配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法
【課題】配線パターンの微細化に対応可能な配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板1は、ガラスクロス11に熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させ硬化させたコア基板10と、コア基板10の第1主面10aから第2主面10bまでを貫通する貫通穴10Xと、貫通穴10X内に充填された貫通電極20と、貫通電極20を介して電気的に接続された配線層30a,30bとを有する。コア基板10では、貫通穴10Xの厚さ方向の中央部におけるガラスクロス11の密度が貫通穴10Xの他の部分の密度より高くなるようにガラスクロス11が設けられている。
【解決手段】配線基板1は、ガラスクロス11に熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させ硬化させたコア基板10と、コア基板10の第1主面10aから第2主面10bまでを貫通する貫通穴10Xと、貫通穴10X内に充填された貫通電極20と、貫通電極20を介して電気的に接続された配線層30a,30bとを有する。コア基板10では、貫通穴10Xの厚さ方向の中央部におけるガラスクロス11の密度が貫通穴10Xの他の部分の密度より高くなるようにガラスクロス11が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子等の電子部品が搭載される配線基板として、配線パターンを高密度化するため、ビルドアップ法によりコア基板の上下両面に複数の配線層及び絶縁層を積層したビルドアップ配線基板が知られている。
【0003】
この種の配線基板では、コア基板を貫通する貫通穴が形成され、その貫通穴の内壁面に形成された導電層を介してコア基板の両面に形成された配線層が電気的に接続されている(例えば、特許文献1参照)。なお、上記貫通穴の孔には樹脂が充填されるのが一般的である。
【0004】
さらに、配線基板に対する電子部品の搭載領域を拡大するために、貫通穴の直上位置にも電子部品を搭載させることができる配線基板も提案されている。このような配線基板は、貫通穴(具体的には、導電層及び樹脂)の直上に金属層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−274730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、電子機器における高性能化が一層進み、半導体パッケージ及び配線基板に対する配線パターンの高密度化の要請はさらに高まっている。これに伴って配線パターンがさらに微細化されると、上記貫通穴の直径を小さくする必要がある。しかし、貫通穴の直径が小さくなると、貫通穴内に樹脂を充填することが困難になり、その樹脂上に形成される金属層を形成できなくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、補強材入りの樹脂材からなる基板と、前記基板に形成された貫通穴と、前記貫通穴内に充填された貫通電極と、前記基板の表面に形成され、前記貫通電極と電気的に接続された配線層と、を有し、前記基板では、前記貫通穴の厚さ方向の中央部における前記補強材の密度が前記貫通穴の他の部分の密度より高くなるように前記補強材が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一観点によれば、配線パターンの微細化に対応することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は、第1実施形態の配線基板の一部を示す概略断面図、(b)は、(a)に示した配線基板の貫通穴の周辺を拡大した拡大断面図、(c)は、ガラスクロスを示す概略斜視図。
【図2】(a)〜(d)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図3】(a)〜(c)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図4】(a)〜(c)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図5】(a)〜(c)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図6】(a)、(c)は、従来の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図、(b)は、貫通穴の内壁面の様子を示す断面写真。
【図7】(a)〜(d)は、電解銅めっきの下地の表面粗さとめっき析出速度との関係を評価した実験結果を示す断面写真。
【図8】電解銅めっきの下地の表面粗さとめっき析出速度との関係を示すグラフ。
【図9】変形例の配線基板の一部を示す概略断面図。
【図10】(a)〜(c)は、変形例の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図11】第2実施形態の半導体装置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、絶縁層のハッチングを省略している。
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1〜図8に従って説明する。
(配線基板の構造)
図1(a)に示すように、配線基板1は、厚さ方向(Z方向)の略中央部にコア基板10を有している。コア基板10は、例えば補強材であるガラスクロス(ガラス織布)にエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させ硬化させた、いわゆるガラスエポキシ基板を用いることができる。補強材としてはガラスクロスに限らず、例えばガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織布、液晶ポリマ(Liquid Crystal Polymer:LCP)織布やLCP不織布を用いることができる。また、熱硬化性の絶縁性樹脂としてはエポキシ樹脂に限らず、例えばポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの樹脂材を用いることができる。コア基板10の厚さは、例えば80〜400μm程度とすることができる。
【0012】
コア基板10には、所要の箇所(図1(a)では1箇所)に貫通穴(スルーホール)10Xが設けられている。この貫通穴10Xは、コア基板10の第1主面10aから第2主面10bまでを貫通するように形成されている。この貫通穴10X内には、コア基板10の厚さ方向に貫通する貫通電極20が形成されている。すなわち、貫通電極20は、貫通穴10X内に充填されている。この貫通電極20の平面形状は図示を省略するが、例えば円形状である。その貫通電極20の直径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。また、貫通電極20の材料としては、例えば銅(Cu)や銅合金を用いることができる。
【0013】
コア基板10の第1主面10aには配線層30aが形成され、コア基板10の第2主面10bには配線層30bが形成されている。これら配線層30a,30bは、上記貫通電極20を介して相互に電気的に接続されている。なお、配線層30a,30bの材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。
【0014】
続いて、貫通電極20周辺の構造について説明する。
図1(b)に示すように、コア基板10の第1主面10aには銅箔15が形成され、コア基板10の第2主面10bには銅箔16が形成されている。貫通電極20の形成される貫通穴10Xは、コア基板10及び銅箔15,16を厚さ方向に貫通するように形成されている。この貫通穴10Xの内壁面には、その内壁面全面を覆うように金属薄膜21が形成されている。この金属薄膜21は、銅箔15の上面及び銅箔16の下面を被覆するように形成されている。また、貫通穴10Xでは、上記金属薄膜21よりも内側の空間に導電層22が充填されている。そして、貫通穴10X内に形成された金属薄膜21及び導電層22によって上記貫通電極20が構成されている。
【0015】
一方、貫通電極20の上端面側には、その上端面を被覆するように導電層23が形成されている。そして、銅箔15、金属薄膜21及び導電層23によって上記配線層30aが構成されている。また、貫通電極20の下端面側には、その下端面を被覆するように導電層24が形成されている。そして、銅箔16、金属薄膜21及び導電層24によって上記配線層30bが構成されている。
【0016】
図1(a)に示すように、コア基板10の第1主面10a及び第2主面10bには、複数の配線層と絶縁層とが積層されている。
具体的には、コア基板10の第1主面10aには、上記配線層30aを被覆する絶縁層40aと、絶縁層40a上に形成された配線層50aと、配線層50aを被覆する絶縁層60aと、絶縁層60a上に形成された配線層70aと、絶縁層60a上及び配線層70a上に形成されたソルダレジスト層80aとが積層されている。絶縁層40aには、配線層30aと配線層50aとを電気的に接続するビアV1が形成され、絶縁層60aには、配線層50aと配線層70aとを電気的に接続するビアV2が形成されている。また、ソルダレジスト層80aには、最上層の配線層70aの一部を接続パッドP1として露出させるための開口部80Xが形成されている。この接続パッドP1は、例えば半導体チップなどの電子部品(図示略)と接続するためのパッドである。なお、必要に応じて、接続パッドP1上に金属層を形成するようにしてもよい。金属層の例としては、金(Au)層や、ニッケル(Ni)/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni/パラジウム(Pd)/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。
【0017】
なお、配線層50a,70a及びビアV1,V2の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。絶縁層40a,60aの材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層80aの材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0018】
一方、コア基板10の第2主面10bには、上記配線層30bを被覆する絶縁層40bと、絶縁層40bの下に形成された配線層50bと、配線層50bを被覆する絶縁層60bと、絶縁層60bの下に形成された配線層70bと、絶縁層60b及び配線層70bの下に形成されたソルダレジスト層80bとが積層されている。絶縁層40bには、配線層30bと配線層50bとを電気的に接続するビアV3が形成され、絶縁層60bには、配線層50bと配線層70bとを電気的に接続するビアV4が形成されている。また、ソルダレジスト層80bには、最下層の配線層70bの一部を外部接続用パッドP2として露出させるための開口部80Yが形成されている。この外部接続用パッドP2には、配線基板1をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子が接続されるようになっている。なお、必要に応じて、外部接続用パッドP2上に金属層を形成し、その金属層に上記外部接続端子を接続するようにしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。また、上記開口部80Yから露出する配線層70b(又は、配線層70b上に金属層が形成されている場合には、その金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0019】
なお、配線層50b,70b及びビアV3,V4の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。絶縁層40b,60bの材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層80bの材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0020】
このような構造を有する配線基板1では、接続パッドP1と外部接続用パッドP2とが、配線層30a,30b,50a,50b,70a,70b及び貫通電極20及びビアV1〜V4を介して電気的に接続されている。
【0021】
次に、上記コア基板10の構造について詳述する。
図1(b)に示すように、コア基板10は、複数個(図1(b)では、5個)のガラスクロス11a〜11e(以下、総称する場合は「ガラスクロス11」と言う。)を有している。図1(c)に示すように、各ガラスクロス11は、X方向に並設されたガラス繊維束G1と、Y方向に並設されたガラス繊維束G2とが格子状に平織りされた形態を有している。ガラス繊維束G1,G2は、1本当たりの繊維径が例えば1〜2μm程度のガラス繊維を複数本束ねたものである。これらガラス繊維束G1,G2の厚さは、例えば5〜10μm程度とすることができる。なお、図1(c)では、ガラス繊維束G1,G2の横断面が楕円形状になっているが、これに限らず、例えばガラス繊維束G1,G2の横断面は円形状であってもよい。
【0022】
なお、ガラス繊維束を用いたガラスクロス11以外に、炭素繊維束、ポリエステル繊維束、ナイロン繊維束、アラミド繊維束、液晶ポリマ繊維束等を用いた織布や不織布を補強材として用いてもよい。また、繊維束の織り方は平織りに限定されず、朱子織り、綾織り等であってもよい。
【0023】
図1(b)に示すように、複数個のガラスクロス11は、第1主面10a側や第2主面10b側のコア基板10の外層近傍よりも厚さ方向の中央部及びその近傍におけるガラスクロス11の密度が高くなるように設けられている。具体的には、ガラスクロス11は、上記貫通穴10Xの開口部近傍よりも中央部及びその近傍に密集して配設されている。より具体的には、コア基板10では、貫通穴10Xの開口部近傍に配設されたガラスクロス11の数(図1(b)では、1個)の2〜3倍の数(図1(b)では、3個)のガラスクロス11を貫通穴10Xの厚さ方向の中央部及びその近傍に密集させて配設されている。詳述すると、コア基板10では、第1主面10a側から順にガラスクロス11a,11b,11c,11d,11eが設けられている。第1主面10aからその第1主面10aに最も近いガラスクロス11aでの距離、つまりコア基板10内で最上層に形成された樹脂層12aの厚さは、例えば30〜50μm程度である。また、ガラスクロス11aから中央部近傍に配設されたガラスクロス11bまでの距離、つまりガラスクロス11a,11b間に形成された樹脂層12bの厚さは、例えば30〜50μm程度である。これに対し、中央部近傍に形成されたガラスクロス11b,11c間及びガラスクロス11c,11d間の距離、つまりガラスクロス11b,11c間及びガラスクロス11c,11d間に形成された樹脂層12c,12dの厚さはそれぞれ、例えば5〜10μm程度である。すなわち、貫通穴10Xの厚さ方向の中央部及びその近傍では、ガラスクロス11の配置間隔が貫通穴10Xの開口部近傍におけるそれよりも狭くなっている。
【0024】
なお、ガラスクロス11dから貫通穴10Xの開口部近傍に配設されたガラスクロス11eまでの距離、つまりガラスクロス11d,11e間に形成された樹脂層12eの厚さは、例えば30〜50μm程度である。また、ガラスクロス11eから第2主面10bまでの距離、つまりコア基板10内で最下層に形成された樹脂層12fの厚さは、例えば30〜50μm程度である。このように第1主面10a側と同様に、第2主面10b側の貫通穴10Xの開口部近傍に配設されたガラスクロス11eと中央部近傍に配設されたガラスクロス11dとの配置間隔が、中央部近傍に形成されたガラスクロス11c,11d間の間隔よりも広くなっている。ここで、本明細書における上記貫通穴10Xの厚さ方向の中央部とは、コア基板10の厚さの中央において、コア基板10の厚さの10〜30%程度(好適には10〜20%程度)を占める部分である。また、上記貫通穴10Xの開口部近傍とは、貫通穴10Xのコア基板10表面(第1主面10a又は第2主面10b)から、コア基板10の厚さの35〜45%程度の部分である。なお、以下の説明では、上記樹脂層12a〜12fを総称する場合には、「樹脂層12」と言う。
【0025】
ここで、コア基板10において、その厚さ方向の中央部及びその近傍にガラスクロス11を密集させて配置した理由について説明する。
まず、図6(a)に示すように、従来のガラスエポキシ基板(コア基板)110の場合には、複数個のガラスクロス111が厚さ方向に等間隔に配設されることが一般的である。すなわち、従来のコア基板110では、各ガラスクロス111間に形成された樹脂層120の厚さが等しくなっている。しかし、このようなコア基板110に貫通穴110Xを形成し、その貫通穴110X内にめっき金属を充填して貫通電極を形成する場合には、以下のような問題が発生し易いことが本発明者の鋭意研究によって明らかにされた。
【0026】
詳述すると、上記貫通電極を形成する際には、まず、コア基板110の両面に銅箔125,126が貼着された銅張積層板110Aにドリル又はレーザによって円筒状の貫通穴110Xを形成した後、貫通穴110Xの内壁面を含む銅張積層板110Aの表面にデスミア処理を施す。その後、貫通穴110Xの内壁面を含む銅張積層板110Aの表面に無電解銅めっきによって金属薄膜130を形成する。このとき、図6(b)に示すように、貫通穴110Xの内壁面の表面粗さがガラスクロス111上(実線枠参照)と樹脂層120上(破線枠参照)とで大きく異なる。具体的には、ガラスクロス111上の表面粗さは、ガラスクロス111が貫通穴110Xの内壁面から突出することに起因して、樹脂層120上の表面粗さよりも大きくなっている。
【0027】
このような貫通穴110Xに対して、図6(c)に示すように、上記金属薄膜130を給電層として電解銅めっきを施して貫通穴110X内に導電層140を形成すると、表面粗さの粗いガラスクロス111部分に、樹脂層120部分よりも優先的にめっきが析出される。これは、表面粗さの粗い部分では表面積が大きくなり、電解銅めっきの際に使用されるめっき促進剤の吸着量が多くなるために、その部分でのめっき析出速度が速くなると考えられる。さらに、貫通穴110Xの開口部近傍の角部には電流が集中し易いため、貫通穴110Xの開口部近傍に形成される導電層が、貫通穴110Xの中央部及びその近傍の内壁面に形成される導電層よりも厚くなりやすい。このため、開口部近傍に配設されたガラスクロス111部分に優先的にめっきが析出され、図示のように、貫通穴110X内が導電層140によって完全に充填される前に、双方の開口部近傍に貫通穴110Xを閉塞する蓋めっき141が形成される場合がある。この場合に、貫通穴110Xに充填される導電層140内に細長いボイド150が形成されるという問題が発生する。
【0028】
(作用)
そこで、図1(b)に示すように、本実施形態のコア基板10では、厚さ方向の中央部及びその近傍におけるガラスクロス11の密度を貫通穴10Xの開口部近傍よりも高くするようにした。これにより、貫通穴10Xの内壁面の中央部及びその近傍において、表面粗さ(表面積)の大きい領域が広くなる。したがって、電解銅めっきを施した際に、貫通穴10Xの開口部近傍よりも中央部及びその近傍に優先的にめっきを析出させることができる。この結果、貫通穴10X内に導電層22を充填する際に、貫通穴10Xを厚さ方向の中央部及びその近傍から閉塞させることができる。
【0029】
(配線基板の製造方法)
次に、上記配線基板1の製造方法を説明する。
まず、図2(a)に示すように、ガラスエポキシ基板であるコア基板10の両面に銅箔15,16が貼着された銅張積層板90を用意する。この銅張積層板90は、例えばプリプレグ(補強材のガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させ、B−ステージ状態(半硬化状態)にした接着シート)を所要枚数重ね、そのプリプレグの両面に銅箔15,16を載せ、加熱・加圧することで形成することができる。ここで、コア基板10では、上記プリプレグの厚さを適宜調整することで、ガラスクロス11が厚さ方向の中央部及びその近傍に密集するように配設されている。なお、銅箔15,16の厚さは、例えば5〜20μm程度である。
【0030】
次に、図2(b)に示す工程では、銅張積層板90の所要の箇所(図2(b)では、1箇所)に、コア基板10及びそのコア基板10の両面に形成された銅箔15,16を厚さ方向に貫通する円筒状の貫通穴10Xを形成する。この貫通穴10Xは、例えばCO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等によるレーザ加工や機械ドリル加工によって形成することができる。このとき、貫通穴10Xの内壁面において、ガラスクロス11の端面が貫通穴10Xの内壁面から露出し突出されるため、ガラスクロス11部分の表面粗さが樹脂層12部分の表面粗さよりも大きくなる。
【0031】
続いて、貫通穴10Xの内壁面を含む銅張積層板90の全表面にデスミア処理を施す。このデスミア処理としては、例えば過マンガン酸カリウム法により行うことができる。
次いで、図2(c)に示す工程では、貫通穴10Xの内壁面を含む銅張積層板90の全表面に金属薄膜21を形成する。金属薄膜21の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。この金属薄膜21は、例えば無電解銅めっきによって形成することができる。以下に、金属薄膜21を形成する際のめっき液及びめっき条件の一例を説明する。
【0032】
めっき液:
Cu 2.5g/L
NaOH 2g/L
HCHO(還元剤) 2g/L
pH: 12
浴温: 約30度
時間: 約15分
この無電解銅めっきによって形成される金属薄膜21は、銅張積層板90の表面に沿った形状に形成される。このため、貫通穴10Xの内壁面においては、ガラスクロス11上に形成された金属薄膜21の表面粗さが樹脂層12上に形成された金属薄膜21の表面粗さよりも大きくなる。なお、金属薄膜21の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。
【0033】
次に、図2(d)に示す工程では、金属薄膜21の表面に、該金属薄膜21をめっき給電層に利用する電解めっき法(ここでは、電解銅めっき法)を施す。この電解銅めっき法では、めっき促進剤入りの電解銅めっき液が使用される。めっき促進剤としては、公知のめっき促進剤を用いることができる。例えばめっき促進剤としては、ビス(2−スルホプロピル)ジスルフィドおよびそのナトリウム塩、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドおよびそのナトリウム塩)、ビス(4−スルホプロピル)ジスルフィドおよびそのナトリウム塩)、ビス(3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル)ジスルフィドおよびそのナトリウム塩、N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(−3−スルホプロピルエステル)およびそのナトリウム塩、O−エチル−ジエチルカ−ボネート−S(−3スルホプロピルエステル)、チオ尿素およびその誘導体を挙げることができる。特に、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドジナトリウムをめっき促進剤として好適に用いることができる。以下に、本工程におけるめっき液及びめっき条件の一例を説明する(以下、このめっき液及びめっき条件を「条件1」という)。
【0034】
めっき液:
硫酸 50g/L
硫酸銅5水和物 250g/L
塩化物イオン 50mg/L
非イオン性界面活性剤(PEG) 100mg/L
めっき促進剤
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドジナトリウム 100mg/L
浴温: 25℃
陰極電流密度: 2.5A/dm2
このようなめっき促進剤入りのめっき液内に図2(c)に示した銅張積層板90を浸漬すると、金属薄膜21の全表面にめっき促進剤が吸着される。このとき、上述したように、表面粗さ(表面積)が大きいほどめっき促進剤の吸着量が多くなる。このため、ガラスクロス11上に形成された金属薄膜21上では、めっき促進剤の吸着量が多くなる。ここで、電解銅めっきでは、めっき促進剤の吸着量によってめっき析出速度が変わる。具体的には、めっき促進剤の吸着量が多いほどめっき析出速度が速くなる。したがって、図2(d)に示すように、貫通穴10X内において、ガラスクロス11部分に優先的にめっきが析出されることになる。さらに、コア基板10では、その厚さ方向の中央部及びその近傍におけるガラスクロス11の密度が貫通穴10Xの開口部近傍におけるガラスクロス11の密度よりも高くなっている。したがって、貫通穴10Xの中央部及びその近傍の内壁面に、貫通穴10Xの開口部近傍の内壁面よりも優先的にめっきが析出される。このため、図示のように、貫通穴10Xの中央部及びその近傍の内壁面に形成される導電層22Aが、貫通穴10Xの開口部近傍の内壁面に形成される導電層22Bよりも厚く形成される。
【0035】
ここで、上述のように表面粗さの大きい部分でめっき析出速度が速くなることを裏付ける実験結果について、図7及び図8に従って説明する。
(実験条件)
まず、図7に示すように、銅箔付き基板200を用意し、その銅箔付き基板200に以下の条件で電解銅めっきを施した。
【0036】
めっき液:
硫酸 120g/L
硫酸銅5水和物 120g/L
塩化物イオン 50mg/L
非イオン性界面活性剤(PEG) 100mg/L
浴温: 25℃
陰極電流密度: 約1.0A/dm2
この電解銅めっきにより、銅箔付き基板200上に厚さ15μm程度の電解銅層210を形成した。その後、電解銅層210の形成された基板200を銅箔エッチング剤により処理した。具体的には、電解銅層210の形成された基板200を銅箔エッチング剤に異なる時間浸漬し、電解銅層210の表面粗さが異なる4種類のサンプルを作製した。
【0037】
サンプルA:浸漬時間10秒
サンプルB:浸漬時間20秒
サンプルC:浸漬時間30秒
サンプルD:浸漬時間40秒
このように作製された全てのサンプルA〜Dのそれぞれについて、表面粗さRa値を求めた。その結果は以下の通りである。
【0038】
サンプルA:Ra=0.08μm
サンプルB:Ra=0.14μm
サンプルC:Ra=0.17μm
サンプルD:Ra=0.52μm
なお、表面粗さRa値とは、表面粗さを表わす数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。
【0039】
次に、電解銅層210の表面粗さの異なる各サンプルA〜Dに対して、電解銅層210を給電層とする電解銅めっきを施した。このときのめっき液及びめっき条件は以下の通りである。
【0040】
めっき液:
硫酸 50g/L
硫酸銅5水和物 250g/L
塩化物イオン 50mg/L
非イオン性界面活性剤(PEG) 100mg/L
めっき促進剤
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドジナトリウム 100mg/L
浴温: 25℃
陰極電流密度: 1.0A/dm2
時間: 30分
すなわち、図2(d)の工程(電解銅めっき)で使用されるめっき液と同じめっき液(具体的には、促進剤入りの電解銅めっき液)を用いて一定時間だけ電解銅層210上に電解銅めっきを施した。そして、全てのサンプルA〜Dについて、電解銅層210上に形成された電解銅めっき層220の厚さを測定した。その結果を図7及び図8に示した。すなわち、図7(a)〜(d)は、各サンプルA〜Dにおいて電解銅層210上に電解銅めっき層220が形成された様子を示しており、図8は、表面粗さRa値が異なるサンプルA〜Dについてそれぞれ測定された電解銅めっき層220の厚さをグラフ化したものである。
【0041】
(実験結果)
これら図7及び図8から明らかなように、電解銅めっきの下地となる給電層(ここでは、電解銅層210)の表面粗さが大きいほど、その電解銅層210上に形成される電解銅めっき層220が厚くなる。すなわち、電解銅めっきの下地となる電解銅層210の表面粗さが大きいほど、めっき析出速度が速くなり、めっきの析出量が多くなることが分かる。
【0042】
この実験結果から裏付けられるように、図2(d)に示した貫通穴10Xの内壁面の表面粗さが大きくなるガラスクロス11を中央部及びその近傍に密集させた銅張積層板90に電解銅めっきを施すことによって、貫通穴10Xの中央部及びその近傍の内壁面に優先的にめっきを析出させることができる。これにより、貫通穴10Xの中央部及びその近傍の内壁面に形成される導電層22Aが、貫通穴10Xの開口部近傍の内壁面に形成される導電層22Bよりも厚くなる。このため、引き続き上記条件1で電解銅めっきを継続すると、図3(a)に示すように、貫通穴10Xの中央部及びその近傍(つまり、ガラスクロス11が密集された部分)に該貫通穴10Xの開口径が最も狭くなる最狭部10Nが形成される。さらに、上記条件1で電解銅めっきを継続すると、貫通穴10Xの中央部及びその近傍に形成された厚い導電層22Aに電流が集中し、貫通穴10Xの中央部及びその近傍の導電層22Aが更に厚くなる。やがて、図3(b)に示すように、貫通穴10Xの中央部及びその近傍に形成された導電層22Aによって最狭部10N(図3(a)参照)が閉塞される。すると、上記導電層22Aによって閉塞された閉塞部22Cを底面とし、コア基板10の第1主面10a側及び第2主面10b側の各々に開口する凹部10Y,10Zが形成される。
【0043】
その後も上記条件1で電解銅めっきを継続すると、図3(c)に示すように、上記凹部10Y,10Zの各々に導電層が充填される。これにより、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができ、その導電層22及び金属薄膜21からなる貫通電極20を形成することができる。このとき、導電層22の上面及び金属薄膜21の上面を被覆する導電層23が形成されるとともに、導電層22の下面及び金属薄膜21の下面を被覆する導電層24が形成される。
【0044】
次に、図4(a)に示す工程では、導電層23の上面に、所定の箇所に開口部91Xを有するレジスト層91を形成する。このレジスト層91は、上記配線層30a(図1(a)参照)に対応する部分の導電層23を被覆するように形成される。また、導電層24の下面に、所定の箇所に開口部92Xを有するレジスト層92を形成する。このレジスト層92は、上記配線層30b(図1(a)参照)に対応する部分の導電層24を被覆するように形成される。レジスト層91,92の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、導電層23の上面又は導電層24の下面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層91,92を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層91,92を形成することができる。
【0045】
続いて、図4(b)に示す工程では、レジスト層91,92をエッチングマスクとして導電層23,24、金属薄膜21及び銅箔15,16をエッチングして所定形状にパターニングする。これにより、コア基板10の第1主面10a上に、銅箔15、金属薄膜21及び導電層23が積層されてなる配線層30aが形成される。また、コア基板10の第2主面10bの下に、銅箔16、金属薄膜21及び導電層24が積層されてなる配線層30bが形成される。なお、配線層30aと配線層30bとは、貫通穴10X内に形成された貫通電極20を介して相互に電気的に接続される。
【0046】
次いで、図4(c)に示す工程では、図4(b)に示したレジスト層91,92を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。
次に、図5(a)に示す工程では、まず、コア基板10の第1主面10a及び配線層30aを被覆する絶縁層40aを形成するとともに、コア基板10の第2主面10b及び配線層30bを被覆する絶縁層40bを形成する。これら絶縁層40a,40bは、例えばコア基板10に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら130〜150℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。その後、図示のように、配線層30aの上面が露出されるように絶縁層40aの所定箇所にビアホールVH1を形成するとともに、配線層30bの下面が露出されるように絶縁層40bの所定箇所にビアホールVH3を形成する。これらビアホールVH1,VH3は、例えばCO2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、絶縁層40a,40bが感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要のビアホールVH1,VH3を形成するようにしてもよい。
【0047】
続いて、ビアホールVH1,VH3をレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行って、ビアホールVH1,VH3の底部に露出する配線層30a,30bの露出面に付着した樹脂スミアを除去する。
【0048】
次いで、図5(b)に示す工程では、絶縁層40aのビアホールVH1にビアV1を形成するとともに、そのビアV1を介して配線層30aに電気的に接続される配線層50aを絶縁層40a上に積層する。また、絶縁層40bのビアホールVH3にビアV3を形成するとともに、そのビアV3を介して配線層30bに電気的に接続される配線層50bを絶縁層40b上に積層する。これらビアV1,V3及び配線層50a,50bは、例えばセミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。
【0049】
次に、図5(a)及び図5(b)に示した工程と同様の工程を再度実行することにより、図5(c)に示すように、コア基板10の第1主面10a側に絶縁層60aと配線層70aを積層するとともに、第2主面10b側に絶縁層60bと配線層70bを積層する。
【0050】
続いて、図5(c)に示す工程では、配線層70aの所要の箇所に画定される接続パッドP1を露出させるための開口部80Xを有するソルダレジスト層80aを絶縁層60a及び配線層70a上に積層する。また、配線層70bの所要の箇所に画定される外部接続用パッドP2を露出させるための開口部80Yを有するソルダレジスト層80bを絶縁層60b及び配線層70b上に積層する。これらソルダレジスト層80a,80bは、例えば感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダレジストを塗布し、当該レジストを所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。これにより、ソルダレジスト層80aの開口部80Xから配線層70aの一部が接続パッドP1として露出されるとともに、ソルダレジスト層80bの開口部80Yから配線層70bの一部が外部接続用パッドP2として露出される。これらパッドP1,P2上に、例えばNiからなる金属層と、Auからなる金属層とを順に積層するようにしてもよい。なお、これらの金属層は、例えば無電解めっき法により形成することができる。
【0051】
以上の製造工程により、図1(a)に示した配線基板1を製造することができる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)コア基板10では、厚さ方向の中央部及びその近傍におけるガラスクロス11の密度を貫通穴10Xの開口部近傍よりも高くするようにした。これにより、電解銅めっきを施した際に、貫通穴10Xの開口部近傍よりも中央部及びその近傍に優先的にめっきを析出させることができる。したがって、貫通穴10X内に導電層22を充填する際に、貫通穴10Xを厚さ方向の中央部及びその近傍から閉塞させることができ、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができる。この結果、貫通電極20を介して電気的に接続される配線層30a,30b間の接続信頼性を向上させることができる。
【0052】
さらに、配線パターンの更なる微細化などに伴って貫通穴10Xのアスペクト比が2以上になった場合であっても、上記構造を採用することにより、貫通穴10X内にめっき金属を十分に充填することができ、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができる。したがって、配線パターンの更なる微細化にも対応することができる。
【0053】
(2)従来の電解銅めっきに使用されるめっき液を用いた電解銅めっきに実施することにより、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができる。したがって、めっき液の組成などを特別に調整する必要がない。
【0054】
(3)コア基板10では、貫通穴10Xの開口部近傍に配設されたガラスクロス11の数の2〜3倍の数のガラスクロス11を貫通穴10Xの厚さ方向の中央部及びその近傍に密集させて配設するようにした。このようなコア基板10は、各ガラスクロス11間に形成される樹脂層12の厚さを調整することにより、容易に製造することができる。
【0055】
(第1実施形態の変形例)
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0056】
・図9に示されるコア基板100のように、貫通穴100Xの中央部及びその近傍と開口部近傍とでガラスクロス101の厚さを変えることで、上記開口部近傍よりも中央部及びその近傍におけるガラスクロス101の密度が高くなるように調整してもよい。具体的には、コア基板100では、貫通穴100Xの開口部近傍に形成されたガラスクロス101よりも貫通穴100Xの中央部及びその近傍に形成されたガラスクロス101が厚く形成されている。詳述すると、コア基板100では、第1主面100a側から順にガラスクロス101a,101b,101cが設けられている。すなわち、貫通穴100Xの開口部近傍にはガラスクロス101a,101cが配設され、貫通穴100Xの中央部及びその近傍にはガラスクロス101bが配設されている。このように、貫通穴100Xの中央部及びその近傍には、貫通穴100Xの片側の開口部近傍に配設されたガラスクロス101a(又はガラスクロス101c)と同数のガラスクロス101bが配設されている。ここで、貫通穴100Xの開口部近傍に形成されたガラスクロス101a,101cの厚さは、例えば5〜10μm程度である。これに対し、貫通穴100Xの中央部及びその近傍に形成されたガラスクロス101bの厚さは、ガラスクロス101a,101cよりも厚く、例えば15〜30μm程度である。なお、ガラスクロス101aの上面に形成された樹脂層102a、ガラスクロス101a,101b間に形成された樹脂層102b、ガラスクロス101b,101c間に形成された樹脂層102c及びガラスクロス101cの下面に形成された樹脂層102dの厚さは、例えば30〜50μm程度とすることができる。なお、以下の説明では、上記樹脂層102a〜102dを総称する場合には、「樹脂層102」と言う。
【0057】
このような構造であっても上記第1実施形態の(1)と同様の効果を奏することができる。詳述すると、上記第1実施形態と同様の製造方法により、コア基板100の両面に銅箔15,16を貼着した銅張積層板に貫通穴100Xを形成した後、デスミア処理、無電解銅めっき及び電解銅めっきを順に実施したときに、貫通穴100X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができる。図10は、電解銅めっきを実施した際の配線基板の状態を示している。ここで、電解銅めっきの下地となる金属薄膜21は、貫通穴100Xの内壁面において、ガラスクロス101上に形成された金属薄膜21の表面粗さが樹脂層102上に形成された金属薄膜21の表面粗さよりも大きくなる。このため、電解銅めっきでは、図10(a)に示すように、貫通穴100X内において、ガラスクロス101部分に優先的にめっきが析出されることになる。さらに、コア基板100では、貫通穴100Xの開口部近傍に形成されたガラスクロス101a,101cよりも中央部及びその近傍に形成されたガラスクロス101bが厚く形成されている。このため、貫通穴100Xの厚さ方向の中央部及びその近傍におけるガラスクロス101の密度が高くなっている。したがって、貫通穴100Xの中央部及びその近傍の内壁面に、貫通穴100Xの開口部近傍の内壁面よりも優先的にめっきが析出される。これにより、図示のように、貫通穴100Xの中央部及びその近傍の内壁面に形成される導電層22Aが、貫通穴100Xの開口部近傍の内壁面に形成される導電層22Bよりも厚く形成される。このため、引き続き電解銅めっきを継続すると、貫通穴100Xの中央部及びその近傍に形成された厚い導電層22Aに電流が集中し、貫通穴100Xの中央部及びその近傍の導電層22Aが更に厚くなる。やがて、図10(b)に示すように、貫通穴100Xの中心部及びその近傍に形成された導電層22Aによって貫通穴100Xが中心部近傍から閉塞される。すると、上記導電層22Aによって閉塞された閉塞部22Cを底面とし、コア基板100の第1主面100a側及び第2主面100b側の各々に開口する凹部100Y,100Zが形成される。
【0058】
その後も電解銅めっきを継続すると、図10(c)に示すように、上記凹部100Y,100Zの各々に導電層が充填される。これにより、貫通穴100X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができ、その導電層22及び金属薄膜21からなる貫通電極20を形成することができる。
【0059】
・上記第1実施形態における配線層30a,30bと貫通電極20を以下の工程により形成するようにしてもよい。図2(c)に示した工程の後、つまり貫通穴10Xの内壁面を含む銅張積層板90の全表面に金属薄膜21を形成した後に、金属薄膜21上に配線層30a,30bとなる部分を露出するレジスト層91(図4(a)参照)を形成する。続いて、金属薄膜21を給電層とする電解銅めっきにより、レジスト層91から露出する金属薄膜21上に導電層22を析出させる。次いで、レジスト層91を除去し、そのレジスト層91の除去部分に露出する金属薄膜21及び銅箔15,16をエッチングで除去する。このようにして、貫通電極20及び配線層30a,30bを形成するようにしてもよい。
【0060】
・上記第1実施形態では、貫通穴10X内に導電層22を形成する際に、めっき促進剤入りの電解銅めっき液を用いて電解銅めっきを実施するようにした。これに限らず、例えば図2(c)に示した構造体を、めっき促進剤が添加されためっき促進剤溶液内に浸漬し、金属薄膜21の表面にめっき促進剤を吸着させた後に、めっき促進剤の入っていない電解銅めっき液による電解銅めっきを実施するようにしてもよい。
【0061】
・上記第1実施形態において、コア基板10に積層される配線層及び絶縁層の層数は特に限定されない。例えば図4(c)の工程により形成された配線層30a,30b上にソルダレジスト層を形成するようにしてもよい。この場合、上記ソルダレジスト層には、配線層30a,30bの一部をパッドとして露出させるための開口部が形成される。
【0062】
・上記第1実施形態及び上記各変形例では、コア基板10,100の両面に銅箔15,16を貼着するようにしたが、銅箔15,16を省略してもよい。この場合、例えばコア基板10の第1主面10a及び第2主面10bをそれぞれ構成する樹脂層12上に直接金属薄膜21を形成し、その金属薄膜21上に導電層22、導電層23及び導電層24を形成する。
【0063】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を図11に従って説明する。本実施形態では、配線基板1に半導体チップ3を搭載した半導体装置2について例示する。先の図1〜図10に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0064】
図11に示すように、半導体装置2は、配線基板1と、その配線基板1にフリップチップ接合される半導体チップ3と、アンダーフィル樹脂4とを有している。配線基板1の接続パッドP1には、はんだ71が形成されている。このはんだ71としては、例えば共晶はんだや鉛(Pb)フリーはんだ(Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系など)を用いることができる。
【0065】
半導体チップ3は、その回路形成面(図11では、下面)に、複数のバンプ3aが形成されている。この半導体チップ3は、バンプ3a及びはんだ71を介して、配線基板1の接続パッドP1と電気的に接続されている。
【0066】
アンダーフィル樹脂4は、配線基板1と半導体チップ3との隙間を充填するように設けられている。このアンダーフィル樹脂4の材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0067】
(第2実施形態の変形例)
・上記第2実施形態における半導体チップ3の実装の形態(例えばフリップチップ実装、ワイヤボンディングによる実装、又はこれらの組み合わせ)は様々に変更することが可能である。
【0068】
・上記第2実施形態では、配線基板1に半導体チップ3を実装する場合について説明したが、実装体としては半導体チップ3に限定されない。例えば配線基板1の上に別の配線基板を積み重ねる構造を有するパッケージ(パッケージ・オン・パッケージ)などにも、本発明を適用することが可能である。
【0069】
(実施例1)
図2(a)に示すように、厚さ200μmのコア基板10の両面に厚さ18μmの銅箔15,16を貼着した銅張積層板90を用意した。ここで、コア基板10は、1本当たりの繊維径が1μm程度のガラス繊維が束ねられ、厚さが10μm程度に設定されたガラスクロス11a〜11eを複数個有している。また、コア基板10の第1主面10a及び第2主面10b近傍に配設されたガラスクロス11a,11eとコア基板10の厚さ方向の中央部近傍に配設されたガラスクロス11b,11dとの間隔が約30μm程度に設定され、中央部近傍に配設されたガラスクロス11b〜11d間の間隔が約10μ程度に設定されている。
【0070】
このような銅張積層板90にドリルによって直径80μmの円筒状の貫通穴10Xを形成した後、過マンガン酸カリウム法によるデスミア処理を施した。その後、貫通穴10Xの内壁面を含む銅張積層板90の全表面に無電解銅めっきによって金属薄膜21を形成した。この無電解銅めっきは、先に一例として挙げためっき液及びめっき条件により実行した。続いて、金属薄膜21の全表面に、該金属薄膜21を給電層とする電解銅めっきを施した。この電解銅めっきは、先に一例として挙げためっき液及びめっき条件(条件1)により実行した。
【0071】
電解銅めっきの開始から40分後では、図2(d)に示したのと同様に、貫通穴10Xの中央部近傍の内壁面に、貫通穴10Xの開口部近傍の内壁面よりも厚い導電層22Aを形成できた。
【0072】
さらに、電解銅めっきを継続し、電解銅めっきの開始から60分後では、図3(b)に示したのと同様に、貫通穴10Xの中央部近傍が閉塞され、その閉塞部22Cを底面とする凹部10Y,10Zが形成された。引き続き電解銅めっきを継続し、電解銅めっきの開始から180分後では、図3(c)に示したのと同様に、上記凹部10Y,10Zの各々が導電層で充填され、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成できた。すなわち、貫通穴10Xの開口径が80μm、深さが236μm(コア基板10の厚さ+銅箔15,16の厚さ)であって、その貫通穴10Xのアスペクト比が約3の場合であっても、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができた。
【符号の説明】
【0073】
1 配線基板
2 半導体装置
3 半導体チップ
10,100 コア基板(基板)
10X,100X 貫通穴
20 貫通電極
22,23,24 導電層
30a,30b 配線層
11,101 ガラスクロス(補強材)
11a,11e ガラスクロス(第1補強材)
11b,11c,11d ガラスクロス(第2補強材)
90 銅張積層板(基板)
101a,101c ガラスクロス
101b ガラスクロス
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板、半導体装置及び配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子等の電子部品が搭載される配線基板として、配線パターンを高密度化するため、ビルドアップ法によりコア基板の上下両面に複数の配線層及び絶縁層を積層したビルドアップ配線基板が知られている。
【0003】
この種の配線基板では、コア基板を貫通する貫通穴が形成され、その貫通穴の内壁面に形成された導電層を介してコア基板の両面に形成された配線層が電気的に接続されている(例えば、特許文献1参照)。なお、上記貫通穴の孔には樹脂が充填されるのが一般的である。
【0004】
さらに、配線基板に対する電子部品の搭載領域を拡大するために、貫通穴の直上位置にも電子部品を搭載させることができる配線基板も提案されている。このような配線基板は、貫通穴(具体的には、導電層及び樹脂)の直上に金属層が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−274730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、電子機器における高性能化が一層進み、半導体パッケージ及び配線基板に対する配線パターンの高密度化の要請はさらに高まっている。これに伴って配線パターンがさらに微細化されると、上記貫通穴の直径を小さくする必要がある。しかし、貫通穴の直径が小さくなると、貫通穴内に樹脂を充填することが困難になり、その樹脂上に形成される金属層を形成できなくなるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、補強材入りの樹脂材からなる基板と、前記基板に形成された貫通穴と、前記貫通穴内に充填された貫通電極と、前記基板の表面に形成され、前記貫通電極と電気的に接続された配線層と、を有し、前記基板では、前記貫通穴の厚さ方向の中央部における前記補強材の密度が前記貫通穴の他の部分の密度より高くなるように前記補強材が設けられている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一観点によれば、配線パターンの微細化に対応することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は、第1実施形態の配線基板の一部を示す概略断面図、(b)は、(a)に示した配線基板の貫通穴の周辺を拡大した拡大断面図、(c)は、ガラスクロスを示す概略斜視図。
【図2】(a)〜(d)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図3】(a)〜(c)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図4】(a)〜(c)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図5】(a)〜(c)は、第1実施形態の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図6】(a)、(c)は、従来の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図、(b)は、貫通穴の内壁面の様子を示す断面写真。
【図7】(a)〜(d)は、電解銅めっきの下地の表面粗さとめっき析出速度との関係を評価した実験結果を示す断面写真。
【図8】電解銅めっきの下地の表面粗さとめっき析出速度との関係を示すグラフ。
【図9】変形例の配線基板の一部を示す概略断面図。
【図10】(a)〜(c)は、変形例の配線基板の製造過程における状態を示す概略断面図。
【図11】第2実施形態の半導体装置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、絶縁層のハッチングを省略している。
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1〜図8に従って説明する。
(配線基板の構造)
図1(a)に示すように、配線基板1は、厚さ方向(Z方向)の略中央部にコア基板10を有している。コア基板10は、例えば補強材であるガラスクロス(ガラス織布)にエポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性の絶縁性樹脂を含浸させ硬化させた、いわゆるガラスエポキシ基板を用いることができる。補強材としてはガラスクロスに限らず、例えばガラス不織布、アラミド織布、アラミド不織布、液晶ポリマ(Liquid Crystal Polymer:LCP)織布やLCP不織布を用いることができる。また、熱硬化性の絶縁性樹脂としてはエポキシ樹脂に限らず、例えばポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの樹脂材を用いることができる。コア基板10の厚さは、例えば80〜400μm程度とすることができる。
【0012】
コア基板10には、所要の箇所(図1(a)では1箇所)に貫通穴(スルーホール)10Xが設けられている。この貫通穴10Xは、コア基板10の第1主面10aから第2主面10bまでを貫通するように形成されている。この貫通穴10X内には、コア基板10の厚さ方向に貫通する貫通電極20が形成されている。すなわち、貫通電極20は、貫通穴10X内に充填されている。この貫通電極20の平面形状は図示を省略するが、例えば円形状である。その貫通電極20の直径は、例えば50〜100μm程度とすることができる。また、貫通電極20の材料としては、例えば銅(Cu)や銅合金を用いることができる。
【0013】
コア基板10の第1主面10aには配線層30aが形成され、コア基板10の第2主面10bには配線層30bが形成されている。これら配線層30a,30bは、上記貫通電極20を介して相互に電気的に接続されている。なお、配線層30a,30bの材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。
【0014】
続いて、貫通電極20周辺の構造について説明する。
図1(b)に示すように、コア基板10の第1主面10aには銅箔15が形成され、コア基板10の第2主面10bには銅箔16が形成されている。貫通電極20の形成される貫通穴10Xは、コア基板10及び銅箔15,16を厚さ方向に貫通するように形成されている。この貫通穴10Xの内壁面には、その内壁面全面を覆うように金属薄膜21が形成されている。この金属薄膜21は、銅箔15の上面及び銅箔16の下面を被覆するように形成されている。また、貫通穴10Xでは、上記金属薄膜21よりも内側の空間に導電層22が充填されている。そして、貫通穴10X内に形成された金属薄膜21及び導電層22によって上記貫通電極20が構成されている。
【0015】
一方、貫通電極20の上端面側には、その上端面を被覆するように導電層23が形成されている。そして、銅箔15、金属薄膜21及び導電層23によって上記配線層30aが構成されている。また、貫通電極20の下端面側には、その下端面を被覆するように導電層24が形成されている。そして、銅箔16、金属薄膜21及び導電層24によって上記配線層30bが構成されている。
【0016】
図1(a)に示すように、コア基板10の第1主面10a及び第2主面10bには、複数の配線層と絶縁層とが積層されている。
具体的には、コア基板10の第1主面10aには、上記配線層30aを被覆する絶縁層40aと、絶縁層40a上に形成された配線層50aと、配線層50aを被覆する絶縁層60aと、絶縁層60a上に形成された配線層70aと、絶縁層60a上及び配線層70a上に形成されたソルダレジスト層80aとが積層されている。絶縁層40aには、配線層30aと配線層50aとを電気的に接続するビアV1が形成され、絶縁層60aには、配線層50aと配線層70aとを電気的に接続するビアV2が形成されている。また、ソルダレジスト層80aには、最上層の配線層70aの一部を接続パッドP1として露出させるための開口部80Xが形成されている。この接続パッドP1は、例えば半導体チップなどの電子部品(図示略)と接続するためのパッドである。なお、必要に応じて、接続パッドP1上に金属層を形成するようにしてもよい。金属層の例としては、金(Au)層や、ニッケル(Ni)/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni/パラジウム(Pd)/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。
【0017】
なお、配線層50a,70a及びビアV1,V2の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。絶縁層40a,60aの材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層80aの材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0018】
一方、コア基板10の第2主面10bには、上記配線層30bを被覆する絶縁層40bと、絶縁層40bの下に形成された配線層50bと、配線層50bを被覆する絶縁層60bと、絶縁層60bの下に形成された配線層70bと、絶縁層60b及び配線層70bの下に形成されたソルダレジスト層80bとが積層されている。絶縁層40bには、配線層30bと配線層50bとを電気的に接続するビアV3が形成され、絶縁層60bには、配線層50bと配線層70bとを電気的に接続するビアV4が形成されている。また、ソルダレジスト層80bには、最下層の配線層70bの一部を外部接続用パッドP2として露出させるための開口部80Yが形成されている。この外部接続用パッドP2には、配線基板1をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用されるはんだボールやリードピン等の外部接続端子が接続されるようになっている。なお、必要に応じて、外部接続用パッドP2上に金属層を形成し、その金属層に上記外部接続端子を接続するようにしてもよい。金属層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)や、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。また、上記開口部80Yから露出する配線層70b(又は、配線層70b上に金属層が形成されている場合には、その金属層)自体を、外部接続端子としてもよい。
【0019】
なお、配線層50b,70b及びビアV3,V4の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。絶縁層40b,60bの材料としては、例えばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダレジスト層80bの材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0020】
このような構造を有する配線基板1では、接続パッドP1と外部接続用パッドP2とが、配線層30a,30b,50a,50b,70a,70b及び貫通電極20及びビアV1〜V4を介して電気的に接続されている。
【0021】
次に、上記コア基板10の構造について詳述する。
図1(b)に示すように、コア基板10は、複数個(図1(b)では、5個)のガラスクロス11a〜11e(以下、総称する場合は「ガラスクロス11」と言う。)を有している。図1(c)に示すように、各ガラスクロス11は、X方向に並設されたガラス繊維束G1と、Y方向に並設されたガラス繊維束G2とが格子状に平織りされた形態を有している。ガラス繊維束G1,G2は、1本当たりの繊維径が例えば1〜2μm程度のガラス繊維を複数本束ねたものである。これらガラス繊維束G1,G2の厚さは、例えば5〜10μm程度とすることができる。なお、図1(c)では、ガラス繊維束G1,G2の横断面が楕円形状になっているが、これに限らず、例えばガラス繊維束G1,G2の横断面は円形状であってもよい。
【0022】
なお、ガラス繊維束を用いたガラスクロス11以外に、炭素繊維束、ポリエステル繊維束、ナイロン繊維束、アラミド繊維束、液晶ポリマ繊維束等を用いた織布や不織布を補強材として用いてもよい。また、繊維束の織り方は平織りに限定されず、朱子織り、綾織り等であってもよい。
【0023】
図1(b)に示すように、複数個のガラスクロス11は、第1主面10a側や第2主面10b側のコア基板10の外層近傍よりも厚さ方向の中央部及びその近傍におけるガラスクロス11の密度が高くなるように設けられている。具体的には、ガラスクロス11は、上記貫通穴10Xの開口部近傍よりも中央部及びその近傍に密集して配設されている。より具体的には、コア基板10では、貫通穴10Xの開口部近傍に配設されたガラスクロス11の数(図1(b)では、1個)の2〜3倍の数(図1(b)では、3個)のガラスクロス11を貫通穴10Xの厚さ方向の中央部及びその近傍に密集させて配設されている。詳述すると、コア基板10では、第1主面10a側から順にガラスクロス11a,11b,11c,11d,11eが設けられている。第1主面10aからその第1主面10aに最も近いガラスクロス11aでの距離、つまりコア基板10内で最上層に形成された樹脂層12aの厚さは、例えば30〜50μm程度である。また、ガラスクロス11aから中央部近傍に配設されたガラスクロス11bまでの距離、つまりガラスクロス11a,11b間に形成された樹脂層12bの厚さは、例えば30〜50μm程度である。これに対し、中央部近傍に形成されたガラスクロス11b,11c間及びガラスクロス11c,11d間の距離、つまりガラスクロス11b,11c間及びガラスクロス11c,11d間に形成された樹脂層12c,12dの厚さはそれぞれ、例えば5〜10μm程度である。すなわち、貫通穴10Xの厚さ方向の中央部及びその近傍では、ガラスクロス11の配置間隔が貫通穴10Xの開口部近傍におけるそれよりも狭くなっている。
【0024】
なお、ガラスクロス11dから貫通穴10Xの開口部近傍に配設されたガラスクロス11eまでの距離、つまりガラスクロス11d,11e間に形成された樹脂層12eの厚さは、例えば30〜50μm程度である。また、ガラスクロス11eから第2主面10bまでの距離、つまりコア基板10内で最下層に形成された樹脂層12fの厚さは、例えば30〜50μm程度である。このように第1主面10a側と同様に、第2主面10b側の貫通穴10Xの開口部近傍に配設されたガラスクロス11eと中央部近傍に配設されたガラスクロス11dとの配置間隔が、中央部近傍に形成されたガラスクロス11c,11d間の間隔よりも広くなっている。ここで、本明細書における上記貫通穴10Xの厚さ方向の中央部とは、コア基板10の厚さの中央において、コア基板10の厚さの10〜30%程度(好適には10〜20%程度)を占める部分である。また、上記貫通穴10Xの開口部近傍とは、貫通穴10Xのコア基板10表面(第1主面10a又は第2主面10b)から、コア基板10の厚さの35〜45%程度の部分である。なお、以下の説明では、上記樹脂層12a〜12fを総称する場合には、「樹脂層12」と言う。
【0025】
ここで、コア基板10において、その厚さ方向の中央部及びその近傍にガラスクロス11を密集させて配置した理由について説明する。
まず、図6(a)に示すように、従来のガラスエポキシ基板(コア基板)110の場合には、複数個のガラスクロス111が厚さ方向に等間隔に配設されることが一般的である。すなわち、従来のコア基板110では、各ガラスクロス111間に形成された樹脂層120の厚さが等しくなっている。しかし、このようなコア基板110に貫通穴110Xを形成し、その貫通穴110X内にめっき金属を充填して貫通電極を形成する場合には、以下のような問題が発生し易いことが本発明者の鋭意研究によって明らかにされた。
【0026】
詳述すると、上記貫通電極を形成する際には、まず、コア基板110の両面に銅箔125,126が貼着された銅張積層板110Aにドリル又はレーザによって円筒状の貫通穴110Xを形成した後、貫通穴110Xの内壁面を含む銅張積層板110Aの表面にデスミア処理を施す。その後、貫通穴110Xの内壁面を含む銅張積層板110Aの表面に無電解銅めっきによって金属薄膜130を形成する。このとき、図6(b)に示すように、貫通穴110Xの内壁面の表面粗さがガラスクロス111上(実線枠参照)と樹脂層120上(破線枠参照)とで大きく異なる。具体的には、ガラスクロス111上の表面粗さは、ガラスクロス111が貫通穴110Xの内壁面から突出することに起因して、樹脂層120上の表面粗さよりも大きくなっている。
【0027】
このような貫通穴110Xに対して、図6(c)に示すように、上記金属薄膜130を給電層として電解銅めっきを施して貫通穴110X内に導電層140を形成すると、表面粗さの粗いガラスクロス111部分に、樹脂層120部分よりも優先的にめっきが析出される。これは、表面粗さの粗い部分では表面積が大きくなり、電解銅めっきの際に使用されるめっき促進剤の吸着量が多くなるために、その部分でのめっき析出速度が速くなると考えられる。さらに、貫通穴110Xの開口部近傍の角部には電流が集中し易いため、貫通穴110Xの開口部近傍に形成される導電層が、貫通穴110Xの中央部及びその近傍の内壁面に形成される導電層よりも厚くなりやすい。このため、開口部近傍に配設されたガラスクロス111部分に優先的にめっきが析出され、図示のように、貫通穴110X内が導電層140によって完全に充填される前に、双方の開口部近傍に貫通穴110Xを閉塞する蓋めっき141が形成される場合がある。この場合に、貫通穴110Xに充填される導電層140内に細長いボイド150が形成されるという問題が発生する。
【0028】
(作用)
そこで、図1(b)に示すように、本実施形態のコア基板10では、厚さ方向の中央部及びその近傍におけるガラスクロス11の密度を貫通穴10Xの開口部近傍よりも高くするようにした。これにより、貫通穴10Xの内壁面の中央部及びその近傍において、表面粗さ(表面積)の大きい領域が広くなる。したがって、電解銅めっきを施した際に、貫通穴10Xの開口部近傍よりも中央部及びその近傍に優先的にめっきを析出させることができる。この結果、貫通穴10X内に導電層22を充填する際に、貫通穴10Xを厚さ方向の中央部及びその近傍から閉塞させることができる。
【0029】
(配線基板の製造方法)
次に、上記配線基板1の製造方法を説明する。
まず、図2(a)に示すように、ガラスエポキシ基板であるコア基板10の両面に銅箔15,16が貼着された銅張積層板90を用意する。この銅張積層板90は、例えばプリプレグ(補強材のガラスクロスにエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含浸させ、B−ステージ状態(半硬化状態)にした接着シート)を所要枚数重ね、そのプリプレグの両面に銅箔15,16を載せ、加熱・加圧することで形成することができる。ここで、コア基板10では、上記プリプレグの厚さを適宜調整することで、ガラスクロス11が厚さ方向の中央部及びその近傍に密集するように配設されている。なお、銅箔15,16の厚さは、例えば5〜20μm程度である。
【0030】
次に、図2(b)に示す工程では、銅張積層板90の所要の箇所(図2(b)では、1箇所)に、コア基板10及びそのコア基板10の両面に形成された銅箔15,16を厚さ方向に貫通する円筒状の貫通穴10Xを形成する。この貫通穴10Xは、例えばCO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ等によるレーザ加工や機械ドリル加工によって形成することができる。このとき、貫通穴10Xの内壁面において、ガラスクロス11の端面が貫通穴10Xの内壁面から露出し突出されるため、ガラスクロス11部分の表面粗さが樹脂層12部分の表面粗さよりも大きくなる。
【0031】
続いて、貫通穴10Xの内壁面を含む銅張積層板90の全表面にデスミア処理を施す。このデスミア処理としては、例えば過マンガン酸カリウム法により行うことができる。
次いで、図2(c)に示す工程では、貫通穴10Xの内壁面を含む銅張積層板90の全表面に金属薄膜21を形成する。金属薄膜21の材料としては、例えば銅又は銅合金を用いることができる。この金属薄膜21は、例えば無電解銅めっきによって形成することができる。以下に、金属薄膜21を形成する際のめっき液及びめっき条件の一例を説明する。
【0032】
めっき液:
Cu 2.5g/L
NaOH 2g/L
HCHO(還元剤) 2g/L
pH: 12
浴温: 約30度
時間: 約15分
この無電解銅めっきによって形成される金属薄膜21は、銅張積層板90の表面に沿った形状に形成される。このため、貫通穴10Xの内壁面においては、ガラスクロス11上に形成された金属薄膜21の表面粗さが樹脂層12上に形成された金属薄膜21の表面粗さよりも大きくなる。なお、金属薄膜21の厚さは、例えば1〜2μm程度とすることができる。
【0033】
次に、図2(d)に示す工程では、金属薄膜21の表面に、該金属薄膜21をめっき給電層に利用する電解めっき法(ここでは、電解銅めっき法)を施す。この電解銅めっき法では、めっき促進剤入りの電解銅めっき液が使用される。めっき促進剤としては、公知のめっき促進剤を用いることができる。例えばめっき促進剤としては、ビス(2−スルホプロピル)ジスルフィドおよびそのナトリウム塩、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドおよびそのナトリウム塩)、ビス(4−スルホプロピル)ジスルフィドおよびそのナトリウム塩)、ビス(3−スルホ−2−ヒドロキシプロピル)ジスルフィドおよびそのナトリウム塩、N,N−ジメチルジチオカルバミン酸(−3−スルホプロピルエステル)およびそのナトリウム塩、O−エチル−ジエチルカ−ボネート−S(−3スルホプロピルエステル)、チオ尿素およびその誘導体を挙げることができる。特に、ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドジナトリウムをめっき促進剤として好適に用いることができる。以下に、本工程におけるめっき液及びめっき条件の一例を説明する(以下、このめっき液及びめっき条件を「条件1」という)。
【0034】
めっき液:
硫酸 50g/L
硫酸銅5水和物 250g/L
塩化物イオン 50mg/L
非イオン性界面活性剤(PEG) 100mg/L
めっき促進剤
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドジナトリウム 100mg/L
浴温: 25℃
陰極電流密度: 2.5A/dm2
このようなめっき促進剤入りのめっき液内に図2(c)に示した銅張積層板90を浸漬すると、金属薄膜21の全表面にめっき促進剤が吸着される。このとき、上述したように、表面粗さ(表面積)が大きいほどめっき促進剤の吸着量が多くなる。このため、ガラスクロス11上に形成された金属薄膜21上では、めっき促進剤の吸着量が多くなる。ここで、電解銅めっきでは、めっき促進剤の吸着量によってめっき析出速度が変わる。具体的には、めっき促進剤の吸着量が多いほどめっき析出速度が速くなる。したがって、図2(d)に示すように、貫通穴10X内において、ガラスクロス11部分に優先的にめっきが析出されることになる。さらに、コア基板10では、その厚さ方向の中央部及びその近傍におけるガラスクロス11の密度が貫通穴10Xの開口部近傍におけるガラスクロス11の密度よりも高くなっている。したがって、貫通穴10Xの中央部及びその近傍の内壁面に、貫通穴10Xの開口部近傍の内壁面よりも優先的にめっきが析出される。このため、図示のように、貫通穴10Xの中央部及びその近傍の内壁面に形成される導電層22Aが、貫通穴10Xの開口部近傍の内壁面に形成される導電層22Bよりも厚く形成される。
【0035】
ここで、上述のように表面粗さの大きい部分でめっき析出速度が速くなることを裏付ける実験結果について、図7及び図8に従って説明する。
(実験条件)
まず、図7に示すように、銅箔付き基板200を用意し、その銅箔付き基板200に以下の条件で電解銅めっきを施した。
【0036】
めっき液:
硫酸 120g/L
硫酸銅5水和物 120g/L
塩化物イオン 50mg/L
非イオン性界面活性剤(PEG) 100mg/L
浴温: 25℃
陰極電流密度: 約1.0A/dm2
この電解銅めっきにより、銅箔付き基板200上に厚さ15μm程度の電解銅層210を形成した。その後、電解銅層210の形成された基板200を銅箔エッチング剤により処理した。具体的には、電解銅層210の形成された基板200を銅箔エッチング剤に異なる時間浸漬し、電解銅層210の表面粗さが異なる4種類のサンプルを作製した。
【0037】
サンプルA:浸漬時間10秒
サンプルB:浸漬時間20秒
サンプルC:浸漬時間30秒
サンプルD:浸漬時間40秒
このように作製された全てのサンプルA〜Dのそれぞれについて、表面粗さRa値を求めた。その結果は以下の通りである。
【0038】
サンプルA:Ra=0.08μm
サンプルB:Ra=0.14μm
サンプルC:Ra=0.17μm
サンプルD:Ra=0.52μm
なお、表面粗さRa値とは、表面粗さを表わす数値の一種であり、算術平均粗さと呼ばれるものであって、具体的には測定領域内で変化する高さの絶対値を平均ラインである表面から測定して算術平均したものである。
【0039】
次に、電解銅層210の表面粗さの異なる各サンプルA〜Dに対して、電解銅層210を給電層とする電解銅めっきを施した。このときのめっき液及びめっき条件は以下の通りである。
【0040】
めっき液:
硫酸 50g/L
硫酸銅5水和物 250g/L
塩化物イオン 50mg/L
非イオン性界面活性剤(PEG) 100mg/L
めっき促進剤
ビス(3−スルホプロピル)ジスルフィドジナトリウム 100mg/L
浴温: 25℃
陰極電流密度: 1.0A/dm2
時間: 30分
すなわち、図2(d)の工程(電解銅めっき)で使用されるめっき液と同じめっき液(具体的には、促進剤入りの電解銅めっき液)を用いて一定時間だけ電解銅層210上に電解銅めっきを施した。そして、全てのサンプルA〜Dについて、電解銅層210上に形成された電解銅めっき層220の厚さを測定した。その結果を図7及び図8に示した。すなわち、図7(a)〜(d)は、各サンプルA〜Dにおいて電解銅層210上に電解銅めっき層220が形成された様子を示しており、図8は、表面粗さRa値が異なるサンプルA〜Dについてそれぞれ測定された電解銅めっき層220の厚さをグラフ化したものである。
【0041】
(実験結果)
これら図7及び図8から明らかなように、電解銅めっきの下地となる給電層(ここでは、電解銅層210)の表面粗さが大きいほど、その電解銅層210上に形成される電解銅めっき層220が厚くなる。すなわち、電解銅めっきの下地となる電解銅層210の表面粗さが大きいほど、めっき析出速度が速くなり、めっきの析出量が多くなることが分かる。
【0042】
この実験結果から裏付けられるように、図2(d)に示した貫通穴10Xの内壁面の表面粗さが大きくなるガラスクロス11を中央部及びその近傍に密集させた銅張積層板90に電解銅めっきを施すことによって、貫通穴10Xの中央部及びその近傍の内壁面に優先的にめっきを析出させることができる。これにより、貫通穴10Xの中央部及びその近傍の内壁面に形成される導電層22Aが、貫通穴10Xの開口部近傍の内壁面に形成される導電層22Bよりも厚くなる。このため、引き続き上記条件1で電解銅めっきを継続すると、図3(a)に示すように、貫通穴10Xの中央部及びその近傍(つまり、ガラスクロス11が密集された部分)に該貫通穴10Xの開口径が最も狭くなる最狭部10Nが形成される。さらに、上記条件1で電解銅めっきを継続すると、貫通穴10Xの中央部及びその近傍に形成された厚い導電層22Aに電流が集中し、貫通穴10Xの中央部及びその近傍の導電層22Aが更に厚くなる。やがて、図3(b)に示すように、貫通穴10Xの中央部及びその近傍に形成された導電層22Aによって最狭部10N(図3(a)参照)が閉塞される。すると、上記導電層22Aによって閉塞された閉塞部22Cを底面とし、コア基板10の第1主面10a側及び第2主面10b側の各々に開口する凹部10Y,10Zが形成される。
【0043】
その後も上記条件1で電解銅めっきを継続すると、図3(c)に示すように、上記凹部10Y,10Zの各々に導電層が充填される。これにより、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができ、その導電層22及び金属薄膜21からなる貫通電極20を形成することができる。このとき、導電層22の上面及び金属薄膜21の上面を被覆する導電層23が形成されるとともに、導電層22の下面及び金属薄膜21の下面を被覆する導電層24が形成される。
【0044】
次に、図4(a)に示す工程では、導電層23の上面に、所定の箇所に開口部91Xを有するレジスト層91を形成する。このレジスト層91は、上記配線層30a(図1(a)参照)に対応する部分の導電層23を被覆するように形成される。また、導電層24の下面に、所定の箇所に開口部92Xを有するレジスト層92を形成する。このレジスト層92は、上記配線層30b(図1(a)参照)に対応する部分の導電層24を被覆するように形成される。レジスト層91,92の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えばノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、導電層23の上面又は導電層24の下面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムを露光・現像によりパターニングして上記レジスト層91,92を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層91,92を形成することができる。
【0045】
続いて、図4(b)に示す工程では、レジスト層91,92をエッチングマスクとして導電層23,24、金属薄膜21及び銅箔15,16をエッチングして所定形状にパターニングする。これにより、コア基板10の第1主面10a上に、銅箔15、金属薄膜21及び導電層23が積層されてなる配線層30aが形成される。また、コア基板10の第2主面10bの下に、銅箔16、金属薄膜21及び導電層24が積層されてなる配線層30bが形成される。なお、配線層30aと配線層30bとは、貫通穴10X内に形成された貫通電極20を介して相互に電気的に接続される。
【0046】
次いで、図4(c)に示す工程では、図4(b)に示したレジスト層91,92を例えばアルカリ性の剥離液により除去する。
次に、図5(a)に示す工程では、まず、コア基板10の第1主面10a及び配線層30aを被覆する絶縁層40aを形成するとともに、コア基板10の第2主面10b及び配線層30bを被覆する絶縁層40bを形成する。これら絶縁層40a,40bは、例えばコア基板10に樹脂フィルムをラミネートした後に、樹脂フィルムを押圧しながら130〜150℃程度の温度で熱処理して硬化させることにより形成することができる。その後、図示のように、配線層30aの上面が露出されるように絶縁層40aの所定箇所にビアホールVH1を形成するとともに、配線層30bの下面が露出されるように絶縁層40bの所定箇所にビアホールVH3を形成する。これらビアホールVH1,VH3は、例えばCO2レーザやYAGレーザ等によるレーザ加工法によって形成することができる。なお、絶縁層40a,40bが感光性樹脂を用いて形成されている場合には、例えばフォトリソグラフィ法により所要のビアホールVH1,VH3を形成するようにしてもよい。
【0047】
続いて、ビアホールVH1,VH3をレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行って、ビアホールVH1,VH3の底部に露出する配線層30a,30bの露出面に付着した樹脂スミアを除去する。
【0048】
次いで、図5(b)に示す工程では、絶縁層40aのビアホールVH1にビアV1を形成するとともに、そのビアV1を介して配線層30aに電気的に接続される配線層50aを絶縁層40a上に積層する。また、絶縁層40bのビアホールVH3にビアV3を形成するとともに、そのビアV3を介して配線層30bに電気的に接続される配線層50bを絶縁層40b上に積層する。これらビアV1,V3及び配線層50a,50bは、例えばセミアディティブ法やサブトラクティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。
【0049】
次に、図5(a)及び図5(b)に示した工程と同様の工程を再度実行することにより、図5(c)に示すように、コア基板10の第1主面10a側に絶縁層60aと配線層70aを積層するとともに、第2主面10b側に絶縁層60bと配線層70bを積層する。
【0050】
続いて、図5(c)に示す工程では、配線層70aの所要の箇所に画定される接続パッドP1を露出させるための開口部80Xを有するソルダレジスト層80aを絶縁層60a及び配線層70a上に積層する。また、配線層70bの所要の箇所に画定される外部接続用パッドP2を露出させるための開口部80Yを有するソルダレジスト層80bを絶縁層60b及び配線層70b上に積層する。これらソルダレジスト層80a,80bは、例えば感光性のソルダレジストフィルムをラミネートし、又は液状のソルダレジストを塗布し、当該レジストを所要の形状にパターニングすることにより形成することができる。これにより、ソルダレジスト層80aの開口部80Xから配線層70aの一部が接続パッドP1として露出されるとともに、ソルダレジスト層80bの開口部80Yから配線層70bの一部が外部接続用パッドP2として露出される。これらパッドP1,P2上に、例えばNiからなる金属層と、Auからなる金属層とを順に積層するようにしてもよい。なお、これらの金属層は、例えば無電解めっき法により形成することができる。
【0051】
以上の製造工程により、図1(a)に示した配線基板1を製造することができる。
以上説明した本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)コア基板10では、厚さ方向の中央部及びその近傍におけるガラスクロス11の密度を貫通穴10Xの開口部近傍よりも高くするようにした。これにより、電解銅めっきを施した際に、貫通穴10Xの開口部近傍よりも中央部及びその近傍に優先的にめっきを析出させることができる。したがって、貫通穴10X内に導電層22を充填する際に、貫通穴10Xを厚さ方向の中央部及びその近傍から閉塞させることができ、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができる。この結果、貫通電極20を介して電気的に接続される配線層30a,30b間の接続信頼性を向上させることができる。
【0052】
さらに、配線パターンの更なる微細化などに伴って貫通穴10Xのアスペクト比が2以上になった場合であっても、上記構造を採用することにより、貫通穴10X内にめっき金属を十分に充填することができ、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができる。したがって、配線パターンの更なる微細化にも対応することができる。
【0053】
(2)従来の電解銅めっきに使用されるめっき液を用いた電解銅めっきに実施することにより、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができる。したがって、めっき液の組成などを特別に調整する必要がない。
【0054】
(3)コア基板10では、貫通穴10Xの開口部近傍に配設されたガラスクロス11の数の2〜3倍の数のガラスクロス11を貫通穴10Xの厚さ方向の中央部及びその近傍に密集させて配設するようにした。このようなコア基板10は、各ガラスクロス11間に形成される樹脂層12の厚さを調整することにより、容易に製造することができる。
【0055】
(第1実施形態の変形例)
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0056】
・図9に示されるコア基板100のように、貫通穴100Xの中央部及びその近傍と開口部近傍とでガラスクロス101の厚さを変えることで、上記開口部近傍よりも中央部及びその近傍におけるガラスクロス101の密度が高くなるように調整してもよい。具体的には、コア基板100では、貫通穴100Xの開口部近傍に形成されたガラスクロス101よりも貫通穴100Xの中央部及びその近傍に形成されたガラスクロス101が厚く形成されている。詳述すると、コア基板100では、第1主面100a側から順にガラスクロス101a,101b,101cが設けられている。すなわち、貫通穴100Xの開口部近傍にはガラスクロス101a,101cが配設され、貫通穴100Xの中央部及びその近傍にはガラスクロス101bが配設されている。このように、貫通穴100Xの中央部及びその近傍には、貫通穴100Xの片側の開口部近傍に配設されたガラスクロス101a(又はガラスクロス101c)と同数のガラスクロス101bが配設されている。ここで、貫通穴100Xの開口部近傍に形成されたガラスクロス101a,101cの厚さは、例えば5〜10μm程度である。これに対し、貫通穴100Xの中央部及びその近傍に形成されたガラスクロス101bの厚さは、ガラスクロス101a,101cよりも厚く、例えば15〜30μm程度である。なお、ガラスクロス101aの上面に形成された樹脂層102a、ガラスクロス101a,101b間に形成された樹脂層102b、ガラスクロス101b,101c間に形成された樹脂層102c及びガラスクロス101cの下面に形成された樹脂層102dの厚さは、例えば30〜50μm程度とすることができる。なお、以下の説明では、上記樹脂層102a〜102dを総称する場合には、「樹脂層102」と言う。
【0057】
このような構造であっても上記第1実施形態の(1)と同様の効果を奏することができる。詳述すると、上記第1実施形態と同様の製造方法により、コア基板100の両面に銅箔15,16を貼着した銅張積層板に貫通穴100Xを形成した後、デスミア処理、無電解銅めっき及び電解銅めっきを順に実施したときに、貫通穴100X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができる。図10は、電解銅めっきを実施した際の配線基板の状態を示している。ここで、電解銅めっきの下地となる金属薄膜21は、貫通穴100Xの内壁面において、ガラスクロス101上に形成された金属薄膜21の表面粗さが樹脂層102上に形成された金属薄膜21の表面粗さよりも大きくなる。このため、電解銅めっきでは、図10(a)に示すように、貫通穴100X内において、ガラスクロス101部分に優先的にめっきが析出されることになる。さらに、コア基板100では、貫通穴100Xの開口部近傍に形成されたガラスクロス101a,101cよりも中央部及びその近傍に形成されたガラスクロス101bが厚く形成されている。このため、貫通穴100Xの厚さ方向の中央部及びその近傍におけるガラスクロス101の密度が高くなっている。したがって、貫通穴100Xの中央部及びその近傍の内壁面に、貫通穴100Xの開口部近傍の内壁面よりも優先的にめっきが析出される。これにより、図示のように、貫通穴100Xの中央部及びその近傍の内壁面に形成される導電層22Aが、貫通穴100Xの開口部近傍の内壁面に形成される導電層22Bよりも厚く形成される。このため、引き続き電解銅めっきを継続すると、貫通穴100Xの中央部及びその近傍に形成された厚い導電層22Aに電流が集中し、貫通穴100Xの中央部及びその近傍の導電層22Aが更に厚くなる。やがて、図10(b)に示すように、貫通穴100Xの中心部及びその近傍に形成された導電層22Aによって貫通穴100Xが中心部近傍から閉塞される。すると、上記導電層22Aによって閉塞された閉塞部22Cを底面とし、コア基板100の第1主面100a側及び第2主面100b側の各々に開口する凹部100Y,100Zが形成される。
【0058】
その後も電解銅めっきを継続すると、図10(c)に示すように、上記凹部100Y,100Zの各々に導電層が充填される。これにより、貫通穴100X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができ、その導電層22及び金属薄膜21からなる貫通電極20を形成することができる。
【0059】
・上記第1実施形態における配線層30a,30bと貫通電極20を以下の工程により形成するようにしてもよい。図2(c)に示した工程の後、つまり貫通穴10Xの内壁面を含む銅張積層板90の全表面に金属薄膜21を形成した後に、金属薄膜21上に配線層30a,30bとなる部分を露出するレジスト層91(図4(a)参照)を形成する。続いて、金属薄膜21を給電層とする電解銅めっきにより、レジスト層91から露出する金属薄膜21上に導電層22を析出させる。次いで、レジスト層91を除去し、そのレジスト層91の除去部分に露出する金属薄膜21及び銅箔15,16をエッチングで除去する。このようにして、貫通電極20及び配線層30a,30bを形成するようにしてもよい。
【0060】
・上記第1実施形態では、貫通穴10X内に導電層22を形成する際に、めっき促進剤入りの電解銅めっき液を用いて電解銅めっきを実施するようにした。これに限らず、例えば図2(c)に示した構造体を、めっき促進剤が添加されためっき促進剤溶液内に浸漬し、金属薄膜21の表面にめっき促進剤を吸着させた後に、めっき促進剤の入っていない電解銅めっき液による電解銅めっきを実施するようにしてもよい。
【0061】
・上記第1実施形態において、コア基板10に積層される配線層及び絶縁層の層数は特に限定されない。例えば図4(c)の工程により形成された配線層30a,30b上にソルダレジスト層を形成するようにしてもよい。この場合、上記ソルダレジスト層には、配線層30a,30bの一部をパッドとして露出させるための開口部が形成される。
【0062】
・上記第1実施形態及び上記各変形例では、コア基板10,100の両面に銅箔15,16を貼着するようにしたが、銅箔15,16を省略してもよい。この場合、例えばコア基板10の第1主面10a及び第2主面10bをそれぞれ構成する樹脂層12上に直接金属薄膜21を形成し、その金属薄膜21上に導電層22、導電層23及び導電層24を形成する。
【0063】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態を図11に従って説明する。本実施形態では、配線基板1に半導体チップ3を搭載した半導体装置2について例示する。先の図1〜図10に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0064】
図11に示すように、半導体装置2は、配線基板1と、その配線基板1にフリップチップ接合される半導体チップ3と、アンダーフィル樹脂4とを有している。配線基板1の接続パッドP1には、はんだ71が形成されている。このはんだ71としては、例えば共晶はんだや鉛(Pb)フリーはんだ(Sn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系など)を用いることができる。
【0065】
半導体チップ3は、その回路形成面(図11では、下面)に、複数のバンプ3aが形成されている。この半導体チップ3は、バンプ3a及びはんだ71を介して、配線基板1の接続パッドP1と電気的に接続されている。
【0066】
アンダーフィル樹脂4は、配線基板1と半導体チップ3との隙間を充填するように設けられている。このアンダーフィル樹脂4の材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。
【0067】
(第2実施形態の変形例)
・上記第2実施形態における半導体チップ3の実装の形態(例えばフリップチップ実装、ワイヤボンディングによる実装、又はこれらの組み合わせ)は様々に変更することが可能である。
【0068】
・上記第2実施形態では、配線基板1に半導体チップ3を実装する場合について説明したが、実装体としては半導体チップ3に限定されない。例えば配線基板1の上に別の配線基板を積み重ねる構造を有するパッケージ(パッケージ・オン・パッケージ)などにも、本発明を適用することが可能である。
【0069】
(実施例1)
図2(a)に示すように、厚さ200μmのコア基板10の両面に厚さ18μmの銅箔15,16を貼着した銅張積層板90を用意した。ここで、コア基板10は、1本当たりの繊維径が1μm程度のガラス繊維が束ねられ、厚さが10μm程度に設定されたガラスクロス11a〜11eを複数個有している。また、コア基板10の第1主面10a及び第2主面10b近傍に配設されたガラスクロス11a,11eとコア基板10の厚さ方向の中央部近傍に配設されたガラスクロス11b,11dとの間隔が約30μm程度に設定され、中央部近傍に配設されたガラスクロス11b〜11d間の間隔が約10μ程度に設定されている。
【0070】
このような銅張積層板90にドリルによって直径80μmの円筒状の貫通穴10Xを形成した後、過マンガン酸カリウム法によるデスミア処理を施した。その後、貫通穴10Xの内壁面を含む銅張積層板90の全表面に無電解銅めっきによって金属薄膜21を形成した。この無電解銅めっきは、先に一例として挙げためっき液及びめっき条件により実行した。続いて、金属薄膜21の全表面に、該金属薄膜21を給電層とする電解銅めっきを施した。この電解銅めっきは、先に一例として挙げためっき液及びめっき条件(条件1)により実行した。
【0071】
電解銅めっきの開始から40分後では、図2(d)に示したのと同様に、貫通穴10Xの中央部近傍の内壁面に、貫通穴10Xの開口部近傍の内壁面よりも厚い導電層22Aを形成できた。
【0072】
さらに、電解銅めっきを継続し、電解銅めっきの開始から60分後では、図3(b)に示したのと同様に、貫通穴10Xの中央部近傍が閉塞され、その閉塞部22Cを底面とする凹部10Y,10Zが形成された。引き続き電解銅めっきを継続し、電解銅めっきの開始から180分後では、図3(c)に示したのと同様に、上記凹部10Y,10Zの各々が導電層で充填され、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成できた。すなわち、貫通穴10Xの開口径が80μm、深さが236μm(コア基板10の厚さ+銅箔15,16の厚さ)であって、その貫通穴10Xのアスペクト比が約3の場合であっても、貫通穴10X内にボイド等の欠陥のない導電層22を形成することができた。
【符号の説明】
【0073】
1 配線基板
2 半導体装置
3 半導体チップ
10,100 コア基板(基板)
10X,100X 貫通穴
20 貫通電極
22,23,24 導電層
30a,30b 配線層
11,101 ガラスクロス(補強材)
11a,11e ガラスクロス(第1補強材)
11b,11c,11d ガラスクロス(第2補強材)
90 銅張積層板(基板)
101a,101c ガラスクロス
101b ガラスクロス
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補強材入りの樹脂材からなる基板と、
前記基板に形成された貫通穴と、
前記貫通穴内に充填された貫通電極と、
前記基板の表面に形成され、前記貫通電極と電気的に接続された配線層と、を有し、
前記基板では、前記貫通穴の厚さ方向の中央部における前記補強材の密度が前記貫通穴の他の部分の密度より高くなるように前記補強材が設けられていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記中央部には、前記貫通穴の片側の開口部近傍に配設された第1補強材の数よりも多い複数の第2補強材が配設され、
前記各第2補強材間の間隔が、前記第1補強材と前記第2補強材との間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記貫通穴の開口部近傍に形成された補強材よりも前記中央部に形成された補強材が厚く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記中央部には、前記貫通穴の片側の開口部近傍に配設された補強材と同数の補強材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記補強材は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維及び液晶ポリマ繊維のいずれか1つの繊維の織布又は不織布であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の配線基板と、
前記配線基板に実装される半導体チップと、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
補強材入りの樹脂材からなり、厚さ方向の中央部における前記補強材の密度が他の部分の密度より高くなるように前記補強材が設けられた基板に、前記厚さ方向に貫通する貫通穴を形成する工程と、
前記貫通穴の内壁面を含む前記基板の表面を覆う金属薄膜を形成する工程と、
前記金属薄膜を給電層とする電解めっき法により、前記貫通穴内に導電層を充填して貫通電極を形成する工程と、を有し、
前記電解めっき法は、前記金属薄膜にめっき促進剤を吸着させた後に実施する、又は前記金属薄膜にめっき促進剤を吸着させながら実施することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記中央部には、前記貫通穴の片側の開口部近傍に配設された第1補強材の数よりも多い複数の第2補強材が配設され、
前記各第2補強材間の間隔が、前記第1補強材と前記第2補強材との間隔よりも狭いことを特徴とする請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記貫通穴の開口部近傍に形成された補強材よりも前記中央部に形成された補強材が厚く形成されていることを特徴とする請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記中央部には、前記貫通穴の片側の開口部近傍に配設された補強材と同数の補強材が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記補強材は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維及び液晶ポリマ繊維のいずれか1つの繊維の織布又は不織布であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。
【請求項1】
補強材入りの樹脂材からなる基板と、
前記基板に形成された貫通穴と、
前記貫通穴内に充填された貫通電極と、
前記基板の表面に形成され、前記貫通電極と電気的に接続された配線層と、を有し、
前記基板では、前記貫通穴の厚さ方向の中央部における前記補強材の密度が前記貫通穴の他の部分の密度より高くなるように前記補強材が設けられていることを特徴とする配線基板。
【請求項2】
前記中央部には、前記貫通穴の片側の開口部近傍に配設された第1補強材の数よりも多い複数の第2補強材が配設され、
前記各第2補強材間の間隔が、前記第1補強材と前記第2補強材との間隔よりも狭いことを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記貫通穴の開口部近傍に形成された補強材よりも前記中央部に形成された補強材が厚く形成されていることを特徴とする請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記中央部には、前記貫通穴の片側の開口部近傍に配設された補強材と同数の補強材が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記補強材は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維及び液晶ポリマ繊維のいずれか1つの繊維の織布又は不織布であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の配線基板。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の配線基板と、
前記配線基板に実装される半導体チップと、
を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
補強材入りの樹脂材からなり、厚さ方向の中央部における前記補強材の密度が他の部分の密度より高くなるように前記補強材が設けられた基板に、前記厚さ方向に貫通する貫通穴を形成する工程と、
前記貫通穴の内壁面を含む前記基板の表面を覆う金属薄膜を形成する工程と、
前記金属薄膜を給電層とする電解めっき法により、前記貫通穴内に導電層を充填して貫通電極を形成する工程と、を有し、
前記電解めっき法は、前記金属薄膜にめっき促進剤を吸着させた後に実施する、又は前記金属薄膜にめっき促進剤を吸着させながら実施することを特徴とする配線基板の製造方法。
【請求項8】
前記中央部には、前記貫通穴の片側の開口部近傍に配設された第1補強材の数よりも多い複数の第2補強材が配設され、
前記各第2補強材間の間隔が、前記第1補強材と前記第2補強材との間隔よりも狭いことを特徴とする請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項9】
前記貫通穴の開口部近傍に形成された補強材よりも前記中央部に形成された補強材が厚く形成されていることを特徴とする請求項7に記載の配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記中央部には、前記貫通穴の片側の開口部近傍に配設された補強材と同数の補強材が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記補強材は、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維及び液晶ポリマ繊維のいずれか1つの繊維の織布又は不織布であることを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載の配線基板の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図5】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−84852(P2013−84852A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225062(P2011−225062)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】
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