説明

選択的サブタイプアルファ2アドレナリンアゴニスト及びその使用方法

【課題】サブタイプ選択的アルファ2アドレナリンアゴニストとして有効な化合物の使用を提供する。
【解決手段】本明細書に記載される充分に定義された複素環化合物は、アルファ2アドレナリン受容体の選択的サブタイプモジュレーションと関連している様々な疾患を治療するのに有効である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2008年1月18日に出願の米国仮出願第61/022,158号及び2009年1月14日に出願の米国非仮出願第12/353,406号の恩典を主張し、これらの明細書の記載は、本願明細書に全体として含まれるものとする。
発明の分野
本発明は、一般的には、ある種の複素環化合物及びアゴニストとして、例えば、アルファ2アドレナリン受容体の選択的サブタイプアゴニストとしてのその使用に関する。本発明は、詳細には、これらの化合物や医薬組成物の選択的サブタイプアルファ2アドレナリン受容体モジュレーションと関連している疾患を治療するための使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒトアドレナリン受容体は、広い2つの種類、アルファアドレナリン受容体とベータアドレナリン受容体に分類された不可欠な膜タンパク質である。いずれのタイプも、カテコールアミン、ノルエピネフリン及びエピネフリンの結合時に末梢交感神経系の作用を仲介する。
【0003】
ノルエピネフリンはアドレナリン作動性神経末端によって生じ、エピネフリンは副腎髄質によって生じる。これらの化合物に対するアドレナリン受容体の結合親和性が分類の一つの基礎をなしている: アルファ受容体は、エピネフリンより強く、また、合成化合物イソプロテレノールより非常に強くノルエピネフリンを結合する傾向がある。これらのホルモンの好ましい結合親和性は、ベータ受容体に対しては逆転する。多くの組織において、アルファ受容体活性化によって誘導される平滑筋収縮のような機能的応答は、ベータ受容体結合によって誘導される応答の反対である。
【0004】
その後、アルファ受容体とベータ受容体の間の機能的な違いは、種々の動物源や組織源からこれらの受容体の薬理学的評価によって更に強調され且つ詳細になった。結果として、アルファアドレナリン受容体とベータアドレナリン受容体は、アルファ1、アルファ2、ベータ1、及びベータ2のサブタイプに更に細分された。アルファ1受容体とアルファ2受容体の間の機能的な差が認識されてきており、これらの2つのサブタイプの間の選択的結合を示す化合物が開発されてきた。このように、公開国際特許出願WO92/0073には、テラゾシンのR(+)エナンチオマーのアルファ1サブタイプのアドレナリン受容体への選択的結合能が報告された。この化合物のアルファ1/アルファ2の選択性は、アルファ2受容体のアゴニスト刺激がエピネフリンやノルエピネフリンの分泌を阻止すると言われ、また、アルファ2受容体の拮抗がこれらのホルモンの分泌を増加させると言われることから、重要なものとして開示された。従って、フェノキシベンザミンやフェントラミンのような非選択的アルファアドレナリン遮断薬の使用は、高血漿カテコールアミン濃度のアルファ2アドレナリン受容体仲介誘導と付随する生理的続発症(高心拍数及び平滑筋収縮)によって制限されると言われた。
【0005】
アルファアドレナリン受容体についての一般背景に対して、更に、読者の注目は、Robert R. Ruffolo, Jr., alpha-Adrenoreceptors: Molecular Biology, Biochemistry and Pharmacology, (Progress in Basic and Clinical Pharmacology series, Karger, 1991)に向けられ、この中で、アルファ1/アルファ2下位分類の根拠、分子生物学、シグナル形質導入、アゴニスト構造-活性関係、受容体機能、及びアルファアドレナリン受容体親和性を示す化合物の治療用途が探究されている。
【0006】
動物組織からのアルファ受容体サブタイプのクローニング、塩基配列決定及び発現が、アルファ1アドレナリン受容体のアルファ1A、アルファ1B及びアルファ1Dへの下位分類につながった。同様に、アルファ2アドレナリン受容体が、アルファ2A受容体、アルファ2B受容体、及びアルファ2C受容体に分類された。各アルファ2受容体サブタイプは、それ自体の薬理学的特異性と組織特異性を示すと思われる。これらのサブタイプの1つ以上に対してある程度の特異性を有する化合物は、アルファ2受容体パンアゴニスト(例えば、薬剤クロニジン)又はパンアンタゴニストより所定の適応症の特定の治療剤であり得る。
【0007】
緑内障、高血圧症、性機能障害、うつ病の治療のような他の適応症の中でも、アルファ2アドレナリン受容体アゴニスト活性を有するある種の化合物は、既知の鎮痛剤である。しかしながら、このような活性を有する多くの化合物は、アルファ2アドレナリン受容体によって調整される障害を治療する場合に望ましい活性や特異性を示さない。例えば、疼痛の治療に有効な物質であることがわかった多くの化合物は、全身的有効用量で血圧低下やや鎮静状態を鎮静状態を引き起こすような望ましくない副作用を有することがしばしば見い出されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの望ましくない副作用を引き起こさずに疼痛を緩和する新規な薬剤が求められている。更に、疼痛、特に慢性疼痛、例えば、慢性の神経障害性疼痛や内臓痛に対して活性を示す物質が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、サブタイプ選択的アルファ2アドレナリンアゴニストとして有効である充分に定義された複素環化合物を提供する。このように、本明細書に記載される化合物は、アルファ2アドレナリン受容体の選択的サブタイプモジュレーションと関連している様々な疾患を治療するのに有効である。
本発明の一実施態様において、下記構造を有する化合物、又はその医薬的に許容され得る塩が提供される:
【0010】
【化1】

【0011】
構造 1
(式中、Xは、O、S又はNHであり;
Z1-Z6は、各々独立して、C、N、O、又はSであるが、Z1-Z6の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、-N(R6)2、-CN、-CO2R6、又は-CH2OHであるか; 又は、
nが2である場合、各R1はこれらが結合している炭素原子と一緒になって縮合アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、又は置換複素環を形成し;
R3、R4、R5、及びR6は、各々独立して、H又は低級アルキルである)。
【0012】
他の実施態様において、構造1の少なくとも1つの化合物をそのための医薬的に許容され得る担体中に含む医薬組成物が提供される。
本発明の実施態様において、更に、アルファ2アドレナリン受容体の選択的サブタイプモジュレーションと関連している疾患を治療する方法が提供される。このような方法は、例えば、構造1の少なくとも1つの化合物の治療的に有効な量を含有する医薬組成物をそれを必要としている患者に投与することによって行うことができる。
本発明の更に他の実施態様において、アルファ2アドレナリン受容体の選択的サブタイプモジュレーションと関連している疾患を治療する方法であって、構造1の少なくとも1つの化合物又はその組み合わせ、又はその医薬的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、結晶形、異性体、互変異性体、エナンチオマー、又はジアステレオマーの治療的に有効な量をそれを必要としている患者に投与することを含む、前記方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の化合物の慢性疼痛を緩和する能力を示すグラフである。チャンモデル(Kim and Chung 1992, Pain 150, pp 355-363)に従って図1に示されるデータを測定した。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記の一般的な説明と下記の詳細な説明が例示と説明のためだけのものであり、特許請求した本発明を制限しないことは理解されるべきである。本明細書に用いられる単数形の使用は、特にことわらない限り複数形を含む。本明細書に用いられる“又は”、特にことわらない限り“及び/又は”を意味する。更にまた、用語“含んでいる”だけでなく“含む”や“含んだ”のような他の形の使用も限定していない。本明細書に用いられる項目の見出しは、構成のためだけのものであり、記載される内容に限定するものとして解釈すべきではない。
【0015】
個々の定義が示されない限り、本明細書に記載される分析化学、合成有機及び無機化学の実験法と技術は当該技術において既知のものである。標準化学記号は、このような記号で表される全名称と同じ意味で用いられる。従って例えば、用語“水素”と“H”は、同一の意味を有すると理解される。化学合成、化学分析、及び配合については標準法が用いられてもよい。
【0016】
本明細書に用いられる“アルキル”は、炭素原子1〜約100個を有する直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビル基を意味する。それが本明細書に記載される場合はいつでも、“1〜100”又は“C1-C100”のような数字で表した範囲は、所定の範囲内の各整数を意味する; 例えば、“C1-C100アルキル”は、アルキル基が炭素原子1個だけ、炭素原子2個、炭素原子3個等、炭素原子100個までを含むことができるが、用語“アルキル”には、炭素原子の数字で表した範囲が示されない場合も含まれる。“置換アルキル”は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヒドロキシ、オキソ、アルコキシ、メルカプト、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、置換複素環、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アリールオキシ、置換アリールオキシ、ハロゲン、ハロアルキル、シアノ、ニトロ、ニトロン、アミノ、低級アルキルアミノ、低級アルキルジアミノ、アミド、アジド、-C(O)H、-C(O)R7、-CH2OR7、-C(O)-、-C(O)-、-S-、-S(O)2、-OC(O)-O-、(ここで、R7はH又は低級アルキルである)、アシル、オキシアシル、カルボキシル、カルバメート、スルホニル、スルホンアミド、スルフニル等を含む置換基をもつアルキル部分を意味する。本明細書に用いられる“低級アルキル”は、炭素原子1〜約6個を有するアルキル部分を意味する。
【0017】
本明細書に用いられる“アルケニル”は、炭素-炭素二重結合少なくとも1個を有し、且つ炭素原子約2〜約100個の範囲で有する直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビル基を意味し、“置換アルケニル”は、上で示した置換基1つ以上をもつアルケニル基を意味する。本明細書に用いられる“低級アルケニル”は、炭素原子2〜約6個を有するアルケニル部分を意味する。
【0018】
本明細書に用いられる“アルキニル”は、炭素-炭素三重結合少なくとも1個を有し、且つ炭素原子約2〜約100の範囲で有する直鎖又は分枝鎖ヒドロカルビル基を意味し、“置換アルキニル”は、更に上で示した置換基1個以上をもつアルキニル基を意味する。本明細書に用いられる“低級アルキニル”は、炭素原子2〜約6個を有するアルキニル部分を意味する。
【0019】
本明細書に用いられる“シクロアルキル”は、典型的には炭素原子約3〜約8個の範囲で含有する環状(即ち、環含有)アルキル部分を意味し、“置換シクロアルキル”は、更に上で示される置換基1つ以上をもつシクロアルキル基を意味する。
【0020】
本明細書に用いられる“アリール”は、炭素原子6〜14個の範囲で有する芳香族基を意味し、“置換アリール”は、更に上で示される置換基1つ以上をもつアリール基を意味する。
【0021】
本明細書に用いられる“ヘテロアリール”は、環構造の一部としてヘテロ原子(例えば、N、O、S等)1つ以上を含有し且つ環構造に全原子(即ち、炭素原子とヘテロ原子)5〜14個の範囲で有する芳香族部分を意味する。“置換複素環”は、更に上で示される置換基1つ以上をもつ複素環基を意味する。
【0022】
本明細書に用いられる“複素環”は、環構造の一部としてヘテロ原子(例えば、N、O、S等)1つ以上を含有し、且つ炭素原子3〜14個の範囲で有する非芳香族環状(即ち、環含有)基を意味し、“置換複素環”は、更に上で示される置換基1つ以上をもつ複素環基を意味する。
【0023】
本明細書に用いられる“ハロゲン”又は“ハライド”は、フルオライド、クロライド、ブロマイド又はヨーダイドを意味する。
【0024】
本発明の化合物の一部が1つ以上の不斉中心を含有し、化合物がエナンチオマー形だけでなくジアステレオマー形で存在することができることは当業者に容易に明らかである。特にことわらない限り、本発明の範囲には、すべてのエナンチオマー、ジアステレオマー及びラセミ混合物が含まれる。本発明の化合物の一部は、医薬的に許容され得る酸又は塩基による塩を形成することができ、本明細書に記載される化合物のこのような医薬的に許容され得る塩もまた本発明の範囲内である。
【0025】
更に、構造1で表される複素環化合物は、互変異性変換を受けることができ、以下に示される互変異性構造によって示すことができる。構造1を参照すると、XがNである場合、下記の例示的な互変異性体が可能である:
【0026】
【化2】

【0027】
XがSである場合、下記の例示的互変異性体が可能である:
【0028】
【化3】

【0029】
XがOである場合、下記の例示的互変異性体が可能である:
【0030】
【化4】

【0031】
構造1のすべての互変異性体が本発明の範囲内である。
本発明は、下記構造を有する化合物、又はその医薬的に許容され得る化合物を提供する:
【0032】
【化5】

【0033】
構造 1
(式中、Xは、O、S又はNHであり;
Z1-Z6は、各々独立して、C、N、O又はSであるが、Z1-Z6の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロメチル、-N(R6)2、-CN、-CO2R6、又は-CH2OHであり; 又は
nが2である場合、各R1はこれらが結合している炭素原子と一緒になって縮合アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、又は置換複素環を形成し;
R3、R4、R5、及びR6は、各々独立して、H又は低級アルキルである)。
【0034】
いくつかの実施態様において、pが1である構造1の本発明の化合物が提供される。いくつかの実施態様において、R1がH、低級アルキル、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル又はメトキシである構造1の本発明の化合物が提供される。
本発明の他の実施態様において、下記構造を有する化合物又はその医薬的に許容され得る塩が提供される
【0035】
【化6】

【0036】
構造 2
(式中、Z1-Z5は、各々独立して、C、N、O、又はSであるが、Z1-Z5の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、又はトリフルオロメチルである)。
【0037】
構造2の例示的化合物としては、下記構造が挙げられるが、これらに限定されない:
【0038】
【化7】

【0039】
一実施態様において、下記構造を有する本発明の化合物が提供される:
【0040】
【化8】

【0041】
本発明の実施態様において、更に、下記構造を有する化合物、又はその医薬的に許容され得る塩が提供される:
【0042】
【化9】

【0043】
構造 3
(式中、Z1-Z5は、各々独立して、C、N、O又はSであるが、Z1-Z5の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ又はトリフルオロメチルである)。
【0044】
構造3の例示的化合物としては、下記構造が挙げられるが、これらに限定されない:
【0045】
【化10】

【0046】
本発明の一実施態様において、下記構造を有する本発明の化合物が提供される:
【0047】
【化11】

【0048】
本発明の実施態様において、更に、下記構造を有する化合物、又はその医薬的に許容され得る塩が提供される:
【0049】
【化12】

【0050】
構造 4
(式中、Z1-Z5は、各々独立して、C、N、O又はSであるが、Z1-Z5の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ又はトリフルオロメチルである)。
【0051】
構造4の例示的化合物としては、下記構造が挙げられるが、これらに限定されない:
【0052】
【化13】

【0053】
本発明の一実施態様において、下記構造を有する本発明の化合物が提供される:
【0054】
【化14】

【0055】
本明細書に示される化合物は、典型的には、適切に置換されたアミンとイソシアネート、イソチオシアネート、又はイミダゾールスルホン酸とを反応させることによって調製される。下記のスキームA-Fは、本発明の化合物を調製するのに用いられる前駆体アミンのいくつかの例示的合成を記載するものである。実験の詳細は、実施例、下記参照に示される。
【0056】
スキーム A:
【0057】
【化15】

【0058】
スキーム B:
【0059】
【化16】

【0060】
スキーム C:
【0061】
【化17】

【0062】
スキーム D:
【0063】
【化18】

【0064】
スキーム E:
【0065】
【化19】

【0066】
スキーム F:
【0067】
【化20】

【0068】
アミンとイソシアネート、イソチオシアネート、又はイミダゾールスルホン酸とのカップリングは、以下のスキーム1-3に示されるように達成することができる。
【0069】
スキーム 1
【0070】
【化21】

【0071】
スキーム2
【0072】
【化22】

【0073】
スキーム3
【0074】
【化23】

【0075】
本発明の化合物のアルファ2アドレナリン活性は、受容体分析及び増幅技術(RSAT)と称する分析で証明され、これは、Messier et. al.、1995、Pharmacol. Toxicol. 76、pp. 308 - 311(本願明細書に含まれるものとする)による出版物に記載されており、以下で説明する。この分析に適切な他の参考文献は、Conklin et al. (1993) Nature 363:274-6、受容体選択及び増幅技術(RSAT)分析であり、これも本明細書に含まれるものとする。
【0076】
RSAT分析は、コンフルエント細胞の混合集団における受容体含有細胞の選択的増殖を生じる接触阻止の受容体仲介低下を測定する。細胞数の増加は、β-ガラクトシダーゼのような適切なトランスフェクトマーカー遺伝子によって評価され、この活性は96ウェル形式で容易に測定することができる。Gタンパク質、Gqを活性化する受容体は、この応答を誘発する。アルファ2受容体は、本来Giに結合するものであり、Gq/i5と呼ばれるGi受容体認識ドメインを有するハイブリッドGqタンパク質によって同時発現される場合にRSAT応答を活性化する。
【0077】
NIH-3T3細胞は、15cmの皿に2×106細胞の密度で平板培養され、10%ウシ血清で補足されたダルベッコの変性イーグル培地に維持される。一日後に、細胞は、p-SV-β-ガラクトシダーゼ(5-10μg)受容体(1-2μg)とGタンパク質(1-2μg)をエンコードしている哺乳類発現プラスミドによるリン酸カルシウム沈殿によって同時トランスフェクトされる。40μgのサケ精子がトランスフェクション混合物に含まれてもよい。新鮮な培地が翌日と1-2日後に添加され、細胞が収集され、50の分析アリコートに凍結される。細胞が解凍され、100μlが96ウェル皿中で3回の実験における種々の濃度の薬剤の100μLアリコートに添加される。インキュベーションは、37℃で72-96時間続ける。リン酸緩衝食塩水で洗浄した後、200μLの発色基質(リン酸緩衝食塩水中3.5mM o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド及び0.5%ノニデットP-40からなる)を添加し、30℃で一晩インキューベートし、420nmの光学密度を測定することによりβ-ガラクトシダーゼ酵素活性が求められる。吸光度は、細胞数に左右され且つ受容体仲介細胞増殖を反映する酵素活性の基準である。効力又は固有活性は、薬剤の最大作用と各受容体サブタイプに対する標準全アゴニストの最大作用との比として算出される。ブリモニジン、以下に示される化学的構造は、アルファ2B受容体とアルファ2C受容体に対する標準アゴニストとして用いられる。本明細書に開示される化合物のRSAT分析の結果は、これらの例示的化合物のNo.と共に以下で示される。NAは、3-10ミクロモル未満の濃度で“活性でない”の略である。
【0078】
【化24】

【0079】
本明細書に開示される化合物は、アルファ2アドレナリンアゴニストによって治療に応答する神経学的状態や疾病を治療するのに有効である。このような状態や疾病としては、慢性疼痛(限定せずに、起源が内臓痛、炎症性疼痛、関連痛又は神経障害性疼痛であり得る)、神経障害性疼痛、角膜疼痛、緑内障、上昇した眼圧を下げる、虚血性神経症や他の神経変性疾患、下痢、及び鼻うっ血が挙げられるが、これらに限定されない。慢性疼痛は、結果として、限定せずに関節炎(関節リウマチを含む)、脊椎炎、痛風性関節炎、骨関節炎、若年性関節炎を含む状態、限定せずに紅斑性狼蒼を含む自己免疫疾患の結果として生じるか又は付随するものであり得る。内臓痛には、限定せずに、癌によって引き起こされるか又は例えば、化学療法又は放射線治療によるものとして癌の治療に付随する疼痛が含まれる場合がある。更に、本明細書に開示される化合物は、過活動頻尿を含む筋痙直、多尿、離脱症候群、視神経症、脊髄虚血や卒中を含む神経変性疾患、記憶障害、認知欠損、注意力欠如障害、躁病、不安、うつ病、高血圧症、鬱血性心不全、心虚血や鼻うっ血を含む精神病、慢性胃腸管炎症、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群(IBS)、機能性消化不良、潰瘍性大腸炎を治療するのに有効である。本明細書に開示したアルファ2B/2C特異的又は選択的化合物の活性は、これらの化合物を哺乳動物に投与すると鎮静状態又は有意な心臓血管系作用(例えば血圧又は心拍数の変化)が生じないことから極めて有利である。
慢性疼痛(癌、関節炎、多くの神経損傷からの疼痛等)と急性疼痛(組織切開、つまみどり、刺し傷又は挫滅のような直接の機械的刺激によって生じたその疼痛等)は、異なる神経線維や神経受容体によって又は慢性刺激時のこれらの神経の機能の改変又は変化によって大幅に仲介される異なった神経学的現象であることが知られている。急性疼痛の感覚は、通常は機械的、熱、及び化学的刺激に対する閾値が大きい、主にC繊維と称する求心性神経線維によって非常に急速に伝達される。慢性疼痛の機序は完全に理解されていないが、急性組織損傷は、疼痛応答を誘発するのに必要な刺激の大きさの局所的減少が含まれる、最初の刺激後数分或いは数時間以内に二次症状を生じことになる。典型的には最初の刺激の部位から発する(がより大きな)領域で生じるこの現象は、痛覚過敏と称する。二次応答は、機械的刺激或いは熱刺激に著しく高い感受性を生じ得る。
【0080】
A求心性線維(AβやA*線維)は、C線維より小さい閾値で刺激することができ、慢性疼痛の感覚に関係していると思われる。例えば、正常な状態の下で、これらの線維の低閾値刺激(軽くこすれるか或いはムズムズする等)は痛みを伴わない。しかしながら、神経損傷後のようなある状態の下で或いは帯状疱疹として知られるヘルペスウイルス仲介状態において、このような軽い触覚を加えることさえも或いは衣服がこすることが非常に痛みを伴うことがあり得る。この状態は、アロディニアと称され、Aβ求心神経によって少なくとも一部が仲介されると思われる。C線維は、また、慢性疼痛の感覚に関係していることがあり得るが、その場合には、ニューロンの経時持続的点火がある種の変化を生じ、ここで慢性疼痛の感覚が生じることは明らかである。
【0081】
“急性疼痛”は、直後の疼痛、通常は高閾値の疼痛が、切断、挫滅、熱傷、又はカプサイシン、トウガラシの有効成分にさらされた際に感じられるような化学的刺激によって生じることを意味する。
“慢性疼痛”は、急性疼痛以外の疼痛、例えば、限定せずに、神経障害性疼痛、内臓痛(クローン病や過敏性腸症候群(IBS)によって生じるものを含む)、関連痛を意味する。
【0082】
本発明で治療することができる疾病としては、下記の状態の神経変性態様が挙げられるが、これらに限定されない:
黄斑症/網膜変性
非滲出型加齢黄斑変性(ARMD)、滲出型加齢黄斑変性(ARMD)、脈絡膜新生血管、糖尿病網膜症、中心性漿液性網脈絡膜症、嚢胞様黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、近視性網膜変性、
【0083】
ブドウ膜炎/網膜炎/脈絡膜炎/他の炎症性疾患
急性多発性斑状色素上皮症、ベーチェット病、散弾状網脈絡膜炎、感染症(梅毒、ライム、結核、トキソプラズマ症)、中間部ブドウ膜炎(毛様体扁平部炎)、多巣性脈絡膜炎、多発消失性白点症候群(MEWDS)、眼サルコイドーシス、後部強膜炎、匐行性脈絡膜炎、網膜芽腫やぶどう膜炎症候群、フォークリフト−小柳−原田症候群、点状脈絡膜内層症、急性後部多発性斑状色素上皮症、急性網膜色素上皮炎、急性黄斑部神経網膜症
【0084】
血管病/滲出性疾患
糖尿病性網膜症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、播種性血管内凝固症候群、網膜静脈分枝閉塞症、高血圧性眼底変化、眼虚血症候群、網膜小動脈瘤、コーツ病、中心窩周囲毛細血管拡張症、半網膜静脈閉塞症、乳頭血管炎、網膜中心動脈閉塞症、網膜動脈分枝閉塞症、頚動脈疾患(CAD)、樹氷状血管炎、鎌状赤血球網膜症や他の異常ヘモグロビン症、網膜色素線条症、家族性滲出性硝子体網膜症、イールズ病
【0085】
傷害性/外科手術/環境
交感性眼炎、ブドウ膜炎網膜疾患、網膜剥離、外傷、レーザ、PDT、光凝固、手術中のかん流低下、放射線網膜症、骨髄移植後の網膜症
増殖性障害
増殖性硝子体網膜症や網膜上膜
【0086】
感染性疾患
眼ヒストプラスマ症、眼トキソカラ症、推定眼ヒストプラズマ症候群(POHS)、眼内炎、トキソプラズマ病、HIV 感染関連網膜症、HIV感染関連脈絡膜疾患、HIV感染関連ブドウ膜疾患、ウイルス性網膜炎、急性網膜壊死、進行性網膜外層壊死、真菌性網膜疾患、梅毒眼感染症、眼球結核、びまん性片側性亜急性神経網膜炎、ハエ幼虫症
【0087】
遺伝的疾患
網膜色素変性症、網膜ジストロフィー関連全身性疾患、先天性停止性夜盲、錐体ジストロフィー、シュタルガルト病と黄色斑眼底、ベスト病、網膜色素上皮層のパターンディストロフィ、X連鎖性網膜分離症、ソースビー眼底変性症、良性中心性黄斑変性症、神経眼科学的症候群、弾性線維偽黄色腫
【0088】
網膜裂孔/網膜円孔
網膜剥離、黄斑円孔、巨大裂孔
腫瘍
腫瘍関連網膜疾患、RPEの先天性肥大、後部ブドウ膜悪性黒色腫、脈絡膜血管腫、脈絡膜骨腫、脈絡膜転移、網膜と網膜色素上皮の複合性過誤腫、網膜芽細胞腫、後天性眼底血管腫、網膜星状細胞腫、眼内リンパ腫。
【0089】
本発明のいくつかの例示的化合物によるRSAT分析の結果を、これらの例示的化合物の化学的構造と共に、以下の表1に開示する。“活性でない”は、化合物が10ミクロモル未満の濃度で活性でないことを意味する。
【0090】
【化25】

【0091】

【0092】

【0093】

【0094】

【0095】

【0096】
一般的に言えば、アルファ2アゴニストは、典型的にはストレス期間と関連している交感神経で感作された状態を緩和することができる。これには、1)片頭痛や他の頭痛に特有の頭蓋内圧、光、騒音のような刺激に対して高感受性; 2)過敏性腸症候群や機能性消化不良のような他のGI障害に特有の結腸刺激に対して高感受性; 3)乾癬や他の皮膚病変と関連している痒み感; 4)筋緊張や痙直; 5)線維筋痛症のような状態に特有の軽い症状や自発痛のような通常は無害な刺激に対して感受性; 6)高血圧症、頻脈、心虚血、末梢性血管収縮を伴う種々の心臓血管疾患; 7)肥満症やインスリン抵抗性を含む代謝異常; 8)薬物やアルコールの依存性、強迫神経症、トゥレット症候群、注意力欠如障害、不安、うつ病のような行動障害; 9)紅斑性狼瘡やドライアイ障害を含む自己免疫疾患のような免疫系の機能の変化; 10)クローン病や胃炎のような慢性炎症性疾患; 11)発汗(多汗症)や震え; 12)性機能不全の神経学的状態が含まれる。
【0097】
アルファ2B/2Cアゴニストを含むアルファ2アゴニストは、また、緑内障、高眼圧、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、統合失調症、卒中又は脊髄損傷のような虚血性神経損傷、緑内障に生じる網膜損傷を含む神経変性疾患、黄斑変性、糖尿病性網膜症、網膜ジストロフィー、レーバー視神経萎縮症、他の視神経症、多発性硬化症としばしば関連している視神経炎、網膜静脈閉塞症、光線力学的治療法やLASIXのような随伴手術の治療にも有効である。また、癌疼痛、術後痛、アロディニア痛、神経障害性疼痛、CRPS又はカウザルギ、内臓痛のような慢性疼痛状態も含まれる。
【0098】
化合物がアルファ2A受容体に対するよりアルファ2B受容体に対して又はアルファ2C受容体に対して活性で、好ましくは少なくとも10倍活性である場合には、化合物はアルファ2A受容体よりアルファアドレナリン2B受容体及び/又はアルファ2Cアドレナリン受容体の選択的アゴニストとみなされる。本発明のいくつかの化合物が前の定義の範囲内でアルファ2Bアドレナリン受容体及び/又はアルファ2Cアドレナリン受容体の特異的又は選択的アゴニストであるとともにアルファ2A受容体に対するアゴニスト様活性がまったくないか或いはアゴニスト様活性がわずかしかないことがこれらの表からわかる。しかしながら、3つのアルファ2受容体すべてのアゴニスト(パンアゴニスト)として活性である本発明の化合物もまた望ましい。
【0099】
このように、本発明の化合物は、アルファ2アドレナリン受容体アゴニスト、特にアルファ2Bアドレナリン受容体アゴニスト及び/又はアルファ2Cアドレナリン受容体アゴニストによる治療に応答する状態や疾病を治療するのに有効である。このような状態や疾病としては、慢性疼痛(限定せずに、起源が内臓痛、炎症性疼痛、関連痛又は神経障害性疼痛であり得る)、神経障害性疼痛、角膜疼痛、緑内障、上昇した眼圧を下げる、虚血性神経症、他の神経変性疾患を含む疼痛、下痢、及び鼻うっ血が挙げられるが、これらに限定されない。慢性疼痛は、結果として、限定せずに: 関節炎(関節リウマチを含む)、脊椎炎、痛風関節炎、骨関節炎、若年性関節炎、限定せずに紅斑性狼蒼を含む自己免疫疾患を含む状態の結果として又は付随するものとして生じ得る。内臓痛には、限定せずに、癌によって引き起こされるか又は例えば、化学療法又は放射線治療によるものとして癌の治療に付随する疼痛が含まれてもよい。更に、本発明の化合物は、過活動頻尿を含む筋痙直、多尿、離脱症候群、視神経症、脊髄虚血や卒中を含む神経変性疾患、記憶障害、認知欠損、注意力欠如障害、躁病、不安、うつ病、高血圧症、鬱血性心不全、心虚血や鼻うっ血を含む精神病、慢性胃腸管炎症、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群(IBS)、機能性消化不良、潰瘍性大腸炎を治療するのに有効である。
【0100】
本発明の化合物の活性は、これらの化合物を哺乳動物に投与すると鎮静状態又は有意な心臓血管系作用(例えば血圧又は心拍数の変化)が生じないことから極めて有利である。
本発明の化合物は、特に慢性疼痛モデルにおいて、アルファ2受容体の他のアゴニストによって一般に見られる鎮静状態や心血管系うつ病のような最小限の望ましくない副作用で高度に有効な鎮痛剤として作用し使用し得る。
【0101】
本発明の化合物は、医薬的に有効な用量で投与することができる。このような用量は、通常、望ましい治療作用を達成するのに必要な最少投与量である; 慢性疼痛の治療において、この量は、だいたい、疼痛によって許容できるレベルに引き起こされる不快感を減弱させるのに必要な量である。一般に、このような用量は、1-1000mg/日の範囲; より好ましくは10〜500mg/日の範囲にある。しかしながら、どの場合にも投与されるべき化合物の実際の量は、疼痛の重症度、患者の年齢と体重、患者の全身的な身体状態、疼痛の原因、投与経路のような適切な状況を考慮する医師によって決定される。
【0102】
化合物は、哺乳動物、特に人間における疼痛の治療に有効である。ある場合において、患者は、化合物を経口的に、錠剤、液体、カプセル、粉末等の許容され得る形で投与される。しかしながら、特に患者が吐き気にかかっている場合には、他の経路が望ましく或いは必要になる。このような他の経路には、例外なく、経皮的、非経口的、皮下、鼻内、髄腔内、筋肉内、静脈内、及び直腸内の送達方式が含まれ得る。更に、製剤は、ある時間にわたって活性化合物の放出を遅延させるように、或いは治療の過程で所定の時間に放出される薬剤の量を注意深く制御されるように設計されてもよい。
【0103】
本発明の他の実施態様において、構造1の少なくとも1つの化合物をその医薬的に許容され得る担体に含む医薬組成物が提供される。語句“医薬的に許容され得る”は、担体、希釈剤又は賦形剤が、製剤の他の成分と適合できなければならず且つその受容者に有害であってはならない。
【0104】
本発明の医薬組成物は、固体、溶液、エマルジョン、分散液、ミセル、リポソーム等の形で用いることができ、ここで、得られた組成物は、有効成分として、本発明の少なくとも一つの化合物を腸内適用又は非経口適用に適切な有機担体又は無機担体又は賦形剤との混合物で含有する。本発明の化合物は、例えば、錠剤、植込用錠剤、カプセル剤、坐剤、液剤、乳剤、懸濁剤、及び使用に適した他の任意の形の通常の非毒性医薬的に許容され得る担体と組み合わせることができる。使用可能である担体としては、グルコース、ラクトース、アラビヤゴム、ゼラチン、マンニトール、でんぷんペースト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、コーンスターチ、ケラチン、コロイド状シリカ、ジャガイモでんぷん、尿素、中鎖長トリグリセリド、デキストラン、及び固体、半固体又は液体の形で製剤を製造するのに用いるのに適した他の担体が挙げられる。更に、補助剤、安定剤、濃厚化剤、着色剤及び香料を用いることができる。本発明の化合物は、プロセス又は疾病状態に対して望ましい作用を生じるのに充分な量で医薬組成物に含まれる。
【0105】
本発明の化合物を含有する医薬組成物は、経口使用に適切な形で、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性懸濁剤、油性懸濁剤、分散性散剤、分散性顆粒剤、乳剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、又はシロップ剤又はエリキシル剤としてであり得る。経口使用に意図される組成物は、医薬組成物の製造の当該技術に知られるいかなる方法に従っても調製することができ、このような組成物は、医薬的に優雅で美味な製剤を与えるために、スクロース、ラクトース、又はサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、ウィンターグリーン油又はチェリーのような香味剤、着色剤及び保存剤からなる群より選ばれる1つ以上の物質を含有することができる。本発明の化合物を非毒性の医薬的に許容され得る賦形剤と混合して含有する錠剤もまた既知の方法によって製造することができる。用いられる賦形剤は、例えば、(1)炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤; (2)コーンスターチ、ポテトデンプン又はアルギン酸のような造粒剤や崩壊剤; (3)トラガカントゴム、コーンスターチ、ゼラチン又はアラビアゴムのような結合剤、(4)ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような滑沢剤であり得る。錠剤は被覆されていなくてもよく又は胃腸管での崩壊と吸収を遅延させ、それによってより長い時間にわたって持続作用を得る既知の技術によって被覆されてもよい。例えば、グリセリンモノステアレート又はグリセリルジステアレートのような時間遅延物質が使われる場合がある。
【0106】
ある場合には、経口使用のための製剤が硬カプセル剤の形であってもよく、ここで、本発明の化合物は不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合される。これらは、また、軟ゼラチンカプセル剤の形であってもよく、ここで、本発明の化合物は水又は油これらは、また、軟ゼラチンカプセル剤の形であってもよく、ここで、本発明の化合物は、水又は油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン又はオリーブ油と混合される。
【0107】
医薬組成物は、滅菌注射用懸濁液の形であってもよい。この懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤と懸濁化剤を用いて既知の方法に従って配合することができる。また、無菌注射用製剤は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液であり得る。滅菌固定油は、溶媒又は懸濁化剤として慣用的に使われている。このために、合成モノグリセリド或いはジグリセリド、脂肪酸(オレイン酸を含む)、ゴマ油、やし油、落花生油、綿実油等の天然に存在する植物油、又はオレイン酸エチル等の合成脂肪賦形剤を含む任意のブランドの不揮発性油を用いることができる。緩衝液、防腐剤、抗酸化剤等は、必要とされるように組み込まれ得る。
【0108】
本発明の化合物は、また、薬剤の直腸投与に坐剤の形で投与することができる。これらの組成物は、本発明の化合物と、常温で固体であるが直腸腔内で液化し更に/又は溶解して薬剤を放出するカカオバター、ポリエチレングリコールの合成グリセリドエステルのような適切な非刺激性賦形剤とを混合することによって調製することができる。
個々の被検者が症状の重症度の広い変動を示してもよく且つ各薬剤が特有の治療特性を有するので、各被検者に使われる正確な投与方法と用量は、開業医の裁量に任せられる。
【0109】
本明細書に記載される化合物及び医薬組成物は、ヒトを含む哺乳動物の薬剤として、アルファ2アドレナリン受容体アゴニストによって治療に応答する疾病の治療に及び又は状態の緩和に有効である。本発明の化合物を含有する組成物は、主に、慢性疼痛及び/又はアロディニアの緩和に用いられるが、これらに限らない。本発明の化合物の一部は、これらがアルファ2Aアドレナリン受容体よりアルファ2Bアドレナリン受容体及び/又はアルファ2Cアドレナリン受容体に特異的又は選択的である証明可能な有利な性質を有する。更に、アルファ2アゴニスト化合物の一部は、心臓血管活性及び/又は沈静活性がまったくないか最少限しかない。
【0110】
従って、本発明の実施態様において、更に、アルファ2アドレナリン受容体のモジュレーションと関連している疾患を治療する方法が提供される。このような方法は、例えば、構造1の少なくとも1つの本発明の化合物の治療的に有効な量を含有する医薬組成物をそれを必要としている被検者に投与することによって行われ得る。本明細書に用いられる用語“治療的に有効な量”は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床医によって見つけられているそれを必要としている被検者の生物学的応答又は医学的応答を誘発する医薬組成物の量を意味する。いくつかの実施態様において、それを必要としている被検者は哺乳動物である。いくつかの実施態様において、哺乳動物はヒトである。
【0111】
いくつかの実施態様において、疾患は、慢性疼痛、内臓痛、神経障害性疼痛、角膜疼痛、緑内障、高眼圧、虚血性神経症、神経変性疾患、下痢、鼻うっ血、筋痙直、多尿、禁断症候群、神経変性疾患、視神経症、脊髄虚血、卒中、記憶欠損、認知欠損、注意力欠如障害、精神病、躁病、不安、うつ病、高血圧症、鬱血性心不全、心虚血、関節炎、脊椎炎、痛風関節炎、骨関節炎、若年型関節炎、自己免疫疾患、紅斑性狼蒼、慢性胃腸炎症、クローン病、胃炎、過敏性腸症候群(IBS)、機能性消化不良、潰瘍性大腸炎、アロディニア又はこれらの組み合わせである。
一実施態様において、疾患は、慢性疼痛である。一実施態様において、疾患は、内臓痛である。一実施態様において、疾患は、神経障害性疼痛である。
【0112】
慢性疼痛(癌、関節炎、多くの神経損傷からの疼痛等)と急性疼痛(組織切開、つまみどり、刺し傷又は挫滅のような直接の機械的刺激によって生じたその疼痛等)は、異なる神経線維や神経受容体によって又は慢性刺激時のこれらの神経の機能の改変又は変化によって大幅に仲介される異なった神経学的現象であることが知られている。急性疼痛の感覚は、通常は機械的、熱、及び化学的刺激に対する閾値が大きい、主にC繊維と称する求心性神経線維によって非常に急速に伝達される。慢性疼痛の機序は完全に理解されていないが、急性組織損傷は、疼痛応答を誘発するのに必要な刺激の大きさの局所的減少が含まれる、最初の刺激後の数分或いは数時間以内に二次症状を生じ得る。典型的には最初の刺激の部位から発する(がより大きな)領域で生じるこの現象は、痛覚過敏と称する。二次応答は、機械的刺激或いは熱刺激に著しく高い感受性を生じ得る。
【0113】
本発明の更に他の実施態様において、アルファ2アドレナリン受容体のモジュレーションと関連している疾患を治療する方法が提供される。このような方法は、例えば、構造1の少なくとも1つの化合物、又はその組み合わせ、又はその医薬的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、結晶形、異性体、互変異性体、エナンチオマー、又はジアステレオマーの治療的に有効な量をそれを必要としている被検者に投与することによって行うことができる。
以下の実施例は、本発明を具体的に示すためだけのものであり、決して本発明を制限するものとして解釈されてはならない。
【実施例】
【0114】
以下に示されるスキームA-Fは、本発明の化合物に対する前駆物質である複素環アミンへの異なる方法を記載するものである。
【0115】
パート I: 前駆体アミンの調製
スキーム A:
【0116】
【化26】

【0117】
1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタノン(2):
リチウムジイソプロピルアミド(16.9mL、1.5M/シクロヘキサン、25.4ミリモル)を-78℃でTHF(40mL)に添加した。THF(30.0mL)中の4-ピコリン(2.50mL、25.4ミリモル)の溶液をLDA溶液に滴下した。ドライアイス浴を取り除いた。反応混合物を、0℃で30分間撹拌し、-78℃に冷却した。THF(20.0mL)中のN-メトキシ-N-メチルベンズアミド(1)(5.00g、29.6ミリモル)の溶液を滴下した。反応混合物を室温に温め、一晩撹拌した。この混合物を水で急冷し、酢酸エチル(3×)で抽出した。プールした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物をろ過し、溶媒を減圧下で除去して、粗生成物を得た。粗物質を熱ヘキサンで摩砕し、ろ過して、1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタノン(2)を黄色固形物(3.53g、17.9ミリモル、70%収率)として得た。
【0118】
1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(3):
IPA(100mL)中の(2)(1.98g、10.0ミリモル)、酢酸アンモニウム(23.2g、300ミリモル)、及びシアノ水素化ホウ素ナトリウム(4.63g、69.9ミリモル)の混合物を80℃で一晩加熱した。この混合物を減圧下で蒸発させて、IPAを除去した。残留物を水で希釈し、NaOH(2M)でpH 〉7に塩基性にした。水層をジクロロメタン(3×)で抽出した。プールした有機層を減圧下で除去した。残留物をシリカゲル(100%酢酸エチル、次にジクロロメタン中の10%飽和アンモニアメタノール)によるクロマトグラフィで精製して、透明な油状物(0.780g、3.94ミリモル、収率39%)として1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(3)を得た。
【0119】
スキーム B:
【0120】
【化27】

【0121】
1-(3-クロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(5):
3-クロロベンゾニトリル(4)(3.14g、15.6ミリモル)を、スキームAの(1)と同様に処理した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した後、メタノール(50mL)を添加した。得られた混合物を0℃に冷却し、水素化ホウ素ナトリウム(1.46g、37.8ミリモル)を添加した。2時間撹拌した後、更に水素化ホウ素ナトリウム(1.00g、25.9ミリモル)を添加した。この反応混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を減圧下で蒸発させた。残留物を水で急冷し、クロロホルム/イソプロパノール(3:1、3×、200mL)で抽出した。プールした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物をろ過した。ろ液にシリカゲルを添加し、溶媒を減圧下で除去した。シリカゲルによるクロマトグラフィで精製して、1-(3-クロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(5)(0.96g、4.14ミリモル、収率16%)を得た。
【0122】
スキーム C:
【0123】
【化28】

【0124】
1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタノール(7):
2,3-ジクロロベンズアルデヒド(6)(4.28g、24.2ミリモル)をスキームAの(1)と同様に処理した。粗物質をヘキサンで2回洗浄して、1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタノール(7)を黄色固形物(6.20g、23.2ミリモル、収率90%)として得た。
【0125】
4-(2-アジド-2-(2,3-ジクロロフェニル)エチル)ピリジン(8):
THF(100mL)中の1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタノール(7)(6.20g、23.2ミリモル)にジフェニルホスホルアジテート(6.00mL、27.8ミリモル)、及びDBU(4.20mL、23.1ミリモル)を0℃で添加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を50℃で1.5時間に加熱した。溶媒を減圧下で蒸発させた。残留物を水で希釈し、酢酸エチル(3×)で抽出した。プールした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。混合物をろ過した。ろ液にシリカゲルを添加し、溶媒を減圧下で蒸発させた。シリカゲル(60%ヘキサン、40%酢酸エチル)によるクロマトグラフィで精製して、生成物の4:1の混合物を得た: 4-(2-アジド-2-(2,3-ジクロロフェニル)エチル)ピリジン(8)(4部、3.82g、10.6ミリモル、46%収率)、及び4-(2,3-ジクロロスチリル)ピリジン(9)(1部)。
【0126】
1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(10):
THF(30mL)中の(8)(純度81%、3.82g、10.6ミリモル)及び(9)の混合物に室温でトリフェニルホスフィン(2.86g、10.9ミリモル)を添加した。この溶液を15分間撹拌した後、水(6mL)中の水酸化カリウム(0.61g、10.9ミリモル)を添加した。得られた混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物をHCl(2M)でpH〜3に酸性にした。水層をジエチルエーテルで何度も洗浄し、NaOH(2M)でpH〉7に塩基性にした。塩基性層を酢酸エチルで抽出した。プールした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物をろ過した。ろ液にシリカゲルを添加し、溶媒を減圧下で除去した。シリカゲル(2〜10%メタノール/ジクロロメタン)によるクロマトグラフィで精製して、1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(10)を固形物(1.71g、6.48ミリモル、収率60%)として得た。
【0127】
スキーム D:
【0128】
【化29】

【0129】
3-(2-アジド-2-(2,3-ジクロロフェニル)エチル)ピリジン(16, JOC, 1999, p6515)
THF(30mL)中のトリフェニルホスフィン(1.25g、4.76ミリモル)の溶液をジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)(2mL、トルエンの40%)で室温で処理した。ジフェニルホスホリルアジド、次に1-(2,3-ジメチルフェニル)-2-(ピリジン-3-イル)エタノール(15)(900mg、3.97ミリモル)のTHF溶液を滴下した。この混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残留物を30% EtOAc/ヘキサンを用いてシリカゲルクロマトグラフィに通過させて、3-(2-アジド-2-(2,3-ジクロロフェニル)エチル)ピリジン(16)(1.5g、不純物)を得た。
【0130】
スキーム E:
【0131】
【化30】

【0132】
1-(3-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタノンO-メチルオキシム(19):
ピリジン(20mL)中の1-(3-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタノン(18)(3.6g、16.17ミリモル)の溶液にNH2OMe(2.8g、33.4ミリモル)を室温で添加した。この混合物を80℃で3時間撹拌した。この反応物を室温に冷却し、水(20mL)で急冷した。水層をジクロロメタン(3×、100ml)で抽出した。プールした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物をろ過した。溶媒を減圧下で除去した。MPLC(0〜10%メタノール/ジクロロメタン)で精製して、1-(3-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタノンO-メチルオキシム(19)を油状物(3.15mg、収率77%)として得た。
【0133】
1-(3-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(20):
TFA(20mL)中の1-(3-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタノンO-メチルオキシム(19)(1.86g)の混合物を10% Pd/C(186mg)の作用によってH2下3.4bar(50psi)で室温において12時間還元した。この混合物をセライトでろ過し、減圧下で溶媒を除去した。残留物を6N KOHを用いて塩基性にした。水層をEtOAc(3×、500mL)で抽出した。プールした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物をろ過した。溶媒を減圧下で除去して、1-(3-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(20)を固形物(1.6g、収率97%)として得た。
【0134】
スキーム F:
【0135】
【化31】

【0136】
2-クロロ-N-メトキシ-N-メチルベンズアミド(21)
0℃におけるジクロロメタン(200mL)中の2-クロロベンゾイルクロライド(8g、46ミリモル)の溶液に、N,O-ジメチルヒドロキシルアミン塩酸塩(4.9g、50ミリモル)、次にピリジン(11mL、137ミリモル)を添加した。この混合物を室温で16時間撹拌した。この反応混合物に水を添加し、有機層を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルによるクロマトグラフィで精製して、2-クロロ-N-メトキシ-N-メチルベンズアミド(21)(7.8g、39.2ミリモル、85%)を透明な油状物として得た。
【0137】
1-(2-クロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタノン(22):
-78℃においてTHF(20.0mL)中のリチウムジイソプロピルアミド(6.5mL、1.6M/シクロヘキサン、10.4ミリモル)にTHF(10.0mL)中の4-ピコリン(1.07g mL、11.5ミリモル)の溶液を添加した。ドライアイス浴を除去した。この反応混合物を0℃で30分間撹拌し、-78℃に冷却した。THF(10.0mL)中の2-クロロ-N-メトキシ-N-メチルベンズアミド(21)(2.39g、12ミリモル)の溶液を滴下した。この反応混合物を室温に温め、一晩撹拌した。白色固形物をろ別し、酢酸エチルに溶解した。有機相を水、食塩水で洗浄し、乾燥硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下で濃縮して、1-(2-クロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタノン(22)(1.09g、4.7ミリモル、47%)を白色固形物として得た。
【0138】
1-(2-クロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(23)
ピリジン(24mL)中の1-(2-クロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタノン(22)(2.0g、8.7ミリモル)の溶液にメトキシルアミン塩酸塩(1.45g、17.4ミリモル)を一度に室温で添加した。得られた混合物を50℃で1時間撹拌した。ピリジンを減圧下で除去し、残留物に水を添加し、酢酸エチルで抽出した。酢酸エチル相を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した。シリカゲルによるクロマトグラフィで精製して、オキシム幾何異性体(1.77g、78%)の混合物を黄色油状物として得た。室温でTHF(32mL)中のsyn-オキシムとanti-オキシム(1.77g、6.8ミリモル)の上記混合物の溶液にボラン-THF複合体(1M、17mL)を添加した。得られた溶液を3時間還流し、0℃に冷却した。水(28mL)に続いて20% NaOH(28mL)を注意深く添加した。得られた二相混合物を一晩還流し、室温に冷却しておいた。この混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチル相を食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮して、1-(2-クロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(23)(1.2g 76%)を黄色油状物として得た。
【0139】
パートII: アミノキサゾリン、アミノチアゾリン及びアミノイミダゾリンの合成
アミノキサゾリン
【0140】
【化32】

【0141】
1-(2,3-ジクロロフェニル)-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン化合物17:
ジクロロメタン(6.0mL)中の1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(0.30g、1.13ミリモル)にクロロエチルイソシアネート(0.11mL、1.29モル)を添加した。この溶液を室温で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残留物に水、アセトンを添加し、100℃で1時間加熱した。この混合物を室温に冷却し、NaOH(2M)でpH 〉7に塩基性にした。水層をクロロホルム/イソプロパノール(3:1、3×、200mL)で抽出した。プールした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物は、ろ過した。ろ液にシリカゲルを添加し、溶媒を減圧下で除去した。シリカゲル(2%飽和アンモニアメタノール/ジクロロメタン)によるクロマトグラフィで精製して、1-(2,3-ジクロロフェニル)-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミンに化合物17を白色固形物(0.21g、0.63ミリモル、収率56%)として得た。
化合物17 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.44-8.42 (m, 2H), 7.46-7.31 (m, 5H), 5.28 (dd, J = 10.2, 4.2 Hz, 1H), 4.18 ( t, J = 8.7 Hz, 2H), 3.52 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.16 (dd, J = 13.8, 3.6 Hz, 1H), 2.87 (dd, J = 13.8, 10.5 Hz, 1H).
【0142】
アミノチアゾリン:
【0143】
【化33】

【0144】
1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン化合物18:
ジクロロメタン(6mL)中の1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(0.30g、1.13ミリモル)にクロロエチルイソチオシアネート(0.097mL、0.988ミリモル)を添加した。この溶液を室温で1.5時間撹拌し、水で急冷した。水層をジクロロメタン(3×)で抽出した。プールした有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。この混合物をろ過した。ろ液にシリカゲルを添加し、溶媒を減圧下で除去した。シリカゲル(2〜10%メタノール/ジクロロメタン)によるクロマトグラフィで精製して、粗物質を得、これをメタノール/水中で再結晶して、1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン化合物18を固形物(15.9mg、0.045ミリモル、収率4%)として得た。
1-(2,3-ジクロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン化合物18 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 8.50-8.48 (m, 2H), 7.39 (dd, J = 7.5, 2.1 Hz, 1H), 7.24-7.14 (m, 2H), 7.10-7.08 (m, 2H), 5.27 (dd, J = 8.4, 4.8 Hz, 1H), 3.77 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.22 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.22-3.15 (m, 1H), 2.94 (dd, J = 13.8, 8.1 Hz, 1H).
【0145】
アミノイミダゾリン
【0146】
【化34】

【0147】
N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン化合物3:
1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン(0.23g、1.18ミリモル)、及び2-ブタノール(5mL)中の4,5-ジヒドロ-1H-イミダゾール-2-スルホン酸(0.18g、1.16ミリモル)、水(1mL)の混合物を110℃で3時間加熱した。この溶液を室温に冷却した。溶媒を減圧下で除去した。残留物をメタノールに溶解し、アミノ変性シリカゲルを添加した。溶媒を減圧下で除去した。アミノ変性シリカゲル(7%メタノール〜100%酢酸エチル/ジクロロメタン)によるクロマトグラフィで精製して、N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン化合物3を白色固形物(0.21g、0.80ミリモル、収率67%)として得た。
化合物3: 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.40-8.38 (m, 2H), 7.35-7.34 (m, 5H), 7.31-7.29 (m, 2H), 4.80 (dd, J = 8.4, 6.8 Hz, 1H), 3.51 (s, 4H), 3.17 (dd, J = 8.4, 5.4 Hz, 2H).
注: キラルアミンをNetchem社から二塩酸塩として入手した。これらを水に溶解した。水層をpH 〉7にNaOH(2M)で塩基性にした。水層をジクロロメタンで抽出した。プールした有機層を標準法で処理した。R-N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン化合物29: [α]D20 = +13.4 (c 1.26, CHCl3)及びS-N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン化合物29-1: [α]D20 = -23.1 (c 1.35, 83% CHCl3, 17% MeOH).
【0148】
上記の一般法の1つによって以下の化合物を合成し、アミン前駆体の調製については、スキームA-Fを参照する。
1-(2,3-ジクロロフェニル)-N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物32:(スキームC) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.41-8.39 (m, 2H), 7.45 (dd, J = 3.6, 1.5 Hz, 1H), 7.43 (dd, J = 3.9, 1.5 Hz, 1H), 7.36-7.34 (m, 2H), 7.29 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 5.19 (dd, J = 9.6, 4.5 Hz, 1H), 3.35-3.34 (m, 4H), 3.17 (dd, J = 14.1, 4.2 Hz, 1H), 2.88 (dd, J = 14.1, 9.6 Hz, 1H).
【0149】
1-(3-クロロフェニル)-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物8:(スキームB) 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 8.47-8.45 (m, 2H), 7.28-7.23 (m, 3H), 7.11-7.08 (m, 1H), 7.03-7.01 (m, 2H), 4.90 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 4.19 (td, J = 8.7, 2.4 Hz, 2H), 3.67 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.12-2.98 (m, 2H)
【0150】
N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物1(スキームA) 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 8.44-8.42 (m, 2H), 7.33-7.26 (m, 3H), 7.21-7.18 (m, 2H), 6.99-6.97 (m, 2H), 4.93 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 4.23-4.16 (m, 2H), 3.71 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.20-3.02 (m, 2H).
エナンチオマー、RN-(オキサゾリジン-2-イリデン)-1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン化合物30: [α] = -12.9 (c 1.34, CHCl3)及びS-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン化合物30-1: [α]D20 = + 4.06 (c 0.842, CHCl3)を調製した。
【0151】
1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン、化合物2(スキームA) 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ = 8.42 (d, J = 5.7 Hz, 2H), 7.32-7.25 (m, 3H), 7.22-7.19 (m, 2H), 6.98 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 4.91 (t, J = 6.6 Hz, 1H), 3.87 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.28-7.17 (m, 3H), 3.10-3.04 (m, 1H). エナンチオマー、R-1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン化合物31: [α]v = -3.56 (c 1.22, CHCl3)及びS-1-フェニル-2-(ピリジン-4-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン化合物31-1(純度95%): [α]D20 = + 15.6 (c 0.925, CHCl3)を調製した。
【0152】
N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-1-フェニル-2-(ピラジン-2-イル)エタンアミン、化合物15:(スキームA) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.60 (dd, J = 1.5, 2.4 Hz, 1H), 8.45 (d, J = 2.7 Hz, 1H), 8.40 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.36-7.29 (m, 5H), 5.10 (dd, J = 6, 8.4 Hz, 1H), 3.58 (s, 4H), 3.36 (dd, J = 5.1, 8.1 Hz, 2H).
【0153】
N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-1-フェニル-2-(ピラジン-2-イル)エタンアミン、化合物14:(スキームA) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.49 (dd, J = 1.2, 2.4 Hz, 1H), 8.39 (d, J = 2.4 Hz, 1H), 8.22 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.27-7.20 (m, 5H), 5.12 (t, J = 6.3 Hz, 1H), 4.22 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 3.70 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 3.29 (d, J = 6.3 Hz, 2H).
【0154】
1-フェニル-2-(ピラジン-2-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン、化合物16:(スキームA) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.60 (dd, J = 1.5, 2.7 Hz, 1H), 8.46 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 8.43 (d, J = 1.5 Hz, 1H), 7.37-7.27 (m, 5H), 5.30 (dd, J = 1.8, 7.8 Hz, 1H), 3.86 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.58-3.33 (m, 2H), 3.29 (d, J = 6.3 Hz, 2H).
【0155】
1-(2,3-ジメチルフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン、化合物4:(スキームC) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.34-8.32 (m, 2H), 7.43-7.40 (m, 1H), 7.25-7.23 (m, 2H), 7.05-7.00 (m, 2H), 4.62 (dd, J = 3, 9 Hz, 1H), 4.05-3.88 (m, 2H), 3.09 (t, J = 6 Hz, 2H), 3.05-3.00 (m, 2H), 2.26 (s, 6H).
【0156】
1-(2,3-ジメチルフェニル)-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物6:(スキームC) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.38-8.36 (m, 2H), 7.30-7.28 (m, 2H), 7.25-7.22 (m, 1H), 7.10-7.04 (m, 2H), 5.15 (dd, J = 6.3, 9 Hz, 1H), 4.17 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.55 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.01-2.97 (m, 2H), 2.25 (s, 3H), 2.22 (s, 3H).
【0157】
1-(2,3-ジメチルフェニル)-N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物5:(スキームC) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.44 (d, J = 5.7 Hz, 2H), 7.35 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 7.24-7.21 (m, 1H), 7.17-7.13 (m, 2H), 5.09 (dd, J = 5.4, 9 Hz, 1H), 3.58 (s, 4H), 3.15 (ddd, J = 5.4, 14.4, 27.3 Hz, 2H), 2.29 (s, 3H), 2.26 (s, 3H).
【0158】
1-(3-フルオロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン、化合物23:(スキームE) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.45-8.43 (m, 2H), 7.45-7.38 (m, 1H), 7.32-7.30 (m, 2H), 7.18-7.06 (m, 3H), 5.00 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 3.94-3.82 (m, 2H), 3.51 (t, J = 7.8 Hz, 2H), 3.25 (d, J = 7.8 Hz, 2H).
【0159】
1-(3-フルオロフェニル)-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物24:(スキームE) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.39-8.37 (m, 2H), 7.34-7.27 (m, 3H), 7.15-7.07 (m, 2H), 6.99-6.93 (m, 1H), 4.84 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 4.20 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 3.58 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 3.25 (d, J = 7.5 Hz, 2H).
1-(3-フルオロフェニル)-N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物25:(スキームE) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.45-8.43 (m, 2H), 7.43-7.36 (m, 1H), 7.30-7.28 (m, 2H), 7.16-7.04 (m, 2H), 4.84 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 3.60 (s, 4H), 3.20 (dd, J = 1.2, 6.3 Hz, 2H).
【0160】
1-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物20:(スキームC) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.43-8.41 (m, 2H), 7.44-7.37 (m, 2H), 7.34-7.32 (m, 2H), 7.20-7.17 (m, 1H), 5.09 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 3.50 (s, 4H), 3.19 (d, J = 7.2 Hz, 2H).
【0161】
1-(3-クロロ-2-フルオロフェニル)-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物19:(スキームC) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.41-8.39 (m, 2H), 7.39-7.29 (m, 4H), 7.16-7.10 (m, 1H), 5.14 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 4.19 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 3.54 (t, J = 8.7 Hz, 2H), 3.08-3.05 (m, 2H).
【0162】
1-(2,3-ジメチルフェニル)-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-3-イル)エタンアミン、化合物21:(スキームD) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.35-8.33 (m, 2H), 7.70-7.68 (m, 1H), 7.32 (dd, J = 4.8, 7.8 Hz, 1H), 7.24 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 7.23-7.02 (m, 2H), 5.08 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 4.17 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 3.55 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.98 (d, J = , 7.2 Hz, 2H), (2.24 (s, 3H). 2.18 (s, 3H).
【0163】
1-(2,3-ジメチルフェニル)-2-(ピリジン-3-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン、化合物22:(スキームD) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ = 8.38-8.33 (m, 2H), 7.70 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.33 (dd, J = 5.1, 7.8 Hz, 1H), 7.23-7.21 (m, 1H), 7.14-7.09 (m, 2H), 5.20 (t, J = 7.5 Hz, 1H), 3.82-3.76 (m, 2H), 3.33 (t, J = 8.1 Hz, 2H), 3.10 (d, J = 7.5 Hz, 2H), (2.25 (s, 3H). 2.16 (s, 3H).
【0164】
1-(2-クロロフェニル)-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物26(スキームF) 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.46-8.48 (m, 2H), 7.35-7.39 (m, 1H), 7.20-7.25 (m, 3H), 7.08-7.10 (m, 2H), 5.30-5.34 (m, 1H), 4.14-4.20 (m,, 2H), 3.63-3.69 (m, 2H), 3.16-3.22 (m, 1H), 2.91-2.99 (m, 1H).
【0165】
1-(2-クロロフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン、化合物27(スキームF) 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.46-8.48 (m, 2H), 7.35-7.38 (m, 1H), 7.20-7.29 (m, 3H), 7.06-7.08 (m, 2H), 5.25 -5.29 (m, 1H), 3.78-3.84 (m, 2H), 3.16-3.25 (m, 3H), 2.96-3.04 (m, 1H).
1-(2-クロロフェニル)-N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物28(スキームF) 1H NMR (300 MHz, CDCl3): δ 8.49-8.50 (m, 2H), 7.70-7.73 (m, 1H), 7.27-7.42 (m, 5H), 4.98 (br, 1H), 3.61 (br, 4H), 3.07-3.24 (m, 2H).
【0166】
1-(2,3-ジメチルフェニル)-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物9(スキームB及びF) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.36-8.38 (m, 2H), 7.21-7.29 (m, 4H), 6.88-6.98 (m, 2H), 5.11-5.16 (m, 1H), 4.23 -4.29 (m, 2H), 3.86 (s, 3H), 3.56-3.62 (m, 2H), 3.12-3.18 (m, 1H), 2.93-3.01 (m, 1H).
【0167】
1-(2-メトキシフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン、化合物7(スキームB及びF) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.35-8.37 (m, 2H), 7.21-7.28 (m, 4H), 6.87-6.97 (m, 2H), 5.27 -5.32 (m, 1H), 3.85 (s, 1H), 3.72-3.77 (m, 2H), 3.10-3.21 (m, 3H), 2.90-2.97 (m, 1H).
【0168】
N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-1-(2-メトキシフェニル)-2-(ピリジン-4-イル)エタンアミン、化合物10(スキームB及びF) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.40-8.42 (m, 2H), 7.28-7.33 (m, 4H), 6.93-7.04 (m, 2H), 5.00-5.05 (m, 1H), 3.89 (s, 1H), 3.56 (s, 4H), 3.22-3.29 (m, 1H), 3.07-3.14 (m, 1H).
【0169】
1-(2-メトキシフェニル)-N-(オキサゾリジン-2-イリデン)-2-(ピリジン-3-イル)エタンアミン、化合物13(スキームB及びF) 1H NMR (300 MHz, CD3OD):δ 8.30-8.33 (m, 2H), 7.65-7.69 (m, 1H), 7.19-7.31 (m, 3H), 6.86-6.95 (m, 2H), 5.06-5.11 (m, 1H), 4.11 -4.17 (m, 2H), 3.82 (s, 3H), 3.50-3.56 (m, 2H), 3.05-3.12 (m, 1H), 2.89-2.97 (m, 1H).
【0170】
1-(2-メトキシフェニル)-2-(ピリジン-3-イル)-N-(チアゾリジン-2-イリデン)エタンアミン、化合物11(スキームB及びF) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.33-8.35 (m, 2H), 7.67-7.69 (m, 1H), 7.21-7.34 (m, 3H), 6.88-6.97 (m, 2H), 5.20-5.24 (m, 1H), 3.84 (s, 3H), 3.73 -3.78 (m, 2H), 3.20-3.25 (m, 2H), 3.11-3.17 (m, 1H), 3.02-2.94 (m, 1H).
【0171】
N-(イミダゾリジン-2-イリデン)-1-(2-メトキシフェニル)-2-(ピリジン-3-イル)エタンアミン、化合物12(スキームB及びF) 1H NMR (300 MHz, CD3OD): δ 8.37-8.39 (m, 2H), 7.71-7.74 (m, 1H), 7.25-7.37 (m, 3H), 6.92-7.03 (m, 2H), 4.94-4.98 (m, 1H), 3.88 (s, 3H), 3.57 (s, 4H), 3.10-3.27 (m, 2H).
【0172】
慢性疼痛の緩和
慢性疼痛(特に末梢性神経障害)に対するKim and Chung 1992, Pain 150, pp 355-363(チャンモデル)のモデルは、実験動物の片側にL5(及び必要によりL6)脊髄神経の外科的結紮を含む。手術から回復中のラットは、体重が増え、正常なラットと同様の一般活性のレベルを示す。しかしながら、これらのラットは、足の異常を発症し、ここで、後足がやや外転し、つま先も一緒の状態のままである。より重要なことに、手術の影響を受ける片側の後足は、手術後約1週間以内にヒトの感触のかすかな感覚を生じるような低閾値機械的刺激からの疼痛に対して感受性になると思われる。通常痛みを伴なわない感触に対するこの感受性は、“触覚アロディニア”と呼ばれ、少なくとも2ヶ月間持続する。応答には、刺激から逃げるために影響を受けた後足を持ち上げること、足をなめること、何秒間も空中でそれを保つことが含まれる。これらの応答のいずれも対照グループには通常見られない。
【0173】
手術の前にラットに麻酔する。手術部位を剃毛し、ベタジン又はノバカインで準備する。胸椎XIIIから仙骨の方へ下に切開する。筋肉組織をL4 - S2レベルで脊髄の椎骨(左側)から分離する。L6椎骨の場所を見つけ、横突起を小さな骨鉗子で注意深く取り除き、L4 - L6脊髄神経をさらす。L5とL6脊髄神経を分離し、6-0の絹糸できつく結紮する。対照として右側に同じ手順を行う。但し、脊髄神経の結紮は行われない。
【0174】
完全な止血を確認し、次に創傷を縫合する。切開した領域に少量の抗生物質の軟膏剤を塗り、ラットを調節された熱-温度灯の下で回復プラスチックケージに移す。実験の日に、手術後少なくとも7日に、試験グループ当たり典型的には6匹のラットに腹腔内(i.p.)注射又は強制経口投与によって試験薬剤を投与する。i.p.注射の場合、化合物はほぼ10〜50% DMSO中に配合され、1ml/kg体重の容積で投与する。
【0175】
こわばりの差が増加している一連の微細毛であるvon Frey hairを用いて薬剤投与の前に及び薬剤投与の30分後に触覚アロディニアを測定する。ラットをワイヤメッシュ底を有するプラスチックケージに入れ、ほぼ30分間慣れさせておく。von Frey hairをわずかな座屈を生じるのに充分な力でラットの後足の中央の足底領域にメッシュを通して垂直に加え、6-8秒間保持する。加えた力を0.41〜15.1グラムの範囲にあるように算出した。足を急に引っ込めた場合には、正の応答とみなす。正常な動物はこの範囲の刺激に応答しないが、外科的に結紮した足は1-2グラムの毛に応答して引っ込められる。50%足引っ込め閾値は、Dixon, W.J., Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 20:441-462 (1980)の方法を用いて求められる。薬剤後閾値を薬剤前閾値と比較し、触覚感度のパーセント逆転を15.1グラムの正常な閾値に基づいて算出する。結果はパーセント(%) MPEで表され、ここで、MPE値は正常な動物(100%)に対する疼痛閾値の逆転パーセントを反映する。
【0176】
表 1
神経障害性疼痛のチャンモデルにおける本発明の化合物の活性
(疼痛逆転%±SEM)
化合物21のi.p.投与経路による投与量

化合物21の投与量及び投与経路
【0177】
表1に示される結果(図1にもグラフで示される)から、本発明のこれらの化合物がアロディニア疼痛を著しく緩和すること、及びこれらの試験に基づき及び/又はアルファ2Aアドレナリン受容体よりアルファ2B及び/又はアルファ2Cアドレナリン受容体を活性化する化合物の能力に基づき、本発明の化合物がアロディニア及び慢性疼痛を緩和する鎮痛剤として有効であると予想されることが示される。
本発明をこれらの個々の実施例に関して記載してきたが、他の修正や変更が本発明の真意から逸脱することなく可能であることが理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルファ2Bアドレナリン受容体及びアルファ2Cアドレナリン受容体の選択的サブタイプモジュレーションと関連している疾患を治療する方法であって、下記構造を有する少なくとも1つの化合物、又はその医薬的に許容され得る塩の治療的に有効な量を含有する医薬組成物をそれを必要としている被検者に投与することを含む、前記方法:
【化1】

(式中、XはO、S、又はNHであり;
Z1-Z6は、各々独立して、C、N、O、又はSであるが、Z1-Z6の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロオメチル、-N(R6)2、-CN、-CO2R6、又は-CH2OHであるか; 又は
nが2である場合、各R1はこれらが結合している炭素原子と一緒になって縮合アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、又は置換複素環を形成し;
R3、R4、R5、及びR6は、各々独立して、H又は低級アルキルである)。
【請求項2】
pが1である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1が、H、低級アルキル、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル、又はメトキシである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
アルファ2Bアドレナリン受容体及びアルファ2Cアドレナリン受容体の選択的サブタイプモジュレーションと関連している疾患を治療する方法であって、下記構造を有する少なくとも1つの化合物、又はその医薬的に許容され得る塩の治療的に有効な量を含有する医薬組成物をそれを必要としている被検者に投与することを含む、前記方法:
【化2】

(式中、Z1-Z5は、各々独立して、C、N、O、又はSであるが、Z1-Z5の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、又はトリフルオロオメチルである)。
【請求項5】
化合物が、下記構造のいずれか1つを有する、請求項4に記載の方法:
【化3】

【請求項6】
化合物が、下記構造を有する、請求項4に記載の方法。
【化4】

【請求項7】
アルファ2Bアドレナリン受容体及びアルファ2Cアドレナリン受容体の選択的サブタイプモジュレーションと関連している疾患を治療する方法であって、下記構造を有する少なくとも1つの化合物、又はその医薬的に許容され得る塩の治療的に有効な量を含有する医薬組成物をそれを必要としている被検者に投与することを含む、前記方法:
【化5】


(式中、Z1-Z5は、各々独立して、C、N、O、又はSであるが、Z1-Z5の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、又はトリフルオロオメチルである)。
【請求項8】
化合物が、下記構造を有する、請求項7に記載の方法:
【化6】

【請求項9】
化合物が、下記構造を有する、請求項7に記載の方法:
【化7】

【請求項10】
アルファ2Bアドレナリン受容体及びアルファ2Cアドレナリン受容体の選択的サブタイプモジュレーションと関連している疾患を治療する方法であって、下記構造を有する少なくとも1つの化合物、又はその医薬的に許容され得る塩の治療的に有効な量を含有する医薬組成物をそれを必要としている被検者に投与することを含む、前記方法:
【化8】


(式中、Z1-Z5は、各々独立して、C、N、O、又はSであるが、Z1-Z5の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、又はトリフルオロオメチルである)。
【請求項11】
化合物が、下記構造を有する、請求項10に記載の方法。
【化9】

【請求項12】
化合物が、下記構造を有する、請求項10に記載の方法。
【化10】

【請求項13】
疾患が、緑内障、高眼圧、虚血性神経症、視神経症、疼痛、内臓痛、角膜疼痛、頭痛、片頭痛、癌疼痛、背疼痛、過敏性腸症候群疼痛、筋肉痛や糖尿病性神経障害と関連がある疼痛、糖尿病性網膜症の治療、他の網膜変性状態、卒中、認知障害、神経精神医学的状態、薬物依存性や耽溺、禁断症候群、強迫性障害、肥満症、インスリン抵抗性、ストレスに関係のある状態、下痢、多尿、鼻うっ血、痙直、注意力欠如障害、精神病、不安、うつ病、自己免疫疾患、クローン病、胃炎、アルツハイマー病、パーキンソン病、又はALSである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
アルファ2Bアドレナリン受容体及びアルファ2Cアドレナリン受容体の選択的サブタイプモジュレーションと関連している疾患を治療する方法であって、下記構造を有する少なくとも1つの化合物、又はその組み合わせ、又はその医薬的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、結晶形、異性体、互変異性体、エナンチオマー、又はジアステレオマーの治療的に有効な量をそれを必要としている被検者に投与することを含む、前記方法:
【化11】

(式中、XはO、S、又はNHであり;
Z1-Z6は、各々独立して、C、N、O、又はSであるが、Z1-Z6の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロオメチル、-N(R6)2、-CN、-CO2R6、又は-CH2OHであるか; 又は
nが2である場合、各R1はこれらが結合している炭素原子と一緒になって縮合アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、又は置換複素環を形成し;
R3、R4、R5、及びR6は、各々独立して、H又は低級アルキルである)。
【請求項15】
pが1である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
R1が、H、低級アルキル、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル、又はメトキシである、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
副作用を生じることなく疼痛を治療する方法であって、下記構造を有する少なくとも1つの化合物、又はその組み合わせ、又はその医薬的に許容され得る塩、水和物、溶媒和物、結晶形、異性体、互変異性体、エナンチオマー、又はジアステレオマーの治療的に有効な量をそれを必要としている被検者に投与することを含む、前記方法:
【化12】

(式中、XはO、S、又はNHであり;
Z1-Z6は、各々独立して、C、N、O、又はSであるが、Z1-Z6の少なくとも1つはNであり;
n及びmは、各々独立して、1〜5であり;
pは、0又は1であり;
R1及びR2は、各々独立して、H、低級アルキル、低級アルケニル、低級アルキニル、ハライド、ヒドロキシ、アルコキシ、トリフルオロオメチル、-N(R6)2、-CN、-CO2R6、又は-CH2OHであるか; 又は
nが2である場合、各R1はこれらが結合している炭素原子と一緒になって縮合アリール、置換アリール、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、シクロアルキル、置換シクロアルキル、複素環、又は置換複素環を形成し;
R3、R4、R5、及びR6は、各々独立して、H又は低級アルキルである)。
【請求項18】
pが、1である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
副作用が、血圧低下である、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
副作用が、鎮静状態である、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2011−510013(P2011−510013A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−543227(P2010−543227)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/031077
【国際公開番号】WO2009/091874
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(390040637)アラーガン インコーポレイテッド (117)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】