説明

通信システム

【課題】無駄に消費される電力を抑制することができる通信システムを提供すること。
【解決手段】
MFP1は、通常モードから省電力モードへ移行する場合に、何れか一つでも子機31(子機A、子機B、子機C、子機D)と無線通信300により接続されていれば、通常モードで動作を継続する。そして、全ての子機31の電源がオフされた状態となったら、省電力モードへ移行する。よって、子機31が動作している場合に、MFP1が省電力モードに移行してしまい、子機31が同期信号を受信できないにも関わらず、子機31により圏外サーチが行われることを抑制することができる。従って、子機31の無駄な圏外サーチによって消費される無駄な消費電力を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、親機と子機との間で無線通信を介して通話可能な通信システムが知られている。この種の通信システムでは、親機と子機との間で通話が行われていない場合でも、親機は、子機を制御するための制御情報を定期的に送信している。次の特許文献1には、基地局から移動局を制御するための制御信号の送信を常時停止させておき、移動局から制御情報の送信が要求された場合のみ、基地局から制御信号を移動局へ送信させる技術が記載されている。
【特許文献1】特許第3418502号公報(0027段落など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された技術では、基地局は、移動局からの要求を常に受信できるように受信動作を継続していなければならないので、受信動作により無駄に電力が消費されるという問題点があった。
【0004】
本発明は、上述した問題を解決するためになされたものであり、無駄に消費される電力を抑制することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、請求項1記載の通信システムは、無線信号の送受信を行う第1無線通信手段を有する第1通信装置と、無線信号の送受信を行う第2無線通信手段を有する少なくとも1以上の第2通信装置とを備え、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段との間の無線信号による接続が未接続状態であると、前記第2無線通信手段が前記第1無線通信手段に対して無線信号の送受信を断続的に試みるものであり、前記第1通信装置は、1以上の前記第2無線通信手段に対して前記第1無線通信手段が無線信号を送受信可能な無線可動状態において、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段との間の無線信号による接続を前記未接続状態へ移行させる移行要求を検出する第1要求検出手段と、その第1要求検出手段により前記未接続状態への移行要求が検出されたら、前記第1無線通信手段と全ての前記第2無線通信手段との間が前記未接続状態であるか否かを判定する第1判定手段と、その第1判定手段により前記第1無線通信手段と前記全ての第2無線通信手段との間が前記未接続状態でないと判定されると、前記第1無線通信手段の前記無線可動状態を継続させる第1継続手段と、前記第1判定手段により前記第1無線通信手段と前記全ての第2無線通信手段との間が前記未接続状態であると判定されると、前記全ての第2無線通信手段に対して前記第1無線通信手段が無線信号を送受信不可能な無線停止状態へ前記第1無線通信手段を移行させる第1移行手段とを備えている。
【0006】
請求項2記載の通信システムは、請求項1記載の電話システムにおいて、前記第1無線通信手段は、前記無線停止状態である場合に前記全ての第2無線通信手段との間が前記未接続状態となるように構成され、前記第1通信装置は、前記第1無線通信手段が前記無線可動状態において前記1以上の第2無線通信手段のうち前記第1無線通信手段との間が所定時間以上前記未接続状態である前記第2無線通信手段を記憶する記憶手段と、前記第1無線通信手段が前記無線停止状態において前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段との間が無線信号により接続される接続状態へ移行させる移行要求を検出する第2要求検出手段と、その第2要求検出手段により前記接続状態への移行要求が検出された後に、前記第1無線通信手段を前記無線可動状態へ移行させ、前記第1無線通信手段と前記全ての第2無線通信手段との間おいて無線信号による接続を試みる試行手段と、その試行手段による試みの後に、前記記憶手段に記憶される第2無線通信手段を除いた残りの第2無線通信手段と前記第1無線通信手段との間が無線信号により接続可能であるかを判定する第2判定手段と、その第2判定手段により前記残りの第2無線通信手段と前記第1無線通信手段との間が無線信号により接続可能であると判定されたら、前記第1無線通信手段と前記残りの第2無線通信手段との間を前記接続状態へ移行させる第2移行手段とを備えている。
【0007】
請求項3記載の通信システムは、請求項1または2記載の通信システムにおいて、前記第1判定手段は、前記第1要求検出手段により前記未接続状態への移行要求が検出されたら、前記第1無線通信手段への応答を要求する応答要求信号を前記第2無線通信手段に対して送信する送信手段と、前記第2無線通信手段からの前記応答要求信号に対する応答を検出する応答検出手段とを備え、前記全ての第2無線通信手段に対して前記送信手段により前記応答要求信号を送信し、前記全ての第2無線通信手段からの前記応答を前記応答検出手段により検出できなかったら前記未接続状態であると判定すると共に、前記1以上の第2無線通信手段からの前記応答を前記応答検出手段により検出したら前記第1無線通信手段と前記全ての第2無線通信手段との間が前記未接続状態でないと判定する。
【0008】
請求項4記載の通信システムは、請求項1から3のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記第1無線通信手段は、その第1無線通信手段に電力が供給されている場合に前記無線可動状態となるように構成され、前記第1移行手段は、前記第1無線通信手段へ供給されている電力を遮断して前記無線停止状態へ移行する。
【0009】
請求項5記載の通信システムは、請求項1から4のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記第1無線通信手段との間が前記接続状態である前記第2無線通信手段を検出する第1接続検出手段と、前記第1判定手段により前記第1無線通信手段と前記全ての第2無線通信手段との間が前記未接続状態でないと判定されたら、前記第1接続検出手段により前記第1無線通信手段との間が前記接続状態であると検出される前記第2無線通信手段を示唆する第1示唆手段とを備えている。
【0010】
請求項6記載の通信システムは、請求項1から5のいずれかに記載の通信システムにおいて、前記第1通信装置は、前記第1無線通信手段との間が無線信号により接続不可能である前記第2無線通信手段を検出する第2接続検出手段と、前記第2判定手段により前記残りの第2無線通信手段と前記第1無線通信手段との間が無線信号により接続不可能であると判定されたら、前記第2接続検出手段により前記第1無線通信手段との間が無線信号により接続不可能であると検出される前記第2無線通信手段を示唆する第2示唆手段とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の通信システムによれば、第1通信装置は、第1無線通信手段と第2無線通信手段との間の接続を未接続状態へ移行させる移行要求が第1要求検出手段によって検出されたら、第1無線通信手段と全ての第2無線通信手段との間が未接続状態であるか否かを第1判定手段によって判定する。そして、第1無線通信手段と全ての第2無線通信手段との間が未接続状態であると第1判定手段により判定されると、第1無線通信手段が無線信号を送受信不可能な無線停止状態へ移行される。よって、第1無線通信手段と第2無線通信手段とが無線通信により接続されておらず、第2無線通信手段から第1無線通信手段へ無線信号が送信されない場合に、第1無線通信手段を無線停止状態へ移行させることができる。従って、第1無線通信手段による受信動作が不用な場合に、第1無線通信手段の受信動作によって無駄に消費される電力を抑制することができるという効果がある。
【0012】
また、第1無線通信手段と第2無線通信手段との間の無線通信による接続が未接続状態であると、第2無線通信手段から第1無線通信手段に対して無線信号の送受信が断続的に試みられる。なお、第2無線通信手段が第1無線通信手段に対して行う試みは、第2無線通信手段が無線可動状態である場合に行われる一方、第2無線通信手段が無線停止状態である場合には行われない。そして、未接続状態へ移行させる移行要求がなされ、第1無線通信手段と全ての第2無線通信手段との間が未接続状態でないと第1判定手段により判定されると、第1無線通信手段の無線可動状態が継続される。よって、第1無線通信手段に対して接続状態である第2無線通信手段が突然、未接続状態になることを抑制することができる。従って、無線可動状態である第2無線通信手段が、第1無線通信手段に対して無線信号の送受信を断続的に試みることを抑制することができるという効果がある。
【0013】
請求項2記載の通信システムによれば、請求項1記載の通信システムの奏する効果に加え、第1無線通信手段と第2無線通信手段との間が無線信号により接続される接続状態へ移行させる移行要求が第2要求検出手段によって検出されたら、第1無線通信手段が無線可動状態へ移行され、第1無線通信手段と全ての第2無線通信手段との間において無線信号による接続が試行手段により試みられる。記憶手段には、第1無線通信手段との間が所定時間以上未接続状態である第2無線通信手段が記憶手段に記憶されるので、第1通信装置は、所定時間以上未接続状態である第2無線通信手段を把握することができる。ここで、第1無線通信手段が無線可動状態であるのに、第1無線通信手段と第2無線通信手段との間の未接続状態が長く続いた場合は、第2通信装置の故障や、通話圏外に位置していたり、電源がオフされているなどにより第2通信装置が使用されていないことが考えられる。よって、第2通信装置が使用されていないと考えられる時間を所定時間とすれば、その使用されていない第2通信装置の第2無線通信手段を記憶手段に記憶することができる。そして、使用されていない第2無線通信手段を除いた残りの第2無線通信手段と第1無線通信手段との間が無線信号により接続可能であると第2判定手段により判定された場合には、第1無線通信手段と残りの第2無線通信手段との間が接続状態へ移行されるので、使用されていない第2無線通信手段がある場合でも、第1無線通信手段と第2無線通信手段との間を接続状態へ移行させることができるという効果がある。
【0014】
請求項3記載の通信システムによれば、請求項1または2記載の通信システムの奏する効果に加え、第1判定手段は、第1要求検出手段により未接続状態への移行要求が検出されたら、全ての第2無線通信手段に対して送信手段により応答要求信号を送信し、全ての第2無線通信手段からの応答を応答検出手段により検出できなかったら、未接続状態であると判定すると共に、1以上の第2無線通信手段からの応答を応答検出手段により検出したら第1無線通信手段と全ての第2無線通信手段との間が未接続状態でないと判定する。よって、第1判定手段は、全ての第2無線通信手段に対して応答要求信号の送信を行い、第2無線通信手段からの応答要求信号に対する応答に基づいて未接続状態であるか否かを判定するので、判定の精度を高めることができるという効果がある。
【0015】
請求項4記載の通信システムによれば、請求項1から3のいずれかに記載の通信システムの奏する効果に加え、第1移行手段は、第1無線通信手段へ供給されている電力を遮断して無線停止状態へ移行するので、無線停止状態の期間は、第1無線通信手段によって消費される電力を無くすことができる。よって、第1無線通信手段が無線停止状態である場合に、さらに第1通信装置の消費電力を抑制することができるという効果がある。
【0016】
請求項5記載の通信システムによれば、請求項1から4のいずれかに記載の通信システムの奏する効果に加え、第1無線通信手段と全ての第2無線通信手段との間が未接続状態でないと第1判定手段により判定された場合に、第1接続検出手段により第1無線通信手段との間が接続状態であると検出される第2無線通信手段が示唆されるので、第1通信装置を操作するユーザに、第1無線通信手段と接続されている第2無線通信手段を認識させることができるという効果がある。例えば、ユーザは、第1無線通信手段と第2無線通信手段との間を未接続状態へ移行させる場合に、示唆された第2無線通信手段のみを無線停止状態へ移行させれば良いので、簡単に第1無線通信手段と第2無線通信手段との間を未接続状態へ移行させることができる。
【0017】
請求項6記載の通信システムによれば、請求項1から5のいずれかに記載の通信システムの奏する効果に加え、第1無線通信手段と全ての第2無線通信手段との間が接続不可能であると第2判定手段により判定された場合に、第2接続検出手段により第1無線通信手段との間が接続不可能であると検出される第2無線通信手段が示唆されるので、第1通信装置を操作するユーザに、第1無線通信手段との間が接続不可能な第2無線通信手段を認識させることができるという効果がある。例えば、ユーザは、第1無線通信手段と第2無線通信手段との間を接続状態へ移行させる場合に、示唆された第2無線通信手段のみを無線可動状態へ移行させれば良いので、簡単に第1無線通信手段と第2無線通信手段との間を接続状態へ移行させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態における通信装置の親機を有した多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1と、通信装置の子機31との外観構成を示した斜視図である。MFP1は、複数の子機31との間で無線通信300(図2(a)参照)が可能であり、本実施形態では、無線通信300が可能な子機31(子機A、子機B、子機C(図示しない)、子機D(図示しない))が4つ設けられている。
【0019】
なお、本実施形態のMFP1は、無線通信300を介して子機31と通話可能な状態(後述する「通常モード」)から、通話不可能な状態(後述する「省電力モード」)へ移行する場合に、何れか一つでも子機31(子機A、子機B、子機C、子機D)が動作しておりMFP1と無線通信300により接続されていれば、MFP1は通常モードで動作を継続すると共に、全ての子機31と無線通信300により接続されていない状態となったら省電力モードへ移行するように構成されている。
【0020】
次に、図1を参照して、MFP1(親機)の外観構成について説明する。MFP1は、電話機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などの各種機能を有しており、電話機能による通話やファクシミリ機能によるデータ送信を行うために電話回線網100(図2(a)参照)と接続されている。MFP1の上部には、ファクシミリ機能、スキャナ機能、又は、コピー機能の実行時に原稿を読み取るためのスキャナ21が配置されている。
【0021】
MFP1の筐体内部には記録用紙に画像を印刷する装置として、所謂インクジェットプリンタで構成されたプリンタ22が内蔵されている。プリンタ22は、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の4色のインクを使用する印刷ヘッド、紙送り装置、回復装置を備えカラー印刷を行う。印刷ヘッドには複数個のノズル(インク吐出口)が設けられており、ノズルからインク吐出を行いながら、紙送り装置で記録用紙を送り画像を記録用紙に印刷する。
【0022】
MFP1の上面には、操作パネル6が設けられており、操作キー15と、LCD16と、マイクロフォン23(図2(a)参照)と、スピーカ24(図2(a)参照)とを具備する。操作キー15には、MFP1を(後述する)通常モードから(後述する)省電力モードへと移行させる省電力モード移行ボタン15aや、電話番号を入力するための数字ボタンなどの各種ボタンが設けられている。
【0023】
MFP1が通常モードで動作している場合に、省電力モード移行ボタン15aが押下されると、MFP1が省電力モードへ移行するための省電力モード移行処理(図6参照)が実行される。また、MFP1が省電力モードで動作している場合に、省電力モード移行ボタン15aが押下されると、MFP1が通常モードへ移行するための通常モード移行処理(図8参照)が実行される。
【0024】
マイクロフォン23は、入力された音を音信号(電気信号)に変換して出力するものである。MFP1が電話回線網100(図2(a)参照)を介して外部装置(図示しない)と通話可能に接続されている場合、ユーザから発せられる音声は、このマイクロフォン23によって音信号に変換され、電話回線網100を介して外部装置へと送信される。スピーカ24は、入力された音信号を音に変換して発音するものである。このスピーカ24からは、エラー発生時の注意音や、電話回線網100を介した外部装置からの着呼に応じた呼出音や、外部装置から送信されてくる音信号に基づく音声などが発音される。
【0025】
次に、子機31の外観構成について説明する。子機31の前面には、操作キー31aとLCD31bとが設けられている。操作キー31aには、電話番号を入力するための数字ボタンや、子機31の電源をオン/オフする電源ボタンなどの各種ボタンが設けられている。LCD31bには、子機31の操作手順や通話の状態などが表示される。
【0026】
子機31の前面の下方には、マイクロフォン31cが設けられている。マイクロフォン31cは、入力された音を音信号に変換して出力するものである。MFP1が電話回線網100(図2(a)参照)を介して外部装置(図示しない)と通話可能に接続されている場合、ユーザは子機31を用いて外部装置との間で通話を行うことができる。ユーザから発せられる音声は、このマイクロフォン31cによって音信号に変換され、無線通信300および電話回線網100を介して外部装置へと送信される。
【0027】
子機31のLCD31bの上方には、スピーカ31dが設けられている。スピーカ31dは、入力された音信号を音に変換して発音するものであり、エラー発生時の注意音や、電話回線網100を介した外部装置からの着呼に応じた呼出音や、外部装置から送信されてくる音信号に基づく音声などが発音される。
【0028】
次に、図2(a)を参照して、MFP1(親機)および子機31の電気的構成について説明する。図2(a)は、MFP1および子機31の電気的構成を示すブロック図である。まず、MFP1について説明する。
【0029】
MFP1は、CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14、操作キー15、LCD16、電力供給回路17、スイッチ18、無線通信制御回路19、スキャナ21、プリンタ22、マイクロフォン23、スピーカ24、計時回路25、NCU26、モデム27とを主に有している。
【0030】
CPU11、ROM12、RAM13、フラッシュメモリ14は、バスライン28を介して互いに接続されている。また、操作キー15、LCD16、スイッチ18、無線通信制御回路19、スキャナ21、プリンタ22、マイクロフォン23、スピーカ24、計時回路25、NCU26、モデム27、バスライン28は、入出力ポート29を介して互いに接続されている。
【0031】
CPU11は、ROM12やRAM13やフラッシュメモリ14に記憶される固定値やプログラム或いは、無線通信制御回路19またはNCU26を介して送受信される各種信号に従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート29と接続された各部を制御するものである。
【0032】
ROM12は、MFP1で実行される制御プログラムなどを格納した書換不能なメモリである。図3のフローチャートに示すメイン処理、図4のフローチャートに示す通常時通信状況確認処理、図5のフローチャートに示す休止子機確認処理、図6のフローチャートに示す省電力モード移行処理、図7のフローチャートに示す移行時通信状況確認処理、図8のフローチャートに示す通常モード移行処理を実行する各プログラムは、このROM12に格納されている。
【0033】
また、ROM12には、休止判定閾値メモリ12aが設けられている。休止判定閾値メモリ12aは、子機31が故障するなどの原因により、子機31の使用が休止されているかを判定するための休止判定閾値が格納されるメモリである。詳細については後述するが、MFP1は、定期的(例えば、5分毎)に、各子機31がMFP1と無線通信300により接続されているか否かを確認する。そして、無線通信300により接続されていない子機31があれば、その子機31が無線通信300により接続されるまで、子機31毎に接続されていないと確認された回数が計数される。
【0034】
例えば、休止判定閾値メモリ12aには、休止判定閾値として、「100」という値が格納されており、子機31が無線通信300により接続されていないと確認された回数が、その休止判定閾値の値以上となると、その子機31は、故障などの原因により使用されていないと判定される。
【0035】
RAM13は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。RAM13には、圏外フラグメモリ13aと、圏外カウンタメモリ13bと、休止フラグメモリ13cとが設けられている。
【0036】
圏外フラグメモリ13aは、各子機31(子機A、子機B、子機C、子機D)がMFP1と無線通信300により接続されているか否かを示す圏外フラグが記憶されるメモリである。図2(b)に示すように、圏外フラグは、子機31毎に設けられており、例えば、子機Aには子機A圏外フラグが、子機Bには子機B圏外フラグがそれぞれ対応している。
【0037】
例えば、子機AがMFP1と無線通信300により接続されていない場合は、子機A圏外フラグがオン(例えば、「1」)に設定され、子機AがMFP1と無線通信300により接続されている場合や初期化された場合は、子機A圏外フラグがオフ(例えば、「0」)に設定される。子機B、子機C、子機Dについては、子機Aと説明が同様になるので、その説明を省略する。
【0038】
圏外カウンタメモリ13bは、各子機31がMFP1と無線通信300により接続されていないと確認された回数を計数するための圏外カウンタが記憶されるメモリである。図2(c)に示すように、圏外カウンタは、子機31毎に設けられており、例えば、子機Aには子機A圏外カウンタが、子機Bには子機B圏外カウンタがそれぞれ対応している。
【0039】
例えば、子機AがMFP1と無線通信300により接続されていないと確認されると(図3のS3の処理)、子機A圏外カウンタの値に「1」が加算される。子機AがMFP1と無線通信300により接続されていると確認された場合や初期化された場合は、子機A圏外カウンタの値が初期化され「0」に設定される。子機B、子機C、子機Dについては、子機Aと説明が同様になるので、その説明を省略する。
【0040】
休止フラグメモリ13cは、各子機31が故障するなどの原因により、子機31が使用されていない状態であるか否かを示す休止フラグが記憶されるメモリである。図2(d)に示すように、休止フラグは、子機31毎に設けられており、例えば、子機Aには子機A休止フラグが、子機Bには子機B休止フラグがそれぞれ対応している。
【0041】
例えば、子機Aにおいて、無線通信300により接続されていないと確認された回数が、休止判定閾値メモリ12aの休止判定閾値以上となった場合は、子機Aは故障などの原因により使用されていないものと判断され、子機A休止フラグがオン(例えば、「1」)に設定される。また、子機AがMFP1と無線通信300により接続された場合や初期化された場合は、子機A休止フラグがオフ(例えば、「0」)に設定される。子機B、子機C、子機Dについては、子機Aと説明が同様になるので、その説明を省略する。
【0042】
なお、MFP1において子機31が新たに追加された場合は、上述した圏外フラグメモリ13aと、圏外カウンタメモリ13bと、休止フラグメモリ13cとにそれぞれ、追加された子機31に対応する各フラグやカウンタが追加される。例えば、子機Eが追加されると、子機E圏外フラグ、子機E圏外カウンタ、子機E休止フラグがそれぞれ追加される。
【0043】
フラッシュメモリ14は書換可能な不揮発性のメモリであり、このフラッシュメモリ14に記憶されたデータは、MFP1の電源オフ後も保持される。フラッシュメモリ14には、子機識別情報メモリ14aが設けられている。
【0044】
子機識別情報メモリ14aは、MFP1が無線通信300による接続を許可する各子機31(子機A、子機B、子機C、子機D)の識別情報が記憶されるメモリである。各子機31には、製造時などに、MFP1が各子機31を識別するための識別情報が個別に付与されており、各子機31は、MFP1と無線通信300を行う場合、MFP1へ自身の識別情報を送信しながら無線通信300を行う。
【0045】
電力供給回路17は、無線通信制御回路19が動作するために必要な電力を供給するための電源回路である。スイッチ18は、CPU11から入力される信号に従って、電力供給回路17から供給される電力を、無線通信制御回路19へ供給または遮断するものである。例えば、CPU11からハイ信号が入力されると、スイッチ18がオンされ、電力供給回路17から無線通信制御回路19へ電力が供給される。一方、CPU11からロウ信号が入力されている間は、スイッチ18がオフされ、電力供給回路17から無線通信制御回路19へ供給される電力が遮断される。
【0046】
無線通信制御回路19は、無線通信用アンテナ20を有しており、子機識別情報メモリ14aに記憶されている識別情報に基づいて各子機31を識別しながら、各子機31の無線通信制御回路31eと無線通信300を行い、各子機31との間でデータ通信や、音信号などの送受信を可能にする既知の回路である。
【0047】
ここで、MFP1および各子機31により行われる通信処理について簡単に説明する。電力供給回路17から無線通信制御回路19へ電力が供給されている間は、一定周期毎(例えば、10ms毎)にシステム情報などを含む同期信号が子機31へ送信される。なお、MFP1が同期信号を子機31へ送信している状態を、MFP1が通常モードで動作していると称し、無線通信制御回路19へ供給される電力が遮断され、MFP1が同期信号を送信していない状態を、MFP1が省電力モードで動作していると称する。
【0048】
子機31は、MFP1から送信される同期信号を受信するために、MFP1が同期信号を送信する一定周期に合わせて受信動作を行っている。子機31が一定周期毎にMFP1から送信される同期信号を受信している間は、MFP1および子機31が互いに無線通信300により接続されている状態となり、いつでも無線通信300を介して通話が可能な状態となる。
【0049】
そして、子機31は、MFP1から送信される同期信号を受信できない場合、すなわち、MFP1と無線通信300により接続されていない場合に、数十秒〜数百秒間隔で同期信号が送信されていないかを探査する(以後、子機31が同期信号を探査することを「圏外サーチ」と称する)。
【0050】
また、MFP1は、数分に一度、同期信号と共に、同期信号を受信した場合に応答を要求する応答要求(特許請求の範囲に記載の応答要求信号の一例)を子機31へ送信する。子機31は、その応答要求を受信すると、MFP1に対して応答を行う。
【0051】
ここで、図2(a)の説明に戻る。計時回路25は、現在の日時を刻む時計機能を有する既知の回路である。NCU26は、電話回線網100と接続されており、電話回線網100へのダイヤル信号の送出や、電話回線網100からの呼出信号の応答などの制御を行うものである。
【0052】
モデム27は、ファクシミリ機能により送信が指示された画像データを、電話回線網100に伝送可能な信号に変調してNCU26を介して送信したり、電話回線網100からNCU26を介して入力された信号を受信し、LCD16に表示したりプリンタ22で記録可能な画像データに復調するものである。
【0053】
次に、子機31の電気的構成について説明する。子機31は、操作キー31a、LCD31b、マイクロフォン31c、スピーカ31d、無線通信制御回路31eとを主に有している。
【0054】
無線通信制御回路31eは、無線通信用アンテナ31fを有しており、MFP1から送信される同期信号を受信すると共に、MFP1の無線通信制御回路19へ自身の識別情報を送信しながら無線通信300を行い、MFP1との間でデータ通信や、音信号などの送受信を可能にする既知の回路である。
【0055】
次に、図3を参照して、MFP1のCPU11により実行されるメイン処理について説明する。図3は、MFP1のメイン処理を示すフローチャートである。このメイン処理は、MFP1が各子機31(子機A、子機B、子機C、子機D)と無線通信300により接続されているか否かを定期的(例えば、5分毎)に確認するための処理である。また、MFP1の主電源が投入されてから主電源が遮断されるまで繰り返し実行される処理である。
【0056】
このメイン処理では、まず、RAM13の圏外フラグメモリ13aと、圏外カウンタメモリ13bと、休止フラグメモリ13cとをそれぞれ初期化する(S1)。次に、所定時間(例えば、5分)が経過したかを判定し(S2)、所定時間を経過していない場合は(S2:No)、S3〜S5の処理をスキップし、S6の処理へ移行する。一方、所定時間(例えば、5分)を経過した場合は(S2:Yes)、通常時通信状況確認処理を実行して(S3)、休止子機確認処理を実行する(S4)。
【0057】
詳細については後述するが、通常時通信状況確認処理(S3)は、MFP1が各子機31と無線通信300により接続されているか否かを判定するための処理であり、休止子機確認処理(S4)は、各子機31の使用が休止されていないかをMFP1が確認するための処理である。なお、通常時通信状況確認処理(S3)が実行されると、RAM13の圏外フラグメモリ13aに記憶されている圏外フラグの中で、MFP1と無線通信300により接続されていない子機31の圏外フラグがそれぞれオンに設定される。
【0058】
S3およびS4の処理が終了すると、次に、圏外フラグメモリ13aの圏外フラグの中で、圏外フラグがオフに設定されている各子機31の名称をLCD16に表示する(S5)。すなわち、無線通信300によりMFP1と接続されている各子機31の名称をLCD16に表示する。
【0059】
例えば、子機Aの名称が「A」、子機Bの名称が「B」、子機Cの名称が「C」、子機Dの名称が「D」と設定されており、MFP1が全ての子機31(子機A、子機B、子機C、子機D)と無線通信300により接続されている場合は、図9(a)に示すように、LCD16に「子機状態 ABCD」というように表示する。ここで、子機Bおよび子機Cの電源がオフされると、MFP1は、子機Aおよび子機Dと無線通信300により接続された状態となるので、図9(b)に示すように、LCD16に「子機状態 A D」というように表示する。なお、図9(a),(b)は、LCD16の表示の一例を示すイメージ図である。
【0060】
S5の処理が終了すると、次に、その他の処理を実行して(S6)、S2の処理に戻り、上述したS2〜S6の各処理を繰り返す。なお、その他の処理とは、例えば、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及び、コピー機能などを実行するための処理である。
【0061】
以上の図3のフローチャートのメイン処理により、MFP1と無線通信300により接続されている各子機31の名称をLCD16に表示することができる。
【0062】
次に、図4を参照して、メイン処理のS3の処理で実行される通常時通信状況確認処理について説明する。図4は、MFP1の通常時通信状況確認処理(S3)を示すフローチャートである。通常時通信状況確認処理(S3)は、MFP1が通常モードで動作している場合に、各子機31と無線通信300により接続されているか否かを判定するための処理である。
【0063】
この通常時通信状況確認処理(S3)では、まず、フラッシュメモリ14の子機識別情報メモリ14aに登録(記憶)されている子機の識別情報の中から、識別情報を1つ取得する(S21)。以後、ここで取得した子機の識別情報に対応する子機を子機Xと称する。
【0064】
次に、子機Xと無線通信300により接続されており、子機Xとの無線通信300が可能であるかを判定する(S23)。例えば、各子機31に対して上述した応答要求を送信して、各子機31からの応答があるか否かに基づいて判定を行う。
【0065】
S23の処理において、子機Xとの無線通信300が不可能である場合は(S23:No)、RAM13の圏外フラグメモリ13aに記憶されている圏外フラグの中で、子機Xに対応する圏外フラグをオンに設定する(S24)。
【0066】
次に、RAM13の休止フラグメモリ13cに記憶されている休止フラグの中で、子機Xに対応する休止フラグがオンであるかを判定し(S22)、子機Xに対応する休止フラグがオンである場合には(S22:Yes)、S25の処理をスキップし、S29の処理へ移行する。一方、子機Xに対応する休止フラグがオフである場合には(S22:No)、RAM13の圏外カウンタメモリ13bに記憶されている圏外カウンタの中で、子機Xに対応する圏外カウンタの値に「1」を加算し(S25)、S29の処理へ移行する。
【0067】
S23の処理において、子機Xとの無線通信300が可能である場合は(S23:Yes)、圏外フラグメモリ13aの圏外フラグの中で、子機Xに対応する圏外フラグをオフに設定する(S26)。そして、圏外カウンタメモリ13bの圏外カウンタの中で、子機Xに対応する圏外カウンタの値を「0」に設定し(S27)、休止フラグメモリ13cの休止フラグの中で、子機Xに対応する休止フラグをオフに設定する(S28)。
【0068】
次に、フラッシュメモリ14の子機識別情報メモリ14aに登録(記憶)されている全ての子機の識別情報を取得したかを判定し(S29)、全ての子機の識別情報を取得した場合は(S29:Yes)、この通常時通信状況確認処理を終了する。一方、まだ全ての子機の識別情報を取得していない場合は(S29:No)、S21の処理に戻り、全ての子機の識別情報を取得するまで、上述したS21〜S29の各処理を繰り返す。
【0069】
以上の図4のフローチャートの通常時通信状況確認処理により、MFP1と各子機31との無線通信300による接続状態に応じて、圏外フラグおよび休止フラグの状態と、圏外カウンタの値とを子機31毎に設定することができる。
【0070】
次に、図5を参照して、メイン処理のS4の処理で実行される休止子機確認処理について説明する。図5は、MFP1の休止子機確認処理(S4)を示すフローチャートである。休止子機確認処理(S4)は、故障などの原因により、各子機31の使用が休止されていないかをMFP1が確認するための処理である。
【0071】
この休止子機確認処理(S4)では、まず、フラッシュメモリ14の子機識別情報メモリ14aに登録(記憶)されている子機の識別情報の中から、識別情報を1つ取得する(S31)。以後、ここで取得した子機の識別情報に対応する子機を子機Xと称する。
【0072】
次に、RAM13の圏外カウンタメモリ13bに記憶されている圏外カウンタの中で、子機Xに対応する圏外カウンタの値を取得する(S32)。
【0073】
そして、取得した圏外カウンタの値が、ROM12の休止判定閾値メモリ12aに格納されている休止判定閾値以上であるかを判定し(S33)、取得した圏外カウンタの値が休止判定閾値以上である場合は(S33:Yes)、RAM13の休止フラグメモリ13cに記憶されている休止フラグの中で、子機Xに対応する休止フラグをオンに設定する(S34)。
【0074】
S33の処理において、取得した圏外カウンタの値が、休止判定閾値メモリ12aの休止判定閾値未満である場合は(S33:No)、S34の処理をスキップして、S35の処理へ移行する。
【0075】
そして、フラッシュメモリ14の子機識別情報メモリ14aに登録(記憶)されている全ての子機の識別情報を取得したかを判定し(S35)、全ての子機の識別情報を取得した場合は(S35:Yes)、この休止子機確認処理を終了する。一方、まだ全ての子機の識別情報を取得していない場合は(S35:No)、S31の処理に戻り、全ての子機の識別情報を取得するまで、上述したS31〜S35の各処理を繰り返す。
【0076】
以上の図5のフローチャートの休止子機確認処理により、子機31が故障しているなどの原因により使用されていない場合に、その子機31に対応する休止フラグをオンに設定することができる。
【0077】
次に、図6を参照して、MFP1のCPU11により実行される省電力モード移行処理について説明する。図6は、MFP1の省電力モード移行処理を示すフローチャートである。省電力モード移行処理は、MFP1を通常モードから省電力モードへ移行させるための処理であり、MFP1が通常モードで動作している場合に、MFP1の省電力モード移行ボタン15aが押下されると実行される処理である。
【0078】
この省電力モード移行処理では、まず、移行時通信状況確認処理(S41)を実行する。詳細については後述するが、移行時通信状況確認処理(S41)が実行されると、圏外フラグメモリ13aの圏外フラグの中で、MFP1と無線通信300により接続されていない子機31の圏外フラグがそれぞれオフに設定される。
【0079】
次に、圏外フラグメモリ13aに記憶されている圏外フラグの中で、圏外フラグがオフに設定されている各子機31の電源オフを促す内容をLCD16に表示する(S11)。例えば、MFP1が、子機Aおよび子機Dと無線通信300により接続されている場合は、図9(c)に示すように、LCD16に「省電力モードへ移行します。全ての子機の電源を切って下さい。子機A、子機Dの電源が入っています。」というように表示する。なお、図9(c)は、省電力モード移行時におけるLCD16の表示の一例を示すイメージ図である。
【0080】
次に、圏外フラグメモリ13aに記憶されている全ての子機31の圏外フラグがオンであるかを判定する(S12)。ここで、全ての子機31の電源がオフされていれば、MFP1が全ての子機31と無線通信300により接続されていない状態となるので、全ての子機31の圏外フラグがオンに設定されている。
【0081】
S12の処理において、圏外フラグメモリ13aの全ての子機31の圏外フラグがオンでない場合(S12:No)、すなわち、何れかの子機31(子機A、子機B、子機C、子機D)の電源がオンされている場合は、S3の処理に戻り、全ての子機31の電源がオフされるまで、上述したS3〜S12の各処理を繰り返す。
【0082】
S12の処理において、圏外フラグメモリ13aの全ての子機31の圏外フラグがオンである場合(S12:Yes)、すなわち、全ての子機31の電源がオフされている場合は、スイッチ18をオフし、無線通信制御回路19へ供給されている電力を遮断して(S13)、この省電力モード移行処理を終了する。
【0083】
以上の図6のフローチャートの省電力モード移行処理により、ユーザによって省電力モード移行ボタン15aが押下され、省電力モードへの移行が指示された場合に、全ての子機31の電源がオフされた状態となったら、MFP1を省電力モードへ移行させることができる。よって、子機31が動作している場合に、MFP1が同期信号の送信を停止する省電力モードに移行してしまい、子機31が同期信号を受信できないにも関わらず、子機31により圏外サーチが行われることを抑制することができる。従って、子機31の無駄な圏外サーチによって消費される無駄な消費電力を抑制することができる。
【0084】
また、MFP1が省電力モードへ移行したら、無線通信制御回路19へ供給されている電力が遮断されるので、無線通信制御回路19を動作させた状態で無線信号の送受信を停止させるよりも、消費電力を抑制することができる。
【0085】
また、MFP1が省電力モードへ移行する前に、MFP1と無線通信300により接続されている各子機31の名称をLCD16に表示するので、電源がオンされている各子機31をユーザに認識させることができる。よって、ユーザは、各子機31の電源の状態を1つずつ確認しなくても、LCD16に表示される子機31についてのみ電源をオフすれば良いので、簡単に早くMFP1を省電力モードへ移行させることができる。また、ユーザが、各子機31の電源オフを忘れることを抑制することができる。
【0086】
また、省電力モードへの移行が指示されてから、移行時通信状況確認処理(S41)を実行して、MFP1と各子機31との無線通信300による接続状態を確認するので、全ての子機31の圏外フラグがオフであるかの判定(S12の処理)の精度、すなわち、全ての子機31の電源がオフであるかの判定の精度を高めることができる。
【0087】
次に、図7を参照して、省電力モード移行処理のS41の処理で実行される移行時通信状況確認処理について説明する。図7は、MFP1の移行時通信状況確認処理(S41)を示すフローチャートである。移行時通信状況確認処理(S41)は、MFP1が通常モードから省電力モードへ移行される場合、または、省電力モードから通常モードへ移行される場合に、各子機31と無線通信300により接続されているか否かを判定するための処理である。
【0088】
この移行時通信状況確認処理(S41)では、まず、フラッシュメモリ14の子機識別情報メモリ14aに登録(記憶)されている子機の識別情報の中から、識別情報を1つ取得する(S21)。以後、ここで取得した子機の識別情報に対応する子機を子機Xと称する。
【0089】
次に、子機Xと無線通信300により接続されており、子機Xとの無線通信300が可能であるかを判定する(S23)。例えば、各子機31に対して上述した応答要求を送信して、各子機31からの応答があるか否かに基づいて判定を行う。
【0090】
S23の処理において、子機Xとの無線通信300が不可能である場合は(S23:No)、RAM13の圏外フラグメモリ13aに記憶されている圏外フラグの中で、子機Xに対応する圏外フラグをオンに設定し(S24)、S29の処理へ移行する。
【0091】
S23の処理において、子機Xとの無線通信300が可能である場合は(S23:Yes)、圏外フラグメモリ13aの圏外フラグの中で、子機Xに対応する圏外フラグをオフに設定する(S26)。そして、圏外カウンタメモリ13bの圏外カウンタの中で、子機Xに対応する圏外カウンタの値を「0」に設定し(S27)、休止フラグメモリ13cの休止フラグの中で、子機Xに対応する休止フラグをオフに設定する(S28)。
【0092】
次に、フラッシュメモリ14の子機識別情報メモリ14aに登録(記憶)されている全ての子機の識別情報を取得したかを判定し(S29)、全ての子機の識別情報を取得した場合は(S29:Yes)、この移行時通信状況確認処理を終了する。一方、まだ全ての子機の識別情報を取得していない場合は(S29:No)、S21の処理に戻り、全ての子機の識別情報を取得するまで、上述したS21〜S29の各処理を繰り返す。
【0093】
以上の図7のフローチャートの移行時通信状況確認処理により、MFP1と各子機31との無線通信300による接続状態に応じて、圏外フラグおよび休止フラグの状態と、圏外カウンタの値とを子機31毎に設定することができる。
【0094】
次に、図8を参照して、MFP1のCPU11により実行される通常モード移行処理について説明する。図8は、MFP1の通常モード移行処理を示すフローチャートである。通常モード移行処理は、MFP1を省電力モードから通常モードへ移行させるための処理であり、MFP1が省電力モードで動作している場合に、MFP1の省電力モード移行ボタン15aが押下されると実行される処理である。
【0095】
この通常モード移行処理では、まず、RAM13の休止フラグメモリ13cに記憶されている休止フラグの中で、休止フラグがオンに設定されている子機31の圏外フラグを全てオフに設定する(S51)。
【0096】
次に、スイッチ18をオンして、電力供給回路17から無線通信制御回路19へ電力を供給し(S52)、移行時通信状況確認処理(S41)を実行する。上述したように、移行時通信状況確認処理(S41)が実行されると、MFP1と無線通信300により接続されていない子機31の圏外フラグがそれぞれオンに設定される(休止フラグがオンに設定されている子機31を除く)。
【0097】
そして、圏外フラグメモリ13aに記憶されている圏外フラグの中で、圏外フラグがオンに設定されている各子機31の電源オンを促す内容をLCD16に表示する(S53)。例えば、子機Bと子機Cが故障しているなどの原因により使用されていない場合に、子機Aおよび子機Dの電源がオフであるならば、図9(d)に示すように、LCD16に「通常モードへ移行します。全ての子機の電源を入れて下さい。子機A、子機Dの電源が入っていません。」というように表示する。なお、図9(d)は、通常モード移行時におけるLCD16の表示の一例を示すイメージ図である。
【0098】
次に、圏外フラグメモリ13aに記憶されている全ての子機31の圏外フラグがオフであるかを判定する(S54)。ここで、全ての子機31の電源がオンされていれば、MFP1が全ての子機31と無線通信300により接続された状態となるので、全ての子機31の圏外フラグがオフに設定される。
【0099】
また、故障しているなどの原因により使用されていない子機31がある場合でも、S51の処理によって、使用されていない全ての子機31の圏外フラグがオフに設定されるので、使用可能な全ての子機31の電源がオンされていれば、全ての子機31の圏外フラグがオフに設定されることになる。
【0100】
S54の処理において、圏外フラグメモリ13aの全ての子機31の圏外フラグがオフでない場合(S54:No)、すなわち、使用可能な子機31の中で何れかの子機31の電源がオフされている場合は、S41の処理に戻り、使用可能な全ての子機31の電源がオンされるまで、上述したS41〜S54の各処理を繰り返す。
【0101】
S54の処理において、圏外フラグメモリ13aの全ての子機31の圏外フラグがオフである場合(S54:Yes)、すなわち、使用可能な全ての子機31の電源がオンされている場合は、休止フラグメモリ13cに記憶されている休止フラグの中で、休止フラグがオンに設定されている子機31の圏外フラグを全てオンに設定し(S55)、この通常モード移行処理を終了する。
【0102】
以上の図8のフローチャートの通常モード移行処理により、ユーザによって省電力モード移行ボタン15aが押下され、通常モードへの移行が指示された場合に、故障しているなどの原因により使用されていない子機31があっても、使用可能な全ての子機31の電源がオンされたら、MFP1を通常モードへ移行させることができる。
【0103】
また、MFP1が通常モードへ移行する前に、使用可能な全ての子機31の中で、MFP1と無線通信300により接続されていない各子機31の名称をLCD16に表示するので、電源がオフされている各子機31をユーザに認識させることができる。よって、ユーザは、各子機31の電源の状態を1つずつ確認しなくても、LCD16に表示される子機31についてのみ電源をオンすれば良いので、簡単に早くMFP1を通常モードへ移行させることができる。また、ユーザが、各子機31の電源オンを忘れることを抑制することができる。
【0104】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0105】
例えば、本実施形態では、MFP1が通常モードから省電力モードへ移行する場合に、スイッチ18をオフし、無線通信制御回路19へ供給されている電力を遮断しているが(図6のS13)、スイッチ18をオフする場合に、さらに、LCD16、スキャナ21、プリンタ22、マイクロフォン23へ供給されている電力が遮断されるように構成しても良い。MFP1は、省電力モードで動作している場合に、各々16,21,22,23の待機電力を無くすことができるので、より消費電力を抑制することができる。
【0106】
また、本実施形態では、MFP1が通常モードで動作している状態で、MFP1の省電力モード移行ボタン15aが押下された場合に、各子機31(子機A、子機B、子機C、子機D)の電源がオンされている状態であれば、ユーザが各子機31の電源をオフしなければならないが、MFP1の省電力モード移行ボタン15aが押下された場合に、MFP1が各子機31へ、電源のオフを要求する要求信号を送信するように構成し、各子機31が要求信号を受信した場合に、各子機31の電源がオフされるように構成しても良い。このようにすれば、ユーザが各子機31の電源をオフしなくても良いので使い勝手がよい。
【0107】
また、本実施形態では、MFP1が通常モードで動作している状態で、MFP1の省電力モード移行ボタン15aが押下された場合に、MFP1において省電力モード移行処理(図6参照)が実行開始されるが、各子機31にも省電力モード移行ボタンを設けておき、そのボタンが押下された場合に、MFP1へ省電力モード実行要求を送信するように構成し、MFP1が省電力モード実行要求を受信した場合に、省電力モード移行処理が実行開始されるように構成しても良い。このようにすれば、ユーザが子機31からでもMFP1を操作することができるので使い勝手がよい。
【0108】
また、本実施形態の省電力モード移行処理(図6参照)では、圏外フラグがオフに設定されている(電源がオンである)各子機31の電源オフを促す内容をLCD16に表示しているが(S11の処理)、代わりに、電源オフを促す音声をスピーカ24から放音させても良いし、LCD16およびスピーカ24の両方によりユーザに電源オフを促しても良い。また、電源がオンである各子機31のLCD31bに、電源オフを促す内容を表示しても良いし、電源オフを促す音声を各子機31のスピーカ31dから放音させても良いし、各子機31のLCD31bおよびスピーカ31dの両方によりユーザに電源オフを促しても良い。
【0109】
また、本実施形態の通常モード移行処理(図8参照)では、圏外フラグがオンに設定されている(電源がオフである)各子機31の電源オンを促す内容をLCD16に表示しているが(S43の処理)、代わりに、電源オンを促す音声をスピーカ24から放音させても良いし、LCD16およびスピーカ24の両方によりユーザに電源オンを促しても良い。
【0110】
また、本実施形態では、MFP1が通常モードで動作している状態で、MFP1の省電力モード移行ボタン15aが押下された場合に、省電力モード移行処理(図6参照)が実行開始されるが、MFP1が通常モードで動作している場合に、操作キー15による入力や、電話回線網100を介した外部装置(図示しない)からの着呼が所定時間(例えば、10分)以上無い場合に、省電力モード移行処理が実行開始されるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明の実施形態における通信装置の親機を有したMFPと、通信装置の子機との外観構成を示した斜視図である。
【図2】MFPおよび子機の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】MFPのメイン処理を示すフローチャートである。
【図4】MFPの通常時通信状況確認処理を示すフローチャートである。
【図5】MFPの休止子機確認処理を示すフローチャートである。
【図6】MFPの省電力モード移行処理を示すフローチャートである。
【図7】MFPの移行時通信状況確認処理を示すフローチャートである。
【図8】MFPの通常モード移行処理を示すフローチャートである。
【図9】LCDの表示の一例を示すイメージ図である。
【符号の説明】
【0112】
1 MFP(第1通信装置の一例)
13a 圏外フラグメモリ(第1接続検出手段の一例、第2接続検出手段の一例)
13c 休止フラグメモリ(記憶手段の一例)
15a 省電力モード移行ボタン(第1要求検出手段の一例、第2要求検出手段の一例)
19 無線通信制御回路(第1無線通信手段の一例)
31 子機(第2通信装置の一例)
31e 無線通信制御回路(第2無線通信手段の一例)
S41,S53,S54 第2移行手段の一例
S11 第1示唆手段の一例
S12 第1判定手段の一例、第1継続手段の一例
S13 第1移行手段の一例
S23 送信手段の一例、応答検出手段の一例
S52,S41 試行手段の一例
S53 第2示唆手段の一例
S54 第2判定手段の一例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線信号の送受信を行う第1無線通信手段を有する第1通信装置と、無線信号の送受信を行う第2無線通信手段を有する少なくとも1以上の第2通信装置とを備え、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段との間の無線信号による接続が未接続状態であると、前記第2無線通信手段が前記第1無線通信手段に対して無線信号の送受信を断続的に試みる通信システムにおいて、
前記第1通信装置は、
1以上の前記第2無線通信手段に対して前記第1無線通信手段が無線信号を送受信可能な無線可動状態において、前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段との間の無線信号による接続を前記未接続状態へ移行させる移行要求を検出する第1要求検出手段と、
その第1要求検出手段により前記未接続状態への移行要求が検出されたら、前記第1無線通信手段と全ての前記第2無線通信手段との間が前記未接続状態であるか否かを判定する第1判定手段と、
その第1判定手段により前記第1無線通信手段と前記全ての第2無線通信手段との間が前記未接続状態でないと判定されると、前記第1無線通信手段の前記無線可動状態を継続させる第1継続手段と、
前記第1判定手段により前記第1無線通信手段と前記全ての第2無線通信手段との間が前記未接続状態であると判定されると、前記全ての第2無線通信手段に対して前記第1無線通信手段が無線信号を送受信不可能な無線停止状態へ前記第1無線通信手段を移行させる第1移行手段とを備えていることを特徴とする通信システム。
【請求項2】
前記第1無線通信手段は、前記無線停止状態である場合に前記全ての第2無線通信手段との間が前記未接続状態となるように構成され、
前記第1通信装置は、
前記第1無線通信手段が前記無線可動状態において前記1以上の第2無線通信手段のうち前記第1無線通信手段との間が所定時間以上前記未接続状態である前記第2無線通信手段を記憶する記憶手段と、
前記第1無線通信手段が前記無線停止状態において前記第1無線通信手段と前記第2無線通信手段との間が無線信号により接続される接続状態へ移行させる移行要求を検出する第2要求検出手段と、
その第2要求検出手段により前記接続状態への移行要求が検出された後に、前記第1無線通信手段を前記無線可動状態へ移行させ、前記第1無線通信手段と前記全ての第2無線通信手段との間おいて無線信号による接続を試みる試行手段と、
その試行手段による試みの後に、前記記憶手段に記憶される第2無線通信手段を除いた残りの第2無線通信手段と前記第1無線通信手段との間が無線信号により接続可能であるかを判定する第2判定手段と、
その第2判定手段により前記残りの第2無線通信手段と前記第1無線通信手段との間が無線信号により接続可能であると判定されたら、前記第1無線通信手段と前記残りの第2無線通信手段との間を前記接続状態へ移行させる第2移行手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の電話システム。
【請求項3】
前記第1判定手段は、
前記第1要求検出手段により前記未接続状態への移行要求が検出されたら、前記第1無線通信手段への応答を要求する応答要求信号を前記第2無線通信手段に対して送信する送信手段と、
前記第2無線通信手段からの前記応答要求信号に対する応答を検出する応答検出手段とを備え、
前記全ての第2無線通信手段に対して前記送信手段により前記応答要求信号を送信し、前記全ての第2無線通信手段からの前記応答を前記応答検出手段により検出できなかったら前記未接続状態であると判定すると共に、前記1以上の第2無線通信手段からの前記応答を前記応答検出手段により検出したら前記第1無線通信手段と前記全ての第2無線通信手段との間が前記未接続状態でないと判定することを特徴とする請求項1または2記載の通信システム。
【請求項4】
前記第1無線通信手段は、その第1無線通信手段に電力が供給されている場合に前記無線可動状態となるように構成され、
前記第1移行手段は、前記第1無線通信手段へ供給されている電力を遮断して前記無線停止状態へ移行することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の通信システム。
【請求項5】
前記第1通信装置は、
前記第1無線通信手段との間が前記接続状態である前記第2無線通信手段を検出する第1接続検出手段と、
前記第1判定手段により前記第1無線通信手段と前記全ての第2無線通信手段との間が前記未接続状態でないと判定されたら、前記第1接続検出手段により前記第1無線通信手段との間が前記接続状態であると検出される前記第2無線通信手段を示唆する第1示唆手段とを備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の通信システム。
【請求項6】
前記第1通信装置は、
前記第1無線通信手段との間が無線信号により接続不可能である前記第2無線通信手段を検出する第2接続検出手段と、
前記第2判定手段により前記残りの第2無線通信手段と前記第1無線通信手段との間が無線信号により接続不可能であると判定されたら、前記第2接続検出手段により前記第1無線通信手段との間が無線信号により接続不可能であると検出される前記第2無線通信手段を示唆する第2示唆手段とを備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−206662(P2009−206662A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−45201(P2008−45201)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】