説明

酵素の安定化

可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤を含む液体洗剤組成物が提供される。可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤を用いて液体洗剤組成物を安定化する方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素安定化系、並びに酵素安定化系を含有する組成物の使用方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
プロテアーゼを含む液体組成物は、特に洗濯洗浄に関連して周知である。このようなプロテアーゼを含む液体組成物において一般に生じる問題は、組成物中の第2の酵素(アミラーゼ、リパーゼ、及びセルラーゼなど)のプロテアーゼ酵素による劣化現象、又はプロテアーゼ自体での劣化現象である。結果として、液体組成物中の、第2の酵素又はプロテアーゼ自体の安定性は影響を受け、それゆえに組成物の性能も低下する。
【0003】
この問題に対し、様々なプロテアーゼ抑制剤又は安定剤の使用が提案されてきている。例えば、酵素の安定化のために、以下:ベンズアミジン塩酸塩、低級脂肪族アルコール又はカルボン酸、特定のペプチドアルデヒド、ポリオール溶媒混合物及びホウ素化合物、マグネシウム及び/又はカルシウム塩(ギ酸カルシウムなど)、のような化合物の使用が基準として提案されてきている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これらの化合物は、液体組成物に様々な効果をもたらすために用いられてきているが、問題がないわけではない。例えば、これらは比較的高価である可能性、及び/又は、配合者にとって複雑性が生じる可能性があり、液体洗剤については特にそうである。他の抑制剤又は安定剤は、使用するのにより安価ではあるが、酵素を十分に安定化しない。したがって、液体洗濯組成物などの液体組成物において使用するのに、経済的で、有効で、好適であるプロテアーゼ抑制剤に対する需要は依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、
(a)界面活性剤と、
(b)プロテアーゼ酵素と、
(c)次式:
【化1】

{式中、Aはアミノ酸部分であり、XはH、電子吸引性基、及びこれらの混合物から選択され、Zは、次式:
【化2】

(式中、各R’は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、フェニル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキルアリール、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cシクロアルキル部分、及びこれらの混合物から独立に選択される)、及びこれらの混合物から選択される窒素キャッピング部分(nitrogen capping moiety)である}
の可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤と、を含む液体洗剤組成物であって、該液体洗剤組成物は、該組成物の約3重量%未満の有機ポリオール溶媒を含む、液体洗剤組成物に関する。
【0006】
本発明の別の態様は、
(a)界面活性剤と、
(b)プロテアーゼ酵素と、
(c)酵素安定化系と、
を含む液体洗剤組成物であって、該酵素安定化系は、次式:
【化3】

{式中、A、X、Z,R’は本明細書に記載された通りの第1の可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤と、次式:
【化4】

(式中、各Rは、ヒドロキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシ、及びこれらの混合物から独立に選択され、各Rは、水素、ヒドロキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルケニル、及びこれらの混合物からなる群から独立に選択され、Rは水素、ヒドロキシル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルケニル、C(O)−R、及びこれらの混合物からなる群から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシ、及びこれらの混合物から選択される)の芳香族プロテアーゼ抑制剤と、を含み、
該液体洗剤組成物は、該組成物の約3重量%未満の有機ポリオール溶媒を含む、液体洗剤組成物に関する。
【0007】
さらなる態様によれば、本発明は、
(a)界面活性剤と、
(b)プロテアーゼ酵素と、
(c)次式:
【化5】

を有する可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤と、を含む液体洗剤組成物であって、式中、A、X、Z、及びR’は本明細書に記載される通りであり、
該液体洗剤組成物は、
(i)該組成物の約1重量%未満の有機ポリオール溶媒、
(ii)約60%を超える水、
(iii)増粘剤、及び/又は
(iv)該組成物の約1重量%未満のホウ酸、のうちの少なくとも1つを含む、液体洗剤組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
定義:本明細書で使用するとき、「液体洗剤組成物」は、固体(すなわち、錠剤又は顆粒)でも気体の形態でもない、あらゆる洗濯処理組成物を指す。液体洗濯洗剤組成物の例には、自動洗濯機の洗浄サイクルで使用するための重質液体洗濯洗剤、デリケートな衣類(例えば絹又は羊毛でできているもの)であって、手洗いによるか又は自動洗濯機の洗浄サイクルのいずれかによる洗浄に適するもののような液体おしゃれ着洗剤(finewash)及び液体色柄物用洗剤(color care detergent)が挙げられる。ゲルとして知られる、流動可能であるが固い稠度を有する、対応する組成物が、同様に包含される。本明細書に包含されるその他の液体又はゲル形態の洗濯処理組成物としては、上記の組成物の希釈可能な濃縮物、1回用量、スプレー、前処理(固いゲルスティックを含む)及びすすぎ洗濯処理組成物、又はその他の包装形態のそのような組成物、例えば1又は2区画の瓶、チューブ(tubs)、又はポリビニルアルコール袋などに入って販売されているものが挙げられる。本明細書の組成物は、好適には、消費者によって、又は家庭若しくは商業用の洗濯装置によって制御される自動投与システムによって、投与され得る十分な流体レオロジーを有する。固いゲル形態は、前処理若しくは効果促進剤として使用されてもよく(例えば米国特許第20040102346A1号参照)、又は例えば水流の存在下でその場での溶解を通じて、自動分与システムで分与されてもよい。
【0009】
一般に、本発明の組成物は、等方性であってもよいし、非等方性であってもよい。しかしながら、これらは、当該技術分野において記載されている層分離洗剤のように、一般には別々の層に分離しない。例示的な1つの組成物は、非等方性であり、保管中に(i)2層に分離しないか、又は(ii)この組成物が複数の層に分離する場合、単一の主要層が存在して該組成物の少なくとも約90重量%、より厳密には95重量%を超え、さらに厳密には99%を超えて含まれる。他の例示的な組成物は、十分に等方性である。
【0010】
「ゲル」は、本明細書で使用するとき、1,000〜5,000mPa.s(ミリパスカル秒)、より厳密には3,000mPa.s未満、さらに厳密には1,500mPa.s未満の範囲の注入粘度を有する、ずり減粘ゲルを含む。ゲルは、濃厚な液体を包含する。より厳密には、濃厚な液体はニュートン流体であってもよく、これは蜂蜜又はシロップ剤のように、流動条件の変化に伴ってその粘度は変化しない。この種類の濃厚な液体は、分与が非常に困難及び厄介である。別の種類の液体ゲルは、ずり減粘であり、すなわち、低剪断力下(例えば、静止時)で濃厚であり、高流量では希薄である。ずり減粘ゲルのレオロジーは、文献により詳細に記載されており、例えばPCT国際公開特許WO04027010A1号(ユニリーバ(Unilever))を参照のこと。
【0011】
本発明による別の例示的な組成物は、注入可能なゲルであって、厳密には少なくとも1,500mPa.sであり、ただし6,000mPa.s以下、より厳密には4,000mPa.s以下、さらに好ましくは3,000mPa.s以下、そしてさらに一層好ましくは2,000mPa.s以下の粘度を有する。
【0012】
本発明によるさらに別の組成物は、注入不可能なジェルであり、厳密には少なくとも6,000mPa.sであり、ただし12,000mPa.s以下、より厳密には10,000mPa.s以下、さらに厳密には8,000mPa.s以下、そしてさらに一層厳密には7,000mPa.s以下の粘度を有する。
【0013】
本明細書において例示的な特定の液体又はゲル形態の洗濯処理組成物には、自動洗濯機の洗浄サイクルで使用するための重質液体洗濯洗剤、液体おしゃれ着洗剤、及び/又は色柄物用洗剤が挙げられる。これらは好適には以下のレオロジー特性を有する:1,500mPa.s以下、より厳密には1,000mPa.s、さらに厳密には500mPa.s以下の粘度。1つの実施形態では、これらの組成物は30〜400mPa.sの粘度を有し、ニュートン流体かずり減粘かのどちらかである。これらの定義において、特にそうでないと指示されない限り、示された粘度は剪断速度21s−1及び温度25℃にて測定されたものである。本明細書における粘度は、いかなる好適な計器でも、例えばカリムド(Carrimed)CSL2レオメータで、剪断速度21sec−1にて、測定できる。
【0014】
可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤−本発明の安定化酵素は、次式:
【化6】

を有する可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤を含む。
【0015】
この可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤において、Aはアミノ酸部分である。1つの任意の実施形態において、このアミノ酸部分は、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、ホモフェニルアラニン(HPhe)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、フェニルグリシン(PGly)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、及びバリン(Val)から選択される1種以上のアミノ酸からなる。
【0016】
1つの実施形態において、Aは、アラニン、グリシン、ロイシン、バリン、イソロイシン、プロリン、リジン、リシン、フェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、フェニルグリシン、トリプトファン、グリシン、アルギニン、及びメチオニンの1種以上、好ましくは1〜4種からなり、さらに厳密にはバリン及びアラニンを含む。
【0017】
このアミノ酸部分はいかなる好適な光学異性体であってもよく、すなわち、このアミノ酸部分はL若しくはD配置のどちらか又はこれらの組合せにおいて光学活性であってもよく、又は不活性でもよく、又はラセミ混合物であってもよい。同様に、アミノ酸部分及び/又は可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤を構成する各アミノ酸は、L若しくはD配置のどちらか又はこれらの組合せにおいて光学活性であってもよく、又は不活性でもよく、又はラセミ混合物であってもよい。
【0018】
式Iにおいて、XはH、電子吸引基、及びこれらの混合物である。好適な電子吸引基の非限定的な例には、CFH、CHF、CF−R CHF−R、CO−R、CHCl、置換又は非置換のイミダゾール、置換又は非置換のチオアミダゾール、置換又は非置換のベンゾイミダゾール、及びこれらの混合物(式中、Rは直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cシクロアルキル部分、及びこれらの混合物からなる群から選択される)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
式Iにおいて、Zは、
【化7】

及びこれらの混合物から、より厳密には、
【化8】

及びこれらの混合物から、さらに厳密には
【化9】

及びこれらの混合物から選択されるN−キャッピング部分である。
【0020】
R’は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、フェニル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキルアリール、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cシクロアルキル部分、及びこれらの混合物から、より厳密には直鎖又は分枝鎖のC〜Cアルキル、フェニル、直鎖又は分枝鎖のC〜Cアルキルアリール、及びこれらの混合物から、さらに厳密には直鎖又は分枝鎖のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル複素環、及びこれらの混合物から独立に選択される。
【0021】
好適な可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤の非限定的な具体例には、
【化10】

及びこれらの混合物が挙げられる。
【0022】
可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤は、いかなる好適な方法で作製されてもよい。可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤の製造に好適なプロセスの具体例は、米国特許第6,165,966号に見出すことができる。
【0023】
1つの実施形態では、洗浄組成物は、該洗浄組成物の約0.00001重量%〜約5重量%、厳密には約0.00001重量%〜約3重量%、さらに厳密には約0.00001重量%〜約1重量%の可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤を含む。
【0024】
有機ポリオール溶媒−1つの実施形態では、本発明の液体洗剤組成物及び方法は、該洗剤組成物の約5重量%未満、厳密には該洗剤組成物の約3重量%未満、より厳密には該洗剤組成物の約1重量%未満の有機ポリオール溶媒を含んでもよく、さらに厳密には有機ポリオール溶媒を実質的に含まない。「有機ポリオール溶媒を実質的に含まない」とは、より厳密には有機ポリオール溶媒が意図的に配合物に添加されないことを意味するが、当業者ならば、微量の有機ポリオール溶媒が不純物として、又は他の添加物の加工助剤/安定助剤(stability aids)として存在しうること、すなわち、組成物が、該組成物の約0.1重量%未満の有機ポリオール溶媒を含むことを理解するであろう。
【0025】
「有機ポリオール溶媒」とは、炭素、酸素、並びに水素原子からなる低分子量の有機溶媒を意味し、2以上のヒドロキシル基を有し、例として、エタンジオール、1,2及び1,3プロパンジオール、グリセロール、グリコール並びにグリコールエーテル、ソルビトール、マンニトール、1,2ベンゼンジオール、及びこれらの混合物が含まれる。この定義は特に、ジオール、特にホウ酸及びホウ酸塩と錯体を形成してホウ酸エステルになることができる隣接ジオールを包含する。
【0026】
ホウ酸誘導体−別の実施形態において、本発明の組成物及び方法は、該洗剤組成物の約5重量%未満の、厳密には該洗剤組成物の約3重量%未満の、より厳密には該洗剤組成物の約1重量%未満のホウ酸誘導体を含んでもよく、さらに厳密にはホウ酸誘導体を実質的に含まない。「ホウ酸誘導体を実質的に含まない」とは、より厳密にはホウ酸誘導体が意図的に配合物に添加されないことを意味するが、当業者ならば、微量のホウ酸誘導体が不純物として、又は他の添加物の加工助剤/安定助剤として存在しうること、すなわち、組成物が、該組成物の約0.1重量%未満のホウ酸誘導体を含むことを理解するであろう。
【0027】
「ホウ酸誘導体」とは、ホウ酸それ自体、置換ホウ酸類、及び他のホウ酸誘導体などの、ホウ素含有化合物を意味し、少なくともその一部が溶液中に置換ホウ酸などのホウ酸又はこれらの化学的相当物として存在する。具体的であるが非限定的なホウ酸誘導体の例として、ホウ酸、酸化ホウ素、ホウ砂、アルカリ金属ホウ酸塩(例えばオルトホウ酸ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム、及び4ホウ酸ナトリウム、及び5ホウ酸ナトリウムなど)並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0028】
本明細書に記載するように、これらのホウ酸誘導体は従来有機ポリオール溶媒と組合せてプロテアーゼ酵素系として使用されてきている。可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤を選択することで、これらのホウ酸誘導体を削減でき、それによって資金と時間を節約できる。
【0029】
プロテアーゼ酵素−本発明の組成物及び方法は、1種以上のプロテアーゼ酵素を含む。1つの実施形態では、本発明の組成物及び方法は、プロテアーゼ酵素を含み、該組成物の約0.0001重量%〜約5重量%、厳密には約0.001重量%〜約2重量%、より厳密には約0.001重量%〜約1重量%、さらに厳密には約0.001重量%〜0.2重量%、さらに一層厳密には約0.005重量%〜約0.1重量%のプロテアーゼ酵素を含む。
【0030】
洗剤に使用するのに好適なあらゆるプロテアーゼを使用できる。このようなプロテアーゼは、動物性、植物性、又は微生物性であることができ、変性(化学変異型又は遺伝変異型)及び非変性のプロテアーゼの双方が含まれる。
【0031】
好適なプロテアーゼの1部類はいわゆるセリンエンドペプチターゼ[E.C.3.4.21]であり、この一例は、セリンプロテアーゼ[E.C.3.4.21.62]である。セリンプロテアーゼの非限定的な具体例にはサブチリシンが挙げられ、例えば、バチルス(例えば、B.サブチリス、B.レンタス、B.リケニフォルミス、B.アミロリケファシエンス、B.アルカロフィルス(B. alcalophilus))由来のサブチリシン、例えば、サブチリシンBPN及びBPN’、サブチリシンカールスバーグ(Carlsberg)、サブチリシン309、サブチリシン147、サブチリシン168、サブチリシンPB92、これらの変異体及びこれらの混合物が挙げられる。
【0032】
市販のセリンプロテアーゼの非限定的な具体例には、ノボザイムズ(Novozymes)社から入手可能な、アルカラーゼ(Alcalase)(登録商標)、サビナーゼ(Savinase)(登録商標)、カンナーゼ(Kannase)(登録商標)、エバラーゼ(Everlase)(登録商標);ジェネンコア(Genencor)社から入手可能な、ピュラフェクト(Purafect)(登録商標)、プラスターOxAm(Purastar OxAm)(登録商標)、プロペラーゼ(Properase)(登録商標);ヘンケル(Henkel)社から入手可能なBLAP及びBLAP変異型;並びに、花王(Kao)から入手可能な、K−16のようなプロテアーゼが挙げられる。追加の例示的なプロテアーゼは、例えば、欧州特許第130756号、PCT国際公開特許WO91/06637号、同WO95/10591号、同WO99/20726号、米国特許第5030378号、(プロテアーゼ「A」)及び欧州特許EP251446号(プロテアーゼ「B」)に記載されている。
【0033】
可逆性芳香族プロテアーゼ抑制剤−別の実施形態では、液体洗剤組成物は次式:
【化11】

の可逆性芳香族プロテアーゼ抑制剤を含んでもよい。
【0034】
この可逆性芳香族プロテアーゼの式におけるBは、ホウ素元素を示すものであってマーカッシュ群ではないことに注意することが重要である。各Rは、ヒドロキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシから独立に選択され、より厳密にはヒドロキシル、直鎖又は分枝鎖のC〜Cアルコキシ及びこれらの混合物から独立に選択され、さらに厳密にはヒドロキシ、直鎖又は分枝鎖のC〜Cアルコキシから独立に選択され、各Rは水素、ヒドロキシル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルケニル、及びこれらの混合物から独立に選択され、より厳密には水素、ヒドロキシル、直鎖又は分枝鎖のC〜Cアルキル、及びこれらの混合物から独立に選択され、さらに厳密には水素、ヒドロキシル、及びこれらの混合物から独立に選択され、Rは水素、ヒドロキシル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルケニル、C(O)−R及びこれらの混合物から選択され、より厳密にはヒドロキシル、直鎖又は分枝鎖のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖のC〜Cアルコキシ、C(O)−R、及びこれらの混合物から選択される。Rは、水素、ヒドロキシル、直鎖若しくは分枝鎖、置換若しくは非置換のC〜Cアルキル、直鎖若しくは分枝鎖、置換若しくは非置換のC〜Cアルコキシ及びこれらの混合物から選択され、厳密には水素、ヒドロキシル、直鎖若しくは分枝鎖のC〜Cアルキル及びこれらの混合物から選択され、より厳密には水素、ヒドロキシル、又はこれらの混合物から選択される。
【0035】
好適な可逆性芳香族プロテアーゼ抑制剤の非限定的な具体例には、
【化12】

が挙げられる。
【0036】
1つの任意の実施形態では、組成物は、該組成物の約0.00001重量%〜約5重量%、さらに厳密には約0.00001重量%〜約2重量%の可逆性芳香族プロテアーゼ抑制剤を含む。
【0037】
界面活性剤−1つの実施形態では、本発明の液体洗剤組成物は、1種以上の界面活性剤(surface active agent(surfactants))を含んでもよい。界面活性剤は、アニオン性、非イオン性、カチオン性、両性、双極性、及びこれらの混合物から選択されてもよい。1つの実施形態では、本発明において使用するための界面活性剤洗剤はアニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との混合物であるが、あらゆる界面活性剤は単独で使用されてもよいし、又はいかなる界面活性剤(1種又は複数種)との組合せで使用されてもよいことは理解されよう。濃縮洗剤組成物中に存在する場合、界面活性剤は液体洗剤組成物の約0.1重量%〜約70重量%、より厳密には約1重量%〜約50重量%を構成してもよい。
【0038】
本明細書で有用な界面活性剤の具体例は、米国特許第3,664,961号、同第3,919,678号、同第4,062,647号、同第4,316,812号、同第3,630,929号、同第4,222,905号、同第4,239,659号、同第4,497,718号;同第4,285,841号、同第4,284,532号、同第3,919,678号、同第2,220,099号、及び同第2,477,383号に記載されている。界面活性剤は一般的に周知であり、「カーク・オスマー化学大辞典(Kirk Othmer’s Encyclopedia of Chemical Technology)(第3版)」第22巻、360〜379ページの「界面活性剤及び洗浄系(Surfactants and Detersive Systems)」、「マカッチャン洗剤及び乳化剤(McCutcheon’s, Detergents & Emulsifiers)(北米版)」(1997年、M.C.パブリッシング・カンパニー(M.C. Publishing Co.))、シュワルツ(Schwartz)ら著「界面活性剤:その化学と技術(Surface Active Agents, Their Chemistry and Technology)」(1949、ニューヨーク、インターサイエンス・パブリッシャーズ(Interscience Publishers))に、より詳細に記載されており、さらなる情報及び例が、シュワルツ(Schwartz)、ペリー(Perry)、及びバーチ(Berch)共著「界面活性剤と洗剤(Surface Active Agents and Detergents)」第I巻及び第II巻に記載されている。
【0039】
非イオン性界面活性剤は、液体洗剤組成物中に存在する場合、液体洗剤組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より厳密には約1重量%〜約50重量%、さらに厳密には約5重量%〜約40重量%の分量で存在してもよい。好適な非イオン性界面活性剤の具体例には、アルコールエトキシレート(例えば、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Co.)からのネオドール(Neodol)25−9)、アルキルフェノールエトキシレート(例えば、ユニオンカーバイド社(Union Carbide Corp.)からのタージトール(Tergitol)NP−9)、アルカリポリグルコシド(例えば、ヘンケル社(Henkel Corp.)からのグルカポン(Glucapon)600CS)、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール(例えば、BASF社(BASF Corp.)からのプルロニック(Pluronic)L−65)、ソルビトールエステル(例えば、ヘンケル社からのエムソーブ(Emsorb)2515)、ポリオキシエチレン化ソルビトールエステル(例えば、ヘンケル社からのエムソーブ6900)、アルカノールアミド(例えば、ローヌ・プーラン社(Rhone-Poulenc Co.)からのアルカミド(Alkamide)DC212/SE)、及びN−アルキルピロリドン(alkypyrrolidones)(例えば、ISPテクノロジーズ社(ISP technologies Inc.)からのサルファドン(Surfadone)LP−100)、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0040】
アニオン性界面活性剤は、液体洗剤組成物中に存在する場合、液体洗剤組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より厳密には約1重量%〜約50重量%、さらに厳密には約5重量%〜約40重量%の分量で存在してもよい。好適なアニオン性界面活性剤の具体例には、直鎖アルキルベンゼンスルホネート(例えば、ビスタ・ケミカル社(Vista Chemical Co.)から市販されているビスタ(Vista)C−500(Vista Chemical Co.))、分枝状直鎖アルキルベンゼンスルホネート(例えば、MLAS)、アルキルサルフェート(例えば、ステパン社社(Stepan Co.)から市販されているポリステップ(Polystep)Bfff5)、分枝鎖アルキルサルフェート、ポリオキシエチレン化アルキルサルフェート(例えば、ステパン社社から市販されているスタンダポール(Standapol)ES−3)、αオレフィンスルホネート(例えば、ウィトコ社(Witco Corp.)から市販されているウィトコネート(Witconate)AOS)、αスルホメチルエステル(例えば、ステパン社から市販されているアルファ−ステップ(Alpha-Step)MCp−48)、及びイセチオネート(例えば、PPGインダストリーズ(PPG Industries)から市販されているジョルダポン(Jordapon)Cl)及びこれらの組合せが挙げられる。
【0041】
カチオン性界面活性剤は、液体洗剤組成物中に存在する場合、液体洗剤組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より厳密には約1重量%〜約50重量%、さらに厳密には約5重量%〜約40重量%の分量で存在してもよい。特定のカチオン性界面活性剤は、C8〜C18アルキルジメチルアンモニウムハロゲン化物及び類縁体を含み、その中では1つ又は2つのヒドロキシエチル部分が1つ又は2つのメチル部分と置換する。
【0042】
両性界面活性剤は、液体洗剤組成物中に存在する場合、液体洗剤組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より厳密には約1重量%〜約50重量%、さらに厳密には約5重量%〜約40重量%の分量で存在してもよい。両性界面活性剤の例には、3(ドデシルアミノ)プロピオン酸ナトリウム、3−(ドデシルアミノ)プロパン−1−スルホン酸ナトリウム、2−(ドデシルアミノ)エチルスルホン酸ナトリウム、2−(ジメチルアミノ)オクタデカン酸ナトリウム、3−(N−カルボキシメチルドデシルアミノ)プロパン1−スルホン酸ジナトリウム、オクタデシル−イミノ二酢酸ジナトリウム、1−カルボキシメチル−2−ウンデシルイミダゾールナトリウム、及びN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−スルファト−3−ドデコキシプロピルアミンナトリウムが挙げられる。
【0043】
双極性界面活性剤は、液体洗剤組成物中に存在する場合、液体洗剤組成物の約0.01重量%〜約70重量%、より厳密には約1重量%〜約50重量%、さらに厳密には約5重量%〜約40重量%の分量で存在してもよい。
【0044】
非プロテアーゼ酵素−本発明の組成物及び方法は、非プロテアーゼ酵素を含んでもよく、厳密には洗剤組成物の約0.00001重量%〜約2重量%、より厳密には約0.0005重量%〜約1重量%、さらに厳密には約0.001重量%〜約0.5重量%の非プロテアーゼ酵素を含んでもよい。
【0045】
例えば、タンパク質系、炭水化物系、又はトリグリセリド系汚れの除去、及び/又は布地の復元を含む、多種多様な布地の洗濯の目的のために、本明細書における液体洗濯洗浄組成物に、有効量の非プロテアーゼ酵素が含まれてもよい。
【0046】
適切な非プロテアーゼ酵素の例には、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ペクテートリアーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、β−グルカナーゼ、マンナナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、アミラーゼ、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の種類の酵素も含まれてもよい。酵素は、植物、動物、細菌、真菌及び酵母のような、任意の好適な起源であってよい。しかしながら、それらの選択は、pH活性及び/又は安定性の最適条件、熱安定性、活性洗剤やビルダーなどに対する安定性のような幾つかの要因によって決定される。
【0047】
可能な酵素の組合せは、プロテアーゼに加えて、リパーゼ、クチナーゼ、セルラーゼ及び/又はアミラーゼなどの従来の洗浄性酵素の混合物を含む。別の任意で可能性のある酵素は、セルラーゼ、リパーゼ、アミラーゼ、マンナナーゼ、ペクテートリアーゼ及びこれらの混合物から選択される。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号及びPCT国際公開特許WO01/02530号により詳細に記載されている。
【0048】
好適な市販の非プロテアーゼ酵素の非限定的なリストには、PCT国際公開特許WO94/02597号及び同96/23873号に記載されているアミラーゼ(α及び/又はβ)が挙げられる。)市販品の例は、ピュラフェクトOxAm(登録商標)[ジェネンコア社]、並びにターマミル(Termamyl)(登録商標)、ナタラーゼ(Natalase)(登録商標)、バン(Ban)(登録商標)、フンガミル(Fungamyl)(登録商標)及びデュラミル(Duramyl)(登録商標)[全てノボザイムズ社より]である。セルラーゼとしては、細菌性又は真菌性セルラーゼ、例えばヒューミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)により生成されるもの、特にDSM1800、例えば50Kda、及び〜43kD[ケアザイム(Carezyme)(登録商標)]が挙げられる。好適なセルラーゼはまた、トリコデルマ・ロンギプラチアタム(Trichoderma longibrachiatum)由来のEGIIIセルラーゼである。好適なリパーゼとしては、シュードモナス(Pseudomonas)及びクロモバクター(Chromobacter)群によって産生されるものが挙げられる。好ましいのは、例えばノボザイムズ社からのリポラーゼ(Lipolase)(登録商標)、リポラーゼ・ウルトラ(Lipolase Ultra)(登録商標)、リポプライム(Lipoprime)(登録商標)及びリペックス(Lipex)(登録商標)である。クチナーゼ[EC3.1.1.50]及びエステラーゼも好適である。また、カルボヒドラーゼも好適であり、例えば、マンナナーゼ(米国特許第6060299号)、ペクテートリアーゼ(PCT国際公開特許WO99/27083号)、シクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(PCT国際公開特許WO96/33267号)、キシログルカナーゼ(PCT国際公開特許WO99/02663号)が挙げられる。漂白酵素には、例えば、ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、オキシゲナーゼ(例えば、カテコール1,2ジオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ(PCT国際公開特許WO95/26393号)、(非ヘム)ハロペルオキシダーゼが挙げられる。
【0049】
補助剤成分−本発明の組成物及び方法は、補助剤成分を含んでもよく、厳密には洗剤組成物の約0.0001重量%〜約95重量%、より厳密には約0.001重量%〜約70重量%の補助剤成分を含んでもよい。
【0050】
本発明の1つの実施形態において、補助剤成分は、ビルダー、光沢剤、移染防止剤、キレート剤、ポリアクリレートポリマー、分散剤、着色剤染料、色相染料、香料、加工助剤、漂白添加剤、漂白活性化剤、漂白剤前駆体、漂白触媒、溶媒、共溶媒、ヒドロトロープ、液体キャリア、相安定剤、汚れ遊離ポリマー、酵素安定剤、酵素、汚れ懸濁剤、再付着防止剤、解膠性ポリマー、殺菌薬、殺真菌剤、UV吸収剤、黄ばみ防止剤(anti-yellowing agents)、酸化防止剤、光学的光沢剤、泡抑制剤、乳白剤、泡促進剤、腐食防止剤、ラジカルスカベンジャー、塩素捕捉剤、構造化剤、布地柔軟化添加剤、他の布地ケア効果剤、pH調整剤、蛍光増白剤、スメクタイト粘土、構造剤、防腐剤、増粘剤、着色剤、布地柔軟化添加剤、レオロジー変性剤、充填剤、殺菌剤、及びこれらの混合物から選択されてもよい。好適な補助剤成分及び使用濃度のさらなる例は、米国特許第3,936,537号(バスカービル・ジュニア(Baskerville, Jr)ら、1976年2月3日発行)、同第4,285,841号(バラット(Barrat)ら、1981年8月25日発行)、同第4,844,824号(メーメルシュタイン(Mermelstein)ら、1989年7月4日発行)、同第4,663,071号(ブッシュ(Bush)ら)、同第4,909,953号(サドロースキー(Sadlowski)ら、1990年3月20日発行)、同第3,933,672号(バートレッタ(Bartoletta)ら、1976年1月20日発行)、同第4,136,045号(ゴールト(Gault)ら、1979年1月23日発行)、同第2,379,942号、同第3,308,067号、同特許第5,147,576号(モンタギュー(Montague)ら)、英国特許第1,470,250号、同第401,413号(マリオット(Marriott))、同第461,221号(マリオット(Marriott)及びグアム(Guam))、同特許第1,429,143号、並びに米国特許第4,762,645号(タッカー(Tucker)ら、1988年8月9日発行)に記載されている。
【0051】
可能な補助剤成分の一部の非限定的な例は以下の通りである。
【0052】
代表的な漂白添加剤には、過酸化水素、過ホウ酸塩、過炭酸塩、又は、6−フタルイミドペルオキシヘキサン酸などのペルオキシ酸、及びこれらの混合物などの漂白剤が挙げられる。
【0053】
好適なキレート剤には、S,S−エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、タイロン(Tiron)(登録商標)(カテコール−2,5−ジスルホン酸の酸自体又は水溶性塩としても知られる)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミンペンタアセテート(DTPA)、1−ヒドロキシエチリデン1,1ジホスホン酸(HEDP)、ジエチレントリアミンペンタ−メチレンホスホン酸(DTPMP)、ジピコリン酸、又はこれらの塩若しくは酸、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適なキレート化剤及び使用濃度のさらなる例は、米国特許第3,812,044号、同第4,704,233号、同第5,292,446号、同第5,445,747号、同第5,531,915号、同第5,545,352号、同第5,576,282号、同第5,641,739号、同第5,703,031号、同第5,705,464号、同第5,710,115号、同第5,710,115号、同第5,712,242号、同第5,721,205号、同第5,728,671号、同第5,747,440号、同第5,780,419号、同第5,879,409号、同第5,929,010号、同第5,929,018号、同第5,958,866号、同第5,965,514号、同第5,972,038号、同第6,172,021号、及び同第6,503,876号に記載されている。
【0054】
使用されてもよい好適なビルダーの例には、水溶性アルカリ金属のリン酸塩、ポリリン酸塩、ホウ酸塩、ケイ酸塩、及び炭酸塩;水溶性アミノポリカルボン酸塩;脂肪酸セッケン;水溶性フィチン酸塩;ポリカルボン酸塩;ゼオライト又はアルミノケイ酸塩、及びこれらの組合せが挙げられる。これらの具体例は、ナトリウム及びカリウムの三リン酸塩、ピロリン酸塩、オルトリン酸塩、6メタリン酸塩、4ホウ酸塩、ケイ酸塩、及び炭酸塩;メリト酸、クエン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸の水溶性塩、イタコン酸及びマレイン酸のポリマーの塩、酒石酸モノコハク酸塩と酒石酸ジコハク酸塩;及びこれらの混合物である。
【0055】
別の任意の補助剤成分は、増粘剤である。増粘剤の具体例には、レオロジー変性剤、構造化剤、及びこれらの混合物が挙げられる。本明細書で有用な構造化剤の具体例には、メチルセルロース、メトセル(Methocel)(登録商標)(ダウ・ケミカル(Dow Chemical)社の商品名)などのヒドロキシプロピルメチルセルロース、キサンタンガム、ジェランガム、グアーガム及びヒドロキシプロピルグアーガム、サクシノグリカン並びにトリヒドロキシステアリンが挙げられる。構造化剤の他の具体例には、非ポリマーヒドロキシ官能性構造化剤(nonpolymeric hydroxyfunctional structurants)が挙げられる。構造化剤は液体製品における所望のレオロジー特性を確立するために組成物に組み込まれる。これらの任意の補助剤が組成物に存在する場合、これらは所望の特性を提供する濃度で存在し、厳密には本明細書の組成物の約0.01重量%〜約1重量%、より厳密には約0.015重量%〜約0.75重量%、さらに厳密には0.02重量%〜0.5重量%である。
【0056】
非ポリマーヒドロキシ官能性構造化剤は、それらが液体マトリックス内でその場で結晶化されたときに、その液体マトリックス全体に渡って糸状構造系を形成できる非高分子結晶性ヒドロキシ官能性物質から選択される。そのような物質は、一般に、結晶性ヒドロキシル含有脂肪酸、脂肪酸エステル又は脂肪蝋として特徴付けできる。ヒドロキシル含有構造化剤の特に具体的で非限定的な例には、ヒマシ油及びその誘導体が挙げられる。より厳密には、硬化ひまし油及び水素添加キャスター蝋などの硬化ひまし油誘導体である。市販のヒマシ油系結晶性ヒドロキシル含有構造化剤には、チキシン(THIXCIN)(登録商標)(レオックス社(Rheox, Inc.))が挙げられる。米国特許第6,080,708号及びPCT国際公開特許WO02/40627号も参照されたい。別の市販の構造化剤は、R,R及びS,S形態での1,4−ジ−O−ベンジル−D−トレイトール並びに、光学活性な又は光学活性でないあらゆる混合物である。
【0057】
本明細書の洗剤組成物はまた、任意で本明細書の液体組成物のための相安定剤類及び/又は共溶媒類として機能する低濃度の物質を含有してもよい。この種の物質としては、メタノール、エタノール、及び/又はプロパノールなどのC〜C低級アルカノール類が挙げられる。モノ−、ジ−、及びトリエタノールアミン類のような低級C〜Cアルカノールアミン類もまた、それ自体で又は低級アルカノール類との組合せで使用可能である。存在する場合、相安定剤/共溶媒は、本明細書の組成物の約0.1重量%〜約5.0重量%で所望により含まれてもよい。
【0058】
液体キャリア−本発明による液体洗浄組成物はまた、液体キャリアを含有する。一般に、本明細書の組成物に存在する場合、液体キャリアの量は比較的多くなり、洗浄組成物の残部に含まれることが多いが、洗浄組成物の約5重量%〜約85重量%含まれ得る。低濃度のある実施形態では、洗浄組成物の5重量%〜20重量%の液体キャリアが利用される。
【0059】
別の実施形態では、本組成物は、該組成物の少なくとも約60重量%、より厳密には少なくとも65重量%、さらに厳密には少なくとも約70重量%、さらに一層厳密には少なくとも約75重量%の液体キャリアを含んでもよい。
【0060】
最もコスト的に有効な種類の水性非界面活性液体キャリアは言うまでもなく水自体である。1つの実施形態では、水は、存在する場合、蒸留水、脱イオン水、濾過水、及びこれらの組合せから選択される。別の実施形態では、水は処理されなくてもよい。
【0061】
任意の追加的酵素安定剤−1つの実施形態では、任意の追加的酵素安定剤が含まれてもよい。これらの任意の追加的酵素安定剤は、本明細書で記載される可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤、可逆性芳香族プロテアーゼ抑制剤、及びホウ酸誘導体、の他の既知の酵素安定剤を含む。これらの追加的な任意の酵素安定剤の具体例には、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物、低分子量カルボン酸塩、比較的疎水性の有機化合物(すなわち、特定のエステル、ジアルキルグリコールエーテル、アルコール、又はアルコールアルコキシラート)、カルシウムイオン供給源に添加されたアルキルエーテルカルボキシレート、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低級脂肪族アルコール及びカルボン酸、N,N−ビス(カルボキシメチル)セリン塩;(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステルコポリマー、及びPEG;リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸及びその塩;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N−ビス−3アミノ−プロピル−ドデシル−アミン又は塩;並びにこれらの混合物などのあらゆる既知の安定剤系が挙げられる。米国特許第3,600,319号(ゲッジ(Gedge)ら)、欧州特許公開第0199405A号(ヴェネガス(Venegas))、米国特許第3,519,570号もまた参照されたい。
【0062】
液体洗剤組成物の調製−液体洗剤組成物は、必要な濃度の成分を含有する組成物を提供するために、その必須成分及び任意成分をいかなる所望の順序でも混合することにより、調製され得る。本発明に従う液体組成物は「コンパクト型」にも存在することができ、そのような場合、本発明に従う液体洗剤組成物は従来の液体洗剤と比較して水分含量が少ない。
【0063】
可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤及びプロテアーゼ酵素は、液体洗剤組成物に個別に添加されるか、液体洗剤組成物に添加される前に一緒に予め混合されることができる。
【0064】
この液体洗剤組成物は、いかなる所望の色又は外見を有してもよく、すなわち、米国特許第6,630,437号(マーフィー(Murphy)ら、2003年10月7日発行)の組成物のように、不透明、半透明、又は透明であってもよい。本発明の目的のため、可視光範囲内のある波長が25%を超える透過性を有する限りにおいて、透明又は半透明であると見なされる。
【0065】
本発明による組成物は、いかなる好適なpHを有してもよく、厳密には約5.5〜約11のpH、より厳密には約6〜約9、さらに厳密には約6〜約8.5のpHを有してもよい。組成物のpHは、標準温度及び標準圧で、すなわち21℃及び1気圧で、原液として測定される。
【0066】
洗剤の包装−本発明による洗剤組成物は、標準的な包装で消費者に提供されてもよく、又はいかなる好適な包装で提供されてもよい。近年、分与又は統合される、複数の配合物を収容する複数の区画を有するボトルが、洗剤組成物用に使用されてきている。本発明の組成物は、このような包装に収容されるように配合されてもよい。さらに、1回用量包装もまた、洗剤組成物用に一般に使用されるようになってきている。このような包装も、本発明の組成物について使用するのに好適である。
【0067】
包装は、いかなる所望の色又は外見を有してもよく、すなわち、不透明、半透明、透明、又はこれらの組合せであってもよい。例示的ではあるが非限定的な包装は、米国特許第6,630,437号(マーフィー(Murphy)ら、2003年10月7日発行)に見出されうる。
【0068】
使用法−本発明はまた、布地の洗浄方法も提供する。このような方法は、これらの布地を、有効量の上記液体洗剤組成物から作った水性洗浄溶液と接触させることを採用する。洗浄溶液と布地を接触させることは攪拌条件下で通常生じる。
【0069】
攪拌は、良好な洗浄のために好ましくは洗濯機の中で行われる。好ましくは洗浄に続いて、ぬれた布地は従来の衣類乾燥機内で乾燥にかけられる。洗濯機内の水性洗浄溶液中の液体洗剤組成物の有効量は、典型的な欧州の洗浄条件下では、厳密には約500〜約10,000ppm、より厳密には約2,000〜約10,000ppmであってもよく、典型的な米国の洗浄条件下では、厳密には約1,000〜約3,000ppmであってもよい。米国のより新しい高効率(HE)洗濯機では、製品濃度がより高くなり、したがって洗浄溶液が担える汚れ量及び染料量(soil and dye-loads in the wash solution)はさらに多くなっている。したがって、製品濃度及び原料濃度は洗濯機の変化による洗浄条件のこうした変化に応じて調整される。
【実施例】
【0070】
実施例−表1及び2に記載の液体洗剤組成物により本発明を示す。
【表1】

ルテンジット(Lutensit)Z(BASF社)
ルテンゾールFP620(BASF社)
ルテンゾールPG105K(BASF社)
プロテアーゼ「B」(欧州特許第251446号)
構造式
【化13】

を有する可逆性プロテアーゼ抑制剤
PCT国際公開特許WO2002/18528A1号によるカチオン性シリコーン
アマコール(Amerchol)社から入手可能なカチオン性セルロースポリマー
【表2】

ルテンジットZ(BASF社)
ルテンゾールFP620(BASF社)
ルテンゾールPG105K(BASF社)
プロテアーゼ「B」(欧州特許第251446号)
アマコール社から入手可能なカチオン性セルロースポリマー
構造式
【化14】

を有する可逆性プロテアーゼ抑制剤
構造式
【化15】

を有する芳香族プロテアーゼ抑制剤
【0071】
「発明を実施するための最良の形態」で引用した全ての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であることを容認するものと解釈されるべきではない。本明細書における用語のいずれかの意味又は定義が、参照することにより組み込まれる文献における用語のいずれかの意味又は定義と対立する範囲においては、本明細書においてその用語に付与した意味又は定義を適用するものとする。
【0072】
本発明の組成物は、本発明の構成成分並びに本明細書で記載されるその他の成分を包含することができ、それらから本質的になることができ、又はそれらからなることができる。本明細書で使用するとき、「から本質的になる」とは、組成物又は構成成分が追加成分を包含してよいが、それら追加成分が特許請求される組成物又は方法の基本的及び新規な特徴を大きく変化させない場合に限ることを意味する。
【0073】
ここで記述される全ての百分率は、特に指定のない限り、重量百分率である。本明細書全体を通じて記載されているあらゆる最大数値限定には、それより小さいあらゆる数値限定が、そのようなより小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含まれると理解すべきである。本明細書全体を通じて記載される最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含む。本明細書全体を通じて記載される数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように含む。温度は、特に指定しない限り、全て摂氏(℃)である。
【0074】
以上、本発明の特定の実施形態について例示、説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び改変が可能である点は当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるかのような全ての変更及び修正を、付加された許請求の範囲でカバーするものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)界面活性剤と、
(b)プロテアーゼ酵素と、
(c)次式:
【化1】

{式中、Aはアミノ酸部分であり、Xは、H、電子求引基、及びこれらの混合物から選択され、Zは、次式:
【化2】

(式中、各R’は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、フェニル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキルアリール、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cシクロアルキル部分、及びこれらの混合物から独立に選択される)、及びこれらの混合物から選択される窒素キャッピング部分である}
の可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤と、
を含む液体洗剤組成物であって、
前記液体洗剤組成物が、該組成物の3重量%未満の有機ポリオール溶媒を含む、液体洗剤組成物。
【請求項2】
Aが、Ala、Gly、Val、Ile、Leu、Phe、Lys、PGly、Phe、HPhe、及びこれらの混合物から選択される1〜4種のアミノ酸を含むアミノ酸部分である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記窒素キャッピング部分が、次式:
【化3】

(式中、各R’は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、フェニル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキルアリール、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cシクロアルキル部分、及びこれらの混合物から独立に選択される)、
及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤が、次式:
【化4】

及びこれらの混合物から選択され、好ましくは前記可逆性ペプチドプロテアーゼが、次式:
【化5】

を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
ビルダー、光沢剤、移染防止剤、構造化剤、布地柔軟化添加剤、キレート剤、ポリアクリレートポリマー、分散剤、染料、香料、加工助剤、漂白添加剤、漂白活性化剤、漂白触媒、溶媒、非プロテアーゼ酵素、前記可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤(c)以外のプロテアーゼ抑制剤、汚れ放出ポリマー、及びこれらの混合物から選択される補助剤成分をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記補助剤成分が、非プロテアーゼ酵素であり、かつクチナーゼ、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、ペクチナーゼ、ペクテートリアーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ、マンナナーゼ、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、アミラーゼ、及びこれらの混合物から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記プロテアーゼ酵素が、セリンプロテアーゼから選択され、好ましくはサブチリシンプロテアーゼから選択され、より好ましくはサブチリシンBPN、サブチリシンBPN’、サブチリシンカールスバーグ、サブチリシン309、サブチリシン147、サブチリシン168、サブチリシンPP92、サブチリシンBLAP、サブチリシンK−16、これらの変異体、及びこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
(a)界面活性剤と、
(b)プロテアーゼ酵素と、
(c)酵素安定化系と、
を含む液体洗剤組成物であって、
前記酵素安定化系が、
次式:
【化6】

{式中、Aはアミノ酸部分であり、Xは、H、電子求引基、及びこれらの混合物から選択され、Zは、次式:
【化7】

(式中、各R’は、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、フェニル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキルアリール、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cシクロアルキル部分、及びこれらの混合物から独立に選択される)及びこれらの混合物から選択される窒素キャッピング部分である}
の第1の可逆性ペプチドプロテアーゼ抑制剤と、
次式:
【化8】

(式中、各Rは、ヒドロキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシ、及びこれらの混合物から独立に選択され、各Rは、水素、ヒドロキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルケニル、及びこれらの混合物から独立に選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシ、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルケニル、C(O)−R、及びこれらの混合物から選択され、Rは、水素、ヒドロキシル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルキル、直鎖又は分枝鎖、置換又は非置換のC〜Cアルコキシ、及びこれらの混合物から選択される)
の芳香族プロテアーゼ抑制剤と、
を含み、
前記液体洗剤組成物が、該組成物の3重量%未満の有機ポリオール溶媒を含む、液体洗剤組成物。
【請求項9】
(a)容器と、
(b)前記容器に保管された請求項8に記載の液体洗濯洗剤と、
を含む商品であって、
好ましくは前記容器が透明又は半透明である、商品。
【請求項10】
前記液体洗濯洗剤が透明又は半透明である、請求項9に記載の商品。

【公表番号】特表2009−537665(P2009−537665A)
【公表日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−511121(P2009−511121)
【出願日】平成19年6月5日(2007.6.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/013266
【国際公開番号】WO2007/145963
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】