説明

遮音床材用裏打材

【課題】 本発明は、フローリング等の床に施工した際に船酔い現象がなく歩行感の良い遮音床材用裏打材を提供することを可能にすることを目的としている。
【解決手段】 凸部や凹凸部を有する構造体1を用いて、不織布4やスポンジとを積層して構成することにより、床材の沈み込みがなく、船酔い現象の発生がない歩行感の良い遮音床材用裏打材7として構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質系遮音床材の裏面に貼り合せて使用される遮音床材用裏打材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の遮音床材用裏打材としては、不織布やウレタンフォーム等の単独或いは積層されたものが遮音効果があると認識されており、これらの材料が木質系遮音床材の裏面に貼り合せて使用される遮音床材用裏打材として一般的に使用されている。
【0003】
不織布やウレタンフォーム等の裏打材を使用した遮音床材は、いずれも柔らかい素材を使用して遮音効果を発揮させるものであるので、圧縮硬さが弱く実際にフローリングに施工した時、歩く度に床の沈み込みが生じ、船酔い現象が発生し歩行感が良くないのが現実である。
【0004】
例えば、特開平06−66011号公報(特許文献1)には、木質板に発泡シートと不織布を貼り付けたものが記載されており、特開平08−326279号公報(特許文献2)には、木質系基材に発泡ポリエチレンシートと発泡ポリウレタンシートとを積層して、発泡ポリウレタンシートの柔らかさをカバーするために発泡ポリエチレンシートで硬さを出して歩行感を改善したものが記載されている。
【0005】
また、特開平05−133082号公報(特許文献3)には、上下面に多数の凹凸部を設けた遮音性緩衝体が床材本体の下面に設けられ、その遮音性緩衝体の下面の凹凸部にシート状物を貼ったものが記載されており、特開2003−166336号公報(特許文献4)には、凹凸を設けた熱圧縮ポリウレタンフォームシートと、その片面に積層された高通気性ポリウレタンフォームシートとによりクッション層を構成し、その両面に不織布を貼着したものが記載されている。
【0006】
また、特開平10−121596号公報(特許文献5)には、凹凸部が形成された遮音層の凹凸部側に緩衝層が積層された制振遮音シートが記載されている。遮音層は高比重充填剤及び合成樹脂またはゴムを主成分とするバインダー成分とからなることが記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開平06−066011号公報
【特許文献2】特開平08−326279号公報
【特許文献3】特開平05−133082号公報
【特許文献4】特開2003−166336号公報
【特許文献5】特開平10−121596号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述の従来例で使用されている不織布やウレタンフォームの遮音床材用裏打材は、床材用の基材の裏面に不織布やウレタンフォームを単独或いは積層して貼り合わせ、遮音性能を上げるために空気層を多く含んだ柔らかい素材を使用しているので、JIS K-6767での50%圧縮硬さが5.7KPaと非常に弱く、これらを裏打材として使用した遮音床材をフローリングに施工した場合、歩行時の体重を60kg、足の面積を200cmとした場合に床にかかる荷重は29.4KPaとなり、床が歩く度に沈み込み、船酔い現象が発生し歩行感が悪く、家具等の重量物を置いた部分が沈み込むという問題があった。
【0009】
本発明は前記課題を解決するものであり、その目的とするところは、フローリング等の床に施工した際に船酔い現象がなく歩行感の良い遮音床材用裏打材を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するための本発明に係る遮音床材用裏打材の第1の構成は、凸部または凹凸部を有する構造体と、前記構造体の凸部または凹凸部側に積層される不織布またはスポンジとを有して構成したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第2の構成は、前記第1の構成において、前記構造体は、凸部または凹凸部を有する圧縮硬さ6.0KPa以上で、且つ前記凸部の高さが1mm以上、且つ30mm以下で、且つ隣設される前記凸部同士の離間間隔が1mm以上、且つ250mm以下で構成され、その構造体の凸部または凹凸部側に不織布またはスポンジを積層して構成したことを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第3の構成は、前記第1の構成において、前記構造体は、凸部または凹凸部を有する圧縮硬さ6.0KPa以上で、且つ前記凸部の高さが1mm以上、且つ30mm以下で、且つ隣設される前記凸部同士の離間間隔が1mm以上、且つ250mm以下で構成され、その構造体の一対が各凸部面を対向させて、その間に不織布またはスポンジを介在させてサンドイッチ状に積層して構成したことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第4の構成は、前記第1〜第3の構成において、前記凸部または凹凸部の内部に貫通穴を設けたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第5の構成は、前記第1〜第3の構成において、前記構造体は、面状片と、該面状片上に立設された複数の線条起立片とを有して構成されたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第6の構成は、前記第1〜第3の構成において、前記構造体は、面状片と、該面状片上に立設された複数の環状起立片と、該環状起立片に接続された天片とを有して構成されたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第7の構成は、前記第1〜第4の構成において、前記構造体は、面状片と、該面状片上に立設された複数の環状起立片とを有し、該環状起立片の内部に前記面状片に亘って貫通する貫通穴が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る遮音床材用裏打材の第1の構成によれば、構造体の凸部や凹凸部側に不織布やスポンジを積層して構成することにより、構造体の圧縮硬さを利用して歩行する度に荷重がかかっても圧縮硬さのある構造体で受け止められ、構造体の凸部に接している部分の遮音効果を得るために用いた空気層を含んだ柔らかい不織布やスポンジだけが潰れ、構造体の凸部は潰れないため床材が沈み込む船酔い現象がなく、歩行感を良くすることが出来、家具等の重量物を置いても沈み込みが生じない。また空気層を多く含んだ柔らかい不織布やスポンジにより遮音効果を得ることが出来る。
【0018】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第2の構成によれば、荷重がかかっても圧縮硬さ6.0KPa以上の構造体の凸部が、遮音効果を得るために用いた空気層を多く含んだ柔らかい不織布やスポンジにめり込み、遮音床材用裏打材全体の圧縮硬さが強くなり歩行の際に床が沈むことがなく、船酔い現象がないので歩行感が良い。その上、凸部の高さが1mm以上、且つ30mm以下で、且つ凸部同士の離間間隔が1mm以上、且つ250mm以下で構成したことにより凹凸部が連続的に配置されて床材全体としての圧縮硬さは強く、しかも凸部側で構造体と不織布やスポンジとの間に十分な空気層が形成されるため遮音効果を更に向上することが出来る。
【0019】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第3の構成によれば、凸部や凹凸部を有する圧縮硬さ6.0KPa以上の一対の構造体が各凸部面を対向させてその間に遮音効果を得るために用いた空気層を含んだ柔らかい不織布やスポンジを介在させてサンドイッチ状に積層して構成したことにより、一対の構造体の凸部が不織布やスポンジに両面側からめり込み、遮音床材用裏打材全体の圧縮硬さが更に強くなり、床材が沈み込む船酔い現象がないので歩行感が良く、家具等の重量物を置いても床が沈み込むことがない。その上、一対の構造体とサンドイッチ状に積層して構成した不織布やスポンジとの間が空気層になり遮音効果を向上することが出来る。
【0020】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第4の構成によれば、構造体の凸部または凹凸部の内部に貫通穴が貫通しているので空気層がより多く出来、遮音効果をより高めることが出来る。
【0021】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第5の構成によれば、構造体の凸部を線条起立片により容易に形成することが出来、線条起立片を互い違いに組み合わせれば構造体の一対の各線条起立片を対向させてその間に不織布またはスポンジを介在させてサンドイッチ状に積層する構造とすることが出来る。
【0022】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第6の構成によれば、構造体の凸部を環状起立片により容易に形成することが出来、環状起立片に接続された天片により環状起立片の剛性を高めることが出来る。
【0023】
また、本発明に係る遮音床材用裏打材の第7の構成によれば、構造体の凸部を環状起立片により容易に形成することが出来、環状起立片の内部に面状片に亘って貫通穴を貫通させることが出来、その貫通穴により空気層がより多く出来、遮音効果をより高めることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図により本発明に係る遮音床材用裏打材の一実施形態を具体的に説明する。先ず、図1〜図5を用いて本発明に係る遮音床材用裏打材の第1実施形態の構成について説明する。図1(a),(b)は本発明に係る遮音床材用裏打材の第1実施形態の構造体の構成を示す斜視図及び断面説明図、図2(a)は第1実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材の構成を示す断面説明図、図2(b)は第1実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す断面説明図、図3(a)は第1実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す斜視図、図3(b)は第1実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の表面側に荷重が作用した場合の挙動を示す断面説明図、図4(a)は第1実施形態の構造体の一対により不織布またはスポンジをサンドイッチ状に積層した遮音床材用裏打材の構成を示す断面説明図、図4(b)は図4(a)の遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す断面説明図、図5(a)は図4(b)の遮音床材の構成を示す斜視図、図5(b)は図5(a)の遮音床材の表面側に荷重が作用した場合の挙動を示す断面説明図である。
【0025】
図1〜図5において、1は凸部または凹凸部を有する構造体であり、面状片2と、該面状片2上に互いに並行に立設された複数の線条起立片3とを有して構成されている。構造体1は圧縮硬さ6.0KPa以上で、且つ凸部となる線条起立片3の高さが1mm以上、且つ30mm以下で、且つ隣設される線条起立片3同士の離間間隔が1mm以上、且つ250mm以下で構成されている。
【0026】
本実施形態の構造体1の材質としては、プラスチック、硬質ゴム、紙、木材、竹、金属、無機質等が適用出来、例えば、市販された平行リブのプラスチックダンボールを半裁して得ることも出来る。尚、図1に示す構造体1の線条起立片3は直線状の線条起立片3の一例であるが、線条起立片3の他の例としては、波形状の線条起立片3、折れ線状の線条起立片3等を適宜適用することも出来る。尚、本実施形態では構造体1の線条起立片3の上端部が尖った形状の一例で示したが、線条起立片3の上端部は平坦であっても良いし、曲率が設けられたものであっても良い。
【0027】
図2に示すように、構造体1の凸部または凹凸部側には不織布4またはスポンジが積層される。図2(a)では構造体1の凸部となる線条起立片3側に不織布4が積層され、構造体1の面状片2側にスポンジ5が積層された場合の一例を示す。尚、構造体1の凸部となる線条起立片3側に不織布4の代わりにスポンジ5を積層しても良い。図2(b)に示すように、不織布4の上部にフローリング材等の床基材6が積層される。
【0028】
不織布4としては、厚みが0.2mm以上で板状、綿状、シート状等が適用出来る。また、スポンジ5としては、プラスチック、ゴム等の独立気泡や連続気泡のスポンジが適用出来る。
【0029】
構造体1、不織布4、スポンジ5及び床基材6を積層する方法としては、接着剤や熱融着等により接合することが可能である。
【0030】
図2(a)は凸部となる線条起立片3を有する図1の構造体1の凸部となる線条起立片3側に不織布4を接着して積層し、面状片2側にスポンジ5を積層した遮音床材用裏打材7の一例を示す。図2(b)は図2(a)の遮音床材用裏打材7を床基材6の裏面側に貼り合せた場合の一例を示す。
【0031】
図2(b)において、床基材6の表面側に荷重がかかると、図3(b)に示すように、不織布4は圧縮されるが、構造体1の凸部となる線条起立片3で受け止められ、これ以上沈み込まないので、船酔い現象がなく歩行感の良い遮音床材8が得られる。その上、凸部となる線条起立片3に接していない不織布4部分の空間12は、空気層になり、より遮音効果を向上させることが出来る。
【実施例1】
【0032】
構造体1として、厚さ4mm、リブ間4mmの市販の平行リブ状のPP(ポリプロピレン)製プラスチックダンボール(商品名ダンプレ−ト 宇部日東化成(株)製)をスライス機により半裁して、厚さ2.0mmで片面が平面の面状片2で、50%の圧縮硬さが169KPaの凸部となる線条起立片3の有るPP(ポリプロピレン)の構造体1を得る。
【0033】
この構造体1の凸部となる線条起立片3側に厚さ2mmのPP(ポリプロピレン)製の不織布4を接着剤を用いて接着し、面状片2側には、厚さ2mmで発泡倍率10倍のポリエチレン製のスポンジ5を接着剤を用いて接着し、PP(ポリプロピレン)製の構造体1、PP(ポリプロピレン)製の不織布4、ポリエチレン製のスポンジ5を積層して構成した遮音床材用裏打材7を得る。
【0034】
この遮音床材用裏打材7を床基材6である床基材6に貼り合せて遮音床材8とした。この遮音床材8の圧縮硬さは、JIS K-6767に準拠して50%の圧縮硬さを測定したところ、以下の表1に示す通り169.4KPaで、歩いても床が沈み込むことがなく、船酔い現象がなく、歩行感が良く、且つJIS A-1418の測定方法に準拠して軽量床衝撃音の改善値(dB)を測定したところ、以下の表2に示す結果が得られた。
【0035】
【表1】

【0036】
【表2】

【0037】
このような構成の遮音床材用裏打材7によれば優れた遮音効果があり、歩いても床が沈み込むことがなく、船酔い現象がなく歩行感の良い遮音床材用裏打材7を得ることが出来た。
【0038】
図4及び図5は図1に示す一対の構造体1の各凸部面となる線条起立片3同士を対向させて、その間に不織布4を介在させてサンドイッチ状に積層して構成したものである。尚、不織布4の代わりにスポンジ5を介在させてサンドイッチ状に積層して構成することも出来る。図4(a)は凸部となる線条起立片3を有する図1の構造体1の凸部となる線条起立片3で不織布4を上下からサンドイッチ状に積層した構成の遮音床材用裏打材7であって、図4(b)は図4(a)の遮音床材用裏打材7を床基材6に貼り合せた遮音床材8である。他の構成は前述した実施形態と同様に構成される。
【0039】
図5(b)に示すように、床基材6上面に荷重がかかると不織布4は上下の構造体1の線条起立片3により荷重を分散して受けることになるので、より荷重に耐える遮音床材8が得られる。その上、不織布4と構造体1の線条起立片3と接していない空間12は空気層になり、遮音効果をより向上させる。
【実施例2】
【0040】
上記実施例1と同様の片面が平面の面状片2で50%の圧縮硬さが169KPaの凸部となる線条起立片3の有るPP(ポリプロピレン)製の構造体1を2枚用い、上下の線条起立片3同士で厚さ2mmのPP(ポリプロピレン)製の不織布4を接着剤を用いてサンドイッチ状に積層した遮音床材用裏打材7を得た。
【0041】
この遮音床材用裏打材7を床基材6となる床基材6に貼り合せて遮音床材8とし、上記実施例1と同様の測定をしたところ、上記表1及び表2に示す結果が得られた。本実施形態でも船酔い現象がなく歩行感が良い、より荷重に耐える、遮音効果の有る、より良い遮音床材用裏打材7を得ることが出来た。
【0042】
次に、図6〜図8を用いて本発明に係る遮音床材用裏打材の第2実施形態の構成について説明する。図6(a),(b)は本発明に係る遮音床材用裏打材の第2実施形態の構造体の構成を示す斜視図及び断面説明図、図7(a)は第2実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材の構成を示す断面説明図、図7(b)は第2実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す断面説明図、図8(a)は第2実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す斜視図、図8(b)は図8(a)の遮音床材の表面側に荷重が作用した場合の挙動を示す断面説明図である。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
本実施形態では、図6〜図8に示すように、構造体1は面状片2と、該面状片2上に立設された複数の環状起立片9と、該環状起立片9に接続された天片10とを有して構成されている。本実施形態の構造体1も圧縮硬さ6.0KPa以上で、且つ凸部となる天片10を有する環状起立片9の高さが1mm以上、且つ30mm以下で、且つ隣設される環状起立片9同士の離間間隔が1mm以上、且つ250mm以下で構成されている。
【0044】
本実施形態の環状起立片9は断面円形状で構成した一例であるが、他の断面形状として、断面三角形状、断面四角形状等の断面多角筒形状、或いは断面星形形状、断面半月形状、断面三日月形状、断面瓢箪形状(断面8の字形状)等、種々の形状が適用出来る。
【0045】
本実施形態の構造体1は、圧縮硬さ6.0KPa以上の凹凸部となる天片10を設けた環状起立片9を有するプラスチックダンボールを適用することが出来る。
【0046】
図7(a)は凹凸部となる天片10を設けた環状起立片9を有する構造体1の凸部となる天片10側に不織布4を接着して積層し、面状片2側にスポンジ5を接着して積層した遮音床材用裏打材7であり、図7(b)及び図8(a)は図7(a)の遮音床材用裏打材7の不織布4側に床基材6を接着して積層した遮音床材8である。
【0047】
図8(b)に示すように、床基材6の表面側に荷重がかかると不織布4は構造体1の凸部となる天片10で受けるので、より荷重に耐える遮音床材8が得られる。また、構造体1の不織布4と接していない凹部は空間12で空気層となり遮音効果も向上する。
【実施例3】
【0048】
50%の圧縮硬さ204KPaで、厚さ3mmの凹凸部の有るPP(ポリプロピレン)製のプラスチックダンボール(商品名 プラパ−ル 川上産業(株)製)の凸部となる環状起立片9の天片10に厚さ2mmのPP(ポリプロピレン)製の不織布4を接着剤を用いて接着して積層し、面状片2側には厚さ2mmで発泡倍率10倍のポリエチレン製のスポンジ5を接着剤を用いて接着して積層し、凹凸部の有るPP(ポリプロピレン)製の構造体1、PP(ポリプロピレン)製の不織布4、ポリエチレン製のスポンジ5を順次積層して構成した遮音床材用裏打材7を得た。
【0049】
この遮音床材用裏打材7を床基材6に貼り合せて遮音床材8とし、上記実施例1と同様の測定をしたところ、この遮音床材8の50%の圧縮硬さは上記表1に示す通り204.8KPaの荷重で歩いても沈み込むことがなく、船酔い現象がなく歩行感が良い。またJIS A-1418の測定方法に準拠して軽量床衝撃音の改善値(dB)を測定したところ、上記表2に示す結果が得られたので、遮音効果が有り、船酔い現象がなく歩行感の良い遮音床材用裏打材7を得ることが出来た。
【0050】
上記のように、凸部となる環状起立片9を有する圧縮硬さ6.0KPa以上の構造体1を使用したので、歩行時の荷重がかかっても、凸部となる環状起立片9に接している部分の遮音効果を得るために用いた空気層を含んだ柔らかい不織布4やスポンジだけが潰れ、構造体1の凸部となる環状起立片9は潰れることがなく、凹凸が連続的に1mm〜250mm間隔で配置されることから、遮音床材8全体としての圧縮硬さは強く、フローリング床等に施工した場合、歩行の際の沈み込みがなく船酔い現象がないので歩行感が良く、その上、家具等の重量物を置いても床が沈み込むことがない。更に凸部となる環状起立片9の構造体1の片面或いは両面に不織布4やスポンジ5を積層して構成したことにより、凹部と凸部との間に空間12が形成されて空気層となり、遮音効果をより高めることが出来る優れた遮音床材用裏打材7とすることが出来る。
【0051】
次に、図9〜図11を用いて本発明に係る遮音床材用裏打材の第3実施形態の構成について説明する。図9(a),(b)は本発明に係る遮音床材用裏打材の第3実施形態の構造体の構成を示す斜視図及び断面説明図、図10(a)は第3実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材の構成を示す断面説明図、図10(b)は第3実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す断面説明図、図11(a)は第3実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す斜視図、図11(b)は図10(b)の遮音床材の表面側に荷重が作用した場合の挙動を示す断面説明図である。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号を付して説明を省略する。
【0052】
図9〜図11に示すように、本実施形態の構造体1は凸部または凹凸部の内部に貫通穴11を設けたものであり、構造体1は面状片2と、該面状片2上に立設された複数の環状起立片9とを有し、該環状起立片9の内部に面状片2に亘って貫通する貫通穴11が形成されている。本実施形態の構造体1も圧縮硬さ6.0KPa以上で、且つ凸部となる環状起立片9の高さが1mm以上、且つ30mm以下で、且つ隣設される環状起立片9同士の離間間隔が1mm以上、且つ250mm以下で構成されている。
【0053】
本実施形態の構造体1は、凸部に平板の付いた凹凸を有するプラスチックダンボールの平板部分をスライスして切除して得た圧縮硬さ6.0KPa以上の凸部内部が貫通した構造体1を適用することが出来る。
【0054】
図10(a)は凹凸部となる内部に貫通穴11が形成された環状起立片9を有する構造体1の凸部となる環状起立片9に不織布4を接着して積層し、面状片2側にスポンジ5を接着して積層した構成の遮音床材用裏打材7であり、図10(b)及び図11(a)は図10(a)の遮音床材用裏打材7を床基材6に接着して貼り合せたものである。
【0055】
図11(b)に示すように、床基材6の表面側に荷重がかかると不織布4が構造体1の凸部となる環状起立片9で受けるので、荷重に耐える遮音床材8が得られる。また、構造体1の凸部となる環状起立片9の内部に面状片2に亘って貫通穴11があることから多くの空間が空気層になり、遮音効果も向上する。
【0056】
上記遮音床材用裏打材7は、床の沈み込みがないため船酔い現象がなく歩行感が良い。環状起立片9からなる凸部や凹凸部を有する構造体1と不織布4やスポンジ5を積層する構成によって、遮音床材8の圧縮硬さが強くなり、歩行の際、床の沈み込みがなく船酔い現象がなくなり、歩行感が良くなる。その上、遮音床材用裏打材7に空間を形成することにより、空気層が出来、より遮音効果を向上させることが出来る。
【実施例4】
【0057】
凸部に平板の付いた厚さ5mmの凹凸部の有るPP(ポリプロピレン)製のプラスチックダンボール(商品名 プラパ−ル 川上産業(株)製)の平板部分をスライスして削除し、厚さ3mmの凸部となる環状起立片9が貫通穴11により面状片2を貫通している50%の圧縮硬さが183.0KPaのPP(ポリプロピレン)製の構造体1を得た。
【0058】
PP(ポリプロピレン)製の構造体1の凸部となる環状起立片9に厚さ2mmのPP(ポリプロピレン)製の不織布4を接着剤を用いて接着して積層し、面状片2側に厚さ2mmで発泡倍率10倍のポリエチレン製のスポンジ5を接着剤を用いて接着して積層し、凸部となる環状起立片9の内部が貫通穴11により面状片2を貫通しているPP(ポリプロピレン)製の構造体1、PP(ポリプロピレン)製の不織布4、ポリエチレン製のスポンジ5を順次積層して構成した遮音床材用裏打材7を得た。
【0059】
この遮音床材用裏打材7を床基材6に接着して貼り合せて遮音床材8としたところ、上記表1に示す通り、50%の圧縮硬さは183.0KPaで歩いても床が沈み込むことなく、船酔い現象がなく歩行感が良かった。また、JIS A-1418に準拠して測定した軽量床衝撃音の改善値(dB)は、上記表2に示す通りで遮音効果が得られたので、船酔い現象がなく歩行感の良い遮音床材用裏打材7を得ることが出来た。
【0060】
上記構成により凹凸部を有する圧縮硬さが6.0KPa以上の構造体1の凸部となる環状起立片9の内部が貫通穴11により面状片2を貫通している構造体1を使用したので、歩行時に荷重がかかっても凸部となる環状起立片9に接している不織布4やスポンジのみが潰れ、構造体1の凸部となる内部が貫通している環状起立片9は潰れない。更に構造体1の片面或いは両面に不織布4やスポンジ5を積層して構成することにより、凸部となる環状起立片9の内部が面状片2を貫通しているので空気層がより多く出来、遮音効果をより高めることが出来る優れた遮音床材用裏打材7とすることが出来る。
【0061】
次に比較例について説明する。
【0062】
[比較例1]
上記実施例1で用いた厚さ2mmのPP(ポリプロピレン)製の不織布4と厚さ2mmの発泡倍率10倍のポリエチレン製のスポンジ5を接着剤を用いて接着して積層して、前述の構造体1を省略した遮音床材用裏打材を得た。
【0063】
この遮音床材用裏打材を床基材6に接着して貼り合せて遮音床材として、上記実施例1と同様な圧縮硬さと軽量床衝撃音の改善値(dB)を測定したところ、50%の圧縮硬さは表1に示す通りで、28KPaと弱く、表2に示すように遮音効果も少なく、遮音床材用裏打材の性能を満足出来るものは得られなかった。
【0064】
[比較例2]
遮音床材用裏打材として、厚さ2mmのPP(ポリプロピレン)製の不織布4と、厚さ2mmのウレタンフォ−ムを積層して、床基材6に貼り合せた市販の遮音床材L−45品(松下電工株式会社製)について、前記実施例1と同様の測定を行ったところ、この遮音床材の50%の圧縮硬さは上記表1に示す通りで、5.7KPaと弱く、歩くと床が沈み込み船酔い現象が発生して、歩行感が悪く、船酔い現象がなく、歩行感の良い遮音床材用裏打材の圧縮硬さの性能は得られなかった。しかしながら、JIS A-1418の軽量床衝撃音の改善値(dB)を測定したところ、上記表2に示す結果が得られ、遮音効果は得られた。
【0065】
上述したように、本発明に係る遮音床材用裏打材の構成によれば、船酔い現象がなく歩行感の良い遮音床材用裏打材とすることが出来、従来のように不織布やウレタンフォームを単独で使用したり、それらを積層して使用する構成とは異なり、凸部や凹凸部を有する構造体1と不織布4やスポンジ5を積層して構成しているので、圧縮硬さが有り、且つ、遮音性能も満足することが出来る。
【0066】
このような構成の遮音床材用裏打材7を床基材6に貼り合せ、遮音床材8としてフローリング床等に施工した場合、歩行の際、床の沈み込みがなく船酔い現象がなく歩行感が良い。また不織布4やスポンジと構造体1との間に空気層を介在させることが出来るので、遮音性能を向上させる効果を有している。
【0067】
従って、構造体1の凸部や凹凸部の高さや空間或いは形状を変えることにより、圧縮硬さや空間12により形成される空気層を適宜変えることが出来る。
【0068】
即ち、構造体1の圧縮硬さを強くすれば、家具等の重量物を置いても床が沈み込むことはなく、空間12により形成される空気層を多くすることにより、遮音性能に効果が有り、優れた遮音床材用裏打材7になる等の多大な効果を有している。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の活用例として、木質系遮音床材の裏面に貼り合せて使用される遮音床材用裏打材に適用出来る。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(a),(b)は本発明に係る遮音床材用裏打材の第1実施形態の構造体の構成を示す斜視図及び断面説明図である。
【図2】(a)は第1実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材の構成を示す断面説明図、(b)は第1実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す断面説明図である。
【図3】(a)は第1実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す斜視図、(b)は第1実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の表面側に荷重が作用した場合の挙動を示す断面説明図である。
【図4】(a)は第1実施形態の構造体の一対により不織布またはスポンジをサンドイッチ状に積層した遮音床材用裏打材の構成を示す断面説明図、(b)は(a)の遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す断面説明図である。
【図5】(a)は図4(b)の遮音床材の構成を示す斜視図、(b)は(a)の遮音床材の表面側に荷重が作用した場合の挙動を示す断面説明図である。
【図6】(a),(b)は本発明に係る遮音床材用裏打材の第2実施形態の構造体の構成を示す斜視図及び断面説明図である。
【図7】(a)は第2実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材の構成を示す断面説明図、(b)は第2実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す断面説明図である。
【図8】(a)は第2実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す斜視図、(b)は(a)の遮音床材の表面側に荷重が作用した場合の挙動を示す断面説明図である。
【図9】(a),(b)は本発明に係る遮音床材用裏打材の第3実施形態の構造体の構成を示す斜視図及び断面説明図である。
【図10】(a)は第3実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材の構成を示す断面説明図、(b)は第3実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す断面説明図である。
【図11】(a)は第3実施形態の構造体を用いた遮音床材用裏打材を設けた遮音床材の構成を示す斜視図、(b)は図10(a)の遮音床材の表面側に荷重が作用した場合の挙動を示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0071】
1…構造体
2…面状片
3…線条起立片
4…不織布
5…スポンジ
6…床基材
7…遮音床材用裏打材
8…遮音床材
9…環状起立片
10…天片
11…貫通穴
12…空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸部または凹凸部を有する構造体と、前記構造体の凸部または凹凸部側に積層される不織布またはスポンジと、を有して構成したことを特徴とする遮音床材用裏打材。
【請求項2】
前記構造体は、凸部または凹凸部を有する圧縮硬さ6.0KPa以上で、且つ前記凸部の高さが1mm以上、且つ30mm以下で、且つ隣設される前記凸部同士の離間間隔が1mm以上、且つ250mm以下で構成され、その構造体の凸部または凹凸部側に不織布またはスポンジを積層して構成したことを特徴とする請求項1に記載の遮音床材用裏打材。
【請求項3】
前記構造体は、凸部または凹凸部を有する圧縮硬さ6.0KPa以上で、且つ前記凸部の高さが1mm以上、且つ30mm以下で、且つ隣設される前記凸部同士の離間間隔が1mm以上、且つ250mm以下で構成され、その構造体の一対が各凸部面を対向させて、その間に不織布またはスポンジを介在させてサンドイッチ状に積層して構成したことを特徴とする請求項1に記載の遮音床材用裏打材。
【請求項4】
前記凸部または凹凸部の内部に貫通穴を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の遮音床材用裏打材。
【請求項5】
前記構造体は、面状片と、該面状片上に立設された複数の線条起立片とを有して構成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の遮音床材用裏打材。
【請求項6】
前記構造体は、面状片と、該面状片上に立設された複数の環状起立片と、該環状起立片に接続された天片とを有して構成されたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の遮音床材用裏打材。
【請求項7】
前記構造体は、面状片と、該面状片上に立設された複数の環状起立片とを有し、該環状起立片の内部に前記面状片に亘って貫通する貫通穴が形成されたことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の遮音床材用裏打材。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−132146(P2007−132146A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−328224(P2005−328224)
【出願日】平成17年11月14日(2005.11.14)
【出願人】(594060831)三福工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】