説明

配向圧粉磁心

【課題】
本発明は、磁束密度が高く、鉄損の少ない圧粉磁心の圧粉成形体を安価に提供することを目的とする。
【解決手段】
鉄又は鉄を主成分とする合金の粉末であって、粉末の表面に絶縁層を形成したものを圧縮して成形した圧粉磁心において、圧粉磁心の磁路方向と垂直に粉体を圧縮し、圧縮方向と磁路方向とを含む断面の第1のアスペクト比の平均値が、圧縮方向に垂直な断面の第2のアスペクト比の平均値より大きいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄元素を含んだ磁性粉を圧縮成形することにより製造される圧分磁心に係り、特に回転電機,リアクトルなどの電機部品に用いるに好適な圧粉磁心に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題の観点から、電気自動車が注目されている。このような電気自動車動力源として回転電機(モータ)を、また、インバータ回路出力には平滑トランス(リアクトル)を備えており、これら部品の効率向上が求められている。これに用いる磁心は低鉄損でかつ高磁束密度であることは勿論のこと、それらの磁気特性が低周波から高周波の領域においても低下しないことが求められている。
【0003】
鉄損には磁心の比抵抗と関係の大きい渦電流損と鉄粉の製造の過程およびその後のプロセス履歴から生じる鉄粉内の歪に影響を受けるヒステリシス損とがある。そして、鉄損(W)は下記(式1)のように渦電流損(We)とヒステリシス損(Wh)の和で示すことができる。(式1)中、fは周波数、Bmは励磁磁束密度、ρは比抵抗、tは材料の厚さ、k1とk2は係数である。
【0004】
W=We+Wh=(k1Bm22/ρ)f2+k2Bm1.6f ・・・・(式1)
(式1)から、渦電流損(We)は周波数fの二乗に比例して大きくなるので、特に、高周波での磁気特性を低下させないためには、その渦電流損(We)の抑制が不可欠である。圧粉磁心の渦電流の発生を抑えるためには、用いる磁粉のサイズを最適化し、かつ、磁粉一つ一つの表面に絶縁膜を形成させ、その磁粉を用い圧縮成形した圧粉磁心を用いる必要がある。
【0005】
このような圧粉磁心において、絶縁が不十分であると比抵抗ρが低下して、渦電流損(We)が大きくなる。一方、絶縁性を高めるために絶縁被膜を厚くすると、磁心中の軟磁性粉の占める容積の割合が低下し、磁束密度が低下する。また、磁束密度を向上させるために、軟磁性粉の圧縮成形を高圧で行って、軟磁性粉の密度を増加させると、成形時の軟磁性粉の歪が避けられず、ヒステリシス損(Wh)が大きくなるため、結果として鉄損(W)の抑制は難しい。特に、低周波領域においては渦電流損(We)が小さいため、鉄損(W)中のヒステリシス損(Wh)の影響が大きくなる。
【0006】
このような課題に対しこれまで鉄または鉄を主成分とする合金粉末(以降鉄粉とする)の表面に絶縁コートを施すことで、粒子間の絶縁を確保し、磁心全体の比抵抗を増加させることでマクロな渦電流損失を低下させる手法が提示されてきた。また、ヒステリシス損失低減には鉄粉粒径を大きくし、粒表面の酸化等磁気的劣化要因を見かけ希薄化することが有効であることも知られている。しかし、圧粉磁心渦損失には上記だけでなく、鉄粉粒子自体が低比抵抗で高透磁率であるため、鉄粉粒内に発生するいわゆる粒内渦電流による損失も考慮する必要がある。このため、鉄粉粒径が大きくなると、粒内損失が増加し、結果渦電流損失が増加することが非特許文献1に開示されている。即ち、ヒステリシス損失低下には粒径大が、粒内渦電流損失低下には粒径の上限があり、バランスするところが150マイクロメートルであるということである。
【0007】
渦電流損失の発生はたとえば図1に示すように、磁心磁路に垂直方向に円状渦電流が流れる。ある半径rの作る円電流は、それより内側の磁化反転を抑える。電流密度はrが大きいほど大きくなり、また高周波ほど強くなるので高周波になると外側しか動作しなくなる(スキンデプス)。スキンデプスが鉄粉粒径より小さくなると鉄粉内部が動作しなくなるので所要励磁磁界が増大し結果損失が増大していく。同様の理由で電磁鋼板積層磁心では渦電流損失を低下させるため、板材厚さを使用周波数に応じ薄板としてこれを重ねて使用する。これを圧粉磁心にも適用できれば大径粒でも低渦電流損失とできる可能性がある。すなわち、扁平粒を用い、これを磁路に平行に配置すれば、粒内渦電流損失を低下させることができる。
【0008】
特許文献2では、扁平粒を適用した圧粉磁心として、アスペクト比が2程度の比較的等方に近い形状を用いたものが開示されている。
【0009】
【特許文献1】特開2005−79530号公報
【非特許文献1】2007年粉体協春季大会概要
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
扁平鉄粉はその形状異方性のため、粒の長い面内方向に磁化が向きやすい性質がある。そこで、これまで扁平鉄粉利用はプレスに伴いプレス面内(プレス方向に垂直面)に粒の平面が並ぶ自然配列により磁化の立ち上がりを改善した圧粉磁心が利用されていた。しかしこの場合、扁平粒の3軸のうち、最短方向すなわち厚さ方向がプレス面にならぶのみで長い軸はプレス面方向に垂直にランダムに配向する。圧粉磁心はプレス面に垂直で、磁路方向に励磁して使用するためこの場合、最長軸が磁路方向に配列しない粒が存在して面内方向に性能を十分発揮できない難点がある。
【0011】
一方、扁平粉を磁場配向させて成形した例も特許文献3に記載されている。この手法は周方向に周期的な交互磁界を印加して扁平粒を配向させモータ回転子に適用したものである。本方法は円形回転子に鉄粉形状異方性に起因するリラクタンストルクを与えるものである。本方法は固定子に対しても同様の磁路に平行な粒子配列が可能である。しかし径方向への磁場勾配が急で、扁平粒子の短辺が圧縮方向に平行に配列する。この場合、固定子のせん断強度が低下し、破壊しやすい難点があった。
【0012】
本発明は、扁平粉形状を既定すること、および高強度が可能な磁場配向製造方法により作製した、小型高効率の回転機用圧粉磁心を提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、鉄又は鉄を主成分とする合金の粉末であって、粉末の表面に絶縁層を形成したものを圧縮して成形した圧粉磁心において、圧粉磁心の磁路方向と垂直に粉体を圧縮し、圧縮方向と磁路方向とを含む断面の鉄粉の第1のアスペクト比の平均値が、圧縮方向に垂直な断面の鉄粉の第2のアスペクト比の平均値より大きいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、高密度で、抵抗値が高く、磁気特性に優れた低価格な圧粉磁心とそれを得るのに適した鉄粉を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の特徴を以下に示す。
【0016】
本発明は、鉄又は鉄を主成分とする合金の粉末であって、粉末の表面に絶縁層を形成したものを圧縮して成形した圧粉磁心において、圧粉磁心の磁路方向と垂直に粉体を圧縮し、圧縮方向と磁路方向とを含む断面の第1のアスペクト比の平均値が、圧縮方向に垂直な断面の第2のアスペクト比の平均値より大きいことを特徴とする。その際に、第1のアスペクト比は5以上であって、第2のアスペクト比が、2以上15以下であることが好ましい。
【0017】
また、絶縁層がフッ化物であることが好ましい。
【0018】
また、本発明は、鉄又は鉄を主成分とする合金の粉末であって、粉末の表面に絶縁層を形成したものを圧縮して成形した圧粉磁心において、粉末が扁平状粒子であって、扁平状粒子の最大長である方向の長軸長さが、200μm以上5000μm以下であり、長軸及び長軸に垂直である短軸に対して垂直であって、最小長である前記扁平状粒子の厚みが、20μm以上250μm以下であることを特徴とする。また、扁平状粒子が磁場配向されており、長軸が磁路方向に沿って配向していることが好ましい。また、絶縁層がフッ化物であることを特徴とする。さらに、フッ化物がフッ化マグネシウムであることを特徴とする。また、短軸の長さが長軸の長さよりも小さいことを特徴とする。
【0019】
さらに、本発明は、鉄又は鉄を主成分とする合金の粉末であって、粉末の表面に絶縁層を形成したものを圧縮して成形した圧粉磁心において、粉末が、扁平状粒子であって、磁場配向されており、扁平状粒子の最大長である方向の長軸が、磁路方向に沿って配向していることを特徴とする。その際に、長軸の長さが、200μm以上5000μm以下であることが好ましい。また、長軸に垂直である短軸の長さが、長軸の長さよりも小さいことが好ましい。
【0020】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0021】
鉄粉の形状は一般に長辺と短辺の比によるアスペクト比で表される。しかし、特に扁平粉では粒の厚さ方向とそれに垂直方向では比が2倍から10倍以上まであり、また垂直方向を見てその面内でも2次元的に形状が分布する。このため単一のアスペクト比では表せない。また、厚さが飽和特性に及ぼす影響がおおきく、アスペクト比と別個に既定が必要である。さらに配向磁心においてはこれが磁路方向に向くか否かが飽和特性に影響する。図2に、今回導入したパラメータを示す。粒の幅のうち最も長い方向を長軸とし、長さをa、それに垂直でもっとも短い方向を厚さとし、長さをt、これらに垂直な方向を短辺とし長さをbと定義する。これは鉄粉粒単体の定義であるが、実際の圧粉磁心では磁心内での配向度が重要であり、特にaとtの比が大きい鉄粉を配向させて磁心断面の平均鉄粉アスペクト比を粉体本来の値に近づけることが必要である。
【0022】
初めに、粒内渦電流損の発生しない条件を求める。この条件下で粒形状を定義する。すでに述べたように圧粉磁心では厚さtが圧縮方向に配列するので、これに垂直な磁路では断面が図3に示すように磁路に垂直に厚さ方向が整列し、このとき渦電流は厚さ方向に垂直すなわち紙面内に流れる。このとき厚さがスキンデプスの2倍より小さければ渦電流に抵抗が生じ粒内渦電流は発生しない。従って、圧粉磁心動作周波数400Hzでは透磁率1000、比抵抗1×10-7Ω・mでは250μmとなる。厚さをこれ以下とすれば粒内渦電流は発生しない。厚さの最低は磁気特性で決まり、鉄結晶粒径程度以下となると特性劣化する。このため400Hz動作では最低厚は20μm以上,250μm以下である。
【0023】
厚さを上記範囲とし、表面にフッ化物絶縁膜を形成した電解鉄粉を回転磁界中でプレスすることにより、リング状圧粉磁心を作製した。形状は外形25,内径15,厚さ4mmとし、1次:2次巻線を100:40ターンとした。比較のため、同様に同じ厚さのフッ化物絶縁膜を形成した平均粒径150μmのガスアトマイズ粉を用い、同形状の圧粉磁心を作製し、磁気特性を比較した。図4に直流磁気特性を示す。回転磁界を用いたのは、リング周方向が磁路方向になるためである。
【0024】
扁平粉を使用した圧粉磁心はガスアトマイズ粉に比べ、磁化の飽和が低い磁界で可能であり、大幅な磁気特性改善が可能となった。1Tまでの透磁率はガスアトマイズ粉の180に比べ780と4倍に改善した。また、1T400Hzにおける損失もガスアトマイズ粉が40W/kgであったのに対し、扁平粉は50W/kgと遜色のない値となった。
【0025】
この圧粉磁心の断面光学顕微鏡写真を図5に示す。粒選別されていないので厚さにばらつきはあるが、粒はいずれもプレス方向に垂直となり、ほぼ面内に配向している。これより磁化飽和が改善したのは、面内への扁平粉配向と、低損失は厚さ方向が制限されていることによることがわかった。実際の固定子は、磁路方向が放射状となることから、放射磁界印加が必要である。以下、粒形状と磁気特性について本発明の実施例を具体的に説明する。また、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0026】
(実施例1)
成形厚が40から60μmの電解鉄粉1kgを開口700μmのふるいを通過させた。これにより、少なくとも短辺bは700μm以下と規定される。さらに幅200μmの樹脂製スリットに、スリット面内で、スリット方向に垂直に直流磁場を20Oe印加して鉄粉長辺を磁場方向(スリットに垂直)に向け、振とう後スリットに残留した鉄粉を採取した。これより、長辺aが200μm以上と規定された鉄粉が700g得られた。この鉄粉にはaが長さ5mmまで存在することを確認した。これに厚さ100nmでフッ化マグネシウムコートを行った。厚さtは電解鉄形成厚の40〜60μmである。これを外形25,内径15,厚さ4mmのリング形状にプレス成形した。充填に際し、周方向磁場を40Oe印加した。窒素中で600℃,30分熱処理後、リング巻線後磁気測定を行い、磁化曲線を測定した。リング試料測定の結果、透磁率は800,1T400Hzの損失は42W/kgであった。比較のため、磁場なしで充填した試料の透磁率を測定したところ、透磁率は500、損失は45W/kgとなった。断面の第1及び第2のアスペクト比は実施例が6.0,5.0であるのに対し、比較例が3.5,5.0となりアスペクト比1が大きい実施例1が高透磁率である。
【0027】
(実施例2)
成形厚が150〜250μmの電解鉄粉1kgを開口700μmのふるいを通過させた。これにより、少なくとも短辺bは700μm以下と規定される。さらに幅100μmの樹脂製スリットに、スリット面内で、スリット方向に垂直に直流磁場を20Oe印加して鉄粉長辺を磁場方向(スリットに垂直)に向け、振とう後スリットに残留した鉄粉を採取した。これより、長辺aが100μm以上と規定された鉄粉が700g得られた。この鉄粉にはaが長さ5mmまで存在することを確認した。これに厚さ100nmでフッ化マグネシウムコートを行った。厚さtは電解鉄形成厚の150〜250μmである。これを外形25,内径15,厚さ4mmのリング形状にプレス成形した。充填に際し、周方向磁場を40Oe印加した。窒素中で600℃,30分熱処理後、リング巻線後磁気測定を行い、磁化曲線を測定した。リング試料測定の結果、透磁率は600,1T400Hzの損失は65W/kgであった。このとき第1及び第2のアスペクト比は5.5,2.5であった。比較のため、スリット幅100μで振るった鉄粉を無磁界で成形したところ、透磁率が低い結果となった(比較例2から4)。これらのアスペクト比2は2以下であるか、アスペクト比1が5以下であることがわかった。
【0028】
(実施例3)
成形厚が10〜40μmの電解鉄粉1kgを開口700μmのふるいを通過させた。これにより、少なくとも短辺bは700μm以下と規定される。さらに幅200μmの樹脂製スリットに、スリット面内で、スリット方向に垂直に直流磁場を20Oe印加して鉄粉長辺を磁場方向(スリットに垂直)に向け、振とう後スリットに残留した鉄粉を採取した。これより、長辺aが200μm以上と規定された鉄粉が700g得られた。この鉄粉にはaが長さ5mmまで存在することを確認した。これに厚さ100nmでフッ化マグネシウムコートを行った。厚さtは電解鉄形成厚の10〜40μmである。これを外形25,内径15,厚さ4mmのリング形状にプレス成形した。充填に際し、周方向磁場を40Oe印加した。窒素中で600℃,30分熱処理後、リング巻線後磁気測定を行い、磁化曲線を測定した。リング試料測定の結果、透磁率は1200,1T400Hzの損失は40W/kgであった。
【0029】
以下、実施例及び実施例と同様の方法で行った比較例の結果を表1にまとめた。実施例ではリング周方向に磁界印加して効果を見た。aminはaの最小値である。
【0030】
【表1】

【0031】
上記より、所要灯透磁率500を超えるのは長辺長さaが200μm以上であり、また磁路方向である周方向磁場を印加すると透磁率が向上することがわかる。
【0032】
(実施例4)
図6に試作した固定子モデル試料概略を示す。実施例1で用いた成形厚さ40〜60μmの電解鉄粉と、ふるい選別したものに、フッ化マグネシウム100nmコートして原料粉とし、図のように放射磁界を与えて型に充填した。試料外形は120mmで型は非磁性超硬を用いた。放射磁界は上下コイルに突きあわせ磁界を印加したカスプ磁界とし、120mm位置で200Oeを印加している。フッ化物コートの特徴として、原料粉には潤滑剤は用いていない。成形圧10t/cm2,成形仕上がり厚5mmとした。試料は成形後600℃,30分窒素中で熱処理した。
【0033】
比較のため(比較例5)、同じ原料粉を用い、固定子に周期磁界最大強度5kOeを印加して成形して固定子試料を形成し、7(プレス面)×5(厚さ)×20mmに切り出した試験片のプレス面抗折強度を比較した。その結果、周期磁界形成品が18MPaであったのに対し、放射磁界形成試料は90MPaと大幅な差があった。
【0034】
同一試料から断面試料を切り出し観察した。図のように断面1と断面2を観察したところ、実施例4の断面1では平均の第1のアスペクト比が21、断面2では第2のアスペクト比が4.2となり、比較例5では同じ部分が第1のアスペクト比で3.3、第2のアスペクト比で10.5となり、実施例が高強度であることから上記抗折強度の差は扁平粉に曲げを与えるか、扁平粉同士のせん断を与えるかの差であることがわかった。
【0035】
(実施例5)
成形厚さ150〜250μmの電解鉄粉にフッ化マグネシウムを100nmコートし、放射磁界を強度200Oeで印加して充填、成形圧10t/cm2,仕上がり厚さ5mmで成形後、600℃で30分熱処理した。このプレス面抗折強度は70MPaであった。比較のため、同じ鉄粉に周期磁界最大強度5kOeを印加して成形し同様の熱処理を行った固定子を作製、強度を比較した(比較例6)。この強度は33MPaと低い結果となった。それぞれの断面を比較すると第1及び第2のアスペクト比は実施例5がそれぞれ15と5.5、比較例6が8.1と11であった。
【0036】
(実施例6)
さらに成形厚10〜40μmの電解鉄にフッ化マグネシウムを100nmコートし、放射磁界を強度200Oeで印加して充填、成形圧10t/cm2,仕上がり圧さ5mmで成形後、600℃で30分熱処理した。成形後、600℃,30分の熱処理を行った後の抗折強度は103MPaとなった。
【0037】
これらをまとめると表2のようになる。
【0038】
【表2】

【0039】
これより第2のアスペクト比が第1のアスペクト比より大きいことが必要であり、周期磁場より放射磁場形成が高強度であることがわかる。また第2のアスペクト比は平均で15を越すような磁心は成形できず、得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】一般的な圧粉磁心の渦電流の扱い。
【図2】本発明の扁平粉の形状定義。
【図3】扁平粉を配向させた場合の粒内渦電流の扱い。
【図4】本発明の扁平粉成形体とガスアトマイズ粉成形体の磁気特性比較。
【図5】扁平粉リング試料の断面観察写真。
【図6】本発明の固定子試料と印加磁界方向及び断面試料採取位置。
【符号の説明】
【0041】
1 球形鉄粉
2,4 圧粉磁心
3 扁平鉄粒
5 固定子
6 断面1
7 断面2
8 放射磁界

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄又は鉄を主成分とする合金の粉末であって、前記粉末の表面に絶縁層を形成したものを圧縮して成形した圧粉磁心において、
前記圧粉磁心の磁路方向と垂直に粉体を圧縮し、圧縮方向と磁路方向とを含む断面の鉄粉の第1のアスペクト比の平均値が、圧縮方向に垂直な断面の鉄粉の第2のアスペクト比の平均値より大きいことを特徴とする圧粉磁心。
【請求項2】
前記第1のアスペクト比平均値は5以上であって、前記第2のアスペクト比平均値が、2以上15以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
【請求項3】
前記絶縁層がフッ化物であることを特徴とする請求項1に記載の圧粉磁心。
【請求項4】
鉄又は鉄を主成分とする合金の粉末であって、前記粉末の表面に絶縁層を形成したものを圧縮して成形した圧粉磁心において、
前記粉末が、扁平状粒子であって、
前記扁平状粒子の最大長である方向の長軸長さが、200μm以上5000μm以下であり、前記長軸及び長軸に垂直である短軸に対して垂直であって、最小長である前記扁平状粒子の厚みが、20μm以上250μm以下であることを特徴とする圧粉磁心。
【請求項5】
前記扁平状粒子が、磁場配向されており、
前記長軸が、磁路方向沿って配向していることを特徴とする請求項4に記載の圧粉磁心。
【請求項6】
前記絶縁層が、フッ化物であることを特徴とする請求項4に記載の圧粉磁心。
【請求項7】
前記フッ化物が、フッ化マグネシウムであることを特徴とする請求項6に記載の圧粉磁心。
【請求項8】
前記短軸の長さが、前記長軸の長さよりも小さいことを特徴とする請求項4に記載の圧粉磁心。
【請求項9】
鉄又は鉄を主成分とする合金の粉末であって、前記粉末の表面に絶縁層を形成したものを圧縮して成形した圧粉磁心において、
前記粉末が、扁平状粒子であって、磁場配向されており、
前記扁平状粒子の最大長である方向の長軸が、磁路方向に沿って配向していることを特徴とする圧粉磁心。
【請求項10】
前記長軸の長さが、200μm以上5000μm以下であることを特徴とする請求項9に記載の圧粉磁心。
【請求項11】
前記長軸に垂直である短軸の長さが、前記長軸の長さよりも小さいことを特徴とする請求項9に記載の圧粉磁心。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−10501(P2010−10501A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169765(P2008−169765)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】