通信システムの線路長確認方法
【課題】バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおいて、設置工事を行った時に、自動的に、総線路長を確認することができる方法を提供する。
【解決手段】複数の通信装置は、自装置の位置を測定する位置測定手段を備える。複数の通信装置の一つを親装置、他を子装置とする。子装置のそれぞれは、自装置の位置を位置測定手段により検出し、検出した自装置の位置の情報を、接続線を通じて親装置に通知する。親装置は、自装置の位置を位置測定手段により検出し、検出した自装置の位置の情報と、子装置のそれぞれから受信した位置の情報を用いて、隣り合う2個の通信装置間の線路長の全てを算出し、算出した通信装置間の線路長の総和に基づいて総線路長を算出する。総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、警報を発する。
【解決手段】複数の通信装置は、自装置の位置を測定する位置測定手段を備える。複数の通信装置の一つを親装置、他を子装置とする。子装置のそれぞれは、自装置の位置を位置測定手段により検出し、検出した自装置の位置の情報を、接続線を通じて親装置に通知する。親装置は、自装置の位置を位置測定手段により検出し、検出した自装置の位置の情報と、子装置のそれぞれから受信した位置の情報を用いて、隣り合う2個の通信装置間の線路長の全てを算出し、算出した通信装置間の線路長の総和に基づいて総線路長を算出する。総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、警報を発する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおける総線路長の確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、オフィスビルや工場などに設置されるセキュリティ監視システムなどの通信システムを構成する複数の通信装置は、従来、RS−485規格の手順により通信を行うようにされている。このRS−485規格においては、複数の通信装置は、バス型のマルチポイント接続により、ポイントツーポイントで順次に接続線により接続される。
【0003】
例えば図14に示すように、通信装置11〜通信装置1n(nは、2以上の整数)からなる通信システムを想定する。この場合、通信装置11〜通信装置1nのそれぞれは、その両隣の通信装置と接続線により接続するための一方の接続端子taと他方の接続端子tbとを備える。
【0004】
そして、図14の例においては、通信装置11の他方の接続端子tbと通信装置12の一方の接続端子taとを接続、通信装置12の他方の接続端子tbと通信装置13の一方の接続端子taとを接続、・・・というように、ポイントツーポイントで順次に接続線212,223,・・・により、それぞれ隣り合う通信装置間を接続する。これにより、複数の通信装置11〜通信装置1nは、いわゆる一筆書きで接続されて、バス型のマルチポイント接続とされる。
【0005】
セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置は、各部屋の人の出入りを監視するためのカードリーダ装置、各部屋などに配設された人感センサや窓開閉センサなどのセンサ出力を監視するセンサ監視装置、および警備会社の監視センターに異常通報を行うための送信装置、などにより構成される。
【0006】
このセキュリティ監視システムの複数の通信装置を、オフィスや工場に設置するに当たっては、設置工事者は、先ず、それぞれの通信装置の設置場所を決めて、接続線による接続をするための配線計画を作成し、その配線計画に基づいて、各通信機器を実際に配置し、各通信装置間を接続線により接続することが行われている。
【0007】
ところで、特許文献1(特開平8−314374号公報)には、電柱、電柱開閉器等の配電線設備に関する配電線路図情報を作成するために、配電設備機器にGPS測位手段を設け、そのGPS測位結果の位置情報を利用することが開示されている。この技術は、GPS測位手段から取得される実座標位置を基に、配電設備の位置を自動的に配電線路図上に反映させるものである。
【0008】
そこで、上述のセキュリティ監視システムにおける配線計画の配線線路図を、この特許文献1の技術を用いて作成することが考えられ、その配線線路図を用いれば、どの位置に通信装置を配置させれば良いかを設置工事者は容易に判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−314374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、RS−485規格の手順により通信を行う通信システムにおいては、前述したように、複数の通信装置が、図14に示したように、いわゆる一筆書きで接続線により接続されて、バス型のマルチポイント接続とされるが、動作保証される接続線の総線路長には制限があり、例えば、セキュリティ監視システムにおいては、動作保証距離は、1kmとされている。したがって、例えば図14において、複数の通信装置が一筆書きで接続された線路の一方の端部側に接続されている通信装置11から、他方の端部側の通信装置1nまでの総線路長は、1km以内にする必要がある。
【0011】
しかしながら、通信システムの設置工事者が、配線計画により作成された配線線路図に従って、実際に各通信装置を配置し、接続線により各通信装置間を接続して設置工事を完了した後に、通信エラーが発生することが判明し、実際に総線路長を測定してみると、1km以上となってしまっていることがあった。
【0012】
このため、そのような通信エラーの発生を未然に防止するためには、設置工事が終了したとき、通信装置間の線路長を実際に計測し直して、総線路長を測定して確認しなければならず、非常に厄介であった。
【0013】
この発明は、以上のことにかんがみ、バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおいて、設置工事を行った時に、自動的に、総線路長を算出でき、当該総線路長が予め定められた閾値を超えているかどうか容易に確認することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、この発明は、
バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおける総線路長の確認方法であって、
前記複数の通信装置のそれぞれは、自装置の位置を測定する位置測定手段を備え、
前記複数の通信装置の一つを親装置、他を子装置とし、
前記子装置のそれぞれは、自装置の位置を前記位置測定手段により測定して検出し、その検出した自装置の位置の情報を、前記接続線を通じて前記親装置に通知し、
前記親装置は、自装置の位置を位置測定手段により測定して検出し、その検出した自装置の位置の情報と、前記子装置のそれぞれから受信した前記位置の情報を用いて、隣り合う2個の前記通信装置間の線路長の全てを算出し、算出した前記通信装置間の線路長の総和に基づいて、前記総線路長を算出し、
前記総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、警報を発する
ことを特徴とする通信システムの線路長確認方法を提供する。
【0015】
上述の構成のこの発明においては、複数の通信装置のそれぞれは、自装置の位置を測定する位置測定手段を備える。子装置のそれぞれは、この位置測定手段により測定して検出した自装置の位置の情報を、接続線を通じて親装置に通知する。
【0016】
親装置は、自装置の位置を位置測定手段により測定して検出し、この検出した自装置の位置の情報と、子装置のそれぞれから受信した位置の情報を用いて、隣り合う2個の通信装置間の線路長の全てを算出する。そして、親装置は、算出した通信装置間の線路長の総和に基づいて、通信システムにおける総線路長を算出し、算出した総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、警報を発する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、親装置は、接続線によりポイントツーポイントで接続された隣り合う通信装置の位置情報に基づいて、自動的に、それら隣り合う通信装置の線路長を算出し、算出した線路長の総和に基づいて総線路長を算出すると共に、その算出した総線路長が予め定められている閾値を越えているときには、自動的に警報を発する。したがって、この発明によれば、設置工事者は、発せられた警報により、総線路長が、予め定められている閾値を越えたことを、線路長を計測するなどの手間をかけずに知得することができ、必要に応じて設置工事をやり直すなど、設置工事のミスを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態が適用される通信システムの例としてのセキュリティ監視システムの構成例を示す図である。
【図2】図1の例のセキュリティ監視システムにおいて、親装置の例とされる送信装置のハードウエア構成例を示す図である。
【図3】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態が適用される通信システムを構成する複数の通信装置の接続関係を説明するための図である。
【図4】図1の例のセキュリティ監視システムにおける配線計画情報の例を示す図である。
【図5】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態における線路長の算出処理例の説明のための図である。
【図6】図1の例のセキュリティ監視システムにおいて、子装置の例とされるカードリーダのハードウエア構成例を示す図である。
【図7】図1の例のセキュリティ監視システムにおいて、子装置の例とされるセンサ監視装置のハードウエア構成例を示す図である。
【図8】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態における線路長の算出処理例の流れを説明するためのシーケンス図である。
【図9】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態において、子装置の処理例の流れを説明するためのフローチャートを示す図である。
【図10】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態において、親装置の処理例の流れを説明するためのフローチャートを示す図である。
【図11】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態における変形例を説明するための図である。
【図12】この発明による線路長確認方法の第2の実施形態を説明するための図である。
【図13】この発明による線路長確認方法の第2の実施形態において用いる治具装置のハードウエア構成例を示す図である。
【図14】この発明による線路長確認方法が適用される通信システムを構成する複数の通信装置の接続関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
以下、この発明による通信システムの線路長確認方法の第1の実施形態を、通信システムがセキュリティ監視システムである場合を例に、図を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、この発明の実施形態が適用されるセキュリティ監視システムのシステム構成例を示す図である。この図1の例は、3階建ての建物の全ての階の各部屋について、セキュリティ管理をするようにセキュリティ監視システムが構築される場合である。
【0021】
この図1の例のセキュリティ監視システムは、1台の送信装置11と、複数台、図1の例では6台のカードリーダ装置121〜126と、複数台、図1の例では3台のセンサ監視装置131〜133とにより構成される。そして、これら送信装置11と、6台のカードリーダ装置121〜126と、3台のセンサ監視装置131〜133とは、RS−485規格の手順により通信を行うものとされ、前述したように、いわゆる一筆書きで、隣り合う装置間がポイントツーポイントで接続線141,142,・・・,149により順次に接続されて、バス型のマルチポイント接続の構成とされている。これにより、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置は、接続線141〜149で接続されたローカルネットワークを構成している。
【0022】
送信装置11は、カードリーダ装置121〜126からの情報や、センサ監視装置131〜133からの情報を受信して、異常監視を行う。また、送信装置11には、ドアセンサ、人感センサ、窓開閉センサ、火災センサなどのセンサ15の複数個が接続可能であり、送信装置11は、接続されているセンサ15の出力を監視して、異常監視を行う。そして、送信装置11は、警備会社の警備センター20に通信網21を通じて接続されており、当該警備センター20との間で異常通報時の通信などを行う。
【0023】
そして、この実施形態では、送信装置11は、セキュリティ監視システムの各装置の設置工事の際には、親装置として働く機能を備え、後述するように、カードリーダ装置121〜126からの位置情報およびセンサ監視装置131〜133からの位置情報を受信して、各装置間の接続線141〜149の線路長Da〜Diを算出し、算出した各線路長の和として総線路長を算出する。
【0024】
カードリーダ装置121〜126のそれぞれは、各部屋の出入り口に設けられており、各部屋への出入りをする者が所持するICカード30と、例えば電磁誘導による非接触通信を行うことで、人の出入りを検知する。そして、カードリーダ装置121〜126のそれぞれは、検知した人の出入りを、送信装置11に通知する。この実施形態のセキュリティ監視システムにおいては、カードリーダ装置121〜126のそれぞれは、送信装置11との間で通信を行う。
【0025】
そして、この実施形態では、カードリーダ装置121〜126のそれぞれは、セキュリティ監視システムの各装置の設置工事の際には、子装置として働く機能を備え、後述するように、設置されて電源が投入された時点で自装置の位置を測定し、その測定結果の位置情報を、ヘルスチェック情報に含めて、親装置である送信装置11に送信する。
【0026】
センサ監視装置131〜133のそれぞれには、ドアセンサ、人感センサ、窓開閉センサ、火災センサなどのセンサ15の複数個が接続可能である。これらセンサ監視装置131〜133のそれぞれは、接続されているセンサ15の出力を監視して、その監視結果を送信装置11に送信する。この実施形態のセキュリティ監視システムにおいては、センサ監視装置131〜133のそれぞれは、送信装置11との間で通信を行う。
【0027】
そして、この実施形態では、センサ監視装置131〜133のそれぞれは、セキュリティ監視システムの各装置の設置工事の際には、子装置として働く機能を備え、後述するように、設置されて電源が投入された時点で自装置の位置を測定し、その測定結果の位置情報を、ヘルスチェック情報に含めて、親装置である送信装置11に送信する。
【0028】
[送信装置11のハードウエア構成例]
図2は、この実施形態の通信システムの送信装置11のハードウエア構成例を示すブロック図である。この実施形態の送信装置11は、マイクロコンピュータで構成される制御部101を備える。そして、送信装置11においては、制御部101が、システムバス100を通じて、システム内通信インターフェース102、システム内送受信処理部103、外部通信インターフェース104、外部送受信処理部105、センサインターフェース106、警備状態管理部107、配線計画記憶部108、ディスプレイインターフェース109、GPS位置測定部111、位置情報記憶部112、線路長算出部113、警報発生部114、装置ID記憶部115、音声出力部116、のそれぞれと接続されている。ディスプレイインターフェース109には、この例では、表示デバイスとしてLCD(Liquid Crystal Display)110が接続されている。また、音声出力部116には、スピーカ117が接続されている。
【0029】
制御部101は、送信装置11の全体を制御するもので、その制御処理のためのソフトウエアプログラムを記憶するメモリを備えると共に、そのソフトウエアプログラムに基づいて、種々の制御処理をソフトウエア処理機能として実行するためのCPU(Central Processing Unit)を備えている。また、制御部101は、前記ソフトウエア処理機能を実行する際のワークエリア用のメモリも備えている。
【0030】
システム内通信インターフェース102は、RS−485規格の手順により、カードリーダ装置121〜126やセンサ監視装置131〜133などの他の通信装置と通信を行うためのインターフェース部である。このシステム内通信インターフェース102は、通信情報を送受信するためのシリアルポート102Pを備えると共に、他の通信装置と接続線路を通じて接続するための一方の接続端子102taおよび他方の接続端子102tbとを備える。
【0031】
システム内通信インターフェース102は、一方の接続端子102taあるいは他方の接続端子102tbを通じて受信したシリアルデータを一旦取り込むと共に、一方の接続端子102taから受信したデータは他方の接続端子102tbに接続されている他の通信装置に送出し、他方の接続端子102tbから受信したデータは一方の接続端子102taに接続されている他の通信装置に送出する。そして、システム内通信インターフェース102は、制御部101の制御に基づいて、一旦取り込んだシリアルデータは、システム内送受信処理部103に送る。
【0032】
また、システム内通信インターフェース102は、制御部101の制御に基づいて、システム内送受信処理部103から受け取った送信情報を、シリアルポート102Pに一旦取り込み、一方の接続端子102taおよび他方の接続端子102tbのそれぞれを通じて、他の通信装置に送出する。
【0033】
システム内送受信処理部103は、システム内通信インターフェース102を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報であるか否か判別する。
【0034】
ここで、受信情報には、当該情報を送信した通信装置を示す識別情報(装置IDという)および当該情報の宛先の通信情報を示す装置IDが含まれている。システム内送受信処理部103は、受信情報が、自装置宛であるか否かは、装置ID記憶部115に記憶されている自装置の装置IDが、受信情報のヘッダ部に含まれている宛先の通信装置の装置IDと一致しているか否かにより判別する。
【0035】
なお、装置IDは、各通信装置のMAC(Media Access Control)情報であっても良いし、接続線141〜149で接続されたローカルネットワーク上のアドレスであっても良い。要は、接続線141〜149で接続されたローカルネットワーク上で他の通信装置と区別して識別することができる情報であれば、どのような情報であっても良い。これは、カードリーダ装置121〜126やセンサ監視装置131〜133などの他の通信装置についても同様である。
【0036】
システム内送受信処理部103は、システム内通信インターフェース102を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報である場合には、制御部101の制御に基づいて、その受信情報をデコードおよび解析して、その解析結果を、システムバス100を通じて必要な処理部に転送したり、前記解析結果に応じて他の通信装置に送信する送信情報を生成したりする。なお、システム内送受信処理部103は、システム内通信インターフェース102を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報でない場合には、その取り込んだ受信情報は廃棄する。
【0037】
システム内送受信処理部103は、また、制御部101の制御に基づいて、他の処理部から取得した情報から送信情報を生成する。そして、システム内送受信処理部103は、生成した送信情報は、システム内通信インターフェース102に送り、このシステム内通信インターフェース102を通じて他の通信装置に送信させるようにする。なお、システム内送受信処理部103は、送信情報には、装置ID記憶部115から読み出した自装置の装置IDを含めるようにする。
【0038】
外部通信インターフェース104は、通信網21を通じて警備センター20と通信するためのインターフェース部である。外部送受信処理部105は、警備センター20に送信する送信情報を生成して、外部通信インターフェース104に転送したり、外部通信インターフェース104を通じて警備センターから受信した受信情報をデコードして解析し、システムバス100を通じて制御部101に送る処理をしたりする。
【0039】
センサインターフェース106には、ドアセンサ、人感センサ、窓開閉センサ、火災センサなどのセンサ15の1個または複数個が接続されており、その接続されているセンサ15のセンサ出力を、システムバス100を通じて制御部101に送る処理をする。
【0040】
警備状態管理部107は、システム内送受信処理部103を通じて取得したカードリーダ装置121〜126からの情報、センサ監視装置131〜133からのセンサ出力情報および自装置11のセンサインターフェース106を通じたセンサ出力情報を用いて、警備対象についての警備監視を管理するための処理部である。例えば、警備状態管理部107は、カードリーダ装置121〜126からの情報により、警備対象の建物の各部屋に誰もいなくなったときに、当該警備対象の建物の各部屋の警備を開始するようにする。
【0041】
そして、警備を開始すると、センサ監視装置131〜133からのセンサ出力情報および自装置11のセンサインターフェース106を通じたセンサ出力情報を用いて、不審者の侵入や火災の発生などの異常発生監視を行う。
【0042】
なお、送信装置11は、時間設定に応じて自動的に警備開始、警備解除するようにしてもよいが、警備開始および警備解除のための操作手段を設け、この操作手段を通じた操作入力に応じて、警備開始および警備解除を行うようにしても良い。
【0043】
配線計画記憶部108は、この例のセキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置(自装置を含む)について、接続線141〜149により一筆書きで接続される接続順序を示すノード番号と、装置IDとの対応関係を少なくとも記憶する。例えば、図1の例のセキュリティ監視システムは、10個の通信装置を一筆書きで接続するので、図3に示すように、当該10個の通信装置のそれぞれに、ノード番号として、No.1からNo.10まで、順次に付与する。このときの配線計画記憶部108の記憶内容である配線計画情報は、図4に示すようなものとなる。
【0044】
すなわち、ノード番号No.1は、送信装置11であり、ノード番号No.2は、カードリーダ装置121であり、ノード番号No.3は、センサ監視装置131であり、・・・となる。なお、図4の例では、通信装置の種別と、配置位置とを合わせて記憶するようにしたが、これらは記憶しなくても良いし、また、装置IDは、説明を判り易くするために便宜上3桁の数字を記載したが、これに限られるものではないことは前述の通りである。
【0045】
ディスプレイインターフェース109にはLCD110が接続され、その表示画面に、制御部101の制御にしたがって生成された表示画像が表示される。この実施形態では、制御部101は、LCD110の表示画面には、セキュリティ監視システムの各装置の設置工事の際には、後述するように、ノード番号でその両端が識別されるように表示される接続線141〜149のそれぞれの線路長や、それらの総和である総線路長を表示する。さらに、制御部101は、総線路長が閾値を越えたときには、LCD110の表示画面に、そのことを警報する警報メッセージを表示したり、閾値を越えて接続された通信装置のノード番号やその種別を表示したりする。
【0046】
GPS位置測定部111は、アンテナ111ATを通じたGPS衛星からの受信信号に基づいて、自装置の位置を測定し、その測定結果の位置情報をシステムバス100を通じて制御部101に送る。
【0047】
位置情報記憶部112は、GPS位置測定部111で測定した自装置の位置情報と、システム内送受信処理部103を通じて取得した他の通信装置の位置情報とを、それぞれの通信装置の装置IDと対応付けて、記憶する。
【0048】
線路長算出部113は、位置情報記憶部112に記憶されている当該セキュリティ監視システムを構成する通信装置のそれぞれの位置情報と、配線計画記憶部108に記憶されているノード番号と装置IDとの対応情報とに基づいて、接続線141〜149のそれぞれの線路長Da〜Diを算出する。この実施形態では、線路長算出部113は、配線計画記憶部108に記憶されている、セキュリティ監視システムを構成する全ての通信装置が接続線により接続されたときに、制御部101の制御指示により、線路長算出処理を開始する。
【0049】
制御部101は、セキュリティ監視システムを構成する全ての通信装置が接続線により接続されたかどうかは、位置情報記憶部112に、配線計画記憶部108に記憶されている、セキュリティ監視システムを構成する全ての通信装置からの位置情報が記憶されたか否かにより判別する。なお、設置工事者が、最後に接続した通信装置に対して、設置工事完了の入力操作を行い、その最後に接続した通信装置から、送信装置11に、当該設置工事完了を知らせるようにしても良い。あるいは、送信装置11に対して、設置工事完了の入力操作をするようにしてもよい。
【0050】
送信装置11の制御部101は、位置情報記憶部112に、全ての通信装置からの位置情報が記憶されたことを確認して、設置工事完了を判別すると、線路長算出部113に線路長算出処理の開始を指示する。
【0051】
線路長算出部113は、例えばノードNo1.の送信装置11の位置情報と、ノードNo.2のカードリーダ装置121の位置情報とから、これら送信装置11とカードリーダ装置121との間を接続する接続線141の線路長Daを算出する。次に、ノードNo2.のカードリーダ装置121の位置情報と、ノードNo.3のセンサ監視装置131の位置情報とから、これらカードリーダ装置121とセンサ監視装置131との間を接続する接続線142の距離Dbを算出する。以下、同様にして、接続線143〜149の線路長Dc〜Diを算出する。
【0052】
こうして、接続線141〜149の全ての線路長Da〜Diを算出した後、線路長算出部113は、算出した接続線141〜149のそれぞれの線路長Da〜Diの和に基づいて、セキュリティ監視システムにおける総線路長ΣDを算出する。
【0053】
すなわち、
ΣD=Da+Db+Dc+・・・+Di+α …(式1)
として総線路長ΣDを算出する。ここで、上記(式1)におけるαは、総線路長ΣDを求める際の補正値であり、この補正値αは、接続線141〜149のたるみなどを考慮して定められる。この補正値αは、予め定められた値であっても良いし、設置工事者が設置工事の際に、工事対象建物の構造などに応じて定めて入力するようにしても良い。
【0054】
なお、接続線141〜149の線路長Da〜Diのそれぞれは、当該接続線141〜149のそれぞれにより接続される隣り合う通信装置の位置情報から算出される。この場合、通信装置の位置情報には、「緯度」、「経度」、「高さ(標高)」の3つの情報が含まれる。しかし、接続線により接続される通信装置が、同じ階に設置される場合には、「高さ」は、同じになる、あるいは、僅かに異なるだけである。
【0055】
そこで、接続線141〜149の線路長Da〜Diを算出するために使用する隣り合う2個の通信装置の位置情報に含まれる「高さ」の値の差が、ほぼ同じ高さ位置と見なせるような所定値hth以下であるときには、その隣り合う2個の通信装置の線路長は、「高さ」を考慮することなく、「緯度」、「経度」の2つの情報で定まる位置間の直線距離として算出することができる。この場合の隣り合う2個の通信装置の線路長は、前述と同様に、算出した距離に、接続線のたるみを考慮した補正値を加えた値としても勿論良い。
【0056】
一方、接続線141〜149の線路長Da〜Diを算出するために使用する隣り合う2個の通信装置が異なる階に設置されるなど、当該2個の通信装置の位置情報に含まれる「高さ」の値の差が、前記所定値hthよりも大きく、同じ高さ位置と見なせないような場合には、接続線141〜149の線路長Da〜Diは、「緯度」、「経度」に加えて当該「高さ」の値をも用いて算出する必要がある。
【0057】
例えば図5に示すように、2個の通信装置151と152とが、1階と2階とにそれぞれ配置されており、且つ、それぞれの位置情報P151とP152の「緯度」、「経度」、「高さ」が異なり、「高さ」の差が、前記所定値hthよりも大きい場合を想定する。この場合、緯度」、「経度」および「高さ」の情報を含む位置情報P151とP152とから直接的に求められる2個の通信装置151と152との間の距離DSは、当該2個の通信装置151と152とを直接的に斜めに結ぶ線分の長さとなる。
【0058】
しかし、実際の接続線の配線は、1階において、通信装置151から接続線を水平方向に(横に)引き回し、壁際にて、上階(2階)に向けて、垂直方向へ接続線を配線して、通信装置152に接続するようにする。すなわち、図5において、2階の通信装置152の位置から、垂直方向に直線を下ろして1階と交差する位置Pcまでの垂直方向の距離DYと、1階において、位置Pcから通信装置151の位置P151までの水平方向の距離DXとの和とする方が、実際の配線に応じた線路長となる。
【0059】
この場合、垂直方向の距離DYは、位置P151と位置P152との高さの差として算出できる。また、2個の通信装置151と152との間の距離DSは、上述のように、位置情報P151とP152とから直接的に算出できる。したがって、位置Pcから通信装置151の位置P151までの水平方向の距離DXは、位置P151と位置P152と位置Pcとからなる直角三角形についての三平方の定理
DS2=DX2+DY2
の関係から、算出することができる。
【0060】
そして、2個の通信装置151と152との間の線路長は、距離DXと距離DYとの和(DX+DY)として算出することができるが、この場合に、実際に算出する線路長としては、前述と同様に、距離DXと距離DYとの和について、接続線のたるみなどを考慮した補正値を加算するようにして良いことは言うまでもない。
【0061】
以上のようにして、線路長算出部113は、セキュリティ監視システムを構成する複数個の通信装置の隣り合う通信装置間の線路長141〜149を算出すると共に、それらの総和として、セキュリティ監視システムの総線路長ΣDを算出する。この場合、この実施形態では、ノード番号No.1を基点として総線路長を算出する。そして、線路長算出部113は、算出した総線路長ΣDが、予め定められている所定の閾値Dthを超えたか否か判別する。この例では、所定の閾値Dthは、Dth=1kmとされている。
【0062】
そして、線路長算出部113は、算出した総線路長ΣDが、所定の閾値Dthを超えたと判別したときには、その旨を警報発生部114に通知する。更に、この実施形態では、線路長算出部113は、算出した総線路長ΣDが、所定の閾値Dthを超えたと判別したときには、ノード番号No.1を基点として算出した総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えておらず、かつ、さらにその通信装置を接続すると、所定の閾値Dthを超えてしまう最後の通信装置のノード番号を、配線計画記憶部108の記憶情報から判定して、警報発生部114に通知する。
【0063】
警報発生部114は、線路長算出部113から、総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨の通知を受けたときに、以下に説明するような警報発生処理を実行する。この例では、警報発生部114は、総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨の通知と共に送られてくる所定の閾値Dthを超えてしまう最後の通信装置のノード番号により、配線計画記憶部108の記憶情報を参照し、接続すると総線路長ΣDを超えてしまう通信装置の装置IDおよびその種別を把握する。
【0064】
そして、警報発生部114は、総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨のメッセージと、接続すると総線路長ΣDを超えてしまう通信装置のノード番号、種別とを、ディスプレイ110の表示画面に表示するための表示情報を生成して、ディスプレイインターフェース109に送出する。
【0065】
また、警報発生部114は、この実施形態では、接続すると総線路長ΣDを超えてしまう通信装置の装置IDを用いて、当該通信装置に、総線路長ΣDの制限のために接続不可である旨の通知を生成し、制御部101の制御に基づいて、システム内送受信処理部103、システム内通信インターフェース102を通じて送るようにする。
【0066】
なお、総線路長ΣDを超えて接続された通信装置に対しては、全く通信ができなくのではなく、所定の通信品質を維持した通信が困難になるだけであり、送信装置11からそれらの通信装置に総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨の通知を送信することは可能である。
【0067】
また、警報発生部114は、総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨の音声メッセージを生成し、音声出力部116に供給する。音声出力部116は、受け取った音声メッセージをスピーカ117により音響再生して放音する。なお、音声出力部116は、この総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨の音声メッセージの他、警備開始、警備解除、異常発生などの音声メッセージも、制御部101の制御にしたがって放音する。
【0068】
[カードリーダ装置121〜126のハードウエア構成例]
カードリーダ装置121〜126は、全く同一のハードウエア構成を有するので、カードリーダ装置121を代表として、そのハードウエア構成例について、以下に説明する。
【0069】
図6は、カードリーダ装置121のハードウエア構成例を示すブロック図であり、マイクロコンピュータで構成される制御部201を備える。そして、カードリーダ装置121においては、制御部201が、システムバス200を通じて、システム内通信インターフェース202、送受信処理部203、カードリーダインターフェース204、ディスプレイインターフェース205、LEDドライブ部206、GPS位置測定部207、警報発生部208、装置ID記憶部209、音声出力部210、のそれぞれと接続されている。
【0070】
制御部201は、カードリーダ装置121の全体を制御するもので、その制御処理のためのソフトウエアプログラムを記憶するメモリを備えると共に、そのソフトウエアプログラムに基づいて、種々の制御処理をソフトウエア処理機能として実行するためのCPUを備えている。また、制御部201は、前記ソフトウエア処理機能を実行する際のワークエリア用のメモリも備えている。
【0071】
システム内通信インターフェース202は、RS−485規格の手順により、送信装置11と通信を行うためのインターフェース部であり、通信情報を送受信するためのシリアルポート202Pを備えると共に、他の通信装置と接続線路を通じて接続するための一方の接続端子202taおよび他方の接続端子202tbとを備える。このシステム内通信インターフェース202は、送信装置11のシステム内通信インターフェース102と同様のものであり、処理動作などについては、前述と全く同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0072】
送受信処理部203は、システム内通信インターフェース202を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報であるか否か判別し、自装置宛の情報である場合には、制御部201の制御に基づいて、その受信情報をデコードおよび解析して、その解析結果を、システムバス200を通じて必要な処理部に転送したり、前記解析結果に応じて他の通信装置に送信する送信情報を生成したりする。送受信処理部203は、システム内通信インターフェース202を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報でない場合には、その取り込んだ受信情報は廃棄する。
【0073】
また、送受信処理部203は、制御部201の制御に基づいて、送信装置11に送信する送信情報を生成する。そして、送受信処理部203は、生成した送信情報は、システム内通信インターフェース202に送り、このシステム内通信インターフェース202を通じて送信装置11に送信させるようにする。なお、送受信処理部203は、送信情報には、装置ID記憶部209から読み出した自装置の装置IDを含めるようにする。
【0074】
カードリーダインターフェース204には、この例では、電磁誘導式で、使用者のICカード30と非接触通信を行うためのカードリーダ部211が接続されている。送受信処理部203は、カードリーダインターフェース204を通じて取り込まれたICカードの情報に基づいて、送信装置11に送信する送信情報を生成し、システム内通信インターフェース202を通じて送信装置に宛てて送信する。
【0075】
ディスプレイインターフェース205には、この例では、表示デバイスとしてLCD212が接続されている。LEDドライブ部206には、LED213および214が接続されている。
【0076】
GPS位置測定部207は、アンテナ207ATを通じたGPS衛星からの受信信号に基づいて、自装置の位置を測定し、その測定結果の位置情報をシステムバス200を通じて制御部201に送る。制御部201は、測定結果の位置情報を送受信処理部203に送り、送信装置11に宛てて送信させるようにする。この実施形態では、カードリーダ装置121の制御部201は、電源が投入された後に、送信装置11にヘルスチェックの情報を送る際に、当該ヘルスチェックの情報に加えて、GPS位置測定部207で測定された位置情報を送信装置11に送るように制御する。
【0077】
警報発生部208は、制御部201の制御に従い、送信装置11から総線路長ΣDの制限のために接続不可である旨の通知を、送受信処理部203を通じて受信したことを判別したときに、LCD212に警報報知メッセージを表示したり、LEDドライブ部206を制御して、LED213,214を点滅表示させたりするなどにより警報報知を実行する。警報発生部208は、また、総線路長ΣDの制限のために接続不可である旨の音声メッセージを音声出力部210に送り、その音声メッセージをスピーカ215により放音させるようにする。
【0078】
[センサ監視装置131〜133のハードウエア構成例]
センサ監視装置131〜133は、全く同一のハードウエア構成を有するので、センサ監視装置131を代表として、そのハードウエア構成例について、以下に説明する。
【0079】
図7は、センサ監視装置131のハードウエア構成例を示すブロック図であり、マイクロコンピュータで構成される制御部301を備える。そして、センサ監視装置131においては、制御部301が、システムバス300を通じて、システム内通信インターフェース302、送受信処理部303、センサインターフェース304、ディスプレイインターフェース305、LEDドライブ部306、GPS位置測定部307、警報発生部308、装置ID記憶部309、音声出力部310、のそれぞれと接続されている。
【0080】
制御部301は、センサ監視装置131の全体を制御するもので、その制御処理のためのソフトウエアプログラムを記憶するメモリを備えると共に、そのソフトウエアプログラムに基づいて、種々の制御処理をソフトウエア処理機能として実行するためのCPUを備えている。また、制御部301は、前記ソフトウエア処理機能を実行する際のワークエリア用のメモリも備えている。
【0081】
システム内通信インターフェース302は、RS−485規格の手順により、送信装置11と通信を行うためのインターフェース部であり、通信情報を送受信するためのシリアルポート302Pを備えると共に、他の通信装置と接続線路を通じて接続するための一方の接続端子302taおよび他方の接続端子302tbとを備える。このシステム内通信インターフェース302は、送信装置11のシステム内通信インターフェース102と同様のものであり、処理動作などについては、前述と全く同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0082】
送受信処理部303は、システム内通信インターフェース302を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報であるか否か判別し、自装置宛の情報である場合には、制御部301の制御に基づいて、その受信情報をデコードおよび解析して、その解析結果を、システムバス300を通じて必要な処理部に転送したり、前記解析結果に応じて他の通信装置に送信する送信情報を生成したりする。送受信処理部303は、システム内通信インターフェース302を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報でない場合には、その取り込んだ受信情報は廃棄する。
【0083】
また、送受信処理部303は、制御部301の制御に基づいて、送信装置11に送信する送信情報を生成する。そして、送受信処理部303は、生成した送信情報は、システム内通信インターフェース302に送り、このシステム内通信インターフェース302を通じて送信装置11に送信させるようにする。なお、送受信処理部303は、送信情報には、装置ID記憶部309から読み出した自装置の装置IDを含めるようにする。
【0084】
センサインターフェース304には、ドアセンサ、人感センサ、窓開閉センサ、火災センサなどのセンサ15の1個または複数個が接続されており、その接続されているセンサ15のセンサ出力を、システムバス300を通じて制御部301に送る処理をする。
【0085】
ディスプレイインターフェース305には、この例では、表示デバイスとしてLCD311が接続されている。LEDドライブ部306には、LED312および313が接続されている。音声出力部310には、スピーカ314が接続されている。
【0086】
GPS位置測定部307は、アンテナ307ATを通じたGPS衛星からの受信信号に基づいて、自装置の位置を測定し、その測定結果の位置情報をシステムバス300を通じて制御部301に送る。制御部301は、測定結果の位置情報を送受信処理部303に送り、送信装置11に宛てて送信させるようにする。この実施形態では、センサ監視装置131の制御部301は、電源が投入された後に、送信装置11にヘルスチェックの情報を送る際に、当該ヘルスチェックの情報に加えて、GPS位置測定部307で測定された位置情報を送信装置11に送るように制御する。
【0087】
警報発生部308は、制御部301の制御に従い、送信装置11から総線路長ΣDの制限のために接続不可である旨の通知を、送受信処理部303を通じて受信したことを判別したときに、LCD311に警報報知メッセージを表示したり、LEDドライブ部306を制御して、LED312,313を点滅表示させたりするなどにより警報報知を実行する。また、警報発生部308は、総線路長ΣDの制限のために接続不可である旨の音声メッセージを音声出力部310に送り、その音声メッセージをスピーカ314により放音させるようにする。
【0088】
[システムの通信装置の設置工事時の線路長算出のためのシーケンス]
図8は、この例のセキュリティ監視システムの設置工事時の総線路長の確認チェック処理のためのシーケンスを説明するための図である。この例では、図4に示したような配線計画に基づいて、設置工事者は、送信装置11、カードリーダ装置121〜126およびセンサ監視装置131〜133の各通信装置の設置を順次に行い、各通信装置を設置する毎に、電源を投入する。ただし、この例では、設置工事者は、送信装置11を最初に設置して、電源を投入しておくようにする。
【0089】
カードリーダ装置121〜126およびセンサ監視装置131〜133のそれぞれは、電源が投入されると、GPS位置測定部207や307で、それぞれの装置が設置された現在位置を測定する。そして、カードリーダ装置121〜126およびセンサ監視装置131〜133のそれぞれは、図8に示すように、送信装置11に対してヘルスチェックのために情報を送るが、この実施形態では、このヘルスチェックの情報に、測定された自装置の現在位置の位置情報を含めて送る。
【0090】
送信装置11は、カードリーダ装置121〜126およびセンサ監視装置131〜133のいずれかから位置情報を含むヘルスチェックの情報を受け取ると、ヘルスチェックの情報に含まれる装置IDを抽出し、その装置IDに対応付けて、位置情報を、位置情報記憶部112に記憶する。
【0091】
送信装置11は、配線計画記憶部108に記憶されている配線計画を参照して、予定されている全ての通信装置から、位置情報を受け取ったか否か判別する。そして、送信装置11は、予定されている全ての通信装置から、位置情報を受け取ったと判別したときには、それら全ての通信装置が接続線により接続されたと判断して、線路長算出処理を実行する。
【0092】
そして、この図8のシーケンス例においては、送信装置11は、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えてしまったと判定し、かつ、ノード番号No.10の通信装置であるカードリーダ装置126を接続すると総線路長ΣDが閾値1kmを超えてしまうと判定する。すると、送信装置11は、この判定に基づいて、そのLCD110の表示画面に、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えたこと、ノード番号No.10の通信装置であるカードリーダ装置126が、閾値を超えて接続された通信装置であることを報知表示する。更に、送信装置11は、閾値を超えて接続された通信装置であるカードリーダ装置126に、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えた旨の通知を警報通知として送信する。
【0093】
カードリーダ装置126は、この警報通知を受信すると、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えたことをLCD212の表示画面に表示すると共に、LED213や214を点滅表示して、設置工事者に警報するようにする。
【0094】
なお、図8のシーケンスにおいては、複数の通信装置は、ノード番号の番号順に接続するように示してあるが、親装置である送信装置11には、配線計画記憶部108に複数の通信装置についての配線計画情報が記憶されているので、設置工事者は、いずれの装置から、接続処理を行って、電源を投入しても良い。
【0095】
[カードリーダ装置121〜126あるいはセンサ監視装置131〜133の処理]
図9は、カードリーダ装置121〜126あるいはセンサ監視装置131〜133のそれぞれが、設置工事者により設置されて電源が投入されたときに開始する処理ルーチンの流れの例を説明するためのフローチャートである。この図9の各ステップの処理は、制御部201または制御部301が、ソフトウエア機能として実行する。
【0096】
すなわち、電源が投入されると、制御部201または制御部301は、GPS位置測定部207またはGPS位置測定部307により、自装置の現在位置として、設置された位置を測定し、その測定した位置情報を一時記憶保持する(ステップS101)。次に、制御部201または制御部301は、ヘルスチェック情報の送信タイミングになると、一時記憶されていた位置情報と自装置IDとを含めて、ヘルスチェック情報を送信装置11に宛てて送信する(ステップS102)。
【0097】
そして、制御部201または制御部301は、送信装置11からのその応答の受信を待ち(ステップS103)、応答を受信したと判別した後には、送信装置11からの警報通知を受信したか否か判別する(ステップS104)。このステップS104で、送信装置11からの警報通知を受信したと判別したときには、制御部201または制御部301は、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えたことを、LCD212やLCD311の表示画面に表示すると共に、LED213、214やLED312,313を点滅表示して、設置工事者に警報するようにする(ステップS105)。
【0098】
また、ステップS104で、送信装置11からの警報通知を受信してはいないと判別したときには、制御部201または制御部301は、送信装置11から総線路長は閾値以内でOKである旨の通知を受信したか否か判別する(ステップS106)。このステップS106で、OKである旨の通信を受信してはいないと判別したときには、制御部201または制御部301は、処理をステップS104に戻し、このステップS104以降の処理を繰り返す。また、ステップS106で、OKである旨の通信を受信したと判別したときには、制御部201または制御部301は、この処理ルーチンを終了する。
【0099】
[送信装置11の処理]
図10は、送信装置11が、設置工事の際に電源が投入されたときに処理を開始し、設置工事完了となるまでの処理ルーチンの流れの例を説明するためのフローチャートである。この図10の各ステップの処理は、制御部101が、ソフトウエア機能として実行する。
【0100】
すなわち、送信装置11の制御部101は、電源が投入されると、制御部101は、GPS位置測定部111により、自装置の現在位置として、設置された位置を測定し、その測定した位置情報を一時記憶保持する(ステップS111)。次に、制御部101は、他の通信装置からヘルスチェック情報を受信したか否か判別し(ステップS112)、他の通信装置からヘルスチェック情報を受信してはいないと判別したときには、このステップS112を継続して、他の通信装置からのヘルスチェック情報の受信を待つ。
【0101】
ステップS112で、他の通信装置からヘルスチェック情報を受信したと判別したときには、ヘルスチェック情報を送ってきた通信装置に応答を返す(ステップS113)。次に、制御部101は、当該通信装置から受信した受信情報から、その通信装置の装置IDと位置情報とを抽出して、両者を対応付けて位置情報記憶部112に記憶する(ステップS114)。
【0102】
そして、制御部101は、配線計画記憶部108に記憶されている配線計画の情報に含まれる複数個の通信装置の装置IDと、位置情報記憶部112に記憶した位置情報に対応する装置IDとを比較参照して、接続予定の全ての他の通信装置からの位置情報を受信したか否か判別する(ステップS115)。
【0103】
ステップS115で、未だ、接続予定の全ての他の通信装置からの位置情報は受信してはいないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS112に戻し、このステップS112以降の処理を繰り返す。また、ステップS115で、接続予定の全ての他の通信装置からの位置情報を受信したと判別したときには、制御部101は、配線計画記憶部108に記憶されている配線計画の情報から互いに隣り合って接続される通信装置を認識し、その隣り合う通信装置間の線路長の全てを、前述したようにして算出する(ステップS116)。
【0104】
次に、制御部101は、算出した隣り合う通信装置間の線路長の全てに基づいて、セキュリティ監視システム全体の総線路長ΣDを算出する(ステップS117)。次に、制御部101は、算出した総線路長ΣDが、予め定められている閾値Dthを超えているか否か判別する(ステップS118)。
【0105】
このステップS118で、算出した総線路長ΣDが、予め定められている閾値Dthを超えたと判別したときには、制御部101は、総線路長ΣDが閾値Dthを超えた旨および総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号や種別を、自装置のLCD110の表示画面に表示すると共に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置に、その旨の通知を送信する(ステップS119)。そして、この処理ルーチンを終了する。
【0106】
また、ステップS118で、算出した総線路長ΣDが、予め定められている閾値Dthを超えてはいないと判別したときには、制御部101は、総線路長は閾値以内であり、OKである旨の通知を、セキュリティ監視システムの他の全ての通信装置に送ると共に、自装置のLCD110の表示画面にその旨を表示する(ステップS120)。そして、この処理ルーチンを終了する。
【0107】
[実施形態の効果]
送信装置は、接続線によりポイントツーポイントで接続された隣り合う通信装置の位置情報に基づいて、自動的に、それら隣り合う通信装置の線路長を算出し、算出した線路長の総和に基づいて総線路長を算出する。そして、送信装置は、その算出した総線路長が予め定められている閾値を越えているときには、自動的に警報を発する。
【0108】
したがって、設置工事者は、発せられた警報により、総線路長が、予め定められている閾値を越えたことを、線路長を計測し直すなどの手間をかけずに知得することができ、必要に応じて設置工事をやり直すなど、設置工事のミスを未然に防ぐことができる。
【0109】
特に、上述の実施形態においては、接続すると総線路長が閾値を超えてしまう通信装置についての情報を、送信装置のLCDの表示画面に表示すると共に、当該接続すると総線路長が閾値を超えてしまう通信装置においても、LCDの表示画面やLEDにより警報報知するので、設置工事者は、どの通信装置以降が、接続すると総線路長が閾値を超えてしまうかを容易に判別することができる。
【0110】
[第1の実施形態の変形例]
なお、上述の図8のシーケンス例では、送信装置11は、セキュリティ監視システムを構成する全ての通信装置が接続線により接続された後に、総線路長の算出処理を開始するようにしたが、送信装置11を最初に設置した後、カードリーダ装置121〜126やセンサ監視装置131〜133の一つが追加接続される毎に、送信装置11が、総線路長の算出処理を実行するようにしても良い。
【0111】
このようにした場合には、送信装置11は、新たに受信した位置情報に基づいて、総線路長ΣDが閾値1kmを超えたと判別したときには、LCD110にその旨を表示すると共に、その新たな位置情報を送ってきた通信装置に、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えたことを警報通知する。したがって、設置工事者は、子装置としての通信装置を設置して接続線により接続し、その電源を投入したときに、総線路長ΣDが閾値1kmを超えたかどうかを確認することができ、便利である。
【0112】
なお、このように、カードリーダ装置121〜126やセンサ監視装置131〜133の一つが追加接続される毎に、送信装置11が、総線路長の算出処理を実行するようにする例の場合には、送信装置11を基点として、順番に他の通信装置をポイントツーポイントで順次に接続線により接続するという約束事にしたがって、通信装置の設置工事を行うならば、配線計画記憶部108に配線計画の情報を予め記憶しておく必要はない。
【0113】
もっとも、配線計画記憶部108に配線計画の情報が予め記憶してあれば、設置工事時に、設置工事者が通信装置の接続順序を間違えたり、接続する通信装置の種別を間違えたりした場合に、位置情報と共に送られてくる装置IDを、配線計画記憶部108に記憶されている情報と比較参照することで、当該間違えを検出し、設置工事者に報知することができる。
【0114】
以上説明した第1の実施形態においては、配線計画記憶部108に、システムを構成する複数の通信装置のノード番号(接続順序)および装置IDを記憶しているおり、更に、設置工事後には、それぞれの位置情報を取得している。したがって、送信装置11で、総線路長ΣDが閾値1kmを超えたと判別したときに、それらの情報を用いて、他の接続順序の場合の総線路長を計算し、総線路長ΣDが閾値Dthを超えないような通信装置の接続順序を提案することができる。
【0115】
例えば、上述の実施形態では、図1および図4に示したような接続順序としたが、この接続順序では、前述したように、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまっている。そこで、送信装置11は、通信装置の位置情報から、接続変更をすると線路長が短縮できる通信装置の接続順序を考慮し、総線路長の再計算をする。その結果、図11に示すように、送信装置11は、2階のカードリーダ装置123と3階のセンサ監視装置133とを接続する接続線146の線路長Dfよりも、2階のカードリーダ装置123とカードリーダ装置124とを接続線150で接続したときの線路長Djの方が短く、総線路長ΣDが閾値Dth以下にすることができることを判別したとする。
【0116】
この場合には、送信装置11は、2階のカードリーダ装置123以降の接続順序を、図1の状態の、
[カードリーダ装置123→センサ監視装置133→カードリーダ装置124→カードリーダ装置125→カードリーダ装置126]
から、
[カードリーダ装置123→カードリーダ装置126→カードリーダ装置125→カードリーダ装置124→センサ監視装置133]
に変更することを提案することができる。
【0117】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態では、システムの総線路長を算出するために、親装置のみならず、子装置の全ても、GPS位置測定手段を備える必要があった。この第2の実施形態では、GPS位置測定手段を備える線路長確認用の治具装置を用いることで、GPS位置測定手段は、親装置のみが備えれば、子装置のそれぞれは、GPS位置測定手段を備える必要がない線路長確認方法を提供する。
【0118】
以下に、上述の第1の実施形態で説明したセキュリティ監視システムに適用した場合を例に、第2の実施形態を説明する。
【0119】
図12(A)は、この例のセキュリティ監視システムの複数の通信装置の設置計画案(配線計画案)を説明するための図である。すなわち、この例においては、セキュリティ対象エリアには、親機となる送信装置11Aと、複数個の子機となるカードリーダ装置127,128,129と、センサ監視装置134,135とが設置される。
【0120】
そして、図12(A)の例においては、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置は、
[送信装置11A→センサ監視装置134→カードリーダ装置127→カードリーダ装置128→カードリーダ装置129→センサ監視装置135]
の順に、ポイントツーポイントで順次に接続線により接続され、バス型のマルチポイント接続とされる。
【0121】
そして、この実施形態では、図12(A)に示すように、これら親装置や子装置のほかに、線路長確認用の治具装置40を設ける。
【0122】
図13に、この治具装置のハードウエア構成例を示す。この例の治具装置40は、マイクロコンピュータからなる制御部401に、システムバス400を通じて、GPS位置測定部402と、無線通信部403と、送受信処理部404と、操作部インターフェース405と、ディスプレイインターフェース406を備える。
【0123】
操作部インターフェース405には、電源キーや、1または複数個のキーを備える操作部407が接続されている。操作部407の一つのキーは、位置情報送信キーとされている。制御部401は、当該位置情報送信キーが押下されたことを検知すると、当該位置で測定されて得られた位置情報を、無線通信部403を通じて送信装置11Aに送出するように制御する。
【0124】
また、ディスプレイインターフェース406には、この例では、LCD408が表示デバイスとして接続されている。治具装置40では、送信装置11Aから送られてくる情報に基づき、LCD408の表示画面に、総線路長が閾値を超えたか否かを示す報知情報を表示する機能を備える。
【0125】
一方、親装置である送信装置11Aは、この第2の実施形態においては、図示は省略するが、図2に示した送信装置11のハードウエア構成例の各部に加えて、治具装置40の無線通信部403と無線通信を行う無線通信部と、当該無線通信部を介する送受信信号を処理するための無線通信送受信部を備える構成を備える。以下の説明においては、送信装置11Aにおいて、図2に示した送信装置11と同一部分には、図2に示した参照符号をそのまま用いて説明する。
【0126】
第2の実施形態においては、送信装置11Aは、送信装置11の配線情報記憶部108は備えていても良いが、あえて設けなくも線路長確認方法を実行することが可能である。また、送信装置11Aの制御部101は、この第2の実施形態では、無線通信部を通じて治具装置40から受信した位置情報には、その取得順に、番号(ノード番号に対応)を付与し、その番号に対応付けて受信した位置情報を、位置情報記憶部112に記憶するようにする。
【0127】
また、この第2の実施形態においては、前述したように、カードリーダ装置127〜129およびセンサ監視装置134,135は、GPS位置測定部を備えていないと共に、電源投入後のヘルスチェック情報の送信装置11Aへの送信時に、位置情報を含めて送る動作は、行わない。しかし、カードリーダ装置127〜129およびセンサ監視装置134,135のその他の構成は、カードリーダ装置121〜126およびセンサ監視装置131〜133と同様である。
【0128】
次に、この第2の実施形態における線路長確認方法の処理動作例を、図12(A)を参照して説明する。
【0129】
設置工事者は、先ず、送信装置11Aを、計画に従った位置に設置し、その電源を投入して、治具装置40からの無線送信信号を受信できる状態にすると共に、線路長確認処理を実行できる状態にする。送信装置11Aは、電源投入を受けて、GPS位置測定部111により自装置の位置を測定し、測定した自装置の位置情報を、ノード番号No.1に対応付けて、位置情報記憶部112に記憶する。
【0130】
次に、設置工事者は、センサ監視装置134を、計画に従った位置に設置し、送信装置11Aと接続線により接続する。そして、設置工事者は、このセンサ監視装置134の設置位置において、治具装置40の位置情報送信キーを押下する。すると、治具装置40は、その位置においてGPS位置測定部402で測定した得た位置情報を、無線通信部403を通じて送信装置11Aに送信する。
【0131】
送信装置11Aは、当該治具装置40からの位置情報を受信確認すると、その応答を治具装置40に送る。そして、送信装置11Aは、受信した位置情報を、ノード番号No.2に対応付けて、位置情報記憶部112に記憶する。
【0132】
このとき、治具装置40の制御部401は、無線通信部403を通じて、送信装置11Aからの応答を受信して、位置情報が送信装置11Aに確実に送信されたことを確認することができる。制御部401は、LCD408の表示画面には、位置情報の送信に応じて、送信装置11Aからの応答を受信できたか否かに応じて、位置情報の送信が成功したか否かの表示を行う。なお、LCD408の表示画面に位置情報の送信が不成功である旨の表示がなされたときには、設置工事者は、再度、位置情報送信キーを押下するようにすることで、位置情報の再送信が可能である。
【0133】
次に、設置工事者は、カードリーダ装置127を、計画に従った位置に設置し、センサ監視装置134と接続線により接続する。そして、設置工事者は、このカードリーダ装置127の設置位置において、治具装置40の位置情報送信キーを押下して、その位置においてGPS位置測定部402で測定した得た位置情報を、無線通信部403を通じて送信装置11Aに送信する。
【0134】
送信装置11Aは、当該治具装置40からの位置情報を受信確認すると、その応答を治具装置40に送ると共に、受信した位置情報を、ノード番号No.3に対応付けて、位置情報記憶部112に記憶する。
【0135】
以下、カードリーダ装置128→カードリーダ装置129→センサ監視装置135の順に、全く同様して、通信装置の設置および治具装置40での位置情報送信キーの操作をする。すると、送信装置11Aの位置情報記憶部112には、ノード番号No.1〜No.7についての位置情報が記憶される。
【0136】
設置工事者は、センサ監視装置135の位置における治具装置40からの位置情報の送信が完了すると、操作部407の複数のキーの内の完了キーを押下操作して、設置工事の完了通知を送信装置11Aに送る。
【0137】
すると、送信装置11Aでは、上述した第1の実施形態と全く同様にして、位置情報記憶部112に記憶されたノード番号とその位置情報とを用いて、隣り合う通信装置間の線路長を算出し、それに基づいて、総線路長ΣDを算出する。そして、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えていないかどうか確認する。
【0138】
この確認の結果、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えていないときには、送信装置11Aは、無線通信部を通じて治具装置40にその旨を示すOK通知を送ると共に、前述の第1の実施形態と同様に、システム内通信インターフェース102を通じて、各通信装置に、その旨を示すOK通知を送る。したがって、治具装置40および子装置である通信装置のそれぞれのLCDには、総線路長ΣDが閾値Dthを超えていないことを示すOK表示がなされる。
【0139】
また、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えたと判別したときには、送信装置11Aは、総線路長ΣDが閾値Dthを超えた旨および総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号を、無線通信部を通じて治具装置40に送ると共に、システム内通信インターフェース102を通じて、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置に、その旨の警報通知を送信する。
【0140】
治具装置40は、この警報通知を受けて、そのLCDの表示画面に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えたことの警報報知表示を行うと共に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号を表示する。また、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう子装置である通信装置では、その旨をLCDに表示したり、LEDを点滅表示させたり、スピーカにより音声メッセージにより報知したりする。
【0141】
以上のようにして、この第2の実施形態によれば、治具装置40を用いることにより、子装置には、GPS位置測定手段を設けなくても、隣り合う通信装置間の線路長を算出することができると共に、総線路長ΣDを算出することができる。そして、総線路長ΣDが閾値Dthを超えたときには、第1の実施形態と同様に、親装置である送信装置11Aや子装置の通信装置でその旨の警報が設置工事者に報知がされると共に、治具装置40においてもLCD408の表示画面に警報報知の表示がされる。したがって、治具装置40における警報報知の表示より、設置工事者は、親装置や子装置の近くにいなくても、総線路長ΣDが閾値Dthを超えたときには、確実にそのことを認識することができる。
【0142】
なお、以上の第2の実施形態では、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置の全ての設置が終了した後に、親装置である送信装置11Aは、隣り合う通信装置間の線路長および総線路長ΣDの算出処理を開始するようにした。しかし、この第2の実施形態の場合にも、最初に親装置である送信装置11Aを設置した後、子装置であるカードリーダ装置127〜129あるいはセンサ監視装置134,135を、接続線により1台接続する毎に、送信装置11Aは、その時点での総線路長ΣDの算出を行い、閾値Dthとの比較処理を行い、警報通知を行うようにしても良い。その場合には、子装置の通信装置を接続する毎に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えているかどうかをチェックすることができる。
【0143】
[第2の実施形態の変形例]
上述の第2の実施形態では、設置工事者は、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置の実際的な設置および接続線による接続をして、当該システムにおける総線路長ΣDの算出を行うようにした。
【0144】
しかし、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置の実際的な設置および接続線による接続をする設置工事をする前に、この第2の実施形態で用いられる親装置である送信装置11Aと治具装置40とを用いることで、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまうかどうかを事前確認することができる。つまり、設置工事をする前に、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置の配線計画をすることができる。
【0145】
図12(B)は、この総線路長の事前確認の処理例を説明するための図である。
先ず、設置工事者は、親装置である送信装置11Aを所定の位置に設置する。その後、設置工事者は、治具装置40を持って、子装置であるカードリーダ装置127〜129およびセンサ監視装置134,135の各設置予定位置に、接続線による接続順序に順番に従って移動し、それぞれの設置予定位置において、治具装置40の位置情報送信キーを押下するようにする。すなわち、図12(B)において、吹き出しの数字は各通信装置のノード番号を示している。設置工事者は、治具装置40を持って、当該吹き出しの数字で示される順番に、各設置予定位置に移動し、各吹き出し数字で示す設置予定位置において、治具装置40の位置情報送信キーを押下する。
【0146】
治具装置40は、位置情報送信キーの押下に応じて、前述と同様にして、GPS位置測定部402で測定した当該位置の位置情報を、無線通信部403を通じて送信装置11Aに送信する。そして、上述の第2の実施形態と同様に、設置工事者は、設置予定の最後の子装置であるセンサ監視装置135の位置予定位置における治具装置40からの位置情報の送信が完了すると、操作部407の複数のキーの内の完了キーを押下操作して、完了通知を送信装置11Aに送る。
【0147】
この完了通知を受けた送信装置11Aは、上述と同様にして、隣り合う通信装置の線路長および総線路長ΣDの算出を実行し、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えていないかどうか確認する。そして、その確認の結果、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えていないときには、送信装置11Aは、無線通信部を通じて治具装置40にその旨を示すOK通知を送り、また、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えたと判別したときには、送信装置11は、総線路長ΣDが閾値Dthを超えた旨および総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号を含む警報通知を、無線通信部を通じて治具装置40に送る。
【0148】
治具装置40は、この警報通知を受けて、そのLCDの表示画面に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えたことの警報報知表示を行うと共に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号を表示する。なお、送信装置11Aは、このとき、自装置のLCD110にも同様の報知表示を行う。
【0149】
以上のようにして、実際の設置工事をすることなく、それぞれの通信装置の設置予定位置において、治具装置40から位置情報の送信をすることにより、実際に設置工事をしたときの総線路長ΣDが閾値Dthを超えるか否かを、事前に、確認することができる。したがって、総線路長ΣDが閾値Dthを超えた場合には、通信装置の設置予定位置を変更して、総線路長ΣDが閾値Dthを超えないように、配線計画を変更することが容易にできる。
【0150】
なお、この例においても、最初に親装置である送信装置11Aを設置した後、設置工事者が、治具装置40を持って、子装置であるカードリーダ装置127〜129あるいはセンサ監視装置134,135の設置予定位置に移動して、位置情報送信キーを押下する毎に、送信装置11Aは、その時点での総線路長ΣDの算出を行い、閾値Dthとの比較処理を行い、警報通知を行うようにしても良い。
【0151】
また、上述の例では、設置工事者は、子装置の接続順にしたがって、各設置予定位置に移動する必要があった。しかし、送信装置11Aに配線計画記憶部108を設けると共に、治具装置40にノード番号設定入力キー(例えば「1」、「2」・・・のテンキー)を設けることにより、設置工事者は、任意の順番で、設置予定位置に移動するようにすることができる。すなわち、その場合には、設置工事者は、予め定められた配線計画に基づいて、各ノード番号の設定予定位置において、そのノード番号のノード番号設定キーを押下した後に、治具装置40の位置情報送信キーを押下するようにすればよい。
【0152】
[その他の実施形態および変形例]
なお、上述の実施形態は、通信システムが、セキュリティ監視システムである場合を例に説明したが、この発明が適用される通信システムは、セキュリティ監視システムに限られるものではなく、バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムであって、通信の品質が保持できる総線路長に制限がある通信システムであれば、どのような用途の通信システムでも適用可能であることは言うまでもない。
【0153】
また、上述の実施形態では、親装置は、総線路長の接続線の一方の端部に設置するようにしたが、親装置となる通信装置は、総線路長の端部に設けられる必要はなく、総線路長における任意の順位の位置に接続された通信装置であっても構わない。
【0154】
また、上述の実施形態では、接続すると所定の閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号や種別などを、送信装置11のディスプレイ110の画面に表示するようにしたが、このような表示をすることなく、総線路長が所定の閾値Dthを超えたことのみを、警報通知するようにしても良いことは言うまでもない。
【0155】
しかし、上述の実施形態のように、接続すると所定の閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号や種別がディスプレイ110に表示される場合には、設置工事者は、総線路長の制限のための設置が制限される通信装置を容易に把握することができるという効果がある。このため、設置工事者は、閾値以内の総線路長とするように事後対策を行うことも容易になる。
【符号の説明】
【0156】
11…親装置の例としての送信装置、121〜129…子装置の例としてのカードリーダ装置、131〜135…子装置の例としてのセンサ監視装置、141〜149…接続線
【技術分野】
【0001】
この発明は、バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおける総線路長の確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、オフィスビルや工場などに設置されるセキュリティ監視システムなどの通信システムを構成する複数の通信装置は、従来、RS−485規格の手順により通信を行うようにされている。このRS−485規格においては、複数の通信装置は、バス型のマルチポイント接続により、ポイントツーポイントで順次に接続線により接続される。
【0003】
例えば図14に示すように、通信装置11〜通信装置1n(nは、2以上の整数)からなる通信システムを想定する。この場合、通信装置11〜通信装置1nのそれぞれは、その両隣の通信装置と接続線により接続するための一方の接続端子taと他方の接続端子tbとを備える。
【0004】
そして、図14の例においては、通信装置11の他方の接続端子tbと通信装置12の一方の接続端子taとを接続、通信装置12の他方の接続端子tbと通信装置13の一方の接続端子taとを接続、・・・というように、ポイントツーポイントで順次に接続線212,223,・・・により、それぞれ隣り合う通信装置間を接続する。これにより、複数の通信装置11〜通信装置1nは、いわゆる一筆書きで接続されて、バス型のマルチポイント接続とされる。
【0005】
セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置は、各部屋の人の出入りを監視するためのカードリーダ装置、各部屋などに配設された人感センサや窓開閉センサなどのセンサ出力を監視するセンサ監視装置、および警備会社の監視センターに異常通報を行うための送信装置、などにより構成される。
【0006】
このセキュリティ監視システムの複数の通信装置を、オフィスや工場に設置するに当たっては、設置工事者は、先ず、それぞれの通信装置の設置場所を決めて、接続線による接続をするための配線計画を作成し、その配線計画に基づいて、各通信機器を実際に配置し、各通信装置間を接続線により接続することが行われている。
【0007】
ところで、特許文献1(特開平8−314374号公報)には、電柱、電柱開閉器等の配電線設備に関する配電線路図情報を作成するために、配電設備機器にGPS測位手段を設け、そのGPS測位結果の位置情報を利用することが開示されている。この技術は、GPS測位手段から取得される実座標位置を基に、配電設備の位置を自動的に配電線路図上に反映させるものである。
【0008】
そこで、上述のセキュリティ監視システムにおける配線計画の配線線路図を、この特許文献1の技術を用いて作成することが考えられ、その配線線路図を用いれば、どの位置に通信装置を配置させれば良いかを設置工事者は容易に判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−314374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、RS−485規格の手順により通信を行う通信システムにおいては、前述したように、複数の通信装置が、図14に示したように、いわゆる一筆書きで接続線により接続されて、バス型のマルチポイント接続とされるが、動作保証される接続線の総線路長には制限があり、例えば、セキュリティ監視システムにおいては、動作保証距離は、1kmとされている。したがって、例えば図14において、複数の通信装置が一筆書きで接続された線路の一方の端部側に接続されている通信装置11から、他方の端部側の通信装置1nまでの総線路長は、1km以内にする必要がある。
【0011】
しかしながら、通信システムの設置工事者が、配線計画により作成された配線線路図に従って、実際に各通信装置を配置し、接続線により各通信装置間を接続して設置工事を完了した後に、通信エラーが発生することが判明し、実際に総線路長を測定してみると、1km以上となってしまっていることがあった。
【0012】
このため、そのような通信エラーの発生を未然に防止するためには、設置工事が終了したとき、通信装置間の線路長を実際に計測し直して、総線路長を測定して確認しなければならず、非常に厄介であった。
【0013】
この発明は、以上のことにかんがみ、バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおいて、設置工事を行った時に、自動的に、総線路長を算出でき、当該総線路長が予め定められた閾値を超えているかどうか容易に確認することができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、この発明は、
バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおける総線路長の確認方法であって、
前記複数の通信装置のそれぞれは、自装置の位置を測定する位置測定手段を備え、
前記複数の通信装置の一つを親装置、他を子装置とし、
前記子装置のそれぞれは、自装置の位置を前記位置測定手段により測定して検出し、その検出した自装置の位置の情報を、前記接続線を通じて前記親装置に通知し、
前記親装置は、自装置の位置を位置測定手段により測定して検出し、その検出した自装置の位置の情報と、前記子装置のそれぞれから受信した前記位置の情報を用いて、隣り合う2個の前記通信装置間の線路長の全てを算出し、算出した前記通信装置間の線路長の総和に基づいて、前記総線路長を算出し、
前記総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、警報を発する
ことを特徴とする通信システムの線路長確認方法を提供する。
【0015】
上述の構成のこの発明においては、複数の通信装置のそれぞれは、自装置の位置を測定する位置測定手段を備える。子装置のそれぞれは、この位置測定手段により測定して検出した自装置の位置の情報を、接続線を通じて親装置に通知する。
【0016】
親装置は、自装置の位置を位置測定手段により測定して検出し、この検出した自装置の位置の情報と、子装置のそれぞれから受信した位置の情報を用いて、隣り合う2個の通信装置間の線路長の全てを算出する。そして、親装置は、算出した通信装置間の線路長の総和に基づいて、通信システムにおける総線路長を算出し、算出した総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、警報を発する。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、親装置は、接続線によりポイントツーポイントで接続された隣り合う通信装置の位置情報に基づいて、自動的に、それら隣り合う通信装置の線路長を算出し、算出した線路長の総和に基づいて総線路長を算出すると共に、その算出した総線路長が予め定められている閾値を越えているときには、自動的に警報を発する。したがって、この発明によれば、設置工事者は、発せられた警報により、総線路長が、予め定められている閾値を越えたことを、線路長を計測するなどの手間をかけずに知得することができ、必要に応じて設置工事をやり直すなど、設置工事のミスを未然に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態が適用される通信システムの例としてのセキュリティ監視システムの構成例を示す図である。
【図2】図1の例のセキュリティ監視システムにおいて、親装置の例とされる送信装置のハードウエア構成例を示す図である。
【図3】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態が適用される通信システムを構成する複数の通信装置の接続関係を説明するための図である。
【図4】図1の例のセキュリティ監視システムにおける配線計画情報の例を示す図である。
【図5】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態における線路長の算出処理例の説明のための図である。
【図6】図1の例のセキュリティ監視システムにおいて、子装置の例とされるカードリーダのハードウエア構成例を示す図である。
【図7】図1の例のセキュリティ監視システムにおいて、子装置の例とされるセンサ監視装置のハードウエア構成例を示す図である。
【図8】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態における線路長の算出処理例の流れを説明するためのシーケンス図である。
【図9】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態において、子装置の処理例の流れを説明するためのフローチャートを示す図である。
【図10】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態において、親装置の処理例の流れを説明するためのフローチャートを示す図である。
【図11】この発明による線路長確認方法の第1の実施形態における変形例を説明するための図である。
【図12】この発明による線路長確認方法の第2の実施形態を説明するための図である。
【図13】この発明による線路長確認方法の第2の実施形態において用いる治具装置のハードウエア構成例を示す図である。
【図14】この発明による線路長確認方法が適用される通信システムを構成する複数の通信装置の接続関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
以下、この発明による通信システムの線路長確認方法の第1の実施形態を、通信システムがセキュリティ監視システムである場合を例に、図を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、この発明の実施形態が適用されるセキュリティ監視システムのシステム構成例を示す図である。この図1の例は、3階建ての建物の全ての階の各部屋について、セキュリティ管理をするようにセキュリティ監視システムが構築される場合である。
【0021】
この図1の例のセキュリティ監視システムは、1台の送信装置11と、複数台、図1の例では6台のカードリーダ装置121〜126と、複数台、図1の例では3台のセンサ監視装置131〜133とにより構成される。そして、これら送信装置11と、6台のカードリーダ装置121〜126と、3台のセンサ監視装置131〜133とは、RS−485規格の手順により通信を行うものとされ、前述したように、いわゆる一筆書きで、隣り合う装置間がポイントツーポイントで接続線141,142,・・・,149により順次に接続されて、バス型のマルチポイント接続の構成とされている。これにより、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置は、接続線141〜149で接続されたローカルネットワークを構成している。
【0022】
送信装置11は、カードリーダ装置121〜126からの情報や、センサ監視装置131〜133からの情報を受信して、異常監視を行う。また、送信装置11には、ドアセンサ、人感センサ、窓開閉センサ、火災センサなどのセンサ15の複数個が接続可能であり、送信装置11は、接続されているセンサ15の出力を監視して、異常監視を行う。そして、送信装置11は、警備会社の警備センター20に通信網21を通じて接続されており、当該警備センター20との間で異常通報時の通信などを行う。
【0023】
そして、この実施形態では、送信装置11は、セキュリティ監視システムの各装置の設置工事の際には、親装置として働く機能を備え、後述するように、カードリーダ装置121〜126からの位置情報およびセンサ監視装置131〜133からの位置情報を受信して、各装置間の接続線141〜149の線路長Da〜Diを算出し、算出した各線路長の和として総線路長を算出する。
【0024】
カードリーダ装置121〜126のそれぞれは、各部屋の出入り口に設けられており、各部屋への出入りをする者が所持するICカード30と、例えば電磁誘導による非接触通信を行うことで、人の出入りを検知する。そして、カードリーダ装置121〜126のそれぞれは、検知した人の出入りを、送信装置11に通知する。この実施形態のセキュリティ監視システムにおいては、カードリーダ装置121〜126のそれぞれは、送信装置11との間で通信を行う。
【0025】
そして、この実施形態では、カードリーダ装置121〜126のそれぞれは、セキュリティ監視システムの各装置の設置工事の際には、子装置として働く機能を備え、後述するように、設置されて電源が投入された時点で自装置の位置を測定し、その測定結果の位置情報を、ヘルスチェック情報に含めて、親装置である送信装置11に送信する。
【0026】
センサ監視装置131〜133のそれぞれには、ドアセンサ、人感センサ、窓開閉センサ、火災センサなどのセンサ15の複数個が接続可能である。これらセンサ監視装置131〜133のそれぞれは、接続されているセンサ15の出力を監視して、その監視結果を送信装置11に送信する。この実施形態のセキュリティ監視システムにおいては、センサ監視装置131〜133のそれぞれは、送信装置11との間で通信を行う。
【0027】
そして、この実施形態では、センサ監視装置131〜133のそれぞれは、セキュリティ監視システムの各装置の設置工事の際には、子装置として働く機能を備え、後述するように、設置されて電源が投入された時点で自装置の位置を測定し、その測定結果の位置情報を、ヘルスチェック情報に含めて、親装置である送信装置11に送信する。
【0028】
[送信装置11のハードウエア構成例]
図2は、この実施形態の通信システムの送信装置11のハードウエア構成例を示すブロック図である。この実施形態の送信装置11は、マイクロコンピュータで構成される制御部101を備える。そして、送信装置11においては、制御部101が、システムバス100を通じて、システム内通信インターフェース102、システム内送受信処理部103、外部通信インターフェース104、外部送受信処理部105、センサインターフェース106、警備状態管理部107、配線計画記憶部108、ディスプレイインターフェース109、GPS位置測定部111、位置情報記憶部112、線路長算出部113、警報発生部114、装置ID記憶部115、音声出力部116、のそれぞれと接続されている。ディスプレイインターフェース109には、この例では、表示デバイスとしてLCD(Liquid Crystal Display)110が接続されている。また、音声出力部116には、スピーカ117が接続されている。
【0029】
制御部101は、送信装置11の全体を制御するもので、その制御処理のためのソフトウエアプログラムを記憶するメモリを備えると共に、そのソフトウエアプログラムに基づいて、種々の制御処理をソフトウエア処理機能として実行するためのCPU(Central Processing Unit)を備えている。また、制御部101は、前記ソフトウエア処理機能を実行する際のワークエリア用のメモリも備えている。
【0030】
システム内通信インターフェース102は、RS−485規格の手順により、カードリーダ装置121〜126やセンサ監視装置131〜133などの他の通信装置と通信を行うためのインターフェース部である。このシステム内通信インターフェース102は、通信情報を送受信するためのシリアルポート102Pを備えると共に、他の通信装置と接続線路を通じて接続するための一方の接続端子102taおよび他方の接続端子102tbとを備える。
【0031】
システム内通信インターフェース102は、一方の接続端子102taあるいは他方の接続端子102tbを通じて受信したシリアルデータを一旦取り込むと共に、一方の接続端子102taから受信したデータは他方の接続端子102tbに接続されている他の通信装置に送出し、他方の接続端子102tbから受信したデータは一方の接続端子102taに接続されている他の通信装置に送出する。そして、システム内通信インターフェース102は、制御部101の制御に基づいて、一旦取り込んだシリアルデータは、システム内送受信処理部103に送る。
【0032】
また、システム内通信インターフェース102は、制御部101の制御に基づいて、システム内送受信処理部103から受け取った送信情報を、シリアルポート102Pに一旦取り込み、一方の接続端子102taおよび他方の接続端子102tbのそれぞれを通じて、他の通信装置に送出する。
【0033】
システム内送受信処理部103は、システム内通信インターフェース102を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報であるか否か判別する。
【0034】
ここで、受信情報には、当該情報を送信した通信装置を示す識別情報(装置IDという)および当該情報の宛先の通信情報を示す装置IDが含まれている。システム内送受信処理部103は、受信情報が、自装置宛であるか否かは、装置ID記憶部115に記憶されている自装置の装置IDが、受信情報のヘッダ部に含まれている宛先の通信装置の装置IDと一致しているか否かにより判別する。
【0035】
なお、装置IDは、各通信装置のMAC(Media Access Control)情報であっても良いし、接続線141〜149で接続されたローカルネットワーク上のアドレスであっても良い。要は、接続線141〜149で接続されたローカルネットワーク上で他の通信装置と区別して識別することができる情報であれば、どのような情報であっても良い。これは、カードリーダ装置121〜126やセンサ監視装置131〜133などの他の通信装置についても同様である。
【0036】
システム内送受信処理部103は、システム内通信インターフェース102を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報である場合には、制御部101の制御に基づいて、その受信情報をデコードおよび解析して、その解析結果を、システムバス100を通じて必要な処理部に転送したり、前記解析結果に応じて他の通信装置に送信する送信情報を生成したりする。なお、システム内送受信処理部103は、システム内通信インターフェース102を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報でない場合には、その取り込んだ受信情報は廃棄する。
【0037】
システム内送受信処理部103は、また、制御部101の制御に基づいて、他の処理部から取得した情報から送信情報を生成する。そして、システム内送受信処理部103は、生成した送信情報は、システム内通信インターフェース102に送り、このシステム内通信インターフェース102を通じて他の通信装置に送信させるようにする。なお、システム内送受信処理部103は、送信情報には、装置ID記憶部115から読み出した自装置の装置IDを含めるようにする。
【0038】
外部通信インターフェース104は、通信網21を通じて警備センター20と通信するためのインターフェース部である。外部送受信処理部105は、警備センター20に送信する送信情報を生成して、外部通信インターフェース104に転送したり、外部通信インターフェース104を通じて警備センターから受信した受信情報をデコードして解析し、システムバス100を通じて制御部101に送る処理をしたりする。
【0039】
センサインターフェース106には、ドアセンサ、人感センサ、窓開閉センサ、火災センサなどのセンサ15の1個または複数個が接続されており、その接続されているセンサ15のセンサ出力を、システムバス100を通じて制御部101に送る処理をする。
【0040】
警備状態管理部107は、システム内送受信処理部103を通じて取得したカードリーダ装置121〜126からの情報、センサ監視装置131〜133からのセンサ出力情報および自装置11のセンサインターフェース106を通じたセンサ出力情報を用いて、警備対象についての警備監視を管理するための処理部である。例えば、警備状態管理部107は、カードリーダ装置121〜126からの情報により、警備対象の建物の各部屋に誰もいなくなったときに、当該警備対象の建物の各部屋の警備を開始するようにする。
【0041】
そして、警備を開始すると、センサ監視装置131〜133からのセンサ出力情報および自装置11のセンサインターフェース106を通じたセンサ出力情報を用いて、不審者の侵入や火災の発生などの異常発生監視を行う。
【0042】
なお、送信装置11は、時間設定に応じて自動的に警備開始、警備解除するようにしてもよいが、警備開始および警備解除のための操作手段を設け、この操作手段を通じた操作入力に応じて、警備開始および警備解除を行うようにしても良い。
【0043】
配線計画記憶部108は、この例のセキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置(自装置を含む)について、接続線141〜149により一筆書きで接続される接続順序を示すノード番号と、装置IDとの対応関係を少なくとも記憶する。例えば、図1の例のセキュリティ監視システムは、10個の通信装置を一筆書きで接続するので、図3に示すように、当該10個の通信装置のそれぞれに、ノード番号として、No.1からNo.10まで、順次に付与する。このときの配線計画記憶部108の記憶内容である配線計画情報は、図4に示すようなものとなる。
【0044】
すなわち、ノード番号No.1は、送信装置11であり、ノード番号No.2は、カードリーダ装置121であり、ノード番号No.3は、センサ監視装置131であり、・・・となる。なお、図4の例では、通信装置の種別と、配置位置とを合わせて記憶するようにしたが、これらは記憶しなくても良いし、また、装置IDは、説明を判り易くするために便宜上3桁の数字を記載したが、これに限られるものではないことは前述の通りである。
【0045】
ディスプレイインターフェース109にはLCD110が接続され、その表示画面に、制御部101の制御にしたがって生成された表示画像が表示される。この実施形態では、制御部101は、LCD110の表示画面には、セキュリティ監視システムの各装置の設置工事の際には、後述するように、ノード番号でその両端が識別されるように表示される接続線141〜149のそれぞれの線路長や、それらの総和である総線路長を表示する。さらに、制御部101は、総線路長が閾値を越えたときには、LCD110の表示画面に、そのことを警報する警報メッセージを表示したり、閾値を越えて接続された通信装置のノード番号やその種別を表示したりする。
【0046】
GPS位置測定部111は、アンテナ111ATを通じたGPS衛星からの受信信号に基づいて、自装置の位置を測定し、その測定結果の位置情報をシステムバス100を通じて制御部101に送る。
【0047】
位置情報記憶部112は、GPS位置測定部111で測定した自装置の位置情報と、システム内送受信処理部103を通じて取得した他の通信装置の位置情報とを、それぞれの通信装置の装置IDと対応付けて、記憶する。
【0048】
線路長算出部113は、位置情報記憶部112に記憶されている当該セキュリティ監視システムを構成する通信装置のそれぞれの位置情報と、配線計画記憶部108に記憶されているノード番号と装置IDとの対応情報とに基づいて、接続線141〜149のそれぞれの線路長Da〜Diを算出する。この実施形態では、線路長算出部113は、配線計画記憶部108に記憶されている、セキュリティ監視システムを構成する全ての通信装置が接続線により接続されたときに、制御部101の制御指示により、線路長算出処理を開始する。
【0049】
制御部101は、セキュリティ監視システムを構成する全ての通信装置が接続線により接続されたかどうかは、位置情報記憶部112に、配線計画記憶部108に記憶されている、セキュリティ監視システムを構成する全ての通信装置からの位置情報が記憶されたか否かにより判別する。なお、設置工事者が、最後に接続した通信装置に対して、設置工事完了の入力操作を行い、その最後に接続した通信装置から、送信装置11に、当該設置工事完了を知らせるようにしても良い。あるいは、送信装置11に対して、設置工事完了の入力操作をするようにしてもよい。
【0050】
送信装置11の制御部101は、位置情報記憶部112に、全ての通信装置からの位置情報が記憶されたことを確認して、設置工事完了を判別すると、線路長算出部113に線路長算出処理の開始を指示する。
【0051】
線路長算出部113は、例えばノードNo1.の送信装置11の位置情報と、ノードNo.2のカードリーダ装置121の位置情報とから、これら送信装置11とカードリーダ装置121との間を接続する接続線141の線路長Daを算出する。次に、ノードNo2.のカードリーダ装置121の位置情報と、ノードNo.3のセンサ監視装置131の位置情報とから、これらカードリーダ装置121とセンサ監視装置131との間を接続する接続線142の距離Dbを算出する。以下、同様にして、接続線143〜149の線路長Dc〜Diを算出する。
【0052】
こうして、接続線141〜149の全ての線路長Da〜Diを算出した後、線路長算出部113は、算出した接続線141〜149のそれぞれの線路長Da〜Diの和に基づいて、セキュリティ監視システムにおける総線路長ΣDを算出する。
【0053】
すなわち、
ΣD=Da+Db+Dc+・・・+Di+α …(式1)
として総線路長ΣDを算出する。ここで、上記(式1)におけるαは、総線路長ΣDを求める際の補正値であり、この補正値αは、接続線141〜149のたるみなどを考慮して定められる。この補正値αは、予め定められた値であっても良いし、設置工事者が設置工事の際に、工事対象建物の構造などに応じて定めて入力するようにしても良い。
【0054】
なお、接続線141〜149の線路長Da〜Diのそれぞれは、当該接続線141〜149のそれぞれにより接続される隣り合う通信装置の位置情報から算出される。この場合、通信装置の位置情報には、「緯度」、「経度」、「高さ(標高)」の3つの情報が含まれる。しかし、接続線により接続される通信装置が、同じ階に設置される場合には、「高さ」は、同じになる、あるいは、僅かに異なるだけである。
【0055】
そこで、接続線141〜149の線路長Da〜Diを算出するために使用する隣り合う2個の通信装置の位置情報に含まれる「高さ」の値の差が、ほぼ同じ高さ位置と見なせるような所定値hth以下であるときには、その隣り合う2個の通信装置の線路長は、「高さ」を考慮することなく、「緯度」、「経度」の2つの情報で定まる位置間の直線距離として算出することができる。この場合の隣り合う2個の通信装置の線路長は、前述と同様に、算出した距離に、接続線のたるみを考慮した補正値を加えた値としても勿論良い。
【0056】
一方、接続線141〜149の線路長Da〜Diを算出するために使用する隣り合う2個の通信装置が異なる階に設置されるなど、当該2個の通信装置の位置情報に含まれる「高さ」の値の差が、前記所定値hthよりも大きく、同じ高さ位置と見なせないような場合には、接続線141〜149の線路長Da〜Diは、「緯度」、「経度」に加えて当該「高さ」の値をも用いて算出する必要がある。
【0057】
例えば図5に示すように、2個の通信装置151と152とが、1階と2階とにそれぞれ配置されており、且つ、それぞれの位置情報P151とP152の「緯度」、「経度」、「高さ」が異なり、「高さ」の差が、前記所定値hthよりも大きい場合を想定する。この場合、緯度」、「経度」および「高さ」の情報を含む位置情報P151とP152とから直接的に求められる2個の通信装置151と152との間の距離DSは、当該2個の通信装置151と152とを直接的に斜めに結ぶ線分の長さとなる。
【0058】
しかし、実際の接続線の配線は、1階において、通信装置151から接続線を水平方向に(横に)引き回し、壁際にて、上階(2階)に向けて、垂直方向へ接続線を配線して、通信装置152に接続するようにする。すなわち、図5において、2階の通信装置152の位置から、垂直方向に直線を下ろして1階と交差する位置Pcまでの垂直方向の距離DYと、1階において、位置Pcから通信装置151の位置P151までの水平方向の距離DXとの和とする方が、実際の配線に応じた線路長となる。
【0059】
この場合、垂直方向の距離DYは、位置P151と位置P152との高さの差として算出できる。また、2個の通信装置151と152との間の距離DSは、上述のように、位置情報P151とP152とから直接的に算出できる。したがって、位置Pcから通信装置151の位置P151までの水平方向の距離DXは、位置P151と位置P152と位置Pcとからなる直角三角形についての三平方の定理
DS2=DX2+DY2
の関係から、算出することができる。
【0060】
そして、2個の通信装置151と152との間の線路長は、距離DXと距離DYとの和(DX+DY)として算出することができるが、この場合に、実際に算出する線路長としては、前述と同様に、距離DXと距離DYとの和について、接続線のたるみなどを考慮した補正値を加算するようにして良いことは言うまでもない。
【0061】
以上のようにして、線路長算出部113は、セキュリティ監視システムを構成する複数個の通信装置の隣り合う通信装置間の線路長141〜149を算出すると共に、それらの総和として、セキュリティ監視システムの総線路長ΣDを算出する。この場合、この実施形態では、ノード番号No.1を基点として総線路長を算出する。そして、線路長算出部113は、算出した総線路長ΣDが、予め定められている所定の閾値Dthを超えたか否か判別する。この例では、所定の閾値Dthは、Dth=1kmとされている。
【0062】
そして、線路長算出部113は、算出した総線路長ΣDが、所定の閾値Dthを超えたと判別したときには、その旨を警報発生部114に通知する。更に、この実施形態では、線路長算出部113は、算出した総線路長ΣDが、所定の閾値Dthを超えたと判別したときには、ノード番号No.1を基点として算出した総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えておらず、かつ、さらにその通信装置を接続すると、所定の閾値Dthを超えてしまう最後の通信装置のノード番号を、配線計画記憶部108の記憶情報から判定して、警報発生部114に通知する。
【0063】
警報発生部114は、線路長算出部113から、総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨の通知を受けたときに、以下に説明するような警報発生処理を実行する。この例では、警報発生部114は、総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨の通知と共に送られてくる所定の閾値Dthを超えてしまう最後の通信装置のノード番号により、配線計画記憶部108の記憶情報を参照し、接続すると総線路長ΣDを超えてしまう通信装置の装置IDおよびその種別を把握する。
【0064】
そして、警報発生部114は、総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨のメッセージと、接続すると総線路長ΣDを超えてしまう通信装置のノード番号、種別とを、ディスプレイ110の表示画面に表示するための表示情報を生成して、ディスプレイインターフェース109に送出する。
【0065】
また、警報発生部114は、この実施形態では、接続すると総線路長ΣDを超えてしまう通信装置の装置IDを用いて、当該通信装置に、総線路長ΣDの制限のために接続不可である旨の通知を生成し、制御部101の制御に基づいて、システム内送受信処理部103、システム内通信インターフェース102を通じて送るようにする。
【0066】
なお、総線路長ΣDを超えて接続された通信装置に対しては、全く通信ができなくのではなく、所定の通信品質を維持した通信が困難になるだけであり、送信装置11からそれらの通信装置に総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨の通知を送信することは可能である。
【0067】
また、警報発生部114は、総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨の音声メッセージを生成し、音声出力部116に供給する。音声出力部116は、受け取った音声メッセージをスピーカ117により音響再生して放音する。なお、音声出力部116は、この総線路長ΣDが所定の閾値Dthを超えた旨の音声メッセージの他、警備開始、警備解除、異常発生などの音声メッセージも、制御部101の制御にしたがって放音する。
【0068】
[カードリーダ装置121〜126のハードウエア構成例]
カードリーダ装置121〜126は、全く同一のハードウエア構成を有するので、カードリーダ装置121を代表として、そのハードウエア構成例について、以下に説明する。
【0069】
図6は、カードリーダ装置121のハードウエア構成例を示すブロック図であり、マイクロコンピュータで構成される制御部201を備える。そして、カードリーダ装置121においては、制御部201が、システムバス200を通じて、システム内通信インターフェース202、送受信処理部203、カードリーダインターフェース204、ディスプレイインターフェース205、LEDドライブ部206、GPS位置測定部207、警報発生部208、装置ID記憶部209、音声出力部210、のそれぞれと接続されている。
【0070】
制御部201は、カードリーダ装置121の全体を制御するもので、その制御処理のためのソフトウエアプログラムを記憶するメモリを備えると共に、そのソフトウエアプログラムに基づいて、種々の制御処理をソフトウエア処理機能として実行するためのCPUを備えている。また、制御部201は、前記ソフトウエア処理機能を実行する際のワークエリア用のメモリも備えている。
【0071】
システム内通信インターフェース202は、RS−485規格の手順により、送信装置11と通信を行うためのインターフェース部であり、通信情報を送受信するためのシリアルポート202Pを備えると共に、他の通信装置と接続線路を通じて接続するための一方の接続端子202taおよび他方の接続端子202tbとを備える。このシステム内通信インターフェース202は、送信装置11のシステム内通信インターフェース102と同様のものであり、処理動作などについては、前述と全く同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0072】
送受信処理部203は、システム内通信インターフェース202を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報であるか否か判別し、自装置宛の情報である場合には、制御部201の制御に基づいて、その受信情報をデコードおよび解析して、その解析結果を、システムバス200を通じて必要な処理部に転送したり、前記解析結果に応じて他の通信装置に送信する送信情報を生成したりする。送受信処理部203は、システム内通信インターフェース202を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報でない場合には、その取り込んだ受信情報は廃棄する。
【0073】
また、送受信処理部203は、制御部201の制御に基づいて、送信装置11に送信する送信情報を生成する。そして、送受信処理部203は、生成した送信情報は、システム内通信インターフェース202に送り、このシステム内通信インターフェース202を通じて送信装置11に送信させるようにする。なお、送受信処理部203は、送信情報には、装置ID記憶部209から読み出した自装置の装置IDを含めるようにする。
【0074】
カードリーダインターフェース204には、この例では、電磁誘導式で、使用者のICカード30と非接触通信を行うためのカードリーダ部211が接続されている。送受信処理部203は、カードリーダインターフェース204を通じて取り込まれたICカードの情報に基づいて、送信装置11に送信する送信情報を生成し、システム内通信インターフェース202を通じて送信装置に宛てて送信する。
【0075】
ディスプレイインターフェース205には、この例では、表示デバイスとしてLCD212が接続されている。LEDドライブ部206には、LED213および214が接続されている。
【0076】
GPS位置測定部207は、アンテナ207ATを通じたGPS衛星からの受信信号に基づいて、自装置の位置を測定し、その測定結果の位置情報をシステムバス200を通じて制御部201に送る。制御部201は、測定結果の位置情報を送受信処理部203に送り、送信装置11に宛てて送信させるようにする。この実施形態では、カードリーダ装置121の制御部201は、電源が投入された後に、送信装置11にヘルスチェックの情報を送る際に、当該ヘルスチェックの情報に加えて、GPS位置測定部207で測定された位置情報を送信装置11に送るように制御する。
【0077】
警報発生部208は、制御部201の制御に従い、送信装置11から総線路長ΣDの制限のために接続不可である旨の通知を、送受信処理部203を通じて受信したことを判別したときに、LCD212に警報報知メッセージを表示したり、LEDドライブ部206を制御して、LED213,214を点滅表示させたりするなどにより警報報知を実行する。警報発生部208は、また、総線路長ΣDの制限のために接続不可である旨の音声メッセージを音声出力部210に送り、その音声メッセージをスピーカ215により放音させるようにする。
【0078】
[センサ監視装置131〜133のハードウエア構成例]
センサ監視装置131〜133は、全く同一のハードウエア構成を有するので、センサ監視装置131を代表として、そのハードウエア構成例について、以下に説明する。
【0079】
図7は、センサ監視装置131のハードウエア構成例を示すブロック図であり、マイクロコンピュータで構成される制御部301を備える。そして、センサ監視装置131においては、制御部301が、システムバス300を通じて、システム内通信インターフェース302、送受信処理部303、センサインターフェース304、ディスプレイインターフェース305、LEDドライブ部306、GPS位置測定部307、警報発生部308、装置ID記憶部309、音声出力部310、のそれぞれと接続されている。
【0080】
制御部301は、センサ監視装置131の全体を制御するもので、その制御処理のためのソフトウエアプログラムを記憶するメモリを備えると共に、そのソフトウエアプログラムに基づいて、種々の制御処理をソフトウエア処理機能として実行するためのCPUを備えている。また、制御部301は、前記ソフトウエア処理機能を実行する際のワークエリア用のメモリも備えている。
【0081】
システム内通信インターフェース302は、RS−485規格の手順により、送信装置11と通信を行うためのインターフェース部であり、通信情報を送受信するためのシリアルポート302Pを備えると共に、他の通信装置と接続線路を通じて接続するための一方の接続端子302taおよび他方の接続端子302tbとを備える。このシステム内通信インターフェース302は、送信装置11のシステム内通信インターフェース102と同様のものであり、処理動作などについては、前述と全く同様であるので、ここではその説明は省略する。
【0082】
送受信処理部303は、システム内通信インターフェース302を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報であるか否か判別し、自装置宛の情報である場合には、制御部301の制御に基づいて、その受信情報をデコードおよび解析して、その解析結果を、システムバス300を通じて必要な処理部に転送したり、前記解析結果に応じて他の通信装置に送信する送信情報を生成したりする。送受信処理部303は、システム内通信インターフェース302を通じて取り込んだ受信情報が、自装置宛の情報でない場合には、その取り込んだ受信情報は廃棄する。
【0083】
また、送受信処理部303は、制御部301の制御に基づいて、送信装置11に送信する送信情報を生成する。そして、送受信処理部303は、生成した送信情報は、システム内通信インターフェース302に送り、このシステム内通信インターフェース302を通じて送信装置11に送信させるようにする。なお、送受信処理部303は、送信情報には、装置ID記憶部309から読み出した自装置の装置IDを含めるようにする。
【0084】
センサインターフェース304には、ドアセンサ、人感センサ、窓開閉センサ、火災センサなどのセンサ15の1個または複数個が接続されており、その接続されているセンサ15のセンサ出力を、システムバス300を通じて制御部301に送る処理をする。
【0085】
ディスプレイインターフェース305には、この例では、表示デバイスとしてLCD311が接続されている。LEDドライブ部306には、LED312および313が接続されている。音声出力部310には、スピーカ314が接続されている。
【0086】
GPS位置測定部307は、アンテナ307ATを通じたGPS衛星からの受信信号に基づいて、自装置の位置を測定し、その測定結果の位置情報をシステムバス300を通じて制御部301に送る。制御部301は、測定結果の位置情報を送受信処理部303に送り、送信装置11に宛てて送信させるようにする。この実施形態では、センサ監視装置131の制御部301は、電源が投入された後に、送信装置11にヘルスチェックの情報を送る際に、当該ヘルスチェックの情報に加えて、GPS位置測定部307で測定された位置情報を送信装置11に送るように制御する。
【0087】
警報発生部308は、制御部301の制御に従い、送信装置11から総線路長ΣDの制限のために接続不可である旨の通知を、送受信処理部303を通じて受信したことを判別したときに、LCD311に警報報知メッセージを表示したり、LEDドライブ部306を制御して、LED312,313を点滅表示させたりするなどにより警報報知を実行する。また、警報発生部308は、総線路長ΣDの制限のために接続不可である旨の音声メッセージを音声出力部310に送り、その音声メッセージをスピーカ314により放音させるようにする。
【0088】
[システムの通信装置の設置工事時の線路長算出のためのシーケンス]
図8は、この例のセキュリティ監視システムの設置工事時の総線路長の確認チェック処理のためのシーケンスを説明するための図である。この例では、図4に示したような配線計画に基づいて、設置工事者は、送信装置11、カードリーダ装置121〜126およびセンサ監視装置131〜133の各通信装置の設置を順次に行い、各通信装置を設置する毎に、電源を投入する。ただし、この例では、設置工事者は、送信装置11を最初に設置して、電源を投入しておくようにする。
【0089】
カードリーダ装置121〜126およびセンサ監視装置131〜133のそれぞれは、電源が投入されると、GPS位置測定部207や307で、それぞれの装置が設置された現在位置を測定する。そして、カードリーダ装置121〜126およびセンサ監視装置131〜133のそれぞれは、図8に示すように、送信装置11に対してヘルスチェックのために情報を送るが、この実施形態では、このヘルスチェックの情報に、測定された自装置の現在位置の位置情報を含めて送る。
【0090】
送信装置11は、カードリーダ装置121〜126およびセンサ監視装置131〜133のいずれかから位置情報を含むヘルスチェックの情報を受け取ると、ヘルスチェックの情報に含まれる装置IDを抽出し、その装置IDに対応付けて、位置情報を、位置情報記憶部112に記憶する。
【0091】
送信装置11は、配線計画記憶部108に記憶されている配線計画を参照して、予定されている全ての通信装置から、位置情報を受け取ったか否か判別する。そして、送信装置11は、予定されている全ての通信装置から、位置情報を受け取ったと判別したときには、それら全ての通信装置が接続線により接続されたと判断して、線路長算出処理を実行する。
【0092】
そして、この図8のシーケンス例においては、送信装置11は、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えてしまったと判定し、かつ、ノード番号No.10の通信装置であるカードリーダ装置126を接続すると総線路長ΣDが閾値1kmを超えてしまうと判定する。すると、送信装置11は、この判定に基づいて、そのLCD110の表示画面に、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えたこと、ノード番号No.10の通信装置であるカードリーダ装置126が、閾値を超えて接続された通信装置であることを報知表示する。更に、送信装置11は、閾値を超えて接続された通信装置であるカードリーダ装置126に、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えた旨の通知を警報通知として送信する。
【0093】
カードリーダ装置126は、この警報通知を受信すると、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えたことをLCD212の表示画面に表示すると共に、LED213や214を点滅表示して、設置工事者に警報するようにする。
【0094】
なお、図8のシーケンスにおいては、複数の通信装置は、ノード番号の番号順に接続するように示してあるが、親装置である送信装置11には、配線計画記憶部108に複数の通信装置についての配線計画情報が記憶されているので、設置工事者は、いずれの装置から、接続処理を行って、電源を投入しても良い。
【0095】
[カードリーダ装置121〜126あるいはセンサ監視装置131〜133の処理]
図9は、カードリーダ装置121〜126あるいはセンサ監視装置131〜133のそれぞれが、設置工事者により設置されて電源が投入されたときに開始する処理ルーチンの流れの例を説明するためのフローチャートである。この図9の各ステップの処理は、制御部201または制御部301が、ソフトウエア機能として実行する。
【0096】
すなわち、電源が投入されると、制御部201または制御部301は、GPS位置測定部207またはGPS位置測定部307により、自装置の現在位置として、設置された位置を測定し、その測定した位置情報を一時記憶保持する(ステップS101)。次に、制御部201または制御部301は、ヘルスチェック情報の送信タイミングになると、一時記憶されていた位置情報と自装置IDとを含めて、ヘルスチェック情報を送信装置11に宛てて送信する(ステップS102)。
【0097】
そして、制御部201または制御部301は、送信装置11からのその応答の受信を待ち(ステップS103)、応答を受信したと判別した後には、送信装置11からの警報通知を受信したか否か判別する(ステップS104)。このステップS104で、送信装置11からの警報通知を受信したと判別したときには、制御部201または制御部301は、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えたことを、LCD212やLCD311の表示画面に表示すると共に、LED213、214やLED312,313を点滅表示して、設置工事者に警報するようにする(ステップS105)。
【0098】
また、ステップS104で、送信装置11からの警報通知を受信してはいないと判別したときには、制御部201または制御部301は、送信装置11から総線路長は閾値以内でOKである旨の通知を受信したか否か判別する(ステップS106)。このステップS106で、OKである旨の通信を受信してはいないと判別したときには、制御部201または制御部301は、処理をステップS104に戻し、このステップS104以降の処理を繰り返す。また、ステップS106で、OKである旨の通信を受信したと判別したときには、制御部201または制御部301は、この処理ルーチンを終了する。
【0099】
[送信装置11の処理]
図10は、送信装置11が、設置工事の際に電源が投入されたときに処理を開始し、設置工事完了となるまでの処理ルーチンの流れの例を説明するためのフローチャートである。この図10の各ステップの処理は、制御部101が、ソフトウエア機能として実行する。
【0100】
すなわち、送信装置11の制御部101は、電源が投入されると、制御部101は、GPS位置測定部111により、自装置の現在位置として、設置された位置を測定し、その測定した位置情報を一時記憶保持する(ステップS111)。次に、制御部101は、他の通信装置からヘルスチェック情報を受信したか否か判別し(ステップS112)、他の通信装置からヘルスチェック情報を受信してはいないと判別したときには、このステップS112を継続して、他の通信装置からのヘルスチェック情報の受信を待つ。
【0101】
ステップS112で、他の通信装置からヘルスチェック情報を受信したと判別したときには、ヘルスチェック情報を送ってきた通信装置に応答を返す(ステップS113)。次に、制御部101は、当該通信装置から受信した受信情報から、その通信装置の装置IDと位置情報とを抽出して、両者を対応付けて位置情報記憶部112に記憶する(ステップS114)。
【0102】
そして、制御部101は、配線計画記憶部108に記憶されている配線計画の情報に含まれる複数個の通信装置の装置IDと、位置情報記憶部112に記憶した位置情報に対応する装置IDとを比較参照して、接続予定の全ての他の通信装置からの位置情報を受信したか否か判別する(ステップS115)。
【0103】
ステップS115で、未だ、接続予定の全ての他の通信装置からの位置情報は受信してはいないと判別したときには、制御部101は、処理をステップS112に戻し、このステップS112以降の処理を繰り返す。また、ステップS115で、接続予定の全ての他の通信装置からの位置情報を受信したと判別したときには、制御部101は、配線計画記憶部108に記憶されている配線計画の情報から互いに隣り合って接続される通信装置を認識し、その隣り合う通信装置間の線路長の全てを、前述したようにして算出する(ステップS116)。
【0104】
次に、制御部101は、算出した隣り合う通信装置間の線路長の全てに基づいて、セキュリティ監視システム全体の総線路長ΣDを算出する(ステップS117)。次に、制御部101は、算出した総線路長ΣDが、予め定められている閾値Dthを超えているか否か判別する(ステップS118)。
【0105】
このステップS118で、算出した総線路長ΣDが、予め定められている閾値Dthを超えたと判別したときには、制御部101は、総線路長ΣDが閾値Dthを超えた旨および総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号や種別を、自装置のLCD110の表示画面に表示すると共に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置に、その旨の通知を送信する(ステップS119)。そして、この処理ルーチンを終了する。
【0106】
また、ステップS118で、算出した総線路長ΣDが、予め定められている閾値Dthを超えてはいないと判別したときには、制御部101は、総線路長は閾値以内であり、OKである旨の通知を、セキュリティ監視システムの他の全ての通信装置に送ると共に、自装置のLCD110の表示画面にその旨を表示する(ステップS120)。そして、この処理ルーチンを終了する。
【0107】
[実施形態の効果]
送信装置は、接続線によりポイントツーポイントで接続された隣り合う通信装置の位置情報に基づいて、自動的に、それら隣り合う通信装置の線路長を算出し、算出した線路長の総和に基づいて総線路長を算出する。そして、送信装置は、その算出した総線路長が予め定められている閾値を越えているときには、自動的に警報を発する。
【0108】
したがって、設置工事者は、発せられた警報により、総線路長が、予め定められている閾値を越えたことを、線路長を計測し直すなどの手間をかけずに知得することができ、必要に応じて設置工事をやり直すなど、設置工事のミスを未然に防ぐことができる。
【0109】
特に、上述の実施形態においては、接続すると総線路長が閾値を超えてしまう通信装置についての情報を、送信装置のLCDの表示画面に表示すると共に、当該接続すると総線路長が閾値を超えてしまう通信装置においても、LCDの表示画面やLEDにより警報報知するので、設置工事者は、どの通信装置以降が、接続すると総線路長が閾値を超えてしまうかを容易に判別することができる。
【0110】
[第1の実施形態の変形例]
なお、上述の図8のシーケンス例では、送信装置11は、セキュリティ監視システムを構成する全ての通信装置が接続線により接続された後に、総線路長の算出処理を開始するようにしたが、送信装置11を最初に設置した後、カードリーダ装置121〜126やセンサ監視装置131〜133の一つが追加接続される毎に、送信装置11が、総線路長の算出処理を実行するようにしても良い。
【0111】
このようにした場合には、送信装置11は、新たに受信した位置情報に基づいて、総線路長ΣDが閾値1kmを超えたと判別したときには、LCD110にその旨を表示すると共に、その新たな位置情報を送ってきた通信装置に、総線路長ΣDが、閾値1kmを超えたことを警報通知する。したがって、設置工事者は、子装置としての通信装置を設置して接続線により接続し、その電源を投入したときに、総線路長ΣDが閾値1kmを超えたかどうかを確認することができ、便利である。
【0112】
なお、このように、カードリーダ装置121〜126やセンサ監視装置131〜133の一つが追加接続される毎に、送信装置11が、総線路長の算出処理を実行するようにする例の場合には、送信装置11を基点として、順番に他の通信装置をポイントツーポイントで順次に接続線により接続するという約束事にしたがって、通信装置の設置工事を行うならば、配線計画記憶部108に配線計画の情報を予め記憶しておく必要はない。
【0113】
もっとも、配線計画記憶部108に配線計画の情報が予め記憶してあれば、設置工事時に、設置工事者が通信装置の接続順序を間違えたり、接続する通信装置の種別を間違えたりした場合に、位置情報と共に送られてくる装置IDを、配線計画記憶部108に記憶されている情報と比較参照することで、当該間違えを検出し、設置工事者に報知することができる。
【0114】
以上説明した第1の実施形態においては、配線計画記憶部108に、システムを構成する複数の通信装置のノード番号(接続順序)および装置IDを記憶しているおり、更に、設置工事後には、それぞれの位置情報を取得している。したがって、送信装置11で、総線路長ΣDが閾値1kmを超えたと判別したときに、それらの情報を用いて、他の接続順序の場合の総線路長を計算し、総線路長ΣDが閾値Dthを超えないような通信装置の接続順序を提案することができる。
【0115】
例えば、上述の実施形態では、図1および図4に示したような接続順序としたが、この接続順序では、前述したように、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまっている。そこで、送信装置11は、通信装置の位置情報から、接続変更をすると線路長が短縮できる通信装置の接続順序を考慮し、総線路長の再計算をする。その結果、図11に示すように、送信装置11は、2階のカードリーダ装置123と3階のセンサ監視装置133とを接続する接続線146の線路長Dfよりも、2階のカードリーダ装置123とカードリーダ装置124とを接続線150で接続したときの線路長Djの方が短く、総線路長ΣDが閾値Dth以下にすることができることを判別したとする。
【0116】
この場合には、送信装置11は、2階のカードリーダ装置123以降の接続順序を、図1の状態の、
[カードリーダ装置123→センサ監視装置133→カードリーダ装置124→カードリーダ装置125→カードリーダ装置126]
から、
[カードリーダ装置123→カードリーダ装置126→カードリーダ装置125→カードリーダ装置124→センサ監視装置133]
に変更することを提案することができる。
【0117】
[第2の実施形態]
上述した第1の実施形態では、システムの総線路長を算出するために、親装置のみならず、子装置の全ても、GPS位置測定手段を備える必要があった。この第2の実施形態では、GPS位置測定手段を備える線路長確認用の治具装置を用いることで、GPS位置測定手段は、親装置のみが備えれば、子装置のそれぞれは、GPS位置測定手段を備える必要がない線路長確認方法を提供する。
【0118】
以下に、上述の第1の実施形態で説明したセキュリティ監視システムに適用した場合を例に、第2の実施形態を説明する。
【0119】
図12(A)は、この例のセキュリティ監視システムの複数の通信装置の設置計画案(配線計画案)を説明するための図である。すなわち、この例においては、セキュリティ対象エリアには、親機となる送信装置11Aと、複数個の子機となるカードリーダ装置127,128,129と、センサ監視装置134,135とが設置される。
【0120】
そして、図12(A)の例においては、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置は、
[送信装置11A→センサ監視装置134→カードリーダ装置127→カードリーダ装置128→カードリーダ装置129→センサ監視装置135]
の順に、ポイントツーポイントで順次に接続線により接続され、バス型のマルチポイント接続とされる。
【0121】
そして、この実施形態では、図12(A)に示すように、これら親装置や子装置のほかに、線路長確認用の治具装置40を設ける。
【0122】
図13に、この治具装置のハードウエア構成例を示す。この例の治具装置40は、マイクロコンピュータからなる制御部401に、システムバス400を通じて、GPS位置測定部402と、無線通信部403と、送受信処理部404と、操作部インターフェース405と、ディスプレイインターフェース406を備える。
【0123】
操作部インターフェース405には、電源キーや、1または複数個のキーを備える操作部407が接続されている。操作部407の一つのキーは、位置情報送信キーとされている。制御部401は、当該位置情報送信キーが押下されたことを検知すると、当該位置で測定されて得られた位置情報を、無線通信部403を通じて送信装置11Aに送出するように制御する。
【0124】
また、ディスプレイインターフェース406には、この例では、LCD408が表示デバイスとして接続されている。治具装置40では、送信装置11Aから送られてくる情報に基づき、LCD408の表示画面に、総線路長が閾値を超えたか否かを示す報知情報を表示する機能を備える。
【0125】
一方、親装置である送信装置11Aは、この第2の実施形態においては、図示は省略するが、図2に示した送信装置11のハードウエア構成例の各部に加えて、治具装置40の無線通信部403と無線通信を行う無線通信部と、当該無線通信部を介する送受信信号を処理するための無線通信送受信部を備える構成を備える。以下の説明においては、送信装置11Aにおいて、図2に示した送信装置11と同一部分には、図2に示した参照符号をそのまま用いて説明する。
【0126】
第2の実施形態においては、送信装置11Aは、送信装置11の配線情報記憶部108は備えていても良いが、あえて設けなくも線路長確認方法を実行することが可能である。また、送信装置11Aの制御部101は、この第2の実施形態では、無線通信部を通じて治具装置40から受信した位置情報には、その取得順に、番号(ノード番号に対応)を付与し、その番号に対応付けて受信した位置情報を、位置情報記憶部112に記憶するようにする。
【0127】
また、この第2の実施形態においては、前述したように、カードリーダ装置127〜129およびセンサ監視装置134,135は、GPS位置測定部を備えていないと共に、電源投入後のヘルスチェック情報の送信装置11Aへの送信時に、位置情報を含めて送る動作は、行わない。しかし、カードリーダ装置127〜129およびセンサ監視装置134,135のその他の構成は、カードリーダ装置121〜126およびセンサ監視装置131〜133と同様である。
【0128】
次に、この第2の実施形態における線路長確認方法の処理動作例を、図12(A)を参照して説明する。
【0129】
設置工事者は、先ず、送信装置11Aを、計画に従った位置に設置し、その電源を投入して、治具装置40からの無線送信信号を受信できる状態にすると共に、線路長確認処理を実行できる状態にする。送信装置11Aは、電源投入を受けて、GPS位置測定部111により自装置の位置を測定し、測定した自装置の位置情報を、ノード番号No.1に対応付けて、位置情報記憶部112に記憶する。
【0130】
次に、設置工事者は、センサ監視装置134を、計画に従った位置に設置し、送信装置11Aと接続線により接続する。そして、設置工事者は、このセンサ監視装置134の設置位置において、治具装置40の位置情報送信キーを押下する。すると、治具装置40は、その位置においてGPS位置測定部402で測定した得た位置情報を、無線通信部403を通じて送信装置11Aに送信する。
【0131】
送信装置11Aは、当該治具装置40からの位置情報を受信確認すると、その応答を治具装置40に送る。そして、送信装置11Aは、受信した位置情報を、ノード番号No.2に対応付けて、位置情報記憶部112に記憶する。
【0132】
このとき、治具装置40の制御部401は、無線通信部403を通じて、送信装置11Aからの応答を受信して、位置情報が送信装置11Aに確実に送信されたことを確認することができる。制御部401は、LCD408の表示画面には、位置情報の送信に応じて、送信装置11Aからの応答を受信できたか否かに応じて、位置情報の送信が成功したか否かの表示を行う。なお、LCD408の表示画面に位置情報の送信が不成功である旨の表示がなされたときには、設置工事者は、再度、位置情報送信キーを押下するようにすることで、位置情報の再送信が可能である。
【0133】
次に、設置工事者は、カードリーダ装置127を、計画に従った位置に設置し、センサ監視装置134と接続線により接続する。そして、設置工事者は、このカードリーダ装置127の設置位置において、治具装置40の位置情報送信キーを押下して、その位置においてGPS位置測定部402で測定した得た位置情報を、無線通信部403を通じて送信装置11Aに送信する。
【0134】
送信装置11Aは、当該治具装置40からの位置情報を受信確認すると、その応答を治具装置40に送ると共に、受信した位置情報を、ノード番号No.3に対応付けて、位置情報記憶部112に記憶する。
【0135】
以下、カードリーダ装置128→カードリーダ装置129→センサ監視装置135の順に、全く同様して、通信装置の設置および治具装置40での位置情報送信キーの操作をする。すると、送信装置11Aの位置情報記憶部112には、ノード番号No.1〜No.7についての位置情報が記憶される。
【0136】
設置工事者は、センサ監視装置135の位置における治具装置40からの位置情報の送信が完了すると、操作部407の複数のキーの内の完了キーを押下操作して、設置工事の完了通知を送信装置11Aに送る。
【0137】
すると、送信装置11Aでは、上述した第1の実施形態と全く同様にして、位置情報記憶部112に記憶されたノード番号とその位置情報とを用いて、隣り合う通信装置間の線路長を算出し、それに基づいて、総線路長ΣDを算出する。そして、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えていないかどうか確認する。
【0138】
この確認の結果、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えていないときには、送信装置11Aは、無線通信部を通じて治具装置40にその旨を示すOK通知を送ると共に、前述の第1の実施形態と同様に、システム内通信インターフェース102を通じて、各通信装置に、その旨を示すOK通知を送る。したがって、治具装置40および子装置である通信装置のそれぞれのLCDには、総線路長ΣDが閾値Dthを超えていないことを示すOK表示がなされる。
【0139】
また、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えたと判別したときには、送信装置11Aは、総線路長ΣDが閾値Dthを超えた旨および総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号を、無線通信部を通じて治具装置40に送ると共に、システム内通信インターフェース102を通じて、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置に、その旨の警報通知を送信する。
【0140】
治具装置40は、この警報通知を受けて、そのLCDの表示画面に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えたことの警報報知表示を行うと共に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号を表示する。また、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう子装置である通信装置では、その旨をLCDに表示したり、LEDを点滅表示させたり、スピーカにより音声メッセージにより報知したりする。
【0141】
以上のようにして、この第2の実施形態によれば、治具装置40を用いることにより、子装置には、GPS位置測定手段を設けなくても、隣り合う通信装置間の線路長を算出することができると共に、総線路長ΣDを算出することができる。そして、総線路長ΣDが閾値Dthを超えたときには、第1の実施形態と同様に、親装置である送信装置11Aや子装置の通信装置でその旨の警報が設置工事者に報知がされると共に、治具装置40においてもLCD408の表示画面に警報報知の表示がされる。したがって、治具装置40における警報報知の表示より、設置工事者は、親装置や子装置の近くにいなくても、総線路長ΣDが閾値Dthを超えたときには、確実にそのことを認識することができる。
【0142】
なお、以上の第2の実施形態では、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置の全ての設置が終了した後に、親装置である送信装置11Aは、隣り合う通信装置間の線路長および総線路長ΣDの算出処理を開始するようにした。しかし、この第2の実施形態の場合にも、最初に親装置である送信装置11Aを設置した後、子装置であるカードリーダ装置127〜129あるいはセンサ監視装置134,135を、接続線により1台接続する毎に、送信装置11Aは、その時点での総線路長ΣDの算出を行い、閾値Dthとの比較処理を行い、警報通知を行うようにしても良い。その場合には、子装置の通信装置を接続する毎に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えているかどうかをチェックすることができる。
【0143】
[第2の実施形態の変形例]
上述の第2の実施形態では、設置工事者は、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置の実際的な設置および接続線による接続をして、当該システムにおける総線路長ΣDの算出を行うようにした。
【0144】
しかし、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置の実際的な設置および接続線による接続をする設置工事をする前に、この第2の実施形態で用いられる親装置である送信装置11Aと治具装置40とを用いることで、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまうかどうかを事前確認することができる。つまり、設置工事をする前に、セキュリティ監視システムを構成する複数の通信装置の配線計画をすることができる。
【0145】
図12(B)は、この総線路長の事前確認の処理例を説明するための図である。
先ず、設置工事者は、親装置である送信装置11Aを所定の位置に設置する。その後、設置工事者は、治具装置40を持って、子装置であるカードリーダ装置127〜129およびセンサ監視装置134,135の各設置予定位置に、接続線による接続順序に順番に従って移動し、それぞれの設置予定位置において、治具装置40の位置情報送信キーを押下するようにする。すなわち、図12(B)において、吹き出しの数字は各通信装置のノード番号を示している。設置工事者は、治具装置40を持って、当該吹き出しの数字で示される順番に、各設置予定位置に移動し、各吹き出し数字で示す設置予定位置において、治具装置40の位置情報送信キーを押下する。
【0146】
治具装置40は、位置情報送信キーの押下に応じて、前述と同様にして、GPS位置測定部402で測定した当該位置の位置情報を、無線通信部403を通じて送信装置11Aに送信する。そして、上述の第2の実施形態と同様に、設置工事者は、設置予定の最後の子装置であるセンサ監視装置135の位置予定位置における治具装置40からの位置情報の送信が完了すると、操作部407の複数のキーの内の完了キーを押下操作して、完了通知を送信装置11Aに送る。
【0147】
この完了通知を受けた送信装置11Aは、上述と同様にして、隣り合う通信装置の線路長および総線路長ΣDの算出を実行し、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えていないかどうか確認する。そして、その確認の結果、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えていないときには、送信装置11Aは、無線通信部を通じて治具装置40にその旨を示すOK通知を送り、また、算出した総線路長ΣDが閾値Dthを超えたと判別したときには、送信装置11は、総線路長ΣDが閾値Dthを超えた旨および総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号を含む警報通知を、無線通信部を通じて治具装置40に送る。
【0148】
治具装置40は、この警報通知を受けて、そのLCDの表示画面に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えたことの警報報知表示を行うと共に、総線路長ΣDが閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号を表示する。なお、送信装置11Aは、このとき、自装置のLCD110にも同様の報知表示を行う。
【0149】
以上のようにして、実際の設置工事をすることなく、それぞれの通信装置の設置予定位置において、治具装置40から位置情報の送信をすることにより、実際に設置工事をしたときの総線路長ΣDが閾値Dthを超えるか否かを、事前に、確認することができる。したがって、総線路長ΣDが閾値Dthを超えた場合には、通信装置の設置予定位置を変更して、総線路長ΣDが閾値Dthを超えないように、配線計画を変更することが容易にできる。
【0150】
なお、この例においても、最初に親装置である送信装置11Aを設置した後、設置工事者が、治具装置40を持って、子装置であるカードリーダ装置127〜129あるいはセンサ監視装置134,135の設置予定位置に移動して、位置情報送信キーを押下する毎に、送信装置11Aは、その時点での総線路長ΣDの算出を行い、閾値Dthとの比較処理を行い、警報通知を行うようにしても良い。
【0151】
また、上述の例では、設置工事者は、子装置の接続順にしたがって、各設置予定位置に移動する必要があった。しかし、送信装置11Aに配線計画記憶部108を設けると共に、治具装置40にノード番号設定入力キー(例えば「1」、「2」・・・のテンキー)を設けることにより、設置工事者は、任意の順番で、設置予定位置に移動するようにすることができる。すなわち、その場合には、設置工事者は、予め定められた配線計画に基づいて、各ノード番号の設定予定位置において、そのノード番号のノード番号設定キーを押下した後に、治具装置40の位置情報送信キーを押下するようにすればよい。
【0152】
[その他の実施形態および変形例]
なお、上述の実施形態は、通信システムが、セキュリティ監視システムである場合を例に説明したが、この発明が適用される通信システムは、セキュリティ監視システムに限られるものではなく、バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムであって、通信の品質が保持できる総線路長に制限がある通信システムであれば、どのような用途の通信システムでも適用可能であることは言うまでもない。
【0153】
また、上述の実施形態では、親装置は、総線路長の接続線の一方の端部に設置するようにしたが、親装置となる通信装置は、総線路長の端部に設けられる必要はなく、総線路長における任意の順位の位置に接続された通信装置であっても構わない。
【0154】
また、上述の実施形態では、接続すると所定の閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号や種別などを、送信装置11のディスプレイ110の画面に表示するようにしたが、このような表示をすることなく、総線路長が所定の閾値Dthを超えたことのみを、警報通知するようにしても良いことは言うまでもない。
【0155】
しかし、上述の実施形態のように、接続すると所定の閾値Dthを超えてしまう通信装置のノード番号や種別がディスプレイ110に表示される場合には、設置工事者は、総線路長の制限のための設置が制限される通信装置を容易に把握することができるという効果がある。このため、設置工事者は、閾値以内の総線路長とするように事後対策を行うことも容易になる。
【符号の説明】
【0156】
11…親装置の例としての送信装置、121〜129…子装置の例としてのカードリーダ装置、131〜135…子装置の例としてのセンサ監視装置、141〜149…接続線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおける総線路長の確認方法であって、
前記複数の通信装置のそれぞれは、自装置の位置を測定する位置測定手段を備え、
前記複数の通信装置の一つを親装置、他を子装置とし、
前記子装置のそれぞれは、自装置の位置を前記位置測定手段により測定して検出し、その検出した自装置の位置の情報を、前記接続線を通じて前記親装置に通知し、
前記親装置は、自装置の位置を位置測定手段により測定して検出し、その検出した自装置の位置の情報と、前記子装置のそれぞれから受信した前記位置の情報を用いて、隣り合う2個の前記通信装置間の線路長の全てを算出し、算出した前記通信装置間の線路長の総和に基づいて、前記総線路長を算出し、
前記総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、警報を発する
ことを特徴とする通信システムの線路長確認方法。
【請求項2】
前記隣り合う2個の通信装置の位置の情報に含まれる高さの差が所定の閾値よりも大きいときには、前記隣り合う2個の通信装置の位置の情報から計算される、前記隣り合う2個の通信装置間の水平方向の距離と垂直方向の距離との和として、前記隣り合う2個の前記通信装置間の線路長を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項3】
前記隣り合う2個の前記通信装置間の線路長のそれぞれは、前記隣り合う2個の通信装置の位置の情報から計算により求められる値に、補正値を加えたものとして算出される、あるいは、前記総線路長は、算出した前記通信装置間の線路長の総和に、補正値を加えたものとして算出される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項4】
前記子装置のそれぞれは、自装置の位置の情報を、自装置の識別情報と対応付けて前記親装置に送信し、
前記親装置は、自装置において設置工事者に対して警報報知を行うことに加えて、あるいは、自装置において設置工事者に対して警報報知を行うことに代えて、前記算出した前記総線路長が予め定められている閾値を越えたと判断したときに、接続すると前記総線路長が予め定められている閾値を越えてしまう前記子装置に、警報通知を行うことで、前記警報を発し、
前記警報通知を受けた前記子装置は、設置工事者に対して警報報知を実行する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項5】
前記親装置は、算出した前記総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、前記子装置から受信した位置の情報に基づいて、前記算出した前記総線路長よりも短くなる総線路長となるように変更した前記子装置の接続順序を算出して、設置工事者に対して提示する手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項6】
前記親装置は、前記通信システムを構成する自装置を含めた複数の通信装置の、少なくとも接続順序を、前記通信装置のそれぞれの識別情報と対応付けて記憶しており、
前記子装置のそれぞれは、自装置の位置の情報を、自装置の前記識別情報と対応付けて前記親装置に送信する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項7】
前記子装置のそれぞれは、総線路長における接続順位に従った順番で順次に、前記親装置に、自装置の位置情報を通知する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項8】
バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおける総線路長の確認方法であって、
自装置の位置を測定する位置測定手段を備え、測定した位置の情報を無線で送信する機能を備える治具装置を設けると共に、
前記複数の通信装置の一つを親装置、他を子装置とし、前記親装置は、自装置の位置を測定する位置測定手段を備えると共に、前記治具装置からの前記位置の情報を無線通信する機能を備え、
前記子装置が配置された位置、あるいは、配置予定の位置を、前記治具装置により測定し、その測定した位置の情報を、前記親装置に無線により送信し、
前記親装置は、自装置の位置を位置測定手段により測定して検出し、その検出した自装置の位置の情報と、前記治具装置のそれぞれから受信した前記位置の情報を用いて、隣り合う2個の前記通信装置間の線路長の全てを算出し、算出した前記通信装置間の線路長の総和に基づいて、前記総線路長を算出し、前記総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、警報を発する
ことを特徴とする通信システムの線路長確認方法。
【請求項1】
バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおける総線路長の確認方法であって、
前記複数の通信装置のそれぞれは、自装置の位置を測定する位置測定手段を備え、
前記複数の通信装置の一つを親装置、他を子装置とし、
前記子装置のそれぞれは、自装置の位置を前記位置測定手段により測定して検出し、その検出した自装置の位置の情報を、前記接続線を通じて前記親装置に通知し、
前記親装置は、自装置の位置を位置測定手段により測定して検出し、その検出した自装置の位置の情報と、前記子装置のそれぞれから受信した前記位置の情報を用いて、隣り合う2個の前記通信装置間の線路長の全てを算出し、算出した前記通信装置間の線路長の総和に基づいて、前記総線路長を算出し、
前記総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、警報を発する
ことを特徴とする通信システムの線路長確認方法。
【請求項2】
前記隣り合う2個の通信装置の位置の情報に含まれる高さの差が所定の閾値よりも大きいときには、前記隣り合う2個の通信装置の位置の情報から計算される、前記隣り合う2個の通信装置間の水平方向の距離と垂直方向の距離との和として、前記隣り合う2個の前記通信装置間の線路長を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項3】
前記隣り合う2個の前記通信装置間の線路長のそれぞれは、前記隣り合う2個の通信装置の位置の情報から計算により求められる値に、補正値を加えたものとして算出される、あるいは、前記総線路長は、算出した前記通信装置間の線路長の総和に、補正値を加えたものとして算出される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項4】
前記子装置のそれぞれは、自装置の位置の情報を、自装置の識別情報と対応付けて前記親装置に送信し、
前記親装置は、自装置において設置工事者に対して警報報知を行うことに加えて、あるいは、自装置において設置工事者に対して警報報知を行うことに代えて、前記算出した前記総線路長が予め定められている閾値を越えたと判断したときに、接続すると前記総線路長が予め定められている閾値を越えてしまう前記子装置に、警報通知を行うことで、前記警報を発し、
前記警報通知を受けた前記子装置は、設置工事者に対して警報報知を実行する
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項5】
前記親装置は、算出した前記総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、前記子装置から受信した位置の情報に基づいて、前記算出した前記総線路長よりも短くなる総線路長となるように変更した前記子装置の接続順序を算出して、設置工事者に対して提示する手段を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項6】
前記親装置は、前記通信システムを構成する自装置を含めた複数の通信装置の、少なくとも接続順序を、前記通信装置のそれぞれの識別情報と対応付けて記憶しており、
前記子装置のそれぞれは、自装置の位置の情報を、自装置の前記識別情報と対応付けて前記親装置に送信する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項7】
前記子装置のそれぞれは、総線路長における接続順位に従った順番で順次に、前記親装置に、自装置の位置情報を通知する
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の通信システムの線路長確認方法。
【請求項8】
バス型のマルチポイント接続により、複数の通信装置がポイントツーポイントで順次に接続線により接続された通信システムにおける総線路長の確認方法であって、
自装置の位置を測定する位置測定手段を備え、測定した位置の情報を無線で送信する機能を備える治具装置を設けると共に、
前記複数の通信装置の一つを親装置、他を子装置とし、前記親装置は、自装置の位置を測定する位置測定手段を備えると共に、前記治具装置からの前記位置の情報を無線通信する機能を備え、
前記子装置が配置された位置、あるいは、配置予定の位置を、前記治具装置により測定し、その測定した位置の情報を、前記親装置に無線により送信し、
前記親装置は、自装置の位置を位置測定手段により測定して検出し、その検出した自装置の位置の情報と、前記治具装置のそれぞれから受信した前記位置の情報を用いて、隣り合う2個の前記通信装置間の線路長の全てを算出し、算出した前記通信装置間の線路長の総和に基づいて、前記総線路長を算出し、前記総線路長が、予め定められている閾値を越えたと判断したときに、警報を発する
ことを特徴とする通信システムの線路長確認方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−110544(P2013−110544A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253404(P2011−253404)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】
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