説明

部品供給装置

【課題】主として、駆動源及び装置全体の大型化を抑制し、部品を供給するときに不要な振動が発生することを防止できる部品供給装置を提供する。
【解決手段】駆動源として機能する第1サーボモータ32及び第2サーボモータ36が動作しない固定部材22に固定されているため、ピックアップノズル12及び回転支持部材20などの動作部材の重量を軽量化することができる。これにより、ピックアップノズル12及び回転支持部材20などの動作部材を移動させるときの動力が小さくてすみ、小型のサーボモータ32、36を採用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を実装ヘッドに供給する部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の部品供給装置は、外周縁近傍に吸着ヘッドが設けられ、略水平に位置する回転軸を垂直方向に移動して、吸着ヘッドの下方に搬入されたチップ部品集合体から任意のチップ部品をピックアップするとともに、間欠回転してチップ部品を反転させる回転面板を備えたピックアップ反転部と、回転面板の回転軸を垂直方向に移動させるピックアップ移動部と、ピックアップ位置の上方に設けられ、反転されたチップ部品を次工程に搬送する搬送部と、チップ部品の良否を検査し判定する検査部と、を具備したものが知られている(下記特許文献1参照)。
【0003】
この部品供給装置によれば、吸着ヘッドによりチップ部品がピックアップされ、回転面板の回転軸が垂直方向(上方向)に移動する。そして、回転面板の回転軸が180度回転されて、チップ部品が上下反転される。さらに、搬送部の吸着ノズルが下降されて、上下反転されたチップ部品が吸着ノズルに吸着される。その後、回転面板の回転軸が垂直方向(下方向)に移動し、次のチップ部品が吸着ヘッドによりピックアップされる。これらの工程が繰り返されて、チップ部品がピックアップされ、下流の工程に搬送されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−108193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記一連の工程において、回転面板の回転軸の回転は、回転軸をモータ(回転駆動モータ)の駆動軸とすることにより実現されている。すなわち、上記ピックアップ反転部は、回転軸を駆動する回転駆動モータを含んだ構成であり、この回転駆動モータが吸着ヘッドと共にピックアップ移動部により移動される構成になっている。このため、ピックアップ移動部により移動される対象物、すなわち、ピックアップ反転部の重量が大きくなる。さらに、ピックアップ反転部の重量の増加に伴い、ピックアップ移動部側の動力も大きくなるため、回転軸の上下移動の動力源となるモータ(上下駆動モータ)が大型化する。この結果、部品供給装置全体が大型化するという問題が生じ、また、大型の上下駆動モータを用いることによる不要な振動が発生するという別の問題が生じる。特に、不要な振動の発生は、チップ部品の実装精度に大きな影響を与えるため、徹底的に排除する必要がある。
【0006】
また、ピックアップ移動部の上下移動は、支軸を中心に回転軸及び移動レバーが回転する構成により実現されるため、吸着ヘッドは、上下移動の際に、所定の円弧を描くように移動することになる。このため、吸着ヘッドにチップ部品を吸着させようとして、吸着ヘッドを下方向に移動させたときに水平方向に位置がずれることになり、吸着ヘッドのチップ部品に対する位置精度が低下する問題が生じる。また、吸着ヘッドを上方向に移動させるときも、同様にして、搬送部の吸着ノズルに対する位置精度が低下する。
【0007】
特に、ピックアップ反転部の重量が大きくなると、ビックアップ反転部の慣性力が大きくなるため、大型の上下駆動モータを用いても、ピックアップ反転部を高速でかつ高精度に上下移動させることは困難となる。このように、吸着ヘッドによりチップ部品をピックアップするときと、チップ部品を吸着ヘッドから吸着ノズルに吸着させるときの位置制御が困難になり、ひいては、下流の実装工程においてチップ部品の実装精度が低下する問題が生じる。特に、チップ部品が小型になればなる程、チップ部品に対する位置制御が困難となり、チップ部品の実装精度が低下することになる。また、搬送部の吸着ノズルに対する位置精度が低下すると、吸着ノズルでチップ部品をピックアップする際に、吸着ノズルからチップ部品に大きな荷重が作用するため、チップ部品に割れが発生するおそれがある。また、チップ部品が材料強度の低い材料で構成され、あるいはチップ部品が薄型のものであれば、チップ部品自体の強度が低くなり、チップ部品が破損し易くなる。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情を考慮し、駆動源及び装置全体の大型化を抑制し、部品を供給するときに不要な振動が発生することを防止できる部品供給装置を提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、部品をピックアップするとき、あるいは部品を実装するときに、部品が破損することを防止するとともに、部品の位置精度(実装精度)を高めることができる部品供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、部品を吸着する第1部品吸着部と、前記第1部品吸着部を回転可能に支持する回転支持部と、前記第1部品吸着部及び前記回転支持部を直線方向に沿って移動させる直線駆動部と、前記第1部品吸着部を前記回転支持部の軸回りに回転させて前記第1部品吸着部に吸着された前記部品の姿勢を変更する回転駆動部と、前記回転支持部を前記直線方向に沿って移動可能となるように支持する固定部と、前記固定部に設けられ前記直線駆動部を駆動する第1駆動源と、前記固定部に設けられ前記回転駆動部を駆動する第2駆動源と、前記回転駆動部により姿勢が変更された前記部品を吸着する第2部品吸着部と、を有する部品供給装置であって、前記第1部品吸着部は、複数設けられ、前記第2部品吸着部は、一つまたは複数設けられ、かつ前記直線方向に沿って移動可能に設けられ、前記第1部品吸着部に吸着される前記部品を前記第1部品吸着部側に押し出す部品押出部は、前記直線方向に沿って移動可能に設けられ、前記部品押出部の直線移動、前記第1部品吸着部の直線移動及び前記第2部品吸着部の直線移動を同期させる制御部と、を有し、前記部品押出部の直線移動、前記第1部品吸着部の直線移動及び前記第2部品吸着部の直線移動が前記制御部により同期されて、前記部品押出部により前記部品が押し出されて一方の前記第1部品吸着部に吸着される第1吸着工程と、他方の前記第1部品吸着部に吸着されている前記部品が前記第2部品吸着部に吸着される第2吸着工程と、が同時に実行されることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、第1駆動源により直線駆動部が駆動されて、第1部品吸着部及び回転支持部が下方向に移動する。そして、第1部品吸着部に部品が吸着される。第1部品吸着部に部品が吸着された後、第1駆動源により直線駆動部が駆動されて、第1部品吸着部及び回転支持部が上方向に移動する。その後、第2駆動源により回転駆動部が駆動されて、第1部品吸着部が回転支持部により所定の軸回りに回転される。これにより、第1部品吸着部に吸着されている部品の姿勢が変更される。その後、姿勢が変更された部品は、第2部品吸着部に吸着される。なお、第2部品吸着部に吸着された部品は、下流の実装工程で回路基板等に実装される。
【0012】
ここで、第1駆動源及び第2駆動源が固定部に固定されているため、第1部品吸着部及び回転支持部の重量を軽量化することができる。これにより、第1部品吸着部を移動させるときの動力が小さくてすみ、各駆動源を小型化することができる。また、各駆動源を小型化することにより、部品供給装置全体を小型化することができる。また、各駆動源を小型化することにより、駆動時に不要な振動の発生を低減することができるため、部品を実装したときの部品の実装精度を向上させることができる。
【0013】
また、第1部品吸着部及び回転支持部の重量を軽量化することにより、第1部品吸着部及び回転支持部に発生する慣性力が小さくなる。これにより、小型の駆動源により、第1部品吸着部及び回転支持部を高速でかつ高精度に移動させることができる。この結果、第1部品吸着部及び回転支持部の位置制御が容易になり、部品の実装精度を高めることができる。
【0014】
また、第1部品吸着部及び回転支持部の位置精度を高めることにより、第1部品吸着部に部品を吸着するときの部品に作用する荷重が小さくなる。これにより、部品に割れなどが発生することを防止できる。特に、部品が材料強度の低い材料で構成され、あるいは部品が薄型のもので、部品自体の強度が低い場合でも、部品が破損することを防止できる。
【0015】
さらに、部品押出部の直線移動、第1部品吸着部の直線移動及び第2部品吸着部の直線移動が制御部により同期されて、第1部品吸着部に吸着される部品が部品押出部により第1部品吸着部側に押し出される。部品押出部により第1部品吸着部側に押し出された部品は、第1部品吸着部に吸着されると同時に、他の第1部品吸着部に吸着されている部品が第2部品吸着部に吸着される。
【0016】
このように、部品押出部の直線移動、第1部品吸着部の直線移動及び第2部品吸着部の直線移動が制御部により同期され、部品押出部により部品が押し出されて一方の第1部品吸着部に吸着される第1吸着工程と、他方の第1部品吸着部に吸着されている部品が第2部品吸着部に吸着される第2吸着工程と、が同時に実行される。これにより、第1吸着工程と第2吸着工程を異なるタイミングで別々に実行する場合と比較して、第2部品吸着部に部品を吸着させるまでの時間を短縮することができる。この結果、部品の供給能力が向上し、下流の実装工程において、部品を効率良く実装することができる。また、第2部品吸着部に部品を吸着させるまでの時間を短縮することにより、この短縮した時間を他の処理を実行する時間にまわすことができる。特に、第1部品吸着部で部品を吸着するときに、第1部品吸着部の部品に対する移動速度を低下することにより、第1部品吸着部で部品を吸着するときに部品に及ぼす荷重を低減することができる。この結果、部品に傷などがついてしまうことを防止でき、部品の品質を向上させることができる。
【0017】
また、前記直線駆動部は、前記第1駆動源の駆動力を直線運動に変換する直線駆動機構であり、前記第1駆動源からの駆動力が前記直線駆動機構により直線運動に変換されて前記第1部品吸着部及び前記回転支持部が直線方向に移動することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1駆動源からの駆動力が直線駆動機構により直線運動に変換されて第1部品吸着部及び回転支持部が直線方向に移動する。このため、第1部品吸着部は、部品の吸着面に対して垂直方向から部品に接触することができる。これにより、第1部品吸着部が部品に接触するときに、第1部品吸着部が部品に対して水平方向に位置ずれすることを防止できる。また、第1部品吸着部の部品に対する位置ずれを防止することにより、第2部品吸着部の部品に対する位置ずれも防止できる。この結果、部品の実装精度を向上させることができる。
【0019】
また、前記第1部品吸着部で吸着される前記部品を支持する部品供給部と、前記部品供給部に支持された前記部品の位置を認識する部品位置認識部と、を有し、前記部品位置認識部により認識された結果に基づいて前記部品供給部に支持された前記部品の位置が補正されることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、部品供給部に支持された部品の位置が部品位置認識部により認識され、部品位置認識部による認識結果に基づいて部品供給部に支持された部品の位置が補正される。このように、第1部品吸着部に吸着される前の段階で、部品が最適な部位に位置するように位置制御することにより、第1部品吸着部に対する部品の位置精度を高めることができるとともに、第1部品吸着部を直線方向に移動させるだけで、部品を吸着することができる。また、第1部品吸着部が180度回転された位置で、第2部品吸着部を待機させておくことにより、第2部品吸着部を直線方向に移動するだけで、第1部品吸着部に吸着された部品を第2部品吸着部に吸着させることができる。これにより、第1部品吸着部及び第2部品吸着部により部品を吸着するときの第1部品吸着部及び第2部品吸着部の移動距離を最短距離にすることができる。この結果、部品の吸着処理に必要な時間を短縮することができ、部品の吸着能力及び実装能力を向上させることができる。
【0021】
また、前記部品は、前記第1部品吸着部に吸着された位置から前記第1部品吸着部が90度又は270度回転された位置で、前記第2部品吸着部により吸着されることが好ましい。
【0022】
この構成によれば、部品は、第1部品吸着部に吸着された位置から第1部品吸着部が90度又は270度回転された位置で、第2部品吸着部により吸着される。これにより、部品の姿勢を90度又は270度、回転変更させた状態で、部品を第2部品吸着部に吸着させることができる。このように、第1部品吸着部を適宜回転させることにより、部品の姿勢を自在に変更することができる。この結果、部品の姿勢を第2部品吸着部の吸着処理に最適となる姿勢に常に変更することができるため、別の機構や工程が不要となり、部品点数及び工程を削減できる。
【0023】
また、前記第1部品吸着部に前記部品が吸着された位置から前記第1部品吸着部が90度又は270度回転された位置に、部品支持部を有することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、第1部品吸着部に部品が吸着された位置から第1部品吸着部が90度又は270度回転された位置に、部品支持部が設けられているため、部品が第2部品吸着部に吸着されるときに第2部品吸着部に対する部品の位置ずれを防止できる。これにより、第2部品吸着部による部品の吸着精度及び部品の実装精度を高めることができる。
【0025】
さらに、前記部品支持部は、前記第1部品吸着部の回転軌跡上から退避した位置に設けられていることが好ましい。
【0026】
この構成によれば、部品支持部が第1部品吸着部の回転軌跡上から退避し、かつ固定した位置に設けられているため、第1部品吸着部が回転するときに部品支持部が干渉することがない。これにより、第1部品吸着部が回転したときに第1部品吸着部と部品支持部が接触することがないように、第1部品吸着部又は部品支持部の一方を逃がす工程が不要になる。この結果、工程数の増加に伴う作業時間を省くことができるため、部品の供給能力を向上させることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、駆動源及び装置全体が大型化することを抑制でき、部品を供給するときに不要な振動が発生することを防止できる。
【0028】
また、部品吸着部により部品をピックアップするとき、あるいは部品を実装するときに、部品が部品吸着部と接触して破損することを防止するとともに、部品吸着部の部品に対する位置精度(部品の実装精度)を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る部品供給装置の構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る部品供給装置の制御システムの一部を示したブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る部品供給装置を構成する第2部品吸着部により部品が回路基板に実装されるときの説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る部品供給装置の第1部品吸着部により吸着された部品が右回りに90度回転して第2部品吸着部に吸着されるときの部品の状態を示した説明図である。
【図5】(A)は本発明の第2実施形態に係る部品供給装置の第1部品吸着部による部品の吸着工程と第2部品吸着部による部品の吸着工程が実行される前段階の状態を示した説明図であり、(B)は本発明の第2実施形態に係る部品供給装置の第1部品吸着部による部品の吸着工程と第2部品吸着部による部品の吸着工程が同時に実行された状態を示した説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る部品供給装置の制御システムの一部を示したブロック図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る部品供給装置の構成図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る部品供給装置の第1部品吸着部により吸着された部品が第2部品吸着部に吸着されるときの状態を示した説明図である。
【図9】本発明の部品供給装置の変形例の構成図である。
【図10】本発明の部品供給装置の変形例を構成する実装ヘッドへの電子部品の吸着工程の一部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の第1実施形態に係る部品供給装置について、図面を参照して説明する。
【0031】
図1に示すように、部品供給装置10は、4個のピックアップノズル(第1部品吸着部)12を備えている。各ピックアップノズル12には、電子部品(部品)Dが吸着される部品吸着面14がそれぞれ形成されている。各ピックアップノズル12は、ぞれぞれの部品吸着面14が径方向外側を向くように回転軸16の円盤部18に取り付けられている。また、各ピックアップノズル12は、相互に等間隔になるように配置されている。このため、隣接するピックアップノズル12同士の開き角度が90度になっている。また、回転軸16は、回転支持部材(回転支持部)20によりベアリング等を介して回転可能に支持されている。これにより、回転軸16が回転することにより、各ピックアップノズル12が回転軸16の軸回りに回転する。また、回転軸16の外周面には、後述のタイミングベルト(回転駆動部)24が掛けられる回転軸プーリ(図示省略)が設けられている。
【0032】
また、ピックアップノズル12の部品吸着面14には吸引孔が形成されており、図示しないポンプなどにより空気吸引することにより、部品吸着面14に電子部品Dが吸着できるように構成されている。なお、ポンプの駆動は、後述のコントローラ40(制御部、図2参照)により制御される。
【0033】
回転支持部材20は、固定部材(固定部)22に上下方向(図1中矢印Z方向)に沿って移動可能となるように取り付けられている。すなわち、固定部材22には上下方向に延びるレール部26が形成されており、回転支持部材20にはこのレール部26に係合してレール部26の延びる方向に沿って移動するガイド部28が形成されている。そして、回転支持部材20は、ガイド部28がレール部26に沿って移動することにより、上下方向に沿って移動することができるようになっている。なお、固定部材22が部品供給装置10の任意の部位に固定されているため、回転支持部材20は、固定部材22に対して移動(相対移動)することになる。また、回転支持部材20のガイド部28の端面には、後述のピニオンギア(直線駆動部、直線駆動機構)34と噛み合うラック部(直線駆動部、直線駆動機構)30が形成されている。
【0034】
固定部材22には、第1サーボモータ(第1駆動源)32が取り付けられている。この第1サーボモータ32の回転軸には、ピニオンギア34が取り付けられている。このピニオンギア34は、ラック部30と噛み合っており、第1サーボモータ32の回転駆動力がピニオンギア34を介して回転支持部材20に伝達される。これにより、第1サーボモータ32が回転駆動することにより、回転支持部材20が上下方向に沿って移動可能になる。このように、部品供給装置は、第1サーボモータ32の回転駆動力を直線運動に変換する直線駆動機構を備えている。なお、この第1サーボモータ32は、回転支持部材20を上下移動させるための第1駆動源として機能している。
【0035】
また、固定部材22には、第2サーボモータ(第2駆動源)36が取り付けられている。この第2サーボモータ36の回転軸には、固定側プーリ(回転駆動部)38が取り付けられている。この固定側プーリ38と回転軸プーリの外周面には、タイミングベルト24が掛け渡されている。これにより、第2サーボモータ36の回転駆動力がタイミングベルト24を介して回転軸16に伝達される。このため、第2サーボモータ36が回転駆動することにより、回転軸16及び各ピックアップノズル12が回転する。なお、この第2サーボモータ36は、回転軸16及び各ピックアップノズル12を回転させるための第2駆動源として機能している。
【0036】
ここで、第1サーボモータ32及び第2サーボモータ36は、固定部材22により固定されているため、回転支持部材20の上下移動及び各ピックアップノズル12の回転移動に伴い、移動するものではない。すなわち、各ピックアップノズル12及び回転支持部材20と共に移動する機構に、第1サーボモータ32及び第2サーボモータ36が含まれないため、各ピックアップノズル12及び回転支持部材20と共に移動する機構を軽量化することができる。
【0037】
図2に示すように、第1サーボモータ32及び第2サーボモータ36の駆動制御は、コントローラ40により実行される。
【0038】
図1に示すように、部品供給装置10は、単一の実装ヘッド(第2部品吸着部)42を備えている。この実装ヘッド42は、各ピックアップノズル12に吸着された電子部品Dを吸着し、その電子部品Dを回路基板H(図3参照)に実装するものである。また、実装ヘッド42は、円筒状の吸着ノズル部44と、吸着ノズル部44が伸縮可能となるように収容したヘッド本体部46と、を備えている。そして、実装ヘッド42は、ヘッド駆動機構48により、上下方向及び水平方向に沿って移動可能となるように構成されている。ここで、ヘッド駆動機構48は、サーボモータ、ボールネジにより上下方向及び水平方向に沿った直線駆動が可能なアクチュエータで構成されている。また、ヘッド駆動機構48は、コントローラ40により駆動制御されており、実装ヘッド42の移動は、コントローラ40により駆動制御されたヘッド駆動機構48により実現される。
【0039】
また、実装ヘッド42には、電子部品Dが吸着される部品吸着面50が形成され、実装ヘッド42の部品吸着面50には吸引孔が形成されており、図示しないポンプなどにより空気吸引することにより、部品吸着面50に電子部品Dが吸着できるように構成されている。なお、ポンプの駆動は、コントローラ40により制御される。
【0040】
また、実装ヘッド42は、吸着ノズル部44が伸縮せずに、そのままヘッド本体部46に固定されている構成でもよい。この場合、実装ヘッド42の上下方向の移動は、吸着ノズル部44がヘッド本体部46と共に上下方向に移動することにより実現される。さらに実装ヘッド42の構造としては、単一以外に直線上、または円周上(ロータリ)に多連配置されたものであってもよい。なお、図9に示すように、ヘッド本体部46の円周上(ロータリ)に多連配置(図9では4個)された実装ヘッド42の場合のヘッド駆動機構48は、サーボモータ、ボールネジにより上下方向及び水平方向に沿った曲線駆動が可能なアクチュエータで構成されている。
【0041】
円盤部18の回転中心の近傍であって後述のXYステージ(部品供給部)56の上方には、プリズム(部品位置認識部)52が配置されている。また、プリズム52の水平方向上の位置には、画像処理装置として機能するカメラ(部品位置認識部)54が配置されている。プリズム52及びカメラ54は、各ピックアップノズル12及び回転軸16と切り離されて設けられている。電子部品Dの位置及び姿勢は、プリズム52を通してカメラ54で認識される。なお、プリズム52及びカメラ54は、回転軸16が回転しても、各ピックアップノズル12及び回転軸16の回転動作と干渉しない位置に設けられている。また、カメラ54により認識された部品の位置及び姿勢は、電子部品Dの位置データとして、コントローラ40に送信される。
【0042】
また、部品供給装置10は、複数の電子部品Dが載せられるXYステージ56を備えている。XYステージ56は、サーボモータ及びボールネジで構成されるステージ駆動機構58により、X方向(図1参照)及びY方向(図1参照)に移動可能に構成されている。なお、XYステージ56の上面には、半導体ウエーハなどの電子部品の他に、部品トレーが載せられる。XYステージ56に部品トレーが載せられる場合には、クランプにより固定できる構成になっている。また、ステージ駆動機構58の駆動制御は、コントローラ40により実行される。
【0043】
次に、第1実施形態の部品供給装置10の作用及び効果について説明する。
【0044】
図1に示すように、カメラ54によりXYステージ56上の電子部品Dの位置及び姿勢が認識され、カメラ54から位置データがコントローラ40に送信される。コントローラ40で位置データが受信されると、電子部品Dがピックアップノズル12の真下に位置するように、コントローラ40によりXYステージ56が移動される。このようにして、XYステージ56上の電子部品Dは、ピックアップノズル12による吸着に最適な位置にくるように調整される。なお、上記した電子部品Dの位置及び姿勢は、隣接するピックアップノズル12同士の間から電子部品Dを認識するようにして実行される。
【0045】
次に、電子部品Dがピックアップノズル12の真下に位置すれば、電子部品Dの真上に位置するピックアップノズル12の部品吸着面14が電子部品Dの上面に対して平行になるように、回転軸16の位置制御が実行される。具体的には、回転軸16の位置制御は、第2サーボモータ36が駆動して固定側プーリ38及びタイミングベルト24が回転し、この回転力が回転軸プーリに伝達されることにより、実行される。
【0046】
次に、回転軸16の位置制御が実行されて、電子部品Dの真上に位置するピックアップノズル12の部品吸着面14が電子部品Dの上面に対して平行になれば、第1サーボモータ32がコントローラ40により制御されて駆動する。第1サーボモータ32を駆動すると、ピニオンギア34が回転してラック部30に第1サーボモータ32の回転駆動力が伝達される。これにより、ピックアップノズル12は、回転支持部材20と共に、下方向に移動する。このとき、電子部品Dの真上に位置するピックアップノズル12は、その部品吸着面14が電子部品Dの上面に対して平行となる状態で下方向に移動する。
【0047】
次に、ピックアップノズル12の部品吸着面14に電子部品Dが接触すると、空気吸引力(真空吸引)により、電子部品Dが部品吸着面14に吸引されてピックアップノズル12に保持される。そして、第2サーボモータ36がコントローラ40により駆動されて、固定側プーリ38が回転する。固定側プーリ38が回転すると、タイミングベルト24を介して、回転軸16が回転し、部品の吸着されていないピックアップノズル12の部品吸着面14に上記の操作により順次電子部品Dが吸着される。このようにして、全てのピックアップノズル12の部品吸着面14に電子部品Dが吸着される。
【0048】
次に、全てのピックアップノズル12の部品吸着面14に電子部品Dが吸着されると、第1サーボモータ32が逆方向に回転して、回転支持部材20が上方に向かって移動して元の高さに戻る。
【0049】
次に、ピックアップノズル12と実装ヘッド42とが同軸上に位置するように、回転軸16及び円盤部18が回転する。換言すれば、ピックアップノズル12に吸着された電子部品Dの下面と実装ヘッド42の部品吸着面50が平行となるように、回転軸16が第2サーボモータ36により回転制御される。ピックアップノズル12及び回転軸16の回転により、ピックアップノズル12に吸着された電子部品Dの姿勢が順次変更されていく。
【0050】
次に、ピックアップノズル12に吸着された電子部品Dの下面と実装ヘッド42の部品吸着面50が平行となった状態(電子部品Dが反転した状態)で、回転支持部材20が第1サーボモータ32の駆動により上方に移動するとともに、吸着ノズル部44がヘッド本体部46に対して下方向に移動する。なお、吸着ノズル部44がヘッド本体部46に対して伸縮しない構成であれば、吸着ノズル部44がヘッド本体部46とともに下方向に移動する。
【0051】
ここで、図4に示すように、ピックアップノズル12が電子部品Dを吸着した位置からピックアップノズル12を左回り(図4中矢印S方向)に90度(右回り(図4中矢印S方向と反対方向)に270度)回転させた状態で、電子部品Dが吸着ノズル部44に吸着されるように構成してもよい。この構成によれば、電子部品Dの側面を吸着ノズル部44に吸着させることができる。このように、電子部品Dの姿勢を自由に変更し、吸着ノズル部44に吸着された電子部品Dの用途によって、電子部品Dの吸着部位を変更することができる。
【0052】
ピックアップノズル12に吸着された電子部品Dの下面と吸着ノズル部44の部品吸着面50とが接触し、空気吸引力(真空吸引力)により、電子部品Dが吸着ノズル部44の部品吸着面50に吸着されて実装ヘッド42に保持される。そして、吸着ノズル部44がヘッド本体部46に対して上方向に移動する。なお、吸着ノズル部44がヘッド本体部46に対して伸縮しない構成であれば、吸着ノズル部44がヘッド本体部46とともに上方向に移動する。
【0053】
次に、図3に示すように、実装ヘッド42がヘッド駆動機構48により移動され、電子部品Dが回路基板Hなどの上面に実装される。
【0054】
以上のように、第1実施形態の部品供給装置10によれば、第1サーボモータ32及び第2サーボモータ36が固定部材22に固定されているため、ピックアップノズル12及び回転支持部材20の重量を軽量化することができる。これにより、ピックアップノズル12及び回転支持部材20を移動させるときの動力が小さくてすみ、各サーボモータ32、36は小出力の小型のもので足りる。また、各サーボモータ32、36を小型化することにより、部品供給装置10全体を小型化することができる。また、各サーボモータ32、36を小型化することにより、駆動時に不要な振動の発生を低減することができるため、電子部品Dを実装したときの電子部品Dの実装精度を向上させることができる。
【0055】
また、ピックアップノズル12及び回転支持部材20の重量を軽量化することにより、ピックアップノズル12及び回転支持部材20に発生する慣性力が小さくなる。これにより、小型のサーボモータにより、ピックアップノズル12及び回転支持部材20を高速でかつ高精度に移動させることができる。この結果、ピックアップノズル12及び回転支持部材20の位置制御を容易かつ正確に実行することができ、電子部品Dの実装精度を高めることができる。
【0056】
また、ピックアップノズル12及び回転支持部材20の位置精度を高めることにより、ピックアップノズル12に電子部品Dを吸着するときの電子部品Dに作用する荷重(衝撃力)が小さくなる。これにより、電子部品Dに割れなどが発生することを防止できる。特に、電子部品Dが材料強度の低い材料で構成され、あるいは部品が薄型のもので、電子部品D自体の強度が低い場合でも、電子部品Dが破損することを防止できる。
【0057】
ここで、ピックアップノズル12による電子部品Dの吸着時には、第1サーボモータ32の回転駆動力がピニオンギア34及びラック部30を介して回転支持部材20に伝達される。回転支持部材に第1サーボモータ32の回転駆動力が伝達されると、ピックアップノズル12及び回転支持部材20が上下方向に移動する。このように、第1サーボモータ32の回転駆動力が直線駆動機構により直線運動に変換されてピックアップノズル12及び回転支持部材20が上下方向に移動する。このため、ピックアップノズル12は、電子部品Dの上面に対して垂直方向から電子部品Dに接触することになる。これにより、ピックアップノズル12が電子部品Dに接触するときに、ピックアップノズル12が電子部品Dに対して水平方向に位置ずれすることを防止できる。また、ピックアップノズル12の電子部品Dに対する位置ずれを防止することにより、実装ヘッド42の吸着ノズル部44の電子部品Dに対する位置ずれも防止できる。この結果、下流の実装工程において、電子部品Dの実装精度を高めることができる。
【0058】
また、XYテーブル56に支持された電子部品Dの位置がプリズム52及びカメラ54により認識され、この認識結果に基づいてXYテーブル56に支持された電子部品Dの位置がピックアップ作業に最適な位置となるように補正される。このように、ピックアップノズル12に吸着される前の段階で、電子部品Dが最適な部位に位置するように位置制御することにより、ピックアップノズル12に対する電子部品Dの位置精度を高めることができるとともに、ピックアップノズル12及び回転支持部材20を下方向に移動させるだけで、電子部品Dを吸着することができる。また、ピックアップノズル12が180度(90度、あるいは270度)回転された位置で、実装ヘッド42の吸着ノズル部44を待機させておくことにより、実装ヘッド42の吸着ノズル部44を上下方向に移動するだけで、ピックアップノズル12に吸着された電子部品Dを吸着ノズル部44に吸着させることができる。これにより、ピックアップノズル12及び吸着ノズル部44により電子部品Dを吸着するときのピックアップノズル12及び吸着ノズル部44の移動距離を最短距離にすることができる。この結果、電子部品Dの吸着処理に必要な時間を短縮することができ、電子部品Dの吸着能力及び実装能力を向上させることができる。
【0059】
次に、本発明の第2実施形態に係る部品供給装置について説明する。
なお、第1実施形態に係る部品供給装置の構成と重複する構成については同符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0060】
図5及び図6に示すように、第2実施形態の部品供給装置は、ダイシングシート(図示省略)に置かれている電子部品Dを上方に押し上げる押上ピン(部品押上部)60が設けられている。この押上ピン60は、ピン駆動機構62により上下方向に沿って移動可能となるように構成されている。このピン駆動機構62は、コントローラ40により駆動制御される。具体的には、ピン駆動機構62は、サーボモータ及びカムなどにより上下移動を可能にするものであり、ダイシングシートを吸着固定する吸引ポッド部(図示省略)を備えている。
【0061】
ここで、コントローラ40は、押上ピン60により電子部品Dが押し上げられてピックアップノズル12に吸着されるピックアップ吸着処理(第1吸着工程)と、他のピックアップノズル12に吸着されている電子部品Dが実装ヘッド42の吸着ノズル部44に吸着される受け渡し吸着処理(第2吸着工程)と、が同時に実行されるように、押上ピン60の上下移動、ピックアップノズル12(回転支持部材20)の上下移動、及び吸着ノズル部44(実装ヘッド42)の上下移動が同期して制御される。詳細には、押上ピン60、ピックアップノズル12(回転支持部材20)及び吸着ノズル部44(実装ヘッド42)の動作ファイルは、コントローラ40により演算処理され、相対的な動作プロファイルがそれぞれ最適となるように制御される。なお、押上ピン42、ピックアップノズル12(回転支持部材20)、及び吸着ノズル部44の駆動方法は、上述した通りである。
【0062】
具体的には、図5(A)は、押上ピン60の上方に位置する電子部品Dの上面に任意のピックアップノズル12の部品吸着面14が接触し、さらに、このピックアップノズル12に対して180度反対側の位置にある他のピックアップノズル12の部品吸着面14に吸着されている電子部品Dの下面に実装ヘッド42の吸着ノズル部44の部品吸着面50が接触した状態となっている。
【0063】
そして、図5(B)に示すように、押上ピン60が上方向に移動し、電子部品Dをダイシングシートから上方に向けて押し上げると同時に、各ピックアップノズル12及び回転支持部材20が上方向に移動する。このとき、押し上げられる電子部品Dと対向するピックアップノズル12の部品吸着面14に、押し上げられた電子部品Dの上面が吸着されると同時に、実装ヘッド42の吸着ノズル部44に他のピックアップノズル12に吸着されている他の電子部品Dが吸着される。その後、他の電子部品Dが吸着された状態で、実装ヘッド42の吸着ノズル部44は、上方向に移動する。
【0064】
第2実施形態によれば、押上ピン60の上方への移動、各ピックアップノズル12及び回転支持部材20の上方向への移動、及び実装ヘッド42の吸着ノズル部44の上方向への移動がコントローラ40により同期して制御され、押上ピン60により電子部品Dが押し上げられて任意のピックアップノズル12に吸着される第1吸着工程と、他のピックアップノズル12に吸着されている電子部品Dが実装ヘッド42の吸着ノズル部44に吸着される第2吸着工程と、が同時に実行される。これにより、第1吸着工程と第2吸着工程を異なるタイミングで別々に実行する場合と比較して、実装ヘッド42の吸着ノズル部44に電子部品Dを吸着させるまでの時間を短縮することができる。この結果、電子部品Dの供給能力が向上し、下流の実装工程において、電子部品Dを効率良く実装することができる。
【0065】
また、実装ヘッド42の吸着ノズル部44に電子部品Dを吸着させるまでの時間を短縮することにより、この短縮した時間を他の処理を実行する時間にまわすことができる。特に、ピックアップノズル12で電子部品Dを吸着するときに、ピックアップノズル12の電子部品Dに対する下方向に向かう移動の移動速度を低下することにより、ピックアップノズル12で電子部品Dを吸着するときに電子部品Dに及ぼす荷重(衝撃力)を低減することができる。この結果、電子部品Dに傷などがついてしまうことを防止でき、電子部品Dの品質を向上させることができる。
【0066】
特に、図9及び図10に示すように、多連(例えば、4個)の吸着ノズル部44を備えた実装ヘッド42の場合は、複数のピックアップノズル12から各吸着ノズル部44に電子部品Dが次々に受け渡され、電子部品Dを受け渡された吸着ノズル部44が移動して実装工程を行なっている間に、それと同期して、電子部品Dを受け渡して未吸着となったピックアップノズル12に次の電子部品Dを吸着させることが可能になる。これにより、吸着ノズル部44による電子部品Dの実装処理と同時にピックアップノズル12による次の電子部品Dのピックアップ処理が可能になる。そして、次の電子部品Dを吸着したピックアップノズル12から未吸着の吸着ノズル部44に電子部品Dが受け渡され、電子部品Dを受け渡された上記吸着ノズル部44による実装処理と同時に未吸着となったピックアップノズル12による次の電子部品Dのピックアップ処理が可能になる。これを繰り返すことにより、ピックアップノズル12による電子部品Dのピックアップ処理、ピックアップノズル12から吸着ノズル部44への電子部品Dの受渡し処理、吸着ノズル部44による電子部品Dの実装処理の3つの処理工程を短時間でかつ円滑に実行することができる。
【0067】
次に、本発明の第3実施形態に係る部品供給装置について説明する。
なお、第1実施形態に係る部品供給装置の構成と重複する構成については同符号を付し、適宜、その説明を省略する。
【0068】
図7及び図8に示すように、第3実施形態の部品供給装置は、XYテーブル56上の電子部品Dの上面とピックアップノズル12の部品吸着面14とが平行に対面する状態から、ピックアップノズル12を右回りに270度(左回りに90度)回転させた位置に設けられた受け渡しステージ(部品支持部)64を備えている。
【0069】
なお、受け渡しステージ64は、各ピックアップノズル12の回転軌跡上から退避した位置、換言すれば、各ピックアップノズル12が回転したときに各ピックアップノズル12に接触しない位置に設けられている。また、受け渡しステージ64のピックアップノズル12と対面する端面とピックアップノズル12との間には、所定のクリアランスCが設けられている。また、ピックアップノズル12(回転支持部材20)、及び吸着ノズル部44の駆動方法は、上述した通りである。
【0070】
第3実施形態によれば、XYテーブル56に支持された電子部品Dがピックアップノズル12により吸着され、XYテーブル56上の電子部品Dの上面とピックアップノズル12の部品吸着面14とが平行に対面する状態からピックアップノズル12が右回りに270度だけ回転する。これにより、電子部品Dは受け渡しステージ64の上面上に位置し、電子部品Dの側面が上方を向いた状態(姿勢)になる。
【0071】
次に、実装ヘッド42がヘッド駆動機構48により駆動されて、吸着ノズル部44の部品吸着面50に電子部品Dの側面が吸着される。このとき、電子部品Dの側面には、実装ヘッド42の吸着ノズル部44から所定の荷重(衝撃力)が作用するが、電子部品Dの反対側の側面が受け渡しステージ64で支持されるため、電子部品Dが実装ヘッド42と受け渡しステージ64で上下方向から強固に挟まれる形になる。これにより、実装ヘッド42の吸着ノズル部44から電子部品Dに対して所定の荷重(衝撃力)が作用した場合でも、電子部品Dが位置ずれすることを防止できる。なお、吸着ノズル部44の部品吸着面50に電子部品Dの側面が吸着されると、実装ヘッド42がヘッド駆動機構48により駆動され、下流の実装工程が実行される。
【0072】
以上のように、各ピックアップノズル12に吸着された電子部品Dを180度回転(反転)させた状態で実装ヘッド42の吸着ノズル部44に吸着させることに加え、各ピックアップノズル12に吸着された電子部品Dを270度回転させた状態で、実装ヘッド42の吸着ノズル部44に吸着させることも可能になる。これにより、実装ヘッド42の吸着ノズル部44に電子部品Dが吸着された後の処理の内容によって、他の機構を設けることなく、電子部品Dの姿勢を適宜変更することができる。この結果、部品供給装置の部品点数を削減して大型化を防止でき、製造コストが増加することも防止できる。また、部品供給装置の部品点数を削減することにより、各処理工程も削減でき、部品の供給能力及び供給効率を高めることができる。
【0073】
特に、実装ヘッド42の吸着ノズル部44による電子部品Dの吸着時には、電子部品Dが受け渡しステージ64により下方から支持されるため、実装ヘッド42の吸着ノズル部44から作用する荷重により電子部品Dが位置ずれすることを防止できる。これにより、電子部品Dが位置ずれすることなく、実装ヘッド42の吸着ノズル部44に吸着されるため、下流の実装工程における電子部品Dの実装精度を高めることができる。また、実装ヘッド42の吸着ノズル部44により電子部品Dを吸着する際に、何らかの不都合により、電子部品Dが吸着ノズル部44から離脱した場合でも、電子部品Dは、受け渡しステージ64に支持される。このため、電子部品Dが下方向に大きく落下して破損することを防止できる。
【0074】
また、受け渡しステージ64が各ピックアップノズル12の回転軌跡上から退避した位置に設けられているため、各ピックアップノズル12が回転するときに受け渡しステージ64が干渉することがない。これにより、ピックアップノズル12が回転したときに各ピックアップノズル12と受け渡しステージ64が接触することがないように、各ピックアップノズル12又は受け渡しステージ64の一方を逃がす工程が不要になる。この結果、工程数の増加に伴う作業時間を省くことができるため、電子部品Dの供給能力を向上させることができる。
【0075】
なお、第3実施形態は、受け渡しステージ64を、XYテーブル56上の電子部品Dの上面とピックアップノズル12の部品吸着面14とが平行に対面する状態から、ピックアップノズル12を右回りに270度(左回りに90度)回転させた位置に設けられた構成を示したが、この位置に限られず、例えば、受け渡しステージ64を、XYテーブル56上の電子部品Dの上面とピックアップノズル12の部品吸着面14とが平行に対面する状態から、ピックアップノズル12を右回りに90度(左回りに270度)回転させた位置に設けるようにしてもよい。受け渡しステージ64の位置は、特に限定されるものではなく、電子部品Dの姿勢との関係で適宜調整することができる。
【符号の説明】
【0076】
10 部品供給装置
12 ピックアップノズル(第1部品吸着部)
20 回転支持部材(回転支持部)
22 固定部材(固定部)
24 タイミングベルト(回転駆動部)
30 ラック部(直線駆動部、直線駆動機構)
32 第1サーボモータ(第1駆動源)
34 ピニオンギア(直線駆動部、直線駆動機構)
36 第2サーボモータ(第2駆動源)
38 固定側プーリ(回転駆動部)
40 コントローラ(制御部)
42 実装ヘッド(第2部品吸着部)
52 プリズム(部品位置認識部)
54 カメラ(部品位置認識部)
56 XYテーブル(部品供給部)
60 押上ピン(部品押上部)
64 受け渡しステージ(部品支持部)
D 電子部品(部品)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を吸着する第1部品吸着部と、
前記第1部品吸着部を回転可能に支持する回転支持部と、
前記第1部品吸着部及び前記回転支持部を直線方向に沿って移動させる直線駆動部と、
前記第1部品吸着部を前記回転支持部の軸回りに回転させて前記第1部品吸着部に吸着された前記部品の姿勢を変更する回転駆動部と、
前記回転支持部を前記直線方向に沿って移動可能となるように支持する固定部と、
前記固定部に設けられ前記直線駆動部を駆動する第1駆動源と、
前記固定部に設けられ前記回転駆動部を駆動する第2駆動源と、
前記回転駆動部により姿勢が変更された前記部品を吸着する第2部品吸着部と、
を有する部品供給装置であって、
前記第1部品吸着部は、複数設けられ、
前記第2部品吸着部は、一つまたは複数設けられ、かつ前記直線方向に沿って移動可能に設けられ、
前記第1部品吸着部に吸着される前記部品を前記第1部品吸着部側に押し出す部品押出部は、前記直線方向に沿って移動可能に設けられ、
前記部品押出部の直線移動、前記第1部品吸着部の直線移動及び前記第2部品吸着部の直線移動を同期させる制御部と、を有し、
前記部品押出部の直線移動、前記第1部品吸着部の直線移動及び前記第2部品吸着部の直線移動が前記制御部により同期されて、前記部品押出部により前記部品が押し出されて一方の前記第1部品吸着部に吸着される第1吸着工程と、他方の前記第1部品吸着部に吸着されている前記部品が前記第2部品吸着部に吸着される第2吸着工程と、が同時に実行されることを特徴とする部品供給装置。
【請求項2】
前記直線駆動部は、前記第1駆動源の駆動力を直線運動に変換する直線駆動機構であり、
前記第1駆動源からの駆動力が前記直線駆動機構により直線運動に変換されて前記第1部品吸着部及び前記回転支持部が直線方向に移動することを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項3】
前記第1部品吸着部で吸着される前記部品を支持する部品供給部と、
前記部品供給部に支持された前記部品の位置を認識する部品位置認識部と、
を有し、
前記部品位置認識部により認識された結果に基づいて前記部品供給部に支持された前記部品の位置が補正されることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項4】
前記部品は、前記第1部品吸着部に吸着された位置から前記第1部品吸着部が90度又は270度回転された位置で、前記第2部品吸着部により吸着されることを特徴とする請求項1に記載の部品供給装置。
【請求項5】
前記第1部品吸着部に前記部品が吸着された位置から前記第1部品吸着部が90度又は270度回転された位置に、部品支持部を有することを特徴とする請求項4に記載の部品供給装置。
【請求項6】
前記部品支持部は、前記第1部品吸着部の回転軌跡上から退避し、かつ固定した位置に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の部品供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−186505(P2012−186505A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−137060(P2012−137060)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【分割の表示】特願2008−97159(P2008−97159)の分割
【原出願日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】