説明

過酸化ベンゾイル、少なくとも1種のナフトエ酸誘導体および少なくとも1種のポリウレタンポリマー型の化合物またはその誘導体を含む組成物ならびにそれらの使用

本発明は、生理学的に許容される媒体中に、過酸化ベンゾイル、少なくとも1種のナフトエ酸誘導体および少なくとも1種のポリウレタンポリマー型の化合物またはその誘導体を含む、局所施用用の組成物に関する。本発明は、前記過酸化ベンゾイルおよび前記ナフトエ酸誘導体が、前記組成物中に分散された形態であることを特徴とする。本発明は特にヒトの医薬および美容製品に適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局所施用用の組成物、および美容製品または医薬製品としてそれらの使用に関し、前記組成物は特にざ瘡(acne)の治療を意図する。
【背景技術】
【0002】
ざ瘡は、皮脂腺に富む皮膚(顔、頭皮領域、腕および間擦性領域)を侵すよく見られる多因子性病変である。ざ瘡は皮膚疾患の中で最も頻発するものである。以下の5つの病原因子:
1.遺伝性素因、
2.皮脂の過剰生成(脂漏症)、
3.アンドロゲン、
4.毛包性角化障害(コメド形成)、
5.細菌のコロニー形成および炎症性因子
が、ざ瘡の形成に決定的な役割を果たしている。
【0003】
ざ瘡にはいくつかの形態があり、いずれも毛嚢脂腺小胞の障害を共通して有している。特に集簇性ざ瘡、うなじのケロイドざ瘡、薬物性ざ瘡、再発性粟粒状ざ瘡、壊死性ざ瘡、新生児ざ瘡、月経前ざ瘡、職業性ざ瘡、酒さ性ざ瘡、老人性ざ瘡、日光性ざ瘡、尋常性ざ瘡を挙げることができる。
【0004】
多形性思春期ざ瘡とも呼ばれる尋常性ざ瘡が最も一般的である。尋常性ざ瘡は4つの段階を含むが、すべての段階を通ることが必須ではない:
段階1は、多数の開放面皰および/または閉鎖面皰と小嚢胞を特徴とする面皰性ざ瘡に相当する。
段階2、すなわち丘疹膿疱性ざ瘡は、軽度または中等度の重症度のものである。開放面皰および/または閉鎖面皰、小嚢胞、さらに赤色丘疹および膿疱の存在を特徴とする。主として顔面に生じ、瘢痕はほとんど残らない。
段階3、すなわち丘疹面皰性ざ瘡は、より重度であり、腰部、胸部および肩にまで及ぶ。多数の瘢痕を伴う。
段階4、すなわち結節性嚢胞性ざ瘡は、多数の瘢痕を伴う。結節と痛みを伴う紫色の膿疱を有する。
【0005】
上記の様々な形態のざ瘡は、抗脂漏剤および抗感染剤などの有効な薬剤、例えば過酸化ベンゾイル(特に、Pierre Fabre社によって市販されている製品Eclaren(登録商標))、トレチノイン(特に、Galderma社によって市販されている製品Retacnyl(登録商標))およびイソトレチノイン(Laboratoires Rocheによって市販されている製品Roaccutane(登録商標))などのレチノイド、またはナフトエ酸誘導体で治療することができる。特に、一般にアダパレン(Galderma社によって市販されている製品Differine(登録商標))と呼ばれている6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸などのナフトエ酸誘導体は、広く記載されており、ざ瘡の治療においてトレチノインと同等に有効な有効成分として認められている。
【0006】
皮膚科において、いくつかの局所治療剤(抗生物質、レチノイド、過酸化物、亜鉛)の組合せも、有効成分の有効性を高め、毒性を低減するために使用されている〔非特許文献1(Cunliffe W.J.、J. Dermatol. Treat.、2000年、11(補遺12)巻、13〜14頁)を参照〕。
【0007】
異なる皮膚科用製品を複数回施用することは煩わしく、患者に負担となることがある。
【0008】
したがって、良好な美容特性を提供し、単回での施用および患者にとって快適な使用を可能にする安定な組成物によって、皮膚科的病状に対して有効である新規な治療剤を得るべく試みることの重要性を理解することは可能である。
【0009】
当業者らによって提案されたこの範囲の治療薬には、過酸化ベンゾイルとレチノイドを同じ組成物中で組み合わせることを促すものはなかった。
【0010】
しかし、このような組成物の配合はいくつかの問題をもたらす。
【0011】
まず、過酸化ベンゾイルの有効性は、皮膚と接触させたときの分解と関連している。実際、所望の効果に導くのはこの分解の間に生成されるフリーラジカルの酸化特性である。したがって、過酸化ベンゾイルの最適の有効性を維持するためには、使用前、すなわち貯蔵中の過酸化ベンゾイルの分解を防ぐことが重要である。
【0012】
ここで、過酸化ベンゾイルは不安定な化合物であり、そのため、最終製品中への配合が困難となる。
【0013】
エタノール、プロピレングリコール、およびポリエチレングリコール400(PEG 400)と水の様々な混合物中での過酸化ベンゾイルの溶解性および安定性は、Chellquistらによって研究されている〔非特許文献2(Chellquist E.M.およびGorman W.G.、Pharm. Res.、1992年、9巻、1341〜1346頁)を参照〕。
【0014】
次の表が示す通り、過酸化ベンゾイルはPEG 400およびエタノールに対する溶解性が非常に高い。
【0015】
【表1】

【0016】
この文献はさらに、過酸化ベンゾイルの安定性が配合物の化学組成および貯蔵温度により大きく影響されることを明記している。過酸化ベンゾイルは、そのペルオキシド結合が不安定性であるため、低温で反応性が極めて高く、溶液中で分解する。
【0017】
したがって、この文献の著者らは、溶液中の過酸化ベンゾイルは、溶媒の種類およびその濃度に応じて、試験したすべての溶媒中でほぼ急速に分解することを観察した。
【0018】
PEG 400(0.5mg/g)中、エタノール中およびプロピレングリコール中での過酸化ベンゾイルの分解時間は、40℃において、それぞれ1、4、29、および53日である。このような分解により、販売を目的とする製品の調製は可能ではない。
【0019】
したがって、溶液中の過酸化ベンゾイルが急速に不安定になる問題を制限するためには、過酸化ベンゾイルを分散された形態で配合するのが好都合であることが見出された。しかし、それでも最終製品中で過酸化ベンゾイルの分解が観察されることから、この種の配合物は完全に満足なものではない。
【0020】
過酸化ベンゾイルおよびレチノイドの両方を含む組成物を調製するために克服しなければならないもう1つの問題は、大部分のレチノイドが自然酸化、可視光および紫外放射に対して特に敏感であり、過酸化ベンゾイルが強い酸化剤であり、同じ配合物中でのこれらの化合物の化学的相容性が物理的および化学的な観点から多くの安定性の問題をもたらすことである。
【0021】
1つはレチノイド(トレチノインまたはアダパレン)を含有しており、2つ目は過酸化ベンゾイルに基づいている、2つの市販製品を組み合わせることにより、2種のレチノイドの安定性の試験が行われた〔非特許文献3(B. Martinら、Br. J. Dermatol.(1998年)139巻、(補遺52)、8〜11頁)を参照〕。
【0022】
過酸化ベンゾイルに基づく配合物が存在すると、酸化に敏感なレチノイドの非常に急速な分解が引き起こされ、測定は、トレチノインは、50%が2時間以内に分解され、24時間以内に95%が分解されることを示している。レチノイドがアダパレンである組成物では、24時間、アダパレンの分解は測定されなかった。この試験は、過酸化ベンゾイルが分解され、最終製品中に安息香酸を放出することにより、酸化に敏感なレチノイドを時間と共に分解することを裏付けている。
【0023】
ここで、過酸化ベンゾイルおよびレチノイドの分解は、これらを含有する組成物の有効性を損なうので望ましくないことが明らかである。
【0024】
過酸化ベンゾイルの存在がこの種の組成物を化学的および物理的に不安定にすることが広く知られていたので、エマルジョン型の安定な組成物を得るためにこれら2つの有効剤を組み合わせることを助長するものはなかった。
【0025】
さらに、ポリウレタンポリマー型の化合物またはそれらの誘導体(欧州特許第0299758号)を組成物中に含めることによってある種の有効剤の局所浸透の上昇を可能にする組成物を開発することが求められていた。BERTEK Pharmaceuticals Inc.社によって市販されている製品Avita(登録商標)はその1例である。Avitaは特に、皮膚の落屑、刺激および乾燥を制限するためにポリウレタンポリマー(Bertek Pharmaceuticals Inc.社によって市販されている2型ポリオールプレポリマー)を含有しているゲルまたはクリーム型の組成物中に可溶化された、組成物の全重量に対して0.025%のトレチノインを含有する。
【0026】
偶然にも、本出願人は、驚くべきことに、ポリウレタンポリマーが、医薬組成物中に分散または懸濁されている不溶性化合物、特に過酸化ベンゾイルおよびナフトエ酸誘導体などの局所浸透を促進し得ることを実証した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0027】
【特許文献1】欧州特許第0299758号明細書
【非特許文献】
【0028】
【非特許文献1】Cunliffe W.J.、J. Dermatol. Treat.、2000年、11(補遺12)巻、13〜14頁
【非特許文献2】Chellquist E.M.およびGorman W.G.、Pharm. Res.、1992年、9巻、1341〜1346頁
【非特許文献3】B. Martinら、Br. J. Dermatol.(1998年)139巻、(補遺52)、8〜11頁
【非特許文献4】Lucinda Bushe、ACPS、2003年10月22日、Pharmaceutical nomenclature-Issues and challenges
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
上記のことを考慮すると、本発明が解決することを提案する1つの問題は、過酸化ベンゾイルと少なくとも1種のナフトエ酸誘導体との組合せ(これらの有効剤は分散された形態である)および少なくとも1種のポリウレタンポリマー型の化合物またはその誘導体を含む、安定で先行技術のものよりも刺激が少ない組成物を調製することであり、前記組成物は分散された形態の有効成分の局所浸透を促進する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0030】
したがって、本発明の第1の主題は、生理学的に許容される媒体中に少なくとも、
(i)過酸化ベンゾイル、
(ii)ナフトエ酸誘導体、および
(iii)ポリウレタンポリマー型の化合物またはその誘導体
を含み、前記ナフトエ酸誘導体および前記過酸化ベンゾイルは前記組成物中に分散された形態である、特に局所施用用の組成物、好ましくは医薬組成物である。
【0031】
本発明による分散された形態の有効剤という表現は、所与の媒体中に懸濁された固体粒子の形態の有効剤を意味するものと理解される。このような粒子は特に10μmより大きいサイズを有する。
【0032】
レチノイドおよび過酸化ベンゾイルの粒度分布は、数にして粒子の少なくとも80%、好ましくは数にして粒子の少なくとも90%が25μm未満の直径を有し、数にして少なくとも99%の粒子が100μm未満の直径を有するものであると好都合である。
【0033】
生理学的に許容される媒体という表現は、皮膚、粘膜および/または表面体成長体に適合する媒体を意味するものと理解される。
【0034】
本発明の第2の主題は、細胞の分化および増殖に関係する角化障害に関連する皮膚科的病状の治療および/または予防、特に尋常性ざ瘡、面皰性ざ瘡、丘疹膿疱性ざ瘡、丘疹面皰性ざ瘡、結節性嚢胞性ざ瘡、集簇性ざ瘡、うなじのケロイドざ瘡、再発性粟粒状ざ瘡、壊死性ざ瘡、新生児ざ瘡、職業性ざ瘡、多形性ざ瘡、酒さ性ざ瘡、老人性ざ瘡、日光性ざ瘡および薬物性ざ瘡から選択される病状の治療を目的とする医薬組成物の調製のための上記の組成物の使用である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明による組成物は、過酸化ベンゾイル、少なくとも1種のナフトエ酸誘導体、および少なくとも1種のポリウレタンポリマー型の化合物またはその誘導体を含む。
【0036】
ナフトエ酸は式
【0037】
【化1】

【0038】
の化合物である。
【0039】
ナフトエ酸誘導体という表現は、式(I)
【0040】
【化2】

【0041】
の化合物を意味すると理解され、式中、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、1〜4個の炭素原子を有する分枝または非分枝アルキル基、1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基または置換もしくは無置換の脂環式基を表す。
【0042】
1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基という表現は、好ましくはメチル、エチル、プロピルまたはブチル基を意味すると理解される。
【0043】
1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基という表現は、好ましくはメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシまたはデシルオキシ基を意味すると理解される。
【0044】
脂環式基という表現は、好ましくは単環式または多環式の基、例えば1-メチルシクロヘキシル基または1-アダマンチル基などを意味すると理解される。
【0045】
本発明による組成物に含めることができるナフトエ酸誘導体の中では、6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸(アダパレン)、6-[3-(1-アダマンチル)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ナフトエ酸、6-[3-(1-アダマンチル)-4-デシルオキシフェニル]-2-ナフトエ酸および6-[3-(1-アダマンチル)-4-ヘキシルオキシフェニル]-2-ナフトエ酸が好都合に選択されよう。
【0046】
上述のナフトエ酸誘導体は一般に、本発明による組成物中に分散された形態で提供される。したがって、不溶性ナフトエ酸誘導体は本発明による組成物中に均一に分布している。
【0047】
本発明による組成物では、ナフトエ酸誘導体は組成物の全重量に対して10重量%以下、好ましくは組成物の全重量に対して0.001重量%〜10重量%の間、組成物の全重量に対して、好ましくは0.01重量%〜5重量%の間、より好ましくは0.03重量%〜2重量%の間、最も好ましくは0.1重量%〜0.3重量%の濃度で使用される。
【0048】
本明細書全体において、別途に指定のない限り、濃度範囲が与えられている場合、前記範囲の上限および下限を含むものと理解される。
【0049】
好都合には、本発明による組成物に使用されるナフトエ酸誘導体は、6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸(アダパレン)である。その際、本発明による組成物に使用されるアダパレン濃度は、0.01%〜0.5%の間、より好ましくは0.05%〜0.03%の間および0.1%〜0.3%の間、特に0.1%の濃度および0.3%の濃度である。
【0050】
本発明による組成物では、過酸化ベンゾイルは、組成物の全重量に対して1〜10重量%、より特には2〜7重量%、より好ましくはさらに2.5〜5重量%の範囲の濃度で使用される。
【0051】
過酸化ベンゾイルはそのままの形態、あるいは任意の多孔質支持体に吸着されたまたは吸収された形態の封入された形態でも使用することができる。
【0052】
これは例えばCardinal Healthcare社によってMicrosponges P009A Benzoyl peroxideの名称で販売されているマイクロスポンジなどの多孔質マイクロ球からなるポリマー系に封入された過酸化ベンゾイルとすることができる。
【0053】
本発明による組成物はさらに、ポリウレタンポリマー型の化合物またはそれらの誘導体を含む。ポリウレタンポリマーという表現は、特許文献1(欧州特許第0299758号明細書)に記載されておりBertek Pharmaceuticals Inc.社によって市販されているポリアルキレングリコールを意味すると理解される。本発明によるポリウレタンポリマーは、美容製品分野および医薬分野に適用するために好都合な特性を与える独特の特性を有している。実際、これらのポリウレタンポリマーは、分子量が大きいため、ある種の作用剤の皮膚上および皮膚内への沈着に顕著に影響を及ぼす。さらに、これらのポリウレタンポリマーは皮膚の最上層に留まるのが好ましい。
【0054】
本発明による組成物に含めることができるポリウレタンポリマーには、一般式
【0055】
【化3】

【0056】
のポリウレタンポリマーを挙げることができ、
式中、
Rは、CH3またはHであり、
nは、ポリウレタンポリマーが1000以上の分子質量を有するように選択された整数であり、好都合にはnは5〜55の間であり、
mは、1以上6以下の数である。
【0057】
本発明による組成物に、単独でまたは混合物として、含めることができるポリウレタンポリマーの非限定的な例としては、ポリオールプレポリマー-2(PP-2)およびポリオールプレポリマー-14(PP-14)(ポリ[オキシ(メチル-1,2-エタンジイル),α-ヒドロ-ω-ヒドロキシ-,ポリマー+1,1'-メチレン-ビス[4-イソシアネートシクロヘキサン] と呼ばれる)およびポリオールプレポリマー-15(PP-15)(ポリ(オキシ-1,2-エタンジイル),α-ヒドロ-ω-ヒドロキシ-,ポリマー+1,1'-メチレン-ビス[4-イソシアネートシクロヘキサン]と呼ばれる)を挙げることができる。これら3種のポリマーは、Bertek Pharmaceuticals Inc.社によって市販されており、mが1〜4で変化し、それぞれ、PP-2に対してn=12、PP-14に対してn=51、PP-15に対してn=8である上記一般式に相当する。
【0058】
本発明による組成物に含めることができるポリウレタンポリマーの中では、ポリオールプレポリマー-2(PP-2)が好都合に選択されよう。
【0059】
本発明による組成物では、ポリウレタンポリマー型の化合物またはそれらの誘導体は、組成物の全重量に対して20重量%以下、好ましくは0.5重量%〜20重量%の間、より好ましくは1%〜10%の間の濃度、好ましくは7%未満、特に1%、3%、または5%の濃度で使用される。このように低い濃度のポリウレタンポリマーは、好都合にも本発明による組成物の毒性および一般的な刺激の軽減を可能にする。
【0060】
本発明による組成物中のポリウレタンポリマーは、アダパレンおよび過酸化ベンゾイルの配合物の場合に特に好都合であり得る抗刺激性および加湿性を有する。実際、ナフトエ酸誘導体および過酸化ベンゾイルは、刺激性であり得、皮膚に対して乾燥作用を有し得る。したがって、投与量の増加を可能にするためには、誘発される刺激を低減することは好都合である。
【0061】
本発明の組成物は、局所施用のために通常使用されるいずれの剤形(galenic form)で提供されてもよく、特に、水性、水性アルコール性または油性の分散物、ローション型の分散物、水性、無水または親油性のゲル、脂肪相を水相中に(O/W)または反対に(W/O)分散させることによって得られる乳液型の液体または半液体のコンシステンシーを有するエマルジョン、クリーム、ゲルクリームまたは軟膏型の軟らかい、半液体または固体のコンシステンシーを有する懸濁物またはエマルジョン、あるいはイオン型および/または非イオン型のマイクロエマルジョン、マイクロカプセル、マイクロ粒子または気泡分散体の形態で提供され得る。
【0062】
好ましくは、本発明による組成物は、ローション、ゲルクリーム、ゲルまたはクリームの形態で提供される。
【0063】
当業者は、本発明による組成物を構成する媒質を、所望の剤形に従って、本発明による組成物の好都合な性質が保持されるように注意深く選択することになる。
【0064】
本発明による組成物は、以下の成分うちの1種または複数をさらに含むことができる。
a)1種または複数のゲル化剤または懸濁化剤、
b)1種または複数のキレート剤、
c)1種または複数の湿潤剤、
d)1種または複数の保存料、
e)1種または複数の乳化剤、
f)1種または複数の湿潤化界面活性剤、
g)脂肪相を構成する1種または複数の親油性媒質、
h)水相、
i)1種または複数の添加剤。
【0065】
本発明の好ましい態様の1つにおいて、組成物はゲルの形態で提供される。好ましい一実施形態では、本発明を実施するために使用されるゲル化剤はpH非依存性ゲル化剤である。
【0066】
pH非依存性ゲル化剤という表現は、過酸化ベンゾイルによる安息香酸の放出に起因するpH変化の影響下においてさえレチノイドおよび過酸化ベンゾイルを懸濁物に維持するのに十分な粘度を組成物に与えることができるゲル化剤を意味すると理解される。
【0067】
本発明による組成物中に含めることができるゲル化剤または懸濁化剤の非限定的な例としては、Noveon社によってPemulen TR-1またはPemulen TR-2の名称で販売されているアクリレート/ C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、FMC Biopolymer社によって販売されているAvicel CL-611、Noveon社によってUltrez 20(登録商標)、1382またはCarbopol ETD2020NF(登録商標)の名称で販売されているいわゆる電解質無反応性カルボマー、多糖類、非限定的な例として、Kelco社によって販売されているXantura1180(登録商標)などのキサンタンガム、グアーガム、キトサン、セルロースおよびその誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、特にDow Chemical社によってMethocel E4M premiumの名称で販売されている製品、またはヒドロキシエチルセルロース、特にAqualon社によってNatrosol HHX 250(登録商標)の名称で販売されている製品、ケイ酸アルミニウムマグネシウム類、例えばVanderbilt社によって販売されているVeegum Kなど、(プロピレングリコール(39%)と水(26%)との混合物中に、成分として少なくとも150または180モルのエチレンオキシドを含有しているポリエチレングリコール、デシルアルコールおよびメチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)(SMDI)の重縮合物を35重量%含む)Aculyn 44の名称で販売されているPEG-150/デシル/SMDIコポリマーなどの疎水性鎖に連結されたアクリルポリマー類、改質デンプン類、例えばStructure Solanaceの名称で販売されている改質ジャガイモデンプンまたはその混合物、およびポリアクリルアミド類のゲル化剤、例えばSeppic社によってSimugel 600 PHAの名称で販売されているアクリロイルジメチルタウリンナトリウムコポリマー/イソヘキサデカン/ポリソルベート80混合物、例えばSeppic社によってSepigel 305の名称で販売されている混合物などのポリアクリルアミド/イソパラフィンC13〜14/ラウレス7混合物、カラギーナン類、特に4つの広い分類:κ、λ、β、ωに分けられて
いるもの、例えばIMCD社によって市販されているViscarin(登録商標)およびGelcarin(登録商標)などを挙げることができる。
【0068】
上記のゲル化剤は、0.1〜15%の範囲、より好ましくは0.5〜5%の範囲の好ましい濃度で使用することができる。
【0069】
好ましいゲル化剤としては、カルボマー、ポリアクリルアミド、疎水性鎖に連結されたアクリルポリマー、セルロースおよびその誘導体、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはヒドロキシエチルセルロース、多糖類、特にキサンタンガム、特にSimugel 600、PEG-150/デシル/SMDIコポリマー、Methocel E4M premium、Natrosol HHX 250(登録商標)、Xantural 180(登録商標)、Carbopol Ultrez 20の名称で販売されているものを挙げることができる。
【0070】
キレート剤には、非限定的な例として、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミンジ(O-ヒドロキシフェニル酢酸)(EDDHA)、2-ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、エチレンジアミンジ(O-ヒドロキシ-p-メチルフェニル)酢酸(EDDHMA)およびエチレンジアミンジ(5-カルボキシ-2-ヒドロキシフェニル)酢酸(EDDCHA)を挙げることができる。
【0071】
好ましいキレート剤としては、特にTitriplex III(登録商標)の名称で販売されているエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を挙げることができる。
【0072】
表面張力を低減して、液体のより大きい拡がりを可能にする役割を有する湿潤剤の中では、単独でまたは混合物として、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、ラウログリコールおよびエトキシジグリコール、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドブロックコポリマー、例えばSynperonic PE/L44、Synperonic PE/L62の名称で販売されているものなどの化合物が好ましく使用されるが、このリストは限定的ではない。
【0073】
好ましい湿潤剤としては、プロピレングリコールを挙げることができる。
【0074】
保存料には、非限定的な例として、単独でまたは混合物として、安息香酸およびそのベンジルアルコールとの誘導体、塩化ベンザルコニウム、安息香酸ナトリウム、ブロノポール、クロルヘキシジン、クロロクレゾールおよびその誘導体、エチルアルコール、フェネチルアルコール、フェノキシエタノール、ソルビン酸カリウム、ジアゾリジニル尿素、プロピルパラバンまたはメチルパラベンなどのパラベン類を挙げることができる。
【0075】
好ましい保存料としては、単独でまたは混合物として、パラベンおよびフェノキシエタノールまたは塩化ベンザルコニウムを挙げることができる。
【0076】
本発明による組成物は1種または複数の乳化剤を含むことができる。
【0077】
界面活性剤の乳化剤は、油に対して親和性を有する疎水性の部分と水に対して親和性を有する親水性の部分とを有しており、そのため、この2つの相の間の連結を生じさせる両親媒性の化合物である。したがって、イオン性または非イオン性の乳化剤は、界面で吸着されること、液晶の薄い層を形成することによって、油/水エマルジョンを安定化する。
【0078】
非イオン性界面活性剤の乳化力は、分子の極性と密接に関連している。この極性は、HLB(親水性/親油性バランス)によって規定される。
【0079】
高いHLBは、親水性部分が支配的であることを示し、反対に、低いHLBは親油性部分が支配的であることを示す。例えば、約10を超えるHLB値は親水性の界面活性剤に相当する。
【0080】
界面活性剤は、それらの構造によって、「イオン性」(アニオン性、カチオン性、両性)または「非イオン性」の総称の下に分類し得る。非イオン性界面活性剤は、水中でイオンに解離せず、したがってpH変化に対して反応しない界面活性剤である。
【0081】
非イオン性界面活性剤は、本発明の主題である水中油型エマルジョンの調製に特に良く適している。したがって、本発明のエマルジョンを構成する乳化系は、支配的な親水性部分を含む、すなわち約10を超える高いHLBを有する、非イオン性界面活性剤を少なくとも1種含む。
【0082】
高いHLBを有する非イオン性界面活性剤の例としては、「Tween 80」の名称で販売されているPEO(20)モノオレイン酸ソルビタン(HLB=15);「Tween 60」の名称で販売されているPEO(20)モノステアリン酸ソルビタン(HLB=14.9);PEO(21)ステアリルエーテル(HLB=15.5)などの脂肪アルコールエーテル、またはCognisによって「Eumulgin B2」の名称で販売されているセテアレス20(HLB=15.5)を挙げることができる。
【0083】
好ましくは、前記高いHLBを有する非イオン性界面活性剤は、10〜18の間のHLBを有する。
【0084】
低いHLBを有する(親油性である)非イオン性界面活性剤の例としては、ソルビタンエステル、例えばモノステアリン酸ソルビタン(UniqemaによってSpan 60の名称で販売されている)、グリセロールエステル(CognisによってCutina GMSVPHの名称で販売されている)、例えばモノステアリン酸グリセロール(CognisからのCutina GMS)、低いHLBを有するスクロースエステル、例えばジステアリン酸スクロースを挙げることができる。
【0085】
好ましくは、前記低いHLBを有する非イオン性界面活性剤は、10未満のHLBを有する。
【0086】
非イオン性界面活性剤は単独でまたは2種以上の混合物として、本発明のエマルジョンを構成する乳化系を形成するために使用することができる。
【0087】
好ましくは、1種または複数の「高いHLBを有する非イオン性界面活性剤」/「低いHLBを有する非イオン性界面活性剤」の対を乳化系として使用する。これは特に、少なくとも1種の約10を超えるHLBを有する非イオン性界面活性剤と少なくとも1種の約10未満のHLBを有する非イオン性界面活性剤とを含む非イオン性乳化系であってよい。
【0088】
上述の対を形成する2種の界面活性剤のそれぞれの比は、ほとんどの場合、使用される脂肪相のために必要とされるHLBを計算することによって決定される。
【0089】
好ましい乳化剤としては、親水性乳化剤、例えばTween 80、Uniqema社によってArlacel 165FL(登録商標)の名称で販売されているモノステアリン酸グリセリル+POEステアリン酸エステル;GATTEFOSSEによってTEFOSE 1500の名称で販売されているPEG 6ステアリン酸エステル+PEG 32ステアリン酸エステル、親油性乳化剤、例えばGlucate SS(セスキステアリン酸メチルグルコース)およびAmerchol社によって販売されているGlucamate SSE 20(PEG 20セスキステアリン酸メチルグルコース)、Uniqema社によってBrij721(登録商標)の名称で販売されているポリオキシエチレン(21)ステアリルエーテルを挙げることができる。
【0090】
本発明による組成物は脂肪相も含むことができる。この脂肪相は、例えば植物油、鉱油、動物油または合成油、シリコーン油およびこれらの混合物を含むことができる。
【0091】
鉱油の例としては、例えば、様々な粘度のパラフィン油、例えばEsso社によって販売されているPrimol 352(登録商標)、Marcol 82(登録商標)、Marcol 152(登録商標)などを挙げることができる。
【0092】
植物油としては、スイートアーモンド油、パーム油、大豆油、ゴマ油およびヒマワリ油を挙げることができる。
【0093】
動物油としては、ラノリン、スクアレン、魚油、ミンク油、誘導体としてLaserson社によってCosbiol(登録商標)の名称で販売されているスクアランを挙げることができる。
【0094】
合成油としては、エステル、例えばCognis France社によってCetiol SNPH(登録商標)の名称で販売されている製品などのイソノナン酸セテアリル、ISF社によってCeraphyl 230(登録商標)の名称で販売されている製品などのアジピン酸ジイソプロピル、Croda社によってCrodamol IPP(登録商標)の名称で販売されている製品などのパルミチン酸イソプロピル、Huls/Lambert Riviere社によって販売されているMiglyol 812(登録商標)などのカプリル酸カプリン酸トリグリセリドを挙げることができる。
【0095】
揮発性または不揮発性のシリコーン油としては、Q7-9120 Silicone fluidの名称で販売されており、20cst〜12500cstの粘度を有する製品またはDow Corning社によってST-Cyclomethicone 5NP(登録商標)の名称で販売されている製品などのジメチコーンを挙げることができる。
【0096】
天然または合成のワックスなどの固体の脂肪物質を加えることも可能である。この場合、当業者は、これらの固体の存否に応じて調製のための加熱温度を調節することになる。
【0097】
本発明による組成物のためには、鉱油およびシリコーン油、より具体的にはMarcol 152(登録商標)およびST-Cyclomethicone 5 NFが好ましい。
【0098】
本発明による組成物は、エモリエント剤も含むことができる。エモリエント剤の例としては、グリセリン、ソルビトール、糖類(例えば、グルコース、乳糖)、PEG類(例えば、Lutrol E400)、尿素、アミノ酸(例えば、セリン、シトルリン、アラニン)を挙げることができる。
【0099】
本発明の組成物はさらに、美容製品または医薬の分野において慣用の任意の添加剤、例えば界面活性剤、中和剤(例えば、トリエタノールアミン、10%水酸化ナトリウム溶液、クエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝剤、コハク酸/コハク酸ナトリウム緩衝剤)、日焼け止め剤、酸化防止剤、充填剤、電解質、着色料、無機または有機の慣用の塩基または酸、香料、精油、美容有効剤、保湿剤、ビタミン類、必須脂肪酸、スフィンゴ脂質、DHAなどのセルフタンニング化合物、鎮静剤およびアラントインなどの皮膚を保護するための作用剤、浸透促進剤、または任意選択でこれらの混合物、過酸化ベンゾイル安定化剤(例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、C14〜16オレフィンスルホン酸ナトリウム)をさらに含むことができる。もちろん、当業者は、これらの任意選択の追加の化合物、および/またはそれらの量を、本発明による組成物の好都合な性質が損なわれないまたは実質的に損なわれないように注意深く選択するはずである。
【0100】
これらの添加剤は、本組成物中に、組成物の全重量に対して0.001重量%〜20重量%の量で存在することができる。
【0101】
本発明の特定の一実施形態では、組成物はローション、クリーム、またはゲルクリーム型の水中油型(O/W)エマルジョン形態で提供され、以下のものを含む:
ナフトエ酸誘導体0.1%〜0.3%、
過酸化ベンゾイル1%〜10%、
1種または複数のポリウレタンのポリマーまたは誘導体1%〜10%、
1種または複数のゲル化剤または懸濁化剤0.1%〜7%、特定の一実施形態では0.1%〜3%、
1種または複数のキレート剤0%〜1.5%、好ましくは0.01%〜1.5%、
1種または複数の湿潤剤0.1%〜10%、
エモリエント剤0.1%〜20%、
脂肪相0.1%〜30%、
保存料0%〜3%、特定の一実施形態では0.01%〜3%、
乳化剤0%〜10%、
安定化剤0〜2%。
【0102】
本発明のもう1つの特定の実施形態では、組成物はゲル形態で提供され、以下のものを含む:
ナフトエ酸誘導体0.1%〜0.3%、
過酸化ベンゾイル1%〜10%、
1種または複数のポリウレタンのポリマーまたは誘導体1%〜10%、
1種または複数のゲル化剤または懸濁化剤0.1%〜7%、特定の一実施形態では0.1%〜3%、
1種または複数のキレート剤0%〜1.5%、好ましくは0.01%〜1.5%、
1種または複数の湿潤剤1%〜10%、
エモリエント剤1%〜20%、
保存料0%〜3%、特定の一実施形態では0.01%〜3%、
安定化剤0〜2%。
【0103】
本発明のもう1つの特定の実施形態では、組成物はゲルクリーム形態で提供され、以下のものを含む:
ナフトエ酸誘導体0.1%〜0.3%、
過酸化ベンゾイル1%〜10%、
1種または複数のポリウレタンのポリマーまたは誘導体1%〜10%、
1種または複数のゲル化剤または懸濁化剤0.1%〜7%、特定の一実施形態では0.1%〜3%、
1種または複数のキレート剤0%〜1.5%、
1種または複数の湿潤剤1%〜10%、
エモリエント剤0.1%〜20%、
脂肪相0.1%〜30%、
保存料0.01%〜3%、
安定化剤0〜2%。
【0104】
本発明の特定の一実施形態では、組成物はローション形態で提供され、以下のものを含む:
ナフトエ酸誘導体0.1%〜0.3%、
過酸化ベンゾイル1%〜10%、
1種または複数のポリウレタンのポリマーまたは誘導体1%〜10%、
1種または複数のゲル化剤または懸濁化剤0.1%〜7%、特定の一実施形態では0.1%〜3%、
1種または複数のキレート剤0%〜1.5%、
1種または複数の湿潤剤1%〜10%、
エモリエント剤0.1%〜20%、
脂肪相0.1%〜30%、
保存料0.01%〜3%、
乳化剤0%〜10%、
安定化剤0〜2%。
【0105】
本発明の特定の一実施形態では、組成物はクリーム形態で提供され、以下のものを含む:
ナフトエ酸誘導体0.1%〜0.3%、
過酸化ベンゾイル1%〜10%、
1種または複数のポリウレタンのポリマーまたは誘導体1%〜10%、
1種または複数のゲル化剤または懸濁化剤0.1%〜7%、特定の一実施形態では0.1%〜3%、
1種または複数のキレート剤0.01%〜1.5%、
1種または複数の湿潤剤1%〜10%、
エモリエント剤0.1%〜20%、
脂肪相0.1%〜30%、
保存料0.01%〜3%、
乳化剤0%〜10%、
安定化剤0〜2%。
【0106】
本発明の主題は、上記の組成物を調製する方法でもある。このような方法は、少なくとも1種のナフトエ酸誘導体を含む生理学的に許容される媒質を過酸化ベンゾイルおよびポリウレタンポリマー型の少なくとも1種の化合物またはその誘導体と共に混合する段階を含み、前記ナフトエ酸の誘導体および過酸化ベンゾイルは前記組成物中に分散された形態であることを特徴とする。
【0107】
他の任意選択の媒質および添加剤の導入は、化合物および選択された剤形の化学的性質に応じて行われよう。
【0108】
本発明による組成物の調製は、選択された剤形によって3または5段階で行われ、追加の2段階はクリーム、ローション、ゲルクリームなどのエマルジョン型の形態の調製のためだけに行われる。
【0109】
どの段階でポリオールプレポリマーを導入するかは、ポリオールプレポリマーが親油性であるか親水性であるかによって異なる。したがって、親油性の性質であるPP-2型のポリオールプレポリマーは、エマルジョンのためには脂肪相中に導入され、ゲルのためには中和段階の後で導入される。親水性であるPP-15型のポリオールプレポリマーは、活性な水相中に導入される。
【0110】
したがって、本発明による組成物の調製は以下の主要な方法によって行われる。
a)ナフトエ酸誘導体を少なくとも1つの湿潤剤と、水中で、前記ナフトエ酸誘導体が完全に分散されるまで混合して、有効相1を得る。
b)過酸化ベンゾイルを少なくとも1つの湿潤剤と、水中で、前記過酸化ベンゾイルが完全に分散されるまで混合して、有効相2を得る。
c)1種または複数のゲル化剤(ポリアクリルアミドを除く)、任意選択で、キレート剤、1種または複数の保存料、1種または複数のエモリエント剤、1種または複数の乳化剤、懸濁化剤および安定化剤を、水中で、必要であれば熱い状態で、可溶化する。均質性が得られるまで撹拌および任意選択で加熱を維持して、水相を得る。
d)任意選択で、エマルジョンを得るために、少なくとも親油性乳化剤、油および/または固体脂肪物質を保存料と共に混合して、脂肪相を得る。
e)それぞれa)およびb)で得た2つの有効相を混合する。単一の有効相が得られる。
f)任意選択で、d)で得られた前記脂肪相をc)で得られた水相中に導入して、エマルジョンを得る。
g)e)で得られた単一の有効相を、エマルジョンのためにはf)で得られた相に、ゲルおよびゲルクリームのためにはc)で得られた相に加える。
h)任意選択で、ポリアクリルアミドをg)で得られた相中に撹拌しながら導入する。撹拌は、完全な均質性が得られるまで維持する。
i)任意選択で、ゲルクリームのためには、油を段階g)またはh)で得られた混合物中に撹拌しながら導入する。
j)必要であれば、ゲル化剤を中和するための作用剤を導入する。エマルジョンの場合、その作用剤は、段階g)で得られた相中に導入する。ゲルの場合は、段階g)またはh)で得られた相中に導入する。ゲルクリームの場合、その作用剤は、i)で得られた相中に導入する。ポリウレタンポリマー型の化合物またはその誘導体は、その親油性または親水性の性質に応じて、a)もしくはb)で得られた水性有効相中、または段階d)もしくは段階j)の後で得られた脂肪相中に導入する。
【0111】
したがって、本発明による組成物の調製は、以下の代替法によって行われる。
有効成分を、上記の方法の第1段階中で混合する。したがって、段階a)およびb)を段階a')によって置き換える。
a')ナフトエ酸誘導体および過酸化ベンゾイルを少なくとも1種の湿潤剤と、水中で、前記過酸化ベンゾイルおよび前記ナフトエ酸誘導体が完全に分散されて単一の有効相が得られるまで混合する。
【0112】
次いで、この方法を、記載された通り段階c)から続ける。
【0113】
より正確には、本発明による組成物を調製する主要な方法は以下の段階を含む。
【0114】
段階a:有効相1の調製:
精製水、有効成分(アダパレン)および湿潤剤(Synperonic PE/L62、Synperonic PE/L44、プロピレングリコールなど)を撹拌しながらビーカーに導入する。完全な分散が得られるまで、混合物を撹拌し続ける。
【0115】
段階b:有効相2の調製;
精製水、有効成分(過酸化ベンゾイル)および湿潤剤(Synperonic PE/L62、Synperonic PE/L44、プロピレングリコールなど)を撹拌しながらビーカーに導入する。完全な分散が得られるまで、混合物を撹拌し続ける。
【0116】
段階c:水相の調製:
精製水およびゲル化剤(Simugel 600PHAを除く)、任意選択でキレート剤(EDTA型)、エモリエント剤(グリセリン型)、保存料(メチルパラベン型)、乳化剤、懸濁化剤(Avicel型)および安定化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム型)を、撹拌しながら、必要であれば熱い状態で、ビーカー中に導入する。
【0117】
段階d:(任意選択):脂肪相の調製:
乳化剤(Glucate SS、Glucamate SSE 20、Brij 721、Tefose、Arlacel 165FL、Tween 80など)、油性化合物(イソステアリックオレパール(isostearic olepal)、Cetiol SN、Crodamol DA、Speziol C18、Miglyol 812、Cosbiol、Marcol 152、ST-Cyclomethicone 5NFなど)および保存料(フェノキシエタノールおよびプロピルパラベンなど)を撹拌しながら補助ビーカー中に導入する。混合物を均質化が得られるまで加熱し、組成物中に揮発性シリコーンが存在する場合はそれを導入する。
【0118】
段階e:有効相の混合:
40℃未満の温度で、それぞれa)およびb)で得た2つの有効相を混合し、完全な均質化が得られるまで撹拌を維持する。
【0119】
段階f:(任意選択):乳化:
60℃の温度で撹拌しながら、脂肪相を穏やかに水相中に導入して、乳化を行う。5分間加熱を維持し、次いで生成物をゆっくり冷却させる。撹拌は、粘度に応じて調節する。
【0120】
段階d)およびf)は、任意選択であり、クリームおよびローションなどのエマルジョン型の形態の調製のためだけに行う。
【0121】
段階g:e)で得た唯一の有効相の、ゲルおよびゲルクリームのためのc)で得た水相中またはエマルジョンのためのf)で得た相中への導入。
【0122】
段階h (任意選択):Simulgel 600PHAの添加
Simulgel 600PHAを、g)で得た相中に撹拌しながら導入する。完全な均質性が得られるまで、撹拌を維持する。
【0123】
段階i (任意選択):ゲルクリームのための油の添加
油を、段階g)またはh)で得た混合物に撹拌しながら加える。
【0124】
段階j:中和:
40℃未満の温度で、必要であれば、ゲル化剤を中和するための作用剤(トリエタノールアミン、10%水酸化ナトリウム溶液、クエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝剤、コハク酸/コハク酸ナトリウム緩衝剤など)を、5.5±0.5のpHまで導入する。これで製品はより重厚なコンシステンシーを有するようになる。製造の終りに、pHを再度チェックする。必要な場合、水の調節を行う。最後に一度製品をホモジナイズして、有効成分アダパレンの良好な分散を確実にし(顕微鏡観察が凝集物のない均一な分散を示す)、次いで製品を包装する。
【0125】
ポリウレタンポリマー型の化合物は好ましくは、その親油性または親水性の性質に応じて、段階a)もしくはb)の間(親水性ポリマーを含むゲルもしくはゲルクリームもしくはエマルジョン配合物のために)、または段階d)の間(親油性ポリマーを含むエマルジョン配合物のために)、または段階j)の後(親油性ポリマーを含むゲル配合物のために)に導入されるポリオールプレポリマーである。
【0126】
より正確には、本発明による組成物を調製する代替の方法は以下の段階を含む。
【0127】
段階a 単一の有効相の調製:
精製水、有効成分(アダパレンおよび過酸化ベンゾイル)ならびに湿潤剤(Synperonic PE/L62、Synperonic PE/L44、プロピレングリコールなど)を撹拌しながらビーカーに導入する。完全な分散が得られるまで、混合物を撹拌し続ける。
【0128】
段階b 水相の調製:
精製水およびゲル化剤(Simugel 600PHAを除く)、任意選択でキレート剤(EDTA型)、エモリエント剤(グリセリン型)、乳化剤、保存料(メチルパラベン型)、懸濁化剤(Avicel型)および安定化剤(ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム型)を、撹拌しながら、必要であれば熱い状態で、ビーカー中に導入する。
【0129】
段階c (任意選択):脂肪相の調製:
乳化剤(Glucate SS、Glucamate SSE 20、Brij 721、Tefose、Arlacel 165FL、Tween 80など)、油性化合物(イソステアリックオレパール、Cetiol SN、Crodamol DA、Speziol C18、Miglyol 812、Cosbiol、Marcol 152、ST-Cyclomethicone 5NFなど)および保存料(フェノキシエタノールおよびプロピルパラベンなど)を撹拌しながら補助ビーカー中に導入する。均質化が得られるまで混合物を加熱し、組成物中に揮発性シリコーンが存在する場合はそれを導入する。
【0130】
段階d (任意選択):乳化:
60℃の温度で撹拌しながら、脂肪相を穏やかに水相中に導入して、乳化を行う。3〜8分間加熱を維持し、次いで生成物を冷却させる。撹拌は、粘度に応じて調節する。
【0131】
段階c)およびd)は、任意選択であり、クリームおよびローションなどエマルジョン型形態の調製のためだけに行う。
【0132】
段階e:a)で得た唯一の有効相の、(ゲルおよびゲルクリームのための)b)で得た水相中または(エマルジョンのための)d)で得た相中への導入。
【0133】
段階f (任意選択):Simulgel 600PHAの添加
Simulgel 600PHAを、e)で得た相中に撹拌しながら導入する。完全な均質性が得られるまで、撹拌を維持する。
【0134】
段階g (任意選択):ゲルクリームのための油の添加
油を、段階e)またはf)で得た混合物に撹拌しながら加える。
【0135】
段階h:中和:
40℃未満の温度で、必要であれば、ゲル化剤を中和するための作用剤(トリエタノールアミン、10%水酸化ナトリウム溶液、クエン酸/クエン酸ナトリウム緩衝剤、コハク酸/コハク酸ナトリウム緩衝剤など)を、5.5±0.5のpHまで導入する。これで製品はより重厚なコンシステンシーを有するようになる。製造の終りに、pHを再度チェックする。必要な場合、水の調節を行う。最後に一度製品をホモジナイズして有効成分アダパレンの良好な分散を確実にし(顕微鏡観察が凝集物のない均一な分散を示す)、次いで製品を包装する。
【0136】
ポリウレタンポリマー型の化合物は好ましくは、その親油性または親水性の性質に応じて、段階a)の間(親水性ポリマーを含むゲルもしくはクリームもしくはエマルジョン配合物のために)、または段階c)の間(親油性ポリマーを含むエマルジョン配合物のために)、または段階h)の後(親油性ポリマーを含むゲル配合物のために)に導入されるポリオールプレポリマーである。
【0137】
本発明の主題は、医薬としての上記の組成物でもある。
【0138】
本発明は、上記の新規な組成物の美容製品および皮膚科における使用にも関する。
【0139】
特に、本発明は、細胞の分化および増殖に関係する角化障害に関連する皮膚科的病状の治療および/または予防、特に尋常性ざ瘡、面皰性ざ瘡、丘疹膿疱性ざ瘡、丘疹面皰性ざ瘡、結節性嚢胞性ざ瘡、集簇性ざ瘡、うなじのケロイドざ瘡、再発性粟粒状ざ瘡、壊死性ざ瘡、新生児ざ瘡、職業性ざ瘡、酒さ性ざ瘡、老人性ざ瘡、日光性ざ瘡および薬物性ざ瘡の治療を目的とする医薬組成物の調製のための上記の組成物の使用に関する。
【0140】
より詳細には、本発明は、尋常性ざ瘡の予防または治療を目的とする医薬組成物の調製のための上記の組成物の使用に関する。
【0141】
好ましくは、本発明による前記組成物は局所投与される。
【0142】
加えて、本発明は、ざ瘡になりやすい皮膚の治療のための、皮膚もしくは毛髪の脂っぽい外見を解消するための、日光の有害な作用に対する保護における、または生理学的に脂っぽい皮膚の治療における、本発明による組成物の美容上の使用にも関する。
【0143】
ここで、本発明を、以下に提示する実施例ならびに物理的および化学的安定性データによって説明する。
【0144】
配合物の物理的安定性試験という表現は、T1月、T2月および場合によってT+15日で実施する室温、40℃における肉眼および顕微鏡による試験を行うことを意味すると理解される。
【0145】
顕微鏡検査は、2種の有効剤の分散の質の評価を可能にする。アダパレンは蛍光中で試験し、過酸化ベンゾイルは偏光中で試験する。
【0146】
最終製品の特性決定は、降伏点および粘度の測定によって補完される。
【0147】
降伏点の測定には、SVDIN測定ローターを有するHAAKE VT550型レオメーターを使用する。
【0148】
レオグラムは、25℃で、4/s、20/sおよび100/s(γ)のせん断速度で、せん断応力を測定することによって作成する。降伏点(パスカルで表したτ0)という表現は、ファンデルワールス型の凝集力に打ち克って流れを起こすために必要な力(最小せん断応力)を意味すると理解される。降伏点は、4/sのせん断速度で見出される値と同等である。
【0149】
粘度の測定には、Brookfield RVDVII+またはLVDVII+粘度計を使用する。これら2種類のBrookfieldを用いて測定することができる粘度範囲は次の通りである。
RVDVII+:100cP〜40McP
LVDVII+:15cP〜6McP
【0150】
開始時T0において以下のことが存在することを考慮する。
開始時T0において粘度が30000cPを超える場合、クリームまたはゲルクリーム;
開始時T0において粘度が30000cP未満である場合、ローション〔非特許文献4(Lucinda Bushe、ACPS、2003年10月22日、Pharmaceutical nomenclature-Issues and challenges)を参照〕。
【0151】
化学的安定性は、有効剤のHPLC分析によって得る。
【0152】
その結果は、アダパレンおよび過酸化ベンゾイルのmg/gおよび予想される値に対する%で表す。
【実施例1】
【0153】
過酸化ベンゾイル2.5%、アダパレン0.1%およびポリオールプレポリマー-2を含有するゲル型の配合物
この配合を上記の手順に従って調製する。
【0154】
【表2】

【0155】
【表3】

【0156】
【表4】

【実施例2】
【0157】
過酸化ベンゾイル2.5%、アダパレン0.1%およびポリオールプレポリマー-15を含有するゲル型の配合物
この配合を上記の手順に従って調製する。
【0158】
【表5】

【0159】
安定性データ:
【0160】
【表6】

【0161】
【表7】

【実施例3】
【0162】
アダパレン0.1%および過酸化ベンゾイル2.5%およびポリオールプレポリマー-15を含有するゲル型の配合物
【0163】
【表8】

【0164】
安定性データ:
【0165】
【表9】

【0166】
【表10】

【実施例4】
【0167】
アダパレン0.1%および過酸化ベンゾイル2.5%およびポリオールプレポリマー-2を含有するクリーム型の配合物
この配合を上記の手順に従って調製する。
【0168】
【表11】

【0169】
安定性データ:
【0170】
【表12】

【0171】
【表13】

【実施例5】
【0172】
アダパレン0.3%および過酸化ベンゾイル5%およびポリオールプレポリマー-2を含有するクリーム型の配合物
この配合を上記の手順に従って調製する。
【0173】
【表14】

【0174】
安定性データ:
【0175】
【表15】

【0176】
【表16】

【実施例6】
【0177】
アダパレン0.3%および過酸化ベンゾイル1%およびポリオールプレポリマー-2を含有するローション型の配合物
この配合を上記の手順に従って調製する。
【0178】
【表17】

【0179】
安定性データ:
【0180】
【表18】

【0181】
【表19】

【実施例7】
【0182】
アダパレン0.1%および過酸化ベンゾイル2.5%およびポリオールプレポリマー-15を含有するゲルクリーム型の配合物
この配合を上記の手順に従って調製する。
【0183】
【表20】

【0184】
安定性データ:
【0185】
【表21】

【0186】
【表22】

【実施例8】
【0187】
アダパレン0.10%および過酸化ベンゾイル2.5%およびポリオールプレポリマー-2を含有する濃厚ゲルクリーム型の配合物
この配合を上記の手順に従って調製する。
【0188】
【表23】

【0189】
安定性データ:
【0190】
【表24】

【0191】
【表25】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
生理学的に許容される媒体中に、少なくとも
(i)過酸化ベンゾイル、
(ii)ナフトエ酸誘導体、および
(iii)ポリウレタンポリマー型の化合物またはその誘導体
を含む組成物であって、前記ナフトエ酸誘導体および前記過酸化ベンゾイルは前記組成物中に分散された形態である組成物。
【請求項2】
ナフトエ酸誘導体が、式(I)
【化1】

の化合物
(式中、Rは、水素原子、ヒドロキシル基、1〜4個の炭素原子を有する分枝もしくは非分枝アルキル基、1〜10個の炭素原子を有するアルコキシ基または脂環式基を表す)であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ナフトエ酸誘導体の濃度が、組成物の全重量の0.001重量%〜10重量%の間、より好ましくは0.01重量%〜5重量%の間であることを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
ナフトエ酸誘導体が、6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸、6-[3-(1-アダマンチル)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ナフトエ酸、6-[3-(1-アダマンチル)-4-デシルオキシフェニル]-2-ナフトエ酸および6-[3-(1-アダマンチル)-4-ヘキシルオキシフェニル]-2-ナフトエ酸から選択されることを特徴とする、請求項1から3の一項に記載の組成物。
【請求項5】
ナフトエ酸誘導体が、6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸であることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の組成物。
【請求項6】
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸の濃度が、組成物の全重量に対して約0.01重量%〜0.5重量%の間であることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸の濃度が、組成物の全重量に対して約0.1重量%であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
6-[3-(1-アダマンチル)-4-メトキシフェニル]-2-ナフトエ酸の濃度が、組成物の全重量に対して約0.3重量%であることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
過酸化ベンゾイル濃度が、組成物の全重量に対して1〜10重量%の間、好ましくは2〜7%の間であることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
過酸化ベンゾイル濃度が、組成物の全重量に対して2.5重量%〜5重量%の間であることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ポリウレタンポリマー型の化合物が、単独でまたは混合物として、2型ポリオールプレポリマー、14型ポリオールプレポリマーおよび15型ポリオールプレポリマーから選択されることを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
ポリウレタンポリマー型の化合物が、2型ポリオールプレポリマーであることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
ポリウレタンポリマー型の化合物の濃度が、組成物の全重量に対して0.5重量%〜20重量%の間、好ましくは1%〜10%の間であることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
ポリウレタンポリマー型の化合物の濃度が、組成物の全重量の1重量%、3重量%または5重量%であることを特徴とする、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
水性、水性アルコール性または油性分散液、ローション型の分散液、水性、非水性または親油性のゲル、脂肪相を水相中に(O/W)または反対に(W/O)分散させることによって得られる乳液型の液体または半液体のコンシステンシーを有するエマルジョン、クリーム、ゲルクリームまたは軟膏型の軟らかい、半液体または固体のコンシステンシーを有する懸濁物またはエマルジョン、あるいはイオン型および/または非イオン型のマイクロエマルジョン、マイクロカプセル、マイクロ粒子または気泡分散体の形態で提供されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
ゲルの形態で提供されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
クリームの形態で提供されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項18】
ローションの形態で提供されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項19】
ゲルクリームの形態で提供されることを特徴とする、請求項15に記載の組成物。
【請求項20】
以下の成分
a)1種または複数のゲル化剤または懸濁化剤、
b)1種または複数のキレート剤、
c)1種または複数の湿潤剤、
d)1種または複数の保存料、
e)1種または複数の乳化剤、
f)1種または複数の湿潤性界面活性剤、
g)脂肪相を構成する1種または複数の親油性媒質、
h)水相、
i)1種または複数の添加剤
のうちの1種または複数をさらに含み得ることを特徴とする、請求項1から19の一項に記載の組成物。
【請求項21】
水中に
ナフトエ酸誘導体0.1%〜0.3%、
過酸化ベンゾイル1%〜10%、
1種または複数のポリウレタンのポリマーまたは誘導体1%〜10%、
1種または複数のゲル化剤または懸濁化剤0.1%〜7%、
1種または複数のキレート剤0%〜1.5%、
1種または複数の湿潤剤1%〜10%、
エモリエント剤0.1%〜20%、
保存料0.01%〜3%、
安定化剤0〜2%
を含むことを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
水中に
ナフトエ酸誘導体0.1%〜0.3%、
過酸化ベンゾイル1%〜10%、
1種または複数のポリウレタンのポリマーまたは誘導体1%〜10%、
1種または複数のゲル化剤または懸濁化剤0.1%〜7%、
1種または複数のキレート剤0%〜1.5%、
1種または複数の湿潤剤1%〜10%、
エモリエント剤0.1%〜20%、
脂肪相0.1%〜30%、
保存料0%〜3%、
乳化剤0〜10%、
安定化剤0〜2%
を含むことを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項23】
医薬としての、請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
細胞の分化および増殖に関係する角化障害に関連する皮膚科的病状の治療および/または予防を目的とする医薬組成物の調製のための、請求項1から23の一項に記載の組成物の使用。
【請求項25】
細胞の分化および増殖に関係する角化障害に関連する皮膚科的病状が、尋常性ざ瘡、面皰性ざ瘡、丘疹膿疱性ざ瘡、丘疹面皰性ざ瘡、結節性嚢胞性ざ瘡、集簇性ざ瘡、うなじのケロイドざ瘡、再発性粟粒状ざ瘡、壊死性ざ瘡、新生児ざ瘡、職業性ざ瘡、多形性ざ瘡、酒さ性ざ瘡、老人性ざ瘡、日光性ざ瘡および薬物性ざ瘡から選択されることを特徴とする、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
細胞の分化および増殖に関係する角化障害に関連する皮膚科的病状が、尋常性ざ瘡であることを特徴とする、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
ざ瘡になりやすい皮膚の治療のための、皮膚もしくは毛髪の脂っぽい外見を解消するための、日光の有害な作用に対する保護における、または生理学的に脂っぽい皮膚の治療における、請求項1から23のいずれか一項に記載の組成物の美容上の使用。
【請求項28】
a)ナフトエ酸誘導体を、少なくとも1種の湿潤剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも1種のゲル化剤、任意選択で親水性乳化剤、およびエモリエント剤と、水中で、前記ナフトエ酸誘導体が完全に分散されるまで混合して、有効相1を得る段階と、
b)過酸化ベンゾイルを、少なくとも1種の湿潤剤、少なくとも1種のキレート剤、少なくとも1種のゲル化剤、任意選択で親水性乳化剤、およびエモリエント剤と、水中で、前記過酸化ベンゾイルが完全に分散されるまで混合して、有効相2を得る段階と、
c)1種または複数のゲル化剤(ポリアクリルアミドを除く)、任意選択で、キレート剤、1種または複数の保存料、1種または複数のゲル化剤(ポリアクリルアミドを除く)、1種または複数のエモリエント剤、1種または複数の乳化剤、懸濁化剤および安定化剤を、水中で、必要であれば熱い状態で、可溶化させ、均一性が得られるまで、撹拌および任意選択の加熱を維持して、水性相を得る段階と、
d)任意選択で、エマルジョンを得るために、少なくとも親油性乳化剤、油および/または固体脂肪物質を保存料と混合して、脂肪相を得る段階と、
e)それぞれa)およびb)で得た2つの有効相を混合して、単一の有効相を得る段階と、
f)任意選択で、d)で得た前記脂肪相を、c)で得た水性有効相中に導入して、エマルジョンを得る段階と、
g)e)で得た単一の有効相を、エマルジョンのためにはf)で得た相に、ゲルおよびゲルクリームのためにはc)で得た相に加える段階と、
h)任意選択で、ポリアクリルアミドをg)で得た相中に撹拌しながら導入し、完全な均質性が得られるまで、撹拌を維持する段階と、
i)任意選択で、ゲルクリームのためには、油を段階g)またはh)で得た混合物中に撹拌しながら導入する段階と、
j)必要であれば、ゲル化剤を中和するための作用剤を導入する段階と
を含む、請求項1から23に記載の組成物を調製する方法。
【請求項29】
以下の段階:
有効成分を請求項28による方法の第1段階において混合する、すなわち、段階a)およびb)を下記の段階a')によって置き換えて、
a')ナフトエ酸誘導体および過酸化ベンゾイルを少なくとも1種の湿潤剤と、水中で、前記過酸化ベンゾイルおよび前記ナフトエ酸誘導体が完全に分散されるまで混合して、単一の有効相を得る段階と
次いで、この方法を請求項28による段階c)からの記載の通り続ける段階と
を含む、請求項1から23に記載の組成物を調製する方法。

【公表番号】特表2010−520853(P2010−520853A)
【公表日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−538755(P2009−538755)
【出願日】平成19年11月28日(2007.11.28)
【国際出願番号】PCT/FR2007/052412
【国際公開番号】WO2008/065306
【国際公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願人】(599045604)ガルデルマ・リサーチ・アンド・デヴェロップメント (117)
【Fターム(参考)】