説明

遠心成形機、遠心成形方法、及び成形システム

【課題】 乾燥効率の向上や乾燥時間の短縮等を図ることのできる遠心成形機、遠心成形方法、及び成形システムを提供する。
【解決手段】 回転する円筒形の金型1に成形材料である定量の樹脂溶液22を均一に注入し、金型1の内周面に樹脂溶液22を遠心力により押し付けてエンドレスベルトを成形する成形機であって、金型1をその外部から加熱する外部加熱装置30と、回転する金型1の内周面の樹脂溶液22に熱風を吹き付けて加熱する内部加熱装置40と、樹脂溶液22に吹き付けられた熱風を整流する整流板50とを備える。金型1の内周面の樹脂溶液22を外側から加熱する他、金型1の内部から直接的に加熱するので、乾燥効率が向上し、乾燥の迅速化を図ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写機やレーザプリンタに使用されるエンドレスベルト等の成形品を成形する遠心成形機、遠心成形方法、及び成形システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真複写機やレーザプリンタには、シームレスのエンドレスベルトが使用されているが、このエンドレスベルトは、図3に示すような遠心成形機により成形される。この種の遠心成形機は、同図に示すように、駆動装置10の駆動により回転する金型1と、この回転する金型1内に成形材料である樹脂溶液22を流す成形材料投入装置20と、回転する金型1を外部から加熱する外部加熱装置30とから構成されている(特許文献1、2、3、4参照)。
【0003】
金型1は、円筒形に形成され、開口した両端部の内周面に、樹脂溶液22を堰き止めるリング形の堰がそれぞれ着脱自在に嵌合されており、開口した両端部に、成形材料投入装置20に貫通される蓋がそれぞれ着脱自在に嵌合されている。外部加熱装置30は、金型1の側方に配置され、金型1の内周面にレベリングされた樹脂溶液22を金型1の周壁を介して間接的に加熱し、樹脂溶液22の溶剤を蒸発させて樹脂を乾燥させるよう機能する。
【0004】
このような遠心成形機によりエンドレスベルトを遠心成形する場合には、先ず、金型1を駆動装置10により回転させながら外部加熱装置30により加熱し、回転する金型1に樹脂溶液22を成形材料投入装置20によりラフに垂らして金型1の内周面に樹脂溶液22をレベリングし、この樹脂溶液22を乾燥させて中間体を形成する。こうして中間体を形成したら、金型1を所定の時間放置して中間体を乾燥硬化させ、その後、金型1から脱型してその両端部を整えれば、エンドレスベルトを得ることができる。
【特許文献1】特開2003‐334829号公報
【特許文献2】特開2001‐293735号公報
【特許文献3】特開2001‐38749号公報
【特許文献4】特開2001‐38750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の遠心成形機は、以上のように構成され、金型1の内周面にレベリングされた樹脂溶液22が外側から間接的に単に加熱されるだけなので、乾燥効率が実に悪く、乾燥の遅延を招くという大きな問題がある。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたもので、乾燥効率の向上や乾燥時間の短縮等を図ることのできる遠心成形機、遠心成形方法、及び成形システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては上記課題を解決するため、回転する金型に成形材料を投入し、金型の内周面に成形材料を遠心力により押し付けて中空の成形品を得るものであって、
金型をその外部から加熱する外部加熱装置と、回転する金型の内部を流れる気体を金型の内周面の成形材料方向に向けて(押し付けて)整流する整流板とを含んでなることを特徴としている。
なお、成形材料を樹脂溶液とし、成形品をエンドレスベルトとすることができる。
【0008】
また、金型の軸方向に進退動可能に設けられ、回転する金型の内周面に液状の成形材料を投入する成形材料投入装置を備え、この成形材料投入装置から略定量の成形材料を略均一に投入することができる。
さらに、金型の軸方向に進退動可能に設けられ、回転する金型の内周面に押し付けられた成形材料に熱風を吹き付ける内部加熱装置を備えることができる。
【0009】
また、本発明においては上記課題を解決するため、請求項1ないし4いずれかに記載の遠心成形機により中空の成形品を成形する方法であって、
金型を回転させながらその外部から加熱し、この回転する金型に成形材料を投入して金型の内周面に成形材料を押し付ける工程と、回転する金型の内周面に押し付けられた成形材料に熱風を整流しながら吹き付ける工程とを含んでなることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明においては上記課題を解決するため、中空の成形品を多層構造に成形するシステムであって、
略一列に並べて配置される請求項1ないし4いずれかに記載の遠心成形機と、この複数の遠心成形機の間で金型を搬送する金型移載装置とを含んでなることを特徴としている。
【0011】
ここで、特許請求の範囲における成形材料は、液状でも良いし、粉状でも良い。成形品は、導電性のエンドレスベルト(シームレスベルト)や非導電性のエンドレスベルト(シームレスベルト)が主ではあるが、何らこれに限定されるものではない。例えば、パイプ、容器、プーリ、ロータ、タンク等でも良い。さらに、外部加熱装置、内部加熱装置、整流板は、単数複数いずれでも良い。
【0012】
本発明によれば、回転する金型の内周面に成形材料が遠心力により押し付けられると、整流板が成形材料を乾燥させる気体を成形材料に流し、気体の流れを略一様化して成形材料の乾燥効率を高めたり、乾燥を速める。
【0013】
また、本発明において、中空の成形品を遠心成形する場合には、先ず、金型を回転させながら外側から加熱し、金型内に成形材料を投入して金型の内周面に成形材料を製膜する。この際、成形材料を単に投入するのではなく、略定量化した成形材料を略均一に投入すると良い。
次いで、製膜化された成形材料に熱風を吹き付けるとともに、金型内を流れる熱風を略一様に整流して成形材料に吹き付け、その後、成形材料を冷却して硬化させれば、中空の成形品を得ることができる。
【0014】
なお、二層、三層、四層、五層等の多層構造を有する中空の成形品を遠心成形する場合には、成形品の層数に応じて上記作業を繰り返し、成形材料を積層して多層の中間体を形成し、その後、冷却して硬化させれば良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、成形材料の乾燥効率を向上させたり、乾燥時間を短縮することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明の第一の発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における遠心成形機は、図1に示すように、図の奥方向に伸びる金型1と、この金型1を回転させる駆動装置10と、金型1に樹脂溶液22を注入する成形材料投入装置20と、金型1を外部から加熱する外部加熱装置30と、金型1を内部から加熱する内部加熱装置40と、金型内部の空気抵抗を減少させる整流板50とを備え、金型1、駆動装置10、及び外部加熱装置30が図示しないカマ室内に設置されており、樹脂溶液22により可撓性を有するエンドレスベルトを多層構造に遠心成形(遠心注型ともいう)するようにしている。
【0017】
金型1は、図1に示すように、鉄鋼やステンレス等を使用して円筒形のパイプに形成され、開口した両端部に、略リング形の蓋がそれぞれ着脱自在に嵌合されており、各蓋の中心部に穿孔された円形の貫通口が成形材料投入装置20に貫通される。この金型1は、その内周面に、脱型を容易にする鏡面加工、フッ素加工、シリコーン樹脂加工等が施され、外周面には図示しないつや消しの黒色塗料が塗布されており、この黒色塗料が外部加熱装置30からの熱を効率的に吸収する。
【0018】
駆動装置10は、図1に示すように、ステッピングモータやサーボモータ等からなるモータと、このモータの駆動に基づいて回転する前後一対の駆動ローラ11と、各駆動ローラ11に隣接する前後一対の従動ローラ12とから構成され、これら複数の駆動ローラ11と従動ローラ12が金型1を水平に搭載支持する。
【0019】
駆動ローラ11と従動ローラ12の周面には、シリコーンゴムやフッ素ゴム等からなる弾性エラストマーが選択的に覆着され、この弾性エラストマーが摺接する金型1の制振機能を発揮する。従動ローラ12は、図の左右水平方向にスライド可能に支持され、金型1の大きさに応じて側方の駆動ローラ11に接近したり、離隔する。
【0020】
成形材料投入装置20は、カマ室とは別の支持台(図示せず)上に搭載されて内部加熱装置40や整流板50と共に一体化され、金型1の軸方向(図の奥方向)に進退動して回転する金型1の内周面に成形材料である樹脂溶液22を注入する。支持台は、例えば横長に形成され、その底面四隅部に移動用の車輪や脚が配設されており、遠心成形時にカマ室に隣接配置される。
【0021】
支持台の上面には、サーボモータ等のモータが設置されるとともに、このモータの駆動に伴い回転するボール螺子がベアリングを介して水平に軸支され、ボール螺子には、ボール螺子の回転に伴いガイドレールに案内されつつ長手方向に水平に走行するステージが螺嵌されており、このステージ上に成形材料投入装置20が搭載される。
【0022】
成形材料投入装置20には図1に示すように、精密に定量化された樹脂溶液22を均一に吐き出し可能な溶液ノズル21が水平に設けられ、この細長い溶液ノズル21が蓋の貫通口中心部付近を貫通する。樹脂溶液22は、溶剤に所定の高分子材料(例えばPET、PVDS、PBT、PEN、PES、PAI等)が溶解することにより調製される。この樹脂溶液22には、可塑剤、着色剤、帯電防止剤、老化防止剤、酸化防止剤、補強性フィラー、導電剤、反応助剤、反応抑制剤等の各種添加剤が適宜添加される。
【0023】
このような構成の成形材料投入装置20は、モータの駆動に基づき、ボール螺子が回転してステージを精密にスライドさせることにより、駆動装置10に着脱自在に搭載された金型1の軸方向に進退動し、金型1に接近したり、離隔する。
【0024】
外部加熱装置30は、対向する金型1の外周面を加熱するランプヒータ等のヒータ31と、このヒータ31の後方に配置され、ヒータ31からの熱を金型1に反射する湾曲した反射板32とを備え、カマ室の内部に設置されて少なくとも金型1の一側部に隙間をおいて位置する。
【0025】
内部加熱装置40は、図1に示すように、成形材料投入装置20に設置された熱風源と、成形材料投入装置20の溶液ノズル21に支持具を介し水平に支持され、熱風源からの熱風を樹脂溶液22に噴射する熱風ノズル41とから構成される。熱風ノズル41は、例えば同図の奥方向に伸びる中空の棒に形成されて溶液ノズル21の斜め上方に位置し、周壁に複数の噴射孔が所定のピッチで並べて穿孔されており、この複数の噴射孔から気体である熱風(図1の矢印参照)が金型1の内部や樹脂溶液22に噴射される。
【0026】
整流板50は、同図に示すように、例えばステンレス等を使用して図の奥方向に伸びる断面略円弧形に湾曲形成され、成形材料投入装置20の溶液ノズル21に支持具を介し水平に支持されて溶液ノズル21の斜め上方に位置する。この整流板50は、金型1の内周面に間隔をおいて対向し、熱風ノズル41から噴射されて金型1の周方向に流れる熱風流を一様化し、空気抵抗を高める渦流や乱流の発生を抑制するよう機能する。
【0027】
また、整流板50は、整流した熱風と遠心力とにより、成形品であるエンドレスベルトの表面に滞留する樹脂溶液22の揮発溶剤をかき取るよう機能する。この揮発溶剤の揮発は、化学平衡により促進され、乾燥効率が向上する。
【0028】
上記において、多層構造(本実施形態では三層構造)のエンドレスベルトを遠心成形する場合には、先ず、セットした金型1を駆動装置10により矢印で示す時計方向に高速で回転させながら外部加熱装置30の輻射熱により外側から加熱し、回転する金型1の蓋に成形材料投入装置20を進出させて溶液ノズル21、内部加熱装置40、及び整流板50を挿入する。
【0029】
このようにして回転する金型1に溶液ノズル21、内部加熱装置40、及び整流板50を挿入したら、金型1に樹脂溶液22を成形材料投入装置20により注入するとともに、金型1の内周面に樹脂溶液22を螺旋状に供給して金型1の内周面に樹脂溶液22を薄く製膜する。この際、樹脂溶液22をラフに垂れ流すのではなく、精密に定量化された樹脂溶液22を線条かつ均一に供給するようにする。
【0030】
次いで、内部加熱装置40を動作させて熱風を薄膜化された樹脂溶液22に吹き付けるとともに、周方向に流れる熱風を整流板50により一様に整流して吹き付け、樹脂溶液22の溶剤を蒸発させて円筒形の中間体を乾燥形成する。こうして一層構造の薄い中間体を乾燥形成したら、上記作業を繰り返して中間体の内周面に樹脂溶液22を順次製膜し、多層構造(本実施形態では三層構造)の厚い中間体を積層形成する。この際の中間体の層の厚さは、同じでも良いし、相違しても良い。
【0031】
そして、金型1から溶液ノズル21、内部加熱装置40、及び整流板50を後退させ、金型1を所定の時間放置して多層構造の中間体を乾燥硬化させ、この硬化した中間体をエンドレスベルトとして金型1から脱型すれば、多層構造の完全なエンドレスベルトを得ることができる。
【0032】
上記構成によれば、金型1の内周面の樹脂溶液22を外側から加熱する他、金型1の内部から直接的に加熱し、金型1の温度ムラを防いだり、乾燥の高速化や乾燥速度の均一化を図るので、樹脂溶液22の乾燥効率が著しく向上し、樹脂溶液22を迅速に乾燥させることができる。
【0033】
また、整流板50が金型内部の空気を樹脂溶液22に円滑に沿わせ、効率良く整流したり、オリフィス作用により流速を速めるので、金型内部の空気の乱れを防いで空力効果を向上させることができる。したがって、例え内部加熱装置40を省略した場合でも、乾燥効率が向上し、迅速な乾燥を期待することができる。また、上記効果により、成形サイクルの短縮化、エンドレスベルトの抵抗値の選別レス化や厚みの選別レス化を図ることができ、これらを通じて低コストのエンドレスベルトを提供することが可能になる。
【0034】
また、樹脂溶液22をラフに流し、遠心力に依存して樹脂溶液22をレベリングするのではなく、精密に定量化された細い糸状の樹脂溶液22を均一に供給し、樹脂溶液22の金型軸方向に流れる範囲を大幅に狭めるので、金型1に樹脂溶液用の重い堰を嵌合する必要が全くない。したがって、堰を省略して部品点数の削減と堰の脱着作業時間の短縮を図ることが可能になる。
【0035】
さらに、エンドレスベルトを一度に厚く一層に成形するのではなく、一層当たりの厚さを薄くして多層構造に徐々に成形するので、一層当たりに必要な樹脂溶液22の量を減少させて流れる範囲を縮小し、結果として乾燥時間や成形時間の短縮を図ることができる。
【0036】
次に、図2は本発明の第二の発明の好ましい実施形態を示すもので、本実施形態における成形システムは、生産ライン60に沿って横一列に並べて配置された複数の上記遠心成形機と、この横一列に並べて配置された複数の遠心成形機の間で金型1を搬送する金型移載装置70とを備え、生産ライン上流の遠心成形機から生産ライン下流の遠心成形機に金型1を金型移載装置70により順次搬送し、三層構造のエンドレスベルトを大量に製造するようにしている。
【0037】
生産ライン60は、最上流部61、上流部62、中流部63、下流部64、及び最下流部65に区画され、少なくとも最上流部61、上流部62、中流部63、及び下流部64にはそれぞれカマ室が設置される。複数の遠心成形機は、最上流部61のカマ室に一機、上流部62、中流部63、及び下流部64のカマ室にそれぞれ並べて二機、そして最下流部65には一機設置される。
【0038】
最上流部61のカマ室は、遠心成形前の金型1を予熱し、遠心成形の迅速化に資するよう機能する。上流部62のカマ室は、最上流部61のカマ室から搬送されてきた金型1を使用して一層目の中間体を遠心成形し、この遠心成形した金型1を予備乾燥するよう機能する。また、中流部63のカマ室は、上流部62のカマ室から予備乾燥して搬送されてきた金型1を使用して二層目の中間体を遠心成形し、この遠心成形した金型1を予備乾燥するよう機能する。
【0039】
下流部64のカマ室は、中流部63のカマ室から予備乾燥して搬送されてきた金型1を使用して三層目の中間体を遠心成形し、この遠心成形した金型1を予備乾燥する。最下流部65は、下流部64のカマ室から予備乾燥して搬送されてきた金型1を放置して中間体を乾燥硬化させ、金型1からエンドレスベルトを脱型する。
【0040】
金型移載装置70は、サーボモータ等からなるモータと、このモータの駆動に伴い回転するボール螺子と、このボール螺子の回転に伴いガイドレールに案内されつつ生産ライン60の最上流部61から最下流部65にかけて水平に走行(図の矢印参照)する走行台と、この走行台上に並べて搭載される一対のシリンダ71とから構成される。
【0041】
各シリンダ71は、例えばエアシリンダや油圧シリンダからなり、その上下動可能なピストンロッド72の上端部には、金型1の下部をローラを介して下方から保持する保持爪73が設けられている。
このような構成の金型移載装置70は、二個の金型1を上流の遠心成形機から下流の遠心成形機に搬送する。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0042】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、一機の遠心成形機により多層構造のエンドレスベルトを成形するのではなく、エンドレスベルトの層数に応じて複数の遠心成形機を配置し、この複数の遠心成形機により多層構造のエンドレスベルトを層毎に徐々に成形するので、成形時間を大幅に短縮することができるのは明らかである。
【0043】
具体的には、図3の遠心成形機一機により二層構造のエンドレスベルトを成形する場合には37分もの時間を必要としたが、図2のシステムにより三層構造のエンドレスベルトを成形する場合には、12分程度の短時間で成形することができる。
【0044】
なお、上記実施形態の金型1、駆動装置10、成形材料投入装置20、外部加熱装置30、内部加熱装置40、及び整流板50については、カマ室内に設置しても良い。また、金型1は、成形品の大きさや長さに応じて形状を適宜変更することができる。また、従動ローラ12を駆動ローラ11にしても良いし、駆動ローラ11と従動ローラ12の代わりに駆動ロールと従動ロールを使用しても良い。また、成形材料投入装置20に支持バーを取り付け、この支持バーに内部加熱装置40と整流板50を支持具を介しそれぞれ支持させても良い。
【0045】
また、上記実施形態ではモータの駆動に基づくボール螺子の回転により成形材料投入装置20をスライドさせたが、ボール螺子の代わりに円滑で静かなベルトを使用し、モータの駆動に基づくベルトの循環により、成形材料投入装置20をスライドさせても良い。また、低速で回転する金型1に溶液ノズル21、内部加熱装置40、及び整流板50を挿入した後、金型1を高速回転させても良い。
【0046】
また、整流板50の大きさや形状、整流板50と金型1の内周面との距離等は、必要に応じ適宜調整したり、変更することができる。さらに、上記実施形態では生産ライン60を、最上流部61、上流部62、中流部63、下流部64、及び最下流部65に区画したが、エンドレスベルトの層数に応じて生産ライン60の区画数を増減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る遠心成形機、及び遠心成形方法の実施形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る遠心成形機、及び成形システムの実施形態を示す説明図である。
【図3】従来の遠心成形機を示す説明図である。
【符号の説明】
【0048】
1 金型
10 駆動装置
20 成形材料投入装置
21 溶液ノズル
22 樹脂溶液(成形材料)
30 外部加熱装置
31 ヒータ
32 反射板
40 内部加熱装置
41 熱風ノズル
50 整流板
60 生産ライン
61 最上流部
62 上流部
63 中流部
64 下流部
65 最下流部
70 金型移載装置
71 シリンダ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転する金型に成形材料を投入し、金型の内周面に成形材料を遠心力により押し付けて中空の成形品を得る遠心成形機であって、
金型をその外部から加熱する外部加熱装置と、回転する金型の内部を流れる気体を金型の内周面の成形材料方向に向けて整流する整流板とを含んでなることを特徴とする遠心成形機。
【請求項2】
成形材料を樹脂溶液とし、成形品をエンドレスベルトとした請求項1記載の遠心成形機。
【請求項3】
金型の軸方向に進退動可能に設けられ、回転する金型の内周面に液状の成形材料を投入する成形材料投入装置を備え、この成形材料投入装置から略定量の成形材料を略均一に投入するようにした請求項1又は2記載の遠心成形機。
【請求項4】
金型の軸方向に進退動可能に設けられ、回転する金型の内周面に押し付けられた成形材料に熱風を吹き付ける内部加熱装置を備えてなる請求項1、2、又は3記載の遠心成形機。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれかに記載の遠心成形機により中空の成形品を成形する遠心成形方法であって、
金型を回転させながらその外部から加熱し、この回転する金型に成形材料を投入して金型の内周面に成形材料を押し付ける工程と、回転する金型の内周面に押し付けられた成形材料に熱風を整流しながら吹き付ける工程とを含んでなることを特徴とする遠心成形方法。
【請求項6】
中空の成形品を多層構造に成形する成形システムであって、略一列に並べて配置される請求項1ないし4いずれかに記載の遠心成形機と、この複数の遠心成形機の間で金型を搬送する金型移載装置とを含んでなることを特徴とする成形システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−7651(P2006−7651A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−189789(P2004−189789)
【出願日】平成16年6月28日(2004.6.28)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】