・・・透明基板の面取り部分の領域
B・・・反射防止シートの傾斜部分の領域
C・・・合体した1つの領域
T1・・透明基板の面取り部分の水平方向の幅
T2・・反射防止シートの傾斜部分の水平方向の幅
L・・・透明基板の面取り部分の端部から反射防止シートの傾斜部分の端部までの距離
100・・・表示窓パネル
110・・・透明基板
112・・・外周縁部稜線
120・・・反射防止シート
122・・・傾斜部分(切断面)
124・・・オーバーハング箇所
130・・・レーザー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状形態であり一方面の外周端部に面取り部分を有する第1透明体と、前記第1透明体の一方面上に、板状形態であり外周端部に傾斜部分を有する第2透明体が配設されてなる透明積層体において、前記第1透明体の所定位置に第2透明体が配設されているか否かを検査する透明積層体の検査方法であって、
前記透明積層体の検査方法は、
撮像手段で前記第2透明体側の略直上から略直下に向けて前記透明積層体の外周端部を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程で撮像された画像の明/暗の違いを元にして、前記第1透明体の面取り部分および第2透明体の傾斜部分の領域を識別し、このそれぞれの領域が識別された場合には第1透明体の所定位置に第2透明体が配設されていると判断し、またこのそれぞれの領域が識別されない場合には第1透明体の所定位置に第2透明体が配設されていないと判断する識別工程と、
を少なくとも有することを特徴とする透明積層体の検査方法。
【請求項2】
前記識別工程において、
前記第1透明体の面取り部分および第2透明体の傾斜部分の領域が識別された場合、
さらにそれぞれの領域の位置を元にして、前記第1透明体の外周端部から前記第2透明体の外周端部の位置までの距離を算出し、この距離が予め定められた所定の閾値内にあるとき、前記第1透明体の所定位置に第2透明体が配設されていると判断することを特徴とする請求項1に記載の透明積層体の検査方法。
【請求項3】
前記透明積層体を垂直方向から視認した際において、
前記第1透明体の面取り部分の水平方向の距離が、20μm以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明積層体の検査方法。
【請求項4】
前記面取り部分が、直線状の角面取りであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の透明積層体の検査方法。
【請求項5】
前記透明積層体を垂直方向から視認した際において、
前記第2透明体の傾斜部分の水平方向の距離が、20μm以上であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の透明積層体の検査方法。
【請求項6】
前記第2透明体の外周端部に形成された傾斜部分が、前記第2透明体をレーザーでカットして形成された切断面であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の透明積層体の検査方法。
【請求項7】
前記第1透明体の550〜600nmの波長帯域における分光反射率が、15%以下であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の透明積層体の検査方法。
【請求項8】
前記第2透明体の550〜600nmの波長帯域における分光反射率が、10%以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の透明積層体の検査方法。
【請求項9】
前記第1透明体が透明基板であり、
前記第2透明体が反射防止シートであり、
前記透明積層体が、電子機器の表示窓パネルであって、
前記表示窓パネルは、前記透明基板の一方側面に粘着材を介して前記反射防止シートが貼着されてなることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の透明積層体の検査方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の透明積層体の検査方法によって、第1透明体に対する第2透明体の配設位置の検査がなされてなることを特徴とする透明積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−237223(P2011−237223A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−107461(P2010−107461)
【出願日】平成22年5月7日(2010.5.7)
【出願人】(597060427)中谷産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】