通信用半導体集積回路およびそれを用いた無線通信端末装置
【課題】受信ミキサ3、4に接続された復調信号処理回路5、6…11、12の出力のI相信号とQ相信号との受信誤差を校正するための受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、送信用Tx−VCO22がFDD方式で高い方のRF受信信号の周波数をカバーすることを回避すること。
【解決手段】受信誤差校正回路13による校正モードでRFテスト信号生成ユニット20は、送信用Tx−VCO22の発振出力信号と他の回路23、40、42、43とを利用してRFテスト信号を生成してスイッチ2を介して受信ミキサ3、4に供給する。RFテスト信号は、マルチバンド無線周波数通信の最高周波数バンドのRF送信信号の周波数よりも高い周波数のRF受信周波数バンド内の周波数を有する。受信モードでスイッチ2が切り換えられ、アンテナANTのRF受信信号を増幅する低雑音増幅器1の出力が受信ミキサ3、4に供給される。
【解決手段】受信誤差校正回路13による校正モードでRFテスト信号生成ユニット20は、送信用Tx−VCO22の発振出力信号と他の回路23、40、42、43とを利用してRFテスト信号を生成してスイッチ2を介して受信ミキサ3、4に供給する。RFテスト信号は、マルチバンド無線周波数通信の最高周波数バンドのRF送信信号の周波数よりも高い周波数のRF受信周波数バンド内の周波数を有する。受信モードでスイッチ2が切り換えられ、アンテナANTのRF受信信号を増幅する低雑音増幅器1の出力が受信ミキサ3、4に供給される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用半導体集積回路およびそれを用いた無線通信端末装置に係り、特に直交複調信号における同相成分信号Iと直交成分信号Qの振幅及び位相等の受信信号の誤差を校正するためのテスト信号を生成するのに有益な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中のどんな場所でも無線通信すると言う携帯電話端末等の通信端末機器の能力であるユビキタス・カバレージは、今日現実のものではなく、現在開発が進められている。
【0003】
これらのモバイルシステムは、GSM、GPRS、EDGE、WCDMA、DCS、PCSのセルラーを含んでいる。これらのシステムの特性は、一定包落線と包落線変化との信号、時分割とコード分割とのマルチプレックスの広範囲な組み合わせのマルチバンド、マルチモードへの要望が、大きくなっている。尚、GSMはGlobal System for Mobile Communicationの略であり、GPRSはGeneral Packet Radio Serviceの略である。EDGEは、Enhanced Data for GSM Evolution; Enhanced Data for GPRSの略である。WCDMAは、Wideband Code Division Multiple Accessの略である。DCSは、Digital Cellular Systemの略である。PCSは、Personal Communication Systemの略である。
【0004】
下記特許文献1には、自己テスト機能を組み込んだ無線周波数トランシーバが記載されている。このトランシーバは824〜849MHzの低RF周波数帯域と869〜894MHzの高RF周波数帯域のいずれかで受信する一方、869〜894MHzの高RF周波数帯域で送信する。トランシーバの送信機は、低RF周波数帯域の824〜849MHzの特別に符号化されたテスト信号をトランシーバの受信機に供給する。受信機でテスト信号が正常に受信されると、トランシーバの送信および受信の経路が正常に動作していることが判別されることができる。
【0005】
下記特許文献2には、RF受信信号を低IF(低い中間周波数)の信号に変換する低IF受信機において直交復調されたI信号とQ信号の位相および振幅の調整を行い不要なイメージを除去する技術が記載されている。校正モードにおいて、送信用電圧制御発振器の出力信号が直交ミキサに供給されて、位相および振幅の調整が行われる。
【0006】
また、下記特許文献3と下記非特許文献1と下記非特許文献2には、直交復調回路により復調されたI相信号とQ相信号の位相誤差を位相誤差補正回路によって補正して、直交復調回路の出力の振幅誤差補正回路がI相信号とQ相信号の振幅相誤差を補正する復調装置が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−93488号 公報
【特許文献2】特開平11−251947号 公報
【特許文献3】特開2004−40678号 公報
【非特許文献1】Jeremie Chabloz et al,“A NOVEL I/Q MISMATCH COMPENSATION SCHEME FOR A LOW−IF RECEIVER FRONT−END”, Proceedings of the International Symposium on Circuits and Systems (ISCAS 2004), vol.4, pp.453−456, 2004.
【非特許文献2】Lawrence Der et al, “A 2−GHz CMOS Image−Reject Receiver With LMS Calibration”, IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS, VOL.38, No.2, FEBRUARY 2003, pp.167−175.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
無線通信端末装置の受信機でI相信号とQ相信号の振幅及び位相成分のミスマッチ等の受信信号の誤差を短時間に高精度で校正を行うためには、受信帯域内の周波数を有するテスト信号が必要となる。前記特許文献2では、I相信号とQ相信号の振幅及び位相のミスマッチ等の受信信号の誤差を校正する際に、RF受信帯域のテスト信号を送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)から生成して受信機の直交ミキサー回路に入力している。
【0009】
一方、WCDMA、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900等の大多数の無線システムにおいてはFDD方式が採用されているため、無線通信端末のRF受信帯域の周波数はRF送信帯域の周波数よりも高く設定されている。従って、基地局とアップリンクされる多数の無線通信端末のRF送信周波数は、無線通信端末とダウンリンクされる基地局のRF送信周波数(無線通信端末のRF受信周波数)よりも低く設定することができる。その結果、無線通信端末の送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)の構成は簡単となり、多数の無線通信端末を低コストとすることが可能である。尚、FDDは、Frequency Division Duplexの略である。
【0010】
しかし、前記特許文献2に記載のように受信誤差校正用RFテスト信号を送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)から生成する場合には、下記の問題を有することが本発明者等の検討により明らかとされた。
【0011】
これは、次のようなものである。上記のようにFDD方式の無線通信端末のRF送信周波数はRF受信周波数よりも低くできるので、多数の無線通信端末を低コストとすることが可能である。しかし、受信誤差校正用RFテスト信号を送信用Tx−VCOから生成する場合には、送信用Tx−VCOは、低い方のRF送信周波数だけではなく、高い方のRF受信周波数もカバーする必要がある。そのためには、周波数制御信号により制御される可変容量素子の容量値よりも、送信用Tx−VCOの寄生容量の容量値を十分低減する必要が有る。一般的に、無線通信端末の受信機は、RF受信信号よりも高レベルのRF送信信号を出力する必要があるので、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)と比較すると、送信用Tx−VCOの消費電力が大きい。このように送信用Tx−VCOが低い方のRF送信周波数だけではなく高い方のRF受信周波数もカバーするためには、発振器の寄生容量を低減する必要があり、また消費電力も大きい。また、ダイレクトコンバージョン送受信機で、送信用Tx−VCOと受信用Rx−VCOの発振周波数が非常に近い場合には、2つの電圧制御発振器はインジェクションロックを引き起こし、RFテスト信号のS/N比が著しく劣化する可能性がある。
【0012】
本発明者は本発明に先立って、WCDMA方式の通信が可能なRFアナログ信号処理半導体集積回路(RF IC)の開発に従事した。この開発において、受信誤差校正用テスト信号を送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)から生成するのではなく、元々高い方のRF受信周波数もカバーする受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)から生成することが検討された。
【0013】
図3は、UMTS規格におけるWCDMA方式のBand1、Band2、Band5の送受信帯域を示す図である。尚、UMTSは、Universal Mobile Telecommunication Systemの略である。
【0014】
すなわち、UMTS規格におけるWCDMA方式の一番低い周波数帯域のBand5(地域は米国)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が824〜849MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は869〜894MHzとなっている。同様に、WCDMA方式のBand2(地域は欧州)の場合も、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1850〜1910MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は1930〜1990MHzとなっている。また、UMTS規格におけるWCDMA方式の一番高い周波数帯域のBand1(地域は米国)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1920〜1980MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は2110〜2170MHzとなっている。このように、いずれの周波数帯域(バンド)においても、受信帯域周波数RXが送信帯域周波数TXよりも高い。
【0015】
従って、RF ICの受信誤差校正用テストは、全バンドに対して実行されなければならないが、WCDMA方式の一番高い周波数のBand1でのテスト条件が電圧制御発振器の発振周波数の観点から一番厳しい。この時の周波数帯域Band1の受信誤差校正用RFテスト信号を周波数帯域が2110〜2170MHzであるRF受信信号RXを発振する受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)から生成することが検討された。
【0016】
図1は、本発明者等によって本発明に先立って開発されたRF ICを示すブロック図である。このRF ICは、受信誤差校正用テスト信号を受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)から生成するよう構成されている。すなわちRF ICは、低雑音増幅器1、バンドパスフィルタ25、受信ミキサ3、4、ローパスフィルタ5、6、11、12、可変利得増幅器7、8、A/D変換器9、10、ゲインコントロール回路16、90度位相シフタ17、分周器18、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19を含んでいる。また、RF ICは、受信誤差校正用テストのために、スイッチ2、受信誤差校正回路13、テスト信号生成ミキサ39も含んでいる。
【0017】
このRF ICの受信モードでは、携帯電話等の無線通信端末のアンテナANTで受信されたWCDMA方式のRF受信信号は低雑音増幅器1で増幅された後、バンドパスフィルタ25、スイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19からの発振出力信号は分周器18に供給され、分周器18の出力信号は90度位相シフタ17に供給される。分周器18の出力と90度位相シフタ17の出力からの受信用ローカル信号が受信ミキサ3、4の他方の入力端子に供給されることによって、受信ミキサ3、4の出力からI相アナログベースバンド信号とQ相アナログベースバンド信号とが生成される。I、Qアナログベースバンド信号がローパスフィルタ5、6と可変利得増幅器7、8とを介してA/D変換器9、10に供給される。A/D変換器9、10の出力より、I、Qディジタルベースバンド信号Rx_DBBS_I、Rx_DBBS_Qが生成される。I、Qディジタルベースバンド信号Rx_DBBS_I、Rx_DBBS_Qの受信誤差が受信誤差校正回路13にて校正された後、図示しないベースバンド信号処理用LSI(BB_LSI)に供給される。尚、WCDMA方式に対応する受信ミキサ3、4の出力からのI、Qアナログベースバンド信号の周波数帯域は略2MHzと広帯域であるので、ローパスフィルタ5、6のカットオフ周波数も略2MHzに設定されている。
【0018】
ここで、一定の振幅と一定の位相とを有するRF信号が受信ミキサ3、4に供給される条件では、A/D変換器9、10から出力されるI、Qディジタルベースバンド信号は、理想的には振幅が等しく、位相が90度異なる。これは、一方の受信ミキサ3と他方の受信ミキサ4とが一定の振幅と一定の位相とを有するRF信号を分周器18の出力の位相ゼロ度の受信用ローカル信号のタイミングと90度位相シフタ17の位相90度の受信用ローカル信号のタイミングとでサンプリングを行うためである。しかし、実際のRF ICにおいては、製造プロセスによる素子ばらつきにより、受信ミキサ3、4、ローパスフィルタ5、6、可変利得増幅器7、8、A/D変換器9、10のそれぞれに回路ばらつきが生じる。そのために、A/D変換器9、10から出力されるI、Qベースバンド信号には、振幅と位相のミスマッチ等の受信誤差が付加される。
【0019】
図2はI、Qベースバンド信号の振幅と位相にミスマッチが付加された場合のコンスタレーション劣化を示す図である。RF ICに回路ばらつきがない場合には、理想的な正弦波と余弦波がI、Qベースバンド信号として得られるため、コンスタレーションは図2の(a)のように完全な円形となる。一方、位相ミスマッチが付加された場合や振幅ミスマッチが付加された場合には、図2の(b)、(c)に示すように、完全な円形にならず、振幅と位相情報とが劣化する。WCDMA方式やEDGE方式のように高い通信転送レートを実現するため位相変調だけでなく振幅変調も活用する通信を行う場合においては、振幅と位相情報との劣化は重大な影響を及ぼす。すなわち、I、Qベースバンド信号のミスマッチは、位相変調だけでなく振幅変調も活用するWCDMA方式やEDGE方式の通信品質を著しく劣化させる。従って、高通信品質のWCDMA方式やEDGE方式の通信を行うRF ICを実現するためには、「送受信モード」に先立った「校正モード」においてI、Qベースバンド信号のミスマッチを校正することが必要となる。従って、「送受信モード」に先立った「校正モード」でのミスマッチの校正により、「受信モード」でA/D変換器9、10のI、Qディジタルベースバンド信号の受信誤差が受信誤差校正回路13にて校正されることが可能となる。
【0020】
このRF ICの校正モードでは、テスト条件が一番厳しいWCDMA方式の一番高い周波数帯域Band1の2110〜2170MHzの帯域内の受信誤差校正用RFテスト信号が、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19と分周器18とにより形成される。この受信誤差校正用RFテスト信号は、テスト信号生成ミキサ39とスイッチ2とを介して、受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。分周器18の分周数が2に設定され、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19から発振される校正モード発振周波数は4.28GHzに設定されているので、テスト信号生成ミキサ39の一方の入力端子にはWCDMA方式のBand1の周波数帯域内の2.14GHzの信号が供給される。この状態で、前記特許文献3と前記非特許文献1と前記非特許文献2に記載されているように、I、Qベースバンド信号の振幅誤差と位相誤差とが受信誤差校正回路13にて校正されるはずである。
【0021】
しかし、本発明者等の検討によれば、図1に示すように受信誤差校正用RFテスト信号を受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)から生成すると、位相誤差校正前の正しい位相誤差の検出が行えず、正しい位相誤差校正も行えないと言う問題が明らかとされた。
【0022】
すなわち、上述のように、WCDMA方式のアナログベースバンド信号の周波数帯域が略2MHzであるので、その略半分の周波数1MHzを受信ミキサ3、4の出力での復調テスト信号の周波数に設定する。従って、テスト信号生成ミキサ39の他方の入力端子には、周波数1MHzの変調信号LOIFが供給される。その結果、テスト信号生成ミキサ39の出力から、2.14GHz+1MHz=2141MHzと2.14GHz−1MHz=2139MHzとが生成される。
【0023】
受信ミキサ3、4の一方の入力端子にはスイッチ2を介してテスト信号生成ミキサ39の出力の2139MHzと2141MHzとのRFテスト信号が供給され、受信ミキサ3、4の他方の入力端子には分周器18の出力から2140MHzの信号が供給される。従って、受信ミキサ3、4の出力から、+1MHzと−1MHzの正弦波と余弦波との復調テスト信号が出力される。ローパスフィルタ5、6のカットオフ周波数は、略2MHzに設定されている。従って、受信ミキサ3、4の出力からの復調テスト信号は、ローパスフィルタ5、6、可変利得増幅器7、8、A/D変換器9、10、ローパスフィルタ11、12を経由して受信誤差校正回路13に供給される。受信ミキサ3、4の出力からの+1MHzと−1MHzの正弦波と余弦波との復調テスト信号が上記回路を経由する間に、+1MHzと−1MHzの正弦波と余弦波とが受ける位相回転は逆方向となる。その結果、受信誤差校正回路13での+1MHzと−1MHzの正弦波と余弦波との位相誤差が正と負とに存在して、位相誤差校正前の正しい位相誤差検出が行えず、正しい位相誤差校正も行えないと言う誤動作の問題が本発明者等の検討により明らかとされた。
【0024】
従って、このように本発明は、本発明者等によって本発明に先立ってなされた検討を基にしてなされたものである。また、本発明の目的は、受信ミキサに接続された復調信号処理回路の出力のI相信号とQ相信号との受信誤差を校正するための受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、送信用Tx−VCOが高い方のRF受信信号の周波数をカバーすることを回避することにある。更に、本発明の他の目的とするところは、受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、受信誤差校正での誤動作を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願において開示される発明のうち代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0026】
即ち、通信用半導体集積回路は、校正モードでRFテスト信号生成ユニットは、送信用Tx−VCOの発振出力信号と他の回路とを利用してマルチバンド無線周波数通信の最高周波数バンドのRF送信信号の周波数よりも高い周波数のRF受信周波数バンド内の周波数を有するRFテスト信号を生成する。従って、受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、送信用Tx−VCOが低い方のRF送信信号の周波数だけでなく高い方のRF受信信号の周波数をカバーすることを回避することができる。
【発明の効果】
【0027】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0028】
すなわち、受信ミキサに接続された復調信号処理回路の出力のI相信号とQ相信号との受信誤差を校正するための受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、送信用Tx−VCOが高い方のRF受信信号の周波数をカバーすることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
《代表的な実施の形態》
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0030】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る通信用半導体集積回路(RF IC)は無線通信端末に搭載されて、基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有する(図3参照)。
【0031】
前記通信用半導体集積回路は、低雑音増幅器(1)、受信ミキサ(3、4)、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO、19)、復調信号処理回路(5、6、7、8、9、10、11、12)、受信誤差校正回路(13)を含む(図4参照)。
【0032】
前記低雑音増幅器は、前記無線通信端末のアンテナ(ANT)により受信されるRF受信信号を増幅する。
【0033】
前記受信ミキサの一方の入力端子には前記低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、前記受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した受信用ローカル信号が供給される。前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの出力端子の直交復調受信信号を処理する。前記集積回路の受信モードで、前記受信ミキサと前記復調信号処理回路とより、前記マルチバンド無線周波数通信の複数の周波数バンドで最高の周波数を有する最高周波数バンド(Band1)のRF受信信号(RX)が処理可能となっている。
【0034】
前記受信誤差校正回路は、前記集積回路の校正モードにおいて、前記復調信号処理回路の出力端子の直交復調受信信号の誤差を校正する。
【0035】
前記集積回路は、更に変調信号処理回路(35、36、33、34、31、32)、送信ミキサ(28、29)、送信用電圧制御発振器(Tx−VCO、22)を含む(図4参照)。
【0036】
前記変調信号処理回路は、直交送信信号を処理する。
【0037】
前記送信ミキサの一方の入力端子には前記変調信号処理回路の直交送信出力信号が供給され、前記送信ミキサの他方の入力端子には前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答した送信用ローカル信号が供給される。前記集積回路の送信モードで、前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答して前記送信ミキサの出力より、前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドのRF送信信号(TX)が生成可能となっている。
【0038】
前記集積回路は、前記集積回路の前記校正モードにおいて前記受信誤差校正回路による誤差校正のためRFテスト信号を生成して前記RFテスト信号を前記受信ミキサの前記一方の入力端子に供給するRFテスト信号生成ユニット(20)を更に含む。
【0039】
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号を利用して前記RFテスト信号を生成する。
【0040】
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットから生成される前記RFテスト信号は、前記マルチバンド無線周波数通信の複数の周波数バンドで前記最高周波数バンドの前記RF送信信号の周波数よりも高い周波数の前記RF受信信号のRF受信周波数バンド内の周波数を有する。
【0041】
従って、前記実施の形態によれば、前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号を利用して前記最高周波数バンドの前記RF送信信号の周波数よりも高い周波数のRF受信周波数バンド内の周波数を有する前記RFテスト信号を生成することができる。従って、受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、送信用Tx−VCOが低い方のRF送信信号の周波数だけでなく高い方のRF受信信号の周波数をカバーすることを回避することができる。
【0042】
好適な形態として、前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドの前記R受信信号の周波数と前記RF送信信号の周波数とはそれぞれWCDMA方式の略2110MHz〜2170MHzと略1920MHz〜1980MHzとに設定されている(図3参照)。
【0043】
より好適な形態として、前記集積回路は、他の低雑音増幅器(LNA1…4)、他の受信ミキサ(RX−MIX_I、Q)、他の復調信号処理回路(PGAI1…3、PGAQ1…3)を更に含む。前記他の低雑音増幅器は、前記無線通信端末の前記アンテナにより受信されるGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF受信信号を増幅することが可能に構成されている。前記他の受信ミキサの一方の入力端子には前記他の低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、前記他の受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した受信用ローカル信号が供給される。前記他の復調信号処理回路は、前記他の受信ミキサの出力端子の他の直交復調受信信号を処理する。前記集積回路の受信モードで、前記他の受信ミキサと前記他の復調信号処理回路とより、前記PCS1900の方式のRF受信信号が処理可能となっている。前記受信誤差校正回路は、前記集積回路の校正モードにおいて、前記他の復調信号処理回路の出力端子の直交復調受信信号の誤差を校正する。前記集積回路は、更に他の送信ミキサ、送信系オフセットPLL回路を含む。前記変調信号処理回路は、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信信号を処理することが可能に構成される。前記他の送信ミキサの一方の入力端子には、前記変調信号処理回路のGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信出力信号が供給される。前記他の送信ミキサの他方の入力端子には中間周波信号が供給され、前記他の送信ミキサの出力の中間周波送信信号は前記送信系オフセットPLL回路の入力に供給される。前記集積回路の前記送信モードで、前記送信系オフセットPLL回路の出力よりGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF送信信号が生成可能となっている。前記集積回路の前記校正モードにおいて前記RFテスト信号生成ユニットから生成されるPCS1900の方式のRF受信信号の周波数の略1930MHz〜1990MHzの周波数を有する前記RFテスト信号が受信ミキサの前記一方の入力端子に供給される(図8参照)。
【0044】
更により好適な形態として、前記変調信号処理回路は位相変調ともに振幅変調を使用するEDGE方式に対応するポーラループ方式とポーラモジュレータ方式のいずれかの方式で構成される。前記送信系オフセットPLL回路は、前記いずれかの方式の位相変調のための位相ループ(PM LP)と前記いずれかの方式の振幅変調のための振幅ループ(AM LP)とを含む(図11、図12参照)。
【0045】
具体的な一つの形態として、前記集積回路の前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの前記出力端子の前記直交復調受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換器を含む。前記集積回路の前記変調信号処理回路は、前記変調信号処理回路の直交送信出力信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換器を含む。前記集積回路は、ベースバンド信号処理を行うLSIへディジタル信号の前記直交復調受信信号を出力する一方、前記LSIからディジタル信号の直交送信出力信号が供給されるディジタルインターフェース(14、37)を含む。前記集積回路は、前記ディジタルインターフェースに供給するディジタルインターフェース基準信号を生成するディジタルインターフェース基準信号生成ユニット(23、24)を更に含む。前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記ディジタルインターフェース信号生成ユニットの出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成する(図4参照)。
【0046】
他の具体的な一つの形態として、前記集積回路は、前記受信用ローカル信号と前記送信用ローカル信号とを生成する際のシステム基準信号を生成するシステム基準電圧制御発振器(DCX−VCO;40)を更に含む。前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記システム基準電圧制御発振器の発振出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成する(図5参照)。
【0047】
更に他の具体的な一つの形態として、前記集積回路は、分周数が分数を含み前記送信用電圧制御発振器の出力に入力が接続されたフラクショナル分周器(42)を更に含む。前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号が前記入力に供給された前記フラクショナル分周器の出力から前記RFテスト信号を生成する(図6参照)。
【0048】
また他の具体的な一つの形態として、前記集積回路は、前記校正モードで前記送信用電圧制御発振器を制御する制御回路(43)を更に含む。前記校正モードでは前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数は、前記マルチバンド無線周波数通信の前記複数の周波数バンドのいずれの周波数バンドでの前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数よりも低く制御される。前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記制御回路によって制御された前記送信用電圧制御発振器の前記校正モードでの前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号を前記RFテスト信号として生成する(図7参照)。
【0049】
〔2〕別の観点による通信用半導体集積回路は、無線通信端末に搭載されて、基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有する。前記集積回路では、ベースバンド信号処理を行うLSIからの直交送信信号からRF送信信号への周波数アップコンバージョンを送信ミキサ(28、29)で行い、アンテナで受信されるRF受信信号から直交復調受信信号への周波数ダウンコンバージョンを受信ミキサ(3、4)で行う。前記周波数アップコンバージョンでは、送信用電圧制御発振器(22)の出力に応答した送信用ローカル信号が前記送信ミキサに供給される。前記周波数ダウンコンバージョンでは、受信用電圧制御発振器(19)の出力に応答した受信用ローカル信号が前記受信ミキサに供給される。前記受信ミキサの出力から復調信号処理回路により直交復調受信出力信号が形成されるものである。
【0050】
前記集積回路は、前記集積回路の校正モードにおいてRFテスト信号を生成して前記受信ミキサに供給するRFテスト信号生成ユニット(20)を含む。
【0051】
前記集積回路は、前記集積回路の前記校正モードにおいて前記RFテスト信号が供給された前記受信ミキサの出力に応答する前記復調信号処理回路よりの前記直交復調受信出力信号の誤差を校正する受信誤差校正回路(13)を含む。それにより受信誤差校正回路は、前記集積回路の受信モードで前記RF受信信号に応答する前記受信ミキサの出力に応答する前記復調信号処理回路よりの前記直交復調受信出力信号の誤差を減少するものである。
【0052】
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号を利用して前記RFテスト信号を生成する。
【0053】
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットから生成される前記RFテスト信号は、前記マルチバンド無線周波数通信の複数の周波数バンドで最高周波数バンドのRF送信信号の周波数よりも高い周波数の前記RF受信信号のRF受信周波数バンド内の周波数を有する(図4参照)。
【0054】
〔3〕本発明の他の実施の形態に係る基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有する無線通信端末装置は、ベースバンド信号処理を行うLSIと、通信用半導体集積回路(RF_IC)とを含む。前記集積回路は、前記LSIからの直交送信信号からRF送信信号への周波数アップコンバージョンを送信ミキサ(28、29)で行い、アンテナで受信されるRF受信信号から直交復調受信信号への周波数ダウンコンバージョンを受信ミキサ(3、4)で行うものである。前記無線通信端末装置は、更に電力増幅器(HPA1、2、W_PA1、2)と、アンテナスイッチ半導体集積回路(ANT_SW)とを含む。前記電力増幅器は、前記通信用半導体集積回路から生成される前記RF送信信号を増幅して前記アンテナへ供給する。前記アンテナスイッチ半導体集積回路は、前記アンテナで受信される前記RF受信信号を前記通信用半導体集積回路に供給するとともに、前記電力増幅器の出力信号を前記アンテナへ供給する(図9参照)。
【0055】
前記集積回路は、前記〔1〕または前記〔2〕の欄にて説明した通信用半導体集積回路(RF IC)である。
【0056】
《実施の形態の説明》
次に、実施の形態について更に詳述する。
【0057】
《RF ICの構成》
図4は、本発明の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。このRF ICでは、受信誤差校正用RFテスト信号は送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)を利用して生成されるよう構成されている。
【0058】
《RF ICの受信ユニット》
すなわち図4に示すRF ICの受信ユニットは、低雑音増幅器1、バンドパスフィルタ25、スイッチ2、受信ミキサ3、4、ローパスフィルタ5、6、可変利得増幅器7、8を含んでいる。更に、RF ICの受信ユニットは、A/D変換器9、10、ローパスフィルタ11、12、受信誤差校正回路13、ゲインコントロール回路16、90度位相シフタ17、分周器18、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19、受信系ディジタルインターフェース14を含んでいる。
【0059】
《RF ICの受信モード》
このRF ICの受信モードでは、携帯電話等の無線通信端末のアンテナANTで受信されたWCDMA方式のRF受信信号は低雑音増幅器1で増幅された後、バンドパスフィルタ25、スイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。受信用Rx−VCO19からの発振出力信号は分周器18に供給され、分周器18の出力信号は90度位相シフタ17に供給される。分周器18の出力と90度位相シフタ17の出力からの受信用ローカル信号がミキサ3、4の他方の入力端子に供給されることによって、ミキサ3、4の出力からI相アナログベースバンド信号とQ相アナログベースバンド信号とが生成される。I、Qアナログベースバンド信号がローパスフィルタ5、6と可変利得増幅器7、8とを介してA/D変換器9、10に供給される。A/D変換器9、10の出力より、I、Qディジタルベースバンド信号が生成される。尚、A/D変換器9、10の出力に接続されたディジタルフィルタで構成されたローパスフィルタ11、12は、妨害波とA/D変換の際の量子化雑音を低減するためのものである。受信誤差校正回路13にてI、Qディジタルベースバンド信号の受信誤差が校正された後、I、Qディジタルベースバンド受信信号RxDBI、RxDBQは受信系ディジタルインターフェース14を介して図示しないベースバンド信号処理用LSIに供給される。ベースバンド信号処理用LSIでは、I、Qディジタルベースバンド受信信号RxDBI、RxDBQの位相復調と振幅復調等の復調処理が行われる。また、受信系ディジタルインターフェース14は、EMI(電磁干渉)対策のため、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signalling)等の回路により構成されている。尚、受信ミキサ3、4の出力からのI、Qアナログベースバンド信号の周波数帯域は、略2MHzと広帯域である。従って、ローパスフィルタ5、6のカットオフ周波数も、略2MHzに設定されている。受信誤差校正回路13は、前記特許文献3と前記非特許文献1と前記非特許文献2のいずれかに記載されている回路を使用することができる。
【0060】
図13は、図4に示すRF ICの受信誤差校正回路13の一例を示すブロック図である。受信誤差校正回路13は、誤差補正アルゴリズムに従って振幅誤差と位相誤差とを校正するための補正値を算出する制御ユニット13_0を含む。振幅補正ユニット13_1は、制御ユニット13_0からの振幅補正値に従って主としてI相信号が伝達される信号線の振幅を補正する。位相補正ユニット13_4は、制御ユニット13_0からの位相補正値に従って主としてI相信号が伝達される信号線の位相を補正する。主としてI相信号が伝達される信号線と主としてI相信号が伝達される信号線の信号経路には加算器13_2、13_3、13_5、13_6が配置されている。
【0061】
図14は、図4に示すRF ICの受信誤差校正回路13の他の一例を示すブロック図である。受信誤差校正回路13は、誤差補正アルゴリズムに従って振幅誤差と位相誤差とを校正するための補正値を算出する制御ユニット13_0を含む。位相補正ユニット13_1は、制御ユニット13_0からの位相補正値に従ってI相信号が伝達される信号線の位相を補正する。利得補正ユニット13_2は、制御ユニット13_0からの利得補正値に従ってQ相信号が伝達される信号線の位相を補正する。
【0062】
《RF ICの送信ユニット》
図4に示すRF ICの送信ユニットは、送信系ディジタルインターフェース37、ローパスフィルタ35、36、D/A変換器33、34、可変利得増幅器31、32、90度位相シフタ30、送信ミキサ28、29、加算器27、可変利得増幅器26、ゲインコントロール回路38を含んでいる。RF ICの受信ユニットは、更に送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)22と分周器21とを含んでいる。
【0063】
《RF ICの送信モード》
送信時においては、ベースバンド信号処理用LSIからI、Qディジタルベースバンド送信信号TxDBI、TxDBQが、EMI対策のため例えばLVDS回路で構成された送信系ディジタルインターフェース37に供給される。ローパスフィルタ35、36により高周波雑音が除去されたディジタルベースバンド送信信号は、D/A変換器33、34によってアナログベースバンド送信信号に変換される。D/A変換器33、34の出力のアナログベースバンド送信信号は、可変利得増幅器31、32により増幅された後、送信ミキサ28、29の一方の入力端子に供給される。送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)22からの発振出力信号は分周器21に供給され、分周器21の出力信号は90度位相シフタ30に供給される。分周器21の出力と90度位相シフタ30の出力からの送信用ローカル信号が送信ミキサ28、29の他方の入力端子に供給されることによって、送信ミキサ28、29の出力からI相RF送信信号とQ相RF送信信号とが生成される。I相RF送信信号とQ相RF送信信号とは加算器27でベクトル合成されることにより、加算器27の出力のRF送信信号は、可変利得増幅器26とRF IC外部のRF電力増幅器で増幅された後、携帯電話等の無線通信端末のアンテナANTに供給される。
【0064】
《RF ICのディジタルインターフェース》
受信系ディジタルインターフェース14と送信系ディジタルインターフェース37とは、ディジタルインターフェース用電圧制御発振器(INT−VCO)23と分周器24により生成されるディジタルインターフェース基準信号により動作する。ディジタルインターフェース用電圧制御発振器(INT−VCO)23の発振出力周波数は1248MHzであり、分周器24の分周数は4であるので、分周器24の出力のディジタルインターフェース基準信号の周波数は312MHzとなる。従って、送受信ディジタルインターフェース14、37は、ディジタルインターフェース基準信号に応答してベースバンド信号処理用LSIとの間で156Mbpsの転送レートのディジタルベースバンド送受信信号を送受信する。
【0065】
《RF ICのRFテスト信号生成ユニット(送信用Tx−VCOとディジタルインターフェース用VCOとの組合せ)》
図4に示すRF ICのRFテスト信号生成ユニットは、テスト信号生成ミキサ20を含んでいる。テスト信号生成ミキサ20の一方の入力端子と他方の入力端子とには、送信用Tx−VCO22に接続された分周器21からの分周出力信号とディジタルインターフェース用INT−VCO23に接続された分周器24からの分周出力信号とが供給される。RF ICの校正モードで、テスト信号生成ミキサ20の出力のRFテスト信号はスイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。
【0066】
《RF ICの校正モード》
次に「校正モード」について説明する。「校正モード」は、図4に示したRF ICが受信誤差の校正を行うための動作モードである。「校正モード」は、RF ICの電源投入直後もしくは、RF ICのアイドル状態からの立ち上がり直後で「送受信モード」の前に実行される。
【0067】
受信誤差校正回路13は、RF ICの校正モードにおいてRFテスト信号が供給された受信ミキサ3、4の出力に応答する復調信号処理回路5、6、7、8、9、10、11、12よりの直交復調受信出力信号の誤差を校正する。それによって受信誤差校正回路13は、RF ICの受信モードでアンテナANTのRF受信信号に応答する復調信号処理回路5、6、7、8、9、10、11、12よりの直交復調受信出力信号の誤差を校正するものである。RF ICの電源投入直後もしくは、RF ICのアイドル状態からの立ち上がり直後の「校正モード」で受信誤差校正回路13により生成された校正情報は、RF ICの内部RAMに格納されることができる。RF ICの工場出荷時またはRF ICを搭載した携帯電話の工場出荷時の「校正モード」で受信誤差校正回路13により生成された校正情報は、携帯電話のフラッシュメモリ等の不揮発性メモリに格納されることができる。このフラッシュメモリ等の不揮発性メモリには、アプリケーションプロセッサのための種々のアプリケーションプログラムも格納されることができる。
【0068】
前記したように、受信誤差校正回路13には、例えば前記特許文献3と前記非特許文献1と前記非特許文献2に記載された回路を使用することができる。受信誤差校正回路13は、「校正モード」で3、4、5、6、7、8、9、10の番号の回路を経由した復調テスト信号の誤差を検出して、繰り返し演算によって「受信モード」でのI、Qベースバンド受信信号の誤差補正値を算出する。アナログベースバンド受信信号の周波数帯域に近い復調テスト信号を受信ミキサ3、4の出力に生成するためには、受信ミキサ3、4に受信誤差校正用RFテスト信号を供給することが必要である。基地局からの受信信号を受信誤差校正用RFテスト信号をテスト信号として用いることも可能であるが、基地局からの受信信号はレベルが一定ではなく、また周波数変調が施されているので短時間に精度の高い補正値を算出することは困難である。
【0069】
尚、受信誤差校正用RFテスト信号の周波数をftestとし、受信用Rx−VCO19の分周によるRF受信ローカル信号Rx−LOの周波数をfRx−LOとし、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域をfBWとすると、図4のRF ICでは次式の関係が満足される必要がある。
【0070】
|fRx−LO−ftest|≦fBW (数1)
また、図4に示したRF ICは、図3に示したUMTS規格のWCDMA方式のBand1、Band2、Band5の送受信帯域をカバーするように送受信動作を行う。すなわち、WCDMA方式のBand1、Band2の受信モードでは、受信用Rx−VCO19に接続された分周器18の分周数は2に設定される。またWCDMA方式のBand5の受信モードでは、受信用Rx−VCO19に接続された分周器18の分周数は4に設定される。また、WCDMA方式のBand1、Band2の送信モードでは、送信用Tx−VCO22に接続された分周器21の分周数は2に設定される。またWCDMA方式のBand5の送信モードでは、送信用Tx−VCO22に接続された分周器21の分周数は4に設定される。
【0071】
従って、受信用Rx−VCO19は、WCDMA方式のBand5の最低受信周波数869MHzの4倍の3476MHzからWCDMA方式のBand1の最高受信周波数2170MHzの2倍の4340MHzまでの発振周波数をカバーする。
【0072】
また、送信用Tx−VCO22は、WCDMA方式のBand5の最低送信周波数824MHzの4倍の3296MHzからWCDMA方式のBand1の最高送信周波数1980MHzの2倍の3960MHzまでの発振周波数をカバーする。
【0073】
また、テスト条件が一番厳しいWCDMA方式の一番高い周波数のBand1での「校正モード」で送信用Tx−VCO22は、WCDMA方式のBand2とBand5との間の送信に対応する3656MHzの比較的低い発振周波数で発振する。従って、分周数2に設定された分周器21からテスト信号生成ミキサ20の一方の入力端子に、1828MHzの分周信号が供給される。テスト信号生成ミキサ20の他方の入力端子には、ディジタルインターフェース用INT−VCO23に接続された分周器24から312MHzの周波数のディジタル基準信号が供給されている。従って、テスト信号生成ミキサ20の出力から2140MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と1516MHzのイメージ信号とが生成され、スイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。
【0074】
一方、受信用Rx−VCO19は、WCDMA方式のBand1の受信周波数帯域に対応する4278MHzの発振周波数で発振している。従って、分周数2に設定された分周器18の出力から、2139MHzの分周出力信号が生成される。分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、2139MHzの校正用ローカル信号が供給される。
【0075】
従って、受信ミキサ3、4では、2140MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と2139MHzの校正用ローカル信号とのミキシングと1516MHzのイメージ信号と2139MHzの校正用ローカル信号とのミキシングとが行われる。前者のミキシングで、1MHz(=2140MHz−2139MHz)の周波数の信号と4279MHz(=2140MHz+2139MHz)の信号とが生成される。後者のミキシングで、3655MHz(=1516MHz+2139MHz)の周波数の信号と−623MHz(=1516MHz−2139MHz)の周波数の信号とが生成される。
【0076】
WCDMA方式のベースバンド受信信号の周波数帯域fBWの略2MHz(正確には、1.92MHz程度)に設定されているので、受信ミキサ3、4の出力に接続されたローパスフィルタ5、6の信号通過周波数帯域も略2MHzに設定されている。受信ミキサ3、4でのミキシングにより生成された4個の周波数の信号のうち最初の1MHz(=2140MHz−2139MHz)の周波数の信号のみが復調テスト信号として可変利得増幅器7、8以降の受信回路に供給され、他の3個の周波数の信号はローパスフィルタ5、6で十分な減衰量に減衰される。
【0077】
尚、受信誤差校正用RFテスト信号の周波数ftestは2140MHzで、RF受信ローカル信号Rx−LOの周波数をfRx−LOは2139MHzで、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、前記(数1)の関係が満足されている。
【0078】
またテスト信号生成ミキサ20で形成される−1516MHz(=312MHz−1828MHz)の周波数の他のイメージ信号がローパスフィルタ5、6で減衰されるように、分周器21、24出力信号の周波数を設定する必要がある。ディジタルインターフェース用分周器24の分周信号周波数をfDigとし、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域をfBWとすると、図4のRF ICでは次式の関係が満足される必要がある。
【0079】
fDig≧2fBW (数2)
尚、ディジタルインターフェース用分周器24の分周信号周波数fDigは312MHzで、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、
312MHz≧4MHzとなって、
前記(数2)の関係が満足されている。
【0080】
以上のようにWCDMA方式のBand1での受信誤差校正について説明したが、同様な方法によりWCDMA方式のBand2、Band5での受信誤差校正を行うことが可能である。
【0081】
WCDMA方式のBand2での受信誤差校正を行う場合には、WCDMA方式のBand2の最低受信周波数1930MHzと最高受信周波数1990MHzの略中間の周波数1960MHzの受信誤差校正用RFテスト信号を、テスト信号生成ミキサ20の出力から生成する。送信用Tx−VCO22から3296MHzの発振信号を発生させ、分周器21からの1648MHzの分周出力と分周器24からの312MHzの分周出力とをテスト信号生成ミキサ20に供給する。テスト信号生成ミキサ20から、周波数1960MHzの受信誤差校正用RFテスト信号が生成される。また、分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、1959MHzの校正用ローカル信号を供給する。受信用Rx−VCO19にBand2の受信周波数帯域内の3916MHzを発振させると、分周数2に設定された分周器18から1959MHzの校正用ローカル信号が生成される。
【0082】
WCDMA方式のBand5での受信誤差校正を行う場合には、WCDMA方式のBand5の最低受信周波数869MHzと最高受信周波数894MHzとの略中間の周波数881MHzの受信誤差校正用RFテスト信号を、テスト信号生成ミキサ20の出力から生成する。送信用Tx−VCO22から3368MHzの発振信号を発生させ、分周数4に設定された分周器21からの842MHzの分周出力と分周器24(32分周)からの39MHzの分周出力とをテスト信号生成ミキサ20に供給する。テスト信号生成ミキサ20から、周波数881MHzの受信誤差校正用RFテスト信号が生成される。また、分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、880MHzの校正用ローカル信号を供給する。受信用Rx−VCO19にBand2の受信周波数帯域内の3520MHzを発振させると、分周数4に設定された分周器18から880MHzの校正用ローカル信号が生成される。
【0083】
《他の実施形態によるRF IC》
《送信用Tx−VCOとシステム基準電圧制御発振器DCX−VCOとの組合せによるRFテスト信号の生成》
図5は、本発明の他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。このRF ICでも、受信誤差校正用RFテスト信号は送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)を利用して生成されるよう構成されている。
【0084】
図5に示したRF ICは、図4に示したRF ICと受信誤差校正用RFテスト信号を形成するRFテスト信号生成ユニットの構成が異なっており、その他の構成は同一である。図5に示すRF ICのRFテスト信号生成ユニットのテスト信号生成ミキサ20の一方の入力端子には、図4と同様に送信用Tx−VCO22に接続された分周器21からの分周出力信号が供給される。しかし、テスト信号生成ミキサ20の他方の入力端子には、システム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)40に接続された周波数マルチプライヤ15からの出力信号が供給される。システム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)40は、RF ICの送受信動作のためのPLL周波数シンセサイザ中に存在してRF受信用ローカル信号とRF送信用ローカル信号とを生成する際のシステム基準信号を生成するものである。システム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)40は、発振周波数を決定するための水晶振動子を含む。更にシステム基準DCX−VCO40にはベースバンド信号処理LSIからAFC(自動周波数制御)信号が供給されるため、システム基準DCX−VCO40は26MHzの極めて安定な周波数に維持されたシステム基準信号を発振する。
【0085】
送信用TX−VCO22がWCDMA方式のBand1に対応する3858MHzで発振しているので、分周数が2に設定された分周器21から1928MHzの分周信号が生成されて、テスト信号生成ミキサ20の一方の入力端子に供給される。一方、システム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)40は、上記のように26MHzの安定な周波数のシステム基準信号を発振している。周波数マルチプライヤ15の周波数乗算係数Mは8に設定されているので、周波数マルチプライヤ15の出力から208MHzの周波数乗算出力信号が生成される。尚、周波数マルチプライヤ15は、例えばPLL(Phase Locked Loop)回路で構成されることができる。PLL回路は、一方の入力端子に26MHzのシステム基準信号が供給される位相比較器と、位相比較器の出力により制御されて208MHzの出力を発振する電圧制御発振器と、分周数8に設定された分周器とによって構成される。分周数8に設定された分周器は、電圧制御発振器の出力と位相比較器の他方の入力端子との間に接続される。
【0086】
テスト信号生成ミキサ20では、分周器21から1928MHzの分周信号と周波数マルチプライヤ15の出力から208MHzの乗算出力信号とのミキシングが行われる。従って、テスト信号生成ミキサ20の出力から2136MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と1720MHzのイメージ信号とが生成され、スイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。
【0087】
一方、受信用Rx−VCO19は、WCDMA方式のBand1の受信周波数帯域に対応する4270MHzの発振周波数で発振している。従って、分周数2に設定された分周器18の出力から、2135MHzの分周出力信号が生成される。分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、2135MHzの校正用ローカル信号が供給される。
【0088】
従って、受信ミキサ3、4では、2136MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と2135MHzの校正用ローカル信号とのミキシングと1720MHzのイメージ信号と2135MHzの校正用ローカル信号とのミキシングとが行われる。前者のミキシングで、1MHz(=2136MHz−2135MHz)の周波数の信号と4271MHz(=2136MHz+2135MHz)の信号とが生成される。後者のミキシングで、3855MHz(=1720MHz+2135MHz)の周波数の信号と−415MHz(=1720MHz−2135MHz)の周波数の信号とが生成される。
【0089】
WCDMA方式のベースバンド受信信号の周波数帯域fBWの略2MHz(正確には、1.92MHz程度)に設定されているので、受信ミキサ3、4の出力に接続されたローパスフィルタ5、6の信号通過周波数帯域も略2MHzに設定されている。受信ミキサ3、4でのミキシングにより生成された4個の周波数の信号のうち最初の1MHz(=2136MHz−2135MHz)の周波数の信号のみが復調テスト信号として可変利得増幅器7、8以降の受信回路に供給され、他の3個の周波数の信号はローパスフィルタ5、6で十分な減衰量に減衰される。
【0090】
尚、受信誤差校正用RFテスト信号の周波数ftestは2136MHzで、RF受信ローカル信号Rx−LOの周波数をfRx−LOは2135MHzで、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、前記(数1)の関係が満足されている。
【0091】
またテスト信号生成ミキサ20で形成される−1720MHz(=208MHz−1928MHz)の周波数の他のイメージ信号がローパスフィルタ5、6で減衰されるように、分周器21、15出力信号の周波数を設定する必要がある。周波数マルチプライヤ15の出力信号周波数をfSYSとし、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域をfBWとすると、図4のRF ICでは次式の関係が満足される必要がある。
【0092】
fSYS≧2fBW (数3)
尚、周波数マルチプライヤ15の出力信号周波数fSYSは208MHzで、、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、
208MHz≧4MHzとなって、
前記(数3)の関係が満足されている。
【0093】
以上のようにWCDMA方式のBand1での受信誤差校正について説明したが、図5のRF ICも図4のRF ICと同様な方法によりWCDMA方式のBand2、Band5での受信誤差校正を行うことが可能である。
【0094】
《送信用Tx−VCOとフラクショナル分周器との組合せによるRFテスト信号の生成》
図6は、本発明の更に他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。このRF ICでも、受信誤差校正用RFテスト信号は送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)を利用して生成されるよう構成されている。
【0095】
図6に示したRF ICは、図4に示したRF ICと受信誤差校正用RFテスト信号を形成するRFテスト信号生成ユニットの構成が異なっており、その他の構成は同一である。図6に示すRF ICのRFテスト信号生成ユニットは、送信用Tx−VCO22に接続されたフラクショナル分周器42を含んでいる。良く知られているように、フラクショナル分周器は、分周数Nが整数だけではなく、分数(小数)を含むことにより周波数解像度の高い周波数シンセサイザを実現することができる。
【0096】
送信用TX−VCO22がWCDMA方式のBand2とBand5との間の送信周波数帯域に対応する比較的低い3570MHzで発振している。分周数Nが分数(3/5)に設定されたフラクショナル分周器42から2142MHz(=3570MHz×3/5=3570MHz×0.6)の分周信号が生成され、バンドパスフィルタ41に供給されてフラクショナル分周器42の動作雑音が除去される。バンドパスフィルタ41の出力から2142MHzの受信誤差校正用RFテスト信号が生成され、スイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。尚、分周数Nが整数だけではなく、分数(小数)を含むフラクショナル分周器42は、良く知られているように、ΣΔ変調器と可変分周器(カウンタ)とにより構成されることができる。ΣΔ変調器には、分子値情報と分母値情報とが入力される。ΣΔ変調器は、入力クロック信号に応答して分数(分子値/分母値)に応じた頻度でオーバーフロー・1ビット出力信号を生成する。オーバーフロー・1ビット出力信号の“1”レベルと“0”レベルとにより可変分周器(カウンタ)が制御されて、3570MHzの入力信号から2142MHzの分周出力信号を生成することができる。
【0097】
一方、受信用Rx−VCO19は、WCDMA方式のBand1の受信周波数帯域に対応する4282MHzの発振周波数で発振している。従って、分周数2に設定された分周器18の出力から、2141MHzの分周出力信号が生成される。分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、2141MHzの校正用ローカル信号が供給される。
【0098】
従って、受信ミキサ3、4では、2142MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と2141MHzの校正用ローカル信号とのミキシングが行われる。このミキシングで、1MHz(=2142MHz−2141MHz)の周波数の信号と4283MHz(=2142MHz+2141MHz)の信号とが生成される。
【0099】
WCDMA方式のベースバンド受信信号の周波数帯域fBWの略2MHz(正確には、1.92MHz程度)に設定されているので、受信ミキサ3、4の出力に接続されたローパスフィルタ5、6の信号通過周波数帯域も略2MHzに設定されている。受信ミキサ3、4でのミキシングにより生成された2個の周波数の信号のうち最初の1MHz(=2142MHz−2141MHz)の周波数の信号のみが復調テスト信号として可変利得増幅器7、8以降の受信回路に供給され、他の周波数の信号はローパスフィルタ5、6で十分な減衰量に減衰される。
【0100】
尚、受信誤差校正用RFテスト信号の周波数ftestは2142MHzで、RF受信ローカル信号Rx−LOの周波数をfRx−LOは2141MHzで、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、前記(数1)の関係が満足されている。
【0101】
以上のようにWCDMA方式のBand1での受信誤差校正について説明したが、図6のRF ICも図4と図5のRF ICと同様な方法によりWCDMA方式のBand2、Band5での受信誤差校正を行うことが可能である。
【0102】
《送信用Tx−VCOとその制御回路との組合せによるRFテスト信号の生成》
図7は、本発明の更に他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。このRF ICでも、受信誤差校正用RFテスト信号は送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)を利用して生成されるよう構成されている。
【0103】
図7に示したRF ICは、図4に示したRF ICと受信誤差校正用RFテスト信号を形成するRFテスト信号生成ユニットの構成が異なっており、その他の構成は同一である。図7に示すRF ICのRFテスト信号生成ユニットは、送信用Tx−VCO22に接続されたトリガ制御回路43を含んでいる。
【0104】
RF ICの電源投入直後もしくは、RF ICのアイドル状態からの立ち上がり直後の「校正モード」において、トリガ制御回路43は送信用Tx−VCO22にハイレベルの校正モード信号を供給する。
【0105】
また、上述したように通常の受信モードや送信モードでは、送信用Tx−VCO22の発振周波数は、WCDMA方式のBand5の最低送信周波数824MHzの4倍の3296MHzからWCDMA方式のBand1の最高送信周波数1980MHzの2倍の3960MHzまでの発振周波数をカバーしている。また、通常の受信モードや送信モードでは、送信用Tx−VCO22の発振周波数が3296MHzから3960MHzまでの発振周波数をカバーするように、図5に示したようなシステム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)40を含むPLL周波数シンセサイザにより送信用Tx−VCO22が制御されている。
【0106】
しかし、「校正モード」でトリガ制御回路43から送信用Tx−VCO22にハイレベルの校正モード信号が供給されると、送信用Tx−VCO22の発振周波数は受信誤差校正用RFテスト信号としての極めて低い発振周波数2140MHzに変化する。これは、送信用Tx−VCO22の発振周波数を決定するTx−VCO22内部のMOSバラクタのような可変容量素子の容量値が、ハイレベルの校正モード信号により大きく増加するためである。かくして、「校正モード」では、送信用Tx−VCO22の発振周波数は受信誤差校正用RFテスト信号としての極めて低い発振周波数2140MHzとなる。
【0107】
一方、受信用Rx−VCO19は、WCDMA方式のBand1の受信周波数帯域に対応する4278MHzの発振周波数で発振している。従って、分周数2に設定された分周器18の出力から、2139MHzの分周出力信号が生成される。分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、2139MHzの校正用ローカル信号が供給される。
【0108】
従って、受信ミキサ3、4では、2140MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と2139MHzの校正用ローカル信号とのミキシングが行われる。このミキシングで、1MHz(=2140MHz−2139MHz)の周波数の信号と4279MHz(=2140MHz+2139MHz)の信号とが生成される。
【0109】
WCDMA方式のベースバンド受信信号の周波数帯域fBWの略2MHz(正確には、1.92MHz程度)に設定されているので、受信ミキサ3、4の出力に接続されたローパスフィルタ5、6の信号通過周波数帯域も略2MHzに設定されている。受信ミキサ3、4でのミキシングにより生成された2個の周波数の信号のうち最初の1MHz(=2140MHz−2139MHz)の周波数の信号のみが復調テスト信号として可変利得増幅器7、8以降の受信回路に供給され、他の周波数の信号はローパスフィルタ5、6で十分な減衰量に減衰される。
【0110】
尚、受信誤差校正用RFテスト信号の周波数ftestは2140MHzで、RF受信ローカル信号Rx−LOの周波数をfRx−LOは2139MHzで、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、前記(数1)の関係が満足されている。
【0111】
以上のようにWCDMA方式のBand1での受信誤差校正について説明したが、図7のRF ICも図4と図5と図6のRF ICと同様な方法によりWCDMA方式のBand2、Band5での受信誤差校正を行うことが可能である。
【0112】
《WCDMA方式とそれ以外の通信方式に対応するRFテスト信号の生成》
図8は、本発明の他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。このRF ICは、上述したWCDMA方式のBand1、Band2、Band5の送受信を行うとともに、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900の方式の送受信を行うことが可能である。
【0113】
図10は、各種の通信方式の送受信帯域を示す図である。図10の上部には、WCDMA方式の送受信帯域を示している。上述したように、WCDMA方式の一番低い周波数帯域のBand5(地域は米国)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が824〜849MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は869〜894MHzとなっている。同様に、WCDMA方式のBand2(地域は欧州)の場合も、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1850〜1910MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は1930〜1990MHzとなっている。また、UMTS規格におけるWCDMA方式の一番高い周波数帯域のBand1(地域は米国)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1920〜1980MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は2110〜2170MHzとなっている。
【0114】
更に、これ以外のWCDMA方式の通信も存在する。WCDMA方式の低い周波数帯域のBand6(地域は日本)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が830〜840MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は875〜885MHzとなっている。WCDMA方式の周波数帯域のBand4(地域は米国)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1710〜1775MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は2110〜2115MHzとなっている。WCDMA方式の周波数帯域のBand3(地域は欧州他)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1710〜1785MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は1805〜1880MHzとなっている。
【0115】
図10の下部には、WCDMA方式以外の通信方式の送受信帯域を示している。GSM850の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が824〜849MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は869〜894MHzとなっている。GSM900の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が880〜915MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は925〜960MHzとなっている。DCS1800の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1710〜1785MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は1805〜1880MHzとなっている。PCS1900の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1850〜1910MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は1930〜1990MHzとなっている。このように、いずれの周波数帯域(バンド)においても、受信帯域周波数RXが送信帯域周波数TXよりも高いFDD方式が採用されている。
【0116】
図8に示したRF ICの上部の回路RX_SPU_WCDMAはWCDMA方式のBand1、Band2、Band5の受信のための回路であり、図4に示したRF ICの上部の回路に対応している。図8に示したRF ICの下部の回路TX_SPU_WCDMAはWCDMA方式のBand1、Band2、Band5の送信のための回路であり、図4に示したRF ICの下部の回路に対応している。図8に示したRF ICの中央上部の回路RX_SPU_GSMは、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900の受信のための回路である。図8に示したRF ICの中央下部の回路TX_SPU_GSMは、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900の送信のための回路である。
【0117】
図8に示したRF ICの中央の回路Frct_Synthは、RF ICの送受信ローカル信号を形成するフラクショナルシンセサイザである。このフラクショナルシンセサイザFrct_Synthは、システム基準電圧制御発振器(DCX−CVO)40と受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19とを含んでいる。
【0118】
図8のフラクショナルシンセサイザFrct_SynthとWCDMA方式の送信用回路T_SPU_WCDMAとの間には、RFテスト信号生成ユニットRF_TS_Genが配置されている。図8のRFテスト信号生成ユニットRF_TS_Genは、図4のRFテスト信号生成ユニットと同様に、テスト信号生成ミキサ20と、送信用Tx−VCO22と、分周器21と、ディジタルインターフェース用INT−VCO23と、分周器24とを含んでいる。
【0119】
RF ICのWCDMA方式の通信のための校正モードで、テスト信号生成ミキサ20の出力のRFテスト信号はスイッチ2を介してWCDMA方式受信回路RX_SPU_WCDMAの受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。WCDMA方式の通信のための校正モードは、図4のRF ICの校正モードと全く同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0120】
RF ICのWCDMA方式以外の通信方式のための校正モードで、テスト信号生成ミキサ20の出力のRFテスト信号はスイッチ2を介して他方式受信回路RX_SPU_GSMの受信ミキサRX_MIX_I、Qの一方の入力端子に供給される。
【0121】
PCS1900の受信のための校正モードでは、1960MHzの受信誤差校正用RFテスト信号がテスト信号生成ミキサ20の出力からスイッチ2を介して受信ミキサRX_MIX_I、Qの一方の入力端子に供給される。この時は、フラクショナルシンセサイザFrct_Synthから1959.9MHzの受信ローカル信号が受信ミキサRX_MIX_I、Qの他方の入力端子に供給される。受信ミキサRX_MIX_I、Qでのミキシングにより100KHz(=1960MHz−1959.9MHz)の周波数の復調テスト信号が、受信ミキサRX_MIX_I、Qの出力に生成される。100KHzの復調テスト信号は、可変利得増幅器PGAI1…I3、PGAQ1…Q3とフィルタFCI1…I3、FCQ1…Q3を介してバッファBAI、BAQの入力に伝達される。バッファBAI、BAQの1MHzの復調テスト伝達信号はA/D変換器9、10、ローパスフィルタ11、12を介して受信誤差校正回路13に供給されることにより、振幅誤差と位相誤差との校正が行われる。
【0122】
DCS1800の受信のための校正モードでは、1842MHzの受信誤差校正用RFテスト信号がテスト信号生成ミキサ20の出力からスイッチ2を介して受信ミキサRX_MIX_I、Qの一方の入力端子に供給される。この時は、フラクショナルシンセサイザFrct_Synthから1841.9MHzの受信ローカル信号が受信ミキサRX_MIX_I、Qの他方の入力端子に供給される。受信ミキサRX_MIX_I、Qでのミキシングにより100KHz(=1842MHz−1841.9MHz)の周波数の復調テスト信号が、受信ミキサRX_MIX_I、Qの出力に生成される。その後は、PCS1900の場合と同様に、振幅誤差と位相誤差との校正が行われる。
【0123】
GSM900の受信のための校正モードでは、942MHzの受信誤差校正用RFテスト信号がテスト信号生成ミキサ20の出力からスイッチ2を介して受信ミキサRX_MIX_I、Qの一方の入力端子に供給される。この時は、フラクショナルシンセサイザFrct_Synthから941.9MHzの受信ローカル信号が受信ミキサRX_MIX_I、Qの他方の入力端子に供給される。受信ミキサRX_MIX_I、Qでのミキシングにより100KHz(=942MHz−941.9MHz)の周波数の復調テスト信号が、受信ミキサRX_MIX_I、Qの出力に生成される。その後は、PCS1900の場合と同様に、振幅誤差と位相誤差との校正が行われる。
【0124】
GSM850の受信のための校正モードでは、882MHzの受信誤差校正用RFテスト信号がテスト信号生成ミキサ20の出力からスイッチ2を介して受信ミキサRX_MIX_I、Qの一方の入力端子に供給される。この時は、フラクショナルシンセサイザFrct_Synthから881.9MHzの受信ローカル信号が受信ミキサRX_MIX_I、Qの他方の入力端子に供給される。受信ミキサRX_MIX_I、Qでのミキシングにより100KHz(=882MHz−881.9MHz)の周波数の復調テスト信号が、受信ミキサRX_MIX_I、Qの出力に生成される。その後は、PCS1900の場合と同様に、振幅誤差と位相誤差との校正が行われる。
【0125】
いずれの通信方式の「受信モード」においても、WCDMA方式受信回路RX_SPU_WCDMAの出力または他方式受信回路RX_SPU_GSMの出力にI、Qアナログベースバンド受信信号が形成される。この信号はA/D変換器9、10によりI、Qディジタルベースバンド受信信号に変換され、ローパスフィルタ11、12、受信誤差校正回路13、受信系ディジタルインターフェース14を介してベースバンド信号処理LSIに供給される。
【0126】
逆にベースバンド信号処理LSIからのディジタルベースバンド送信信号TxDBI、TxDBQはRF ICの送信系ディジタルインターフェース37により受信された後、D/A変換器33、34によりI、Qアナログベースバンド送信信号に変換される。送信方式がWCDMA方式の場合には、D/A変換器33、34の出力のI、Qアナログベースバンド送信信号は、WCDMA方式送信回路TX_SPU_WCDMAによってRF送信信号に変換される。WCDMA方式送信回路TX_SPU_WCDMAによる動作は、図4のRF ICの動作と全く同一であるので、ここでは説明を省略する。送信方式がWCDMA方式以外の方式の場合には、D/A変換器33、34の出力のI、Qアナログベースバンド送信信号は、他方式送信回路TX_SPU_GSMによってRF送信信号に変換される。この他方式送信回路TX_SPU_GSMは、送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLにより構成されている。
【0127】
送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLは、GSM850のRF送信信号Tx_GSM850とGSM900のRF送信信号Tx_GSM900との送信動作に対応する必要が有る。そのため、受信用Rx−VCO19の発振周波数は分周比2に設定された2個の分周器DIV1(1/2)、DIV4(1/2)を介して位相制御帰還用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMの一方の入力端子に供給される。また、送信ミキサTX−MIX_I、TX−MIX_Qに接続された中間周波数分周器DIV2(1/NIF)の分周比NIFは、26に設定されている。一方、送信用Tx−VCO2の発振出力信号が、分周数2に設定された2個の分周器DIV5、分周器DIV3を介して、位相制御帰還用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMの他方の入力端子に供給されている。ダウンミキサーDWN_MIX_PMでは一方の入力信号と他方の入力信号とのミキシングが行われる。従って、ダウンミキサーDWN_MIX_PMの出力から、2つの入力信号の差の周波数の帰還信号が形成されて、送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLの位相比較器PCの他方の入力端子に供給される。また、位相比較器PCの一方の入力端子には、送信ミキサTX−MIX_I、Qの出力に接続された加算器の出力のベクトル合成された中間周波送信信号fIFが基準信号として供給されている。中間周波数分周器DIV2(1/NIF)の分周数NIFである26と90度位相シフタでの分周数2とで、合計分周数は52となっている。従って、中間周波送信信号fIFの周波数は、受信用Rx−VCO19の周波数の1/52となる。また、送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLの負帰還制御によって、位相比較器PCの一方の入力端子の基準信号と他方の入力端子のダウンミキサーDWN_MIX_PMから帰還信号とは一致するようになる。結果としては、0.8GHzのRF送信信号のGSM850と0.9GHzのRF送信信号のGSM900との送信動作に、受信用Rx−VCO19と送信用Tx−VCO2とは送信周波数の略4倍の略3.6GHzから略3.9GHzで発振すれば良くなる。この2つの周波数帯域の送信動作で、この2つの電圧制御発振器を0.8GHz〜0.9GHzで発振させるためには、極めて大きな容量の可変容量が必要となる。その結果、RF ICのチップ占有面積と消費電力増大となる。
【0128】
また送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLは、DCS1800のRF送信信号Tx_DCS1800とPSC1900のRF送信信号Tx_PSC1900との送信動作に対応する必要が有る。そのため、受信用Rx−VCO19の発振周波数は分周比2に設定された2個の分周器DIV1(1/2)、を介して位相制御帰還用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMの一方の入力端子に供給される。また、送信ミキサTX−MIX_I、TX−MIX_Qに接続された中間周波数分周器DIV2(1/NIF)の分周比NIFは、26に設定されている。一方、送信用Tx−VCO2の発振出力信号が、分周数2に設定された1個の分周器DIV5を介して、位相制御帰還用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMの他方の入力端子に供給されている。ダウンミキサーDWN_MIX_PMでは一方の入力信号と他方の入力信号とのミキシングが行われる。従って、ダウンミキサーDWN_MIX_PMの出力から、2つの入力信号の差の周波数の帰還信号が形成されて、送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLの位相比較器PCの他方の入力端子に供給される。また、位相比較器PCの一方の入力端子には、送信ミキサTX−MIX_I、Qの出力に接続された加算器の出力のベクトル合成された中間周波送信信号fIFが基準信号として供給されている。中間周波数分周器DIV2(1/NIF)の分周数NIFである26と90度位相シフタでの分周数2とで、合計分周数は52となっている。従って、中間周波送信信号fIFの周波数は、受信用Rx−VCO19の周波数の1/52となる。また、送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLの負帰還制御によって、位相比較器PCの一方の入力端子の基準信号と他方の入力端子のダウンミキサーDWN_MIX_PMから帰還信号とは一致するようになる。結果としては、1.7GHzのRF送信信号のDCS1800と1.9GHzのRF送信信号のPCS1900との送信動作に、受信用Rx−VCO19と送信用Tx−VCO2とは送信周波数の略2倍の略3.6GHzから略3.9GHzで発振すれば良くなる。この2つの周波数帯域の送信動作で、この2つの電圧制御発振器を1.7GHz〜1.9GHzで発振させるためには、極めて大きな容量の可変容量が必要となる。その結果、RF ICのチップ占有面積と消費電力増大となる。
【0129】
図11は、図8に示した他方式送信回路TX_SPU_GSMの一例を示すブロック図である。図11のRF ICは、基地局と通信端末機器との通信が位相変調ともに振幅変調を使用するEDGE方式に対応するためのポーラループ方式の送信方式を採用している。
【0130】
送信モードでは、アナログベースバンド送信信号TxABI、Qが、送信ミキサTX−MIX_I、Qの一方の入力に供給される。中間周波数分周器DIV2(1/NIF)の信号ΦIFから90度位相シフタで生成された90度位相を有する2つのIF送信キャリア信号が、送信ミキサTX−MIX_I、Qの他方の入力に供給される。その結果、送信ミキサTX−MIX_I、Qでは、アナログベースバンド送信信号の周波数からIF送信信号への周波数アップコンバージョンが実行されて、加算器からベクトル合成されたひとつのIF送信変調信号が得られる。加算器からのIF送信変調信号は、位相変調成分の送信のためのPMループ回路PM LPを構成する位相比較器PCの一方の入力に供給されている。PMループ回路PM LPでは、位相比較器PCの出力はチャージポンプCPとローパスフィルタLF1を介して送信用Tx−VCO2の制御入力に伝達される。
【0131】
バッファアンプBFを介しての送信用Tx−VCO2の出力はPMループ用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMの入力に供給されることによって、ダウンミキサーDWN_MIX_PMの出力から第1IF送信帰還信号が得られる。送信動作がGSM方式の場合の位相変調情報は、この第1IF送信帰還信号がスイッチSW_1を介してPMループ回路PM LPを構成する位相比較器PCの他方の入力に供給される。この結果、送信用RF電力増幅器RF_PAの出力である送信信号はGSM方式の正確な位相変調情報を含むようになる。また、送信動作がGSM方式の場合の送信電力情報(送信用RF電力増幅器RF_PAの増幅ゲイン)は、RF IC内部のランプ信号D/A変換器Ramp DACのランプ出力電圧Vrampで指定される。このランプ出力電圧Vrampが、スイッチSW2を介して10MHzフィルタ(10MHzFilter)に供給される。このフィルタからのランプ出力電圧Vrampと、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力を検出するパワーカップラーCPLと電力検出回路PDETとからの送信電力検出信号Vdetとが、誤差増幅器Err_Ampに供給される。誤差増幅器Err_Ampの出力からの自動パワー制御電圧Vapcによる電源電圧制御もしくはバイアス電圧制御により、送信用RF電力増幅器RF_PAの増幅ゲインは基地局と携帯通信端末装置との距離に比例して設定される。尚、ランプ信号D/A変換器Ramp DACにベースバンド信号処理LSIから供給されるディジタルランプ入力信号は、送信電力のレベルを示す送信電力レベル指示信号であり、基地局と通信端末機器との距離に比例して送信電力レベルを高く制御するものである。このランプ信号D/A変換器Ramp DACの出力から、アナログのランプ出力電圧Vrampが生成される。
【0132】
一方、送信動作がEDGE方式の場合は、送信ミキサTX−MIX_I、Qに接続された加算器からのIF送信変調信号は、位相変調情報だけではなく振幅変調情報も含むことになる。従って、加算器からIF送信変調信号はPMループ回路PM LPを構成する位相比較器PCの一方の入力に供給されるだけではなく、AMループ回路AM LPを構成する振幅比較器ACの一方の入力に供給される。この時には、位相比較器PCの他方の入力には、送信用発振器Tx−VCO2の出力がPMループ用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMを介して供給されるのではない。むしろ、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力に関係する情報(RF送信電力レベルRFPLV)が、位相比較器PCの他方の入力に供給される。この供給経路は、パワーカップラーCPL、可変利得回路MVGA、AMループ用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_AMとなっている。また、AMループ回路AM LPを構成する振幅比較器ACの他方の入力にも、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力に関係する情報(RF送信電力レベルRFPLV)が供給される。この供給経路も、パワーカップラーCPL、可変利得回路MVGA、AMループ用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_AMとなっている。AMループ回路AM LPでは、振幅比較器ACの出力はローパスフィルタLF2、可変利得回路IVGA、電圧・電流変換器V/I、チャージポンプCP、スイッチWS2を介して10MHzフィルタ(10MHzFilter)に供給される。この結果、まずPMループ回路PM LPによって、送信用発振器TXVCOのRF発振出力信号を増幅する送信用RF電力増幅器RF_PAの出力の送信電力信号はEDGE方式の正確な位相変調情報を含むようになる。さらに、AMループ回路AM LPによって、送信用RF電力増幅器RF_PAの出力の送信電力信号はEDGE方式の正確な振幅変調情報を含むようになる。
【0133】
尚、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力を検出するパワーカップラーCPLとしては、RF電力増幅器RF_PAの送信電力を電磁気的もしくは容量的に検出するカップラーを採用することができる。このパワーカップラーCPLとしては、それ以外に、カレントセンス形カップラーも採用することができる。このカレントセンス形カップラーでは、RF電力増幅器RF_PAの最終段パワー増幅素子のDC・AC動作電流に比例する小さな検出DC・AC動作電流を検出増幅素子に流すものである。
【0134】
図11のRF ICでは、ランプ信号D/A変換器Ramp DACのランプ電圧Vrampに応答するAMループ回路AM LPの二つの可変利得回路MVGA、IVGAの利得は逆方向となるように、制御回路CNTLが10ビットのディジタルランプ信号に応答して8ビットの2つの制御信号を生成する。すなわち、ランプ電圧Vrampに応答して可変利得回路MVGAの利得が減少する時には、可変利得回路IVGAの利得が増加することで、二つの可変利得回路MVGA、IVGAの利得の和がほぼ一定となる。この結果、AMループ回路AM LPのオープンループ周波数特性の位相余裕がランプ電圧Vrampに応答して著しく小さくなることを軽減している。
【0135】
図12は、図8に示した他方式送信回路TX_SPU_GSMの他の一例を示すブロック図である。すなわち、図12に示した他方式送信回路TX_SPU_GSMは、基地局との通信が位相変調ともに振幅変調を使用するEDGE方式に対応するために、ポーラモジュレータ方式で構成されている。
【0136】
すなわち、送信ミキサTX_MIX_I、Qにより形成された送信用中間周波数信号に基づいて送信用RF電力増幅器RF_PAからのRF送信出力信号の振幅を制御する振幅変調ループ制御回路AM_LPは、下記のように構成されている。
【0137】
このAMループ回路AM LPでは、振幅比較器ACの出力はローパスフィルタLF2、可変利得回路IVGA、電圧・電流変換器V/I、チャージポンプCPを介して送信用Tx−VCO2の出力の振幅変調用可変利得増幅器VGAに供給される。AMループ回路AM LPの位相比較器ACの一方の入力端子には、送信ミキサTX_MIX_I、Qで形成された送信用中間周波数信号が供給されている。この位相比較器ACの他方の入力端子には、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力に関係する情報(RF送信電力レベルRFPLV)がパワーカップラーCPL、可変利得回路MVGA、AMループ用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_AMを介して供給されている。その結果、振幅比較器ACの一方の入力端子のIF信号振幅に他方の入力端子のIF信号振幅が一致するように、振幅変調用可変利得増幅器VGAの利得がローパスフィルタLF2、可変利得回路IVGA、電圧・電流変換器V/I、チャージポンプCPを介して振幅比較器ACの出力により制御される。その結果、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力は、EDGE方式の正確な振幅変調情報を含むことになる。
【0138】
尚、GSM方式の場合もEDGE方式の場合も、ランプ信号D/A変換器Ramp DACのランプ出力電圧Vrampと、送信用RF電力増幅器203の送信電力を検出するパワーカップラーCPLと電力検出回路PDETとからの送信電力検出信号Vdetとが、誤差増幅器Err_Ampに供給される。誤差増幅器Err_Ampの出力からの自動パワー制御電圧Vapcによる電源電圧制御もしくはバイアス電圧制御により、送信用RF電力増幅器RF_PAの増幅ゲインは基地局と携帯通信端末装置との距離に比例して設定され、APC制御が行われる。
【0139】
≪携帯電話の構成≫
図9は、上記で説明した本発明の種々の実施形態によるRF ICと、アンテナスイッチMMICとRF電力増幅器とを内蔵したRFモジュールと、ベースバンド信号処理LSIとを搭載した携帯電話の構成を示すブロック図である。
【0140】
同図で、携帯電話の送受信用アンテナANTにはRFモジュールRF_MLのアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の共通の入出力端子I/Oが接続されている。ベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)からの制御信号B.B_Cntは、RFアナログ信号処理半導体集積回路(RF_IC)を経由して高出力電力増幅器モジュール(HPA_ML)のコントローラ集積回路(CNT_IC)に供給される。送受信用アンテナANTから共通の入出力端子I/OへのRF信号の流れは携帯電話の受信動作RXとなり、共通の入出力端子I/Oから送受信用アンテナANTへのRF信号の流れは携帯電話の送信動作TXとなる。
【0141】
RF IC(RF_IC)はベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)からの送信ベースバンド信号Tx_BBSをRF送信信号に周波数アップコンバージョンを行い、逆に送受信用アンテナANTで受信されたRF受信信号を受信ベースバンド信号Rx_BBSに周波数ダウンコンバージョンを行いベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)に供給する。
【0142】
RFモジュールRF_MLのアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)は共通の入出力端子I/Oと送信端子Tx1、Tx2、受信端子Rx2、Rx3、Rx4、送受信端子TRx1、TRx5のいずれかの端子の間で信号経路を確立して、受信動作RXと送信動作TXとのいずれかを行う。このRF信号の受送信動作のためのスイッチはHEMT(高電子移動度トランジスタ)で構成され、アンテナスイッチMMICはGaAs等の化合物半導体を使用したマイクロウェーブモノリシック集積回路(MIC)で構成されている。このアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)は受信動作RXと送信動作TXとのいずれかのために確立した信号経路以外の信号経路のインピーダンスを極めて高い値に設定することで、必要なアイソレーションが得られるものである。アンテナスイッチの分野では、共通の入出力端子I/Oはシングルポール(Single Pole)と呼ばれ、送信端子Tx1、Tx2、受信端子Rx2、Rx3、Rx4、送受信端子TRx1、TRx5の合計7個の端子は7スロー(7 throw)と呼ばれる。従って、図9のアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)は、シングルポール7スロー(SP7T; Single Pole 7 throw)型のスイッチである。
【0143】
尚、ベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)は図示されていない外部不揮発性メモリと図示されていないアプリケーションプロセッサとに接続されている。アプリケーションプロセッサは、図示されていない液晶表示装置と図示されていないキー入力装置とに接続され、汎用プログラムやゲームを含む種々のアプリケーションプログラムを実行することができる。携帯電話等のモバイル機器のブートプログラム(起動イニシャライズプログラム)、オペレーティングシステムプログラム(OS)、ベースバンド信号処理LSIの内部のディジタルシグナルプロセッサ(DSP)によるGSM方式等の受信ベースバンド信号に関する位相復調と送信ベースバンド信号に関する位相変調のためのプログラム、種々のアプリケーションプログラムは、外部不揮発性メモリに格納されることができる。
【0144】
≪GSM850、GSM900による送受信動作≫
BB_LSIからの送信ベースバンド信号TxDBI、QがGSM850のバンドに周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号をGSM850のバンドへの周波数アップコンバージョンを行って、GSM850のRF送信信号Tx_GSM 850が生成される。BB_LSIからの送信ベースバンド信号がGSM900のバンドに周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号をGSM900のバンドへの周波数アップコンバージョンを行って、GSM900のRF送信信号Tx_GSM 900が生成される。GSM850のRF送信信号Tx_GSM 850とGSM900のRF送信信号Tx_GSM 900とは、高出力電力増幅器モジュール(HPA_ML)の高出力電力増幅器HPA2で電力増幅される。高出力電力増幅器HPA2のRF出力は、ローパスフィルタLPF2を経由してアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の送信端子Tx2に供給される。送信端子Tx2に供給されたGSM850のRF送信信号Tx_GSM 850とGSM900のRF送信信号Tx_GSM 900とは共通の入出力端子I/Oを介して送受信用アンテナANTから送信されることができる。
【0145】
送受信用アンテナANTで受信されたGSM850のRF受信信号Rx_GSM 850とGSM900のRF受信信号Rx_GSM 900とは、アンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の共通の入出力端子I/Oに供給される。アンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の受信端子Rx2から得られるGSM850のRF受信信号Rx_GSM 850とGSM900のRF受信信号Rx_GSM 900とは表面弾性波フィルタSAW3を介してRF ICの低雑音増幅器LNA1、2で増幅される。その後、これらのRF受信信号は、受信信号処理ユニットRx_SPUに供給される。受信信号処理ユニットRx_SPUでは、GSM850のRF受信信号Rx_GSM 850またはGSM900のRF受信信号Rx_GSM 900から受信ベースバンド信号RxDBI、Qへの周波数ダウンコンバージョンが行われる。
【0146】
GSM850の送受信モードでは、アンテナスイッチMMICは制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送信端子Tx2との接続によるRF送信信号Tx_GSM 850の送信と入出力端子I/Oとの受信端子Rx2との接続によるRF受信信号Tx_GSM 850の受信とを時分割で行う。同様に、GSM900の送受信モードでも、アンテナスイッチMMIC(は制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送信端子Tx2との接続によるRF送信信号Tx_GSM 900の送信と入出力端子I/Oとの受信端子Rx2との接続によるRF受信信号Rx_GSM 900の受信とを時分割で行う。
【0147】
≪DCS1800、PCS1900による送受信動作≫
BB_LSIからの送信ベースバンド信号TxDBI、QがDCS1800のバンドに周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号SをDCS1800のバンドへの周波数アップコンバージョンを行って、DCS1800のRF送信信号Tx_DCS1800が生成される。BB_LSIからの送信ベースバンド信号がPCS1900のバンドに周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号をPCS1900のバンドへの周波数アップコンバージョンを行って、PCS1900のRF送信信号Tx_PCS1900が生成される。DCS1800のRF送信信号Tx_DCS1800とPCS1900のRF送信信号Tx_PCS1900とは、高出力電力増幅器モジュール(HPA_ML)の高出力電力増幅器HPA1で電力増幅される。高出力電力増幅器HPA1のRF出力は、ローパスフィルタLPF1を経由してアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の送信端子Tx1に供給される。送信端子Tx1に供給されたDCS1800のRF送信信号Tx_DCS1800とPCS1900のRF送信信号Tx_PCS1900とは共通の入出力端子I/Oを介して送受信用アンテナANTから送信されることができる。
【0148】
送受信用アンテナANTで受信されたDCS1800のRF受信信号Rx_DCS1800とPCS1900のRF受信信号Rx_PCS1900とは、アンテナスイッチMMICの共通の入出力端子I/Oに供給される。アンテナスイッチMMICの受信端子Rx3から得られるDCS1800のRF受信信号Rx_DCS1800は表面弾性波フィルタSAW2を介してRF IC(RF_IC)の低雑音増幅器LNA2で増幅される。アンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の受信端子Rx4から得られるPCS1900のRF受信信号Rx_PCS1900は表面弾性波フィルタSAW1を介してRF ICの低雑音増幅器LNA1で増幅される。その後、DCS1800のRF受信信号Rx_DCS1800とPCS1900のRF受信信号Rx_PCS1900は、受信信号処理ユニットRx_SPUに供給される。受信信号処理ユニットRx_SPUでは、DCS1800のRF受信信号Rx_DCS1800またはPCS1900のRF受信信号Rx_PCS1900から受信ベースバンド信号RxDBI、Qへの周波数ダウンコンバージョンが行われる。
【0149】
DCS1800の送受信モードでは、アンテナスイッチMMICは制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送信端子Tx1との接続によるRF送信信号Tx_DCS1800の送信と入出力端子I/Oとの受信端子Rx3との接続によるRF受信信号Rx_DCS1800の受信とを時分割で行う。同様に、PCS1900の送受信モードでも、アンテナスイッチMMICは制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送信端子Tx1との接続によるRF送信信号Tx_PCS1900の送信と入出力端子I/Oとの受信端子Rx4との接続によるRF受信信号Rx_PCS1900の受信とを時分割で行う。
【0150】
≪WCDMAによる送受信動作≫
ベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)からの送信ベースバンド信号TxDBI、Qが、WCDMA方式のBand1またはBand2に周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号をWCDMA方式のBand1またはBand2への周波数アップコンバージョンを行う。WCDMA方式のBand1またはBand2のRF送信信号Tx_WCDMA Band1、2は、高出力電力増幅器W_PA1で電力増幅され、デュープレクサDUP1を経由してアンテナスイッチMMICの送受信端子TRx1に供給される。送受信端子TRx1に供給されたWCDMA方式のBand1またはBand2のRF送信信号Tx_WCDMA Band1、2は、共通の入出力端子I/Oを介して送受信用アンテナANTから送信されることができる。
【0151】
WCDMA方式では、コード分割により送信動作と受信動作とが並列に処理されることができる。すなわち、送受信用アンテナANTで受信されたWCDMA方式のBand1またはBand2のRF受信信号Rx_WCDMA Band1、2は、アンテナスイッチMMICの共通の入出力端子I/Oに供給される。アンテナスイッチMMICの送受信端子TRx1から得られるWCDMA方式のBand1またはBand2のRF受信信号Rx_WCDMA Band1、2はデュープレクサDUP1を経由してRF ICの低雑音増幅器LNA5で増幅され、その後、受信信号処理ユニットRx_SPUに供給される。受信信号処理ユニットRx_SPUでは、WCDMA方式のBand1またはBand2のRF受信信号Rx_WCDMA Band1、2から受信ベースバンド信号RxDBI、Qへの周波数ダウンコンバージョンが行われる。WCDMA方式のBand1、2による送信と受信との並列処理モードでは、アンテナスイッチMMICは制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送受信端子TRx1との間の定常接続によりRF送信信号の送信とRF受信信号の受信とを並列して行う。
【0152】
ベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)からの送信ベースバンド信号TxDBI、QがWCDMA方式のBand5に周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号TxDBI、QをWCDMA方式のBand5への周波数アップコンバージョンを行う。WCDMA方式のBand5のRF送信信号Tx_WCDMA Band5は、高出力電力増幅器W_PA2で電力増幅され、デュープレクサDUP2を経由してアンテナスイッチMMICの送受信端子TRx5に供給される。送受信端子TRx5に供給されたWCDMA方式のBand5のRF送信信号Tx_WCDMA Band5は、共通の入出力端子I/Oを介して送受信用アンテナANTから送信されることができる。
【0153】
送受信用アンテナANTで受信されたWCDMA方式のBand5のRF受信信号Rx_WCDMA Band5は、アンテナスイッチMMICの共通の入出力端子I/Oに供給される。アンテナスイッチMMICの送受信端子TRx5から得られるWCDMA方式のBand5のRF受信信号Rx_WCDMA Band5はデュープレクサDUP2を経由してRF ICの低雑音増幅器LNA6で増幅される。低雑音増幅器LNA6の増幅信号は、受信信号処理ユニットRx_SPUに供給される。受信信号処理ユニットRx_SPUでは、WCDMA方式のBand5のRF受信信号Rx_WCDMA Band5から受信ベースバンド信号RxDBI、Qへの周波数ダウンコンバージョンが行われる。
【0154】
WCDMA方式のBand5による送信とWCDMA方式のBand5による受信との並列処理モードでは、アンテナスイッチMMICは制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送受信端子TRx5との間の定常接続によりRF送信信号の送信とRF受信信号の受信とを並列して行う。
【0155】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0156】
例えば、図4のRF ICで受信ミキサ3、4は、低雑音増幅器1のRF増幅信号をI相とQ相のベースバンド信号に変換するダイレクトダウンコンバージョン方式に限定されるものではない。図4のRF ICで受信ミキサ3、4は、前記特許文献2と同様に、RF受信信号を低IF(低い中間周波数信号)に変換する方式とすることもできる。
【0157】
また、図4のRF ICで校正モードの間に可変利得増幅器7、8のDCオフセット電圧を校正することもできる。また、その間に、ローパスフィルタ5、6、11、12のカットオフ周波数を校正することもできる。
【0158】
また、上記の実施形態ではベースバンド信号処理LSIとアプリケーションプロセッサとはそれぞれ別の半導体チップで構成されていたが、別な実施形態ではアプリケーションプロセッサがベースバンド信号処理LSIの半導体チップに統合された統合ワンチップとされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】図1は、本発明者等によって本発明に先立って開発されたRF ICを示すブロック図である。
【図2】図2はI、Qベースバンド信号の振幅と位相にミスマッチが付加された場合のコンスタレーション劣化を示す図である。
【図3】図3は、UMTS規格におけるWCDMA方式のバンド1、バンド2、バンド5の送受信帯域を示す図である。
【図4】図4は、本発明の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の更に他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の更に他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。
【図9】図9は、上記で説明した本発明の種々の実施形態によるRF ICと、アンテナスイッチMMICとRF電力増幅器とを内蔵したRFモジュールと、ベースバンド信号処理LSIとを搭載した携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、各種の通信方式の送受信帯域を示す図である。
【図11】図11は、図8に示した他方式送信回路TX_SPU_GSMの一例を示すブロック図である。
【図12】図12は、図8に示した他方式送信回路TX_SPU_GSMの他の一例を示すブロック図である。
【図13】図13は、図4に示すRF ICの受信誤差校正回路13の一例を示すブロック図である。
【図14】図14は、図4に示すRF ICの受信誤差校正回路13の他の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0160】
RF IC 通信用半導体集積回路
1 低雑音増幅器
25 バンドパスフィルタ
2 スイッチ
3、4 受信ミキサ
5、6 ローパスフィルタ
7、8 可変利得増幅器
9、10 A/D変換器
11、12 ローパスフィルタ
13 受信誤差校正回路
14 受信系ディジタルインターフェース
16 ゲインコントロール回路
17 90度位相シフタ
18 分周器
19 受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)
20 テスト信号生成ミキサ
21 分周器
22 送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)
23 ディジタルインターフェース用電圧制御発振器(INT−VCO)
24 分周器
26 可変利得増幅器
27 加算器
28、29 送信ミキサ
30 90度位相シフタ
31、32 可変利得増幅器
33、34 D/A変換器
35、36 ローパスフィルタ
37 送信系ディジタルインターフェース
38 ゲインコントロール回路
15 周波数マルチプライヤ
40 システム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)
42 フラクショナル分周器
41 バンドパスフィルタ
43 トリガ制御回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信用半導体集積回路およびそれを用いた無線通信端末装置に係り、特に直交複調信号における同相成分信号Iと直交成分信号Qの振幅及び位相等の受信信号の誤差を校正するためのテスト信号を生成するのに有益な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
世界中のどんな場所でも無線通信すると言う携帯電話端末等の通信端末機器の能力であるユビキタス・カバレージは、今日現実のものではなく、現在開発が進められている。
【0003】
これらのモバイルシステムは、GSM、GPRS、EDGE、WCDMA、DCS、PCSのセルラーを含んでいる。これらのシステムの特性は、一定包落線と包落線変化との信号、時分割とコード分割とのマルチプレックスの広範囲な組み合わせのマルチバンド、マルチモードへの要望が、大きくなっている。尚、GSMはGlobal System for Mobile Communicationの略であり、GPRSはGeneral Packet Radio Serviceの略である。EDGEは、Enhanced Data for GSM Evolution; Enhanced Data for GPRSの略である。WCDMAは、Wideband Code Division Multiple Accessの略である。DCSは、Digital Cellular Systemの略である。PCSは、Personal Communication Systemの略である。
【0004】
下記特許文献1には、自己テスト機能を組み込んだ無線周波数トランシーバが記載されている。このトランシーバは824〜849MHzの低RF周波数帯域と869〜894MHzの高RF周波数帯域のいずれかで受信する一方、869〜894MHzの高RF周波数帯域で送信する。トランシーバの送信機は、低RF周波数帯域の824〜849MHzの特別に符号化されたテスト信号をトランシーバの受信機に供給する。受信機でテスト信号が正常に受信されると、トランシーバの送信および受信の経路が正常に動作していることが判別されることができる。
【0005】
下記特許文献2には、RF受信信号を低IF(低い中間周波数)の信号に変換する低IF受信機において直交復調されたI信号とQ信号の位相および振幅の調整を行い不要なイメージを除去する技術が記載されている。校正モードにおいて、送信用電圧制御発振器の出力信号が直交ミキサに供給されて、位相および振幅の調整が行われる。
【0006】
また、下記特許文献3と下記非特許文献1と下記非特許文献2には、直交復調回路により復調されたI相信号とQ相信号の位相誤差を位相誤差補正回路によって補正して、直交復調回路の出力の振幅誤差補正回路がI相信号とQ相信号の振幅相誤差を補正する復調装置が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−93488号 公報
【特許文献2】特開平11−251947号 公報
【特許文献3】特開2004−40678号 公報
【非特許文献1】Jeremie Chabloz et al,“A NOVEL I/Q MISMATCH COMPENSATION SCHEME FOR A LOW−IF RECEIVER FRONT−END”, Proceedings of the International Symposium on Circuits and Systems (ISCAS 2004), vol.4, pp.453−456, 2004.
【非特許文献2】Lawrence Der et al, “A 2−GHz CMOS Image−Reject Receiver With LMS Calibration”, IEEE JOURNAL OF SOLID−STATE CIRCUITS, VOL.38, No.2, FEBRUARY 2003, pp.167−175.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
無線通信端末装置の受信機でI相信号とQ相信号の振幅及び位相成分のミスマッチ等の受信信号の誤差を短時間に高精度で校正を行うためには、受信帯域内の周波数を有するテスト信号が必要となる。前記特許文献2では、I相信号とQ相信号の振幅及び位相のミスマッチ等の受信信号の誤差を校正する際に、RF受信帯域のテスト信号を送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)から生成して受信機の直交ミキサー回路に入力している。
【0009】
一方、WCDMA、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900等の大多数の無線システムにおいてはFDD方式が採用されているため、無線通信端末のRF受信帯域の周波数はRF送信帯域の周波数よりも高く設定されている。従って、基地局とアップリンクされる多数の無線通信端末のRF送信周波数は、無線通信端末とダウンリンクされる基地局のRF送信周波数(無線通信端末のRF受信周波数)よりも低く設定することができる。その結果、無線通信端末の送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)の構成は簡単となり、多数の無線通信端末を低コストとすることが可能である。尚、FDDは、Frequency Division Duplexの略である。
【0010】
しかし、前記特許文献2に記載のように受信誤差校正用RFテスト信号を送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)から生成する場合には、下記の問題を有することが本発明者等の検討により明らかとされた。
【0011】
これは、次のようなものである。上記のようにFDD方式の無線通信端末のRF送信周波数はRF受信周波数よりも低くできるので、多数の無線通信端末を低コストとすることが可能である。しかし、受信誤差校正用RFテスト信号を送信用Tx−VCOから生成する場合には、送信用Tx−VCOは、低い方のRF送信周波数だけではなく、高い方のRF受信周波数もカバーする必要がある。そのためには、周波数制御信号により制御される可変容量素子の容量値よりも、送信用Tx−VCOの寄生容量の容量値を十分低減する必要が有る。一般的に、無線通信端末の受信機は、RF受信信号よりも高レベルのRF送信信号を出力する必要があるので、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)と比較すると、送信用Tx−VCOの消費電力が大きい。このように送信用Tx−VCOが低い方のRF送信周波数だけではなく高い方のRF受信周波数もカバーするためには、発振器の寄生容量を低減する必要があり、また消費電力も大きい。また、ダイレクトコンバージョン送受信機で、送信用Tx−VCOと受信用Rx−VCOの発振周波数が非常に近い場合には、2つの電圧制御発振器はインジェクションロックを引き起こし、RFテスト信号のS/N比が著しく劣化する可能性がある。
【0012】
本発明者は本発明に先立って、WCDMA方式の通信が可能なRFアナログ信号処理半導体集積回路(RF IC)の開発に従事した。この開発において、受信誤差校正用テスト信号を送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)から生成するのではなく、元々高い方のRF受信周波数もカバーする受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)から生成することが検討された。
【0013】
図3は、UMTS規格におけるWCDMA方式のBand1、Band2、Band5の送受信帯域を示す図である。尚、UMTSは、Universal Mobile Telecommunication Systemの略である。
【0014】
すなわち、UMTS規格におけるWCDMA方式の一番低い周波数帯域のBand5(地域は米国)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が824〜849MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は869〜894MHzとなっている。同様に、WCDMA方式のBand2(地域は欧州)の場合も、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1850〜1910MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は1930〜1990MHzとなっている。また、UMTS規格におけるWCDMA方式の一番高い周波数帯域のBand1(地域は米国)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1920〜1980MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は2110〜2170MHzとなっている。このように、いずれの周波数帯域(バンド)においても、受信帯域周波数RXが送信帯域周波数TXよりも高い。
【0015】
従って、RF ICの受信誤差校正用テストは、全バンドに対して実行されなければならないが、WCDMA方式の一番高い周波数のBand1でのテスト条件が電圧制御発振器の発振周波数の観点から一番厳しい。この時の周波数帯域Band1の受信誤差校正用RFテスト信号を周波数帯域が2110〜2170MHzであるRF受信信号RXを発振する受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)から生成することが検討された。
【0016】
図1は、本発明者等によって本発明に先立って開発されたRF ICを示すブロック図である。このRF ICは、受信誤差校正用テスト信号を受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)から生成するよう構成されている。すなわちRF ICは、低雑音増幅器1、バンドパスフィルタ25、受信ミキサ3、4、ローパスフィルタ5、6、11、12、可変利得増幅器7、8、A/D変換器9、10、ゲインコントロール回路16、90度位相シフタ17、分周器18、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19を含んでいる。また、RF ICは、受信誤差校正用テストのために、スイッチ2、受信誤差校正回路13、テスト信号生成ミキサ39も含んでいる。
【0017】
このRF ICの受信モードでは、携帯電話等の無線通信端末のアンテナANTで受信されたWCDMA方式のRF受信信号は低雑音増幅器1で増幅された後、バンドパスフィルタ25、スイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19からの発振出力信号は分周器18に供給され、分周器18の出力信号は90度位相シフタ17に供給される。分周器18の出力と90度位相シフタ17の出力からの受信用ローカル信号が受信ミキサ3、4の他方の入力端子に供給されることによって、受信ミキサ3、4の出力からI相アナログベースバンド信号とQ相アナログベースバンド信号とが生成される。I、Qアナログベースバンド信号がローパスフィルタ5、6と可変利得増幅器7、8とを介してA/D変換器9、10に供給される。A/D変換器9、10の出力より、I、Qディジタルベースバンド信号Rx_DBBS_I、Rx_DBBS_Qが生成される。I、Qディジタルベースバンド信号Rx_DBBS_I、Rx_DBBS_Qの受信誤差が受信誤差校正回路13にて校正された後、図示しないベースバンド信号処理用LSI(BB_LSI)に供給される。尚、WCDMA方式に対応する受信ミキサ3、4の出力からのI、Qアナログベースバンド信号の周波数帯域は略2MHzと広帯域であるので、ローパスフィルタ5、6のカットオフ周波数も略2MHzに設定されている。
【0018】
ここで、一定の振幅と一定の位相とを有するRF信号が受信ミキサ3、4に供給される条件では、A/D変換器9、10から出力されるI、Qディジタルベースバンド信号は、理想的には振幅が等しく、位相が90度異なる。これは、一方の受信ミキサ3と他方の受信ミキサ4とが一定の振幅と一定の位相とを有するRF信号を分周器18の出力の位相ゼロ度の受信用ローカル信号のタイミングと90度位相シフタ17の位相90度の受信用ローカル信号のタイミングとでサンプリングを行うためである。しかし、実際のRF ICにおいては、製造プロセスによる素子ばらつきにより、受信ミキサ3、4、ローパスフィルタ5、6、可変利得増幅器7、8、A/D変換器9、10のそれぞれに回路ばらつきが生じる。そのために、A/D変換器9、10から出力されるI、Qベースバンド信号には、振幅と位相のミスマッチ等の受信誤差が付加される。
【0019】
図2はI、Qベースバンド信号の振幅と位相にミスマッチが付加された場合のコンスタレーション劣化を示す図である。RF ICに回路ばらつきがない場合には、理想的な正弦波と余弦波がI、Qベースバンド信号として得られるため、コンスタレーションは図2の(a)のように完全な円形となる。一方、位相ミスマッチが付加された場合や振幅ミスマッチが付加された場合には、図2の(b)、(c)に示すように、完全な円形にならず、振幅と位相情報とが劣化する。WCDMA方式やEDGE方式のように高い通信転送レートを実現するため位相変調だけでなく振幅変調も活用する通信を行う場合においては、振幅と位相情報との劣化は重大な影響を及ぼす。すなわち、I、Qベースバンド信号のミスマッチは、位相変調だけでなく振幅変調も活用するWCDMA方式やEDGE方式の通信品質を著しく劣化させる。従って、高通信品質のWCDMA方式やEDGE方式の通信を行うRF ICを実現するためには、「送受信モード」に先立った「校正モード」においてI、Qベースバンド信号のミスマッチを校正することが必要となる。従って、「送受信モード」に先立った「校正モード」でのミスマッチの校正により、「受信モード」でA/D変換器9、10のI、Qディジタルベースバンド信号の受信誤差が受信誤差校正回路13にて校正されることが可能となる。
【0020】
このRF ICの校正モードでは、テスト条件が一番厳しいWCDMA方式の一番高い周波数帯域Band1の2110〜2170MHzの帯域内の受信誤差校正用RFテスト信号が、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19と分周器18とにより形成される。この受信誤差校正用RFテスト信号は、テスト信号生成ミキサ39とスイッチ2とを介して、受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。分周器18の分周数が2に設定され、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19から発振される校正モード発振周波数は4.28GHzに設定されているので、テスト信号生成ミキサ39の一方の入力端子にはWCDMA方式のBand1の周波数帯域内の2.14GHzの信号が供給される。この状態で、前記特許文献3と前記非特許文献1と前記非特許文献2に記載されているように、I、Qベースバンド信号の振幅誤差と位相誤差とが受信誤差校正回路13にて校正されるはずである。
【0021】
しかし、本発明者等の検討によれば、図1に示すように受信誤差校正用RFテスト信号を受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)から生成すると、位相誤差校正前の正しい位相誤差の検出が行えず、正しい位相誤差校正も行えないと言う問題が明らかとされた。
【0022】
すなわち、上述のように、WCDMA方式のアナログベースバンド信号の周波数帯域が略2MHzであるので、その略半分の周波数1MHzを受信ミキサ3、4の出力での復調テスト信号の周波数に設定する。従って、テスト信号生成ミキサ39の他方の入力端子には、周波数1MHzの変調信号LOIFが供給される。その結果、テスト信号生成ミキサ39の出力から、2.14GHz+1MHz=2141MHzと2.14GHz−1MHz=2139MHzとが生成される。
【0023】
受信ミキサ3、4の一方の入力端子にはスイッチ2を介してテスト信号生成ミキサ39の出力の2139MHzと2141MHzとのRFテスト信号が供給され、受信ミキサ3、4の他方の入力端子には分周器18の出力から2140MHzの信号が供給される。従って、受信ミキサ3、4の出力から、+1MHzと−1MHzの正弦波と余弦波との復調テスト信号が出力される。ローパスフィルタ5、6のカットオフ周波数は、略2MHzに設定されている。従って、受信ミキサ3、4の出力からの復調テスト信号は、ローパスフィルタ5、6、可変利得増幅器7、8、A/D変換器9、10、ローパスフィルタ11、12を経由して受信誤差校正回路13に供給される。受信ミキサ3、4の出力からの+1MHzと−1MHzの正弦波と余弦波との復調テスト信号が上記回路を経由する間に、+1MHzと−1MHzの正弦波と余弦波とが受ける位相回転は逆方向となる。その結果、受信誤差校正回路13での+1MHzと−1MHzの正弦波と余弦波との位相誤差が正と負とに存在して、位相誤差校正前の正しい位相誤差検出が行えず、正しい位相誤差校正も行えないと言う誤動作の問題が本発明者等の検討により明らかとされた。
【0024】
従って、このように本発明は、本発明者等によって本発明に先立ってなされた検討を基にしてなされたものである。また、本発明の目的は、受信ミキサに接続された復調信号処理回路の出力のI相信号とQ相信号との受信誤差を校正するための受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、送信用Tx−VCOが高い方のRF受信信号の周波数をカバーすることを回避することにある。更に、本発明の他の目的とするところは、受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、受信誤差校正での誤動作を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本願において開示される発明のうち代表的なものについて簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0026】
即ち、通信用半導体集積回路は、校正モードでRFテスト信号生成ユニットは、送信用Tx−VCOの発振出力信号と他の回路とを利用してマルチバンド無線周波数通信の最高周波数バンドのRF送信信号の周波数よりも高い周波数のRF受信周波数バンド内の周波数を有するRFテスト信号を生成する。従って、受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、送信用Tx−VCOが低い方のRF送信信号の周波数だけでなく高い方のRF受信信号の周波数をカバーすることを回避することができる。
【発明の効果】
【0027】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0028】
すなわち、受信ミキサに接続された復調信号処理回路の出力のI相信号とQ相信号との受信誤差を校正するための受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、送信用Tx−VCOが高い方のRF受信信号の周波数をカバーすることを回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
《代表的な実施の形態》
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0030】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る通信用半導体集積回路(RF IC)は無線通信端末に搭載されて、基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有する(図3参照)。
【0031】
前記通信用半導体集積回路は、低雑音増幅器(1)、受信ミキサ(3、4)、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO、19)、復調信号処理回路(5、6、7、8、9、10、11、12)、受信誤差校正回路(13)を含む(図4参照)。
【0032】
前記低雑音増幅器は、前記無線通信端末のアンテナ(ANT)により受信されるRF受信信号を増幅する。
【0033】
前記受信ミキサの一方の入力端子には前記低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、前記受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した受信用ローカル信号が供給される。前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの出力端子の直交復調受信信号を処理する。前記集積回路の受信モードで、前記受信ミキサと前記復調信号処理回路とより、前記マルチバンド無線周波数通信の複数の周波数バンドで最高の周波数を有する最高周波数バンド(Band1)のRF受信信号(RX)が処理可能となっている。
【0034】
前記受信誤差校正回路は、前記集積回路の校正モードにおいて、前記復調信号処理回路の出力端子の直交復調受信信号の誤差を校正する。
【0035】
前記集積回路は、更に変調信号処理回路(35、36、33、34、31、32)、送信ミキサ(28、29)、送信用電圧制御発振器(Tx−VCO、22)を含む(図4参照)。
【0036】
前記変調信号処理回路は、直交送信信号を処理する。
【0037】
前記送信ミキサの一方の入力端子には前記変調信号処理回路の直交送信出力信号が供給され、前記送信ミキサの他方の入力端子には前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答した送信用ローカル信号が供給される。前記集積回路の送信モードで、前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答して前記送信ミキサの出力より、前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドのRF送信信号(TX)が生成可能となっている。
【0038】
前記集積回路は、前記集積回路の前記校正モードにおいて前記受信誤差校正回路による誤差校正のためRFテスト信号を生成して前記RFテスト信号を前記受信ミキサの前記一方の入力端子に供給するRFテスト信号生成ユニット(20)を更に含む。
【0039】
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号を利用して前記RFテスト信号を生成する。
【0040】
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットから生成される前記RFテスト信号は、前記マルチバンド無線周波数通信の複数の周波数バンドで前記最高周波数バンドの前記RF送信信号の周波数よりも高い周波数の前記RF受信信号のRF受信周波数バンド内の周波数を有する。
【0041】
従って、前記実施の形態によれば、前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号を利用して前記最高周波数バンドの前記RF送信信号の周波数よりも高い周波数のRF受信周波数バンド内の周波数を有する前記RFテスト信号を生成することができる。従って、受信誤差校正用RFテスト信号を生成する際に、送信用Tx−VCOが低い方のRF送信信号の周波数だけでなく高い方のRF受信信号の周波数をカバーすることを回避することができる。
【0042】
好適な形態として、前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドの前記R受信信号の周波数と前記RF送信信号の周波数とはそれぞれWCDMA方式の略2110MHz〜2170MHzと略1920MHz〜1980MHzとに設定されている(図3参照)。
【0043】
より好適な形態として、前記集積回路は、他の低雑音増幅器(LNA1…4)、他の受信ミキサ(RX−MIX_I、Q)、他の復調信号処理回路(PGAI1…3、PGAQ1…3)を更に含む。前記他の低雑音増幅器は、前記無線通信端末の前記アンテナにより受信されるGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF受信信号を増幅することが可能に構成されている。前記他の受信ミキサの一方の入力端子には前記他の低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、前記他の受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した受信用ローカル信号が供給される。前記他の復調信号処理回路は、前記他の受信ミキサの出力端子の他の直交復調受信信号を処理する。前記集積回路の受信モードで、前記他の受信ミキサと前記他の復調信号処理回路とより、前記PCS1900の方式のRF受信信号が処理可能となっている。前記受信誤差校正回路は、前記集積回路の校正モードにおいて、前記他の復調信号処理回路の出力端子の直交復調受信信号の誤差を校正する。前記集積回路は、更に他の送信ミキサ、送信系オフセットPLL回路を含む。前記変調信号処理回路は、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信信号を処理することが可能に構成される。前記他の送信ミキサの一方の入力端子には、前記変調信号処理回路のGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信出力信号が供給される。前記他の送信ミキサの他方の入力端子には中間周波信号が供給され、前記他の送信ミキサの出力の中間周波送信信号は前記送信系オフセットPLL回路の入力に供給される。前記集積回路の前記送信モードで、前記送信系オフセットPLL回路の出力よりGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF送信信号が生成可能となっている。前記集積回路の前記校正モードにおいて前記RFテスト信号生成ユニットから生成されるPCS1900の方式のRF受信信号の周波数の略1930MHz〜1990MHzの周波数を有する前記RFテスト信号が受信ミキサの前記一方の入力端子に供給される(図8参照)。
【0044】
更により好適な形態として、前記変調信号処理回路は位相変調ともに振幅変調を使用するEDGE方式に対応するポーラループ方式とポーラモジュレータ方式のいずれかの方式で構成される。前記送信系オフセットPLL回路は、前記いずれかの方式の位相変調のための位相ループ(PM LP)と前記いずれかの方式の振幅変調のための振幅ループ(AM LP)とを含む(図11、図12参照)。
【0045】
具体的な一つの形態として、前記集積回路の前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの前記出力端子の前記直交復調受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換器を含む。前記集積回路の前記変調信号処理回路は、前記変調信号処理回路の直交送信出力信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換器を含む。前記集積回路は、ベースバンド信号処理を行うLSIへディジタル信号の前記直交復調受信信号を出力する一方、前記LSIからディジタル信号の直交送信出力信号が供給されるディジタルインターフェース(14、37)を含む。前記集積回路は、前記ディジタルインターフェースに供給するディジタルインターフェース基準信号を生成するディジタルインターフェース基準信号生成ユニット(23、24)を更に含む。前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記ディジタルインターフェース信号生成ユニットの出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成する(図4参照)。
【0046】
他の具体的な一つの形態として、前記集積回路は、前記受信用ローカル信号と前記送信用ローカル信号とを生成する際のシステム基準信号を生成するシステム基準電圧制御発振器(DCX−VCO;40)を更に含む。前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記システム基準電圧制御発振器の発振出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成する(図5参照)。
【0047】
更に他の具体的な一つの形態として、前記集積回路は、分周数が分数を含み前記送信用電圧制御発振器の出力に入力が接続されたフラクショナル分周器(42)を更に含む。前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号が前記入力に供給された前記フラクショナル分周器の出力から前記RFテスト信号を生成する(図6参照)。
【0048】
また他の具体的な一つの形態として、前記集積回路は、前記校正モードで前記送信用電圧制御発振器を制御する制御回路(43)を更に含む。前記校正モードでは前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数は、前記マルチバンド無線周波数通信の前記複数の周波数バンドのいずれの周波数バンドでの前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数よりも低く制御される。前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記制御回路によって制御された前記送信用電圧制御発振器の前記校正モードでの前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号を前記RFテスト信号として生成する(図7参照)。
【0049】
〔2〕別の観点による通信用半導体集積回路は、無線通信端末に搭載されて、基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有する。前記集積回路では、ベースバンド信号処理を行うLSIからの直交送信信号からRF送信信号への周波数アップコンバージョンを送信ミキサ(28、29)で行い、アンテナで受信されるRF受信信号から直交復調受信信号への周波数ダウンコンバージョンを受信ミキサ(3、4)で行う。前記周波数アップコンバージョンでは、送信用電圧制御発振器(22)の出力に応答した送信用ローカル信号が前記送信ミキサに供給される。前記周波数ダウンコンバージョンでは、受信用電圧制御発振器(19)の出力に応答した受信用ローカル信号が前記受信ミキサに供給される。前記受信ミキサの出力から復調信号処理回路により直交復調受信出力信号が形成されるものである。
【0050】
前記集積回路は、前記集積回路の校正モードにおいてRFテスト信号を生成して前記受信ミキサに供給するRFテスト信号生成ユニット(20)を含む。
【0051】
前記集積回路は、前記集積回路の前記校正モードにおいて前記RFテスト信号が供給された前記受信ミキサの出力に応答する前記復調信号処理回路よりの前記直交復調受信出力信号の誤差を校正する受信誤差校正回路(13)を含む。それにより受信誤差校正回路は、前記集積回路の受信モードで前記RF受信信号に応答する前記受信ミキサの出力に応答する前記復調信号処理回路よりの前記直交復調受信出力信号の誤差を減少するものである。
【0052】
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号を利用して前記RFテスト信号を生成する。
【0053】
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットから生成される前記RFテスト信号は、前記マルチバンド無線周波数通信の複数の周波数バンドで最高周波数バンドのRF送信信号の周波数よりも高い周波数の前記RF受信信号のRF受信周波数バンド内の周波数を有する(図4参照)。
【0054】
〔3〕本発明の他の実施の形態に係る基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有する無線通信端末装置は、ベースバンド信号処理を行うLSIと、通信用半導体集積回路(RF_IC)とを含む。前記集積回路は、前記LSIからの直交送信信号からRF送信信号への周波数アップコンバージョンを送信ミキサ(28、29)で行い、アンテナで受信されるRF受信信号から直交復調受信信号への周波数ダウンコンバージョンを受信ミキサ(3、4)で行うものである。前記無線通信端末装置は、更に電力増幅器(HPA1、2、W_PA1、2)と、アンテナスイッチ半導体集積回路(ANT_SW)とを含む。前記電力増幅器は、前記通信用半導体集積回路から生成される前記RF送信信号を増幅して前記アンテナへ供給する。前記アンテナスイッチ半導体集積回路は、前記アンテナで受信される前記RF受信信号を前記通信用半導体集積回路に供給するとともに、前記電力増幅器の出力信号を前記アンテナへ供給する(図9参照)。
【0055】
前記集積回路は、前記〔1〕または前記〔2〕の欄にて説明した通信用半導体集積回路(RF IC)である。
【0056】
《実施の形態の説明》
次に、実施の形態について更に詳述する。
【0057】
《RF ICの構成》
図4は、本発明の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。このRF ICでは、受信誤差校正用RFテスト信号は送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)を利用して生成されるよう構成されている。
【0058】
《RF ICの受信ユニット》
すなわち図4に示すRF ICの受信ユニットは、低雑音増幅器1、バンドパスフィルタ25、スイッチ2、受信ミキサ3、4、ローパスフィルタ5、6、可変利得増幅器7、8を含んでいる。更に、RF ICの受信ユニットは、A/D変換器9、10、ローパスフィルタ11、12、受信誤差校正回路13、ゲインコントロール回路16、90度位相シフタ17、分周器18、受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19、受信系ディジタルインターフェース14を含んでいる。
【0059】
《RF ICの受信モード》
このRF ICの受信モードでは、携帯電話等の無線通信端末のアンテナANTで受信されたWCDMA方式のRF受信信号は低雑音増幅器1で増幅された後、バンドパスフィルタ25、スイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。受信用Rx−VCO19からの発振出力信号は分周器18に供給され、分周器18の出力信号は90度位相シフタ17に供給される。分周器18の出力と90度位相シフタ17の出力からの受信用ローカル信号がミキサ3、4の他方の入力端子に供給されることによって、ミキサ3、4の出力からI相アナログベースバンド信号とQ相アナログベースバンド信号とが生成される。I、Qアナログベースバンド信号がローパスフィルタ5、6と可変利得増幅器7、8とを介してA/D変換器9、10に供給される。A/D変換器9、10の出力より、I、Qディジタルベースバンド信号が生成される。尚、A/D変換器9、10の出力に接続されたディジタルフィルタで構成されたローパスフィルタ11、12は、妨害波とA/D変換の際の量子化雑音を低減するためのものである。受信誤差校正回路13にてI、Qディジタルベースバンド信号の受信誤差が校正された後、I、Qディジタルベースバンド受信信号RxDBI、RxDBQは受信系ディジタルインターフェース14を介して図示しないベースバンド信号処理用LSIに供給される。ベースバンド信号処理用LSIでは、I、Qディジタルベースバンド受信信号RxDBI、RxDBQの位相復調と振幅復調等の復調処理が行われる。また、受信系ディジタルインターフェース14は、EMI(電磁干渉)対策のため、例えばLVDS(Low Voltage Differential Signalling)等の回路により構成されている。尚、受信ミキサ3、4の出力からのI、Qアナログベースバンド信号の周波数帯域は、略2MHzと広帯域である。従って、ローパスフィルタ5、6のカットオフ周波数も、略2MHzに設定されている。受信誤差校正回路13は、前記特許文献3と前記非特許文献1と前記非特許文献2のいずれかに記載されている回路を使用することができる。
【0060】
図13は、図4に示すRF ICの受信誤差校正回路13の一例を示すブロック図である。受信誤差校正回路13は、誤差補正アルゴリズムに従って振幅誤差と位相誤差とを校正するための補正値を算出する制御ユニット13_0を含む。振幅補正ユニット13_1は、制御ユニット13_0からの振幅補正値に従って主としてI相信号が伝達される信号線の振幅を補正する。位相補正ユニット13_4は、制御ユニット13_0からの位相補正値に従って主としてI相信号が伝達される信号線の位相を補正する。主としてI相信号が伝達される信号線と主としてI相信号が伝達される信号線の信号経路には加算器13_2、13_3、13_5、13_6が配置されている。
【0061】
図14は、図4に示すRF ICの受信誤差校正回路13の他の一例を示すブロック図である。受信誤差校正回路13は、誤差補正アルゴリズムに従って振幅誤差と位相誤差とを校正するための補正値を算出する制御ユニット13_0を含む。位相補正ユニット13_1は、制御ユニット13_0からの位相補正値に従ってI相信号が伝達される信号線の位相を補正する。利得補正ユニット13_2は、制御ユニット13_0からの利得補正値に従ってQ相信号が伝達される信号線の位相を補正する。
【0062】
《RF ICの送信ユニット》
図4に示すRF ICの送信ユニットは、送信系ディジタルインターフェース37、ローパスフィルタ35、36、D/A変換器33、34、可変利得増幅器31、32、90度位相シフタ30、送信ミキサ28、29、加算器27、可変利得増幅器26、ゲインコントロール回路38を含んでいる。RF ICの受信ユニットは、更に送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)22と分周器21とを含んでいる。
【0063】
《RF ICの送信モード》
送信時においては、ベースバンド信号処理用LSIからI、Qディジタルベースバンド送信信号TxDBI、TxDBQが、EMI対策のため例えばLVDS回路で構成された送信系ディジタルインターフェース37に供給される。ローパスフィルタ35、36により高周波雑音が除去されたディジタルベースバンド送信信号は、D/A変換器33、34によってアナログベースバンド送信信号に変換される。D/A変換器33、34の出力のアナログベースバンド送信信号は、可変利得増幅器31、32により増幅された後、送信ミキサ28、29の一方の入力端子に供給される。送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)22からの発振出力信号は分周器21に供給され、分周器21の出力信号は90度位相シフタ30に供給される。分周器21の出力と90度位相シフタ30の出力からの送信用ローカル信号が送信ミキサ28、29の他方の入力端子に供給されることによって、送信ミキサ28、29の出力からI相RF送信信号とQ相RF送信信号とが生成される。I相RF送信信号とQ相RF送信信号とは加算器27でベクトル合成されることにより、加算器27の出力のRF送信信号は、可変利得増幅器26とRF IC外部のRF電力増幅器で増幅された後、携帯電話等の無線通信端末のアンテナANTに供給される。
【0064】
《RF ICのディジタルインターフェース》
受信系ディジタルインターフェース14と送信系ディジタルインターフェース37とは、ディジタルインターフェース用電圧制御発振器(INT−VCO)23と分周器24により生成されるディジタルインターフェース基準信号により動作する。ディジタルインターフェース用電圧制御発振器(INT−VCO)23の発振出力周波数は1248MHzであり、分周器24の分周数は4であるので、分周器24の出力のディジタルインターフェース基準信号の周波数は312MHzとなる。従って、送受信ディジタルインターフェース14、37は、ディジタルインターフェース基準信号に応答してベースバンド信号処理用LSIとの間で156Mbpsの転送レートのディジタルベースバンド送受信信号を送受信する。
【0065】
《RF ICのRFテスト信号生成ユニット(送信用Tx−VCOとディジタルインターフェース用VCOとの組合せ)》
図4に示すRF ICのRFテスト信号生成ユニットは、テスト信号生成ミキサ20を含んでいる。テスト信号生成ミキサ20の一方の入力端子と他方の入力端子とには、送信用Tx−VCO22に接続された分周器21からの分周出力信号とディジタルインターフェース用INT−VCO23に接続された分周器24からの分周出力信号とが供給される。RF ICの校正モードで、テスト信号生成ミキサ20の出力のRFテスト信号はスイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。
【0066】
《RF ICの校正モード》
次に「校正モード」について説明する。「校正モード」は、図4に示したRF ICが受信誤差の校正を行うための動作モードである。「校正モード」は、RF ICの電源投入直後もしくは、RF ICのアイドル状態からの立ち上がり直後で「送受信モード」の前に実行される。
【0067】
受信誤差校正回路13は、RF ICの校正モードにおいてRFテスト信号が供給された受信ミキサ3、4の出力に応答する復調信号処理回路5、6、7、8、9、10、11、12よりの直交復調受信出力信号の誤差を校正する。それによって受信誤差校正回路13は、RF ICの受信モードでアンテナANTのRF受信信号に応答する復調信号処理回路5、6、7、8、9、10、11、12よりの直交復調受信出力信号の誤差を校正するものである。RF ICの電源投入直後もしくは、RF ICのアイドル状態からの立ち上がり直後の「校正モード」で受信誤差校正回路13により生成された校正情報は、RF ICの内部RAMに格納されることができる。RF ICの工場出荷時またはRF ICを搭載した携帯電話の工場出荷時の「校正モード」で受信誤差校正回路13により生成された校正情報は、携帯電話のフラッシュメモリ等の不揮発性メモリに格納されることができる。このフラッシュメモリ等の不揮発性メモリには、アプリケーションプロセッサのための種々のアプリケーションプログラムも格納されることができる。
【0068】
前記したように、受信誤差校正回路13には、例えば前記特許文献3と前記非特許文献1と前記非特許文献2に記載された回路を使用することができる。受信誤差校正回路13は、「校正モード」で3、4、5、6、7、8、9、10の番号の回路を経由した復調テスト信号の誤差を検出して、繰り返し演算によって「受信モード」でのI、Qベースバンド受信信号の誤差補正値を算出する。アナログベースバンド受信信号の周波数帯域に近い復調テスト信号を受信ミキサ3、4の出力に生成するためには、受信ミキサ3、4に受信誤差校正用RFテスト信号を供給することが必要である。基地局からの受信信号を受信誤差校正用RFテスト信号をテスト信号として用いることも可能であるが、基地局からの受信信号はレベルが一定ではなく、また周波数変調が施されているので短時間に精度の高い補正値を算出することは困難である。
【0069】
尚、受信誤差校正用RFテスト信号の周波数をftestとし、受信用Rx−VCO19の分周によるRF受信ローカル信号Rx−LOの周波数をfRx−LOとし、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域をfBWとすると、図4のRF ICでは次式の関係が満足される必要がある。
【0070】
|fRx−LO−ftest|≦fBW (数1)
また、図4に示したRF ICは、図3に示したUMTS規格のWCDMA方式のBand1、Band2、Band5の送受信帯域をカバーするように送受信動作を行う。すなわち、WCDMA方式のBand1、Band2の受信モードでは、受信用Rx−VCO19に接続された分周器18の分周数は2に設定される。またWCDMA方式のBand5の受信モードでは、受信用Rx−VCO19に接続された分周器18の分周数は4に設定される。また、WCDMA方式のBand1、Band2の送信モードでは、送信用Tx−VCO22に接続された分周器21の分周数は2に設定される。またWCDMA方式のBand5の送信モードでは、送信用Tx−VCO22に接続された分周器21の分周数は4に設定される。
【0071】
従って、受信用Rx−VCO19は、WCDMA方式のBand5の最低受信周波数869MHzの4倍の3476MHzからWCDMA方式のBand1の最高受信周波数2170MHzの2倍の4340MHzまでの発振周波数をカバーする。
【0072】
また、送信用Tx−VCO22は、WCDMA方式のBand5の最低送信周波数824MHzの4倍の3296MHzからWCDMA方式のBand1の最高送信周波数1980MHzの2倍の3960MHzまでの発振周波数をカバーする。
【0073】
また、テスト条件が一番厳しいWCDMA方式の一番高い周波数のBand1での「校正モード」で送信用Tx−VCO22は、WCDMA方式のBand2とBand5との間の送信に対応する3656MHzの比較的低い発振周波数で発振する。従って、分周数2に設定された分周器21からテスト信号生成ミキサ20の一方の入力端子に、1828MHzの分周信号が供給される。テスト信号生成ミキサ20の他方の入力端子には、ディジタルインターフェース用INT−VCO23に接続された分周器24から312MHzの周波数のディジタル基準信号が供給されている。従って、テスト信号生成ミキサ20の出力から2140MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と1516MHzのイメージ信号とが生成され、スイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。
【0074】
一方、受信用Rx−VCO19は、WCDMA方式のBand1の受信周波数帯域に対応する4278MHzの発振周波数で発振している。従って、分周数2に設定された分周器18の出力から、2139MHzの分周出力信号が生成される。分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、2139MHzの校正用ローカル信号が供給される。
【0075】
従って、受信ミキサ3、4では、2140MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と2139MHzの校正用ローカル信号とのミキシングと1516MHzのイメージ信号と2139MHzの校正用ローカル信号とのミキシングとが行われる。前者のミキシングで、1MHz(=2140MHz−2139MHz)の周波数の信号と4279MHz(=2140MHz+2139MHz)の信号とが生成される。後者のミキシングで、3655MHz(=1516MHz+2139MHz)の周波数の信号と−623MHz(=1516MHz−2139MHz)の周波数の信号とが生成される。
【0076】
WCDMA方式のベースバンド受信信号の周波数帯域fBWの略2MHz(正確には、1.92MHz程度)に設定されているので、受信ミキサ3、4の出力に接続されたローパスフィルタ5、6の信号通過周波数帯域も略2MHzに設定されている。受信ミキサ3、4でのミキシングにより生成された4個の周波数の信号のうち最初の1MHz(=2140MHz−2139MHz)の周波数の信号のみが復調テスト信号として可変利得増幅器7、8以降の受信回路に供給され、他の3個の周波数の信号はローパスフィルタ5、6で十分な減衰量に減衰される。
【0077】
尚、受信誤差校正用RFテスト信号の周波数ftestは2140MHzで、RF受信ローカル信号Rx−LOの周波数をfRx−LOは2139MHzで、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、前記(数1)の関係が満足されている。
【0078】
またテスト信号生成ミキサ20で形成される−1516MHz(=312MHz−1828MHz)の周波数の他のイメージ信号がローパスフィルタ5、6で減衰されるように、分周器21、24出力信号の周波数を設定する必要がある。ディジタルインターフェース用分周器24の分周信号周波数をfDigとし、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域をfBWとすると、図4のRF ICでは次式の関係が満足される必要がある。
【0079】
fDig≧2fBW (数2)
尚、ディジタルインターフェース用分周器24の分周信号周波数fDigは312MHzで、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、
312MHz≧4MHzとなって、
前記(数2)の関係が満足されている。
【0080】
以上のようにWCDMA方式のBand1での受信誤差校正について説明したが、同様な方法によりWCDMA方式のBand2、Band5での受信誤差校正を行うことが可能である。
【0081】
WCDMA方式のBand2での受信誤差校正を行う場合には、WCDMA方式のBand2の最低受信周波数1930MHzと最高受信周波数1990MHzの略中間の周波数1960MHzの受信誤差校正用RFテスト信号を、テスト信号生成ミキサ20の出力から生成する。送信用Tx−VCO22から3296MHzの発振信号を発生させ、分周器21からの1648MHzの分周出力と分周器24からの312MHzの分周出力とをテスト信号生成ミキサ20に供給する。テスト信号生成ミキサ20から、周波数1960MHzの受信誤差校正用RFテスト信号が生成される。また、分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、1959MHzの校正用ローカル信号を供給する。受信用Rx−VCO19にBand2の受信周波数帯域内の3916MHzを発振させると、分周数2に設定された分周器18から1959MHzの校正用ローカル信号が生成される。
【0082】
WCDMA方式のBand5での受信誤差校正を行う場合には、WCDMA方式のBand5の最低受信周波数869MHzと最高受信周波数894MHzとの略中間の周波数881MHzの受信誤差校正用RFテスト信号を、テスト信号生成ミキサ20の出力から生成する。送信用Tx−VCO22から3368MHzの発振信号を発生させ、分周数4に設定された分周器21からの842MHzの分周出力と分周器24(32分周)からの39MHzの分周出力とをテスト信号生成ミキサ20に供給する。テスト信号生成ミキサ20から、周波数881MHzの受信誤差校正用RFテスト信号が生成される。また、分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、880MHzの校正用ローカル信号を供給する。受信用Rx−VCO19にBand2の受信周波数帯域内の3520MHzを発振させると、分周数4に設定された分周器18から880MHzの校正用ローカル信号が生成される。
【0083】
《他の実施形態によるRF IC》
《送信用Tx−VCOとシステム基準電圧制御発振器DCX−VCOとの組合せによるRFテスト信号の生成》
図5は、本発明の他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。このRF ICでも、受信誤差校正用RFテスト信号は送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)を利用して生成されるよう構成されている。
【0084】
図5に示したRF ICは、図4に示したRF ICと受信誤差校正用RFテスト信号を形成するRFテスト信号生成ユニットの構成が異なっており、その他の構成は同一である。図5に示すRF ICのRFテスト信号生成ユニットのテスト信号生成ミキサ20の一方の入力端子には、図4と同様に送信用Tx−VCO22に接続された分周器21からの分周出力信号が供給される。しかし、テスト信号生成ミキサ20の他方の入力端子には、システム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)40に接続された周波数マルチプライヤ15からの出力信号が供給される。システム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)40は、RF ICの送受信動作のためのPLL周波数シンセサイザ中に存在してRF受信用ローカル信号とRF送信用ローカル信号とを生成する際のシステム基準信号を生成するものである。システム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)40は、発振周波数を決定するための水晶振動子を含む。更にシステム基準DCX−VCO40にはベースバンド信号処理LSIからAFC(自動周波数制御)信号が供給されるため、システム基準DCX−VCO40は26MHzの極めて安定な周波数に維持されたシステム基準信号を発振する。
【0085】
送信用TX−VCO22がWCDMA方式のBand1に対応する3858MHzで発振しているので、分周数が2に設定された分周器21から1928MHzの分周信号が生成されて、テスト信号生成ミキサ20の一方の入力端子に供給される。一方、システム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)40は、上記のように26MHzの安定な周波数のシステム基準信号を発振している。周波数マルチプライヤ15の周波数乗算係数Mは8に設定されているので、周波数マルチプライヤ15の出力から208MHzの周波数乗算出力信号が生成される。尚、周波数マルチプライヤ15は、例えばPLL(Phase Locked Loop)回路で構成されることができる。PLL回路は、一方の入力端子に26MHzのシステム基準信号が供給される位相比較器と、位相比較器の出力により制御されて208MHzの出力を発振する電圧制御発振器と、分周数8に設定された分周器とによって構成される。分周数8に設定された分周器は、電圧制御発振器の出力と位相比較器の他方の入力端子との間に接続される。
【0086】
テスト信号生成ミキサ20では、分周器21から1928MHzの分周信号と周波数マルチプライヤ15の出力から208MHzの乗算出力信号とのミキシングが行われる。従って、テスト信号生成ミキサ20の出力から2136MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と1720MHzのイメージ信号とが生成され、スイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。
【0087】
一方、受信用Rx−VCO19は、WCDMA方式のBand1の受信周波数帯域に対応する4270MHzの発振周波数で発振している。従って、分周数2に設定された分周器18の出力から、2135MHzの分周出力信号が生成される。分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、2135MHzの校正用ローカル信号が供給される。
【0088】
従って、受信ミキサ3、4では、2136MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と2135MHzの校正用ローカル信号とのミキシングと1720MHzのイメージ信号と2135MHzの校正用ローカル信号とのミキシングとが行われる。前者のミキシングで、1MHz(=2136MHz−2135MHz)の周波数の信号と4271MHz(=2136MHz+2135MHz)の信号とが生成される。後者のミキシングで、3855MHz(=1720MHz+2135MHz)の周波数の信号と−415MHz(=1720MHz−2135MHz)の周波数の信号とが生成される。
【0089】
WCDMA方式のベースバンド受信信号の周波数帯域fBWの略2MHz(正確には、1.92MHz程度)に設定されているので、受信ミキサ3、4の出力に接続されたローパスフィルタ5、6の信号通過周波数帯域も略2MHzに設定されている。受信ミキサ3、4でのミキシングにより生成された4個の周波数の信号のうち最初の1MHz(=2136MHz−2135MHz)の周波数の信号のみが復調テスト信号として可変利得増幅器7、8以降の受信回路に供給され、他の3個の周波数の信号はローパスフィルタ5、6で十分な減衰量に減衰される。
【0090】
尚、受信誤差校正用RFテスト信号の周波数ftestは2136MHzで、RF受信ローカル信号Rx−LOの周波数をfRx−LOは2135MHzで、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、前記(数1)の関係が満足されている。
【0091】
またテスト信号生成ミキサ20で形成される−1720MHz(=208MHz−1928MHz)の周波数の他のイメージ信号がローパスフィルタ5、6で減衰されるように、分周器21、15出力信号の周波数を設定する必要がある。周波数マルチプライヤ15の出力信号周波数をfSYSとし、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域をfBWとすると、図4のRF ICでは次式の関係が満足される必要がある。
【0092】
fSYS≧2fBW (数3)
尚、周波数マルチプライヤ15の出力信号周波数fSYSは208MHzで、、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、
208MHz≧4MHzとなって、
前記(数3)の関係が満足されている。
【0093】
以上のようにWCDMA方式のBand1での受信誤差校正について説明したが、図5のRF ICも図4のRF ICと同様な方法によりWCDMA方式のBand2、Band5での受信誤差校正を行うことが可能である。
【0094】
《送信用Tx−VCOとフラクショナル分周器との組合せによるRFテスト信号の生成》
図6は、本発明の更に他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。このRF ICでも、受信誤差校正用RFテスト信号は送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)を利用して生成されるよう構成されている。
【0095】
図6に示したRF ICは、図4に示したRF ICと受信誤差校正用RFテスト信号を形成するRFテスト信号生成ユニットの構成が異なっており、その他の構成は同一である。図6に示すRF ICのRFテスト信号生成ユニットは、送信用Tx−VCO22に接続されたフラクショナル分周器42を含んでいる。良く知られているように、フラクショナル分周器は、分周数Nが整数だけではなく、分数(小数)を含むことにより周波数解像度の高い周波数シンセサイザを実現することができる。
【0096】
送信用TX−VCO22がWCDMA方式のBand2とBand5との間の送信周波数帯域に対応する比較的低い3570MHzで発振している。分周数Nが分数(3/5)に設定されたフラクショナル分周器42から2142MHz(=3570MHz×3/5=3570MHz×0.6)の分周信号が生成され、バンドパスフィルタ41に供給されてフラクショナル分周器42の動作雑音が除去される。バンドパスフィルタ41の出力から2142MHzの受信誤差校正用RFテスト信号が生成され、スイッチ2を介して受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。尚、分周数Nが整数だけではなく、分数(小数)を含むフラクショナル分周器42は、良く知られているように、ΣΔ変調器と可変分周器(カウンタ)とにより構成されることができる。ΣΔ変調器には、分子値情報と分母値情報とが入力される。ΣΔ変調器は、入力クロック信号に応答して分数(分子値/分母値)に応じた頻度でオーバーフロー・1ビット出力信号を生成する。オーバーフロー・1ビット出力信号の“1”レベルと“0”レベルとにより可変分周器(カウンタ)が制御されて、3570MHzの入力信号から2142MHzの分周出力信号を生成することができる。
【0097】
一方、受信用Rx−VCO19は、WCDMA方式のBand1の受信周波数帯域に対応する4282MHzの発振周波数で発振している。従って、分周数2に設定された分周器18の出力から、2141MHzの分周出力信号が生成される。分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、2141MHzの校正用ローカル信号が供給される。
【0098】
従って、受信ミキサ3、4では、2142MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と2141MHzの校正用ローカル信号とのミキシングが行われる。このミキシングで、1MHz(=2142MHz−2141MHz)の周波数の信号と4283MHz(=2142MHz+2141MHz)の信号とが生成される。
【0099】
WCDMA方式のベースバンド受信信号の周波数帯域fBWの略2MHz(正確には、1.92MHz程度)に設定されているので、受信ミキサ3、4の出力に接続されたローパスフィルタ5、6の信号通過周波数帯域も略2MHzに設定されている。受信ミキサ3、4でのミキシングにより生成された2個の周波数の信号のうち最初の1MHz(=2142MHz−2141MHz)の周波数の信号のみが復調テスト信号として可変利得増幅器7、8以降の受信回路に供給され、他の周波数の信号はローパスフィルタ5、6で十分な減衰量に減衰される。
【0100】
尚、受信誤差校正用RFテスト信号の周波数ftestは2142MHzで、RF受信ローカル信号Rx−LOの周波数をfRx−LOは2141MHzで、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、前記(数1)の関係が満足されている。
【0101】
以上のようにWCDMA方式のBand1での受信誤差校正について説明したが、図6のRF ICも図4と図5のRF ICと同様な方法によりWCDMA方式のBand2、Band5での受信誤差校正を行うことが可能である。
【0102】
《送信用Tx−VCOとその制御回路との組合せによるRFテスト信号の生成》
図7は、本発明の更に他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。このRF ICでも、受信誤差校正用RFテスト信号は送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)を利用して生成されるよう構成されている。
【0103】
図7に示したRF ICは、図4に示したRF ICと受信誤差校正用RFテスト信号を形成するRFテスト信号生成ユニットの構成が異なっており、その他の構成は同一である。図7に示すRF ICのRFテスト信号生成ユニットは、送信用Tx−VCO22に接続されたトリガ制御回路43を含んでいる。
【0104】
RF ICの電源投入直後もしくは、RF ICのアイドル状態からの立ち上がり直後の「校正モード」において、トリガ制御回路43は送信用Tx−VCO22にハイレベルの校正モード信号を供給する。
【0105】
また、上述したように通常の受信モードや送信モードでは、送信用Tx−VCO22の発振周波数は、WCDMA方式のBand5の最低送信周波数824MHzの4倍の3296MHzからWCDMA方式のBand1の最高送信周波数1980MHzの2倍の3960MHzまでの発振周波数をカバーしている。また、通常の受信モードや送信モードでは、送信用Tx−VCO22の発振周波数が3296MHzから3960MHzまでの発振周波数をカバーするように、図5に示したようなシステム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)40を含むPLL周波数シンセサイザにより送信用Tx−VCO22が制御されている。
【0106】
しかし、「校正モード」でトリガ制御回路43から送信用Tx−VCO22にハイレベルの校正モード信号が供給されると、送信用Tx−VCO22の発振周波数は受信誤差校正用RFテスト信号としての極めて低い発振周波数2140MHzに変化する。これは、送信用Tx−VCO22の発振周波数を決定するTx−VCO22内部のMOSバラクタのような可変容量素子の容量値が、ハイレベルの校正モード信号により大きく増加するためである。かくして、「校正モード」では、送信用Tx−VCO22の発振周波数は受信誤差校正用RFテスト信号としての極めて低い発振周波数2140MHzとなる。
【0107】
一方、受信用Rx−VCO19は、WCDMA方式のBand1の受信周波数帯域に対応する4278MHzの発振周波数で発振している。従って、分周数2に設定された分周器18の出力から、2139MHzの分周出力信号が生成される。分周器18の出力と90度移相器17の出力から受信ミキサ3、4の他方の入力端子に、2139MHzの校正用ローカル信号が供給される。
【0108】
従って、受信ミキサ3、4では、2140MHzの受信誤差校正用RFテスト信号と2139MHzの校正用ローカル信号とのミキシングが行われる。このミキシングで、1MHz(=2140MHz−2139MHz)の周波数の信号と4279MHz(=2140MHz+2139MHz)の信号とが生成される。
【0109】
WCDMA方式のベースバンド受信信号の周波数帯域fBWの略2MHz(正確には、1.92MHz程度)に設定されているので、受信ミキサ3、4の出力に接続されたローパスフィルタ5、6の信号通過周波数帯域も略2MHzに設定されている。受信ミキサ3、4でのミキシングにより生成された2個の周波数の信号のうち最初の1MHz(=2140MHz−2139MHz)の周波数の信号のみが復調テスト信号として可変利得増幅器7、8以降の受信回路に供給され、他の周波数の信号はローパスフィルタ5、6で十分な減衰量に減衰される。
【0110】
尚、受信誤差校正用RFテスト信号の周波数ftestは2140MHzで、RF受信ローカル信号Rx−LOの周波数をfRx−LOは2139MHzで、受信ミキサ3、4の出力からアナログベースバンド受信信号の周波数帯域fBWは2MHzであるので、前記(数1)の関係が満足されている。
【0111】
以上のようにWCDMA方式のBand1での受信誤差校正について説明したが、図7のRF ICも図4と図5と図6のRF ICと同様な方法によりWCDMA方式のBand2、Band5での受信誤差校正を行うことが可能である。
【0112】
《WCDMA方式とそれ以外の通信方式に対応するRFテスト信号の生成》
図8は、本発明の他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。このRF ICは、上述したWCDMA方式のBand1、Band2、Band5の送受信を行うとともに、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900の方式の送受信を行うことが可能である。
【0113】
図10は、各種の通信方式の送受信帯域を示す図である。図10の上部には、WCDMA方式の送受信帯域を示している。上述したように、WCDMA方式の一番低い周波数帯域のBand5(地域は米国)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が824〜849MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は869〜894MHzとなっている。同様に、WCDMA方式のBand2(地域は欧州)の場合も、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1850〜1910MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は1930〜1990MHzとなっている。また、UMTS規格におけるWCDMA方式の一番高い周波数帯域のBand1(地域は米国)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1920〜1980MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は2110〜2170MHzとなっている。
【0114】
更に、これ以外のWCDMA方式の通信も存在する。WCDMA方式の低い周波数帯域のBand6(地域は日本)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が830〜840MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は875〜885MHzとなっている。WCDMA方式の周波数帯域のBand4(地域は米国)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1710〜1775MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は2110〜2115MHzとなっている。WCDMA方式の周波数帯域のBand3(地域は欧州他)の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1710〜1785MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は1805〜1880MHzとなっている。
【0115】
図10の下部には、WCDMA方式以外の通信方式の送受信帯域を示している。GSM850の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が824〜849MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は869〜894MHzとなっている。GSM900の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が880〜915MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は925〜960MHzとなっている。DCS1800の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1710〜1785MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は1805〜1880MHzとなっている。PCS1900の場合、無線通信端末のRF送信信号TXの周波数帯域が1850〜1910MHzであるのに対して、無線通信端末のRF受信信号RXの周波数帯域は1930〜1990MHzとなっている。このように、いずれの周波数帯域(バンド)においても、受信帯域周波数RXが送信帯域周波数TXよりも高いFDD方式が採用されている。
【0116】
図8に示したRF ICの上部の回路RX_SPU_WCDMAはWCDMA方式のBand1、Band2、Band5の受信のための回路であり、図4に示したRF ICの上部の回路に対応している。図8に示したRF ICの下部の回路TX_SPU_WCDMAはWCDMA方式のBand1、Band2、Band5の送信のための回路であり、図4に示したRF ICの下部の回路に対応している。図8に示したRF ICの中央上部の回路RX_SPU_GSMは、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900の受信のための回路である。図8に示したRF ICの中央下部の回路TX_SPU_GSMは、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900の送信のための回路である。
【0117】
図8に示したRF ICの中央の回路Frct_Synthは、RF ICの送受信ローカル信号を形成するフラクショナルシンセサイザである。このフラクショナルシンセサイザFrct_Synthは、システム基準電圧制御発振器(DCX−CVO)40と受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)19とを含んでいる。
【0118】
図8のフラクショナルシンセサイザFrct_SynthとWCDMA方式の送信用回路T_SPU_WCDMAとの間には、RFテスト信号生成ユニットRF_TS_Genが配置されている。図8のRFテスト信号生成ユニットRF_TS_Genは、図4のRFテスト信号生成ユニットと同様に、テスト信号生成ミキサ20と、送信用Tx−VCO22と、分周器21と、ディジタルインターフェース用INT−VCO23と、分周器24とを含んでいる。
【0119】
RF ICのWCDMA方式の通信のための校正モードで、テスト信号生成ミキサ20の出力のRFテスト信号はスイッチ2を介してWCDMA方式受信回路RX_SPU_WCDMAの受信ミキサ3、4の一方の入力端子に供給される。WCDMA方式の通信のための校正モードは、図4のRF ICの校正モードと全く同一であるので、ここでは説明を省略する。
【0120】
RF ICのWCDMA方式以外の通信方式のための校正モードで、テスト信号生成ミキサ20の出力のRFテスト信号はスイッチ2を介して他方式受信回路RX_SPU_GSMの受信ミキサRX_MIX_I、Qの一方の入力端子に供給される。
【0121】
PCS1900の受信のための校正モードでは、1960MHzの受信誤差校正用RFテスト信号がテスト信号生成ミキサ20の出力からスイッチ2を介して受信ミキサRX_MIX_I、Qの一方の入力端子に供給される。この時は、フラクショナルシンセサイザFrct_Synthから1959.9MHzの受信ローカル信号が受信ミキサRX_MIX_I、Qの他方の入力端子に供給される。受信ミキサRX_MIX_I、Qでのミキシングにより100KHz(=1960MHz−1959.9MHz)の周波数の復調テスト信号が、受信ミキサRX_MIX_I、Qの出力に生成される。100KHzの復調テスト信号は、可変利得増幅器PGAI1…I3、PGAQ1…Q3とフィルタFCI1…I3、FCQ1…Q3を介してバッファBAI、BAQの入力に伝達される。バッファBAI、BAQの1MHzの復調テスト伝達信号はA/D変換器9、10、ローパスフィルタ11、12を介して受信誤差校正回路13に供給されることにより、振幅誤差と位相誤差との校正が行われる。
【0122】
DCS1800の受信のための校正モードでは、1842MHzの受信誤差校正用RFテスト信号がテスト信号生成ミキサ20の出力からスイッチ2を介して受信ミキサRX_MIX_I、Qの一方の入力端子に供給される。この時は、フラクショナルシンセサイザFrct_Synthから1841.9MHzの受信ローカル信号が受信ミキサRX_MIX_I、Qの他方の入力端子に供給される。受信ミキサRX_MIX_I、Qでのミキシングにより100KHz(=1842MHz−1841.9MHz)の周波数の復調テスト信号が、受信ミキサRX_MIX_I、Qの出力に生成される。その後は、PCS1900の場合と同様に、振幅誤差と位相誤差との校正が行われる。
【0123】
GSM900の受信のための校正モードでは、942MHzの受信誤差校正用RFテスト信号がテスト信号生成ミキサ20の出力からスイッチ2を介して受信ミキサRX_MIX_I、Qの一方の入力端子に供給される。この時は、フラクショナルシンセサイザFrct_Synthから941.9MHzの受信ローカル信号が受信ミキサRX_MIX_I、Qの他方の入力端子に供給される。受信ミキサRX_MIX_I、Qでのミキシングにより100KHz(=942MHz−941.9MHz)の周波数の復調テスト信号が、受信ミキサRX_MIX_I、Qの出力に生成される。その後は、PCS1900の場合と同様に、振幅誤差と位相誤差との校正が行われる。
【0124】
GSM850の受信のための校正モードでは、882MHzの受信誤差校正用RFテスト信号がテスト信号生成ミキサ20の出力からスイッチ2を介して受信ミキサRX_MIX_I、Qの一方の入力端子に供給される。この時は、フラクショナルシンセサイザFrct_Synthから881.9MHzの受信ローカル信号が受信ミキサRX_MIX_I、Qの他方の入力端子に供給される。受信ミキサRX_MIX_I、Qでのミキシングにより100KHz(=882MHz−881.9MHz)の周波数の復調テスト信号が、受信ミキサRX_MIX_I、Qの出力に生成される。その後は、PCS1900の場合と同様に、振幅誤差と位相誤差との校正が行われる。
【0125】
いずれの通信方式の「受信モード」においても、WCDMA方式受信回路RX_SPU_WCDMAの出力または他方式受信回路RX_SPU_GSMの出力にI、Qアナログベースバンド受信信号が形成される。この信号はA/D変換器9、10によりI、Qディジタルベースバンド受信信号に変換され、ローパスフィルタ11、12、受信誤差校正回路13、受信系ディジタルインターフェース14を介してベースバンド信号処理LSIに供給される。
【0126】
逆にベースバンド信号処理LSIからのディジタルベースバンド送信信号TxDBI、TxDBQはRF ICの送信系ディジタルインターフェース37により受信された後、D/A変換器33、34によりI、Qアナログベースバンド送信信号に変換される。送信方式がWCDMA方式の場合には、D/A変換器33、34の出力のI、Qアナログベースバンド送信信号は、WCDMA方式送信回路TX_SPU_WCDMAによってRF送信信号に変換される。WCDMA方式送信回路TX_SPU_WCDMAによる動作は、図4のRF ICの動作と全く同一であるので、ここでは説明を省略する。送信方式がWCDMA方式以外の方式の場合には、D/A変換器33、34の出力のI、Qアナログベースバンド送信信号は、他方式送信回路TX_SPU_GSMによってRF送信信号に変換される。この他方式送信回路TX_SPU_GSMは、送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLにより構成されている。
【0127】
送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLは、GSM850のRF送信信号Tx_GSM850とGSM900のRF送信信号Tx_GSM900との送信動作に対応する必要が有る。そのため、受信用Rx−VCO19の発振周波数は分周比2に設定された2個の分周器DIV1(1/2)、DIV4(1/2)を介して位相制御帰還用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMの一方の入力端子に供給される。また、送信ミキサTX−MIX_I、TX−MIX_Qに接続された中間周波数分周器DIV2(1/NIF)の分周比NIFは、26に設定されている。一方、送信用Tx−VCO2の発振出力信号が、分周数2に設定された2個の分周器DIV5、分周器DIV3を介して、位相制御帰還用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMの他方の入力端子に供給されている。ダウンミキサーDWN_MIX_PMでは一方の入力信号と他方の入力信号とのミキシングが行われる。従って、ダウンミキサーDWN_MIX_PMの出力から、2つの入力信号の差の周波数の帰還信号が形成されて、送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLの位相比較器PCの他方の入力端子に供給される。また、位相比較器PCの一方の入力端子には、送信ミキサTX−MIX_I、Qの出力に接続された加算器の出力のベクトル合成された中間周波送信信号fIFが基準信号として供給されている。中間周波数分周器DIV2(1/NIF)の分周数NIFである26と90度位相シフタでの分周数2とで、合計分周数は52となっている。従って、中間周波送信信号fIFの周波数は、受信用Rx−VCO19の周波数の1/52となる。また、送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLの負帰還制御によって、位相比較器PCの一方の入力端子の基準信号と他方の入力端子のダウンミキサーDWN_MIX_PMから帰還信号とは一致するようになる。結果としては、0.8GHzのRF送信信号のGSM850と0.9GHzのRF送信信号のGSM900との送信動作に、受信用Rx−VCO19と送信用Tx−VCO2とは送信周波数の略4倍の略3.6GHzから略3.9GHzで発振すれば良くなる。この2つの周波数帯域の送信動作で、この2つの電圧制御発振器を0.8GHz〜0.9GHzで発振させるためには、極めて大きな容量の可変容量が必要となる。その結果、RF ICのチップ占有面積と消費電力増大となる。
【0128】
また送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLは、DCS1800のRF送信信号Tx_DCS1800とPSC1900のRF送信信号Tx_PSC1900との送信動作に対応する必要が有る。そのため、受信用Rx−VCO19の発振周波数は分周比2に設定された2個の分周器DIV1(1/2)、を介して位相制御帰還用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMの一方の入力端子に供給される。また、送信ミキサTX−MIX_I、TX−MIX_Qに接続された中間周波数分周器DIV2(1/NIF)の分周比NIFは、26に設定されている。一方、送信用Tx−VCO2の発振出力信号が、分周数2に設定された1個の分周器DIV5を介して、位相制御帰還用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMの他方の入力端子に供給されている。ダウンミキサーDWN_MIX_PMでは一方の入力信号と他方の入力信号とのミキシングが行われる。従って、ダウンミキサーDWN_MIX_PMの出力から、2つの入力信号の差の周波数の帰還信号が形成されて、送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLの位相比較器PCの他方の入力端子に供給される。また、位相比較器PCの一方の入力端子には、送信ミキサTX−MIX_I、Qの出力に接続された加算器の出力のベクトル合成された中間周波送信信号fIFが基準信号として供給されている。中間周波数分周器DIV2(1/NIF)の分周数NIFである26と90度位相シフタでの分周数2とで、合計分周数は52となっている。従って、中間周波送信信号fIFの周波数は、受信用Rx−VCO19の周波数の1/52となる。また、送信系オフセットPLL回路TX_Offset_PLLの負帰還制御によって、位相比較器PCの一方の入力端子の基準信号と他方の入力端子のダウンミキサーDWN_MIX_PMから帰還信号とは一致するようになる。結果としては、1.7GHzのRF送信信号のDCS1800と1.9GHzのRF送信信号のPCS1900との送信動作に、受信用Rx−VCO19と送信用Tx−VCO2とは送信周波数の略2倍の略3.6GHzから略3.9GHzで発振すれば良くなる。この2つの周波数帯域の送信動作で、この2つの電圧制御発振器を1.7GHz〜1.9GHzで発振させるためには、極めて大きな容量の可変容量が必要となる。その結果、RF ICのチップ占有面積と消費電力増大となる。
【0129】
図11は、図8に示した他方式送信回路TX_SPU_GSMの一例を示すブロック図である。図11のRF ICは、基地局と通信端末機器との通信が位相変調ともに振幅変調を使用するEDGE方式に対応するためのポーラループ方式の送信方式を採用している。
【0130】
送信モードでは、アナログベースバンド送信信号TxABI、Qが、送信ミキサTX−MIX_I、Qの一方の入力に供給される。中間周波数分周器DIV2(1/NIF)の信号ΦIFから90度位相シフタで生成された90度位相を有する2つのIF送信キャリア信号が、送信ミキサTX−MIX_I、Qの他方の入力に供給される。その結果、送信ミキサTX−MIX_I、Qでは、アナログベースバンド送信信号の周波数からIF送信信号への周波数アップコンバージョンが実行されて、加算器からベクトル合成されたひとつのIF送信変調信号が得られる。加算器からのIF送信変調信号は、位相変調成分の送信のためのPMループ回路PM LPを構成する位相比較器PCの一方の入力に供給されている。PMループ回路PM LPでは、位相比較器PCの出力はチャージポンプCPとローパスフィルタLF1を介して送信用Tx−VCO2の制御入力に伝達される。
【0131】
バッファアンプBFを介しての送信用Tx−VCO2の出力はPMループ用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMの入力に供給されることによって、ダウンミキサーDWN_MIX_PMの出力から第1IF送信帰還信号が得られる。送信動作がGSM方式の場合の位相変調情報は、この第1IF送信帰還信号がスイッチSW_1を介してPMループ回路PM LPを構成する位相比較器PCの他方の入力に供給される。この結果、送信用RF電力増幅器RF_PAの出力である送信信号はGSM方式の正確な位相変調情報を含むようになる。また、送信動作がGSM方式の場合の送信電力情報(送信用RF電力増幅器RF_PAの増幅ゲイン)は、RF IC内部のランプ信号D/A変換器Ramp DACのランプ出力電圧Vrampで指定される。このランプ出力電圧Vrampが、スイッチSW2を介して10MHzフィルタ(10MHzFilter)に供給される。このフィルタからのランプ出力電圧Vrampと、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力を検出するパワーカップラーCPLと電力検出回路PDETとからの送信電力検出信号Vdetとが、誤差増幅器Err_Ampに供給される。誤差増幅器Err_Ampの出力からの自動パワー制御電圧Vapcによる電源電圧制御もしくはバイアス電圧制御により、送信用RF電力増幅器RF_PAの増幅ゲインは基地局と携帯通信端末装置との距離に比例して設定される。尚、ランプ信号D/A変換器Ramp DACにベースバンド信号処理LSIから供給されるディジタルランプ入力信号は、送信電力のレベルを示す送信電力レベル指示信号であり、基地局と通信端末機器との距離に比例して送信電力レベルを高く制御するものである。このランプ信号D/A変換器Ramp DACの出力から、アナログのランプ出力電圧Vrampが生成される。
【0132】
一方、送信動作がEDGE方式の場合は、送信ミキサTX−MIX_I、Qに接続された加算器からのIF送信変調信号は、位相変調情報だけではなく振幅変調情報も含むことになる。従って、加算器からIF送信変調信号はPMループ回路PM LPを構成する位相比較器PCの一方の入力に供給されるだけではなく、AMループ回路AM LPを構成する振幅比較器ACの一方の入力に供給される。この時には、位相比較器PCの他方の入力には、送信用発振器Tx−VCO2の出力がPMループ用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_PMを介して供給されるのではない。むしろ、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力に関係する情報(RF送信電力レベルRFPLV)が、位相比較器PCの他方の入力に供給される。この供給経路は、パワーカップラーCPL、可変利得回路MVGA、AMループ用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_AMとなっている。また、AMループ回路AM LPを構成する振幅比較器ACの他方の入力にも、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力に関係する情報(RF送信電力レベルRFPLV)が供給される。この供給経路も、パワーカップラーCPL、可変利得回路MVGA、AMループ用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_AMとなっている。AMループ回路AM LPでは、振幅比較器ACの出力はローパスフィルタLF2、可変利得回路IVGA、電圧・電流変換器V/I、チャージポンプCP、スイッチWS2を介して10MHzフィルタ(10MHzFilter)に供給される。この結果、まずPMループ回路PM LPによって、送信用発振器TXVCOのRF発振出力信号を増幅する送信用RF電力増幅器RF_PAの出力の送信電力信号はEDGE方式の正確な位相変調情報を含むようになる。さらに、AMループ回路AM LPによって、送信用RF電力増幅器RF_PAの出力の送信電力信号はEDGE方式の正確な振幅変調情報を含むようになる。
【0133】
尚、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力を検出するパワーカップラーCPLとしては、RF電力増幅器RF_PAの送信電力を電磁気的もしくは容量的に検出するカップラーを採用することができる。このパワーカップラーCPLとしては、それ以外に、カレントセンス形カップラーも採用することができる。このカレントセンス形カップラーでは、RF電力増幅器RF_PAの最終段パワー増幅素子のDC・AC動作電流に比例する小さな検出DC・AC動作電流を検出増幅素子に流すものである。
【0134】
図11のRF ICでは、ランプ信号D/A変換器Ramp DACのランプ電圧Vrampに応答するAMループ回路AM LPの二つの可変利得回路MVGA、IVGAの利得は逆方向となるように、制御回路CNTLが10ビットのディジタルランプ信号に応答して8ビットの2つの制御信号を生成する。すなわち、ランプ電圧Vrampに応答して可変利得回路MVGAの利得が減少する時には、可変利得回路IVGAの利得が増加することで、二つの可変利得回路MVGA、IVGAの利得の和がほぼ一定となる。この結果、AMループ回路AM LPのオープンループ周波数特性の位相余裕がランプ電圧Vrampに応答して著しく小さくなることを軽減している。
【0135】
図12は、図8に示した他方式送信回路TX_SPU_GSMの他の一例を示すブロック図である。すなわち、図12に示した他方式送信回路TX_SPU_GSMは、基地局との通信が位相変調ともに振幅変調を使用するEDGE方式に対応するために、ポーラモジュレータ方式で構成されている。
【0136】
すなわち、送信ミキサTX_MIX_I、Qにより形成された送信用中間周波数信号に基づいて送信用RF電力増幅器RF_PAからのRF送信出力信号の振幅を制御する振幅変調ループ制御回路AM_LPは、下記のように構成されている。
【0137】
このAMループ回路AM LPでは、振幅比較器ACの出力はローパスフィルタLF2、可変利得回路IVGA、電圧・電流変換器V/I、チャージポンプCPを介して送信用Tx−VCO2の出力の振幅変調用可変利得増幅器VGAに供給される。AMループ回路AM LPの位相比較器ACの一方の入力端子には、送信ミキサTX_MIX_I、Qで形成された送信用中間周波数信号が供給されている。この位相比較器ACの他方の入力端子には、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力に関係する情報(RF送信電力レベルRFPLV)がパワーカップラーCPL、可変利得回路MVGA、AMループ用周波数ダウンミキサーDWN_MIX_AMを介して供給されている。その結果、振幅比較器ACの一方の入力端子のIF信号振幅に他方の入力端子のIF信号振幅が一致するように、振幅変調用可変利得増幅器VGAの利得がローパスフィルタLF2、可変利得回路IVGA、電圧・電流変換器V/I、チャージポンプCPを介して振幅比較器ACの出力により制御される。その結果、送信用RF電力増幅器RF_PAの送信電力は、EDGE方式の正確な振幅変調情報を含むことになる。
【0138】
尚、GSM方式の場合もEDGE方式の場合も、ランプ信号D/A変換器Ramp DACのランプ出力電圧Vrampと、送信用RF電力増幅器203の送信電力を検出するパワーカップラーCPLと電力検出回路PDETとからの送信電力検出信号Vdetとが、誤差増幅器Err_Ampに供給される。誤差増幅器Err_Ampの出力からの自動パワー制御電圧Vapcによる電源電圧制御もしくはバイアス電圧制御により、送信用RF電力増幅器RF_PAの増幅ゲインは基地局と携帯通信端末装置との距離に比例して設定され、APC制御が行われる。
【0139】
≪携帯電話の構成≫
図9は、上記で説明した本発明の種々の実施形態によるRF ICと、アンテナスイッチMMICとRF電力増幅器とを内蔵したRFモジュールと、ベースバンド信号処理LSIとを搭載した携帯電話の構成を示すブロック図である。
【0140】
同図で、携帯電話の送受信用アンテナANTにはRFモジュールRF_MLのアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の共通の入出力端子I/Oが接続されている。ベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)からの制御信号B.B_Cntは、RFアナログ信号処理半導体集積回路(RF_IC)を経由して高出力電力増幅器モジュール(HPA_ML)のコントローラ集積回路(CNT_IC)に供給される。送受信用アンテナANTから共通の入出力端子I/OへのRF信号の流れは携帯電話の受信動作RXとなり、共通の入出力端子I/Oから送受信用アンテナANTへのRF信号の流れは携帯電話の送信動作TXとなる。
【0141】
RF IC(RF_IC)はベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)からの送信ベースバンド信号Tx_BBSをRF送信信号に周波数アップコンバージョンを行い、逆に送受信用アンテナANTで受信されたRF受信信号を受信ベースバンド信号Rx_BBSに周波数ダウンコンバージョンを行いベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)に供給する。
【0142】
RFモジュールRF_MLのアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)は共通の入出力端子I/Oと送信端子Tx1、Tx2、受信端子Rx2、Rx3、Rx4、送受信端子TRx1、TRx5のいずれかの端子の間で信号経路を確立して、受信動作RXと送信動作TXとのいずれかを行う。このRF信号の受送信動作のためのスイッチはHEMT(高電子移動度トランジスタ)で構成され、アンテナスイッチMMICはGaAs等の化合物半導体を使用したマイクロウェーブモノリシック集積回路(MIC)で構成されている。このアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)は受信動作RXと送信動作TXとのいずれかのために確立した信号経路以外の信号経路のインピーダンスを極めて高い値に設定することで、必要なアイソレーションが得られるものである。アンテナスイッチの分野では、共通の入出力端子I/Oはシングルポール(Single Pole)と呼ばれ、送信端子Tx1、Tx2、受信端子Rx2、Rx3、Rx4、送受信端子TRx1、TRx5の合計7個の端子は7スロー(7 throw)と呼ばれる。従って、図9のアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)は、シングルポール7スロー(SP7T; Single Pole 7 throw)型のスイッチである。
【0143】
尚、ベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)は図示されていない外部不揮発性メモリと図示されていないアプリケーションプロセッサとに接続されている。アプリケーションプロセッサは、図示されていない液晶表示装置と図示されていないキー入力装置とに接続され、汎用プログラムやゲームを含む種々のアプリケーションプログラムを実行することができる。携帯電話等のモバイル機器のブートプログラム(起動イニシャライズプログラム)、オペレーティングシステムプログラム(OS)、ベースバンド信号処理LSIの内部のディジタルシグナルプロセッサ(DSP)によるGSM方式等の受信ベースバンド信号に関する位相復調と送信ベースバンド信号に関する位相変調のためのプログラム、種々のアプリケーションプログラムは、外部不揮発性メモリに格納されることができる。
【0144】
≪GSM850、GSM900による送受信動作≫
BB_LSIからの送信ベースバンド信号TxDBI、QがGSM850のバンドに周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号をGSM850のバンドへの周波数アップコンバージョンを行って、GSM850のRF送信信号Tx_GSM 850が生成される。BB_LSIからの送信ベースバンド信号がGSM900のバンドに周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号をGSM900のバンドへの周波数アップコンバージョンを行って、GSM900のRF送信信号Tx_GSM 900が生成される。GSM850のRF送信信号Tx_GSM 850とGSM900のRF送信信号Tx_GSM 900とは、高出力電力増幅器モジュール(HPA_ML)の高出力電力増幅器HPA2で電力増幅される。高出力電力増幅器HPA2のRF出力は、ローパスフィルタLPF2を経由してアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の送信端子Tx2に供給される。送信端子Tx2に供給されたGSM850のRF送信信号Tx_GSM 850とGSM900のRF送信信号Tx_GSM 900とは共通の入出力端子I/Oを介して送受信用アンテナANTから送信されることができる。
【0145】
送受信用アンテナANTで受信されたGSM850のRF受信信号Rx_GSM 850とGSM900のRF受信信号Rx_GSM 900とは、アンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の共通の入出力端子I/Oに供給される。アンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の受信端子Rx2から得られるGSM850のRF受信信号Rx_GSM 850とGSM900のRF受信信号Rx_GSM 900とは表面弾性波フィルタSAW3を介してRF ICの低雑音増幅器LNA1、2で増幅される。その後、これらのRF受信信号は、受信信号処理ユニットRx_SPUに供給される。受信信号処理ユニットRx_SPUでは、GSM850のRF受信信号Rx_GSM 850またはGSM900のRF受信信号Rx_GSM 900から受信ベースバンド信号RxDBI、Qへの周波数ダウンコンバージョンが行われる。
【0146】
GSM850の送受信モードでは、アンテナスイッチMMICは制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送信端子Tx2との接続によるRF送信信号Tx_GSM 850の送信と入出力端子I/Oとの受信端子Rx2との接続によるRF受信信号Tx_GSM 850の受信とを時分割で行う。同様に、GSM900の送受信モードでも、アンテナスイッチMMIC(は制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送信端子Tx2との接続によるRF送信信号Tx_GSM 900の送信と入出力端子I/Oとの受信端子Rx2との接続によるRF受信信号Rx_GSM 900の受信とを時分割で行う。
【0147】
≪DCS1800、PCS1900による送受信動作≫
BB_LSIからの送信ベースバンド信号TxDBI、QがDCS1800のバンドに周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号SをDCS1800のバンドへの周波数アップコンバージョンを行って、DCS1800のRF送信信号Tx_DCS1800が生成される。BB_LSIからの送信ベースバンド信号がPCS1900のバンドに周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号をPCS1900のバンドへの周波数アップコンバージョンを行って、PCS1900のRF送信信号Tx_PCS1900が生成される。DCS1800のRF送信信号Tx_DCS1800とPCS1900のRF送信信号Tx_PCS1900とは、高出力電力増幅器モジュール(HPA_ML)の高出力電力増幅器HPA1で電力増幅される。高出力電力増幅器HPA1のRF出力は、ローパスフィルタLPF1を経由してアンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の送信端子Tx1に供給される。送信端子Tx1に供給されたDCS1800のRF送信信号Tx_DCS1800とPCS1900のRF送信信号Tx_PCS1900とは共通の入出力端子I/Oを介して送受信用アンテナANTから送信されることができる。
【0148】
送受信用アンテナANTで受信されたDCS1800のRF受信信号Rx_DCS1800とPCS1900のRF受信信号Rx_PCS1900とは、アンテナスイッチMMICの共通の入出力端子I/Oに供給される。アンテナスイッチMMICの受信端子Rx3から得られるDCS1800のRF受信信号Rx_DCS1800は表面弾性波フィルタSAW2を介してRF IC(RF_IC)の低雑音増幅器LNA2で増幅される。アンテナスイッチMMIC(ANT_SW)の受信端子Rx4から得られるPCS1900のRF受信信号Rx_PCS1900は表面弾性波フィルタSAW1を介してRF ICの低雑音増幅器LNA1で増幅される。その後、DCS1800のRF受信信号Rx_DCS1800とPCS1900のRF受信信号Rx_PCS1900は、受信信号処理ユニットRx_SPUに供給される。受信信号処理ユニットRx_SPUでは、DCS1800のRF受信信号Rx_DCS1800またはPCS1900のRF受信信号Rx_PCS1900から受信ベースバンド信号RxDBI、Qへの周波数ダウンコンバージョンが行われる。
【0149】
DCS1800の送受信モードでは、アンテナスイッチMMICは制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送信端子Tx1との接続によるRF送信信号Tx_DCS1800の送信と入出力端子I/Oとの受信端子Rx3との接続によるRF受信信号Rx_DCS1800の受信とを時分割で行う。同様に、PCS1900の送受信モードでも、アンテナスイッチMMICは制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送信端子Tx1との接続によるRF送信信号Tx_PCS1900の送信と入出力端子I/Oとの受信端子Rx4との接続によるRF受信信号Rx_PCS1900の受信とを時分割で行う。
【0150】
≪WCDMAによる送受信動作≫
ベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)からの送信ベースバンド信号TxDBI、Qが、WCDMA方式のBand1またはBand2に周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号をWCDMA方式のBand1またはBand2への周波数アップコンバージョンを行う。WCDMA方式のBand1またはBand2のRF送信信号Tx_WCDMA Band1、2は、高出力電力増幅器W_PA1で電力増幅され、デュープレクサDUP1を経由してアンテナスイッチMMICの送受信端子TRx1に供給される。送受信端子TRx1に供給されたWCDMA方式のBand1またはBand2のRF送信信号Tx_WCDMA Band1、2は、共通の入出力端子I/Oを介して送受信用アンテナANTから送信されることができる。
【0151】
WCDMA方式では、コード分割により送信動作と受信動作とが並列に処理されることができる。すなわち、送受信用アンテナANTで受信されたWCDMA方式のBand1またはBand2のRF受信信号Rx_WCDMA Band1、2は、アンテナスイッチMMICの共通の入出力端子I/Oに供給される。アンテナスイッチMMICの送受信端子TRx1から得られるWCDMA方式のBand1またはBand2のRF受信信号Rx_WCDMA Band1、2はデュープレクサDUP1を経由してRF ICの低雑音増幅器LNA5で増幅され、その後、受信信号処理ユニットRx_SPUに供給される。受信信号処理ユニットRx_SPUでは、WCDMA方式のBand1またはBand2のRF受信信号Rx_WCDMA Band1、2から受信ベースバンド信号RxDBI、Qへの周波数ダウンコンバージョンが行われる。WCDMA方式のBand1、2による送信と受信との並列処理モードでは、アンテナスイッチMMICは制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送受信端子TRx1との間の定常接続によりRF送信信号の送信とRF受信信号の受信とを並列して行う。
【0152】
ベースバンド信号処理LSI(BB_LSI)からの送信ベースバンド信号TxDBI、QがWCDMA方式のBand5に周波数アップコンバージョンされるべき場合を想定する。この場合には、RF ICの送信信号処理ユニットTx_SPUは送信ベースバンド信号TxDBI、QをWCDMA方式のBand5への周波数アップコンバージョンを行う。WCDMA方式のBand5のRF送信信号Tx_WCDMA Band5は、高出力電力増幅器W_PA2で電力増幅され、デュープレクサDUP2を経由してアンテナスイッチMMICの送受信端子TRx5に供給される。送受信端子TRx5に供給されたWCDMA方式のBand5のRF送信信号Tx_WCDMA Band5は、共通の入出力端子I/Oを介して送受信用アンテナANTから送信されることができる。
【0153】
送受信用アンテナANTで受信されたWCDMA方式のBand5のRF受信信号Rx_WCDMA Band5は、アンテナスイッチMMICの共通の入出力端子I/Oに供給される。アンテナスイッチMMICの送受信端子TRx5から得られるWCDMA方式のBand5のRF受信信号Rx_WCDMA Band5はデュープレクサDUP2を経由してRF ICの低雑音増幅器LNA6で増幅される。低雑音増幅器LNA6の増幅信号は、受信信号処理ユニットRx_SPUに供給される。受信信号処理ユニットRx_SPUでは、WCDMA方式のBand5のRF受信信号Rx_WCDMA Band5から受信ベースバンド信号RxDBI、Qへの周波数ダウンコンバージョンが行われる。
【0154】
WCDMA方式のBand5による送信とWCDMA方式のBand5による受信との並列処理モードでは、アンテナスイッチMMICは制御信号B.B_Cntに応答して入出力端子I/Oと送受信端子TRx5との間の定常接続によりRF送信信号の送信とRF受信信号の受信とを並列して行う。
【0155】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0156】
例えば、図4のRF ICで受信ミキサ3、4は、低雑音増幅器1のRF増幅信号をI相とQ相のベースバンド信号に変換するダイレクトダウンコンバージョン方式に限定されるものではない。図4のRF ICで受信ミキサ3、4は、前記特許文献2と同様に、RF受信信号を低IF(低い中間周波数信号)に変換する方式とすることもできる。
【0157】
また、図4のRF ICで校正モードの間に可変利得増幅器7、8のDCオフセット電圧を校正することもできる。また、その間に、ローパスフィルタ5、6、11、12のカットオフ周波数を校正することもできる。
【0158】
また、上記の実施形態ではベースバンド信号処理LSIとアプリケーションプロセッサとはそれぞれ別の半導体チップで構成されていたが、別な実施形態ではアプリケーションプロセッサがベースバンド信号処理LSIの半導体チップに統合された統合ワンチップとされることができる。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】図1は、本発明者等によって本発明に先立って開発されたRF ICを示すブロック図である。
【図2】図2はI、Qベースバンド信号の振幅と位相にミスマッチが付加された場合のコンスタレーション劣化を示す図である。
【図3】図3は、UMTS規格におけるWCDMA方式のバンド1、バンド2、バンド5の送受信帯域を示す図である。
【図4】図4は、本発明の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。
【図5】図5は、本発明の他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。
【図6】図6は、本発明の更に他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。
【図7】図7は、本発明の更に他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。
【図8】図8は、本発明の他の1つの実施形態によるRF ICを示すブロック図である。
【図9】図9は、上記で説明した本発明の種々の実施形態によるRF ICと、アンテナスイッチMMICとRF電力増幅器とを内蔵したRFモジュールと、ベースバンド信号処理LSIとを搭載した携帯電話の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、各種の通信方式の送受信帯域を示す図である。
【図11】図11は、図8に示した他方式送信回路TX_SPU_GSMの一例を示すブロック図である。
【図12】図12は、図8に示した他方式送信回路TX_SPU_GSMの他の一例を示すブロック図である。
【図13】図13は、図4に示すRF ICの受信誤差校正回路13の一例を示すブロック図である。
【図14】図14は、図4に示すRF ICの受信誤差校正回路13の他の一例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0160】
RF IC 通信用半導体集積回路
1 低雑音増幅器
25 バンドパスフィルタ
2 スイッチ
3、4 受信ミキサ
5、6 ローパスフィルタ
7、8 可変利得増幅器
9、10 A/D変換器
11、12 ローパスフィルタ
13 受信誤差校正回路
14 受信系ディジタルインターフェース
16 ゲインコントロール回路
17 90度位相シフタ
18 分周器
19 受信用電圧制御発振器(Rx−VCO)
20 テスト信号生成ミキサ
21 分周器
22 送信用電圧制御発振器(Tx−VCO)
23 ディジタルインターフェース用電圧制御発振器(INT−VCO)
24 分周器
26 可変利得増幅器
27 加算器
28、29 送信ミキサ
30 90度位相シフタ
31、32 可変利得増幅器
33、34 D/A変換器
35、36 ローパスフィルタ
37 送信系ディジタルインターフェース
38 ゲインコントロール回路
15 周波数マルチプライヤ
40 システム基準電圧制御発振器(DCX−VCO)
42 フラクショナル分周器
41 バンドパスフィルタ
43 トリガ制御回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信端末に搭載されて、基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有する通信用半導体集積回路は、低雑音増幅器、受信ミキサ、受信用電圧制御発振器、復調信号処理回路、受信誤差校正回路を含み、
前記低雑音増幅器は、前記無線通信端末のアンテナにより受信されるRF受信信号を増幅して、
前記受信ミキサの一方の入力端子には前記低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、
前記受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した受信用ローカル信号が供給され、
前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの出力端子の直交復調受信信号を処理して、
前記集積回路の受信モードで、前記受信ミキサと前記復調信号処理回路とより、前記マルチバンド無線周波数通信の複数の周波数バンドで最高の周波数を有する最高周波数バンドのRF受信信号が処理可能となっており、
前記受信誤差校正回路は、前記集積回路の校正モードにおいて、前記復調信号処理回路の出力端子の直交復調受信信号の誤差を校正して、
前記集積回路は、更に変調信号処理回路、送信ミキサ、送信用電圧制御発振器を含み、
前記変調信号処理回路は、直交送信信号を処理して、
前記送信ミキサの一方の入力端子には前記変調信号処理回路の直交送信出力信号が供給され、前記送信ミキサの他方の入力端子には前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答した送信用ローカル信号が供給され、
前記集積回路の送信モードで、前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答して前記送信ミキサの出力より、前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドのRF送信信号が生成可能となっており、
前記集積回路は、前記集積回路の前記校正モードにおいて前記受信誤差校正回路による誤差校正のためRFテスト信号を生成して前記RFテスト信号を前記受信ミキサの前記一方の入力端子に供給するRFテスト信号生成ユニットを更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号を利用して前記RFテスト信号を生成して、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットから生成される前記RFテスト信号は、前記マルチバンド無線周波数通信の前記複数の周波数バンドで前記最高周波数バンドの前記RF送信信号の周波数よりも高い周波数の前記RF受信信号のRF受信周波数バンド内の周波数を有することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドの前記R受信信号の周波数と前記RF送信信号の周波数とはそれぞれWCDMA方式の略2110MHz〜2170MHzと略1920MHz〜190MHzとに設定されている通信用半導体集積回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記集積回路は、他の低雑音増幅器、他の受信ミキサ、他の復調信号処理回路を更に含み、
前記他の低雑音増幅器は、前記無線通信端末の前記アンテナにより受信されるGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF受信信号を増幅することが可能に構成され、
前記他の受信ミキサの一方の入力端子には、前記他の低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、
前記他の受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した受信用ローカル信号が供給され、
前記他の復調信号処理回路は、前記他の受信ミキサの出力端子の他の直交復調受信信号を処理して、
前記集積回路の受信モードで、前記他の受信ミキサと前記他の復調信号処理回路とより、前記PCS1900の方式のRF受信信号が処理可能となっており、
前記受信誤差校正回路は、前記集積回路の校正モードにおいて、前記他の復調信号処理回路の出力端子の直交復調受信信号の誤差を校正して、
前記集積回路は、更に他の送信ミキサ、送信系オフセットPLL回路を含み、
前記変調信号処理回路は、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信信号を処理することが可能に構成され、
前記他の送信ミキサの一方の入力端子には前記変調信号処理回路のGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信出力信号が供給され、前記他の送信ミキサの他方の入力端子には中間周波信号が供給され、前記他の送信ミキサの出力の中間周波送信信号は前記送信系オフセットPLL回路の入力に供給され、
前記集積回路の前記送信モードで、前記送信系オフセットPLL回路の出力よりGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF送信信号が生成可能となっており、
前記集積回路の前記校正モードにおいて前記RFテスト信号生成ユニットから生成されるPCS1900の方式のRF受信信号の周波数の略1930MHz〜1990MHzの周波数を有する前記RFテスト信号が受信ミキサの前記一方の入力端子に供給されることを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項4】
請求項3において、
前記変調信号処理回路は位相変調ともに振幅変調を使用するEDGE方式に対応するポーラループ方式とポーラモジュレータ方式のいずれかの方式で構成され、
前記送信系オフセットPLL回路は、前記いずれかの方式の位相変調のための位相ループと前記いずれかの方式の振幅変調のための振幅ループとを含むことを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項5】
請求項3において、
前記集積回路の前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの前記出力端子の前記直交復調受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換器を含み、
前記集積回路の前記変調信号処理回路は、前記変調信号処理回路の直交送信出力信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換器を含み、
前記集積回路は、ベースバンド信号処理を行うLSIへディジタル信号の前記直交復調受信信号を出力する一方、前記LSIからディジタル信号の直交送信出力信号が供給されるディジタルインターフェースを含み、
前記集積回路は、前記ディジタルインターフェースに供給するディジタルインターフェース基準信号を生成するディジタルインターフェース基準信号生成ユニットを更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記ディジタルインターフェース信号生成ユニットの出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項6】
請求項3において、
前記集積回路は、前記受信用ローカル信号と前記送信用ローカル信号とを生成する際のシステム基準信号を生成するシステム基準電圧制御発振器を更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記システム基準電圧制御発振器の発振出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項7】
請求項3において、
前記集積回路は、分周数が分数を含み前記送信用電圧制御発振器の出力に入力が接続されたフラクショナル分周器を更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号が前記入力に供給された前記フラクショナル分周器の出力から前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項8】
請求項3において、
前記集積回路は、前記校正モードで前記送信用電圧制御発振器を制御する制御回路を更に含み、
前記校正モードでは前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数は、前記マルチバンド無線周波数通信の前記複数の周波数バンドのいずれの周波数バンドでの前記集積回路の送信モードでの前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数よりも低く制御され、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記制御回路によって制御された前記送信用電圧制御発振器の前記校正モードでの前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号を前記RFテスト信号として生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項9】
無線通信端末に搭載されて、基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有し、ベースバンド信号処理を行うLSIからの直交送信信号からRF送信信号への周波数アップコンバージョンを送信ミキサで行い、アンテナで受信されるRF受信信号から直交復調受信信号への周波数ダウンコンバージョンを受信ミキサで行い、前記周波数アップコンバージョンでは送信用電圧制御発振器の出力に応答した送信用ローカル信号が前記送信ミキサに供給され、前記周波数ダウンコンバージョンでは受信用電圧制御発振器の出力に応答した受信用ローカル信号が前記受信ミキサに供給され、前記受信ミキサの出力から復調信号処理回路により直交復調受信出力信号が形成される通信用半導体集積回路であって、
前記集積回路の校正モードにおいてRFテスト信号を生成して前記受信ミキサに供給するRFテスト信号生成ユニットと、
前記集積回路の前記校正モードにおいて前記RFテスト信号が供給された前記受信ミキサの出力に応答する前記復調信号処理回路よりの前記直交復調受信出力信号の誤差を校正して、それにより前記集積回路の受信モードで前記RF受信信号に応答する前記受信ミキサの出力に応答する前記復調信号処理回路よりの前記直交復調受信出力信号の誤差を減少する受信誤差校正回路とを含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号を利用して前記RFテスト信号を生成して、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットから生成される前記RFテスト信号は、前記マルチバンド無線周波数通信の複数の周波数バンドで最高周波数バンドのRF送信信号の周波数よりも高い周波数の前記RF受信信号のRF受信周波数バンド内の周波数を有することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項10】
請求項9において、
前記集積回路は、低雑音増幅器を更に含み、
前記低雑音増幅器は、前記アンテナにより受信される前記RF受信信号を増幅して、
前記受信ミキサの一方の入力端子には前記低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、
前記受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した前記受信用ローカル信号が供給され、
前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの出力端子の直交復調受信信号を処理して、
前記集積回路の受信モードで、前記受信ミキサと前記復調信号処理回路とより、前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドのRF受信信号が処理可能となっており、
前記集積回路は、更に変調信号処理回路を含み、
前記変調信号処理回路は、前記直交送信信号を処理して、
前記送信ミキサの一方の入力端子には前記変調信号処理回路の直交送信出力信号が供給され、前記送信ミキサの他方の入力端子には前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答した前記送信用ローカル信号が供給され、
前記集積回路の送信モードで、前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答して前記送信ミキサの出力より、前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドのRF送信信号が生成可能となっていることを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項11】
請求項10において、
前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドの前記R受信信号の周波数と前記RF送信信号の周波数とはそれぞれWCDMA方式の略2110MHz〜2170MHzと略1920MHz〜190MHzとに設定されている通信用半導体集積回路。
【請求項12】
請求項10において、
前記集積回路は、他の低雑音増幅器、他の受信ミキサ、他の復調信号処理回路を更に含み、
前記他の低雑音増幅器は、前記無線通信端末の前記アンテナにより受信されるGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF受信信号を増幅することが可能に構成され、
前記他の受信ミキサの一方の入力端子には、前記他の低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、
前記他の受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した受信用ローカル信号が供給され、
前記他の復調信号処理回路は、前記他の受信ミキサの出力端子の他の直交復調受信信号を処理して、
前記集積回路の受信モードで、前記他の受信ミキサと前記他の復調信号処理回路とより、前記PCS1900の方式のRF受信信号が処理可能となっており、
前記受信誤差校正回路は、前記集積回路の校正モードにおいて、前記他の復調信号処理回路の出力端子の直交復調受信信号の誤差を校正して、
前記集積回路は、更に他の送信ミキサ、送信系オフセットPLL回路を含み、
前記変調信号処理回路は、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信信号を処理することが可能に構成され、
前記他の送信ミキサの一方の入力端子には前記変調信号処理回路のGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信出力信号が供給され、前記他の送信ミキサの他方の入力端子には中間周波信号が供給され、前記他の送信ミキサの出力の中間周波送信信号は前記送信系オフセットPLL回路の入力に供給され、
前記集積回路の前記送信モードで、前記送信系オフセットPLL回路の出力よりGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF送信信号が生成可能となっており、
前記集積回路の前記校正モードにおいて前記RFテスト信号生成ユニットから生成されるPCS1900の方式のRF受信信号の周波数の略1930MHz〜1990MHzの周波数を有する前記RFテスト信号が受信ミキサの前記一方の入力端子に供給されることを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項13】
請求項12において、
前記変調信号処理回路は位相変調ともに振幅変調を使用するEDGE方式に対応するポーラループ方式とポーラモジュレータ方式のいずれかの方式で構成され、
前記送信系オフセットPLL回路は、前記いずれかの方式の位相変調のための位相ループと前記いずれかの方式の振幅変調のための振幅ループとを含むことを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項14】
請求項12において、
前記集積回路の前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの前記出力端子の前記直交復調受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換器を含み、
前記集積回路の前記変調信号処理回路は、前記変調信号処理回路の直交送信出力信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換器を含み、
前記集積回路は、ベースバンド信号処理を行うLSIへディジタル信号の前記直交復調受信信号を出力する一方、前記LSIからディジタル信号の直交送信出力信号が供給されるディジタルインターフェースを含み、
前記集積回路は、前記ディジタルインターフェースに供給するディジタルインターフェース基準信号を生成するディジタルインターフェース基準信号生成ユニットを更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記ディジタルインターフェース信号生成ユニットの出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項15】
請求項12において、
前記集積回路は、前記受信用ローカル信号と前記送信用ローカル信号とを生成する際のシステム基準信号を生成するシステム基準電圧制御発振器を更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記システム基準電圧制御発振器の発振出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項16】
請求項12において、
前記集積回路は、分周数が分数を含み前記送信用電圧制御発振器の出力に入力が接続されたフラクショナル分周器を更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号が前記入力に供給された前記フラクショナル分周器の出力から前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項17】
請求項12において、
前記集積回路は、前記校正モードで前記送信用電圧制御発振器を制御する制御回路を更に含み、
前記校正モードでは前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数は、前記マルチバンド無線周波数通信の前記複数の周波数バンドのいずれの周波数バンドでの前記集積回路の送信モードでの前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数よりも低く制御され、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記制御回路によって制御された前記送信用電圧制御発振器の前記校正モードでの前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号を前記RFテスト信号として生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項18】
ベースバンド信号処理を行うLSIと、
前記LSIからの直交送信信号からRF送信信号への周波数アップコンバージョンを送信ミキサで行い、アンテナで受信されるRF受信信号から直交復調受信信号への周波数ダウンコンバージョンを受信ミキサで行う通信用半導体集積回路と、
前記通信用半導体集積回路から生成される前記RF送信信号を増幅して前記アンテナへ供給する電力増幅器と、
前記アンテナで受信される前記RF受信信号を前記通信用半導体集積回路に供給するとともに、前記電力増幅器の出力信号を前記アンテナへ供給するアンテナスイッチ半導体集積回路とを含み、基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有する無線通信端末装置であって、
前記通信用半導体集積回路は、請求項3に記載の通信用半導体集積回路と請求項12に記載の通信用半導体集積回路とのいずれかであることを特徴とする無線通信端末装置。
【請求項1】
無線通信端末に搭載されて、基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有する通信用半導体集積回路は、低雑音増幅器、受信ミキサ、受信用電圧制御発振器、復調信号処理回路、受信誤差校正回路を含み、
前記低雑音増幅器は、前記無線通信端末のアンテナにより受信されるRF受信信号を増幅して、
前記受信ミキサの一方の入力端子には前記低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、
前記受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した受信用ローカル信号が供給され、
前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの出力端子の直交復調受信信号を処理して、
前記集積回路の受信モードで、前記受信ミキサと前記復調信号処理回路とより、前記マルチバンド無線周波数通信の複数の周波数バンドで最高の周波数を有する最高周波数バンドのRF受信信号が処理可能となっており、
前記受信誤差校正回路は、前記集積回路の校正モードにおいて、前記復調信号処理回路の出力端子の直交復調受信信号の誤差を校正して、
前記集積回路は、更に変調信号処理回路、送信ミキサ、送信用電圧制御発振器を含み、
前記変調信号処理回路は、直交送信信号を処理して、
前記送信ミキサの一方の入力端子には前記変調信号処理回路の直交送信出力信号が供給され、前記送信ミキサの他方の入力端子には前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答した送信用ローカル信号が供給され、
前記集積回路の送信モードで、前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答して前記送信ミキサの出力より、前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドのRF送信信号が生成可能となっており、
前記集積回路は、前記集積回路の前記校正モードにおいて前記受信誤差校正回路による誤差校正のためRFテスト信号を生成して前記RFテスト信号を前記受信ミキサの前記一方の入力端子に供給するRFテスト信号生成ユニットを更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号を利用して前記RFテスト信号を生成して、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットから生成される前記RFテスト信号は、前記マルチバンド無線周波数通信の前記複数の周波数バンドで前記最高周波数バンドの前記RF送信信号の周波数よりも高い周波数の前記RF受信信号のRF受信周波数バンド内の周波数を有することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項2】
請求項1において、
前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドの前記R受信信号の周波数と前記RF送信信号の周波数とはそれぞれWCDMA方式の略2110MHz〜2170MHzと略1920MHz〜190MHzとに設定されている通信用半導体集積回路。
【請求項3】
請求項2において、
前記集積回路は、他の低雑音増幅器、他の受信ミキサ、他の復調信号処理回路を更に含み、
前記他の低雑音増幅器は、前記無線通信端末の前記アンテナにより受信されるGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF受信信号を増幅することが可能に構成され、
前記他の受信ミキサの一方の入力端子には、前記他の低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、
前記他の受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した受信用ローカル信号が供給され、
前記他の復調信号処理回路は、前記他の受信ミキサの出力端子の他の直交復調受信信号を処理して、
前記集積回路の受信モードで、前記他の受信ミキサと前記他の復調信号処理回路とより、前記PCS1900の方式のRF受信信号が処理可能となっており、
前記受信誤差校正回路は、前記集積回路の校正モードにおいて、前記他の復調信号処理回路の出力端子の直交復調受信信号の誤差を校正して、
前記集積回路は、更に他の送信ミキサ、送信系オフセットPLL回路を含み、
前記変調信号処理回路は、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信信号を処理することが可能に構成され、
前記他の送信ミキサの一方の入力端子には前記変調信号処理回路のGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信出力信号が供給され、前記他の送信ミキサの他方の入力端子には中間周波信号が供給され、前記他の送信ミキサの出力の中間周波送信信号は前記送信系オフセットPLL回路の入力に供給され、
前記集積回路の前記送信モードで、前記送信系オフセットPLL回路の出力よりGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF送信信号が生成可能となっており、
前記集積回路の前記校正モードにおいて前記RFテスト信号生成ユニットから生成されるPCS1900の方式のRF受信信号の周波数の略1930MHz〜1990MHzの周波数を有する前記RFテスト信号が受信ミキサの前記一方の入力端子に供給されることを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項4】
請求項3において、
前記変調信号処理回路は位相変調ともに振幅変調を使用するEDGE方式に対応するポーラループ方式とポーラモジュレータ方式のいずれかの方式で構成され、
前記送信系オフセットPLL回路は、前記いずれかの方式の位相変調のための位相ループと前記いずれかの方式の振幅変調のための振幅ループとを含むことを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項5】
請求項3において、
前記集積回路の前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの前記出力端子の前記直交復調受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換器を含み、
前記集積回路の前記変調信号処理回路は、前記変調信号処理回路の直交送信出力信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換器を含み、
前記集積回路は、ベースバンド信号処理を行うLSIへディジタル信号の前記直交復調受信信号を出力する一方、前記LSIからディジタル信号の直交送信出力信号が供給されるディジタルインターフェースを含み、
前記集積回路は、前記ディジタルインターフェースに供給するディジタルインターフェース基準信号を生成するディジタルインターフェース基準信号生成ユニットを更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記ディジタルインターフェース信号生成ユニットの出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項6】
請求項3において、
前記集積回路は、前記受信用ローカル信号と前記送信用ローカル信号とを生成する際のシステム基準信号を生成するシステム基準電圧制御発振器を更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記システム基準電圧制御発振器の発振出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項7】
請求項3において、
前記集積回路は、分周数が分数を含み前記送信用電圧制御発振器の出力に入力が接続されたフラクショナル分周器を更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号が前記入力に供給された前記フラクショナル分周器の出力から前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項8】
請求項3において、
前記集積回路は、前記校正モードで前記送信用電圧制御発振器を制御する制御回路を更に含み、
前記校正モードでは前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数は、前記マルチバンド無線周波数通信の前記複数の周波数バンドのいずれの周波数バンドでの前記集積回路の送信モードでの前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数よりも低く制御され、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記制御回路によって制御された前記送信用電圧制御発振器の前記校正モードでの前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号を前記RFテスト信号として生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項9】
無線通信端末に搭載されて、基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有し、ベースバンド信号処理を行うLSIからの直交送信信号からRF送信信号への周波数アップコンバージョンを送信ミキサで行い、アンテナで受信されるRF受信信号から直交復調受信信号への周波数ダウンコンバージョンを受信ミキサで行い、前記周波数アップコンバージョンでは送信用電圧制御発振器の出力に応答した送信用ローカル信号が前記送信ミキサに供給され、前記周波数ダウンコンバージョンでは受信用電圧制御発振器の出力に応答した受信用ローカル信号が前記受信ミキサに供給され、前記受信ミキサの出力から復調信号処理回路により直交復調受信出力信号が形成される通信用半導体集積回路であって、
前記集積回路の校正モードにおいてRFテスト信号を生成して前記受信ミキサに供給するRFテスト信号生成ユニットと、
前記集積回路の前記校正モードにおいて前記RFテスト信号が供給された前記受信ミキサの出力に応答する前記復調信号処理回路よりの前記直交復調受信出力信号の誤差を校正して、それにより前記集積回路の受信モードで前記RF受信信号に応答する前記受信ミキサの出力に応答する前記復調信号処理回路よりの前記直交復調受信出力信号の誤差を減少する受信誤差校正回路とを含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号を利用して前記RFテスト信号を生成して、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットから生成される前記RFテスト信号は、前記マルチバンド無線周波数通信の複数の周波数バンドで最高周波数バンドのRF送信信号の周波数よりも高い周波数の前記RF受信信号のRF受信周波数バンド内の周波数を有することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項10】
請求項9において、
前記集積回路は、低雑音増幅器を更に含み、
前記低雑音増幅器は、前記アンテナにより受信される前記RF受信信号を増幅して、
前記受信ミキサの一方の入力端子には前記低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、
前記受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した前記受信用ローカル信号が供給され、
前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの出力端子の直交復調受信信号を処理して、
前記集積回路の受信モードで、前記受信ミキサと前記復調信号処理回路とより、前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドのRF受信信号が処理可能となっており、
前記集積回路は、更に変調信号処理回路を含み、
前記変調信号処理回路は、前記直交送信信号を処理して、
前記送信ミキサの一方の入力端子には前記変調信号処理回路の直交送信出力信号が供給され、前記送信ミキサの他方の入力端子には前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答した前記送信用ローカル信号が供給され、
前記集積回路の送信モードで、前記送信用電圧制御発振器の発振出力に応答して前記送信ミキサの出力より、前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドのRF送信信号が生成可能となっていることを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項11】
請求項10において、
前記マルチバンド無線周波数通信の前記最高周波数バンドの前記R受信信号の周波数と前記RF送信信号の周波数とはそれぞれWCDMA方式の略2110MHz〜2170MHzと略1920MHz〜190MHzとに設定されている通信用半導体集積回路。
【請求項12】
請求項10において、
前記集積回路は、他の低雑音増幅器、他の受信ミキサ、他の復調信号処理回路を更に含み、
前記他の低雑音増幅器は、前記無線通信端末の前記アンテナにより受信されるGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF受信信号を増幅することが可能に構成され、
前記他の受信ミキサの一方の入力端子には、前記他の低雑音増幅器のRF増幅信号が供給され、
前記他の受信ミキサの他方の入力端子には前記受信用電圧制御発振器の発振出力に応答した受信用ローカル信号が供給され、
前記他の復調信号処理回路は、前記他の受信ミキサの出力端子の他の直交復調受信信号を処理して、
前記集積回路の受信モードで、前記他の受信ミキサと前記他の復調信号処理回路とより、前記PCS1900の方式のRF受信信号が処理可能となっており、
前記受信誤差校正回路は、前記集積回路の校正モードにおいて、前記他の復調信号処理回路の出力端子の直交復調受信信号の誤差を校正して、
前記集積回路は、更に他の送信ミキサ、送信系オフセットPLL回路を含み、
前記変調信号処理回路は、GSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信信号を処理することが可能に構成され、
前記他の送信ミキサの一方の入力端子には前記変調信号処理回路のGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式の直交送信出力信号が供給され、前記他の送信ミキサの他方の入力端子には中間周波信号が供給され、前記他の送信ミキサの出力の中間周波送信信号は前記送信系オフセットPLL回路の入力に供給され、
前記集積回路の前記送信モードで、前記送信系オフセットPLL回路の出力よりGSM850、GSM900、DCS1800、PCS1900のいずれの方式のRF送信信号が生成可能となっており、
前記集積回路の前記校正モードにおいて前記RFテスト信号生成ユニットから生成されるPCS1900の方式のRF受信信号の周波数の略1930MHz〜1990MHzの周波数を有する前記RFテスト信号が受信ミキサの前記一方の入力端子に供給されることを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項13】
請求項12において、
前記変調信号処理回路は位相変調ともに振幅変調を使用するEDGE方式に対応するポーラループ方式とポーラモジュレータ方式のいずれかの方式で構成され、
前記送信系オフセットPLL回路は、前記いずれかの方式の位相変調のための位相ループと前記いずれかの方式の振幅変調のための振幅ループとを含むことを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項14】
請求項12において、
前記集積回路の前記復調信号処理回路は、前記受信ミキサの前記出力端子の前記直交復調受信信号をアナログ信号からディジタル信号に変換するA/D変換器を含み、
前記集積回路の前記変調信号処理回路は、前記変調信号処理回路の直交送信出力信号をディジタル信号からアナログ信号に変換するD/A変換器を含み、
前記集積回路は、ベースバンド信号処理を行うLSIへディジタル信号の前記直交復調受信信号を出力する一方、前記LSIからディジタル信号の直交送信出力信号が供給されるディジタルインターフェースを含み、
前記集積回路は、前記ディジタルインターフェースに供給するディジタルインターフェース基準信号を生成するディジタルインターフェース基準信号生成ユニットを更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記ディジタルインターフェース信号生成ユニットの出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項15】
請求項12において、
前記集積回路は、前記受信用ローカル信号と前記送信用ローカル信号とを生成する際のシステム基準信号を生成するシステム基準電圧制御発振器を更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号と前記システム基準電圧制御発振器の発振出力信号とを利用して前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項16】
請求項12において、
前記集積回路は、分周数が分数を含み前記送信用電圧制御発振器の出力に入力が接続されたフラクショナル分周器を更に含み、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号が前記入力に供給された前記フラクショナル分周器の出力から前記RFテスト信号を生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項17】
請求項12において、
前記集積回路は、前記校正モードで前記送信用電圧制御発振器を制御する制御回路を更に含み、
前記校正モードでは前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数は、前記マルチバンド無線周波数通信の前記複数の周波数バンドのいずれの周波数バンドでの前記集積回路の送信モードでの前記送信用電圧制御発振器の発振出力信号の周波数よりも低く制御され、
前記校正モードで前記RFテスト信号生成ユニットは、前記制御回路によって制御された前記送信用電圧制御発振器の前記校正モードでの前記送信用電圧制御発振器の前記発振出力信号を前記RFテスト信号として生成することを特徴とする通信用半導体集積回路。
【請求項18】
ベースバンド信号処理を行うLSIと、
前記LSIからの直交送信信号からRF送信信号への周波数アップコンバージョンを送信ミキサで行い、アンテナで受信されるRF受信信号から直交復調受信信号への周波数ダウンコンバージョンを受信ミキサで行う通信用半導体集積回路と、
前記通信用半導体集積回路から生成される前記RF送信信号を増幅して前記アンテナへ供給する電力増幅器と、
前記アンテナで受信される前記RF受信信号を前記通信用半導体集積回路に供給するとともに、前記電力増幅器の出力信号を前記アンテナへ供給するアンテナスイッチ半導体集積回路とを含み、基地局とマルチバンド無線周波数通信を行う機能を有する無線通信端末装置であって、
前記通信用半導体集積回路は、請求項3に記載の通信用半導体集積回路と請求項12に記載の通信用半導体集積回路とのいずれかであることを特徴とする無線通信端末装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2008−124965(P2008−124965A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308821(P2006−308821)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
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