過硫酸濃度の測定方法、過硫酸濃度測定装置、及び過硫酸供給装置
【課題】濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液の利用を妨げることなく、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を的確に測定することができる過硫酸濃度の測定方法及び過硫酸濃度測定装置並びに該測定装置を有する過硫酸供給装置を提供する。
【解決手段】過硫酸含有硫酸溶液に接液される作用極3a及び参照極3bと、参照極3bに対する作用極3aの電位を掃引し、その際の応答電流を測定するポテンショスタット4と、作用極3aの電位が予め設定した負の電位にあるときにポテンショスタット4により測定された第1の電流値に基づいて全酸化剤濃度を求めるとともに、作用極3aの電位が予め設定した正の電位であるときにポテンショスタット4により測定された第2の電流値に基づいて過酸化水素濃度を求める酸化剤濃度判定部5と、酸化剤濃度判定部5で求められた全酸化剤濃度と過酸化水素濃度とに基づき過硫酸濃度を判定する過硫酸濃度判定部6とを有する。
【解決手段】過硫酸含有硫酸溶液に接液される作用極3a及び参照極3bと、参照極3bに対する作用極3aの電位を掃引し、その際の応答電流を測定するポテンショスタット4と、作用極3aの電位が予め設定した負の電位にあるときにポテンショスタット4により測定された第1の電流値に基づいて全酸化剤濃度を求めるとともに、作用極3aの電位が予め設定した正の電位であるときにポテンショスタット4により測定された第2の電流値に基づいて過酸化水素濃度を求める酸化剤濃度判定部5と、酸化剤濃度判定部5で求められた全酸化剤濃度と過酸化水素濃度とに基づき過硫酸濃度を判定する過硫酸濃度判定部6とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する過硫酸濃度の測定方法、及び該測定方法を用いた過硫酸濃度測定装置、並びに該測定装置を有する過硫酸供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、液晶表示装置等の製造プロセスにおいては、レジスト、金属不純物その他の汚染物を除去することを目的として様々な洗浄処理が行われている。従来から行われているレジスト剥離工程には、濃硫酸と過酸化水素水を混合するSPMと呼ばれる溶液が用いられている。この方法は、硫酸や過酸化水素水を大量に消費するため、ランニングコストが高く、多量の廃液を発生することが欠点となっている。
これに対して、本願発明者等は、硫酸を電気分解して得られる過硫酸等の酸化性物質を含有した過硫酸含有硫酸溶液を洗浄液とし、該洗浄液を循環して使用する洗浄システムを提案している(例えば特許文献1及び2参照)。この洗浄システムでは、薬液使用量及び廃液量を削減すると同時に高い洗浄効果を得ることができる。
【0003】
硫酸を電気分解して得られる過硫酸含有硫酸溶液には、酸化性物質として過硫酸(ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸)、過酸化水素等が含まれている。これらの酸化性物質のうち過硫酸がレジストの剥離に寄与する。したがって、過硫酸含有硫酸溶液の洗浄力等の性状を把握するためには、レジストの剥離に有効な酸化性物質である過硫酸の濃度を的確に測定することが望まれている。過硫酸等の酸化性物質の濃度は、ヨウ素滴定法により測定することができる。また、過酸化水素の濃度は、過マンガン酸カリウム滴定法により測定することができる。そこで、過硫酸含有硫酸溶液中の酸化性物質濃度の測定方法として、これら滴定法を利用して、ペルオキソ一硫酸又は全酸化性成分の濃度を測定する方法が提案されている(例えば特許文献3及び4参照)。
【0004】
また、導電性ダイヤモンド電極を利用した電気化学的測定方法が知られており、該装置としては、過酸化水素を検出する装置や、残留塩素濃度を測定する装置等が提案されている(例えば特許文献5及び6参照)。
さらには、導電性ダイヤモンド電極を用いて過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する過硫酸濃度測定装置が提案されている(例えば特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−114880号公報
【特許文献2】特開2006−278687号公報
【特許文献3】特許第3853882号公報
【特許文献4】特開2008−164504号公報
【特許文献5】特開2003−121410号公報
【特許文献6】特開2007−139725号公報
【特許文献7】特開2008−294020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、滴定法を利用して過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定するには、複数の滴定試薬を用いる必要がある。また、過硫酸含有硫酸溶液には滴定試薬が滴下されるため、濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液を洗浄液等として利用することは困難であり、その結果、廃液が発生することになる。
【0007】
また、特許文献7では、硫酸を電気分解して得られる過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度の測定に際し、該溶液に含まれる過酸化水素の濃度について考慮されていない。
【0008】
また、特許文献5及び6には、導電性ダイヤモンド電極を用いて、過酸化水素若しくは過酸化水素を生成する被検化合物の濃度、又は残留塩素濃度を測定することが記載されるだけであり、その他の物質の濃度の測定については記載されていない。また、特許文献5では、導電性ダイヤモンド電極上に触媒金属が担持されているため、該電極を過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度の測定に使用した場合、硫酸濃度が高いと担持金属が徐々に溶解してしまうことになる。
【0009】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液の利用を妨げることなく、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を的確に測定することができる過硫酸濃度の測定方法、及び該測定方法を用いた過硫酸濃度測定装置、並びに該測定装置を有する過硫酸供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の過硫酸濃度の測定方法のうち、第1の本発明は、過硫酸含有硫酸溶液に参照極及び作用極を接液して前記参照極に対する前記作用極の電位を掃引して応答電流を測定するボルタンメトリにより前記過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する方法であって、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第1の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる全酸化剤の濃度を求め、前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第2の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求め、前記全酸化剤濃度と前記過酸化水素濃度との差を前記過硫酸濃度とすることを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1の本発明において、前記ボルタンメトリに用いる電極のうち、少なくとも前記作用極が導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする。
【0012】
第3の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1又は第2の本発明において、前記過硫酸含有硫酸溶液が、硫酸濃度60〜97質量%の硫酸溶液を電気分解したものであることを特徴とする。
【0013】
第4の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記設定した負の電位が、標準水素電極の電位を基準として−0.5〜−2.0Vであることを特徴とする。
【0014】
第5の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記設定した正の電位が、標準水素電極の電位を基準として+1.5〜+2.5Vであることを特徴とする。
【0015】
第6の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1〜第5の本発明のいずれかにおいて、前記作用極の電位の掃引速度が50〜1000mV/秒であることを特徴とする。
【0016】
第7の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1〜第6の本発明のいずれかにおいて、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記全酸化剤濃度との相関関係を予め求めておき、全酸化剤濃度に関する前記相関関係に基づいて前記第1の電流値から前記全酸化剤濃度を求め、前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記過酸化水素濃度との相関関係を予め求めておき、過酸化水素濃度に関する前記相関関係に基づいて前記第2の電流値から前記過酸化水素濃度を求めることを特徴とする。
【0017】
第8の本発明の過硫酸濃度測定装置は、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する過硫酸濃度測定装置であって、前記過硫酸含有硫酸溶液に接液される作用極及び参照極と、前記参照極に対する前記作用極の電位を掃引する電位掃引部と、前記電位掃引部により前記作用極の電位を掃引した際の応答電流を測定する電流測定部と、前記作用極の電位情報と前記電流測定部による応答電流の測定結果とを受け、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときに前記電流測定部により測定された第1の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる全酸化剤の濃度を求めるとともに、前記作用極の電位が予め設定した正の電位であるときに前記電流測定部により測定された第2の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求める酸化剤濃度判定部と、前記酸化剤濃度判定部で求められた前記全酸化剤濃度と前記過酸化水素濃度とに基づいて前記過硫酸濃度を判定する過硫酸濃度判定部と、を有することを特徴とする。
【0018】
第9の本発明の過硫酸濃度測定装置は、前記第8の本発明において、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記全酸化剤濃度との相関関係と、前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記過酸化水素濃度との相関関係とを記憶する記憶部を有し、前記酸化剤濃度判定部は、前記第1の電流値および前記第2の電流値に応じて前記記憶部に記憶されている各相関関係を参照して、前記全酸化剤の濃度と前記過酸化水素の濃度とを求めることを特徴とする。
【0019】
第10の本発明の過硫酸供給装置は、過硫酸含有硫酸溶液を使用先に供給する過硫酸供給装置であって、前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過硫酸の濃度を測定する前記第8又は第9の本発明の過硫酸濃度測定装置を備えることを特徴とする。
【0020】
第11の本発明の過硫酸供給装置は、前記第10の本発明において、前記過硫酸濃度測定装置により測定される前記過硫酸濃度が所定の値に達していないときに警告信号を出力する警告信号出力部を有することを特徴とする。
【0021】
第12の本発明の過硫酸供給装置は、前記第10又は第11の本発明において、前記過硫酸含有硫酸溶液の一部を分岐して前記過硫酸濃度測定装置に供給するとともに、前記過硫酸濃度測定装置により前記過硫酸濃度が測定された前記過硫酸含有硫酸溶液を前記過硫酸含有硫酸溶液の残部に返送する濃度測定用分岐路を有することを特徴とする。
【0022】
第13の本発明の過硫酸供給装置は、前記第10〜第12の本発明のいずれかにおいて、硫酸溶液を電気分解して前記過硫酸含有硫酸溶液を得る電気分解部と、前記過硫酸濃度測定装置により測定される前記過硫酸濃度に基づき、前記電気分解部における電気分解への投入電流量を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0023】
本発明の過硫酸濃度の測定方法に用いられるボルタンメトリは、参照極に対する作用極の電位を掃引した際に該作用極での電気化学的反応により流れる応答電流を測定するものである。ボルタンメトリとしては、以下に述べる特定の電位での応答電流を測定することができるものであればよいが、電位の掃引を循環的に行うサイクリックボルタンメトリを好適に用いることができる。
ボルタンメトリには、電極として、作用極、参照極、及び対極の3電極、又は作用極及び参照極兼対極の2電極を用いることができる。ボルタンメトリに用いられる電極の材質は特に限定されるものではないが、中でも、導電性ダイヤモンド電極は、化学的安定性が高く、例えば硫酸濃度60〜97質量%の溶液に対しても溶解することなく安定した電極性能を示す。したがって、過硫酸含有硫酸溶液を測定対象とする本発明においては、ボルタンメトリに用いる電極のうち、少なくとも作用極が導電性ダイヤモンド電極であることが好ましく、作用極及び対極が導電性ダイヤモンド電極であることがより好ましい。
【0024】
また、本発明において、参照極には、例えば、一般的に知られている標準水素電極(NHE)、飽和カロメル電極(SCE)、銀−塩化銀電極(Ag/AgCl電極)、水銀−硫酸水銀電極(Hg/Hg2SO4電極)等を使用することができる。ただし、過硫酸濃度の測定後の過硫酸含有硫酸溶液をプロセス側に返送する場合には、該溶液への塩化物イオン等の不純物の混入を防ぐためにNHE又はHg/Hg2SO4電極を用いることが好ましい。
【0025】
本発明の測定対象である過硫酸含有硫酸溶液には、例えば、硫酸濃度が好ましくは60質量%以上、より好ましくは60〜97質量%の硫酸溶液を電気分解して得られたものを用いることができる。硫酸濃度60質量%以上の硫酸溶液を電気分解することにより得られる過硫酸含有硫酸溶液には、始め酸化剤としてペルオキソ二硫酸が含まれているが、ペルオキソ二硫酸は、下記式(1)及び(2)で示される平衡反応により一部が速やかにペルオキソ一硫酸及び過酸化水素へと変化する。
【0026】
【化1】
このように、硫酸溶液の電気分解により得られる過硫酸含有硫酸溶液中には、酸化剤として、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ一硫酸、及び過酸化水素が混在している。なお、本発明においては、ペルオキソ二硫酸及びペルオキソ一硫酸の両者を総称して過硫酸という。
【0027】
上記酸化剤であるペルオキソ二硫酸、ペルオキソ一硫酸、及び過酸化水素は、例えばヨウ素滴定法により濃度を測定することができる。これら酸化剤は、ボルタンメトリにおいて還元電位側で検出される。このため、還元電位の範囲において予め設定した負の電位のときに測定される応答電流の電流値と全酸化剤濃度との相関関係を得ることができる。したがって、参照極に対する作用極の電位が還元電位の範囲において予め設定した負の電位のときの応答電流を測定し、その電流値から全酸化剤の濃度を求めることができる。
本発明では、ボルタンメトリを用いて、参照極に対する作用極の電位が還元電位の範囲において予め設定した負の電位であるときの応答電流を測定し、測定された第1の電流値から過硫酸含有硫酸溶液中の全酸化剤濃度を求める。第1の電流値としては、具体的には例えば応答電流の電流密度を用いることができる。なお、予め設定した負の電位は、NHEの電位を基準として−0.5〜−2.0Vであることが好ましい。
【0028】
一方、上記酸化剤のうち、過酸化水素は、下記式(3)で示すように還元剤としても作用し、例えば過マンガン酸カリウム滴定法により濃度を測定することができる。
【0029】
【化2】
【0030】
このように還元剤としても作用する過酸化水素は、ボルタンメトリにおいて酸化電位側でも検出される。このため、酸化電位の範囲において予め設定した正の電位のときに測定される応答電流の電流値と過酸化水素濃度との相関関係を得ることができる。したがって、参照極に対する作用極の電位が酸化電位の範囲において予め設定した正の電位のときの応答電流を測定し、その電流値から過酸化水素の濃度を求めることができる。
本発明では、ボルタンメトリを用いて、参照極に対する作用極の電位が酸化電位の範囲において予め設定した正の電位であるときの応答電流を測定し、測定された第2の電流値から過硫酸含有硫酸溶液中の過酸化水素濃度を求める。第2の電流値としては、具体的には例えば応答電流の電流密度を用いることができる。なお、予め設定した正の電位は、NHEの電位を基準として+1.0〜+2.5Vであることが好ましく、下限はさらに+1.5Vが一層好ましい。
【0031】
本発明では、上記のようにしてボルタンメトリを用いて求められた過硫酸含有硫酸溶液中の全酸化剤濃度と過酸化水素濃度との差を過硫酸濃度として算出する。電気化学的方法を用いて各濃度を求めているため、滴定法のように滴定試薬を過硫酸含有硫酸溶液に滴下する必要がなく、濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液の利用が妨げられることはない。すなわち、濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液は、特段の処理を必要とすることなく、半導体ウエハ等の電子材料の洗浄液等として再利用することができる。また、本発明では、過硫酸含有硫酸溶液中の過酸化水素の存在を考慮しているため、過硫酸濃度を的確に測定することができる。
【0032】
なお、上記応答電流を測定するボルタンメトリにおいて、参照極に対する作用極の電位の掃引範囲は、電極の種類等に応じて適宜設定することができる。作用極の電位の掃引範囲は、NHEの電位を基準として−2.5〜+2.5V程度であればよい。
また、参照極に対する作用極の電位の掃引速度は、50〜1000mV/秒に設定することが好ましい。これは、掃引速度が遅すぎると、電気分解が進行して電極表面で酸素や水素の気泡が発生して電極表面に付着し、その結果、測定誤差が生じるおそれがあり、また、掃引速度が速すぎると、検出感度が低下するおそれがあるためである。
【0033】
また、上記還元電位の範囲において設定した負の電位のときに測定される応答電流の電流値と全酸化剤濃度との相関関係、及び酸化電位の範囲において設定した正の電位のときに測定される応答電流の電流値と過酸化水素濃度との相関関係は、使用する測定装置の構成に影響される。これら相関関係に影響する測定装置の構成としては、作用極、対極、及び参照極の材質、設置位置、及び電極面積、並びにこれら電極間の距離等が挙げられる。また、上記相関関係は、過硫酸含有硫酸溶液の温度や流速等にも影響される。
したがって、使用する測定装置について、過硫酸含有硫酸溶液の温度や流速等の異なる条件毎に、上記相関関係を予め求めておくことが好ましい。あるいは、上記相関関係を予め求めた過硫酸含有硫酸溶液の温度や流速等の条件下で、過硫酸濃度の測定を行うことが好ましい。これにより、より精度の高い過硫酸濃度の測定を実現することができる。上記相関関係については、実施形態において詳述する。
【0034】
なお、本発明の過硫酸濃度測定装置は、後述するように、例えば、半導体ウエハ等の電子材料を洗浄するバッチ式又は枚葉式洗浄装置に過硫酸含有硫酸溶液を供給する供給路に設置してもよいし、該洗浄装置から過硫酸含有硫酸溶液を排出する排出路に設置してもよい。
【発明の効果】
【0035】
以上、説明したように、本発明によれば、過硫酸含有硫酸溶液に参照極及び作用極を接液して前記参照極に対する前記作用極の電位を掃引して応答電流を測定するボルタンメトリを用い、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第1の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる全酸化剤の濃度を求め、前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第2の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求め、前記全酸化剤濃度と前記過酸化水素濃度との差を前記過硫酸濃度とするので、濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液の利用を妨げることなく、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を的確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態の過硫酸濃度測定装置を示す概略図である。
【図2】85質量%の硫酸溶液を電気分解して得られた過硫酸含有硫酸溶液について測定されたサイクリックボルタモグラムである。
【図3】85質量%の硫酸溶液を電気分解して得られた過硫酸含有硫酸溶液について応答電流の電流密度と全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度との相関関係を示すグラフである。
【図4】濃度の異なる硫酸溶液を電気分解して得られた過硫酸含有硫酸溶液について応答電流の電流密度と全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度との相関関係を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図6】同じく、他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図7】同じく、更に他の実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図8】同じく、更に他の実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図9】同じく、更に他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図10】同じく、更に他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図11】実施例1のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムにおける電解装置の稼働時間と過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度及び電解装置の投入電流との関係を示すグラフである。
【図12】比較例1のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムにおける電解装置の稼働時間と過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度及び電解装置の投入電流との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(実施形態1)
本発明の一実施形態の過硫酸濃度測定装置を図1〜4に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態の過硫酸濃度測定装置1は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成された直方体状の測定セル2に組み込まれる作用極3a、参照極3b、及び対極3cと、各電極に接続されたポテンショスタット4と、ポテンショスタット4による測定結果を処理する酸化剤濃度判定部5及び過硫酸濃度判定部6とを有している。
測定セル2には、下部に流入口、上部に流出口があり、それぞれ過硫酸含有硫酸溶液を供給する供給管2a、返送管2bが接続されている。
【0038】
作用極3a及び対極3cとしては、それぞれ例えば導電性ダイヤモンド電極が用いられている。また、参照極3bとしては、例えばHg/Hg2SO4電極が用いられている。これら電極は、測定セル2内の過硫酸含有硫酸溶液に接液されて該溶液中の過硫酸濃度の測定に用いられる。
【0039】
ポテンショスタット4は、図示しない電位掃引ユニットを備えており、参照極3bに対する電位として作用極3aに印加する電圧を所定の範囲で掃引することができる。また、ポテンショスタット4は、電位の掃引の際に作用極3aと対極3cとの間を流れる応答電流を測定することができる。電位掃引ユニットを備えるポテンショスタット4は、本発明の電位掃引部及び電流測定部を構成し、サイクリックボルタンメトリを行うものである。
【0040】
ポテンショスタット4には、酸化剤濃度判定部5が接続されている。酸化剤濃度判定部5は、参照極3bに対する作用極3aの電位情報とポテンショスタット4による応答電流の測定結果とを受けて、ポテンショスタット4による応答電流の測定結果に基づき、測定セル2内の過硫酸含有硫酸溶液中の全酸化剤濃度と過酸化水素濃度とを求める。酸化剤濃度判定部5には、記憶部5aが備えられている。記憶部5aには、全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度を求める際に参照される応答電流の電流値と全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度との相関関係がデータテーブル等によって格納されている。
【0041】
酸化剤濃度判定部5には、過硫酸濃度判定部6が接続されている。過硫酸濃度判定部6は、酸化剤濃度判定部5により求められた酸化剤濃度と過酸化水素濃度とに基づき、測定セル2内の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を判定する。具体的には、酸化剤濃度判定部5は、酸化剤濃度判定部5により求められた酸化剤濃度と過酸化水素濃度との差を、測定セル2内の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度として算出する。
【0042】
次に、上記図1に示す過硫酸濃度測定装置の動作について説明する。
まず、測定セル2内に過硫酸含有硫酸溶液が流入することにより、作用極3a、参照極3b、及び対極3cが過硫酸含有硫酸溶液に接液する。過硫酸含有硫酸溶液は、例えば硫酸濃度60〜97質量%の硫酸溶液を電気分解することにより得られたものである。
【0043】
次いで、ポテンショスタット4により、サイクリックボルタンメトリを行い、参照極3bに対する電位として作用極3aに印加する電圧を掃引し、この電位の掃引の際に作用極3aと対極3cとの間を流れる応答電流を測定する。ポテンショスタット4による電位の掃引範囲は例えばNHEの電位を基準として−2.5〜+2.5Vとし、掃引速度は例えば50〜1000mV/秒とする。
【0044】
ポテンショスタット4による応答電流の測定では、参照極3bに対する作用極3aの電位が還元電位の範囲において予め設定した負の電位であるときの応答電流を測定する。予め設定した負の電位は、NHEの電位を基準として例えば−0.5〜−2.0Vとする。
また、ポテンショスタット4による応答電流の測定では、参照極3bに対する作用極3aの電位が酸化電位の範囲において予め設定した正の電位であるときの応答電流を測定する。予め設定した正の電位は、NHEの電位を基準として例えば+1.0V(好ましくは+1.5V)〜+2.5Vとする。
【0045】
次いで、酸化剤濃度判定部5において、上記ポテンショスタット4により測定された応答電流の電流値から、過硫酸含有硫酸溶液中の全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度をそれぞれ求める。全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度を求める際には、応答電流の電流値と各濃度との相関関係が参照される。
以下、応答電流の電流値と各濃度との相関関係について実験例に言及しつつ詳述する。
【0046】
実験例では、硫酸濃度を85質量%に調整した硫酸溶液を電気分解することにより得られた過硫酸含有硫酸溶液について、サイクリックボルタンメトリによる測定を行った。電気分解では、陽極及び陰極ともに導電性ダイヤモンド電極を使用した。また、電気分解における投入電流量は0、5、10、及び15Ah/Lとした。
サイクリックボルタンメトリによる測定では、作用極及び対極ともに導電性ダイヤモンド電極を使用し、参照極にHg/Hg2SO4電極を使用した。また、ポテンショスタットには電位掃引ユニットを接続して参照極に対する作用極の電位の掃引を行い、各電位における電流量から電流密度を算出した。参照極に対する作用極の電位の掃引範囲はNHEの電位を基準として−1.8〜+2.2Vとし、掃引速度は100mV/秒とした。測定時の過硫酸含有硫酸溶液の温度は、いずれの場合も25℃とした。
また、上記サイクリックボルタンメトリによる測定とともに、ヨウ素滴定法により全酸化剤濃度を測定し、過マンガン酸カリウム滴定法により過酸化水素濃度を測定した。
【0047】
図2は、電気分解における投入電流量が0、5、10、及び15Ah/Lである各過硫酸含有硫酸溶液について測定されたサイクリックボルタモグラムを示している。図2において、横軸は作用極の電位を示し、縦軸は応答電流の電流密度を示している。なお、横軸に示す作用極の電位は、NHEに対する電位に換算して表示している。
図2から明らかなように、硫酸溶液の電気分解における投入電流量が大きくなるほど、還元電位側及び酸化電位側のいずれにおいても、応答電流の電流密度の絶対値が大きくなることが分かる。
【0048】
また、以下に示す表1は、電気分解における投入電流量が0、5、10、及び15Ah/Lである各過硫酸含有硫酸溶液について、滴定法により測定された全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度と、上記サイクリックボルタモグラムにより得られた応答電流の電流密度との関係を示したものである。なお、応答電流の電流密度は、参照極に対する作用極の電位がNHEの電位を基準として−1.5V及び+2Vのときにそれぞれ測定されたものである。また、全酸化剤濃度はヨウ素滴定法により測定されたものであり、過酸化水素濃度は過マンガン酸カリウム滴定法により測定されたものである。また、表1及び以下において、全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度の単位である[mM as O]は、各濃度を酸素原子の濃度に換算した場合におけるミリモル濃度を表している。
【0049】
【表1】
【0050】
図3(a)は、上記表1に示す全酸化剤濃度に対して、参照極に対する作用極の電位がNHEの電位を基準として−1.5Vのときの応答電流の電流密度をプロットしたグラフである。また、図3(b)は、上記表1に示す過酸化水素濃度に対して、参照極に対する作用極の電位がNHEの電位を基準として+2.0Vのときの応答電流の電流密度をプロットしたグラフである。図3(a)及び図3(b)において、横軸は全酸化剤濃度又は過酸化水素濃度を表し、縦軸は応答電流の電流密度を表している。
図3(a)から明らかなように、全酸化剤濃度と還元電位側における応答電流の電流密度との間には、ほぼ比例する相関関係があることが分かる。また、図3(b)から明らかなように、過酸化水素濃度と酸化電位側における応答電流の電流密度との間にも、ほぼ比例する相関関係があることが分かる。
【0051】
次に、硫酸濃度を60、75、及び96質量%に調整した硫酸溶液をそれぞれ電気分解することにより得られた各過硫酸含有硫酸溶液についても、上記と同様の実験を行った。
【0052】
図4(a)は、上記各過硫酸含有硫酸溶液について、全酸化剤濃度に対して、参照極に対する作用極の電位がNHEの電位を基準として−1.5Vのときの応答電流の電流密度をプロットしたグラフである。また、図4(b)は、上記各過硫酸含有硫酸溶液について、過酸化水素濃度に対して、参照極に対する作用極の電位がNHEの電位を基準として+2.0Vのときの応答電流の電流密度をプロットしたグラフである。図4(a)及び図4(b)において、横軸は全酸化剤濃度又は過酸化水素濃度を表し、縦軸は応答電流の電流密度を表している。
図4(a)及び図4(b)から明らかなように、電気分解を行う硫酸溶液の硫酸濃度の範囲60〜96質量%において、全酸化剤濃度と還元電位側における応答電流の電流密度との間、及び過酸化水素濃度と酸化電位側における応答電流の電流密度との間のそれぞれに、ほぼ比例する相関関係があることが分かる。
【0053】
以上のとおり、応答電流の電流値と全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度との間には相関関係が存在する。したがって、応答電流の電流値と各濃度との相関関係として、図4(a)及び図4(b)に示すような検量線、又は相関関数等を予め求めておき、該相関関係に基づき、濃度測定時に測定された応答電流の電流値から各濃度を求めることができる。
【0054】
上記図1に示す過硫酸濃度測定装置1において、参照極3bに対する作用極3aの電位が還元電位の範囲において予め設定した負の電位であるときの応答電流の電流値と全酸化剤濃度との相関関係は、前記実験データ等により予め求められており、酸化剤濃度判定部5の記憶部5aに格納されている。酸化剤濃度判定部5では、記憶部5aに格納された相関関係に基づき、ポテンショスタット4により測定された前記負の電位であるときの応答電流の電流値から酸化剤濃度が求められる。
また、参照極3bに対する作用極3aの電位が酸化電位の範囲において予め設定した正の電位であるときの応答電流の電流値と過酸化水素濃度との相関関係も、前記実験データ等により予め求められており、酸化剤濃度判定部5の記憶部5aに格納されている。酸化剤濃度判定部5では、記憶部5aに格納された相関関係に基づき、ポテンショスタット4により測定された前記正の電位であるときの応答電流の電流値から過酸化水素濃度が求められる。
【0055】
過硫酸濃度判定部6では、酸化剤濃度判定部5により求められた全酸化剤濃度と過酸化水素濃度との差を過硫酸濃度として算出する。こうして、測定セル2内の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が測定される。
【0056】
(実施形態2)
次に、本発明の過硫酸供給装置の一実施形態に相当するバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを図5に基づき説明する。図5は、本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1により、以下に説明するように、使用先である洗浄槽10へ送液される過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が洗浄槽10への供給に先立って測定されるものである。
【0057】
図5に示すように、半導体ウエハ等の電子材料20の洗浄が行われる洗浄槽10には、送り循環ライン12と戻り循環ライン13とが接続されている。送り循環ライン12は、フィルタ14及びポンプ15を順次介して貯留槽21に接続されている。また、戻り循環ライン13は、ポンプ16及び冷却器17を順次介して貯留槽21に接続されている。
また、戻り循環ライン13は、ポンプ16の下流側、冷却器17の上流側で分岐路13aに分岐して、分岐路13aがポンプ15の下流側で送り循環ライン12に接続されている。分岐路13aには、戻り循環ライン13側から送り循環ライン12側に向かって加熱器18及びフィルタ19が順次介設されている。
【0058】
また、洗浄液が貯留されている貯留槽21には、純水供給ラインと濃硫酸供給ラインとが接続されて純水と濃硫酸の適時供給が可能になっている。また、貯留槽21には、送り循環ライン22と戻り循環ライン23とが接続されている。送り循環ライン22は、ポンプ24及び冷却器25を介して電解装置26の入液側に接続され、電解装置26の出液側に前記戻り循環ライン23が接続されて、電解装置26内での通液が可能になっている。電解装置26は、本発明の電気分解部に相当する。戻り循環ライン23には、気液分離器27が介設されている。
【0059】
また、送り循環ライン22は、冷却器25の下流側、電解装置26の上流側で濃度測定用分岐路22aに分岐しており、濃度測定用分岐路22aの先端側は貯留槽21に接続されている。
濃度測定用分岐路22aには、上記図1に示す過硫酸濃度測定装置1の測定セル2が介設されている。測定セル2には、濃度測定用分岐路22aを流れる過硫酸含有硫酸溶液が通液されて、該過硫酸含有硫酸溶液について過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定が行われるようになっている。
【0060】
次に、上記図5に示す洗浄システムの動作について説明する。
この洗浄システムでは、貯留槽21に貯留された硫酸溶液がポンプ24によって送り循環ライン22を通じて電解装置26に送液される。この際、硫酸溶液は、冷却器25によって電解に好適な温度に冷却される。電解装置26では、硫酸溶液中の硫酸が電解され、酸化性物質として過硫酸(ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸)、オゾン、及び過酸化水素が生成され、過硫酸含有硫酸溶液となって戻り循環ライン23を通して貯留槽21に送液されて貯留される。循環ライン23に介設された気液分離器27では、過硫酸含有硫酸溶液中の酸素、水素、オゾン等の気体成分が除去される。
なお、電解に供される硫酸溶液の硫酸濃度は、前記電解装置26における電解効率、レジスト等の分解効率等の点から、60〜97質量%が好ましく、75〜96質量%がより好ましく、80〜96質量%が更に好ましい。
【0061】
貯留槽21内の過硫酸含有硫酸溶液は、ポンプ15によって送り循環ライン12を通じて洗浄槽10に送液される。この際、送り循環ライン12に介設されたフィルタ14では、過硫酸含有硫酸溶液中に含まれる微粒子が捕捉されて過硫酸含有硫酸溶液から除去される。
一方、既に洗浄槽10で洗浄に使用された過硫酸含有硫酸溶液は、ポンプ16によって戻り循環ライン13を通じて送液され、一部は冷却器17で冷却されて前記貯留槽21に送液される。他部は、分岐路13aを通り、加熱器18で加熱された後、貯留槽21から送られる前記過硫酸含有硫酸溶液と合流して、洗浄液として洗浄槽10に送液される。この際、分岐路13aに介設されたフィルタ19では、加熱された過硫酸含有硫酸溶液中に含まれる微粒子が捕捉されて過硫酸含有硫酸溶液から除去される。
【0062】
上記分岐路13aを通った過硫酸含有硫酸溶液と貯留槽21から送液される過硫酸含有硫酸溶液との合流により、洗浄槽10に送液される過硫酸含有硫酸溶液は瞬時に昇温し、洗浄に好適な温度となる。具体的には好適な温度は100〜150℃であり、120〜140℃の範囲が一層好ましい。洗浄液としての過硫酸含有硫酸溶液の温度が低いと、過硫酸による分解が十分に進行せず、電子材料20のレジスト等の剥離効果が小さくなる。また、洗浄液の温度が高すぎると、過硫酸が早期に自己分解してしまい、同じく、十分なレジスト等の剥離効果が得られない。したがって、加熱器18では、上記溶液温度が得られるように過硫酸含有硫酸溶液が加熱される。
【0063】
なお、硫酸溶液の電気分解により得られた過硫酸含有硫酸溶液中には、前記のように酸化性物質として過硫酸、オゾン、過酸化水素が生成されて含まれている。通常、オゾンの液体への溶解度は低いため、過硫酸濃度を測定する際、過硫酸含有硫酸溶液中のオゾン濃度は極めて小さい。また、過硫酸含有硫酸溶液の温度が高いと、過硫酸含有硫酸溶液からオゾンが抜けることで、さらにオゾン濃度が小さくなる。そのため、過硫酸含有硫酸溶液中の有効酸化性物質(過硫酸及びオゾン)のうち、過硫酸が相対的によりリッチになる。したがって、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を知ることで、洗浄効果を推定することができる。
【0064】
上記図5に示す洗浄システムでは、貯留槽21内の過硫酸含有硫酸溶液が、ポンプ24によって送り循環ライン22及び濃度測定用分岐路22aを通じて、過硫酸濃度測定装置1の測定セル2に送液される。測定セル2に送液された過硫酸含有硫酸溶液は、上記のように過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定される。過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定は、例えば、必要に応じて適時に行ってもよいし、連続的に又は一定間隔で断続的に行ってもよい。
過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定された過硫酸含有硫酸溶液は、濃度測定用分岐路22aを通じて貯留槽21に返送される。
【0065】
(実施形態3)
次に、本発明の他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを図6に基づき説明する。図6は、本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1及び2と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1を設置する箇所以外は、上記図5に示す実施形態2のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムと同様の構成を有している。この洗浄システムは、過硫酸濃度測定装置1により、以下に説明するように、洗浄槽10での使用後の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が測定されるものである。
【0066】
図6に示すように、本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムにおいて、戻り循環ライン13は、冷却器17の下流側、貯留槽21の上流側で濃度測定用分岐路13bに分岐しており、濃度測定用分岐路13bの先端部は貯留槽21に接続されている。
濃度測定用分岐路13bには、上記図1に示す過硫酸濃度測定装置1の測定セル2が介設されている。測定セル2には、濃度測定用分岐路13bを流れる過硫酸含有硫酸溶液が通液されて、該過硫酸含有硫酸溶液について過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定が行われるようになっている。
【0067】
上記図6に示す洗浄システムの動作は、過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定に関する動作以外は、上記図5に示す実施形態2の洗浄システムの動作と同様である。
上記図6に示す洗浄システムでは、洗浄槽10内の過硫酸含有硫酸溶液が、ポンプ16によって戻り循環ライン13及び濃度測定用分岐路13bを通じて、過硫酸濃度測定装置1の測定セル2に送液される。測定セル2に送液された過硫酸含有硫酸溶液は、上記のように過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定される。過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定は、例えば、必要に応じて適時に行ってもよいし、連続的に又は一定間隔で断続的に行ってもよい。
過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定された過硫酸含有硫酸溶液は、濃度測定用分岐路13bを通じて貯留槽21に返送される。
【0068】
(実施形態4)
次に、本発明の更に他の実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを図7に基づき説明する。図7は、本実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1〜3と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
上記実施形態2及び3では、バッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムに上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置を設置する場合について説明したが、枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムにも上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1を設置してもよい。
本実施形態では、枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムに上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1を設置した場合について説明する。なお、本実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1により、以下に説明するように、使用先である枚葉式洗浄装置35へ送液される過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が枚葉式洗浄装置35への供給に先立って測定されるものである。
【0069】
図7に示すように、洗浄液が貯留されている貯留槽21には、純水供給ラインと濃硫酸供給ラインとが接続されて純水と濃硫酸の適時供給が可能になっている。また、貯留槽21には、送り循環ライン22と戻り循環ライン23とが接続されており、送り循環ライン22は、ポンプ24及び冷却器25を介して電解装置26の入液側に接続され、電解装置26の出液側に前記戻り循環ライン23が接続されて、電解装置26内での通液が可能になっている。戻り循環ライン23には、気液分離器27が介設されている。
【0070】
また、送り循環ライン22は、冷却器25の下流側、電解装置26の上流側で濃度測定用分岐路22aに分岐しており、濃度測定用分岐路22aの先端部は貯留槽21に接続されている。
濃度測定用分岐路22aには、上記図1に示す過硫酸濃度測定装置1の測定セル2が介設されている。測定セル2には、濃度測定用分岐路22aを流れる過硫酸含有硫酸溶液が通液されて、該過硫酸含有硫酸溶液について過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定が行われるようになっている。
【0071】
さらに、貯留槽21には、槽内の過硫酸含有硫酸溶液を取り出し可能な供給ライン30が接続されている。該供給ライン30の供給先には、枚葉式洗浄装置35が設けられている。該供給ライン30には、枚葉式洗浄装置35の上流側で、貯留槽21内の過硫酸含有硫酸溶液を送液する送液ポンプ31と、前記過硫酸含有硫酸溶液中に含まれる微粒子を捕捉して過硫酸含有硫酸溶液から除去するフィルタ32と、加熱器33とが順次介設されている。すなわち、加熱された過硫酸含有硫酸溶液が洗浄液として使用される。
【0072】
また、枚葉式洗浄装置35には、被洗浄物の洗浄により排出された過硫酸含有硫酸溶液を回収して前記貯留槽21へ還流させる還流ライン40の一端が接続されており、該還流ライン40には、分解槽41が介設されている。該分解槽41の下流側では、該還流ライン40に、前記分解槽41内に貯留された過硫酸含有硫酸溶液を送液する送液ポンプ42と、前記過硫酸含有硫酸溶液中に含まれる固体浮遊物を捕捉して過硫酸含有硫酸溶液から除去するフィルタ43と、前記過硫酸含有硫酸溶液を冷却する冷却器44とが順次介設されている。その下流側で還流ライン40の他端側は、前記貯留槽21に接続されている。なお、分解槽41の上流側で還流ライン40に排液ライン45を分岐接続しておき、適時に、過硫酸含有硫酸溶液を分解槽41に送液せずに系外に排液できるように構成してもよい。
【0073】
次に、上記図7に示す洗浄システムの動作について説明する。
貯留槽21には、硫酸溶液が、送り循環ライン22を通して電解装置26に供給できるように貯留されている。前記硫酸溶液は、ポンプ24により送液され、冷却器25で電解に好適な温度に調整されて電解装置26の入液側に導入される。電解装置26では、硫酸溶液中の硫酸が電解され、酸化性物質として過硫酸(ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸)、オゾン、及び過酸化水素が生成され、過硫酸含有硫酸溶液となって戻り循環ライン23を通して貯留槽21に送液されて貯留される。
なお、電解に供される硫酸濃度は、前記と同様に電解装置26における電解効率、レジスト等の分解効率等の点から、60〜97質量%が好ましく、75〜96質量%がより好ましく、80〜96質量%が更に好ましい。
【0074】
枚葉式洗浄装置35では、ウエハ100が洗浄対象になり該ウエハ100を回転台36上で回転させつつ、前記供給ライン30によって供給される過硫酸含有硫酸溶液を洗浄液としてウエハ100に接触させる。貯留槽21に貯留された過硫酸含有硫酸溶液は、送液ポンプ31により、供給ライン30に介設されたフィルタ32及び加熱器33を通して枚葉式洗浄装置35に供給される。このフィルタ32で過硫酸含有硫酸溶液中の微粒子が除去される。なお、洗浄液としての過硫酸含有硫酸溶液は、加熱器33で加熱されており、ウエハ100に接触させる際に120〜180℃の温度が維持されるようにする。
【0075】
洗浄に使用された過硫酸含有硫酸溶液は、枚葉式洗浄装置35から排出され、還流ライン40を通して分解槽41に貯留される。前記過硫酸含有硫酸溶液には枚葉式洗浄装置35で洗浄されたレジスト等の残留有機物が含まれており、分解槽41に貯留されている間に、前記残留有機物が過硫酸含有硫酸溶液に含まれる酸化性物質によって酸化分解される。
【0076】
分解槽41において含有する酸化性物質が酸化分解された過硫酸含有硫酸溶液は、送液ポンプ42により還流ライン40に介設されたフィルタ43及び冷却器44を通して貯留槽21に還流される。このフィルタ43で過硫酸含有硫酸溶液中の固体浮遊物が除去される。また、高温の過硫酸含有硫酸溶液が貯留槽21に還流されると、貯留槽21に貯留されている過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸の分解が促進されてしまうため、前記過硫酸含有硫酸溶液は冷却器44により冷却された後、貯留槽21内に導入される。貯留槽21内に導入された過硫酸含有硫酸溶液は、送り循環ライン22によって電解装置26に送液されて電解により過硫酸が生成され、戻り循環ライン23により再度貯留槽21に還流される。
このようなシステムの動作によって、枚葉式洗浄装置35に洗浄液として過硫酸含有硫酸溶液を連続して供給する。
【0077】
上記図7に示す洗浄システムでは、貯留槽21内の過硫酸含有硫酸溶液が、ポンプ24によって送り循環ライン22及び濃度測定用分岐路22aを通じて、過硫酸濃度測定装置1の測定セル2に送液される。測定セル2に送液された過硫酸含有硫酸溶液は、上記のように過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定される。過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定は、例えば、必要に応じて適時に行ってもよいし、連続的に又は一定間隔で断続的に行ってもよい。
過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定された過硫酸含有硫酸溶液は、濃度測定用分岐路22aを通じて貯留槽21に返送される。
【0078】
(実施形態5)
次に、本発明の更に他の実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを図8に基づき説明する。図8は、本実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1〜4と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
本実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1を設置する箇所以外は、上記図7に示す実施形態4の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムと同様の構成を有している。この洗浄システムは、過硫酸濃度測定装置1により、以下に説明するように、枚葉式洗浄装置35での使用後の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が測定されるものである。
【0079】
図8に示すように、本実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムにおいて、還流ライン40は、冷却器44の下流側、貯留槽21の上流側で濃度測定用分岐路40aに分岐しており、濃度測定用分岐路40aの先端部は貯留槽21に接続されている。
濃度測定用分岐路40aには、上記図1に示す過硫酸濃度測定装置1の測定セル2が介設されている。測定セル2には、濃度測定用分岐路40aを流れる過硫酸含有硫酸溶液が貯留されて、該過硫酸含有硫酸溶液について過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定が行われるようになっている。
【0080】
上記図8に示す洗浄システムの動作は、過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定に関する動作以外は、上記図7に示す実施形態4の洗浄システムの動作と同様である。
上記図8に示す洗浄システムでは、分解槽41内の過硫酸含有硫酸溶液が、ポンプ42によって還流ライン40及び濃度測定用分岐路40aを通じて、過硫酸濃度測定装置1の測定セル2に送液される。測定セル2に送液された過硫酸含有硫酸溶液は、上記のように過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定される。過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定は、例えば、必要に応じて適時に行ってもよいし、連続的に又は一定間隔で断続的に行ってもよい。
過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定された過硫酸含有硫酸溶液は、濃度測定用分岐路40aを通じて貯留槽21に返送される。
【0081】
(実施形態6)
次に、本発明の更に他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを図9に基づき説明する。図9は、本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1〜5と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
上記実施形態2〜5においては、過硫酸濃度測定装置1により測定される過硫酸濃度が所定の値に達していないときに警告信号を出力する警告信号出力部を設けてもよい。
本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図5に示す実施形態2のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムにおいて、上記警告信号を出力する警告信号出力部50が更に設けられたものである。
【0082】
図9に示すように、過硫酸濃度測定装置1には、警告信号出力部50が接続され、過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定結果が、過硫酸濃度測定装置1から警告信号出力部50に送信されるようになっている。
警告信号出力部50は、硫酸濃度測定装置1から送信される過硫酸濃度の測定結果を参照し、過硫酸濃度測定装置1により測定される過硫酸濃度が所定の値に達していないときに警告信号を出力するようになっている。
警告信号出力部50には、図示しない警告表示部又は警告発報部が接続され、警告信号出力部50が出力した警告信号が警告表示部又は警告発報部に送信されるようになっている。
【0083】
次に、上記図9に示す洗浄システムの動作について説明する。
上記図9に示す洗浄システムでは、上記図5に示す洗浄システムと同様に、過硫酸含有硫酸溶液により電子材料20の洗浄が行われる。
電子材料20の洗浄の間、過硫酸濃度測定装置1では、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が連続的に又は一定間隔で断続的に測定される。測定された過硫酸濃度は、警告信号出力部50に送信される。
【0084】
警告信号出力部50では、硫酸濃度測定装置1から送信される過硫酸濃度の測定結果が参照され、過硫酸濃度測定装置1により測定される過硫酸濃度が予め設定された所定の値に達していないときに警告信号が出力される。出力された警告信号は、図示しない警告表示部又は警告発報部に送信される。上記所定の値は、不記載のメモリ等に格納しておく。該所定の値は、必要に応じて変更することができるものであってもよい。
【0085】
警告表示部又は警告発報部では、送信される警告信号に応じて、過硫酸濃度が所定の値に達していない旨を操作者等に報知する警告を表示し又は発報する。こうして過硫酸濃度に関する警告が表示等されることにより、迅速に対策を講じることができ、適切に過硫酸濃度を管理することができる。
【0086】
(実施形態7)
次に、本発明の更に他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを図10に基づき説明する。図10は、本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1〜6と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
上記実施形態2〜6においては、過硫酸濃度測定装置1により測定される過硫酸濃度に基づき、電解装置26における電気分解への投入電流量を制御してもよい。投入電流量を制御することにより、電解装置26において、硫酸溶液の電気分解により得られる過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を調整して濃度管理を行うことができ、過硫酸含有硫酸溶液の洗浄効果を調整することができる。
【0087】
本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図5に示す実施形態2の硫酸リサイクル型洗浄システムにおいて、電解装置26における電気分解への投入電流量を制御する制御部51が更に設けられたものである。
図10に示すように、過硫酸濃度測定装置1には、制御部51が接続され、過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定結果が、過硫酸濃度測定装置1から制御部51に送信されるようになっている。
制御部51には、電解装置26に接続されており、電解装置26における投入電流量を制御する制御信号が制御部51から電解装置26に送信されるようになっている。
【0088】
次に、上記図10に示す洗浄システムの動作について説明する。
上記図10に示す洗浄システムでは、上記図5に示す洗浄システムと同様に、過硫酸含有硫酸溶液により電子材料20の洗浄が行われる。
電子材料20の洗浄の間、過硫酸濃度測定装置1では、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が連続的に又は一定間隔で断続的に測定される。測定された過硫酸濃度は、制御部51に送信される。
【0089】
制御部51は、過硫酸濃度測定装置1から送信される過硫酸濃度の測定結果に基づき、電解装置26における電気分解への投入電流量を制御する制御信号を生成して、該制御信号を電解装置26に送信する。
【0090】
電解装置26では、制御部51から送信される制御信号に基づき、電気分解に投入する投入電流量が制御される。例えば、過硫酸濃度測定装置1により測定される過硫酸濃度が一定になるように又は所定の範囲内になるように、投入電流量のフィードバック制御が行われる。投入電流量と電解によって得られる過硫酸濃度との関係を予め把握しておき、目標となる過硫酸濃度に従って投入電流量を設定することができる。こうして、投入電流量を制御することにより、硫酸溶液の電気分解により得られる過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を調整することができ、過硫酸含有硫酸溶液の洗浄効果を調整することができる。
【実施例】
【0091】
次に、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。
【0092】
(実施例1)
図10に示す洗浄システムを用い、貯留槽21から送液されて濃度測定用分岐路22aを流れる過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を、過硫酸濃度測定装置1により一定間隔で断続的に測定した。過硫酸濃度測定装置1における作用極3a及び対極3cにはともに電極面にホウ素をドーピングした導電性ダイヤモンド電極を用い、参照極3bにはHg/Hg2SO4電極を用いた。作用極3aの電極面積は20cm2であった。また、作用極3aの電位の掃引速度は100mV/秒とした。また、全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度と、過硫酸濃度測定装置1により測定される参照極3bに対する作用極3aの電位がNHEの電位を基準として−1.5V及び+2.0Vであるときの応答電流の電流密度との相関関係を予め求めておき、該相関関係に基づき上記過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を30分間隔で断続的に測定した。
また、電解装置26における電気分解への投入電流は次のように設定した。まず、電解装置26の連続運転時間のうち、0〜10時間までは投入電流は50A一定とした。その後の10〜20時間は、過硫酸濃度が50mM as Oになるように、制御部51により濃度測定の結果に基づき投入電流にフィードバック制御をかけて稼働した。
なお、洗浄システムの各部における過硫酸含有硫酸溶液の流量、液温その他の運転条件は以下に示すとおりである。
硫酸濃度:84〜86質量%
電解装置循環流量:10L/分
電解装置入口温度:50〜55℃
過硫酸含有硫酸溶液の流量:1.5L/分
過硫酸含有硫酸溶液の液温度:60〜65℃
洗浄槽循環流量:20L/分
洗浄槽内液温度:140℃
【0093】
図11のグラフは、実施例1の過硫酸濃度と電解装置26における電気分解への投入電流の経時変化を示している。洗浄槽10では、電解装置26の立ち上げ1時間後から、6インチサイズのレジスト塗布ウエハを100枚/時間の速度で洗浄処理を行い、8000枚のウエハを問題なく処理することができた。
このように、過硫酸濃度測定装置1を設置することにより安定したウエハの洗浄処理を実現するとともに、電解装置26における過剰な電流投入を抑えることができ、洗浄システムの稼働に要する電気エネルギーを削減することができた。
【0094】
(比較例1)
過硫酸濃度測定装置1及び制御部51が設けられていない点を除き、実施例1と同様の洗浄システムを用い、貯留槽21内の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度をヨウ素滴定法と過マンガン酸カリウム滴定法とを利用した濃度測定法により、溶液をサンプリングして自動測定した。なお、この測定方法では、ヨウ素滴定法により求められた全酸化剤濃度と過マンガン酸カリウム滴定法により求められた過酸化水素濃度の差を過硫酸濃度として算出した。また、この測定方法では、サンプリングラインの洗浄、滴定試薬の添加、滴定終点の検出、及び濃度測定後の溶液の排出等に時間を要するため、2時間毎に濃度測定を行った。
また、電解装置26における電気分解への投入電流は次のように設定した。まず、実施例1と同様に、電解装置26の連続運転時間のうち、0〜10時間までは投入電流は50A一定とした。その後の10〜20時間は過硫酸濃度が50mM as Oになるように、上記滴定法による濃度測定の結果に基づき投入電流にフィードバック制御をかけて稼働した。
なお、洗浄システムの各部における過硫酸含有硫酸溶液の流量、液温その他の運転条件は実施例1と同様である。
【0095】
図12のグラフは、比較例1の過硫酸濃度と電解装置26における電気分解への投入電流の経時変化を示している。洗浄槽10では、電解装置26の立ち上げ1時間後から、6インチサイズのレジスト塗布ウエハを100枚/時間の速度で洗浄処理を行い、8000枚のウエハは本方法でも問題なく処理することができた。
しかしながら、実施例1と比較して、比較例1では、電解装置26における投入電流がばらついて十分に低減されず、洗浄システムの稼働に要する電気エネルギーの削減効果は小さかった。また、ヨウ化カリウムやチオ硫酸ナトリウムを含有する濃度測定後の廃液が10L程度、過マンガン酸カリウムを含有する濃度測定後の廃液が8L程度それぞれ発生した。
【符号の説明】
【0096】
1 過硫酸濃度測定装置
2 測定セル
2a 供給管
2b 返送管
3a 作用極
3b 参照極
4 ポテンショスタット
5 酸化剤濃度判定部
5a 記憶部
6 過硫酸濃度判定部
13b 濃度測定用分岐路
22a 濃度測定用分岐路
26 電解装置
40a 濃度測定用分岐路
50 警告信号出力部
51 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する過硫酸濃度の測定方法、及び該測定方法を用いた過硫酸濃度測定装置、並びに該測定装置を有する過硫酸供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、液晶表示装置等の製造プロセスにおいては、レジスト、金属不純物その他の汚染物を除去することを目的として様々な洗浄処理が行われている。従来から行われているレジスト剥離工程には、濃硫酸と過酸化水素水を混合するSPMと呼ばれる溶液が用いられている。この方法は、硫酸や過酸化水素水を大量に消費するため、ランニングコストが高く、多量の廃液を発生することが欠点となっている。
これに対して、本願発明者等は、硫酸を電気分解して得られる過硫酸等の酸化性物質を含有した過硫酸含有硫酸溶液を洗浄液とし、該洗浄液を循環して使用する洗浄システムを提案している(例えば特許文献1及び2参照)。この洗浄システムでは、薬液使用量及び廃液量を削減すると同時に高い洗浄効果を得ることができる。
【0003】
硫酸を電気分解して得られる過硫酸含有硫酸溶液には、酸化性物質として過硫酸(ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸)、過酸化水素等が含まれている。これらの酸化性物質のうち過硫酸がレジストの剥離に寄与する。したがって、過硫酸含有硫酸溶液の洗浄力等の性状を把握するためには、レジストの剥離に有効な酸化性物質である過硫酸の濃度を的確に測定することが望まれている。過硫酸等の酸化性物質の濃度は、ヨウ素滴定法により測定することができる。また、過酸化水素の濃度は、過マンガン酸カリウム滴定法により測定することができる。そこで、過硫酸含有硫酸溶液中の酸化性物質濃度の測定方法として、これら滴定法を利用して、ペルオキソ一硫酸又は全酸化性成分の濃度を測定する方法が提案されている(例えば特許文献3及び4参照)。
【0004】
また、導電性ダイヤモンド電極を利用した電気化学的測定方法が知られており、該装置としては、過酸化水素を検出する装置や、残留塩素濃度を測定する装置等が提案されている(例えば特許文献5及び6参照)。
さらには、導電性ダイヤモンド電極を用いて過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する過硫酸濃度測定装置が提案されている(例えば特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−114880号公報
【特許文献2】特開2006−278687号公報
【特許文献3】特許第3853882号公報
【特許文献4】特開2008−164504号公報
【特許文献5】特開2003−121410号公報
【特許文献6】特開2007−139725号公報
【特許文献7】特開2008−294020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、滴定法を利用して過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定するには、複数の滴定試薬を用いる必要がある。また、過硫酸含有硫酸溶液には滴定試薬が滴下されるため、濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液を洗浄液等として利用することは困難であり、その結果、廃液が発生することになる。
【0007】
また、特許文献7では、硫酸を電気分解して得られる過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度の測定に際し、該溶液に含まれる過酸化水素の濃度について考慮されていない。
【0008】
また、特許文献5及び6には、導電性ダイヤモンド電極を用いて、過酸化水素若しくは過酸化水素を生成する被検化合物の濃度、又は残留塩素濃度を測定することが記載されるだけであり、その他の物質の濃度の測定については記載されていない。また、特許文献5では、導電性ダイヤモンド電極上に触媒金属が担持されているため、該電極を過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度の測定に使用した場合、硫酸濃度が高いと担持金属が徐々に溶解してしまうことになる。
【0009】
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液の利用を妨げることなく、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を的確に測定することができる過硫酸濃度の測定方法、及び該測定方法を用いた過硫酸濃度測定装置、並びに該測定装置を有する過硫酸供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の過硫酸濃度の測定方法のうち、第1の本発明は、過硫酸含有硫酸溶液に参照極及び作用極を接液して前記参照極に対する前記作用極の電位を掃引して応答電流を測定するボルタンメトリにより前記過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する方法であって、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第1の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる全酸化剤の濃度を求め、前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第2の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求め、前記全酸化剤濃度と前記過酸化水素濃度との差を前記過硫酸濃度とすることを特徴とする。
【0011】
第2の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1の本発明において、前記ボルタンメトリに用いる電極のうち、少なくとも前記作用極が導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする。
【0012】
第3の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1又は第2の本発明において、前記過硫酸含有硫酸溶液が、硫酸濃度60〜97質量%の硫酸溶液を電気分解したものであることを特徴とする。
【0013】
第4の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記設定した負の電位が、標準水素電極の電位を基準として−0.5〜−2.0Vであることを特徴とする。
【0014】
第5の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記設定した正の電位が、標準水素電極の電位を基準として+1.5〜+2.5Vであることを特徴とする。
【0015】
第6の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1〜第5の本発明のいずれかにおいて、前記作用極の電位の掃引速度が50〜1000mV/秒であることを特徴とする。
【0016】
第7の本発明の過硫酸濃度の測定方法は、前記第1〜第6の本発明のいずれかにおいて、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記全酸化剤濃度との相関関係を予め求めておき、全酸化剤濃度に関する前記相関関係に基づいて前記第1の電流値から前記全酸化剤濃度を求め、前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記過酸化水素濃度との相関関係を予め求めておき、過酸化水素濃度に関する前記相関関係に基づいて前記第2の電流値から前記過酸化水素濃度を求めることを特徴とする。
【0017】
第8の本発明の過硫酸濃度測定装置は、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する過硫酸濃度測定装置であって、前記過硫酸含有硫酸溶液に接液される作用極及び参照極と、前記参照極に対する前記作用極の電位を掃引する電位掃引部と、前記電位掃引部により前記作用極の電位を掃引した際の応答電流を測定する電流測定部と、前記作用極の電位情報と前記電流測定部による応答電流の測定結果とを受け、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときに前記電流測定部により測定された第1の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる全酸化剤の濃度を求めるとともに、前記作用極の電位が予め設定した正の電位であるときに前記電流測定部により測定された第2の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求める酸化剤濃度判定部と、前記酸化剤濃度判定部で求められた前記全酸化剤濃度と前記過酸化水素濃度とに基づいて前記過硫酸濃度を判定する過硫酸濃度判定部と、を有することを特徴とする。
【0018】
第9の本発明の過硫酸濃度測定装置は、前記第8の本発明において、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記全酸化剤濃度との相関関係と、前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記過酸化水素濃度との相関関係とを記憶する記憶部を有し、前記酸化剤濃度判定部は、前記第1の電流値および前記第2の電流値に応じて前記記憶部に記憶されている各相関関係を参照して、前記全酸化剤の濃度と前記過酸化水素の濃度とを求めることを特徴とする。
【0019】
第10の本発明の過硫酸供給装置は、過硫酸含有硫酸溶液を使用先に供給する過硫酸供給装置であって、前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過硫酸の濃度を測定する前記第8又は第9の本発明の過硫酸濃度測定装置を備えることを特徴とする。
【0020】
第11の本発明の過硫酸供給装置は、前記第10の本発明において、前記過硫酸濃度測定装置により測定される前記過硫酸濃度が所定の値に達していないときに警告信号を出力する警告信号出力部を有することを特徴とする。
【0021】
第12の本発明の過硫酸供給装置は、前記第10又は第11の本発明において、前記過硫酸含有硫酸溶液の一部を分岐して前記過硫酸濃度測定装置に供給するとともに、前記過硫酸濃度測定装置により前記過硫酸濃度が測定された前記過硫酸含有硫酸溶液を前記過硫酸含有硫酸溶液の残部に返送する濃度測定用分岐路を有することを特徴とする。
【0022】
第13の本発明の過硫酸供給装置は、前記第10〜第12の本発明のいずれかにおいて、硫酸溶液を電気分解して前記過硫酸含有硫酸溶液を得る電気分解部と、前記過硫酸濃度測定装置により測定される前記過硫酸濃度に基づき、前記電気分解部における電気分解への投入電流量を制御する制御部とを有することを特徴とする。
【0023】
本発明の過硫酸濃度の測定方法に用いられるボルタンメトリは、参照極に対する作用極の電位を掃引した際に該作用極での電気化学的反応により流れる応答電流を測定するものである。ボルタンメトリとしては、以下に述べる特定の電位での応答電流を測定することができるものであればよいが、電位の掃引を循環的に行うサイクリックボルタンメトリを好適に用いることができる。
ボルタンメトリには、電極として、作用極、参照極、及び対極の3電極、又は作用極及び参照極兼対極の2電極を用いることができる。ボルタンメトリに用いられる電極の材質は特に限定されるものではないが、中でも、導電性ダイヤモンド電極は、化学的安定性が高く、例えば硫酸濃度60〜97質量%の溶液に対しても溶解することなく安定した電極性能を示す。したがって、過硫酸含有硫酸溶液を測定対象とする本発明においては、ボルタンメトリに用いる電極のうち、少なくとも作用極が導電性ダイヤモンド電極であることが好ましく、作用極及び対極が導電性ダイヤモンド電極であることがより好ましい。
【0024】
また、本発明において、参照極には、例えば、一般的に知られている標準水素電極(NHE)、飽和カロメル電極(SCE)、銀−塩化銀電極(Ag/AgCl電極)、水銀−硫酸水銀電極(Hg/Hg2SO4電極)等を使用することができる。ただし、過硫酸濃度の測定後の過硫酸含有硫酸溶液をプロセス側に返送する場合には、該溶液への塩化物イオン等の不純物の混入を防ぐためにNHE又はHg/Hg2SO4電極を用いることが好ましい。
【0025】
本発明の測定対象である過硫酸含有硫酸溶液には、例えば、硫酸濃度が好ましくは60質量%以上、より好ましくは60〜97質量%の硫酸溶液を電気分解して得られたものを用いることができる。硫酸濃度60質量%以上の硫酸溶液を電気分解することにより得られる過硫酸含有硫酸溶液には、始め酸化剤としてペルオキソ二硫酸が含まれているが、ペルオキソ二硫酸は、下記式(1)及び(2)で示される平衡反応により一部が速やかにペルオキソ一硫酸及び過酸化水素へと変化する。
【0026】
【化1】
このように、硫酸溶液の電気分解により得られる過硫酸含有硫酸溶液中には、酸化剤として、ペルオキソ二硫酸、ペルオキソ一硫酸、及び過酸化水素が混在している。なお、本発明においては、ペルオキソ二硫酸及びペルオキソ一硫酸の両者を総称して過硫酸という。
【0027】
上記酸化剤であるペルオキソ二硫酸、ペルオキソ一硫酸、及び過酸化水素は、例えばヨウ素滴定法により濃度を測定することができる。これら酸化剤は、ボルタンメトリにおいて還元電位側で検出される。このため、還元電位の範囲において予め設定した負の電位のときに測定される応答電流の電流値と全酸化剤濃度との相関関係を得ることができる。したがって、参照極に対する作用極の電位が還元電位の範囲において予め設定した負の電位のときの応答電流を測定し、その電流値から全酸化剤の濃度を求めることができる。
本発明では、ボルタンメトリを用いて、参照極に対する作用極の電位が還元電位の範囲において予め設定した負の電位であるときの応答電流を測定し、測定された第1の電流値から過硫酸含有硫酸溶液中の全酸化剤濃度を求める。第1の電流値としては、具体的には例えば応答電流の電流密度を用いることができる。なお、予め設定した負の電位は、NHEの電位を基準として−0.5〜−2.0Vであることが好ましい。
【0028】
一方、上記酸化剤のうち、過酸化水素は、下記式(3)で示すように還元剤としても作用し、例えば過マンガン酸カリウム滴定法により濃度を測定することができる。
【0029】
【化2】
【0030】
このように還元剤としても作用する過酸化水素は、ボルタンメトリにおいて酸化電位側でも検出される。このため、酸化電位の範囲において予め設定した正の電位のときに測定される応答電流の電流値と過酸化水素濃度との相関関係を得ることができる。したがって、参照極に対する作用極の電位が酸化電位の範囲において予め設定した正の電位のときの応答電流を測定し、その電流値から過酸化水素の濃度を求めることができる。
本発明では、ボルタンメトリを用いて、参照極に対する作用極の電位が酸化電位の範囲において予め設定した正の電位であるときの応答電流を測定し、測定された第2の電流値から過硫酸含有硫酸溶液中の過酸化水素濃度を求める。第2の電流値としては、具体的には例えば応答電流の電流密度を用いることができる。なお、予め設定した正の電位は、NHEの電位を基準として+1.0〜+2.5Vであることが好ましく、下限はさらに+1.5Vが一層好ましい。
【0031】
本発明では、上記のようにしてボルタンメトリを用いて求められた過硫酸含有硫酸溶液中の全酸化剤濃度と過酸化水素濃度との差を過硫酸濃度として算出する。電気化学的方法を用いて各濃度を求めているため、滴定法のように滴定試薬を過硫酸含有硫酸溶液に滴下する必要がなく、濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液の利用が妨げられることはない。すなわち、濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液は、特段の処理を必要とすることなく、半導体ウエハ等の電子材料の洗浄液等として再利用することができる。また、本発明では、過硫酸含有硫酸溶液中の過酸化水素の存在を考慮しているため、過硫酸濃度を的確に測定することができる。
【0032】
なお、上記応答電流を測定するボルタンメトリにおいて、参照極に対する作用極の電位の掃引範囲は、電極の種類等に応じて適宜設定することができる。作用極の電位の掃引範囲は、NHEの電位を基準として−2.5〜+2.5V程度であればよい。
また、参照極に対する作用極の電位の掃引速度は、50〜1000mV/秒に設定することが好ましい。これは、掃引速度が遅すぎると、電気分解が進行して電極表面で酸素や水素の気泡が発生して電極表面に付着し、その結果、測定誤差が生じるおそれがあり、また、掃引速度が速すぎると、検出感度が低下するおそれがあるためである。
【0033】
また、上記還元電位の範囲において設定した負の電位のときに測定される応答電流の電流値と全酸化剤濃度との相関関係、及び酸化電位の範囲において設定した正の電位のときに測定される応答電流の電流値と過酸化水素濃度との相関関係は、使用する測定装置の構成に影響される。これら相関関係に影響する測定装置の構成としては、作用極、対極、及び参照極の材質、設置位置、及び電極面積、並びにこれら電極間の距離等が挙げられる。また、上記相関関係は、過硫酸含有硫酸溶液の温度や流速等にも影響される。
したがって、使用する測定装置について、過硫酸含有硫酸溶液の温度や流速等の異なる条件毎に、上記相関関係を予め求めておくことが好ましい。あるいは、上記相関関係を予め求めた過硫酸含有硫酸溶液の温度や流速等の条件下で、過硫酸濃度の測定を行うことが好ましい。これにより、より精度の高い過硫酸濃度の測定を実現することができる。上記相関関係については、実施形態において詳述する。
【0034】
なお、本発明の過硫酸濃度測定装置は、後述するように、例えば、半導体ウエハ等の電子材料を洗浄するバッチ式又は枚葉式洗浄装置に過硫酸含有硫酸溶液を供給する供給路に設置してもよいし、該洗浄装置から過硫酸含有硫酸溶液を排出する排出路に設置してもよい。
【発明の効果】
【0035】
以上、説明したように、本発明によれば、過硫酸含有硫酸溶液に参照極及び作用極を接液して前記参照極に対する前記作用極の電位を掃引して応答電流を測定するボルタンメトリを用い、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第1の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる全酸化剤の濃度を求め、前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第2の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求め、前記全酸化剤濃度と前記過酸化水素濃度との差を前記過硫酸濃度とするので、濃度測定後の過硫酸含有硫酸溶液の利用を妨げることなく、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を的確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態の過硫酸濃度測定装置を示す概略図である。
【図2】85質量%の硫酸溶液を電気分解して得られた過硫酸含有硫酸溶液について測定されたサイクリックボルタモグラムである。
【図3】85質量%の硫酸溶液を電気分解して得られた過硫酸含有硫酸溶液について応答電流の電流密度と全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度との相関関係を示すグラフである。
【図4】濃度の異なる硫酸溶液を電気分解して得られた過硫酸含有硫酸溶液について応答電流の電流密度と全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度との相関関係を示すグラフである。
【図5】本発明の一実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図6】同じく、他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図7】同じく、更に他の実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図8】同じく、更に他の実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図9】同じく、更に他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図10】同じく、更に他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。
【図11】実施例1のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムにおける電解装置の稼働時間と過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度及び電解装置の投入電流との関係を示すグラフである。
【図12】比較例1のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムにおける電解装置の稼働時間と過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度及び電解装置の投入電流との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(実施形態1)
本発明の一実施形態の過硫酸濃度測定装置を図1〜4に基づき説明する。
図1に示すように、本実施形態の過硫酸濃度測定装置1は、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成された直方体状の測定セル2に組み込まれる作用極3a、参照極3b、及び対極3cと、各電極に接続されたポテンショスタット4と、ポテンショスタット4による測定結果を処理する酸化剤濃度判定部5及び過硫酸濃度判定部6とを有している。
測定セル2には、下部に流入口、上部に流出口があり、それぞれ過硫酸含有硫酸溶液を供給する供給管2a、返送管2bが接続されている。
【0038】
作用極3a及び対極3cとしては、それぞれ例えば導電性ダイヤモンド電極が用いられている。また、参照極3bとしては、例えばHg/Hg2SO4電極が用いられている。これら電極は、測定セル2内の過硫酸含有硫酸溶液に接液されて該溶液中の過硫酸濃度の測定に用いられる。
【0039】
ポテンショスタット4は、図示しない電位掃引ユニットを備えており、参照極3bに対する電位として作用極3aに印加する電圧を所定の範囲で掃引することができる。また、ポテンショスタット4は、電位の掃引の際に作用極3aと対極3cとの間を流れる応答電流を測定することができる。電位掃引ユニットを備えるポテンショスタット4は、本発明の電位掃引部及び電流測定部を構成し、サイクリックボルタンメトリを行うものである。
【0040】
ポテンショスタット4には、酸化剤濃度判定部5が接続されている。酸化剤濃度判定部5は、参照極3bに対する作用極3aの電位情報とポテンショスタット4による応答電流の測定結果とを受けて、ポテンショスタット4による応答電流の測定結果に基づき、測定セル2内の過硫酸含有硫酸溶液中の全酸化剤濃度と過酸化水素濃度とを求める。酸化剤濃度判定部5には、記憶部5aが備えられている。記憶部5aには、全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度を求める際に参照される応答電流の電流値と全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度との相関関係がデータテーブル等によって格納されている。
【0041】
酸化剤濃度判定部5には、過硫酸濃度判定部6が接続されている。過硫酸濃度判定部6は、酸化剤濃度判定部5により求められた酸化剤濃度と過酸化水素濃度とに基づき、測定セル2内の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を判定する。具体的には、酸化剤濃度判定部5は、酸化剤濃度判定部5により求められた酸化剤濃度と過酸化水素濃度との差を、測定セル2内の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度として算出する。
【0042】
次に、上記図1に示す過硫酸濃度測定装置の動作について説明する。
まず、測定セル2内に過硫酸含有硫酸溶液が流入することにより、作用極3a、参照極3b、及び対極3cが過硫酸含有硫酸溶液に接液する。過硫酸含有硫酸溶液は、例えば硫酸濃度60〜97質量%の硫酸溶液を電気分解することにより得られたものである。
【0043】
次いで、ポテンショスタット4により、サイクリックボルタンメトリを行い、参照極3bに対する電位として作用極3aに印加する電圧を掃引し、この電位の掃引の際に作用極3aと対極3cとの間を流れる応答電流を測定する。ポテンショスタット4による電位の掃引範囲は例えばNHEの電位を基準として−2.5〜+2.5Vとし、掃引速度は例えば50〜1000mV/秒とする。
【0044】
ポテンショスタット4による応答電流の測定では、参照極3bに対する作用極3aの電位が還元電位の範囲において予め設定した負の電位であるときの応答電流を測定する。予め設定した負の電位は、NHEの電位を基準として例えば−0.5〜−2.0Vとする。
また、ポテンショスタット4による応答電流の測定では、参照極3bに対する作用極3aの電位が酸化電位の範囲において予め設定した正の電位であるときの応答電流を測定する。予め設定した正の電位は、NHEの電位を基準として例えば+1.0V(好ましくは+1.5V)〜+2.5Vとする。
【0045】
次いで、酸化剤濃度判定部5において、上記ポテンショスタット4により測定された応答電流の電流値から、過硫酸含有硫酸溶液中の全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度をそれぞれ求める。全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度を求める際には、応答電流の電流値と各濃度との相関関係が参照される。
以下、応答電流の電流値と各濃度との相関関係について実験例に言及しつつ詳述する。
【0046】
実験例では、硫酸濃度を85質量%に調整した硫酸溶液を電気分解することにより得られた過硫酸含有硫酸溶液について、サイクリックボルタンメトリによる測定を行った。電気分解では、陽極及び陰極ともに導電性ダイヤモンド電極を使用した。また、電気分解における投入電流量は0、5、10、及び15Ah/Lとした。
サイクリックボルタンメトリによる測定では、作用極及び対極ともに導電性ダイヤモンド電極を使用し、参照極にHg/Hg2SO4電極を使用した。また、ポテンショスタットには電位掃引ユニットを接続して参照極に対する作用極の電位の掃引を行い、各電位における電流量から電流密度を算出した。参照極に対する作用極の電位の掃引範囲はNHEの電位を基準として−1.8〜+2.2Vとし、掃引速度は100mV/秒とした。測定時の過硫酸含有硫酸溶液の温度は、いずれの場合も25℃とした。
また、上記サイクリックボルタンメトリによる測定とともに、ヨウ素滴定法により全酸化剤濃度を測定し、過マンガン酸カリウム滴定法により過酸化水素濃度を測定した。
【0047】
図2は、電気分解における投入電流量が0、5、10、及び15Ah/Lである各過硫酸含有硫酸溶液について測定されたサイクリックボルタモグラムを示している。図2において、横軸は作用極の電位を示し、縦軸は応答電流の電流密度を示している。なお、横軸に示す作用極の電位は、NHEに対する電位に換算して表示している。
図2から明らかなように、硫酸溶液の電気分解における投入電流量が大きくなるほど、還元電位側及び酸化電位側のいずれにおいても、応答電流の電流密度の絶対値が大きくなることが分かる。
【0048】
また、以下に示す表1は、電気分解における投入電流量が0、5、10、及び15Ah/Lである各過硫酸含有硫酸溶液について、滴定法により測定された全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度と、上記サイクリックボルタモグラムにより得られた応答電流の電流密度との関係を示したものである。なお、応答電流の電流密度は、参照極に対する作用極の電位がNHEの電位を基準として−1.5V及び+2Vのときにそれぞれ測定されたものである。また、全酸化剤濃度はヨウ素滴定法により測定されたものであり、過酸化水素濃度は過マンガン酸カリウム滴定法により測定されたものである。また、表1及び以下において、全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度の単位である[mM as O]は、各濃度を酸素原子の濃度に換算した場合におけるミリモル濃度を表している。
【0049】
【表1】
【0050】
図3(a)は、上記表1に示す全酸化剤濃度に対して、参照極に対する作用極の電位がNHEの電位を基準として−1.5Vのときの応答電流の電流密度をプロットしたグラフである。また、図3(b)は、上記表1に示す過酸化水素濃度に対して、参照極に対する作用極の電位がNHEの電位を基準として+2.0Vのときの応答電流の電流密度をプロットしたグラフである。図3(a)及び図3(b)において、横軸は全酸化剤濃度又は過酸化水素濃度を表し、縦軸は応答電流の電流密度を表している。
図3(a)から明らかなように、全酸化剤濃度と還元電位側における応答電流の電流密度との間には、ほぼ比例する相関関係があることが分かる。また、図3(b)から明らかなように、過酸化水素濃度と酸化電位側における応答電流の電流密度との間にも、ほぼ比例する相関関係があることが分かる。
【0051】
次に、硫酸濃度を60、75、及び96質量%に調整した硫酸溶液をそれぞれ電気分解することにより得られた各過硫酸含有硫酸溶液についても、上記と同様の実験を行った。
【0052】
図4(a)は、上記各過硫酸含有硫酸溶液について、全酸化剤濃度に対して、参照極に対する作用極の電位がNHEの電位を基準として−1.5Vのときの応答電流の電流密度をプロットしたグラフである。また、図4(b)は、上記各過硫酸含有硫酸溶液について、過酸化水素濃度に対して、参照極に対する作用極の電位がNHEの電位を基準として+2.0Vのときの応答電流の電流密度をプロットしたグラフである。図4(a)及び図4(b)において、横軸は全酸化剤濃度又は過酸化水素濃度を表し、縦軸は応答電流の電流密度を表している。
図4(a)及び図4(b)から明らかなように、電気分解を行う硫酸溶液の硫酸濃度の範囲60〜96質量%において、全酸化剤濃度と還元電位側における応答電流の電流密度との間、及び過酸化水素濃度と酸化電位側における応答電流の電流密度との間のそれぞれに、ほぼ比例する相関関係があることが分かる。
【0053】
以上のとおり、応答電流の電流値と全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度との間には相関関係が存在する。したがって、応答電流の電流値と各濃度との相関関係として、図4(a)及び図4(b)に示すような検量線、又は相関関数等を予め求めておき、該相関関係に基づき、濃度測定時に測定された応答電流の電流値から各濃度を求めることができる。
【0054】
上記図1に示す過硫酸濃度測定装置1において、参照極3bに対する作用極3aの電位が還元電位の範囲において予め設定した負の電位であるときの応答電流の電流値と全酸化剤濃度との相関関係は、前記実験データ等により予め求められており、酸化剤濃度判定部5の記憶部5aに格納されている。酸化剤濃度判定部5では、記憶部5aに格納された相関関係に基づき、ポテンショスタット4により測定された前記負の電位であるときの応答電流の電流値から酸化剤濃度が求められる。
また、参照極3bに対する作用極3aの電位が酸化電位の範囲において予め設定した正の電位であるときの応答電流の電流値と過酸化水素濃度との相関関係も、前記実験データ等により予め求められており、酸化剤濃度判定部5の記憶部5aに格納されている。酸化剤濃度判定部5では、記憶部5aに格納された相関関係に基づき、ポテンショスタット4により測定された前記正の電位であるときの応答電流の電流値から過酸化水素濃度が求められる。
【0055】
過硫酸濃度判定部6では、酸化剤濃度判定部5により求められた全酸化剤濃度と過酸化水素濃度との差を過硫酸濃度として算出する。こうして、測定セル2内の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が測定される。
【0056】
(実施形態2)
次に、本発明の過硫酸供給装置の一実施形態に相当するバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを図5に基づき説明する。図5は、本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1により、以下に説明するように、使用先である洗浄槽10へ送液される過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が洗浄槽10への供給に先立って測定されるものである。
【0057】
図5に示すように、半導体ウエハ等の電子材料20の洗浄が行われる洗浄槽10には、送り循環ライン12と戻り循環ライン13とが接続されている。送り循環ライン12は、フィルタ14及びポンプ15を順次介して貯留槽21に接続されている。また、戻り循環ライン13は、ポンプ16及び冷却器17を順次介して貯留槽21に接続されている。
また、戻り循環ライン13は、ポンプ16の下流側、冷却器17の上流側で分岐路13aに分岐して、分岐路13aがポンプ15の下流側で送り循環ライン12に接続されている。分岐路13aには、戻り循環ライン13側から送り循環ライン12側に向かって加熱器18及びフィルタ19が順次介設されている。
【0058】
また、洗浄液が貯留されている貯留槽21には、純水供給ラインと濃硫酸供給ラインとが接続されて純水と濃硫酸の適時供給が可能になっている。また、貯留槽21には、送り循環ライン22と戻り循環ライン23とが接続されている。送り循環ライン22は、ポンプ24及び冷却器25を介して電解装置26の入液側に接続され、電解装置26の出液側に前記戻り循環ライン23が接続されて、電解装置26内での通液が可能になっている。電解装置26は、本発明の電気分解部に相当する。戻り循環ライン23には、気液分離器27が介設されている。
【0059】
また、送り循環ライン22は、冷却器25の下流側、電解装置26の上流側で濃度測定用分岐路22aに分岐しており、濃度測定用分岐路22aの先端側は貯留槽21に接続されている。
濃度測定用分岐路22aには、上記図1に示す過硫酸濃度測定装置1の測定セル2が介設されている。測定セル2には、濃度測定用分岐路22aを流れる過硫酸含有硫酸溶液が通液されて、該過硫酸含有硫酸溶液について過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定が行われるようになっている。
【0060】
次に、上記図5に示す洗浄システムの動作について説明する。
この洗浄システムでは、貯留槽21に貯留された硫酸溶液がポンプ24によって送り循環ライン22を通じて電解装置26に送液される。この際、硫酸溶液は、冷却器25によって電解に好適な温度に冷却される。電解装置26では、硫酸溶液中の硫酸が電解され、酸化性物質として過硫酸(ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸)、オゾン、及び過酸化水素が生成され、過硫酸含有硫酸溶液となって戻り循環ライン23を通して貯留槽21に送液されて貯留される。循環ライン23に介設された気液分離器27では、過硫酸含有硫酸溶液中の酸素、水素、オゾン等の気体成分が除去される。
なお、電解に供される硫酸溶液の硫酸濃度は、前記電解装置26における電解効率、レジスト等の分解効率等の点から、60〜97質量%が好ましく、75〜96質量%がより好ましく、80〜96質量%が更に好ましい。
【0061】
貯留槽21内の過硫酸含有硫酸溶液は、ポンプ15によって送り循環ライン12を通じて洗浄槽10に送液される。この際、送り循環ライン12に介設されたフィルタ14では、過硫酸含有硫酸溶液中に含まれる微粒子が捕捉されて過硫酸含有硫酸溶液から除去される。
一方、既に洗浄槽10で洗浄に使用された過硫酸含有硫酸溶液は、ポンプ16によって戻り循環ライン13を通じて送液され、一部は冷却器17で冷却されて前記貯留槽21に送液される。他部は、分岐路13aを通り、加熱器18で加熱された後、貯留槽21から送られる前記過硫酸含有硫酸溶液と合流して、洗浄液として洗浄槽10に送液される。この際、分岐路13aに介設されたフィルタ19では、加熱された過硫酸含有硫酸溶液中に含まれる微粒子が捕捉されて過硫酸含有硫酸溶液から除去される。
【0062】
上記分岐路13aを通った過硫酸含有硫酸溶液と貯留槽21から送液される過硫酸含有硫酸溶液との合流により、洗浄槽10に送液される過硫酸含有硫酸溶液は瞬時に昇温し、洗浄に好適な温度となる。具体的には好適な温度は100〜150℃であり、120〜140℃の範囲が一層好ましい。洗浄液としての過硫酸含有硫酸溶液の温度が低いと、過硫酸による分解が十分に進行せず、電子材料20のレジスト等の剥離効果が小さくなる。また、洗浄液の温度が高すぎると、過硫酸が早期に自己分解してしまい、同じく、十分なレジスト等の剥離効果が得られない。したがって、加熱器18では、上記溶液温度が得られるように過硫酸含有硫酸溶液が加熱される。
【0063】
なお、硫酸溶液の電気分解により得られた過硫酸含有硫酸溶液中には、前記のように酸化性物質として過硫酸、オゾン、過酸化水素が生成されて含まれている。通常、オゾンの液体への溶解度は低いため、過硫酸濃度を測定する際、過硫酸含有硫酸溶液中のオゾン濃度は極めて小さい。また、過硫酸含有硫酸溶液の温度が高いと、過硫酸含有硫酸溶液からオゾンが抜けることで、さらにオゾン濃度が小さくなる。そのため、過硫酸含有硫酸溶液中の有効酸化性物質(過硫酸及びオゾン)のうち、過硫酸が相対的によりリッチになる。したがって、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を知ることで、洗浄効果を推定することができる。
【0064】
上記図5に示す洗浄システムでは、貯留槽21内の過硫酸含有硫酸溶液が、ポンプ24によって送り循環ライン22及び濃度測定用分岐路22aを通じて、過硫酸濃度測定装置1の測定セル2に送液される。測定セル2に送液された過硫酸含有硫酸溶液は、上記のように過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定される。過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定は、例えば、必要に応じて適時に行ってもよいし、連続的に又は一定間隔で断続的に行ってもよい。
過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定された過硫酸含有硫酸溶液は、濃度測定用分岐路22aを通じて貯留槽21に返送される。
【0065】
(実施形態3)
次に、本発明の他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを図6に基づき説明する。図6は、本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1及び2と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1を設置する箇所以外は、上記図5に示す実施形態2のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムと同様の構成を有している。この洗浄システムは、過硫酸濃度測定装置1により、以下に説明するように、洗浄槽10での使用後の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が測定されるものである。
【0066】
図6に示すように、本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムにおいて、戻り循環ライン13は、冷却器17の下流側、貯留槽21の上流側で濃度測定用分岐路13bに分岐しており、濃度測定用分岐路13bの先端部は貯留槽21に接続されている。
濃度測定用分岐路13bには、上記図1に示す過硫酸濃度測定装置1の測定セル2が介設されている。測定セル2には、濃度測定用分岐路13bを流れる過硫酸含有硫酸溶液が通液されて、該過硫酸含有硫酸溶液について過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定が行われるようになっている。
【0067】
上記図6に示す洗浄システムの動作は、過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定に関する動作以外は、上記図5に示す実施形態2の洗浄システムの動作と同様である。
上記図6に示す洗浄システムでは、洗浄槽10内の過硫酸含有硫酸溶液が、ポンプ16によって戻り循環ライン13及び濃度測定用分岐路13bを通じて、過硫酸濃度測定装置1の測定セル2に送液される。測定セル2に送液された過硫酸含有硫酸溶液は、上記のように過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定される。過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定は、例えば、必要に応じて適時に行ってもよいし、連続的に又は一定間隔で断続的に行ってもよい。
過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定された過硫酸含有硫酸溶液は、濃度測定用分岐路13bを通じて貯留槽21に返送される。
【0068】
(実施形態4)
次に、本発明の更に他の実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを図7に基づき説明する。図7は、本実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1〜3と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
上記実施形態2及び3では、バッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムに上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置を設置する場合について説明したが、枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムにも上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1を設置してもよい。
本実施形態では、枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムに上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1を設置した場合について説明する。なお、本実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1により、以下に説明するように、使用先である枚葉式洗浄装置35へ送液される過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が枚葉式洗浄装置35への供給に先立って測定されるものである。
【0069】
図7に示すように、洗浄液が貯留されている貯留槽21には、純水供給ラインと濃硫酸供給ラインとが接続されて純水と濃硫酸の適時供給が可能になっている。また、貯留槽21には、送り循環ライン22と戻り循環ライン23とが接続されており、送り循環ライン22は、ポンプ24及び冷却器25を介して電解装置26の入液側に接続され、電解装置26の出液側に前記戻り循環ライン23が接続されて、電解装置26内での通液が可能になっている。戻り循環ライン23には、気液分離器27が介設されている。
【0070】
また、送り循環ライン22は、冷却器25の下流側、電解装置26の上流側で濃度測定用分岐路22aに分岐しており、濃度測定用分岐路22aの先端部は貯留槽21に接続されている。
濃度測定用分岐路22aには、上記図1に示す過硫酸濃度測定装置1の測定セル2が介設されている。測定セル2には、濃度測定用分岐路22aを流れる過硫酸含有硫酸溶液が通液されて、該過硫酸含有硫酸溶液について過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定が行われるようになっている。
【0071】
さらに、貯留槽21には、槽内の過硫酸含有硫酸溶液を取り出し可能な供給ライン30が接続されている。該供給ライン30の供給先には、枚葉式洗浄装置35が設けられている。該供給ライン30には、枚葉式洗浄装置35の上流側で、貯留槽21内の過硫酸含有硫酸溶液を送液する送液ポンプ31と、前記過硫酸含有硫酸溶液中に含まれる微粒子を捕捉して過硫酸含有硫酸溶液から除去するフィルタ32と、加熱器33とが順次介設されている。すなわち、加熱された過硫酸含有硫酸溶液が洗浄液として使用される。
【0072】
また、枚葉式洗浄装置35には、被洗浄物の洗浄により排出された過硫酸含有硫酸溶液を回収して前記貯留槽21へ還流させる還流ライン40の一端が接続されており、該還流ライン40には、分解槽41が介設されている。該分解槽41の下流側では、該還流ライン40に、前記分解槽41内に貯留された過硫酸含有硫酸溶液を送液する送液ポンプ42と、前記過硫酸含有硫酸溶液中に含まれる固体浮遊物を捕捉して過硫酸含有硫酸溶液から除去するフィルタ43と、前記過硫酸含有硫酸溶液を冷却する冷却器44とが順次介設されている。その下流側で還流ライン40の他端側は、前記貯留槽21に接続されている。なお、分解槽41の上流側で還流ライン40に排液ライン45を分岐接続しておき、適時に、過硫酸含有硫酸溶液を分解槽41に送液せずに系外に排液できるように構成してもよい。
【0073】
次に、上記図7に示す洗浄システムの動作について説明する。
貯留槽21には、硫酸溶液が、送り循環ライン22を通して電解装置26に供給できるように貯留されている。前記硫酸溶液は、ポンプ24により送液され、冷却器25で電解に好適な温度に調整されて電解装置26の入液側に導入される。電解装置26では、硫酸溶液中の硫酸が電解され、酸化性物質として過硫酸(ペルオキソ一硫酸、ペルオキソ二硫酸)、オゾン、及び過酸化水素が生成され、過硫酸含有硫酸溶液となって戻り循環ライン23を通して貯留槽21に送液されて貯留される。
なお、電解に供される硫酸濃度は、前記と同様に電解装置26における電解効率、レジスト等の分解効率等の点から、60〜97質量%が好ましく、75〜96質量%がより好ましく、80〜96質量%が更に好ましい。
【0074】
枚葉式洗浄装置35では、ウエハ100が洗浄対象になり該ウエハ100を回転台36上で回転させつつ、前記供給ライン30によって供給される過硫酸含有硫酸溶液を洗浄液としてウエハ100に接触させる。貯留槽21に貯留された過硫酸含有硫酸溶液は、送液ポンプ31により、供給ライン30に介設されたフィルタ32及び加熱器33を通して枚葉式洗浄装置35に供給される。このフィルタ32で過硫酸含有硫酸溶液中の微粒子が除去される。なお、洗浄液としての過硫酸含有硫酸溶液は、加熱器33で加熱されており、ウエハ100に接触させる際に120〜180℃の温度が維持されるようにする。
【0075】
洗浄に使用された過硫酸含有硫酸溶液は、枚葉式洗浄装置35から排出され、還流ライン40を通して分解槽41に貯留される。前記過硫酸含有硫酸溶液には枚葉式洗浄装置35で洗浄されたレジスト等の残留有機物が含まれており、分解槽41に貯留されている間に、前記残留有機物が過硫酸含有硫酸溶液に含まれる酸化性物質によって酸化分解される。
【0076】
分解槽41において含有する酸化性物質が酸化分解された過硫酸含有硫酸溶液は、送液ポンプ42により還流ライン40に介設されたフィルタ43及び冷却器44を通して貯留槽21に還流される。このフィルタ43で過硫酸含有硫酸溶液中の固体浮遊物が除去される。また、高温の過硫酸含有硫酸溶液が貯留槽21に還流されると、貯留槽21に貯留されている過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸の分解が促進されてしまうため、前記過硫酸含有硫酸溶液は冷却器44により冷却された後、貯留槽21内に導入される。貯留槽21内に導入された過硫酸含有硫酸溶液は、送り循環ライン22によって電解装置26に送液されて電解により過硫酸が生成され、戻り循環ライン23により再度貯留槽21に還流される。
このようなシステムの動作によって、枚葉式洗浄装置35に洗浄液として過硫酸含有硫酸溶液を連続して供給する。
【0077】
上記図7に示す洗浄システムでは、貯留槽21内の過硫酸含有硫酸溶液が、ポンプ24によって送り循環ライン22及び濃度測定用分岐路22aを通じて、過硫酸濃度測定装置1の測定セル2に送液される。測定セル2に送液された過硫酸含有硫酸溶液は、上記のように過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定される。過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定は、例えば、必要に応じて適時に行ってもよいし、連続的に又は一定間隔で断続的に行ってもよい。
過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定された過硫酸含有硫酸溶液は、濃度測定用分岐路22aを通じて貯留槽21に返送される。
【0078】
(実施形態5)
次に、本発明の更に他の実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを図8に基づき説明する。図8は、本実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1〜4と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
本実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図1に示す実施形態1の過硫酸濃度測定装置1を設置する箇所以外は、上記図7に示す実施形態4の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムと同様の構成を有している。この洗浄システムは、過硫酸濃度測定装置1により、以下に説明するように、枚葉式洗浄装置35での使用後の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が測定されるものである。
【0079】
図8に示すように、本実施形態の枚葉式硫酸リサイクル型洗浄システムにおいて、還流ライン40は、冷却器44の下流側、貯留槽21の上流側で濃度測定用分岐路40aに分岐しており、濃度測定用分岐路40aの先端部は貯留槽21に接続されている。
濃度測定用分岐路40aには、上記図1に示す過硫酸濃度測定装置1の測定セル2が介設されている。測定セル2には、濃度測定用分岐路40aを流れる過硫酸含有硫酸溶液が貯留されて、該過硫酸含有硫酸溶液について過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定が行われるようになっている。
【0080】
上記図8に示す洗浄システムの動作は、過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定に関する動作以外は、上記図7に示す実施形態4の洗浄システムの動作と同様である。
上記図8に示す洗浄システムでは、分解槽41内の過硫酸含有硫酸溶液が、ポンプ42によって還流ライン40及び濃度測定用分岐路40aを通じて、過硫酸濃度測定装置1の測定セル2に送液される。測定セル2に送液された過硫酸含有硫酸溶液は、上記のように過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定される。過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定は、例えば、必要に応じて適時に行ってもよいし、連続的に又は一定間隔で断続的に行ってもよい。
過硫酸濃度測定装置1により過硫酸濃度が測定された過硫酸含有硫酸溶液は、濃度測定用分岐路40aを通じて貯留槽21に返送される。
【0081】
(実施形態6)
次に、本発明の更に他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを図9に基づき説明する。図9は、本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1〜5と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
上記実施形態2〜5においては、過硫酸濃度測定装置1により測定される過硫酸濃度が所定の値に達していないときに警告信号を出力する警告信号出力部を設けてもよい。
本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図5に示す実施形態2のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムにおいて、上記警告信号を出力する警告信号出力部50が更に設けられたものである。
【0082】
図9に示すように、過硫酸濃度測定装置1には、警告信号出力部50が接続され、過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定結果が、過硫酸濃度測定装置1から警告信号出力部50に送信されるようになっている。
警告信号出力部50は、硫酸濃度測定装置1から送信される過硫酸濃度の測定結果を参照し、過硫酸濃度測定装置1により測定される過硫酸濃度が所定の値に達していないときに警告信号を出力するようになっている。
警告信号出力部50には、図示しない警告表示部又は警告発報部が接続され、警告信号出力部50が出力した警告信号が警告表示部又は警告発報部に送信されるようになっている。
【0083】
次に、上記図9に示す洗浄システムの動作について説明する。
上記図9に示す洗浄システムでは、上記図5に示す洗浄システムと同様に、過硫酸含有硫酸溶液により電子材料20の洗浄が行われる。
電子材料20の洗浄の間、過硫酸濃度測定装置1では、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が連続的に又は一定間隔で断続的に測定される。測定された過硫酸濃度は、警告信号出力部50に送信される。
【0084】
警告信号出力部50では、硫酸濃度測定装置1から送信される過硫酸濃度の測定結果が参照され、過硫酸濃度測定装置1により測定される過硫酸濃度が予め設定された所定の値に達していないときに警告信号が出力される。出力された警告信号は、図示しない警告表示部又は警告発報部に送信される。上記所定の値は、不記載のメモリ等に格納しておく。該所定の値は、必要に応じて変更することができるものであってもよい。
【0085】
警告表示部又は警告発報部では、送信される警告信号に応じて、過硫酸濃度が所定の値に達していない旨を操作者等に報知する警告を表示し又は発報する。こうして過硫酸濃度に関する警告が表示等されることにより、迅速に対策を講じることができ、適切に過硫酸濃度を管理することができる。
【0086】
(実施形態7)
次に、本発明の更に他の実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを図10に基づき説明する。図10は、本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムを示す概略図である。なお、上記実施形態1〜6と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し又は簡略化する。
上記実施形態2〜6においては、過硫酸濃度測定装置1により測定される過硫酸濃度に基づき、電解装置26における電気分解への投入電流量を制御してもよい。投入電流量を制御することにより、電解装置26において、硫酸溶液の電気分解により得られる過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を調整して濃度管理を行うことができ、過硫酸含有硫酸溶液の洗浄効果を調整することができる。
【0087】
本実施形態のバッチ式硫酸リサイクル型洗浄システムは、上記図5に示す実施形態2の硫酸リサイクル型洗浄システムにおいて、電解装置26における電気分解への投入電流量を制御する制御部51が更に設けられたものである。
図10に示すように、過硫酸濃度測定装置1には、制御部51が接続され、過硫酸濃度測定装置1による過硫酸濃度の測定結果が、過硫酸濃度測定装置1から制御部51に送信されるようになっている。
制御部51には、電解装置26に接続されており、電解装置26における投入電流量を制御する制御信号が制御部51から電解装置26に送信されるようになっている。
【0088】
次に、上記図10に示す洗浄システムの動作について説明する。
上記図10に示す洗浄システムでは、上記図5に示す洗浄システムと同様に、過硫酸含有硫酸溶液により電子材料20の洗浄が行われる。
電子材料20の洗浄の間、過硫酸濃度測定装置1では、過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度が連続的に又は一定間隔で断続的に測定される。測定された過硫酸濃度は、制御部51に送信される。
【0089】
制御部51は、過硫酸濃度測定装置1から送信される過硫酸濃度の測定結果に基づき、電解装置26における電気分解への投入電流量を制御する制御信号を生成して、該制御信号を電解装置26に送信する。
【0090】
電解装置26では、制御部51から送信される制御信号に基づき、電気分解に投入する投入電流量が制御される。例えば、過硫酸濃度測定装置1により測定される過硫酸濃度が一定になるように又は所定の範囲内になるように、投入電流量のフィードバック制御が行われる。投入電流量と電解によって得られる過硫酸濃度との関係を予め把握しておき、目標となる過硫酸濃度に従って投入電流量を設定することができる。こうして、投入電流量を制御することにより、硫酸溶液の電気分解により得られる過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を調整することができ、過硫酸含有硫酸溶液の洗浄効果を調整することができる。
【実施例】
【0091】
次に、本発明の実施例を比較例と対比して説明する。
【0092】
(実施例1)
図10に示す洗浄システムを用い、貯留槽21から送液されて濃度測定用分岐路22aを流れる過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を、過硫酸濃度測定装置1により一定間隔で断続的に測定した。過硫酸濃度測定装置1における作用極3a及び対極3cにはともに電極面にホウ素をドーピングした導電性ダイヤモンド電極を用い、参照極3bにはHg/Hg2SO4電極を用いた。作用極3aの電極面積は20cm2であった。また、作用極3aの電位の掃引速度は100mV/秒とした。また、全酸化剤濃度及び過酸化水素濃度と、過硫酸濃度測定装置1により測定される参照極3bに対する作用極3aの電位がNHEの電位を基準として−1.5V及び+2.0Vであるときの応答電流の電流密度との相関関係を予め求めておき、該相関関係に基づき上記過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を30分間隔で断続的に測定した。
また、電解装置26における電気分解への投入電流は次のように設定した。まず、電解装置26の連続運転時間のうち、0〜10時間までは投入電流は50A一定とした。その後の10〜20時間は、過硫酸濃度が50mM as Oになるように、制御部51により濃度測定の結果に基づき投入電流にフィードバック制御をかけて稼働した。
なお、洗浄システムの各部における過硫酸含有硫酸溶液の流量、液温その他の運転条件は以下に示すとおりである。
硫酸濃度:84〜86質量%
電解装置循環流量:10L/分
電解装置入口温度:50〜55℃
過硫酸含有硫酸溶液の流量:1.5L/分
過硫酸含有硫酸溶液の液温度:60〜65℃
洗浄槽循環流量:20L/分
洗浄槽内液温度:140℃
【0093】
図11のグラフは、実施例1の過硫酸濃度と電解装置26における電気分解への投入電流の経時変化を示している。洗浄槽10では、電解装置26の立ち上げ1時間後から、6インチサイズのレジスト塗布ウエハを100枚/時間の速度で洗浄処理を行い、8000枚のウエハを問題なく処理することができた。
このように、過硫酸濃度測定装置1を設置することにより安定したウエハの洗浄処理を実現するとともに、電解装置26における過剰な電流投入を抑えることができ、洗浄システムの稼働に要する電気エネルギーを削減することができた。
【0094】
(比較例1)
過硫酸濃度測定装置1及び制御部51が設けられていない点を除き、実施例1と同様の洗浄システムを用い、貯留槽21内の過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度をヨウ素滴定法と過マンガン酸カリウム滴定法とを利用した濃度測定法により、溶液をサンプリングして自動測定した。なお、この測定方法では、ヨウ素滴定法により求められた全酸化剤濃度と過マンガン酸カリウム滴定法により求められた過酸化水素濃度の差を過硫酸濃度として算出した。また、この測定方法では、サンプリングラインの洗浄、滴定試薬の添加、滴定終点の検出、及び濃度測定後の溶液の排出等に時間を要するため、2時間毎に濃度測定を行った。
また、電解装置26における電気分解への投入電流は次のように設定した。まず、実施例1と同様に、電解装置26の連続運転時間のうち、0〜10時間までは投入電流は50A一定とした。その後の10〜20時間は過硫酸濃度が50mM as Oになるように、上記滴定法による濃度測定の結果に基づき投入電流にフィードバック制御をかけて稼働した。
なお、洗浄システムの各部における過硫酸含有硫酸溶液の流量、液温その他の運転条件は実施例1と同様である。
【0095】
図12のグラフは、比較例1の過硫酸濃度と電解装置26における電気分解への投入電流の経時変化を示している。洗浄槽10では、電解装置26の立ち上げ1時間後から、6インチサイズのレジスト塗布ウエハを100枚/時間の速度で洗浄処理を行い、8000枚のウエハは本方法でも問題なく処理することができた。
しかしながら、実施例1と比較して、比較例1では、電解装置26における投入電流がばらついて十分に低減されず、洗浄システムの稼働に要する電気エネルギーの削減効果は小さかった。また、ヨウ化カリウムやチオ硫酸ナトリウムを含有する濃度測定後の廃液が10L程度、過マンガン酸カリウムを含有する濃度測定後の廃液が8L程度それぞれ発生した。
【符号の説明】
【0096】
1 過硫酸濃度測定装置
2 測定セル
2a 供給管
2b 返送管
3a 作用極
3b 参照極
4 ポテンショスタット
5 酸化剤濃度判定部
5a 記憶部
6 過硫酸濃度判定部
13b 濃度測定用分岐路
22a 濃度測定用分岐路
26 電解装置
40a 濃度測定用分岐路
50 警告信号出力部
51 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過硫酸含有硫酸溶液に参照極及び作用極を接液して前記参照極に対する前記作用極の電位を掃引して応答電流を測定するボルタンメトリにより前記過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する方法であって、
前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第1の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる全酸化剤の濃度を求め、
前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第2の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求め、
前記全酸化剤濃度と前記過酸化水素濃度との差を前記過硫酸濃度とすることを特徴とする過硫酸濃度の測定方法。
【請求項2】
前記ボルタンメトリに用いる電極のうち、少なくとも前記作用極が導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする請求項1記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項3】
前記過硫酸含有硫酸溶液が、硫酸濃度60〜97質量%の硫酸溶液を電気分解したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項4】
前記設定した負の電位が、標準水素電極の電位を基準として−0.5〜−2.0Vであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項5】
前記設定した正の電位が、標準水素電極の電位を基準として+1.5〜+2.5Vであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項6】
前記作用極の電位の掃引速度が50〜1000mV/秒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項7】
前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記全酸化剤濃度との相関関係を予め求めておき、全酸化剤濃度に関する前記相関関係に基づいて前記第1の電流値から前記全酸化剤濃度を求め、
前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記過酸化水素濃度との相関関係を予め求めておき、過酸化水素濃度に関する前記相関関係に基づいて前記第2の電流値から前記過酸化水素濃度を求めることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項8】
過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する過硫酸濃度測定装置であって、
前記過硫酸含有硫酸溶液に接液される作用極及び参照極と、
前記参照極に対する前記作用極の電位を掃引する電位掃引部と、
前記電位掃引部により前記作用極の電位を掃引した際の応答電流を測定する電流測定部と、
前記作用極の電位情報と前記電流測定部による応答電流の測定結果とを受け、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときに前記電流測定部により測定された第1の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる全酸化剤の濃度を求めるとともに、前記作用極の電位が予め設定した正の電位であるときに前記電流測定部により測定された第2の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求める酸化剤濃度判定部と、
前記酸化剤濃度判定部で求められた前記全酸化剤濃度と前記過酸化水素濃度とに基づいて前記過硫酸濃度を判定する過硫酸濃度判定部と、を有することを特徴とする過硫酸濃度測定装置。
【請求項9】
前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記全酸化剤濃度との相関関係と、前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記過酸化水素濃度との相関関係とを記憶する記憶部を有し、
前記酸化剤濃度判定部は、前記第1の電流値および前記第2の電流値に応じて前記記憶部に記憶されている各相関関係を参照して、前記全酸化剤の濃度と前記過酸化水素の濃度とを求めることを特徴とする請求項8記載の過硫酸濃度測定装置。
【請求項10】
過硫酸含有硫酸溶液を使用先に供給する過硫酸供給装置であって、
前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過硫酸の濃度を測定する請求項8又は9に記載の過硫酸濃度測定装置を備えることを特徴とする過硫酸供給装置。
【請求項11】
前記過硫酸濃度測定装置により測定される前記過硫酸濃度が所定の値に達していないときに警告信号を出力する警告信号出力部を有することを特徴とする請求項10記載の過硫酸供給装置。
【請求項12】
前記過硫酸含有硫酸溶液の一部を分岐して前記過硫酸濃度測定装置に供給するとともに、前記過硫酸濃度測定装置により前記過硫酸濃度が測定された前記過硫酸含有硫酸溶液を前記過硫酸含有硫酸溶液の残部に返送する濃度測定用分岐路を有することを特徴とする請求項10又は11に記載の過硫酸供給装置。
【請求項13】
硫酸溶液を電気分解して前記過硫酸含有硫酸溶液を得る電気分解部と、
前記過硫酸濃度測定装置により測定される前記過硫酸濃度に基づき、前記電気分解部における電気分解への投入電流量を制御する制御部とを有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の過硫酸供給装置。
【請求項1】
過硫酸含有硫酸溶液に参照極及び作用極を接液して前記参照極に対する前記作用極の電位を掃引して応答電流を測定するボルタンメトリにより前記過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する方法であって、
前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第1の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる全酸化剤の濃度を求め、
前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの前記応答電流を測定し、測定された第2の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求め、
前記全酸化剤濃度と前記過酸化水素濃度との差を前記過硫酸濃度とすることを特徴とする過硫酸濃度の測定方法。
【請求項2】
前記ボルタンメトリに用いる電極のうち、少なくとも前記作用極が導電性ダイヤモンド電極であることを特徴とする請求項1記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項3】
前記過硫酸含有硫酸溶液が、硫酸濃度60〜97質量%の硫酸溶液を電気分解したものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項4】
前記設定した負の電位が、標準水素電極の電位を基準として−0.5〜−2.0Vであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項5】
前記設定した正の電位が、標準水素電極の電位を基準として+1.5〜+2.5Vであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項6】
前記作用極の電位の掃引速度が50〜1000mV/秒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項7】
前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記全酸化剤濃度との相関関係を予め求めておき、全酸化剤濃度に関する前記相関関係に基づいて前記第1の電流値から前記全酸化剤濃度を求め、
前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記過酸化水素濃度との相関関係を予め求めておき、過酸化水素濃度に関する前記相関関係に基づいて前記第2の電流値から前記過酸化水素濃度を求めることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の過硫酸濃度の測定方法。
【請求項8】
過硫酸含有硫酸溶液中の過硫酸濃度を測定する過硫酸濃度測定装置であって、
前記過硫酸含有硫酸溶液に接液される作用極及び参照極と、
前記参照極に対する前記作用極の電位を掃引する電位掃引部と、
前記電位掃引部により前記作用極の電位を掃引した際の応答電流を測定する電流測定部と、
前記作用極の電位情報と前記電流測定部による応答電流の測定結果とを受け、前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときに前記電流測定部により測定された第1の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる全酸化剤の濃度を求めるとともに、前記作用極の電位が予め設定した正の電位であるときに前記電流測定部により測定された第2の電流値に基づいて前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過酸化水素の濃度を求める酸化剤濃度判定部と、
前記酸化剤濃度判定部で求められた前記全酸化剤濃度と前記過酸化水素濃度とに基づいて前記過硫酸濃度を判定する過硫酸濃度判定部と、を有することを特徴とする過硫酸濃度測定装置。
【請求項9】
前記作用極の電位が予め設定した負の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記全酸化剤濃度との相関関係と、前記作用極の電位が予め設定した正の電位にあるときの、前記応答電流の電流値と前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれている前記過酸化水素濃度との相関関係とを記憶する記憶部を有し、
前記酸化剤濃度判定部は、前記第1の電流値および前記第2の電流値に応じて前記記憶部に記憶されている各相関関係を参照して、前記全酸化剤の濃度と前記過酸化水素の濃度とを求めることを特徴とする請求項8記載の過硫酸濃度測定装置。
【請求項10】
過硫酸含有硫酸溶液を使用先に供給する過硫酸供給装置であって、
前記過硫酸含有硫酸溶液に含まれる過硫酸の濃度を測定する請求項8又は9に記載の過硫酸濃度測定装置を備えることを特徴とする過硫酸供給装置。
【請求項11】
前記過硫酸濃度測定装置により測定される前記過硫酸濃度が所定の値に達していないときに警告信号を出力する警告信号出力部を有することを特徴とする請求項10記載の過硫酸供給装置。
【請求項12】
前記過硫酸含有硫酸溶液の一部を分岐して前記過硫酸濃度測定装置に供給するとともに、前記過硫酸濃度測定装置により前記過硫酸濃度が測定された前記過硫酸含有硫酸溶液を前記過硫酸含有硫酸溶液の残部に返送する濃度測定用分岐路を有することを特徴とする請求項10又は11に記載の過硫酸供給装置。
【請求項13】
硫酸溶液を電気分解して前記過硫酸含有硫酸溶液を得る電気分解部と、
前記過硫酸濃度測定装置により測定される前記過硫酸濃度に基づき、前記電気分解部における電気分解への投入電流量を制御する制御部とを有することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の過硫酸供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−189320(P2012−189320A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−47397(P2011−47397)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】
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