説明

遊技機

【課題】リールの回転挙動から当選確率の設定が行われたことが把握されないようにする。
【解決手段】複数の図柄が外周に付されたリール61と、リール61が停止したときのリール61の情報を含む遊技の進行に関する情報を記憶する記憶手段と、複数の入賞役への当選確率の設定値の中からひとつの設定値が選択されると、選択された設定値を、複数の入賞役への当選確率の設定値として決定する設定値決定手段と、当選確率の設定値が決定された場合に、記憶手段に記憶された前記の情報を初期化する設定時初期化手段と、当選確率の設定値が決定されて、設定時初期化手段による初期化が実行された場合に、リール61を回転駆動したのち、表示窓31内に停止表示される各リール61の図柄の組合せが所定の図柄組合せとなる位置でリール61を停止させる設定時周回体駆動手段と、を備える遊技機とした

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシンその他の遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としてのスロットマシンでは、遊技者がメダルを投入してスタートレバーを操作することで、内部抽選が実行されると共に、リール(周回体)が回転する。
そして、内部抽選の結果、入賞役(役)に当選している場合には、その後の遊技者によるストップボタンの操作などで総てのリールが回転を停止した時点で、表示窓内に表示された各リールの図柄の組み合わせが当選している入賞役の図柄の組み合わせと一致していることを条件に、所定枚数のメダルが払い出されるようになっている。
【0003】
上述した入賞役への当選確率は、低確率から高確率まで複数用意されており、遊技機ごとに当選確率を設定できるようになっている。
例えば、当選確率の設定が6段階で用意されている場合には、最も低い当選確率が「設定1」であり、以降、設定の数字が増えるにしたって当選確率が高くなって、最も高い当選確率が「設定6」である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−101968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スロットマシンでは、当選確率の設定変更を行うと、主制御装置に記憶された情報が初期化されてしまう。そのため、設定変更を行う前のゲームに関する情報や、リールを停止させたときの情報もまた初期化されてしまう。
【0006】
スロットマシンでは、上述したように設定変更が行われて主制御装置に記憶された情報が初期化された場合には、設定変更前の遊技においてリールを停止させたときの情報も初期化されてしまい、設定変更後の遊技において最初にリールを回転させたときに、リールの回転開始時の挙動が設定変更をしなかった場合と異なることがある。
【0007】
そうすると、リールの回転開始時の挙動が異なることに遊技者が気付くことがあり、かかる場合、スロットマシンにおいて当選確率の設定変更が行われたことが、遊技者に把握されてしまうことになる。
【0008】
そこで、リールが回転するときの挙動から、当選確率の設定変更が行われたことが把握されないようにすることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、
(1)複数の図柄が外周に付された複数の周回体と、
前記周回体各々の外周に付された複数の図柄のうちの一部を、それぞれ視認可能とする表示窓と、
前記各周回体の回転を開始させるべく操作される開始操作手段と、
前記開始操作手段の操作に基づいて、遊技における複数の入賞役への当否を決定する抽選手段と、
前記周回体毎に設けられて、前記周回体を回転駆動させる駆動手段と、
前記駆動手段による前記周回体の回転、停止を制御する駆動制御手段と、
前記周回体が停止したときの当該周回体の情報を含む遊技の進行に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記複数の入賞役への当選確率として用意された複数の当選確率の設定値の中から、ひとつの設定値を選択する際に操作される設定操作手段と、
前記設定操作手段で選択された設定値を、前記複数の入賞役への当選確率の設定値として決定する設定値決定手段と、
前記当選確率の設定値が決定された場合に、前記記憶手段に記憶された情報を初期化する設定時初期化手段と、
前記当選確率の設定値が決定されて、設定時初期化手段による初期化が実行された場合に、前記周回体を回転駆動したのち、前記表示窓内に停止表示される各周回体の図柄の組合せが所定の図柄組合せとなる位置で、前記周回体を停止させる設定時周回体駆動手段と、を備えることを特徴とする遊技機とした。
【発明の効果】
【0010】
このように構成すると、周回体が停止したときの周回体の情報を含む遊技の進行に関する情報の初期化により、前回周回体を停止させたときの周回体の情報がクリアされていても、設定時周回体駆動手段により、周回体の回転、停止が行われるので、その後開始される遊技においてリールを回転させるときには、前回周回体を停止させたときの周回体の情報が、記憶手段に記憶されていることになる。
よって、前回周回体を停止させたときの周回体の情報に基づいて、周回体の回転を開始できるので、当選確率の設定値の決定により上記の情報の初期化が実行された場合の周回体の回転開始時の挙動が、当選確率の設定値が決定されていない場合における周回体の回転開始時の挙動と異なることがない。
よって、周回体が回転するときの挙動から、当選確率の設定変更が行われたことが把握されるのを好適に防止できる。
【0011】
さらに、周回体の回転、停止を実行する設定時周回体駆動手段が、表示窓内に停止表示される各周回体の図柄の組合せが所定の図柄組合せとなる位置で周回体を停止させるので、例えば周回体が停止したときの図柄組合せが、表示窓内で「7」図柄が左・中・右と揃う図柄組合せである場合には、ホール内で複数並んだ遊技機の各表示窓内で停止表示される図柄とその並びが、統一感を持って現れることになる。
そうすると、ホールの開店までに遊技機の当選確率の設定値の決定を行うと、開店時における各遊技機において、表示窓内に停止表示されている図柄組合せに、統一感を持たせることができるので、ホールの印象向上に寄与できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】スロットマシンの正面図である。
【図2】スロットマシンの前面扉を閉じた状態の斜視図である。
【図3】スロットマシンの前面扉を開いた状態の斜視図である。
【図4】スロットマシンの筐体本体の正面図である。
【図5】左リールの分解斜視図である。
【図6】ステッピングモータの動作原理を示す図である。
【図7】ステッピングモータの駆動系を示す接続図である。
【図8】励磁データと励磁順ポインタとの関係を示す説明図である。
【図9】センサカットバンの配置を説明する図である。
【図10】リールの外周に描かれる図柄配列と、図柄配列の組み合わせと役との関係を示す図である。
【図11】メイン制御基板の構成を説明するブロック図である。
【図12】メイン制御基板が実行するNMI割込処理のフローチャートである。
【図13】メイン制御基板が実行するタイマ割込処理のフローチャートである。
【図14】メイン制御基板が実行する停電時処理のフローチャートである。
【図15】メイン制御基板が実行する電源投入時のメイン処理のフローチャートである。
【図16】メイン制御基板が実行する通常遊技処理のフローチャートである。
【図17】通常遊技処理の抽選処理のフローチャートである。
【図18】通常遊技処理のリール制御処理のフローチャートである。
【図19】通常遊技処理のリール停止処理のフローチャートである。
【図20】通常遊技処理のメダル払出処理のフローチャートである。
【図21】通常遊技処理の特別遊技状態処理のフローチャートである。
【図22】特別遊技状態処理のボーナス図柄判定処理のフローチャートである。
【図23】RBゲーム初期値テーブルである。
【図24】BBゲーム初期値テーブルおよびJACイン初期値テーブルである。
【図25】ステッピングモータの駆動特性を示す図である。
【図26】加速テーブルを示す図である。
【図27】ステッピングモータ制御処理のフローチャートである。
【図28】モータ制御処理のフローチャートである。
【図29】モータ制御処理のフローチャートである。
【図30】6段階確率設定処理のフローチャートである。
【図31】自動回転処理のフローチャートである。
【図32】モータ制御処理のフローチャートである。
【図33】第2の実施形態にかかる6段階確率設定処理のフローチャートである。
【図34】第2の実施形態にかかる自動回転処理のフローチャートである。
【図35】第3の実施形態にかかるメイン処理のフローチャートである。
【図36】第3の実施形態にかかる自動回転処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[遊技機]
以下、本発明の実施形態を、遊技機がスロットマシンの場合を例に挙げて説明する。
図1は、スロットマシン10の正面図であり、図2は、スロットマシン10の前面扉12を閉じた状態の斜視図であり、図3は、スロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図であり、図4は、筐体本体11の正面図である。
【0014】
図3に示すように、スロットマシン10の筐体は、正面側が開口する箱形状の筐体本体11と、その開口部を閉じる前面扉12とから構成される。
前面扉12は、左端側の上下複数カ所がヒンジによって筐体本体11に取り付けられ、ヒンジを軸として水平に揺動し、筐体本体11の開口部を開閉可能となっている。
図1に示すように、前面扉12の右端部には、筐体本体11側と協働して前面扉12を閉鎖し施錠状態とする施錠機構20が設けられている。
【0015】
図4に示すように、スロットマシン10の筐体本体11は、天板11a、底板11b、背板11c、左側板11d、右側板11eから構成され、筐体本体11の内部は、仕切板11fによって上下に2分割されている。
【0016】
仕切板11fの上部には、前面扉12の各表示窓31L、31M、31R(以下、表示窓31とも表記する)に対して1対1で対応させて横に並べた左リール61L、中リール61M、右リール61R(以下、リール61とも表記する)を同一軸線上で回転可能に支持したリールユニット60が、取り付けられている。
【0017】
さらに、正面から見て、背板11cのリールユニット60よりも上方には、制御基板収容ボックス51が取付けられており、この制御基板収容ボックス51内には、スロットマシン10の制御を行うメイン制御基板80が収容されている。
【0018】
仕切板11fの下部には、ホッパ装置52と、電源装置56と、メダル収容箱57とが配置されている。
ホッパ装置52は、、メダルを貯留する貯留タンク53と、メダルを遊技者に払い出す払出装置55とにより構成され、払出装置55は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、前面扉12の裏面の排出用通路67の開口68へメダルを排出し、排出用通路67を介してメダル受け皿18(図2参照)へメダルを払い出すようになっている。
また、ホッパ装置52の右側には、貯留タンク53内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するためのメダル収容箱57が設けられている。ホッパ装置52の貯留タンク53には、この貯留タンク53からメダル収容箱57にメダルを排出する誘導プレート54が設けられており、貯留タンク53内に貯留されているメダルが過剰になると、過剰になったメダルがメダル収容箱57に排出されて貯留されるようになっている。
【0019】
図1に示すように、前面扉12の上側には、遊技の進行に伴って点灯・点滅する上部ランプ13が、上辺に沿って設けられており、上部ランプ13の下方位置の左右両側には、種々の報知音(効果音)を出力する一対のスピーカ14が設けられている。
そして、これら一対のスピーカ14の間には、画像・映像等の種々の情報を表示する液晶ディスプレイ15が設けられている。
【0020】
液晶ディスプレイ15の下方には、左リール61Lと中リール61Mと右リール61Rをそれぞれ透視できる表示パネル30と、略中段付近にて各種ボタン41〜44、46〜49や、スタートレバー45およびメダル投入口50が設けられた操作部40と、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16と、メダル排出口17から払い出されたメダルを受けるメダル受け皿18と、が設けられている。
【0021】
表示パネル30は、図1に示すように左リール61L、中リール61M、右リール61Rの停止中または回転中の様子を視認可能とする表示窓31(31L、31M、31R)と、表示窓31Lの左側に配置された5つのベットランプ32、33、33、34、34と、この表示窓31(31L、31M、31R)の下側に配設された3つの表示部(クレジット枚数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得枚数表示部37)と、を備えている。
【0022】
表示窓31(31L、31M、31R)は、停止中の左リール61L、中リール61M、右リール61Rのそれぞれについて、縦方向に3つの図柄を同時に視認可能とする大きさに形成されている。このため、左リール61L、中リール61M、右リール61Rのすべてが停止している状態では、3×3=9個の図柄が、遊技者から視認可能となっている。なお、表示窓31(31L、31M、31R)は1つにまとめて、共通の露出窓とすることも可能である。
【0023】
そして、図1において鎖線で示す上段、中段、下段の水平ラインa、b、cと、一対の対角ラインd、eの合計5本のラインが入賞判定用のラインとして設定されており、設定されたラインのうちの少なくともひとつ以上が、ベットされるメダル数に応じて適宜有効化される。
有効化されたラインは有効ラインであり、予め定められた賞を付与する組合せが有効ラインに揃うと「入賞」となる。例えば停止した左リール61Lの3つの図柄のうち有効ライン上の図柄に「チェリー」があると「入賞」となる。
【0024】
図1に示すように1枚のメダルがベットされたときに点灯するベットランプ32は、中段水平ラインbの左横に配設され、2枚のメダルがベットされたときに点灯するベットランプ33、33は、上段水平ラインaおよび下段水平ラインcの左横に配設され、3枚のメダルがベットされたときに点灯するベットランプ34、34は、一対の対角ラインd、eの左横に配設されている。
【0025】
クレジット枚数表示部35は、後述するクレジット機能が有効なときにスロットマシン10の内部に貯留されている枚数を表示する。
【0026】
ゲーム数表示部36は、例えばビッグボーナス時にあと何回JAC(ジャック)インできるかのか、JACゲーム時にあと何回JAC図柄成立が残っているのかを、回数で表示する。
【0027】
獲得枚数表示部37は、有効ライン上に同じ図柄が揃って入賞したときに払い出された枚数を表示する。
【0028】
図1および図2に示すように、操作部40は、表示パネル30の下端から手前側に延在する平面部40aと、その平面部40aの前端部から鉛直方向に延びる縦壁部40bと、を有している。
平面部40aの左側には、1枚ベットボタン41および2枚ベットボタン42と、マックスベットボタン43と、が設けられており、右側には、メダル投入口50が設けられている。
【0029】
各ベットボタン41、42、43は、ゲームスタート前にそのゲームでベットするメダル枚数を決めるためのボタンであり、ベットされたメダルの枚数に応じてベットランプ32〜34が点灯して、有効ラインが確認できるようになっている。
【0030】
メダル投入口50から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた通路切替手段としてのセレクタ65(図3参照)によって貯留用通路66か排出用通路67の何れかへ導かれる。すなわち、セレクタ65には、メダル通路切替ソレノイド(図示せず)が設けられており、メダル通路切替ソレノイドの非励磁時には排出用通路67側にメダルが誘導され、励磁時には貯留用通路66側にメダルが誘導されるようになっている。
なお、貯留用通路66に導かれたメダルは、筐体本体11の内部に収納されたホッパ装置52へと導かれる。一方、排出用通路67に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口17(図1参照)からメダル受け皿18へと導かれ、遊技者に返還される。
【0031】
図1に示すように、縦壁部40bには、左側から右側に向かって順番に、クレジット精算ボタン44と、スタートレバー45と、左リール61L用のストップボタン46と、中リール61M用のストップボタン47と、右リール61R用のストップボタン48と、返却ボタン49と、が設けられている。
【0032】
クレジット精算ボタン44は、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後ボタンの操作が行われるごとにオン/オフが切り替わるトグル式に構成されている。
【0033】
クレジット精算ボタン44がオフ状態のときには、クレジット枚数表示部35の表示が消え、メダル投入口50から投入されたメダルや入賞したときに払い出されるメダルは、メダル排出口17からメダル受け皿18へ払い出される。
【0034】
クレジット精算ボタン44がオン状態のときには、クレジット枚数表示部35に数字(オンからオフになったときには「0」)が表示され、クレジット機能が有効となる。
【0035】
ここで、クレジット機能とは、メダル投入口50から投入された枚数がマックスベット数(ここでは3枚)を越えたときにその越えた枚数分をスロットマシン内部に貯留する機能であり、貯留枚数は上述したクレジット枚数表示部35に表示される。クレジット枚数表示部35に1枚以上表示されているときにクレジット精算ボタン44を押してオフ状態にすると、表示されていた枚数分のメダルがメダル排出口17からメダル受け皿18へ払い出され、メダルが払い出されるごとにクレジット枚数表示部35の数値が1ずつディクリメント(減算)され、その数値がゼロになったあと表示が消える。
【0036】
スタートレバー45は、遊技者がゲームを開始するときに、下方に押し下げる、または上方に押し上げることによって操作するレバーであり、縦壁部40bから手前側に向かって突設されている。
メダルがベットされているときにこのスタートレバー45が操作されると、スタート指令が生成され、このスタート指令によって各リール61(61L、61M、61R)が一斉に回転し始める。
【0037】
ストップボタン46〜48は、それぞれ回転中の左リール61L、中リール61M、右リール61Rを停止させるときに遊技者が押下するボタンである。
各ストップボタン46、47、48が押されると、停止指令が生成される。
各ストップボタン46、47、48は、各リール61(61L、61M、61R)が等速回転している間、図示しないランプにより点灯表示され、回転が停止すると消灯する。
【0038】
ここで、メダルをベットする手順について説明する。
クレジット精算ボタン44がオフ状態のとき(クレジット枚数表示部35が消灯しているとき)か、クレジット精算ボタン44がオン状態で貯留枚数もベットされているメダルの枚数もゼロのとき(クレジット枚数表示部35に「0」が表示されているとき)に、メダル投入口50からメダルが投入されるとベットされる。
【0039】
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口50に投入されると、ベットランプ32が点灯し、そしてこれに対応する中段の水平ラインbが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口50に投入されると、更に2つのベットランプ33、33が点灯すると共に、これに対応する上段および下段の水平ラインa、cを含む合計3本のラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口50に投入されると、更に2つのベットランプ34、34が点灯し、そしてこれに対応する一対の対角ラインd、eを含む合計5本のラインのそれぞれが有効ラインとなる。
【0040】
また、4枚以上のメダルがメダル投入口50に投入されると、クレジット精算ボタン44がオフのとき(クレジット機能が有効でないとき)には、メダル排出口17からメダル受け皿18へメダルが返却されるが、クレジット精算ボタン44がオンのとき(クレジット機能が有効なとき)には、有効ラインはそのままで投入されたメダルの枚数分だけスロットマシン内部に貯留され、クレジット枚数表示部35に貯留枚数が表示される。このクレジット枚数は上限枚数が決められており(例えば50枚)、それを越える枚数のメダルが投入されたときにはメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。
【0041】
メダルが3枚以上貯留されているときに、1枚ベットボタン41が押されるとクレジット枚数表示部35に表示されている数値が1つディクリメントされると共に、ベットランプ32が点灯して中段の水平ラインbが有効ラインとなり、2枚ベットボタン42が押されるとクレジット枚数表示部35に表示されている数値が2つディクリメントされると共に、ベットランプ32およびベットランプ33、33が点灯して合計3本の水平ラインa、b、cが有効化され、マックスベットボタン43が押されるとクレジット枚数表示部35に表示されている数値が3つディクリメントされると共に、全ベットランプ32、33、33、34、34が点灯して合計5本のラインa〜eが有効ラインとなる。
【0042】
一方、メダルが2枚貯留されているときに、1枚ベットボタン41や2枚ベットボタン42が押されると先ほどと同様に動作するが、マックスベットボタン43が押されると2枚ベットボタン42が押されたときと同じように動作し、メダルが1枚だけ貯留されているときに、1枚ベットボタン41が押されると先ほどと同様に動作するが、2枚ベットボタン42やマックスベットボタン43が押されると1枚ベットボタン41が押されたときと同じように動作する。
【0043】
[リールユニット]
リールユニット60について説明する。
図4に示すように、リールユニット60において左リール61L、中リール61M、右リール61Rは、共通の回動軸X周りに回転可能に設けられており、それぞれ専用のステッピングモータにより、回転駆動されるようになっている。
【0044】
ここで、左リール61L、中リール61M、右リール61Rは同様の構成を有しているため、ここでは左リール61Lの場合を例に挙げてその構成を説明し、中リール61M、右リール61Rについての説明は省略する。
図5は、左リール61Lの分解斜視図である。
【0045】
左リール61Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材70の外周面に、21個の図柄(識別要素)が等間隔で描かれたベルトを巻きつけた周回体である。円筒骨格部材70のボス部71は、円盤状のボス補強板72を介してステッピングモータ79の駆動軸に連結されており、左リール61Lは、ステッピングモータ79により回転駆動されるようになっている。
【0046】
ステッピングモータ79は、筐体本体11(図2)の内部に垂設されるモータプレート73に、ねじ74で固定されており、スロットマシン10のメイン制御基板80から出力される駆動信号(以下、励磁信号または励磁パルスとも表記する)に基づいて、モータドライバ100により駆動されるようになっている。
【0047】
[ステッピングモータ]
図6は、ステッピングモータ79の動作原理を示す接続図であり、図7は、ステッピングモータの駆動系を示す接続図である。
実施の形態では、1−2相励磁方式を採用したハイブリッド(HB)型の2相ステッピングモータが採用されている。
ただし、ステッピングモータは、ハイブリッド型や2相に限らず、4相あるいは5相のステッピングモータなど、種々のステッピングモータを用いるようにしても良い。
【0048】
ハイブリッド型のステッピングモータ79は、周知のように中央に配置されたロータ(回転子)790と、このロータ790の周囲に配された第1ポール793〜第4ポール796と、から構成される。
【0049】
ロータ790は、N極に着磁された手前側ロータ791と、S極に着磁された奥側ロータ792とで構成され、手前側ロータ791の周囲に設けられた歯(小歯)と歯の間に、奥側ロータ792の周囲に設けられた歯が位置するように1/2ピッチだけ相対的にずらされた状態で回転軸に取り付けられている。そして、手前側ロータ791と奥側ロータ792との間には筒状磁石(図示はしない)が取着されている。
【0050】
図6および図7に示すように、第1ポール793と第3ポール795には、それぞれ励磁コイルL0、L2がバイファイラ巻きされており、励磁コイルL0の巻き終わり端と励磁コイルL2の巻き始め端とが結線されて、ここに所定の直流電源+B(例えば+24ボルト)が印加されるようになっている。
同じく、第2ポール794と第4ポール796にも、それぞれ励磁コイルL1、L3がバイファイラ巻きされており、励磁コイルL1の巻き終わり端と励磁コイルL3の巻き始め端とが結線されて、ここに上述した直流電源+Bが印加されるようになっている。
【0051】
ここで、第1の励磁コイルL0に励磁信号を印加して、第1ポール793をS極に励磁すると共に、第3ポール795をN極に例示する相をA相とし、これとは逆に第3の励磁コイルL2に励磁信号を印加して、第1ポール793をN極に励磁すると共に、第3ポール795をS極に励磁する相をA−相とし、さらに第2の励磁コイルL1に励磁信号を印加して、第2ポール794をS極に励磁すると共に、第4ポール796をN極に励磁する相をB相とし、第4の励磁コイルL3に励磁信号を印加して、第2ポール794をN極に励磁すると共に、第4ポール796をS極に励磁する相をB−相と称する。
【0052】
そして、1相励磁駆動方式の場合には、A相、B相、A−相およびB−相に対して順次励磁信号を印加することでロータ790を時計方向(又は反時計方向)に回転駆動することができる。
【0053】
つまり、例えばまずA相に通電すると、S極になった第1ポール793の突起と手前側ロータ791の歯、N極になった第3ポール795の突起と奥側ロータ792の歯がそれぞれ吸引力により向き合い、次にB相に通電すると、S極になった第2ポール794の突起と手前側ロータ791の歯、N極になった第4ポール796の突起と奥側ロータ792の歯がそれぞれ吸引力により向き合い、次にA−相に通電すると、N極になった第1ポール793の突起と奥側ロータ792の歯、S極になった第3ポール795の突起と手前側ロータ791の歯がそれぞれ吸引力により向き合い、次にB−相に通電すると、N極になった第2ポール794の突起と奥側ロータ792の歯、S極になった第4ポール796の突起と手前側ロータ791の歯がそれぞれ吸引力により向き合う。この順序で励磁することにより、ロータ790は図6において時計方向に回転する(1相励磁駆動)。
【0054】
これに対して、この実施の形態では、1相励磁と2相励磁とを交互に行う1−2相励磁駆動が採用されている。1−2相励磁駆動では以下の1)〜8)の励磁シーケンス(励磁順序)に従って励磁が行われる。
【0055】
すなわち、1相のみの励磁が1相励磁であり、2相を同時に例示するのが2相励磁であるから、図8にも示すように1−2相励磁駆動は、
(1)A相に通電し(1相励磁)、
(2)A相とB相の両方に通電し(2相励磁)、以下同様に
(3)B相に通電し、
(4)B相とA−相の両方に通電し、
(5)A−相に通電し、
(6)A−相とB−相の両方に通電し、
(7)B−相に通電し、
(8)B−相とA相の両方に通電し、その後(1)に戻るような駆動方式である。
【0056】
この1−2相励磁駆動を採用することにより、励磁駆動の1ステップあたりのロータ790の角度変化は、約0.714°となっている。
【0057】
ここで、ステッピングモータ79は、504パルスの駆動信号で左リール61Lを1回転させるように設定されており、励磁パルスによってステッピングモータ79を駆動することで、左リール61Lの回動軸X周りの回転位置が制御される。
すなわち、左リール61Lが1回転すると21個の図柄が順々に表示窓31Lから視認可能となるので、表示窓31Lの一番上の位置で視認可能となっている図柄が、左リール61Lの回転により次の図柄に切り替わるまでには、24パルス(=504パルス÷21図柄)が必要とされている。
【0058】
図5に示すように、左リールの回動軸X周りの回転位置は、円筒骨格部材70に取り付けたセンサカットバン76を、モータプレート73に取り付けたリールインデックスセンサ75で検出することで特定できるようになっており、例えば、リールインデックスセンサ75の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31Lから視認可能になっているのかを認識することができるようになっている。また、左リール61Lの回転を停止させる際には、停止時に任意の図柄が表示窓31Lから視認可能となるように、リールインデックスセンサ75の検出信号に基づいて左リール61Lの回転制御を行うことができるようになっている。
【0059】
左リールの回転位置の検出について説明する。
図9は、左リール61Lにおけるセンサカットバン76の位置を示した図であって、左リール61Lの回転方向が反時計回り方向になる側から見た場合を模式的に示した図である。
【0060】
図9に示すように、左リール61Lには、径方向に延びるセンサカットバン76が設けられている。
センサカットバン76は、軸方向から見て扇形状を有しており、図5に示すように、その基端部76bが、左リール61Lと一体化されたボス補強板72にねじ78で固定されている。
【0061】
図9に示すように、センサカットバン76の先端部76aは、略90°屈曲されて回動軸Xの軸方向(図9の紙面に対して垂直方向)に突出しており、左リール61Lの回転軸方向から見た先端部76aの形状は、左リール61Lの回転方向に沿う弧状を成している。
センサカットバン76は、先端部76aが、リールインデックスセンサ75のフォトセンサ(発光素子75aおよび受光素子75b)の間隙を通過できるように位置決めされている。
なお、センサカットバン76は、回動軸X周りの角度範囲が15°に設定されている。
【0062】
前記したように、ステッピングモータ79は、504パルスの駆動信号(励磁パルス)で左リール61Lを1回転させるように設定されており、1パルスの駆動信号に基づく左リール61Lの角度変化(1ステップあたりの角度変化)は、約0.714°となっている。
ここで、駆動信号の出力は、後記するタイマ割込処理のポート出力処理(図13、ステップ214)において実行され、このタイマ割込処理の実行間隔は1.49msecであるので、左リール61Lを1回転させるのに必要な時間は、750.96msec(=1.49msec×504パルス)となる。
【0063】
左リール61Lの外周には、他のリール(中リール61M、右リール61R)と同様に、図柄が描かれたベルトが取り付けられており、このベルトでは、その長辺方向(周方向)に複数個、具体的には21個の図柄が所定間隔で描かれている。
よって、例えば表示窓31Lの一番上に表示されている図柄を次の図柄に切り換えるには、左リール61Lを、24パルス(=504パルス÷21図柄)分回転させる必要がある。
そして、左リール61Lの回転位置が検出された時点(例えばセンサカットバン76(先端部76a)の始端部76sが検出された時点等)からのパルス数により、どの図柄が表示窓31Lから視認可能な状態となっているかを認識できるようになっている。さらに、パルス信号に基づいて左リール61Lの回転を停止させる制御を行うことで、任意の図柄を表示窓31Lから視認可能にした状態で左リール61Lを停止させることができる。
【0064】
各リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)に付された図柄のうち、表示窓31(31L、31M、31R)を介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31(31L、31M、31R)の上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)がすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
【0065】
ここで、各リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)に付される図柄について説明する。図10には、左リール61L、中リール61M、右リール61Rのそれぞれに巻かれるベルトに描かれた図柄配列と、図柄配列の組み合わせと役との関係が示されている。
図10に示すように、各リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)にはそれぞれ21個の図柄が一列に設けられている。各リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)に対応して番号が0〜20まで付されているが、これは説明の便宜上付したものであり、各リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)に実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
【0066】
図柄としては、ビッグボーナスゲームに移行するための第1特別図柄としての「7(超)」図柄(例えば、左リール第6番目)と、レギュラーボーナスゲームに移行するための第2特別図柄としての「7」図柄(例えば、左リール第20番目)がある。
また、リプレイゲームに移行するための第3特別図柄としての「リプレイ」図柄(例えば、左リール第18番目)がある。また、小役の払出が行われる小役図柄としての「スイカ」図柄(例えば、リール第16番目)、「ベル」図柄(例えば、左リール第15番目)、「チェリー」図柄(例えば、左リール第17番目)がある。
そして、図10に示すように、リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)に巻かれるベルトにおいて、各種図柄の数や配置順序は全く異なっている。
【0067】
前記したように、表示パネル30には、各表示窓31L、31M、31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。遊技時には、これら組み合わせラインのうちの少なくとも一本以上が、メダルのベット数に応じて有効ラインとされる。
そして、ストップボタンの操作などによりリール61(61L、61M、61R)が停止した際に、有効ライン上に位置する各リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)の図柄の組み合わせが、図10に示す役の図柄の組み合わせと一致した場合に、予め定められた枚数のメダルの払出処理や、特定遊技状態への移行処理などが実行される。
【0068】
ここで、入賞となった場合の各図柄に関する払出枚数について説明する。
小役図柄に関し、「スイカ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には8枚のメダルが払い出される。「ベル」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には10枚のメダルが払い出される。左リール61Lの「チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合には2枚のメダルが払い出される。この場合、中リール61Mおよび右リール61Rの「チェリー」図柄はメダルの払い出しとは無関係である。
また、「チェリー」図柄に限っては、他の図柄との組合せとは無関係にメダルの払い出しが行われるため、左リール61Lの複数の有効ラインが重なる位置(具体的には上段又は下段)に「チェリー」図柄が停止した場合には、その重なった有効ラインの数を乗算した分だけのメダル払出が行われることとなり、結果として本実施の形態では4枚のメダル払い出しが行われる。
【0069】
また、その他の図柄に関しては、第1特別図柄(ビッグボーナス図柄)の組合せである「7(超)」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合には15枚のメダルが払い出される。第2特別図柄(レギュラーボーナス図柄)の組合せである「7」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にも15枚のメダルが払い出される。
【0070】
さらに、第3特別図柄の組合せである「リプレイ」図柄が有効ライン上に左・中・右と揃った場合にはメダルの払い出しは行われない。
その他の場合、即ち有効ライン上に左リール61Lの「チェリー」図柄が停止せず、また有効ライン上に左・中・右と同一図柄が揃わない場合には、メダルの払い出しは一切行われない。
各ストップボタン46、47、48(図1参照)は、リール61(61L、61M、61R)が回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
【0071】
次に、制御基板収容ボックス51内に配設されているスロットマシン10のメイン制御基板80について説明する。
図11は、スロットマシン10のメイン制御基板80の構成を説明するブロック図である。
【0072】
図11に示すように、メイン制御基板80は、遊技の主な制御処理を行うものであり、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU81と、そのMPU81に接続されると共にセンサ類やスイッチ類などの各種の入出力手段に接続された入出力ポート82が搭載されている。
【0073】
MPU81には、MPU81により実行される制御プログラムや固定値データなどを記憶したROM83と、そのROM83内に記憶される制御プログラムの実行にあたって各種のデータを一時的に記憶するためのメモリであるRAM84と、割込回路、タイマ回路、データ送受信回路、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路85等の各種回路等が内蔵されている。
【0074】
このROM83には、図12〜図22、図27〜図36に示されたフローチャートのプログラムが、制御プログラムの一部として記憶されている。
【0075】
RAM84は、上記したカウンタやフラグなどの他にも、MPU81の内部レジスタの内容やMPU81により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリア、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値、6段階確率の設定値、自動回転処理における停止態様の選択値などが記憶される作業エリア(作業領域)などを備えている。
実施の形態では、RAM84は、スロットマシン10の電源の遮断後においても電源装置56からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM84に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
【0076】
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM84に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM84に記憶される情報に基づいて、スロットマシン10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。
RAM84への書き込みは、タイマ割込処理(図13)によって電源遮断時に実行され、RAM84に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図15参照)において実行される。なお、MPU81のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路56bからの停電発生信号が入力されるように構成されており、その停電発生信号がMPU81へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図12)が即座に実行され、電源断の発生情報がRAM84に記憶される。
【0077】
入出力ポート82には、メダル投入口50(図1参照)から投入されたメダルを検出する投入メダル検出センサ50a、ベットボタン41、42、43(図1参照)の操作を検出するベット操作検出センサ41a、42a、43a、スタートレバー45(図1参照)の操作を検出するレバー操作検出センサ45a、ストップボタン46、47、48(図1参照)の操作を検出するストップ操作検出センサ46a、47a、48a、リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)のセンサカットバン76(図5参照)の通過を検出するリールインデックスセンサ75、クレジット精算ボタン44(図1参照)の操作によるオン/オフの切り換えを検出する切換操作検出センサ44a、ホッパ装置52(図4参照)から払い出されるメダルを検出するメダル払出検出センサ52a、リセットスイッチ123(図4参照)の操作を検出するリセット操作検出センサ123a、設定キー挿入孔124(図4参照)に設定キーが操作されたことを検出する設定キー操作検出センサ124a、などが接続されており、これら各種センサからの信号は、入出力ポート82を介してMPU81に入力される。
【0078】
さらに、入出力ポート82には、後記する自動回転処理の終了時におけるリール61の停止態様を規定する停止態様設定スイッチ125が接続されており、この停止態様設定スイッチ125からの信号は、入出力ポート82を介してMPU81に入力される。
停止態様設定スイッチ125は、メイン制御基板80に設けられており、少なくともその操作子が、メイン制御基板80を封入する制御基板収容ボックス51から露出して、制御基板収容ボックス51を開かなくても、停止態様設定スイッチ125の操作ができるようになっている。
なお、停止態様設定スイッチ125は、メイン制御基板80に必ず設けられている必要はなく、設定キー挿入孔124やリセットスイッチ123のように、例えば電源装置56の電源基板(図示せず)に設けられていても良い。
【0079】
さらに、入出力ポート82には、電源装置56が接続されている。
電源装置56は、電源ボックス内に設けられており、メイン制御基板80の他に、スロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部56aと、電源断の発生を監視する停電監視回路56b等の各種回路を備えている。スロットマシン10の電源オフ後には、電源部56aからRAM84にバックアップ電圧が供給される。
【0080】
停電監視回路56bは、停電等の発生による電源断時(電源スイッチのオフによる電源断を含む)に、メイン制御基板80のNMI端子および入出力ポート82と、サブ制御基板90のNMI端子に、停電発生信号を出力するための回路である。
停電監視回路56bは、電源装置56から出力される最も大きい電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断)の発生と判断して、停電発生信号を出力するように構成されている。停電発生信号の出力に基づいて、メイン制御基板80は、停電の発生を認識し、停電時処理を実行するように構成されている。なお、停電監視回路56bの停電発生信号は、メイン制御基板80のNMI端子に代えて、INT端子に入力されるように構成しても良い。
【0081】
また電源装置56は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。例えば、本実施の形態において30msecの間は、駆動電源が出力されるように構成されている。よって、メイン制御基板80は、停電時処理を正常に実行することができる。また、停電監視回路56bを、電源装置56ではなく、例えばメイン制御基板80に設けるようにしても良い。
【0082】
また電源装置56は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、停電時処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの出力を正常値に維持するように構成されている。例えば、本実施の形態において30msecの間は、駆動電源が出力されるように構成されている。よって、メイン制御基板80は、停電時処理を正常に実行することができる。
【0083】
さらに、入出力ポート82の出力側には、有効ラインを表示するベットランプ32、33、34、クレジット枚数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得枚数表示部37、モータドライバ100、ホッパ装置52、サブ制御基板90、外部集中端子板91などが接続されている。
【0084】
モータドライバ100は、メイン制御基板80から入力される励磁データに基づいて、リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)を回転させるステッピングモータ79を制御する。
ここで、励磁データは、RAM84に格納されており、後述するタイマ割込処理(図13)のステッピングモータ制御処理(ステップ206)において、MPU81からの指令に基づいて入出力ポート82(図11参照)に、適切な励磁データが出力されることになる。この励磁データによってステッピングモータ79に対する励磁相が定まり、その励磁相に対して励磁信号(電流)が通電される。
【0085】
サブ制御基板90は、メイン制御基板80から送信されるコマンドを受信して遊技以外の補助的な制御処理を行うものであり、メイン制御基板80と別個に設けられている。
サブ制御基板90は、上部ランプ13の点灯・点滅制御、スピーカ14からの報知音などの出力制御、表示用制御基板(図示せず)を制御して液晶ディスプレイ15上に演出表示等を行うように構成されている。
【0086】
外部集中端子板91は、複数の端子(図示せず)を有しており、メイン制御基板80と、スロットマシンの状態を監視するホールコンピュータ(図示せず)とが、外部集中端子板91の各端子を介して接続できるように構成されている。
【0087】
外部集中端子板91における図示されない端子は、フォトカプラによって構成されており、フォトカプラの一次側である発光ダイオードがスロットマシン10のメイン制御基板80に接続されており、二次側である受光素子(フォトトランジスタ)がホールコンピュータに接続されている。
【0088】
よって、この外部集中端子板91を介して行われるスロットマシン10とホールコンピュータとの間における通信は、端子を構成するフォトカプラの一次側に接続されたスロットマシン10から、フォトカプラの二次側に接続されたホールコンピュータへの一方向通信となっており、ホールコンピュータからスロットマシン10側への不正な電気信号(パルス信号など)の伝送が防止されるようになっている。
【0089】
次に、図12〜図22、図27〜図36に示すフローチャートを参照して、メイン制御基板80で行われる各処理について説明する。
実施の形態では、メイン制御基板80で行われる処理として、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的(本実施の形態では、1.49ms周期)に起動されるタイマ割込処理と、NMI端子への停電発生信号の入力により起動されるNMI割込処理が設定されている。
以下の説明では、便宜上、NMI割込処理とタイマ割込処理について説明し、その後にメイン処理について説明する。
【0090】
[NMI割込処理]
図12は、NMI割込み処理の一例を示すフローチャートである。
停電の発生等により電源が遮断されると、停電監視回路56bからメイン制御基板80のMPU81に停電発生信号が入力される。MPU81は、NMI端子を介して停電発生信号が入力されると、NMI割込処理を即座に実行する。
なお、前記したようにメイン制御基板80においてNMI端子に代えてINT端子を設ける構成とした場合には、停電監視回路56bの停電発生信号はINT端子を介して入力される。
【0091】
NMI割込処理では、ステップ101において、MPU81内に設けられた使用レジスタのデータをRAM84内に設けられたスタックエリアへ退避させる処理(レジスタ退避処理)が実行される。
ステップ102において、停電フラグをセットして、RAM84内に設けられた所定のワークエリアに、停電発生情報を設定する。
ステップ103において、スタックエリアへ退避させたデータを、MPU81に搭載の使用レジスタに復帰させる処理(レジスタ復帰処理)を実行して、本ルーチンの処理を終了する。
なお、使用レジスタのデータを破壊せずに停電フラグをセット処理可能な場合には、レジスタ退避処理とレジスタ復帰処理を省略することができる。
【0092】
[タイマ割込処理]
図13は、メイン制御基板80で定期的(本実施の形態では1.490ms毎)に実行されるタイマ割込処理のフローチャートである。
【0093】
ステップ201のレジスタ退避処理では、通常遊技処理(図16参照)で使用しているMPU81内の全レジスタの値を、RAM84のスタックエリアへ退避させる。
ステップ202では、停電フラグがセットされているか否かを確認し、セットされている場合には、図14の停電時処理が実行され(ステップ203)、セットされていないときには、停電時処理は実行されずに、スキップされる。
そして、ステップ204以降の処理が順次実行される。
【0094】
ステップ204において、誤動作の発生を監視するウォッチドッグタイマの値を初期化(クリア)するウォッチドッグタイマクリア処理が実行される。
ステップ205において、MPU81自身に対して割込許可を出す割込終了宣言処理が実行される。
【0095】
ステップ206において、リールユニット60の各リール61(61L、61M、61R)を回転させるステッピングモータ79の駆動処理(ステッピングモータ制御処理)が実行される。
なお、ステッピングモータ制御処理では、ステッピングモータ79を駆動させる駆動信号(励磁データ)が出力されるが、この処理の詳細は、図27〜図33のフローチャートを用いて後で説明する。
【0096】
ステップ207において、入出力ポート82に接続された各種スイッチやベットボタン41〜49の状態を読み込むスイッチ状態読込処理が実行される。
【0097】
ステップ208において、入出力ポート82に接続された各種センサの状態を監視するセンサ監視処理が実行される。
ステップ209において、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ減算処理が実行される。
【0098】
ステップ210において、メダル投入口50から投入されたメダルの枚数、遊技においてベットされたメダルの枚数(ベット枚数)、そしてスロットマシン10から払い出されたメダルの枚数(払い出し枚数)をカウント(計数)するIN・OUTカウンタ処理が実行される。
ステップ211において、サブ制御基板90などにコマンドを送信するコマンド出力処理が実行される。
【0099】
ステップ212において、クレジット枚数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得枚数表示部37の各々に表示されるセグメントデータの設定処理(セグメントデータ設定処理)が実行される。
ステップ213において、設定されたセグメントデータを、クレジット枚数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得枚数表示部37に出力して、数字や記号などの文字情報を表示させる処理(セグメントデータ表示処理)が実行される。
ステップ214において、出力データ(コマンドデータ、励磁データなど)を入出力ポート82から出力させるポート出力処理が実行される。
【0100】
ステップ215において、スタックエリアへ退避させた各レジスタの値を、MPU81内の対応するレジスタに復帰させる処理(レジスタ復帰処理)が実行される。
ステップ216において、その後のタイマ割込を許可する割込許可処理を行って、一連のタイマ割込処理を終了する。
【0101】
[停電時処理]
図14は、メイン制御基板80で実行される停電時処理のフローチャートである。
停電時処理は、前記したように、タイマ割込処理の中(図13、ステップ203)で実行される。
【0102】
この停電時処理は、タイマ割込処理のレジスタ退避処理(ステップ201)の直後に実行されるので、その他の割り込み処理を中断することなく実行できる。
そのため、復電コマンドなどの送信処理中、スイッチの状態(オンオフ)の読み込み途中、カウンタの内容を更新中のように、それぞれの処理の途中に割り込んでこの停電時処理が実行されることはない。すなわち、イレギュラーなタイミングで停電時処理が実行されないので、イレギュラーなタイミングに実行されることをも考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がなくなる。これによって、停電時処理用の処理プログラムを簡略化してプログラム容量を削減できる。復電処理も同様である。
【0103】
また、停電時処理の実行後にタイマ割込処理に復帰(リターン)することもあるが、レジスタ退避処理の直後に停電時処理が実行されるので、この停電時処理の中で上述したレジスタ退避処理やその復帰処理を行う必要がない。その分だけ、停電時処理用の処理プログラムが簡略化されて、プログラム容量を削減できる。
【0104】
停電時処理では、ステップ301において、コマンド送信中であるか否かを、通常のコマンドを取り扱うコマンドカウンタ(図示せず)の値が奇数か否かに基づいて確認する。コマンド送信中である場合(ステップ301においてYes)、停電時処理を終了して、タイマ割込処理(図13)にリターンする。
【0105】
コマンドデータは1バイト単位で送信されるので、1つのコマンド送信は2回のタイマ割り込みで完了する。コマンドをバッファリングするときに使用されるコマンドカウンタの値が奇数であるときには、コマンドデータのうち2バイト目のコマンドデータの送信が完了していないことになるので、この場合にはコマンド送信中であると判断されて、タイマ割り込み処理にリターンし、停電時処理は実行されない。
【0106】
なお、未送信となっているこの2バイト目のコマンドデータは、リターン後に実行される次のタイマ割込処理中に発生するコマンド出力処理(図13、ステップ211)の中で送信処理されるから、その次のタイマ割込処理タイミングになると、このコマンドの送信処理は完了していることになる。
【0107】
このように停電時処理の最初に、コマンドの送信が完了しているか否かを判断し、送信が未完であるときには送信処理を優先し、単位コマンドの送信処理が終了してから停電時処理を実行すれば、コマンドの送信途中で停電時処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムや復電処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果停電時処理プログラムを簡略化してプログラムメモリ(ROM83)の小容量化を図れる。
【0108】
ここで、単位コマンドの送信を完了するには2回のタイマ割込処理の実行が必要なので、少なくとも3回以上タイマ割込処理を実行でき、しかも停電時処理の後記するステップ301以降のステップ308までの処理を実行するに十分な時間の間は、制御系の駆動電圧として使用される安定化電圧(5ボルト)の出力が保持される必要がある。
【0109】
実施の形態では、タイマ割込処理の周期が1.49msecであるので、停電が発生してから(1.49msec×3回=4.47msec)+α以上、例えば30msecの間、電源装置56の電源部56aから駆動電圧が出力され続けるようになっている。
よって、メイン制御基板80は、コマンドの送信途中に停電が発生しても、停電時処理を正常に実行することができる。
【0110】
ステップ301においてコマンド送信中でない場合、ステップ302以降の中断処理が実行される。
ステップ302では、MPU81のスタックポインタの値を、RAM84内のスタックポインタ保存用メモリ領域84bに保存し、ステップ303において、チェックサム補正値用メモリ領域84aの値をクリア(=0)にすると共に、ステップ304において、入出力ポート82における出力ポートの出力状態をクリアして、全てのアクチュエータ(図11において図示されていない)をオフ状態にする。
【0111】
ステップ305において、RAM84の全ての値を加算してチェックサムを算出し、ステップ306において、算出したチェックサムより2の補数を求めて、これをチェックサム補正値として新たにチェックサム補正値用メモリ領域84aに書き込む。
この算出処理によって得られた補正値を使用することで、RAM84のチェックサムはゼロになる。RAM84のチェックサムをゼロにすることで、それ以後のRAM84への書き込みが禁止される(ステップ307)。
【0112】
ステップ308において、停電発生信号が未だに入力されているか否かを確認する。
このステップ308の処理は、制御系の駆動電圧が安定化電圧(5ボルト)以下になるまで繰り返され、その間は無限ループ処理となる。
【0113】
ステップ308において、制御系の駆動電圧が安定化電圧(5ボルト)以下になる前に停電発生信号の入力がなくなると、この場合には停電状態が復旧したことになるので、ステップ309においてRAM84への書き込みを許可すると共に、ステップ310において、停電フラグをリセットしたのち、タイマ割込処理(図13)にリターンする。
【0114】
この停電時処理は、タイマ割込処理のレジスタ退避処理(図13、ステップ201)の直後にされるので、MPU81に設けられた複数のレジスタからの退避処理を行わない。よって、リターン命令を実行するときもこれらレジスタへの復帰処理は不要であるので、停電時処理プログラムの小容量化を達成できる。
【0115】
停電発生信号のチェックは停電時処理の実行中のみならず、その実行後でも駆動電圧が安定化電圧(5ボルト)以下になるまで行っているので、例えばノイズなどに起因して停電フラグが誤ってセットされてしまったような場合でも、制御を無限ループに突入させることなく、正常に復帰させることができる。
【0116】
[メイン処理]
図15は、電源投入時にメイン制御基板80で実行されるメイン処理のフローチャートである。電源スイッチがオン操作されてスロットマシン10の電源が投入されると(停電からの復旧による電源入を含む)、この処理が実行される。
まず、初期化処理として、スタックポインタの値を設定し(ステップ401)、割込モードを設定し(ステップ402)、そしてCTC・内蔵レジスタの設定処理を行う(ステップ403)。
【0117】
初期化処理が終了すると、ステップ404において、リセットスイッチ123(図4参照)がオン操作されているか否かが確認される。
オン操作されている場合には、ステップ405においてRAMクリア処理が実行されて、RAM84に書き込まれたデータが全てクリア(0クリア)される。
【0118】
ステップ404においてリセットスイッチ123がオン操作されていない場合には、ステップステップ406において、設定キースイッチ122(図4参照)のオン/オフ状態が確認される。
【0119】
ステップ406においてオン状態である場合には、ステップ407において、RAMクリア処理が実行されて、RAM84に書き込まれたデータが全てクリア(0クリア)され、ステップ408において、設定キースイッチ122の操作位置に対応した6段階確率設定処理が実行される。この6段階確率設定処理の詳細は後で説明をする。
【0120】
ステップ406において設定キースイッチ122がオン状態でない、すなわちオフ状態である場合、ステップ409において、停電フラグがセットされているか否かが確認される。
RAMクリア処理(ステップ405、407)が実行されている場合には、RAM84内のバックアップデータがクリアされており、停電フラグはリセットされている。
よって、停電フラグがセットされていない(リセットされている)場合には、後記する通常遊技処理(ステップ410)に移行し、これによりスロットマシン10において通常遊技処理が繰り返し実行される。
【0121】
ステップ409において、停電フラグがセットされている場合には、ステップ411以降の復電処理に移行する。
ここで、停電フラグがセットされた状態である場合には、RAMクリア処理(ステップ405、407)が実行されておらず、RAM74内のデータは全く書き替えられていないことになるので、復電処理では、RAM84のデータなどが正常であるか否かの確認を行っている。
【0122】
復電処理では、ステップ411において、RAM84のチェックサムの値を調べて、その値が正常であるか否かを確認する。
具体的には、チェックサム補正値を加味したチェックサムの値がゼロであれば正常であると判断する。
これは、前記した停電時処理(図14)においてRAM84にバックアップデータを書き込む際に、RAM84のチェックサムの値がゼロになるようにその補正値が設定されており、チェックサム値がゼロであると、RAM84へのバックアップ処理は正常に行われたことになるからである。
【0123】
ステップ411においてチェックサム値が正常でない、すなわちチェックサムの値がゼロでない場合、RAM84へのバックアップ処理中にデータが破壊された可能性が高いことになるので、ステップ412〜ステップ414の動作禁止処理が実行される。
具体的には、ステップ412において、次回のタイマ割込処理を禁止し、ステップ413において、入出力ポート82内の全ての出力ポートをクリアして、入出力ポート82に接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御し、ステップ317において、エラー表示処理を実行して、バックアップエラーの発生を報知したのち、無限ループに入る。
【0124】
ステップ411においてチェックサム値が正常であると判定された場合には、ステップ415において、RAM84のバックアップエリアに保存されたスタックポインタの値を、MPU81のスタックポインタに書き込んで、スタックの状態を電源が切断される前の状態に復帰させる処理(スタックポインタ復帰処理)が実行される。
【0125】
そステップ416において、復電処理時に使用するコマンド(復電コマンド)が設定されて、RAM84に保存される。
ステップ417において、遊技状態として打ち止め、自動精算設定処理が実行されて、ステップ418において、スイッチ状態の初期化などが実行される。
【0126】
そして、ステップ419において停電フラグをリセットして、停電発生情報を初期化したのち、電源断前の番地に復帰する。具体的には、タイマ割込処理(図13)に復帰して、ウォッチドッグタイマクリア処理(ステップ204)が実行される。
【0127】
[通常遊技処理]
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常遊技処理について図16のフローチャートに基づき説明する。
【0128】
メダルがベットされたのちに、スタートレバー45が操作されると(ステップ501、ステップ502においてYes)、ステップ503の抽選処理と、ステップ504のリール制御処理と、ステップ505のメダル払出処理と、ステップ506の特別遊技状態処理と、が順番に実行されたのち、ステップ501の処理にリターンする。
【0129】
なお、ステップ501においてメダルがベットされていない場合、ステップ501においてメダルがベットされた場合であってもステップ502においてスタートレバー45が操作されていない場合には、ステップ501の処理にリターンするようになっており、メダルのベットとスタートレバー45の操作が行われるまで、ステップ501とステップ502の判断処理が繰り返し実行されることになる。
【0130】
[抽選処理]
ステップ503の抽選処理について、図17のフローチャートに基づき説明する。
【0131】
ステップ601では、スロットマシン10の現在の設定状態やベットされたメダルの枚数、小役確率の高低等に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する。
ここで、スロットマシン10の設定状態は図示しない設定キーを用いてセットされた「設定1」〜「設定6」の何れかであり、「設定1」のときに役の当選確率が最も低い乱数テーブルが選択され、「設定6」のときに役の当選確率が最も高い乱数テーブルが選択される。
また、ベットされたメダルの枚数は1〜3枚の何れかであり、ベット枚数が多いほど役の当選確率が高くなるような乱数テーブルが選択される。例えば3枚ベットされたときの役の当選確率は、1枚ベットされたときの役の当選確率と比べて3倍以上高い確率となっている。
さらに、小役確率については高低2種類存在し、現在のメダルの払出率(出玉率)が所定の期待値を下回っているときには小役当選確率が高い乱数テーブルが選択され、所定の期待値を上回っているときには小役当選確率が低い乱数テーブルが選択される。
【0132】
ステップ602では、このようにして選択された乱数テーブルに、スタートレバー45が操作されたときに乱数カウンタよりラッチした乱数を照らして役の抽選を実行する。そして、ステップ603において、予め設定されている複数の入賞役のうちの何れかに当選したか否かを確認し、何れの入賞役にも当選していない場合には、そのまま処理を終了する。
【0133】
何れかの入賞役に当選した場合には、ステップ604において、当選した入賞役のフラグ(当選フラグ)をセットすると共に、図柄を揃えるべき有効ラインを決定する。よって、当選した入賞役がBB(ビッグボーナス)である場合には、BB当選フラグがセットされる。
【0134】
ステップ605において、リール停止制御用のスベリテーブルを決定し、これをRAM84のスベリテーブル格納エリアに格納する。
ここで、スベリテーブルとは、ストップボタン46〜48が押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止させるべき図柄とが異なる場合に、その停止させるべき図柄が所定の有効ライン上で止まるようにリールをどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。
【0135】
この抽選処理が終了すると、図16の通常遊技処理において、リール制御処理(ステップ504)が実行される。
【0136】
[リール制御処理]
次に、通常処理のリール制御処理(図16、ステップ504)を、図18のフローチャートを参照して説明する。
【0137】
リール制御処理では、始めにステップ701においてウエイト処理が実行される。このウエイト処理は、前回のゲームにおいてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過するまでの間、今回のゲームにおいてリールの回転を開始せずに待機する処理である。
このため、遊技者がメダルをベットしてスタートレバー45を操作したとしても、直ちに各リール61(61L、61M、61R)が回転しないことがある。
【0138】
ステップ701のウエイト処理が実行されると、ステップ702のリール回転処理が実行されて、各リール61(61L、61M、61R)が回転する。なお、リール回転処理は後で詳細に説明する。
【0139】
ステップ703において、ストップボタン46〜48の何れかが押下操作されてリール61L〜61Rの停止指令が発生したか否かを確認する。停止指令が発生していない場合には、ステップ704において、予め定められた各リール61(61L、61M、61R)の最大回転時間(例えば40秒)が経過したか否かを確認する。
最大回転時間が経過していない場合にはステップ703の処理にリターンし、最大回転時間を経過している場合には、ステップ705において、回転中の全てのリール61(61L、61M、61R)を強制的に停止させる強制停止処理が実行される。
【0140】
ステップ703において停止指令が発生している場合には、ステップ706においてリール停止処理を行う。
このリール停止処理では、押下操作されたストップボタン46〜48に対応するリール61(61L、61M、61R)を、ストップボタン46〜48の操作タイミングに応じて停止させるための設定処理が行われる。
【0141】
ここで、リール停止処理を、図19のフローチャートを参照して説明する。
図19は、リール制御処理(図18)におけるリール停止処理(ステップ706)の詳細を示すフローチャートである。
【0142】
リール停止処理は、リール制御処理(図18)のステップ703において、何れかのストップボタン46〜48が操作されたことが、ストップ操作検出センサ46a〜48a(図11参照)の出力信号から検出された場合に実行される。
【0143】
始めに、ステップ801において、停止処理を実行するリール61を特定する。
実施の形態では、何れかのストップボタン46〜48が操作されると、操作されたストップボタンのフラグがセットされる。よって、セットされているフラグに対応するリール61が、停止処理を実行するリールであると特定される。
【0144】
ステップ801において停止処理を実行するリールが特定されると、ステップ802において、ストップボタン46〜48が操作された時点におけるリール61の回転位置(現在位置)を特定する。
具体的には、RAM84に記憶された図柄番号84jと図柄オフセット値84iの値に基づいて、リール61の回転位置を特定できる。
【0145】
ステップ803において、リール61の停止時に表示させる図柄として決定された図柄(停止予定図柄)の位置を特定する。
ここで、リールの停止時に表示される図柄は、通常遊技処理の抽選処理(図16、ステップ503)の結果、何れかの役(入賞役、小役)に当選している場合には、当選している役に応じて決まる図柄となるので、当選している役に応じて決まる図柄の位置が特定される。
【0146】
例えば、左リールの下段の有効ライン上に図柄「ベル」を停止させる役に当選している場合、ストップボタン46が操作された時点で下段の有効ライン上に位置していた図柄から、左リールの回転方向において最も近い位置にある「ベル」の位置を図柄番号で特定する。
また、図10の左リールにおいて、図柄番号3の「チェリー」が下段の有効ライン上に位置している時にストップボタン46が操作された場合には、図柄番号5の「ベル」が最も近い位置にあるので、図柄番号5が、停止予定図柄の位置として特定される。
【0147】
この際、RAM84に記憶されたスベリテーブル84cを参照して、当選した役の図柄が有効ライン上で止まるように、リール61の停止が可能な限り制御される。
例えば、下段の水平ラインc(下段の有効ライン)上に「スイカ」図柄が並ぶという役に当選し、「スイカ」図柄が上段の水平ラインa上に停止するタイミングでストップボタンが押下操作された場合には、下段の有効ラインcに「スイカ」図柄が停止するように、図柄2つ分だけ滑らせてからリールを停止させる。すなわち、リールを多く回転させてから停止させる。
ただし、滑らせることのできる範囲は予め決められている(例えば最大で図柄4つ分)ため、ストップボタンの押下操作のタイミングによっては、下段の有効ラインc上に「スイカ」図柄が停止しないこともある。
なお、前記した強制停止処理(図18、ステップ705)においても、当選フラグがセットされている場合にはこれと同様の処理を行うようにしても良い。
【0148】
一方、抽選処理(図16、ステップ503)において何れの役にも当選していない場合には、最終的に総てのリール61が停止した時点で、何れの役も成立させない図柄の位置が特定される。
【0149】
ステップ803において停止予定図柄が決定されると、ステップ804において、ストップボタン46が操作された時点から、停止予定図柄を有効ライン上に位置させた状態でリールを停止させるまでに要するステップ数(Nstep)を特定する。
例えば左リールの下段の有効ラインに停止させる図柄(停止予定図柄)が図柄番号2の「ベル」であり、ストップボタン46を押下操作したときに下段の有効ライン上に位置していた図柄が図柄番号20の「7」であって、図柄番号20の図柄オフセット値が「0」である場合には、ちょうど3図柄分離れていることになる。
ここで、実施の形態では、前記したように、図柄を1図柄分滑らせるためには24ステップが必要なので、3図柄滑らすためには72ステップ(=3×24ステップ)が必要になる。よって、「72」が停止予定図柄位置までの距離(ステップ数)Nstepとして特定される。
【0150】
そして、停止予定図柄位置間での距離が特定されると、ステップ805において、停止予定図柄までのステップ数を示す残りステップ数カウンタ84kの値に「72」がセットされる。
【0151】
続いて、ステップ707では今回の停止指令が第1停止指令であるか否かを確認する。ここで、第1停止指令は、3つのリール61(61L、61M、61R)の全てが回転しているときにストップボタンが押下操作された時に出力される指令である。
ステップ707において停止指令が第1停止指令である場合には、ステップ708において、スベリテーブル変更処理を実行する。
【0152】
このスベリテーブル変更処理では、例えば当選した役の図柄を有効ライン上に停止させる場合に、役の複合が発生するか否かを確認し、役の複合が発生しない場合には、そのまま次のステップに移行し、役の複合が発生する場合には、有効ラインを別の有効ラインに変更すると共に、変更後の有効ライン用のスベリテーブルに変更した後に、次のステップに移行する。
ここで、役の複合とは、例えば上段の水平ラインa上で「スイカ」図柄を揃えようとしたときに左リールにて「チェリー」図柄が下段の水平ラインc上に現れる場合のように複数の役が同時に発生する場合をいう。なお、スベリテーブル変更処理は役の複合を回避するとき以外にも行われることがある。
【0153】
ステップ707において、停止指令が第1停止指令でない場合には、ステップ709において、第2停止指令であるか否かを確認する。
ここで、第2停止指令は、3つのリールのうち1つのリールが停止し、2つのリールが回転しているときにストップボタンが押下操作されたときに出力される指令である。
【0154】
ステップ709において停止指令が第2停止指令である場合には、ステップ710において、停止目判定処理を実行する。
この停止目判定処理では、2つの目のリールが停止したのち、停止している2つのリールの同一の有効ライン上に位置する図柄が、図柄「7」などの同一のボーナス図柄であるか否かを確認する。そして、ボーナス図柄でない場合にはそのまま次のステップに移行し、ボーナス図柄である場合には、最後に停止させるリールのボーナス図柄が有効ライン上に停止するとボーナスへの入賞が確定することを遊技者に報知するために、例えばスピーカ14から効果音等を発生させるなどの報知処理を実行したのちに、次のステップに移行する。
なお、停止目判定処理ではボーナス図柄が2つ揃う以外の別の条件が成立したか否かを判定してもよいし、効果音以外に液晶ディスプレイ15を用いた演出を行ってもよい。
【0155】
そして、ステップ705の強制停止処理、ステップ708のスベリテーブル変更処理、
またはステップ710の停止目判定処理に続いて、若しくはステップ709において停止指令が第2停止指令でない場合には、ステップ711において、総てのリール61(61L、61M、61R)が停止したか否かを確認する。
総てのリール61が停止していない場合には、ステップ703の処理にリターンし、総てのリール61が停止している場合には、ステップ712において払出判定処理を実行したのち、処理を終了する。
【0156】
払出判定処理では、役の図柄が有効ライン上に並んでいるか否かを確認し、有効ライン上に並んでいない場合には、RAM84の払出予定枚数カウンタ84dの値に「0」をセットし、有効ライン上に並んでいる場合には、その図柄が、抽選処理(図16、ステップ503)において当選していた役の図柄と一致しているか否かを確認する。
そして、一致していない場合には、上部ランプ13等によりエラー表示を行うと共に、払出予定枚数カウンタ84dの値に「0」をセットする。
一方、一致している場合には、有効ライン上に並んだ図柄の役に対応する払出枚数を、払出予定枚数カウンタ84dの値にセットする。
図10に示すように、有効ライン上に3つのベル図柄が揃った場合には、払出予定枚数カウンタ84dの値に「10」がセットされる。
【0157】
このリール制御処理が終了すると、図16の通常遊技処理において、メダル払出処理(ステップ505)が実行される。
【0158】
[メダル払出処理]
メダル払出処理の詳細を、図20のフローチャートを参照して説明する。
このメダル払出処理では、ステップ1201において、遊技機から払い出されるメダルの予定枚数(払出予定枚数)と、払い出されたメダルの枚数(払出枚数)とが一致しているか否かが確認される。
ここで、払出枚数は、RAM84の払出枚数カウンタ84eの値により特定され、払出予定枚数は、RAM84の払出予定枚数カウンタ84dの値により特定される。
【0159】
ステップ1201において、払出枚数と払出予定枚数とが一致していない場合、ステップ1302において、遊技がクレジットモードで行われているか否かを確認する。
クレジットモードであるか否かは、切換操作検出センサ44aの出力信号に基づいて特定される。
【0160】
クレジットモードである場合には、ステップ1003において、遊技機側で電子的に記憶されているメダルの枚数(クレジット枚数)が、上限枚数(例えば50枚)に達しているか否かが確認される。
【0161】
上限枚数に達していない場合、ステップ1004において、クレジット枚数カウンタの値と、払出枚数カウンタ84eの値が、それぞれ「1」ずつ加算(インクリメント)される。
これにより、表示パネル30のクレジット枚数表示部35と獲得枚数表示部37に表示されているメダルの枚数が、それぞれ「1」ずつ加算されることになる。
【0162】
一方、ステップ1302において遊技がクレジットモードで行われていない場合(ダイレクトモードで行われている場合)、またはステップ1003においてクレジット枚数が上限枚数に達している場合には、ステップ1005において、ホッパ装置52のメダル払出用回転板(図示せず)を駆動して、ホッパ装置52内のメダルの前面扉12のメダル受け皿18への払い出しを実行する。
ここで、ホッパ装置52には、払い出されたメダルの枚数をカウントするためのセンサ(メダル払出検出センサ52a)が設けられているので、メダル払出検出センサ52aから出力されるメダル検出信号に応じて、メダルの払出枚数をカウントする払出枚数カウンタ84eの値が「1」加算される。これにより表示パネル30の獲得枚数表示部37に表示されているメダルの獲得枚数が「1」加算される。
【0163】
ステップ1004またはステップ1006の処理が終了すると、ステップ1201の処理にリターンする。そして、ステップ1201において、払出枚数と払出予定枚数とが一致した場合には、メダル払出処理を終了する。
よって、ホッパ装置52からの払出枚数、またはホッパ装置52からの払出枚数数とクレジット枚数とを加算した枚数が、払出予定枚数と一致するまで、ステップ1302からステップ1004またはステップ1006までの処理が繰り返し実行される。
【0164】
そして、払出枚数と払出予定枚数とが一致すると、ステップ1007においてホッパ装置52のメダル払出用回転板(図示せず)を停止させて、メダル払出処理を終了する。
なお、払出枚数カウンタ84eや払出予定枚数カウンタ84dの値は、次回の遊技の際にスタートレバー45が操作された時点でリセットされるようになっている。
【0165】
このメダル払出処理が終了すると、図16の通常遊技処理において、特別遊技状態処理(ステップ506)が実行される。
【0166】
[特別遊技状態処理]
特別遊技状態処理を、図21のフローチャートを参照して説明する。
ここで、実施の形態では、特別遊技状態の入賞役として、RB(レギュラーボーナス)と、BB(ビッグボーナス)とが設定されている。
図21の特別遊技状態処理では、ステップ1201において、遊技機の遊技状態が特別遊技状態(RB、BB)であるか否かが確認される。
【0167】
ここで、RB(レギュラーボーナス)は、12回のJACゲームで構成される。
JACゲームは、メダルを1枚のみベットできるゲームであり、JAC図柄(ここではリプレイ図柄で代用)が有効ライン上に揃う確率(JAC図柄成立の確率)が非常に高いゲームである。
このJACゲームでは、JAC図柄が有効ライン上に揃う(JAC図柄が成立する)と、最大枚数(例えば15枚)のメダルが払い出される。また、JAC図柄の成立が8回あると、12回のJACゲームが消化される前であっても、RBが終了するようになっている。
【0168】
BB(ビッグボーナス)は、30回の小役ゲームと、3回のJACインとから構成されている。
小役ゲームは、小役成立図柄(例えば「ベル」)が有効ライン上に揃う確率が高いゲームである。
JACインとは、12回のJACゲームに突入することを意味し、小役ゲーム中にJAC図柄が有効ライン上に揃うと、JACゲームが開始されるようになっている。
BBにおけるJACゲームの内容は、前記したRBのJACゲームと同じであり、BB中に最大で3回のJACインが可能となっている。
なお、3回目のJACインによるJACゲームが終了すると、30回の小役ゲームが消化される前であっても、BBが終了するようになっている。
【0169】
ステップ1201において、遊技状態が特別遊技状態でない場合(ボーナスゲーム中でない場合)には、ステップ902において、ボーナス図柄判定処理が実行される。
【0170】
[ボーナス図柄判定処理]
図22は、ボーナス図柄判定処理のフローチャートである。図23は、RBへの入賞が確定した際に、各カウンタに設定される値の初期値を示すテーブル(RB初期値テーブル)である。図24の(a)は、BBへの入賞か確定した際に、各カウンタに設定される値の初期値を示すテーブル(BB初期値テーブル)であり、(b)は、BB中にジャックインした際に、各カウンタに設定される値の初期値を示すテーブル(JACイン初期値テーブル)である。
【0171】
図22に示すボーナス図柄判定処理では、ステップ1201において、RB当選フラグがセットされているか否かを確認される。
前記した通常処理の抽選処理(図16のステップ503)の結果、RBに当選している場合には、RB当選フラグがセットされているからである。
【0172】
RB当選フラグがセットされている場合(ステップ1201においてYes)、ステップ1302において、RBへの入賞が確定したか否かを確認するために、RB図柄(例えば図柄「7」)が有効ライン上に揃っているか否かを確認する。
内部抽選でRBに当選していても、リール61(61L、61M、61R)を停止させた際にRBの入賞図柄が有効ライン上に揃っていないと、RBへの入賞が確定しないからである。
【0173】
ステップ1302において、RBの入賞図柄が有効ライン上に揃っていない場合には、処理を終了する。
一方、有効ライン上に揃っている場合(ステップ1302においてYes)には、ステップ1203において、RB当選フラグのリセット、RBへの入賞が確定したことを示すRB設定フラグのセットが行われたのち、RB中に使用される各カウンタの値に、RB初期値テーブル(図23)に規定された初期値がセットされる。
具体的には、図23に示すように、RBには小役ゲームがないので残り小役ゲームカウンタの値が「0」にセットされ、残JACインカウンタの値が「1」にセットされ、残JAC成立カウンタの値が「8」にセットされ、残JACゲームカウンタの値が「12」にセットされる。
【0174】
ステップ1201においてRB当選フラグがセットされていない場合には、ステップ1204において、BB当選フラグがセットされているか否かが確認される。
前記した通常処理の抽選処理(図16のステップ503)の結果、BBに当選している場合には、BB当選フラグがセットされているからである。
【0175】
BB当選フラグがセットされていない場合には、処理を終了する。
一方、BB当選フラグがセットされている場合(ステップ1204においてYes)には、ステップ1205において、BBへの入賞が確定したか否かを確認するために、BB図柄(例えば図柄「7(超)」)が有効ライン上に揃っているか否かを確認する。
内部抽選でBBに当選していても、リール61(61L、61M、61R)を停止させた際にBBの入賞図柄が有効ライン上に揃っていないと、BBへの入賞が確定しないからである。
【0176】
ステップ1205において、BBの入賞図柄が有効ライン上に揃っていない場合には、処理を終了する。
一方、有効ライン上に揃っている場合(ステップ1205においてYes)には、ステップ1106において、BB当選フラグのリセット、BBへの入賞が確定したことを示すBB設定フラグのセットが行われたのちに、BB中に使用される各カウンタの値に、BB初期値テーブル(図24の(a))に規定された初期値がセットされる。
具体的には、残小役ゲームカウンタの値が「30」にセットされ、残JACインカウンタの値が「3」にセットされる。
【0177】
ここで、RB初期値テーブル(図23)とBB初期値テーブル(図24の(a))に規定されている各カウンタの内容を説明する。
残小役ゲームカウンタは、小役ゲームの残りゲーム数を示し、残JACインカウンタは、JACイン可能な残り回数を示し、残JAC成立カウンタは、JAC図柄が成立可能な残り回数を示し、残JACゲームカウンタは、JACゲームの残りゲーム数を示している。
実施の形態では、これらカウンタの値は、表示パネル30(図1参照)のゲーム数表示部36に適宜表示されるようになっている。
【0178】
ちなみに、前記した通常処理の抽選処理(図16のステップ503)の結果、小役またはリプレイに当選して、小役当選フラグまたはリプレイ当選フラグがセットされている場合には、リール61(61L、61M、61R)を停止させた際に小役またはリプレイの入賞図柄が有効ライン上に揃っていないと、小役当選フラグまたはリプレイ当選フラグはリセットされるようになっている。
一方、RB当選フラグおよびBB当選フラグの場合には、リール61(61L、61M、61R)を停止させた際に入賞図柄が有効ライン上に揃っていない場合であっても、フラグはリセットされずに、セットされたままにされて、次のゲームに持ち越されるようになっている。
【0179】
そして、BB当選フラグまたはRB当選フラグが持ち越しされた次ゲームにおける抽選処理(図16のステップ503)では、小役またはリプレイについての抽選は行われるが、BBまたはRBについての抽選は行われない。また、BB当選フラグまたはRB当選フラグが持ち越されたゲームにおいて、小役またはリプレイに当選した場合には、小役またはリプレイが優先して揃えられるようにスベリテーブルが格納される。
【0180】
図21の特別遊技状態処理の説明に戻って、ステップ1001において特別遊技状態である場合(ボーナスゲーム中である場合)には、ステップ1003において、JACゲーム中であるか否かが確認される。
JACゲーム中でない場合には、BBゲームの小役ゲーム中であることになるので、ステップ1004の処理に移行して、JAC図柄が有効ライン上に揃っているか否かが確認される。
【0181】
JAC図柄が有効ライン上に揃っている場合(ステップ1004においてYes)には、ステップ1005において、BBにおけるJACゲーム中に使用される各カウンタの値に、BB中のJACゲーム用の初期値テーブル(図24の(b))に規定された初期値がセットされて、JACゲームが開始される。
具体的には、残JAC成立カウンタの値が「8」にセットされ、残JACゲームカウンタの値が「12」にセットされる。
【0182】
一方、ステップ1004においてJAC図柄が有効ライン上に揃っていない場合ステップ1004においてNo)には、小役ゲームが1ゲーム消化されたことになるため、ステップ1006にて残小役ゲームカウンタの値を「1」減算(ディクリメント)する。
そして、ステップ1007において、小役ゲームがBBの終了を規定する所定回数実行されたか否かを確認するために、残小役ゲームカウンタの値が「0」であるか否かを確認する。
【0183】
ステップ1007において残小役ゲームカウンタの値が「0」でない場合には、処理を終了し、「0」である場合には、ステップ1008において、特別遊技状態終了処理を実行する。具体的には、各種設定フラグ(例えばBB設定フラグ)のリセットや、各種カウンタ(例えば残小役ゲームカウンタ、図24の(a)参照)の値のゼロクリア、液晶ディスプレイ15に特別遊技状態の終了を告げるための演出画面を表示させるための処理などが、実行される。
【0184】
ステップ1003においてJACゲーム中である場合には、ステップ1009において、JAC図柄が有効ライン上に揃ったか否かを確認する。
揃っている場合には、ステップ1010において、残JAC成立カウンタの値を「1」減算(ディクリメント)したのち、ステップ1011の処理に移行する。
揃っていない場合には、ステップ1010の処理をスキップして、ステップ1011の処理に移行する。
【0185】
ステップ1011では、この時点においてJACゲームが1つ消化されたことになるので、残JACゲームカウンタの値を「1」減算する。
【0186】
ステップ1012において、残JAC成立カウンタと、残JACゲームカウンタのうちの何れかの値が「0」であるか否かを確認する。
残JAC成立カウンタと残JACゲームカウンタの何れも「0」でない場合には、JACゲームが上限回数(12回)消化されていない、JACゲーム図柄の成立が上限回数(8回)に達していないことになるので、そのまま処理を終了する。
【0187】
残JACゲームカウンタが「0」である場合(JACゲームが上限回数(12回)消化された場合)、または残JAC成立カウンタが「0」である場合(JACゲーム図柄の成立回数が上限回数に達した場合)には、ステップ1013において残JACインカウンタの値を「1」減算(ディクリメント)する。
【0188】
そして、ステップ1014において、残JACインカウンタの値が「0」であるか否かを確認し、「0」である場合には、ステップ1008の特別遊技状態終了処理が実行される。
【0189】
ここで、今回の特別遊技状態がRBである場合には、ステップ1008の特別遊技状態終了処理において、遊技機の状態がRB中であることを示すRB設定フラグがリセットされると共に、各種カウンタ(例えば残JACゲームカウンタなど、図23参照)の値のゼロクリア、液晶ディスプレイ15に特別遊技状態の終了を告げるための演出処理を表示させるための処理などが、実行される。
【0190】
ステップ1014において残JACインカウンタの値が「0」でない場合、BBゲームにおいてJACインが3回消化されていないことになるので、ステップ1015においてJACゲーム終了処理が実行されて、JACゲーム設定フラグがリセットされることになる。
また、今回のJACインのときに、小役ゲームを1ゲーム消化していることになるので、ステップ1006において残小役ゲームカウンタの値を「1」減算(ディクリメント)する。
そして、ステップ1007において、小役ゲームがBBの終了を規定する所定回数実行されたか否かを確認するために、残小役ゲームカウンタの値が「0」であるか否かを確認する。
【0191】
ステップ1007において残小役ゲームカウンタの値が「0」である場合には、ステップ1008において、特別遊技状態終了処理を実行する。具体的には、各種設定フラグ(例えばBB設定フラグ)のリセットや、各種カウンタ(例えば残小役ゲームカウンタ、図24の(a)参照)の値のゼロクリア、液晶ディスプレイ15に特別遊技状態の終了を告げるための演出処理を表示させるための処理などが、実行される。
【0192】
一方、ステップ1007において残小役ゲームカウンタの値が「0」でない場合には、BBにおける小役ゲーム数が上限回数(30回)に達しておらず、かつJACインが3回消化されていないことになるので、処理を終了して、次の特別遊技状態におけるゲームが継続されることになる。
【0193】
次に、リールを回転させる場合と、停止させる場合におけるモータ制御処理を説明する。
始めに、スロットマシン10の駆動モータとしてステッピングモータ79を使用する場合に要求される駆動特性を、図25を参照して説明する。
【0194】
この駆動特性は、スタートレバー45が操作されてからステッピングモータ79が回転を始めて一定の定速回転に至るまでの加速期間Taと、定速回転期間とに大別でき、定速回転期間は、ストップボタン46〜48が押下操作されるまで回転速度を維持しつづける維持期間(定速時間)Tbと、ストップボタン46〜48の押下操作に基づいて所定のスベリを伴いながら停止する停止期間Tcとに分けられる。
【0195】
加速期間Taの長さに関する規制は設けられていないのに対して、停止期間Tcはストップボタン46〜48を操作してから最大約190msec以内にステッピングモータ79の励磁相を固定することが要求されている。
【0196】
ここで、ステッピングモータ79は加速状態からできるだけ早く定速回転状態に移行させることが望ましい。そのためにはステッピングモータ79に対する励磁相への割込み(励磁相である1相励磁から2相励磁への切り替え、および2相励磁から1相励磁への切り替えをいう)を早めればよいが、そうすると前記したように脱調や回転の不安定性をもたらす恐れがある。従って、かかる懸念を伴わない範囲で最短の加速処理を実現する最適な割込み処理を行う必要がある。
【0197】
割込処理によって励磁信号を励磁コイルに印加する本実施形態において、励磁相への適切な割込みタイミングを設定する必要がある。このため、まずモータ加速時におけるロータ790の回転揺れが抑えられるまでの間は、同一励磁相により励磁状態を固定する。
【0198】
基本的には、初期励磁(初速ゼロのときの励磁)の状態をある程度まで維持しないと脱調や回転の不安定性が解消しにくいことを考慮する。
これは、初期励磁によって発生する吸引力によって、ロータ790の歯が第1ポール793〜第4ポール796の突起に吸引されるときに発生するロータ790の回転揺れ(往復動を伴った微小振動)の収束程度に係ってくる。
リール61(61L、61M、61R)のイナ−シャーなどによっても相違するが、実験によれば30msecで1往復(サイクル)する揺れが5〜6往復位繰り返してからロータ790が停止した。
従って、回転揺れをなくしながら加速処理を行うには、同一励磁相で固定する時間として、少なくとも初期励磁をしてから150〜180msecの時間が必要になることが判明した。
【0199】
従って、初期励磁相を固定する初期励磁保持期間としてこの時間を超えた時間を設定すればよい。
実施の形態では、MPU81に対するタイマ割込処理が1.49msec毎に実行されているので、初期励磁保持期間を1.49msec×130割り込み=193.7msecに設定した加速テーブル(図26参照)に基づいて、リールの加速制御を実行している。なお、180msecを超えていれば良いので、1.49msec×121割り込み=180.29msecを初期励磁保持期間としても良い。
【0200】
これにより、130割込分の初期励磁保持期間の間は、図8に示す励磁信号用の励磁データ(例えば励磁順2に示す励磁データ09H)(Hはヘキサデジマル表示)が入出力ポート82から連続してモータドライバ100に出力される。
【0201】
加速期間Taのうちで、初期励磁を行う加速期間を第1の加速期間とし、定速回転に至るまでの加速期間を第2の加速期間とすれば、例えば図26に示すように、第2の加速期間では定速回転に至るべく励磁信号の励磁相への割込み処理が頻繁に行われる。
【0202】
ここで、初期励磁の励磁相を1相励磁とするか、2相励磁とするかが問題となる。初期励磁は高トルクでロータ790を回転させる必要があり、初期励磁の励磁相は1相励磁よりもさらに高トルクが得られる2相励磁が好ましい。これは以下に示すような理由による。
【0203】
まずステッピングモータとして1−2相励磁方式を採用したハイブリッド(HB)型の2相ステッピングモータでは、加速時の初期励磁相としては、1相励磁の他に2相励磁が考えられる。
1相励磁は特定の励磁相のみを駆動するもので、この1相励磁によって初速時の回転トルクを得る。これに対して2相励磁は特定の2つの励磁相を同時に駆動するもので、2相励磁によって初速時の回転トルクを得る。リールの大きさやイナーシャーなどによっても相違するが、通常のスロットマシンであれば1相励磁でもリールを初速ゼロから加速させることが可能である。
【0204】
しかしながら、1相励磁の場合には2相励磁と比較して発生する回転トルクが小さいため、十分な初速が得られない可能性がある。十分な初速が得られなければ脱調する可能性が高くなるため、初期励磁は2相励磁が好ましい。また、ストップボタン46〜48の押下操作に基づいてリール61(61L、61M、61R)にブレーキ(制動)をかけてから実際に停止するまでには、所定のステップ角分だけ滑って停止する。滑って停止した際には、この角度のずれ分を吸収しつつ次回の加速処理を行う必要があり、できる限り初期励磁での電磁的吸引力は大きい方が好ましい。2相励磁の場合には1相励磁よりも電磁的吸引力が大きいので、この角度のずれに伴う回転揺れを素早く吸収することができる。以上のことを総合的に勘案すると、初期励磁は1相励磁より2相励磁の方が好ましいことになる。
【0205】
初期励磁を2相励磁に設定した場合で、しかも第2の加速期間内で所定の回転速度まで短時間に到達させるための割込みタイミングとしては、図26に示すようなタイミング例が好適である。また、初期励磁としての2相励磁は、図8に示した励磁順のうち最も早い励磁順2を選択することができる。もちろん、回転停止時の励磁相によっては、異なる励磁順(励磁順4、励磁順6または励磁順8)となる場合もある。1.49msecごとの割込みタイミングに同期して励磁信号を印加してからは130割込み(193.7msec)の間、この励磁状態を保持する。
【0206】
第2の加速期間では、1−2相励磁を交互に繰り返すが、励磁相への割込みタイミング(相励磁の保持期間)として、図26のように1相励磁の励磁保持期間と2相励磁の励磁保持期間とが細かく制御される。この例では、第2の加速期間に入ると、2相励磁に続く1相励磁が8割込み分行われ、その次の2相励磁は7割込み分だけ行われるというように、割込みが漸次短くなるように設定して励磁時間を漸次短縮すると共に、最後には最小の割込み間隔で励磁相が順次切り替わる通常の1−2相励磁となるように設定されている。
【0207】
したがって図26に示すように、第2の加速期間における最後の励磁相が2相励磁であってこれが1割込みであるときには、次の定速回転期間における最初の励磁相は1相励磁であって割込み間隔は1割込みとなる。
このように第2の加速期間での割込み処理タイミングを、定速回転に近づくにつれ順次短くすることで、高速な加速処理を短時間で実現することができると共に、定速回転へのスムーズな移行が可能になる。
なお、図26に示す第2の加速期間は全体の加速期間Taが317.370msecに設定されているときの例であり、全体の加速期間Taがこれとは異なる時間に設定されているときには、その時間に応じて第2の加速期間が選定されると共に図26とは異なる割込み処理が行われることは言うまでもない。
【0208】
図25のステッピングモータ79の駆動特性に関する説明に戻ると、リール61(61L、61M、61R)を停止させる際には、上述したようにスベリ処理(1〜4図柄分の回転処理)とブレーキ処理とを、所定時間ts(=190msec)以内に行う必要がある。
ブレーキ処理を行う際には、2相励磁を行った直後に4相励磁を行う。2相励磁のみにてブレーキ処理を行った場合、強い制動力によって回転速度が急激に低下して回転が乱調する可能性がある。しかし、2相励磁直後に4相励磁を行うことにより、回転を乱調させることなく滑らかにリール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)を停止させることができる。また、1相励磁よりも2相励磁のときの方が回転位置を特定し易いため、2相励磁の直後に4相励磁を行うことで停止位置精度を高めることもできる。
【0209】
ステッピングモータ79を駆動するための駆動信号の生成処理は、MPU81において定期的に実行されるタイマ割込処理(図13)で行われる。
駆動信号としては、ROM83に記憶された励磁テーブル83a(図8参照)の励磁データが利用される。励磁テーブル83aでは、図8に示すように、励磁データの使用される順番(励磁順)が規定されており、励磁データは、励磁順にしたがってモータドライバ100に供給される。
そのため、励磁テーブル83aの励磁データは、タイマ割込みが発生する度に、順番に読み出されて、入出力ポート82の出力ポートに書き込まれる。
この入出力ポート82に書き込まれた励磁データは、即座にモータドライバ100に供給されて、励磁コイルL0〜L3へ通電処理が実行される。
【0210】
ここで、メイン制御基板80において実行されるリールの回転に関わる制御について説明する。
具体的には通常遊技処理のリール制御処理(図16、ステップ504)において実行されるリール回転処理(図18のステップ702)、およびタイマ割込み処理において実行されるステッピングモータ制御処理(図13のステップ206)について説明する。
なお、説明の便宜上、ステッピングモータ制御処理を先に説明し、その後リール回転処理について説明する。
【0211】
[ステッピングモータ制御処理]
図27は、タイマ割込み処理において実行されるステッピングモータ制御処理(図13のステップ206)の詳細を示すフローチャートである。
このステッピングモータ制御処理では、ステップ1201においてステッピングモータ79の制御に関わる初期化処理が終了すると、ステップ1302のモータ制御処理において、ステッピングモータ79の回転制御のための駆動信号(励磁データ)の生成処理が実行され、生成された励磁データは一時的にRAM84に保存される。なお、モータ制御処理では、励磁データの生成処理の他に図柄のオフセット処理や、図柄番号の更新処理などが実行される。
【0212】
回転制御のための駆動信号(励磁データ)の生成処理(RAM84からの励磁データ取得処理)などはそれぞれのリール61(61L、61M、61R)に対して順次実行される。1つのリール61、例えば左リール61Lに対する励磁データの生成処理などはRAM84の作業用エリアに設けられた左リール61L用の回転制御データ(後述する)を使用して行われ、その生成処理などが終了すると、次のリール、例えば中リール61Mに対しての励磁データ生成処理などに遷移する。
従って、ステップ1203では、ソフト的に次の作業用エリアへの遷移処理(アドレス変更処理)を行い、続くステップ1204では全てのリールに対する励磁データの生成処理などが終了したか否かを確認する。全てのリールに対する励磁データの生成処理などが終了していない場合には、ステップ1302に戻り、残りのリールに対する励磁データの生成処理などが行われる。
【0213】
3つのリール61(61L、61M、61R)の全てに対する回転制御処理、つまり励磁データの生成が終了したときには、ステップ1205において、RAM84に保存されているデータのうち各リール61(61L、61M、61R)に対する励磁データが入出力ポート82に出力される。
【0214】
入出力ポート82への出力は、入出力ポート82の対応する出力ポートへのデータ書き込み処理であるから、モータドライバ100には励磁データの入出力ポート82への書き込みと同時に励磁データが供給されたことになる。その結果、ステッピングモータ79は即座に励磁データによって指定された励磁相への通電処理が行われてロータ790に対する励磁処理がなされることとなる。
【0215】
図28および図29は、ステッピングモータ制御処理におけるモータ制御処理(ステップ1302)の具体的な処理例である。
このモータ制御処理では、少なくともウエイトタイマ84f、加速カウンタ84gおよび励磁順ポインタ84h(何れもRAM84を利用したソフトウエア処理)が使用される。
【0216】
ここに、1つのタイマ割り込み期間を単位励磁時間Tとしたとき、ウエイトタイマ84fには同一の励磁モードでの励磁時間(タイマ割り込み数)が設定される。
図26にその一例を示した。第1の加速期間では2相励磁モード(加速順序1)が130単位、つまり130割り込み分だけ連続して実行される。したがって、ウエイトタイマ84fには「130」がセットされる。ちなみに、そのときの総励磁時間は、130×1.49msec=193.7msとなる。タイマ割り込みは1.49msecごとに行われるからである。
同様に、例えば第2の加速期間にあって、加速順序2では1相励磁モードが8単位(=8割り込み=8励磁時間)に亘って連続して実行されるので、ウエイトタイマ84fには「8」がセットされる。
【0217】
加速カウンタ84gは、図26において加速順序を指定するためのものである。図26の場合、加速処理は25ステップの励磁パターン(加速順序1〜25)で構成されている。特定の加速位置を指定するには、図26のように「0」から「24」までのカウンタ値(加速カウンタの値)を指定すればよいので、加速カウンタの初期値は本来「24」あるいは「0」であるが、後述するようにこの実施の形態でのソフトウエアの構成では、加速カウンタに設定される初期値は「25」となされている。
【0218】
図26の加速テーブルの内容はROM83に保存されているので、図26を励磁時間および加速カウンタテーブルと呼称する場合もある。
【0219】
励磁順ポインタ84hは、ステッピングモータ79に対する励磁相を決めるときに使用されるポインタである。1−2相励磁のステッピングモータ79を使用する場合、1相励磁と2相励磁を交互に行うが、そのときの相励磁パターンは、図8の励磁テーブル83aに示すように8パターンとなる。どの相励磁のときにどの励磁データを取得するのか、この励磁順ポインタの値(0〜7)によって指定される。
【0220】
回転開始時の励磁順ポインタ84hの値は、後述するように直前にモータを停止させたときに使用した励磁相が、どのパターンに属する励磁相を使用したかによって相違する。回転中は順次励磁順ポインタの値を更新しながら使用する。
【0221】
続いて、スタートレバー45およびストップボタン46〜48の操作に関連させてモータ制御処理を説明する。以下の説明はあくまでも1つのリールを制御するためのステッピングモータ79に対する処理例である。
【0222】
[その1.スタートレバー45の操作前の処理]
スタートレバー45が操作される前のウエイトタイマ84fの値は「0(ゼロ)」であり、加速カウンタ84gの値も「0(ゼロ)」である。
そのため、モータ制御処理がコールされると、まずウエイトタイマ84fの値がゼロであるので(ステップ1301)、ステップ1311に移行して加速カウンタ84gの値をチェックする。加速カウンタ84gの値もゼロであるので、この場合にはステップ1312において出力励磁データは「0(ゼロ)」に設定されて保存される。
その後、図13のタイマ割り込み処理にリターンする。出力励磁データがゼロであるので、スタートレバー45の操作前のモードでは、ステッピングモータ79は回転停止状態となっている。
【0223】
[その2.スタートレバー45が操作されたときの処理]
スタートレバー45の操作は、通常遊技処理(図16のステップ502)において検出される。スタートレバー45の操作が検出されると、後記するリール回転処理において、加速カウンタ84gの値が「25」に設定される。
【0224】
スタートレバー45が操作されてもウエイトタイマ84fの値は依然として「0(ゼロ)」であるから、この場合にもステップ1301を経てステップ1311に移行して、加速カウンタ84gの値を判別する。
スタートレバー45が操作されると、加速カウンタ84gの値に「25」がセットされるので、この場合にはステップ1321で減算処理が実行される。その結果、加速カウンタ84gの値は「0(ゼロ)」でないので(ステップ1322)、ステップ1331において、ウエイトタイマ84fの設定処理が実行される。このステップ1331では、
ステップ1321で減算処理が実行された後の加速カウンタ84gの値に対応した励磁時間の値が、図25の加速テーブルから取得され、取得された励磁時間の値がウエイトタイマ84fにセットされる。
【0225】
ステップ1321での減算処理は、1だけディクリメント(減算)する処理であるから、減算後の加速カウンタの値は「24」となる。この場合には図26のテーブルからも明らかなように、加速カウンタの値「24」に対応した励磁時間(130割り込み)の値(=130)がウエイトタイマ84fにセットされる。これで、第1の加速期間に相当する連続相励磁時間(=130×1.49msec)がセットされたことになる。
【0226】
ウエイトタイマへのセット処理が終了すると、励磁順ポインタ84hの値を「1」だけインクリメントする更新処理が実行される(ステップ1332)。そして、更新処理された励磁順ポインタ84hの値(この例では、「5」)に対応した励磁データを、図8に示す励磁テーブル83aより取得し、その励磁データ(06H)が左リール61L用の出力励磁データとしてRAM84に保存される(ステップ1333)。
保存された励磁データはその他のリール61M、61Rのステッピングモータに対する励磁データを取得した後、図27のステップ1205に示すように入出力ポート82に同時に出力されることになる。
【0227】
ステップ1333の処理が終了すると、図柄オフセットの値が更新(ステップ1334)されると共に、リールの回転位置検出処理(ステップ1335)、リールインデックスセンサ75(図3参照)によるリールの回転検出処理(ステップ1336)などが行われる。
また、ステップ1344およびステップ1345はリール異常処理であって、励磁データを印加したにもかかわらずリールが正常に回転しないようなときの処理である。
またステップ1351以降は、ステッピングモータ79に対する回転停止処理(ブレーキ処理)である。
【0228】
これらの処理は後述するとして、モータ加速処理が正常であれば上記のステップ1344、ステップ1345の処理がスキップされて、図13に示すタイマ割込処理にリターンする。
【0229】
以上のように、スタートレバー45が操作されると、加速カウンタ84gにカウンタ値「25」がセットされ、3つのリール61(61L、61M、61R)のそれぞれに対応するステッピングモータ79に対してモータ始動用の励磁データがそれぞれ供給されることでそれぞれのロータ790が始動する。
そして、次のタイマ割込み時間になると、再びモータ制御処理がコールされる。このときの処理を次に説明する。
【0230】
この場合にはウエイトタイマ84fの値は「130」であるから(ステップ1301)、このときはウエイトタイマ84fの値を1だけ減算する減算処理(ステップ1302)を実行して、タイマ割込処理(図13)のステッピングモータ制御処理(図26)にリターンする。
その結果、加速カウンタ84gや励磁順ポインタ84hの値は、前のタイマ割込み時と同じ値で保持される。つまり、同じ励磁相(この例では2相励磁)によるモータ加速処理が継続される。この同じ励磁相を使用したモータ加速処理は、トータル130割込み分連続して行われ、ウエイトタイマ84fの値は、タイマ割込みの度に減算処理される。この結果、130割込みが行われたときウエイトタイマ84fの値はゼロとなる(ステップ1301)。
【0231】
一方、加速カウンタ84gの値は、この第1の加速期間中全く変化しない。130割込みが終了してウエイトタイマ84fの値が0となることで、今度はステップ1311を介してステップ1321の処理に移行し、このステップ1321の処理において、加速カウンタ84gの値が始めて減算処理される。
そして、1だけ減算された加速カウンタ84gの値「23」に対応した励磁時間(8割り込み)が、図25の加速テーブルから取得され、取得されたこの励磁時間の値(=8)がウエイトタイマ84fにセットされる(ステップ1322、1331)。
同時に、励磁順ポインタ84h(図8参照)の値がインクリメントされて「6」となり(ステップ1332)、この励磁順ポインタ84hの値「6」に対応した励磁データ「02H」(1相励磁)が、出力励磁データとしてRAM84に格納される(ステップ1333)。
その後、他のリール61(中リール61M、右リール61R)についても同様な出力励磁データの取得処理が実行され、全てのリール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)に対して出力励磁データの取得処理が終了した段階で、これら出力励磁データが入出力ポート82にそれぞれ出力されて、第2の加速期間に関する処理が開始される(図27、ステッピングモータ制御処理のステップ1204、1205)。
したがって、図25の加速テーブルから明らかなように、第2の加速期間の最初は1相励磁が8割り込み分だけ連続して行われる。
【0232】
第2の加速期間の最初は、加速順序2に相当する処理である(図26参照)。この加速順序2における加速処理でタイマ割込みが8割込み分終了する(ステップ1301においてYes)と、ステップ1321において加速カウンタ84gの値が更に減算される。
これにより、励磁順ポインタ84hの値が「7」となる励磁データ「03H」が、図8の励磁テーブルより読み出されるので、7割込み分の連続加速処理が2相励磁によって実行される。
【0233】
このように加速カウンタ84gを順次減算処理しながら、励磁順ポインタ84hによって指定された励磁データを順次読み出して、第2の加速期間中における加速処理が実行されるので、加速カウンタ84gの値が最終的に「0(ゼロ)」となる。
加速カウンタ84gの値が「0」になると、この値がステップ1322でチェックされるので、ステップ1323に移行して、今度は加速カウンタ84gの値を「1」にする処理が実行される。
その後、ステップ1331に移行して、ステップ1321で減算したときの加速カウンタ84gの値「0」に対応した励磁時間(1割り込み分)に相当する値(=1)がウエイトタイマ84fにセットされる。
その後、励磁順ポインタ84hが更新されてこの例では「0」のポインタに該当する励磁データ「01H」が図8の励磁テーブルより読み出されて、これが出力励磁データとしてセットされる(ステップ1332、1333)。したがって、ステップ1321での減算処理の結果、加速カウンタの値が「0」になると1回のタイマ割り込み分だけ励磁される。
【0234】
ステップ1321の減算処理の結果、加速カウンタ84gの値が「0」になっても、ステップ1323の処理で、加速カウンタ84gの値に「1」がセットされる。そのため、次のタイマ割り込み処理において、励磁順である加速順序25(図25)の次の処理ステップとしては、ステップ1311を経由してステップ1321に移行して再度加速カウンタ84gの値の減算処理が実行される。
これにより、加速カウンタ84gの値は再び「0」になるから、ステップ1331では、図25の加速順序25に相当する励磁時間(=1)がウエイトタイマ84fにセットされることになる。また、励磁順ポインタ84hはステップ1332の処理で「2」に更新される結果、励磁相が2相励磁に変わると共に1割り込み分だけの励磁処理となる。
【0235】
つまり、加速順序25の次からは、ステップ1321、1323において加速カウンタ84gの値が、「0」、「1」の間で交互に変更されることになり、しかも常に1割り込みによる励磁となるから、ステッピングモータ79は1相励磁と2相励磁を交互に繰り返す回転モードとなる。これは定速処理に他ならず、換言すれば、加速順序25まで励磁処理が進むと、それ以降は定速回転モードに遷移することになる。
【0236】
リール61の回転中(加速中、低速回転中)に実行されるリール回転位置検出処理(図29、ステップ1335)を、左リール61Lの場合を例に挙げて説明する。
モータ制御処理(図28)において、励磁順ポインタ84hの値の更新(ステップ1332)と励磁データの取得(ステップ1333)が実行されると、図柄オフセット値84iの値の更新処理(ステップ1334)と、リール61の回転位置検出処理(ステップ1335)と、が実行される。
【0237】
ステップ1336では、リールの基準位置が所定検出位置(リールインデックスセンサ75)を通過したか否かを確認する。
実施の形態では、センサカットバン76の始端部76s(図9参照)が、基点位置に設定されているので、ステップ1336の処理で基点位置76sが検出された場合には、リールの原点位置が確定したことを意味する。かかる場合、ステップ1337に進み、当該リールの原点位置が所定検出位置を通過するタイミングに合わせて図柄オフセットカウンタおよび図柄番号カウンタの更新処理を実行する。
【0238】
つまり、図柄番号と図柄オフセット値とが、リールの各基点位置に応じて決まる所定値に更新される。
より詳しくは、検出された基点が、センサカットバン76の始端部76s(原点位置)の場合には、図柄番号の値が「0」、図柄オフセットの値が「0」にセットされる。
【0239】
ここで、図柄番号は、図10に示す図柄の番号を連番で示すものであり、トータル21個の図柄が用意されているので、図柄番号は「0」〜「20」の値をとる。
図柄オフセットは、1つの図柄をリール61の回転方向に24等分した値であるから、「0」〜「23」の値をとる。
【0240】
図柄オフセットの値は、図柄オフセットの更新処理(図29、ステップ1334)において、「1」ずつ加算される。
ここで、図柄オフセットの値が24になる(図柄オフセットの値が25回更新される)と、表示窓31に表示されている図柄が1図柄分移動したことになるので、かかる場合には、表示窓31に表示されている図柄を特定するための図柄番号を、更新する必要がある。
【0241】
実施の形態では、ステップ1341において、図柄オフセットの値が最大値(24)未満であるか否かを確認し、図柄オフセットの値が「24」になると(ステップ1341、No)、ステップ1342において、図柄番号が更新されると共に、図柄オフセットの値が、「0」にリセットされる。
【0242】
[再加速処理および異常処理]
前記したように、モータ加速期間では加速カウンタの加減算に応じて図柄オフセットの値が更新され、そして定速回転中は、タイマ割り込み処理が実行されるたびに、図柄オフセットの値が更新される(ステップ1334)。
そして、更新後の図柄オフセットの値が「24」になると、図柄番号が更新されると共に、図柄オフセットの値が「0」にリセットされる(ステップ1341、ステップ1342)。
そして、図柄番号が更新された後はその値がその最大値「21」を超えないで、しかも図柄オフセットが最大値である「24」を超えるまでは、ステップ1341からステップ1344の処理ステップをそれぞれ経由して、図柄番号の更新、図柄オフセット値の更新およびリセット処理が続く。さらにリール61が1回転するごとに図柄番号と図柄オフセットがそれぞれリセットされるようになっている(ステップ1336、1337)。
【0243】
この処理がなされることで、図柄番号を基準にどの図柄が表示窓31を通過しているかが判り、さらに図柄オフセットの値によってその図柄のどの位置が表示窓31に位置しているかを判定することができる。例えば図柄番号「0」、図柄オフセット「0」のときには、表示窓から図柄番号「0」〜「2」の図柄が視認可能となっている。
【0244】
スタートレバー45によってステッピングモータ79が正常に加速し、定速回転に至る正常回転の場合には上述したような状況が再現される。しかし、正常に加速されずに正常回転に至らない場合や、故意にリールを押さえて回転を止めたりすると、以下のような異常回転処理となる。
【0245】
まず、加速処理はリール61が1回転するまでに終了するので、通常の場合には加速処理が行われると、何れリール61の1回転目がリールインデックスセンサ75によって検出されるはずである。しかし、加速処理が異常であると、ステップ1335によってリール61の1回転目が検出されない状態でも、図柄オフセット値と図柄番号の更新処理が進んでしまう(ステップ1334、ステップ1342)。
【0246】
図10から明らかなように図柄番号は「0」〜「20」までであるが、このような異常状態になると、図柄番号がさらに更新されてその値が最大値「21」になっても(ステップ1341、1342)、次の励磁相切り替えタイミングになると、ステップ1321においてカウンタ減算処理が行われてしまう。そうすると、図柄オフセットの値は今まで通りに更新処理される(ステップ1334、1342)。
【0247】
その場合にはステップ1341を経て、ステップ1343において図柄番号の値がチェックされる。図柄番号は「0」から「20」までであるので、その更新最大値「21」を超えたときには異常回転状態とみなすことができる。
その場合でもステッピングモータ79の動作上のばらつきを考慮して、この例では4オフセット以上図柄オフセットが進んだとき(ステップ1344)、始めて異常回転状態と判断して異常処理が行われる(ステップ1345)。この場合には再加速設定処理が行われ、加速カウンタにはその初期値である「25」がセットされ、次のタイマ割り込み期間から再びステップ1311に戻って再加速処理が行われる。
【0248】
ステッピングモータ79には動作上のばらつきがあり、理想的には1回転=504パルスとなるが、場合によっては503パルスあるいは505パルスで1回転することも考えられるので、ステップ1344では余裕をもって4オフセット分を異常検出値に設定してある。
【0249】
また、リールが何らかの原因で回転しなかったとき、例えばリールの回転を故意に押さえてしまっているようなときには、上述したと同じようにステップ1335でリールインデックスセンサ75によってリールの1回転が検出されないまま、図柄オフセット値84iと図柄番号84jが更新され続けることになる。
この場合、図柄番号84jの値が最大値である「21」になったのちの次のタイマ割込処理において、加速カウンタ84gの値の減算または加算処理(ステップ1321、ステップ1322)が実行されたのちに、図柄オフセット値が更新され(ステップ1334)、更新後の図柄オフセット値84iが最大値「24」以下であるときには、ステップ1343において、図柄番号84jが最大値「21」未満であるか否かが確認される。
そして、図柄番号84jが最大値「21」以上となっているときには、異常状態とみなし、さらに、更新された図柄が回転して図柄オフセット値84iが4以上ずれたときには(ステップ1344)、前記した異常処理(ステップ1345)が実行される。そして、この異常処理はリセットスイッチ123が操作されるまで継続される。
【0250】
このステップ1345における異常処理の回数が規定回数(例えば3回)を超えたときには、この異常状態を報知する処理(ホール内に設けられた異常ランプに対する点滅処理、ホール管理者へのブザー報知処理など)を講じることもできる。
【0251】
[その3.ストップボタンが押されたときの処理]
さて、この定速回転モード中にユーザが任意のストップボタン46〜48を押して、リールの回転を止める操作を行うと、ステップ1252以降のリール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)の停止制御処理が実行される。
【0252】
ここで、ブレーキをかけたとしても、リール61(ロータ790)のすべりがあるので3〜4ステップ分滑って停止する。また上記したように、モータ始動時の励磁相としては2相励磁であるのが好ましく、ブレーキは2相励磁直後、つまり1相励磁のタイミングに開始されるように、ストップボタン46〜48の操作タイミングにかかわらず、モータ停止時期(リール停止時期)を把握しておく必要がある。
【0253】
そこで、ステップ1342の図柄番号84jの更新と図柄オフセット値84iのリセット処理に続いて、ステップ1351のようなリールの停止時期を判別する処理ステップを置いている。このステップ1351では現在の出力中の励磁相が2相励磁であり、図柄オフセット値が所定オフセット値を超えない範囲となっているかをそれぞれ判別する。
【0254】
ここで、現在の励磁相が2相励磁であるかどうかは、励磁順ポインタ(図8参照)の値を参照すればよく、所定のオフセット値を超えたかどうかは図柄オフセット値84iを参照すればよい。図柄オフセット値84iを考慮するのは、図柄オフセット値84iが大きくなればなるほど、隣接するリール61の停止時における図柄位置の相対的ずれが大きくなることを意味する。人間の識別力を考慮すると4オフセット以上になると、図柄のずれがはっきり認識できるようになるので、図柄オフセット値が4以下のときにリール停止処理を実行する必要があるからである。
【0255】
したがってこの条件を満たさないときには、図13のタイマ割り込み処理ルーチンに戻るが、ステップ1351のリール停止条件を満たしているときで、しかもストップボタン46〜48の何れかのボタンが押されたときには、ステップ1252において、リール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)の回転を停止させる処理(停止制御処理)が実行される。
【0256】
ステップ1352では、リール61を停止させて停止予定図柄を所定値に停止表示させるタイミングであるか否かを確認するために、残りステップ数が「0」であるか否かを確認する。具体的には、停止予定図柄までのステップ数を示す残りステップ数カウンタ84kの値が「0」であるか否かを確認し、「0」である場合には、残りステップ数が「0」である、すなわちリール61を停止させるタイミングであると判断される。
【0257】
そして、残りステップ数が「0」である場合(ステップ1352においてYes)、ステップ1353において全相励磁停止処理が実行される。
【0258】
この全相励磁停止処理では、ステッピングモータ79の4相が同時励磁されるように設定されたのち、減速ウエイトタイマ84pにブレーキ時間(励磁時間)が設定される。例えば、159割り込み分(=236.91msec)がブレーキ時間に設定されている場合には、減速ウエイトタイマ84pの値に「159」がセットされる。
そして、リール61の定速回転に関与している加速カウンタ84gの値がリセット(=0)される。
【0259】
減速ウエイトタイマ84pにブレーキ時間がセットされると、ブレーキ用の励磁データがブレーキ時間の間(159割り込み分)連続して出力されて、リール61が完全に停止する。
【0260】
そして、次回の回転時に使用する励磁順ポインタに対する調整処理が行われる(ステップ1354)。励磁順ポインタの調整処理はロータ790のすべりを考慮する。上述したようにブレーキ処理時、ロータ790は3〜4相分程度滑ってから停止するのが殆どであるので、例えば図8に示す励磁順ポインタ「0」でブレーキをかけたときには、励磁順ポインタ「4」の位置でロータ790が停止しているものと推定して、この例では励磁相の調整分として「4つの励磁相」分だけ進める。その結果更新後の励磁順ポインタの値は「5」となる。
【0261】
ステップ1354の励磁順ポインタの調整処理が実行されると、タイマ割込処理(図13)にリターンする。
【0262】
一方、ステップ1352において残りステップ数が「0」でない場合、現時点が、リール61を急停止させる前であって、停止予定図柄が所定位置に達するのを待っている状態であることを意味している。
よって、ステップ1355において、全相励磁によるリール61の回転停止の開始タイミングを規定する残りステップ数カウンタ84kの値が「1」減算されたのち、タイマ割込処理(図13)にリターンする。
これにより、残りステップ数カウンタ84kの値が「0」未満になるまでの間は、残りステップ数カウンタ84kの値が、タイマ割込処理(図13)の実行間隔で「1」ずつ減算処理されることになる。
【0263】
ここで、前記したように実施の形態のスロットマシン10では、リール61の回転および停止は、ステッピングモータ79における励磁相の切替えと、切替えタイミングを制御することで実行される。
スタートレバー45が操作されてリール61を回転させる場合には、前回のゲームが終了したときの励磁パターン(どの励磁相に励磁してリール61を停止させたのか)を参照して、リール61の回転を開始するときの励磁パターン(どの励磁相に最初に励磁してリール61を回転させるのか)を決定し、リール61がスムーズに回転し始めるようにしている。
しかし、当選確率の設定変更が行われると、メイン制御基板80(RAM84)に記憶された情報が初期化されるようになっており、この際に、リール61を停止させたときの励磁パターンもまた初期化されてしまう。
【0264】
スロットマシン10では、設定変更が行われたのちに最初にリール61を回転させる場合のように、RAM84が初期化されて前回のゲームが終了したときの励磁パターンが存在しない場合には、予め決められた所定の励磁パターンでリール61の回転を開始するようになっている。
そのため、回転開始時にリールが振動してしまう等して、前回のゲーム終了時の励磁パターンがある場合とはリール61の回転開始時の挙動が異なる(リール61のスムーズな回転開始が損なわれる)ことがある。
そうすると、リール61の回転開始時の挙動が異なることに遊技者が気付き、かかる場合、スロットマシン10において当選確率の設定変更が行われたという本来遊技者に知られたくない情報を遊技者に把握されてしまうことになる。
【0265】
ここで、実施の形態のスロットマシン10では、当選確率の設定変更後に最初に行われる遊技において、リール61が回転するときのリール61の回転挙動から、当選確率の設定変更が行われたことが把握されないようにするため処理が、前記した6段階確率設定処理(図15、ステップ408)で実行されるようになっている。
そこで、以下、6段階確率設定処理(図15、ステップ408)の詳細を、図30のフローチャートを参照して説明する。
【0266】
6段階確率設定処理では、ステップ1501において、RAM84の確率設定記憶領域84lを参照して、現時点におけるスロットマシン10の設定状態(確率設定)を確認する。
前記したように、実施の形態では、スロットマシンの設定状態として、「設定1」〜「設定6」が用意されており、RAM84の確率設定記憶領域84lには、「設定1」〜「設定6」の何れかが、現在の設定値として記憶されている。
よって、ステップ1501では、確率設定記憶領域84lに記憶された現在の設定値が、MPU81により読み込まれることになる。
【0267】
続くステップ1502では、読み込んだ設定値が正常であるか否かを確認するために、設定値が「設定7」未満であるか否かを確認する。
「設定7」未満である場合には、ステップ1504の処理に移行して、設定値の表示処理が実行される。現時点における設定状態を、例えば設定状態を変更しようとしている作業者に報知するためである。
この表示処理により、例えば遊技機のクレジット枚数表示部35に現時点の設定値が表示される。
【0268】
例えば、ステップ1501で読み込んだ設定値が「設定6」である場合、このステップ1504において設定値を表示させる際に生成されたコマンドに従って、前記したタイマ割込処理のセグメントデータ設定処理(図13におけるステップ212)において、クレジット枚数表示部35に設定値が「設定6」であることを表示させるためのセグメントデータが設定される。
そして、セグメントデータ設定処理に続くセグメントデータ表示処理(図13におけるステップ213)において、クレジット枚数表示部35に、設定状態が「設定6」であることを示す数字の「6」が表示される。
【0269】
一方、ステップ1502において読み込んだ設定値が「7」未満でない場合、ステップ1503において、読み込んだ設定値を「1」に変更する。
実施の形態のスロットマシン10では、確率設定として、「設定1」から「設定6」までの6段階が設定されているので、RAM84の確率設定記憶領域84lから読み出される設定値は「1」から「6」の何れかである。
読み込んだ設定値が「7」未満でない場合、すなわち「1」から「6」までの整数の何れかでない場合には、読み出しエラーまたは確率設定記憶領域84lに記憶されたデータの破損が想定されるので、かかる場合には、設定値を「1」に変更するようになっている。
この6段階確率設定処理は、設定状態を変更するための処理であるので、とりあえず設定値を「1」(設定状態を「設定1」)として、以降の設定変更のための処理を行えるようにしている。
【0270】
よって、このステップ1502において設定値が「1」に変更されると、前記したステップ1504の処理により、クレジット枚数表示部35に、設定状態が「設定1」であることを示す数字の「1」が表示されることになる。
【0271】
ステップ1504の設定値の表示処理が実行されると、ステップ1505において、スタートレバー45のオン操作の有無が確認される。
実施の形態では、スタートレバー45をオン操作することで、クレジット枚数表示部35に表示された数字に対応する設定状態が確定されるようになっており、このステップ1505では、操作者による設定状態の確定の有無を確認している。
【0272】
ステップ1505においてスタートレバー45のオン操作がない場合、ステップ1506において、リセットスイッチ123がオン操作されたか否かが確認される。
実施の形態では、リセットスイッチ123をオン操作することで、選択された設定状態と、これに基づきクレジット枚数表示部35に表示されている数字を、希望の設定状態、及びそれに対応する数字に切り替えることができるようになっており、このステップ1506では、操作者による設定状態の選択の有無を確認している。
【0273】
ステップ1506において、リセットスイッチ123のオン操作が確認されない場合には、ステップ1505の処理にリターンする。
これにより、スタートレバー45のオン操作、またはリセットスイッチ123のオン操作が確認されるまでの間、ステップ1505とステップ1506の処理が繰り返し実行される。
【0274】
ステップ1506において、リセットスイッチ123のオン操作が確認された場合には、ステップ1507において、設定値の更新処理が実行される。
実施の形態では、リセットスイッチ123がオン操作されるたびに、設定値が「1」ずつインクリメントされ、設定値が「6」のときにリセットスイッチ123がオン操作されると、設定値が「1」に戻るようになっている。
【0275】
例えば、クレジット枚数表示部35に表示されている数字が「4」であるときに、リセットスイッチ123がオン操作されると、このステップ1507の処理により、設定値が「5」に変更される。
【0276】
ステップ1507の設定値の更新処理が実行されると、ステップ1502の処理にリターンする。よって、例えばステップ1507において設定値が「5」に変更されたのちにステップ1502の処理にリターンすると、ステップ1502の処理が肯定されて、ステップ1504の処理により、クレジット枚数表示部35に数字の「5」が表示されることになる。
【0277】
そして、ステップ1505においてスタートレバー45のオン操作が確認されるまでの間、リセットスイッチ123の操作があるたびに設定値が順番に変更され(ステップ1506、ステップ1507)、変更後の設定値がクレジット枚数表示部35に表示されることになる。
【0278】
そして、スタートレバー45のオン操作が確認されると(ステップ1505においてYes)、ステップ1508の処理に移行して、設定キースイッチ122がオフ位置に切り替えられたか否かが確認される。
実施の形態では、スタートレバー45のオン操作により設定値を確定したのち、設定キースイッチをオフ位置に切り替えることにより、スロットマシン10の状態が、6段階確率設定を実行する状態から、通常の遊技を行う状態に切り替えられるようになっている。
【0279】
設定キースイッチ122がオフ位置に切り替えられると(ステップ1508においてYes)、ステップ1509において、RAM84の確率設定記憶領域84lに記憶された設定値が、新たに選択された設定値に書き換えられることになる。
これにより、スロットマシン10における当選確率の設定状態が、新たに選択された設定値に対応する設定状態に変更される。
【0280】
設定値の書き換えが行われると、ステップ1510において、RAMクリア処理が実行される。これにより、RAM84の非初期化領域を除いた領域のデータが総てクリア(0クリア)される。
ここで、この非初期化領域には、スロットマシン10の設定状態が「設定1」〜「設定6」の何れであるのかを記憶する確率設定記憶領域84lや、リール61に関する情報のうちリール61が前回停止したときの位置を示す情報(リールの停止位置に関する情報、例えば、図柄番号とオフセット番号、原点からのステップ数など)を記憶する領域などが含まれている。なお、リール61を停止させたときの励磁パターンは、非初期化領域に記憶されておらず、このRAMクリア処理により初期化される。
【0281】
このRAMクリア処理が実行されると、ステップ1511において自動回転処理が実行されたのち、6段階確率設定処理を終了する。これにより、メイン処理(図15)のステップ409に移行(遊技の進行が可能な状態に移行)することになる。
【0282】
ここで、ステップ1511の自動回転処理の詳細を、図31のフローチャートを参照して説明する。
図31に示すように、自動回転処理では、ステップ1601において、自動回転処理の終了時におけるリール61の停止態様を規定するスイッチ(停止態様設定スイッチ125(図11参照))の設定状態の読み込みが実行される。
【0283】
実施の形態では、自動回転処理の終了時に、表示窓31内で停止表示される図柄の停止態様が、停止態様設定スイッチ125により設定できるようになっている。
例えば、中段の水平ラインb(図1参照)上で、「7」図柄が左・中・右と揃う停止態様(停止態様1)、斜めラインe上で、「7」図柄が左・中・右と揃う停止態様(停止態様2)、「7」図柄がV字上に、上段左・中段中・上段右と揃う停止態様(停止態様3)、ランダムに図柄が揃う停止態様(停止態様4)、前回リール61が停止したときと同じ図柄の並び(設定変更前の最後の遊技で停止した位置)でリール61が停止する停止態様(停止態様5)、などが用意されており、これら停止態様と、停止態様設定スイッチ125の位置とが関連づけられている。
【0284】
そのため、ステップ1601の処理により、現時点において設定されている停止態様が上記停止態様1から停止態様4の何れであるのかが特定される。
【0285】
続くステップ1602において、リール61の回転を開始させるための設定処理(回転開始設定)が実行される。
ここで、自動回転処理は、前記した6段階確率設定処理(図30)のサブルーチンであり、6段階確率設定処理では、自動回転処理の前のステップ1510において、RAMクリア処理が実行されている。
さらに、6段階確率設定処理は、前記したメイン処理(図15)のサブルーチンであり、メイン処理では、6段階確率設定処理の前のステップ407においても、RAMクリア処理が実行されている。
そのため、この回転開始設定が実行される段階では、RAMに記憶されたデータ(例えばリール61を停止させたときの励磁データ)が消去されており、リールを回転させる際に必要なウエイトタイマ84fや励磁データ(励磁順ポインタ84h)の値もまたクリアされている。
【0286】
そこで、実施の形態では、このステップ1602において、励磁順ポインタ84hの値に「0」をセットすると共に、加速カウンタ84gの値に「25」をセットして、リールを回転させる際に必要なデータを設定している。
【0287】
これにより、以降のタイマ割込処理(図13)のステッピングモータ制御処理において、モータ制御処理が実行されると、図28に示すように、ステップ1311の処理が肯定されて、ステップ1321の処理において、加速カウンタ84gの値が始めて減算処理される。
そして、1だけ減算された加速カウンタ84gの値「24」に対応した励磁時間(130割り込み)が、図26の加速テーブルから取得され、取得されたこの励磁時間の値(=130)がウエイトタイマ84fにセットされる(ステップ1322、1331)。
同時に、励磁順ポインタ84h(図8参照)の値がインクリメントされて「1」となり(ステップ1332)、この励磁順ポインタ84hの値「1」に対応した励磁データ「09H」(2相励磁)が、出力励磁データとしてRAM84の励磁データ格納領域84nに格納される(ステップ1333)。
【0288】
ここで、ステップ1602では、総てのリール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)に対して、出力励磁データの取得と、RAM84の励磁データ格納領域84nへの格納が行われる。
そして、最終的に全てのリール61(左リール61L、中リール61M、右リール61R)に対して出力励磁データの取得処理が終了した段階で、これら出力励磁データが入出力ポート82にそれぞれ出力されて、第1の加速期間に関する処理が開始される。
【0289】
このように、ステップ1602の処理が実行されると、リール61が回転を開始する。
そこで、リールが正常に回転を介したか否かを確認するために、ステップ1603において、センサカットバン76がリールインデックスセンサ75を通過したか否か(基点位置の通過)が確認される。
【0290】
センサカットバン76の通過が確認されない場合には、ステップ1604において、リールを1回転させるのに要するパルス(駆動信号)の出力があったか否かが確認される。
実施の形態では、ステッピングモータ79は、504パルスの駆動信号で左リール61Lを1回転させるように設定されており、ステップ1604では、センサカットバン76の通過が確認されないままで、駆動信号の出力回数が504回を超えると、ステップ1604の処理が肯定される。
【0291】
かかる場合、ステップ1605において、異常の発生を報知するためのコマンドが生成される。これにより、例えばタイマ割込処理のコマンド出力処理(ステップ211)において、スピーカ14からの警報音の報知や、液晶ディスプレイ15上での異常の発生を知らせる表示処理を実行するコマンドが、サブ制御基板90に出力されることになる。
【0292】
リールを1回転させるのに要するパルスの出力があったにもかかわらず、リールインデックスセンサ75によるリール61の1回転が検知されない場合とは、例えば、リール61が回転できない状態や、リールインデックスセンサ75やステッピングモータ79が故障している状態などが挙げられる。かかる場合、ホールの管理者などに異常の発生を報知するために、ステップ1605の処理が実行されるようになっている。
【0293】
そして、このステップ1605に続くステップ1606では、リール61の回転を停止させるための処理(全相励磁停止処理)が実行される。
これにより、自動回転処理に基づくリールの回転および停止が中止されて、リール61が停止されることになる。
【0294】
一方、前記したステップ1603において、センサカットバン76の通過が確認された場合には、リール61が正常に回転を開始したことを意味するので、ステップ1607の処理に移行して、現時点において設定されている停止態様で、リール61を停止させるための設定処理(停止態様設定処理)が実行される。
【0295】
ここで、停止態様が、中段の水平ラインb(図1参照)上で、「7」図柄が左・中・右と揃う停止態様1である場合を例に挙げて、停止態様設定処理を説明する。
図32は、停止態様設定処理のフローチャートである。
【0296】
この停止態様設定処理では、左リール61L、中リール61M、右リール61Rの順番で、停止させるための設定処理が実行される。
始めに、左リール61Lについて、ステップ1701において、RAM84に記憶された図柄番号84jと図柄オフセット値84iの値に基づいて、設定処理の対象となるリール61(61L、61M、61R)について、現時点における回転位置(現在位置)が特定される。
【0297】
続いて、ステップ1702において、現時点における「7」図柄(リール61の停止時に表示させる図柄)の位置を特定する。
左リール61Lの中段の有効ライン上に「7」図柄を停止させる場合、現時点において中段の水平ライン上に位置している図柄から、左リールの回転方向において最も近い位置にある「7」図柄の位置を図柄番号で特定する。
【0298】
ステップ1703において、位置を特定した「7」図柄を、中段の水平ラインb上に位置させた状態でリールを停止させるまでに要するステップ数(Nstep)を特定する。
図10を参照して、例えば現時点において、中段の水平ライン上に位置している図柄が、図柄番号17の「チェリー」であって、図柄番号17のオフセット値が「0」であり、中段の水平ラインに停止させる「7」図柄の図柄番号が20である場合には、ちょうど3図柄分離れていることになる。
ここで、実施の形態では、前記したように、図柄を1図柄分滑らせるためには24ステップが必要なので、3図柄滑らすためには72ステップ(=3×24ステップ)が必要になる。よって、「72」が停止予定図柄位置までの距離(残りステップ数)Nstepとして特定される。
【0299】
そして、ステップ1703において、停止予定図柄位置までの距離が特定されると、停止予定図柄までのステップ数を示す残りステップ数カウンタ84kの値に「72」がセットされる。
【0300】
残りステップ数カウンタ84kの値がセットされると、ステップ1704において、総てのリール61R、61M、61Rについて、残りステップ数がセットされたか否かが確認される。
【0301】
よって、左リール61Lについて残りステップ数が設定された段階では、ステップ1705の処理が否定されて、ステップ1701の処理にリターンする。これにより、以降、中リール61Mについて、ステップ1701からステップ1704の処理が実行されることになる。
そして、最終的に、右リール61Rについてもステップ1701からステップ1704の処理が実行されて、総てのリール61(61L、61M、61R)について残りステップ数の設定が完了すると、ステップ1705の処理が肯定されて、停止態様設定処理が終了する。
【0302】
この自動回転処理(停止態様設定処理)で設定された残りステップ数の値は、モータ制御処理(図28、図29参照)のステップ1352において、「0」であるか否かがチェックされて、「0」でない場合には、ステップ1355において「1」減算される。
ここで、モータ制御処理は、タイマ割込処理(図13参照)のサブルーチンであるので、残りステップ数の値は、タイマ割込処理の実行間隔毎で「1」ずつ減算される。
【0303】
そのため、残りステップ数の値が最終的に「0」になった時点で、ステップ1353の全相励磁停止処理が実行される。
この全相励磁停止処理では、ステッピングモータ79の4相が同時励磁されるように設定されたのち、減速ウエイトタイマ84pにブレーキ時間(励磁時間)が設定される。例えば、159割り込み分(=236.91msec)がブレーキ時間に設定されている場合には、減速ウエイトタイマ84pの値に「159」がセットされる。
そして、リール61の定速回転に関与している加速カウンタ84gの値がリセット(=0)される。
【0304】
減速ウエイトタイマ84pにブレーキ時間がセットされると、ブレーキ用の励磁データがブレーキ時間の間(159割り込み分)連続して出力されて、リール61が完全に停止する。
これにより、停止態様設定処理で設定した停止態様、例えば中段の水平ラインb(図1参照)上で、「7」図柄が左・中・右と揃う停止態様1で、各リール61(61L、61M、61R)の図柄が停止表示されることになる。
【0305】
そして、ステップ1354において、次回の回転時に使用する励磁順ポインタに対する調整処理が行われて、次にリールを回転させるときの励磁順ポインタの値がセットされることになる。
【0306】
前記した停止態様設定処理は、自動回転処理(図31参照)のサブルーチンであり、自動回転処理は、6段階確率設定処理(図30参照)のサブルーチンである。
よって、停止態様設定処理の終了に伴って、6段階確率設定処理も終了することになる。
そうすると、6段階確率設定処理を終了して、メイン制御処理(図15)のステップ409に移行することになる。
そして、このステップ409において停電フラグがセットされていない場合には、通常遊技処理(ステップ410)に移行する。
なお、停止態様5、すなわち前回リール61が停止したときと同じ図柄の並びで停止させる場合には、上述したように「7」図柄の位置を特定する(ステップ1702)ことに代えて、RAM84の非初期化領域に記憶されたリール61の停止位置に関する情報(例えば図柄番号とオフセット番号、原点からのステップ数など)に基づいて前回リール61が停止していたときの図柄を特定し、各リール61を停止させればよい。
【0307】
これにより、以降、遊技が何時でも開始できる状態となるが、遊技の開始前にリール61の回転/停止が既に実行されており、リール61が停止した時点の励磁データが、RAM84の励磁データ格納領域84nに記憶されている。そのため、次回の遊技において、リール61の回転を開始するときの励磁データを、RAM84の励磁データ格納領域84nに記憶されている励磁データに基づいて決定できる。
【0308】
ここで、リール61を停止させたときの励磁データ(励磁設定)に応じて決まる励磁データは、リール61の回転がスムーズに開始されるようにされている。
そのため、当選確率の設定によりRAM84に記憶された情報が初期化された後の最初の遊技でのリール61の回転挙動は、情報が初期化されていない場合の通常の遊技におけるリールの回転挙動と異なることがない。
【0309】
以上の通り、第1の実施形態では、ステッピングモータの励磁設定を切り替えながらリール61の回転/停止を制御するモータ制御手段と、リール61を停止させたときの励磁設定を記憶するRAM84(記憶手段)と、遊技における入賞役への当選確率として用意された複数の当選確率の中から、ひとつの当選確率を設定する際に操作される当選確率設定手段(スタートレバー45、設定キースイッチ122、リセットスイッチ123)と、当選確率が設定されると、RAM84に記憶された情報を初期化する初期化手段と、を備え、モータ制御手段が、リール61を停止させたときの励磁設定(励磁データ)がRAM84に記憶されている場合には、記憶されている励磁設定に応じて決まる励磁設定からリール61の回転を開始させ、記憶されていない場合には、予め用意された所定の励磁設定からリール61の回転を開始させるスロットマシン10において、当選確率が設定されて、RAM84に記憶された情報が初期化されると、モータ制御手段が、最初の遊技の前にリール61の回転/停止を実行する構成のスロットマシン10とした。
【0310】
このように構成すると、当選確率の設定により、リール61を停止させたときの励磁設定が初期化されても、その後、最初の遊技が実行される前にリール61の回転/停止が実行されるので、リール61を停止させたときのステッピングモータの励磁設定がRAM84に新たに記憶される。
よって、当選確率の設定後に最初に行われる遊技でリール61を回転させるときには、リール61を停止させたときの励磁設定に応じて決まる励磁設定から、リール61の回転を開始させることができる。リール61を停止させたときの励磁設定に応じて決まる励磁設定は、リール61の回転がスムーズに開始されるようにされているので、リール61の回転開始時の挙動が、当選確率が設定されていない場合の回転開始時の挙動と異なることがない。
よって、リール61が回転するときの挙動から、当選確率の設定が行われたことが把握されないようにすることができる。
【0311】
当選確率の設定後の最初の遊技の前に実行されるリール61の回転/停止では、リール61の停止態様として、複数の停止態様が用意されており、
スロットマシン10は、複数の停止態様のうちのひとつを選択する選択手段を備え、
モータ制御手段は、選択された停止態様でリール61を停止させる構成とした。
【0312】
このように構成すると、スロットマシン10が設置されたホール側で、周回体の停止態様を選ぶことができる。
特に、リールの停止態様として、特定の図柄(例えば「7」図柄)が表示窓31内で直線状に並ぶような停止態様とすると、ホール内で複数並んだスロットマシンの各表示窓31内で停止表示される図柄とその並びが、統一感を持って現れることになる。
そうすると、ホールの開店までにスロットマシンの設定を行うと、開店時における各スロットマシンにおける図柄の停止態様に統一感を持たせることができるので、イベント等を実施する場合においてホールの印象向上に寄与できることになる。
また、停止態様として前回リール61が停止したときと同じ図柄の並びを選べることとすることで、上述したイベント等で停止態様の統一感などを出す必要まではなく、設定変更の有無の情報を遊技者に伝えたくないだけの場合など、ホールの様々な要望に応えることができるようになる。
【0313】
励磁設定の切り替え回数がリール61を1回転させるのに要する回数に達したか否かを判定する判定手段と、リール61の1回転を検知する検知手段(リールインデックスセンサ75)と、励磁設定の切り替え回数がリール61を1回転させるのに要する回数に達したにもかかわらず、リール61の1回転が検知されない場合に、異常を報知する異常報知手段と、をさらに備える構成とした。
【0314】
このように構成すると、ステッピングモータやリールインデックスセンサ75の異常も検知できるので、スロットマシンにおける異常を速やかに検知して対処できる。
【0315】
次に、第2の実施形態を説明する。
図33は、第2の実施形態における6段階確率設定処理のフローチャートである。
【0316】
第2の実施の形態にかかる6段階確率設定処理は、設定キースイッチ122がオフ位置に切り替えられたか否かを確認するステップ(ステップ1809)の前に、乱数取得ステップ1808が設けられているという点において、前記した第1の実施の形態における6段階確率設定処理(図30参照)と異なっている。
【0317】
このステップ1808では、乱数カウンタ(図示せず)で所定の範囲で繰り返し更新されている乱数値が、スタートレバー45が操作されたタイミングで取得されて、RAM84の乱数値を記憶する領域(乱数値記憶領域84m)に記憶される。
【0318】
実施の形態では、このRAM84の乱数値記憶領域84mに記憶された乱数値は、ステップ1812の自動回転処理において、リール64の停止態様を設定する際に使用される。
なお、図33の6段階確率設定処理のフローチャートにおける他のステップの処理は、自動回転処理(ステップ1812)を除き、前記した第1の実施形態の6段階確率設定処理のフローチャート(図30参照)と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0319】
自動回転処理(ステップ1812)を説明する。
図34は、第2の実施形態における自動回転処理のフローチャートである。
この自動回転処理では、回転開始設定処理(ステップ1803)の前に、停止態様決定処理(ステップ1901)が設けられている点において、前記した第1の実施形態の自動回転処理(図31参照)と異なっている。
【0320】
第2の実施形態では、確率設定の変更を確定した際に操作されるスタートレバー45の操作タイミングに応じて、自動回転処理でリールを回転させた後に停止させる際の停止態様が決まるようになっている。
そのため、ステップ1901において、前記した6段階確率設定処理の乱数取得ステップ(図33、ステップ1808)で取得した乱数値に基づいて、複数用意された停止態様のうちの何れの停止態様でリールを停止させるのかを決定する。
【0321】
実施の形態では、前記した停止態様(停止態様1から停止態様5)と乱数値との対応関係を規定したテーブル(停止態様設定テーブル83c)が、メイン制御基板80のROM83に予め記憶されている。
そのため、ステップ1901では、RAM84に記憶されている乱数値に基づいて、停止態様設定テーブル83cを参照し、乱数値に対応する停止態様が、自動回転処理におけるリール61の停止態様として設定される。
【0322】
なお、図34の自動回転処理のフローチャートにおける他のステップの処理は、前記した第1の実施形態の6自動回転処理のフローチャート(図31参照)と同じであるので、ここでは説明を省略する。
【0323】
以上の通り、第2の実施形態では、自動回転処理によりリール61を停止させるときの停止態様が、確率設定の変更を確定した際に操作されるスタートレバー45の操作タイミングに応じて決定される構成とした。
よって、スロットマシン10毎にスイッチなどを操作して停止態様を予め設定する必要がないので、ホール側での停止態様の設定操作が煩雑にならずに済む。
なお、自動回転処理によりリール61を停止させるときの停止態様は、スタートレバー45の操作タイミングの代わりに、設定値を変更する際に操作される設定キースイッチ122やリセットボタン123の操作タイミングに応じて決定されるようにしても良い。
【0324】
第3の実施形態を説明する。
図35は、第3の実施形態におけるメイン処理のフローチャートである。
【0325】
第3の実施の形態におけるメイン処理では、停電フラグのリセット(ステップ2019)の次に、自動回転処理が設けられているという点において、前記した第1の実施形態におけるメイン処理(図15参照)と異なっている。
【0326】
メイン処理は、電源投入時に実行される処理であり、例えばホールの営業を開始する前のスロットマシン10の電源をオンにしたときや、停電からの復帰時に必ず実行される。
そのため、このメイン処理において自動回転処理を実行するようにすると、例えばホールの開店のためにスロットマシン10の電源を投入すると、自動的に回転処理が実行されることになる。そして「7」図柄が表示窓31内で左・中・右と揃った状態で停止表示される停止態様1がセットされている場合には、ホール内に設置されたスロットマシン10の総ての停止図柄が停止態様1となる。
よって、例えばホール内の各スロットマシンの停止態様を、例えば島毎に決めておくことで、図柄の停止態様に統一感を持たせることができるので、回転時におけるホールの印象向上に寄与できることになる。
【0327】
前記した実施の形態では、6段階確率設定処理のRAMクリア処理(図33、ステップ1811)において、リール61が前回停止したときの位置を示す情報(リールの停止位置に関する情報、例えば、図柄番号とオフセット番号、原点からのステップ数など)が、初期化されない場合を例に挙げて説明をした。
しかし、第3の実施形態における6段階確率設定処理(図35、ステップ2008)では、リール61が前回停止したときの位置を示す情報が、RAMクリア処理において初期化されるようにしても良い。
【0328】
以下、図36を参照して、6段階確率設定処理のRAMクリア処理において、リール61が前回停止したときの位置を示す情報が初期化される場合における自動回転処理を説明する。
この自動回転処理では、ステップ2101において、電源投入時に実行されるメイン処理(図35参照)において、6段階確率の設定処理が実行されたか否かを確認する。
【0329】
6段階確率の設定処理が実行されていない場合(ステップ2101においてNo)、ステップ2102において、自動回転処理の終了時におけるリール61の停止態様を規定するスイッチ(停止態様設定スイッチ125)の設定状態の読込が実行される。
これにより、現時点において設定されている停止態様が上記停止態様1から停止態様5の何れであるのかが特定される。
【0330】
続くステップ2103では、リール61の回転を開始させるための回転開始設定が実行される。具体的には、前記した実施の形態と同様に、励磁順ポインタ84hの値に「0」がセットされると共に、加速カウンタ84gの値に「25」がセットされて、リールを回転させる際に必要なデータが設定される。
【0331】
そして、ステップ2104において、停止態様設定処理が実行される。例えば「7」図柄が左・中・右と揃う停止態様1で、各リール61(61L、61M、61R)を停止させる場合、「7」図柄を停止位置で停止表示させるのに要するステップ数が、残りステップ数カウンタ84kにセットされる。
これにより、所定時間間隔で実行されるタイマ割込処理により、リール61の回転が開始されたのち、タイマ割込処理の実行間隔毎に「1」ずつ減算される残りステップ数カウンタの値が、最終的に「0」になった時点で、リール61は、全相励磁により停止させられることになる。
【0332】
一方、6段階確率の設定処理が実行されている場合(ステップ2101においてYes)、スイッチ状態の読込処理(ステップ2105)と、回転開始設定(ステップ2106)が実行される。これにより、現時点において設定されている停止態様が上記停止態様1から停止態様5の何れであるのかが特定されたうえで、リール61の回転が開始される。
【0333】
続くステップ2107では、センサカットバン76がリールインデックスセンサ75を通過したか否か(基点位置の通過)が確認される。
【0334】
センサカットバン76の通過が確認されない場合(ステップ2107においてNo)には、ステップ2108において、リールを1回転させるのに要するパルス(駆動信号)の出力があったか否かが確認される。
ステップ2108では、センサカットバン76の通過が確認されないままで、駆動信号の出力回数が504回(リールを1回転させるのに要するパルスの出力回数)を超えると、ステップ2108の処理が肯定される。
【0335】
ステップ2108の処理が否定されると、ステップ2107の処理にリターンする。これにより、以降、基点位置の通過が検知されないままで、駆動信号の出力回数が504回を超えるまでの間は、ステップ2107とステップ2108の処理が繰り返し実行されることになる。
【0336】
一方、駆動信号の出力回数が504回を超えて、ステップ2108の処理が肯定されると、前記した第1の実施の形態の場合と同様の処理、すなわち異常処理(ステップ2109)と、リール61の回転を停止させるための処理(ステップ2110)が実行される。
【0337】
また、駆動信号の出力回数が504回を超える前に、基点位置の通過が検知されると(ステップ2107においてYes)、ステップ2111において、停止態様設定処理が実行される。
例えば「7」図柄が左・中・右と揃う停止態様1で、各リール61(61L、61M、61R)を停止させる場合、「7」図柄を停止位置で停止表示させるのに要するステップ数が、残りステップ数カウンタ84kにセットされる。
これにより、所定時間間隔で実行されるタイマ割込処理により、リール61の回転が開始されたのち、タイマ割込処理の実行間隔毎に「1」ずつ減算される残りステップ数カウンタの値が最終的に「0」になった時点で、リール61は全相励磁により停止させられる。そして、この状態で、「7」図柄が表示窓31内で左・中・右と揃った状態で停止表示される。
【0338】
なお、第3の実施形態における自動回転処理では、当選確率の設定変更が行われているか否かを確認し(ステップ2101)、行われている場合(ステップ2101においてYes)には、基点位置の通過確認(ステップ2107)とリール61の回転異常の検知処理など(ステップ2108、2109、2110)を実行し、行われていない場合(ステップ2101においてNo)にはこれらの処理を実行しないようになっている。
【0339】
これは、当選確率の設定変更を行うと、6段階確率設定処理(ステップ2008)においてRAMクリア処理(図30、ステップ1510)が実行されて、リール61の現在位置の特定に必要な情報(図柄番号および図柄オフセット値)がクリアされることによるものである。
【0340】
具体的には、RAMクリア処理が実行されていない場合、すなわち当選確率の設定変更が行われていない場合には、リール61の回転位置(現在位置を)特定するために必要な情報(図柄番号および図柄オフセット値)がRAM84に記憶されているので、基点位置の通過確認(ステップ2107)を実行することなく、リール61の停止態様設定処理(ステップ2104)を実行できる。
これに対して、RAMクリア処理が実行された場合、すなわち当選確率の設定変更が行われた場合(ステップ2101においてYes)には、基準位置の通過確認(ステップ2107)を実行してリール61の回転位置(現在位置を)特定しないと、リール61の停止態様設定処理(ステップ2111)を実行できないからである。
【0341】
以上の通り、第3の実施形態では、電源投入時に実行されるメイン処理において、自動回転処理が実行されるようにしたので、ホールの開店のためにスロットマシン10の電源を投入すると、自動的に回転処理が実行されることになる。例えば「7」図柄が表示窓31内で左・中・右と揃った状態で停止表示される停止態様1がセットされている場合には、ホール内に設置されたスロットマシン10の総ての停止図柄が停止態様1となる。
よって、例えばホール内の各スロットマシンの停止態様を、例えば島毎に決めておくことで、図柄の停止態様に統一感を持たせることができるので、回転時におけるホールの印象向上に寄与できることになる。
【0342】
メイン処理で自動回転処理を実行する場合には、自動回転処理の前に当選確率の設定が行われたか否かを確認し、当選確率の設定が行われていない場合には、自動回転処理においてリールの基準位置の通過を確認することなく、停止態様設定処理を実行するようにしたので、リールの停止に必要な情報がクリアされずにRAM84に記憶されている場合には、自動回転処理での処理時間を短縮できる。
【0343】
なお、この第3の実施形態の構成は、前記した第1の実施形態や第2の実施形態の構成と組み合わせることによっても、上記した作用、効果が奏されることになるので、これらを適宜組合わせた構成の遊技機としても良い。
【0344】
前記した第1から第3の実施の形態では、励磁設定の切り替え回数が、リール61を1回転させるのに要する回数に達したか否かに基づいて異常の有無を判定していたが、図柄番号と図柄オフセット値の更新が正常に実行されたか否かに基づいて、異常の有無を判断するようにしても良い。
【0345】
前記した実施の形態では、リール61の停止態様を規定する停止態様設定スイッチ125が、メイン制御基板80に接続されている場合を例示したが、メイン制御基板80とサブ制御基板90とが双方向通信が可能な場合にはサブ制御基板90に接続されている構成としても良い。
【0346】
さらに、停止態様設定スイッチ125を設けずに、スロットマシン10が備える既存のスイッチ(ボタン)を用いて停止態様を設定できるようにしても良い。
例えば、停止態様1から停止態様3をそれぞれストップボタン46〜48と関連づけておき、ストップボタン46〜48の操作により、停止態様を設定するようにしても良い。かかる場合、自動回転処理が開始された時点で、ストップボタン46〜48の操作による停止態様の選択を促すために、スピーカ14からの音声メッセージの出力や、液晶ディスプレイ15への文字メッセージを表示させるステップと、選択された停止態様を確認するステップを設けることで、前記した実施の形態の場合と同様の作用効果が奏されることになる。
【0347】
また、前記した実施の形態では、6段階確率設定処理の自動回転処理(図30のステップ1511、図31参照)でリール61を停止させる場合、センサカットバン76の通過(基点位置の通過)をリールインデックスセンサ75が検知したことをトリガとして(ステップ1603)、停止予定図柄を、所定位置に停止させるための設定処理(ステップ1607)を実行していた。
ここで、自動回転処理の前に実行されるRAMクリア処理(ステップ1510)では、前記したように、リール61が前回停止したときの位置を示す情報(図柄番号、オフセット番号、原点からのステップ数)を記憶する領域の初期化が実行されていないので、自動回転処理においてリール61を回転させる時点で、リール61の現在位置(停止予定図柄がどの位置にあるのか)が特定できるようになっている。
そのため、リール61を回転させる時点で、停止予定図柄の現在位置と、停止予定図柄を所定位置に停止させるのに要するステップ数が判るので、例えば、自動回転処理(図31)におけるステップ1603、1604、1605、1606を省略して、回転開始処理(ステップ1602)に続いて、停止態様設定処理(ステップ1607)が実行されるようにした自動回転処理としても良い。
【0348】
このように構成すると、より短時間でリール61の自動回転、停止を実行できる。
【0349】
また、前記した実施の形態では、例えば左リール61Lの中段の有効ライン上に「7」図柄を停止させる場合には、モータ制御処理(図32)のステップ1701において、現時点において中段の水平ライン上に位置している図柄から、停止させる図柄(最も近い位置にある「7」図柄や前回リール61が停止していた図柄)の位置を図柄番号で特定していた。このように、中段中断水平ラインにある図柄に基づいて停止させる図柄を判断するのではなく、原点を検知した時点で停止させる図柄の位置を図柄番号とオフセット番号、或いは原点からの総ステップ数で特定し、この特定した図柄を表示窓内に停止するよう駆動しても良い。
【0350】
また、前記した実施の形態では、リール61の自動回転、停止を行う場合、通常の遊技における回転(加速処理)と、停止(全相励磁によるリール61の急停止)を行う場合を例示した。しかし、自動回転処理におけるリール61の回転、停止では、遊技における回転、停止のように、ステッピングモータ79が回転を始めてリール61が一定の定速回転に至るまでの加速期間Ta(図25参照)や、リール61を停止させる場合の停止期間Tc(図25参照)を、所定の短時間以内に必ず実行する必要がない。
よって、自動回転処理におけるリール61の回転が、遊技におけるリール61の回転よりも遅くなるようにすることや、リール61の停止を、励磁相を切換ながら励磁時間を徐々に長くしてゆくことで、スローダウンしながら行うようにしても良い。
【0351】
このように構成すると、リール61の急加速や急停止を行う必要がないので、ステッピングモータ79にかかる負荷を低減して、ステッピングモータ79の寿命を長くすることが可能となる。
【0352】
さらに、前記実施形態では、スロットマシン10の設定状態が「設定1」〜「設定6」の何れであるのかを示す情報を記憶する確率設定記憶領域84lや、リール61が前回停止したときの位置を示す情報(図柄番号、オフセット番号、原点からのステップ数)を記憶する領域が、設定値の書き換え後に実行されるRAMクリア処理(図30、ステップ1510)で初期化されない領域(非初期化領域)である場合を例に挙げて説明をした。
しかし、これらの情報を非初期化領域以外の領域(すなわち、初期化領域)に記憶し、RAMクリア処理(図30ステップ1510)の際に、これらの情報のうち、少なくともリール61が前回停止したときの位置を示す情報(図柄番号、オフセット番号、原点からのステップ数)だけが、初期化されないようにしても良い。
【0353】
さらに、実施の形態では、遊技機がスロットマシンである場合を例に挙げて説明をした。
本発明は、スロットマシンとは異なるタイプの遊技機、具体的には遊技媒体として遊技球を用いる弾球式の遊技機、いわゆるパチンコ機などに適応しても良い。例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放するパチンコ機や、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球などの遊技機として実施するようにしても良い。
【0354】
また、弾球式でない遊技機、例えば外枠に開閉可能に支持された遊技機本体に貯留および取り込み装置を備え、貯留部に貯留されている所定数の遊技玉が取り込み装置により取り込まれた後にスタートレバーが操作されることによりリールの回転を開始する、パチンコ機とスロットマシンとが融合された遊技機、いわゆるパロットとして実施するようにしても良い。
【0355】
以下、上記の実施形態および変形例から抽出される発明の特長を、必要に応じて効果などと共に記載する。
【0356】
本発明は、
(1)複数の図柄が外周に付された複数の周回体と、
前記周回体各々の外周に付された複数の図柄のうちの一部を、それぞれ視認可能とする表示窓と、
前記各周回体の回転を開始させるべく操作される開始操作手段と、
前記開始操作手段の操作に基づいて、遊技における複数の入賞役への当否を決定する抽選手段と、
前記周回体毎に設けられて、前記周回体を回転駆動させる駆動手段と、
前記駆動手段による前記周回体の回転、停止を制御する駆動制御手段と、
前記周回体が停止したときの当該周回体の情報を含む遊技の進行に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記複数の入賞役への当選確率として用意された複数の当選確率の設定値の中から、ひとつの設定値を選択する際に操作される設定操作手段と、
前記設定操作手段で選択された設定値を、前記複数の入賞役への当選確率の設定値として決定する設定値決定手段と、
前記当選確率の設定値が決定された場合に、前記記憶手段に記憶された情報を初期化する設定時初期化手段と、
前記当選確率の設定値が決定されて、設定時初期化手段による初期化が実行された場合に、前記周回体を回転駆動したのち、前記表示窓内に停止表示される各周回体の図柄の組合せが所定の図柄組合せとなる位置で、前記周回体を停止させる設定時周回体駆動手段と、を備えることを特徴とする遊技機とした。
【0357】
このように構成すると、周回体が停止したときの周回体の情報を含む遊技の進行に関する情報の初期化により、前回周回体を停止させたときの周回体の情報がクリアされていても、設定時周回体駆動手段により、周回体の回転、停止が行われるので、その後開始される遊技においてリールを回転させるときには、前回周回体を停止させたときの周回体の情報が、記憶手段に記憶されていることになる。
よって、前回周回体を停止させたときの周回体の情報に基づいて、周回体の回転を開始できるので、当選確率の設定値の決定により上記の情報の初期化が実行された場合の周回体の回転開始時の挙動が、当選確率の設定値が決定されていない場合における周回体の回転開始時の挙動と異なることがない。
よって、周回体が回転するときの挙動から、当選確率の設定変更が行われたことが把握されるのを好適に防止できる。
【0358】
さらに、周回体の回転、停止を実行する設定時周回体駆動手段が、表示窓内に停止表示される各周回体の図柄の組合せが所定の図柄組合せとなる位置で周回体を停止させるので、例えば周回体が停止したときの図柄組合せが、表示窓内で「7」図柄が左・中・右と揃う図柄組合せである場合には、ホール内で複数並んだ遊技機の各表示窓内で停止表示される図柄とその並びが、統一感を持って現れることになる。
そうすると、ホールの開店までに遊技機の当選確率の設定値の決定を行うと、開店時における各遊技機において、表示窓内に停止表示されている図柄組合せに、統一感を持たせることができるので、ホールの印象向上に寄与できることになる。
【0359】
(2)前記所定の図柄組合せとして、複数の図柄組合せが用意されており、
前記設定時周回体駆動手段は、前記複数の図柄組合せの中から選択された図柄組合せとなる位置で、前記周回体を停止させることを特徴とする(1)に記載の遊技機とした。
【0360】
このように構成すると、周回体の停止態様を任意に選ぶことができる。
【0361】
(3)前記設定時初期化手段は、
前記当選確率の設定値が決定された場合に、前記周回体の停止位置に関する情報を除いた他の情報を初期化することを特徴とする(2)に記載の遊技機。
【0362】
このように構成すると、前回周回体を停止させたときの周回体の停止位置に関する情報に基づいて、周回体の回転を開始できるので、当選確率の設定値の決定により上記の情報の初期化が実行された場合の周回体の回転開始時の挙動が、当選確率の設定値が決定されていない場合における周回体の回転開始時の挙動と異なることがない。
よって、周回体が回転するときの挙動から、当選確率の設定変更が行われたことが把握されるのを好適に防止できる。
【0363】
(4)前記複数の図柄組合せの中からひとつを選択する選択手段を備え、
前記設定時周回体駆動手段は、前記選択手段で選択された図柄組合せとなる位置で、前記周回体を停止させ、
前記選択手段は、前記遊技機が備える切換スイッチであることを特徴とする(2)または(3)に記載の遊技機とした。
【0364】
このように構成すると、遊技機毎に停止態様を簡単に切り替えることができる。
【0365】
(5)前記複数の図柄組合せの中からひとつを選択する選択手段を備え、
前記図柄組合せの選択は、前記設定操作手段で前記当選確率の設定値を設定したタイミングに基づいて、前記選択手段が、前記複数の図柄組合せの中からひとつを選択ことで実行されることを特徴とする(2)または(3)に記載の遊技機。
【0366】
このように構成すると、遊技機毎にスイッチなどを操作して停止態様を予め設定する必要がないので、ホール側での操作が煩雑にならずに済む。
【0367】
(6)前記駆動手段が、前記周回体を1回転させるまで駆動したか否かを判定する判定手段と、
前記周回体の1回転を検知する検知手段と、
前記駆動手段が前記周回体を1回転させるまで駆動したにもかかわらず、前記検知手段により前記周回体の1回転が検知されない場合に、異常を報知する異常報知手段と、をさらに備えることを特徴とする(1)から(5)の何れか一項に記載の遊技機。
【0368】
このように構成すると、ステッピングモータ79やリールインデックスセンサ75の異常も検知できるので、スロットマシンにおける異常を速やかに検知して対処できる。
【0369】
また、本発明は、
(7)複数の図柄が外周に描かれた周回体と、
前記周回体を回転駆動させるモータと、
前記モータの励磁設定を切り替えながら前記周回体の回転/停止を制御するモータ制御手段と、
前記周回体を停止させたときの励磁設定を記憶する記憶手段と、
遊技における入賞役への当選確率として用意された複数の当選確率の中から、ひとつの当選確率を設定する際に操作される当選確率設定手段と、
前記当選確率が設定されると、前記記憶手段に記憶された情報を初期化する初期化手段と、を備え、
前記モータ制御手段が、
前記周回体を停止させたときの励磁設定が前記記憶手段に記憶されている場合には、記憶されている励磁設定に応じて決まる励磁設定から前記周回体の回転を開始させ、記憶されていない場合には、予め用意された所定の励磁設定から、前記周回体の回転を開始させる遊技機において、
前記モータ制御手段は、前記記憶手段に記憶された情報が初期化されたのち、最初の遊技の前に、前記周回体の回転/停止を実行することを特徴とする遊技機とした。
【0370】
このように構成すると、当選確率の設定が実行されて、周回体を停止させたときの励磁設定が初期化されても、その後、最初の遊技が実行される前に周回体の回転/停止が必ず実行されて、周回体を停止させたときのステッピングモータの励磁設定が記憶手段に記憶される。
よって、当選確率の設定後に最初に行われる遊技で周回体を回転させるときには、周回体を停止させたときの励磁設定に基づいて決定した励磁設定から、周回体の回転を開始させることができる。
周回体を停止させたときの励磁設定に応じて決まる励磁設定は、周回体の回転がスムーズに開始されるようにされており、当選確率の設定により記憶手段に記憶された情報を初期化した後の最初の遊技において、周回体の回転開始時の挙動が、情報が初期化されていない場合の通常の遊技における周回体の回転開始時の挙動と異なることがない。
よって、リールが回転するときの挙動から、当選確率の設定変更が行われたことが把握されないようにすることができる。
【0371】
(8)前記最初の遊技の前に実行される前記周回体の回転/停止では、前記周回体の停止態様として、複数の停止態様が用意されており、
前記モータ制御手段は、前記複数の停止態様の中から選択された停止態様で、前記周回体を停止させることを特徴とする(7)に記載の遊技機。
【0372】
このように構成すると、周回体の停止態様を任意に選ぶことができる。
【0373】
(9)前記複数の停止態様の中からひとつを選択する選択手段を備え、
前記選択手段は、前記遊技機が備える切換スイッチであり、前記停止態様の選択は、前記切換スイッチを、目的とする停止態様の選択位置に切り替えることで実行されることを特徴とする(8)に記載の遊技機。
【0374】
このように構成すると、遊技機毎に停止態様を簡単に切り替えることができる。
【0375】
(10)前記複数の停止態様の中からひとつを選択する選択手段を備え、
前記停止態様の選択は、前記選択手段が、前記当選確率設定手段で前記当選確率を設定したタイミングに基づいて、前記複数の停止態様の中からひとつの停止態様を選択することで実行されることを特徴とする(9)に記載の遊技機。
【0376】
このように構成すると、遊技機毎にスイッチなどを操作して停止態様を予め設定する必要がないので、ホール側での操作が煩雑にならずに済む。
【0377】
(11)前記遊技機は、同軸上で並んで配置された複数の周回体を備えており、
前記停止態様は、特別遊技状態への入賞が確定した際に表示窓内に停止表示される図柄の組合せであることを特徴とする(7)から(10)の何れか一項に記載の遊技機。
【0378】
このように構成すると、ホール内に設置された遊技機において、停止表示される図柄の組合せが、遊技者の関心を最も引きつけやすい図柄に統一されて、図柄の停止態様に統一感を持たせることができるので、ホールの印象向上に寄与できることになる。
【0379】
(12)前記励磁設定の切り替え回数が前記周回体を1回転させるのに要する回数に達したか否かを判定する判定手段と、
前記周回体の1回転を検知する検知手段と、
前記励磁設定の切り替えが前記周回体を1回転させるのに要する回数に達したにもかかわらず、前記検知手段により前記周回体の1回転が検知されない場合に、異常を報知する異常報知手段と、をさらに備えることを特徴とする(7)から(11)の何れかに記載の遊技機。
【0380】
このように構成すると、ステッピングモータ79やリールインデックスセンサ75の異常も検知できるので、スロットマシンにおける異常を速やかに検知して対処できる。
【0381】
(13)前記モータは、多相ステッピングモータであり、
前記モータ制御手段は、停止表示させる図柄を停止させる位置まで移動させるのに要するステップ数に基づいて、前記周回体の停止タイミングを決定することを特徴とする(7)から(12)の何れかに記載の遊技機。
【0382】
このように構成すると、周回体の最小回転単位であるステップ数に基づいて、周回体の停止を制御できるので周回体の停止を適切に行える。
【0383】
(14)複数の図柄が外周に描かれた周回体と、
前記周回体を回転駆動させるモータと、
前記モータの励磁設定を切り替えながら前記周回体の回転/停止を制御するモータ制御手段と、
前記周回体を停止させたときの励磁設定を記憶する記憶手段と、
遊技における入賞役への当選確率として用意された複数の当選確率の中から、ひとつの当選確率を設定する際に操作される当選確率設定手段と、
前記当選確率が設定されると、前記記憶手段に記憶された情報を初期化する初期化手段と、を備え、
前記モータ制御手段が、
前記周回体を停止させたときの励磁設定が前記記憶手段に記憶されている場合には、記憶されている励磁設定に基づいて決定した励磁設定から、前記周回体の回転を開始させ、記憶されていない場合には、予め用意された所定の励磁設定から、前記周回体の回転を開始させる遊技機において、
前記モータ制御手段は、前記遊技機への電源供給が復帰したのち、最初の遊技が開始される前に、前記周回体の回転/停止を実行し、
前記最初の遊技が開始される前に実行される前記周回体の回転/停止では、前記周回体の停止態様として、複数の停止態様が用意されており、
前記モータ制御手段は、前記複数の停止態様の中から選択された停止態様で、前記周回体を停止させることを特徴とする遊技機とした。
【0384】
このように構成すると、ホールの開店準備のために遊技機に電源を供給すると、前記周回体の回転/停止が実行されて、複数の停止態様の中から選択された停止態様で、前記周回体が停止する。
これにより、開店時にホール内に設置された遊技機では、選択された停止態様で図柄が停止表示されるので、図柄の停止態様に統一感を持たせることで、ホールの印象向上に寄与できることになる。
【0385】
(15)前記記憶手段は、前記周回体の回転位置を特定する情報をさらに記憶すると共に、
前記モータ制御手段は、
前記周回体の回転/停止の前に前記当選確率の設定が実行されて、前記記憶手段に記憶された情報が初期化されていた場合には、
前記周回体の回転位置を特定したのちに、前記周回体を前記複数の停止態様のうちのひとつの停止態様で停止させ、
前記当選確率の設定が実行されておらず、前記記憶手段に記憶された情報が初期化されていない場合には、前記記憶手段に記憶された前記周回体の回転位置を特定する情報に基づいて、前記周回体を前記複数の停止態様のうちのひとつの停止態様で停止させることを特徴とする(14)に記載の遊技機。
【0386】
このように構成すると、当選確率の設定が行われていない場合には、周回体の回転位置を特定する情報が初期化されることなく記憶手段に記憶されているので、この情報を用いて周回体を停止させることができる。よって、周回体の回転位置の特定を省略できるので、周回体の回転/停止に要する時間を短縮できる。
【0387】
(16)上記の(1)から(15)の何れかの遊技機において、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機。
なかでも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に、識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体は、メダル、メダルなどが代表例として挙げられる。
【0388】
(17)上記の(1)から(15)の何れかの遊技機において、前記遊技機は、パチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機。
なかでも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に、識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、あるいは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段と、を備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
【符号の説明】
【0389】
10 スロットマシン
11 筐体本体
11a 天板
11b 底板
11c 背板
11d 左側板
11e 右側板
11f 仕切板
12 前面扉
13 上部ランプ
14 スピーカ
15 液晶ディスプレイ
16 下段プレート
17 メダル排出口
18 皿
20 施錠機構
24 直流安定
30 表示パネル
31(30L、30M、30R) 表示窓
32 ベットランプ
33 ベットランプ
34 ベットランプ
35 クレジット枚数表示部
36 ゲーム数表示部
37 獲得枚数表示部
40 操作部
40a 平面部
40b 縦壁部
41 1枚ベットボタン
42 2枚ベットボタン
43 マックスベットボタン
41a〜43a ベット操作検出センサ
44 クレジット精算ボタン
44a 切換操作検出センサ
45 スタートレバー
45a レバー操作検出センサ
46 ストップボタン
47 ストップボタン
48 ストップボタン
46a〜48a ストップ操作検出センサ
49 返却ボタン
50 メダル投入口
50a 投入メダル検出センサ
51 制御基板収容ボックス
52 ホッパ装置
52a メダル払出検出センサ
53 貯留タンク
54 誘導プレート
55 払出装置
56 電源装置
56a 電源部
56b 停電監視回路
57 メダル収容箱
60 リールユニット
61 リール
61L 左リール
61M 中リール
61R 右リール
65 セレクタ
66 貯留用通路
67 排出用通路
68 開口
70 円筒骨格部材
71 ボス部
72 ボス補強板
73 モータプレート
75 リールインデックスセンサ
75a 発光素子
75b 受光素子
76 第1センサカットバン
76a 先端部
76b 基端部
76e 終端部(基点位置)
76s 始端部(基点位置)
77 第2センサカットバン
77a 先端部
77e 終端部(基点位置)
77s 始端部(基点位置)
79 ステッピングモータ
80 メイン制御基板
81 MPU
82 入出力ポート
83 ROM
83a 励磁テーブル
84 RAM
84a チェックサム補正値用メモリ領域
84b スタックポインタ保存用メモリ領域
84c スベリテーブル
84d 払出予定枚数カウンタ
84e 払出枚数カウンタ
84f ウエイトタイマ
84g 加速カウンタ
84h 励磁順ポインタ
84i 図柄オフセット値
84j 図柄番号
84k 計時カウンタ
84m 残図柄カウンタ
84n 減速カウンタ
84p 減速ウエイトタイマ
84q 減算数
85 クロック回路
90 サブ制御基板
91 外部集中端子板
100 モータドライバ
122 設定キースイッチ
123 リセットスイッチ
123a リセット操作検出センサ
124 設定キー挿入孔
124a 設定キー操作検出センサ
790 ロータ
791 手前側ロータ
792 奥側ロータ
793 第1ポール
794 第2ポール
795 第3ポール
796 第4ポール
L0〜L3 励磁コイル
Ta 加速期間
Tb 定速期間
Tc 停止期間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の図柄が外周に付された複数の周回体と、
前記周回体各々の外周に付された複数の図柄のうちの一部を、それぞれ視認可能とする表示窓と、
前記各周回体の回転を開始させるべく操作される開始操作手段と、
前記開始操作手段の操作に基づいて、遊技における複数の入賞役への当否を決定する抽選手段と、
前記周回体毎に設けられて、前記周回体を回転駆動させる駆動手段と、
前記駆動手段による前記周回体の回転、停止を制御する駆動制御手段と、
前記周回体が停止したときの当該周回体の情報を含む遊技の進行に関する情報を記憶する記憶手段と、
前記複数の入賞役への当選確率として用意された複数の当選確率の設定値の中から、ひとつの設定値を選択する際に操作される設定操作手段と、
前記設定操作手段で選択された設定値を、前記複数の入賞役への当選確率の設定値として決定する設定値決定手段と、
前記当選確率の設定値が決定された場合に、前記記憶手段に記憶された情報を初期化する設定時初期化手段と、
前記当選確率の設定値が決定されて、設定時初期化手段による初期化が実行された場合に、前記周回体を回転駆動したのち、前記表示窓内に停止表示される各周回体の図柄の組合せが所定の図柄組合せとなる位置で、前記周回体を停止させる設定時周回体駆動手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記所定の図柄組合せとして、複数の図柄組合せが用意されており、
前記設定時周回体駆動手段は、前記複数の図柄組合せの中から選択された図柄組合せとなる位置で、前記周回体を停止させることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記設定時初期化手段は、
前記当選確率の設定値が決定された場合に、前記周回体の停止位置に関する情報を除いた他の情報を初期化することを特徴とする請求項2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記複数の図柄組合せの中からひとつを選択する選択手段を備え、
前記設定時周回体駆動手段は、前記選択手段で選択された図柄組合せとなる位置で、前記周回体を停止させ、
前記選択手段は、前記遊技機が備える切換スイッチであることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の遊技機。
【請求項5】
前記複数の図柄組合せの中からひとつを選択する選択手段を備え、
前記図柄組合せの選択は、前記設定操作手段で前記当選確率の設定値を設定したタイミングに基づいて、前記選択手段が、前記複数の図柄組合せの中からひとつを選択ことで実行されることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の遊技機。
【請求項6】
前記駆動手段が前記周回体を1回転させるまで駆動したか否かを判定する判定手段と、
前記周回体の1回転を検知する検知手段と、
前記駆動手段が前記周回体を1回転させるまで駆動したにもかかわらず、前記検知手段により前記周回体の1回転が検知されない場合に、異常を報知する異常報知手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【公開番号】特開2012−254241(P2012−254241A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130068(P2011−130068)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】