説明

部品検査装置および部品検査方法

【課題】頭部あるいは鍔部を有する被検査部品を自転させて、その外周を走査して検査する際、騒音および当該被検査部品の損傷を防止する部品検査装置を提供する。
【解決手段】被検査部品Sを搬送手段21から浮かせた状態で自転させて、当該被検査部品の外周を検査ユニット30で走査する。そのため、被検査部品が自転する際、当該被検査部品と搬送手段とが擦れないので、騒音および当該被検査部品の損傷が低減されるとともに、検査ユニット30による走査時に被検査部品が振動しないので、より正確な走査結果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭付き部品あるいは鍔付き部品の外周検査を行う部品検査装置およびその検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検査部品の外周を検査する装置としては、特許文献1(特開2000−348167号公報)に示す部品検査装置がある。この部品検査装置は駆動源の駆動により水平面内で連続回転する回転ドラムを備えており、この回転ドラムの円周には被検査部品を保持する切欠部が形成されている。また、この部品検査装置は、回転ドラムの切欠部に保持されている被検査部品に接触して当該被検査部品を転動するローラを備えており、このローラによって被検査部品は所定位置で自転するように構成されている。そして、この自転している被検査部品の外周を固定カメラが走査して、この走査データに基づいて被検査部品の良否が判定される。つまり、この部品検査装置は、被検査部品を自転させて、その外周をカメラで走査することで、被検査部品の外周検査をするように構成されている。
【特許文献1】特開2000−348167号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記部品検査装置は、回転ドラムの切欠部に被検査部品を接触させた状態で、当該被検査部品を前記ローラによって自転させているので、被検査部品と回転ドラムとの摩擦によって騒音が発生するばかりか、被検査部品を傷つけてしまう問題を有していた。また、被検査部品は、回転ドラムに接触した状態で自転するので、振動しする。そのため、この振動した状態で自転しているワークSの外周を走査することにより得られる走査結果は、正確でないという問題を有していた。
【0004】
本発明は、被検査部品を自転させて、その外周をカメラで走査して部品を検査する部品検査装置でありながら、前述のような騒音および被検査部品の損傷といった問題が発生しない部品検査装置および部品検査方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の部品検査装置は、頭部あるいは鍔部を有する被検査部品を吊下して搬送する搬送手段と、この搬送手段に吊下されている被検査部品が所定の位置に到達したしたとき、当該被検査部品を搬送手段から浮かせた状態で当該被検査部品を自転させる自転ユニットと、当該被検査部品の自転に伴って当該被検査部品の外周を走査し、この走査結果に基づいて当該被検査部品の良否を判定する検査ユニットとを備えていることを特徴とする。
【0006】
本発明の部品検査方法は、頭部あるいは鍔部を有する被検査部品を搬送手段に吊下し、当該被検査部品を搬送手段から浮かせた状態で当該部品を自転させ、この被検査部品の自転に伴って当該部品の外周を検査ユニットで走査し、この走査結果に基づいて当該部品の良否を判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、被検査部品を搬送手段から浮かせた状態で自転させて、当該被検査部品の外周を検査ユニットで走査する。そのため、被検査部品が自転する際、当該被検査部品と搬送手段とが擦れないので、騒音および当該被検査部品の損傷が低減される。また、検査ユニットによる走査時には、被検査部品は搬送手段から浮いた状態で自転しながら走査されるので振動せず、その結果、より正確な走査結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。図1において、1は被検査部品の一例である鍔付部品S(以下、この鍔付部品をワークという)の外周検査を行う部品検査装置である。この部品検査装置1は、機台2に取付けられたボウルフィーダ(図示せず)と、このボウルフィーダに接続された直進フィーダ3と、この直進フィーダ3に連設された回転ユニット20と、当該回転ユニット20上のワークSを走査するカメラ31,32を有する検査ユニット30と、この検査ユニット30で当該ワークSを走査する際、当該ワークSを自転させる自転ユニット40と、当該検査ユニット30の検査結果に応じて当該ワークSを選別する選別ユニット50とを備えている。
【0009】
前記ボウルフィーダは複数のワークSを貯留可能な貯留ボウル(図示せず)を有し、この貯留ボウルにはその内壁面に沿って螺旋状に延びる搬送路(図示せず)が設けられている。この貯留ボウルは内蔵のバイブレータ(図示せず)によって振動するように構成されており、この振動を受けてワークSが前記直進フィーダ3に順次送られる。そして、直進フィーダ3の最終端に到達したワークSは、詳細を後述する回転テーブル21の切欠部21aに供給される。
【0010】
前記直進フィーダ3は、その一端を前記ボウルフィーダの搬送路に連設して、当該搬送路から送られてきたワークSを首吊り状に支持して搬送するように構成されている。また、この直進フィーダ3は、前記機台2の上面に載置された振動装置4に載置されており、この振動を受けてワークSを整列搬送するように構成されている。
【0011】
前記回転ユニット20は、ワークSの搬送手段の一例である、円周方向に複数の切欠部21aが形成された回転テーブル21を備えており、この切欠部21aには前記ワークSが首吊り状に吊下されて搬送される。また、この回転テーブル21は、平面視円形状を成すものであり、回転駆動源の一例であるサーボモータ22の駆動を受けて、水平面内で間欠回転するように構成されている。さらに、この回転テーブル21にはこの円周に沿うようにして、案内部材23が当該回転テーブル21の円周と所定の隙間を空けて取付けられており、この案内部材23によって、前記切欠部21aに支持されたワークSの脱落が防止されている。なお、前記回転テーブル21は、サーボモータ22の駆動特性により、間欠回転に限定されるものではなく、定速回転することも可能である。
【0012】
前記機台2の上面には、弾性部材(図示せず)を介してベース板5が載置されており、このベース板5には前記回転ユニット20が載置されている。これにより、前記振動装置4による振動ならびに前記機台2に何らかの衝撃が加わった場合、前記回転テーブル21上のワークSの揺れが軽減されるので、前記カメラ31,32による走査結果は振動の影響を受けず、より正確な走査結果が得られる。
【0013】
前記検査ユニット30は、前記回転テーブル21上のワークSを斜め上方から走査する第1カメラ31と、ワークSの外周を検査すべく当該ワークSを横方向から走査する第2カメラ32と、これらカメラ31,32の走査結果から得られるワークSのシルエット画像を解析して、これにより得られたワークS各部の寸法データを予め設定しておいた基準寸法データと比較して、そのワークが良品であるか不良品であるかを判定する処理ユニット(図示せず)とを備えている。
【0014】
前記自転ユニット40は、図2に示すように、前記回転テーブル21に吊下されている部品を自転させるように構成されており、当該回転テーブル21上のワークSが所定位置に到達したとき、この自転ユニット40でワークSを自転させながら、前記第2カメラ32で当該ワークSを走査して、当該ワークSの外周を検査するように構成されている。なお、図2においては、案内部材23を省略した状態で当該自転ユニット40の構成を示している。
【0015】
また、前記自転ユニット40は、モータ41の駆動を受けて水平面内で回転するとともにマグネット42aを内蔵した自転板42と、上面が山状に傾斜した浮かせ板43とを備えている。この浮かせ板43は、前記回転テーブル21と平行するようにして、前記回転テーブル21の下方であって前記第2カメラ32によって走査されるワークSの下方に位置している。また、この浮かせ板43は、前記ベース板5に立設した支柱44によって支持されている。
【0016】
前記モータ41は、その駆動軸41aが当該ベース板5の下面から上面にかけて突出するようにして機台2に取付けられており、当該駆動軸41aにはカップリング46を介して回転軸45が取付けられている。この回転軸45は前記支柱44の延びる方向と同一方向に延びるように配置されており、この回転軸45の上端には前記自転板42が取付けられている。これにより、自転板42は、前記第2カメラ32によって走査されるワークSの下方であって水平面内で回転する。
【0017】
前記浮かせ板43の中央付近は、前記自転板42と同一の大きさに切り抜かれており、ここに当該自転板42が介在している。また、この浮かせ板43の上面は所定率湾曲しており、ここをワークSの下端が沿うようにして当該ワークSは案内される。これにより、前記回転テーブル21の回転に伴って浮かせ板43の中央付近に到達したワークSは、当該ワークSの座面が回転テーブル21の上面から浮き上がった状態で、前記自転板42上で自転する。
【0018】
前記選別ユニット50は、この処理ユニット50による判定結果において不良品と判定されたワークSを蹴り落とす振り分け手段51と、この振り分け手段51によって蹴られたワークSが排出される不良品排出口52と、前記検査ユニット30によって良品と判断されたワークSが振り分けプレート53によって排出される良品排出口54とから構成されている。
【0019】
以下、本発明の部品検査装置1の動作を説明する。なお、各構成の詳細については既に説明したので、ここでは動作の概略のみ説明する。
【0020】
前記直進フィーダ3から前記回転テーブル21の切欠部21aに搬送されたワークSは、回転テーブル21の回転に伴って、前記第1カメラ31の走査エリアに到達する。この第1カメラ31は、当該ワークSを斜め上方から走査するように配置されており、当該ワークSの上端面ならびに鍔部を検査するものである。
【0021】
続いて、前記第1カメラ31による走査が終了すると、当該ワークSは、回転テーブル21の回転に伴い、第2カメラ32の走査エリアに近づく。このとき、ワークSは前述のように構成された自転ユニット40の浮かせ板43の上面に案内されるので、ワークSの座面は、徐々に回転テーブル21の上面から浮いた状態になる。そして、当該ワークSが最上点に到達する位置には、当該ワークSを載置する前記自転板42が配置してあり、この自転板42にはマグネットが内蔵されている。これにより、前記モータ41の駆動に従って当該自転板42が回転し、この回転に伴って当該自転板42に載置されているワークSが落下しないようになっている。
【0022】
第2カメラ32によるワークSの外周の走査が終了すると、前記処理ユニットは、前記第1カメラ31および第2カメラ32の走査結果に基づいて当該ワークの良否を判定する。この判定結果に基づいて前記選別ユニット50が作動し、前記振り分け手段51によって不良品は前記不良品排出口52に排出され、一方良品については前記振り分けプレート53によって前記良品排出口54に排出される。
【0023】
このような構成から成る本発明の部品検査装置1においては、回転テーブル21の切欠部21aに吊下されているワークSの座面を回転テーブル21の上面から所定高さ浮かせた状態で自転させて、当該ワークSの外周を第2カメラ32で走査する。そのため、ワークSが自転する際、当該ワークSと回転テーブル21の上面とが擦れないので、騒音および当該ワークSの損傷が皆無となる。また、ワークSの座面は、回転テーブル21の上面から浮いた状態で自転するので、ワークSは振動しない。従って、このように自転しているワークSの外周を走査して得られた走査結果は、振動した状態で自転しているワークSの外周を走査して得られる捜査結果よりも、信頼性の高いものを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る部品検査装置の要部拡大平面図である。
【図2】本発明に係る部品検査装置において、案内部材を省略した要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 部品検査装置
2 機台
3 直進フィーダ
4 振動装置
5 ベース板

20 回転ユニット
21 回転テーブル
21a 切欠部
22 サーボモータ
23 案内部材

30 検査ユニット
31 第1カメラ
32 第2カメラ

40 自転ユニット
41 モータ
41a 駆動軸
42 自転板
42a マグネット
43 浮かせ板
44 支柱
45 回転軸
46 カップリング

50 選別ユニット
51 振り分け手段
52 不良品排出口
53 振り分けプレート
54 良品排出口

S ワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
頭部あるいは鍔部を有する被検査部品を吊下して搬送する搬送手段と、この搬送手段に吊下されている被検査部品が所定の位置に到達したしたとき、当該被検査部品を搬送手段から浮かせた状態で当該被検査部品を自転させる自転ユニットと、当該被検査部品の自転に伴って当該被検査部品の外周を走査し、この走査結果に基づいて当該被検査部品の良否を判定する検査ユニットとを備えていることを特徴とする部品検査装置。
【請求項2】
頭部あるいは鍔部を有する被検査部品を搬送手段に吊下し、当該被検査部品を搬送手段から浮かせた状態で当該部品を自転させ、この被検査部品の自転に伴って当該部品の外周を検査ユニットで走査し、この走査結果に基づいて当該部品の良否を判定することを特徴とする部品検査方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−8283(P2010−8283A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169273(P2008−169273)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(000227467)日東精工株式会社 (263)
【Fターム(参考)】