説明

運転診断装置、及び運転診断システム

【課題】運転状態を診断して診断結果に応じた評価を行う(ポイントを付与する)運転診断装置、運転診断システムにおいて、診断及び評価をより適正なものとする。
【解決手段】運転診断装置では、ユーザの変更(切り替え)がなされると、変更前のユーザについての診断結果を一旦記録し(S180)、変更後のユーザについて改めて診断を開始する(S200)。このため、個々のユーザの運転状態が個別に診断されるため、診断結果は適切なものとなる。また、車両の走行距離が1.6km(車両を用いた短距離移動の場合の平均距離)未満の場合には(S170:NO、S210:NO)、ポイント付与の対象から除外すべくその走行区間の診断結果は記録しない。つまり、運転状態の評価(ポイント付与の是非)においては、環境面への影響度も加味されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転状態を診断する運転診断装置、及び運転診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境汚染や地球温暖化といったような環境に関する問題は益々大きくなっており、例えば車両(自動車)においては、二酸化炭素をはじめとした排出ガスの削減が大きな課題となっている。
【0003】
また、車両においては、交通事故等の増加を背景に、安全性に関する課題も益々大きくなっている。
この点、従来より、環境に関する性能(例えば燃費:燃料消費率)や安全に関する性能を向上させるべく、例えば車両の知能化や高機能化が推し進められ、一定の効果をあげてきた。
【0004】
一方で、個々の運転者が経済的な運転や安全運転を心掛けることによって、燃費の向上(ひいては排出ガスの削減)や交通事故の削減が期待できる。このため、個々の運転者の運転技術を向上させることは重要なテーマとなっている。そこで、運転者に経済的な運転や安全運転を促すための方法が種々考えられている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
特許文献1には、安全運転を行う運転者を優遇する思想が開示されている。具体的に、車両の走行状況を判断し、判断結果に応じてポイントを付与する技術について記載されている。安全運転を行う運転者に対しては、安全運転の度合いに応じてポイントを付与するというものである。さらに、運転者が獲得したポイントを種々の支払いに利用できるようにするサービスについても記載されている。
【特許文献1】特開2002−230696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、環境への配慮という観点からは、なるべく車両の使用を控えることが好ましいと考えられるが、運転者が安全運転を行うことによってその運転者にポイントが付与されるという状況下では、運転者にとっては、わずかな距離の移動でも車両を使おう、という意識が働くことが考えられる。わずかな距離の移動でも車両が用いられることは、環境面では決して好ましいとは言えない。この点から、環境への影響度も考慮した診断(或いはポイント付与方法)が望まれる。
【0007】
また、別の問題として、従来は、1台の車両が複数人により共有されるような場合に、その車両の共有者のそれぞれについて運転状態を診断することは考えられていなかった。例えば、共有者の運転状態がひとまとめに診断されていた。
【0008】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、運転状態を診断して診断結果に応じた評価を行う運転診断装置、運転診断システムにおいて、診断及び評価をより適正なものとすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両の状態を表す情報である車両情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された車両情報に基づき、車両の走行中においてその車両の運転状態を診断する診断手段と、診断手段の診断結果を記録する診断結果記録手段と、診断結果記録手段により記録された診断結果に応じて、運転者に付与すべきポイントを演算する演算手段と、演算手段の演算結果を記録する演算結果記録手段と、を備えた運転診断装置において、ユーザの登録を行う登録手段と、少なくとも登録手段により登録されたユーザの範囲内で、ユーザの選択或いは切り替えを行う選択切替手段と、を備えている。また、走行距離判定手段を備えている。
【0010】
走行距離判定手段は、車両のアクセサリスイッチのオンからオフまでの間であるオンオフ間の範囲内において以下の(1)〜(4)で定義されるトリップ期間、における走行距離が、予め定められた閾値以上か否かを判定する判定処理を行う。
【0011】
トリップ期間は、具体的に、
(1)オンオフ間でユーザ切替がない場合、アクセサリスイッチのオンからオフまでの期間
(2)オンオフ間でユーザ切替が2回以上ある場合、ユーザ切替から、次回のユーザ切替までの期間
(3)オンオフ間でユーザ切替がある場合、アクセサリスイッチのオンから最初のユーザ切替えまでの期間
(4)オンオフ間でユーザ切替がある場合、最後のユーザ切替からアクセサリスイッチのオフまでの期間
で定義される。
【0012】
そして、診断結果記録手段は、選択切替手段により選択或いは切り替えられるユーザ毎に、判定処理によりトリップ期間における走行距離が閾値以上であると判定されたそのトリップ期間中の診断結果を記録する一方、判定処理によりトリップ期間における走行距離が閾値以上でないと判定されたそのトリップ期間中の診断結果は記録しないようになっている。
【0013】
また、演算結果記録手段は、選択切替手段により選択或いは切り替えられるユーザ毎に、演算手段の演算結果であるポイントを記録するようになっている。
このような請求項1の発明によれば、登録手段によりユーザを複数登録することができる。そして、選択切替手段によりユーザを選択する、或いは切り替えることによって、ユーザ毎に、運転状態の診断が行われるようにすることができる。また、ユーザ毎に、診断結果に応じたポイントが付与される(ポイントが累積される)ようにすることができる。このため、マルチユーザに対応した運転診断装置を提供することができる。
【0014】
また、診断結果記録手段は、トリップ期間を1単位として、基本的にトリップ期間毎にそのトリップ期間中の診断結果を記録するわけであるが、トリップ期間における車両の走行距離が予め定めた閾値未満である場合にはそのトリップ期間中の診断結果は記録しないようになっている。このような構成によれば、例えばわずかな区間を走行したのみでは診断結果が記録されない(ひいてはポイントが付与されない)ようにすることができる。
【0015】
このため、ポイントを目的にわずかな距離でも車両が使用される、ということを抑制することができる。言い換えると、車両の使用を無用に助長してしまうことを防止することができる。
【0016】
次に、請求項2の運転診断装置は、請求項1の運転診断装置において、選択切替手段は、ユーザを選択する際は選択対象のユーザについて認証を行い、認証が成功した場合にその選択対象のユーザを選択し、ユーザを切り替える際は切替後の新たなユーザについて認証を行い、認証が成功した場合にその新たなユーザに切り替えることを特徴としている。
【0017】
認証の方法としては、例えば以下のようなものが考えられる。
まず、車両キーやスマートキーを用いた認証がある。例えば、車両キーやスマートキーが正規のものか否か(電子キーとしての車両キーやスマートキーから送信される電波に含まれるIDが正しいか否か)を判断し、正規のものである場合、本人(車両の所有者)と認証するものである。
【0018】
また、ユーザ選択のためのスイッチを介した入力により認証を行う方法がある。例えば、シートやハンドルのポジションをユーザ毎に切り替えて所望の位置に設定することができるような場合に、その切り替えのためのスイッチの入力から、ユーザを特定して認証を行うような方法である。
【0019】
また、ユーザが所持する携帯端末(例えば携帯電話)を用いた認証方法がある。その携帯端末との間で所定のコードを用いて接続を試み、通信が確立できた場合に認証が成功したとするものである。
【0020】
また、パスワードを用いた認証方法がある。具体的に、ユーザにパスワードの入力を促し、入力されたパスワードが正しいか否かを判断し、正しいと判断できた場合に認証が成功したとするものである。
【0021】
そして、請求項2の運転診断装置では、認証が成功しない限りはユーザの選択或いは切り替えが行われないため、第三者によって不正にユーザの選択或いは切り替えが行われることを防止することができる。このため、不正にユーザの選択或いは切り替えが行われた状態で車両が運転されること、ひいては意図せず診断結果の情報が追加されて累積情報が正確なものでなくなってしまうようなことを防止することができる。
【0022】
次に、請求項3の運転診断装置は、請求項1,2の運転診断装置において、取得手段の異常を判断する異常判断手段を備え、走行距離判定手段は、トリップ期間のうち異常判断手段により取得手段が異常であると判定された期間を除外した期間を新たなトリップ期間として判定処理を実行するようになっている。
【0023】
これによれば、取得手段に異常が生じて車両情報が取得できなかった期間については診断の対象とならないため、診断結果を正確なものとすることができる。言い換えれば、より適正な診断が行われるようにすることができる。
【0024】
次に、請求項4の運転診断装置は、請求項1〜3の運転診断装置において、診断結果記録手段は、トリップ期間のうちユーザが未選択である期間(以下、未選択期間と言う)が存在する場合において、その未選択期間後にユーザが選択されたか否かを判断して、ユーザが選択されたと判断すると、未選択期間における診断結果をその選択されたユーザに対応付けて記録することを特徴としている。
【0025】
これによれば、例えばたまたまユーザの設定をし忘れ、その後改めてユーザの設定をしたような場合でも、設定をし忘れていた区間についての診断結果がそのユーザについての診断結果として記録されるようになる。尚、これは、未選択期間における運転の主体は、未選択期間後に設定(特定)されたユーザである可能性が高いことを前提としている。ここれによれば、たまたまユーザの設定をし忘れていた区間における診断結果も活かされるようになり、診断結果をより正確なものとすることができる。尚、例えば、ユーザの設定をし忘れていた区間における診断結果を採用するか否かをユーザが選択できるようにしても良い。
【0026】
次に、請求項5の運転診断装置は、請求項1〜4の運転診断装置において、登録手段は、ユーザをグループ分けして登録できるようになっており、演算結果記録手段は、ユーザがグループ分けして登録されている場合、ユーザ毎にポイントを記録することに代えて、グループ毎に、そのグループに分類されるユーザ毎のポイントを集約して記録するようになっている。
【0027】
これによれば、同一グループ間(例えば家族間)でポイントを集約することができ、ユーザのニーズにマッチしたサービスを提供できる。
次に、請求項6の発明は、車両に搭載される車載機と、その車載機と通信可能に構成されるサーバとを備えた運転診断システムである。
【0028】
車載機は、車両の状態を表す情報である車両情報を取得する取得手段と、取得手段により取得された車両情報に基づき、車両の走行中においてその車両の運転状態を診断する診断手段と、診断手段の診断結果を記録する診断結果記録手段と、診断結果記録手段により記録された診断結果の情報をサーバに送信する車載機側送信手段と、を備えている。
【0029】
サーバは、車載機から受信した診断結果の情報に応じて、運転者に付与すべきポイントを演算する演算手段と、演算手段の演算結果であるポイントを記録する演算結果記録手段と、演算結果記録手段により記録された演算結果の情報を車載機に送信するサーバ側送信手段と、を備えている。
【0030】
さらに、車載機は、ユーザの登録を行う登録手段と、少なくとも登録手段により登録されたユーザの範囲内で、ユーザの選択或いは切り替えを行う選択切替手段と、車両のアクセサリスイッチのオンからオフまでの間であるオンオフ間の範囲内において以下の(1)〜(4)で定義されるトリップ期間、における走行距離が、予め定められた閾値以上か否かを判定する判定処理を行う走行距離判定手段と、を備えている。
【0031】
トリップ期間は、具体的に、
(1)オンオフ間でユーザ切替がない場合、アクセサリスイッチのオンからオフまでの期間
(2)オンオフ間でユーザ切替が2回以上ある場合、ユーザ切替から、次回のユーザ切替までの期間
(3)オンオフ間でユーザ切替がある場合、アクセサリスイッチのオンから最初のユーザ切替えまでの期間
(4)オンオフ間でユーザ切替がある場合、最後のユーザ切替からアクセサリスイッチのオフまでの期間
で定義される。
【0032】
そして、診断結果記録手段は、選択切替手段により選択或いは切り替えられるユーザ毎に、判定処理によりトリップ期間における走行距離が閾値以上であると判定されたそのトリップ期間中の診断結果を記録する一方、判定処理によりトリップ期間における走行距離が閾値以上でないと判定されたそのトリップ期間中の診断結果は記録しないようになっており、演算結果記録手段は、選択切替手段により選択或いは切り替えられるユーザ毎に、演算手段の演算結果であるポイントを記録するようになっている。
【0033】
このような運転診断システムによれば、請求項1について述べた効果と同じ効果を得ることができる。
尚、参考発明として、以下のような発明が考えられる。
[参考発明1]
車両の状態を表す情報である車両情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記車両情報に基づき、車両の走行中においてその車両の運転状態を診断する診断手段と、
前記診断手段の診断結果を記録する診断結果記録手段と、
前記診断結果記録手段により記録された診断結果に応じて、運転者に付与すべきポイントを演算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果を記録する演算結果記録手段と、
を備えた運転診断装置において、
ユーザの登録を行う登録手段と、
少なくとも前記登録手段により登録されたユーザの範囲内で、ユーザの選択或いは切り替えを行う選択切替手段と、を備え、
前記診断結果記録手段は、前記選択切替手段により選択或いは切り替えられるユーザ毎に診断結果を記録するようになっており、
前記演算結果記録手段は、前記選択切替手段により選択或いは切り替えられるユーザ毎に、前記演算手段の演算結果であるポイントを記録するようになっている
ことを特徴とする運転診断装置。
【0034】
これによれば、マルチユーザに対応した運転診断装置を提供できる。つまり、個々のユーザ毎に診断が行われるとともに、個々のユーザ毎に診断結果に基づくポイントが付与されるようにすることができる。言い換えると、個々のユーザが、それぞれ、自らの運転に基づくポイントを累積していくことができるようになる。
[参考発明2]
車両の状態を表す情報である車両情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記車両情報に基づき、車両の走行中においてその車両の運転状態を診断する診断手段と、
前記診断手段の診断結果を記録する診断結果記録手段と、
前記診断結果記録手段により記録された診断結果に応じて、運転者に付与すべきポイントを演算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果を記録する演算結果記録手段と、
を備えた運転診断装置において、
車両のアクセサリスイッチのオンからオフまでの間であるオンオフ間の範囲内において以下の(1)〜(4)で定義されるトリップ期間、における走行距離が、予め定められた閾値以上か否かを判定する判定処理を行う走行距離判定手段を備え、
(1)オンオフ間でユーザ切替がない場合、アクセサリスイッチのオンからオフまでの期間
(2)オンオフ間でユーザ切替が2回以上ある場合、ユーザ切替から、次回のユーザ切替までの期間
(3)オンオフ間でユーザ切替がある場合、アクセサリスイッチのオンから最初のユーザ切替えまでの期間
(4)オンオフ間でユーザ切替がある場合、最後のユーザ切替からアクセサリスイッチのオフまでの期間
前記診断結果記録手段は、前記判定処理によりトリップ期間における走行距離が前記閾値以上であると判定されたそのトリップ期間中の診断結果を記録する一方、前記判定処理によりトリップ期間における走行距離が前記閾値以上でないと判定されたそのトリップ期間中の診断結果は記録しないようになっていることを特徴とする運転診断装置。
【0035】
これによれば、例えばわずかな区間を走行したのみでは診断結果が記録されない(ひいてはポイントが付与されない)ようにすることができる。このため、ポイントを目的にわずかな距離でも車両が使用される、ということを抑制することができる。言い換えると、車両の使用を無用に助長してしまうことを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
図1は、本発明の運転診断システム1の構成図である。運転診断システム1は、車両(図示省略)に搭載される運転診断装置10と、センタ2に設置されるサーバ4とを中心に構成される。
【0037】
運転診断装置10は、車内LAN200に接続される。また、車内LAN200には、例えば、広域通信装置210と、車速パルス発生器220と、加速度センサ230と、燃料量検知センサ240と、が接続される。尚、センサについては一例であり、車両の状態を検出するための種々のセンサが車内LAN200に接続される。
【0038】
広域通信装置210は、サーバ4との間で通信可能に構成されている。また、例えば道路近傍に配置されたVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System:道路交通情報システム)サービス用の電波ビーコンや光ビーコンを介して、VICSセンタから交通情報(例えば、事故情報や渋滞情報等)を受信したり、VICSセンタへ車両情報、ユーザ情報等を発信したりすることができる。
【0039】
車速パルス発生器220は、車速に応じたパルス信号を発生する機器である。
加速度センサ230は、車両の加速度に応じた信号を出力するセンサである。
燃料量検知センサ240は、燃料タンク内の燃料量に応じた信号を出力するセンサである。
【0040】
図2は、運転診断装置10の具体的な構成を表すブロック図である。
運転診断装置10は、位置検出器101、地図データベース106、操作スイッチ群107、外部メモリ108、表示装置109、音声案内/音声認識装置110、ブルートゥース通信装置(以下、BT通信装置と記載する)111、リモコンセンサ112、車両インタフェース(以下、I/Fと記載する)113、及びそれらを統括制御する制御回路115を備える。
【0041】
位置検出器101は、当該運転診断装置10を搭載した車両の現在位置や方位(進行方向)を検出するためのセンサ群であり、地磁気センサ102、ジャイロスコープ103、距離センサ104、及びGPS受信機105を備える。
【0042】
GPS受信機105は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナ105aを介して受信し、車両の位置、方位(進行方向)、速度等を検出する。
【0043】
地磁気センサ102は、半導体を用いた方位センサであり、地球に生じている南北の地磁気を検出して、方位(進行方向)を検出する。
ジャイロスコープ103は、車両の角速度(方位変化量)を検出するためのセンサであり、車両に加わる回転運動の角速度に応じた検出信号を出力する。
【0044】
距離センサ104は、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出する。
これらのセンサ群は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成される。
【0045】
地図データベース106は、地図データを記憶する。地図データとしては、道路を表すリンクデータ、交差点を表すノードデータ、位置を特定する精度を向上するためのいわゆるマップマッチング用のデータ、施設を示すマークデータ、表示用の画像データ、音声案内用の音声データ等がある。
【0046】
操作スイッチ群107は、表示装置109と一体に構成され、表示画面上に設定されるタッチパネル及び表示装置109の周囲に配置される機械的なボタン式スイッチ類を備える入力操作パネルである。タッチパネルと表示装置109とは積層構造により一体化されており、タッチパネルとしては、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式等各種の方式のものがある。
【0047】
外部メモリ108は、制御回路115が実行する各種プログラムや、制御回路115における演算結果等を記憶する。
表示装置109は、操作スイッチ群107と一体となってタッチパネルとして機能する際のボタンの他、運転状態に関する診断結果、地図、探索した道路、テレビ、DVDの画像等を画面に表示する液晶カラーディスプレイである。
【0048】
音声案内/音声認識装置110は、経路案内の音声を出力して音声案内を実現したり、図示しないマイクに対し使用者が発声した音声を電気信号に変換し、内部に格納された認識辞書中の語彙データ(比較対象パターン)と照合し、最も一致度の高いものを認識結果として制御回路115に送ったりする装置である。
【0049】
BT通信装置111は、無線(ブルートゥース)により周辺機器と通信を行うための装置である。
リモコンセンサ112は、使用者により操作されるリモコン120からの赤外線や電波等の無線信号を受信し、受信結果を制御回路115に入力する。使用者は、リモコン120を操作することにより、離れた位置からでも、操作スイッチ群107に対する操作と同様の操作を行なうことができる。
【0050】
車両I/F113は、車両に搭載される各種センサ(例えば、図1における車速パルス発生器220、加速度センサ230、燃料量検知センサ240等)からの信号を受信して制御回路115に入力する。車両には、他には、例えばアクセルセンサ、スロットル開度センサ、ブレーキセンサ、操舵角センサ、車間距離センサ、画像センサ、指示器センサ、照度センサ等が搭載されている。
【0051】
制御回路115は、走行距離検出部151と、ユーザ認識部153と、情報入力異常検出部155とを備えている。
走行距離検出部151は、車両の走行距離を検出する。
【0052】
ユーザ認識部153は、ユーザ(運転手)の認識(認証)を行う。
情報入力異常検出部155は、各種情報の入力に関する異常を検出する。言い替えると、車両の情報(例えば、各種センサからの信号)が正常に制御回路115に入力されているか否かを判断する。
【0053】
図3は、制御回路115において実行される診断結果記録処理を表すフローチャートである。
図3の診断結果記録処理は、運転診断装置10が起動した後定期的に実行され、まず、S110において、車両のアクセサリスイッチ(ACC)がオンされたか否かを判定し、オンされていないと判定すると(S110:NO)、再びS110の処理を繰り返す。
【0054】
一方、S110においてアクセサリスイッチがオンされたと判定すると(S110:YES)、S120に移行し、運転診断装置10の外部メモリ108に記憶されている走行距離の情報をリセット(クリア)する。
【0055】
次にS130に進み、運転状態の診断を開始する。
診断項目としては、一例を挙げると、エコランプ点灯走行診断、エコスイッチ(以下、エコSWと記載する)使用走行診断、エアコン使用診断、アクセルオフ走行診断、などがある。尚、エコランプとは、車両の走行状態が経済的な状態(例えば燃費を抑えた状態)である場合に点灯するランプである。また、エコSWとは、車両の走行モードを低燃費モードに切り換えるためのスイッチである。低燃費モードでは、例えばエアコンの稼動状態が通常時より抑制されたり、アクセルの踏み込み量に対する燃料噴射量の増加割合が通常時よりも抑制されたりして、燃費が抑えられるようになっている。
【0056】
エコランプ点灯走行診断では、所定の走行区間(走行距離)のうち、エコランプが点灯した状態で車両が走行した距離の割合(つまり、車両が経済的な走行状態で走行した距離の割合)が算出される。
【0057】
エコSW使用走行診断では、所定の走行区間(走行距離)のうち、エコSWが有効な状態で車両が走行した距離の割合(つまり、車両が低燃費モードで走行した距離の割合)が算出される。
【0058】
エアコン使用診断では、所定の走行区間中(走行距離中)において車両が走行可能な状態である時間のうち、エアコンの使用時間の割合が算出される。
アクセルオフ走行診断では、所定の走行区間(走行距離)のうち、アクセルがオフ(具体的には、アクセルの踏み込み量が0)の状態で惰性のみで走行した距離の割合が算出される。
【0059】
S130の後はS140に進み、アクセサリスイッチがオフされたか否かを判定し、オフされていないと判定すると(S140:NO)、S150に移行する。
S150では、ユーザ登録(或いはユーザ選択)が行われたか否かを判定する。
【0060】
尚、運転診断装置10が起動した際には、ユーザ登録を促す画面が表示装置109の表示画面に表示されるようになっており、ユーザ(運転者)は、そのユーザ登録を促す画面から、ユーザ登録を行うことができる。また、ユーザ(運転者)は、適宜、表示画面に表示される「ユーザ登録」のメニューを選択することで、所望のタイミングでユーザ登録を行うことができる。さらに、ユーザ(運転者)は、ユーザ登録において、ユーザ情報をグループ分けして登録することができるようになっている。例えば、身内のユーザ情報を「家族」グループに分類して登録したり、友人・知人のユーザ情報を「友人」グループに分類して登録したりすることができる。
【0061】
ユーザ選択の場合は、ユーザ(運転者)は、表示画面に表示される「ユーザ選択」のメニューを選択し、一覧表示されるユーザ情報の中から所望のユーザ情報を選択できるようになっている。
【0062】
S150でユーザ登録(或いはユーザ選択)が行われていないと判定すると(S150:NO)、再びS140に戻る。
一方、S150でユーザ登録(或いはユーザ選択)が行われたと判定すると(S150:YES)、S160に移行し、ユーザの変更(切り替え)が行われたか否かを判定する。ユーザ(運転者)は、表示画面に表示される「ユーザ切替」のメニューを選択し、一覧表示されるユーザ情報の中から所望のユーザ情報を選択して、ユーザを切り替えることができるようになっている。
【0063】
S160でユーザの変更(切り替え)が行われていないと判定すると(S160:NO)、再びS140に戻る。
一方、S160でユーザの変更(切り替え)が行われたと判定すると(S160:YES)、S170に移行する。
【0064】
S170では、アクセサリスイッチがオンされてからユーザの変更(切り替え)がなされるまで(S110〜S160)の期間における走行距離が、1.6km以上であるか否かを判定する。走行距離は、走行距離検出部151(図2参照)により算出される。また、1.6kmとは、所謂ちょい乗りの感覚(ちょっとそこまでという感覚)で車両が運転される場合の平均的な走行距離(統計的に判明している)である。
【0065】
ここで、走行距離検出部151は、S110〜S160の期間のうち、車両情報が正常に取得されている期間の走行距離を算出する。
車両情報が正常に取得されているか否かは、情報入力異常検出部155(図2参照)により判断される。情報入力異常検出部155は、具体的に、例えば車速パルス発生器220、加速度センサ230、燃料量検知センサ240から、車両I/F113を介して正常に信号が入力されているか否かを判断することによって、車両情報が正常に取得されているか否かを判断する。
【0066】
つまり、S170では、より具体的に、S110〜S160の期間のうち、車両情報が正常に取得されていない期間があればその期間を除外した期間における走行距離(車両情報が正常に取得されている期間における走行距離)が1.6km以上であるか否かを判定する。
【0067】
S170にて、走行距離(S110〜S160の期間における走行距離)が1.6km以上でないと判定すると(S170:NO)、S190に移行する。
一方、S170にて、走行距離(S110〜S160の期間における走行距離)が1.6km以上であると判定すると(S170:YES)、S180に移行する。
【0068】
S180では、アクセサリスイッチがオンされてからユーザの変更(切り替え)がなされるまでの期間(S110〜S160)における運転状態の診断結果を、外部メモリ108に記録する。尚、運転状態の診断は、車両情報が正常に取得されている期間について行われ、車両情報が正常に取得されていない期間については行われない。車両情報が正常に取得されていない期間については正常な診断ができないためである。
【0069】
S180では、変更(切り替え)前のユーザと対応付けて、診断結果が外部メモリ108に記録されることとなる。外部メモリ108に記録された診断結果は、広域通信装置210を介してサーバ4(図1参照)に送信される(この送信処理が車載機側送信手段に相当している)。
【0070】
ここで、サーバ4は、運転診断装置10から診断結果を受信すると、その診断結果に基づき車両の運転者に付与すべきポイントを演算する。診断結果が良好なほど、付与されるポイントは大きくなる。より具体的に、運転状態の経済性が高い(例えば燃費が良い)ほど、また、安全性が高い(安全運転の度合いが高い)ほど、付与されるポイントは大きくなる。サーバ4は、演算したポイントに基づき、運転者毎の累積ポイントを更新する。そして、運転者毎の累積ポイントを比較して各運転者のランキングを演算する。ランキングは、例えば、1日単位、月単位、或いは年単位といったように、種々の単位で演算される。診断結果に基づいて演算されたポイント(運転者に付与すべきポイント)、及び累積ポイントは、サーバ4が備える演算結果記録手段としての記憶装置(図示省略)に記憶される。また、記憶装置に記憶されたポイントの情報、及び累積ポイントの情報は、運転診断装置10に送信される(この送信処理が、サーバ側送信手段に相当している)。
【0071】
S180の後はS190に進み、走行距離をリセット(クリア)する。そして次にS200に進む。
S200では、変更(切り替え)後の新たなユーザと対応付けて、運転状態に関する診断を改めて開始する。その後、S140に戻る。
【0072】
S140にて、アクセサリスイッチがオフされたと判定すると(S140:YES)、S210に移行し、アクセサリスイッチのオンからオフまで(S110〜S140)の期間における走行距離が1.6km以上であるか否かを判定する。
【0073】
S210にて、走行距離(S110〜S140の期間における走行距離)が1.6km以上でないと判定すると(S210:NO)、そのまま当該処理を終了する。
一方、S210にて、走行距離(S110〜S140の期間における走行距離)が1.6km以上であると判定すると(S210:YES)、S220に移行し、ユーザ選択済みであるか否かを判定する。言い換えれば、ユーザが選択された状態で運転状態の診断がなされていたのか、あるいは、ユーザが選択されない状態で運転状態の診断がなされていたのかが判定されることとなる。
【0074】
S220においてユーザ選択済みであると判定すると(S220:YES)、S230に移行し、選択済みであるユーザと対応付けて、診断結果を外部メモリ108に記録する。そしてその後、当該処理を終了する。
【0075】
ここで、例えば、アクセサリスイッチがオンされてからユーザが選択されるまでの間において、ユーザの選択(特定)がされていなかった区間がある場合の取り扱いについて、図6を用いて説明する。
【0076】
図6では、車両のアクセサリスイッチがオンされてから所定区間の間ユーザが選択(特定)されておらず、その後ユーザがユーザYと選択(特定)された状況を図示している。但し、車両はその途中において停車していないことを前提とする。尚、ユーザが選択(特定)されていない区間をユーザ未特定区間と言う。
【0077】
この場合、図6に示すように、ユーザ未特定区間は、ユーザYについての区間に含められる。つまり、ユーザ未特定区間における診断結果は、ユーザYについての診断結果とされる。これは、例えば、ユーザ未特定区間における運転の主体は、その後選択(特定)されたユーザYである可能性が高いと考えられるためである。
【0078】
図3に戻り、S220にてユーザ選択済みでないと判定すると(S220:NO)、S240に移行し、ゲストユーザに対応するデータとして、診断結果を外部メモリ108に記録する。診断結果を仮のユーザのデータとして保持しておく趣旨である。S240の後は当該処理を終了する。
【0079】
ここで、ゲストユーザの診断結果の情報に対しては、他のユーザ情報に振り替えたり、削除したり、種々の処理をできるようになっている。この点について図7を用いて説明する。尚、以下、ゲストユーザの診断結果等の情報をゲスト情報と記載する。
【0080】
図7に示すが、ゲスト情報は、ユーザ(運転者)の入力に基づき、表示画面に一覧表示される。
図7において、「選択」釦は、登録、送信、或いは削除したいゲスト情報を選択するための釦である。「選択」釦が押下された後、ゲスト情報が押下されると、そのゲスト情報の表示部の色が変わり、選択されたことが分かるようになっている。「完了」釦が押下されると、選択が完了(確定)する。
【0081】
「登録」釦は、ゲスト情報を他のユーザ情報に移動させる(振り替える)ための釦である。ゲスト情報の選択完了後、「登録」釦が押下されると、データ転送先(振り替え先)を指定できるようになっている。
【0082】
「送信」釦は、ゲスト情報をサーバ4に送信するための釦である。ゲスト情報の選択完了後、「送信」釦が押下されると、選択済みのゲスト情報がサーバ4に送信されるようになっている。尚、「未登録」表示されているゲスト情報については、サーバ4への送信時にユーザ登録或いはユーザ認証が必要である。
【0083】
「削除」釦は、ゲスト情報を削除するための釦である。ゲスト情報が選択された状態で「削除」釦を押下すると、その選択されているゲスト情報が削除される。
「全削除」釦が押下されると、ゲスト情報の全てが削除される。
【0084】
次に、図4は、制御回路115において実行されるポイント表示制御処理を表すフローチャートである。
図4の処理は、運転診断装置10が起動した後定期的に実行され、まず、S310において、ユーザ登録が行われたか否か(ユーザの選択が行われたか否か)を判定する。
【0085】
S310においてユーザ登録が行われていない(ユーザの選択が行われていない)と判定すると(S310:NO)、S320に移行し、アクセサリスイッチがオフされたか否かを判定する。
【0086】
S320においてアクセサリスイッチがオフされたと判定すると(S320:YES)、そのまま当該処理を終了する。
一方、S320においてアクセサリスイッチがオフされていないと判定すると(S320:NO)、再びS310に戻る。
【0087】
S310にて、ユーザ登録が行われた(或いはユーザの選択が行われた)と判定すると(S310:YES)、S330に移行し、そのユーザに関する累積ポイントの情報、及びランキングの情報をサーバ4からダウンロードする。
【0088】
S330の後はS340に進み、ユーザの変更(切り替え)が行われたか否かを判定し、ユーザの変更(切り替え)が行われていないと判定すると(S340:NO)、S350に移行する。
【0089】
S350では、アクセサリスイッチがオフされたか否かを判定し、オフされたと判定すると(S350:YES)、そのまま当該処理を終了する。
一方、S350でアクセサリスイッチがオフされていないと判定すると(S350:NO)、再びS340に戻る。
【0090】
S340にて、ユーザの変更(切り替え)が行われたと判定した場合には(S340:YES)、S360に移行し、変更(切り替え)後のユーザは、変更(切り替え)前のユーザと同一グループか否かを判定する。
【0091】
S360で同一グループであると判定すると(S360:YES)、S370に移行し、後述するエコレベル及びレーダーチャートに関する診断項目について、表示状態をリセット(クリア)し、改めて診断を開始する。新たな診断結果は、表示装置109に新たに表示される。S370の後はS340に戻る。
【0092】
また、S360で同一グループでないと判定すると(S360:NO)、S380に移行し、エコレベル及びレーダーチャートに関する診断項目について、表示状態をリセット(クリア)し、新たに診断を開始する。
【0093】
次にS390に進み、変更(切り替え)後のユーザについての累積ポイントの情報、及びランキングの情報をサーバ4から改めてダウンロードし、ダウンロードした情報を表示装置109の表示画面に表示させる。
【0094】
図5は、制御回路115(ユーザ認識部153)において実行されるユーザ認証/切替処理を表すフローチャートである。
図5のユーザ認証/切替処理は、ユーザ(運転者)によりユーザの切り替え指示が入力されると開始され、まずは、S410において、運転診断装置10において登録済みのユーザ情報を確認する。
【0095】
次に、S420に進み、登録済みであるユーザ情報の件数を算出し、算出した結果、登録件数が0であると判定すると、S430に移行する。
S430では、登録件数が0件であるため切り替えができない旨をユーザに通知する。具体的には、表示装置109の表示画面にその旨を表示する。
【0096】
一方、S420において登録件数が1件以上であると判定すると、S440に移行する。
S440では、登録済みのユーザ情報の一覧、及びゲストユーザの情報(ゲスト情報)を表示する。
【0097】
次に、S450に進み、ユーザ(運転者)の入力に基づき、S440にて表示したユーザ情報及びゲスト情報のうち所定のユーザ情報或いはゲスト情報(以下、単にユーザ情報とも記載する)を選択する。尚、その選択したユーザ情報の確定を促すための確認画面も表示装置109の表示画面に表示する。
【0098】
次に、S460に移行し、選択を確定するか否かをユーザ(運転者)の入力に基づき判定し、確定せず所定時間が経過した(タイムアウト)と判定すると、S590に移行する。
【0099】
S590では、ユーザ切替を中止する旨をユーザ(運転者)に通知する。具体的に、表示装置109の表示画面に表示することでユーザ(運転者)に通知する。
また、S460において選択を確定すると判定すると、S470に移行する。
【0100】
S470では、選択(確定)されたユーザと対応付けて、携帯端末(ここでは、Bluetooth機能を備えた携帯電話)の情報が登録されているか否かを判定し、登録されていないと判定すると(S470:NO)、S510に移行する。
【0101】
一方、S470において携帯端末の情報が登録されていると判定すると(S470:YES)、S480に移行する。
S480では、その選択(確定)されたユーザと対応付けて登録されている携帯端末を探索する。より具体的に、呼び掛け信号を周囲に送信する。
【0102】
次にS490に進み、探索できたか否か(呼び掛け信号に対する応答信号を受信できたか否か)を判定し、探索できたと判定すると(S490:YES)、S500に移行する。
【0103】
S500では、Bluetoothによる接続(無線通信)を確立する。これにより認証を完了する(当該処理を終了する)。尚、認証の完了時に、認証されたユーザ情報を表示装置109の表示画面に表示させる。
【0104】
また、S490において探索できないと判定すると(S490:NO)、S510に移行する。
S510では、選択(確定)されたユーザについてパスワードが設定されているか否かを判定し、パスワードが設定されていないと判定すると(S510:NO)、そのまま当該処理を終了する。
【0105】
一方、S510でパスワードが選択されていると判定すると(S510:YES)、S520に移行し、パスワードの入力をユーザ(運転者)に促すためのパスワード入力画面を表示装置109の表示画面に表示させる。
【0106】
次にS530に進み、ユーザ(運転者)の入力に基づき、パスワードの入力をキャンセルするか否かを判定し、キャンセルすると判定すると(S530:YES)、S590に移行する。
【0107】
一方、S530でパスワードの入力をキャンセルしないと判定すると(S530:NO)、S540に移行する。
S540では、ユーザを確定してから所定時間経過したか否か(タイムアウトか否か)を判定し、所定時間経過したと判定すると(S540:YES)、S590に移行する。
【0108】
一方、S540において、ユーザを確定してから所定時間経過していないと判定すると(S540:NO)、S550に移行する。
S550では、ユーザ(運転者)の操作に基づきパスワードを入力する。
【0109】
次に、S560に移行し、入力されたパスワードが正しいか否かを判定し、正しいと判定すると(S560:YES)、認証を完了する(当該処理を終了する)。
一方、S560において、パスワードが正しくないと判定すると(S560:NO)、S570に移行する。
【0110】
S570では、誤ったパスワードが入力されたと判定した回数が予め定められた閾値を超えたか否かを判定し、閾値を超えたと判定すると(S570:YES)、S590に移行する。
【0111】
一方、S570で、判定回数が閾値を超えていないと判定すると(S570:NO)、S580に移行し、パスワードが誤っている旨をユーザ(運転者)に通知する。具体的に、表示装置109の表示画面に表示することによって運転者に通知する。そしてその後、S520に戻る。
【0112】
尚、認証の完了時に認証されたユーザ情報が表示されることは前述したが、認証されたユーザ情報は、認証済みのユーザ情報を確認するための確認画面にても確認することができる。
【0113】
以上のように、ユーザの切り替え時には、切り替え対象の新たなユーザについて認証が行われるようになっている。
図8,9は、表示装置109の表示画面に表示される診断結果の態様(一例)を表す図面である。
【0114】
図8は、運転状態に関しリアルタイムに行われた診断の結果を表示する画面の一例である。図9は、所定の走行区間において診断された運転傾向の診断結果を表示する画面の一例である。
【0115】
図8に示すリアルタイム運転診断の画面では、詳細は後述するが、ステータス情報、エコレベル、燃費情報、累積ポイント、アドバイス、が少なくとも表示されるようになっている。
【0116】
ステータス情報は、運転者の運転レベル・運転技術の階級を色分けにより表示するものである。尚、文字の表示色自体がレベルに応じて色分けされるようになっている。例えば、ゴールドが最も優れており、シルバーが次に優れており、ブルーがその次に優れていることを示す。
【0117】
エコレベルは、運転の経済性の度合いを表示するものである。例えば、燃費、エコランプ点灯走行診断、エコSW使用走行診断、エアコン使用診断、アクセルオフ走行診断、などの診断項目の診断結果が総合的に評価され、レベル付けされる。また、評価の区間(期間)は、1分間としたり、或いはトリップ期間(例えばアクセサリスイッチのオンからオフまでの期間)としたり、運転者が任意に設定することができる。
【0118】
燃費情報では、所定の時点の燃費が表示される。
累積ポイントは、運転者に現在付与されているポイントの合計である。尚、ポイントは、ショッピング、給油、高速道路料金所などの様々な場面での各種支払いに利用できる。
【0119】
アドバイスは、運転状態の診断結果に応じて適宜表示されるものである。例えば、アクセル操作が荒いと判断されたような場合には、「緩やかなアクセル操作を心掛けると燃費が向上する」旨のアドバイスが表示され、これにより、運転者の運転技術の向上が図られる(経済的な運転や安全運転が推奨される)ようになっている。
【0120】
次に、図9に示すように、運転傾向の診断結果を表示する画面では、レーダーチャート、ランキング情報、アドバイスが少なくとも表示されるようになっている。
本例のレーダーチャートでは、安定走行、加減速、車内環境、注意判断、駐停車、といった5個の診断項目について、それぞれの採点結果を示している。
【0121】
また、ランキング情報では、累積ポイント(図8参照)のランキングが月毎に表示される。
アドバイスは、前述のように、運転状態の診断結果(運転傾向の診断結果)に応じて適宜表示されるものである。
【0122】
以上説明したように、本実施形態においては、ユーザを複数登録することができるとともに、ユーザの選択或いは切り替えにより、ユーザ毎に、運転状態の診断が行われるようにすることができる。このため、個々のユーザにとって、自らの運転に基づく適切な診断結果が得られるようになる。また、本実施形態では、ユーザ毎に、診断結果に応じたポイントが付与される(ポイントが累積される)ようになっている。
【0123】
このように、運転診断システム1、或いは運転診断装置10はマルチユーザに対応したものとなっており、ユーザにとって使い勝手が向上する。
また、本実施形態では、ユーザをグループ分けして登録することができ、このようにすることで、付与されるポイントをグループ内で集約することができる。例えば、家族間でポイントを集約することができる。これによれば、ユーザにとってポイントを貯めやすくなってひいてはポイントを有効に利用できるようになり、ユーザのニーズに応えることができる。
【0124】
ところで、運転状態の診断はトリップ期間を1単位として行われるが、トリップ期間における車両の走行距離が1.6km(車両を用いた短距離移動の場合の平均距離)未満の場合には診断結果が記録されずひいてはポイントが付与されないようになっている。このため、ポイントを目的にわずかな距離でも車両が使用される、ということを抑制することができる。言い換えると、車両の使用を無用に助長してしまうことを防止することができる。
【0125】
例えば、わずかな距離の移動に車両が使用された場合でも運転状態が良好であるからといってポイントが付与されるようにすると、そのわずかな距離の移動に車両を使用するという環境面では決して好ましいとは言えない行為に対してもポイントが付与される(優遇される)こととなり、その妥当性には疑問が残る。この点、本実施形態では、運転状態が良好であることに加え環境面での貢献度合いも加味されてポイントが付与されるか否かが決まるため、より適切である。
【0126】
また、本実施形態では、ユーザの切り替えに際し、そのユーザの認証が行われるようになっているため、例えば第三者によって不正にユーザが切り替えられてしまうことを防止することができる。
【0127】
また、本実施形態では、車両情報が正常に取得されない期間は診断の対象とならないため、より正確な診断結果を得られるようになっている。
また、本実施形態では、例えばたまたまユーザの選択がなされず、その後改めてユーザの選択(特定)が行われたような場合(ユーザの未特定区間がある場合)、ユーザの未特定区間は、その選択(特定)されたユーザが運転していた区間として認識される。これによれば、たまたまユーザの選択がなされていなかった区間における診断結果も活かされるようになり、診断結果をより正確なものとすることができる。
【0128】
尚、本実施形態において、車両I/F113が取得手段に相当し、制御回路115及びS130の処理が診断手段に相当し、外部メモリ108、S180、S230、及びS240の処理が診断結果記録手段に相当し、サーバ4(特に、診断結果に基づきポイントを演算する機能)が演算手段に相当し、図3,4の処理のうちユーザ登録を行う処理が登録手段に相当し、図3,4の処理のうちユーザの切り替えを行う処理、或いは図5の処理が選択切替手段に相当し、S170及びS210の処理が判定処理、或いは走行距離判定手段に相当し、情報入力異常検出部155が異常判断手段に相当している。また、アクセサリスイッチのオンからオフまで(S110:YES〜S140::YES)、アクセサリスイッチのオンからユーザの切り替えがなされるまで(S110:YES〜S160:YES)、ユーザが切り替えられてから(ひいては走行距離がリセットされてから)アクセサリスイッチがオフされるまで(S190〜S140:YES)、ユーザが切り替えられてから(ひいては走行距離がリセットされてから)次にユーザが切り替えられるまで(S190〜S140:NO〜S160:YES)、の期間がそれぞれトリップ期間に相当している。
【0129】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術範囲内において種々の形態をとることができる。
例えば、上記実施形態において、運転診断装置10がサーバ4の機能を備えていても良い。より具体的に、運転診断装置10が、車両の運転状態の診断結果に基づきその車両の運転者に付与すべきポイントを演算するとともに、演算したポイントに基づき、運転者毎の累積ポイントを更新するようにしても良い。付与すべきポイント、及び累積ポイントは、外部メモリ108に記憶させるようにすれば良い。この場合、外部メモリ108が演算結果記録手段に相当する。
【0130】
また、上記実施形態の図5において、S420にて登録件数が0件(登録無し)と判定した場合に、ゲストユーザとして認証するようにしても良い。
また、S420にて登録件数が1件以上と判定した場合で、特に登録件数が2件以上の場合、予め定められた優先度に従いユーザが選択されるようにしても良い。或いは、前回運転診断装置10がオフした際のユーザを覚えておき、そのユーザが選択されるようにしても良い。
【0131】
また、上記実施形態において、認証済みのユーザ情報(以下、認証者情報と記載する)を運転診断装置10の起動中に常時表示するか或いは非表示とするかを、ユーザが設定できるようにしても良い。例えば、運転診断装置10の制御回路115において、図10のような処理が実行されるようにすると良い。
【0132】
図10の処理はユーザによりアクセサリスイッチがオンされると開始されるようにすることができ、まずは、S510にて、認証者情報表示設定の情報を確認する。認証者情報表示設定とは、認証者情報を運転診断装置10の起動中に常時表示するか或いは非表示とするかの設定であり、ユーザが自由に設定できるようになっている。
【0133】
S510から続くS520では、設定状態が表示であるか非表示であるかを判定し、表示であると判定すると、S530に移行して、認証者情報を常に表示するように設定する。その後、当該処理を終了する。
【0134】
一方、S520にて非表示であると判定すると、S540に移行して、認証者情報を非表示とする設定をする。その後、当該処理を終了する。
また、上記実施形態において、図8における燃費情報としては、所定の期間における平均燃費が表示されるようにしても良い。また、所定の期間における燃費の推移がグラフ表示されるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】本実施形態の運転診断システム1の概略構成図である。
【図2】運転診断装置10の構成を表すブロック図である。
【図3】制御回路115において実行される診断結果記録処理を表すフローチャートである。
【図4】制御回路115において実行されるポイント表示制御処理を表すフローチャートである。
【図5】制御回路115(ユーザ認識部153)において実行されるユーザ認証/切替処理を表すフローチャートである。
【図6】本実施形態における処理態様の一例を表す図面である。
【図7】画面インタフェースの一例を表す図面である。
【図8】リアルタイム運転診断に係る表示画面の一例である。
【図9】運転傾向診断に係る表示画面の一例である。
【図10】認証者情報表示設定処理を表すフローチャートである。
【符号の説明】
【0136】
1…運転診断システム、2…センタ、4…サーバ、10…運転診断装置、101…位置検出器、102…地磁気センサ、103…ジャイロスコープ、104…距離センサ、105…GPS受信機、105a…GPSアンテナ、106…地図データベース、107…操作スイッチ群、108…外部メモリ、109…表示装置、110…音声案内/音声認識装置、111…BT通信装置、112…リモコンセンサ、113…車両I/F、115…制御回路、120…リモコン、151…走行距離検出部、153…ユーザ認識部、155…情報入力異常検出部、210…広域通信装置、220…車速パルス発生器、230…加速度センサ、240…燃料量検知センサ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態を表す情報である車両情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記車両情報に基づき、車両の走行中においてその車両の運転状態を診断する診断手段と、
前記診断手段の診断結果を記録する診断結果記録手段と、
前記診断結果記録手段により記録された診断結果に応じて、運転者に付与すべきポイントを演算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果を記録する演算結果記録手段と、
を備えた運転診断装置において、
ユーザの登録を行う登録手段と、
少なくとも前記登録手段により登録されたユーザの範囲内で、ユーザの選択或いは切り替えを行う選択切替手段と、
車両のアクセサリスイッチのオンからオフまでの間であるオンオフ間の範囲内において以下の(1)〜(4)で定義されるトリップ期間、における走行距離が、予め定められた閾値以上か否かを判定する判定処理を行う走行距離判定手段と、を備え、
(1)オンオフ間でユーザ切替がない場合、アクセサリスイッチのオンからオフまでの期間
(2)オンオフ間でユーザ切替が2回以上ある場合、ユーザ切替から、次回のユーザ切替までの期間
(3)オンオフ間でユーザ切替がある場合、アクセサリスイッチのオンから最初のユーザ切替えまでの期間
(4)オンオフ間でユーザ切替がある場合、最後のユーザ切替からアクセサリスイッチのオフまでの期間
前記診断結果記録手段は、前記選択切替手段により選択或いは切り替えられるユーザ毎に、前記判定処理によりトリップ期間における走行距離が前記閾値以上であると判定されたそのトリップ期間中の診断結果を記録する一方、前記判定処理によりトリップ期間における走行距離が前記閾値以上でないと判定されたそのトリップ期間中の診断結果は記録しないようになっており、
前記演算結果記録手段は、前記選択切替手段により選択或いは切り替えられるユーザ毎に、前記演算手段の演算結果であるポイントを記録するようになっている
ことを特徴とする運転診断装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運転診断装置において、
前記選択切替手段は、
ユーザを選択する際は選択対象のユーザについて認証を行い、認証が成功した場合にその選択対象のユーザを選択し、ユーザを切り替える際は切替後の新たなユーザについて認証を行い、認証が成功した場合にその新たなユーザに切り替えることを特徴とする運転診断装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の運転診断装置において、
前記取得手段の異常を判断する異常判断手段を備え、
前記走行距離判定手段は、トリップ期間のうち前記異常判断手段により前記取得手段が異常であると判定された期間を除外した期間を新たなトリップ期間として前記判定処理を実行することを特徴とする運転診断装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3の何れか1項に記載の運転診断装置において、
前記診断結果記録手段は、トリップ期間のうちユーザが未選択である期間(以下、未選択期間と言う)が存在する場合において、その未選択期間後にユーザが選択されたか否かを判断して、ユーザが選択されたと判断すると、前記未選択期間における診断結果をその選択されたユーザに対応付けて記録することを特徴とする運転診断装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4の何れか1項に記載の運転診断装置において、
前記登録手段は、ユーザをグループ分けして登録できるようになっており、
前記演算結果記録手段は、ユーザがグループ分けして登録されている場合、ユーザ毎にポイントを記録することに代えて、グループ毎に、そのグループに分類されるユーザ毎のポイントを集約して記録するようになっていることを特徴とする運転診断装置。
【請求項6】
車両に搭載される車載機と、その車載機と通信可能に構成されるサーバとを備え、
前記車載機は、
車両の状態を表す情報である車両情報を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得された前記車両情報に基づき、車両の走行中においてその車両の運転状態を診断する診断手段と、
前記診断手段の診断結果を記録する診断結果記録手段と、
前記診断結果記録手段により記録された診断結果の情報を前記サーバに送信する車載機側送信手段と、を備え、
前記サーバは、
前記車載機から受信した診断結果の情報に応じて、運転者に付与すべきポイントを演算する演算手段と、
前記演算手段の演算結果であるポイントを記録する演算結果記録手段と、
前記演算結果記録手段により記録された演算結果の情報を前記車載機に送信するサーバ側送信手段と、を備えた運転診断システムにおいて、
前記車載機は、
ユーザの登録を行う登録手段と、
少なくとも前記登録手段により登録されたユーザの範囲内で、ユーザの選択或いは切り替えを行う選択切替手段と、
車両のアクセサリスイッチのオンからオフまでの間であるオンオフ間の範囲内において以下の(1)〜(4)で定義されるトリップ期間、における走行距離が、予め定められた閾値以上か否かを判定する判定処理を行う走行距離判定手段と、を備え、
(1)オンオフ間でユーザ切替がない場合、アクセサリスイッチのオンからオフまでの期間
(2)オンオフ間でユーザ切替が2回以上ある場合、ユーザ切替から、次回のユーザ切替までの期間
(3)オンオフ間でユーザ切替がある場合、アクセサリスイッチのオンから最初のユーザ切替えまでの期間
(4)オンオフ間でユーザ切替がある場合、最後のユーザ切替からアクセサリスイッチのオフまでの期間
前記診断結果記録手段は、前記選択切替手段により選択或いは切り替えられるユーザ毎に、前記判定処理によりトリップ期間における走行距離が前記閾値以上であると判定されたそのトリップ期間中の診断結果を記録する一方、前記判定処理によりトリップ期間における走行距離が前記閾値以上でないと判定されたそのトリップ期間中の診断結果は記録しないようになっており、
前記演算結果記録手段は、前記選択切替手段により選択或いは切り替えられるユーザ毎に、前記演算手段の演算結果であるポイントを記録するようになっている
ことを特徴とする運転診断システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−39639(P2010−39639A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−200003(P2008−200003)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】