説明

遊技機の風車

【課題】遊技者が望まない方向に対してあたかも遊技球があまり流れていないように演出することを可能にする風車を提供する。
【解決手段】風車1は、遊技機の遊技盤上に設けられる。風車1は、遊技球を受ける複数の羽根12を有するとともに、遊技くぎ128に回転可能に取り付けられて時計回り(CW方向)および反時計回り(CCW方向)に回転する羽根部10と、羽根部10の時計回り(CW方向)の回転に伴い時計回り(CW方向)には回転し、羽根部10の反時計回り(CCW方向)への回転に対してその回転の追従が制限される前板部20とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機などの遊技機の風車に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機などの遊技機には、遊技球の流れによって回転する風車が遊技盤の盤面に設けられる。一般的に、風車は、回転軸となるくぎ部材に対して放射状に延びた複数の羽根を有する羽根部と、羽根部の前面(遊技者側)に設けられる前板とから構成される。そして、羽根部は、遊技球の流れによって、右方向または左方向に回転する。例えば、遊技者から見て盤面の中央より左側に風車が存在する場合には、盤面に沿って落下する遊技球がくぎ部材から中央側に向かう場合に羽根部は右方向(時計回り)に回転し、遊技球がくぎ部材から盤面の端側に向かう場合に羽根部は左方向(反時計回り)に回転する。
【0003】
公報記載の従来技術として、風車を組立体として構成し、その一部部品の交換を可能とするものが存在する(例えば、特許文献1参照)。この公報記載の技術では、軸筒部の周囲に複数枚の羽根が放射状に一体形成された風車部材と、この風車部材の前面に取り付けられる化粧板とを係合させて組み立て可能に構成している。そして、風車部材に放射状に突出させた返し付き係止爪が化粧板の表面から返しを突出させた状態にて係止される。一方、この返しが係止孔による係止を回避する方向に窄まる様に係止爪を変形させることによって、風車を分解できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−268621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、パチンコ遊技機は、多数のくぎが打たれた盤面とその盤面やくぎを覆う透明板との間に遊技球を弾き入れ、くぎなどに弾かれながら落ちる球を入賞口に入れて遊ぶ遊技機である。多くのパチンコ遊技機では、例えば盤面の中央部に、遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選が始動する始動口などの特定の入賞口が設けられている。そこで、このような盤面の中央部に特定の入賞口が設けられている遊技機にて、例えば大当たりの右打ち遊技などを除く通常の遊技時には、遊技者は、できるだけ中央部に遊技球が集中するように発射装置を操作する。このように、遊技者にとっては、遊技球が特定の入賞口に向かうように弾かれて落ちることが悦ばしいが、風車を回転させながら落下する球は、必ずしも遊技者が望む方向に向かうものばかりではない。
【0006】
本発明は、遊技者が望まない方向に対してあたかも遊技球があまり流れていないように演出することを可能にする風車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成する本発明は、次のような遊技機の風車として実現される。この遊技機の風車1,2,3,1’は、
遊技機100の遊技盤上110に設けられる風車1,2,3,1’であって、
遊技球を受ける複数の羽根12を有するとともに、軸128に回転可能に取り付けられて一方向CWおよび他方向CCWに回転する羽根部10と、
前記羽根部10の前記一方向CWの回転に伴い当該一方向CWには回転し、当該羽根部10の前記他方向CCWへの回転に対して当該回転の追従が制限される前板部20と
を備えることを特徴とする。
【0008】
より好ましくは、前記羽根部10の回転を前記前板部20に伝達する接続部を備え、
前記接続部は、
前記羽根部10に設けられて、当該羽根部10に伴って回転する第1回転部13,17,51と、前記前板部20に設けられて、前記羽根部10が前記一方向CWへ回転する場合に前記第1回転部13,17,51の回転による駆動力を受け、当該羽根部10が前記他方向CCWへ回転する場合に当該第1回転部13,17,51の回転による駆動力を逸らす第2回転部22,25,61と
を備えることを特徴とする。
【0009】
また、前記第1回転部13,17,51は第1の歯車13,18,53を有し、前記第2回転部22,25,61は第2の歯車22,26,62を有し、
前記第1の歯車13,18,53の歯13a,18a,53aは、前記羽根部10が前記一方向CWに回転する場合に前記第2の歯車22,26,62の歯22a,26a,62aに掛かり、当該羽根部10が前記他方向CCWに回転する場合に当該第2の歯車22,26,62の歯22a,26a,62aに掛からずに滑ることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記前板部20の前記他方向CCWの回転を規制する規制部材23をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
なお、本欄における上記符号は、本発明の説明に際して例示的に付したものであり、この符号により本発明が減縮されるものではない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、遊技者が望まない方向に対してあたかも遊技球があまり流れていないように演出することを可能にする風車を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態に係るパチンコ遊技機の概略正面図である。
【図2】本実施形態のパチンコ遊技機の部分拡大図である。
【図3】本実施形態のパチンコ遊技機の制御ユニットの内部構成を示す図である。
【図4】実施形態1が適用される風車の全体図である。
【図5】実施形態1が適用される風車の分解図である。
【図6】実施形態1が適用される風車の断面図である。
【図7】実施形態1が適用される風車の動作を説明するための図である。
【図8】図5〜図7を用いて説明した歯車の他の例を説明するための図である。
【図9】図5〜図7を用いて説明した内歯車の他の例を説明するための図である。
【図10】実施形態2が適用される風車の全体図である。
【図11】実施形態2が適用される風車の分解図である。
【図12】実施形態2が適用される風車の断面図である。
【図13】実施形態2が適用される風車の動作を説明するための図である。
【図14】実施形態3が適用される風車の全体図である。
【図15】実施形態3が適用される風車の分解図である。
【図16】実施形態3が適用される風車の断面図である。
【図17】実施形態3が適用される風車の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<実施形態1>
〔遊技機の基本構成〕
図1は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100の概略正面図である。
同図に示す遊技機の一例としてのパチンコ遊技機100は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が入賞すると賞球を払い出すように構成されたものである。このパチンコ遊技機100は、遊技球が打ち出される遊技盤110と、遊技盤110を囲む枠部材150とを備えている。遊技盤110は、枠部材150に着脱自在に取り付けられている。
【0015】
遊技盤110は、ベニヤ板などを材料とする遊技板部材110dの前面側に、遊技球により遊技を行うための遊技領域111と、下方から発射された遊技球が上昇して遊技領域111の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材112と、遊技領域111の右側に遊技球を案内する案内部材113とを備えている。
本実施の形態では、遊技者により視認され易い遊技領域111の位置に、演出のための各種の画像を表示する画像表示部114が配設されている。この画像表示部114は、液晶ディスプレイ等による表示画面を備え、遊技者によるゲームの進行に伴い、例えば、図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知するための装飾図柄を表示したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像を表示したりする。
また、遊技盤110の前面に、各種の演出に用いられる可動役物115および盤ランプ116を備えている。可動役物115は、遊技盤110上で動作することにより各種の演出を行い、また、盤ランプ116は、発光することで各種の演出を行う。
【0016】
本実施の形態では、入賞や抽選に関する種々の役物として、遊技球が入ると入賞して特別図柄抽選(大当たり抽選)が始動する第1始動口121および第2始動口122と、遊技球が通過すると普通図柄抽選(開閉抽選)が始動するゲート124と、が遊技盤110に配設されている。ここにいう第1始動口121および第2始動口122とは、予め定められた1の特別図柄表示器を作動させることとなる遊技球の入賞に係る入賞口をいう。
第2始動口122は、チューリップの花の形をした一対の羽根が電動ソレノイドにより開閉すると共に点灯する普通電動役物としての電動チューリップ123を備えている。電動チューリップ123は、羽根が閉じていると、遊技球が第2始動口122へ入り難い一方で、羽根が開くと第2始動口122の入口が拡大して遊技球が第2始動口122へ入り易くなるように構成されている。そして、電動チューリップ123は、普通図柄抽選に当選すると、点灯ないし点滅しながら羽根が規定時間(例えば6秒間)および規定回数(例えば3回)だけ開く。
【0017】
なお、パチンコ遊技機100は、所定の条件下で、特別図柄抽選において大当たりに当選する大当たり確率が変動する場合(低確状態(例えば300分の1)から高確状態(例えば30分の1)への変動)がある。また、パチンコ遊技機100は、所定の条件下で、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間が短縮されたり、普通図柄抽選時の当選する確率が高まったり、普通図柄抽選時の普通図柄変動時間が短縮されたり、電動チューリップ123の羽根の開時間が延長されたり、電動チューリップ123の羽根が開く回数が増えたりする場合がある。
【0018】
また、本実施の形態では、入賞や抽選に関するその他の役物として、特別図柄抽選の結果に応じて開放する特別電動役物としての大入賞口125と、遊技球が入賞しても抽選が始動しない普通入賞口126と、が遊技盤110に配設されている。
なお、本実施の形態では、遊技領域111に第1始動口121および第2始動口122が配設されているが、いずれか一方のみを配設する構成例やさらに他の始動口を配設する構成例も考えられる。また、本実施の形態では、遊技領域111に大入賞口125が1つ配設されているが、大入賞口125を複数配設する構成例も考えられる。
本実施の形態では、遊技盤110の右下の位置に、抽選結果や保留数に関する表示を行う表示器130が配設されている。
【0019】
遊技領域111には、遊技球が落下する方向に変化を与える複数の遊技くぎ127および風車1等が配設されている。図1に示すように、本実施形態の遊技盤110では、第1始動口121に遊技球が向かい易くなるように配列した遊技くぎ群127gを設けている。そして、本実施形態の遊技盤110では、風車1が遊技くぎ群127gによって形成される遊技球の移動経路の上流側に設けられている。
【0020】
また、遊技領域111には、入賞や抽選に関する種々の役物が所定の位置に配設されている。また、遊技領域111には、遊技領域111に打ち出された遊技球のうち入賞口に入賞しなかったものを遊技領域111の外に排出する排出口117が配設されている。
【0021】
また、遊技盤110の裏面には、内部抽選および当選の判定等を行う遊技制御基板、演出を統括的に制御する演出制御基板、画像および音による演出を制御する画像制御基板、各種のランプおよび可動役物115による演出を制御するランプ制御基板などの図示しない各種の基板等が取り付けられる。また、遊技盤110の裏面には、供給された24VのAC電源をDC電源に変換して各種の基板等に出力するスイッチング電源(不図示)が配設されている。
【0022】
枠部材150は、遊技者がハンドル151に触れてレバー152を時計方向に回転させる操作を行うとその操作角度に応じた打球力にて遊技球を所定の時間間隔(例えば1分間に100個)で電動発射する発射装置(不図示)を備えている。また、枠部材150は、遊技者のレバー152による操作と連動したタイミングで発射装置に遊技球を1つずつ順に供給する供給装置(不図示)と、供給装置が発射装置に供給する遊技球を一時的に溜めておく皿153(図2参照)と、を備えている。この皿153には、例えば払い出しユニットによる払出球が払い出される。
なお、本実施の形態では、皿153を上下皿一体で構成しているが、上皿と下皿とを分離する構成例も考えられる。また、発射装置のハンドル151を所定条件下で発光させる構成例も考えられる。
【0023】
また、枠部材150は、発射装置のハンドル151に遊技者が触れている状態であっても遊技球の発射を一時的に停止させるための停止ボタン154と、皿153に溜まっている遊技球を箱(不図示)に落下させて取り出すための取り出しボタン155と、を備えている。
また、枠部材150は、パチンコ遊技機100の遊技状態や状況を告知したり各種の演出を行ったりするスピーカ156および枠ランプ157を備えている。スピーカ156は、楽曲や音声、効果音による各種の演出を行い、また、枠ランプ157は、点灯点滅によるパターンや発光色の違い等で光による各種の演出を行う。なお、枠ランプ157については、光の照射方向を変更する演出を行うことを可能にする構成例が考えられる。
また、枠部材150は、遊技盤110を遊技者と隔てるための透明板(不図示)を備えている。
【0024】
図2は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100を説明する図であり、(a)は、遊技盤110の右下に配設された表示器130の一例を示す拡大図であり、(b)は、パチンコ遊技機100の部分平面図である。
パチンコ遊技機100の表示器130は、図2の(a)に示すように、第1始動口121の入賞に対応して作動する第1特別図柄表示器221hと、第2始動口122の入賞に対応して作動する第2特別図柄表示器222hと、ゲート124の通過に対応して作動する普通図柄表示器223と、を備えている。第1特別図柄表示器221hは、第1始動口121の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。第2特別図柄表示器222hは、第2始動口122の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。普通図柄表示器223は、遊技球がゲート124を通過することにより普通図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。第1特別図柄表示器221h、第2特別図柄表示器222hおよび普通図柄表示器223の各々は、LED表示装置で構成され、その点灯態様によって各抽選結果を表す図柄が表示される。
【0025】
また、表示器130は、第1特別図柄表示器221hでの保留に対応して作動する第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄表示器222hでの保留に対応して作動する第2特別図柄保留表示器219と、普通図柄表示器223での保留に対応して作動する普通図柄保留表示器220と、を備えている。第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220の各々は、LED表示装置で構成され、その点灯態様によって保留数が表示される。
【0026】
ここで、保留について説明する。特別図柄や普通図柄の変動表示動作中(入賞1回分の変動表示が行なわれている間)にさらに他の遊技球による入賞があると、その入賞した遊技球に対する図柄の変動表示動作は、先に入賞した遊技球に対する変動表示動作が終了するまで、規定個数(例えば4個)を限度に保留される。このような保留がなされていることおよびその保留の数(未抽選数)が、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220に表示される。
【0027】
パチンコ遊技機100の枠部材150は、遊技者が演出に対する入力を行うための入力装置を備えている。図2の(b)に示すように、本実施の形態では、入力装置の一例として、演出ボタン161と、演出ボタン161に隣接し、略十字に配列された複数のキーからなる演出キー162と、が枠部材150に配設されている。演出キー162は、その中央に1つの中央キーを配置し、また、中央キーの周囲に略同一形状の4つの周囲キーを配置して構成されている。遊技者は、4つの周囲キーを操作することにより、画像表示部114に表示されている複数の画像のいずれかを選ぶことが可能であり、また、中央キーを操作することにより、選んだ画像を情報として入力することが可能である。
【0028】
〔制御ユニットの構成〕
次に、パチンコ遊技機100での動作制御や信号処理を行う制御ユニットについて説明する。
図3は、制御ユニットの内部構成を示すブロック図である。同図に示すように、制御ユニットは、メイン制御手段として、内部抽選および当選の判定等といった払い出す賞球数に関する各種制御を行う遊技制御部200を備えている。また、サブ制御手段として、演出を統括的に制御する演出制御部300と、画像および音響を用いた演出を制御する画像/音響制御部310と、各種のランプおよび可動役物115を用いた演出を制御するランプ制御部320と、払出球の払い出し制御を行う払出制御部400と、を備えている。
【0029】
前述したように、遊技制御部200、演出制御部300、画像/音響制御部310、ランプ制御部320、および払出制御部400各々は、遊技盤110の後面に配設されたメイン基板としての遊技制御基板、サブ基板としての演出制御基板、画像制御基板、ランプ制御基板、および払出制御基板において個別に構成されている。
【0030】
〔遊技制御部の構成・機能〕
遊技制御部200は、内部抽選および当選の判定等といった払い出し賞球数に関連する各種制御を行う際の演算処理を行うCPU201と、CPU201にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM202と、CPU201の作業用メモリ等として用いられるRAM203と、を備えている。
遊技制御部200は、第1始動口121または第2始動口122に遊技球が入賞すると特別図柄抽選を行い、特別図柄抽選での当選か否かの判定結果を演出制御部300に送る。また、特別図柄抽選時の当選確率の変動設定(例えば300分の1から30分の1への変動設定)、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間の短縮設定、および普通図柄抽選時の普通図柄変動時間の短縮設定を行い、設定内容を演出制御部300に送る。
さらに、遊技制御部200は、電動チューリップ123の羽根の開時間の延長、および電動チューリップ123の羽根が開く回数の設定、さらには羽根が開く際の開閉動作間隔の設定を制御する。また、遊技球が連続的に第1始動口121または第2始動口122へ入賞したときの未抽選分の限度個数(例えば4個)までの保留や、遊技球が連続的にゲート124を通過したときの未抽選分の限度個数(例えば4個)までの保留を設定する。
また、遊技制御部200は、特別図柄抽選の結果に応じて、大入賞口125が所定条件(例えば30秒経過または遊技球10個の入賞)を満たすまで開状態を維持するラウンドを所定回数だけ繰り返すように制御する。さらには、大入賞口125が開く際の開閉動作間隔を制御する。
【0031】
さらに、遊技制御部200は、第1始動口121、第2始動口122、大入賞口125および普通入賞口126に遊技球が入賞すると、遊技球が入賞した場所に応じて1つの遊技球当たり所定数の賞球を払い出すように、払出制御部400に対する指示を行う。例えば、第1始動口121に遊技球が入賞すると3個の賞球、第2始動口122に遊技球が入賞すると4個の賞球、大入賞口125に遊技球が入賞すると13個の賞球、普通入賞口126に遊技球が入賞すると10個の賞球をそれぞれ払い出すように、払出制御部400に指示命令(コマンド)を送る。なお、ゲート124を遊技球が通過したことを検出しても、それに連動した賞球の払い出しは払出制御部400に指示しない。
払出制御部400が遊技制御部200の指示に従って賞球の払い出しを行った場合には、遊技制御部200は、払い出した賞球の個数に関する情報を払出制御部400から取得する。それにより、払い出した賞球の個数を管理する。
【0032】
遊技制御部200には、図2に示すように、第1始動口121への遊技球の入賞を検出する第1始動口検出部(第1始動口スイッチ(SW))211と、第2始動口122への遊技球の入賞を検出する第2始動口検出部(第2始動口スイッチ(SW))212と、電動チューリップ123を開閉する電動チューリップ開閉部213と、ゲート124への遊技球の通過を検出するゲート検出部(ゲートスイッチ(SW))214と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、大入賞口125への遊技球の入賞を検出する大入賞口検出部(大入賞口スイッチ(SW))215と、大入賞口125を閉状態と突出傾斜した開状態とに設定する大入賞口開閉部216と、普通入賞口126への遊技球の入賞を検出する普通入賞口検出部(普通入賞口スイッチ(SW))217と、が接続されている。
【0033】
また、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選(大当たり抽選)の未抽選分の保留個数を限度個数内(例えば4個)で表示する第1特別図柄保留表示器218と、第2始動口122への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の未抽選分の保留個数を限度個数内で表示する第2特別図柄保留表示器219と、ゲート124への遊技球の通過により始動した普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する未抽選分の保留個数を限度個数内で表示する普通図柄保留表示器220と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の結果を表示する第1特別図柄表示器221hと、第2始動口122への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の結果を表示する第2特別図柄表示器222hと、普通図柄抽選の結果を表示する普通図柄表示器223と、パチンコ遊技機100の状態を表示する状態表示器224と、が接続されている。
【0034】
そして、第1始動口スイッチ211、第2始動口スイッチ212、ゲートスイッチ214、大入賞口スイッチ215および普通入賞口スイッチ217にて検出された検出信号が、遊技制御部200に送られる。また、遊技制御部200からの制御信号が、電動チューリップ開閉部213、大入賞口開閉部216、第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219、普通図柄保留表示器220、第1特別図柄表示器221h、第2特別図柄表示器222h、普通図柄表示器223および状態表示器224に送られる。それにより、遊技制御部200は、上記した払い出し賞球数に関連する各種制御を行う。
【0035】
さらに、遊技制御部200には、ホールに設置されたホストコンピュータ(不図示)に対して各種の情報を送信する盤用外部情報端子基板250が接続されている。そして、遊技制御部200は、払出制御部400から取得した払い出した賞球数に関する情報や遊技制御部200の状態等を示す情報を、盤用外部情報端子基板250を介してホストコンピュータに送信する。
【0036】
〔演出制御部の構成・機能〕
次に、演出制御部300は、演出を制御する際の演算処理を行うCPU301と、CPU301にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM302と、CPU301の作業用メモリ等として用いられるRAM303と、日時を計測するリアルタイムクロック(RTC)304と、を備えている。
演出制御部300は、例えば遊技制御部200から送られる特別図柄抽選での当選か否かの判定結果に基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン等を用いたユーザからの操作入力を受けて、操作入力に応じた演出内容を設定する場合もある。その際、演出ボタン等(演出ボタン161および演出キー162)を用いたユーザからの操作入力を受けて、操作入力に応じた演出内容を設定する場合もある。この場合、例えば演出ボタン等のコントローラ(不図示)から操作に応じた信号(操作信号)を受け付け、この操作信号により識別される操作内容を演出の設定に反映させる。また、遊技が所定期間中断された場合には、演出の一つとして客待ち用の画面表示の設定を指示する。
さらには、遊技制御部200が特別図柄抽選時の当選確率を変動させた場合、特別図柄抽選時の特別図柄変動時間を短縮させた場合、および普通図柄抽選時の普通図柄変動時間を短縮させた場合には、演出制御部300は設定された内容に対応させて演出内容を設定する。
また、演出制御部300は、設定した演出内容の実行を指示するコマンドを画像/音響制御部310およびランプ制御部320に送る。
【0037】
〔画像/音響制御部の構成・機能〕
画像/音響制御部310は、演出内容を表現する画像および音響を制御する際の演算処理を行うCPU311と、CPU311にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM312と、CPU311の作業用メモリ等として用いられるRAM313と、を備えている。
そして、画像/音響制御部310は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、画像表示部114に表示する画像およびスピーカ156から出力する音響を制御する。
具体的には、画像/音響制御部310のROM312には、画像表示部114において遊技中に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。さらには、画像データと同期させて、または画像データとは独立にスピーカ156から出力させる楽曲や音声、さらにはジングル等の効果音等といった各種音響データが記憶されている。CPU311は、ROM312に記憶された画像データや音響データの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。さらには、読み出した画像データを用いて背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等のための画像処理と、読み出した音響データを用いた音声処理とを行う。
そして、画像/音響制御部310は、画像処理された画像データにより画像表示部114での画面表示を制御する。また、音声処理された音響データによりスピーカ156から出力される音響を制御する。
【0038】
〔ランプ制御部の構成・機能〕
ランプ制御部320は、盤ランプ116や枠ランプ157の発光、および可動役物115の動作を制御する際の演算処理を行うCPU321と、CPU321にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM322と、CPU321の作業用メモリ等として用いられるRAM323と、を備えている。
そして、ランプ制御部320は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、盤ランプ116や枠ランプ157の点灯/点滅や発光色等を制御する。また、可動役物115の動作を制御する。
具体的には、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた盤ランプ116や枠ランプ157での点灯/点滅パターンデータおよび発光色パターンデータ(発光パターンデータ)が記憶されている。CPU321は、ROM322に記憶された発光パターンデータの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。そして、ランプ制御部320は、読み出した発光パターンデータにより盤ランプ116や枠ランプ157の発光を制御する。
また、ランプ制御部320のROM322には、演出制御部300にて設定される演出内容に応じた可動役物115の動作パターンデータが記憶されている。CPU321は、可動役物115に対しては、読み出した動作パターンデータによりその動作を制御する。
【0039】
〔払出制御部の構成・機能〕
払出制御部400は、払出球の払い出しを制御する際の演算処理を行うCPU401と、CPU401にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM402と、CPU401の作業用メモリ等として用いられるRAM403と、を備えている。
そして、払出制御部400は、遊技制御部200から送られたコマンドに基づいて、払出球の払い出しを制御する。
具体的には、払出制御部400は、遊技制御部200から、遊技球が入賞した場所(第1始動口121等)に応じた所定数の賞球を払い出すコマンドを取得する。そして、コマンドに指定された数だけの賞球を払い出すように払出駆動部411を制御する。ここでの払出駆動部411は、遊技球の貯留部から遊技球を送り出す駆動モータで構成される。
【0040】
また、払出制御部400には、払出駆動部411により遊技球の貯留部から実際に払い出された賞球の数を検出する払出球検出部412と、貯留部(不図示)での遊技球の貯留の有無を検出する球有り検出部413と、遊技者が遊技する際に使用する遊技球や払い出された賞球が保持される皿153が満タン状態に有るか否かを検出する満タン検出部414と、が接続されている。そして、払出制御部400は、払出球検出部412、球有り検出部413および満タン検出部414にて検出された検出信号を受け取り、これらの検出信号に応じた所定の処理を行う。
さらに、払出制御部400には、ホールに設置されたホストコンピュータに対して各種の情報を送信する枠用外部情報端子基板450が接続されている。そして、払出制御部400は、例えば払出駆動部411に対して払い出すように指示した賞球数に関する情報や払出球検出部412にて検出された実際に払い出された賞球数に関する情報等を、枠用外部情報端子基板450を介してホストコンピュータに送信する。また、遊技制御部200に対しても、同様の情報を送信する。
【0041】
次に、本実施形態が適用される風車1について説明する。
〔実施の形態1〕
図4〜図9は、実施形態1が適用される風車1を説明するための図である。図4(a)、(b)は実施形態1が適用される風車1の全体図、図5(a)、(b)は実施形態1が適用される風車1の分解図である。また、図6は実施形態1が適用される風車1の断面図であり、図7(a)、(b)は、実施形態1が適用される風車1の動作を説明するための図である。さらに、図8(a)、(b)は、図5〜図7を用いて説明した歯車13の他の例を説明するための図であり、図9(a)、(b)は、図5〜図7を用いて説明した内歯車22の他の例を説明するための図である。
【0042】
図4(a)及び(b)に示すように、実施形態1の風車1は、遊技球を受けて回転する羽根部10と、羽根部10の遊技盤面側とは反対側(遊技者側)に設けられる前板部20とを備えている。さらに、風車1は、羽根部10が一方向に回転する際には羽根部10の回転力を前板部20へ伝達し、羽根部10が他方向に回転する際には羽根部10の回転力の前板部20への伝達を制限する接続部(後述)を備えている。なお、実施形態1の風車1において、接続部は、後述する歯車13と内歯車22と(後述の図5参照)を備えて構成される。
実施形態1が適用される風車1では、羽根部10と前板部20とが固定されておらずにそれぞれ分離され、各々独立して回転できるように構成されている。そして、接続部は、本実施形態では羽根部10が時計回り(図中矢印CW方向)に回転する場合に、羽根部10の回転力を前板部20に伝達する。また、接続部は、本実施形態では羽根部10が反時計回り(図中矢印CCW方向)に回転する場合に、前板部20に対する羽根部10の回転力の伝達を抑制する。
なお、以下の説明において、風車1における各部材の回転方向を表現する際には、図4(a)に示す風車1の羽根部10の回転方向に関するCW方向及びCCW方向を基準とする。
【0043】
図5(a)に示すように、羽根部10は、軸筒11と、軸筒11から放射状に延びる羽根板12と、軸筒11の軸方向一端側に設けられる歯車13とを備えて構成されている。なお、羽根部10の材料には、成形性を有する樹脂を用いることが好ましく、例えばポリアセタール樹脂(POM)などを用いることができる。
【0044】
図5(a)及び(b)に示すように、軸筒11は、中空の棒状の部材であり、風車くぎ128の外径よりも若干大きい内径を有する貫通孔11hを有している。そして、軸筒11の貫通孔11hには、風車くぎ128が通される。
羽根板12は、図5に示すように、軸筒11の外周から放射状に突出する板状の部材である。また、羽根板12の中心から外側までの長さは、前板部20の半径よりも小さく設定されている。本実施形態の風車1において、羽根板12は複数枚取り付けられている。なお、本実施形態の風車1において、羽根板12は合計3枚設けているが、羽根板12の枚数は3枚に限られず、例えば2枚や4枚以上であっても構わない。
【0045】
第1回転部の一例としての歯車13は、図5(a)に示すように、軸筒11の軸心方向の端部に、本実施形態では軸筒11と一体成形されて設けられている。歯車13は、前板部20の内歯車22に嵌め込まれ、内歯車22と噛み合う部材である。歯車13は、複数(本実施形態では4つ)の歯13aを備えている。各々の歯13aは、図5(a)に示すように、周方向においてCW方向に、回転中心からの距離が次第に大きくなるようになだらかに傾斜した斜面131と、斜面131のCW方向の端から切り下がる壁面132とによってそれぞれ構成されている。また、歯13aは、後述するように内歯車22の歯22aに接触することで圧縮変形し、歯22aとの接触が解かれると復元する程度の弾性を有している。
なお、歯車13における歯13aの数は、本実施形態の4つに限定されるものではなく、少なくとも1つ設けられていれば良い。
【0046】
図5(a)、(b)に示すように、前板部20は、羽根部10の遊技盤面側とは反対側(遊技者側)に設けられる部材である。前板部20は、回転板21と内歯車22とを備えて構成される。回転板21及び内歯車22の中心部には、風車くぎ128の外径よりも若干大きい内径を有する貫通孔21hが形成されている。そして、風車1が遊技板部材110dに取り付けられる際には、この貫通孔21hに風車くぎ128が通される。
回転板21は、本実施形態では円板状の部材である。また、回転板21の透明板側の面には、所定の装飾が施される。なお、回転板21は、羽根部10が透けて見えることを抑制するために、不透明なシートで形成するなどの所定の装飾が施されることが好ましい。また、本実施形態においては、例えば、回転板21のCW方向の回転を強調できるような模様を施しても良い。
【0047】
第2回転部の一例としての内歯車22は、回転板21の羽根部10と対峙する側に設けられる。内歯車22は、羽根部10の歯車13と噛み合う部材である。内歯車22は、図5(b)に示すように、回転軸中心に向けて突出する複数(本実施形態では4本)の歯22aを有している。内歯車22の各々の歯22aは、周方向のCW方向に、回転中心から内周面までの距離が次第に大きくなる斜面221と、斜面221から切り下がる壁面222とを備えて構成される。なお、前板部20の材料には、成形性を有する樹脂を用いることが好ましい。本実施形態が適用される前板部20の材料には、例えばエービーエス樹脂(ABS)やポリカーボネート(PC)などを用いることができる。
【0048】
図6に示すように、風車1が遊技板部材110dに取り付けられた状態において、羽根部10の貫通孔11h、及び前板部20の貫通孔21hにそれぞれ風車くぎ128が通される。そして、羽根部10及び前板部20を風車くぎ128に通した状態で、風車くぎ128が遊技板部材110dの所定の位置に打ち込まれる。遊技板部材110dに対する風車くぎ128の打ち込みの深さは、図6に示すように、羽根部10の歯車13が前板部20の内歯車22の内側に入り込み、歯車13と内歯車22とが噛み合うことができるように設定される。
【0049】
以上のように構成される風車1は、遊技板部材110dに取り付けられた状態において、羽根部10の歯車13と前板部20の内歯車22とが接続される。そして、風車1においては、所謂ラチェット機構を利用して、羽根部10の回転方向に応じて羽根部10の回転力の伝達を行う。風車1では、羽根部10がCW方向に回転する際、羽根部10の歯車13の歯13aが前板部20の内歯車22の歯22aに掛かることで羽根部10の回転力が前板部20に伝達する。また、風車1では、羽根部10がCCW方向に回転する際、羽根部10の歯車13の歯13aが前板部20の内歯車22の歯22aを滑ることで羽根部10の回転力を逸らして前板部20への伝達を抑制する。
なお、実施形態1が適用される風車1において、歯車13が第1の歯車として、内歯車22が第2の歯車として機能する。
【0050】
〔風車1の動作〕
続いて、図7を参照しながら、風車1の動作を説明する。なお、図7では、羽根部10の歯車13と、前板部20の内歯車22との関係を分かり易くするために、羽根板12や回転板21などの図示を省略している。
発射装置にて発射された遊技球が遊技領域111(図1参照)に供給されると、遊技球は、遊技くぎ127に接触して流下方向が変化しながら、遊技領域111を流れ落ちてゆく。遊技領域111を流下する遊技球のうち風車1へと到達した遊技球は、羽根部10の軸筒11や羽根板12に衝突する。
【0051】
遊技球が風車くぎ128の右側を流れる場合、風車くぎ128の右側に位置する羽根板12が遊技球を受けることで、羽根部10がCW方向に回転する。羽根部10がCW方向に回転することにより、羽根部10の歯車13がCW方向に回転する。そして、図7(a)に示すように、歯車13がCW方向に回転する場合、歯13aの壁面132が、内歯車22における歯22aの壁面222に掛かる。そうすると、歯車13の壁面132が前板部20の内歯車22の壁面222をCW方向に向けて押し、回転板21がCW方向に回転する。従って、本実施形態が適用される風車1において、羽根部10がCW方向に回転する場合、前板部20は、羽根部10の回転に伴ってCW方向に回転する。
【0052】
一方、遊技球が風車くぎ128の左側を流れる場合、風車くぎ128の左側に位置する羽根板12が遊技球を受けることで、羽根部10はCCW方向に回転する。
羽根部10がCCW方向に回転することにより、羽根部10の歯車13がCCW方向に回転する。そして、図7(b)に示すように、歯車13がCCW方向に回転する場合、羽根部10における歯車13は、歯13aの斜面131側から内歯車22における歯22aの斜面221に接触する。この場合、歯車13の歯13aは、内歯車22の歯22aに引っ掛からずに滑る。従って、羽根部10のCCW方向の回転力は、上述した羽根部10のCW方向の回転の場合と比較して、前板部20には十分に伝達されない。このように、実施形態1が適用される風車1において、羽根部10がCCW方向に回転する場合、前板部20は、羽根部10の回転に対する追従が抑制され、CCW方向に回転しにくくなっている。
【0053】
図1に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機100の遊技盤110においては、風車くぎ128の右側を流れる遊技球は、遊技くぎ群127g側へと導かれ、多くの遊技球は第1始動口121へと向かう。このように、遊技球が風車1の右側を流れる場合、本実施形態の遊技盤110においては、遊技者にとって有利となる。一方、本実施形態において、風車くぎ128の左側を流れてくる遊技球は、遊技くぎ群127g側には導かれずに、第1始動口121から遠ざかるように遊技盤110の外側へと導かれる。このように、遊技球が風車1の左側を流れる場合、本実施形態の遊技盤110においては、遊技者にとって不利となる。
【0054】
本実施形態が適用される風車1において、羽根部10の回転方向は、遊技球が風車くぎ128の右側を流れるか左側を流れるかによる。そして、遊技球が風車くぎ128の右側を流れるか左側を流れるかは、基本的には半々に設定されている。そうすると、羽根部10の回転数は、CW方向の回転の場合とCCW方向の回転の場合とでほぼ同じである。
対して、前板部20の回転数は、CW方向の回転の場合とCCW方向の回転の場合とで異なっている。即ち、上述した通り、本実施形態の風車1において、前板部20はCW方向には回転するものの、CCW方向へは回転しにくくなっている。このように、本実施形態が適用され風車1では、前板部20のCW方向の回転数が、CCW方向に回転する場合と比較して高くなるように構成している。このため、遊技者は、遊技者にとって有利になる回転方向(本実施形態ではCW方向)にばかり前板部20が回転し、遊技者にとって不利になる回転方向(本実施形態ではCCW方向)には前板部20があまり回転していないという印象を受ける。そして、前板部20は、羽根部10よりも遊技者側に配置されていることから、本実施形態の風車1によって、遊技者に対して、あたかも遊技者にとって有利となる回転方向にばかり遊技球が流れているかのような演出を行うことが可能となる。
【0055】
特に、本実施形態の遊技盤110において、第1始動口121を遊技盤の中央部に配置している。本実施形態のように第1始動口121を遊技盤の中央部に配置した場合、遊技者は、基本的には、中央部に設けられる第1始動口121に注視する。
本実施形態では、第1始動口121へと遊技球が向かうように形成された遊技くぎ群127gにおける遊技球の流れの上流に風車1を配置し、その遊技くぎ群127gへと遊技球が向かう方向であるCW方向にばかり風車1(前板部20)が回転しているようにしている。こうすることで、遊技者に対して、第1始動口121が設けられる遊技盤の中央部に遊技球が、集中しているように見せることができる。
【0056】
次に、図8を参照しながら、羽根部10の歯車13について他の例を説明する。
図8(a)、(b)に示す羽根部10の歯車13は、各々の歯13aにおいて斜面131に沿った切り欠き14がそれぞれ形成されている。切り欠き14の深さは、羽根部10がCCW方向に回転し(図8(b)参照)、前板部20の内歯車22における歯22aの壁面222に歯13aの斜面131が接触した際に、歯13aが軸心方向に向けて撓んで変形することができる程度に設定している。
【0057】
上述の歯車13を備えた風車1において、羽根部10がCW方向に回転した場合、図8(a)に示すように、歯車13の各々の歯13aは、壁面132が内歯車22の歯22aの壁面222に接触して引っ掛かる。これによって、前板部20は、羽根部10のCW方向の回転に伴ってCW方向に回転する。
一方、羽根部10がCCW方向に回転した場合、図8(b)に示すように、歯車13の各々の歯13aは、斜面131側から歯22aの斜面221に接触する。そして、歯13aは、歯22aに接触することで、回転軸中心に向けて変位するように撓む。その結果、羽根部10の歯車13は、前板部20の内歯車22に引っ掛からず、内歯車22を滑りながら回転しようとする。そのため、前板部20の回転板21は、羽根部10がCCW方向に回転する際には、羽根部10の回転への追従が制限される。
【0058】
続いて、図9を参照しながら、前板部20の内歯車22について他の例を説明する。
前板部20の内歯車22は、図9(a)、(b)に示すように、各々の歯22aの斜面221に沿って切り欠き24が形成されている。切り欠き24の深さは、羽根部10がCCW方向に回転し(図9(b)参照)、歯車13における歯13aの斜面131が、内歯車22における歯22aの斜面221に接触した際に、歯22aが回転軸中心から遠ざかる方向に変位することができるように設定している。
【0059】
上述の内歯車22を備えた風車1において、羽根部10がCW方向に回転した場合、図9(a)に示すように、歯車13の各々の歯13aは、壁面132が内歯車22の歯22aの壁面222に接触して引っ掛かる。これによって、前板部20は、羽根部10のCW方向の回転に伴ってCW方向に回転する。
一方、羽根部10がCCW方向に回転した場合、図9(b)に示すように、各々の歯13aが斜面131側から歯22aの斜面221に接触することで、歯22aが歯13aによって外側へ向けて変位する。このため、羽根部10の歯13aは、前板部20の内歯車22に引っ掛からず、内歯車22を滑りながら回転する。そのため、前板部20は、羽根部10の回転に対する追従が抑制され、CCW方向の回転が制限される。
【0060】
以上のように、図8及び図9を参照しながら説明した例では、歯13における各々の歯13aに切り欠き14を設けて各々の歯13aをより変形し易くする、あるいは内歯車22の歯22aに切り欠き24を設けて各々の歯22aをより変形し易くし、羽根部10がCCW方向に回転する場合における、羽根部10と前板部20との間に生じる抵抗をより低減している。このようにして、羽根部10がCCW方向に回転しようとする場合、前板部20がCCW方向に、より回転しにくくなるように構成することもできる。
【0061】
また、本実施形態の風車1において、前板部20は、CCW方向の回転は抑制されているが、CW方向には回転可能に構成されている。このように構成される風車1において、前板部20がCW方向に回転する場合、前板部20は、羽根部10を追い越して回転することができる。一方で、羽根部10は、CW方向に回転する際、前板部20を追い越して回転することはない。従って、本実施形態では、前板部20のCW方向の回転数が、羽根部10のCW方向の回転数よりも高くなる。
例えば、前板部20がCW方向に回転している状態にて、羽根部10が止まった状態にあっても、前板部20はCW方向の回転を継続することができる。このように、本実施形態では、前板部20と羽根部10とのCW方向の回転数が異なるように構成することで、風車1を用いて、遊技者にとって有利となる方向にばかりに遊技球が流れているように演出することが可能になる。
【0062】
〔実施形態2〕
続いて、実施形態2が適用される風車2について説明する。なお、実施形態1において説明した風車1と同様の部材等については、同一の符号を付してその説明を省略する。また、実施形態2の風車2は、遊技機1の遊技盤110において実施形態1が適用される風車1と同様の位置に設けられる(図1参照)。
図10〜図13は、実施形態2が適用される風車2を説明するための図である。図10(a)、(b)は実施形態2が適用される風車2の全体図、図11(a)、(b)は実施形態2が適用される風車2の分解図である。また、図12は実施形態2が適用される風車2の断面図であり、図13(a−1)、(a−2)、(b−1)、(b−2)は、実施形態2が適用される風車2の動作を説明するための図である。
なお、以下の説明において、風車2における各部材の回転方向を表現する際には、図10(a)に示す風車2の羽根部10の回転方向に関するCW方向及びCCW方向を基準とする。
【0063】
実施形態2の風車2は、図10(a)及び(b)に示すように、遊技球を受けて回転する羽根部10と、羽根部10の遊技盤面側とは反対側に設けられる前板部20と、羽根部10及び前板部20が通される風車くぎ128に取り付けられる前板規制部材23(後述の図11参照)と、羽根部10を前板部20側へと押し付ける押しばね129とを備えて構成される。また、風車2は、羽根部10が一方向に回転した際には羽根部10から前板部20への回転力の伝達し、羽根部10が他方向に回転した際には羽根部10から前板部20への回転力の伝達を抑制する接続部(後述)を備えている。なお、実施形態2が適用される風車2において、接続部は、後述する第1接続部17及び第2接続部25(後述の図11参照)を備えて構成される。
実施形態2が適用される風車2では、羽根部10と前板部20とは固定されておらずにそれぞれ分離しており、それぞれ独立して回転することができる。そして、接続部は、羽根部10がCW方向に回転する際、羽根部10の回転力を前板部20に伝達する。また、接続部は、羽根部10がCCW方向に回転する際、羽根部10の回転力を逸らし、前板部20に対する羽根部10の回転力の伝達を抑制する。
【0064】
図11(a)に示すように、羽根部10は、軸筒11と、軸筒11から放射状に延びる羽根板12と、軸筒11の軸方向の一端側に設けられる第1接続部17とを備えて構成さされている。
第1回転部の一例としての第1接続部17は、図11(a)に示すように、平面状の歯車である第1平面状歯車18を有している。第1平面状歯車18は、複数(本実施形態においては4枚)の面構造18aによって構成されている。第1平面状歯車18を構成する各々の面構造18aは、軸方向における面の高さが、周方向のCW方向に向けて次第に高くなるようになだらかに傾斜する斜面181と、斜面181のCW方向の端から切り下がる壁面182とによって構成されている。
【0065】
前板部20は、回転板21と第2接続部25とを備えている。第2回転部の一例としての第2接続部25は、図11(b)に示すように、平面状の歯車である第2平面状歯車26と、第2平面状歯車26の内側に形成される内歯車27とを有している。第2平面状歯車26は、複数(本実施形態では4枚)の面構造26aによって構成されている。第2平面状歯車26を構成する各々の面構造26aは、軸方向における面の高さが、周方向のCCW方向に次第に高くなるようになだらかに傾斜する斜面261と、斜面261のCCW方向の端から切り下がる壁面262とによって構成されている。
そして、風車2においては、遊技盤110に取り付けられた状態にて、第1平面状歯車18の斜面181と、第2平面状歯車26の斜面261とは、互いに向き合う関係を有する。また、風車2において、遊技盤110に取り付けられた状態にて、第1平面状歯車18の壁面182と、第2平面状歯車26の壁面262とは、互いに向き合う関係となっている。
【0066】
内歯車27は、図11(b)に示すように、第2接続部25の内側に設けられる。内歯車27は、後述する前板規制部材23と噛み合うように構成されている。内歯車27は、図11(b)に示すように、軸心側に向けて突出する複数(本実施形態では4本)の歯27aを有している。各々の歯27aは、軸心から内周面までの距離が、周方向にCW方向に向けて次第に大きくなる斜面271と、斜面271のCW方向の端から切り下がる壁面272とを備えて構成される。
【0067】
前板規制部材23は、図11(b)に示すように、複数(本実施形態では4つ)の歯23aを有する歯車であり、前板部20の内歯車27と接続する部材である。前板規制部材23には、風車くぎ128の外径とほぼ同じ大きさを有する貫通孔23hが設けられている。そして、前板規制部材23は、風車くぎ128に固定され、風車くぎ128に対して回転しないように構成されている。各々の歯23aは、図11(b)に示すように、回転中心から外周面までの距離が、周方向においてCW方向に次第に大きくなるように傾斜した斜面231と、斜面231のCW方向の端から切り下がる壁面232とによって構成されている。また、各々の歯23aは、後述するように前板部20における内歯車27の歯27aに接触した際に圧縮変形し、歯27aとの接触が解かれると復元する程度の弾性を有している。
【0068】
押しばね129は、風車2が遊技盤110に取り付けられた状態にて、遊技板部材110dと羽根部10との間において風車くぎ128に巻き付けられている。押しばね129の内側の径は、風車くぎ128の外径よりも若干大きくなっている。また、押しばね129は、他の部材に固定されることなく、風車くぎ128に対して回転可能に取り付けられる。押しばね129は、羽根部10を前板部20側へと押し付ける力を羽根部10に対して付与する。なお、押しばね129のばね力は、後述するとおり、羽根部10がCCW方向に回転する際に、羽根部10の第1平面状歯車18と前板部20の第2平面状歯車26とが互いに滑ることができる程度に設定されている。
【0069】
図12に示すように、風車2が遊技盤110に取り付けられた状態において、前板部20の貫通孔21h、前板規制部材23の貫通孔23h、羽根部10の貫通孔11h、及び押しばね129の順にそれぞれ風車くぎ128が通される。そして、図12に示すように、羽根部10、前板部20等に風車くぎ128に通した状態で、風車くぎ128が遊技板部材110dにおける所定の位置に打ち込まれる。そして、風車2において、羽根部10における第1平面状歯車18と前板部20における第2平面状歯車26とが対峙するように取り付けられる。また、図12に示すように、遊技板部材110dと羽根部10との間に設けられる押しばね129が羽根部10を前板部20側へと押し付け、羽根部10の第1平面状歯車18と前板部20の第2平面状歯車26とが接続する。
【0070】
以上のように構成される風車2では、羽根部10がCW方向に回転する際、羽根部10の第1接続部17の第1平面状歯車18が、前板部20の第2接続部25の第2平面状歯車26に掛かることで羽根部10の回転力を前板部20へと伝達する。また、風車2では、羽根部10がCCW方向に回転する際、羽根部10の第1接続部17の第1平面状歯車18が前板部20の第2接続部25の第2平面状歯車26を滑ることで第2平面状歯車26に掛からずに羽根部10の回転力の前板部20への伝達を制限する。
なお、実施形態2が適用される風車2において、第1平面状歯車18が第1の歯車として、第2平面状歯車26が第2の歯車として機能する。
【0071】
また、図12に示すように、前板規制部材23は、前板部20の内歯車27に嵌め込まれる。そして、前板規制部材23の歯23aと、前板部20の内歯車27の歯27aとが噛み合うように取り付けられる。
実施形態2が適用される風車2では、羽根部10がCW方向に回転する際には、前板規制部材23の歯23aが変形することで歯27aに対して歯23aを滑らせて前板部20のCW方向の回転は規制しない。一方、風車2では、羽根部10がCCW方向に回転する際には、前板部20の内歯車27の歯27aに前板規制部材23の歯23aを引っ掛けることで前板部20のCCW方向の回転を規制する。
【0072】
〔風車2の動作〕
続いて、図13を参照しながら、風車2の動作を説明する。なお、図13(a−1)及び(a−2)は羽根部10がCW方向に回転する場合における風車2を説明するための図であり、図13(b−1)及び(b−2)は羽根部10がCCW方向に回転する場合の風車2の模式図である。また、図13においては、図面が煩雑になることを避けるために軸筒11や羽根板12などの図示を省略している。
【0073】
発射装置にて発射された遊技球が遊技領域111(図1参照)に供給されると、遊技球は、遊技くぎ127に接触して流下方向が変化しながら、遊技領域111を流れてゆく。遊技領域111を流下する遊技球のうち風車2へと到達した遊技球は、羽根部10の軸筒11や羽根板12に衝突する。
【0074】
遊技球が風車くぎ128の右側を流れる場合、風車くぎ128の右側に位置する羽根板12が遊技球を受けることで、羽根部10がCW方向に回転する。羽根部10がCW方向に回転することにより、羽根部10における第1接続部17の第1平面状歯車18もCW方向に回転する。ここで、風車2では、押しばね129のばね力によって羽根部10が前板部20側に押し込まれている(図12参照)。これにより、風車2において、第1平面状歯車18と第2平面状歯車26とが噛み合う。そして、図13(a−1)に示すように、第1平面状歯車18における面構造18aの壁面182が、第2平面状歯車26における面構造26aの壁面262に引っ掛かる。そうすると、第1平面状歯車18の壁面182が第2平面状歯車26の壁面262を押し、前板部20がCW方向に回転する。
【0075】
また、前板部20がCW方向に回転する際は、前板規制部材23による回転の規制は働かない。即ち、図13(a−2)に示すように、前板部20がCW方向に回転するとき、内歯車27における歯27aの斜面271から、前板規制部材23における歯23aの斜面231に接触することで、内歯車27は、前板規制部材23には引っ掛からずに滑る。そのため、前板部20がCW方向に回転しようとする際、前板部20はCW方向に回転することができる。
以上のように、本実施形態が適用される風車2において、羽根部10がCW方向に回転する場合、前板部20は、羽根部10の回転に伴ってCW方向に回転するようになっている。
【0076】
一方、遊技球が風車くぎ128の左側を流れる場合、風車くぎ128の左側に位置する羽根板12が遊技球を受けることで、羽根部10はCCW方向に回転する。羽根部10がCCW方向に回転することにより、羽根部10における第1接続部17の第1平面状歯車18もCCW方向に回転する。そして、図13(b−1)に示すように、第1平面状歯車18における面構造18aの斜面181と、第2平面状歯車26における面構造26aの斜面261との間に滑りが生じる。なお、第1平面状歯車18における面構造18aの斜面181と、第2平面状歯車26における面構造26aの斜面261とが滑ることによる、羽根部10の軸方向の遊技板部材110d側への変位は、押しばね129(図12参照)によって吸収される。以上のように、羽根部10がCCW方向に回転した場合、羽根部10の回転力は逸らされて前板部20へと伝達されない。
【0077】
さらに、前板部20がCCW方向に回転しようとしても、前板規制部材23によってCCW方向の回転が規制される。即ち、図13(b−2)に示すように、前板部20がCCW方向に回転しようとする際、内歯車27における歯27aの壁面272が、前板規制部材23における歯23aの壁面231に引っ掛かる。前板規制部材23は、風車くぎ128に固定されており回転しない。従って、風車2において、前板部20は、CCW方向には回転しない。
以上のように、本実施形態が適用される風車2において、羽根部10がCCW方向に回転する場合、前板部20は、羽根部10の回転に対する追従が抑制され、CCW方向の回転が制限される。
【0078】
〔実施形態3〕
続いて、実施形態3が適用される風車3について説明する。なお、実施形態1が適用される風車1及び実施形態2が適用される風車2における部材等と同様のものについては、同一の符号を付してその説明を省略する。また、実施形態3が適用される風車3は、遊技機1の遊技盤110において実施形態1が適用される風車1が配置される位置と同様の位置に取り付けられる(図1参照)。
図14〜図17は、実施形態3が適用される風車3を説明するための図である。図14(a)、(b)は実施形態3が適用される風車3の全体図、図15(a)、(b)は実施形態3が適用される風車3の分解図である。また、図16は実施形態3が適用される風車3の断面図であり、図17(a−1)、(a−2)、(b−1)、(b−2)は、実施形態3が適用される風車3の動作を説明するための図である。
なお、以下の説明において、風車2における各部材の回転方向を表現する際には、図14(a)に示す風車3の羽根部10の回転方向に関するCW方向及びCCW方向を基準とする。
【0079】
実施形態3の風車3は、図14(a)及び(b)に示すように、遊技球を受けて回転する羽根部10と、羽根部10の遊技盤面側とは反対側に設けられる前板部20と、羽根部10及び前板部20が通される風車くぎ128に取り付けられる前板規制部材23(後述の図15参照)とを備えている。また、風車3は、羽根部10が一方向に回転した際には羽根部10から前板部20への回転力の伝達し、羽根部10が他方向に回転した際には羽根部10から前板部20への回転力の伝達を制限する接続部(後述)を備えている。なお、実施形態3が適用される風車3において、接続部は、後述する第3接続部51と第4接続部61(後述の図15参照)とを備えて構成される。
風車3において、羽根部10と前板部20とは固定されておらずに、それぞれ分離して独立して回転可能に構成されている。そして、接続部は、本実施形態では羽根部10がCW方向に回転する際、羽根部10の回転力を前板部20に伝達する。また、接続部は、本実施形態では羽根部10がCCW方向に回転する際、前板部20に対する羽根部10の回転力の伝達を抑制する。
【0080】
図15(a)に示すように、羽根部10は、軸筒11と、軸筒11から放射状に延びる羽根板12と、軸筒11の軸方向一端側に設けられる第3接続部51とを備えて構成されている。そして、第1回転部の一例としての第3接続部51は、図15(a)に示すように、受け部52と、第3平面状歯車53とを備えている。
受け部52は、ねじ55(後述)のねじ受けとなる複数(本実施形態においては4つ)のねじ穴52Hを有する円盤状の部材である。受け部52は、軸筒11の軸方向の一端端に設けられる。なお、図15(a)及び(b)においては、図面が煩雑になることを避けるため、ねじ55を1本のみ表示している。
【0081】
第3平面状歯車53は、平面状の歯車である。第3平面状歯車53は、複数(本実施形態においては4枚)の面構造53aによって構成されている。第3平面状歯車53を構成する各々の面構造53aは、軸方向における面の高さが、円周方向のCW方向に向けて次第に高くなるように傾斜する斜面531と、斜面531から軸方向に切り下がる壁面532との連続によって構成されている。
【0082】
また、図15(a)に示すように、各々の斜面531には、ねじ55を通す貫通孔533及び、ねじ55のねじ頭を収容する凹部534が形成される。そして、第3平面状歯車53は、ねじ55によって上述した受け部52に取り付けられる。ただし、第3平面状歯車53と受け部52とは、ねじ55により密着して固定されるのではなく、隙間が形成されることで所謂遊びを設けて取り付けられる。さらに、図15(a)、(b)に示すように、第3平面状歯車53と受け部52との間には、風車くぎ128に巻き付けた押しばね56が設けられている。
このように構成される第3接続部51において、第3平面状歯車53は、受け部52に対して上記の隙間(遊び)の分だけ軸方向に移動可能に構成されている。そして、本実施形態において、押しばね56の伸び縮みに応じて、第3平面状歯車53と受け部52との距離が伸縮できるように構成している。また、押しばね56のばね力は、後述するとおり、羽根部10がCCW方向に回転する際に、羽根部10の第3平面状歯車53と前板部20の第4平面状歯車62とが互いに滑ることができる程度に設定されている。
【0083】
前板部20は、回転板21と第4接続部61とを備えている。第2回転部の一例としての第4接続部61は、図15(b)に示すように、平面状の歯車である第4平面状歯車62と、第4平面状歯車62の内側に形成される内歯車64とを有している。
第4平面状歯車62は、複数(本実施形態においては4つ)の面構造62aによって構成されている。第4平面状歯車62を構成する各々の面構造62aは、軸方向における面の高さが、周方向のCCW方向に向けて次第に高くなるようになだらかに傾斜する斜面621と、斜面621のCCW方向の端から軸方向に切り下がる壁面622とによって構成されている。
そして、風車3においては、遊技盤110に取り付けられた状態にて、第3平面状歯車53の斜面531と、第4平面状歯車62の斜面621とは、互いに向き合う関係となっている。また、風車3においては、遊技盤110に取り付けられた状態にて、第3平面状歯車53の壁面532と、第4平面状歯車62の壁面622とは、互いに向き合う関係となっている。
【0084】
内歯車64は、図15(b)に示すように、第4接続部61の内側に設けられる。内歯車64は、前板規制部材23と噛み合うように構成されている。内歯車64は、図15(b)に示すように、回転軸中心に向けて突出する複数(本実施形態では4つ)の歯64aを有している。各々の歯64aは、軸心から内周面までの距離が、周方向にCW方向に次第に大きくなる斜面641と、斜面641のCW方向の端から切り下がる壁面642とを備えて構成される。
【0085】
前板規制部材23は、図15(b)に示すように、複数(本実施形態では4本)の歯23aを有する歯車であり、前板部20の内歯車64と噛み合う部材である。前板規制部材23は、風車くぎ128に固定されており、風車くぎ128に対しては回転しない。各々の歯23aは、図15(b)に示すように、軸心から外周面までの距離が、周方向のCW方向において次第に大きくなるようになだらかに傾斜した斜面231と、斜面231のCW方向の端から切り下がる壁面232とによって構成されている。また、各々の歯23aは、前板部20における内歯車64の歯64aに接触して圧縮変形し、歯64aとの接触が解かれると復元する程度の弾性を有するように設定している。
【0086】
図16に示すように、風車3が遊技板部材110dに取り付けられた状態において、前板部20の貫通孔21h、前板規制部材23の貫通孔23h、羽根部10の貫通孔11hの順に風車くぎ128に通される。そして、図16に示すように、羽根部10、前板部20等に風車くぎ128を通した状態で、風車くぎ128が遊技板部材110dにおける所定の位置に打ち込まれる。風車3において、羽根部10における第3平面状歯車53と前板部20における第4平面状歯車62とが対峙するように取り付けられる。ここで、羽根部10が遊技板部材110dに接触していているため、第3接続部51における押しばね56のばね力によって、第3平面状歯車53が前板部20の第4平面状歯車62へと押し付け、羽根部10の第3平面状歯車53と前板部20の第4平面状歯車62とが接続する。
【0087】
以上のように構成される風車3では、羽根部10がCW方向に回転する際、羽根部10の第3接続部51の第3平面状歯車53が、前板部20の第4接続部61の第4平面状歯車62に掛かることで羽根部10の回転力を前板部20へと伝達する。また、風車3では、羽根部10がCCW方向に回転する際、羽根部10の第3接続部51の第3平面状歯車53が前板部20の第4接続部61の第4平面状歯車62を滑ることで第4平面状歯車62に掛からずに羽根部10の回転力の前板部20への伝達を抑制する。
なお、実施形態3が適用される風車3において、第3平面状歯車53が第1の歯車として、第4平面状歯車62が第2の歯車として機能する。
【0088】
また、図16に示すように、前板規制部材23は、前板部20の内歯車64に嵌め込まれるように取り付けられる。そして、前板規制部材23の歯23aと、前板部20の内歯車64の歯64aとが噛み合わせられる。
実施形態3が適用される風車3では、前板規制部材23によって、羽根部10がCW方向に回転する際には、前板規制部材23の歯23aを変形させることで内歯車64の歯64に対して歯23aを滑らせて前板部20のCW方向の回転は規制しない。一方、風車3では、前板規制部材23によって、羽根部10がCCW方向に回転する際には、前板部20の内歯車64の歯64aに前板規制部材23の歯23aを引っ掛け、前板部20のCCW方向の回転を規制する。
【0089】
〔風車3の動作〕
次に、図17を参照しながら風車3の動作について説明する。なお、図17においては、図面が煩雑にならないよう、羽根板12などの図示を省略している。
発射装置にて発射された遊技球が遊技領域111(図1参照)に供給されると、遊技球は、遊技くぎ127によってその流下方向が変化させられながら、遊技領域111を流れる。遊技領域111を流下する遊技球のうち風車3へと到達した遊技球は、羽根部10の軸筒11や羽根板12に衝突する。
【0090】
遊技球が風車くぎ128の右側を流れ落ちる場合、風車くぎ128の右側に位置する羽根板12が遊技球を受けることで、羽根部10がCW方向に回転する。羽根部10がCW方向に回転することにより、羽根部10における第3接続部51の第3平面状歯車53もCW方向に回転する。ここで、本実施形態の風車3では、押しばね56のばね力によって第3平面状歯車53が前板部20側へと押し込まれている(図16参照)。これにより、風車3において、第3平面状歯車53と第4平面状歯車62とが接続する。従って、図17(a−1)に示すように、第3平面状歯車53における面構造53aの壁面532が、第4平面状歯車62における面構造62aの壁面622に引っ掛かる。そうすると、第3平面状歯車53の壁面532が第4平面状歯車62の壁面622をCW方向に押し、前板部20がCW方向に回転する。
【0091】
また、前板部20がCW方向に回転する際には、前板規制部材23による前板部20のCW方向への回転の規制は働かない。即ち、図17(a−2)に示すように、前板部20がCW方向に回転するとき、内歯車64における歯64aの斜面641から、前板規制部材23における歯23aの斜面231に接触することで、歯23aが押し潰される。そして、前板部20の内歯車64の歯64aが前板規制部材23の歯23aに引っ掛からずに滑るため、前板部20はCW方向に回転することができる。
以上のように、本実施形態が適用される風車3において、羽根部10がCW方向に回転する場合、前板部20は、羽根部10の回転に伴って回転する。
【0092】
一方、遊技球が風車くぎ128の左側を流れる場合、風車くぎ128の左側に位置する羽根板12が遊技球を受けることで、羽根部10はCCW方向に回転する。羽根部10がCCW方向に回転することにより、羽根部10における第3接続部51の第3平面状歯車53もCCW方向に回転する。この際に、図17(b−1)に示すように、第3平面状歯車53における面構造53aの斜面531と、第4平面状歯車62における面構造62aの斜面621との間には滑りが生じる。なお、第3平面状歯車53における面構造53aの斜面531と、第4平面状歯車62における面構造62aの斜面621とが滑ることによる、第3平面状歯車53の軸方向の羽根板12側への変位は、押しばね56によって吸収される。このように、羽根部10がCCW方向に回転した場合、羽根部10の回転力は逸らされ、前板部20へと伝達されない。
【0093】
さらに、前板部20がCCW方向に回転しようとしても、前板規制部材23によってCCW方向の回転が規制される。図17(b−2)に示すように、前板部20がCCW方向に回転しても、内歯車64における歯64aの壁面642が、前板規制部材23における歯23aの壁面232に引っ掛かる。前板規制部材23は、風車くぎ128に固定されており回転しないため、前板部20はCCW方向には回転しない。
以上のように、本実施形態が適用される風車3において、羽根部10がCCW方向に回転する場合、前板部20は、羽根部10の回転に対する追従が抑制される。
【0094】
なお、上述した実施形態1〜3において、羽根部10が時計回りに回転した際には前板部20が時計回りに回転し、羽根部10が反時計回りに回転した際には前板部20は反時計回りの回転が抑制されるように構成した例について説明した。この回転方向の関係については、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、図1に示す風車1’のように、遊技領域の右側半分の領域に配置される場合、例えば第1始動口121へと遊技球が向かい易くなる風車1’の回転方向は反時計回りとなる。このような場合、風車1’において、羽根部10が反時計回りに回転した際には前板部20が反時計回りに回転し、羽根部10が時計回りに回転した際には前板部20の時計回りの回転が制限されるように構成しても良い。この場合、例えば実施形態1にて説明した風車1と基本的に同様な構造を採用する場合、羽根部10の歯車13の周方向における斜面131および壁面132の向きを、前板部20の内歯車22の周方向における斜面221及び壁面222の向きを、実施形態1において説明した風車1に対してそれぞれ逆の関係にすれば良い。
【符号の説明】
【0095】
1,2,3…風車、10…羽根部、12…羽根板、13…歯車、20…前板部、21…回転板、22…内歯車、100…パチンコ遊技機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の遊技盤上に設けられる風車であって、
遊技球を受ける複数の羽根を有するとともに、軸に回転可能に取り付けられて一方向および他方向に回転する羽根部と、
前記羽根部の前記一方向の回転に伴い当該一方向には回転し、当該羽根部の前記他方向への回転に対して当該回転の追従が制限される前板部と
を備えることを特徴とする遊技機の風車。
【請求項2】
前記羽根部の回転を前記前板部に伝達する接続部を備え、
前記接続部は、
前記羽根部に設けられて、当該羽根部に伴って回転する第1回転部と、
前記前板部に設けられて、前記羽根部が前記一方向へ回転する場合に前記第1回転部の回転による駆動力を受け、当該羽根部が前記他方向へ回転する場合に当該第1回転部の回転による駆動力を逸らす第2回転部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の遊技機の風車。
【請求項3】
前記第1回転部は第1の歯車を有し、前記第2回転部は第2の歯車を有し、
前記第1の歯車の歯は、前記羽根部が前記一方向に回転する場合に前記第2の歯車の歯に掛かり、当該羽根部が前記他方向に回転する場合に当該第2の歯車の歯に掛からずに滑ることを特徴とする請求項2に記載の遊技機の風車。
【請求項4】
前記前板部の前記他方向の回転を規制する規制部材をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の遊技機の風車。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−250853(P2011−250853A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124918(P2010−124918)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】