説明

連続成膜装置

【課題】種々の成膜法が利用可能な連続成膜装置を提供する。
【解決手段】真空中で搬送される基材Sの表面に成膜粒子を供給して皮膜を形成する連続成膜装置であって、真空チャンバ−1と、真空チャンバー1内に回転自在に支持され、基材Sを巻き掛けて搬送する成膜ロール4と、前記基材Sを成膜域に供給する巻出ロール5および成膜後の基材を巻き取る巻取ロール6と、前記成膜ロール4に対向して配置されたスパッタ蒸発源71,72,73を備える。さらに前記成膜ロール4の下部に一対の回転円筒状電極11,12をそれぞれ成膜ロール4と平行に備える。前記一対の回転円筒状電極の少なくとも一方は円筒状ターゲット13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフィルムやシートなどの帯状の基材を搬送しながらその表面に機能性薄膜等の皮膜を種々の成膜法によって連続的に成膜することができる連続成膜装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックや無機質などで形成された長尺のフィルムやシートからなる基材(被成膜材)を、真空チャンバー内で連続的に走行搬送し、その表面に種々の機能性薄膜をスパッタリングや蒸着によって成膜する連続成膜装置がある。この種の連続成膜装置は、バッチ処理毎に皮膜物質を供給する蒸発源の交換やメンテナンス、成膜領域を画するマスクの交換や清掃、基材の供給,交換,通紙というようなメンテナンスや段取り作業を行う必要がある。
【0003】
このような作業を容易に行うことができ、設置スペースも少なくて済む連続成膜装置が特開2008−31492号公報(特許文献1)に提案されている。この装置は、図11に示すように、正面壁51と背面壁52とが上面壁53と下面壁54とによって連結され、両側方が開口した方形枠状のチャンバー本体2と、前記チャンバー本体2の側方開口をヒンジ機構や平行移動機構により開閉自在に閉じるサイドドア3L,3Rが設けられた真空チャンバー1を備え、前記真空チャンバー1の内部に基材Sを巻き掛けて搬送可能な成膜ロール4と、基材Sを前記成膜ロール4に供給する巻出ロール5および成膜後の基材を巻き取る巻取ロール6が設けられる。また前記サイドドア3L,3Rには、前記成膜ロール4に巻き掛けられた基材に側方から成膜粒子を供給堆積させるスパッタ蒸発源7L,7Rが着脱自在に取り付けられている。
【0004】
前記巻出ロール5、巻取ロール6は、それぞれロール軸に円筒状のボビンが着脱自在に取り付けられ、前記巻出ロール5のボビンには未処理の基材が巻き取られた基材コイルが装着され、前記巻取ロール6のボビンに成膜済みの基材が巻き取られる。前記真空チャンバー1内には、前記巻出ロール5から巻き出された基材Sを前記成膜ロール4に供給する上流側の案内ロール81,82と、前記成膜ロール4上にて成膜された基材を前記巻取ロール6に案内する下流側の案内ロール83,84が設けられている。
【0005】
前記成膜ロール4、案内ロール81〜84は、前記チャンバー本体を構成する背面壁と正面壁とに回転自在に支持され、また前記巻出ロール5、巻取ロール6は、前記正面壁51と背面壁52とに設けられた回転駆動部に着脱自在かつ回転自在に支持される。前記成膜ロール4は、モータで回転駆動され、巻き掛けられた基材を搬送し、前記巻出ロール5、巻取ロール6は、所定の案内ロール82,83に付設されたロードセルによって検出した基材張力に基づいて所定の張力となるように回転トルクが制御される。前記真空チャンバー1には、その内部を真空排気する真空ポンプ等の真空排気装置(図示省略)が前記背面壁52の上部に設けられ、またArガス等のスパッタガスを供給停止自在に供給するスパッタガス供給部(図示省略)が設けられている。
【0006】
基材の表面にスパッタ成膜するには、巻出ロール5から巻き出した基材Sを上流側の案内ロール81,82を介して成膜ロール4に巻き掛け、さらに下流側の案内ロール83,84を介して前記巻取ロール6に巻き取り可能に装着する。そして、前記真空チャンバー1内を真空排気した後、スパッタガスを所定のガス圧となるように供給し、基材Sを巻出ロール5から巻取ロール6へ走行搬送しながら、前記成膜ロール4の上で基材Sの表面に左右のスパッタ蒸発源7L,7Rから放出された成膜粒子を堆積させて成膜し、成膜後の基材Sを巻取ロール6にて巻き取る。
【0007】
上記連続成膜装置によると、基材を成膜した後、左右のサイドドア7L,7Rをチャンバー本体2から大きく開くことにより、チャンバー本体2内の成膜ロール4や案内ロールを取り外すことなく、巻出ロール5や巻取ロール6を取り出すことができ、ボビンの交換作業、通紙作業を容易に行うことができる。また、チャンバー内部のメンテナンスのみならず、スパッタ蒸発源7L,7Rの交換やメンテナンスも小さなスペースで容易に行うことができる。このような左右のサイドドアが開閉自在に構成された連続成膜装置を両サイド開放タイプの連続成膜装置という。
【0008】
上記連続成膜装置は、スパッタ蒸発源として、図例では平板状ターゲットを備えた平板状ソード電極が用いられているが、ターゲットを付設する平板状電極としては、特開平5−295536号公報(特許文献2)に記載されているように、長さ方向に沿って中央磁石とこれを取り囲むように外周磁石を設け、両磁石の間を山形状の磁力線がまたがる磁場(レーストラック状磁場)を形成する磁場発生機構を内蔵した電極を用いることができる。このような電極は「マグネトロン電極」と呼ばれ、これをカソードとして高周波電圧、直流電圧あるいはパルス状電圧を印加することにより、前記磁場により捕捉された放電プラズマ(マグネトロン放電プラズマ)を形成することができる。マグネトロン電極にスパッタリングターゲットを備えたスパッタ蒸発源は「マグネトロンスパッタ蒸発源」と呼ばれる。また、マグネトロンスパッタ蒸発源を一対用いて、一方の蒸発源の電極が交流スパッタ電源の一方の出力端に、他方の蒸発源の電極が他方の出力端になるように接続して、交流電圧を印加してスパッタリングする方式は「デュアルマグネトロンスパッタリング」と呼ばれ、この方式によれば反応性スパッタリングで絶縁膜を成膜するときの放電を長時間安定化させることができる。
【0009】
また、スパッタ蒸発源の電極として、円筒形状の外観を備え、長さ(回転軸)方向に沿って放電プラズマを捕捉するレーストラック状磁場を形成する磁場発生機構を内蔵し、外周壁が回転自在とされた回転円筒状電極(「ロータリーマグネトロン電極」という。)が特表平2002−52966号公報(特許文献3)に記載されている。この電極の外周部に円筒状ターゲットを備えたスパッタ蒸発源を「ロータリーマグネトロンスパッタ蒸発源」といい、高周波電圧、直流電圧あるいはパルス状電圧を供給して、円筒状ターゲットをスパッタリングすることによりターゲットの利用率の高い成膜を行うことができる。また、一対のロータリーマグネトロンスパッタ蒸発源を用いて、各蒸発源の電極をそれぞれ交流スパッタ電源の異なる出力端に接続し、交流電圧を印加することによりデュアルマグネトロンスパッタリングを行うことができる。
【0010】
一方、成膜法として、上記スパッタ法のほか、プラズマCVD法が知られており、このプラズマCVD法を適用した連続成膜装置が特許第2587507号公報(特許文献4)に記載されている。この連続成膜装置は、それぞれ搬送ロールを備えた一対の回転円筒状電極(「電極ロール」と呼ばれることがある。)を平行に設け、各電極の搬送ロールの対向面に巻き掛けられたフィルム基材を搬送しながら、回転円筒状電極の搬送ロールの間に放電プラズマを発生させ、これに原料ガス(反応ガス)を供給し、解離した原料ガス(活性分子種)により前記搬送ロールに巻き掛けられた基材表面を成膜するものである。前記放電プラズマは、各電極をそれぞれプラズマ電源の異なる出力端に接続し、交流電圧を印加することによって形成される。プラズマCVD法の場合、基材としては、フィルムなどの絶縁物が用いられる。
【0011】
前記プラズマCVD法を適用した他の連続成膜装置が特表2005−504880号公報(特許文献5)に記載されている。この連続成膜装置は、磁力線がロール間を貫通する磁場を形成する磁場発生機構を内蔵した一対の回転円筒状電極を平行に設け、各電極の搬送ロールの対向面に巻き掛けられたフィルム基材を搬送しながら、両電極を共にプラズマ電源の一方の極に接続して数十〜数百kHzの交流電圧を印加することにより、電極ロール間の磁場に捕捉された放電プラズマ(ペニング放電プラズマ)を形成し、これを利用して原料ガスを解離し、成膜するものである。
【0012】
また、前記プラズマCVD法を適用した他の連続成膜装置が特開2008−196001号公報(特許文献6)に記載されている。この装置は、レーストラック状磁場を形成する磁場発生機構を内蔵した一対の回転円筒状電極を平行に設け、各電極の搬送ロールの対向面に巻き掛けられたフィルム基材を搬送しながら、各電極をそれぞれプラズマ電源の異なる出力端に接続し、数十〜数百kHzの交流電圧を印加して放電プラズマ(マグネトロン放電プラズマ)を発生させ、これを用いて原料ガスを解離し、成膜するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2008−31492号公報
【特許文献2】特開平5−295536号公報
【特許文献3】特表平2002−52966号公報
【特許文献4】特許第2587507号公報
【特許文献5】特表2005−504880号公報
【特許文献6】特開2008−196001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記段落0003〜0007に示したように、両サイド開放タイプの連続成膜装置はスペース効率やメンテナンス性に優れるため、比較的小型の装置として好適であり、小規模の実験研究、研究開発の用途に適する。しかしながら、このような用途に用いる場合、真空チャンバー内に取り付けられる蒸発源によって適用可能な成膜手法が限られ、成膜手法のバリエーションに欠けるという嫌いがある。例えば、物理蒸着としてスパッタ法を適用する場合、図11に例示したものの場合、サイドドアに設ける蒸発源としてプレーナマグネトロンスパッタ蒸発源を用いることができるが、より効率の高いロータリーマグネトロンスパッタ蒸発源を利用することができず、また化学蒸着としてプラズマCVD法を利用できないという不都合がある。
【0015】
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、種々の成膜法を適用することができる連続成膜装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の連続成膜装置は、真空中で搬送される基材の表面に成膜粒子を供給して皮膜を形成するものであって、真空チャンバ−と、前記真空チャンバー内に回転自在に支持され、前記基材を巻き掛けて搬送することができる成膜ロールと、前記基材を供給する巻出ロールおよび成膜後の基材を巻き取る巻取ロールと、前記成膜ロールに対向して配置された成膜源を備え、さらに一対の回転円筒状電極をそれぞれ前記成膜ロールと平行に配置したものである。
【0017】
この連続成膜装置によると、成膜ロールに対向して配置された成膜源によって、成膜ロールに巻き掛けられた基材を成膜することができ、さらに前記成膜源とは別に設けた一対の回転円筒状電極を用いて各種のスパッタやプラズマCVDによる成膜、プラズマ照射による改質を行うことができる。
【0018】
上記連続成膜装置において、前記真空チャンバーを、正面壁及び背面壁を備え、側方が開口したチャンバー本体と、前記チャンバー本体の側方の開口を開閉自在に閉じるサイドドアで構成し、前記サイドドアに前記成膜源を取り付け、前記成膜ロール、巻出ロール、巻取ロール及び一対の回転円筒状電極を前記正面壁と背面壁とに回転自在に支持されるように設けることができる。この装置によると、サイドドアを開くことにより、少ないスペースで成膜源、巻出ロールや巻取ロールの交換、メンテナンスを容易に行うことができ、また真空チャンバー内部のメンテナンスも容易に行うことができる。
【0019】
また、上記連続成膜装置において、前記一対の回転円筒状電極の内の少なくとも一方の回転円筒状電極は円筒状ターゲットを備え、前記成膜ロールに基材を巻き掛けて搬送しながら前記円筒状ターゲットを蒸発させて基材表面に成膜することができる。これにより、成膜ロールに対向するように設けた成膜源のみならず、円筒状ターゲットを備えた回転円筒状電極をスパッタ蒸発源として、成膜ロールに巻き掛けられた基材をスパッタリングすることができる。
【0020】
また、上記連続成膜装置において、前記一対の回転円筒状電極はそれぞれ基板を巻き掛けて搬送する搬送ロールを備え、前記一方の回転円筒状電極の搬送ロールと他方の回転円筒状電極の搬送ロールの対向面に基材を案内する経路変更ロールを設け、前記回転円筒状電極の搬送ロールに巻き掛けられて搬送される基材の間に放電プラズマを形成するプラズマ電源と、前記放電プラズマに原料ガスを供給する原料ガス供給装置を設け、前記経路変更ロールによって前記回転円筒状電極の搬送ロールの対向面に基材を巻き掛けて搬送しながら前記回転円筒状電極の搬送ロール間に形成した放電プラズマによって基材表面にプラズマ処理を行うことができる。かかる構成を採ることにおり、経路変更ロールによって基材の搬送経路を変更し、回転円筒状電極を成膜ロールのように基材搬送手段として用いながら、搬送ロール間に放電プラズマを発生させ、これによりプラズマ処理、すなわちプラズマ照射による改質や原料ガスを解離してプラズマCVDによる成膜を行うことができる。
【0021】
この場合、さらに前記一対の回転円筒状電極の内の少なくとも一方の回転円筒状電極が備える搬送ロールと交換可能な円筒状ターゲットを設けることができる。あるいは前記搬送ロールを備えた一対の回転円筒状電極の内の少なくとも一方の回転円筒状電極と交換可能な、円筒状ターゲットを備えた回転円筒状電極を設けることができる。かかる構成を採ることにより、前記経路変更ロールによって前記回転円筒状電極の搬送ロールの対向面に基材を巻き掛けて搬送しながら前記回転円筒状電極の搬送ロール間に形成した放電プラズマによって基材表面にプラズマ処理を行い、また前記少なくとも一方の回転円筒状電極が備える搬送ロールを前記円筒状ターゲットと交換するか、あるいは前記搬送ロールを備えた一対の回転円筒状電極の内の少なくとも一方の回転円筒状電極を前記円筒状ターゲットを備えた回転円筒状電極と交換し、前記成膜ロールに基材を巻き掛けて搬送しながら前記円筒状ターゲットを蒸発させて基材表面に成膜することができる。このようにプラズマCVDによる成膜などのプラズマ処理のほか、必要に応じて前記搬送ロールを円筒状ターゲットと交換するか、搬送ロールを備えた回転円筒状電極の少なくとも一方を円筒状ターゲットを備えた回転円筒状電極と交換することにより、回転円筒状電極をロータリースパッタ蒸発源として用いてスパッタリングを行うことができ、一つの装置で種々の成膜法や改質法を使い分けることができる。
【0022】
上記のようにプラズマCVDによる成膜を実施可能な装置構成とする場合、前記一対の回転円筒状電極の間の対向空間を区画する隔壁を着脱自在に設け、前記隔壁によって区画された前記対向空間を排気する真空排気装置を設けることができる。前記隔壁を設けることにより、放電プラズマが生成する対向空間を他の領域と区分し、対向空間を効率よく真空排気することができる。また、対向空間に供給する原料ガスの濃度制御も容易になり、生産性が向上する。
【0023】
また、前記隔壁を設ける場合、前記真空チャンバー内の前記隔壁の外側に区画された外部空間に前記隔壁をシールドするシールドガスを供給停止自在に供給するシールドガス供給装置を設けることができる。これにより、回転円筒状電極を用いてプラズマCVDによる成膜を行う際、隔壁の外部空間にプラズマCVDに用いる原料ガスの流入を防止することができ、外部空間内にある成膜ロール、スパッタ蒸発源などへの皮膜の付着を防止することができる。
【0024】
また、上記連続成膜装置において、一対の回転円筒状電極に、それぞれ内部に磁場発生機構を設けることができる。かかる磁場発生機構を設けることにより、それぞれの回転円筒状電極をマグネトロン放電プラズマを形成させる電極として、あるいはペニング放電プラズマを形成させる電極として用いることができ、成膜効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の連続成膜装置によれば、成膜ロールに対向配置された成膜源とは別に、成膜ロールの下部に一対の回転円筒状電極を設けたので、前記成膜源による成膜とは別に、あるいは同時に一対の回転円筒状電極を用いて種々のスパッタリングや、プラズマ照射による表面改質、プラズマCVDによる成膜を行うことができる。このため、一つの装置で種々の処理を行うことができ、実験、研究用の装置として好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る連続成膜装置の正面切り欠き断面図である。
【図2】一対の回転円筒状電極にそれぞれ円筒状ターゲットを付設したロータリーマグネトロンスパッタ蒸発源を用いた、マグネトロン放電プラズマによるスパッタ状態を示す断面説明図である。
【図3】一対の回転円筒状電極にそれぞれ円筒状ターゲットを付設したロータリースパッタ蒸発源を用いた、ペニング放電プラズマによるスパッタ状態を示す断面説明図である。
【図4】第2実施形態に係る連続成膜装置の正面切り欠き断面図である。
【図5】一対の回転円筒状電極を基材搬送手段兼放電電極として用いた、ペニング放電プラズマによる成膜状態を示す断面説明図である。
【図6】一対の回転円筒状電極を基材搬送手段兼放電電極として用いた、マグネトロン放電プラズマによる成膜状態を示す断面説明図である。
【図7】第2実施形態の連続成膜装置の他の使用形態を示す正面切り欠き断面図である。
【図8】第2実施形態の連続成膜装置のさらに他の使用形態を示す正面切り欠き断面図である。
【図9】ロータリースパッタ蒸発源として用いる回転円筒状電極の断面説明図である。
【図10】プラズマ処理に用いる搬送ロールを備えた回転円筒状電極の断面説明図である。
【図11】従来の連続成膜装置の正面切り欠き断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態に係る連続成膜装置を図を参照して説明する。なお、従来の連続成膜装置と同機能を有する部材は同符号を付して説明を省略あるいは簡略することとし、相違点を中心に説明する。
【0028】
第1実施形態に係る連続成膜装置は、図1に示すように、真空チャンバー1のサイドドア3Lの上部に成膜前の基材Sにイオン照射を行うための前処理用イオン源31が設けられており、これに対向するように基材Sを搬送させるための案内ロール80が真空チャンバー1の上部に追加されている。また、真空チャンバー1の下面壁54には、開閉蓋32によって通常閉塞された排気口33が設けられている。前記排気口33を設けることにより、真空チャンバー1の上部に設けられた真空排気装置とは別に、必要に応じて排気口33に別の真空排気装置を接続することで、下方からも真空排気することができる。
【0029】
また、左側のサイドドア3Lには上下一対のスパッタ蒸発源71,72が、右側のサイドドア3Rには一つのスパッタ蒸発源73が成膜源として着脱自在に取り付けられている。これらのスパッタ蒸発源は平板状のマグネトロンスパッタ蒸発源である。左方の上下一対のスパッタ蒸発源71,72は、各蒸発源の電極がそれぞれスパッタ電源の異なる出力端に接続され、交流電圧が印加される。これにより、デュアルマグネトロンスパッタリングが行われる。右方のスパッタ蒸発源73は、その電極がカソード電極とされて、高周波電圧、直流電圧あるいはパルス状直流電圧が印加され、マグネトロンスパッタリングが行われる。
【0030】
前記真空チャンバー1内に回転自在に設けられた成膜ロール4の下部には、左右に一対の回転円筒状電極11,12がそれぞれ成膜ロール4と平行に設けられている。前記回転円筒状電極11,12は、図9に示すように、正面壁51に設けられたベアリングによって回転支持される駆動軸を有する正面側支持部材25と、背面壁52に設けられたベアリングによって回転支持される従動軸を有する背面側支持部材26と、これらの支持部材によって着脱自在に同心状に保持される円筒状ターゲット13を備えている。前記駆動軸の外端部は回転駆動装置24が着脱自在に連結され、回転駆動装置24により、前記円筒状ターゲット13及びこれを保持する支持部材25,26が一体的に回転駆動される。前記円筒状ターゲット13は、ターゲット本体21とこれをバックアップするバッキングチューブ22とで構成される。前記ターゲット本体21はバッキングチューブ22に着脱自在に固定するようにしてもよく、またこれらを一体化したものでもよい。前記回転駆動機構は、一対の回転円筒状電極11,12を共通に駆動するものでもよいが、各々の回転円筒状電極を独立駆動できるように電極毎に設けてもよい。また、前記回転円筒状電極11,12に冷却水などの冷却媒体を流す冷却流路を設けてもよく、これによってロールの温度制御を行うことができる。冷却媒体は、前記正面側支持部材25の駆動軸を介して供給するようにすればよい。
【0031】
前記回転円筒状電極11,12は、上記のとおり、その中央外周壁を構成する円筒状ターゲット13を備えており、図2に示すように、その内部にレーストラック状磁場を形成する磁場発生機構14が設けられている。すなわち、これらの回転円筒状電極11,12は、ロータリーマグネトロン電極として用いられる。これらの一対の回転円筒状電極11,12は、それぞれスパッタ電源の異なる出力端に接続され、数十kHzから数百kHzの交流電圧が印加される。これによりデュアルロータリーマグネトロンスパッタリングが行われる。
【0032】
前記磁場発生機構14は、図2に示すように、回転円筒状電極11,12の中心軸の方向に沿って直線状の中央磁石とその回りを取り囲むように極性の異なる外周磁石を有し、これらは磁気的連結部材により連結されている。前記磁場発生機構14は、ロール内部に設けられた位置調整保持機構(図示省略)により、設定位置が調整、保持可能とされている。前記磁場発生機構14により、ターゲット13を貫いて中央磁石と外周磁石とをつなぐ磁力線が山形状に形成され、円筒状ターゲット13の軸方向に沿ってレーストラック状磁場が形成される。前記磁力線の山形部では放電プラズマPが捕捉され、捕捉された放電プラズマ(マグネトロン放電プラズマ)によりレーストラック状のプラズマリングが形成される。これにより、前記磁場発生機構14の設置位置を保持したまま、回転円筒状電極11,12の外周壁と共に円筒状ターゲット13を回転させると、その外周面が均一に消耗する。
【0033】
前記回転円筒状電極11,12は、内部に収納される磁場発生機構14のサイズや製作可能な円筒状ターゲット13のサイズを考慮して、100〜250mmφ程度、好ましくは130〜200mm程度とするのがよい。また、前記回転円筒状電極11,12あるいはこれに付設した円筒状ターゲット13の表面と成膜ロール4の表面との間隔は、25〜200mm程度、好ましくは50〜150mm程度に設定するのがよい。
【0034】
上記第1実施形態の連続成膜装置によれば、サイドドア3L,3Rに設けたプレーナマグネトロンスパッタ蒸発源と共に、あるいは回転円筒状電極11,12を電極とするロータリーマグネトロンスパッタ蒸発源を用いてスパッタリングを行うことができる。また、以下の種々の変形例を適用することができ、多様なスパッタリングを提供することができる。
【0035】
上記第1実施形態では、サイドドアにマグネトロンスパッタ蒸発源を設けたが、サイドドアに設ける成膜源としては、ロータリーマグネトロンスパッタ蒸発源でもよく、またスパッタ蒸発源のほか、アーク蒸発源としてもよい。またプラズマ発生用電極や原料ガス供給手段などのプラズマCVD成膜機構を用いることもできる。
【0036】
また、図例では真空チャンバー内部を共通雰囲気としたが、成膜品質を向上させるには、左右のスパッタ蒸発源、下部の回転円筒状電極を電極とするスパッタ蒸発源の周辺を区画する隔壁を設け、各領域を独立して真空排気するようにしてもよい。また、図例では前処理装置としてイオン源を設けたが、これに限らず適宜の装置を設けることができ、また成膜後の基材を後処理する後処理装置や基材の特性を測定するための計測機器を適宜搭載することができる。
【0037】
また、図例では、デュアルマグネトロンスパッタリングを行うように、回転円筒状電極に極性の異なる交流電圧を印加したが、それぞれカソード電極として独立に直流電圧、高周波電圧、パルス状電圧を印加してもよく、これにより二つのロータリーマグネトロンスパッタ蒸発源を単独あるいは同時に用いることができる。また、磁場発生機構は必ずしも必要とせず、省くことも可能である。また、図例では、回転円筒状電極が成膜ロールに対向する側にプラズマを生成したが、対向配置された回転円筒状電極の間に磁場を向けて、電極が向かい合う位置にプラズマを生成して成膜するようにしてもよい。これにより基材へのプラズマ照射の少ない成膜を行うことができる。
【0038】
また、デュアルマグネトロンスパッタリングのほか、図3に示すように、回転円筒状電極11,12に、円筒状ターゲット13の表面を通り、好ましくは成膜ロール側に膨らむように、ロール間を貫通する磁力線を発生させる磁場発生機構15を設け、両円筒状回転電極ロール11,12を共にカソード電極としてスパッタ電源16に接続し、直流電圧又は交流電圧を印加することにより、電極ロールの間に磁場に捕捉されたペニング放電プラズマPを発生させることができ、これによるスパッタリングを行うことができる。前記磁場発生機構15は、磁力線の膨らみを可変とするように、設定位置を調整し、保持する位置調整機構を設けることが好ましい。なお、磁力線の形状は、電極ロールの中心間を縦通するような直線状のものでもよい。
【0039】
次に、第2実施形態に係る連続成膜装置を図面を参照して説明する。第2実施形態では、成膜対象の基材Sとしては電気的に絶縁性を有するプラスチックフィルムや紙が好ましい。これは、これらの絶縁性基材は電気を通さないため、一方の回転円筒状電極と他方の回転円筒状電極とが基材を通して短絡するのを防止することができるからである。なお、従来あるいは第1実施形態の連続成膜装置と同機能の部材は同符号を付して説明を省略あるいは簡略することとし、相違点を中心に説明する。
【0040】
第2実施形態に係る連続成膜装置は、図4に示すように、一対の回転円筒状電極11,12を基材搬送手段として用いると共に、プラズマ発生用の電極として用いるものである。前記回転円筒状電極11,12は、図10に示すように、第1実施形態で示した図9の回転円筒状電極に対して、円筒状ターゲット13に代えて搬送ロール23を設けたものであり、前記搬送ロール23と円筒状ターゲット13以外の構造部材、例えば正面側および背面側の支持部材25、26は両実施形態において共通構造とすることができる。前記搬送ロール23の幅や内径は前記円筒状ターゲット13とほぼ同様の寸法に形成すればよく、その内部に設けられる磁場発生機構や回転駆動装置、冷却手段等も共通化することができる。
【0041】
また、第2実施形態では、基材Sの搬送経路を成膜ロール4から前記回転円筒状電極11,12に変更するための経路変更ロール91〜96が設けられる。経路変更ロール91〜96は、背面壁52と正面壁51とに設けられた回転支持部に着脱自在に支持されている。巻出ロール5から巻き出された基材Sは、案内ロール80,81,82、経路変更ロール91,92,93を通って、成膜ロール4と干渉することなく、左方の回転円筒状電極11の搬送ロール23、右方の回転円筒状電極12の搬送ロール23の対向面側に巻き掛けられる。そして、経路変更ロール94,95を介して右方の回転円筒状電極12の、左方の回転円筒状電極11との対向面側に巻き掛けられ、経路変更ロール96、案内ロール83,84を介して巻取ロールに巻き取られる。
【0042】
また、前記回転円筒状電極11,12の対向面を含む領域を区画する隔壁35がチャンバー本体2に着脱自在に設けられている。回転円筒状電極11,12と隔壁35との間には、回転円筒状電極の搬送ロールに巻き掛けられた基材Sが通るだけの隙間が設けられる。また、第1実施形態と同様、搬送ロール間の空間に臨むように、下面壁54には排気口33が設けられ、これに真空排気装置が連通接続される。これによって、隔壁35によって仕切られた空間を下方から容易に真空排気することができる。
【0043】
前記回転円筒状電極11,12は、図5に示すように、その内部に搬送ロールの表面を通り、搬送ロール間を貫通し、互いに引き合う向きの磁力線を発生させる磁場発生機構15が設けられており、円筒状回転電極ロール11,12を共にプラズマ電源17の一方の極に接続し、数十〜数百kHzの交流電圧を印加することにより、回転円筒状電極11,12の間の磁場領域に捕捉された放電プラズマP、すなわちペニング放電プラズマを形成することができる。前記隔壁35によって仕切られた空間には、電極ロール間にプラズマCVD用の原料ガスを供給する原料ガス供給部36が設けられ、原料ガス供給部36は図示省略した原料ガス供給装置に連通接続されている。なお、プラズマ電源17の他極は、チャンバーの壁面としてもよく、また別途チャンバー内に独立した電極として設けてもよい。
【0044】
前記回転円筒状電極11,12の搬送ロール間隔は、20〜100mm程度、好ましくは30〜70mm程度とすればよい。第1実施形態においても電極中心軸の間隔は第2実施形態と同様に設定すればよい。また、成膜ロールとの間隔も第1実施形態と同様に25〜200mm、好ましくは50〜150mmとすればよく、この程度の間隔を設けることにより、成膜ロール4の下部に隔壁33や経路変更ロール92,93,94,95を設けるスペースを確保することができる。
【0045】
前記回転円筒状電極11,12の間に放電プラズマPを形成し、原料ガスを供給することなく、回転円筒状電極11,12に通電して回転させると、ロールの対向面に巻き掛けられた基材にプラズマ照射処理を行うことができる。また、放電プラズマ領域に原料ガスを供給することにより、効率の良いプラズマCVDによる成膜(この成膜と前記プラズマ照射処理と併せて「プラズマ処理」と呼ぶ)を行うことができる。
【0046】
上記の例では、回転円筒状電極11,12の搬送ロール23,23の間の空間を貫通する磁力線が形成されるように磁場発生機構15を設けたが、磁場発生機構としては、図6に示すように、レーストラック状磁場を形成する磁場発生機構14を設けてもよい。このような磁場を形成した場合、円筒状回転電極11,12をそれぞれプラズマ電源17の異なる出力端に接続し、十〜数百kHzの交流電圧を印加することで、磁力線の山形領域に捕捉されたマグネトロン放電プラズマを形成することができ、より効率的にプラズマCVDによる成膜を行うことができる。また、磁場発生機構は必要に応じて設ければよく、磁場発生機構を設けなくても電極ロール間に放電プラズマを形成することができる。
【0047】
上記第2実施形態の連続成膜装置によれば、一対の回転円筒状電極11,12を放電電極とし、搬送ロール23,23の間に放電プラズマPを形成し、そこに原料ガスを供給することにより、プラズマCVD装置として用いることができる。もちろん、図7に示す使用態様のように、経路変更ロール91〜96や隔壁35を取り付けたまま、あるいは取り外して、回転円筒状電極11,12を休止させた状態で、サイドドア3L,3Rのスパッタ蒸発源71,72,73を用いてスパッタリングを行うことができる。
【0048】
また、図8に示すように、成膜ロール4の上部の経路変更ロール91,96を取り外して、成膜ロール4の下部に取り付け、基材Sを成膜ロール4と共に回転円筒状電極11,12の対向面側に巻き掛けて、サイドドア3L,3Rのスパッタ蒸発源によるスパッタリングと共に、回転円筒状電極11,12間に形成した放電プラズマPによるプラズマ処理を同時に行うことができる。もちろん、経路変更ロール91〜96、隔壁35を取り外し、前記成膜ロール4のみに基材を巻き掛け、回転円筒状電極11,12の内の少なくとも一方の電極の搬送ロール23を別途準備した円筒状ターゲット13と交換してスパッタ蒸発源の電極として用いれば、第1実施形態の装置として用いることができる。もちろん、予め円筒状ターゲットを備えた回転円筒状電極を別途準備しておき、この回転円筒状電極を前記搬送ロールを備えた一対の回転円筒状電極の内の少なくとも一方と交換するようにしてもよい。このように、この連続成膜装置によれば、必要に応じて経路変更ロールを組み替えることにより、種々の成膜法を実施することができる。さらに、回転円筒状電極11,12の基本構造(搬送ロールを除く構造)、配置、回転駆動装置等を第1実施形態と共通化することで、装置の共通化を図ることができる。
【0049】
上記実施形態では、円筒状回転電極ロール11,12の間の空間を区画するように隔壁35を設けたが、隔壁は必ずしも必要ではない。この場合、真空チャンバーの下面壁54の排気口33に接続した真空排気装置のみで真空排気するようにしてもよい。また、隔壁を設ける場合、真空チャンバー1の内部空間であって、前記隔壁35の外側の外部空間に隔壁35をシールドするシールドガスを供給停止自在に供給するシールドガス供給装置を設けることができ、外部空間にプラズマCVDに用いる原料ガスの流入を防止することができ、外部空間内にある成膜ロール、スパッタ蒸発源などへの皮膜の付着を防止することができる。シールドガスとしては、皮膜を形成しないAr等の不活性ガスや酸素ガスなどのプラズマ処理ガスの一部を用いることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 真空チャンバー、2 チャンバー本体、3L,3R サイドドア、
4 成膜ロール、5 巻出ロール、6 巻取ロール、
11,12 回転円筒状電極、13 円筒状ターゲット、
14,15 磁場発生機構、23 搬送ロール、35 隔壁、
71〜73 スパッタ蒸発源、91〜96 経路変更ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空中で搬送される基材の表面に成膜粒子を供給して皮膜を形成する連続成膜装置であって、
真空チャンバ−と、
前記真空チャンバー内に回転自在に支持され、前記基材を巻き掛けて搬送することができる成膜ロールと、
前記基材を供給する巻出ロールおよび成膜後の基材を巻き取る巻取ロールと、
前記成膜ロールに対向して配置された成膜源を備え、
さらに一対の回転円筒状電極をそれぞれ前記成膜ロールと平行に配置した、連続成膜装置。
【請求項2】
前記真空チャンバーは、正面壁及び背面壁を備え、側方が開口したチャンバー本体と、前記チャンバー本体の側方の開口を開閉自在に閉じるサイドドアを備え、前記サイドドアに前記成膜源が取り付けられ、前記成膜ロール、巻出ロール、巻取ロール及び一対の回転円筒状電極が前記正面壁と背面壁とに回転自在に支持されるように設けられた、請求項1に記載した連続成膜装置。
【請求項3】
前記一対の回転円筒状電極の内の少なくとも一方の回転円筒状電極は円筒状ターゲットを備え、前記成膜ロールに基材を巻き掛けて搬送しながら前記円筒状ターゲットを蒸発させて基材表面に成膜する、請求項1又は2に記載した連続成膜装置。
【請求項4】
前記一対の回転円筒状電極はそれぞれ基板を巻き掛けて搬送する搬送ロールを備え、前記一方の回転円筒状電極の搬送ロールと他方の回転円筒状電極の搬送ロールの対向面に基材を案内する経路変更ロールを設け、前記回転円筒状電極の搬送ロールに巻き掛けられて搬送される基材の間に放電プラズマを形成するプラズマ電源と、前記放電プラズマに原料ガスを供給する原料ガス供給装置を設け、
前記経路変更ロールによって前記回転円筒状電極の搬送ロールの対向面に基材を巻き掛けて搬送しながら前記回転円筒状電極の搬送ロール間に形成した放電プラズマによって基材表面にプラズマ処理を行う、請求項1又は2に記載した連続成膜装置。
【請求項5】
前記一対の回転円筒状電極はそれぞれ基板を巻き掛けて搬送する搬送ロールを備え、前記一方の回転円筒状電極の搬送ロールと他方の回転円筒状電極の搬送ロールの対向面に基材を案内する経路変更ロールを設け、前記回転円筒状電極の搬送ロールに巻き掛けられて搬送される基材の間に放電プラズマを形成するプラズマ電源と、前記放電プラズマに原料ガスを供給する原料ガス供給装置を設け、さらに前記一対の回転円筒状電極の内の少なくとも一方の回転円筒状電極が備える搬送ロールと交換可能な円筒状ターゲットを設け、
前記経路変更ロールによって前記回転円筒状電極の搬送ロールの対向面に基材を巻き掛けて搬送しながら前記回転円筒状電極の搬送ロール間に形成した放電プラズマによって基材表面にプラズマ処理を行い、あるいは前記少なくとも一方の回転円筒状電極が備える搬送ロールを前記円筒状ターゲットと交換し、前記成膜ロールに基材を巻き掛けて搬送しながら前記円筒状ターゲットを蒸発させて基材表面に成膜する、請求項1又は2に記載した連続成膜装置。
【請求項6】
前記一対の回転円筒状電極はそれぞれ基板を巻き掛けて搬送する搬送ロールを備え、前記一方の回転円筒状電極の搬送ロールと他方の回転円筒状電極の搬送ロールの対向面に基材を案内する経路変更ロールを設け、前記回転円筒状電極の搬送ロールに巻き掛けられて搬送される基材の間に放電プラズマを形成するプラズマ電源と、前記放電プラズマに原料ガスを供給する原料ガス供給装置を設け、さらに前記搬送ロールを備えた一対の回転円筒状電極の内の少なくとも一方の回転円筒状電極と交換可能な、円筒状ターゲットを備えた回転円筒状電極を設け、
前記経路変更ロールによって前記回転円筒状電極の搬送ロールの対向面に基材を巻き掛けて搬送しながら前記回転円筒状電極の搬送ロール間に形成した放電プラズマによって基材表面にプラズマ処理を行い、あるいは前記搬送ロールを備えた一対の回転円筒状電極の内の少なくとも一方の回転円筒状電極を前記円筒状ターゲットを備えた回転円筒状電極と交換し、前記成膜ロールに基材を巻き掛けて搬送しながら前記円筒状ターゲットを蒸発させて基材表面に成膜する、請求項1又は2に記載した連続成膜装置。
【請求項7】
前記一対の回転円筒状電極の間の対向空間を区画する隔壁を着脱自在に設け、前記隔壁によって区画された前記対向空間を排気する真空排気装置を設けた、請求項4から6のいずれか1項に記載した連続成膜装置。
【請求項8】
前記真空チャンバー内の前記隔壁の外側に区画された外部空間に前記隔壁をシールドするシールドガスを供給停止自在に供給するシールドガス供給装置が設けられた、請求項7に記載した連続成膜装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−265527(P2010−265527A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119698(P2009−119698)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】