説明

選択された材料のパターン化されたエッチング法

加工されるべき部分が予め定められたパターンに制限される表面加工は、(a)加工されるべき表面の領域であって、前記予め定められたパターンの部分を少なくとも覆う領域上に第一の試薬の層を提供する工程と;(b)前記表面を加工するために必要とされる更なる試薬である一つ以上の更なる試薬を提供する工程と;(c)前記予め定められたパターンに従って加工されるべき領域上に少なくとも一つの更なる試薬を塗布する工程と、により達成され、それにより、第一の試薬は予め定められたパターンの部分のみにおいて表面を加工すべく、一つ以上の更なる試薬と反応する。同加工は、二つ以上の成分を有するエッチャントが使用されるエッチングに特に適用可能である。その場合、少なくとも第一のエッチャント成分は表面上に適用され、かつ少なくとも一つの更なるエッチャント成分が予め定められたパターンに適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してデバイス製造の分野に関し、より詳細には、シリコン太陽電池デバイスのような半導体デバイスの誘電体層のパターン化されたエッチングに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造は典型的には、半導体及び誘電体の両方のパターン化されたエッチングを広く使用することを含む。特に、シリコンデバイスの二酸化シリコン誘電体層における開口のパターン形成は、シリコン表面における二酸化シリコンの保護効果及び光学的効果の理由から広く使用されている。二酸化シリコン層のパターン化されたエッチングは、局所的な拡散及び下にあるシリコンとの金属接触を促進するために使用されるか、或いは、別の場合では、下にあるシリコンのエッチングに対するマスクを提供するために、使用されている。典型的には、二酸化シリコンのような誘電体層のパターン化されたエッチングは、フォトリソグラフィー又はスクライビングを用いて行われてきた。
【0003】
しかしながら、フォトリソグラフィーは、費用のかかる設備(例えば、マスク、アライナ、マスク描画機)及びクリーンルーム環境を必要とし、一般的には時間のかかる多数の工程を必要とする。パターンを変更するときには、新たなマスクのセットを必要とする。誘電体に一定のパターンの開口を形成する典型的なフォトリソグラフィーの工程では、典型的には、誘電体層の上にレジスト層を(通常はスピンコーティングによって)堆積させることと、レジスト層の上に準備されたマスクを適切に整列させることと、マスクを貫通してレジストをUV照射にさらすことと、露出されたレジストを現像してレジストに一定のパターンの開口を形成することと、を必要とする。次に、一定のパターンの開口を有するレジストは、ウェットエッチング及び物理的なエッチング(例えば、イオンエッチング)の用途において、エッチャントに対するマスクとして使用される。二酸化シリコンに対するエッチング液は、典型的にはフッ化水素水溶液又はエッチング用酸化物緩衝液を含み、いずれも腐食性が大きいものである。次にデバイスを洗浄し、残留するエッチャントを除去し、最終的にはレジスト層を除去し、デバイス上にパターン化された誘電体層が残る。
【0004】
つい最近では、レジスト層をパターン形成するインクジェット法が記載されている。これらの方法は、溶液を堆積するために代わりにインクジェット装置を使用することによって、パターン形成工程におけるフォトリソグラフィーの使用の必要性をなくすことができ、インクジェット装置は、レジスト層の予め定められた位置に、開口又は透過性領域を作製するものである。次に、このようにしてパターン化されたレジスト層を使用して下にある誘電体層をマスクしつつ、印刷されたパターンがエッチング液の浸漬時において誘電体をエッチングするための経路を提供する。レジストにパターン形成するこれらのインクジェット法は、フォトリソグラフィーに代わる低コストを実現可能な代替手段を提供する。エッチングパターンの変更は、インクジェットプリンタによって使用されるデジタル画像パターンの変更によって迅速に実現され得る。しかしながら、フォトリソグラフィー法と同様に、それらの方法は依然として時間のかかる多数の工程を含み、多量の化学薬品、特に、レジストのための樹脂及び腐食性エッチング溶液、の使用を必要とする。ウェットエッチング工程において多量の腐食溶液を使用する必要性から、生産環境において安全性の厳しい管理も遵守されなければならない。従って、加工工程の数及び/又はパターン形成工程にて使用される高価な腐食性の化学薬品の量を低減する進歩が望ましい。更に、エッチング工程を実施する場合のヒト作業者のリスクを最小限とし、有害な廃棄物の量を低減する進歩がまた望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記した懸案を鑑みてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
表面を加工する方法が提供され、同方法において、同加工は予め定められたパターンに画定された表面の部分に制限され、かつ同方法は:
(a)加工されるべき表面の領域であって、予め定められたパターンの部分を少なくとも覆う領域上に伸びる層または層の構成要素として界面活性剤を提供する工程と;
(b)表面の加工に必要とされる少なくとも一つの成分を含む堆積組成物を提供する工程と;
(c)予め定められたパターンに従って、加工されるべき領域上に堆積組成物を塗布する工程と、を含み、それにより、界面活性剤が、予め定められたパターンの部分において、堆積組成物によって加工されるべき表面の濡れを改善する、方法である。
【0007】
表面を加工する更なる方法が提供され、同方法において、同加工は予め定められたパターンに画定された表面の部分に制限され、かつ同方法は:
(a)加工されるべき表面の領域であって、予め定められたパターンの部分を少なくとも覆う領域上に伸びる層として、表面の加工に必要とされる少なくとも第一の成分を提供する工程と;
(b)表面の加工に必要とされる一つ以上の更なる成分を含む少なくとも一つの堆積組成物を提供する工程と;
(c)予め定められたパターンに従って、加工されるべき領域上に少なくとも一つの堆積組成物を塗布する工程と、を含み、それにより、表面の加工に必要とされる第一の成分が、予め定められたパターンの部分のみにおいて表面を加工するために表面の加工に必要とされる一つ以上の更なる成分と反応する方法である。
【0008】
加工されるべき表面の領域を覆って伸びる第一の成分を含む層は、気相、液相、又は固相状態であり得るか、或いはゲルであり得る。第一の成分が液相又は気相状態にある場合、多孔性材料が加工されるべき表面に適用され、第一の成分は多孔層に拘束される。
【0009】
第一の成分が固体の場合、第一の成分を含む溶液を塗布し、溶液中の溶媒を蒸発させて表面上に第一の成分を堆積させることにより同第一の成分は適用される。第一の成分が液体又はゲルであるか、或いは蒸発されるべき溶液が塗布されている場合、第一の成分を塗布する方法は、フロー−オン(flow on)法、スピン−オン法、吹きつけ塗装法、又はインクジェット印刷法を含む。塗布方法はまた、上記方法の一つを用いて昇温下にて液体を塗布し、ついで冷却によって層を硬化させることを含む。
【0010】
第一の成分を含む溶液は、表面加工時に界面活性剤として作用する添加物を含み得る。第一の成分を含む溶液はまた、表面層の臨界表面張力を低下させる添加物を含み得る。
本発明の方法は、加工材料の一つが危険であるか、そうでなければ取り扱いが困難であるような加工において有利に使用され得る。第一の成分及び第二の成分の混合物によって作製される加工材料が、例えば、非常に腐食性であり、毒性かつ粘性が高い、又は粘着性であることにより、同材料の取り扱いを危険かつ困難にする物理的特性を有し、かつ少なくとも一つの成分が当該特性を示していないか、又はより小さな程度にて当該特性を示す場合、問題の少ないほうの成分が本発明の方法においては第二の成分となり、一定のパターンの個々の液滴として流体を堆積し得る装置(例えば、ドロップ・オン・デマンドのインクジェットプリンタ)を使用してパターン化された様式にて簡便に塗布され得る。
【0011】
本発明の方法は、例えば、ドーピング、染色(dying)又は表面を化学的に修飾する、若しくは表面のパターン化されたエッチングによるような、表面のパターン化された層形成、パターン化された変換を含む種々の加工において使用され得る。パターン化された層形成の例としては、第一の層として対応する未結合の樹脂を適用するとともに第二の成分として架橋剤を(例えば、インクジェット印刷にて)適用することにより、エポキシ、ポリエステル、又はポリウレタンのパターン化された層が形成され得る。次に、未加工の樹脂を適切な溶媒にて洗い流すと、パターン化された層が残る。
【0012】
方法の特に好ましい適用において、表面は予め定められたパターンに従ってエッチングによって加工される。エッチングされるべき表面は予め定められた材料であり、第一の加工成分及び第二の加工成分の組み合わせにより形成されるエッチャントは通常、エッチャントに特有の材料であるが、必ずしもそうでなくてもよい。
【0013】
予め定められた材料の上に表面層を形成することは、上記した技術の一つに従って行われ、表面層は、同予め定められた材料をエッチングするために必要とされる少なくとも第一の成分を含むであろう。堆積組成物は、予め定められた材料をエッチングするのに必要な少なくとも第二の成分を含み、予め定められたパターンに従って表面層に塗布される。表面上にて組み合わせられる場合、第一の成分からなる表面層は、予め定められたパターンに従って加工されるべき予め定められた材料の領域をエッチングするために、第二の成分からなる堆積組成物と反応する。
【0014】
エッチングのための、予め定められた材料は、それに限定されるものではないが、二酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、TCO、ガラス、有機樹脂及びパターンマスク材料を含むその他のポリマーを含む誘電体からなる群から選択されるか、或いは、それに限定されるものではないが、アルミニウム、銅、銀、金、スズ、及び鉛又はそれらの合金を含む金属からなる群から選択されるか、それに限定されるものではないが、シリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、或いはシリコンーゲルマニウム若しくはアルミニウム−ガリウム−ヒ素、セレン化インジウム、セレン化ガリウム、テルル化カドミウム又はセレン化銅インジウムガリウム(CIGS)のような合金を含む広い半導体材料群から選択され得る。
【0015】
好ましくは、表面層は、エッチングの用途に対してはポリマー層であり得る。
予め定められた材料が二酸化シリコンである場合、ポリマー層は酸性であり、好ましくは、ポリマー層は酸性ポリマーを含む水溶性の層であろう。例えば、ポリマーはポリアクリル酸、硫酸ポリスチレン、酸性のポリチオフェン誘導体、酸性のポリアニリン誘導体、又は水溶性のフェノール樹脂の一つを含み得る。また、仮に予め定められた材料が二酸化シリコンである場合、堆積組成物は好ましくはフッ化物イオン源を含むであろう。例えば、フッ化物イオン源は、フッ化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムフッ化物、フッ化ナトリウム、及びフッ化リチウムの一つ以上によって供給され得る。
【0016】
本発明の方法は、例えば、シリコン太陽電池デバイスの誘電体層に開口をエッチングするために使用され得る。そのような開口は、シリコン太陽電池デバイスに金属接触子を形成するうえにおいて使用され得る。本発明の方法の用途において、好ましくは、堆積化合物はパターン化された様式にて送達されるであろう。堆積組成物の液滴を送達する一つの簡便かつ好ましい方法は、一定のパターンの個々の液滴として流体を堆積する装置(例えば、ドロップ・オン・デマンドのインクジェットプリンタ)を使用することによる。
【0017】
本発明の方法に従う加工を適用後、最終工程では、表面から、予め定められたパターンの部分の外側に残っている過剰の不必要な表面層材料を除去することが必要であろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】二酸化シリコンのようなエッチングされるべき層を備えた基板を断面にて示す概略図である。
【図1B】酸性ポリマー表面層で被覆された基板を示す概略図である。
【図1C】酸性ポリマー層上にエッチング成分を含有する溶液を2滴堆積させたところを示す概略図である。
【図1D】基板にエッチングにより開口が形成されたところを示す概略図である。
【図1E】エッチング残留物及び酸性ポリマー層が除去された後の基板を示す概略図である。
【図2】例示的な酸性ポリマーであるポリアクリル酸の構造を示す。
【図3】一実施例において、堆積溶液の表面張力が、Novec4200(R)界面活性剤の添加される比率に伴いどのように変化するかを示すグラフである。
【図4】45℃のプラテン温度に維持された2.5μmの厚みのポリアクリル酸受容層上に11.2(w/v)%のフッ化アンモニウム溶液の液滴を堆積させることによって、シリコンウェーハの熱成長した二酸化シリコン層にエッチングされた溝のDektakプロファイルを示す。
【図5】図4のプロファイルが得られたエッチングされた溝を示す光学画像である。
【図6】45℃のプラテン温度に維持された2.5μmの厚みのポリアクリル酸受容層上に11.2(w/v)%のフッ化アンモニウム溶液の液滴を堆積させることによって、シリコンウェーハの熱成長した二酸化シリコン層にエッチングされたホール列の光学画像である。
【図7】図6に示されるものを含むエッチングされたホールのサンプルから撮影されたホールの光学画像である。
【図8】図6に示されるものを含むエッチングされたホールのサンプルから撮影されたエッチング後のホールのAFMプロファイルである。
【図9】55℃のプラテン温度に維持された2.5μmの厚みのポリアクリル酸受容層上に14.4(w/v)%のフッ化アンモニウム溶液の液滴を堆積させることによってエッチングされたホール構造のAFMプロファイルである。
【図10】プラテン温度の関数として、2.5μmの厚みのポリアクリル酸受容層上に14.4(w/v)%のフッ化アンモニウム溶液の液滴を堆積させることによってエッチングされたホール構造のエッチングされた最大深さを示すグラフである。
【図11】テクスチャ化されたシリコン表面上の75nmの窒化シリコン層にエッチングされた溝を示す光学画像である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態は、添付された図面を参照して、実施例により、記載されるであろう。
本明細書において、濃度が百分率(%)にて記載されている場合、特に指定されていない限り、重量比(w/w)を示すことが意図されている。
【0020】
二酸化シリコン誘電体層のような選択された材料をエッチングするための方法が以下に記載されている。同方法は、マスキング又はレジスト層を必要とせず、腐食性のエッチャントがエッチングされるべきデバイス表面上のその位置でのみ形成されるので、既存のエッチング法よりも安全である。更に、エッチャントがエッチングされるべき位置においてのみ形成されるので、同方法は少量の化学薬品のみを必要とし、危険性の非常に小さい化学廃棄物を生成する。同方法は、いかなるレジスト用化学薬品も必要とせず、少量のエッチング前駆物質を使用するのみである。既存の二酸化シリコンのウェットエッチング法での危険性の高いフッ化水素廃棄物は、世界中で製造工程における問題となっている。同方法は、二酸化シリコンのパターン化されたエッチングに関して記載されているが、開示された方法が、金属、その他の誘電体及び半導体を含むその他の材料のエッチングに応用可能であることは、半導体デバイス製造の技術における当業者には明らかである。
【0021】
エッチング法は、エッチングが必要であるデバイスの表面の位置にて、少なくとも二つのエッチング成分を一緒にするので、腐食性の化学薬品の使用を低減する。個々のエッチング成分は不活性であり、それらが互いに接触した場合にのみ下にあるデバイス表面をエッチングすることができる化合物を形成するために反応すると好ましい。好ましくは、少なくとも一つの成分は、エッチングされるべき材料の上に形成された表面層にて提供される。一つ以上の更なる成分が流体にて提供され、同流体は予め定められたパターンに従って表面層に塗布される。好ましくは、一つ以上の更なる成分を含有する流体は、一定のパターンを有する個々の液滴として流体を堆積可能な装置(例えば、ドロップ・オン・デマンドのインクジェットプリンタ)を用いてパターン化された様式にて塗布される。代替的に、予め定められたパターンに従って連続的な噴流又は流れを発生することができる装置、例えば、電気流体力学的ジェットプリンタ、エアロゾルジェットプリンタ又は連続的なインクジェットプリンタなどが使用され得る。次に、デバイス又はエッチングされる基板が水で洗浄され、表面層及びエッチング生成物が除去され、よってデバイス材料中に一定のパターンを有するエッチングされた開口が露出する。
【0022】
好ましくは、表面層によって提供される成分は、エッチング加工において、酸性源のような化学成分を提供する。代替的に、表面層は、エッチング加工の局所的な活性に必要とされる本質的な抑制フレームワーク又は多孔性のネットワークを提供し得る。抑制フレームワークは、必要な物理的成分及びエッチング加工を触媒化する一つ以上の化合物のうちの少なくとも一つから構成され得る。堆積される流体の広がりを最小限にする、即ち、堆積される流体の作用を最小限にする低エネルギーの表面も提供され得る。
【0023】
二酸化シリコンをウェットエッチングする公知の方法は、二酸化シリコンの表面を、フッ化水素(HF)を含む溶液にさらすことを含む。エッチングの速度はエッチング液の組成、酸化物の種類及び温度に依存する。例えば、(濃縮された)49%のHF溶液は室温にて2300nm/分の速度にて熱的な二酸化シリコン層をエッチングするであろう。二酸化シリコンのエッチングはまた、エッチング用酸化物緩衝液を用いても実施され得る。これらの溶液は、フッ化アンモニウムとフッ化水素との混合物であり、アンモニウムイオンがエッチング液を一定のpHに維持し、エッチングが進行する際に一定のエッチング速度が得られる。フッ化アンモニウム及びフッ化水素の比率を変更することによって、異なるエッチング速度となることが報告されている。例えば、5:1の緩衝酸化物のエッチング(40%のNHFを5部と49%HFを1部)は、〜100nm/分のエッチング速度を有する。緩衝酸化物のエッチングにおいて起こる二酸化シリコンのエッチングの全体の反応は:
【0024】
【化1】

である。エッチング生成物であるケイフッ化アンモニウムは20℃にて250g/Lの高い溶解度を有し、フッ化アンモニウムの濃度が低いことは、固体沈殿物を形成することなく容易に洗い流せることを意味する。エッチング液においてフッ化アンモニウムの濃度が高いと、ケイフッ化アンモニウムの溶解度を低減する。例えば、ケイフッ化アンモニウムの溶解度は、仮にフッ化アンモニウムの濃度が20(w/v)%である場合には20℃にて7〜10g/Lに低減する。より低いpHであるか、或いは酸性環境では、ケイフッ化アンモニウムの溶解度は僅かに増大する。しかしながら、フルオロケイ酸塩の溶解度におけるこの影響は、フッ化アンモニウムの濃度が増大することによる影響と比較して特筆すべきものではない。従って、ケイフッ化アンモニウムの形成が関与するエッチングシステムにおいて、フッ化アンモニウムの望ましい濃度には制限がある。
【0025】
これらの基本的な二酸化シリコンのエッチング処方では、従来から種々の変更例が存在する。ある変更例では、異なる種類の酸化物に対するエッチングの特異性を増大させ、存在し得るその他の金属よりも二酸化シリコンを優先的にエッチングするように設計されている。例えば、パッド・エッチ(pad−etch)溶液(例えば、Ashlandから入手可能なPad Etch 4)は、回路基板上のアルミニウムパッドをはるかにゆっくりとエッチングしながら、二酸化シリコンをエッチングするように処方化されている。このエッチング系(11〜15%NHF+30〜34%CHCOOH+47〜51%HO+4〜8%プロピレングリコール+界面活性剤)において、酢酸は酸性源であり、フッ化物イオンと組み合わされてエッチングの反応種を形成する。
【0026】
二酸化シリコンをエッチングする本願の方法は、フッ化物イオンと酸とを別々に提供し、所望のエッチング位置にてこれら2つの基本的な前駆成分を一緒にすることによる。好ましくは、酸性成分は、エッチングされるべき(誘電体)表面上に表面層として形成される水溶性の酸性ポリマーフィルム中に酸性プロトンとして提供される。ポリマーフィルムは好ましくは、スピン−コーティングによりエッチングされるべき表面上に形成されるが、その他のポリマーコーティング法も使用可能である。代替的な実施形態において、表面層はポリマー以外の材料を含み得る(例えば、蒸発、スパッタリング、又は化学蒸着若しくはプラズマ蒸着のような方法によって堆積される無機材料)。
【0027】
フッ化物イオンは好ましくは水溶液にて処方化され、その後、エッチングが必要とされる位置にてパターン化された様式にて堆積される。溶液は、例えばドロップ・オン・デマンドのインクジェット印刷を用いて滴下により堆積され得るか、又は、例えば連続的なインクジェット印刷、電気流体力学的ジェット印刷若しくはエアロゾルジェット印刷を用いて連続した流体流として堆積され得る。連続流による堆積法では、エッチングパターンが噴流の終了を必要とする場合にはスパッタリングのような技術を使用する必要がある。エアロゾルジェット印刷のような堆積法において、堆積される溶液はポリマーフィルム上に堆積される前にエアロゾルに加工される。堆積流体なる用語は、以下においては、ポリマーフィルム(表面層)上に堆積される溶液又はエアロゾルを参照するものとして使用される。
【0028】
堆積流体がポリマーフィルムと接触する位置にてポリマーは局所的に溶解され、フッ化物イオンがポリマーからの酸性プロトンを取り込み、フッ化水素を形成する。形成されたフッ化水素は、堆積位置にて流体中に溶解され、露出された二酸化シリコンをエッチングする。このことは、フッ化水素を含有する腐食性のエッチング液を直接取り扱わないことを意味する。フッ化物を含有する溶液は毒性を有するものとして分類されてはいるものの、フッ化水素溶液と比較してはるかに安全に取り扱えるものである。加えて、好ましい実施形態の方法は、少量のフッ化物イオンを使用するのみであり、同フッ化物イオンは適切に希釈された濃度の溶液に処方化される。更に、フッ化物含有溶液に対する好ましい実施形態によって使用される堆積法は作業者と溶液との接触を最小限にする。例えば、インクジェットプリンタの流体リザーバに一旦装填されると、同溶液を更に取り扱う必要性はない。
【0029】
フッ化水素を含有するエッチング流体を直接堆積することは実施が困難である。その理由は、プリントヘッド、或いはより一般的には噴射装置が、同流体の腐食性に殆ど耐えることができないからである。フッ化水素は、大部分のセラミック製、ステンレス鋼製及びシリコン系のプリントヘッドを攻撃し、かつ腐食する。シリコン系のプリントヘッドは、フッ化水素によってエッチングされる二酸化シリコン成分を一般的には含有しているので使用することはできない。プリントヘッドを長期間に亘って腐食する原因となる他に、エッチング生成物がたちまちノズルを断続的に閉塞し、それは、溶液を確実に噴射することを困難にする。更に、殆どの作業者はインクジェット又はその他の流体堆積法によって、フッ化水素を含有する溶液を堆積することが安全ではないと考えている。その理由は流体が漏洩した場合には作業者が接触する危険性が存在するからである。本願の方法では、フッ化物含有溶液が腐食性ではないために、そのような問題は存在しない。このことは、溶液が、シリコン製及びセラミック製のプリントヘッドを用いて噴射可能であることを意味している。
【0030】
好ましい実施形態の種々の態様を、二酸化シリコン誘電体層に一定のパターンの開口を製造することを参照して、以下に記載する。このようにして形成された開口は、シリコン太陽電池のような半導体デバイスに対する金属接触子を形成するために好ましくは使用される。それらはまた、下にあるシリコンを拡散又はエッチングするための開口として使用され得る。従って、二酸化シリコン誘電体層のパターン形成は半導体及びその他の微小電気機械システム(MEMS)デバイスの一般的な製造において広く応用される。一般的な方法はその他の材料をエッチングするためにも適用され、同方法において、エッチャントは、少なくとも一つの表面層及び一つ以上の堆積流体からその場にて形成され得る。
【0031】
太陽電池のような半導体デバイスの誘電体層に開口をエッチングする方法は、図1A乃至図1Eを参照して詳細に記載される。好ましい実施形態の方法のための基板100は二酸化シリコン誘電体層110を備えたシリコンウェーハ105を含む。好ましい実施形態において、ウェーハはp型又はn型のシリコンウェーハであり得る。表面には、エミッタを作製するために、リン、ホウ素又はアルミニウムのような反対の極性を有するドーパントが拡散され得る。ウェーハの厚みは、150〜450μmの範囲であり得る。好ましくは、厚みが15〜400nmの範囲である熱成長二酸化シリコン層110が表面上に形成される。代替的な実施形態において、窒化シリコンのようなその他の誘電体が使用され得る。ガラス又はプラスチック材料のようなその他の基板であって、種々の技術を用いてシリコンが堆積されている基板を使用することもできる。そのような構造により薄膜太陽電池デバイスが得られる。
【0032】
その他の基板となりうるものには、シリコンインクジェットプリントヘッド、マイクロ流体デバイス及びその他のMEMSデバイスのようなデバイスの製造において成分としてしばしば使用されるシリコン・オン・インシュレータ基板が挙げられる。
【0033】
次に、図1Bに示されるように、二酸化シリコン誘電体層110の表面上に水溶性酸性ポリマーフィルム115がスピンコーティングされる。好ましくは、フィルムは、7500rpmの回転速度にて25(w/v)%のポリアクリル酸(PAA)水溶液から30秒間スピンコーティングされる。ポリアクリル酸は、約90000g/molの分子量を有するアクリル酸のホモポリマーである。PAAモノマー単位は、図2において化学構造が示されているように、酸性プロトン源である。PAAのpKaは、〜4.3である。
【0034】
スピンコーティングされたポリマーフィルムは、〜3時間風乾され、〜2.5μmの厚みのフィルムが得られる。酸性ポリマーフィルムを形成するために使用される溶液の固体含有量は、ポリマーフィルムの品質に多大な影響を与えないように5%乃至30%の範囲にて変更可能であり得るが、好ましくは、固体含有量は25%乃至30%である。より低い固体含有量のもの及びより速い回転速度のものの少なくとも一方を使用すると、薄いフィルムが得られる。浅いエッチング開口のみが必要とされる場合には、より薄いフィルムが適している。より低速にて回転することによって得られるより厚いフィルムは、より深い構造体をエッチングするために使用され得る。ポリマーフィルム115を備えた基板100は、エッチングが必要になるまで窒素下にて保存され得る。窒素は、ポリマーフィルムの不均一な加湿を最小限に留めるために使用される。
【0035】
代替的な実施形態において、酸性基を含むその他の水溶性ポリマー又は樹脂(例えば、酸性ポリチオフェン、ポリアニリン誘導体、硫酸ポリスチレン、ポリエステル又はフェノール樹脂)も使用可能である。また、酸性フィルムを形成するために、ポリマーの混合物又は配合物を使用することも可能である。例えば、PAAは、ポリビニルアルコール(PVA)のようなその他の水溶性ポリマーと配合され、その場合、PAA:PVA比は、必要とされるエッチングの程度に応じて、1:1乃至1:4の範囲である。ポリアクリル酸はまた、例えば、ポリメタクリル酸のようなより親水性の低いポリマーと配合され、より低い臨界表面張力を備えた乾燥したフィルムが得られる。この変更例は、より小さなエッチングフィーチャーが必要とされる場合には有利である。その理由は、堆積された液滴は、より疎水性の表面ではその広がりが小さくなるからである。酸性ポリマーのコポリマー(例えば、PAA)も、ポリマーフィルムを形成するために使用され得る。薄いフィルムを形成するためにコポリマー又はポリマーの配合物を使用することは、形成されたフィルムの酸性度を制御可能な方法となる。更に、ポリマーフィルムは更なる酸性基を直接与えることができるか、又はフィルムの酸性度を間接的に高めることができる添加物を含み得る。これらの添加物は、酸性ポリマー層を形成するために使用される溶液中に溶解されているか、分散(例えば、ナノ粒子)されている。これらの添加物はまた、ポリマーフィルムの表面特性を改質するために使用され得る。
【0036】
更に別の変更例において、ポリマーフィルムは界面活性剤も含み得る。好ましくは、フッ素系界面活性剤(例えば、3M社から入手できるNovec4200(R))が、1.0%未満の濃度にて使用される。これらの界面活性剤は、エッチングされるべき表面を堆積溶液がより均一に濡らすことを可能にすることによって、得られるエッチングの均一性が改善される。添加された界面活性剤はまた、ポリマーフィルムの臨界表面張力を積極的に低減し、より小さなエッチングフィーチャーを得ることを可能にする。例えば、FC−4432(同様に3M社から入手できる)のようなその他のフルオロポリマー添加物をフィルムに加えて、最終的なポリマー表面の臨界表面張力を特に低減することも可能である。しかしながら、より長鎖のフルオロポリマーは、Novec4200(R)等のより小さな界面活性剤調製物と比較した場合、湿潤剤としての効果は低い。フッ化物イオン化学に適合するその他の界面活性剤又は表面張力改質剤も使用可能である。
【0037】
二酸化シリコンのエッチングは、好ましくはフッ化物イオン源を含む溶液の液滴をインクジェット装置によって堆積することによって行われる。インクジェット装置は、デジタル制御されるとともに予め定められた画像パターンに従って表面上の位置に溶液の液滴を堆積可能であると好ましい。
【0038】
図1Cに示されるインクジェット装置120は一つ以上のプリントヘッド125を含み、同プリントヘッド125はノズル列から溶液の液滴130を放出する。個々のノズルの発射は熱的制御下又は圧電制御下にあり得る。噴射される溶液は、プリントヘッド上若しくはプリントヘッドに近接して配置されるカートリッジ、又はプリントヘッドから更に遠い位置に配置されたリザーバに保存され得る。好ましい実施形態において、インクジェット装置120のプリントヘッドは、ポリマー表面を横断するようにスキャンして、スキャンにて必要とされる時に溶液を堆積する。基板100は、プリントヘッドに対してスキャン軸とは垂直な軸に移動するプラテン上に配置される。しかしながら、代替的な実施形態において、プラテンはプリントヘッドが両方向にスキャンする際に静止して維持され得るか、又は基板(例えば、基板100)が両方向に移動される際にプリントヘッドが静止して維持され得る。プラテン及び、従って基板100は、印刷時には加熱されると好ましい。
【0039】
好ましい実施形態において、FUJIFIUM(R)Dimatrix(R)より製造された、圧電制御されたシリコンプリントヘッドが使用され、フッ化物含有溶液が堆積される。プリントヘッドはカートリッジに組み込まれ、1ピコリットル又は10ピコリットルの液滴径を有する254μm(ミクロン)の間隙にて一列に離間された16個のノズルを備える。より小さな1pLの公称液滴径を備えたカートリッジが使用されると好ましい。しかしながら、より大きなエッチングフィーチャーが必要とされる場合には、10pLのカートリッジが有利である。なぜならば、エッチングされるべき二酸化シリコンの所定体積に対して堆積されるべき液滴がより少ししか必要とされないからである。1pL及び10pLのカートリッジの各々に対して、液滴当りに堆積される実際の体積は、発射条件(例えば、ノズルに印加される電圧)及び堆積される溶液の特性(例えば、表面張力及び粘度)に依存する。その他の液滴体積を堆積可能なプリントヘッドもまた使用可能である。一般的に、より小さな液滴体積は、より小さなエッチング開口を生ずるが、同程度のエッチング深さに対しては、一般的にはより多くの層を印刷することが必要となる。
【0040】
個々のノズルの発射はソフトウェアにて制御された状態にあり、よって、予め定められたパターンに従ってプログラム化された液滴の堆積を可能にする。パターンは、ビットマップ・ファイルのような標準的な画像フォーマットを使用して提供される。更に、基板100の表面を必要とされる深さにエッチングするために十分な量の堆積流体を提供するために、好ましい実施形態にて使用されるインクジェト装置のソフトウェアは、選択された場所に、選択されたパターンの複数の層を印刷することが可能である。層は、連続した層が僅かな時間差にて次々と印刷される。選択的に、時間差は、連続する層の印刷間に挿入される。更なる代替的な実施形態において、パターンの複数の層を印刷するよりはむしろ、プリントヘッド及びプラテンの少なくとも一方が次の堆積位置に移動する前に、堆積溶液の複数の液滴が各位置に堆積される。この試みは、複数の層の印刷間に良好な整列を必要としないので有利である。しかしながら、開口(例えば、溝)の不均一なエッチングを生ずることもある。
【0041】
フッ化物含有溶液の複数の層を印刷するための必要条件は、エッチングの化学量論に起因することが理解されるべきである。二酸化シリコン結晶層において、各シリコン原子をエッチングするために6個のフッ化物イオンが必要とされる。全てのフッ化物がエッチング加工において消費され、かつポリマーフィルムが過剰の酸性基を提供すると仮定した場合、画定された大きさの開口をエッチングするために必要とされるフッ化物含有堆積溶液の全最少量を計算することが可能である。
【0042】
好ましい実施形態にて使用されるインクジェット装置は、粘度が10乃至14cPであり、かつ表面張力が28乃至32mN/mである場合に最適に溶液を噴射する。しかしながら、装置を使用して、2cPといった低粘度を有する溶液を噴射することも可能である。これは、圧電ノズルに印加される波形を適切に調整することによって達成される。表面張力の変更は、可能ではあるものの、その適合が更に難しい。仮に溶液の表面張力が高すぎる(例えば、脱イオン水に関して〜70mN/m)と、プリントヘッドにプライミングすることが困難となる(即ち、最初にノズルから溶液が噴射しなくなる)。一方、仮に溶液の表面張力が低すぎる場合、ノズル開口(ノズルプレート)を含む面は典型的には噴射される溶液で溢れた状態となり、液滴のポリマー表面上での不規則な配置を引き起こすことになる。好ましい実施形態にて使用されるインクジェット装置のノズルプレートは、濡れを有していないポリマー表面を備えるが、表面張力の低い流体の噴射は、その表面に濡れの大きな部分を生じ、よって不規則な噴射を生ずることになる。
【0043】
堆積溶液中のフッ化物イオンは、フッ化アンモニウム水溶液であって、フッ化アンモニウムの濃度が10乃至15(w/v)%の範囲であり、好ましくは〜11(w/v)%である水溶液として提供される。その他のフッ化物イオン源(例えば、フッ化ナトリウム、フッ化リチウム、テトラアルキルアンモニウムフッ化物化合物)も使用可能である。しかしながら、最終的なエッチング生成物の溶解度を慎重に考慮する必要がある。例えば、ケイフッ化ナトリウムの溶解度(20℃にて〜40mg/L)はケイフッ化アンモニウムの溶解度よりはるかに小さい。このことは、エッチング生成物がエッチングされるべき表面に堆積せずに、開口の更なるエッチングを回避することを確実にするためには、より希釈されたフッ化物溶液を噴射する必要があることを意味する。より希釈されたフッ化物溶液の堆積は、より多量の堆積溶液を噴射する必要性を意味する(即ち、パターンのより多くの層を印刷する必要性が生ずるから)。
【0044】
好ましい実施形態において、分子量が400g/molである20(v/v)%のポリエチレングリコール(PEG400)も噴射溶液に加えて、粘度を〜4cPまで増大させ、噴射の性能を改善することも可能である。代替的な実施形態において、PEG400を堆積溶液から除くか、溶液中にPEG400をより低濃度にて含むこともできる。しかしながら、低粘度の溶液を確実に噴射させるためには、より低いパルス電圧、より遅いパルス立ち上がり時間及びより低い噴射頻度(jetting frequencies)が必要とされる。その他の実施形態において、PEG400を、溶液の粘度を増大させるその他の化合物(例えば、グリセロール、ポリビニルピロリドン又はその他のグリコールのような塩基性水溶性ポリマー化合物)に代えることもできる。
【0045】
堆積溶液のpHは8乃至10の間まで増大され、より好ましくは、水酸化アンモニウムを加えることにより8にする。堆積溶液中におけるエッチング活性種であるHF及びHFの濃度を最小限にすることを確実にするために、高いpHが必要とされる。フッ化アンモニウム溶液において、7より大きなpH値にて、これら両活性種の濃度は効果的にゼロとなり、二酸化シリコンのエッチングが起こらないので、プリントヘッド中のいかなる二酸化シリコン成分をも保護することができる。仮に溶液がアルカリ側に極端に傾いた場合(例えば、pH>11)、シリコンプリントヘッドに幾らかのエッチングが起こり得るかもしれない。
【0046】
好ましい実施形態で得られる堆積溶液の表面張力は、28℃にて〜46mN/mである。これは、FUJIFILM(R)Dimatix(R)のプリントヘッドを使用する場合の最適な表面張力の範囲を超えているが、増加した表面張力に適合させるために、噴射の波形を調整することができる。増加した表面張力は、臨界表面張力が〜44mN/mであるPAA表面と接触した場合の溶液の広がりを有利に小さくすることができる。堆積溶液の表面張力を低減することによって、堆積された液滴の広がりが大きくなり、よって、より大きなエッチングフィーチャーが得られる。
【0047】
最後に、堆積溶液の温度は28℃に維持される。これより低い温度を使用することもできるが、典型的には、低温では溶液の表面張力が大きくなり、溶液を噴射することがより困難になる。
【0048】
適度に高い表面張力を有する溶液を、Novec4200(R)(3M社)のような界面活性剤を含むポリマー表面に噴射することは、小さな、かつ明瞭なエッチングフィーチャーを得るための有効な方策である。この方策は、FUJIFILM(R)Dimatix(R)のプリントヘッドによって使用される発射波形を調整することが可能であることから、可能となる。
【0049】
代替的な実施形態において、Novec4200(R)(3M社)のようなフッ素化界面活性剤が堆積溶液に加えられる。これらの界面活性剤は、表面張力を、FUJIFILM(R)Dimatix(R)のプリントヘッドの最適範囲にある値にまで効果的に下げることができる(図3を参照)。Novec4200(R)に対し、0.3%乃至0.5(v/v)%の濃度は堆積溶液の表面張力を下げ、28乃至32mN/mの範囲に最適化し、よって確実な噴射が可能となる。フッ化物イオン含有溶液に適合可能なその他の界面活性剤を使用することもできる。
【0050】
更に、表面張力を変更できるその他の添加物を使用することもできる。例えば、プロピレングリコールのようなグリコール類の添加は、表面張力をFUJIFILM(R)Dimatix(R)のプリントヘッドの最適範囲にまで容易に下げることを可能にする。異なるプリントヘッドを使用するその他の実施形態において、同プリントヘッドの操作上の必要条件に適合するように、表面張力及び粘度を変更することが必要であろう。
【0051】
好ましい実施形態において、プラテン及び、従って基板100は堆積溶液の噴射時には加熱される。プラテンの加熱により、堆積溶液の溶媒の幾らかが噴射時に蒸発し、より小さな濡れ部分を生じ、その結果より小さなエッチング開口が得られる。溝開口をエッチングするために、プラテンは45℃まで加熱されると好ましい。プラテンは、45℃を超える温度に加熱すると、より小さなエッチングフィーチャー及びより迅速なエッチングが得られる。しかしながら、少なくとも溝開口に対しては、エッチングはより不均一になる。これは、活性エッチング表面における水性環境の低減及びケイフッ化アンモニウムのエッチング生成物の堆積が起こり得ることによるものである可能性が高い。
【0052】
プラテンを〜100℃の温度まで過度に加熱することは、形成されたHFの蒸発を生ずるので回避すべきである。49%HFの沸点は106℃ではあるが、HFが更に濃縮されると、その沸点は低下する。例えば、同沸点は、70%では66℃まで、全ての水を除いた場合(即ち、無水HF)では19.5℃まで低下する。好ましい実施形態において、インクジェット装置の印刷部は、堆積加工時に形成される可能性のあるいかなる腐食性のHF蒸気をも確実に除去するために通気されている。
【0053】
図1Dに戻ると、基板100がインクジェット装置のプラテンから除去され、脱イオン化流水に5乃至10分間浸漬される。この最終的な洗浄工程により、開口150に捕捉されているエッチング生成物と水溶性ポリマーフィルムの両者が除去され、図1Eに示されるように、開口160を備えた最終的にエッチングされた基板100が形成される。既存のウェットエッチング加工とは異なり、この洗浄工程時におけるフッ素化された廃棄物の量は非常に少なく、インクジェットプリンタによって堆積されているフッ化物のみである。このことは、廃棄物がかなり希釈され、それほど危険ではないことを意味する。
【0054】
実際に、多くの用途において、廃棄水(洗浄水)中のフッ化物の濃度は、規制当局によって要求される濃度よりも小さいものである(課される規制に応じて2−20ppmのオーダーにて)。フッ化物の正確な量は、どの加工においても計算することができるので、フッ化物を許可された排出レベルまでに適切に希釈するために必要な水の量を使用して、エッチングされたデバイス又は基板が洗浄される。上記した方法においては、フッ化物廃棄物を処理する必要のない場合もあることは、二酸化シリコンのような誘電体をエッチングする既存の湿式化学法と比較して非常に有利である。
【0055】
好ましい実施形態の方法を使用して、二酸化シリコン層に、少なくとも400nmの深さまでのホール及び溝開口の両方をエッチングすることが可能である。図4は、11.2(w/v)%のフッ化アンモニウムを含有する堆積溶液をPAA酸性ポリマー層に50層堆積することにより、二酸化シリコン層にエッチングされた溝のDektakプロファイルを示す。ポリマー層は、磨かれたシリコンウェーハ上に熱成長された400nmの厚みを有する二酸化シリコン層上に、0.6(v/v)%のNovec4200(R)を含む25(w/v)%のPAAからなる溶液をスピンコーティングすることによって形成される。プラテンの温度は45℃であり、パターンの線のピクセルは、25μm離間していた。堆積された液滴間の間隙を増大すると僅かに狭い溝が形成されるが、堆積溶液のより多くの層を堆積することが必要となる。液滴の間隙をより接近させると、より広い溝が形成されるが、同じ深さのフィーチャーをエッチングするためにはエッチングパターンのより少ない層を印刷することが必要になる。
【0056】
図5は、図4のプロファイルから得られるエッチングされた溝を示す光学画像である。表面における溝の幅は、50乃至60μmであった。既に記載された変更例の幾つかを用いることにより更に狭い溝がエッチングされる(例えば、より少ない数の堆積溶液の層を印刷することにより、液滴の間隙を増大することにより、ポリマーフィルムの臨界表面張力を減少することにより、プラテンの温度を増大することにより、等)。
【0057】
図6は、磨かれたシリコンウェーハ上に熱成長された〜290nmの二酸化シリコン層上に、好ましい実施形態の方法によってエッチングされたホール列を示す。ホールは、11.2(w/v)%のフッ化アンモニウムを含有する堆積溶液をPAA酸性ポリマー層に60層印刷することによりエッチングされる。ポリマー層は、磨かれたシリコンウェーハ上に熱成長された〜300nmの厚みを有する二酸化シリコン層上に、25(w/v)%のPAAからなる溶液をスピンコーティングすることによって形成される。印刷時のプラテンの温度は、45℃に維持された。図7は図6に記載されたホールの一つの光学画像である。エッチングされたホールの外径は、〜35μmであった。図8は図6に示されるホールの一つのAFMプロファイルを示す。
【0058】
溝及びホール開口は、より高いフッ化物濃度(例えば、14〜15(w/v)%のフッ化アンモニウム)を含む堆積溶液を使用してエッチングされる。フッ化物の濃度を高くすると、堆積されるべき層の数を減らすことができるが、得られた溝の幅及びホールの直径の少なくとも一方が大きくなる。これは、フッ化物の濃度を高くすることによって表面ポリマーと接触する液滴の広がりが大きくなることによる。液滴の広がりを増大させることに加えて、堆積溶液中のPEGが溶媒の蒸発に伴い堆積された液滴の周縁部に移動する傾向がある。この減少は、「コーヒーリング」効果として一般的には知られている。PEGは同時にフッ化物イオンも運び、よって、堆積された液滴の中央部と比較して、周縁部のフッ化物イオンの濃度が高くなる。この効果により、図6乃至8に示されるように、円形のホールよりは、むしろ「ドーナツ」型の開口が形成されることになる。図9は、14.4(w/v)%のフッ化アンモニウムを含有する堆積溶液をPAA酸性ポリマー層に50層印刷することにより形成されたそのようなエッチング開口のAFMプロファイルを示す。ポリマー層は、磨かれたシリコンウェーハ上に熱成長された〜390nmの二酸化シリコン層上に、25(w/v)%のPAAからなる溶液をスピンコーティングすることによって形成される。ドーナツ型の開口は、堆積流体中のPEG400に代えてプロピレングリコールのような低級グリコール類を含むことにより最小化される。
【0059】
既に述べたように、プラテンの温度は、同方法を特定の必要条件に調整するように変更可能である。溝開口をエッチングする好ましい方法では45℃のプラテン温度を使用しているが、特に、より厚い酸化物層をエッチングする必要のある場合には、ホール開口をエッチングするためにより高い温度のプラテンを使用すると有利である。図10はプラテン温度の関数として、(二酸化シリコンの)エッチングの最大深さを示すグラフである。これらの結果は、14.4%のフッ化アンモニウムを含有する堆積溶液と、〜2.5μmの厚みのPAA酸性層と、を使用した場合に得られた。(図9に示されるように)得られたドーナツ型の開口のエッチングの最大深さは、対応するAFMプロファイルから測定された。
【0060】
明らかに、加工又は応用にて使用される実際のエッチングパラメータの規格は、フィーチャーのサイズ、加工によって必要とされる酸化物の厚み、エッチングの完全性及び廃棄物処理のような必要条件に依存するであろう。ポリマー及び堆積溶液の一方又は両方に界面活性剤及びその他の添加物を加えることは、エッチングの性能を改善するが、加工時における廃棄流体中にそれらが存在していることは問題となりうる場合もある。好ましい実施形態におけるエッチング法では、それらの使用を必要としない。
【0061】
記載された方法は、磨かれた平坦なシリコンウェーハ、又はテクスチャを備えたシリコンウェーハ上に成長又は堆積された酸化物層に一定のパターンを有する開口をエッチングするために使用され得る。典型的には、シリコンウェーハ太陽電池の用途においては、ウェーハ表面は、前面からの反射を低減するために、そして、幾らかの場合においては、セル内部に光線をトラップするために、湿式化学エッチング法を用いてテクスチャ化される。
【0062】
図5乃至8に示されるようなエッチングされた溝及びホールはシリコン太陽電池の金属接触子を形成するために使用され得る。幾らかの場合において、溝の底部が引き続いて拡散工程を必要とする場合、酸化物層は、拡散工程時に、溝が存在していない表面をドーパント原子から保護するための拡散マスクとして使用され得る。幾らかの場合において、下にあるシリコンのエッチングが必要とされる場合、酸化物はエッチングマスクとして作用する。加工の条件に応じて、少なくとも300nmの厚みの酸化物層が必要とされ得る。例示されているように、本発明の方法を使用して、そのような酸化物層を介する溝及びホールのエッチングが達成され得る。
【0063】
エッチング開口のパターンはまた、下にあるシリコンを拡散するための、又はその他の半導体又はMEMSデバイスのために下にあるシリコンをエッチングするためのマスクとしても使用され得る。二酸化シリコン層は、デバイスの一部として保持され得るか、又は犠牲的なものであり得る(即ち、引き続く拡散またはエッチング工程におけるマスクとして作用後は除去される)。
【0064】
更に、記載された方法は、窒化シリコン層に開口をエッチングするために使用され得る。多くの場合、窒化シリコンは、シリコン太陽電池において使用される好ましい保護及び反射防止層である。図11は75nmの厚みを有する窒化シリコン層にエッチングされた溝開口を示す光学画像である。窒化シリコン層は、プラズマ化学気相堆積法を用いて〜280nmの厚みを有するテクスチャ化されたシリコンウェーハ上に堆積された。窒化シリコン層上に形成された〜2.5μmの厚みのPAA表面層上に、11.2%のフッ化アンモニウムを含有する堆積溶液を50層印刷することにより、窒化シリコンに溝がエッチングされた。印刷された線の堆積された液滴間の間隙は、25μmであった。
【0065】
更なる変更例において、一つ以上のエッチング成分が表面層に堆積され得る。例えば、シリコンの領域は、(二酸化シリコンをエッチングするために既に記載されているような)フッ化物源及びシリコンのための酸化剤(例えば、硝酸又は過酸化水素)をほぼ同時に堆積することによってエッチングされ得る。これら二つの成分は、別々のインクジェットプリントヘッド又はジェットノズルから堆積され得る。二つの成分の相対的な濃度は、堆積機構によって制御され得る。例えば、仮に二つの成分がインクジェット印刷によって堆積され、かつ必要とされる酸化剤の体積がフッ化物源の体積の5倍であった場合、酸化剤はフッ化物源よりも5倍も多くの層が堆積可能となる。個々の層が堆積される順序もまた制御可能である。例えば、反応の初期においては、フッ化物源よりも酸化剤をより多く堆積することが有効であろう。流体が連続した流れにて堆積される代替的な堆積法を用いることによって、二つの成分の所望の体積比が、加工されるべき表面を移動するノズルの速度を変更することによって制御され得る。
【0066】
表面層は、(二酸化シリコンがエッチングされる好ましい実施形態について既に記載されているように)エッチング反応における本質的な化学成分となり得るか、或いは、物理的なフレームワークとして作用し得るか、又は加工反応において必要とされる添加物を含み得るかの、いずれかである。シリコンがエッチングされる上記した変更例において、表面層の役割は、堆積された流体の広がりを最小限に留める多孔性のフレームワークを提供することである。表面層が存在しない場合、堆積された流体は表面上に大きく広がって、より大きなエッチングフィーチャーを形成する。代替的に、表面層は、加工反応のための添加物(例えば、界面活性剤、触媒、酵素、還元剤、酸化剤等)を供給するために使用され得る。例えば、本明細書にて先に記載されたように、界面活性剤は表面層に含めることができる。触媒及び酵素は類似した方法によって添加可能であり、それらの効果的な濃度は、表面層を形成するために使用される溶液中の添加物の濃度によって制御することが可能である。
【0067】
本質的な化学成分(例えば、酸性源)として、又は物理的なフレームワークとして、表面層を使用することは、半導体製造法において日常的に使用されている、その他の誘電体、半導体及び金属(例えば、アルミニウム、銅及びクロム)のエッチングに応用することがまた可能である。
【0068】
最後の変更例において、表面層は省略され、かつ表面を加工するための第一及び第二の成分を加工されるべき表面に直接適用することもできる。例えば、シリコンは既に記載されたように直接エッチングされるが、表面層は必要とはされない。この変更例において、表面処理を使用して堆積された溶液を広げることを制限すると有利であろう。例えば、シリコン表面は、表面を親水性にするいかなる生来の酸化物層をも除去するためにフッ化水素又はフッ化アンモニウム溶液を用いて予め処理され得る。代替的に、物理的なバリアを使用して、堆積された流体の広がりを低減することもできる。例えば、すでに記載された好ましい実施形態を用いて二酸化シリコン層中にてマスクを最初にエッチングして、次に、フッ化物源(例えば、フッ化アンモニウム)及びシリコンのための酸化剤(例えば、硝酸又は過酸化水素)を酸化物の開口(溝又はホール)に堆積させる。この実施形態において、酸化物のマスクが加工時に過度にエッチングされないことを保証するために、エッチング部位におけるフッ化物イオンの濃度を制限することが必要である。
【0069】
本発明の上記した実施形態の全てにおいて、加工されるべき表面のその位置に加工に必要な少なくとも二つの成分を一緒に配置することによって、エッチングのような加工が、可能になることは明らかである。毒性を有する化合物、又は腐食性の化合物が加工されるべき場所においてのみ発生するので、このアプローチはエッチングのような加工においては有利である。このことは、(i)ヒト作業者に対する加工の安全性を増大させる、(ii)化学薬品の使用を低減できる、及び(iii)化学廃棄物を低減できる、という点から望ましい。更に、加工反応の個々の成分は、活性を有するエッチャント又は改質剤よりも典型的には取り扱いが容易である(即ち、化学的な反応性が低い)ので、このアプローチでは、インクジェット印刷のようなパターン化堆積技術を使用することが可能である。金属、誘電体及び半導体のエッチングにおいて典型的に使用されている腐食性の化学薬品は、デバイスの流体経路の部品を腐食するので、パターン形成の様式において堆積することは困難である。
【0070】
広く記載されているような本発明の精神又は範囲を逸脱することなく、特定の実施形態にて示されているような本発明に対して、種々の変更及び/又は修正がなされることは当業者には理解されるであろう。従って、本発明の実施形態は、全ての点において、例示的なものとみなされるべきであり、制限されるものではない。
著作権表示
本特許出願の文書の開示の一部は、著作権保護を受けている材料を含む。著作権者は、特許文書又は特許の開示を誰でも複製することに異存はない。その理由は、同著作権者が特許商標局に現れて特許の出願又は記録行っているか、そうでなければ、同著作権者が全ての著作権を保有しているからである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面を加工するための方法であって、前記加工は前記表面の予め定められたパターンによって画定された部分に制限される方法において、前記方法は、
(a)加工されるべき表面の領域であって、前記予め定められたパターンの部分を少なくとも覆う領域上に伸びる層として表面を加工するために必要とされる少なくとも第一の成分を提供する工程と、
(b)前記表面を加工するために必要とされる一つ以上の更なる成分からなる少なくとも一つの堆積組成物を提供する工程と、
(c)前記予め定められたパターンに従って加工されるべき領域上に前記少なくとも一つの堆積組成物を塗布する工程と、
を含み、それにより、前記表面を加工するために必要とされる第一の成分は、前記予め定められたパターンの部分のみにおいて前記表面を加工すべく、前記表面を加工するために必要とされる一つ以上の更なる成分と反応する、方法。
【請求項2】
加工されるべき表面の領域を覆って伸びる前記第一の成分からなる層は、気相状態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
加工されるべき表面の領域を覆って伸びる前記第一の成分からなる層は、液相状態にある、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
加工されるべき表面に多孔性材料が塗布され、かつ前記表面を加工するために必要とされる第一の成分は多孔層の内部に拘束される、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
加工されるべき表面の領域を覆って伸びる前記第一の成分からなる層は、ゲル又は固体層である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
加工されるべき表面の領域を覆って伸びる前記第一の成分からなる層は、前記第一の成分を含有する溶液を塗布して、前記溶液の溶媒を蒸発させて、前記表面上に第一の成分を堆積させることによって、適用される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第一の成分を含有する溶液を塗布する方法は、フロー−オン法、スピン−オン法、吹きつけ塗装法、又はインクジェット印刷法からなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第一の成分を含有する溶液は、前記表面の加工を促進する、又は触媒する、添加物も含む、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記添加物は、前記表面の加工時には界面活性剤として作用する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記添加物は、前記表面層の臨界表面張力を低減する、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
加工されるべき表面の領域を覆って伸びる前記第一の成分からなる層は、加工されるべき表面の領域上に昇温下にて同第一の成分を流すことによって層を形成し、冷却によって形成された層を硬化することによって適用される、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項12】
前記第一の成分及び前記一つ以上の更なる成分の混合物によって作製される加工材料は、取り扱いを困難にする物理的特性(例えば、強い腐食性、毒性、粘性、又は粘着性)を有し、かつ前記一つ以上の更なる成分は当該特性を示さないか、又はより低い程度にて当該特性を示す、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記表面は、予め定められたパターンに従ってエッチング加工される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記表面は、予め定められたパターンに材料の層を塗布することによって加工される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記表面は、予め定められたパターンに表面の性質を変更することによって加工される、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項13に記載の表面を加工する方法であって、前記表面は予め定められた材料の表面であり、かつ前記表面のエッチングは前記予め定められたパターンに従っている方法において、前記方法は、
(a)前記予め定められた材料の上に表面層を形成する工程であって、前記表面層は前記予め定められた材料をエッチングするのに必要とされる少なくとも第一の成分からなる工程と、
(b)前記予め定められた材料をエッチングするために必要とされる一つ以上の更なる成分からなる少なくとも一つの堆積組成物を提供する工程と、
(c)前記予め定められたパターンに従って前記表面層に前記少なくとも一つの堆積組成物を塗布する工程と、
を含み、それにより前記第一の成分からなる前記表面層は、前記予め定められたパターンに従って加工されるべき予め定められた材料の領域をエッチングするために前記一つ以上の更なる成分と反応する、方法。
【請求項17】
前記予め定められた材料は、二酸化シリコン、窒化シリコン、炭化シリコン、TCO、ガラス、有機樹脂及びパターンマスク材料を含むその他のポリマーのような誘電体、アルミニウム、銅、銀、金、スズ、及び鉛又はそれらの合金のような金属、及びシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、又はシリコンーゲルマニウム若しくはアルミニウム−ガリウム−ヒ素、セレン化インジウム、セレン化ガリウム、テルル化カドミウム又はセレン化銅インジウムガリウム(CIGS)のような合金を含む半導体材料からなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記表面層はポリマー層を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ポリマー層は酸性である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記表面層は水溶性である、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記表面層は、ポリアクリル酸、硫酸ポリスチレン、酸性のポリチオフェン誘導体、酸性のポリアニリン誘導体、又は水溶性のフェノール樹脂の一つを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記堆積組成物はフッ化物イオン源を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記フッ化物イオン源は、フッ化アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムフッ化物、フッ化ナトリウム及びフッ化リチウムの一つ以上によって供給される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記エッチングはシリコン太陽電池デバイスの誘電体層に開口を形成する、請求項13又は16に記載の方法。
【請求項25】
前記開口は、前記シリコン太陽電池デバイスに金属接触子を形成するために使用される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1乃至25のいずれか一項に記載の方法は最終工程を含み、前記最終工程は:
前記表面を洗浄して、前記予め定められたパターンの外側に残る第一の成分からなる層の部分と、不必要な加工生成物と、を除去することを含む、方法。
【請求項27】
表面をエッチングするための方法であって、前記表面が予め定められた材料の表面であるとともに前記表面のエッチングが予め定められたパターンに従う方法において、前記方法は、
(a)前記予め定められた材料をエッチングするために必要とされる一つ以上の成分からなる第一の堆積組成物を提供する工程と、
(b)前記予め定められた材料をエッチングするために必要とされる少なくとも更なる成分からなる第二の堆積組成物を提供する工程と、
(c)前記予め定められたパターンに従ってエッチングされるべき領域上に前記第一及び第二の堆積組成物を塗布する工程と、
を含み、それにより、前記第一の堆積組成物の一つ以上の成分が、前記予め定められたパターンに従って予め定めされた材料の領域をエッチングするために、前記第二の堆積組成物の一つ以上の成分と反応する、方法。
【請求項28】
前記堆積組成物の成分は、エッチングされるべき前記予め定めされた材料のための酸化剤を含む、請求項16又は27に記載の方法。
【請求項29】
前記酸化剤は硝酸及び過酸化水素のうちの一つである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記予め定められた材料はシリコンである、請求項1又は16に記載の方法。
【請求項31】
堆積組成物が滴下によって送達される、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
堆積組成物の液滴がインクジェット印刷装置を用いて適用される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
堆積組成物が連続した流体流として送達される、請求項1乃至32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記流体流は、電気流体力学印刷装置、連続的なインクジェット印刷装置又はエアロゾルジェット印刷装置のうちの一つである装置によって発生される、請求項33に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図3】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−511442(P2011−511442A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544535(P2010−544535)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際出願番号】PCT/AU2009/000098
【国際公開番号】WO2009/094711
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(503226040)ニューサウス・イノベーションズ・ピーティーワイ・リミテッド (7)
【住所又は居所原語表記】Rupert Myers Building, Gate 14, Barker Street, UNSW, Sydney, New South Wales 2052, Australia
【Fターム(参考)】