説明

運転支援装置

【課題】車両から見て障害物の後側となる領域を撮像して取得した情報をあらかじめ提示可能な運転支援装置を提供する。
【解決手段】機載ECU21は、飛行ユニット20が自車両Aの進行方向に自車両Aから離間して飛行するように制御する。さらに、機載ECU21は、機載カメラ28が自車両Aの走行路W1(進行予定経路)を撮像するように制御する。車載ECU11は、機載カメラ28が撮像した画像に応じた画像を車載モニタ17に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行ユニットが撮像した画像に応じた情報を車両の乗員に提示する運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飛行ユニットが撮像した画像に応じた情報を車両の乗員に提示する運転支援装置として、従来、車両の上方を飛行する飛行物体からの画像を車両において表示する車両状況監視システムが知られている(たとえば、特許文献1参照)。この車両状況監視システムにおいては、飛行物体と飛行物体に搭載された撮像装置とを、車両に搭載されたリモートコントロールユニットによって制御することにより、車両の上方から車両の周囲および前方の画像を撮影して、撮影された画像を車両に搭載された表示装置に表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−180326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された車両状況監視システムにおいては、飛行物体が車両の上方から車両の周囲を撮影している。このため、この車両状況監視システムでは、車両の走行路の路側などに駐車車両などの障害物が存在する場合、車両から見て障害物の後側となる領域を撮影することができない。このため、車両から見て障害物の後側となる領域から、車両の走行路上に進入する進入物を、車両のドライバなどにあらかじめ提示することが困難であるという問題などの、車両から見て障害物の後側となる領域を撮影することができないことに起因する種々の問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明の課題は、車両から見て障害物の後側となる領域を撮像して取得した情報をあらかじめ提示することが可能な運転支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明に係る運転支援装置は、車両の周辺を飛行可能な飛行ユニットと、飛行ユニットに搭載される撮像手段と、飛行ユニットの撮像手段が撮像した画像に応じた情報を、車両の乗員に提示する提示手段と、飛行ユニットが車両の進行方向に車両から離間して飛行するように飛行ユニットの飛行制御を行う飛行制御手段と、撮像手段が、車両の走行路を撮像するように撮像手段の撮像制御を行う撮像制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る運転支援装置においては、飛行ユニットは車両の進行方向に車両から離間して飛行するように制御されるとともに、撮像手段は、車両の走行路を撮像するように制御される。このため、本発明に係る運転支援装置によれば、車両の進行方向に車両から離間した位置において、車両の走行路を撮像することができるので、車両からみて障害物の後側の領域を撮像することができる。したがって、車両から見て障害物の後側となる領域を撮像して取得した情報を、車両の乗員にあらかじめ提示することができる。
【0008】
ここで、飛行制御手段および撮像制御手段は、車両の走行路が一般道路である場合に、飛行ユニットの飛行制御および撮像手段の撮像制御をそれぞれ行う態様とすることができる。
【0009】
一般道路は、自動車専用道路などの高速道路に比べて、駐車車両などの障害物が路側に存在する可能性が高く、また、車両の走行路への進入物が存在する可能性が高い。このため、車両の走行路が一般道である場合に、飛行ユニットの飛行制御および撮像手段の撮像制御を行うことにより、車両から見て障害物の後側となる領域から走行路上に進入する進入物を、効率良く車両の乗員にあらかじめ提示することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る運転支援装置によれば、車両から見て障害物の後側となる領域を撮像して取得した情報をあらかじめ提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る運転支援装置のブロック構成図である。
【図2】図1に示される車載ユニットが行う運転支援の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図1に示される飛行ユニットが行う運転支援の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示される運転支援装置が運転支援を行う様子を表す図である。
【図5】図1に示される運転支援装置が運転支援を行う様子を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る運転支援装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る運転支援装置1は、車載ユニット10および飛行ユニット20を備えている。車載ユニット10は、自車両Aに搭載されている。
【0014】
車載ユニット10は、車載ECU(Electronic Control Unit)11、GPS(Global Positioning System)12、磁気方位計13、角速度計14および速度計15を有している。また、車載ECU11は、車載カメラ16、車載モニタ17、周辺環境認識センサ18および無線送受信機19をさらに有している。
【0015】
車載ECU11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)および入出力インターフェイスなどを備えて構成されるコンピュータである。車載ECU11には、GPS12、磁気方位計13、角速度計14および速度計15が接続されている。また、車載ECU11には、車載カメラ16、車載モニタ17、周辺環境認識センサ18および無線送受信機19がさらに接続されている。
【0016】
GPS12は、自車両Aの地上座標系における絶対位置を、緯度および経度により取得する。GPS12は、取得した自車両Aの絶対位置を示す情報である車両位置情報を車載ECU11に送信する。
【0017】
磁気方位計13は、自車両Aの絶対方位角を測定して取得する。磁気方位計13は、取得した自車両Aの絶対方位角を示す情報である車両方位角情報を車載ECU11に送信する。
【0018】
角速度計14は、自車両Aの少なくともヨー角方向の角速度を測定して取得する。角速度計14は、取得した自車両Aの角速度を示す情報である車両角速度情報を車載ECU11に送信する。
【0019】
速度計15は、自車両Aの移動量および速度を測定して取得する。速度計15は、取得した自車両Aの移動量および速度を示す情報である車両速度情報を車載ECU11に送信する。
【0020】
車載カメラ16は、自車両Aからの画像を撮像して取得する。車載カメラ16は、取得した自車両Aからの画像を示す情報である車両画像情報を車載ECU11に送信する。
【0021】
車載モニタ17は、車載カメラ16が撮像した画像と後述する飛行ユニット20の機載カメラ28が撮像した画像とに応じた画像を表示して自車両Aの乗員に提示する。車載モニタ17は、本発明の提示手段を構成する。
【0022】
周辺環境認識センサ18は、自車両Aの周辺の環境を認識するセンサである。周辺環境認識センサ18は、認識した自車両Aの周辺の環境に関する情報である車両環境情報を車載ECU11に送信する。周辺環境認識センサ18は、たとえば、レーザレーダ、ミリ波レーダおよび超音波センサなどとすることができる。
【0023】
無線送受信機19は、自車両Aの車載ユニット10に設けられた送受信装置であって、車載ユニット10と飛行ユニット20との間において信号や情報の送受信を行う。
【0024】
車載ECU11は、GPS12から送信される車両位置情報と、磁気方位計13から送信される車両方位角情報と、角速度計14から送信される車両角速度情報と、速度計15から送信される車両速度情報と、図示しないナビゲーションシステムから送信される道路地図情報および目的地情報と、に基づいて、自車両Aの進行予定経路(走行路)を算出する。
【0025】
車載ECU11は、自車両Aの進行予定経路に基づいて、飛行ユニット20が自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間して飛行するための、飛行ユニット20の目標飛行経路を算出する。車載ECU11は、算出した飛行ユニット20の目標飛行経路を示す情報である目標飛行経路情報を、無線送受信機19を介して飛行ユニット20に送信する。
【0026】
飛行ユニット20は、いわゆるMAV(Micro Air Vehicle)と呼ばれる小型飛行機である。飛行ユニット20は、運転支援を行う場合には自車両Aから離陸して飛行し、その他の場合には自車両Aに搭載される。飛行ユニット20は、飛行中には、所定の位置においてホバリングが可能であり、且つ、高速での巡航が可能である。このような、飛行ユニット20は、具体的には、たとえばTilt-Rotor型の構造を有する機体や、QuadRotor型の構造を有する機体とすることができる。
【0027】
飛行ユニット20は、Tilt-Rotor型の構造を有する機体である場合、離着陸時およびホバリング時においては、回転翼を上方に向けることで揚力を得て、高速での巡航時においては、回転翼を横向きに傾けることで推進力を得る。
【0028】
また、飛行ユニット20は、QuadRotor型の構造を有する機体である場合、複数の回転翼の各々の傾斜角を別個に制御したり、複数の回転翼の各々の出力を別個に制御したりすることによって、揚力および推進力を得る。
【0029】
このような飛行ユニット20は、図1に示されるように、機載ECU21、GPS22、磁気方位計23、角速度計24および加速度計25を有している。また、飛行ユニット20は、高度計26、距離計27、機載カメラ28および無線送受信機29をさらに有している。
【0030】
機載ECU21は、車載ユニット10の車載ECU11と同様に、CPU、ROM、RAMおよび入出力インターフェイスなどを備えて構成されるコンピュータである。機載ECU21には、GPS22、磁気方位計23、角速度計24および加速度計25が接続されている。また、機載ECU21には、高度計26、距離計27、機載カメラ28および無線送受信機29がさらに接続されている。
【0031】
GPS22は、飛行ユニット20の地上座標系における絶対位置を、経度および緯度により取得する。GPS22は、取得した飛行ユニット20の絶対位置を示す情報である飛行ユニット位置情報を機載ECU21に送信する。
【0032】
磁気方位計23は、飛行ユニット20の絶対方位角を取得する。磁気方位計23は、取得した飛行ユニット20の絶対方位角を示す情報である飛行ユニット方位角情報を機載ECU21に送信する。
【0033】
角速度計24は、3軸の角速度計であって、飛行ユニット20のロール角、ピッチ角およびヨー角の方向における角速度を計測して取得する。角速度計24は、取得した飛行ユニット20の角速度を示す情報である飛行ユニット角速度情報を機載ECU21に送信する。
【0034】
加速度計25は、飛行ユニット20の前後方向、横方向および上下方向における加速度を計測して取得する。加速度計25は、取得した飛行ユニット20の加速度を示す情報である飛行ユニット加速度情報を機載ECU21に送信する。
【0035】
高度計26は、たとえば気圧高度計であって、飛行ユニット20の地表面からの高度を計測して取得する。高度計26は、取得した飛行ユニット20の高度を示す情報である飛行ユニット高度情報を機載ECU21に送信する。
【0036】
距離計27は、飛行ユニット20の周囲に存在する障害物を検知し、検知された障害物までの距離を測定して取得する。距離計27は、飛行ユニット20が飛行中である状態の他、自車両Aに収容されている状態であっても、飛行ユニット20の周囲に存在する障害物を検知し、検知された障害物までの距離を測定して取得することができる。距離計27は、取得した障害物までの距離を示す情報である障害物距離情報を機載ECU21に送信する。
【0037】
機載カメラ28は、飛行ユニット20からの画像を撮像して取得する。機載カメラ28は、取得した飛行ユニット20からの画像を示す飛行ユニット画像情報を機載ECU21に送信する。機載カメラ28は、本発明の撮像手段を構成する。
【0038】
無線送受信機29は、飛行ユニット20に設けられた送受信装置であって、飛行ユニット20と車載ユニット10との間において信号や情報の送受信を行う。
【0039】
推進機構30は、飛行ユニット20が飛行するための機構であり、電動モータとファンとから構成される。推進機構30は、たとえばエンジンとファンとによって構成することもできる。このような推進機構30は機載ECU21によって制御される。
【0040】
機載ECU21は、車載ユニット10の車載ECU11から送信される飛行ユニット20の目標飛行経路情報を、無線送受信機29を介して受信する。機載ECU21は、受信した目標飛行経路情報と距離計27から送信される障害物距離情報とに基づいて、実際に飛行ユニット20が自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間して飛行するための飛行軌道である目標飛行軌道を算出する。
【0041】
機載ECU21は、算出した目標飛行軌道に沿って、自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間して飛行ユニット20が飛行するように、推進機構30を制御する。機載ECU21は、自車両Aの進行予定経路の、自車両Aの進行方向に向かって側方の領域を機載カメラ28が撮像するように、機載カメラ28を制御する。機載ECU21は、本発明の飛行制御手段および撮像制御手段を構成する。
【0042】
また、機載ECU21は、機載カメラ28から送信される飛行ユニット画像情報を、無線送受信機29を介して車載ユニット10に送信する。
【0043】
次に、本実施形態に係る運転支援装置1における処理の手順について説明する。図2は、運転支援装置1の車載ユニット10が行う運転支援の処理手順を示すフローチャートである。
【0044】
先ず、運転支援装置1の車載ユニット10における運転支援の処理手順について説明する。車載ECU11は、自車両Aの乗員からの入力信号、速度計15からの車両速度情報およびGPS12からの車両位置情報に基づいて、自車両Aが道路走行中であるか否かを判断する。車載ECU11は、自車両Aが道路走行中であると判断した場合、支援開始フラグをONにするとともに、この支援開始フラグを無線送受信機19を介して飛行ユニット20に送信する(S1)。
【0045】
続いて、車載ECU11は、飛行ユニット20からの支援中止フラグを受信したか否かを判定する(S2)。この判定の結果が、飛行ユニット20から支援中止フラグを受信したことを示す結果である場合(S2:YES)、車載ECU11は、運転支援の処理を終了する。
【0046】
ステップS2の判定の結果が、飛行ユニット20から支援中止フラグを受信していないことを示す結果である場合(S2:NO)、車載ECU11は、所定のサンプリングタイム毎に車両情報を取得する(S3)。ここで、車両情報とは、GPS12から送信される車両位置情報と、磁気方位計13から送信される車両方位角情報と、角速度計14から送信される車両角速度情報と、速度計15から送信される車両速度情報と、を含む情報である。また、車両情報は、車載カメラ16から送信される車両画像情報と、ナビゲーションシステムから送信される道路地図情報および目的地情報と、をさらに含む。
【0047】
なお、サンプリングタイムは、車両情報に含まれる各種情報の送信元の装置(たとえば、GPS12など)毎に異なる値であってもよい。また、GPS12から送信される車両位置情報は、GPS12の計測周期毎の自車両Aの位置情報であるので、GPS12の計測周期の間の時間における自車両Aの位置情報は、デッドレコニングの手法によって補間される。デッドレコニングの手法とは、移動体の速度を積分することにより、移動体の任意の時間の位置と姿勢を求める手法である。
【0048】
続いて、車載ECU11は、ステップS3において取得した車両情報に基づいて、自車両Aの進行予定経路を算出する(S4)。
【0049】
その後、車載ECU11は、車両情報に基づいて、自車両Aの現在位置が一般道路か否かの判定を行う(S5)。具体的には、車載ECU11は、車両情報に含まれる道路地図情報と車両位置情報とをマッチングすることにより、自車両Aの現在位置が一般道か否かの判定を行う。
【0050】
ステップS5の判定の結果が、自車両Aの現在位置が一般道であることを示す結果である場合(S5:YES)、車載ECU11は、ステップS3において取得した車両情報と、ステップS4において算出した進行予定経路と、に基づいて、飛行ユニット20の目標飛行経路を算出する(S6)。
【0051】
ここで、目標飛行経路とは、自車両Aの進行予定経路に沿った経路であって、自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間して飛行ユニット20が飛行するように算出される経路である。また、所定距離は任意の値とすることができるが、たとえば、車頭時間を一定にするように、自車両Aの速度に比例する値とすることもできる。
【0052】
続いて、車載ECU11は、ステップS6において算出した飛行ユニット20の目標飛行経路を示す情報である目標飛行経路情報を、無線送受信機19を介して飛行ユニット20に送信する(S7)。
【0053】
その後、ステップS7において車載ECU11が送信した目標経路情報に基づいて飛行する飛行ユニット20が取得した画像を示す飛行ユニット画像情報を、無線送受信機19を介して受信して取得する(S8)。
【0054】
続いて、車載ECU11は、周辺環境認識センサ18から送信される車両環境情報に基づいて、自車両Aの進行予定経路上あるいは進行予定経路の路側などに存在する駐車車両などの障害物を検出する。そして、車載ECU11は、検出された障害物によって生じる、自車両Aから死角となる領域を算出する(S9)。
【0055】
その後、車載ECU11は、ステップS3において取得した車両情報に含まれる車両画像情報に対して、ステップS8において取得した飛行ユニット画像情報のうちの、ステップS9において算出した自車両Aから死角となる領域に関する画像情報を重畳する。そして、車載ECU11は、重畳した画像情報に応じた画像を車載モニタ17に表示する(S10)。
【0056】
続いて、車載ECU11は、車両情報に含まれる目的地情報と車両位置情報とを比較して、自車両Aが目的地に到着したか否かを判定する(S11)。
【0057】
そして、ステップS11の判定の結果が、自車両Aが目的地に到着したことを示す結果である場合には(S11:YES)、運転支援を終了する旨の信号である運転支援終了信号を、無線送受信機19を介して飛行ユニット20に送信する(S12)。その後、運転支援の処理を終了する。また、ステップS11の判定の結果が、自車両Aが目的地に到着していないことを示す結果である場合には、ステップS3に戻り、ステップS3以下の処理を繰り返す。
【0058】
一方、ステップS5の判定の結果が、自車両Aの現在位置が一般道でないことを示す結果である場合、車載ECU11は、自車両Aの現在位置が高速道路のパーキングエリアまたはサービスエリアであるか否かの判定を行う(S13)。
【0059】
ステップS13の判定の結果が、自車両Aの現在位置が高速道路のパーキングエリアまたはサービスエリアであることを示す結果である場合、ステップS6に移り、ステップS6以下の処理を行う。
【0060】
また、ステップS13の判定の結果が、自車両Aの現在位置が高速道路のパーキングエリアまたはサービスエリアでないことを示す結果である場合、ステップS12に移り、ステップS12の処理を行う。その後、運転支援の処理を終了する。
【0061】
次に、運転支援装置1の飛行ユニット20における運転支援の処理手順について説明する。図3は、運転支援装置1の飛行ユニット20が行う運転支援の処理手順を示すフローチャートである。先ず、飛行ユニット20の機載ECU21は、車載ユニット10から送信される支援開始フラグを受信したか否かの判定を行う(S21)。この判定の結果が、支援開始フラグを受信していないことを示す結果である場合(S21:NO)、ステップS21の判定を繰り返す。
【0062】
ステップS21における判定の結果が、支援開始フラグを受信したことを示す結果である場合(S21:YES)、機載ECU21は、飛行ユニット20が飛行中であるか否かの判定を行う(S22)。
【0063】
ステップS22の判定の結果が、飛行ユニット20が飛行中であることを示す結果である場合(S22:YES)、機載ECU21は、飛行ユニット情報を取得する(S23)。ここで、飛行ユニット情報とは、GPS22から送信される飛行ユニット位置情報と、磁気方位計23から送信される飛行ユニット方位角情報と、角速度計24から送信される飛行ユニット角速度情報と、加速度計25から送信される加速度情報と、を含む情報である。また、飛行ユニット情報は、高度計26から送信される飛行ユニット高度情報と、距離計27から送信される障害物距離情報と、をさらに含む。
【0064】
続いて、機載ECU21は、車載ユニット10から無線送受信機29を介して送信される目標飛行経路情報およびステップS23において取得した飛行ユニット情報に基づいて、実際に飛行ユニット20が自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間して飛行するための飛行軌道である目標飛行軌道を算出する(S24)。
【0065】
そして、機載ECU21は、ステップS24において算出した目標飛行軌道に沿って、自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間して飛行ユニット20が飛行するように、ステップS23において取得した飛行ユニット情報に基づいて、推進機構30を制御する(S25)。
【0066】
その後、機載ECU21は、飛行ユニット20が自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間した位置において、自車両Aの進行予定経路の、自車両Aの進行方向に向かって側方の領域を機載カメラ28が撮像するように、機載カメラ28を制御する(S26)。
【0067】
続いて、機載ECU21は、ステップS26において撮像された画像を示す飛行ユニット画像情報を、無線送受信機29を介して車載ユニット10に送信する(S27)。
【0068】
その後、機載ECU21は、車載ユニット10からの運転支援終了信号を受信したか否かの判定を行う(S28)。この判定の結果が、車載ユニット10からの運転支援終了信号を受信していないことを示す結果である場合(S28:NO)、ステップS28に戻り、ステップS28以下の処理を繰り返す。
【0069】
ステップS28の判定の結果が、車載ユニット10からの運転支援終了信号を受信したことを示す結果である場合(S28:YES)、機載ECU21は、飛行ユニット20が自車両Aに帰還して自車両Aに着陸するように推進機構30を制御し、運転支援の処理を終了する(S29)。
【0070】
一方、ステップS22の判定の結果が、飛行ユニット20が飛行中でないことを示す結果である場合(S22:NO)、機載ECU21は、飛行ユニット20が自車両Aから離陸可能であるか否かの判定を行う(S30)。
【0071】
具体的には、機載ECU21は、距離計27から送信される障害物距離情報に基づいて、飛行ユニット20の周囲に飛行ユニット20が飛行可能な空間が存在するか否かの判定を行う。この判定の結果が、飛行ユニット20の周囲に飛行ユニット20が飛行可能な空間が存在することを示す結果である場合には、飛行ユニット20が離陸可能であると判定し、飛行ユニット20が飛行可能な空間が存在しないことを示す結果である場合には、飛行ユニット20が離陸可能でない、と判定する。
【0072】
なお、距離計27は、飛行ユニット20が自車両Aに収容されている状態であっても、飛行ユニット20の周囲に存在する障害物を検知し、検知された障害物までの距離を測定して取得し、機載ECU21に障害物距離情報を送信することができる。したがって、機載ECU21は、飛行ユニット20が自車両Aに収容されている状態であっても、ステップS30における判定を行うことができる。
【0073】
ステップS30の判定の結果が、飛行ユニット20が離陸可能でないことを示す結果である場合(S30:NO)、機載ECU21は、無線送受信機29を介して、運転支援中止フラグを車載ユニット10に送信し、運転支援の処理を終了する(S31)。
【0074】
ステップS30の判定の結果が、飛行ユニット20が離陸可能であることを示す結果である場合(S30:YES)、機載ECU21は、飛行ユニット20が自車両Aから離陸するように、推進機構30を制御する(S32)。この後、ステップS23に移り、ステップS23以下の処理を行う。
【0075】
以上説明したように、本実施形態に係る運転支援装置1の飛行ユニット20の機載ECU21は、ステップS24において、飛行ユニット20が自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間して飛行するための飛行軌道である目標飛行軌道を算出する。そして、機載ECU21は、ステップS25において、この目標飛行軌道に沿って、自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間して飛行ユニット20が飛行するように、推進機構30を制御する。
【0076】
さらに、機載ECU21は、ステップS26において、飛行ユニット20が自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間した位置において、自車両Aの進行予定経路の、自車両Aの進行方向に向かって側方の領域を機載カメラ28が撮像するように、機載カメラ28を制御する。
【0077】
これにより、飛行ユニット20は、図4に示されるように、自車両Aの進行方向に自車両Aから離間して飛行するように制御されるとともに、機載カメラ28は自車両Aの走行路(進行予定経路)W1の、自車両Aの進行方向に向かって側方の領域を撮像するように制御される。
【0078】
このため、本実施形態に係る運転支援装置1によれば、自車両Aの進行方向に自車両Aから離間した位置において、自車両Aの走行路W1の側方の領域を撮像することができるので、走行路W1の路側や反対車線W2などに駐車車両Bなどの障害物が存在する場合であっても、自車両Aからみて駐車車両Bの後側の領域(自車両Aから死角となる領域)を撮像することができる。
【0079】
したがって、運転支援装置1によれば、ステップS26において飛行ユニット20の機載カメラ28が撮像した画像を、ステップS10において、車載ユニット10の車載カメラ16が撮像した画像に重畳して車載モニタ17に表示することにより、自車両Aから見て駐車車両Bの後側となる領域から走行路W上に進入する進入者(進入物)Cを、自車両Aの乗員にあらかじめ提示することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る運転支援装置1は、ステップS5において、自車両Aの現在位置が一般道路か否かの判定を行い、自車両Aの現在位置が一般道路である場合に当該運転支援を行う。さらに、運転支援装置1は、ステップS5の判定の結果が、自車両Aの現在位置が一般道路でないことを示す結果である場合、ステップS13において、自車両Aの現在位置が高速道路のパーキングエリアまたはサービスエリアであるが否かの判定を行う。運転支援装置1は、ステップS13の判定の結果が、自車両Aの現在位置が高速道路のパーキングエリアまたはサービスエリアであることを示す結果である場合には、当該運転支援を行う。
【0081】
一般に、一般道路や高速道路のパーキングエリアおよびサービスエリアは、自動車専用道路などの高速道路の本線に比べて、駐車車両などの障害物が路側に存在する可能性が高く、また、自車両Aの進行予定経路への進入物が存在する可能性が高い。
【0082】
したがって、運転支援装置1によれば、障害物および進入物が存在する可能性の高い場合において運転支援を行うことができるので、自車両Aから見て障害物の後側となる領域から、自車両Aの進行予定経路上に進入する進入物を、効率良く自車両Aの乗員にあらかじめ提示することができる。
【0083】
なお、本実施形態に係る運転支援装置1は、飛行ユニット20の機載カメラ28が撮像した画像に応じた画像を、車載ユニット10の車載モニタ17に表示することにより、自車両Aの乗員に対して、自車両Aの進行予定経路上に進入する進入物をあらかじめ提示する構成としたが、これに限られない。たとえば、運転支援装置1は、飛行ユニット20の機載カメラ28が、自車両Aの進行予定経路に進入する進入物を撮像した場合に、音声や振動などによって、自車両Aの乗員に進入物の存在を提示する構成とすることができる。
【0084】
また、本実施形態に係る運転支援装置1においては、自車両Aが次に到着する予定の交差点を、飛行ユニット20の目標飛行軌道とすることができる。この場合、図5に示されるように、飛行ユニット20の機載ECU21は、交差点D上において飛行ユニット20をホバリングさせるように推進機構30を制御する。さらに機載ECU21は、対向車線W3から交差点Dを右折する車両Fによって、自車両Aの乗員から死角となる対向車線W3の領域を撮像するように、機載カメラ28を制御する。
【0085】
これにより、運転支援装置1によれば、交差点Dを右折しようとする自車両Aの乗員に対して、車両Fによって自車両Aから死角となる領域から交差点Dに進入しようとする対向車両Eの存在をあらかじめ提示することができる。
【0086】
さらに、本実施形態に係る運転支援装置1においては、機載ECU21は、飛行ユニット20が自車両Aの直上を飛行するように、推進機構30を制御することができる。この場合、機載ECU21は、自車両Aを上方から見下ろした場合の画像である鳥瞰画像を機載カメラ28が撮像するように、機載カメラ28を制御する。これにより、運転支援装置1は、自車両Aの鳥瞰画像を取得して、自車両Aの乗員に提示することができる。このため、自車両Aの乗員は、提示された鳥瞰画像を参照することによって、容易に自車両Aの車庫入れや縦列駐車を行うことができる。
【0087】
また、本実施形態に係る運転支援装置1においては、機載ECU21は、飛行ユニット20が自車両Aの進行方向に自車両Aから所定距離離間した位置を飛行するとともに、機載カメラ28が飛行ユニットの下方を撮像するように、推進機構30および機載カメラ28を制御することができる。これにより、運転支援装置1は、自車両Aの走行路W1における、自車両Aから見て先行車両の後方の領域(自車両Aから見て、先行車両によって視界が遮られて死角となる領域)を撮像して取得した情報を、自車両Aの乗員にあらかじめ提示することができる。
【符号の説明】
【0088】
1…運転支援装置、10…車載ユニット、20…飛行ユニット、11…車載ECU,21…機載ECU、17…車載モニタ、28…機載カメラ。






【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を飛行可能な飛行ユニットと、
前記飛行ユニットに搭載される撮像手段と、
前記飛行ユニットの前記撮像手段が撮像した画像に応じた情報を、前記車両の乗員に提示する提示手段と、
前記飛行ユニットが前記車両の進行方向に前記車両から離間して飛行するように前記飛行ユニットの飛行制御を行う飛行制御手段と、
前記撮像手段が、前記車両の走行路を撮像するように前記撮像手段の撮像制御を行う撮像制御手段と、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【請求項2】
前記飛行制御手段および前記撮像制御手段は、前記車両の前記走行路が一般道路である場合に、前記飛行ユニットの前記飛行制御および前記撮像手段の前記撮像制御をそれぞれ行う請求項1に記載の運転支援装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−250478(P2010−250478A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97954(P2009−97954)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】