説明

部品搬送装置および組付指示システム

【課題】組み付け対象のワークの種類や使用する部品の変更に容易に対応することができると共に、人為的な間違いによる組み付け不良を必要最小限に抑えることができる部品搬送装置および組付指示システムを提供する。
【解決手段】ワークWを複数の工程エリアA1,A2…に順次搬送し、各工程エリアA1,A2…において所定の部品を組み付けるように構成された組付ラインLaにおいて、ワークWと共に搬送される部品搬送装置2であって、複数種類の部品を分けて収納する部品収納部10と、部品収納部10への部品の収納指示およびワークWが搬送された工程エリアA1,A2…に対応する部品の組付指示を出力する指示部11と、前記収納指示として部品収納部10への各部品の収納場所および収納方向、前記組付指示として部品収納部に収納された各部品の収納場所、組み付け作業方法および組み付け位置を順次画像によって表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組付ラインにおいてワークに対して組み付けられる複数の部品が集められた部品集合を搬送する部品搬送装置および組付指示システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は従来の組付指示システム90の構成を示す図であり、91は複数種類のワーク(例えばエンジン)Wに部品を組み付けるための組付ラインLを構成するコンベヤ、92は全種類のワークWに組み付けられる部品が収納された部品棚、93は部品棚92に制御ケーブル94を介して接続される指示装置である。また、95はワークWの種類などを示す情報を記憶する記憶部を備えたIDタグ、96はこのIDタグ95と通信してワークWの種類を読み出したり生産管理情報を書き込むIDアンテナ、Mは各工程エリアに配属された作業者である。
【0003】
図12は前記部品棚92のより詳細な構成を示す図であり、97は各部品をその種類毎に分けて収納する部品収納部、98は各部品収納部97に設けた組み付け指示を示すための表示ランプである。
【0004】
前記構成の組付指示システム90において、組付ラインLのコンベア91上を複数種類のワークWが連続的にしかもランダムな状態で搬送されるので、ワークWに対して各工程エリアで組み付けられる部品がワークWの種類によってそれぞれ異なる。そこで、前記指示装置93はIDアンテナ96およびIDタグ95を用いて各工程エリアに搬送されたワークWの種類を確認し、制御ケーブル94を介して接続された各部品棚92に設けた表示ランプ98で表示させることにより、作業者Mに対して組み付け指示を出力する。作業者Mは表示ランプ98で表示された部品をワークWに組み付けることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2694269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近年では組付ラインLで組み立てるワークWの種類が増え、多種に対応した混合ラインが主流となってきており、これに伴って、各工程エリアで組み付ける部品の種類が増え、一つの部分に組み付けられる部品点数が増すため、部品収納部97の数が増加し部品棚92が大型化して、組付ラインLの周りに配置することができないという問題が発生することがあった。
【0007】
また、各組み付け工程の変更が行われる場合には、変更された工程に必要な部品を収納する部品棚92を移動させる必要があり、この場合には、部品棚92を制御ケーブル94および電源ケーブル(図外)から切り離して移動させ、移動先の工程エリアにおいて再び接続し直す必要が生じていた。同様に、一つの部品棚92内で部品の変更がある場合にも設定変更のために制御ケーブル94を取り外す必要があった。このため、工程の変更は組付ラインが完全に停止している休日に実施せざるを得なかった。
【0008】
そこで、前記組付ラインLにおいて加工対象となるワークWに組み付けられる部品を、予め全て一台の台車に集めることが考えられる。なお、本明細書において複数種類の部品の中から必要な部品だけを抽出して台車に集めることをピッキング(または配膳)という。つまり、組み付け対象となるワークWに対応する全ての部品を一台の台車に集めた後に、この台車をワークWと共に搬送することにより、各工程エリアにおいては膨大な数の部品を集めた部品棚92を設置する必要をなくすことができると考えられる。しかしながら、この作業方法では、各作業者Mは台車に集められた全ての部品の中から、自らが担当する工程において用いる部品を抽出する必要があるだけでなく、台車に部品を集める際、部品の取り忘れや取り間違いをして、組付ラインLを止めてしまうことがあった。また、作業者は台車に集めた部品を組み付けるべきワークWの種類と組付ラインを流れてきたワークWの種類が、間違っていても分からずにこれを組み付けてしまう可能性があった。
【0009】
本発明は前記課題を考慮に入れてなされたものであり、組み付け対象のワークの種類や使用する部品の変更に容易に対応することができると共に、人為的な間違いによる組み付け不良を必要最小限に抑えることができる部品搬送装置および組付指示システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、第1発明は、ワークを複数の工程エリアに順次搬送し各工程エリアにおいて所定の部品を組み付けるように構成された組付ラインにおいて、ワークの種類に合わせた複数の部品を収納してワークと共に移動する部品搬送装置であって、複数種類の部品を分けて収納する部品収納部と、部品収納部への部品の収納指示およびワークが搬送された工程エリアに対応する部品の組付指示を出力する指示部と、前記収納指示として部品収納部への各部品の収納場所および収納方向、前記組付指示として部品収納部に収納された各部品の収納場所、組み付け作業方法および組み付け位置を順次画像によって表示するモニターとを有することを特徴とする部品搬送装置(請求項1)を提供する。
【0011】
前記構成によれば、指示部がワークの種類に合わせて部品収納部に収納するべき部品を示す収納指示を出力するので正しい部品を容易に部品収納部に収容することができる。また、部品収納部に収納された部品のうち、ワークが搬送された工程エリアに対応する部品の組付指示を出力するので、作業者が異なる工程で組み付けるべき部品を間違って組み付けてしまうという人為的ミスを起こさないようにすることができる。
【0012】
なお、指示部は例えば情報処理装置を用いるものである。すなわち、指示部による収納指示および組付指示の出力は、その情報処理装置が収納指示プログラムおよび組付指示プログラムを実行することにより実現することができる。この場合、収納指示プログラム(またはこれが用いる収納指示データ)および組付指示プログラム(またはこれが用いる組付指示データ)を変更することにより、各工程における作業内容を容易に変更することができる。また、この情報処理装置に全ての部品の組付履歴、前記部品収納部への部品の収納履歴および取出履歴、さらには、不具合(部品の収容、取り出し、組み付け)に関する履歴を保存する履歴保存プログラムを実行させることにより、ワークの加工に関する保証を残すことができる。加えて、何らかの通信手段を介して保存した履歴情報を上位情報処理装置に送信することにより、履歴情報の一元管理を行うことも可能である。なお、本発明における履歴情報とは、部品の収容・取り出し・組み付け実績・組付状態・締め付けトルク値などの品質管理情報を含めた情報である。
【0013】
しかも、前記モニターが前記収納指示として部品収納部への各部品の収納場所および収納方向を順次画像によって表示するので、作業者がピッキング作業を行うときに視覚的に作業を確認することができるので、作業を間違えるという人為的ミスをできるだけ抑えることができる。同様に、前記モニターが前記組付指示として部品収納部に収納された各部品の収納場所、取付け作業方法および取付け位置を順次画像によって表示するので、作業者が組付作業を行うときにも作業を間違えるという人為的ミスをできるだけ抑えることができる。
【0014】
また、前記モニターに表示する収納指示として、さらにワークの種類データ、部品の名称、部品の特徴、バーコードデータ等の型番情報を表示することにより、ミスの発生を更に抑えることができるので好ましい。加えて、指示部にバーコード、二次元コード、IDカードなどのコードを読み取る為のコードリーダーを備えることにより、指示部は部品に添付されている前記コードを読み取って収納作用や組付作業の確認を行うことができる。同様にモニターに表示する組付指示は、組み付ける部品の向き、組付時に注意する点、作業方法、品質確認項目、および条件などを画像で表示することが好ましい。
【0015】
さらに、部品にその姿勢や種類を判別するための何らかの目印を添付し、この目印を用いて、前記画像による収納指示および組付指示をより明確にすることが好ましい。また、特別なコードリーダーを用いることなく、カメラによって撮像した画像や動画を用いて組み付けた部品の種類や方向などを判別するようにしてもよい。
【0016】
作業時間を計測するタイマーと、計測された作業時間が遅れ気味であることを示す注意通知および作業時間がオーバーしたことを示す異常通知を行う表示灯とを有し、前記モニターは計測された作業時間を表示するタイマー表示部を備える場合(請求項2)には、タイマー表示部が作業者による作業のペースメーカーとなり、各作業に所定の作業時間が定められているので、とりわけピッキング作業のように従来は作業ペースの設定が無かったものにおいて適正なペース配分を行うことができる。つまり、各作業者が無駄のない時間配分を行ってピッキング作業や組み付け作業を行うことができる。なお、タイマー表示部には、部品単位の作業時間を定めたパーツタイマーの表示部と、一工程の作業時間を定めたタクトタイマーの両方を表示することが好ましい。
【0017】
前記部品収納部への部品の収納、部品収納部からの部品の取り出し、ワークへの部品の組み付けのうち少なくとも一つの作業を監視するセンサと、このセンサによる検知情報を用いて各作業の履歴を履歴情報として記録する履歴記録手段を備える場合(請求項3)には、各種センサを用いて履歴記録手段が各作業の履歴情報を記録するので、この履歴情報を用いてワークの加工に関する保証を残すことができる。なお、この履歴情報は部品搬送装置に対して通信可能に接続された外部の情報処理装置によって読み取られ、ワーク毎に整理して記録してあることが好ましい。
【0018】
前記部品収納部は部品を収納する各間口毎に表示ランプと、各部品の収納状態を確認する収納確認センサとを備え、前記指示部は前記収納指示および組付指示として表示ランプを点灯させるための信号を出力し、前記収納確認センサの出力を用いて各部品の収納状態を確認し各部品の収納指示を出力する収納指示手段および組付指示を出力する組付指示手段を備える(請求項4)ことが好ましい。この場合には、モニターのみならず部品収納部の各間口毎に設けた表示ランプによって、部品を収納するべき場所、および、組み付けるべき部品が収納されている場所を確認できるので、作業が更に容易となる。なお、収納指示手段および組付指示手段は情報処理装置によって実行可能に構成された収納指示プログラムおよび組付指示プログラムを実行するすることによって実現することができる。
【0019】
また、前記収納確認センサの出力を用いて確認された収納状態の記録を用いて、前記部品収納部への部品の収納および部品収納部からの部品の取出を監視し、これらを収納履歴および取出履歴(すなわち履歴情報)として記録することにより、履歴情報をより正確に残すことができ、ワークに対して間違いのない部品を用いて加工していることを示す十分な保証を残すことができる。
【0020】
前記ワークへの各部品の組付作業に用いることができワークに対する締付け力を計測するセンサを備えた工具を備え、前記指示部は前記工具によって測定された締付け力を用いてワークに対する部品の組付確認を行う組付確認手段を備える場合(請求項5)には、作業者による締付け作業の確認(組付確認)を行うことができるので、より確実な組付けを行うことができる。また、前記センサによる締付け力を用いて作業者による組付け作業を監視し、これを部品の組付履歴(すなわち履歴情報)として記録することにより、履歴情報をより正確に残すことができ、ワークに対する締め付け加工が適正に行われたことを示す十分な保証を残すことができる。なお、前記請求項4の構成との組み合わせにより、部品の取出履歴と組付履歴の組み合わせを保存して、正確な部品の取出しと組付けを確認することができる。
【0021】
前記工程エリアを識別する工程位置データおよび組み付け対象のワークの種類を識別する種類データを受信可能に構成されたID受信部を有し、前記指示部は前記ID受信部によって受信した種類データに従って選択される部品の前記収納指示を出力し、この種類データを組み付け対象のワークに添付する記録媒体に記録された種類データと照合する種類照合手段を備える場合(請求項6)には、部品搬送装置をワークと共に搬送させるときに、種類照合手段が部品収納部に収納してある部品に対応するワークの種類データを、組み付け対象のワークに添付する記録媒体に記録された種類データと照合し、部品搬送装置にワークの種類に適合する部品が収納されていることを確認することができる。なお、種類照合手段は例えば指示部を構成する情報処理装置を用いて、種類照合プログラムを実行することにより実現することができる。しかしながら、前記種類照合プログラムは指示部とは異なる情報処理装置によって実行されてもよい。
【0022】
なお、前記ID受信部は非接触の無線通信を可能とするものであることが好ましい。また、ワークに生産管理データの種類データを記憶した記録媒体を備えたワーク用IDタグを添付することが好ましい。この場合、ワーク用IDタグの種類データと工程エリアを識別する工程位置データが無線送信されるので、ID受信部がこの種類データと工程位置データを受信することにより、指示部はワークが搬送された工程エリアを容易に検知して組付指示を出力することができる。
【0023】
前記部品収納部はこれを移動可能とする車輪を備える(請求項7)ことが好ましい。この車輪は部品搬送装置を手動によって台車としてワークと共に搬送することができるものである。
【0024】
第2発明は、前記部品搬送装置に複数の部品を選択して収納するピッキングラインと、このピッキングラインから部品搬送装置を受け取って組み付け対象のワークに部品を組み付ける前記組付ラインとを有する組付指示システムであって、
このピッキングラインは複数種のワークに組み付ける部品を種類毎に保管する部品棚を有し、前記指示部は前記部品棚からの部品の取出指示を出力するものであり、かつ、
この取出指示には該当部品を収納する部品棚の位置の前記モニターへの表示が含まれ、前記部品棚はその各間口毎に設けて前記取出指示に従って点灯する棚表示ランプを備えることを特徴とする組付指示システムを提供する。(請求項8)
【0025】
前記組付指示システムにおいては、組み付けラインとピッキングラインが分けられており、ピッキングライン側に複数種のワークに組み付ける部品を種類毎に保管する部品棚を有し、指示部は部品棚の部品の収納位置を取出指示としてモニターへ表示させ、前記棚表示ランプを点灯させるので、作業者はこの取出指示を参照することにより部品棚の所定の位置から容易に部品を取り出すことができる。次いで、前記収納指示に合わせて部品を部品収納部に収納することにより、各前記ワークの種類データに合わせた部品を一つの部品搬送装置に間違いなく集めて収納することができる。なお、部品棚の大きさは取り扱うワークの種類に合わせて自在に設定することができる。
【0026】
ワークの種類データは手入力によって指示部に設定しても、上位情報処理装置からのデータ通信によって転送された種類データを設定してもよい。なお、ワークがエンジンの場合は種類データは車種番号である。前記部品棚の間口にはピッキングする部品を表示するための表示ランプを備えることが好ましい。
【0027】
前記取出指示は前記モニターに表示されるワークの種類データ、部品の名称、部品の画像、部品の特徴、バーコードデータ等の型番情報を含むことが好ましい。指示部にバーコード、二次元コード、IDカードなどのコードを読み取る為のコードリーダーを備えることにより、指示部は部品に添付されている前記コードを読み取って収納作業や組付作業の確認を行うことができる。
【0028】
前記部品棚はその各間口毎に部品の取り出しを確認する取出確認センサを備え、前記指示部はこの取出確認センサの出力を用いてピッキング作業の進捗状況を確認する進捗状況確認手段を備えること(請求項9)が好ましい。このように構成することにより、作業者がピッキングするべき部品を確かに部品棚から取り出したことを確認することができ、さらなる信頼性の向上を図ることができる。
【0029】
前記部品搬送装置が、部品収納部への部品の収容履歴および取出履歴、ワークへの部品の組付履歴のうち少なくとも一つからなる履歴情報を記録する履歴保存部を有し、前記ピッキングラインおよび/または組付ラインに、前記履歴保存部によって保存された履歴情報を収集して上位情報処理装置に送信する履歴情報収集部を備える場合(請求項10)には、上位情報処理装置において各ワークの履歴情報を収集して一括管理できるので、この履歴情報によってワークに対して正しい部品が正確に組付けられたことを確認することができる。また、履歴保存部に書き込まれた履歴情報は、ワークの加工に関する保証を残すことができる。加えて、何らかの通信手段を介して保存した履歴情報を複数の履歴情報収集部を用いて上位情報処理装置に送信することにより、履歴情報の一元管理を行うことも可能である。
【発明の効果】
【0030】
前述したように、本発明によれば、多数種類のワークを一つの組付ラインにおいて組み付ける場合にも、容易に適切な部品を選択してこれを組み付けることができる。すなわち、組み付け対象となっている一つの種類のワークに対して組み付けられる部品が一つの部品搬送装置にまとめて収納されているので、組付の作業者は多数種類の部品が収納された部品棚からワークの種類に合わせた部品を選ぶ必要がなく作業効率がよい。
【0031】
部品搬送装置の指示部は部品収納部に対する部品の収納指示およびこの部品収納部に収納された部品をワークに組付ける作業を指示する組付指示を出力するので、これらの指示に従うことにより、作業者は人為的なミスを効果的に削減できる。
【0032】
また、各工程における作業内容など、工程変更を行なうときにも、部品棚を移動させる必要がなく、前記指示部における組付指示を変更する(例えば組み付け指示プログラムを変更する)だけで対応することができる。このことにより、工程変更の時間を短縮することができるので、従来装置では休日に工程変更を実施していたのを、休憩時間に工程変更ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の第1実施形態に係る組付指示システムの構成を示す図である。
【図2】前記組付指示システムの詳細な構成を示す図である。
【図3】前記組付指示システムの動作を説明する図である。
【図4】前記組付指示システムの動作を説明する別の図である。
【図5】前記組付指示システムの動作を説明する別の図である。
【図6】前記組付指示システムの動作を説明する別の図である。
【図7】前記組付指示システムの動作を説明する別の図である。
【図8】第2実施形態に係る組付指示システムの構成を示す図である。
【図9】第3実施形態に係る組付指示システムの構成を示す図である。
【図10】前記組付指示システムの詳細な構成を示す図である。
【図11】従来の組付指示システムの構成を示す図である。
【図12】従来の組付指示システムにおける問題点を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1〜図7は本発明の第1実施形態を示す図である。図1に示すように、第1実施形態の組付指示システム1は、組付ラインLaと、ピッキングラインLbを備え、組付ラインLaにおいて搬送されるワークWと共に移動する部品搬送装置2を用いるものである。
【0035】
前記組付ラインLaは、ワークWの一例としてのエンジンを搬送するコンベヤ3を備え、このコンベヤ3にはワークWを支持する支持台4と、前記部品搬送装置(例えば台車)2を搭載している。また、Mは作業者、A1,A2…は組付ラインLaに沿って設けられた各工程エリア、B1,B2…は各工程エリアA1,A2…毎に配置され、各工程の工程位置データが書かれたIDタグである。なお、工程エリアA1,A2…の数は任意に設定可能であることはいうまでもない。
【0036】
前記ピッキングラインLbは、ワークWに組み付けられる各種部品をその種類毎に収納する部品棚5と、ピッキングラインLbに搬入された部品搬送装置2に対して対応するワークの種類データを設定する種類設定部6と、前記部品棚5に設けた取出指示部7とを備える。また、8は前記種類設定部6に接続されて生産管理を行う上位情報処理装置、9は組付ラインLaの初工程で収納するワークWの種類データを指示し、IDタグ16に書き込む、組付設定部である。
【0037】
図2に示すように、前記部品搬送装置2は複数種類の部品を分けて収納する部品収納部10と、この部品収納部10への部品の収納指示およびワークWが搬送された各工程エリアA1,A2…に対応する部品の組付指示を出力する指示部11とを備える。また指示部11は非接触の近距離通信によってデータの通信を行うID通信部(ID受信部の一例)12と、作業者Mに対する組付指示を部品収納部10の各間口10a毎に表示する表示ランプ13と、各間口10a毎に部品の収納状態を確認する収納確認センサ14を備える。
【0038】
さらに、部品搬送装置2は前記収納指示および組付指示に加えて後述する部品棚からの部品の取出指示を表示するモニター15を備える。また、部品搬送装置2の下面にはキャスターC(図3に示す車輪)を取り付けており、これによってピッキングラインLb上において部品搬送装置2を台車のようにして移動させることができるように構成している。TはワークWに対して部品の締付け加工を行うことができ、かつ、ワークWへの締付け力を測定するセンサと測定値を指示部11に送信する通信部を備えた工具、ALはアラーム表示灯である。
【0039】
前記部品収納部10は複数の間口10aを備え、それぞれに各工程エリアA1,A2…において組み付けられる各部品をその種類毎に収納する。
【0040】
前記指示部11は例えば情報処理装置からなり、図外の情報処理部において実行可能な部品の組付指示プログラムP1、ワークWの種類照合プログラムP2、部品の収納指示プログラムP3、部品の取出指示プログラムP4、取出確認プログラムP5、収納確認プログラムP6、組付確認プログラムP7を実行可能に構成してある。これらのプログラムP1〜P7は指示部11の要部を構成する組付指示手段、後述する種類照合手段、収納指示部、取出指示部、取出確認部、収納確認部、組付確認部の要部を構成する収納指示手段を実現するものである。また、これらのプログラムP1〜P7は組付ラインLaにおける各工程に変更が生じたときに書き換え可能に構成されている。
【0041】
加えて、前記情報処理装置11を、全ての部品の組付履歴、前記部品収納部10への部品の収納履歴および取出履歴、さらには、不具合(部品の収容、取り出し、組み付け)に関する履歴を保存する履歴保存プログラム(図示していない)を実行させるものにすれば、ワークWの加工に関する保証を残すことができるので好ましい。また、通信手段を介し、保存した履歴情報を上位情報処理装置8に送信することにより、履歴情報の一元管理を行うことも可能である。
【0042】
前記ID通信部12は例えば非接触の通信によってデータを送受信するものであり、各IDタグB1,B2…から工程位置データDpを受信することにより、指示部11はワークWが搬送された工程エリアA1,A2…を識別することができるようにするものである。
【0043】
前記表示ランプ13は例えば高輝度LEDなどの発光素子からなり、点灯によって作業者Mに各工程において組付対象となる部品が収納された部品収納部10の位置を明示するように各間口に設けたものである。しかしながら、指示部が出力する組付指示はランプ表示のみならず、前記モニター15による詳細な組付指示の出力によって行われてもよい。
【0044】
前記収納確認センサ14は例えば部品収納部10の各間口10aの左右に設け、この部品収納部10に対する部品の出し入れを検知することができる光電管センサを用いることが考えられる。しかしながら、収納確認センサ14は各間口10a内に設けた重量センサなど、部品の収納状態を確認できるその他のセンサを用いてもよい。
【0045】
前記コンベヤ3はワークWを複数の工程エリアに順次搬送するものである。前記支持部台4はワークWを作業者Mによって作業しやすい高さおよび回転位置に支持する支持アーム4aと、前記部品搬送装置2を搭載できる板状の基部4bを備えたものであり、また、収納するワークWの種類データを記録するIDタグ16を有する。
【0046】
本実施形態の前記部品棚5は各種部品をその種類毎にそれぞれ収納する複数の部品収納部20を備えて複数の棚に分けられている。また、部品棚5のそれぞれに前記取出指示部7を備える。また、前記取出指示部7は、部品収納部20の間口20a毎に表示する表示ランプ21と、部品収納部20の間口20a毎に部品の取り出しを確認する取出確認センサ22とを備える。さらに、前記取出指示部7は部品搬送装置2側のID通信部12との間で前記種類データを含む各種データを送受信可能に構成されたID通信部23を備える。
【0047】
前記種類設定部6は例えば情報処理装置からなり、前記情報処理装置8と通信可能に接続された処理部30と、前記ID通信部12と非接触の通信を行うことができるIDアンテナ31と、情報処理装置8から得られる生産管理情報に基づいてワークWの生産計画を表示するモニター32と、次に生産するワークの種類データ(車種番号)を情報処理装置8から転送する操作の入力を行うキーボードやマウスなどの入力操作部33とを備える。
【0048】
前記工具Tは例えば、トルクメータ付の電動ドライバであり、前記アラーム表示灯ALは、図4に示すように、正常状態で通常は緑が点灯する表示灯AL0と、作業に遅れが発生する危険性がある場合の注意通知の黄色が点灯する表示灯AL1と、作業に遅れが発生しているなどの異常通知の赤が点灯する表示灯AL2とを備える。Brはバーコードリーダー、Timは作業時間を計測するタイマーである。
【0049】
なお、工具Tは一例に過ぎず、無線通信によって作業内容が通知されるものであってもよい。また、タイマーTimは指示部11とは異なるハードウェアで形成することも可能であるが、指示部11によって実行可能なタイマープログラムによって実現してもよい。又、バーコードリーダーBrに代えて二次元リーダなどその他の印刷情報読取り装置を用いてもよい。あるいは、部品を撮像した画像の分析処理によって部品を判別するようにしてもよい。この場合、バーコードリーダーBrの代わりにカメラを用いる。
【0050】
次に、前記組付指示システム1を用いて多種類のワークWを生産する方法を説明する。
【0051】
本実施形態では上位情報処理装置8が組付ラインLaにおける生産管理を行っているので、この上位情報処理装置8と通信可能に接続された種類設定部6においてはモニター32に次の生産指示を表示させることができる。したがって、作業者がこの種類設定部6を操作することにより、ピッキングラインLbに搬入された部品搬送装置2に対して次に組付ラインLaに搬入される予定のワークWの種類データD1(例えば車種番号)を上位情報処理装置8から転送することができる。また、上位情報処理装置8から種類データD1を転送することができないときに、バックアップとしてキーボードでの手入力やバーコードリーダ等で、種類データD1を入力することができる。
【0052】
本実施形態では種類設定部6は前記種類データD1を、IDアンテナ31を用いて部品搬送装置2のID通信部12に非接触送信することができる例を示している。このとき指示部11は受信した種類データD1を保存する。なお、前記種類設定部6は指示部11に有線にて接続されてもよい。この場合、種類設定部6は指示部11の入力端末である。次いで、指示部11は受信した種類データD1に基づいて取出指示プログラムP4を実行する。
【0053】
図3に示すように、前記取出指示プログラムP4が実行されると、指示部11は前記ID通信部12を介して取出指示部7に取り出すべき部品の取出指示データD2を送信し、ID通信部23を介してこの取出指示データD2を受信した取出指示部7は、取出指示データD2に従って表示ランプ21で表示させることにより、該当部品を作業者M(図1参照)に報せる。
【0054】
図4は取出指示が出力されている状態におけるモニター15の表示例を示す図である。図4に示すように、モニター15には取り扱うワークWの種類データ(車種)40a、対象となっている部品名40b、この部品が収容されている部品棚5の場所40c、および数量40d、部品コード40e、および部品の画像40fが表示される。なお、画像40fには部品の特徴となるポイント41a,41b(例えば目印の位置やバーコードの位置、注意点、作業方法などの注記)がテキストデータなどによっ記載されている。
【0055】
すなわち、前記取出指示プログラムP4の実行によって作業者Mによる部品の取出しを支援する情報がモニター15に表示される。これにより、作業者Mはこのモニター15を見ることにより、取り出すべき部品の所在地や特徴を一目瞭然に知ることができ、対象となる部品を部品棚5から容易に取り出すことができる。
【0056】
次に、指示部11は取出確認プログラムP5を実行する。一方、作業者Mが正しく部品を取り出すことができると、該当する間口20aに設けたセンサ22によって正しい部品の取り出しが検出され、部品棚5側から部品取出データD3が送信される。また、作業者MがバーコードリーダーBrを用いて取り出した部品のバーコードを読み取ると、モニター15に読み取った部品コード42aが表示され、即座に正しい部品であるかどうかが照合され照合結果42b(OK/NG)が表示される。なお、ここで部品の取出間違いが発生していることが判明すると、異常を通知するブザー(図示していない)を作動させたり前記異常アラームAL2を点灯させる。
【0057】
なお、図4に示すように、とりわけ、ピッキング作業においては、部品単位の作業時間を定めたパーツタイマーの表示部43aと、一工程の作業時間を定めたタクトタイマーの表示部43bを形成している。これらのタイマーはカウントダウン方式で時間を計測するものである。これにより、ピッキング作業のように作業と対になる物(組付作業におけるワークWに相当)が存在せず、作業の進み遅れが把握しづらい場合でも、これらのタイマー表示部43a,43bをペースメーカーとして適正な作業ペースの配分を容易に守ることができる。
【0058】
図5は、収納指示が出力されている状態におけるモニター15の表示例を示す図である。図5に示すように、モニター15には取り扱うワークWの種類データ(車種)50a、対象となっている部品名50b、この部品が収容されるべき部品収納部10の場所50c、および数量50d、部品コード50e、部品の収納状態の画像50fが表示される。なお、画像50fには部品の特徴となるポイント51a(例えば目印の位置、作業の要点容量、品質条件などの注記)がテキストデータなどによって記載されている。また、52a,52bは前記タイマーTimを用いて計測する部品単位の作業時間を定めたパーツタイマーの表示部,一工程の作業時間を定めたタクトタイマーの表示部である。
【0059】
すなわち、前記収納指示プログラムP3の動作によって作業者Mによる部品の収納を支援する情報がモニター15に表示される。また、このとき図3に示すように、該当する表示ランプ13が点灯し、部品を収容するべき部品収容部10の間口10aを案内する。これにより、作業者Mはこのモニター15および表示ランプ13を確認して、収納すべき部品の位置や特徴を一目瞭然に知ることができ、対象となる部品を極めて容易に部品収納部10の所定位置に収納することができる。
【0060】
次に、指示部11は収納確認プログラムP6を実行する。一方、作業者Mが部品収納部10の正しい位置に部品を収納できると、その間口10aに設けたセンサ14によって部品の正しい収納が検出される。他方、作業者Mが部品を収納する間口10aを間違った場合には、異なる位置のセンサ14が収納を検出するので、部品の収納間違いが発生していることが判明し、異常を通知するブザーを作動させたり前記異常アラームAL2を点灯させることにより、人為的ミスの発生を直ちに確認して修正を行うことができる。
【0061】
本実施形態では、幾つかに分けられた部品棚5毎に、前記データD2,D3の送受信を行う収納確認指示部7を形成しているので、全ての表示棚5の部品収納部20を一度に表示するものではなく、部分部分に分けて組付指示を行うことができる。つまり、一つの部品棚5に収納した部品を部品搬送装置2側の部品収納部10に収納し終えると、作業者Mが部品収納部10を図2に示す右側にある次の部品棚5の位置まで移動させ、この部品棚5に収納されている部品を部品搬送装置2に収納することができる。
【0062】
上述のように順次次の部品棚5から部品の取り出しおよび部品収納部10への収納を繰り返し、ピッキングラインLbによって部品搬送装置2に収納するべきすべての部品の収納が完了すると、前記種類データD1に対応するワークWに対して、各工程エリアA1,A2…において組み付けるべき全ての部品を、取り忘れや取り間違えなく、また、台車の所定場所に収納することができる。次いで、この部品搬送装置2を組付ラインLaの上流側に搬送する。
【0063】
次に、組付指示プログラムP1の実行に伴う一連の動作を説明する。
組付ラインLaの上流端には、図2、図6に示すように、搬送装置3に支持台4を搭載し、この支持台4の基部4bに部品搬送装置2を搭載した状態で、前記キャスターCの回転止めを行って基部4bに対する位置を固定する。ここで、図2に示すように、組付設定部9が支持台4に設けたIDタグ16に対してこれに搭載されるワークWの車種データD4を書き込む。
【0064】
次いで、最初の工程エリアA1においては、IDタグB1とIDタグ16との間で認証が行われ、ワークWが正しくセットされたかどうかの確認が行われる。このとき、前記ID通信部12はIDタグ16(記憶媒体)から無線送信されるワークWの種類データD4を受信することができる。
【0065】
また、指示部11は、前記種類照合プログラム(種類照合手段)P2を実行することにより、指示部11に設定されている種類データD1と前記種類データD4を照合し、両種類データD1,D4に相違がある場合には、モニター15へのエラー表示、前記異常アラームAL2の点灯、ブザー音などの警告音を用いて作業者Mに部品搬送装置2の交換を促す。これによって、ワークWに対する間違った部品の組み付けが行われないようにすることができる。なお、本実施形態では最初の工程エリアA1において組付ラインLaに対するワークWおよび部品搬送装置2の搬入が行われる例を示しているが、組付ラインLaに対するワークWおよび部品搬送装置2の搬入を行う搬入エリアを別途設けて、この搬入エリアにおいてワークWの種類の照合を行ってもよいことはいうまでもない。
【0066】
また、ワークWが搬送された各工程エリアA1,A2…においては、IDタグB1,B2…から各工程エリアA1,A2…を識別できる工程位置データDpを送信し、ID通信部12はこれを受信する。そして、前記指示部11は前記組付指示プログラム(組付指示手段)P1を実行することにより、前記工程位置データDpに対応する部品の組付指示を出力する。
【0067】
図7は組付指示プログラム(組付指示手段)P1の実行によってモニター15に表示される画面の一例を示す図である。なお、作業者Mが部品収容部10から部品を取り出すまでは、図5と同じ画面を用いて組み付け対象となる部品の場所を表示させ、作業者Mが部品収容部10から部品を取り出すと、その部品の取り出しは前記部品収納部20の間口20aに設けたセンサ22によって検出され、指示部11はモニター15の表示内容を切り換えて、図7に示す内容を表示させる。
【0068】
すなわち、図7に示すように、モニター15には取り扱うワークWの種類データ(車種)70a、対象となっている部品名70b、この部品が収容されている部品収納部10の場所70c、および数量70d、部品コード70e、部品の組付状態を示す画像70fが表示される。さらに、画像70fには部品の組み付けに関するポイント71a〜71c(例えば目印の位置、注意点などの注記)がテキストデータなどによって記載されている。また、72a,72bは部品単位の作業時間を定めたパーツタイマーの表示部,一工程の作業時間を定めたタクトタイマーの表示部である。
【0069】
従って、作業者Mはこのモニター15を見ることにより、前記組付指示プログラムP1の動作によって部品の組み付けを支援する情報を得ることができる。これにより、作業者Mは各部品をワークWに対して適正に組み付けることができる。
【0070】
また、指示部11は組付確認プログラムP7を実行する。一方、作業者Mが前記工具Tなどを用いて部品の締め付けを行うと、その締付けトルクなどの情報が指示部11に送信されて指示部11は組み付け確認を行うことができ、次の部品を収容する部品収容部10の位置を示す前記図5の画面を表示させる。このように、作業者Mがモニター15を見ながら作業を進めることにより、人為的ミスの発生を可及的に抑えることができる。
【0071】
また、本発明の部品搬送装置2は、指示部11側の情報処理装置において組付指示プログラムP1、種類照合プログラムP2、収納指示プログラムP3を含む一連のプログラムP1〜P7を実行することにより、前記工程エリアA1,A2…においてワークWに組み付けられる全部品を一つの台車に集めて収納しているので、作業者Mは多数の部品棚の中から必要な部品を選ぶ必要がなく、作業者Mによる組付作業を支援することができる。
【0072】
したがって、例えば、指示部11に対してプログラムP1〜P7あるいはこれらのプログラムP1〜P7が用いるデータの変更などを行うことによって指示部11の設定を変更することができる。つまり、組み付ける部品を変更したり、各工程における作業内容を容易に変更することができ、従来のように部品棚の移動を行ったり、設定変更のために多大な時間を必要としていない。ゆえに、工程変更は休日の間に行わなくても、休憩時間といった短い時間内に行うことができる。
【0073】
図8は本発明の第2実施形態に係る組付指示システム80の構成を示す図である。本実施形態では、上位情報処理装置8より取出指示部7に部品指示データを送信し、取出指示部7が部品指示データを持つことにより、ピッキングラインLbでは、部品搬送装置2から種類データD1を送信して、部品棚5に設けた取出指示部7が、その種類データD1と部品指示データとを用いて収納対象部品の収納位置を示す表示ランプ21を表示させる。この時、部品搬送装置2は種類データD1を基に指示部11が、その部品を収納する部品収納部10の位置を示す表示ランプ13を表示させる。
【0074】
また、組付ラインLaでは、上位情報処理装置8より、信号線Sを介しIDタグB1,B2…に工程位置データDpを送信することで、各工程エリアA1,A2…を識別できる為、指示部11は種類データD1より組付指示ができるように構成されている。
【0075】
また、部品指示データが変更(車種や部品が増えた時)になった時、上位情報処理装置8から部品指示データを送信することで、全ての取出指示部7の部品指示データが変更できるように構成している。
【0076】
図9、10は本発明の第3実施形態に係る組付指示システム85の構成を示す図であり、図9に示す、86aおよび86bはそれぞれ組付けラインLaおよびピッキングラインLbの下流端部に所定の間隔を置いて配置させた履歴情報収集部である。図10に示す部品搬送装置において、第1実施形態および第2実施形態と異なる点は、収納部10の指示部11に作業員による対象となる部品の投入、取出し、締付けトルクなどの各種測定情報を用いて作業者による作業を監視し、履歴情報Drを残すことができる履歴記録手段として、前記指示部11が履歴記録プログラムP8を実行可能に構成されている。
【0077】
第3実施形態の組付指示システム85では、ピッキングラインLbにおいて作業者が指示された部品棚20の開口20aから正しく部品を取り出すことができたかどうかを、取出確認センサ22によって監視し、部品の取出履歴を生成し、この取出履歴を取出し指示部7が指示部11に送信し、指示部11はこれを履歴情報DrとしてIDタグ16内に保存する。また、作業者が前記部品を部品棚10の指定された開口10aに正しく搬入した場合には開口10aに備える収納確認センサ14がこれを監視するので、履歴記録プログラムP8を実行することにより指示部11に正確な履歴情報Drを残すことができる。
【0078】
さらに、組付ラインLaにおいては作業者が部品搬送装置12に従って部品棚10の指定された開口10aから正しい部品を取出したことを前記収納確認センサ14によって監視し、前記工具Tに設けたセンサ(トルク計測器)によって締付け力を計測して監視することにより、履歴記録プログラムP8を実行することにより正しい部品が適正な力で締付けられたことを示す履歴情報Drが指示部11内のメモリに記録される。
【0079】
前記履歴情報収集部86aはこの組付ラインLaの下流側に配置されているので、この組付ラインLaにおいて生成された履歴情報Drを受信して、情報処理装置8に送信するものである。一方、ピッキングラインLbの下流側に配置された履歴情報収集部86bはピッキングラインLbにおいて生成された履歴情報Drを収集して、上位情報処理装置8に送信する。これにより、きわめて詳細な履歴情報Drを記録する場合にも、上位情報処理装置8はワークWに係る履歴情報Drが大きくなりすぎないうちにこれを履歴情報収集部86aによって収集するので、この履歴情報Drを記録する領域を小さく押さえることができる。場合によってはワークWに設けたIDカードにそのワークの詳細な履歴情報Drを記録させることができる。
【0080】
なお、本実施形態では履歴情報収集部86a,86bを各ラインLa,Lbの下流端に設けた例を示しているが、本発明はその数に限定されるものではなく、履歴情報収集部86a,86bを所定間隔で3以上設けても良い。逆に履歴情報Drを記録する十分な領域を確保できる場合には、履歴情報収集部は一連のラインLa,Lb…の下流端部に設けてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1,80,85 組付指示システム
2 部品搬送装置
5 部品棚
6 種類設定部
7 取出指示部
10 部品収納部
11 指示部
12 ID受信部
13 表示ランプ
14 収納確認センサ
15 モニター
43a,43b,52a,52b,72a,72b タイマー表示部
A1,A2… 工程エリア
AL 表示灯
C 車輪
La 組付ライン
Lb ピッキングライン
P1 組付指示プログラム
P2 種類照合手段(種類照合プログラム)
P3 収納指示プログラム
Tim タイマー
W ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークを複数の工程エリアに順次搬送し各工程エリアにおいて所定の部品を組み付けるように構成された組付ラインにおいて、ワークの種類に合わせた複数の部品を収納してワークと共に移動する部品搬送装置であって、
複数種類の部品を分けて収納する部品収納部と、
部品収納部への部品の収納指示およびワークが搬送された工程エリアに対応する部品の組付指示を出力する指示部と、
前記収納指示として部品収納部への各部品の収納場所および収納方向、前記組付指示として部品収納部に収納された各部品の収納場所、組み付け作業方法および組み付け位置を順次画像によって表示するモニターとを有することを特徴とする部品搬送装置。
【請求項2】
作業時間を計測するタイマーと、計測された作業時間が遅れ気味であることを示す注意通知および作業時間がオーバーしたことを示す異常通知を行う表示灯とを有し、前記モニターは計測された作業時間を表示するタイマー表示部を備える請求項1に記載の部品搬送装置。
【請求項3】
前記部品収納部への部品の収納、部品収納部からの部品の取り出し、ワークへの部品の組み付けのうち少なくとも一つの作業を監視するセンサと、このセンサによる検知情報を用いて各作業の履歴を履歴情報として記録する履歴記録手段を備える請求項1または2に記載の部品搬送装置。
【請求項4】
前記部品収納部は部品を収納する各間口毎に表示ランプと、各部品の収納状態を確認する収納確認センサとを備え、前記指示部は前記収納指示および組付指示として表示ランプを点灯させるための信号を出力し、前記収納確認センサの出力を用いて各部品の収納状態を確認し各部品の収納指示を出力する収納指示手段および組付指示を出力する組付指示手段を備える請求項1〜3の何れかに記載の部品搬送装置。
【請求項5】
前記ワークへの各部品の組付作業に用いることができワークに対する締付け力を計測するセンサを備えた工具を備え、前記指示部は前記工具によって測定された締付け力を用いてワークに対する部品の組付確認を行う組付確認手段を備える請求項1〜4の何れかに記載の部品搬送装置。
【請求項6】
前記工程エリアを識別する工程位置データおよび組み付け対象のワークの種類を識別する種類データを受信可能に構成されたID受信部を有し、前記指示部は前記ID受信部によって受信した種類データに従って選択される部品の前記収納指示を出力し、この種類データを組み付け対象のワークに添付する記録媒体に記録された種類データと照合する種類照合手段を備える請求項1〜5の何れかに記載の部品搬送装置。
【請求項7】
前記部品収納部はこれを移動可能とする車輪を備える請求項1〜6の何れかに記載の部品搬送装置。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の部品搬送装置に複数の部品を選択して収納するピッキングラインと、このピッキングラインから部品搬送装置を受け取って組み付け対象のワークに部品を組み付ける前記組付ラインとを有する組付指示システムであって、
このピッキングラインは複数種のワークに組み付ける部品を種類毎に保管する部品棚を有し、前記指示部は前記部品棚からの部品の取出指示を出力するものであり、かつ、
この取出指示には該当部品を収納する部品棚の位置の前記モニターへの表示が含まれ、前記部品棚はその各間口毎に設けて前記取出指示に従って点灯する棚表示ランプを備えることを特徴とする組付指示システム。
【請求項9】
請求項3に記載の部品搬送装置に複数の部品を選択して収納するピッキングラインと、このピッキングラインから部品搬送装置を受け取って組み付け対象のワークに部品を組み付ける前記組付ラインとを有する組付指示システムであって、
このピッキングラインは複数種のワークに組み付ける部品を種類毎に保管する部品棚を有し、前記指示部は前記部品棚からの部品の取出指示を出力するものであり、かつ、
この取出指示には該当部品を収納する部品棚の位置の前記モニターへの表示が含まれ、前記部品棚はその各間口毎に設けて前記取出指示に従って点灯する棚表示ランプを備え、
前記部品搬送装置は、部品収納部への部品の収容履歴および取出履歴、ワークへの部品の組付履歴のうち少なくとも一つからなる履歴情報を記録する履歴保存部を有し、前記ピッキングラインおよび/または組付ラインに、前記履歴保存部によって保存された履歴情報を収集して上位情報処理装置に送信する履歴情報収集部を備えることを特徴とする組付指示システム。
【請求項10】
前記部品棚はその各間口毎に部品の取り出しを確認する取出確認センサを備え、前記指示部はこの取出確認センサの出力を用いてピッキング作業の進捗状況を確認する進捗状況確認手段を備える請求項8または9に記載の組付指示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−179453(P2010−179453A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−267357(P2009−267357)
【出願日】平成21年11月25日(2009.11.25)
【出願人】(000191353)新明工業株式会社 (75)
【Fターム(参考)】