説明

遊技機

【課題】遊技者に順番に見せることを意図した特定の演出が実行されなかった場合に、前回の特定の演出を遊技者が見ることが無いまま、次の特定の演出が実行されることを防止する。
【解決手段】実行する順番が予め定められた複数の特定の演出を備え、役抽選により特別役に当選する度に前回実行した特定の演出の次の順番に実行することが予め定められた特定の演出を実行し得る遊技機であって、今回実行する特定の演出を特定するための特定演出実行情報を更新する更新処理を行う更新処理実行手段200と、更新処理を行うことを決定する更新処理実行決定手段190と、を備え、更新処理実行手段200は、更新処理を行うことが決定されている場合に更新処理を行うように形成され、更新処理実行決定手段190を、特定の演出が実行されたときに更新処理を行うことを決定するように形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の遊技機、たとえばスロットマシンは、外部電源に接続されて駆動電力を生成する電源装置を備えている。そして、従来から、電源装置による駆動電力の生成が断たれる電源断が発生し、この電源断からの復帰時にボーナス役に当選していたときには、ボーナス役の当選を遊技者に報知する報知演出を実行する遊技機が知られている(特許文献1参照)。このような遊技機によれば、より多くのお客を集客することを目的として、遊技店の開店時にボーナス役を当選させておくいわゆるモーニングと呼ばれるサービスを防止することができ有益である。
また、従来から、遊技者に順番に見せることを意図した物語性のある特定の演出を特定の契機が発生する度に実行する遊技機が知られている。このような遊技機では、特定の契機が発生する度に、物語を段階的に進行させながら演出を実行するものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−247716号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の遊技機において、ボーナス役に当選する度に前記遊技者に順番に見せることを意図した特定の演出を実行するようにする場合に、その特定の演出を実行する前に電源断が発生したときには、この電源断から復帰すると、ボーナス役の当選を遊技者に報知する報知演出を実行するものであるから、特定の演出が実行されなくなってしまう。このような場合では、電源断の発生により今回実行する予定であった特定の演出が実行されることなく次のボーナス当選時に次の順番の特定の演出が実行され、遊技者に順番に見せることを意図しているにもかかわらず、遊技者が特定の演出を順番に見ることができなくなるといった事態が起こり得る。
【0005】
また同様に、ボーナス役に当選する度に前記遊技者に順番に見せることを意図した特定の演出を実行するようにする場合に、その特定の演出を実行する前にボーナス役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたときには、一般的にボーナス遊技用の演出を実行するので、特定の演出が実行されなくなってしまう。このような場合にも同様に、遊技者に順番に見せることを意図しているにもかかわらず、遊技者が特定の演出を順番に見ることができなくなるといった事態が起こり得る。
そこで、本発明は、遊技者に順番に見せることを意図した特定の演出が実行されなかった場合に、今回実行する予定であった特定の演出を次回の機会に実行することができ、前回の特定の演出を遊技者が見ることが無いまま、次の特定の演出が実行されることを防止することができる遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
各請求項に記載された発明は、上記した各目的を達成するためになされたものであり、本発明の特徴点を図面に示した発明の実施の形態を用いて、以下に説明する。
なお、符号は、発明の実施の形態において用いた符号を示し、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
(請求項1)
請求項1記載の発明は、特別役を含む複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの役抽選を行う役抽選手段100と、役抽選により特別役に当選したことにより、特定の演出を実行することを決定する特定演出実行決定手段140と、特定演出実行決定手段140により特定の演出を実行することが決定された遊技の次以降の遊技であって、予め定められた所定の遊技回数が経過したときに、特定の演出を実行する演出実行手段280と、を備え、遊技として、役抽選により特別役に当選した後に予め定められた移行条件が成立することにより移行する遊技であって、通常の遊技である通常遊技とは異なる遊技である特別遊技を備え、演出実行手段280は、特定演出実行決定手段140により特定の演出を実行することが決定されている場合に特定の演出を実行する前に予め定められた開始条件の成立により特別遊技へ移行したときには、特定の演出を実行しないように形成され、特定の演出として、実行する順番が予め定められた複数の特定の演出を備え、役抽選により特別役に当選する度に、前回実行した特定の演出の次の順番に実行することが予め定められた特定の演出を実行し得る遊技機であって、今回実行する特定の演出を特定するための情報(以下、「特定演出実行情報」とする。)を記憶する特定演出実行情報記憶手段180と、今回実行した特定の演出の次の順番に実行することが予め定められた特定の演出を次回実行するように、特定演出実行情報記憶手段180により記憶されている特定演出実行情報を更新する特定演出実行情報更新処理を行う更新処理実行手段200と、特定演出実行情報更新処理を行うことを決定する更新処理実行決定手段190と、を備え、演出実行手段280は、特定の演出を実行する場合には、特定演出実行情報記憶手段180により記憶されている特定演出実行情報に基づいて、複数の特定の演出のうちから演出を選択して実行するように形成され、更新処理実行手段200は、更新処理実行決定手段190により特定演出実行情報更新処理を行うことが決定されている場合に、特定演出実行情報更新処理を行うように形成され、更新処理実行決定手段190は、演出実行手段280により特定の演出が実行されたときに、特定演出実行情報更新処理を行うことを決定するように形成されていることを特徴とする。
【0007】
ここで、「特定演出実行手段」には、特定演出実行決定手段140により特定の演出を実行することが決定された遊技の次の遊技において、特定演出を実行するものを含むものである。
また、「特別遊技」としては、小役の当選確率を通常遊技よりも高く設定したボーナス遊技や、再遊技役の当選確率を通常遊技よりも高く設定したRT(リプレイタイム)遊技や、役抽選に関する情報を遊技者に報知するAT(アシストタイム)遊技や、RT遊技とAT遊技とを組み合わせたART(アシストリプレイタイム)遊技などが挙げられる。
また、特別遊技の「移行条件」としては、特別役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたことや、特別役に対応した図柄の組み合わせ以外の所定の図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたことや、役抽選により特別役に当選してから所定の遊技回数が経過したことなどが挙げられる。
【0008】
すなわち本発明では、特定の演出が実行されたときに、特定演出実行情報更新処理を行うことを決定し、特定演出実行情報更新処理を行うことが決定されている場合に、特定演出実行情報を更新する特定演出実行情報更新処理を行う。これにより、本発明によれば、特別役に当選してから前兆遊技回数が経過して特定の演出を実行するまでの間に、予め定められた移行条件の成立により特別遊技へ移行した結果、実行する予定であった特定の演出が実行されなかった場合には、特定演出実行情報更新処理を行わないので、次回の機会に今回実行する予定であった特定の演出を実行することができる。
(請求項2)
請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明の特徴に加え、特別遊技は、予め定められた移行条件として特別役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたときに移行するように形成され、役抽選手段100は、特別役の当選の権利を特別役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されるまで持ち越すことができるように形成され、外部電源に接続されて駆動電力を生成する電源制御手段を備え、演出実行手段280は、特定演出実行決定手段140により特定の演出を実行することが決定されている場合に特定の演出を実行する前に電源制御手段による駆動電力の生成が断たれる電源断が発生したときには、電源断からの復帰時に特別役に当選したことを遊技者に報知する報知演出を実行するように形成され、特定の演出を実行することを決定している場合に演出実行手段により特定の演出が実行される前に電源制御手段による駆動電力の生成が断たれる電源断が発生したときには、特定の演出を実行することの決定を破棄するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
ここで、「特定の演出を実行することの決定を破棄する」とは、当該決定を最初からなかったものとして取り扱うことであり、たとえば、当該決定に関するデータを消去することが含まれる。
(請求項3)
請求項3記載の発明は、特別役を含む複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの役抽選を行う役抽選手段100と、役抽選により特別役に当選したことにより、特定の演出を実行することを決定する特定演出実行決定手段140と、特定演出実行決定手段140により特定の演出を実行することが決定された遊技の次以降の遊技であって、予め定められた所定の遊技回数が経過したときに、特定の演出を実行する演出実行手段280と、外部電源に接続されて駆動電力を生成する電源制御手段と、を備え、役抽選手段100は、特別役の当選の権利を特別役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されるまで持ち越すことができるように形成され、遊技として、特別役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されることにより移行する遊技であって、通常の遊技である通常遊技とは異なる遊技である特別遊技を備え、演出実行手段280は、特定演出実行決定手段140により特定の演出を実行することが決定されている場合に特定の演出を実行する前に電源制御手段による駆動電力の生成が断たれる電源断が発生したときには、電源断からの復帰時に特別役に当選したことを遊技者に報知する報知演出を実行するように形成され、特定の演出として、実行する順番が予め定められた複数の特定の演出を備え、役抽選により特別役に当選する度に、前回実行した特定の演出の次の順番に実行することが予め定められた特定の演出を実行し得る遊技機であって、今回実行する特定の演出を特定するための情報(以下、「特定演出実行情報」とする。)を記憶する特定演出実行情報記憶手段180と、今回実行した特定の演出の次の順番に実行することが予め定められた特定の演出を次回実行するように、特定演出実行情報記憶手段180により記憶されている特定演出実行情報を更新する特定演出実行情報更新処理を行う更新処理実行手段200と、特定演出実行決定手段140による特定の演出を実行することの決定により、特定演出実行情報更新処理を行うことを決定する更新処理実行決定手段190と、を備え、演出実行手段280は、特定の演出を実行する場合には、特定演出実行情報記憶手段により記憶されている特定演出実行情報に基づいて、複数の特定の演出のうちから演出を選択して実行するように形成され、更新処理実行手段200は、演出実行手段280により特定の演出が少なくとも開始された後の所定時において、更新処理実行決定手段190により特定演出実行情報更新処理を行うことが決定されている場合に、特定演出実行情報更新処理を行うように形成され、特定演出実行決定手段140により特定の演出を実行することが決定されている場合に演出実行手段280により特定の演出が実行される前に電源制御手段による駆動電力の生成が断たれる電源断が発生したときには、特定演出実行情報更新処理を行うことの決定を破棄するように形成されていることを特徴とする。
【0010】
すなわち本発明では、特定の演出を実行することが決定されたことにより、特定演出実行情報更新処理を行うことを決定し、特定の演出を実行することが決定されている場合に特定の演出を実行する前に電源断が発生したときには、特定演出実行情報更新処理を行うことの決定を破棄する。これにより、本発明によれば、特別役に当選してから前兆遊技回数が経過して特定の演出を実行するまでの間に、電源断が発生した結果、実行する予定であった特定の演出が実行されなかった場合には、特定演出実行情報更新処理を行わないので、次回の機会に今回実行する予定であった特定の演出を実行することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、以上のように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。
すなわち本発明によれば、遊技者に順番に見せることを意図した特定の演出が実行されなかった場合に、今回実行する予定であった特定の演出を次回の機会に実行することができ、前回の特定の演出を遊技者が見ることが無いまま、次の特定の演出が実行されることを防止することができる遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施の形態であって、スロットマシンの正面図である。
【図2】スロットマシンのブロック図である。
【図3】メイン制御処理の概略を示すフローチャートである。
【図4】遅延演出処理を示すフローチャートである。
【図5】遊技制御装置21における電源断発生時の処理を示すフローチャートである。
【図6】サブ制御処理の概略を示すフローチャートである。
【図7】演出制御装置22における電源断発生時の処理を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態であって、メイン制御処理の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を、図1〜図7に基づいて説明する。
以下、「前面」とは、スロットマシン10において遊技を行う際に遊技者が向き合う面をいい、「右側」とは、スロットマシン10の前面に向き合って遊技を行う遊技者から見て右側をいい、「左側」とは、スロットマシン10の前面に向き合って遊技を行う遊技者から見て左側をいう。
(スロットマシン10)
図1に概略を示すように、遊技機としてのスロットマシン10は、前面に開口部を有する箱型の筐体11を備え、筐体11の前面には、開口部を塞ぐ前扉12を備え、筐体11の内部には、3個の回転リール45を横並びに配置したリールユニット40や、スロットマシン10を制御する制御装置20や、遊技媒体としてのメダルを払い出すホッパーユニットや、スロットマシン10が備える各装置に電力を供給する電源ユニット14などを備えている。
【0014】
前扉12の略中央には、前方へ向けて突出する操作部16が設けられ、操作部16の上方には、各回転リール45の周囲に付されている図柄を遊技者に見せるための図柄表示窓15が設けられ、図柄表示窓15の上方には、画像を表示する表示装置55が設けられ、図柄表示窓15及び表示装置55の周囲縁には、演出用ランプ17が設けられている。図柄表示窓15は、縦3列横3行に配置した合計9個の図柄を遊技者に見せるように形成されている。縦3列横3行に配置した合計9個の図柄が表示される位置には、図柄の並びを示す入賞ラインが設定されている。入賞ラインとしては、一又は複数本を設定することができる。
操作部16の上面右側には、メダルを投入するためのメダル投入口36が設けられ、操作部16の上面左側には、スロットマシン10に電子的に貯留(クレジット)されているメダルをベットするためのベットスイッチ32が設けられ、操作部16の上面左端付近には、クレジットされているメダルを返却するための精算スイッチ35が設けられ、操作部16の前面左側には、すべての回転リール45の回転を開始させるためのスタートスイッチ33が設けられ、操作部16の前面中央には、回転リール45の回転を停止させるためのものであって各回転リール45にそれぞれ対応している3個のストップスイッチ34が横並びに設けられている。
【0015】
前扉12の下部中央には、メダル払出口37が設けられ、メダル払出口37の下方には、メダル受け皿38が設けられている。さらに、前扉12には、図示しないスピーカが設けられている。
(電源ユニット(電源制御手段)14)
電源ユニット14は、スイッチング電源回路を備え、電源コードを通じて外部から外部電力(たとえばAC24V)を取り込むと、そこから必要な電力(たとえば+12Vなど)を生成し、各装置に供給する。また、電源ユニット14には、図示しない電源スイッチが設けられ、電源スイッチをオン状態にすることによって、各装置に電力が供給され、電源スイッチをオフ状態にすることによって、各装置への電力の供給が断たれるものとなっている。
【0016】
また、電源ユニット14には、駆動電力の生成が断たれる電源断を検出する電源断検出センサが設けられ、電源断検出センサは、駆動電圧を監視し、その電圧レベルが基準電圧を下回った場合に電源断検出信号を遊技制御装置21及び演出制御装置22へ出力する。
また、電源ユニット14には、バックアップ用電力を供給するための図示しないバックアップ電源回路が設けられ、電源断の発生後は、バックアップ電源回路からバックアップ用電力が供給される。
(リールユニット40)
リールユニット40は、横並びに設けた3個の回転リール45と、各回転リール45を回転させるためのものであって各回転リール45にそれぞれ対応しているステッピングモータと、これらを支持するためのフレームとを備えている。各回転リール45の周囲には、複数種類の図柄が所定の配列で所定数(たとえば21個)付されている。
【0017】
また、各ステッピングモータの出力軸には、対応する回転リール45がそれぞれ固定されている。
また、ステッピングモータは、パルス信号によって駆動するものであって、入力されるパルス信号のパターンによって、加速・定速・減速のパターンが決まる。そして、ステッピングモータが駆動すると、ステッピングモータの出力軸を中心に、対応する回転リール45が回転する。また、ステッピングモータは、一のパルス信号の入力により、回転リール45の周囲に付された図柄1個分に相当する量駆動する。そして、ステッピングモータが図柄1個分に相当する量駆動すると、対応する回転リール45が、周囲に付された図柄1個分に相当する量回転する(1コマ回転する)。
【0018】
また、各回転リール45には、インデックスセンサにより検知されるインデックスが設けられており、インデックスが検知されてからのステッピングモータのパルス数により回転リール45の回転位置及び停止位置を特定できるようになっている。
(制御装置20)
制御装置20は、図2に示すように、主として遊技を制御する遊技制御装置21と、遊技制御装置21からの信号を受信して、主として遊技の演出を制御する演出制御装置22とを備えている。
遊技制御装置21は、メイン基板などとも呼ばれるものであって、CPU、RAM、ROM、及びI/Oなどを備えたマイクロコンピュータを用いて構成されている。CPUがROMに記憶された所定のプログラムを実行することにより、遊技制御装置21を構成するマイクロコンピュータが、役の抽選(役抽選)、回転リール45の回転・停止及びメダルの払い出しなどの遊技の進行を制御する遊技制御手段60として機能する。具体的には、遊技制御手段60は、図2に示すように、役抽選手段100、回転制御手段110、停止制御手段120、停止図柄判定手段130、特定演出実行決定手段140、前兆遊技回数設定手段150、遅延演出データ記憶手段160、遅延演出実行手段170、特定演出実行情報記憶手段180、更新処理実行決定手段190、更新処理実行手段200、コマンド送信手段210及び電源断発生時処理実行手段220などを備えている。遊技制御装置21の入力手段としては、ベットスイッチ32、スタートスイッチ33、ストップスイッチ34、精算スイッチ35、接触センサ52及びリールユニット40の各回転リール45のインデックスセンサなどが接続され、遊技制御装置21の出力手段としては、リールユニット40のステッピングモータや、ホッパーユニットなどが接続されている。
【0019】
また、演出制御装置22は、サブ基板などとも呼ばれるものであって、遊技制御装置21と同様に、CPU、RAM、ROM、及びI/Oなどを備えたマイクロコンピュータを用いて構成されている。CPUがROMに記憶された所定のプログラムを実行することにより、演出制御装置22を構成するマイクロコンピュータが、役抽選の結果や、遊技の進行に応じて遊技の演出を制御する演出制御手段230として機能する。演出制御装置22の入力手段としては、遊技制御装置21が接続され、演出制御装置22の出力手段としては、表示装置55や、演出用ランプ17や、図示しないスピーカなどが接続されている。
また、演出制御装置22には、図示しないリセットスイッチが設けられており、当該リセットスイッチの操作により、演出制御装置22のRAMがリセットされるように形成されている。
【0020】
また、遊技制御装置21と演出制御装置22との間における信号の送受信は、遊技制御装置21における役抽選に関するデータ等の内部データの信頼性を担保すべく、一方通行となるように形成されている。
(役)
本実施の形態では、役として、有効入賞ライン上に所定の図柄の組み合わせが停止表示されることにより、ボーナス遊技(特別遊技)へ移行するボーナス役(特別役)と、有効入賞ライン上に所定の図柄の組み合わせが停止表示されることにより、メダルが払い出される小役と、有効入賞ライン上に所定の図柄の組み合わせが停止表示されることにより、メダルの払い出しはないがメダルを新たに投入することなく前回の遊技と同じ条件で再度遊技を行うことができる再遊技を実行させる再遊技役とがある。ここで、「有効入賞ライン」とは、メダルのベットに応じて有効になった入賞ラインである。本実施の形態では、1回の遊技につき、メダルを3枚ベットすることが可能となっており、3枚のメダルをベットすると、全ての入賞ラインが有効となって有効入賞ラインとなり、遊技を開始することが可能となっている。
【0021】
本実施の形態では、ボーナス役として、たとえば「赤7」「赤7」「赤7」の図柄の組み合わせに対応したBB1役と、たとえば「青7」「青7」「青7」の図柄の組み合わせに対応したBB2役と、たとえば「BAR」「BAR」「BAR」の図柄の組み合わせに対応したRB役とが設けられている。
(役抽選手段100)
役抽選手段100は、複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの役抽選を行うものである。役抽選手段100は、スタートスイッチ33の操作を契機に、図示しないループカウンタの数値を読み取り、この数値と、ループカウンタがカウントする数値を全領域として各役の当選領域及びハズレの領域を規定した当選判定テーブルとを比較して、役の当否を決定する。
【0022】
当選判定テーブルとしては、通常遊技用の当選判定テーブル及びボーナス遊技用の当選判定テーブルなどの複数のテーブルを設けることができる。たとえば、ボーナス遊技用の当選判定テーブルは、小役などの特定の役の当選確率が通常遊技用の当選判定テーブルよりも高くなるように設定することができる。このようにすると、ボーナス遊技においては、通常遊技よりも多くのメダルを獲得することができるようになり、遊技者にとって有利な遊技となる。
また、役抽選手段100は、役抽選の結果を記憶する。ボーナス役の当選の権利(いわゆるボーナス役に対応した当選フラグ、たとえばBB1役に対応したBB1当選フラグなど)は、その当選したボーナス役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されるまで持ち越されるようになっている。一方、小役や再遊技役の当選の権利は、その当選した遊技においてのみ有効であり、持ち越すことはできないようになっている。
【0023】
また、役抽選手段100は、役抽選の結果を示す役抽選結果コマンドを演出制御装置22へ送信する。
(回転制御手段110)
回転制御手段110は、回転リール45の回転駆動を制御するものである。回転制御手段110は、スタートスイッチ33の操作を契機に、3個すべての回転リール45の回転を通常の回転方向に開始させて、その回転速度が所定の定常速度に達するまで加速処理を行い、その後は、回転リール45を所定の定常速度で定速回転させる定速処理を行う。スタートスイッチ33の操作により回転リール45の回転が開始すると、遊技が開始する。
【0024】
また、本実施の形態では、遊技の開始に係るスタートスイッチ33が操作されると、後述する遅延演出実行手段170により遅延演出が実行される場合がある。この場合には、回転制御手段110は、遅延演出の終了後に、加速処理及び定速処理を行う。
(停止制御手段120)
停止制御手段120は、ストップスイッチ34の操作を契機として、役抽選の結果及びストップスイッチ34が操作された時点における対応する回転リール45の回転位置に基づいて、回転リール45の回転を停止させる停止制御を行うものである。
具体的には、停止制御手段120は、役抽選の結果がいずれかの役に当選の場合には、各回転リール45の回転を停止させるに際し、当選した役を構成する図柄の組み合わせがいずれかの有効入賞ライン上に極力揃うように、かつ、当選した役以外の役を構成する図柄の組み合わせについてはいずれの有効入賞ライン上にも揃わないように、引き込み制御及び蹴飛ばし制御を行い、一方、役抽選の結果がハズレの場合には、各回転リール45の回転を停止させるに際し、いずれの有効入賞ライン上にも、いずれの役を構成する図柄の組み合わせも揃わないように、蹴飛ばし制御を行う。
【0025】
停止制御手段120は、この引き込み制御及び蹴飛ばし制御を、回転リール45の停止位置を予め定めた停止テーブルを参照して制御を行うテーブル制御や、所定の図柄を停止させるか否かを判断しながら制御を行うプログラム制御などにより行うことができる。
また、停止制御手段120は、リールユニット40の各ステッピングモータへのパルス信号の供給を停止することにより、回転リール45の回転を適位置で停止させる。
(停止図柄判定手段130)
停止図柄判定手段130は、すべての回転リール45の回転が停止した際に、有効入賞ライン上に停止表示されている図柄の組み合わせを判定するものである。停止図柄判定手段130により判定が行われると、この判定の結果に基づいた制御が所定の手段により実行される。たとえば、小役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたと判定されると、遊技制御手段60は、この小役に応じた所定枚数のメダルを払い出すようにする。また、たとえば、再遊技役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたと判定されると、遊技制御手段60は、再遊技を実行する制御を行う。また、たとえば、ボーナス役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたと判定されると、遊技制御手段60は、ボーナス遊技を開始する。なお、遊技制御手段60は、予め定められた終了条件(たとえば予め定められた枚数を超えるメダルの払い出しや、所定の遊技回数の経過)の成立によりボーナス遊技を終了する。
【0026】
また、停止図柄判定手段130は、判定結果を示す遊技結果コマンドを演出制御装置22へ送信する。
(特定演出実行決定手段140)
特定演出実行決定手段140は、役抽選によりBB1役(特別役)に当選したことにより、EP(エピソード)演出(特定の演出)を実行することを決定するものである。
ここで、「EP演出」とは、遊技者に順番に見せることを意図した演出である。EP演出としては、複数(本実施の形態では10種類)のEP演出が設けられている。各EP演出には、それぞれ、「1」〜「10」までの演出番号が付されている。
【0027】
また、本実施の形態では、EP演出は、遊技制御装置21で制御される遊技の進行を遅延させる遅延演出と、演出制御装置22で制御される映像・音・光による映像演出との組み合わせにより構成されている。また、EP演出は、1回の遊技で終了する演出(1ゲーム演出)としてもよいし、複数の遊技に亘って連続して実行される演出(連続演出)としてもよい。
特定演出実行決定手段140は、遊技制御装置21のRAMにおける所定の記憶領域に、EP演出を実行することを決定するためのEP演出実行決定フラグを成立させる。これにより、特定演出実行決定手段140は、EP演出を実行することを決定する。
【0028】
また、特定演出実行決定手段140は、遅延演出実行手段170によりEP演出の一部を構成する遅延演出が実行されたとき又はBB1役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたときに、EP演出実行決定フラグを消去する。
なお、特定演出実行決定手段140は、抽選により、EP演出を実行するか否かを決定するようにしてもよい。
(前兆遊技回数設定手段150)
前兆遊技回数設定手段150は、特定演出実行決定手段140によりEP演出を実行することが決定されたときに、EP演出を実行するタイミングを決定するものである。本実施の形態では、BB1役に当選してから所定の遊技回数が経過した後に、EP演出を実行するものとなっている。
【0029】
前兆遊技回数設定手段150は、BB1役に当選してからEP演出を実行するまでの遊技回数である前兆遊技回数をカウントする前兆遊技回数カウンタを備え、特定演出実行決定手段140によりEP演出を実行することが決定されたときに、前兆遊技回数に相当する所定値を前兆遊技回数カウンタに設定する。前兆遊技回数設定手段150は、EP演出実行決定フラグが成立しておりかつ前兆遊技回数カウンタが所定の閾値(本実施の形態では「0」)より大きい場合に、毎遊技の実行に伴い、1回の遊技に相当する所定値(本実施の形態では「1」)を減算する。これにより、前兆遊技回数をカウントする。
なお、前兆遊技回数は、実行するEP演出に応じて予め設定するようにすることができる。この場合には、後述するEP演出実行情報に基づいて、実行するEP演出に応じて予め設定された前兆遊技回数に相当する所定値を、前兆遊技回数カウンタに設定することができる。
【0030】
(遅延演出データ記憶手段160)
遅延演出データ記憶手段160は、遅延演出のデータを記憶するものである。
遅延演出としては、スロットマシン10の動作が一旦停止したかのように遊技者に見せるフリーズ演出や、回転リール45を用いた演出である回転リール演出などがある。
ここで、「フリーズ演出」としては、たとえば、スタートスイッチ33が操作されてから全ての回転リール45が所定の定常速度に達して定速回転するまでの時間や、全ての回転リール45が所定の定常速度に達してからストップスイッチ34が有効となるまでの時間や、メダルを払い出す場合に、停止図柄判定手段130による判定が行われてからメダルの払い出しを開始するまでの時間や、当該遊技が終了してから次回の遊技の開始に係るメダルの受け付け状態となるまでの時間を、通常の遊技の進行よりも遅らせることができる。たとえばスタートスイッチ33が操作されてから回転リール45の回転が開始するまでの時間を通常の遊技の進行よりも遅らせることにより、スタートスイッチ33の操作によってスロットマシン10の動作が一旦停止したかのように遊技者に見せることができる。
【0031】
また、「回転リール演出」としては、スタートスイッチ33が操作されてから全ての回転リール45が所定の定常速度に達して定速回転するまでの間において、回転リール45の回転方向や回転速度を変化させることにより、結果として通常の遊技の進行よりも遊技の進行を遅らせることができる。
(遅延演出実行手段170)
遅延演出実行手段170は、遅延演出を実行するものである。遅延演出実行手段170は、EP演出実行決定フラグが成立しておりかつ前兆遊技回数が所定の閾値(「0」)である場合に、スタートスイッチ33の操作を契機に、遅延演出を実行する。
【0032】
なお、遅延演出は、実行するEP演出に応じてどのような遅延演出を実行するかを予め設定するようにすることができる。この場合には、遅延演出実行手段170は、後述するEP演出実行情報に基づいて、実行するEP演出に応じて予め設定された遅延演出を実行することができる。
(特定演出実行情報記憶手段180)
特定演出実行情報記憶手段180は、今回実行するEP演出(特定の演出)を特定するためのEP演出実行情報(特定演出実行情報)を記憶するものである。本実施の形態では、遊技制御装置21のRAMには、EP演出実行情報を記憶するための記憶領域であるEP記憶領域が設けられており、本手段は、EP記憶領域により構成されている。
【0033】
EP演出実行情報は、EP演出の演出番号(「1」〜「10」)を示すものとなっている。本実施の形態では、EP演出実行情報は、各EP演出の演出番号に対応した「1」〜「10」のいずれかとなっている。
(更新処理実行決定手段190)
更新処理実行決定手段190は、後述するEP演出実行情報更新処理(特定演出実行情報更新処理)を行うことを決定するものである。本実施の形態では、EP演出の一部を構成する遅延演出が実行されたとき(演出実行手段280により特定の演出が実行されたとき)に、遊技制御装置21のRAMにおける所定の記憶領域に、EP演出実行情報更新処理を行うことを決定するための更新処理実行決定フラグを成立させる。これにより、更新処理実行決定手段190は、EP演出実行情報更新処理を行うことを決定する。
【0034】
また、更新処理実行決定手段190は、後述するEP演出実行情報更新処理が行われたときに、更新処理実行決定フラグを消去する。
(更新処理実行手段200)
更新処理実行手段200は、今回実行したEP演出(特定の演出)の次の順番に実行することが予め定められたEP演出を次回実行するように、特定演出実行情報記憶手段180により記憶されているEP演出実行情報を更新するEP演出実行情報更新処理(特定演出実行情報更新処理)を行うものである。更新処理実行手段200は、ボーナス遊技の終了時に、更新処理実行決定フラグが成立していることを条件として(更新処理実行決定手段190により特定演出実行情報更新処理を行うことが決定されている場合に)、EP演出実行情報更新処理を行う。
【0035】
また、更新処理実行手段200は、EP演出実行情報更新処理として、EP記憶領域からEP演出実行情報を取得し、このEP演出実行情報が「1」→「2」→「3」・・・「10」→「1」の順序で循環するように、EP演出実行情報に所定値(本実施の形態では「1」)を加算し、加算後の値がいずれのEP演出の演出番号にも対応しない上限値(本実施の形態では「11」)となった場合には、演出番号1番のEP演出に対応する値(本実施の形態では「1」)に初期化する。そして、更新処理実行手段200は、加算又は初期化後の演出実行情報をEP記憶領域に書き込む。
(コマンド送信手段210)
コマンド送信手段210は、所定のコマンドを演出制御装置22へ送信するものである。
【0036】
コマンド送信手段210は、前兆遊技回数設定手段150により前兆遊技回数が設定されたときに、前兆遊技回数を示す前兆遊技回数コマンドを送信する。
また、コマンド送信手段210は、遅延演出実行手段170により遅延演出が実行されるときに、その旨を示す遅延演出実行コマンドを送信する。
また、コマンド送信手段210は、更新処理実行決定フラグが成立している場合に(すなわちこのフラグが成立してからEP演出実行情報更新処理を行うまで毎遊技)、スタートスイッチ33の操作を契機に、更新処理実行決定フラグが成立している旨を示す更新処理実行決定コマンドを送信する。
【0037】
また、コマンド送信手段210は、毎遊技の終了時に、EP演出実行情報に基づいて、今回実行するEP演出を示すEP演出実行情報コマンドを送信する。
(電源断発生時処理実行手段220)
電源断発生時処理実行手段220は、電源スイッチのオフ操作や停電などにより電源断が発生したとき(電源断検出信号が入力されたとき)に、遊技制御装置21のRAMにおける所定のデータを保持するバックアップ処理を行うとともに、電源断からの復帰時にバックアップしたデータに基づいて、電源断の発生前の状態へ復帰する復帰処理を行うものである。遊技制御装置21のRAMには、電源断の発生時に各種データを保存するためのバックアップ領域などが設けられている。電源断発生時処理実行手段220は、電源断が発生したときに、予め定められた記憶領域のデータ、たとえば役抽選の結果(いわゆる当選フラグ)などのデータをバックアップ領域に保存するバックアップ処理を行う。なお、電源断の発生後は、バックアップ電源回路からバックアップ用電力が供給されるため、バックアップ領域のデータは電源断後も消失することなく保持される。
【0038】
また、本実施の形態では、EP演出実行決定フラグを成立させるための所定の記憶領域及び前兆遊技回数カウンタの記憶領域は、バックアップの対象としていない。すなわち、EP演出実行決定フラグが成立していても、EP演出実行決定フラグは保存されない。これにより、本実施の形態では、EP演出を実行することの決定を破棄するものとなっている。同様に、前兆遊技回数カウンタの値に関わらず、このカウンタの値は保存されない。
一方、EP記憶領域は、バックアップの対象としている。このため、EP演出実行情報は保存される。
また、電源断発生時処理実行手段220は、電源スイッチのオン操作などによる電源断からの復帰時に、バックアップ領域のデータに基づいて、電源断の発生前の状態へ復帰する復帰処理を行う。
【0039】
また、電源断発生時処理実行手段220は、電源断からの復帰時に、復帰した役抽選の結果のデータに基づいて、役抽選結果コマンドを演出制御装置22へ送信する。
なお、EP演出実行決定フラグが成立する所定の記憶領域及び前兆遊技回数カウンタの記憶領域を、バックアップの対象とし、電源断発生時処理実行手段220は、復帰処理において、EP演出実行決定フラグを消去するようにしてもよい。同様に、復帰処理において、前兆遊技回数カウンタを初期値(本実施の形態では「0」)にリセットするようにしてもよい。また、復帰処理(復帰時)ではなく、復帰後の所定の契機により、EP演出実行決定フラグを消去し、前兆遊技回数カウンタを初期値にリセットするようにしてもよい。たとえば、復帰後のスタートスイッチ33の最初の操作により(復帰後の最初の遊技におけるスタートスイッチ33の操作により)、EP演出実行決定フラグを消去し、前兆遊技回数カウンタを初期値にリセットするようにしてもよい。
【0040】
(演出制御手段230)
演出制御手段230は、表示装置55や演出用ランプ17やスピーカを制御して、役抽選の結果や、遊技の進行に応じて、遊技の演出の実行を制御するものである。具体的には、演出制御手段230は、表示装置55に特定の画像を表示させたり、演出用ランプ17を点灯又は点滅させたり、スピーカから所定の音を出力させたりすることにより、遊技を盛り上げる演出を実行する。
演出制御手段230は、図2に示すように、EP演出実行情報記憶手段240と、確認更新処理実行手段250と、電源断発生時処理実行手段260と、演出データ記憶手段270と、演出実行手段280とを備えている。
【0041】
(EP演出実行情報記憶手段240)
EP演出実行情報記憶手段240は、EP演出実行情報を記憶するものである。本実施の形態では、演出制御装置22のRAMには、EP演出実行情報を記憶するための記憶領域であるEP記憶領域が設けられており、本手段は、EP記憶領域により構成されている。
EP演出実行情報は、EP演出の演出番号(「1」〜「10」)を示すものとなっている。本実施の形態では、EP演出実行情報は、各EP演出の演出番号に対応した「1」〜「10」のいずれかとなっている。
(確認更新処理実行手段250)
確認更新処理実行手段250は、受信した更新処理実行決定コマンド及びEP演出実行情報コマンドに基づいてEP演出実行情報記憶手段240により記憶されているEP演出実行情報を更新する更新処理を行うとともに、受信したEP演出実行情報コマンドに基づいて遊技制御装置21において記憶されているEP演出実行情報と、演出制御装置22において記憶されているEP演出実行情報とが一致しているか否かの確認処理を行うものである。
【0042】
確認更新処理実行手段250は、ボーナス遊技が終了したときであってEP演出実行情報コマンドを受信したときに、当該遊技において更新処理実行決定コマンドを受信したことを条件に、受信したEP演出実行情報コマンドが示すEP演出の演出番号に対応したものにEP演出実行情報を更新する更新処理を行う。
また、確認更新処理実行手段250は、ボーナス遊技の終了時以外において、EP演出実行情報コマンドを受信したときに、EP記憶領域からEP演出実行情報を取得し、受信したEP演出実行情報コマンドに基づいて、遊技制御装置21において記憶されているEP演出実行情報と、演出制御装置22において記憶されているEP演出実行情報とが一致しているか否かの確認処理を行う。一致していなかった場合には、受信したEP演出実行情報コマンドが示すEP演出の演出番号に対応したEP演出実行情報をEP記憶領域に書き込む。
【0043】
(電源断発生時処理実行手段260)
電源断発生時処理実行手段260は、電源スイッチのオフ操作や停電などにより電源断が発生したとき(電源断検出信号が入力されたとき)に、演出制御装置22のRAMにおける所定のデータを保持するバックアップ処理を行うとともに、電源断からの復帰時にバックアップしたデータに基づいて、電源断の発生前の状態へ復帰する復帰処理を行うものである。演出制御装置22のRAMには、電源断の発生時に各種データを保存するためのバックアップ領域などが設けられている。電源断発生時処理実行手段260は、電源断が発生したときに、予め定められた記憶領域のデータをバックアップ領域に保存するバックアップ処理を行う。なお、電源断の発生後は、バックアップ電源回路からバックアップ用電力が供給されるため、バックアップ領域のデータは電源断後も消失することなく保持される。
【0044】
また、電源断発生時処理実行手段260は、電源スイッチのオン操作などによる電源断からの復帰時に、バックアップ領域のデータに基づいて、電源断の発生前の状態へ復帰する復帰処理を行う。
(演出データ記憶手段270)
演出データ記憶手段270は、演出のデータを記憶するものである。本実施の形態では、演出データ記憶手段270は、EP演出の一部を構成する演出であって遊技者に順番に見せることを意図した映像演出の演出データを複数(本実施の形態では10種類)記憶している。各映像演出の演出データには、それぞれ、「1」〜「10」までの演出番号が付されている。
【0045】
また、演出データ記憶手段270は、BB1役に当選してからEP演出を実行するまでの間に実行する、言い換えればEP演出の前に実行する前兆演出の演出データを複数記憶している。
また、演出データ記憶手段270は、ボーナス役に当選したことを遊技者に報知する報知演出及びボーナス遊技において実行する演出であるボーナス遊技用演出の演出データを記憶している。ボーナス遊技用演出としては、EPボーナス遊技用演出と、通常ボーナス遊技用演出とが設けられている。EPボーナス遊技用演出としては、複数(本実施の形態では10種類)が設けられており、各EPボーナス遊技用演出の演出データには、前記各映像演出の演出データに対応して、それぞれ、「1」〜「10」までの演出番号が付されている。
【0046】
また、映像演出、前兆演出、報知演出及びボーナス遊技用演出の演出データは、表示装置55に表示させる映像(画像)のデータ、スピーカに出音させる音のデータ及び演出用ランプ17の点灯・消灯・点滅パターンのデータにより構成されている。また、各映像演出は、物語性のある演出となっており、「1」番から「10」番に進むにつれて段階的に物語が進行するものとなっている。また、各EPボーナス遊技用演出は、対応する映像演出に関連する内容となっている。
(演出実行手段280)
演出実行手段280は、演出を実行するものである。本実施の形態では、演出実行手段280は、前兆遊技回数コマンドを受信したときに、その受信したコマンドに基づく前兆遊技回数の間、前兆演出を実行する。前兆演出を実行する場合には、前兆遊技回数に基づいて実行する前兆演出を選択することができる。たとえば、前兆遊技回数が2回であった場合には、2回の遊技に亘る前兆演出を選択することができる。また、前兆演出は、実行するEP演出(映像演出)に応じて予め設定することができる。この場合には、演出制御装置22のRAMにおけるEP記憶領域に記憶されているEP演出実行情報に基づいて、実行する前兆演出を選択することができる。また、前兆遊技回数に基づいて抽選により前兆演出を選択することもできるし、実行するEP演出に基づいて抽選により前兆演出を選択することもできるし、前兆遊技回数及び実行するEP演出に基づいて抽選により前兆演出を選択することもできる。
【0047】
また、演出実行手段280は、前兆演出が終了したとき、すなわち遅延演出実行コマンドを受信したときに(特定演出実行決定手段140により特定の演出を実行することが決定された遊技の次以降の遊技であって、前兆遊技回数が経過したときに)、EP演出の一部を構成する映像演出を実行する。映像演出を実行する場合には、演出制御装置22のRAMにおけるEP記憶領域に記憶されているEP演出実行情報に基づいて(特定演出実行情報記憶手段180により記憶されている特定演出実行情報に基づいて)、所定の映像演出を選択して実行する。たとえば、演出制御装置22のRAMにおけるEP記憶領域に記憶されているEP演出実行情報が「3」であった場合には、「3」番の演出番号の映像演出を選択して実行する。
【0048】
また、演出実行手段280は、ボーナス役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示された旨を示す遊技結果コマンドを受信した場合には、ボーナス遊技用演出を実行する。具体的には、映像演出の実行後にBB1役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示された場合には、演出制御装置22のRAMにおけるEP記憶領域に記憶されているEP演出実行情報に基づいて、所定のEPボーナス遊技用演出を選択して実行する。一方、前兆演出の実行中にBB1役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示された場合には、EP演出(映像演出)を実行することなく通常ボーナス遊技用演出を実行する。
【0049】
また、演出実行手段280は、電源断からの復帰時にボーナス役に当選した旨を示す役抽選結果コマンドを受信したときに、ボーナス役に当選したことを遊技者に報知する報知演出を実行する。たとえば、報知演出として、「ボーナス確定」などの文字を表示装置55に表示させることができる。
なお、演出実行手段280は、電源断の発生時に、演出制御装置22のRAMのバックアップ領域に、受信した役抽選の結果コマンドに基づく役抽選の結果のデータを保存し、電源断からの復帰時に、保存した役抽選の結果のデータがボーナス役に当選した旨のデータであった場合に、報知演出を実行するようにしてもよい。
【0050】
(スロットマシン10の動作)
以下、図3〜図7に示すフローチャートに基づいて、本実施の形態に係るスロットマシン10の動作の概略を説明する。まず、スロットマシン10の遊技制御装置21における処理であるメイン制御処理について説明する。
図3に示すステップ100において、スタートスイッチ33が操作されたか否かが判断される。ここで、操作されたと判断されるとステップ101に進む。一方、操作されていないと判断されると、再度ステップ100となる。
ステップ101において、役抽選手段100により、役抽選が行われるとともに、役抽選結果コマンドが演出制御装置22へ送信される。そして、次のステップ102に進む。
【0051】
ステップ102において、コマンド送信手段210により、更新処理実行決定フラグが成立している場合に、更新処理実行決定コマンドが演出制御装置22へ送信される。そして、次のステップ103に進む。なお、更新処理実行決定フラグが成立していない場合には、当該処理は行われず、次のステップ103に進む。
ステップ103において、BB1当選フラグが成立しているか否かが判断される。ここで、成立していると判断されると、ステップ104に進む。一方、成立していないと判断されると、ステップ110に進む。
ステップ104において、EP演出実行決定フラグが成立しているか否かが判断される。ここで、成立していないと判断されると、ステップ105に進む。一方、成立していると判断されると、ステップ108に進む。
【0052】
ステップ105において、特定演出実行決定手段140により、EP演出実行決定フラグが成立される。そして、次のステップ106に進む。
ステップ106において、前兆遊技回数設定手段150により、前兆遊技回数に相当する所定値が前兆遊技回数カウンタに設定される。そして、次のステップ107に進む。
ステップ107において、コマンド送信手段210により、前兆遊技回数コマンドが演出制御装置22へ送信される。そして、ステップ110に進む。
ステップ108において、前兆遊技回数設定手段150により、前兆遊技回数カウンタから「1」(1回の遊技に相当する所定値)が減算される。これにより、前兆遊技回数がカウントされる。そして、次のステップ109に進む。
【0053】
ステップ109において、遅延演出を実行する遅延演出処理が行われる。そして、次のステップ110に進む。
ステップ110において、回転リール45が定速回転するようになりストップスイッチ34が有効化された後にストップスイッチ34が操作されたか否かが判断される。ここで、有効化された後に操作されたと判断されると、ステップ111に進む。一方、操作されていない又は有効化前に操作されたと判断されると、再度ステップ110となる。
ステップ111において、停止制御手段120により、操作されたストップスイッチ34に対応する回転リール45の停止制御が行われる。そして、次のステップ112に進む。
【0054】
ステップ112において、すべての回転リール45の回転が停止したか否かが判断される。ここで、すべての回転リール45の回転が停止したと判断されると、ステップ113に進む。一方、すべての回転リール45の回転が停止していないと判断されると、ステップ110に戻る。
ステップ113において、停止図柄判定手段130により、有効入賞ライン上に停止表示された図柄の組み合わせを判定する停止表示図柄判定処理が行われる。そして、次のステップ114に進む。
ステップ114において、遊技制御手段60により、停止表示された図柄の組み合わせに応じた処理が行われる。たとえば、小役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示された場合には、遊技制御手段60により、当該役に応じた枚数のメダルの払い出しが行われる。また、たとえば、再遊技役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示された場合には、遊技制御手段60により、再遊技を実行するための処理、具体的には前回の遊技でベットした枚数と同数のメダルを自動的にベットする処理が行われる。また、たとえば、ボーナス役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示された場合には、遊技制御手段60により、ボーナス遊技を開始するための処理が行われる。そして、ステップ115に進む。
【0055】
ステップ115において、BB1役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたか否かが判断される。ここで、停止表示されたと判断されると、ステップ116に進む。一方、停止表示されなかったと判断されると、ステップ118に進む。
ステップ116において、EP演出実行決定フラグが成立しているか否かが判断される。ここで、成立していると判断されると、ステップ117に進む。一方、成立していないと判断されると、ステップ121に進む。
ステップ117において、EP演出を実行するためのデータを初期化する初期処理が行われる。具体的には、特定演出実行決定手段140により、EP演出実行決定フラグが消去される。また、前兆遊技回数設定手段150により、前兆遊技回数カウンタが初期値にリセットされる。なお、EP演出実行情報はリセットされない。そして、ステップ121に進む。
【0056】
ステップ118において、ボーナス遊技が終了したか否かが判断される。ここで、終了したと判断されると、ステップ119に進む。一方、終了していないと判断されると、ステップ121に進む。
ステップ119において、更新処理実行決定フラグが成立しているか否かが判断される。ここで、成立していると判断されると、ステップ120に進む。一方、成立していないと判断されると、ステップ121に進む。
ステップ120において、更新処理実行手段200により、今回実行したEP演出の次の順番に実行することが予め定められたEP演出を次回実行するように、EP演出実行情報を更新するEP演出実行情報更新処理が行われる。このとき、更新処理実行決定手段190により、更新処理実行決定フラグが消去される。そして、次のステップ121に進む。
【0057】
ステップ121において、コマンド送信手段210により、EP演出実行情報に基づいて、EP演出実行情報コマンドが演出制御装置22へ送信される。そして、当該メイン制御処理が終了する。
つぎに、上述したステップ109の遅延演出処理について説明する。
図4に示すステップ200において、前兆遊技回数カウンタが「0」(所定の閾値)であるか否かが判断される。ここで、「0」であると判断されると、ステップ201に進む。一方、「0」でないと判断されると、当該遅延演出処理が終了する。
ステップ201において、コマンド送信手段210により、遅延演出実行コマンドが演出制御装置22へ送信される。そして、次のステップ202に進む。
【0058】
ステップ202において、遅延演出実行手段170により、遅延演出が実行される。そして、次のステップ203に進む。
ステップ203において、更新処理実行決定手段190により、更新処理実行決定フラグが成立される。そして、次のステップ204に進む。
ステップ204において、EP演出を実行するためのデータを初期化する初期処理が行われる。具体的には、特定演出実行決定手段140により、EP演出実行決定フラグが消去される。また、前兆遊技回数設定手段150により、前兆遊技回数カウンタが初期値にリセットされる。なお、EP演出実行情報はリセットされない。そして、当該遅延演出処理が終了する。
【0059】
つぎに、電源断が発生した場合の処理であって遊技制御装置21における処理である電源断発生時の処理について説明する。この処理は、電源断検出信号の入力を契機として、メイン制御処理に割り込んで行われる。
図5に示すステップ300において、電源断が発生したか否か、具体的には電源断検出信号が入力されたか否かが判断される。ここで、発生したと判断されると、ステップ301に進む。一方、発生していないと判断されると、再度ステップ300となる。
ステップ301において、電源断発生時処理実行手段220により、遊技制御装置21のRAMにおける予め定められた記憶領域のデータをバックアップ領域に保存するバックアップ処理が行われる。このとき、EP演出実行決定フラグ及び前兆遊技回数カウンタの値は保存されないが、EP演出実行情報は保存される。そして、次のステップ302に進む。
【0060】
ステップ302において、電源断から復帰したか否かが判断される。ここで、復帰したと判断されると、ステップ303に進む。一方、復帰していないと判断されると、再度ステップ302となる。
ステップ303において、電源断発生時処理実行手段220により、電源断の発生前の状態へ復帰する復帰処理が行われる。そして、当該電源断発生時の処理が終了する。
つぎに、スロットマシン10の演出制御装置22における処理であるサブ制御処理について説明する。
図6に示すステップ400において、前兆遊技回数コマンドを受信したか否かが判断される。ここで、受信したと判断されると、ステップ401に進む。一方、受信していないと判断されると、ステップ402に進む。
【0061】
ステップ401において、演出実行手段280により、所定の前兆演出が選択され実行される。そして、当該サブ制御処理が終了する。
ステップ402において、遅延演出実行コマンドを受信したか否かが判断される。ここで、受信したと判断されると、ステップ403に進む。一方、受信していないと判断されると、ステップ404に進む。
ステップ403において、演出実行手段280により、演出制御装置22のRAMにおけるEP記憶領域に記憶されているEP演出実行情報に基づいて所定の映像演出が選択され実行される。そして、当該サブ制御処理が終了する。
【0062】
ステップ404において、受信した遊技結果コマンドに基づいて、BB1役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたか否かが判断される。ここで、停止表示されたと判断されると、ステップ405に進む。一方、停止表示されていないと判断されると、ステップ408に進む。
ステップ405において、EP演出を実行したか否かが判断される。これは、遅延演出実行コマンドを受信したか否か又は映像演出を実行したか否かによって判断することができる。ここで、実行したと判断されると、ステップ406に進む。一方、実行していないと判断されると、ステップ407に進む。
【0063】
ステップ406において、演出実行手段280により、演出制御装置22のRAMにおけるEP記憶領域に記憶されているEP演出実行情報に基づいて所定のEPボーナス遊技用演出が選択され実行される。そして、当該サブ制御処理が終了する。
ステップ407において、演出実行手段280により、通常ボーナス遊技用演出が実行される。そして、当該サブ制御処理が終了する。
ステップ408において、EP演出実行情報コマンドを受信したか否かが判断される。ここで、受信したと判断されると、ステップ409に進む。一方、受信していないと判断されると、ステップ400に戻る。
【0064】
ステップ409において、ボーナス遊技の終了時であるか否かが判断される。ここで、ボーナス遊技の終了時であると判断されると、ステップ410に進む。一方、ボーナス遊技の終了時でないと判断されると、ステップ412に進む。
ステップ410において、当該遊技において更新処理実行決定コマンドを受信したか否かが判断される。ここで、受信したと判断されると、ステップ411に進む。一方、受信していないと判断されると、当該サブ制御処理が終了する。
ステップ411において、確認更新処理実行手段250により、受信したEP演出実行情報コマンドが示すEP演出の演出番号に対応したものにEP演出実行情報を更新する更新処理が行われる。そして、当該サブ制御処理が終了する。
【0065】
ステップ412において、確認更新処理実行手段250により、EP記憶領域からEP演出実行情報が取得され、受信したEP演出実行情報コマンドに基づいて、遊技制御装置21において記憶されているEP演出実行情報と、演出制御装置22において記憶されているEP演出情報とが一致しているか否かの確認処理が行われる。一致していなかった場合には、受信した更新処理実行決定コマンドが示すEP演出の演出番号に対応したEP演出実行情報がEP記憶領域に書き込まれる。そして、当該サブ制御処理が終了する。
つぎに、電源断が発生した場合の処理であって演出制御装置22における処理である電源断発生時の処理について説明する。この処理は、電源断検出信号の入力を契機として、サブ制御処理に割り込んで行われる。
【0066】
図7に示すステップ500において、電源断が発生したか否か、具体的には電源断検出信号が入力されたか否かが判断される。ここで、発生したと判断されると、ステップ501に進む。一方、発生していないと判断されると、再度ステップ500となる。
ステップ501において、電源断発生時処理実行手段260により、演出制御装置22のRAMにおける予め定められた記憶領域のデータをバックアップ領域に保存するバックアップ処理が行われる。そして、次のステップ502に進む。
ステップ502において、電源断から復帰したか否かが判断される。ここで、復帰したと判断されると、ステップ503に進む。一方、復帰していないと判断されると、再度ステップ502となる。
【0067】
ステップ503において、電源断発生時処理実行手段260により、電源断の発生前の状態へ復帰する復帰処理が行われる。
ステップ504において、受信した役抽選結果コマンドに基づいて、ボーナス役に当選したか否かが判断される。ここで、当選したと判断されると、ステップ505に進む。一方、当選していないと判断されると、当該電源断発生時の処理が終了する。
ステップ505において、演出実行手段280により、報知演出が実行される。そして、当該電源断発生時の処理が終了する。
(作用・効果)
以上説明したように、本実施の形態では、ボーナス遊技の終了時に更新処理実行決定フラグが成立しているときに、EP演出実行情報を更新するEP演出実行情報更新処理を行う。更新処理実行決定フラグは、EP演出を実行したとき、具体的にはEP演出の一部を構成する遅延演出を実行したときに成立する。これにより、BB1役に当選してEP演出を実行することを決定してから(EP演出実行決定フラグが成立してから)EP演出を実行するまでの間の前兆演出中に、BB1役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されてボーナス遊技に移行した結果、実行する予定であったEP演出が実行されなかった場合や、前兆演出中に電源断が発生した際にこの電源断からの復帰時にいわゆるモーニングと呼ばれるサービスを防止するために報知演出が実行された結果、実行する予定であったEP演出が実行されなかった場合には、EP演出実行情報更新処理は行われないので、次回の機会に今回実行する予定であったEP演出を実行することができる。
【0068】
以上より、本実施の形態によれば、いわゆるモーニングと呼ばれるサービスを防止することが出来つつ、遊技者に順番に見せることを意図したEP演出が実行されなかった場合に、今回実行する予定であったEP演出を次回の機会に実行することができ、前回のEP演出を遊技者が見ることが無いまま、次のEP演出が実行されることを防止することができる。
また、本実施の形態よれば、受信したEP演出実行情報コマンドに基づいて、演出制御装置22においてもEP演出実行情報を記憶するので、BB1役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示された場合に、タイムラグが発生することなく即時にEPボーナス遊技用演出を実行することができる。
【0069】
また、本実施の形態によれば、毎遊技、EP演出実行情報コマンドを演出制御装置22へ送信するので、たとえばリセットスイッチの操作により演出制御装置22のRAMがリセットされた場合であっても、遊技制御装置21において記憶されているEP演出実行情報と、演出制御装置22において記憶されているEP演出実行情報とがズレるのを防止することができる。
また、本実施の形態によれば、更新処理実行決定フラグが成立してからEP演出実行情報更新処理を行うまで毎遊技、更新処理実行決定コマンドを演出制御装置22へ送信するので、たとえばEPボーナス遊技用演出の実行中にリセットスイッチの操作により演出制御装置22のRAMがリセットされた場合であっても、演出制御装置22において記憶されているEP演出実行情報を更新することができる。
【0070】
また、本実施の形態によれば、EP演出を実行したときに更新処理実行決定フラグを成立させるので、EP演出を実行することを決定してからEP演出を実行するまでの間に更新処理実行決定フラグを成立させる場合に比べて、プログラムを簡易にすることができ、遊技制御装置21におけるプログラムの容量を圧縮することができる。具体的には、EP演出を実行する前に更新処理実行決定フラグを成立させる場合には、EP演出実行情報更新処理を行う際に、更新処理実行決定フラグが成立しているか否かの判断に加えて、EP演出を実行したか否かを判断しなければならなくなる。しかしながら、本実施の形態によれば、この判断処理が不要となるので、EP演出を実行する前に更新処理実行決定フラグを成立させる場合に比べて、プログラムを簡易にすることができ、遊技制御装置21におけるプログラムの容量を圧縮することができる。
【0071】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を、図8に基づいて説明する。
上述した第1の実施の形態では、更新処理実行決定フラグは、EP演出の実行時に成立するものであったが、本実施の形態では、EP演出を実行することが決定されたときに成立する点が相違する。以下、相違点を中心に本発明の第2の実施の形態について説明する。
(更新処理実行決定手段190)
本実施の形態では、更新処理実行決定手段190は、EP演出実行決定フラグが成立したときに(特定演出実行決定手段140によるEP演出を実行することの決定により)、更新処理実行決定フラグを成立させる。
【0072】
また、更新処理実行決定手段190は、EP演出実行情報更新処理が行われたとき又は遅延演出が実行されることなくBB1役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたときに、更新処理実行決定フラグを消去する。
(電源断発生時処理実行手段220)
本実施の形態では、EP演出実行決定フラグを成立させるための所定の記憶領域及び前兆遊技回数カウンタの記憶領域の加えて、更新処理実行決定フラグを成立させるための所定の記憶領域も、バックアップの対象としていない。すなわち、更新処理実行決定フラグが成立していても、更新処理実行決定フラグは保存されない。これにより、本実施の形態では、EP演出実行情報更新処理を行うことの決定を破棄するものとなっている。
【0073】
なお、更新処理実行決定フラグを成立させるための所定の記憶領域を、バックアップの対象とし、電源断発生時処理実行手段220は、復帰処理において、更新処理実行決定フラグを消去するようにしてもよい。また、復帰時ではなく、復帰後の所定の契機により、更新処理実行決定フラグを消去するようにしてもよい。たとえば、復帰後のスタートスイッチ33の最初の操作により(復帰後の最初の遊技におけるスタートスイッチ33の操作により)、更新処理実行決定フラグを消去するようにしてもよい。
(スロットマシン10の動作)
以下、図8に示すフローチャートに基づいて、本実施の形態に係るスロットマシン10の動作の概略を説明する。まず、メイン制御処理について説明する。本実施の形態におけるメイン制御処理は、後述するステップ606の処理が行われる点が主として上記第1の実施の形態と相違する。以下、相違点を中心に説明する。
【0074】
図8に示すステップ600〜ステップ605において、上記第1の実施の形態におけるステップ100〜ステップ105までと同様の処理が行われ、次のステップ606に進む。
ステップ606において、更新処理実行決定手段190により、更新処理実行決定フラグが成立される。そして、次のステップ607に進む。
ステップ607〜ステップ617において、上記第1の実施の形態におけるステップ106〜ステップ116までと同様の処理が行われ、次のステップ618に進む。
ステップ618において、初期処理が行われる。具体的には、特定演出実行決定手段140により、EP演出実行決定フラグが消去される。また、前兆遊技回数設定手段150により、前兆遊技回数カウンタが初期値にリセットされる。また、更新処理実行決定手段190により、更新処理実行決定フラグが消去される。なお、EP演出実行情報はリセットされない。そして、ステップ622に進む。
【0075】
ステップ619〜ステップ622において、上記第1の実施の形態におけるステップ118〜ステップ121までと同様の処理が行われ、当該メイン制御処理が終了する。
つぎに、上述したステップ610の遅延演出処理について説明する。本実施の形態における遅延演出処理は、上記第1の実施の形態におけるステップ203の処理が行われない点が相違する(図4参照)。
つぎに、遊技制御装置21における電源断発生時の処理について説明する。本実施の形態における電源断発生時の処理は、上記第1の実施の形態におけるステップ301の処理が相違する(図5参照)。
【0076】
本実施の形態では、ステップ301のバックアップ処理において、EP演出実行決定フラグ及び前兆遊技回数カウンタの値に加えて、更新処理実行決定フラグも保存されないが、EP演出実行情報は保存される。そして、次のステップ302に進む。
(作用・効果)
このような構成としても、上記第1の実施の形態と同様の作用・効果を奏する。
すなわち、本実施の形態では、EP演出を実行することが決定されたときに、更新処理実行決定フラグを成立させ、前兆演出中に、BB1役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されてボーナス遊技に移行した結果、実行する予定であったEP演出が実行されなかった場合や、前兆演出中に電源断が発生した際にこの電源断からの復帰時にいわゆるモーニングと呼ばれるサービスを防止するために報知演出が実行された結果、実行する予定であったEP演出が実行されなかった場合に、更新処理実行決定フラグを消去する。これにより、上記第1の実施の形態と同様に、実行する予定であったEP演出が実行されなかった場合には、EP演出実行情報更新処理は行われないので、次回の機会に今回実行する予定であったEP演出を実行することができる。
【0077】
(他の実施の形態)
上述した実施の形態では、ボーナス遊技の終了時に、EP演出実行情報更新処理を行うものであるがこれに限られるものではなく、EP演出の実行後(具体的には遅延演出の実行後)であればいつでもよい。
また、上述した実施の形態では、EP演出は、遅延演出と映像演出との組み合わせにより構成されているものであるが、映像演出のみにより構成するようにしてもよい。この場合には、特定演出実行決定手段140、前兆遊技回数設定手段150、特定演出実行情報記憶手段180、更新処理実行決定手段190及び更新処理実行手段200を演出制御装置22に設けることができる。
【0078】
また、上述した実施の形態では、BB1役に当選したときにEP演出を実行するものであるがこれに限られるものではなく、たとえばボーナス役に当選したことを遊技者に期待させることができるような状況においても実行するようにしてもよい。たとえば、特定の役(小役や再遊技役など)とBB1役とが重複して当選する場合があるように役抽選を行い、特定の役に単独して当選した場合にもEP演出を実行することがあるようにしてもよい(特定の役の当選時に抽選によりEP演出を実行するようにしてもよい)。この場合に実行するEP演出の一部を構成する映像演出は、BB1役に当選した場合に同一のEP演出実行情報に基づいて実行する映像演出とは内容が異なるものとなるようにすることができる。具体的には、ボーナス役に当選していないことを遊技者に報知する内容とすることができる。
【0079】
このような場合には、上述した実施の形態と同様に、前記特定の役の単独当選によりEP演出を実行することが決定されたとき又はEP演出が実行されたときに、更新処理実行決定フラグを成立させて、EP演出実行情報が更新されるようにしてもよいし、前記特定の役の単独当選によりEP演出が実行される場合には、更新処理実行決定フラグを成立させないようにして、EP演出実行情報が更新されないようにしてもよい。前記特定の役の単独当選によりEP演出が実行された場合にもEP演出実行情報を更新するようにする場合には、EP演出を実行するまでの間に電源断が発生したら、上述した実施の形態と同様に、EP演出実行情報が更新されないようにすることができる。
【0080】
また、上述した実施の形態では、EP演出を実行することを決定してからEP演出を実行するまでの間に、たとえばEP演出の実行を中止するか否かの抽選により、EP演出の実行を中止するようにしてもよい。この場合にも、上述した実施の形態と同様に、EP演出実行情報が更新されないようにすることができる。
また、上述した実施の形態では、ボーナス遊技を「特別遊技」としたが、特別遊技としては、これに限られるものではない。たとえば、再遊技役の当選確率を通常遊技よりも高く設定したRT(リプレイタイム)遊技や、役抽選に関する情報を遊技者に報知するAT(アシストタイム)遊技や、RT遊技とAT遊技とを組み合わせたART(アシストリプレイタイム)遊技としてもよい。
【0081】
また、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲における変形および改良なども含むものである。また、本発明は、上述した実施の形態を適宜組み合わせる、または組み替えることもできる。
【符号の説明】
【0082】
10 スロットマシン(遊技機) 14 電源ユニット(電源制御手段)
100 役抽選手段 140 特定演出実行決定手段
180 特定演出実行情報記憶手段 190 更新処理実行決定手段
200 更新処理実行手段 280 演出実行手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特別役を含む複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの役抽選を行う役抽選手段と、
役抽選により特別役に当選したことにより、特定の演出を実行することを決定する特定演出実行決定手段と、
特定演出実行決定手段により特定の演出を実行することが決定された遊技の次以降の遊技であって、予め定められた所定の遊技回数が経過したときに、特定の演出を実行する演出実行手段と、を備え、
遊技として、
役抽選により特別役に当選した後に予め定められた移行条件が成立することにより移行する遊技であって、通常の遊技である通常遊技とは異なる遊技である特別遊技を備え、
演出実行手段は、
特定演出実行決定手段により特定の演出を実行することが決定されている場合に特定の演出を実行する前に予め定められた移行条件の成立により特別遊技へ移行したときには、特定の演出を実行しないように形成され、
特定の演出として、実行する順番が予め定められた複数の特定の演出を備え、
役抽選により特別役に当選する度に、前回実行した特定の演出の次の順番に実行することが予め定められた特定の演出を実行し得る遊技機であって、
今回実行する特定の演出を特定するための情報(以下、「特定演出実行情報」とする。)を記憶する特定演出実行情報記憶手段と、
今回実行した特定の演出の次の順番に実行することが予め定められた特定の演出を次回実行するように、特定演出実行情報記憶手段により記憶されている特定演出実行情報を更新する特定演出実行情報更新処理を行う更新処理実行手段と、
特定演出実行情報更新処理を行うことを決定する更新処理実行決定手段と、を備え、
演出実行手段は、
特定の演出を実行する場合には、特定演出実行情報記憶手段により記憶されている特定演出実行情報に基づいて、複数の特定の演出のうちから演出を選択して実行するように形成され、
更新処理実行手段は、
更新処理実行決定手段により特定演出実行情報更新処理を行うことが決定されている場合に、特定演出実行情報更新処理を行うように形成され、
更新処理実行決定手段は、
演出実行手段により特定の演出が実行されたときに、特定演出実行情報更新処理を行うことを決定するように形成されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
特別遊技は、
予め定められた移行条件として特別役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されたときに移行するように形成され、
役抽選手段は、
特別役の当選の権利を特別役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されるまで持ち越すことができるように形成され、
外部電源に接続されて駆動電力を生成する電源制御手段を備え、
演出実行手段は、
特定演出実行決定手段により特定の演出を実行することが決定されている場合に特定の演出を実行する前に電源制御手段による駆動電力の生成が断たれる電源断が発生したときには、電源断からの復帰時に特別役に当選したことを遊技者に報知する報知演出を実行するように形成され、
特定の演出を実行することを決定している場合に演出実行手段により特定の演出が実行される前に電源制御手段による駆動電力の生成が断たれる電源断が発生したときには、特定の演出を実行することの決定を破棄するように形成されていることを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
特別役を含む複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの役抽選を行う役抽選手段と、
役抽選により特別役に当選したことにより、特定の演出を実行することを決定する特定演出実行決定手段と、
特定演出実行決定手段により特定の演出を実行することが決定された遊技の次以降の遊技であって、予め定められた所定の遊技回数が経過したときに、特定の演出を実行する演出実行手段と、
外部電源に接続されて駆動電力を生成する電源制御手段と、を備え、
役抽選手段は、
特別役の当選の権利を特別役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されるまで持ち越すことができるように形成され、
遊技として、
特別役に対応した図柄の組み合わせが有効入賞ライン上に停止表示されることにより移行する遊技であって、通常の遊技である通常遊技とは異なる遊技である特別遊技を備え、
演出実行手段は、
特定演出実行決定手段により特定の演出を実行することが決定されている場合に特定の演出を実行する前に電源制御手段による駆動電力の生成が断たれる電源断が発生したときには、電源断からの復帰時に特別役に当選したことを遊技者に報知する報知演出を実行するように形成され、
特定の演出として、実行する順番が予め定められた複数の特定の演出を備え、
役抽選により特別役に当選する度に、前回実行した特定の演出の次の順番に実行することが予め定められた特定の演出を実行し得る遊技機であって、
今回実行する特定の演出を特定するための情報(以下、「特定演出実行情報」とする。)を記憶する特定演出実行情報記憶手段と、
今回実行した特定の演出の次の順番に実行することが予め定められた特定の演出を次回実行するように、特定演出実行情報記憶手段により記憶されている特定演出実行情報を更新する特定演出実行情報更新処理を行う更新処理実行手段と、
特定演出実行決定手段による特定の演出を実行することの決定により、特定演出実行情報更新処理を行うことを決定する更新処理実行決定手段と、を備え、
演出実行手段は、
特定の演出を実行する場合には、特定演出実行情報記憶手段により記憶されている特定演出実行情報に基づいて、複数の特定の演出のうちから演出を選択して実行するように形成され、
更新処理実行手段は、
演出実行手段により特定の演出が少なくとも開始された後の所定時において、更新処理実行決定手段により特定演出実行情報更新処理を行うことが決定されている場合に、特定演出実行情報更新処理を行うように形成され、
特定演出実行決定手段により特定の演出を実行することが決定されている場合に演出実行手段により特定の演出が実行される前に電源制御手段による駆動電力の生成が断たれる電源断が発生したときには、特定演出実行情報更新処理を行うことの決定を破棄するように形成されていることを特徴とする遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−99462(P2013−99462A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245592(P2011−245592)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】