説明

部品組立装置

【課題】第1、第2部品を互いに平行に、かつ、一方向に向かってそれぞれ搬送可能とし、これらの搬送状態で、第1、第2部品を互いに組み付ける場合に、この組み付けの作業が容易にできるようにする。
【解決手段】部品組立装置1は、第1部品3を一方向Aに向かって第1搬送速度V1で搬送可能とする第1搬送ライン26と、第1搬送ライン26と平行に延び、各第2部品4を一方向Aに向かって第2搬送速度V2で搬送可能とする第2搬送ライン27とを備える。一方向Aに向かって順次設定された複数の組み付け域で、第1部品3と第2部品4のそれぞれとが順次組み付けられる。第1搬送ライン26により搬送される第1部品3と第2搬送ライン27により搬送される第2部品4のそれぞれとの一方向Aにおける互いの相対位置が、各組み付け域でそれぞれ変更可能となるよう第1、第2搬送速度V1,V2の互いの相対速度を可変にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに組み付けようとする第1、第2部品を互いに平行に、かつ、一方向に向かってそれぞれ搬送可能とし、これらの搬送状態で、上記組み付けの作業の便宜上、上記第1、第2部品の上記一方向における互いの相対位置が所望の相対位置になるようにした部品組立装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記部品組立装置には、従来、下記特許文献1に示されるものがある。この公報のものによれば、互いに組み付けようとする第1部品と複数の第2部品とのうち、上記第1部品を一方向に向かって第1搬送速度で搬送可能とする第1搬送ラインと、この第1搬送ラインと平行に延び、上記各第2部品を上記一方向に向かって第2搬送速度で搬送可能とする第2搬送ラインとが設けられている。
【0003】
そして、上記第1、第2搬送ラインによる上記第1、第2部品の搬送状態で、これら第1、第2部品が互いに組み付けられることとされている。
【特許文献1】特開平5−69253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来の技術において、仮に、上記第1搬送ラインにより搬送される第1部品と、上記第2搬送ラインにより搬送される上記各第2部品のうちの一部との上記一方向における互いの相対位置が、上記組み付けの作業の便宜上、所望の相対位置となるようにしたとする。すると、上記第1搬送ラインにより搬送される第1部品と、上記第2搬送ラインにより搬送される上記各第2部品のうちの他部との上記相対位置が所望外の相対位置になるおそれがある。そして、この場合には、上記第1部品と第2部品の他部との互いの組み付けの作業が煩雑になる、という不都合が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような事情に注目してなされたもので、本発明の目的は、第1、第2部品を互いに平行に、かつ、一方向に向かってそれぞれ搬送可能とし、これらの搬送状態で、上記第1、第2部品を互いに組み付ける場合に、この組み付けの作業が容易にできるようにすることである。
【0006】
請求項1の発明は、互いに組み付けようとする第1部品3と複数の第2部品4とのうち、上記第1部品3を一方向Aに向かって第1搬送速度V1で搬送可能とする第1搬送ライン26と、この第1搬送ライン26と平行に延び、上記各第2部品4を上記一方向Aに向かって第2搬送速度V2で搬送可能とする第2搬送ライン27とを備え、上記一方向Aに向かって順次設定された複数の組み付け域で、上記第1部品3と第2部品4のそれぞれとが順次組み付けられるようにした部品組立装置において、
上記第1搬送ライン26により搬送される第1部品3と上記第2搬送ライン27により搬送される第2部品4のそれぞれとの上記一方向Aにおける互いの相対位置が、上記各組み付け域でそれぞれ変更可能となるよう上記第1、第2搬送速度V1,V2の互いの相対速度を可変にしたことを特徴とする部品組立装置である。
【0007】
請求項2の発明は、上記第1搬送ライン26の上方に上記第2搬送ライン27を配置したことを特徴とする請求項1に記載の部品組立装置である。
【0008】
請求項3の発明は、上記各組み付け域における上記第1、第2搬送速度V1,V2の相対速度をそれぞれ個別に変更可能となるようにしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の部品組立装置である。
【0009】
請求項4の発明は、上記第1搬送ライン26により搬送される第1部品3の上記一方向Aにおける位置を検出する第1位置センサー96と、上記第2搬送ライン27により搬送される各第2部品4のうちのいずれかの第2部品4の上記一方向Aにおける位置を検出する第2位置センサー97とを上記各組み付け域にそれぞれ設け、これら第1、第2位置センサー96,97の検出信号に基づき、上記各組み付け域における上記第1部品3と第2部品4との相対位置を定めるようにし、上記一方向Aにおける上記第1、第2位置センサー96,97の互いの相対位置を上記各組み付け域でそれぞれ変更可能にしたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の部品組立装置である。
【0010】
請求項5の発明は、上記各第2部品4を離脱可能に支持すると共に上記第2搬送ライン27により搬送可能とされるキャリア60を設け、上記第2搬送ライン27の上記一方向Aにおける前端側に搬送された上記キャリア60を上記第2搬送ライン27の後端側に向けて搬送するよう往移動Dする一方、上記第2搬送ライン27の後端側から前端側に向けて上記キャリア60の無搬送状態で復移動Eする自走車72を設け、この自走車72の往移動D中に、この自走車72により搬送されているキャリア60に対し上記各第2部品4を支持可能にしたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1つに記載の部品組立装置である。
【0011】
請求項6の発明は、上記自走車72が環形状の軌道73に沿って周回動することにより、上記自走車72が上記した往、復移動D,Eをするようにし、上記第2搬送ライン27の前、後端側の隣接域におけるこれら前、後端側の仮想延長線75,80上から上記軌道73上に向かい横方向に往移動F,H、復移動G,Iして、上記第2搬送ライン27の前、後端側と自走車72との間で上記キャリア60を乗せ換え可能とする乗せ換え装置77,82を設けたことを特徴とする請求項5に記載の部品組立装置である。
【0012】
なお、この項において、上記各用語に付記した符号は、本発明の技術的範囲を後述の「実施例」の項や図面の内容に限定解釈するものではない。
【発明の効果】
【0013】
本発明による効果は、次の如くである。
【0014】
請求項1の発明は、互いに組み付けようとする第1部品と複数の第2部品とのうち、上記第1部品を一方向に向かって第1搬送速度で搬送可能とする第1搬送ラインと、この第1搬送ラインと平行に延び、上記各第2部品を上記一方向に向かって第2搬送速度で搬送可能とする第2搬送ラインとを備え、上記一方向に向かって順次設定された複数の組み付け域で、上記第1部品と第2部品のそれぞれとが順次組み付けられるようにした部品組立装置において、
上記第1搬送ラインにより搬送される第1部品と上記第2搬送ラインにより搬送される第2部品のそれぞれとの上記一方向における互いの相対位置が、上記各組み付け域でそれぞれ変更可能となるよう上記第1、第2搬送速度の互いの相対速度を可変にしたことを特徴とする部品組立装置である。
【0015】
このため、上記第1、第2搬送速度の互いの相対速度を変更させることによって、上記各組み付け域で互いに組み付けようとする第1、第2部品をそれぞれ所望の相対位置にさせることができる。また、いずれかの他の第2部品を上記第1、第2部品に対し上記一方向において離れるような上記相対位置にさせることにより、上記他の第2部品が上記第1、第2部品同士の組み付けの邪魔にならないようにさせることもできる。よって、上記部品組立装置によれば、上記第1、第2部品の互いの組み付けの作業が容易にできる。
【0016】
請求項2の発明は、上記第1搬送ラインの上方に上記第2搬送ラインを配置したことを特徴とする請求項1に記載の部品組立装置である。
【0017】
このため、例えば、通常の自動二輪車の組み付けの作業のように、車体(第1部品)に対しその上方から種々の部品(各第2部品)を組み付けてゆくような場合に、上記部品組立装置を適用すれば、上記自動二輪車の組み付けの作業が極めて容易にできる。
【0018】
請求項3の発明は、上記各組み付け域における上記第1、第2搬送速度の相対速度をそれぞれ個別に変更可能となるようにしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の部品組立装置である。
【0019】
このため、上記各組み付け域において、それぞれ所望の相対位置が得られるため、上記各組み付け域での組み付けの作業が互いに同時にできる。よって、第1、第2部品の全体的な組み付けの作業が迅速にできる。
【0020】
請求項4の発明は、上記第1搬送ラインにより搬送される第1部品の上記一方向における位置を検出する第1位置センサーと、上記第2搬送ラインにより搬送される各第2部品のうちのいずれかの第2部品の上記一方向における位置を検出する第2位置センサーとを上記各組み付け域にそれぞれ設け、これら第1、第2位置センサーの検出信号に基づき、上記各組み付け域における上記第1部品と第2部品との相対位置を定めるようにし、上記一方向における上記第1、第2位置センサーの互いの相対位置を上記各組み付け域でそれぞれ変更可能にしたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の部品組立装置である。
【0021】
このため、上記各組み付け域において、第1部品と各第2部品のうちのいずれかの第2部品との間で、所望の相対位置を得ようとするときには、上記各組み付け域において、第1、第2位置センサーの相対位置をそれぞれ単に物理的に変更すれば足りる。よって、この点でも、上記第1、第2部品の互いの組み付けの作業が容易にできる。
【0022】
請求項5の発明は、上記各第2部品を離脱可能に支持すると共に上記第2搬送ラインにより搬送可能とされるキャリアを設け、上記第2搬送ラインの上記一方向における前端側に搬送された上記キャリアを上記第2搬送ラインの後端側に向けて搬送するよう往移動する一方、上記第2搬送ラインの後端側から前端側に向けて上記キャリアの無搬送状態で復移動する自走車を設け、この自走車の往移動中に、この自走車により搬送されているキャリアに対し上記各第2部品を支持可能にしたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1つに記載の部品組立装置である。
【0023】
ここで、上記自走車の移動位置は自由に設定し易いものである。このため、上記自走車の往移動中に、この自走車により搬送されているキャリアに対し、上記各第2部品を支持させる上で都合がよいように、上記自走車の往移動位置を所望位置に設定させることが容易にできる。よって、この点でも、上記組み付けの作業をより容易にできる。
【0024】
請求項6の発明は、上記自走車が環形状の軌道に沿って周回動することにより、上記自走車が上記した往、復移動をするようにし、上記第2搬送ラインの前、後端側の隣接域におけるこれら前、後端側の仮想延長線上から上記軌道上に向かい横方向に往、復移動して、上記第2搬送ラインの前、後端側と自走車との間で上記キャリアを乗せ換え可能とする乗せ換え装置を設けたことを特徴とする請求項5に記載の部品組立装置である。
【0025】
即ち、上記第2搬送ライン側と上記自走車との間でのキャリアの乗せ換えは、上記軌道上に向かい横方向に往、復移動する乗せ換え装置によることとしている。このため、上記乗せ換え時に、上記自走車を上記周回方向の一方向に対し、一旦、後退させるなどの複雑な移動動作は不要であり、単に周回方向の一方向にのみ移動させる、という動作で足りる。よって、上記自走車の移動動作を簡素にすることができ、その分、上記組み付けの作業を更に容易にできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の部品組立装置に関し、第1、第2部品を互いに平行に、かつ、一方向に向かってそれぞれ搬送可能とし、これらの搬送状態で、上記第1、第2部品を互いに組み付ける場合に、この組み付けの作業が容易にできるようにする、という目的を実現するため、本発明を実施するための最良の形態は、次の如くである。
【0027】
即ち、部品組立装置は、互いに組み付けようとする第1部品と複数の第2部品とのうち、上記第1部品を一方向に向かって第1搬送速度で搬送可能とする第1搬送ラインと、この第1搬送ラインと平行に延び、上記各第2部品を上記一方向に向かって第2搬送速度で搬送可能とする第2搬送ラインとを備えている。上記一方向に向かって順次設定された複数の組み付け域で、上記第1部品と第2部品のそれぞれとが順次組み付けられるようになっている。上記第1搬送ラインにより搬送される第1部品と上記第2搬送ラインにより搬送される第2部品のそれぞれとの上記一方向における互いの相対位置が、上記各組み付け域でそれぞれ変更可能となるよう上記第1、第2搬送速度の互いの相対速度を可変にしている。
【実施例】
【0028】
本発明をより詳細に説明するために、その実施例を添付の図に従って説明する。
【0029】
図1−3において、符号1は、乗り物の一例である自動二輪車2についての部品組立装置1である。
【0030】
上記自動二輪車2は、互いに組み付けられる第1部品3と複数の第2部品4とを備えている。具体的には、上記第1部品3は車体5である。この車体5は、車体フレーム6と、この車体フレーム6の前端部に支持されるフロントフォーク7と、このフロントフォーク7の下端部に支持される前車輪8と、上記フロントフォーク7の上端部に支持されるハンドル9と、上記車体フレーム6の後端部側に支持される後車輪10と、上記車体フレーム6に支持される不図示のエンジンとを備えている。
【0031】
上記第2部品4は、エアクリーナ13、バッテリ14、タンデムシート15が既に取り付けられたリヤフェンダ16、シート17、燃料タンク18、および他の第2部品19である。特に、上記車体フレーム6の後端部にはボルトねじ孔22が形成され、上記リヤフェンダ16の前端部にはボルト挿通孔23が形成されている。そして、このボルト挿通孔23に不図示のボルトを挿通させ、このボルトを上記ボルトねじ孔22に螺合させれば、上記車体フレーム6に対しリヤフェンダ16が組み付け可能とされている。
【0032】
上記第1部品3を水平な一方向Aに向かって第1搬送速度V1で搬送可能とする第1搬送ライン26と、この第1搬送ライン26と平行に延び、上記各第2部品4を上記一方向Aに向かって第2搬送速度V2で搬送可能とする第2搬送ライン27とが設けられている。
【0033】
上記第1搬送ライン26はスラットコンベアである。この第1搬送ライン26は、上記一方向Aに長く延び、静止側である水平な作業面28上に設置される基台29と、この基台29の前、後端に設けられる不図示の前、後プーリに巻き掛けられるチェーンコンベア構造の無端帯30と、この無端帯30の上面側往動部を上記一方向Aに向かって上記第1搬送速度V1で往駆動させる第1電動機31と、上記無端帯30の往動部上面に上記第1部品3の前車輪8を着脱可能に固着させて、この第1部品3を上記無端帯30上に起立状に支持する支持具32とを備えている。
【0034】
上記第2搬送ライン27は、上記第1搬送ライン26の上方に離れて位置し、上記一方向Aに延びて、構築物などの静止側部材34に支持される左右一対のレール35と、これらレール35の上方近傍に位置して、上記一方向Aと平行な軸心36を有する回転軸37と、この回転軸37を上記軸心36回りに回転B可能となるよう上記静止側部材34に支持させる軸受38と、上記回転軸37を上記軸心36回りに回転B駆動させる可変速式の第2電動機39とを備えている。
【0035】
上記第1、第2搬送ライン26,27に沿った空間に、上記一方向Aに向かって順次複数の第1、第2、第3・・・・第n−1,第n組み付け域42,43,44・・・・45,46が設定されている。そして、これら複数の組み付け域で、上記第1部品3と第2部品4のそれぞれとが順次組み付け可能とされている。この場合、上記各組み付け域42,43,44・・・・45,46毎に、上記回転軸37、軸受38および第2電動機39が互いに独立して設けられている。つまり、これら各第2電動機39の駆動により、上記各回転軸37の回転B速度が個別に変更可能とされている。
【0036】
上記回転軸37の回転Bに連動して上記レール35上を上記一方向Aに向かって前記第2搬送速度V2で移動可能とされる一対の搬送台車48が複数設けられている。これら一対の搬送台車48の数量は、上記組み付け域42−46の数量に等しくされている。上記各搬送台車48は、上記レール35に複数(4つ)の車輪49によって支持される車台50と、この車台50上にばね51を介し支持される支持体52と、それぞれその軸心53回りに回転C可能となるよう上記支持体52に支持される複数(4つ)のローラ54とを備えている。
【0037】
上記各ローラ54は全体として弾性を有している。上記各ローラ54の外周面は、それぞれ上記ばね51の付勢力により上記回転軸37の外周面に摩擦接合するよう圧接させられている。上記各ローラ54の軸心53は上記回転軸37の軸心36に対し傾斜している。上記第2電動機39の駆動により上記回転軸37が回転Bさせられると、この回転軸37に上記摩擦接合により上記各ローラ54が連動して回転C可能とされる。そして、上記摩擦接合における上記一方向Aへの分力により、上記各搬送台車48が一方向Aに向かって移動させられる。
【0038】
上記の場合、各搬送台車48は、上記各回転軸37から順次上記分力を与えられて、上記第1組み付け域42から第n組み付け域46に向けて上記レール35上を連続的に移動させられる。また、上記各回転軸37の回転B速度に応じて、上記一方向Aに向かう搬送台車48の第2搬送速度V2が上記各組み付け域でそれぞれ変更可能とされる。
【0039】
上記第2搬送ライン27の上記一方向Aにおける前端(下流端)から連続的に延出し、かつ、部品組立装置1の平面視(図2)で、上記第1搬送ライン26から離れるよう延出する上記第2搬送ライン27と同構成の前搬送ライン57が設けられている。また、上記第2搬送ライン27の上記一方向Aにおける後端(上流端)から連続的に延出し、かつ、部品組立装置1の平面視(図2)で、上記第1搬送ライン26から離れるよう延出する上記第2搬送ライン27と同構成の後搬送ライン58が設けられている。なお、上記前、後搬送ライン57,58における屈曲部の回転軸37は、フレキシブルチューブにより形成されている。
【0040】
図1において、上記各第2部品4を離脱可能に支持すると共に上記後搬送ライン58、第2搬送ライン27、および前搬送ライン57により、この順序で、順次、上記一方向Aに向かって搬送可能とされる複数のキャリア60が設けられている。
【0041】
上記キャリア60は、上記した一対の搬送台車48に吊り下げ状に支持される基体61と、この基体61に支持され、上記エアクリーナ13、リヤフェンダ16、シート17、および燃料タンク18を離脱可能に掛吊状に支持する支持体62と、上記基体61に支持され、上記バッテリ14を離脱可能に載置状に支持する他の支持体63と、上記基体61に支持され網状体64を介し上記他の第2部品19を離脱可能に掛吊状に支持する更に他の支持体65とを備えている。
【0042】
上記他の支持体63は、上記基体61から下方に向かって直線的に延出する支持棒67と、この支持棒67に昇降可能に支持されると共に上記バッテリ14を支持する昇降体68と、この昇降体68を上昇させるよう弾性的に付勢するリトラクタ69とを備えている。このリトラクタ69の付勢力と上記昇降体68おびバッテリ14の合計質量とがバランスして、このバッテリ14が上記第1部品3の上方における所定高さに位置させられる。
【0043】
図4において、上記昇降体68から上記バッテリ14を取り外せば、このバッテリ14の質量分だけ、上記リトラクタ69への負担が軽減される。このため、このリトラクタ69の付勢力により、上記昇降体68が上昇させれて、上記第1部品3と昇降体68との間に、より広い作業空間が確保される。
【0044】
図1,4において、上記更に他の支持体65は上記と同構成の支持棒67、昇降体68、およびリトラクタ69を備えている。上記昇降体68に上記網状体64が支持され、これら網状体64と昇降体68とが上昇するよう上記リトラクタ69により弾性的に付勢されている。このリトラクタ69の作用は、前記他の支持体63のものと同様である(図4)。
【0045】
図2において、上記第2搬送ライン27の上記一方向Aにおける前端側(下流端側)に搬送された上記キャリア60を、上記第2搬送ライン27の後端側(上流端側)に向けて搬送するよう往移動Dする一方、上記第2搬送ライン27の後端側から前端側に向けて上記キャリア60の無搬送状態で復移動Eする複数の自走車72が設けられている。
【0046】
具体的には、上記自走車72は、上記第2搬送ライン27の前端側である上記前搬送ライン57の延出端部にまで上記搬送台車48によって搬送された上記キャリア60を、上記第2搬送ライン27の後端側である上記後搬送ライン58の延出端部に向けて搬送するよう往移動Dする。また、上記自走車72は、上記後搬送ライン58の延出端部側から、上記前搬送ライン57の延出端部に向けて復移動Eする。
【0047】
上記自走車72は、作業面28上に設定された環形状の軌道73に沿って周回移動することにより、上記自走車72が上記した往、復移動D,Eをすることとされている。上記軌道73は、上記作業面28上の所望位置に着脱可能に設置(貼着)された磁気テープに沿ったものとされている。そして、上記自走車72は、上記磁気テープの磁力を検知して、上記軌道73に沿って移動することとされる。
【0048】
上記作業面28上には、上記各第2部品4を収納する部品ラック74が設けられている。上記往移動Dする自走車72が、上記部品ラック74の側方近傍を通るよう上記軌道73が設定されている。上記自走車72の往移動D中に、この自走車72により搬送されているキャリア60に対し、上記部品ラック74上の各第2部品4がオペレータの作業により順次支持可能とされている。
【0049】
上記第2搬送ライン27の前端側である前搬送ライン57の延出端部の隣接域に、この前搬送ライン57の延出端部の回転軸37について、仮想延長線75が設定される。この仮想延長線75に対し上記軌道73の一部分76が平行に並設される。そして、上記仮想延長線75上から上記軌道73の一部分76上に向かい横方向に往、復移動F,Gして、上記前搬送ライン57の延出端部と自走車72との間で上記キャリア60を乗せ換え可能とする乗せ換え装置77が設けられている。
【0050】
図2,5,6において、上記第2搬送ライン27の後端側である後搬送ライン58の延長端部の隣接域に、この後搬送ライン58の延出端部の回転軸37について、他の仮想延長線80が設定される。この他の仮想延長線80に対し上記軌道73の他の一部分81が平行に並設される。そして、上記他の仮想延長線80上から上記軌道73の他の一部分81上に向かい横方向に往、復移動H,Iして、上記後搬送ライン58の延出端部と自走車72との間で上記キャリア60を乗せ換え可能とする他の乗せ換え装置82が設けられている。
【0051】
図5,6において、上記自走車72は、上記作業面28上を任意の方向に移動可能な台車85を備えている。また、この台車85は、車台86と、この車台86を作業面28上に支持する複数の車輪87とを備えている。これら車輪87は、不図示の電動機により駆動されて上記台車85を自走可能にさせると共に、この台車85が軌道73に沿って移動するよう自動操向可能とされている。
【0052】
また、上記自走車72は、上記車台86に支持される前記と同構成のレール35、回転軸37、および軸受38と、この回転軸37を軸心36に回りに回転B駆動させる正、逆転可能な第3電動機88とを備えている。そして、この第3電動機88の駆動による上記回転軸37の回転Bに連動して、一対の搬送台車48が上記回転軸37の軸方向で往、復移動可能とされている。
【0053】
図2,5,6において、上記各乗せ換え装置77,82は、それぞれ部品組立装置1の平面視(図2)で、上記各仮想延長線75,80と軌道73の各一部分76,81とに対し直交方向に延び、上記静止側部材34に支持される支持レール91と、この支持レール91の長手方向で、上記各仮想延長線75,8上から上記軌道73の各一部分76,81に向かって往移動F,H、復移動G,I可能となるよう支持される自走式の可動台92と、この可動台92に支持される前記と同構成のレール35、回転軸37、および軸受38と、この回転軸37を軸心36回りに回転B駆動させる正、逆転可能な第4電動機93とを備えている。そして、この第4電動機93の駆動による上記回転軸37の回転Bに連動して、一対の搬送台車48が上記回転軸37の軸方向で往、復移動可能とされている。
【0054】
上記第2搬送ライン27、前、後搬送ライン57,58、自走車72、および乗せ換え装置77,82のうち、いずれか2つの装置が上記各回転軸37の軸方向で隣接して、これら各回転軸37の軸心36が同軸上に位置した場合において、上記2つの装置における第2−第4電動機39,88,93を駆動させ、これら両装置の各回転軸37をその軸心36回りに同方向に回転Bさせれば、これら2つの装置のいずれか一方から他方に向けて上記搬送台車48の乗せ換えが可能とされる。
【0055】
上記各組み付け域42-46において、それぞれ前記第1搬送ライン26により搬送される第1部品3の上記一方向Aにおける位置を検出する第1位置センサー96と、上記第2搬送ライン27により搬送される各第2部品4のうちのいずれかの第2部品4の上記一方向Aにおける位置を検出する第2位置センサー97とが設けられている。また、上記各センサー96,97の検出信号に基づき、上記第1、第2電動機31,39を電子的に制御して、上記各組み付け域における上記第1部品3と第2部品4との相対位置を定める制御装置98が設けられている。
【0056】
具体的には、上記各組み付け域42−46において、それぞれ上記第1搬送ライン26の基台29に上記第1位置センサー96が締結具99により固着されている。また、上記第2搬送ライン27のレール35に上記第2位置センサー97が固着されている。上記一方向Aにおける上記第1位置センサー96と第2位置センサー97との相対位置が予め基準相対位置L0として定められている。上記第1位置センサー96は、上記締結具99への操作により、一方向Aの所望位置に任意に位置変更可能とされている。これにより、上記第2位置センサー97に対する第1位置センサー96の相対位置は、長い相対位置L1と短い相対位置L2とに選択可能とされている。
【0057】
上記第1位置センサー96は、上記第1搬送ライン26により上記一方向Aに向かって第1部品3と共に搬送されてきた支持具32が上記第1位置センサー96の検出位置に達したことを検出する。つまり、上記支持具32を介し第1部品3の位置を検出する。一方、上記第2位置センサー97は、上記第2搬送ライン27により上記一方向Aに向かって搬送されてきたキャリア60の基体61が上記第2位置センサー97の検出位置に達したことを検出する。つまり、上記キャリア60の基体61を介し各第2部品4のうちのいずれかの第2部品4の位置を検出する。
【0058】
上記の場合、第1、第2搬送ライン26,27、および上記前、後搬送ライン57,58の各基部側は1階の作業面28に設置され、これら前、後搬送ライン57,58の各延出端部側、および自走車72用の軌道73は上記1階よりも一段高い2階の作業面28に設置されている。このため、上記前、後搬送ライン57,58の長手方向の中途部は、高さ方向で傾斜させられている。
【0059】
上記部品組立装置1による第1部品3と複数の第2部品4との組み付けの作業につき説明する。
【0060】
図1,2において、上記第1部品3は、上記第1搬送ライン26により所定間隔あけ、第1搬送速度V1で上記一方向Aに向かって搬送される。
【0061】
図2,5,6において、上記自走車72が各部品ラック74の外側方の軌道73上を往移動Dさせられる。この往移動D中に、上記自走車72に支持されているキャリア60の所定位置に各第2部品4が順次支持される。これにより、上記キャリア60が上記各第2部品4によって満状態とされ、このキャリア60を支持した自走車72が上記他の乗せ換え装置82に向けて軌道73上を移動させられる。
【0062】
上記他の乗せ換え装置82では、その可動台92が上記他の仮想延長線80上にまで復移動Iさせられている(図2,5,6中実線)。上記他の乗せ換え装置82に向けて軌道73上を往移動Dしてきた自走車72は、上記軌道73の他の一部分81を通り過ぎたところで停止させられる(図2,5,6中実線)。
【0063】
次に、上記他の乗せ換え装置82の可動台92は、キャリア60を支持しない状態で上記軌道73の他の一部分81上にまで往移動Hさせられる(図2,5中一点鎖線)。そして、上記自走車72におけるキャリア60が上記可動台92に乗せ換えられる。次に、この可動台92は上記他の仮想延長線80上に復移動Iさせられる。そして、この可動台92におけるキャリア60は上記後搬送ライン58に乗せ換えられる。一方、上記軌道73の他の一部分81上の可動台92(図2,5中一点鎖線)にキャリア60を乗せ換えた後の自走車72は、キャリア60の無搬送状態で、上記乗せ換え装置77に向けて復移動Eされる。
【0064】
以下、上記動作が繰り返されて、満状態の複数のキャリア60が上記後搬送ライン58上に順次乗せ換えられ、この後搬送ライン58上で待機状態とされる。
【0065】
前記第1搬送ライン26により搬送される各第1部品3に同期するよう、上記後搬送ライン58から第2搬送ライン27に上記後搬送ライン58上のキャリア60が順次乗せ換えられ、これら各キャリア60は上記第2搬送ライン27により第2搬送速度V2で搬送される。そして、上記第1搬送ライン26により搬送される第1部品3に対し、上記第2搬送ライン27による搬送される各第2部品4が所定の組み付け域42−46で順次組み付けられる。
【0066】
上記第n組み付け域46において、上記第1部品3への各第2部品4の組み付けが完了すると、上記第2搬送ライン27の前端にまで搬送されたキャリア60は空状態となる。そして、このキャリア60は、順次上記前搬送ライン57に乗せ換えられ、この前搬送ライン57によって上記乗せ換え装置77に向けて搬送される。また、上記各キャリア60は、上記乗せ換え装置77の手前で待機状態とされる。
【0067】
上記乗せ換え装置77の可動台92は、キャリア60を支持しない状態で上記仮想延長線75上に復移動Gさせられており、上記可動台92に対し上記前搬送ライン57から空状態のキャリア60が乗せ換えられる(図2中実線)。次に、この可動台92が上記軌道73の一部分76上まで往移動Fさせられる(図2中一点鎖線)。そして、この可動台92におけるキャリア60が、上記軌道73の一部分76を通り過ぎたところで停止させられている自走車72に乗せ換えられる(図2中実線)。そして、この自走車72は、上記部品ラック74に向かって往移動Dさせられる。
【0068】
以下、上記動作が繰り返される。
【0069】
図7は、上記制御装置98による第1、第2搬送ライン26,27の制御についてのフローチャートを示し、図中各Sはプログラムの各ステップを示している。
【0070】
図1中実線で示すように、上記第1位置センサー96と第2位置センサー97との相対位置は基準相対位置L0に設定されている。この基準相対位置L0の設定によれば、上記第1搬送ライン26により搬送される第1部品3と、上記第2搬送ライン27により搬送される上記各第2部品4のうちの一部(具体的には、エアクリーナ13、バッテリ14、シート17、燃料タンク18、および他の第2部品19)とは、上記一方向Aにおけるある組み付け域(例えば、第1−第3、第n−1、第n組み付け域42−46)で所望の相対位置が維持される。
【0071】
即ち、上記各組み付け域で、第1、第2位置センサー96,97の相対位置が上記基準相対位置L0とされている場合において、上記第1搬送ライン26による第1部品3の搬送により、上記第1位置センサー96がこの第1位置センサー96の検出位置に上記第1部品3が達したことを検出(ON)したとする(S2)。すると、上記制御装置98に内蔵されたタイマーが計時をスタートする(S3)。その後、上記第2位置センサー97がこの第2位置センサー97の検出位置に上記各第2部品4の一部が達したことを検出(ON)したとする(S4)。すると、上記タイマーの計時が終了する(S5)。
【0072】
そして、上記S3とS4とによるタイマーの計時時間Tが所定範囲内であれば、所望の相対位置が維持されていると判断されて、上記第1搬送ライン26の第1搬送速度V1と第2搬送ライン27の第2搬送速度V2とは変更されず、それぞれ等速のままに維持される。
【0073】
一方、上記計時時間Tが上記所定範囲を越えたときには、上記第1部品3に対し上記各第2部品4の一部が遅れ過ぎることにより、所望の相対位置が維持されていないと判断される。すると、上記第1、第2搬送速度V1,V2の互いの相対速度が変更される。具体的には、上記遅れ過ぎを取り戻すよう上記第1搬送速度V1が一定のままとされる一方、上記第2電動機39が増速駆動され、つまり、第2搬送速度V2が増速される(S6)。これにより、上記第1部品3と各第2部品4の一部とにつき所望の相対位置が維持される。
【0074】
上記S2において、第1位置センサー96が上記第1部品3を検出していない場合において、上記第2位置センサー97が上記各第2部品4の位置を検出(ON)したとする(S7)。この場合には、上記第1部品3に対し上記各第2部品4の一部が進み過ぎることにより、所望の相対位置が維持されていないと判断される。すると、上記第1、第2搬送速度V1,V2の互いの相対速度が変更される。具体的には、上記進み過ぎを修正するよう上記第1搬送速度V1が一定のままとされる一方、上記第2電動機39が停止させられ、つまり、第2搬送速度V2が一旦0とされる(S8)。
【0075】
次に、上記第1位置センサー96が上記第1部品3を検出(ON)したとすると、上記第2電動機39が定速駆動させられる(S10)。これにより、上記第1部品3と各第2部品4の一部とにつき所望の相対位置が維持される。
【0076】
そして、上記のようにして、ある組み付け域において、第1部品3と各第2部品4の一部とにつき所望の相対位置が維持されることにより、これら第1部品3と各第2部品4の一部との互いの組み付けの作業が容易にできる。
【0077】
一方、図1中一点鎖線で示すように、上記一方向Aにおける他の組み付け域(例えば、上記第3組み付け域44と第n−1組み付け域45との間の組み付け域)では、上記第1位置センサー96が位置変更されて、長い相対位置L1が設定されている。この長い相対位置L1の設定によれば、上記第1搬送ライン26により搬送される第1部品3と、上記第2搬送ライン27により搬送される上記各第2部品4のうちの他部(具体的には、リヤフェンダ16)とは、上記他の組み付け域で、所望の相対位置が維持される。
【0078】
即ち、上記長い相対位置L1の設定状態において、上記第1搬送ライン26により第1部品3を搬送すると共に、第2搬送ライン27により第2部品4を搬送して、上記と同様に制御装置98による制御をすれば、図4で示すように、上記他の組み付け域において、上記第1部品3と各第2部品4のうちの他部との間で所望の相対位置が維持される。具体的には、上記第1部品3におけるボルトねじ孔22と各第2部品4のうちの他部であるリヤフェンダ16のボルト挿通孔23とが上記一方向Aにおいてほぼ同じところに位置し、上記第1部品3へのリヤフェンダ16のボルトによる組み付け(図4中一点鎖線)の作業が容易にできる。
【0079】
また、図1中二点鎖線で示すように、更に他の組み付け位置では、上記第1位置センサー96が位置変更されて、短い相対位置L2が設定されている。この短い相対位置L2の設定状態において、前記と同様の制御装置98による制御をすれば、上記第1搬送ライン26により搬送される第1部品3と、上記第2搬送ライン27により搬送される上記各第2部品4のうちの更に他部とは、上記更に他の組み付け域で他の所望の相対位置が維持される。
【0080】
上記構成によれば、第1搬送ライン26により搬送される第1部品3と上記第2搬送ライン27により搬送される第2部品4のそれぞれとの上記一方向Aにおける互いの相対位置が、上記各組み付け域でそれぞれ変更可能となるよう上記第1、第2搬送速度V1,V2の互いの相対速度を可変にしている。
【0081】
このため、上記第1、第2搬送速度V1,V2の互いの相対速度を変更させることによって、上記各組み付け域で互いに組み付けようとする第1、第2部品3,4をそれぞれ所望の相対位置にさせることができる。また、いずれかの他の第2部品4を上記第1、第2部品3,4に対し上記一方向Aにおいて離れるような上記相対位置にさせることにより、上記他の第2部品4が上記第1、第2部品3,4同士の組み付けの邪魔にならないようにさせることもできる。よって、上記部品組立装置1によれば、上記第1、第2部品3,4の互いの組み付けの作業が容易にできる。
【0082】
また、前記したように、第1搬送ライン26の上方に上記第2搬送ライン27を配置している。
【0083】
このため、例えば、通常の自動二輪車2の組み付けの作業のように、車体5(第1部品3)に対しその上方から種々の部品(各第2部品4)を組み付けてゆくような場合に、上記部品組立装置1を適用すれば、上記自動二輪車2の組み付けの作業が極めて容易にできる。
【0084】
また、前記したように、各組み付け域における上記第1、第2搬送速度V1,V2の相対速度をそれぞれ個別に変更可能となるようにしている。
【0085】
このため、上記各組み付け域において、それぞれ所望の相対位置が得られるため、上記各組み付け域での組み付けの作業が互いに同時にできる。よって、第1、第2部品3,4の全体的な組み付けの作業が迅速にできる。
【0086】
また、前記したように、第1搬送ライン26により搬送される第1部品3の上記一方向Aにおける位置を検出する第1位置センサー96と、上記第2搬送ライン27により搬送される各第2部品4のうちのいずれかの第2部品4の上記一方向Aにおける位置を検出する第2位置センサー97とを上記各組み付け域にそれぞれ設け、これら第1、第2位置センサー96,97の検出信号に基づき、上記各組み付け域における上記第1部品3と第2部品4との相対位置を定めるようにし、上記一方向Aにおける上記第1、第2位置センサー96,97の互いの相対位置を上記各組み付け域でそれぞれ変更可能にしている。
【0087】
このため、上記各組み付け域において、第1部品3と各第2部品4のうちのいずれかの第2部品4との間で、所望の相対位置を得ようとするときには、上記各組み付け域において、第1、第2位置センサー96,97の相対位置をそれぞれ単に物理的に変更すれば足りる。よって、この点でも、上記第1、第2部品3,4の互いの組み付けの作業が容易にできる。
【0088】
また、前記したように、各第2部品4を離脱可能に支持すると共に上記第2搬送ライン27により搬送可能とされるキャリア60を設け、上記第2搬送ライン27の上記一方向Aにおける前端側に搬送された上記キャリア60を上記第2搬送ライン27の後端側に向けて搬送するよう往移動Dする一方、上記第2搬送ライン27の後端側から前端側に向けて上記キャリア60の無搬送状態で復移動Eする自走車72を設け、この自走車72の往移動D中に、この自走車72により搬送されているキャリア60に対し上記各第2部品4を支持可能にしている。
【0089】
ここで、上記自走車72の移動位置は自由に設定し易いものである。このため、上記自走車72の往移動D中に、この自走車72により搬送されているキャリア60に対し、上記各第2部品4を支持させる上で都合がよいように、上記自走車72の往移動D位置を所望位置に設定させることが容易にできる。よって、この点でも、上記組み付けの作業をより容易にできる。
【0090】
また、前記したように、自走車72が環形状の軌道73に沿って周回動することにより、上記自走車72が上記した往、復移動D,Eをするようにし、上記第2搬送ライン27の前、後端側の隣接域におけるこれら前、後端側の仮想延長線75,80上から上記軌道73上に向かい横方向に往移動F,H、復移動G,Iして、上記第2搬送ライン27の前、後端側と自走車72との間で上記キャリア60を乗せ換え可能とする乗せ換え装置77,82を設けている。
【0091】
即ち、上記第2搬送ライン27側と上記自走車72との間でのキャリア60の乗せ換えは、上記軌道73上に向かい横方向に往移動F,H、復移動G,Iする乗せ換え装置77,82によることとしている。このため、上記乗せ換え時に、上記自走車72を上記周回方向の一方向に対し、一旦、後退させるなどの複雑な移動動作は不要であり、単に周回方向の一方向にのみ移動させる、という動作で足りる。よって、上記自走車72の移動動作を簡素にすることができ、その分、上記組み付けの作業を更に容易にできる。
【0092】
なお、以上は図示の例によるが、上記第1、第2部品3,4は、自動二輪車2以外の乗り物のものであってもよく、電子、電気製品、産業機械などであってもよい。
【0093】
また、上記第1、第2搬送ライン26,27は、水平方向に並設されたものであってもよい。また、上記一方向Aは直線に限定されるものではなく、屈曲していてもよい。
【0094】
また、上記第1、第2搬送ライン26,27、および前、後搬送ライン57,58の基部側を設置した作業面28と、上記前、後搬送ライン57,58の各延出端部側、および自走車72用の軌道73を設置した作業面28とは単一の水平面上に位置させてもよい。
【0095】
また、上記第1、第2搬送速度V1,V2の互いの相対速度の変更は、第1電動機31と第2電動機39とのうち、いずれか一方を一定速度で駆動させ、もしくは停止させ、他方を加速、もしくは減速駆動させることにより得るようにしてもよく、上記一方を加速駆動させ、他方を減速駆動させることにより得るようにしてもよい。
【0096】
また、上記前搬送ライン57や後搬送ライン58はなくてもよい。また、上記第1、第2位置センサー96,97の相対位置のの変更は、上記第2位置センサー97を一方向Aで位置変更させるようにしてもよい。また、上記両センサー96,97の相対位置を変更可能にすることは、全組み付け域のうちの一部の複数の組み付け域でのみ実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】図2のI−I線矢視図である。
【図2】部品組立装置の全体平面部分破断図である。
【図3】図2の部分拡大平面図である。
【図4】他の組み付け域における図で、図1に相当する図である。
【図5】図2の部分拡大平面図である。
【図6】図5のVI−VI線矢視図である。
【図7】制御装置による制御のフローチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0098】
1 部品組立装置
2 自動二輪車
3 第1部品
4 第2部品
26 第1搬送ライン
27 第2搬送ライン
28 作業面
31 第1電動機
34 静止側部材
35 レール
36 軸心
37 回転軸
38 軸受
39 第2電動機
42 第1組み付け域
43 第2組み付け域
44 第3組み付け域
45 第n−1組み付け域
46 第n組み付け域
48 搬送台車
57 前搬送ライン
58 後搬送ライン
60 キャリア
72 自走車
73 軌道
74 部品ラック
75 仮想延長線
76 一部分
77 乗せ換え装置
80 仮想延長線
81 一部分
82 乗せ換え装置
96 第1位置センサー
97 第2位置センサー
98 制御装置
A 一方向
B 回転
C 回転
D 往移動
E 復移動
F 往移動
G 復移動
H 往移動
I 復移動
V1 第1搬送速度
V2 第2搬送速度
L0 基準相対位置
L1 長い相対位置
L2 短い相対位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに組み付けようとする第1部品と複数の第2部品とのうち、上記第1部品を一方向に向かって第1搬送速度で搬送可能とする第1搬送ラインと、この第1搬送ラインと平行に延び、上記各第2部品を上記一方向に向かって第2搬送速度で搬送可能とする第2搬送ラインとを備え、上記一方向に向かって順次設定された複数の組み付け域で、上記第1部品と第2部品のそれぞれとが順次組み付けられるようにした部品組立装置において、
上記第1搬送ラインにより搬送される第1部品と上記第2搬送ラインにより搬送される第2部品のそれぞれとの上記一方向における互いの相対位置が、上記各組み付け域でそれぞれ変更可能となるよう上記第1、第2搬送速度の互いの相対速度を可変にしたことを特徴とする部品組立装置。
【請求項2】
上記第1搬送ラインの上方に上記第2搬送ラインを配置したことを特徴とする請求項1に記載の部品組立装置。
【請求項3】
上記各組み付け域における上記第1、第2搬送速度の相対速度をそれぞれ個別に変更可能となるようにしたことを特徴とする請求項1、もしくは2に記載の部品組立装置。
【請求項4】
上記第1搬送ラインにより搬送される第1部品の上記一方向における位置を検出する第1位置センサーと、上記第2搬送ラインにより搬送される各第2部品のうちのいずれかの第2部品の上記一方向における位置を検出する第2位置センサーとを上記各組み付け域にそれぞれ設け、これら第1、第2位置センサーの検出信号に基づき、上記各組み付け域における上記第1部品と第2部品との相対位置を定めるようにし、上記一方向における上記第1、第2位置センサーの互いの相対位置を上記各組み付け域でそれぞれ変更可能にしたことを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1つに記載の部品組立装置。
【請求項5】
上記各第2部品を離脱可能に支持すると共に上記第2搬送ラインにより搬送可能とされるキャリアを設け、上記第2搬送ラインの上記一方向における前端側に搬送された上記キャリアを上記第2搬送ラインの後端側に向けて搬送するよう往移動する一方、上記第2搬送ラインの後端側から前端側に向けて上記キャリアの無搬送状態で復移動する自走車を設け、この自走車の往移動中に、この自走車により搬送されているキャリアに対し上記各第2部品を支持可能にしたことを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1つに記載の部品組立装置。
【請求項6】
上記自走車が環形状の軌道に沿って周回動することにより、上記自走車が上記した往、復移動をするようにし、上記第2搬送ラインの前、後端側の隣接域におけるこれら前、後端側の仮想延長線上から上記軌道上に向かい横方向に往、復移動して、上記第2搬送ラインの前、後端側と自走車との間で上記キャリアを乗せ換え可能とする乗せ換え装置を設けたことを特徴とする請求項5に記載の部品組立装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−178944(P2008−178944A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14280(P2007−14280)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】