説明

連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法及び装置

ガス、特に空気、または、窒素及び水素から構成される混合物を、連続熱処理ラインに吹き込むことによって冷却する冷却ボックスによって金属ストリップを冷却する方法において、
前記ボックス(4、4a、…4’、4’a、…)が、該ストリップの走行方向(X)に、2m未満の単位寸法(h)を有し、および前記ストリップの走行方向(X)と垂直な方向に、複数の単位吹き込みセクター(4α、4β、4γ、…4aα、4aβ、4aγ、…;4’α、4’β、4’γ、…4’aα、4’aβ、4’aγ、…)に分割されており、
各単位吹き込みセクターは、これらの単位吹き込みセクターの各々の圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータ(6;2)を備えており、
制御/調節システム(R)は、意図されたストリップ冷却曲線Fに対応する、前記吹き込みセクターにおける理論的な長手方向の圧力分布が、冷却曲線Fを修正することなく、前記冷却ゾーン内での前記ストリップと、装置の壁部とのいかなる接触も避けるために、前記吹き込みセクターに対する前記ストリップの位置の変化を考慮に入れるように適応されるように制御する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アニーリングラインや金属または有機コーティングライン等の、金属ストリップの連続的熱処理のためのラインに関する。
【背景技術】
【0002】
これらのラインにおいて、該ストリップは、従来技術に従って、ガス、例えば、窒素と水素の混合物を、亜鉛浴の上流のアニーリングラインまたは亜鉛めっきラインの閉塞された冷却チャンバ内に吹き込むことにより、または、空気を例えば、亜鉛めっきの後に、冷却塔内に吹き込むことにより冷却する冷却ボックスを用いて冷却される。
【0003】
冷却ゾーンにおけるストリップの不安定性の現象が公知であり、例えば、安定位置に達するまで、その長手方向軸周りの該ストリップのねじりオフセットによって表されており、あるいは別法として、ねじれ振動の形態で、表されている。
【0004】
圧延工程の種類による、中心よりも長いストリップのエッジの場合も、日常的な経験である。この場合、該ストリップの中心は、そのエッジが「浮いている」間、ピンと張られた状態であり、また、振動の行き過ぎの位置にある場合、該冷却ボックスの表面のうちの1つに触れる可能性がある。該ストリップは、ピンと張られた長い中心及びエッジを有する可能性もあり、このことは、該ストリップが、その中心において、該冷却ボックスの表面のうちの1つに触れる可能性をもたらす。
【0005】
該ストリップの表面での熱誘導された波打ちの形成は、特に、厚さの小さい幅広のストリップの場合に、これらの設備のオペレータが日常的に直面する問題である。該波打ちの原因も周知である。仏国特許第2802552(99/16011)または欧州特許第1108795号に説明されているように、該波打ちの形成は、該ストリップ内に圧縮応力を生じる、冷却曲線における勾配の不連続性によって引き起こされる。該ストリップの表面での波打ちは、冷却の不連続性によって引き起こされる圧縮応力が、限界値よりも大きい場合に生じる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、ストリップが、冷却ゾーン内で装置の壁部に触れることを防ぐと共に、意図された熱的目標に応じて、該ストリップを理論的な冷却曲線に追従させ、波打ちの形成のリスクを低減するために、空気中、または、大気中、例えば、還元性雰囲気中で、冷却ゾーン内のストリップの位置を制御するための方法及び装置を提供することである。
【0007】
ストリップは、一般に、加圧下で、穴またはスリットを通じて、独立した再循環ファンにより、または、いくつかのボックスに共通のファンにより、空気または還元性雰囲気を送り込まれるボックスによって冷却される。該回路内には、該ストリップに対する噴射の後、該ガスを冷却するために、1つ以上の熱交換器が配置される。
【0008】
一般に、それらのボックスは同一であり、一定の圧力で送給される。
【0009】
該穴またはスリットの所与の形状に対して、および所与の組成及び温度で吹き込まれるガスに対して、該穴またはスリットにおける吹込み速度ならびにガスとストリップの間の熱交換、および該ガスによって該ストリップに及ぼされる空気圧は、該冷却ボックス内に存在する圧力に直接的に依存する。
【0010】
例えば、該ストリップの長手方向において、次々に追従する3つ以上の冷却ボックスを有する設備においては、それらのボックスにおける異なる圧力設定に応じて、異なる冷却曲線が生じる可能性がある。第1の場合において、該3つのボックスにおける圧力設定は、プロセスの全期間にわたって、冷却勾配にわずかな違いを生じる可能性があり、それによって、該ストリップにおける波打ちの発生を防ぐ。別のケースにおいては反対に、中間のボックスの冷却は、例えば、最も外側のボックスの冷却よりも大きくなる可能性があり、その結果、冷却勾配の大きな違いを生じ、このことが、該ストリップに波打ち部を生成する可能性がある。
【0011】
仏国特許第2 796 139(99/08709)号または欧州特許第1 067 204号は、振動、または、中心位置に対するオフセットの場合に、冷却部内部のストリップの位置を制御するための装置を開示している。この構成は、吹き込むガスの流量を、該ストリップの横断方向に沿って変更できるようにする圧力の設定を実現できる。この解決法は、該ストリップの長手方向軸周りの回転に対抗するために、該ストリップの両側において、所与のボックスの様々な横断ゾーンにおける供給圧力を変化させることを可能にする。これらの調整は、一般に、オペレータによって手動で行われる。ストリップと冷却ボックスのどのような接触も防ごうとする欲求が、冷却分布の不適切な設定に由来する不適切な冷却によって引き起こされる熱起源の波打ち欠陥を誘発するということがしばしば起きる。そのため、該ボックス内に供給圧力の横断方向の設定手段があるにもかかわらず、オペレータ達は、多くの場合、該手段を使用せず、または、状況の悪化を恐れて、良いと見なされる設定を補正しない。その結果、利用可能な設定手段を有効に活用することがないため、該ストリップの表面の熱的または接触欠陥は、ラインの速度を低下させることにより、または、製造すべきストリップの幅を制限することにより、低減され、それにより、該ラインによって製造されるトン数が制限される。
【0012】
従って、従来技術による方法及び装置は、該ストリップの冷却曲線の制御と、該ストリップの冷却ゾーン内の適切な位置での保持とを同時的にかつ効果的にすることができない。加えて、従来技術における欠点により、それらの方法及び装置は、正しく実施されない場合には、製品に欠陥を生じる可能性がある。
【0013】
提案された発明は、この問題に対する解決策を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、ガス、特に空気、または、窒素及び水素から構成される混合物を、連続熱処理ラインに吹き込むことによって冷却する冷却ボックスによって金属ストリップを冷却する方法は、
該ボックスが、該ストリップの走行方向に、2m未満の単位寸法を有し、および該ストリップの走行方向と垂直な方向に、複数の単位吹き込みセクターに分割されており、
各単位吹き込みセクターは、これらの単位吹き込みセクターの各々の圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータを備えており、
制御/調節システムは、意図されたストリップ冷却曲線に対応する、該吹き込みセクターにおける理論的な長手方向の圧力分布が、該冷却曲線を修正することなく、該冷却ゾーン内での該ストリップと、該装置の壁部のいかなる接触も避けるために、該吹き込みセクターに対する該ストリップの位置の変化を考慮に入れるように適応されるように該アクチュエータを制御する
ことを特徴とする。
【0015】
この結果、意図されたストリップ冷却曲線に対応する該ストリップの走行方向における連続的な吹き込みセクターでの理論的な長手方向圧力分布は、該冷却曲線を修正することなく、該冷却ゾーン内での該ストリップと、該装置の壁部のいかなる接触も避けるために、該吹き込みセクターに対する該ストリップの位置の変化を考慮に入れるように適応される。
【0016】
望ましい理論的冷却曲線は、勾配に途切れを有していない。
【0017】
各単位吹き込みセクターは、該吹き込み圧力を測定する少なくとも1つのセンサ、およびこれらの単位セクターの各々における圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータを備えることができ、および
該センサからくる情報は、意図されたストリップ冷却曲線に対応する、該吹き込みセクターにおける理論的な長手方向の圧力分布が、該冷却曲線を修正することなく、該冷却ゾーン内での該ストリップと、該装置の壁部のいかなる接触も避けるために、該吹き込みセクターに対する該ストリップの位置の変化を考慮に入れるように適応されるように該アクチュエータを制御する制御/調節システムに送られる。
【0018】
変形例として、各単位吹き込みセクターは、吹き込み流量を測定する少なくとも1つの装置と、これらの単位セクターの各々における圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータとを備えることができ、および
該吹き込み流量を測定する装置からくる情報は、意図されたストリップ冷却曲線に対応する、該吹き込みセクターにおける理論的な長手方向の圧力分布が、該冷却曲線を修正することなく、該冷却ゾーン内での該ストリップと、該装置の壁部のいかなる接触も避けるために、該吹き込みセクターに対する該ストリップの位置の変化を考慮に入れるように適応されるように該アクチュエータを制御する制御/調節システムに送られる。
【0019】
好ましくは、各ボックスは、該ストリップの幅を超える少なくとも2つ、および有利には3つの単位吹き込みセクターに分割されている。
【0020】
本発明の例示的な実施形態によれば、上記制御/調節システムは、
第1のステップにおいて、得るべき冷却曲線に従って、「長手方向スライス」ごとに、各ボックスに対する圧力設定点を画定するように、および
第2のステップにおいて、該ストリップの位置に対する補正が要求された場合および導入される補正の種類により、所望のストリップ位置補正を得ると共に、選択された冷却曲線を無傷に保つために、クーラーの所与の長手方向「スライス」における圧力分布を手動でまたは自動的に修正するように、
プログラムされる。
【0021】
「長手方向スライス」とは、該ストリップの走行方向における冷却ゾーンに沿った、該ストリップのどちらかの側に配置され、かつ該ストリップの軸から同じ距離に配置された吹き込みセクターのセットである。
【0022】
一つの例示的な実施形態によれば、該制御/調節システムは、1つ以上の吹き込みセクターの圧力を設定する手動設定点または自動設定点を考慮することができる。
【0023】
1つ以上の吹き込みセクターにおいて、手動でまたは自動的に圧力の変化が要な場合、該ストリップの位置を補正するために、該制御/調節システムは、該ストリップが、冷却ゾーン内での該装置の壁部とのどのような接触も避ける位置に配置されるように、および該ストリップのどの箇所においても、温度が所望の理論的な冷却曲線に追従するように、他の吹き込みセクターにおける圧力設定点を調節する。
【0024】
該ストリップの位置を補正するように、該ストリップのどちらかの側で調節された圧力は、所望の理論的冷却曲線により、問題のある部分、および該ストリップの全幅を越える部分に対して画定された全体的な熱的目標に結果が達するように画定される。
【0025】
本発明の一つの例示的な実施形態において、該自動制御/調節システムは、
第1のステップにおいて、該理論的冷却曲線、該ストリップの特性、設備全体に関するデータ、および該ストリップの所与のゾーンの両側に配置された2つの単位冷却セクターのペアに対する全体的な冷却電力に従って、および
第2のステップにおいて、当該ゾーンにおける該ストリップの所望の位置、および所望の全体的な冷却を実行する間、該ストリップの位置を調節するために異ならせることができる、各ペアの2つの単位セクターに対する吹き込み圧力に従って、
決定することができる。
【0026】
該ストリップの一方の側に配置されたいくつかのボックスの該単位セクターにおける圧力は、それ自体と平行な該ストリップの位置に対する補正が施されるように、同時に増加または減少させることができる。
【0027】
該ストリップの位置を補正するように調節された該圧力は、それらの結果が、所望の理論的冷却曲線に従って、問題のある部分及び該ストリップの全幅を越える部分に対して画定された全体的な熱的目標に対応するように画定される。
【0028】
別の方法によれば、該ストリップの各側に配置された所与のレベルの単位セクターにおける圧力は、その主軸周りのねじれとして、該ストリップの位置に対する補正を施すように調節される。
【0029】
また別の方法によれば、該ストリップを適切な位置に保持するために、該ストリップの走行方向に沿った圧力の交互設定が、該ストリップと同じ側に位置する次のボックスにおいて低い圧力が続く1つのボックスが高い圧力である状態で冷却ボックスに設定され、1つのボックスにおける高い圧力は、該ストリップの交互の変形を生じるように、該ストリップの他方の側で該1つのボックスに直面する該ボックスにおける低い圧力に対応する。
【0030】
従って、本発明を実施することにより、該ストリップに適用される熱冷却サイクルを変更することなく、該ストリップの位置に対する「マルチプログラム」補正を施すことが可能である。この補正は、手動で該システムに導入することができ、または、炉内のストリップ位置センサによって制御してもよい。
【0031】
該吹き込みセクター内の圧力を設定する設定点は、該ストリップの材料の性質および該ストリップに施すべき熱処理を考慮する熱機械的モデルに基づくコンピュータによって供給することができる。
【0032】
該冷却曲線を制御するための、および該ストリップの位置を安定化するためのアルゴリズムは、ファジー論理および/またはニューラルシステムを用いることができる。
【0033】
また、本発明は、連続的熱処理ラインにおいて、金属ストリップを冷却する装置であって、該ストリップの走行方向に次々に続く、ガス、特に空気、または、窒素及び水素から構成される混合物を吹き込むことによって冷却する冷却ボックスを備える装置において、
該ボックスが、該ストリップの走行方向に、2m未満の単位寸法を有し、および該ストリップの走行方向と垂直な方向に、複数の単位吹き込みセクターに分割されており、
各単位吹き込みセクターは、これらの単位吹き込みセクターの各々における圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータを備えており、
制御/調節システムが設けられており、該システムは、該ストリップが、該冷却ゾーン内での該ストリップと、該装置の壁部のいかなる接触も回避する位置に位置するように、および該ストリップ上のどの箇所においても、所望の理論的冷却曲線に温度が追従するように、該アクチュエータを制御することを特徴とする、
装置に関する。
【0034】
各吹き込みセクターは、吹き込み圧力を測定する少なくとも1つのセンサを備え、および/または吹き込み流量を測定する装置を備え、該セクターからおよび/または該吹き込み流量測定装置からくる情報は、該制御/調節システムに送られる。
【0035】
好ましくは、該ボックスは、該走行方向に、1メートル程度の単位寸法を有し、また、各ボックスは、左右の補正のために、該ストリップの幅にわたって、少なくとも2つの単位吹き込みセクターに、または、中心/エッジ補正のために、少なくとも3つのセクターに分けられている。
【0036】
上記制御/調節システムは、得られる設定が、該ストリップの性質に従って、および該冷却部に入るときの該ストリップの横断方向のプロファイルに従って適応されるように、該システムに導入された設定点の選択により、該ストリップの走行方向に平行及び垂直な方向における所与の圧力マップに従って、該冷却ゾーンの単位セクターにおける全ての圧力を調節するように設計されている。
【0037】
該制御/調節システムは、必要な場合には、例えば、該システムに導入された手動設定点に基づいて、該冷却ゾーン内の該ボックスにおける全ての圧力に対する調節を実行するように設計され、このことは、主に、該ストリップの位置に対する補正を、その主軸周りのねじれとして生じる。
【0038】
また、該制御/調節システムは、必要な場合には、例えば、該システムに導入された手動設定点に基づいて、該冷却ゾーンのボックスにおける全ての圧力に対する調節を実行するように設計され、このことは、主に、その長手方向に沿った該ストリップの交互の変形を引き起こすような該ストリップの位置に対する補正を生じる。
【0039】
該自動制御/調節システムは、
第1のステップにおいて、該ストリップの理論的冷却曲線、全体的なデータ及び特性、該ストリップの所与のゾーンの両側に配置された2つの単位冷却セクターのペアに対する全体的な冷却電力に従って、および
第2のステップにおいて、当該ゾーンにおける該ストリップの所望の位置、および所望の全体的な冷却を実行する間、該ストリップの位置を調節するために異ならせることができる、各ペアの上記2つの単位セクターに対する吹き込み圧力に従って、
決定するようにプログラムされる。
【0040】
本発明は、上述した構成は別として、添付図面に関連して記載された、決して限定するものではない例示的な実施形態に関して以下に詳細に説明されている多くの他の構成からなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
図面、特に、図1、図3、図4及び図6は、当該実施例において、矢印Xに沿って上から下へ垂直方向に走行する金属ストリップ1を冷却する装置を示す。この実施例は、限定的ではなく、走行方向は、下から上に変えてもよく、または、垂直方向以外の方向、特には、斜め方向にしてもよい。
【0042】
該冷却装置は、これらの図面に概略的に示すように、ストリップ1の両側に、各ボックス専用の独立した再循環ファン2によって、または、図4に示すようないくつかのボックスに共通のファンによって穴tまたはスリットを介して加圧下で供給される空気または還元性雰囲気を吹き込むボックス4、4a、4b、…4’、4’a、4’b、…を備える。ガスが該ストリップに影響を及ぼした後に、該ガスを冷却するために、1つ以上の熱交換器3がこの回路に設けられている。一般に、これらのボックスは、一定の圧力で供給される。ボックス4、4a、4b、…4’、4’a、4’b、…は、該ストリップの走行方向Xに次々に続いている。
【0043】
図11に示す本発明の一つの例示的な実施形態によれば、該ストリップの両側に配置されたボックス4、…4’、…は、互いに直接的に対向しておらず、該ボックスの長さの何分の1かだけ走行方向に互いにずれている。
【0044】
図12は、図4に示す亜鉛めっきラインの冷却塔の代替的実施形態を示す。図4においては、ファン2の吸気側への帰路が設けられているが、図12においては、吹き込み空気をファン2の吸気側に戻すためのそのような回路はない。
【0045】
一般に、ボックス4、4a、…4’、4’a、…は、該ストリップの全幅を越えて延びている。しかし、該ストリップの幅よりも小さい幅のいくつかのボックスを水平方向に並置することが可能であり、該ボックスの全幅が該ストリップの幅をカバーする。
【0046】
所定の穴またはスリットの形状に対して、および所与の組成及び温度の吹き込みガスに対して、該穴またはスリットを通る吹き込み速度、ならびに該ガスと該スリットの間の熱交換、および該ガスによって該ストリップにかけられる圧力は、冷却ボックス4、4a、…4’、4’a、…内の圧力に直接的に依存する。
【0047】
本発明によれば、吹き込みボックス4、4a、…4’4’a、…は、該ストリップの走行方向Xと垂直な方向に、複数の単位吹き込みセクターに分けられている。各ボックスは、該ストリップの走行方向Xに沿って、2メートル未満、好ましくは、1メートル(に近いかまたは等しい)程度の小さな単位寸法hを有し、いくつかの吹き込みノズル、または、穴からなる列を備える。
【0048】
各ボックスは、該ストリップの幅にわたって、少なくとも2つ、好ましくは、3つまたは5つの単位吹き込みセクターに分けられている。各セクターは、少なくとも1つの圧力センサ7と、例えば、制御弁6または同様の部材の形態の少なくとも1つのアクチュエータとを備えている。変形例として、各単位セクターに対して、該アクチュエータは、図1に示されているような独立したファン2としてもよく、該ファンのタービンの回転速度は、所望の圧力を得るために、可変速度ドライブによって制御される。アクチュエータ6は、該ストリップの走行方向と平行または垂直な方向において、該単位セクターの各々における圧力を調節することを可能にする。
【0049】
圧力センサ7を補完するために、各吹き込みセクターに、該吹き込みガスの温度を測定するプローブを一体化することも可能である。
【0050】
また、該圧力センサの代わりに、または、該圧力センサの補完として、各単位吹き込みセクターに対して、吹き込み流量を測定する装置8(図1)をファン2の供給側に設けることも可能である。図1において、このような測定装置8は、最上部及びその直ぐ下のファンにのみ図示されている。当然、このような測定装置は、各独立したファン2に設けてもよい。
【0051】
これらの圧力、温度および/または流量の測定値は、例えば、処理される材料の性質に、または、所望の熱処理サイクルのタイプに依存する理論的または計算された冷却曲線に従って、各吹き込みセクターにおける圧力を調節するために、ファン2のタービンの回転速度、または、圧力レギュレータ6の位置を調節する制御/調節システムR(図3および図6)に送られる。
【0052】
この結果、上記ストリップの各面における冷却の供給の真に複雑な(meshing)機構(図3)が形成され、この機構は、冷却の供給を、該ストリップの長手方向X及び横断方向Tの両方において、非常に高い精度で制御できるようにする。この複雑な機構は、ボックス4、4a、4b、4c、…4’、4’a、…に相当する水平方向の行および各ボックスのセクターに相当する垂直方向の列α、β、γ、…における、該ストリップの各側に対向する吹き込みセクターからなるマトリクスによって物理的に表される。単位セクターは、ストリップ1のどちらの側かにより、該ボックスの参照数字4、4a、…または、4’、4’a、…によって示され、その後に、該列のギリシャ文字が続き、例えば、図3のセクター4aβである。水平方向の行は、一般的に、単一のボックスに対応する。
【0053】
センサ7及びアクチュエータ6は、制御/調節システムRに接続されている。
【0054】
1メートル程度の短い単位長さからなるボックス4を用いて得られた冷却曲線C及びDの2つの例が、図4の右側の図5に示されている。図5は、所望の理論的冷却曲線に依存する非常に異なるプロファイルによって、波打ちを生成しない連続的な冷却曲線を形成することが可能であることを示している。
【0055】
制御/調節システムRは、該ストリップ上のどの箇所においても、温度が所望の理論的冷却曲線に追従するが、勾配に途切れがないようにアクチュエータ6を制御し、手動で導入された、または、該ライン上のストリップ位置センサから受取った情報によるストリップ位置補正を組み込んでおり、この結果、該ストリップは、該冷却ゾーン内での前記ストリップと、該設備の壁部の間のどのような接触も回避する位置に保持される。
【0056】
圧力及び温度の測定は、該ストリップを変形させるリスクがある、該ストリップの様々な部分での流量作用に差がないように、あるいは反対に、該ストリップ上で、流量作用の制御された違いを生じて、不適当な位置にあるストリップを補正できるように、各セクターにおける吹込み速度を調節することを可能にする。
【0057】
システムRは、コンピュータを備え、該コンピュータは、
所望の理論的冷却曲線に基づいて、ある点で所望の冷却が得られるように、所要の圧力を吹き込みセクターに割当てることにより、上記マトリクスの初期設定を決定し、および
この設定に続いて、意図した熱曲線から逸脱することなく、該ストリップを安定化し、かつ該冷却ゾーン内での前記ストリップと該設備の壁部のいかなる接触も防ぐように、該ストリップの両側に配置された吹き込みセクターに対して、圧力設定の調節を行う。
【0058】
該ストリップの両面に関する圧力設定に対するこの調節は、該ストリップの当該ゾーンの同じ全体的冷却が、
この場合、該ストリップの走行方向Xに対して横断方向に該ストリップを動かすように圧力が加えられない、該ストリップの両側での同一の吹き込み圧力によって、
または、該ストリップの他方の側よりも一方の側が高い吹き込み圧力であり、この場合における該ストリップが、その走行方向Xに対して横断方向に動くように圧力が加えられることによって、
得ることができるため、追従する所望の冷却曲線にとって有害になることなく可能である。
【0059】
換言すれば、制御システムRは、
第1のステップにおいて、該理論的冷却曲線に従って、装置全体およびストリップ1の搬入及び特性に関連するデータ、特に、その入力温度及びその組成、該ストリップの所与のゾーンの両側に配置された2つの単位冷却セクターのペアのための全体的な冷却電力を、および
第2のステップにおいて、当該ゾーンにおける該ストリップの位置に対する選択された補正に従って、該所望の全体的な冷却を供給している間に、該ストリップの位置を調節するために異ならせることができる、各ペアの2つの単位セクターに対する吹き込み圧力を、
決定するように、適切なソフトウェアでプログラムされる。
【0060】
本発明の例示的な実施形態によれば、制御システムRは、該ストリップの走行方向に平行な長手方向「スライス」ごとに、単位冷却セクターを処理するようにプログラムされる。
【0061】
図9は、該ストリップ上に波打ち部を形成することなく、該ストリップのねじれ変形を補正する動作によって、冷却を制御する方法を詳細に示す。実線で示されている図8に示す温度グラフは、例えば、該ストリップに施される冶金学的処理の性質により、該ストリップに対して実行すべき処理に関する理論的な曲線Fを含む。
【0062】
吹き込みガスの温度に従って、該ストリップの両面の(同じ水平方向の行における)冷却ゾーンの長さに沿った所与の位置に配置された単位セクターの各ペアに対する熱交換の効率または電力は、この曲線Fから得られる。制御システムRは、各ボックス4、4a、…4’、4’aおよびこのボックスの各単位セクター4α、4β、…4aα、4β等に対する圧力設定点を生成する。この圧力設定点は、各ファン2の回転速度、または、圧力調節弁6の位置を制御するのに用いることができる。様々な吹き込みセクターに対する圧力設定点は、所望の冷却を得ることだけではなく、該ストリップの位置決めも可能にする。
【0063】
図9は、1つの冷却部における該ストリップのずれの実施例、およびこのずれを修正するために受ける動作を示す。具体的には、システムRは、所望の冷却を実行している間、該ストリップの位置を補正するために、図9の左下の部分4’aβ及び右上の部分4aαにおける圧力を低減させ、かつ左上の部分4’aα及び右下の部分4aβに対しては増加させる。この原理は、該ストリップの横断方向上のボックスのどのような種類の区分にも適用できることは理解される。
【0064】
冷却部分を制御及び調節するシステムRは、オペレータによる要求に応じて、または、該ライン上のストリップの位置を測定するセンサからの情報の受取りにより、図8の曲線E及びGに対応する「+」セクター及び「−」セクターのための圧力曲線を得るために、該冷却ゾーンの各レベルにおける各部分に対する圧力設定点を再計算する。
【0065】
図8は、「+−」曲線E及び「−+」曲線Gが、波打ちを生じるような性質の特異点を有していないため、該ストリップの変形を補償するという動作が、波打ちの危険性を招かず、また、該曲線上の各ポイントにおける該ストリップの2つの面に対する「+」及び「−」の冷却動作の合計が、最初に画定した理論的曲線Fに実質的に従うことを示している。
【0066】
このようにして、上記吹き込みボックスとのどのような接触の危険性も排除するために、該ストリップを、それ自体と平行に動かすように、曲線E及びGに従って、該ストリップの一方の面に対する冷却を連続的に低減し、かつ該冷却ゾーンの長さを越えて、他方の面に対しては、比例的に増加させることが可能である。
【0067】
図10は、該ストリップの走行方向に沿って交互に設定されている該冷却ボックス内の圧力により、該冷却ゾーンにおける該設備のアイテム間での該ストリップの位置を補正する別の手段を示し、その長手方向に沿った正弦関数的な該ストリップの交互の変形を生じるように、ボックス4a内の圧力が高い(+)圧力で、該ストリップの同じ側に配置された次のボックス4bが低い圧力であり、およびボックス4aα、4’bα内の高い(+)圧力は、該ストリップの他方の側において、該ストリップに対向するボックス4’a、4bに対する低い圧力に対応している。
【0068】
また、本発明は、手動設定を選択することにより、該冷却ゾーンのボックス内の全ての圧力を、所与の圧力マップに従って、該ストリップの走行方向と平行及び垂直な方向に沿って調節することを可能にし、その結果、得られた設定は、該ストリップの性質に、および該冷却部に入るときの該ストリップの横断方向プロファイルに適応される。例えば、第1の設定点は、中心よりも長いエッジを有するストリップに適応され、第2の設定点は、長い中心を有するストリップに適応される。
【0069】
該ボックス内及び該冷却ゾーン内の単位セクター内の全ての圧力を調節すると、例えば、主として、
・ストリップ1自体に平行な該ストリップの位置に対する補正、または、
・その主軸周りのねじれとしてのストリップ1の位置に対する補正、または、
・各エッジに対して異なる補正を有する中心/エッジ補正、または、
・該ストリップの交互の変形を生じるようなストリップ1の位置に対する補正、あるいは、
例えば、ねじれに該ストリップと平行な補正を加えたような、様々な補正原理を組み合わせた補正、
がもたらされる。
【0070】
本発明の一つの例示的な実施形態によれば、該吹き込みセクター内の圧力を設定する設定点は、該ストリップの材料の性質、および該ストリップに施される熱処理を考慮に入れた熱機械的モデルに基づいて、コンピュータによって得られる。該冷却曲線を制御するための、および該ストリップの位置を安定化するためのアルゴリズムは、例えば、ファジィ論理および/またはニューラルシステムを用いる。
【0071】
従って、本発明の方法は、波打ちの出現のリスクなしで、または、最小限の波打ち出現のリスクで、理論的曲線または最適な実用的曲線に従って、該冷却部の全長にわたって、冷却圧力を調節することを可能にし、および、追加的な波打ちのリスクを招くことなく、および該ラインの生産性を低下させることなく、形状またはねじれに関して、手動設定点あるいは位置センサから得られた設定点を組み込むことにより、該ストリップの位置の誤差を補正することによって、該調節を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明によるストリップ冷却装置の垂直方向断面図である。
【図2】Ox軸上にプロットされた図1の装置における位置の関数としての、Oy軸上にプロットされたストリップの温度の変化を示す曲線である。
【図3】図1の線III−III上の装置及びストリップの部分概略図である。
【図4】ストリップ冷却装置の変形例の垂直方向断面図である。
【図5】Ox軸上にプロットされた図4の装置における位置の関数としての、Oy軸上にプロットされたストリップの温度の変化を示す曲線である。
【図6】ストリップ冷却装置の変形例の水平方向部分の図である。
【図7】ストリップ冷却装置の別の変形例の垂直方向部分の図である。
【図8】Ox軸上にプロットされた冷却装置における位置の関数としての、Oy軸上にプロットされたストリップの温度の変化を示す曲線を示す。
【図9】ストリップ冷却装置の別の変形例の水平方向部分の図である。
【図10】ストリップ冷却装置の他の変形例の垂直方向部分の図である。
【図11】ストリップ冷却装置の別の変形例の垂直方向部分の図である。
【図12】図4に示す装置の変形例を縮小した垂直方向部分の図である。
【符号の説明】
【0073】
1 金属ストリップ
2 再循環ファン(独立したファン)
3 熱交換器
4、4a、4b、…4’、4’a、4’b、… ボックス
4α、4β、…4aα、4β等 各単位セクター
6 制御弁6または同様の部材の形態の少なくとも1つのアクチュエータ(圧力レギュレータ)
7 圧力センサ
8 吹き込み流量を測定する装置
h 単位寸法
F ストリップ冷却曲線
t 穴またはスリット
X 走行方向(ストリップの長手方向)
T 横断方向
R 制御/調節システム
α、β、γ、… 各ボックスのセクターに相当する垂直方向の列
C及びD 冷却曲線
E 「+−」曲線
G 「−+」曲線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス、特に空気、または、窒素及び水素から構成される混合物を、連続熱処理ラインに吹き込むことによって冷却する冷却ボックスによって金属ストリップを冷却する方法において、
前記ボックス(4、4a、…4’、4’a、…)が、該ストリップの走行方向(X)に、2m未満の単位寸法(h)を有し、および前記ストリップの走行方向(X)と垂直な方向に、複数の単位吹き込みセクター(4α、4β、4γ、…4aα、4aβ、4aγ、…;4’α、4’β、4’γ、…4’aα、4’aβ、4’aγ、…)に分割されており、
各単位吹き込みセクターは、これらの単位吹き込みセクターの各々の圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータ(6)を備えており、
制御/調節システム(R)は、意図されたストリップ冷却曲線Fに対応する、前記吹き込みセクターにおける理論的な長手方向の圧力分布が、冷却曲線Fを修正することなく、前記冷却ゾーン内での前記ストリップと、装置の壁部とのいかなる接触も避けるために、前記吹き込みセクターに対する前記ストリップの位置の変化を考慮に入れるように適応させて制御することを特徴とする、連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項2】
各単位吹き込みセクターは、吹き込み圧力を測定する少なくとも1つのセンサ(7)と、これらの単位セクターの各々における圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータ(6)とを備え、および
センサ(7)からくる情報は、意図されたストリップ冷却曲線(S)に対応する、前記吹き込みセクターにおける理論的な長手方向の圧力分布が、冷却曲線Fを修正することなく、前記冷却ゾーン内での前記ストリップと、前記装置の壁部のいかなる接触も避けるために、前記吹き込みセクターに対する前記ストリップの位置の変化を考慮に入れるように適応させてアクチュエータ(6)を制御する制御/調節システム(R)に送られることを特徴とする、請求項1に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項3】
各単位吹き込みセクターは、少なくとも1つの吹き込み流量を測定する装置8と、これらの単位セクターの各々における圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータ(6)とを備え、および
前記吹き込み流量を測定する装置(8)からくる情報は、意図されたストリップ冷却曲線(F)に対応する、前記吹き込みセクターにおける理論的な長手方向の圧力分布が、冷却曲線(F)を修正することなく、前記冷却ゾーン内での前記ストリップと、前記装置の壁部のいかなる接触も避けるために、前記吹き込みセクターに対する前記ストリップの位置の変化を考慮に入れるように適応させて前記アクチュエータ(6)を制御する制御/調節システム(R)に送られることを特徴とする、請求項1に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項4】
前記各ボックス(4、4a、…4’、4’a、…)は、右/左の補正のための、該ストリップの幅を越える少なくとも2つの単位吹き込みセクター、または、中心/エッジ補正のための少なくとも3つの吹き込みセクターに分割されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項5】
前記制御/調節システムは、
第1のステップにおいて、得るべき冷却曲線に従って、「長手方向スライス」ごとに、各ボックス(4、4a、…4’、4’a、…)に対する圧力設定点を画定するように、および
第2のステップにおいて、前記ストリップ(1)の位置に対する補正が必要な場合および導入される補正の種類により、所望のストリップ位置補正を得ると共に、選択された冷却曲線を無傷に保つために、クーラーの所定の長手方向「スライス」における圧力分布を手動でまたは自動的に修正するように、
プログラムされることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項6】
前記制御/調節システム(R)は、ストリップ(1)が、前記冷却ゾーン内での前記装置の壁部とのどのような接触も避ける位置に配置されるように、および前記ストリップのどの箇所においても、温度が所望の理論的な冷却曲線に追従するように、他の吹き込みセクターにおける圧力設定点を調節するために、1つ以上の吹き込みセクターにおける圧力を設定するための設定点を考慮することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項7】
ストリップ(1)の位置を補正するように、前記ストリップのどちらかの側で調節された前記圧力は、所望の理論的冷却曲線により、問題の部分、および前記ストリップ(1)の全幅を越える部分に対して規定された全体的な熱的対象に結果が達するように規定することを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項8】
自動制御/調節システム(R)は、
第1のステップにおいて、理論的冷却曲線(F)、ストリップ(1)の特性、設備全体に関するデータ、および前記ストリップの所与のゾーンの両側に配置された2つの単位冷却セクターのペアに対する全体的な冷却電力に従って、および
第2のステップにおいて、当該ゾーンにおける前記ストリップの所望の位置、および所望の全体的な冷却を実行する間、前記ストリップの位置を調節するために異ならせることがきる、各ペアの2つの単位セクターに対する吹き込み圧力に従って、
決定することができることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項9】
前記ストリップの一方の側に配置されたいくつかのボックスの単位セクター(4α、4β、…4aα、4’aβ、…)における圧力は、それ自体と平行なストリップ(1)の位置に対する補正が施されるように、同時に調節され、すなわち、同時に増加または減少されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項10】
前記ストリップの各側に配置された所与のレベルの単位セクター(4α、4β、…4aα、4aβ、…)における圧力は、その主軸周りのねじれとして、ストリップ(1)の位置に対する補正を施すように調節されることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項11】
ストリップ(1)の走行方向に沿った圧力の交互設定が、前記ストリップと同じ側に位置する次のボックスにおいて低い圧力が続く1つのボックスが高い圧力である状態で冷却ボックスに設定され、1つのボックスにおける高い圧力は、前記ストリップの交互の変形を生じるように、前記ストリップの他方の側で1つのボックスに直面する前記ボックスにおける低い圧力に対応することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項12】
前記吹き込みセクター内の圧力を設定する設定点は、前記ストリップの材料の性質および前記ストリップに施すべき熱処理を考慮する熱機械的モデルに基づくコンピュータによって供給されることを特徴とする、先行する請求項のいずれか一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項13】
前記冷却曲線を制御するための、および前記ストリップの位置を安定化するためのアルゴリズムは、ファジー論理および/またはニューラルシステムを用いることを特徴とする、請求項12に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する方法。
【請求項14】
連続的熱処理ラインにおける金属ストリップを冷却する装置であって、前記ストリップの走行方向(X)に次々に続く、ガス、特に空気、または、窒素及び水素から構成される混合物を吹き込むことによって冷却する冷却ボックス(4、4a、…4’、4’a、…)を備える装置において、
ボックス(4、4a、…4’、4’a、…)が、前記ストリップの走行方向(X)に、2m未満の単位寸法を有し、および前記ストリップの走行方向(X)と垂直な方向に、複数の単位吹き込みセクター(4α、4β、…4aα、4aβ、…;4’α、4’β、4’aα、4’aβ、…)に分割されており、
各単位吹き込みセクターは、前記ストリップの走行方向と平行及び垂直な方向に沿って、これらの単位吹き込みセクターの各々における圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータ(6)を備えており、
制御/調節システム(R)が設けられており、前記システムは、前記ストリップが、前記冷却ゾーン内での前記ストリップと、前記装置の壁部のいかなる接触も回避する位置に位置するように、および前記ストリップ上のどの箇所においても、所望の理論的冷却曲線(F)に温度が追従するように、アクチュエータ(6)を制御することを特徴とする、連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する装置。
【請求項15】
各吹き込みセクターは、吹き込み圧力を測定する少なくとも1つのセンサ(7)を備え、およびこれらの単位セクターの各々における圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータ(6)を備え、セクター(7)からくる情報は、意図されたストリップ冷却曲線(F)に対応する前記吹き込みセクターにおける理論的な長手方向圧力分布が、冷却曲線(F)を修正することなく、前記冷却ゾーン内での前記ストリップと前記装置の壁部のいかなる接触も避けるために、前記吹き込みセクターに対する前記ストリップの位置の変化を考慮するように適応されるように、アクチュエータ(6)を制御する制御/調節システム(R)に送られることを特徴とする、請求項14に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する装置。
【請求項16】
各単位吹き込みセクターは、吹き込み流量を測定する少なくとも1つの装置(8)を備え、およびこれらの単位セクターの各々における圧力を調節する少なくとも1つのアクチュエータ(6)を備え、該吹き込み流量を測定する装置(8)からくる情報は、意図されたストリップ冷却曲線(F)に対応する前記吹き込みセクターにおける理論的な長手方向圧力分布が、冷却曲線(F)を修正することなく、前記冷却ゾーン内での前記ストリップと前記装置の壁部のいかなる接触も避けるために、前記吹き込みセクターに対する前記ストリップの位置の変化を考慮するように適応されるように、アクチュエータ(6)を制御する制御/調節システム(R)に送られることを特徴とする、請求項14に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する装置。
【請求項17】
前記ボックスが、左右の補正のために、該ストリップの幅にわたって少なくとも2つの単位吹き込みセクターに、または、中心/エッジ補正のために、少なくとも3つのセクターに分けられていることを特徴とする、請求項14〜16の一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する装置。
【請求項18】
制御/調節システム(R)は、得られる設定が、前記ストリップの性質に従って、および前記冷却部に入るときの前記ストリップの横断方向のプロファイルに従って、適応されるように、システム(R)に導入された設定点の選択により、前記ストリップの走行方向に平行及び垂直な方向における所与の圧力マップに従って、前記冷却ゾーンの単位セクターにおける全ての圧力を調節するように設計されることを特徴とする、請求項14〜17の一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する装置。
【請求項19】
制御/調節システム(R)は、必要な場合には、前記冷却ゾーン内の前記ボックスにおける全ての圧力に対する調節を実行するように設計され、このことが、主に、それ自体に平行な前記ストリップ(1)の位置に対する補正を生じることを特徴とする、請求項14〜18の一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する装置。
【請求項20】
制御/調節システム(R)は、必要な場合には、前記冷却ゾーンのボックスにおける全ての圧力に対する調節を実行するように設計され、このことが、主に、その主軸周りのねじれとして前記ストリップ(1)の位置に対する補正を生じることを特徴とする、請求項14〜18の一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する装置。
【請求項21】
制御/調節システム(R)は、必要な場合には、前記冷却ゾーンのボックスにおける全ての圧力に対する調節を実行するように設計され、このことが、主に、その長手方向に沿った前記ストリップの交互の変形を引き起こすようなストリップ(1)の位置に対する補正を生じることを特徴とする、請求項14〜18の一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する装置。
【請求項22】
自動制御/調節システム(R)は、
第1のステップにおいて、ストリップ(1)の理論的冷却曲線(F)、全体的なデータ及び特性、前記ストリップの所与のゾーンの両側に配置された2つの単位冷却セクターのペアの各々に対する全体的な冷却電力に従って、および
第2のステップにおいて、当該ゾーンにおける前記ストリップの所望の位置、および所望の全体的な冷却を実行する間、前記ストリップの位置を調節するために異ならせることができる、前記各ペアの前記2つの単位セクターに対する吹き込み圧力に従って、
決定するようにプログラムされることを特徴とする、請求項14〜21の一項に記載の連続的ラインにおいて、ストリップを冷却し、安定化する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−527649(P2009−527649A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555828(P2008−555828)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【国際出願番号】PCT/FR2007/000264
【国際公開番号】WO2007/096502
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(508252675)
【Fターム(参考)】