説明

遊技機

【課題】立体画像(3D画像)と非立体画像(2D画像)とを表示しても、非立体画像(2D画像)の鮮明度が低下して遊技者が見づらくなってしまうことを解消すること。
【解決手段】右目用画像と左目用画像からなる立体画像と非立体画像とを表示可能とされた表示体と、該表示体の前面に配置された視差形成体と、該視差形成体を、表示体の表示領域と重なる所定の配置位置と該表示領域と重ならない所定の退避位置とに移動させる移動手段と、表示体に非立体画像を表示するときには視差形成体を移動手段にて退避位置に移動させ、表示体に立体画像を表示するときには予め設定された所定の移動期間において視差形成体を移動手段にて配置位置に移動させる制御手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の遊技を行うことが可能とされ、立体画像と非立体画像とを表示可能な遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技に関連する立体画像と非立体画像とを表示可能な遊技機としては、右目用画像と左目用画像から成る立体画像を表示する表示装置の前にパララックスバリア部2を固定配置して、立体画像を表示する際にはパララックスバリア部2をストライプ状に不透明として、表示装置に表示される右目用画像と左目用画像を遊技者の右目または左目からのみ視認できるようする一方、非立体画像を表示する際にはパララックスバリア部2の全体を透明とするものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−313562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の遊技機にあっては、パララックスバリア部2となる液晶パネルの画素を全て透明とすることで、表示装置に表示される非立体画像を遊技者が視認することはできるものの、表示装置の前には、非立体画像の表示において不要なパララックスバリア部2が存在するので、これらパララックスバリア部2を透過した非立体画像を遊技者が視認するようになるため、非立体画像の鮮明度が低下して遊技者が見づらくなってしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、立体画像と非立体画像とを表示しても、非立体画像の鮮明度が低下して遊技者が見づらくなってしまうことを解消することのできる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技機は、
所定の遊技を行うことが可能な遊技機(スロットマシン1)であって、
右目用画像と左目用画像からなる立体画像と非立体画像(2次元(2D)画像)とを表示可能とされた表示体(液晶表示器51)と、
該表示体の表示領域の少なくとも一部と重なるように該表示体の前面に配置され、遊技者の左目による前記右目用画像の視認を阻止するとともに遊技者の右目による前記左目用画像の視認を阻止するための視差形成体(視差バリア用液晶表示器57)と、
該視差形成体を、前記表示体の表示領域と重なる所定の配置位置と該表示領域と重ならない所定の退避位置(格納位置)とに移動させる移動手段(スライドユニット500)と、
前記表示体の表示を制御する表示制御処理を実施するとともに、前記表示体に前記非立体画像を表示するときには前記視差形成体を前記移動手段にて前記退避位置に移動させ、前記表示体に前記立体画像を表示するときには、予め設定された所定の移動期間(フリーズ期間、1のゲームの開始から次のゲームの開始までの所定期間)において前記視差形成体を前記移動手段にて前記配置位置に移動させる視差形成体移動処理を実施する制御手段(サブCPU91a)と、
を備える、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、表示体に非立体画像が表示されるときには視差形成体が退避位置に移動されるようになるので、遊技者は、視差形成体を透過することなく、表示体に表示された非立体画像を直接視認できるようになるので、立体画像と非立体画像とを表示しても、非立体画像の鮮明度が低下して遊技者が見づらくなってしまうことを解消することができるとともに、視差形成体が所定の配置位置に配置されることで、立体画像への表示の切り替えタイミングを遊技者に明確に示すことができ、立体画像へ注目させることができる。また、視差形成体が移動する期間が予め定められた所定の移動期間として確保されているので、立体画像への表示の切り替えにおいても演出が不自然になってしまうことを回避できる。
【0007】
本発明の手段1の遊技機は、請求項1に記載の遊技機であって、
遊技の進行を制御する遊技制御手段(メインCPU41a)を備え、
前記制御手段(サブCPU91a)は、前記遊技制御手段による制御指示(各種コマンド)に基づいて前記表示制御処理を実施し、
前記遊技制御手段は、前記移動期間においては、遊技者の操作による遊技の進行を停止する進行停止制御(フリーズ制御)を実施する、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、移動期間において遊技者の操作による遊技の進行が停止される、つまり、遊技者が操作しても遊技が進行しなくなるので、遊技者は、立体画像への表示の切り替えタイミングをより一層明確に把握できるようになる。
【0008】
本発明の手段2の遊技機は、請求項1に記載の遊技機であって、
前記遊技機が、遊技用価値(メダルやクレジット)を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示装置(リール2L、2C、2R)に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了するスロットマシン(スロットマシン1)であって、
前記1ゲームの開始から次のゲームの開始までの期間内の所定期間(ゲーム開始から3秒)が前記移動期間として設定されている、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、所定の配置位置への視差形成体の移動が、1のゲームの開始から次のゲームが開始されるまでの期間内における所定期間において実施されるようになるので、これら視差形成体の移動と1ゲームの開始から次のゲームの開始までにおいて実施される演出とを連携させることが可能となるとともに、次のゲームにおいてその開始時点から立体画像を表示した演出を実施できる。
【0009】
本発明の手段3の遊技機は、請求項1、手段1、手段2のいずれかに記載の遊技機であって、
前記視差形成体(視差バリア用液晶表示器57)の遊技者側前方位置に、前記表示体(液晶表示器51)の表示領域と重なる遮蔽位置(閉位置)と該表示領域と重ならない格納位置(開位置)とに進退自在に設けられた遮蔽部材(シャッタ60a,60b)と、
該遮蔽部材の進退を行う遮蔽部材移動手段(シャッタ用モータ59a,59b)と、
を備え、
前記制御手段(サブCPU91a)は、少なくとも前記移動期間において前記遮蔽部材を前記遮蔽部材移動手段により前記遮蔽位置に移動させる制御を行う、
ことを特徴としている。
この特徴によれば、遮蔽部材が遮蔽位置に移動されることにより、表示体の表示が立体画像に切り替わることに対する期待感を遊技者に与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明を適用したスロットマシンの正面図である。
【図2】スロットマシンの内部構造図である。
【図3】リールの図柄配列を示す図である。
【図4】スロットマシンの構成を示すブロック図である。
【図5】入賞として定められた役の構成を示す図である。
【図6】遊技状態別の内部抽選の対象役及び当選確率を示す図である。
【図7】役別のフリーズ抽選の当選確率を示す図である。
【図8】実施例におけるフリーズ及びリール演出の制御状況を示すタイミングチャートである。
【図9】リール演出の実行状況を示す図である。
【図10】リール演出のパターン別の制御内容及び選択率を示す図である。
【図11】視差バリア用液晶表示器をスライド移動させる移動ユニットの構成を示す斜視図である。
【図12】スロットマシンの演出表示部の構成と、演出表示部における表示状態並びに遊技者の両眼による立体画像の視認状態を示す図である。
【図13】遊技者の目の位置変化と視差バリア用液晶表示器の表示状態との関係を示す図である。
【図14】遊技者の目の位置変化と視差バリア用液晶表示器の表示状態との関係を示す図である。
【図15】遊技者の目の位置変化と視差バリア用液晶表示器の表示状態との関係を示す図である。
【図16】遊技者の目の位置変化と視差バリア用液晶表示器の表示状態との関係を示す図である。
【図17】遊技者の目の位置変化と視差バリア用液晶表示器の表示状態との関係を示す図である。
【図18】サブ制御部91に記憶されている標準バリア画像テーブル並びに遊技者用バリア画像テーブルを示す図である。
【図19】(a)〜(c)は、サブ制御部91において実施される、画像認識処理の内容を示す説明図である。
【図20】(a)〜(c)は、透明前面板を透過することに生じる視差変化による影響を補正するための調整用画面を示す図である。
【図21】(a)〜(c)は、フリーズ中における視差バリア用液晶表示器の移動状況を示す図である。
【図22】(a)〜(c)は、シャッタ閉鎖における視差バリア用液晶表示器の移動状況を示す図である。
【図23】演出制御パターン別の制御内容及び出現率を示す図である。
【図24】その他の形態例を示す図である。を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る遊技機を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例】
【0012】
本発明が適用されたスロットマシンの実施例を図面を用いて説明すると、本実施例のスロットマシン1は、前面が開口する筐体1aと、この筐体1aの側端に回動自在に枢支された前面扉1bと、から構成されている。
【0013】
本実施例のスロットマシン1の筐体1aの内部には、図2に示すように、外周に複数種の図柄が配列されたリール2L、2C、2R(以下、左リール、中リール、右リール)が水平方向に並設されており、図1に示すように、これらリール2L、2C、2Rに配列された図柄のうち連続する3つの図柄が前面扉1bに設けられた透視窓3から見えるように配置されている。
【0014】
リール2L、2C、2Rの外周部には、図3に示すように、それぞれ「黒7」、「網7(図中網掛け7)」、「白7」、「BAR」、「リプレイ」、「スイカ」、「黒チェリー」、「白チェリー」、「ベル」、「オレンジ」といった互いに識別可能な複数種類の図柄が所定の順序で、それぞれ21個ずつ描かれている。リール2L、2C、2Rの外周部に描かれた図柄は、透視窓3において各々上中下三段に表示される。
【0015】
各リール2L、2C、2Rは、各々対応して設けられリールモータ32L、32C、32R(図4参照)によって回転させることで、各リール2L、2C、2Rの図柄が透視窓3に連続的に変化しつつ表示されるとともに、各リール2L、2C、2Rの回転を停止させることで、透視窓3に3つの連続する図柄が表示結果として導出表示されるようになっている。
【0016】
リール2L、2C、2Rの内側には、リール2L、2C、2Rそれぞれに対して、基準位置を検出するリールセンサ33L、33C、33Rと、リール2L、2C、2Rを背面から照射するリールLED55と、が設けられている。また、リールLED55は、リール2L、2C、2Rの連続する3つの図柄に対応する12のLEDからなり、各図柄をそれぞれ独立して照射可能とされている。
【0017】
前面扉1bにおける各リール2L,2C,2Rに対応する位置には、リール2L,2C,2Rを前面側から透視可能とする横長長方形状の透視窓3が設けられており、該透視窓3を介して遊技者側から各リール2L,2C,2Rが視認できるようになっている。
【0018】
前面扉1bには、メダルを投入可能なメダル投入部4、メダルが払い出されるメダル払出口9、クレジット(遊技者所有の遊技用価値として記憶されているメダル数)を用いて、その範囲内において遊技状態に応じて定められた規定数の賭数のうち最大の賭数(本実施例ではいずれの遊技状態においても3)を設定する際に操作されるMAXBETスイッチ6、クレジットとして記憶されているメダル及び賭数の設定に用いたメダルを精算する(クレジット及び賭数の設定に用いた分のメダルを返却させる)際に操作される精算スイッチ10、ゲームを開始する際に操作されるスタートスイッチ7、リール2L、2C、2Rの回転を各々停止する際に操作されるストップスイッチ8L、8C、8R、演出に用いるための十字キーから成る演出用スイッチ56が遊技者により操作可能にそれぞれ設けられている。
【0019】
また、前面扉1bには、クレジットとして記憶されているメダル枚数が表示されるクレジット表示器11、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12、賭数が1設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14、賭数が2設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15、賭数が3設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18、ウェイト(前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態)中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20が設けられた遊技用表示部13が設けられている。
【0020】
MAXBETスイッチ6の内部には、MAXBETスイッチ6の操作による賭数の設定操作が有効である旨を点灯により報知するBETスイッチ有効LED21(図4参照)が設けられており、ストップスイッチ8L、8C、8Rの内部には、該当するストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効である旨を点灯により報知する左、中、右停止有効LED22L、22C、22R(図4参照)がそれぞれ設けられている。
【0021】
前面扉1bの内側には、所定のキー操作により後述するエラー状態及び後述する打止状態を解除するためのリセット操作を検出するリセットスイッチ23、後述する設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値が表示される設定値表示器24、後述のBB終了時に打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択するための打止スイッチ36a、後述のBB終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算(返却)する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択するための自動精算スイッチ36b、メダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a(図2参照)側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替えるための流路切替ソレノイド30、メダル投入部4から投入され、ホッパータンク34a側に流下したメダルを検出する投入メダルセンサ31を有するメダルセレクタ(図示略)、前面扉1bの開放状態を検出するドア開放検出スイッチ25(図4参照)が設けられている。
【0022】
筐体1a内部には、図2に示すように、前述したリール2L、2C、2R、リールモータ32L、32C、32R、各リール2L、2C、2Rのリール基準位置をそれぞれ検出可能なリールセンサ33L、33C、33R(図4参照)からなるリールユニット2、外部出力信号を出力するための外部出力基板1000、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34a、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34b、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cからなるホッパーユニット34、電源ボックス100が設けられている。
【0023】
ホッパーユニット34の側部には、ホッパータンク34aから溢れたメダルが貯留されるオーバーフロータンク35が設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定量のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられており、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルを介して接触することにより導電したときに内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわちオーバーフロータンクが満タン状態となったことを検出できるようになっている。
【0024】
電源ボックス100の前面には、設定変更状態または設定確認状態に切り替えるための設定キースイッチ37、通常時においてはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更状態においては後述する内部抽選の当選確率(出玉率)の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38、電源をon/offする際に操作される電源スイッチ39が設けられている。
【0025】
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1〜L5(図1参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施例では、規定数の賭数として遊技状態に関わらず3枚が定められて規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1〜L5が有効となる。尚、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。
【0026】
入賞ラインとは、各リール2L、2C、2Rの透視窓3に表示された図柄の組合せが入賞図柄の組合せであるかを判定するために設定されるラインである。本実施例では、図1に示すように、各リール2L、2C、2Rの中段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL1、各リール2L、2C、2Rの上段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL2、各リール2L、2C、2Rの下段に並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL3、リール2Lの上段、リール2Cの中段、リール2Rの下段、すなわち右下がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL4、リール2Lの下段、リール2Cの中段、リール2Rの上段、すなわち右上がりに並んだ図柄に跨って設定された入賞ラインL5の5種類が入賞ラインとして定められている。
【0027】
ゲームが開始可能な状態でスタートスイッチ7を操作すると、各リール2L、2C、2Rが回転し、各リール2L、2C、2Rの図柄が連続的に変動する。この状態でいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すると、対応するリール2L、2C、2Rの回転が停止し、透視窓3に表示結果が導出表示される。
【0028】
そして全てのリール2L、2C、2Rが停止されることで1ゲームが終了し、有効化され入賞ライン上に予め定められた図柄の組合せ(以下、役とも呼ぶ)が各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には入賞が発生し、その入賞に応じて定められた枚数のメダルが遊技者に対して付与され、クレジットに加算される。また、クレジットが上限数(本実施例では50)に達した場合には、メダルが直接メダル払出口9(図1参照)から払い出されるようになっている。尚、有効化され複数の入賞ライン上にメダルの払出を伴う図柄の組合せが揃った場合には、有効化され入賞ラインに揃った図柄の組合せそれぞれに対して定められた払出枚数を合計し、合計した枚数のメダルが遊技者に対して付与されることとなる。ただし、1ゲームで付与されるメダルの払出枚数には、上限(本実施例では15枚)が定められており、合計した払出枚数が上限を超える場合には、上限枚数のメダルが付与されることとなる。また、有効化され入賞ライン上に、遊技状態の移行を伴う図柄の組合せが各リール2L、2C、2Rの表示結果として停止した場合には図柄の組合せに応じた遊技状態に移行するようになっている。
【0029】
図4は、スロットマシン1の構成を示すブロック図である。スロットマシン1には、図4に示すように、遊技制御基板40、演出制御基板90、電源基板101が設けられており、遊技制御基板40によって遊技状態が制御され、演出制御基板90によって遊技状態に応じた演出が制御され、電源基板101によってスロットマシン1を構成する電気部品の駆動電源が生成され、各部に供給される。
【0030】
電源基板101には、外部からAC100Vの電源が供給されるとともに、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する電気部品の駆動に必要な直流電圧が生成され、遊技制御基板40及び遊技制御基板40を介して接続された演出制御基板90に供給されるようになっている。
【0031】
また、電源基板101には、前述したホッパーモータ34b、払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38、電源スイッチ39が接続されている。
【0032】
遊技制御基板40には、前述したMAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8R、精算スイッチ10、リセットスイッチ23、打止スイッチ36a、自動精算スイッチ36b、投入メダルセンサ31、ドア開放検出スイッチ25、リールセンサ33L、33C、33Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述した払出センサ34c、満タンセンサ35a、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38が接続されており、これら接続されたスイッチ類の検出信号が入力されるようになっている。
【0033】
また、遊技制御基板40には、前述したクレジット表示器11、遊技補助表示器12、ペイアウト表示器13、1〜3BETLED14〜16、投入要求LED17、スタート有効LED18、ウェイト中LED19、リプレイ中LED20、BETスイッチ有効LED21、左、中、右停止有効LED22L、22C、22R、設定値表示器24、流路切替ソレノイド30、リールモータ32L、32C、32Rが接続されているとともに、電源基板101を介して前述したホッパーモータ34bが接続されており、これら電気部品は、遊技制御基板40に搭載された後述のメイン制御部41の制御に基づいて駆動されるようになっている。
【0034】
遊技制御基板40には、メインCPU41a、ROM41b、RAM41c、I/Oポート41dを備えたマイクロコンピュータからなり、遊技の制御を行うメイン制御部41、所定範囲(本実施例では0〜65535)の乱数を生成する乱数回路42、一定周波数のクロック信号を乱数回路42に供給するパルス発振器43、遊技制御基板40に直接または電源基板101を介して接続されたスイッチ類から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路44、リールモータ32L、32C、32Rの駆動制御を行うモータ駆動回路45、流路切替ソレノイド30の駆動制御を行うソレノイド駆動回路46、遊技制御基板40に接続された各種表示器やLEDの駆動制御を行うLED駆動回路47、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をメイン制御部41に対して出力する電断検出回路48、電源投入時またはメインCPU41aからの初期化命令が入力されないときにメインCPU41aにリセット信号を与えるリセット回路49、その他各種デバイス、回路が搭載されている。
【0035】
メインCPU41aは、計時機能、タイマ割込などの割込機能(割込禁止機能を含む)を備え、ROM41bに記憶されたプログラム(後述)を実行して、遊技の進行に関する各種の制御処理を行うととともに、遊技制御基板40に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。ROM41bは、メインCPU41aが実行するプログラムや各種テーブル等の固定的なデータを記憶する。RAM41cは、メインCPU41aがプログラムを実行する際のワーク領域等として使用される。I/Oポート41dは、メイン制御部41が備える信号入出力端子を介して接続された各回路との間で制御信号を入出力する。
【0036】
また、メイン制御部41には、停電時においてもバックアップ電源が供給されており、バックアップ電源が供給されている間は、RAM41cに記憶されているデータが保持されるようになっている。
【0037】
メインCPU41aは、基本処理として遊技制御基板40に接続された各種スイッチ類の検出状態が変化するまでは制御状態に応じた処理を繰り返しループし、各種スイッチ類の検出状態の変化に応じて段階的に移行する処理を実行する。また、メインCPU41aは、前述のように割込機能を備えており、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行できるようになっており、電断検出回路48から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(メイン)を実行し、一定時間間隔(本実施例では、約0.56ms)毎にタイマ割込処理(メイン)を実行する。尚、タイマ割込処理(メイン)の実行間隔は、基本処理において制御状態に応じて繰り返す処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間に設定されており、今回と次回のタイマ割込処理(メイン)との間で必ず制御状態に応じて繰り返す処理が最低でも一巡することとなる。
【0038】
メインCPU41aは、I/Oポート41dを介して演出制御基板90に、各種のコマンドを送信する。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドは一方向のみで送られ、演出制御基板90から遊技制御基板40へ向けてコマンドが送られることはない。遊技制御基板40から演出制御基板90へ送信されるコマンドの伝送ラインは、ストローブ(INT)信号ライン、データ伝送ライン、グラウンドラインから構成されているとともに、演出中継基板80を介して接続されており、遊技制御基板40と演出制御基板90とが直接接続されない構成とされている。
【0039】
演出制御基板90には、演出用スイッチ56が接続されており、この演出用スイッチ56における十字キーの各方向に対応する検出信号が入力されることで、演出制御基板90が遊技者による操作の有無や操作による指定方向を把握できるようになっている。
【0040】
また、演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図1参照)、該液晶表示器51に重なる遊技者側前方の配置位置と液晶表示器51に重ならない側方の格納位置との間をスライド移動可能とされた視差バリア用液晶表示器57と、該視差バリア用液晶表示器57を移動させるためのスライドモータ58と、液晶表示器51の表示領域を開閉する左右のシャッタ60a,60bを開閉するためのシャッタ用モータ59a,59bと、図1に示すように、液晶表示器51の直下中央位置に設けられた単焦点の赤外線カメラ61と、演出効果LED52、スピーカ53、54(図1、4参照)、前述したリールLED55等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。また、赤外線カメラ60によって当該スロットマシン1を遊技中の遊技者の顔画像を撮像できるようになっている。
【0041】
尚、本実施例では、遊技者の顔画像を、可能な限り正面位置から撮像することで、焦点制御に基づく距離特定の精度を向上するように、赤外線カメラ61を液晶表示器51の直下中央位置に設けるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら赤外線カメラ60の配置位置や配置数は、使用するカメラの精度や前面扉1bの形状等に応じて適宜に決定すれば良い。
【0042】
また、本実施例では、遊技者(人体)を容易に識別するとともに、他の周囲部に比較して温度のやや低い目(眼球)の部分を特定し易いことから赤外線カメラを使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら赤外線カメラ61に代えて、通常の可視光カメラを使用したり、或いは、赤外線カメラ61とともに可視光カメラを併用するようにしても良いし、可視光カメラとともにサーモグラフィカメラを使用するようにしても良い。
【0043】
また、本実施例においては、液晶表示器51を用いた例について説明するが、本発明はこれに限らず、演出画像の表示を行う画像表示用のデバイスとしては、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクスLED、有機或いは無機のエレクトロルミネッセンス(EL)パネル等のその他の画像表示形態の表示装置により構成されてもよい。
【0044】
また、本実施例では、演出制御基板90に搭載されたサブ制御部91により、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の演出装置の出力制御が行われる構成であるが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載し、サブ制御部91がメイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを決定し、サブ制御部91が決定した出力パターンに基づいて出力制御部が演出装置の出力制御を行う構成としても良く、このような構成では、サブ制御部91及び出力制御部の双方によって演出装置の出力制御が行われることとなる。
【0045】
また、本実施例では、演出装置として液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55を例示しているが、演出装置は、これらに限られず、例えば、機械的に駆動する表示装置や機械的に駆動する役モノなどを演出装置として適用しても良い。
【0046】
また、液晶表示器51には、2次元(2D)画像や立体(3D)画像を表示するための画像表示用のデバイスであり、その背面には、図示しないバックライトを有している。液晶表示器51の前面側には、該液晶表示器51と所定間隔を有してスライド(水平)移動可能な視差バリア用液晶表示器57が設けられており、該視差バリア用液晶表示器57に後述するように、液晶表示器51に縦長短冊状に表示される右目用画像を遊技者の左目が視認すること並びに左目用画像を遊技者の右目が視認することを阻止するシャッタとなる縦縞状の黒部と、右目用画像を遊技者の右目が視認すること並びに左目用画像を遊技者の左目が視認することを可能とする透明部とを有する視差バリア画像が表示されることにより、パララックスバリア方式の裸眼立体表示が可能とされている。
【0047】
尚、視差バリア用液晶表示器57は、上記した視差バリア画像の表示状態以外に、縦縞状の黒部を有さない、全ての画素が透明部とされた透過状態の表示状態とすることも可能とされた比較的光透明性の高い液晶パネルとされている。
【0048】
つまり、本実施例の視差バリア用液晶表示器57は、遊技者の左目による右目用画像の視認を阻止するとともに遊技者の右目による左目用画像の視認を阻止するための視差バリアを含む視差バリア表示と、該視差バリアを表示しない全透過表示とが可能とされている。
【0049】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51や視差バリア用液晶表示器57の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、シャッタ用モータ59a,59b並びにスライドモータ58を成すステッピングモータ(パルスモータ)の駆動制御を行うモータ駆動回路99と、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路96、日付情報及び時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、液晶表示器51や視差バリア用液晶表示器57の前面に設けられている透明なアクリル製の保護パネルによる視差を補正する補正データの入出力等を行うための入出力ポート90’、その他の回路等、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。
【0050】
尚、入出力ポート90’から入力される補正データに基づいて補正された視差バリア画像が視差バリア用液晶表示器57に表示されることで、アクリル製の保護パネルを透過することにより生じる視差変化があっても、透明な保護パネルがない場合と同様の良好な立体画像を表示することができるようになっている。
【0051】
また、ROM91bには、単焦点の赤外線カメラ61における焦点調整の調整位置と距離Dとの関係を示す距離データテーブルが記憶されており、焦点が合った時点の調整位置情報に対応して距離データテーブルに記憶されている距離Dが、その時点における遊技者の目の位置から液晶表示器51までの距離Dとして特定される。
【0052】
さらにROM91bには、上記した距離データテーブルに加えて、図18(a)に示す標準バリア画像テーブルが記憶されていおり、該標準バリア画像テーブルには、遊技者の各視点位置(X、D)に対応付けて、視差バリア画像情報と視差バリア画像データとが記憶されている。
【0053】
サブCPU91aは、メインCPU41aと同様に、割込機能(割込禁止機能を含む)を備える。サブ制御部91の割込端子の1つは、コマンド伝送ラインのうち、メイン制御部41がコマンドを送信する際に出力するストローブ(INT)信号線に接続されており、サブCPU91aは、ストローブ信号の入力に基づいて割込を発生させて、メイン制御部41からのコマンドを取得し、バッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。また、サブCPU91aは、クロック入力数が一定数に到達する毎、すなわち一定間隔毎に割込を発生させて後述するタイマ割込処理(サブ)を実行する。また、サブ制御部91の割込端子の1つは、電断検出回路98と接続されており、サブCPU91aは、電断検出回路98から出力された電圧低下信号の入力に応じて電断割込処理(サブ)を実行する。また、サブCPU91aにおいても未使用の割込が発生した場合には、もとの処理に即時復帰させる未使用割込処理を実行するようになっている。
【0054】
また、本実施例では、シャッタ用モータ59a,59bやスライドモータ58として、出力するパルス数に応じて移動位置が決定されることにより位置制御が容易なステッピングモータ(パルスモータ)を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらモータとしては、パルスモータ以外のモータを使用しても良い。
【0055】
ここで、液晶表示器51が配置されるとともに、視差バリア用液晶表示器57をスライドさせるスライドユニット500の構成について、図11を用いて説明する。
【0056】
図11に示すように、スライドユニット500は、中央に横長長方形状の開口503が形成された四角横長枠状の枠板502と、枠板502の前面側に左右方向に移動可能に設けられ、視差バリア用液晶表示器57を保持可能とされた枠ホルダ508と、枠板502の下端所定位置に設けられ、枠ホルダ508をスライド移動させるためのスライドモータ58と、から主に構成され、枠板502の背面側には、液晶表示器51の表示画面が開口503を通して目視できるように液晶表示器51が固定配置されている。
【0057】
枠板502はの四隅位置には、固定孔504が穿設されており、該固定孔504に挿通される固定ネジにより、シャッタ60a,60bの背面側に設けられた固定用の柱状突起(図示せず)に、前面扉1bの振動がスライドユニット500に伝搬されることを防止するための図示しないゴム部材を介して固定されている。
【0058】
尚、本実施例では、弾性部材としてゴム部材を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら弾性部材は、リールの回動やメダルの払い出し並びにスピーカ53、54からの音出力等による前面扉1b振動が、立体(3D)画像の表示を行う液晶表示器51並びに視差バリア用液晶表示器57に伝播されることを防止できるものであれば良く、これらゴム部材に代えて、シリコーンゲル等から成るシートや発泡スポンジ等も好適に使用することができる。
【0059】
枠ホルダ508は、視差バリア用液晶表示器57の表示部と同形状の開口を有する額縁状をなす枠状体とされており、枠ホルダ508の上下辺中央位置からは、後述する案内部材520H,520Lを取り付けるための取付片508a,508bが上向きと下向きに形成されている。
【0060】
枠ホルダ508は、枠板502の左側部位置に配置される格納位置(図21(a)参照)と、液晶表示器51の中央表示領域を覆うように液晶表示器51の前面に配置される配置位置(図21(c)参照)と、の間で水平移動可能に設けられ、該枠ホルダ508の内部に保持される視差バリア用液晶表示器57が枠ホルダ508の移動に伴って、格納位置と配置位置とを移動する。
【0061】
枠ホルダ508の上辺の取付片508aには、縦断面コ字形をなす棒状の案内部材520Hが取り付けられるとともに、下辺の取付片508bには、縦断面コ字形をなす棒状の案内部材520Lが右方に向けて延びるように取り付けられる。
【0062】
案内部材520Lの下面には、後述する駆動用ピニオンギヤ58’に噛合する駆動用ラックギヤ526が長手方向にわたり形成されている。
【0063】
案内部材520Hの背面には、枠板502の前面上辺に突設された左右方向に延びる案内片522Hに嵌合される案内溝523Hが長手方向にわたり形成されており、案内片522Hにより案内部材520Hが左右方向に移動案内されるようになっている。また、案内部材520Lの背面にも、枠板502の前面下辺に案内片522Hに対して平行に設けられた左右方向に延びる案内片522Lに嵌合される案内溝523Lが長手方向にわたり形成されており、案内片522Lにより案内部材520Lが左右方向に移動案内されるようになっている。
【0064】
案内部材520H,520Lは、被取付片527a,527bの前面に枠ホルダ508の上下の取付片508a,508bを配置した状態で枠ホルダ508に取り付けられる。
【0065】
開口503の上下に配置された案内部材520H,520Lは、それぞれの案内溝523H,523L内に左右方向を向く案内片522H,522Lを嵌合させることで、左右方向に摺動可能に案内される。尚、これら案内部材520H,520Lの前面は、シャッタ60a,60bとの間に配置された図示しないカバー部材により覆われることで、遊技者からの視認が防止されるようになっている。
【0066】
案内部材520Lに形成された駆動用ラックギヤ526は、枠板502の下端辺沿って配設され、スライドモータ58にて駆動される従動ピニオンギヤ58’に噛合する。
【0067】
よって、スライドモータ58が正回転することにより、従動ピニオンギヤ58’が回転駆動し、これに噛合する案内部材520Lが右方向に移動する。つまり、案内部材520Lに連結されている枠ホルダ508は開口503の左側の格納位置から配置位置に向けて水平移動する。
【0068】
また、スライドモータ58が逆回転すると、案内部材520Lは左方向に水平移動して枠ホルダ508が配置位置から格納位置に向けて左方向に移動する。
【0069】
このようにスライドモータ58の回転を、サブCPU91aからの指示に基づいてモータ駆動回路99が制御することで、枠ホルダ508に保持されている視差バリア用液晶表示器57が、図21(a)に示すように、サブCPU91aからの指示に基づいて表示制御回路92によって液晶表示器51に2次元(2D)画像が表示されているときには、液晶表示器51の表示領域に重ならない、該表示領域の左側部位置に格納されることで、遊技者は、視差バリア用液晶表示器57を透過しない、鮮明な2次元(2D)画像を直接視認することができるとともに、サブCPU91aからの指示に基づいて表示制御回路92によって液晶表示器51に立体(3D)画像が表示されているときには、液晶表示器51の表示領域と重なる配置位置に配置されることで、該配置された視差バリア用液晶表示器57によって遊技者は視差画像を視認できるようになるので、立体(3D)画像を視認することができる。
【0070】
つまり、サブCPU91aと表示制御回路92とモータ駆動回路99とが共動することで、液晶表示器51に2次元(2D)画像を表示するときには視差バリア用液晶表示器57をスライドユニット500にて格納位置に移動させ、液晶表示器51に立体(3D)画像を表示するときには視差バリア用液晶表示器57をスライドユニット500にて配置位置に移動させる移動処理を実施する。
【0071】
尚、これら視差バリア用液晶表示器57の移動は、所定の移動期間、具体的には、図21、図22に示すように、フリーズに期間中またはシャッタ60a,60bが閉鎖されている1ゲームの期間中において実施される。
【0072】
本実施例のスロットマシン1は、設定値に応じてメダルの払出率が変わるものである。詳しくは、後述する内部抽選において設定値に応じた当選確率を用いることにより、メダルの払出率が変わるようになっている。設定値は1〜6の6段階からなり、6が最も払出率が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど払出率が低くなる。すなわち設定値として6が設定されている場合には、遊技者にとって最も有利度が高く、5、4、3、2、1の順に値が小さくなるほど有利度が段階的に低くなる。
【0073】
設定値を変更するためには、設定キースイッチ37をON状態としてからスロットマシン1の電源をONする必要がある。設定キースイッチ37をON状態として電源をONすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示値として表示され、リセット/設定スイッチ38の操作による設定値の変更操作が可能な設定変更状態に移行する。設定変更状態において、リセット/設定スイッチ38が操作されると、設定値表示器24に表示された表示値が1ずつ更新されていく(設定6からさらに操作されたときは、設定1に戻る)。そして、スタートスイッチ7が操作されると表示値を設定値として確定する。そして、設定キースイッチ37がOFFされると、確定した表示値(設定値)がメイン制御部41のRAM41cに格納され、遊技の進行が可能な状態に移行する。
【0074】
また、設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37をON状態とすれば良い。このような状況で設定キースイッチ37をON状態とすると、設定値表示器24にRAM41cから読み出された設定値が表示されることで設定値を確認可能な設定確認状態に移行する。設定確認状態においては、ゲームの進行が不能であり、設定キースイッチ37をOFF状態とすることで、設定確認状態が終了し、ゲームの進行が可能な状態に復帰することとなる。
【0075】
本実施例のスロットマシン1においては、メインCPU41aが電断検出回路48からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(メイン)を実行する。電断割込処理(メイン)では、レジスタを後述するRAM41cのスタックに退避し、RAM41cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データ(本実施例では、5AH)、すなわち0以外の特定のデータを格納するとともに、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM41cに格納する処理を行うようになっている。尚、RAMパリティとはRAM41cの該当する領域(本実施例では、全ての領域)の各ビットに格納されている値の排他的論理和として算出される値である。このため、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0であれば、RAMパリティ調整用データは0となり、RAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが1であれば、RAMパリティ調整用データは1となる。
【0076】
そして、メインCPU41aは、その起動時においてRAM41cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算するとともに、破壊診断用データの値を確認し、RAMパリティが0であり、かつ破壊診断用データの値も正しいことを条件に、RAM41cに記憶されているデータに基づいてメインCPU41aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)や破壊診断用データの値が正しくない場合には、RAM異常と判定し、RAM異常エラーコードをレジスタにセットしてRAM異常エラー状態に制御し、遊技の進行を不能化させるようになっている。尚、RAM異常エラー状態は、他のエラー状態と異なり、リセットスイッチ23やリセット/設定スイッチ38を操作しても解除されないようになっており、前述した設定変更状態において新たな設定値が設定されるまで解除されることがない。
【0077】
尚、本実施例では、RAM41cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、メインCPU41aは、電源投入時においてRAM41cのデータが正常であると判定した場合に、RAM41cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM41cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としても良い。
【0078】
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であれば良く、例えば、入力ポートの状態などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。
【0079】
また、サブCPU91aも電断検出回路98からの電圧低下信号を検出した際に、電断割込処理(サブ)を実行する。電断割込処理(サブ)では、レジスタを後述するRAM91cのスタックに退避し、RAM91cにいずれかのビットが1となる破壊診断用データを格納するとともに、RAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づくRAMパリティが0となるようにRAMパリティ調整用データを計算し、RAM91cに格納する処理を行うようになっている。
【0080】
そして、サブCPU91aは、その起動時においてRAM91cの全ての領域に格納されたデータに基づいてRAMパリティを計算し、RAMパリティが0であることを条件に、RAM91cに記憶されているデータに基づいてサブCPU91aの処理状態を電断前の状態に復帰させるが、RAMパリティが0でない場合(1の場合)には、RAM異常と判定し、RAM91cを初期化するようになっている。この場合、メインCPU41aと異なり、RAM91cが初期化されるのみで演出の実行が不能化されることはない。
【0081】
尚、本実施例では、RAM91cに格納されている全てのデータが停電時においてもバックアップ電源により保持されるとともに、サブCPU91aは、電源投入時においてRAM91cのデータが正常であると判定した場合に、RAM91cの格納データに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成であるが、RAM91cに格納されているデータのうち停電時において制御状態の復帰に必要なデータのみをバックアップし、電源投入時においてバックアップされているデータに基づいて電断前の制御状態に復帰する構成としても良い。
【0082】
また、電源投入時において電断前の制御状態に復帰させる際に、全ての制御状態を電断前の制御状態に復帰させる必要はなく、遊技者に対して不利益とならない最低限の制御状態を復帰させる構成であれば良く、入力ポートの状態や、演出が途中で中断された場合の途中経過などを全て電断前の状態に復帰させる必要はない。例えば、BB中か、通常遊技状態か、などの遊技状態を示すデータのみをバックアップするとともに、遊技状態に対応する演出(BB中であればBB中演出、通常遊技状態であれば通常演出)以外の特定の演出(小役告知など)の実行中に電断が発生した場合に、次回電源投入時において電断時に実行されていた特定の演出を再開するのではなく、電源投入時においてバックアップされている遊技状態に対応する演出を最初から実行するようにしても良い。
【0083】
次に、メイン制御部41のRAM41cの初期化について説明する。メイン制御部41のRAM41cの格納領域は、重要ワーク、一般ワーク、特別ワーク、設定値ワーク、停止相ワーク、非保存ワーク、未使用領域、スタック領域に区分されている。
【0084】
重要ワークは、各種表示器やLEDの表示用データ、I/Oポート41dの入出力データ、遊技時間の計時カウンタ等、BB終了時に初期化すると不都合があるデータが格納されるワークである。一般ワークは、停止制御テーブル、停止図柄、メダルの払出枚数、BB中のメダル払出総数等、BB終了時に初期化可能なデータが格納されるワークである。特別ワークは、演出制御基板90へコマンドを送信するためのデータ、各種ソフトウェア乱数等、設定開始前にのみ初期化されるデータが格納されるワークである。設定値ワークは、内部抽選処理で抽選を行う際に用いる設定値が格納されるワークであり、設定開始前(設定変更モードへの移行前)の初期化において0が格納された後、1に補正され、設定終了時(設定変更モードへの終了時)に新たに設定された設定値が格納されることとなる。停止相ワークは、リールモータ32L、32C、32Rの停止相を示すデータが格納されるワークであり、リールモータ32L、32C、32Rが停止状態となった際にその停止相を示すデータが格納されることとなる。非保存ワークは、各種スイッチ類の状態を保持するワークであり、起動時にRAM41cのデータが破壊されているか否かに関わらず必ず値が設定されることとなる。未使用領域は、RAM41cの格納領域のうち使用していない領域であり、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなる。スタック領域は、メインCPU41aのレジスタから退避したデータが格納される領域であり、このうちの未使用スタック領域は、未使用領域と同様に、後述する複数の初期化条件のいずれか1つでも成立すれば初期化されることとなるが、使用中スタック領域は、プログラムの続行のため、初期化されることはない。
【0085】
本実施例においてメインCPU41aは、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がONの状態での起動時、RAM異常エラー発生時、設定キースイッチ37のみがONの状態での起動時、BB終了時、設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がOFFの状態での起動時においてRAM41cのデータが破壊されていないとき、1ゲーム終了時の6つからなる初期化条件が成立した際に、各初期化条件に応じて初期化される領域の異なる5種類の初期化を行う。
【0086】
初期化0は、起動時において設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がONの状態であり、設定変更モードへ移行する場合において、その前に行う初期化、またはRAM異常エラー発生時に行う初期化であり、初期化0では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域を除く全ての領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)が初期化される。初期化1は、起動時において設定キースイッチ37のみがONの状態であり、設定変更モードへ移行する場合において、その前に行う初期化であり、初期化1では、RAM41cの格納領域のうち、使用中スタック領域及び停止相ワークを除く全ての領域(未使用領域及び未使用スタック領域を含む)が初期化される。初期化2は、BB終了時に行う初期化であり、初期化2では、RAM41cの格納領域のうち、一般ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化3は、起動時において設定キースイッチ37、リセット/設定スイッチ38の双方がOFFの状態であり、かつRAM41cのデータが破壊されていない場合において行う初期化であり、初期化3では、非保存ワーク、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。初期化4は、1ゲーム終了時に行う初期化であり、初期化4では、RAM41cの格納領域のうち、未使用領域及び未使用スタック領域が初期化される。
【0087】
尚、本実施例では、初期化0、初期化1を設定変更モードの移行前に行っているが、設定変更モードの終了時、すなわち設定が確定した後に行うようにしても良い。この場合、設定値ワークを初期化してしまうと確定した設定値が失われてしまうこととなるので、設定値ワークの初期化は行われない。
【0088】
本実施例のスロットマシン1は、前述のように遊技状態に応じて設定可能な賭数の規定数が定められており、遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されたことを条件にゲームを開始させることが可能となる。本実施例では、後に説明するが、遊技状態として、レギュラーボーナス(以下ではRBと称す)、通常遊技状態があり、いずれの遊技状態であっても賭数の規定数として3が定められており、遊技状態に関わらず、賭数として3が設定されるとゲームを開始させることが可能となる。尚、本実施例では、遊技状態に応じた規定数の賭数が設定された時点で、入賞ラインL1〜L5の全てが有効化されることとなる。
【0089】
本実施例のスロットマシン1は、全てのリール2L、2C、2Rが停止した際に、有効化された入賞ライン(以下、単に入賞ラインと呼ぶ)上に役と呼ばれる図柄の組合せが揃うと入賞となる。役は、同一図柄の組合せであっても良いし、異なる図柄を含む組合せであっても良い。入賞となる役の種類は、遊技状態に応じて定められているが、大きく分けて、メダルの払い出しを伴う小役と、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始可能となる再遊技役と、遊技状態の移行を伴う特別役と、がある。以下では、小役と再遊技役をまとめて一般役とも呼ぶ。遊技状態に応じて定められた各役の入賞が発生するためには、後述する内部抽選に当選して、当該役の当選フラグがRAM41cに設定されている必要がある。
【0090】
尚、これら各役の当選フラグのうち、小役及び再遊技役の当選フラグは、当該フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効とされ、次のゲームでは無効となるが、特別役の当選フラグは、当該フラグにより許容された役の組合せが揃うまで有効とされ、許容された役の組合せが揃ったゲームにおいて無効となる。すなわち特別役の当選フラグが一度当選すると、例え、当該フラグにより許容された役の組合せを揃えることができなかった場合にも、その当選フラグは無効とされずに、次のゲームへ持ち越されることとなる。
【0091】
このスロットマシン1における役としては、図5に示すように、特別役としてビッグボーナス(1)〜(3)(以下ではビッグボーナス(1)をBB(1)、ビッグボーナス(2)をBB(2)、ビッグボーナス(3)をBB(3)とする)が、小役としてチェリー、スイカ、ベルが、再遊技役としてリプレイが定められている。
【0092】
チェリーは、いずれの遊技状態においても右リールについて入賞ラインのいずれかに「白チェリー」の図柄が導出されたときに入賞となり、1枚のメダルが払い出される。尚、「白チェリー」の図柄が右リールの上段または下段に停止した場合には、入賞ラインL2、L5または入賞ラインL3、L4の2本の入賞ラインにチェリーの組合せが揃うこととなり、2本の入賞ライン上でチェリーに入賞したこととなるので、2枚のメダルが払い出されることとなる。
【0093】
スイカは、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「スイカ−スイカ−スイカ」または「スイカ−スイカ−BAR」の組合せが揃ったときに入賞となり、9枚のメダルが払い出される。
【0094】
ベルは、いずれの遊技状態においても入賞ラインのいずれかに「ベル−ベル−ベル」の組合せが揃ったときに入賞となり、9枚のメダルが払い出される。
【0095】
リプレイは、通常遊技状態において入賞ラインに「リプレイ−リプレイ−リプレイ」、「BAR−リプレイ−リプレイ」、「黒7−リプレイ−リプレイ」の組合せが揃ったときに入賞となる。リプレイが入賞したときには、メダルの払い出しはないが次のゲームを改めて賭数を設定することなく開始できるので、次のゲームで設定不要となった賭数に対応した3枚のメダルが払い出されるのと実質的には同じこととなる。
【0096】
BB(1)は、通常遊技状態において入賞ラインに「黒7−黒7−黒7」の組合せが揃ったときに入賞となり、BB(2)は、通常遊技状態において入賞ラインに「網7−網7−網7」の組合せが揃ったときに入賞となり、BB(3)は、通常遊技状態において入賞ラインに「白7−白7−白7」の組合せが揃ったときに入賞となる。
【0097】
BB(1)〜(3)のいずれかが入賞すると、遊技状態がBBに移行するとともに同時にRBに移行する。RBは、小役、特にベルの当選確率が高まることによって他の遊技状態よりも遊技者にとって有利となる遊技状態であり、RBが開始した後、8ゲームを消化したとき、または4ゲーム入賞(役の種類は、いずれでも可)したとき、のいずれか早いほうで終了する。RBが終了した際に、BBが終了していなければ、再度RBに移行し、BBが終了するまで繰り返しRBに制御される。すなわちBB中は、常にRBに制御されることとなる。そして、BB(1)(2)の入賞を契機とするBBは、当該BB中において遊技者に払い出したメダルの総数が269枚を超えたときに終了し、BB(3)の入賞を契機とするBBは、当該BB中において遊技者に払い出したメダルの総数が69枚を超えたときに終了する。BBの終了時には、RBの終了条件が成立しているか否かに関わらずRBも終了する。
【0098】
以下、本実施例の内部抽選について説明する。内部抽選は、上記した各役への入賞を許容するか否かを、全てのリール2L、2C、2Rの表示結果が導出表示される以前に(実際には、スタートスイッチ7の検出時)決定するものである。内部抽選では、まず、内部抽選用の乱数(0〜65535の整数)が取得される。そして、遊技状態及び特別役の持ち越しの有無に応じて定められた各役について、取得した内部抽選用の乱数と、遊技状態、賭数及び設定値に応じて定められた各役の判定値数に応じて行われる。
【0099】
本実施例では、図6に示すように、遊技状態が、通常遊技状態であるか、RB(BB)であるか、によって内部抽選の対象となり役が異なり、さらに通常遊技状態においては、特別役の持越中か否か(通常:特別役の持ち越されていない通常遊技状態、当選中:特別役の持ち越されている通常遊技状態)によっても内部抽選の対象が異なる。
【0100】
遊技状態が通常遊技状態であり、特別役が持ち越されていない状態であれば、BB(1)、BB(1)+スイカ、BB(1)+チェリー、BB(2)、BB(2)+スイカ、BB(2)+チェリー、BB(3)、BB(3)+スイカ、BB(3)+チェリー、リプレイ、スイカ、チェリー、ベルが内部抽選の対象役として順に読み出される。
【0101】
遊技状態が通常遊技状態であり、特別役が持ち越されている状態であれば、リプレイ、スイカ、チェリー、ベルが内部抽選の対象役として順に読み出される。
【0102】
遊技状態がRB(BB)であれば、スイカ、チェリー、ベルが内部抽選の対象役として順に読み出される。
【0103】
内部抽選では、内部抽選の対象となる役、現在の遊技状態及び設定値に対応して定められた判定値数を、内部抽選用の乱数に順次加算し、加算の結果がオーバーフローしたときに、当該役に当選したものと判定される。このため、判定値数の大小に応じた確率(判定値数/65536)で役が当選することとなる。本実施例では、設定値として6が設定されている場合に図6に示す判定値数を用いており、各役の当選確率はおおよそ図6に示す確率となる。
【0104】
本実施例では、図6に示すように、スイカ、チェリーが特別役と同時当選し得るが、スイカの当選確率に占める特別役と同時当選する確率の比率が、チェリーの当選確率に占める特別役と同時当選する確率の比率よりも高く、スイカが入賞した場合に、チェリーが入賞した場合よりも特別役の当選が期待できる。
【0105】
内部抽選において、いずれかの役の当選が判定された場合には、当選が判定された役に対応する当選フラグをRAM41cに割り当てられた内部当選フラグ格納ワークに設定する。内部当選フラグ格納ワークは、2バイトの格納領域にて構成されており、そのうちの上位バイトが、特別役の当選フラグが設定される特別役格納ワークとして割り当てられ、下位バイトが、一般役の当選フラグが設定される一般役格納ワークとして割り当てられている。詳しくは、特別役が当選した場合には、当該特別役が当選した旨を示す特別役の当選フラグを特別役格納ワークに設定し、一般役格納ワークに設定されている当選フラグをクリアする。また、一般役が当選した場合には、当該一般役が当選した旨を示す一般役の当選フラグを一般役格納ワークに設定する。尚、いずれの役及び役の組合せにも当選しなかった場合には、一般役格納ワークのみクリアする。
【0106】
次に、リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。
【0107】
メインCPU41aは、リールの回転が開始したとき、及びリールが停止し、かつ未だ回転中のリールが残っているときに、ROM41bに格納されているテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して、回転中のリール別に停止制御テーブルを作成する。そして、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作が有効に検出されたときに、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行う。
【0108】
テーブルインデックスには、内部抽選による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態と呼ぶ)別に、テーブルインデックスを参照する際の基準アドレスから、テーブル作成用データが格納された領域の先頭アドレスを示すインデックスデータが格納されているアドレスまでの差分が登録されている。これにより内部当選状態に応じた差分を取得し、基準アドレスに対してその差分を加算することで該当するインデックスデータを取得することが可能となる。尚、役の当選状況が異なる場合でも、同一の制御が適用される場合においては、インデックスデータとして同一のアドレスが格納されており、このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。
【0109】
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた滑りコマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスと、からなる。
【0110】
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、全てのリールが回転しているか、左リールのみ停止しているか、中リールのみ停止しているか、右リールのみ停止しているか、左、中リールが停止しているか、左、右リールが停止しているか、中、右リールが停止しているか、によって異なる場合があり、更に、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合があるので、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、テーブル作成用データの先頭アドレスに基づいて、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスが特定可能とされ、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定できるようになっている。尚、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照されることとなる。
【0111】
停止制御テーブルは、停止操作が行われたタイミング別の滑りコマ数を特定可能なデータである。本実施例では、リールモータ32L、32C、32Rに、168ステップ(0〜167)の周期で1周するステッピングモータを用いている。すなわちリールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることでリール2L、2C、2Rが1周することとなる。そして、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0〜20の領域番号が割り当てられている。一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄に対して、リール基準位置から0〜20の図柄番号が割り当てられているので、0番図柄から20番図柄に対して、それぞれ0〜20の領域番号が順に割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の滑りコマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、停止制御テーブルを展開することによって領域番号別の滑りコマ数を取得できるようになっている。
【0112】
前述のようにテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルは、領域番号に対応して、各領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施例では、透視窓3の下段図柄の領域)に位置するタイミング(リール基準位置からのステップ数が各領域番号のステップ数の範囲に含まれるタイミング)でストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された場合の滑りコマ数がそれぞれ設定されたテーブルである。
【0113】
次に、停止制御テーブルの作成手順について説明すると、まず、リール回転開始時においては、そのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスを取得する。具体的には、まずテーブルインデックスを参照し、内部当選状態に対応するインデックスデータを取得し、そして取得したインデックスデータに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0114】
また、いずれか1つのリールが停止したとき、またはいずれか2つのリールが停止したときには、リール回転開始時に取得したインデックスデータ、すなわちそのゲームの内部当選状態に応じたテーブル作成用データの先頭アドレスに基づいてテーブル作成用データを特定し、特定したテーブル作成用データから停止済みのリール及び当該リールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止のリールについて停止制御テーブルを作成する。
【0115】
次に、メインCPU41aがストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出したときに、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうち、回転中のリールに対応するいずれかの操作を有効に検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。具体的には、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数から、取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を算出し、算出したステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施例では、透視窓3の下段図柄の領域)に停止することとなる。
【0116】
本実施例のテーブルインデックスには、一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するインデックスデータとして1つのアドレスのみが格納されており、更に、一のテーブル作成用データには、一のリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして1つのアドレスのみが格納されている。すなわち一の遊技状態における一の内部当選状態に対応するテーブル作成用データ、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルが一意的に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも、一の遊技状態における一の内部当選状態、及びリールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)に対して一意となる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(及び停止済みのリールの停止位置)の全てが同一条件となった際に、同一の停止制御テーブル、すなわち同一の制御パターンに基づいてリールの停止制御が行われることとなる。
【0117】
また、本実施例では、滑りコマ数として0〜4の値が定められており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できるようになっている。また、1図柄分リールを移動させるのに1コマの移動が必要であるので、停止操作を検出してから最大4図柄を引き込んでリールを停止させることが可能であり、停止操作を検出した停止操作位置を含め、最大5図柄の範囲から図柄の停止位置を指定できることとなる。
【0118】
本実施例では、いずれかの役に当選している場合には、当選役をいずれかの入賞ライン上に4コマの範囲で最大限引き込み、当選していない役がいずれの入賞ライン上に揃わないように引き込む滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う一方、いずれの役にも当選していない場合には、いずれの役も入賞ライン上に揃わない滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、いずれかの入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、最大4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。
【0119】
図3に示すように、ベルを構成する左リールの「ベル」、中リールの「ベル」、右リールの「ベル」は、それぞれ4コマ以内の間隔で配置されており、ベルの当選時には、各リールの停止操作をどのタイミングで行った場合でも、必ず「ベル−ベル−ベル」の組合せが入賞ラインに揃い、ベルが入賞することとなる。また、リプレイを構成する左リールの「リプレイ」「BAR」「黒7」、中リールの「リプレイ」、右リールの「リプレイ」も、それぞれ4コマ以内の間隔で配置されており、リプレイの当選時には、各リールの停止操作をどのタイミングで行った場合でも、必ず「リプレイ−リプレイ−リプレイ」、「BAR−リプレイ−リプレイ」または「黒7−リプレイ−リプレイ」のいずれかの組合せが入賞ラインに揃い、リプレイが入賞することとなる。
【0120】
一方で、チェリーを構成する右リールの「白チェリー」は、7コマを超える間隔にて配置されており、チェリーの当選時には、「白チェリー」の引込範囲となるタイミングで右リールの停止操作を行えば「ANY−ANY−白チェリー」の組合せが入賞ラインに揃ってチェリーが入賞することとなるが、「白チェリー」の引込範囲外となるタイミングで右リールの停止操作を行えば、チェリーは入賞せず、取りこぼすこととなる。
【0121】
また、スイカを構成する左リールの「スイカ」、中リールの「スイカ」、右リールの「スイカ」「BAR」も、4コマを超える間隔にて配置された箇所があり、スイカの当選時には、「スイカ」の引込範囲となるタイミングで各リールの停止操作を行えば「スイカ−スイカ−スイカ」または「スイカ−スイカ−BAR」の組合せが入賞ラインに揃ってスイカが入賞することとなるが、いずれか1つのリールでも「スイカ」の引込範囲外となるタイミングで停止操作を行えば、スイカは入賞せず、取りこぼすこととなる。
【0122】
また、BB(1)〜(3)も構成図柄が4コマを超える間隔にて配置された箇所があり、BB(1)〜(3)のいずれかが当選しても、当選したBBの構成図柄の引込範囲となるタイミングで各リールの停止操作を行えば当選したBBが入賞することとなるが、いずれか1つのリールでも当選したBBの構成図柄の引込範囲外となるタイミングで停止操作を行えば、BBは入賞せず、取りこぼすこととなる。尚、BBは、前述のように取りこぼしても次ゲームに持ち越されることから、1度BBに当選すれば、例え、取りこぼしても次ゲーム以降で適切なタイミングで停止操作を行うことで入賞させることが可能となる。
【0123】
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で小役が当選した場合や特別役が持ち越されていない状態で特別役と小役が同時に当選した場合など、特別役と小役が同時に当選している場合には、当選した小役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められているとともに、当選した小役を入賞ラインに最大4コマの範囲で引き込めない停止操作位置については、当選した特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数が定められた停止制御テーブルを作成し、リールの停止制御を行う。これにより、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している小役を引き込めない場合には、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で当選している特別役を揃えて停止させることができれば、これを揃えて停止させる制御が行われ、当選していない役は、4コマの引込範囲でハズシて停止させる制御が行われることとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を有効させることが可能となる。
【0124】
尚、本実施例では、特別役と小役が同時に当選している場合に、特別役よりも小役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、小役を引き込めない場合にのみ、特別役を入賞させることが可能となる構成であるが、小役よりも特別役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、特別役を引き込めない場合にのみ、小役を入賞させることが可能となる構成としても良い。
【0125】
特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で再遊技役が当選した場合や特別役が持ち越されていない状態で特別役と再遊技役が同時に当選した場合など、特別役と再遊技役が同時に当選している場合には、停止操作が行われた際に、入賞ライン上に最大4コマの引込範囲で再遊技役の図柄を揃えて停止させる制御が行われる。尚、この場合、再遊技役を構成する図柄は、リール2L、2C、2Rのいずれについても5図柄以内、すなわち4コマ以内の間隔で配置されており、4コマの引込範囲で必ず任意の位置に停止させることができるので、特別役と再遊技役が同時に当選している場合には、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらずに、必ず再遊技役が揃って入賞することとなる。すなわちこのような場合には、特別役よりも再遊技役を入賞ライン上に揃える制御が優先され、必ず再遊技役が入賞することとなる。
【0126】
次に、メインCPU41aが演出制御基板90に対して送信するコマンドについて説明する。
【0127】
本実施例では、メインCPU41aが演出制御基板90に対して、BETコマンド、クレジットコマンド、内部当選コマンド、フリーズコマンド、リール演出コマンド、リール回転開始コマンド、リール停止コマンド、入賞判定コマンド、払出開始コマンド、払出終了コマンド、遊技状態コマンド、待機コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、初期化コマンド、設定終了コマンド、電源投入コマンド、操作検出コマンド、ドアコマンドを含む複数種類のコマンドを送信する。
【0128】
これらコマンドは、コマンドの種類を示す1バイトの種類データとコマンドの内容を示す1バイトの拡張データとからなり、サブCPU91aは、種類データからコマンドの種類を判別できるようになっている。
【0129】
BETコマンドは、メダルの投入枚数、すなわち賭数の設定に使用されたメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されていない状態において、メダルが投入されるか、MAXBETスイッチ6が操作されて賭数が設定されたときに送信される。また、BETコマンドは、賭数の設定操作がなされたときに送信されるので、BETコマンドを受信することで賭数の設定操作がなされたことを特定可能である。
【0130】
クレジットコマンドは、クレジットとして記憶されているメダル枚数を特定可能なコマンドであり、ゲーム終了後(設定変更後)からゲーム開始までの状態であり、規定数の賭数が設定されている状態において、メダルが投入されてクレジットが加算されたときに送信される。
【0131】
内部当選コマンドは、内部当選フラグの当選状況、並びに成立した内部当選フラグの種類を特定可能なコマンドであり、スタートスイッチ7が操作されてゲームが開始したときに送信される。また、内部当選コマンドは、スタートスイッチ7が操作されたときに送信されるので、内部当選コマンドを受信することでスタートスイッチ7が操作されたことを特定可能である。
【0132】
フリーズコマンドは、後述するフリーズ状態に制御される旨を通知するコマンドであり、フリーズ状態の制御を開始するときに送信される。尚、本実施例では、フリーズ状態の期間が全て一定とされているため、フリーズの終了時点を演出制御基板90側において一義的に特定できるので、フリーズ状態を解除する際のフリーズ解除コマンドを演出制御基板90に対して送信していないが、これらフリーズ制御を終了するときにフリーズ解除コマンドを送信するようにしても良い。
【0133】
リール演出コマンドは、後述するリール演出を行う前のリールの回転開始時における各リールの相対位置関係である初期位置関係を特定可能なコマンドであり、リールの回転開始後、初期位置関係の検出が完了した時点で送信される。尚、初期位置関係から各リールの位置も特定可能となる。
【0134】
リール回転開始コマンドは、リールの回転の開始を通知するコマンドであり、リール2L、2C、2Rの回転が開始されたときに送信される。
【0135】
リール停止コマンドは、停止するリールが左リール、中リール、右リールのいずれかであるか、該当するリールの停止操作位置の領域番号、該当するリールの停止位置の領域番号、を特定可能なコマンドであり、各リールの停止操作に伴う停止制御が行われる毎に送信される。また、リール停止コマンドは、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたときに送信されるので、リール停止コマンドを受信することでストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されたことを特定可能である。
【0136】
入賞判定コマンドは、入賞の有無、並びに入賞の種類、入賞時のメダルの払出枚数を特定可能なコマンドであり、全リールが停止して入賞判定が行われた後に送信される。
【0137】
払出開始コマンドは、メダルの払出開始を通知するコマンドであり、入賞やクレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が開始されたときに送信される。また、払出終了コマンドは、メダルの払出終了を通知するコマンドであり、入賞及びクレジットの精算によるメダルの払出が終了したときに送信される。
【0138】
遊技状態コマンドは、次ゲームの遊技状態(通常遊技状態であるか、BB中であるか、RB中であるか、等)、現在設定されている設定値を特定可能なコマンドであり、後述する設定終了コマンドの送信後及びゲームの終了時に送信される。
【0139】
待機コマンドは、待機状態へ移行する旨を示すコマンドであり、1ゲーム終了後、賭数が設定されずに一定時間経過して待機状態に移行するとき、クレジット(賭数の設定に用いられたメダルを含む)の精算によるメダルの払出が終了し、払出終了コマンドが送信された後に送信される。
【0140】
打止コマンドは、打止状態の発生または解除を示すコマンドであり、BB終了後、エンディング演出待ち時間が経過した時点で打止状態の発生を示す打止コマンドが送信され、リセット操作がなされて打止状態が解除された時点で、打止状態の解除を示す打止コマンドが送信される。
【0141】
エラーコマンドは、エラー状態の発生または解除を示すコマンドであり、エラーが判定され、エラー状態に制御された時点でエラー状態の発生を示すエラーコマンドが送信され、リセット操作がなされてエラー状態が解除された時点で、エラー状態の解除を示すエラーコマンドが送信される。
【0142】
初期化コマンドは、遊技状態が初期化された旨及び設定変更モードの開始を示すコマンドであり、RAM41cが初期化され、設定変更モードに移行した時点で送信される。
【0143】
設定終了コマンドは、設定変更モードの終了を示すコマンドであり、設定終了時、すなわち設定変更モードの終了時に送信される。
【0144】
電源投入コマンドは、電源投入時にいずれかの特別役に当選しているか否かを示すコマンドであり、起動時に電断前の状態に復帰することが可能な場合に、電断前の状態に復帰するときに送信される。
【0145】
ドアコマンドは、ドア開放検出スイッチ25の検出状態、すなわちON(開放状態)/OFF(閉状態)を示すコマンドであり、電源投入時、1ゲーム終了時(ゲーム終了後、次のゲームの賭数の設定が開始可能となる前までの時点)、ドア開放検出スイッチ25の検出状態が変化(ONからOFF、OFFからON)した時に送信される。
【0146】
操作検出コマンドは、MAXBETスイッチ6、スタートスイッチ7、ストップスイッチ8L、8C、8Rのうちゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの検出状態がOFFからONに変化した旨、またはONからOFFに変化した旨を示すコマンドであり、ゲームの進行制御に関与しない操作スイッチの検出状態が変化したときに送信される。
【0147】
これらコマンドのうちドアコマンド、エラーコマンド、初期化コマンド、電源投入コマンド以外のコマンドは、後述する起動処理及びゲーム処理において生成され、RAM41cの特別ワークに設けられた通常コマンド送信用バッファに一時格納され、前述したタイマ割込処理(メイン)において送信される。
【0148】
エラーコマンド、初期化コマンド、電源投入コマンドは、前述した起動処理において生成され、RAM41cの特別ワークに設けられた特殊コマンド送信用バッファに格納され、前述したタイマ割込処理(メイン)において送信される。
【0149】
ドアコマンドは、前述したタイマ割込処理(メイン)中のドア監視処理においてRAM41cの特別ワークに設けられたドアコマンド送信用バッファに格納され、前述したタイマ割込処理(メイン)において送信される。
【0150】
次に、メインCPU41aが演出制御基板90に対して送信するコマンドに基づいてサブ制御部91が実行する演出の制御について説明する。
【0151】
サブCPU91aは、メインCPU41aからのコマンドの送信を示すストローブ信号を入力した際に、コマンド受信割込処理を実行する。コマンド受信割込処理では、RAM91cに設けられた受信用バッファに、コマンド伝送ラインから取得したコマンドを格納する。
【0152】
サブCPU91aは、タイマ割込処理(サブ)において、受信用バッファに未処理のコマンドが格納されているか否かを判定し、未処理のコマンドが格納されている場合には、そのうち最も早い段階で受信したコマンドに基づいてROM91bに格納された制御パターンテーブルを参照し、制御パターンテーブルに登録された制御内容に基づいて液晶表示器51、視差バリア用液晶表示器57、スライドモータ58、シャッタ用モータ59a,59b、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55等の各種演出装置の制御を行う。
【0153】
尚、本実施例では、サブCPU91aがタイマ割込処理(サブ)を行う時間間隔(1.12ms)が、メインCPU41aがコマンドを送信する時間間隔(2.24ms)よりも短い間隔であるため、通常のゲームに伴う動作が行われていれば、メインCPU41aから連続してコマンドが送信される場合であっても受信用バッファに格納された未処理のコマンドは、次のコマンドを受信するまでにタイマ割込処理(サブ)によって読み出されることとなり、受信用バッファに未処理のコマンドが複数蓄積されることはなく、メインCPU41aから送信されたコマンドを受信すると、その後最初に行われるタイマ割込処理(サブ)によって受信したコマンドは読み出され、コマンドに対応する処理が行われる。
【0154】
制御パターンテーブルには、複数種類の演出パターン毎に、コマンドの種類に対応する液晶表示器51の表示パターン、視差バリア用液晶表示器57の表示状態、視差バリア用液晶表示器57の位置、シャッタ60a,60bの動作状態、演出効果LED52の点灯態様、スピーカ53、54の出力態様、リールLEDの点灯態様等、これら演出装置の制御パターンが登録されており、サブCPU91aは、コマンドを受信した際に、制御パターンテーブルの当該ゲームにおいてRAM91cに設定されている演出パターンに対応して登録された制御パターンのうち、受信したコマンドの種類に対応する制御パターンを参照し、当該制御パターンに基づいて演出装置の制御を行う。これにより演出パターン及び遊技の進行状況に応じた演出が実行されることとなる。
【0155】
尚、サブCPU91aは、あるコマンドの受信を契機とする演出の実行中に、新たにコマンドを受信した場合には、実行中の制御パターンに基づく演出を中止し、新たに受信したコマンドに対応する制御パターンに基づく演出を実行するようになっている。すなわち演出が最後まで終了していない状態でも、新たにコマンドを受信すると、受信した新たなコマンドが新たな演出の契機となるコマンドではない場合を除いて実行していた演出はキャンセルされて新たなコマンドに基づく演出が実行されることとなる。
【0156】
特に、本実施例では、演出の実行中に賭数の設定操作がなされたとき、すなわちサブCPU91aが、賭数が設定された旨を示すBETコマンドを受信したときに、実行中の演出を中止するようになっている。このため、遊技者が、演出を最後まで見るよりも次のゲームを進めたい場合には、演出がキャンセルされ、次のゲームを開始できるので、このような遊技者に対して煩わしい思いをさせることがない。また、演出の実行中にクレジットまたは賭数の精算操作がなされたとき、すなわちサブCPU91aが、ゲームの終了を示す遊技状態コマンドを受信した後、ゲームの開始を示す内部当選コマンドを受信する前に、払出開始コマンドを受信した場合には、実行中の演出を中止するようになっている。クレジットや賭数の精算を行うのは、遊技を終了する場合であり、このような場合に実行中の演出を終了させることで、遊技を終了する意志があるのに、不要に演出が継続してしまわないようになっている。尚、演出の実行中において賭数の設定操作やクレジット、賭数の精算操作が不能化されている状態(BETフリーズ状態)に制御する場合には、その間に、賭数の設定操作や精算操作がなされても、BETコマンドや払出開始コマンドを送信させず、結果、これら操作に伴い実行中の演出がキャンセルされない構成としても良い。
【0157】
演出パターンは、内部当選コマンドを受信した際に、内部当選コマンドが示す内部抽選の結果に応じた選択率にて選択され、RAM91cに設定される。演出パターンは、フリーズコマンドを受信した際にも、その直前に受信した内部当選コマンドが示す内部抽選の結果がBBの当選を示すか、RBの当選を示すか、に応じた確率にて選択され、RAM91cに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91bに格納された演出テーブルに登録されており、サブCPU91aは、内部当選コマンドを受信した際に、内部抽選の結果に応じて演出テーブルに登録されている選択率を参照し、その選択率に応じて複数種類の演出パターンからいずれかの演出パターンを選択し、選択した演出パターンを当該ゲームの演出パターンとしてRAM91cに設定するようになっている。
【0158】
制御パターンテーブルには、特定のコマンド(待機コマンド、打止コマンド、エラーコマンド、初期化コマンド、設定終了コマンド、特別役の当選を示す電源投入コマンド等)を受信した際に参照される特定の制御パターンが格納されており、サブCPU91aは、これら特定のコマンドを受信した場合には、当該ゲームにおいて設定されている演出パターンに関わらず、当該コマンドに対応する特定の制御パターンを参照し、当該制御パターンに基づいて演出装置の制御を行う。
【0159】
待機コマンドを受信した場合には、デモ演出(デモンストレーション演出)を実行するためのデモパターンが制御パターンとして参照される。尚、特別役の当選を報知する確定演出が実行されている場合には、デモ演出の実行が禁止されるようになっており、このような状態で待機コマンドを受信してもデモパターンが制御パターンとして参照されることはなく、デモ演出が実行されることもない。
【0160】
打止状態の発生を示す打止コマンド受信した場合には、打止状態である旨を報知するための打止報知パターンが制御パターンとして参照される。また、打止状態の解除を示す打止コマンドを受信した場合には、前述したデモパターンが制御パターンとして参照される。すなわち打止状態が解除されるとデモ演出が実行されることとなる。
【0161】
エラー状態の発生を示すエラーコマンドを受信した場合には、エラー状態である旨及びその種類を報知するためのエラー報知パターンが制御パターンとして参照される。また、エラー状態の解除を示すエラーコマンドを受信した場合には、エラー発生時に実行していた制御パターンが参照される。すなわちエラー発生時の演出が最初から実行されることとなる。
【0162】
初期化コマンドを受信した場合には、設定変更中である旨を報知するための設定中報知パターンが参照される。また、設定終了コマンドを受信した場合には、前述したデモパターンが制御パターンとして参照される。すなわち初期化コマンドを受信すると設定変更中報知が実行され、その後、設定終了コマンドを受信するとデモ演出が実行されることとなる。
【0163】
特別役の当選を示す電源投入コマンドを受信した場合には、特別役の当選を報知するための特別役告知パターンが参照される。すなわち、特別役の当選を示す電源投入コマンドを受信すると特別役の当選を報知する告知演出が実行されることとなる。尚、特別役の当選を報知する告知演出は、一度実行されると、当該特別役が入賞した旨を示す入賞判定コマンドを受信するまで継続するようになっている。
【0164】
本実施例では、特別役と同時当選する可能性のあるチェリーまたはスイカが当選した場合にフリーズ抽選を行う。フリーズ抽選では、内部抽選の結果に応じて次ゲームにおいてフリーズ状態に制御するか否かを決定する。
【0165】
メインCPU41aは、フリーズ抽選にてフリーズ状態に制御しないと決定した場合には、図8(a)に示すように、次ゲームの開始後、ルールの回転を開始させると直ちに加速し、全てのリールが定速回転となった時点で各リールに対応するストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を有効化する。
【0166】
一方、フリーズ抽選にてフリーズ状態に制御すると決定した場合には、図8(b)に示すように、次ゲームの開始後、フリーズ期間が経過するまで各リールに対応するストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を有効化せず、フリーズ期間が経過した時点で各リールに対応するストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を有効化する。
【0167】
この際、サブCPU91aは、フリーズ状態の制御を開始するときにメインCPU41aから送信されるフリーズコマンドの受信に応じて、スライドモータ58の動作させて視差バリア用液晶表示器57のスライド移動を開始し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作をが有効化されるフリーズ期間が経過する時点でスライド移動を完了する移動制御を実施する。
【0168】
つまり、図21(a)に示すように、液晶表示器51の左側方の格納位置に格納されている視差バリア用液晶表示器57が、フリーズ状態の開始とともに液晶表示器51側(右側)に移動を開始する。
【0169】
この際、液晶表示器51には、表示制御回路92によりフリーズ状態に対応する2次元(2D)の演出画像が表示されるともに、視差バリア用液晶表示器57は、図21(b)に示すように、表示制御回路92により透明状態に制御されることで、移動中の視差バリア用液晶表示器57が重なる液晶表示器51の表示部分についても、移動中の視差バリア用液晶表示器57を介して、該重なる液晶表示器51の表示部分に表示される2次元(2D)の演出画像を視認できる。
【0170】
そして、フリーズ状態が終了する時点で、視差バリア用液晶表示器57が液晶表示器51の中央位置の配置位置に移動されて移動が完了するとともに、液晶表示器51の視差バリア用液晶表示器57が重なる中央の表示領域には立体(3D)画像の表示が開始されるとともに、液晶表示器51の視差バリア用液晶表示器57が重ならない両側部の表示領域には、立体(3D)画像の視認の妨げとならないように、全体が黒表示に制御される。さらに、視差バリア用液晶表示器57には、後述する視差バリア画像の表示が開始されることで、遊技者は、視差バリア用液晶表示器57を通して液晶表示器51に表示された立体(3D)画像を立体的に視認することができる。
【0171】
尚、これらフリーズ状態に制御されたゲームが終了して、次のゲームにおいても立体(3D)画像の表示が実施される場合には、視差バリア用液晶表示器57が継続して配置位置に配置される。一方、次のゲームの開始時に受信した内部抽選コマンドに基づいて2次元(2D)の演出画像の表示を実施する場合には、これら内部抽選コマンドの受信に応じて、透明状態とされた視差バリア用液晶表示器57が、フリーズ状態における移動速度よりも高速で移動して格納位置に格納されることで、これら格納における移動においても、視差バリア用液晶表示器57を介して液晶表示器51の表示部分に表示される2次元(2D)の演出画像を視認できる。
【0172】
図7は、当選役別のフリーズ抽選の当選確率及びその出現率を示す図である。
【0173】
本実施例では、特別役+スイカ、特別役+チェリー、スイカ、チェリーの順でフリーズ抽選に当選する確率が高い。
【0174】
また、特別役+スイカの当選時にフリーズ抽選に当選する確率が、スイカ単独で当選した場合にフリーズ抽選に当選する確率よりも高く、フリーズ状態に制御された後、スイカに入賞することでフリーズ状態を伴わずスイカに入賞した場合に比較して特別役の当選が期待できることとなる。
【0175】
また、特別役+チェリーの当選時にフリーズ抽選に当選する確率が、チェリー単独で当選した場合にフリーズ抽選に当選する確率よりも高く、フリーズ状態に制御された後、チェリーに入賞することでフリーズ状態を伴わずチェリーに入賞した場合に比較して特別役の当選が期待できることとなる。
【0176】
また、BB+スイカが当選してフリーズ抽選に当選する確率及びスイカが単独で当選してフリーズ抽選に当選する確率に占める前者の確率の比率が、BB+チェリーが当選してフリーズ抽選に当選する確率及びチェリーが単独で当選してフリーズ抽選に当選する確率に占める前者の確率の比率よりも高いため、フリーズ状態を伴ってスイカまたはチェリーのいずれかが入賞した場合には、スイカに入賞した場合の方がチェリーに入賞した場合に比較して特別役の当選が期待できることとなる。
【0177】
本実施例のメインCPU41aは、図8(b)に示すように、前述のフリーズ期間、すなわちゲーム開始後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作の有効化を遅らせている期間においてリールを変動させることにより演出を行うリール演出制御を行う。
【0178】
リール演出制御とは、回転する3つのリールにおいて同一図柄の組合せが一直線上に揃うようにリールを同期させて回転させるとともに、一直線上に揃った図柄の種類に応じて特別役の当選可能性を示唆する演出である。
【0179】
また、メインCPU41aは、図8(b)に示すように、フリーズ期間の全ての期間においてリール演出制御を行うのではなく、まず、ゲームの開始後、リール演出制御の前に初期位置検出制御を行う。
【0180】
初期位置検出制御とは、図9(a)に示すように、停止している3つのリールを、少なくとも全てのリールの基準位置が検出されるまで全てのリールを同じ方向に同期回転させることにより、3つのリールの回転開始時における相対的な位置関係である初期位置関係を特定する制御である。尚、初期位置検出制御では、全てのリールの基準位置にて各リールの相対的な位置関係が特定できることから、リール演出制御では、ここで特定した各リールの相対的な位置関係に基づいて各リールの制御を行うようになっている。
【0181】
また、本実施例では、全てのリールの基準位置を確実に検出するために、初期位置検出制御にて停止している3つのリールを、1回転同期回転させる制御を行っており、この際、1つのリールでも基準位置を検出できない場合には、リールに異常が生じていると判断してエラー制御を行うようになっている。
【0182】
また、本実施例では、後述のように初期位置検出制御の後のリール演出制御にて順回転(図中下方向)にてリールを回転させる制御パターンと、逆回転(図中上方向)にてリールを回転させる制御パターンと、があり、前者の制御パターンが選択された場合には、順回転にて初期位置検出制御を行い、後者の制御パターンが選択された場合には、逆回転にて初期位置検出制御を行う。
【0183】
次いで、メインCPU41aは、初期位置検出制御の後、図8(b)に示すように、リール演出制御を行う。リール演出制御では、リールの回転を維持しつつ、選択された制御パターンに従って、対応する図柄が一直線上に並ぶように各リールの相対的な位置関係を制御する。例えば、「黒7」が一直線上に揃う制御パターンであれば、図9(b)に示すように、「黒7」が一直線上に揃った状態となるように各リールの相対的な位置関係となるようにリールを回転させる制御を行う。
【0184】
次いで、メインCPU41aは、リール演出制御の後、図8(b)に示すように、初期位置復帰制御を行う。初期位置復帰制御では、リールの回転を維持しつつ、図9(c)に示すように、初期位置検出制御にて特定したリール回転開始時の各リールの相対的な位置関係である初期位置関係となるように各リールの相対的な位置関係を制御する。
【0185】
次いで、メインCPU41aは、初期位置復帰制御の後、図8(b)に示すように、初期位置報知制御を行う。初期位置報知制御では、リール回転開始時の各リールの相対的な位置関係である初期位置関係のまま、同期回転させた後、リール回転開始時に各リールに停止していた停止位置で各リールを一旦停止させて、初期位置に戻った旨を遊技者に対して報知し、その後、初期位置関係のまま再度リールの回転を開始する。
【0186】
そして、メインCPU41aは、初期位置報知制御の後、リールの回転速度を加速させ、図8(b)及び図9(d)に示すように、定速回転となった時点で、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を有効化する。
【0187】
また、サブCPU91aは、フリーズ期間において初期位置検出制御、リール演出制御、初期位置復帰制御、初期位置報知制御にそれぞれ合わせて、リールLED55の点灯/消灯制御を行うことにより、リールの視認性を変化させる制御を行う。これら初期位置検出制御、リール演出制御、初期位置復帰制御、初期位置報知制御に合わせたリールLED55の点灯/消灯制御は、前述したリール演出コマンドから、リールの回転開始時における各リールの相対位置関係である初期位置関係を特定し、特定した初期位置関係から各リールの表示位置を特定し、特定した表示位置に応じて行われるようになっている。
【0188】
初期位置検出制御中においては、図9(a)に示すように、リールの回転に合わせて順次上段の図柄に対応する領域からリールLED55を消灯し、最終的に全ての領域に対応するリールLED55を消灯する。
【0189】
次いで、リール演出制御中においては、リール演出制御にて揃い得る図柄、すなわち「黒7」「BAR」「スイカ」「チェリー」の通過に合わせて、当該図柄が通過する領域のリールLED55を点灯させ、それ以外の領域を消灯する制御を行い、図9(b)に示すように、制御パターンに対応する図柄が一直線上に並ぶ位置関係となった後、当該一直線上に並んだ図柄の通過に合わせて、当該図柄が通過する領域のリールLED55を点灯させ、それ以外の領域を消灯する制御を行う。例えば、「黒7」が一直線上に揃った状態であれば、「黒7」の通過に合わせて、当該「黒7」が通過する領域を点灯させ、それ以外の領域を消灯させることにより、揃っている図柄を強調するようにリールの視認性を変化させる。
【0190】
次いで、初期位置復帰制御中においては、一旦、全ての領域のリールLED55を消灯した後、各リールの相対的な位置関係が初期位置関係に戻った時点で、リール回転開始時に各リールに停止していた停止位置となる3つの連続する図柄の通過に合わせてリールLED55を点灯させ、それ以外の領域を消灯する制御を行う。
【0191】
次いで、初期位置報知制御では、リール回転開始時に各リールに停止していた停止位置が一旦停止した時点で全ての領域のリールLED55を点滅表示させることで、リール回転開始時に各リールに停止していた停止位置に戻ったことを強調する。次いで、リールの回転が再度開始した時点で、全ての領域のリールLED55を点灯状態とし、その後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が有効化され、全てのリールが停止操作に伴って停止するまでは、全ての領域のリールLED55の点灯状態を維持するようになっている。
【0192】
メインCPU41aは、フリーズ状態に制御する旨が決定された次のゲームの開始時点において、BB(1)(2)が当選しているか、BB(3)が当選しているか、特別役が非当選であるか、に応じた確率にてフリーズ期間中に実行されるリール演出制御の制御パターンを複数の制御パターンからランダムに選択する制御パターン選択抽選を行う。
【0193】
制御パターンは、図10(a)に示すように、パターン1〜7の7種類からなる。
【0194】
パターン1は、順回転にて最終的に「チェリー」が一直線上に並ぶパターン、パターン2は、順回転にて最終的に「スイカ」が一直線上に並ぶパターン、パターン3は、順回転にて最終的に「BAR」が一直線上に並ぶパターン、パターン4は、順回転にて最終的に「黒7」が一直線上に並ぶパターン、パターン5は、逆回転にて最終的に「チェリー」が一直線上に並ぶパターン、パターン6は、逆回転にて最終的に「スイカ」が一直線上に並ぶパターン、パターン7は、逆回転にて最終的に「BAR」が一直線上に並ぶパターンである。
【0195】
これら各パターンは、制御パターン選択抽選にて図10(a)に示す確率にてそれぞれ選択される。
【0196】
本実施例では、図10(b)−(1)に示すように、パターン1のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a1+b1、BB非当選時における選択率:c1の合算値に占めるパターン1のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率の比率:(a1+b1)/(a1+b1+c1)よりも、パターン2のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a2+b2、BB非当選時における選択率:c2の合算値に占めるパターン2のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率の比率:(a2+b2)/(a2+b2+c2)が高くなるように抽選確率が定められており、パターン5のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a5+b5、BB非当選時における選択率:c5の合算値に占めるパターン5のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率の比率:(a5+b5)/(a5+b5+c5)よりも、パターン6のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a6+b6、BB非当選時における選択率:c6の合算値に占めるパターン6のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率の比率:(a6+b6)/(a6+b6+c6)が高くなるように抽選確率が定められている。
【0197】
このため、リール制御演出では、最終的に「チェリー」が一直線上に並ぶよりも「スイカ」が一直線上に並んだ方が、BB(1)〜(3)のいずれかに当選していることに対して期待できる。
【0198】
また、本実施例では、図10(b)−(2)に示すように、パターン1のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a1+b1に占めるパターン1のBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:a1の比率:a1/(a1+b1)よりも、パターン2のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a2+b2に占めるパターン2のBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:a2の比率:a2/(a2+b2)が高くなるように抽選確率が定められており、パターン5のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a5+b5に占めるパターン5のBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:a5の比率:a5/(a5+b5)よりも、パターン6のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a6+b6に占めるパターン6のBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:a6の比率:a6/(a6+b6)が高くなるように抽選確率が定められている。
【0199】
このため、リール制御演出では、最終的に「チェリー」が一直線上に並ぶよりも「スイカ」が一直線上に並んだ方が、BB(1)〜(3)のうちより有利度の高いBB(1)(2)に当選していることに対して期待できる。
【0200】
また、本実施例では、図10(b)−(3)に示すように、パターン1のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a1+b1、BB非当選時における選択率:c1の合算値に占めるパターン1のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率の比率:(a1+b1)/(a1+b1+c1)よりも、パターン5のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a5+b5、BB非当選時における選択率:c5の合算値に占めるパターン5のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率の比率:(a5+b5)/(a5+b5+c5)が高くなるように抽選確率が定められており、パターン2のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a2+b2、BB非当選時における選択率:c2の合算値に占めるパターン5のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率の比率:(a2+b2)/(a2+b2+c2)よりも、パターン6のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a6+b6、BB非当選時における選択率:c6の合算値に占めるパターン6のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率の比率:(a6+b6)/(a6+b6+c6)が高くなるように抽選確率が定められている。
【0201】
このため、リール制御演出では、最終的に「チェリー」または「スイカ」が一直線上に並んだ場合に、順回転にて「チェリー」または「スイカ」が一直線上に並ぶよりも逆回転にて「チェリー」または「スイカ」が一直線上に並ぶ方が、BB(1)〜(3)のいずれかに当選していることに対して期待できる。
【0202】
また、本実施例では、図10(b)−(4)に示すように、パターン1のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a1+b1に占めるパターン1のBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:a1の比率:a1/(a1+b1)よりも、パターン5のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a5+b5に占めるパターン5のBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:a5の比率:a5/(a5+b5)が高くなるように抽選確率が定められており、パターン2のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a2+b2に占めるパターン2のBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:a2の比率:a2/(a2+b2)よりも、パターン6のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a6+b6に占めるパターン6のBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:a6の比率:a6/(a6+b6)が高くなるように抽選確率が定められている。
【0203】
このため、リール制御演出では、最終的に「チェリー」または「スイカ」が一直線上に並んだ場合に、順回転にて「チェリー」または「スイカ」が一直線上に並ぶよりも逆回転にて「チェリー」または「スイカ」が一直線上に並ぶ方が、BB(1)〜(3)のうちより有利度の高いBB(1)(2)に当選していることに対して期待できる。
【0204】
また、本実施例では、パターン3、4、7が、BB(1)〜(3)が当選している場合のみ選択され得ることから、リール制御演出では、最終的に「BAR」または「黒7」が一直線上に並んだ場合に、必ずBB(1)〜(3)が当選していることが示される。特に、パターン4は、BB(1)(2)が当選している場合のみ選択され得るので、最終的に「黒7」が一直線上に並んだ場合には、BB(1)〜(3)のうちより有利度の高いBB(1)(2)に当選していることが確定する。
【0205】
また、本実施例では、図10(b)−(5)に示すように、パターン3のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a3+b3に占めるパターン3のBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:a3の比率:a3/(a3+b3)よりも、パターン7のBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:a7+b7に占めるパターン7のBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:a7の比率:a7/(a7+b7)が高くなるように抽選確率が定められている。
【0206】
このため、リール制御演出では、最終的に「BAR」が一直線上に並んだ場合に、順回転にて「BAR」が一直線上に並ぶよりも逆回転にて「BAR」が一直線上に並ぶ方が、BB(1)〜(3)のうちより有利度の高いBB(1)(2)に当選していることに対して期待できる。
【0207】
以上説明したように、本実施例のスロットマシン1では、ゲームの開始後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作の有効化を遅延させているフリーズ期間において、3つのリール同士の相対的な位置関係が特定位置関係、すなわち「チェリー」「スイカ」「BAR」「黒7」のいずれかが一直線上に並ぶ位置関係となるように制御するリール演出制御が行われるため、フリーズ期間におけるリールの変動態様にてインパクトある演出を行うことができる。
【0208】
また、本実施例では、前回のゲームにおける各リールの停止位置をRAM41cのワーク領域などに保持しておくことがなく、リール演出制御を行う場合には、ゲーム開始後、リール演出制御を行う前に、少なくとも全てのリールの基準位置が検出されるまで全てのリールを同じ方向に同期回転させることにより、3つのリールの回転開始時における相対的な位置関係である初期位置関係を特定する初期位置検出制御を行うとともに、リール演出制御の後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が有効化される前に、3つのリールの相対的な位置関係を、初期位置関係、すなわちリールの回転開始時における相対的な位置関係に戻すようになっており、「チェリー」「スイカ」「BAR」「黒7」のいずれかが一直線上に並ぶ位置関係とするリール演出制御を行った場合であっても、このようなリール演出制御を行わなかった場合であっても、その後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が有効となった後、これらストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作の難易度が変化することがなく、リール演出制御を行った場合であっても遊技の公正さを確保することができる。
【0209】
また、本実施例では、リール演出制御の後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が有効化される前に、3つのリールの相対的な位置関係を、初期位置関係に戻すだけでなく、初期位置関係に戻した後、初期位置関係に戻った旨を示唆する制御、すなわちリール回転開始時の各リールの相対的な位置関係である初期位置関係のまま、同期回転させた後、リール回転開始時に各リールに停止していた停止位置で各リールを一旦停止させて、初期位置に戻った旨を遊技者に対して報知する制御を行うようになっており、各リールの位置関係がリール演出制御によって何らかの図柄が一直線上に揃った位置関係のままではなく、初期位置関係に戻ったことを遊技者に対して知らせることができ、何らかの図柄が一直線上に揃った位置関係であると誤解してストップスイッチ8L、8C、8Rによりリールの停止操作が行われてしまうことを防止できる。
【0210】
尚、本実施例では、リール回転開始時の各リールの相対的な位置関係である初期位置関係のまま、同期回転させた後、リール回転開始時に各リールに停止していた停止位置で各リールを一旦停止させることにより、初期位置に戻った旨を遊技者に対して報知するようになっているが、少なくとも初期位置に戻った旨が遊技者に報知される構成であれば良く、例えば、リール回転開始時の各リールの相対的な位置関係である初期位置関係のまま通常よりもゆっくりと1回転以上同期回転させることにより、初期位置に戻った旨を遊技者に報知する構成、リール回転開始時の各リールの相対的な位置関係である初期位置関係のまま、同期回転させた後、リール回転開始時に各リールに停止していた停止位置が通過する際に、該当する停止位置の通過に合わせて該当するエリアをリールLED55で照射することにより、初期位置に戻った旨を遊技者に報知する構成などでも、上記と同様の効果を得られる。
【0211】
また、本実施例では、リール演出制御を行うにあたり、ゲーム開始後、まず、停止している3つのリールを、少なくとも全てのリールの基準位置が検出されるまで全てのリールを同じ方向に同期回転させることにより、3つのリールの回転開始時における相対的な位置関係である初期位置関係を特定する初期位置検出制御を行うことにより、リール演出制御によって各リール同士の位置関係が変更される前の初期位置関係を特定するようになっており、リール演出制御の終了後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が有効化される前に、リール回転開始時の位置関係に確実に戻すことができる。
【0212】
これにより、例えば、前回のゲームでリールが脱調した場合や遊技場側でリールの位置を手動で移動させた場合など、メインCPU41aが前回のゲームにおけるリール停止時において特定した各リールの位置と、実際の各リールの位置と、が異なる場合であっても、リール演出制御の終了後、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が有効化される前に、リール回転開始時の位置関係に戻すことが可能となる。
【0213】
また、本実施例では、リール演出制御を行う場合に初期位置検出制御を行って初期位置関係を特定しているので、前回のゲームにおける各リールの停止位置やその時点の停止位置関係を保持しておく必要がなく、RAM41cのワーク領域として必要な領域を節約することができる。
【0214】
尚、本実施例では、前回のゲームにおける各リールの停止位置やその時点の停止位置関係を保持しない構成であるが、前回のゲームにおける各リールの停止位置やその時点の停止位置関係を保持する構成としても良く、このような構成とすることで、例えば、前回のゲームにおける各リールの停止位置から特定される位置関係と、初期位置検出制御により特定された初期位置関係と、を比較し、これらが一致しない場合に、リールの脱調などが生じていることを検出することが可能となる。そして、前回のゲームにおける各リールの停止位置から特定される位置関係と、初期位置検出制御により特定された初期位置関係と、を比較した結果、不一致が判定された場合にエラー状態に制御することにより、脱調などの不具合が生じていることを容易に特定することが可能となる。また、前回のゲームにおける各リールの停止位置から特定される位置関係と、初期位置検出制御により特定された初期位置関係と、を比較した結果、不一致が判定された場合に、常にエラー状態に制御するものに限られず、例えば、連続して不一致が判定された場合や、一定割合以上で不一致が判定された場合のみエラー状態に制御するようにしても良く、このようにすることで、たまたま脱調が起きただけで、頻繁に発生するわけではないのに、エラー状態に制御され、遊技が中断してしまうことを防止できる。
【0215】
尚、上述のように前回のゲームにおける各リールの停止位置やその時点の停止位置関係を保持して、前回のゲームにおける各リールの停止位置から特定される位置関係と、初期位置検出制御により特定された初期位置関係と、を比較する場合には、少なくとも初期位置検出制御が初期位置関係を特定し、該初期位置関係と比較するまで前回のゲームにおける各リールの停止位置やその時点の停止位置関係を保持する構成であれば良く、その後は保持されない構成としても良いし、ゲーム終了時まで保持する構成としても良い。また、初期位置検出制御(リール演出制御)を行わない旨が確定したときは、その時点以降、ゲーム終了時の各リールの停止位置やその位置関係を保持しない構成としても良い。また、本実施例のように前回のゲームにおいてリール演出制御(フリーズ状態)を行うか否かを決定する構成においては、次ゲームにおいてリール演出制御(フリーズ状態)を行うと決定された場合のみ、ゲーム終了時の各リールの停止位置やその位置関係を、少なくとも初期位置検出制御が初期位置関係を特定し、該初期位置関係と比較するまで保持する構成であれば良い。
【0216】
また、本実施例では、フリーズ期間においてリール演出制御を行うとともに、これに伴いリールLED55の点灯/消灯制御を行うことによりリールの視認性を変更させる演出を行い、リール演出制御に伴うリールの変動態様による演出効果を高めることができるうえに、リール演出制御の後の初期位置報知制御において初期位置関係に戻ったことを遊技者に対して効果的に知らせることができる。
【0217】
また、リールLED55の点灯/消灯制御によりリールの視認性を変更させる演出は、フリーズ期間、すなわちストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が有効化されるまでの期間においてのみ行われ、ストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効となった後、全てのリールが停止するまでは、全ての領域に対応するリールLED55が点灯状態で維持され、リールの視認性が変化しないようになっており、ストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作の難易度を変化させることなく、リールの視認性を変化させる演出を行うことが可能となる。
【0218】
尚、本実施例では、リールLED55の点灯/消灯制御によりリールの視認性を変更させる構成であるが、例えば、リールを背後からではなく、前方側から照射するリール照射器やリールの前面側に配置された透過型の表示器を用いてリールの視認性を変更させる構成であっても、上記のようにリールの視認性を変化させる演出をフリーズ期間においてのみ行い、ストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作が有効となった後、全てのリールが停止するまではリールの視認性を変化させないようにすることで、ストップスイッチ8L、8C、8Rによるリールの停止操作の難易度を変化させることなく、リールの視認性を変化させる演出を行うことが可能となる。
【0219】
また、本実施例では、フリーズ期間のうちリール演出制御を行っている期間と、それ以外の期間(初期位置検出制御、初期位置復帰制御、初期位置報知制御を行っている期間)と、で異なる視認性となるように制御しており、フリーズ期間においてリールの視認性の違いからリール演出制御を行っている期間であるか、他の期間であるか、を容易に判別することができる。
【0220】
本実施例では、リール演出制御では、BBの当選可能性が示唆されるとともに、最終的に一直線上に並ぶ図柄の違いや図柄が並ぶまでの回転方向に応じて、示唆されるBBの当選可能性、さらには、BB(1)〜(3)のうちより有利なBB(1)(2)の当選可能性が異なり、これらリール演出制御において最終的に揃う図柄の種類や図柄が並ぶまでの回転方向からBBの当選期待度やより有利なBB(1)(2)の当選期待度を推測することが可能となるため、リール演出制御によってより一層興趣を高めることができる。
【0221】
尚、本実施例では、リール演出制御によって遊技者にとって有利なBBへの移行を伴うBB(1)〜(3)の当選可能性を示唆する構成であるが、リール演出制御によって遊技者にとっての有利度を示唆する構成であれば良く、例えば、内部抽選の結果が特定の結果である場合に、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作態様に応じて遊技者にとっての有利度の異なる複数の表示結果が導出され得る構成において、内部抽選の結果が特定の結果となった場合に、遊技者にとって有利なストップスイッチ8L、8C、8Rの操作態様を報知する有利操作態様報知手段と、内部抽選の結果に応じて有利操作態様報知手段による有利度を決定する有利度決定手段と、を備え、リール演出制御によって有利度決定手段により決定される有利度を示唆するようにしても良い。この場合、有利度決定手段が決定する有利度とは、有利操作態様報知手段が作動するか否か、有利操作態様報知手段が作動する確率、有利操作態様報知手を作動させる権利の個数などが該当する。さらには、有利度決定手段にて相対的に高い有利度が決定されやすい第1の状態と、相対的に低い有利度が決定されやすい第2の状態と、を備える場合に、リール演出制御によって第1の状態に制御されている可能性を示唆するようにしても良い。
【0222】
また、本実施例では、前回のゲームにおいて特別役と同時に当選し得るスイカまたはチェリーが当選し、かつフリーズ抽選にて当選した場合に、フリーズ状態に制御するとともに、フリーズ状態に伴うフリーズ期間においてリール演出制御が行われるようになっており、リール演出制御によって特別役の当選に対する遊技者の期待感を効果的に高めることができる。
【0223】
尚、本実施例では、前回のゲームにおいて特別役と同時に当選し得るスイカまたはチェリーが当選し、かつフリーズ抽選にて当選した場合に、フリーズ状態に制御するとともに、フリーズ状態に伴うフリーズ期間においてリール演出制御が行われるようになっているが、前回のゲームにおいて特別役と同時に当選し得るスイカまたはチェリーが当選した場合に一律にフリーズ状態に制御し、その間にリール演出制御が行われる構成としても良い。また、前回のゲームにおいて特別役の当選可能性を示唆する表示結果(特別役と同時に当選し得るスイカまたはチェリーの入賞態様、いずれの入賞態様でもないが特別役の非当選時よりも特別役の当選時に出現する可能性が高く、特別役の当選可能性が高い旨を示唆するチャンス目など)が導出されたことを契機に、フリーズ状態に制御するとともに、フリーズ状態に伴うフリーズ期間においてリール演出制御が行われる構成とした場合でも、リール演出制御によって特別役の当選に対する遊技者の期待感を効果的に高めることができる。
【0224】
また、本実施例では、通常遊技状態のうち特別役と同時当選し得るスイカやチェリーの当選時において、フリーズ抽選を行い、フリーズ抽選に当選することでフリーズ状態に制御され、その間にリール演出制御が行われる構成であるが、複数の遊技状態のうち特定の遊技状態においてのみフリーズ状態に制御可能とし、その間にリール演出制御が行われる構成としても良く、このような構成とすることで、特定の遊技状態でしか、フリーズ状態に制御され、その間にリール演出制御が行われることがなく、希少性が高まるため、リール演出制御よって遊技者の満足感を高めることができる。
【0225】
尚、特定の遊技状態とは、例えば、BB終了後の一定期間の状態、特定役の当選または入賞後の一定期間の状態、また通常遊技状態よりも再遊技役の当選確率が高い再遊技高確率状態などが該当する。また、前述した有利度決定手段がBB中にのみまたはBB中においてより高い有利度を決定しやすい構成とし、BB中を特定の遊技状態として適用することも可能となる。また、前述した有利度決定手段がより高い有利度を決定しやすい第1の遊技状態を特定の遊技状態として適用することも可能である。
【0226】
次に、視差バリア用液晶表示器57がシャッタ60a,60bの閉鎖を伴ってスライド移動される状況について、図22、図23を用いて説明する。
【0227】
尚、演出制御基板90においては、これら視差バリア用液晶表示器57がシャッタ60a,60bの閉鎖を伴ってスライド移動される演出パターンC以外に、図23に示すように、シャッタ60a,60bの閉鎖されても視差バリア用液晶表示器57が移動しない演出パターンBと、シャッタ60a,60bの閉鎖も視差バリア用液晶表示器57の移動もされない演出パターンAとが、受信した内部抽選コマンドによりBB(1)(2)が当選しているか、BB(3)が当選しているか、特別役が非当選であるか、に応じた出現確率にて、演出パターンA〜Cのうちから実行する演出パターンをランダムに選択する演出パターン選択抽選を行う。
【0228】
これら各演出パターンは、演出パターン選択抽選にて図23(a)に示す出現確率となるようにそれぞれ選択される。
【0229】
本実施例では、図23(b)−(1)に示すように、パターンAのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における出現率:A1+B1、BB非当選時における出現率:C1の合算値に占めるパターンAのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における出現率の比率:(A1+B1)/(A1+B1+C1)よりも、パターンBのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における出現率:A2+B2、BB非当選時における出現率:C2の合算値に占めるパターンBのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における出現率の比率:(A2+B2)/(A2+B2+C2)が高くなるように抽選確率が定められている。
【0230】
さらに、パターンBのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における出現率:A2+B2、BB非当選時における出現率:C2の合算値に占めるパターンBのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における出現率の比率:(A2+B2)/(A2+B2+C2)よりも、パターンCのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における出現率:A3+B3、BB非当選時における出現率:C3の合算値に占めるパターンBのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における出現率の比率:(A3+B3)/(A3+B3+C3)が高くなるように抽選確率が定められている。
【0231】
このため、演出パターンAであるシャッタ60a,60bの閉鎖も視差バリア用液晶表示器57の移動も起こらない場合よりも、演出パターンBであるシャッタ60a,60bの閉鎖が発生するが視差バリア用液晶表示器57の移動は起こらない場合の方がBB(1)〜(3)いずれかの当選している可能性(期待度)が高く、さらに、演出パターンCであるシャッタ60a,60bの閉鎖が発生するとともに視差バリア用液晶表示器57の移動も発生して立体(3D)画像の表示に移行する場合の方がBB(1)〜(3)いずれかの当選している可能性(期待度)が高くなる。
【0232】
また、本実施例では、図23(b)−(2)に示すように、パターンAのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における出現率:A1+B1に占めるパターンAのBB(1)(2)いずれかの当選時における出現率:A1の比率:A1/(A1+B1)よりも、パターンBのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:A2+B2に占めるパターンBのBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:A2の比率:A2/(A2+B2)が高くなるように抽選確率が定められているとともに、パターンBのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:A2+B2に占めるパターンBのBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:A2の比率:A2/(A2+B2)よりも、パターンCのBB(1)〜(3)いずれかの当選時における選択率:A3+B3に占めるパターンCのBB(1)(2)いずれかの当選時における選択率:A3の比率:A3/(A3+B3)が高くなるように抽選確率が定められている。
【0233】
このため、演出パターンAであるシャッタ60a,60bの閉鎖も視差バリア用液晶表示器57の移動も起こらない場合よりも、演出パターンBであるシャッタ60a,60bの閉鎖が発生するが視差バリア用液晶表示器57の移動は起こらない場合の方がBB(1)、(2)に当選している可能性(期待度)が高く、さらに、演出パターンCであるシャッタ60a,60bの閉鎖が発生するとともに視差バリア用液晶表示器57の移動も発生して立体(3D)画像の表示に移行する場合の方がBB(1)、(2)に当選している可能性(期待度)が高くなる。
【0234】
これらBB(1)〜(3)に当選している可能性が最も高く、BB(1)、(2)に当選している可能性も最も高い演出パターンである演出パターンCを内部抽選コマンドの受信に応じて決定した場合においてサブCPU91aは、該内部抽選コマンドを受信したゲーム開始時において、まず、シャッタ用モータ59a,59bを動作させて、図22(a)に示すようにシャッタ60a,60bを閉状態とする。
【0235】
そして、シャッタ60a,60bを閉状態とした後、スライドモータ58の動作させて視差バリア用液晶表示器57のスライド移動を開始し、該開始したスライド移動が、1のゲームの開始から次のゲームの開始までの待機期間として設定されている待機時間(本実施例では4.1秒)よりも短い移動期間(本実施例では3秒)が経過する時点で完了するように制御する。尚、移動期間を3秒以外としても良い。
【0236】
つまり、上記のように視差バリア用液晶表示器57のスライド移動がサブCPU91aにより制御されることで、図22(b)に示すように、視差バリア用液晶表示器57は、必ず1のゲームの開始から次のゲームの開始までの期間内、すなわち、次のゲームが開始される前に、格納位置から液晶表示器51の中央部の配置位置に移動することになる。
【0237】
そして、次のゲームの開始時においてサブCPU91aは、シャッタ用モータ59a,59bを動作させて、図22(c)に示すようにシャッタ60a,60bを開状態としたのち、液晶表示器51の中央表示部に立体(3D)画像の表示を開始し、液晶表示器51の両側表示部に黒表示を開始するとともに、視差バリア用液晶表示器57に視差バリア画像の表示を開始することで、ゲームの開始において立体(3D)画像の表示に移行することになり、遊技者にとって有利度が高いBB(1)、(2)に当選している可能性が非常に高いのではないかとの期待感を遊技者に与えることができる。
【0238】
ここで、液晶表示器51並びに視差バリア用液晶表示器57の前面に透明なアクリル製の保護パネルが存在することにより、これら透明な保護パネルを透して遊技者が液晶表示器51に表示される立体画像を視認すること伴う視差変化を補正するための調整操作について、図20に基づいて説明する。
【0239】
これら調整操作を行いたい場合には、演出制御基板90の背面側に設けられている、図示しない調整操作用スイッチを操作することで、図20(a)に示すように、視差バリア用液晶表示器57が所定の配置位置に移動されて視差バリア画像が表示されるとともに、予めROM91bに記憶されている調整用立体映像が繰返し表示される調整用画面が液晶表示器51に表示されるとともに、該調整用画面上にカーソルが表示されて、該カーソルを演出用スイッチ56にて移動することが可能とされる。
【0240】
この調整用画面には、図20(a)に示すように、画面の向かって右側方位置の視差バリア用液晶表示器57が重なっていない領域に、2次元(2D)表示にて「領域指定」、「バリア幅調整」、「バリアピッチ調整」、「バリア位置調整」の4つのメニュー項目が選択可能に表示されている。
【0241】
調整操作を行う場合には、まず、「領域指定」のメニューにカーソルを合わせて、演出用スイッチ56を長押し操作すると、「領域指定」のメニュー表示が反転表示されて、領域の選択が可能となる。
【0242】
操作者は、調整用立体映像を見ながら立体映像が良好に表示されていない領域、例えば、向かって左側の端部領域において立体映像が良好に表示されていない場合であれば、図20(b)に示すように、「領域指定」のメニュー表示が反転表示されている段階で、演出用スイッチ56を操作してカーソルを移動することにより、向かって左側の端部領域を調整する領域として指定する。
【0243】
そして、これら領域を指定した後、「バリア幅調整」、「バリアピッチ調整」、「バリア位置調整」のいずれかのメニューを選択して、調整を実施する。
【0244】
具体的に、「バリア幅調整」、「バリアピッチ調整」、「バリア位置調整」のいずれかのメニューを選択した場合には、図20(c)において、「バリア幅調整」のメニューを選択した場合を例示したように、画面の向かって左側方位置の視差バリア用液晶表示器57が重なっていない領域にコントロールバーが表示されて、該コントロールバー上の操作片表示にカーソルを合わせて該操作片表示を、−5〜+5の範囲内において段階的に移動させた後に調整用立体映像の立体表示の状態を確認して、最も良好な立体表示がなされる段階を選択する。
【0245】
尚、これら図20(c)に示すバリア幅調整の場合には、+側に操作片表示を移動させるに連れてバリアとなる後述する黒帯部(バリア)の幅が順次漸増し、−側に操作片表示を移動させるに連れてバリアとなる後述する黒帯部(バリア)の幅が順次漸減する。
【0246】
また、バリアピッチ調整の場合には、+側に操作片表示を移動させるに連れてバリアとなる後述する隣接する黒帯部(バリア)間の間隔が順次漸増し、−側に操作片表示を移動させるに連れて隣接する黒帯部(バリア)間の間隔が順次漸減する。
【0247】
また、バリア位置調整の場合には、+側に操作片表示を移動させるに連れてバリアとなる後述する黒帯部(バリア)が、幅、間隔を維持しつつ、その位置を向かって右方向に移動し、−側に操作片表示を移動させるに連れてバリアとなる後述する黒帯部(バリア)が、幅、間隔を維持しつつ、その位置を向かって左方向に移動する。
【0248】
このように、指定した領域内の黒帯部(バリア)の幅、間隔(ピッチ)、位置をそれぞれ、調整用立体映像の立体表示の状態を確認しつつ、調整する。
【0249】
尚、これら調整した内容は、補正データとして演出制御基板90に実装された図示しない不揮発性のROMに更新記憶される。そして、これら補正データを、入出力ポート90’から外部に出力することが可能とされているとともに、該入出力ポート90’から、他のスロットマシン1から出力された補正データを入力して、演出制御基板90内の不揮発性のROMに記憶させることができる。
【0250】
つまり、同一機種のパチンコ機1においては、個体差があっても、調整の内容がほぼ同様であって、微調整のみを行うだけで良好な調整が実施可能であることが多いことから、1のスロットマシン1の入出力ポート90’から出力された補正データを、他のスロットマシン1の入出力ポート90’から入力することで、入力された補正データに基づいて視差バリア画像が調整されることにより、これら調整操作においては微調整のみを行うだけで良好な立体画像を表示できるようになるので、これら調整操作の時間を著しく短縮することができる。
【0251】
次に、サブCPU91aにおいて実施される、遊技者の目の位置を特定する視点位置特定処理について図19に基づいて説明する。
【0252】
サブCPU91aは、赤外線カメラ61にて撮像された画像を、視差バリア用液晶表示器57における視差バリア画像の更新期間(1秒を視差バリア用液晶表示器57の駆動周波数で除した値)よりも短い所定時間間隔、例えば駆動周波数が60ヘルツであれば、1/60秒=16.7ミリ秒よりも短い例えば10ミリ秒毎に取り込んで、遊技者の目の位置である視点位置を特定する。
【0253】
これら視点位置を特定手法としては、前述したように、遊技者が遊技している場合には、遊技している遊技者の人体から赤外線が放射されていることから、これら放射されている赤外線を赤外線カメラ61にて撮像することで遊技者の人体部分が明るく写るので、撮像した画像中に遊技中の遊技者が存在するか否か、並びに遊技者の人体部分(頭部)の領域を容易に識別できるとともに、目の位置となる眼球については、血流の流れが他の周囲部分に比較して少ないために、通常において周囲の温度よりも低いことにより、やや暗く写ることから、該明るく認識される人体である顔部分の領域内でやや暗くなる領域部分の中心を、画像処理にて特定することにより遊技者の目の位置(視点位置)、具体的には、図19(b)に示すように、中心位置からの所定側の目(本実施の形態では、遊技者の右目)の移動距離(X;遊技者の左方向がプラス、遊技者の右方向がマイナス)として特定する。
【0254】
サブCPU91aは、これら左右方向の目の位置を、移動距離Xをパラメータ(指標)として特定するとともに、単焦点の赤外線カメラ61の焦点を合わせる焦点調整制御において、焦点の合った調整位置情報を用いて、遊技者の目から液晶表示器51までの距離D、つまり、遊技者の目の前後方向の位置を、距離Dをパラメータ(指標)として特定する。
【0255】
具体的には、撮像するカメラとして単焦点の赤外線カメラ61を用いているため、距離Dと焦点が合う焦点調整の調整位置とが1対1の関係になるので、ROM91bには、予め、各焦点の調整位置情報に対応付けて距離Dの値が記憶された図示しない距離データテーブルが記憶されており、焦点が合った時点の調整位置情報に対応して距離データテーブルに記憶されている距離Dが、その時点における遊技者の目の位置から液晶表示器51までの距離Dとして特定される。
【0256】
尚、本実施の形態では、赤外線カメラ61の焦点調整制御を、撮像された画像のコントラストが所定の閾値以下に低下した時にサブCPU91aが実施するようにしており、これら焦点調整制御によって焦点が合った調整位置が変化したときに、該変化した調整位置に対応する距離Dを特定する。つまり、画像の取り込み毎に距離Dを常時特定するのではなく、焦点調整制御によって調整位置が変化する毎に距離Dを特定し、調整位置が変化しない場合、すなわち、遊技者が前後方向にあまり移動していないときには、既に特定した距離Dをそのまま使用する。
【0257】
このようにサブCPU91aは、赤外線カメラ61にて撮像された画像に基づいて、遊技者の視点位置となる左右方向の距離Xと前後方向の距離Dとを特定する。
【0258】
尚、本実施例では、これら視点位置特定処理をサブCPU91aが実施するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら視点位置特定処理を専用に実施する視点位置特定用DSP(デジタルシグナルプロセッサ)を使用するようにしても良い。
【0259】
また、本実施の形態では、赤外線カメラ61を使用しているのでコントラストによる焦点合わせの制御を実施しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら焦点合わせの制御方法としては、比較的高速にて焦点合わせが可能なものであって、使用するカメラに適するものであれば、公知の他の焦点合わせの手法を適用することができる。
【0260】
また、サブCPU91aは、図19(c)に示すように、遊技者の左右の目の間隔である眼間距離を、赤外線カメラ61にて撮像された画像に基づいて特定する眼間距離特定処理を、所定の遊技開始条件となる、メインCPU41aから待機コマンドの受信後における初めの内部抽選コマンドを受信したことを条件に実施する。
【0261】
つまり、遊技者が遊技を終了して遊技者の不在が発生した後、交替した遊技者が遊技を開始した場合には、遊技者の不在の発生に伴って待機コマンドが送信され、その後、交替した遊技者がゲームを開始することに応じて内部抽選コマンドが送信されることになるので、待機コマンドの受信後における初めの内部抽選コマンドを受信することを条件に眼間距離特定処理を行うことで、交替した遊技者の眼間距離を的確に特定することができるとともに、これら眼間距離を特定するための特別な操作を遊技者や遊技場の係員等が実施する必要がなく、これら操作の手間を低減できるばかりか、これら眼間距離特定処理を定常的又は定期的に実施する場合等に比較して、眼間距離特定処理に要する処理負荷を著しく低減することもできる。
【0262】
このように、本実施の形態では、遊技者の遊技の開始に応じて眼間距離を特定するので、一方の目となる遊技者の右目を特定することで、左目の位置をほぼ特定できることから、視点位置の特定を高速に実施できるようにするために、一方の右目のみについて位置(移動距離X)の特定を実施するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、右目と左目との位置を個別に特定し、これら右目と左目の位置の差から眼間距離を逐次特定して、これら特定した眼間距離に基づいて視差バリア画像を補正することにより、例えば、遊技者が頭を大きく傾けることで眼間距離が擬似的に短くなった場合においても立体画像を良好に視認できるようにしても良い。
【0263】
また、ROM91bには、前述した距離データテーブルに加えて、図18(a)に示す標準バリア画像テーブルが記憶されている。
【0264】
この標準バリア画像テーブルには、上述したようにして特定される遊技者の各視点位置(X、D)に対応付けて、視差バリア画像情報と視差バリア画像データとが記憶されている。
【0265】
視点位置(X、D)は、(X0、D0)である基準位置からプラス側の(Xn、Dn)、マイナス側の(Xn’、Dn’)までの範囲における予め決定された所定の間隔毎の座標とされている。これら所定の間隔が小さい(分解能が高い)と誤差の小さい視差バリア画像の制御が可能となるがデータ容量が著しく多くなってしまい、逆に、これら所定の間隔が大きい(分解能が低い)と誤差の小さい視差バリア画像の制御が困難となるがデータ容量を小さくできることから、これら制御誤差とデータ容量とのバランスを考慮した間隔(分解能)とすることが好ましい。
【0266】
視差バリア画像情報には、対応する視点位置(Xn、Dn)、(Xn’、Dn’)からの目視において、逆視画像(右目であれば左目用画像、左目であれば右目用画像を指す)の視認を適切にブロックできる縦縞状の黒帯部(シャッタ)と、正視画像(右目であれば右目用画像、左目であれば左目用画像を指す)の視認を可能とする非黒帯部(ブランク)の幅のデータが、画面の一方端からの距離となる画素数を用いて記述されている。つまり、B1は、一方端から1番目の非黒帯部(ブランク)の幅の大きさ(画素数)であり、S1は、B1の次に表示される一方端から1番目の黒帯部(シャッタ)の幅の大きさ(画素数)であり、以下、B2、S2、B3、S3と記述されることで、当該視差バリア画像に含まれる黒帯部(シャッタ)と非黒帯部(ブランク)とがどのような状態で配列されているかを特定できるようになっている。
【0267】
また、視差バリア画像データには、対応する視差バリア画像情報にて記述された黒帯部(シャッタ)と非黒帯部(ブランク)とが交互配列された視差バリア画像に固有に付与された画像IDが格納されており、ROM91bに記憶されている該画像IDの視差バリア画像データを読み出すことで、その都度、視差バリア画像情報から視差バリア画像データをいちいち生成することなく、視差バリア画像データを迅速に得ることができるようになっている。
【0268】
また、RAM91cには、図18(b)に示す遊技者用バリア画像テーブルが記憶されている。
【0269】
この遊技者用バリア画像テーブルは、前述した所定の遊技開始条件の成立に応じて眼間距離特定処理が実施されて眼間距離が特定される毎に更新される。
【0270】
眼間距離は、眼間距離が大きい遊技者もいれば、眼間距離が小さい遊技者もいるように、個々の遊技者で異なるので、通常において遊技者が交代した場合には眼間距離が変化する。これら眼間距離が変化した場合には、図17に示すように、立体画像の良好な表示を確保するためには、逆視画像の適切なブロックと正視画像の適切な視認とを行うために黒帯部(シャッタ)と非黒帯部(ブランク)の位置や幅等を変更する、具体的には、眼間距離が大きい場合には、黒帯部(シャッタ)の位置を両端(外部)方向に移動するとともに幅を拡大するように変更し、眼間距離が小さい場合には、黒帯部(シャッタ)の位置を中心(内部)方向に移動するとともに幅を縮小するように変更することが必要となる。
【0271】
よって、特定した新たな眼間距離と、前述した不揮発性ROMに記憶されている補正データとに基づいて、当該遊技者並びに当該スロットマシン1に特化(最適化)した各視点位置からの視差バリア画像である特化画像を新たに生成して、当該視点位置のパラメータである(Xn、Dn)、(Xn’、Dn’)を含むIDを付与してRAM91cに事前記憶しておく。
【0272】
尚、ROM91bには、眼間距離や補正データに応じて標準バリア画像から特化画像を生成するアルゴリズムが記述された特化画像生成プログラムが予め記憶されており、該特化画像生成プログラムを実行することにより、視差バリアとなる黒帯部(シャッタ)の表示位置、表示幅、隣接する黒帯部(シャッタ)との間隔(ピッチ)の少なくともいずれか1つが適正化された特化画像が生成される。
【0273】
そして、これら生成された特化画像のIDと視差バリア画像情報とが、図18(b)に示すように、各視点位置(Xn、Dn)、(Xn’、Dn’)に対応付けて遊技者用バリア画像テーブルに記憶されることで、特定した各視点位置に対応する特化画像を迅速に特定してRAM91cから読み出して視差バリア用液晶表示器57に表示させることができるようになっている。
【0274】
ここで、遊技者の視点位置が変化することに応じて、視差バリア用液晶表示器57に表示される視差バリア画像が変化する状況について、図12〜図17に示す上方断面図に基づいて説明する。
【0275】
尚、図12〜図17においては、液晶表示器51には、表示制御回路92により、サブCPU91aからの指示に基づいて立体(3D)画像を成す、縦方向の帯状とされた所定幅の右目用画像(R)と左目用画像(L)とが交互に表示される。
【0276】
本実施の形態では、右目用画像(R)と左目用画像(L)との表示幅を均一としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら表示幅を、画面の中央部と両側端部とで異なるようにしても良い。
【0277】
遊技者の視点位置が、例えば基準位置となるX0、D0にあった場合には、図12に示すように、X0、D0に対応する特化画像ID(X0、D0)の特化画像が、表示制御回路92により視差バリア用液晶表示器57に表示されることで、右目についは、液晶表示器51に表示されている各左目用画像(L)が黒帯部(シャッタ;非透過部ともいう)にて隠されてブロックされるとともに、各右目用画像(R)が非黒帯部(ブランク;透過部ともいう)を透して視認されることで、右目には右目用画像(R)のみが提供される一方、左目についは、液晶表示器51に表示されている各右目用画像(R)が黒帯部(シャッタ;非透過部ともいう)にて隠されてブロックされるとともに、各左目用画像(L)が非黒帯部(ブランク;透過部ともいう)を透して視認されることで、左目には左目用画像(L)のみが提供されることで、遊技者は、偏向メガネ等を装着することなく、裸眼の状態で、立体画像を視聴することができる。
【0278】
遊技者の視点位置が、例えば、基準位置から(X0、Dz;Zは0からnまでの範囲の変数)の後方(遠方)に移動した場合には、図13に示すように、X0、Dzに対応する特化画像ID(X0、Dz)の特化画像、具体的には、図12のX0、D0の特化画像に比較して、黒帯部(シャッタ;非透過部)が全体的に外側(両側端側)に移動するとともに黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅がやや広がった特化画像(視差バリア画像)が視差バリア用液晶表示器57に表示されることで、特に画面の両端部領域において逆視画像が視認されてしまうことが防止され、良好な立体画像の表示を行うことができる。つまり、変化後の後方(遠方)に移動した視点位置において逆視画像となる右目用画像並びに左目用画像が視認されてしまうことをより良く阻止できるように適正化した視差バリア画像、すなわち、変化後の視点位置と右目用画像並びに左目用画像の境界位置とを結んだ線の視差バリア用液晶表示器57上における位置に応じて、黒帯部(シャッタ;非透過部)が基準位置の特化画像に比較して全体的に外側(両側端側)に移動するとともに、黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅が基準位置の特化画像に比較してやや広幅とされた特化画像に変更する制御を実施することで、遊技者の視点が後方(遠方)に移動したとしても、これら後方(遠方)への移動によって逆視画像の特に両側部の画像が視認されてしまうことで立体画像の表示品質が低下してしまうことを防止できるので、より良好な立体画像(表示品質の高い立体画像)の表示を遊技者の後方(遠方)への移動によっても行うことができる。
【0279】
尚、図13〜図16においては、液晶表示器51と視差バリア用液晶表示器57との距離L1に比較して、視差バリア用液晶表示器57と遊技者の目との距離L2を、図示の都合上、実際の長さよりも著しく小さく示しているために、右目と左目の視線を示す線分が交錯する交錯位置が、視差バリア用液晶表示器57よりも前方側或いは後方側に移動しているが、これら交錯位置の実際の移動量は非常に少ないものとなる。
【0280】
一方、遊技者の視点位置が、例えば、基準位置から(X0、Dz’)の前方(近方)に移動した場合には、図14に示すように、X0、Dz’に対応する特化画像ID(X0、Dz’)の特化画像、具体的には、図12のX0、D0の特化画像に比較して、黒帯部(シャッタ;非透過部)が全体的に中心側に移動するとともに黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅がやや狭まった特化画像(視差バリア画像)が視差バリア用液晶表示器57に表示されることで、特に画面の両端部領域において逆視画像が視認されてしまうことがより良く防止され、より良好な立体画像の表示を行うことができる。つまり、変化後の前方(近方)に移動した視点位置において逆視画像となる右目用画像並びに左目用画像が視認されてしまうことをより良く阻止できるように適正化した視差バリア画像、すなわち、変化後の視点位置と右目用画像並びに左目用画像の境界位置とを結んだ線の視差バリア用液晶表示器57上における位置に応じて、黒帯部(シャッタ;非透過部)が基準位置の特化画像に比較して全体的に中心側に移動するとともに、黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅が基準位置の特化画像に比較してやや狭幅とされた特化画像に変更する制御を実施することで、遊技者の視点が前方(近方)に移動したとしても、これら前方(近方)への移動によって逆視画像の特に両側部の画像が視認されてしまうことで立体画像の表示品質が低下してしまうことを防止できるので、より良好な立体画像(表示品質の高い立体画像)の表示を遊技者の前方(近方)への移動によっても行うことができる。
【0281】
また、遊技者の視点位置が、例えば、基準位置から(Xz、D0)である左方向に移動した場合には、図15に示すように、Xz、D0に対応する特化画像ID(Xz、D0)の特化画像、具体的には、図12のX0、D0の特化画像に比較して、黒帯部(シャッタ;非透過部)が全体的に左方向に移動するとともに、左側の表示領域の黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅がやや狭く、右側の表示領域の黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅がやや広い特化画像(視差バリア画像)が視差バリア用液晶表示器57に表示されることで、特に移動方向である左と反対方向の右側端部領域において逆視画像が視認されてしまうことが防止され、良好な立体画像の表示を行うことができる。つまり、変化後の左方向に移動した視点位置において逆視画像となる右目用画像並びに左目用画像が視認されてしまうことをより良く阻止できるように適正化した視差バリア画像、すなわち、変化後の視点位置と右目用画像並びに左目用画像の境界位置とを結んだ線の視差バリア用液晶表示器57上における位置に応じて、黒帯部(シャッタ;非透過部)が基準位置の特化画像に比較して全体的に左方向に移動するとともに、左側の表示領域の黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅が基準位置の特化画像に比較してや狭幅とされる一方、右側の表示領域の黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅が基準位置の特化画像に比較してや広幅とされた特化画像に変更する制御を実施することで、遊技者の視点が左方向に移動したとしても、これら左方向への移動によって逆視画像の特に両側部の画像が視認されてしまうことで立体画像の表示品質が低下してしまうことを防止できるので、より良好な立体画像(表示品質の高い立体画像)の表示を遊技者の左方向への移動によっても行うことができる。
【0282】
また、遊技者の視点位置が、例えば、基準位置から(Xz’、D0)である右方向に移動した場合には、図16に示すように、Xz’、D0に対応する特化画像ID(Xz’、D0)の特化画像、具体的には、図12のX0、D0の特化画像に比較して、黒帯部(シャッタ;非透過部)が全体的に右方向に移動するとともに、右側の表示領域の黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅がやや狭く、左側の表示領域の黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅がやや広い特化画像(視差バリア画像)が視差バリア用液晶表示器57に表示されることで、特に移動方向である右と反対方向の左側端部領域において逆視画像が視認されてしまうことが防止され、良好な立体画像の表示を行うことができる。つまり、変化後の右方向に移動した視点位置において逆視画像となる右目用画像並びに左目用画像が視認されてしまうことをより良く阻止できるように適正化した視差バリア画像、すなわち、変化後の視点位置と右目用画像並びに左目用画像の境界位置とを結んだ線の視差バリア用液晶表示器57上における位置に応じて、黒帯部(シャッタ;非透過部)が基準位置の特化画像に比較して全体的に右方向に移動するとともに、左側の表示領域の黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅が基準位置の特化画像に比較してや広幅とされる一方、右側の表示領域の黒帯部(シャッタ;非透過部)の幅が基準位置の特化画像に比較してや狭幅とされた特化画像に変更する制御を実施することで、遊技者の視点が右方向に移動したとしても、これら右方向への移動によって逆視画像の特に両側部の画像が視認されてしまうことで立体画像の表示品質が低下してしまうことを防止できるので、より良好な立体画像(表示品質の高い立体画像)の表示を遊技者の右方向への移動によっても行うことができる。
【0283】
尚、これら各特化画像(視差バリア画像)の表示中において、遊技者が急激に左または右に移動することにより、移動に対応した特化画像(視差バリア画像)を表示することが困難となる場合には、右目に左目用画像が視認され、左目に右目用画像が視認される逆視状態となって、気分が悪くなってしまう等の不都合が遊技者に生じてしまうことを回避するために、これら一定の閾値以上の急激な左右の移動が発生した場合においてサブCPU91aは、表示制御回路92に対して、立体(3D)画像ではなく、2次元(2D)画像の表示指示を出力するとともに、視差バリア用液晶表示器57における特化画像(視差バリア画像)の表示を中断する(全てを透過部とする)ことで、逆視状態となることを回避するようにすることが好ましい。
【0284】
以上、上記した実施形態によれば、本発明の表示体となる液晶表示器51に2次元(2D)画像(非立体画像)が表示されるときには本発明の視差形成体となる視差バリア用液晶表示器57が格納位置(退避位置)に移動されるようになるので、遊技者は、視差バリア用液晶表示器57を透過することなく、液晶表示器51に表示された2次元(2D)画像(非立体画像)を直接視認できるようになるので、立体(3D)画像と2次元(2D)画像(非立体画像)とを表示しても、2次元(2D)画像(非立体画像)の鮮明度が低下して遊技者が見づらくなってしまうことを解消することができるとともに、視差バリア用液晶表示器57が所定の配置位置に配置されることで、立体(3D)画像への表示の切り替えタイミングを遊技者に明確に示すことができ、立体(3D)画像へ注目させることができる。また、視差バリア用液晶表示器57が移動する期間が予め定められた所定の移動期間であるフリーズの期間や1のゲームの開始から次のゲームが開始されるまでの期間が確保されているので、立体画像(3D画像)への表示の切り替えにおいても演出が不自然になってしまうことを回避できるとともに、例えば、これら移動期間においてフリーズ演出やシャッタ演出等の特定の演出、を実施することが容易となり、これら特定の演出を実施することで立体画像(3D画像)への表示の切り替えタイミングをより一層明確にできる。
【0285】
また、上記した実施形態によれば、視差バリア用液晶表示器57が配置位置へ移動する移動期間において遊技者の操作による遊技の進行が停止される、つまり、遊技者が操作しても遊技が進行しなくなるので、遊技者は、立体画像(3D画像)への表示の切り替えタイミングをより一層明確に把握できるようになる。
【0286】
また、上記した実施形態によれば、視差バリア用液晶表示器57の所定の配置位置への移動が、1のゲームの開始から次のゲームが開始されるまでの期間内において実施されるので、これら視差バリア用液晶表示器57の移動と1ゲームの開始から次のゲームの開始までにおいて実施される演出とを連携させることが可能となるとともに、次のゲームにおいてその開始時点から立体(3D)画像を表示した演出を実施できる。
【0287】
また、上記した実施形態によれば、シャッタ60a,60b(遮蔽部材)が閉位置(遮蔽位置)に移動されることにより、視差バリア用液晶表示器57が所定の配置位置へ移動されて、液晶表示器51(表示体)の表示が立体画像(3D画像)に切り替わることに対する期待感を遊技者に与えることができる。
【0288】
また、上記した実施形態によれば、遊技者の目の位置である視点位置を逐次特定する視点位置特定手段となる赤外線カメラ61やサブCPU91aを備え、サブCPU91a(視差バリア制御手段)は、逐次特定した遊技者の視点位置(Xn、Dn)の変化に応じて、視差バリアの表示位置、表示幅、隣接する視差バリアとの間隔の少なくともいずれか1つを、該変化後の視点位置において液晶表示器51に表示される右目用画像並びに左目用画像の視認をより良く阻止できるように適正化した視差バリア画像である、変化後の視点位置と右目用画像並びに左目用画像の境界位置とを結んだ線の視差バリア用液晶表示器57上における位置に応じて補正された視差バリア画像である、特定した視点位置を含む特化画像IDの特化画像に変更する制御を行うので、遊技者の視点位置が変化しても、視差バリア制御手段となるサブCPU91aによって最適化された視差バリア画像である特化画像が視差バリア用液晶表示器57に表示されるため、右目用画像と左目用画像の表示位置等を変更しなくても、逆視画像となる左目による右目用画像に視認並びに右目による左目用画像の視認が適切に阻止されて良好な立体画像が表示されるようになるため、同一の立体画像を表示するために、各視点に対応した多数の立体画像データを作成並びに使用する必要がないので、立体画像(コンテンツ)の作成に要する労力を低減できるとともに、立体画像データの記憶に必要とされる記憶容量の肥大化も回避することができる。
【0289】
また、上記した実施形態によれば、遊技者の目に進入すると危険なレーザー光や、隣接或いは対向する他の超音波源からの超音波の影響を受けることで正確な測定が困難となる超音波等を使用せずに、単焦点の赤外線カメラ61における焦点制御に基づいて遊技者の目と立体画像表示手段である液晶表示器51との距離を特定するので、安全かつ正確に、液晶表示器51と遊技者の目との距離に基づく視点位置を特定することができる。
【0290】
また、上記した実施形態によれば、入出力ポート90’から入力された補正データ、或いは、調整用画面における調整操作による補正データによって、視差バリア画像が最適化された特化画像が視差バリア用液晶表示器57に表示されるので、透明な保護パネルの屈折率や厚み、並びに保護パネルと液晶表示器51との個体差による距離の違い等により、該保護パネルを透過することにより生じる視差変化によって、良好な立体画像が表示されなくなってしまうことを回避することができる。
【0291】
また、上記した実施形態によれば、液晶表示器51と視差バリア用液晶表示器57とを保持するスライドユニット500が、ゴム部材を介して前面扉1bに取り付けされているので、遊技によって生じる前面扉1bの振動が液晶表示器51や視差バリア用液晶表示器57に伝播して、良好な立体画像が表示されなくなってしまうことを極力防止することができる。
【0292】
また、上記した実施形態によれば、遊技中の遊技者の眼間距離に対応した視差バリア画像である特化画像が視差バリア用液晶表示器57に表示されるので、これら眼間距離が各遊技者によって異なることによって良好な立体画像が表示されなくなってしまうことを極力防止することができる。
【0293】
また、上記した実施形態によれば、遊技者が交替して新たに遊技を開始する場合には、所定の遊技開始条件となる、待機コマンドの受信後における初めの内部抽選コマンドを受信することが成立するので、遊技者の眼間距離の特定を、これら遊技開始条件の成立に応じて実施することにより、遊技者や遊技場の係員等が、眼間距離を特定するための特別な操作を実施する必要がなく、これら操作の手間を低減できるばかりか、これら眼間距離の特定を定常的又は定期的に実施する場合等に比較して、眼間距離の特定に要する処理負荷を著しく低減することもできる。
【0294】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれることは言うまでもない。
【0295】
例えば、前記実施例では、メダル並びにクレジットを用いて賭数を設定するスロットマシンを用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、クレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。
【0296】
更に、流路切替ソレノイド30や投入メダルセンサ31など、メダルの投入機構に加えて、遊技球の取込を行う球取込装置、球取込装置により取り込まれた遊技球を検出する取込球検出スイッチを設けるとともに、ホッパーモータ34bや払出センサ34cなど、メダルの払出機構に加えて、遊技球の払出を行う球払出装置、球払出装置により払い出された遊技球を検出する払出球検出スイッチを設け、メダル及び遊技球の双方を用いて賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダル及び遊技球が払い出されるスロットマシンに適用しても良い。
【0297】
また、前記実施例では、液晶表示器51の中央下部位置に単一のカメラを用いた形態を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらカメラ61’を、例えば、図24に示すように、遊技者の頭部の直上位置に配置して、頭部の位置の左右前後の移動を画像認識により特定することにより、遊技者の視点位置を特定するようにしても良い。つまり、前後方向の視点位置についても、焦点制御による特定ではなく、左右の視点位置と同様に、画像処理によって特定するようにしても良い。尚、これらカメラ61’を、赤外線カメラ61と共に設けるようにしても良い。
【0298】
また、前記した実施の形態においては、液晶表示器51の立体表示を、透明な保護パネルを透して視認する形態を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら保護パネルの液晶表示器51の前面部を開口として、保護パネルを透過することなく液晶表示器51の立体表示を視認できるようにしても良い。
【0299】
また、前記した実施の形態においては、遊技機としてスロットマシン1を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら遊技機として遊技球を用いて遊技を行うパチンコ遊技機としても良い。
【0300】
また、前記実施例では、視差形成体として、視差バリア用液晶表示器57を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら視差形成体としては、視差を形成可能な、かまぼこ状の凸レンズが横方向に複数個連ねて構成された公知のレンティキュラレンズとしても良い。
【0301】
また、前記実施例では、視差形成体として、1枚の視差バリア用液晶表示器57を例示しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら視差形成体を、例えば2枚の視差バリア用液晶パネルや2枚のレンティキュラレンズにて構成し、シャッタ60a,60bと同じく、一の視差バリア用液晶パネルやレンティキュラレンズを液晶表示器51の表示領域の左方から右方へ移動させるとともに、他方の視差バリア用液晶パネルやレンティキュラレンズを液晶表示器51の表示領域の右方から左方へ移動させるようにして、これら2つの視差バリア用液晶パネルやレンティキュラレンズにより液晶表示器51の全体を覆うようにしても良い。
【0302】
また、前記実施例では、視差バリア用液晶表示器57の配置位置を、立体(3D)画像の表示に適した液晶表示器51の中央部としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、演出によっては、液晶表示器51の右または左半分を覆う位置に配置して、視差バリア用液晶表示器57に覆われた液晶表示器51の表示領域に立体(3D)画像を表示し、視差バリア用液晶表示器57に覆われていない液晶表示器51の表示領域に2次元(2D)画像を表示することで、立体(3D)画像と2次元(2D)画像とを同時に表示するようにしても良い。
【0303】
また、前記実施例では、視差バリア用液晶表示器57の移動方向を水平方向としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら移動方向を上下方向(垂直方向)としても良い。
【0304】
また、前記実施例では、視差形成体として可撓性を有しない視差バリア用液晶表示器57を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら視差形成体としては、可撓性のあるものを使用し、該可撓性視差形成体を巻取り或いは湾曲させて格納するようにしても良い。
【0305】
また、前記実施例では、ゲーム開始時にフリーズ制御を実施し、該フリーズ制御の実施期間において視差バリア用液晶表示器57を移動させるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらフリーズ制御をゲーム開始時以外、例えば、ゲーム終了後において次のゲームのベット操作を無効とするフリーズ制御を実施することで、1のゲーム終了から次のゲームの開始までの期間において視差バリア用液晶表示器57を移動させるようにしたり、或いは、BB(1)やBB(2)の入賞時にゲーム途中においてフリーズ制御を実施するようにして、該フリーズ制御を実施しているゲーム途中のフリーズ状態中において視差バリア用液晶表示器57を移動させるようにしても良い。
【0306】
また、前記実施例では、シャッタ60a,60bが閉鎖されている1ゲームの期間中に視差バリア用液晶表示器57を移動させるようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1ゲームの期間中に移動が完了するのではなく、1のゲームの期間中に移動経路の途中の一段階目まで始動し、次のゲームで二段階目まで始動し、更に次のゲームで移動を完了するように、複数のゲームに亘って移動が段階的に実施されるものであっても良く、この場合にあっては、BB(1)やBB(2)の入賞フラグがセットされている場合には視差バリア用液晶表示器57が中央位置まで移動する確率が高いが、BB(1)やBB(2)の入賞フラグがセットされていない場合には、途中で移動が中止されて格納されることで視差バリア用液晶表示器57が中央位置まで移動する確率が低くすることで、これら視差バリア用液晶表示器57の移動態様により、BB(1)やBB(2)に入賞している可能性を示唆するようにしても良い。
【符号の説明】
【0307】
1 スロットマシン
2L、2C、2R リール
6 MAXBETスイッチ
7 スタートスイッチ
8L、8C、8R ストップスイッチ
33L、33C、33R リールセンサ
41a メインCPU
41b ROM
41c RAM
51 液晶表示器
55 リールLED
56 演出用スイッチ
57 視差バリア用液晶表示器
58 スライドモータ
59a,b シャッタ用モータ
60a,b シャッタ
91a サブCPU
91b ROM
91c RAM
500 スライドユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の遊技を行うことが可能な遊技機であって、
右目用画像と左目用画像からなる立体画像と非立体画像とを表示可能とされた表示体と、
該表示体の表示領域の少なくとも一部と重なるように該表示体の前面に配置され、遊技者の左目による前記右目用画像の視認を阻止するとともに遊技者の右目による前記左目用画像の視認を阻止するための視差形成体と、
該視差形成体を、前記表示体の表示領域と重なる所定の配置位置と該表示領域と重ならない所定の退避位置とに移動させる移動手段と、
前記表示体の表示を制御する表示制御処理を実施するとともに、前記表示体に前記非立体画像を表示するときには前記視差形成体を前記移動手段にて前記退避位置に移動させ、前記表示体に前記立体画像を表示するときには、予め設定された所定の移動期間において前記視差形成体を前記移動手段にて前記配置位置に移動させる視差形成体移動処理を実施する制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−55507(P2012−55507A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201801(P2010−201801)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000144153)株式会社三共 (5,148)
【Fターム(参考)】