酸化物半導体、酸化物半導体の製造方法、変位センサ
【課題】 空間的、時間的な精度を向上でき、かつ低コストな変位センサ、並びにそのための酸化物半導体およびその製造方法を提供する。
【解決手段】 複数の第一導線2と、各第一導線2に交差する複数の第二導線3とを設ける。第一導線2と第二導線3との交点にて上記両者に対し接続されたダイオード4を設ける。各第一導線2に対し、順次切り換えて検出用電圧を印加するための第一スイッチSW1と、各第二導線3の導通/非導通を、順次、切り換えるための第二スイッチSW11〜14とを設ける。各第二導線3からの上記検出用電圧を検出して、上記各交点の相互間の変位を検出・演算する検出部6および演算部7を設ける。ダイオード4は、銅−亜鉛合金を低温酸化して、形成された亜鉛酸化物を主とする第一層と銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜の酸化物半導体である。
【解決手段】 複数の第一導線2と、各第一導線2に交差する複数の第二導線3とを設ける。第一導線2と第二導線3との交点にて上記両者に対し接続されたダイオード4を設ける。各第一導線2に対し、順次切り換えて検出用電圧を印加するための第一スイッチSW1と、各第二導線3の導通/非導通を、順次、切り換えるための第二スイッチSW11〜14とを設ける。各第二導線3からの上記検出用電圧を検出して、上記各交点の相互間の変位を検出・演算する検出部6および演算部7を設ける。ダイオード4は、銅−亜鉛合金を低温酸化して、形成された亜鉛酸化物を主とする第一層と銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜の酸化物半導体である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低コストにて製造できる酸化物半導体、酸化物半導体の製造方法、建築・土木の分野における構造物の保全・安全管理に好適な変位センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国の道路トンネルの総数は6千箇所、総延長は2千kmに達している。このうちの大半は昭和30〜50年代に造られており、変状したトンネルを逐次維持補修していかないと、ある時期に達して一斉に各トンネルが破損して、大きな社会問題となる可能性を秘めている。
【0003】
現在、地下レーダを搭載したトンネル点検車が開発され、データを効率的に収集すると共に、炭素繊維シート等の最新の補修技術を取り入れた補修設計が数多く行われている(非特許文献1)。
【0004】
トンネルや橋脚やビルのような、大型の構造物、および車両や航空機のような移動用機械といった、やはり大型の構造物において、構造物中の亀裂の形成や、破壊・崩落の進展を可能な限り迅速かつ精度高く検出できることは、事故発生やその被害拡大を抑制するために欠かすことができないものである。
【0005】
近年、大型の構造物に対する、亀裂や損傷の発生に基づく大規模な災害や事故を回避するために、種々なスマートマテリアルや早期検出方法が提案されつつある。すなわち、亀裂の進展に伴い信号を放出させて上記亀裂の進展を検出する方法、化学的・物理的反応による亀裂進展を抑制する方法、さらには修復する機能を構造物の材料に付与する方法といったものが開発されつつある。
【0006】
従来、既に施行されている大型の構造物の亀裂や破壊の検出としては、目視や音響的手段、または敷設した光ファイバや導線の変形や断線を検出しているのが現状である。
【非特許文献1】応用地質株式会社のホームページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来では、微細な亀裂を検出できる空間的分解能を期待できず、また、瞬時に生じるカタストロフィックな破壊進展を検出するには十分な時間的分解能が得られず、上記検出が不十分であるという問題点を生じている。
【0008】
つまり、破壊力学的観点からは、長さ数cm程度、幅数mm程度の亀裂の発生・進展の検出が重要であるが、上述の従来の方法においては、このような微細な亀裂の発生を検出できる空間的分解能は得られない。また、上記従来の方法では、繰り返される各検査期間も非常に長く(数日から数週間)、瞬時に生じるカタストロフィックな破壊進展を検出するには十分な時間的分解能が得られず、上記検出が不十分となっていて、大型の構造物における、事故発生やその被害拡大を抑制できなかった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分な、空間的分解能および時間的分解能を備え、かつ低コスト化できる変位センサ、その変位センサのための酸化物半導体並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る酸化物半導体は、上記課題を解決するために、銅−亜鉛合金上に、亜鉛酸化物を主とする第一層と、銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜が、整流作用を有するように形成されていることを特徴としている。上記の亜鉛酸化物を主とするとは、亜鉛酸化物を50モル%超えて含有することを意味し、上記銅酸化物を主とするとは、銅酸化物を50モル%超えて含有することを意味する。また、上記銅酸化物は、CuOが主であるが、Cu2Oを含んでいてもよい。
【0011】
上記構成によれば、銅−亜鉛合金を低温酸化することで、銅−亜鉛合金上に、亜鉛酸化物を主とする第一層と、銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜が整流作用を有するように形成できるから、上記二層構造膜の形成を低コスト化することが可能となる。
【0012】
上記酸化物半導体では、前記二層構造膜は、前記第一層上に前記第二層を備えていると想定される。上記酸化物半導体においては、前記第一層がn型半導体、前記第二層がp型半導体であると想定される。
【0013】
本発明に係る酸化物半導体の製造方法は、前記課題を解決するために、銅−亜鉛合金を低温酸化して、上記銅−亜鉛合金上に、整流作用を有する銅酸化物−亜鉛酸化物の二層構造膜を形成することを特徴としている。
【0014】
上記製造方法では、前記低温酸化を、大気中、400℃以上、600℃以下にて、3分間以上、45分間以下にて行うことが好ましい。前記低温酸化の温度としては、好ましくは420℃以上、より好ましくは450℃以上、また、望ましくは580℃以下、より望ましくは550℃以下である。一方、前記低温酸化の時間としては、好ましくは4分間以上、より好ましくは5分間以上、また、望ましくは40分間以下、より望ましくは30分間以下である。
【0015】
上記方法によれば、二層構造膜を低温酸化により簡便に形成できるので、整流作用を有する酸化物半導体を安価に製造できる。
【0016】
本発明に係る変位センサは、前記課題を解決するために、複数の第一導線と、上記各第一導線に交差する、複数の第二導線と、上記第一導線と第二導線との交点にて上記両者に対し接続されたダイオードと、上記各第一導線に対し、順次切り換えて検出用電圧を印加するための第一スイッチと、上記各第二導線の導通/非導通を、順次、切り換えるための第二スイッチと、上記各第二導線からの上記検出用電圧を検出して、上記各交点の相互間の変位を検出・演算する検出・演算部と、を有していることを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、複数の第一導線と、上記各第一導線に交差する、複数の第二導線とにより、上記各交点を二次元的に配置でき、また、上記第一導線と第二導線との交点にて上記両者に対し接続されたダイオードを設けたことにより、例えば上記ダイオードのアノードを第一導線に、そのカソードを第二導線に接続することで、第二導線から第一導線への電気の逆流を防止できる。
【0018】
これにより、上記構成は、例えば、第二スイッチにより一つの第二導線を導通状態とし、第一スイッチにより各第一導線に対し順次切り換えて検出用電圧を印加し、続いて、上記一つの第二導線の次に第二導線を導通状態となるように切り換えて、また、第一スイッチにより各第一導線に対し順次切り換えて検出用電圧を印加することを順次繰り返す走査を行うことで、上記各交点での導通破壊や、その近傍での第一または第二導線の断線をそれぞれ検出できる。
【0019】
その上、複数の第一導線と、上記各第一導線に交差する、複数の第二導線とを、それぞれ、例えば1cm程度の間隔にて配置できるので、十分な空間的分解能を付与でき、さらに、第一スイッチの切り換えを1ミリ秒単位にて実行することが容易に可能なことから、例えば1cm程度の間隔の各第一導線と各第二導線とを1m四方にて設けた場合、上記全ての交点の走査が10秒程度にて完了するので、十分な時間的分解能を付与することが可能となり、空間的分解能および時間的分解能に優れた変位センサが得られる。
【0020】
上記変位センサにおいては、さらに、前記第一スイッチおよび第二スイッチの切り換えをそれぞれ制御すると共に、上記第一スイッチおよび第二スイッチの切り換え情報を前記検出・演算部に出力する制御部を有していることが望ましい。
【0021】
上記変位センサでは、前記ダイオードは、前記第一導線から第二導線に対し導通状態にて上記第一導線および第二導線を互いに接続していてもよい。
【0022】
上記変位センサにおいては、前記各第二導線は前記銅−亜鉛合金を有し、前記ダイオードは、上記の何れかに記載の二層構造膜であることが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、上記ダイオードを低温酸化にて簡便な方法にて得られるため、低コスト化できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る酸化物半導体は、以上のように、銅−亜鉛合金上に、亜鉛酸化物を主とする第一層と、銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜が、整流作用を有するように形成されている構成である。
【0025】
それゆえ、上記構成は、銅−亜鉛合金を低温酸化することで、銅−亜鉛合金上に、亜鉛酸化物を主とする第一層と、銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜が整流作用を有するように形成できるから、上記二層構造膜の形成を低コスト化することが可能となるという効果を奏する。
【0026】
本発明に係る酸化物半導体の製造方法は、以上のように、銅−亜鉛合金を低温酸化して、上記銅−亜鉛合金上に、整流作用を有する銅酸化物−亜鉛酸化物の二層構造膜を形成する方法である。
【0027】
上記方法によれば、二層構造膜を低温酸化により簡便に形成できるので、整流作用を有する酸化物半導体を安価に製造できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(実施の第一形態)
本発明の実施の第一形態に係る変位センサでは、図1に示すように、コード状の複数の第一導線2と、各第一導線2に対しそれぞれ交差(好ましくは直交)する、コード状の複数の第二導線3とが、マトリックス状または格子状にそれぞれ配置されて設けられている。互いに隣り合う各第一導線2は互いに略平行となるように設定されていることが好ましい。また、互いに隣り合う各第二導線3も互いに略平行となるように設定されていることが望ましい。
【0029】
各第一導線2の素材としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)およびそれらの合金が挙げられる。各第二導線3の素材としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)およびそれらの合金が挙げられ、特に、後述する銅−亜鉛(Zn)合金、つまり黄銅が低コスト化できて好ましい。
【0030】
また、上記変位センサにおいては、各第一導線2と各第二導線3との各交点にて上記交点での上記両者に対しダイオード4が、そのアノード側を上記第一導線2に、カソード側を第二導線3に接続されてそれぞれ取り付けられている。よって、上記ダイオード4は、交点での前記第一導線から第二導線に対し導通状態にて上記第一導線および第二導線を互いに接続していてもよい。上記ダイオード4としては、後述する本発明の酸化物半導体、またはその製造方法にて得られたものを用いることが低コスト化できて好ましい。
【0031】
なお、上記ダイオード4は、上記とは逆に、ダイオード4のカソード側を上記第一導線2に、アノード側を第二導線3に接続されてそれぞれ取り付けられても、センサとして機能させることが可能である。
【0032】
さらに、上記変位センサでは、各第一導線2に対し、順次切り換えて検出用電圧(Vcc)を印加するための第一スイッチSW1が設けられている。第一スイッチSW1には、抵抗Rを介して検出用電圧(Vcc)が印加されている。検出用電圧(Vcc)は、上記ダイオード4の降伏電圧より小さい電圧値に設定されている。
【0033】
その上、上記変位センサにおいては、各第二導線3の導通/非導通を、順次、切り換えるための第二スイッチSW11〜14が、第二導線3毎にそれぞれ取り付けられており、上記各第二導線3からの上記検出用電圧をそれぞれ検出する検出部6と、上記各交点の相互間の変位を上記検出用電圧の有無、第一スイッチSW1の切り換えタイミングおよび第二スイッチSW11〜14の何れが導通状態かにより演算する演算部7とが設けられている。
【0034】
さらに、上記変位センサでは、第一スイッチSW1および各第二スイッチSW11〜14の切り換えをそれぞれ制御すると共に、上記第一スイッチSW1および各第二スイッチSW11〜14の切り換えタイミング(情報)を前記検出部6および演算部7に出力する制御部5が設けられている。上記制御部5や演算部7については、マイクロコンピュータ、その動作を制御するためのプログラムを格納したROM、および制御や演算のためメモリとなるRAMにより構成できる。また、上記変位センサでは、上記演算部7からの演算結果を画像にて表示する液晶表示装置といった表示部8や、図示しないが各交点間の距離(変位)が所定値より大きくなったとき、警告を発するアラーム部を設けてもよい。
【0035】
次に、本発明に係る変位センサに関する作用・効果について説明する。上記構成によれば、複数の第一導線2と、上記各第一導線2に対しそれぞれ交差する複数の第二導線3とにより、交差する上記両者の各交点を二次元的に配置でき、また、第一導線2と第二導線3との交点にて上記両者に対し接続されたダイオード4を設けたことにより、第二導線3から第一導線2への電気の逆流を防止できる。
【0036】
これにより、上記構成は、例えば、第二スイッチSW11により一つの第二導線3(D0)を導通状態とし、第一スイッチSW1により各第一導線2に対し順次切り換えて検出用電圧を印加し、続いて、上記一つの第二導線3(D0)の次の第二導線(D1)を導通状態となるように切り換えて、また、第一スイッチSW1により各第一導線2に対し順次切り換えて検出用電圧を印加することを順次、D2、D3と繰り返す走査を行うことで、上記各交点での導通破壊や、その近傍での第一導線2または第二導線3の断線をそれぞれ検出できる。
【0037】
その上、互いに隣り合う各第一導線2の間隔と、各第一導線2にそれぞれ交差する複数の各第二導線3の間隔とを、それぞれ、例えば1cm程度の間隔にて配置できるので、十分な空間的分解能を付与でき、さらに、第一スイッチSW1の切り換えを1ミリ秒単位にて実行することが容易に可能なことから、例えば1cm程度の間隔の各第一導線2と各第二導線3とを1m四方にて設けた場合、互いに隣り合う交点間の走査間隔を0.01秒とすると、上記各交点(結節点)の全てを、少なくとも10秒間隔にて走査(検出)することができる。
【0038】
これらは、従来と比べて、隔絶して高い空間的分解能および時間的分解能であり、上記変位センサにて、大型構造物の被検査物表面を覆うことで、リアルタイムにて上記被検査表面の破壊を検出できる。本発明の変位センサの検出対象としては、構造物の亀裂、隆起、陥没といった表面での変位が挙げられ、さらに上記被検査物が第一導線2、第二導線3より伸び縮みするものであれば、その表面の伸縮の程度といった変位も挙げられる。
【0039】
さらに、本発明の変位センサは、演算部7からの結果を、ローカルエリアネットワークや電話線といったネットワーク等と組み合わせることで、上記変位センサを設置した遠隔地での被検査物表面の状況をリアルタイムにて把握でき、前述の大型構造物における健全性のモニタリング、飛行機や車両や宇宙機器などの大型移動機械における健全性のモニタリング、また、震災や台風や津波などの災害後における建築物などの健全性評価の迅速化にも好適に利用できる。
【0040】
(実施の第二形態)
続いて、上記ダイオード4に好適な本発明に係る実施の第二形態の酸化物半導体について、その製造方法に基づいて説明する。まず、上記製造方法では、銅−亜鉛合金を低温酸化(500℃、5分間)して、上記銅−亜鉛合金上に、整流作用を有する銅酸化物−亜鉛酸化物の二層構造膜を本発明に係る酸化物半導体として形成する。
【0041】
次に、上記低温酸化の各条件について検討した。まず、黄銅(Cuが65重量%、Znが35重量%、ニラコ製)を、水冷切断して試料とした後、その試料の表面を研磨材(例えば紙ヤスリである#1000のエメリー紙)にて研磨し、洗浄剤(例えばメチルアルコール)にて洗浄し、その試料を目標温度に加熱したアルミナボードに載せ、横型管状炉(内径50mm、全長600mm、一端開放)の中心付近に静置して、下記の各温度条件にてそれぞれ低温酸化処理した。なお、酸化時間は、全て5分間とした。
【0042】
各温度条件は、No.1が450℃、No.2が480℃、No.3が500℃、No.4が520℃、No.5が550℃、No.6が未処理(比較例)である。ただし、試料設置時に、アルミナボード温度が若干低下するため、炉内温度は目標温度より最大8℃程度低下し、取り出し時でも目標温度に比べて3℃程度低かった。
【0043】
酸化処理後および未処理の各試料について、その表面特性を調べた。その分析方法は、ボルタンメトリー法(6NKOH+1MLiOH)を用い、浸漬電位から−1.9Vまで、10mV/sの掃引速度で掃引し、その測定領域は、1.0cm2とした。ボルタンメトリー法とは、適当な電解槽を使って、参照電極に対する作用電極(指示電極、本実施の形態では各試料)の電位と補助電極(対極)との間に流れる電流との関係を調べる方法である。よって、本実施の形態においては、試料の表面での酸化−還元系つまり酸化物の状態を上記ボルタンメトリー法により調べることができる。それらの測定(分析)結果を、図2ないし図9に示す。また、それらの測定結果から、1cm2当たりに生成したCuO、ZnOの重量を算出し、それらの結果を表1に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
また、試料No.4のダイオード特性を、その表面側から印加する電圧を4Vから−5Vに順次変化させて、流れる電流値を測定して調べた。その結果を、図10に示した。さらに、前記黄銅を、同様に切り出し、酸化温度450℃にて30分間、低温酸化処理した試料No.7を作製し、その試料No.7のダイオード特性も同様に調べた。その結果を図11に示した。
【0046】
図2ないし図9並びに表1の結果から、黄銅は、低温酸化処理により、その表面部分にZnO(亜鉛酸化物)を主とする第一層と、CuO(銅酸化物)を主とする第二層とを備えていると想定された。また、図10および図11の結果から、黄銅は、低温酸化処理により、その表面部分にダイオード特性を示す二層構造膜を有し、また、上記ダイオード特性から、表面側がp型半導体層であり、その内側がn型半導体層であると想定され、また、第一層の上に第二層が形成されているもの(ただし、上記両者間の境界は明確なものではなく、上記両者間を連続的に変化しているもの)と想定された。
【0047】
上記の各結果から、上記低温酸化は、大気中、400℃以上、600℃以下にて、3分間以上、45分間以下にて行うことが好ましい。前記低温酸化の温度としては、好ましくは420℃以上、より好ましくは450℃以上、また、望ましくは580℃以下、より望ましくは550℃以下である。一方、前記低温酸化の時間としては、好ましくは4分間以上、より好ましくは5分間以上、また、望ましくは40分間以下、より望ましくは30分間以下であることが分かる。
【0048】
また、銅−亜鉛合金は、一般に、黄銅と呼称されるものであり、銅−亜鉛合金中のZn濃度が45%以下のものであればよいが、加工性に優れているので、Zn濃度が35%以下のものが好ましい。また、銅−亜鉛合金では、Zn濃度が10%以上であればよいが、酸化物半導体の形成には、20%以上が望ましい。さらに、銅−亜鉛合金においては、必要に応じて、耐食性改善のためにAl、Niなど、強度上昇のためにはMn、Feなどを添加してもよい。
【0049】
上記方法によれば、酸化物半導体となる二層構造膜を低温酸化により簡便に形成できるので、整流作用を有する酸化物半導体を安価に製造できる。
【0050】
(実施の第三形態)
以下に、本発明に係る酸化物半導体の製造方法における他の例を実施の第三形態として説明する。まず、銅−亜鉛合金を、コード線状に成形し、そのコード状の銅−亜鉛合金の外周面に対し、耐熱性および電気絶縁性に優れた被覆材としての合成樹脂、例えば難燃性ポリエチレンにより外部と電気絶縁性を備えるように被覆する。上記耐熱性に優れたとは、大気中下にて600℃の雰囲気下にて30分間程度曝されても、その物性に大きな変化を示さない(実用上支障が無い程度の)ものをいう。
【0051】
その後、被覆されたコード状の銅−亜鉛合金に対し、例えば1cm間隔にて被覆を2−3mm程度にてそれぞれ直線上となるように除去し、その除去した部分にて銅−亜鉛合金をそれぞれ露出させる。
【0052】
次に、一部の被覆が除去されたコード状の銅−亜鉛合金を、前述した低温酸化して、露出した部分の銅−亜鉛合金上に、前述した整流作用を有する銅酸化物−亜鉛酸化物の二層構造膜を本発明に係る酸化物半導体として形成する。
【0053】
上記方法では、銅−亜鉛合金上の所望する位置に、本発明の酸化物半導体を低コストにて簡便に形成できる。
【0054】
なお、上記実施の第三形態では、コード状の銅−亜鉛合金の外周面を、被覆した後、一部の被覆を除去して低温酸化した例を挙げたが、線状の銅−亜鉛合金の表面を、まず低温酸化して、上記表面にダイオードを形成し、その後、その表面を被覆してもよい。この場合は、被覆した線状の銅−亜鉛合金の各末端部に露出した銅−亜鉛合金の表面を研磨により、そのダイオード部分を除去すればよい。この場合、被覆材としては、通常の使用時(100℃以下)に耐え得る耐熱性を備えていればよい。
【0055】
(実施の第四形態)
続いて、本発明の変位センサにおける製造方法の一例を実施の第四形態として説明する。まず、銅(Cu)を用いてコード状に成形し、そのコード状の銅の外周面を合成樹脂にて被覆する。その後、その被覆を、等間隔、例えば1cm間隔にて、上記間隔の2〜3割程度にてそれぞれ直線上となるように除去してものを第一導線2として作製する。
【0056】
一方、第二導線3として、前記の実施の第三形態に示したものを用いる。複数の第一導線2と、複数の第二導線3とを、互いに隣り合う各第一導線2の間隔、および互いに隣り合う各第二導線3の間隔を、それらの被覆が除去された間隔例えば1cmにて格子状に、かつ、被覆除去部分を当接するように配置する。
【0057】
そのような格子状に配置された各第一導線2および各第二導線3を、可撓性、伸縮性、電気絶縁性および耐候性に優れたシート状の一対の各樹脂フィルムで挟み込み、上記各樹脂フィルム間に固定する。このようなシート状の各第一導線2および各第二導線3に対して、前述の第一スイッチSW1、各第二スイッチSW11〜14、制御部5、検出部6、および演算部7を取り付けて、本発明に係る実施の第四形態の変位センサが得られる。
【0058】
このような変位センサは、軽量であるから、被検査物表面に容易に張り付けて固定できて、上記被検査物表面のモニタリングを簡便化および低コスト化できる。
【0059】
また、上記変位センサに対し、RFIDタグの技術を適用することも可能である。RFIDタグの技術を適用した変位センサでは、RFIDタグを損傷検出用のアンテナとして使用できるよう、送受信のためのICチップと、アンテナとしてのコイルとの間の一部を切り離し、その切り離した部分にコネクタ等の接続手段を設ける等の加工を施しておき、その接続手段に、前述のVccにて示される電源線の端子と前述の各第二導線3(D0、D1、D2、D3)の各端子とにそれぞれ接続すればよい。
【0060】
このような変位センサにおいては、送受信装置から電波を上記アンテナとしてのコイルに送信すると、コイル内に微電流が発生し、ICチップ内の情報を送受信装置に送り返すという特性を利用して、上記コイルの一部が前述の電源線の端子と前述の各第二導線3の各端子とに接続されている。このような変位センサでは、上記コイルと前述の電源線および前述各第二導線3との間において、上記微電流が流れるループを生じていて、損傷に至る変位により前述のダイオード4が断線すると、上記ループ内の微電流が流れなくなることから、上記変位、しいては損傷を予測したり、計測したりできる。
【0061】
さらに、本発明の変位センサは、ビルや橋といった構造物内に組み込むことにより、上記構造物に生じる歪を、それが小さい段階にて検出できて、自己診断機能を上記構造物に付与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の酸化物半導体を用いた、本発明に係る変位センサは、変位の検出において、十分な時間的分解能、および十分な空間的分解能を確保できると共に、低コスト化できるので、トンネル、橋脚、ビルといった大型構造物、車両、航空機のような大型の移動用機械といった大型構造物に対する、亀裂形成や破壊発生の精度良く検出できて、上記大型構造物の保全管理の分野に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る変位センサの回路ブロック図である。
【図2】本発明に係る酸化物半導体の試料No.1のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図3】本発明に係る酸化物半導体の試料No.2のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図4】本発明に係る酸化物半導体の試料No.3のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明に係る酸化物半導体の試料No.4のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図6】本発明に係る酸化物半導体の試料No.5のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図7】比較例となる酸化物半導体の試料No.6のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図8】上記各試料No.1〜6の各測定結果を合わせて示すグラフであり、(a)は全体を合わせたものであり、(b)はCuO、Cu2Oを示す部分を拡大して示すものである。
【図9】上記各試料No.1〜6の各測定結果を合わせ、ZnOを示す部分を拡大して示すグラフである。
【図10】上記試料No.4のダイオード特性を示すグラフである。
【図11】本発明に係る酸化物半導体の試料No.7のダイオード特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0064】
2 第一導線
3 第二導線
4 ダイオード(酸化物半導体)
5 制御部
6 検出部(検出・演算部)
7 演算部(検出・演算部)
SW1 第一スイッチ
SW11〜14 第二スイッチ
【技術分野】
【0001】
本発明は、低コストにて製造できる酸化物半導体、酸化物半導体の製造方法、建築・土木の分野における構造物の保全・安全管理に好適な変位センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
我が国の道路トンネルの総数は6千箇所、総延長は2千kmに達している。このうちの大半は昭和30〜50年代に造られており、変状したトンネルを逐次維持補修していかないと、ある時期に達して一斉に各トンネルが破損して、大きな社会問題となる可能性を秘めている。
【0003】
現在、地下レーダを搭載したトンネル点検車が開発され、データを効率的に収集すると共に、炭素繊維シート等の最新の補修技術を取り入れた補修設計が数多く行われている(非特許文献1)。
【0004】
トンネルや橋脚やビルのような、大型の構造物、および車両や航空機のような移動用機械といった、やはり大型の構造物において、構造物中の亀裂の形成や、破壊・崩落の進展を可能な限り迅速かつ精度高く検出できることは、事故発生やその被害拡大を抑制するために欠かすことができないものである。
【0005】
近年、大型の構造物に対する、亀裂や損傷の発生に基づく大規模な災害や事故を回避するために、種々なスマートマテリアルや早期検出方法が提案されつつある。すなわち、亀裂の進展に伴い信号を放出させて上記亀裂の進展を検出する方法、化学的・物理的反応による亀裂進展を抑制する方法、さらには修復する機能を構造物の材料に付与する方法といったものが開発されつつある。
【0006】
従来、既に施行されている大型の構造物の亀裂や破壊の検出としては、目視や音響的手段、または敷設した光ファイバや導線の変形や断線を検出しているのが現状である。
【非特許文献1】応用地質株式会社のホームページ
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来では、微細な亀裂を検出できる空間的分解能を期待できず、また、瞬時に生じるカタストロフィックな破壊進展を検出するには十分な時間的分解能が得られず、上記検出が不十分であるという問題点を生じている。
【0008】
つまり、破壊力学的観点からは、長さ数cm程度、幅数mm程度の亀裂の発生・進展の検出が重要であるが、上述の従来の方法においては、このような微細な亀裂の発生を検出できる空間的分解能は得られない。また、上記従来の方法では、繰り返される各検査期間も非常に長く(数日から数週間)、瞬時に生じるカタストロフィックな破壊進展を検出するには十分な時間的分解能が得られず、上記検出が不十分となっていて、大型の構造物における、事故発生やその被害拡大を抑制できなかった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、十分な、空間的分解能および時間的分解能を備え、かつ低コスト化できる変位センサ、その変位センサのための酸化物半導体並びにその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る酸化物半導体は、上記課題を解決するために、銅−亜鉛合金上に、亜鉛酸化物を主とする第一層と、銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜が、整流作用を有するように形成されていることを特徴としている。上記の亜鉛酸化物を主とするとは、亜鉛酸化物を50モル%超えて含有することを意味し、上記銅酸化物を主とするとは、銅酸化物を50モル%超えて含有することを意味する。また、上記銅酸化物は、CuOが主であるが、Cu2Oを含んでいてもよい。
【0011】
上記構成によれば、銅−亜鉛合金を低温酸化することで、銅−亜鉛合金上に、亜鉛酸化物を主とする第一層と、銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜が整流作用を有するように形成できるから、上記二層構造膜の形成を低コスト化することが可能となる。
【0012】
上記酸化物半導体では、前記二層構造膜は、前記第一層上に前記第二層を備えていると想定される。上記酸化物半導体においては、前記第一層がn型半導体、前記第二層がp型半導体であると想定される。
【0013】
本発明に係る酸化物半導体の製造方法は、前記課題を解決するために、銅−亜鉛合金を低温酸化して、上記銅−亜鉛合金上に、整流作用を有する銅酸化物−亜鉛酸化物の二層構造膜を形成することを特徴としている。
【0014】
上記製造方法では、前記低温酸化を、大気中、400℃以上、600℃以下にて、3分間以上、45分間以下にて行うことが好ましい。前記低温酸化の温度としては、好ましくは420℃以上、より好ましくは450℃以上、また、望ましくは580℃以下、より望ましくは550℃以下である。一方、前記低温酸化の時間としては、好ましくは4分間以上、より好ましくは5分間以上、また、望ましくは40分間以下、より望ましくは30分間以下である。
【0015】
上記方法によれば、二層構造膜を低温酸化により簡便に形成できるので、整流作用を有する酸化物半導体を安価に製造できる。
【0016】
本発明に係る変位センサは、前記課題を解決するために、複数の第一導線と、上記各第一導線に交差する、複数の第二導線と、上記第一導線と第二導線との交点にて上記両者に対し接続されたダイオードと、上記各第一導線に対し、順次切り換えて検出用電圧を印加するための第一スイッチと、上記各第二導線の導通/非導通を、順次、切り換えるための第二スイッチと、上記各第二導線からの上記検出用電圧を検出して、上記各交点の相互間の変位を検出・演算する検出・演算部と、を有していることを特徴としている。
【0017】
上記構成によれば、複数の第一導線と、上記各第一導線に交差する、複数の第二導線とにより、上記各交点を二次元的に配置でき、また、上記第一導線と第二導線との交点にて上記両者に対し接続されたダイオードを設けたことにより、例えば上記ダイオードのアノードを第一導線に、そのカソードを第二導線に接続することで、第二導線から第一導線への電気の逆流を防止できる。
【0018】
これにより、上記構成は、例えば、第二スイッチにより一つの第二導線を導通状態とし、第一スイッチにより各第一導線に対し順次切り換えて検出用電圧を印加し、続いて、上記一つの第二導線の次に第二導線を導通状態となるように切り換えて、また、第一スイッチにより各第一導線に対し順次切り換えて検出用電圧を印加することを順次繰り返す走査を行うことで、上記各交点での導通破壊や、その近傍での第一または第二導線の断線をそれぞれ検出できる。
【0019】
その上、複数の第一導線と、上記各第一導線に交差する、複数の第二導線とを、それぞれ、例えば1cm程度の間隔にて配置できるので、十分な空間的分解能を付与でき、さらに、第一スイッチの切り換えを1ミリ秒単位にて実行することが容易に可能なことから、例えば1cm程度の間隔の各第一導線と各第二導線とを1m四方にて設けた場合、上記全ての交点の走査が10秒程度にて完了するので、十分な時間的分解能を付与することが可能となり、空間的分解能および時間的分解能に優れた変位センサが得られる。
【0020】
上記変位センサにおいては、さらに、前記第一スイッチおよび第二スイッチの切り換えをそれぞれ制御すると共に、上記第一スイッチおよび第二スイッチの切り換え情報を前記検出・演算部に出力する制御部を有していることが望ましい。
【0021】
上記変位センサでは、前記ダイオードは、前記第一導線から第二導線に対し導通状態にて上記第一導線および第二導線を互いに接続していてもよい。
【0022】
上記変位センサにおいては、前記各第二導線は前記銅−亜鉛合金を有し、前記ダイオードは、上記の何れかに記載の二層構造膜であることが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、上記ダイオードを低温酸化にて簡便な方法にて得られるため、低コスト化できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る酸化物半導体は、以上のように、銅−亜鉛合金上に、亜鉛酸化物を主とする第一層と、銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜が、整流作用を有するように形成されている構成である。
【0025】
それゆえ、上記構成は、銅−亜鉛合金を低温酸化することで、銅−亜鉛合金上に、亜鉛酸化物を主とする第一層と、銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜が整流作用を有するように形成できるから、上記二層構造膜の形成を低コスト化することが可能となるという効果を奏する。
【0026】
本発明に係る酸化物半導体の製造方法は、以上のように、銅−亜鉛合金を低温酸化して、上記銅−亜鉛合金上に、整流作用を有する銅酸化物−亜鉛酸化物の二層構造膜を形成する方法である。
【0027】
上記方法によれば、二層構造膜を低温酸化により簡便に形成できるので、整流作用を有する酸化物半導体を安価に製造できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(実施の第一形態)
本発明の実施の第一形態に係る変位センサでは、図1に示すように、コード状の複数の第一導線2と、各第一導線2に対しそれぞれ交差(好ましくは直交)する、コード状の複数の第二導線3とが、マトリックス状または格子状にそれぞれ配置されて設けられている。互いに隣り合う各第一導線2は互いに略平行となるように設定されていることが好ましい。また、互いに隣り合う各第二導線3も互いに略平行となるように設定されていることが望ましい。
【0029】
各第一導線2の素材としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)およびそれらの合金が挙げられる。各第二導線3の素材としては、導電性を有するものであれば特に限定されないが、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)およびそれらの合金が挙げられ、特に、後述する銅−亜鉛(Zn)合金、つまり黄銅が低コスト化できて好ましい。
【0030】
また、上記変位センサにおいては、各第一導線2と各第二導線3との各交点にて上記交点での上記両者に対しダイオード4が、そのアノード側を上記第一導線2に、カソード側を第二導線3に接続されてそれぞれ取り付けられている。よって、上記ダイオード4は、交点での前記第一導線から第二導線に対し導通状態にて上記第一導線および第二導線を互いに接続していてもよい。上記ダイオード4としては、後述する本発明の酸化物半導体、またはその製造方法にて得られたものを用いることが低コスト化できて好ましい。
【0031】
なお、上記ダイオード4は、上記とは逆に、ダイオード4のカソード側を上記第一導線2に、アノード側を第二導線3に接続されてそれぞれ取り付けられても、センサとして機能させることが可能である。
【0032】
さらに、上記変位センサでは、各第一導線2に対し、順次切り換えて検出用電圧(Vcc)を印加するための第一スイッチSW1が設けられている。第一スイッチSW1には、抵抗Rを介して検出用電圧(Vcc)が印加されている。検出用電圧(Vcc)は、上記ダイオード4の降伏電圧より小さい電圧値に設定されている。
【0033】
その上、上記変位センサにおいては、各第二導線3の導通/非導通を、順次、切り換えるための第二スイッチSW11〜14が、第二導線3毎にそれぞれ取り付けられており、上記各第二導線3からの上記検出用電圧をそれぞれ検出する検出部6と、上記各交点の相互間の変位を上記検出用電圧の有無、第一スイッチSW1の切り換えタイミングおよび第二スイッチSW11〜14の何れが導通状態かにより演算する演算部7とが設けられている。
【0034】
さらに、上記変位センサでは、第一スイッチSW1および各第二スイッチSW11〜14の切り換えをそれぞれ制御すると共に、上記第一スイッチSW1および各第二スイッチSW11〜14の切り換えタイミング(情報)を前記検出部6および演算部7に出力する制御部5が設けられている。上記制御部5や演算部7については、マイクロコンピュータ、その動作を制御するためのプログラムを格納したROM、および制御や演算のためメモリとなるRAMにより構成できる。また、上記変位センサでは、上記演算部7からの演算結果を画像にて表示する液晶表示装置といった表示部8や、図示しないが各交点間の距離(変位)が所定値より大きくなったとき、警告を発するアラーム部を設けてもよい。
【0035】
次に、本発明に係る変位センサに関する作用・効果について説明する。上記構成によれば、複数の第一導線2と、上記各第一導線2に対しそれぞれ交差する複数の第二導線3とにより、交差する上記両者の各交点を二次元的に配置でき、また、第一導線2と第二導線3との交点にて上記両者に対し接続されたダイオード4を設けたことにより、第二導線3から第一導線2への電気の逆流を防止できる。
【0036】
これにより、上記構成は、例えば、第二スイッチSW11により一つの第二導線3(D0)を導通状態とし、第一スイッチSW1により各第一導線2に対し順次切り換えて検出用電圧を印加し、続いて、上記一つの第二導線3(D0)の次の第二導線(D1)を導通状態となるように切り換えて、また、第一スイッチSW1により各第一導線2に対し順次切り換えて検出用電圧を印加することを順次、D2、D3と繰り返す走査を行うことで、上記各交点での導通破壊や、その近傍での第一導線2または第二導線3の断線をそれぞれ検出できる。
【0037】
その上、互いに隣り合う各第一導線2の間隔と、各第一導線2にそれぞれ交差する複数の各第二導線3の間隔とを、それぞれ、例えば1cm程度の間隔にて配置できるので、十分な空間的分解能を付与でき、さらに、第一スイッチSW1の切り換えを1ミリ秒単位にて実行することが容易に可能なことから、例えば1cm程度の間隔の各第一導線2と各第二導線3とを1m四方にて設けた場合、互いに隣り合う交点間の走査間隔を0.01秒とすると、上記各交点(結節点)の全てを、少なくとも10秒間隔にて走査(検出)することができる。
【0038】
これらは、従来と比べて、隔絶して高い空間的分解能および時間的分解能であり、上記変位センサにて、大型構造物の被検査物表面を覆うことで、リアルタイムにて上記被検査表面の破壊を検出できる。本発明の変位センサの検出対象としては、構造物の亀裂、隆起、陥没といった表面での変位が挙げられ、さらに上記被検査物が第一導線2、第二導線3より伸び縮みするものであれば、その表面の伸縮の程度といった変位も挙げられる。
【0039】
さらに、本発明の変位センサは、演算部7からの結果を、ローカルエリアネットワークや電話線といったネットワーク等と組み合わせることで、上記変位センサを設置した遠隔地での被検査物表面の状況をリアルタイムにて把握でき、前述の大型構造物における健全性のモニタリング、飛行機や車両や宇宙機器などの大型移動機械における健全性のモニタリング、また、震災や台風や津波などの災害後における建築物などの健全性評価の迅速化にも好適に利用できる。
【0040】
(実施の第二形態)
続いて、上記ダイオード4に好適な本発明に係る実施の第二形態の酸化物半導体について、その製造方法に基づいて説明する。まず、上記製造方法では、銅−亜鉛合金を低温酸化(500℃、5分間)して、上記銅−亜鉛合金上に、整流作用を有する銅酸化物−亜鉛酸化物の二層構造膜を本発明に係る酸化物半導体として形成する。
【0041】
次に、上記低温酸化の各条件について検討した。まず、黄銅(Cuが65重量%、Znが35重量%、ニラコ製)を、水冷切断して試料とした後、その試料の表面を研磨材(例えば紙ヤスリである#1000のエメリー紙)にて研磨し、洗浄剤(例えばメチルアルコール)にて洗浄し、その試料を目標温度に加熱したアルミナボードに載せ、横型管状炉(内径50mm、全長600mm、一端開放)の中心付近に静置して、下記の各温度条件にてそれぞれ低温酸化処理した。なお、酸化時間は、全て5分間とした。
【0042】
各温度条件は、No.1が450℃、No.2が480℃、No.3が500℃、No.4が520℃、No.5が550℃、No.6が未処理(比較例)である。ただし、試料設置時に、アルミナボード温度が若干低下するため、炉内温度は目標温度より最大8℃程度低下し、取り出し時でも目標温度に比べて3℃程度低かった。
【0043】
酸化処理後および未処理の各試料について、その表面特性を調べた。その分析方法は、ボルタンメトリー法(6NKOH+1MLiOH)を用い、浸漬電位から−1.9Vまで、10mV/sの掃引速度で掃引し、その測定領域は、1.0cm2とした。ボルタンメトリー法とは、適当な電解槽を使って、参照電極に対する作用電極(指示電極、本実施の形態では各試料)の電位と補助電極(対極)との間に流れる電流との関係を調べる方法である。よって、本実施の形態においては、試料の表面での酸化−還元系つまり酸化物の状態を上記ボルタンメトリー法により調べることができる。それらの測定(分析)結果を、図2ないし図9に示す。また、それらの測定結果から、1cm2当たりに生成したCuO、ZnOの重量を算出し、それらの結果を表1に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
また、試料No.4のダイオード特性を、その表面側から印加する電圧を4Vから−5Vに順次変化させて、流れる電流値を測定して調べた。その結果を、図10に示した。さらに、前記黄銅を、同様に切り出し、酸化温度450℃にて30分間、低温酸化処理した試料No.7を作製し、その試料No.7のダイオード特性も同様に調べた。その結果を図11に示した。
【0046】
図2ないし図9並びに表1の結果から、黄銅は、低温酸化処理により、その表面部分にZnO(亜鉛酸化物)を主とする第一層と、CuO(銅酸化物)を主とする第二層とを備えていると想定された。また、図10および図11の結果から、黄銅は、低温酸化処理により、その表面部分にダイオード特性を示す二層構造膜を有し、また、上記ダイオード特性から、表面側がp型半導体層であり、その内側がn型半導体層であると想定され、また、第一層の上に第二層が形成されているもの(ただし、上記両者間の境界は明確なものではなく、上記両者間を連続的に変化しているもの)と想定された。
【0047】
上記の各結果から、上記低温酸化は、大気中、400℃以上、600℃以下にて、3分間以上、45分間以下にて行うことが好ましい。前記低温酸化の温度としては、好ましくは420℃以上、より好ましくは450℃以上、また、望ましくは580℃以下、より望ましくは550℃以下である。一方、前記低温酸化の時間としては、好ましくは4分間以上、より好ましくは5分間以上、また、望ましくは40分間以下、より望ましくは30分間以下であることが分かる。
【0048】
また、銅−亜鉛合金は、一般に、黄銅と呼称されるものであり、銅−亜鉛合金中のZn濃度が45%以下のものであればよいが、加工性に優れているので、Zn濃度が35%以下のものが好ましい。また、銅−亜鉛合金では、Zn濃度が10%以上であればよいが、酸化物半導体の形成には、20%以上が望ましい。さらに、銅−亜鉛合金においては、必要に応じて、耐食性改善のためにAl、Niなど、強度上昇のためにはMn、Feなどを添加してもよい。
【0049】
上記方法によれば、酸化物半導体となる二層構造膜を低温酸化により簡便に形成できるので、整流作用を有する酸化物半導体を安価に製造できる。
【0050】
(実施の第三形態)
以下に、本発明に係る酸化物半導体の製造方法における他の例を実施の第三形態として説明する。まず、銅−亜鉛合金を、コード線状に成形し、そのコード状の銅−亜鉛合金の外周面に対し、耐熱性および電気絶縁性に優れた被覆材としての合成樹脂、例えば難燃性ポリエチレンにより外部と電気絶縁性を備えるように被覆する。上記耐熱性に優れたとは、大気中下にて600℃の雰囲気下にて30分間程度曝されても、その物性に大きな変化を示さない(実用上支障が無い程度の)ものをいう。
【0051】
その後、被覆されたコード状の銅−亜鉛合金に対し、例えば1cm間隔にて被覆を2−3mm程度にてそれぞれ直線上となるように除去し、その除去した部分にて銅−亜鉛合金をそれぞれ露出させる。
【0052】
次に、一部の被覆が除去されたコード状の銅−亜鉛合金を、前述した低温酸化して、露出した部分の銅−亜鉛合金上に、前述した整流作用を有する銅酸化物−亜鉛酸化物の二層構造膜を本発明に係る酸化物半導体として形成する。
【0053】
上記方法では、銅−亜鉛合金上の所望する位置に、本発明の酸化物半導体を低コストにて簡便に形成できる。
【0054】
なお、上記実施の第三形態では、コード状の銅−亜鉛合金の外周面を、被覆した後、一部の被覆を除去して低温酸化した例を挙げたが、線状の銅−亜鉛合金の表面を、まず低温酸化して、上記表面にダイオードを形成し、その後、その表面を被覆してもよい。この場合は、被覆した線状の銅−亜鉛合金の各末端部に露出した銅−亜鉛合金の表面を研磨により、そのダイオード部分を除去すればよい。この場合、被覆材としては、通常の使用時(100℃以下)に耐え得る耐熱性を備えていればよい。
【0055】
(実施の第四形態)
続いて、本発明の変位センサにおける製造方法の一例を実施の第四形態として説明する。まず、銅(Cu)を用いてコード状に成形し、そのコード状の銅の外周面を合成樹脂にて被覆する。その後、その被覆を、等間隔、例えば1cm間隔にて、上記間隔の2〜3割程度にてそれぞれ直線上となるように除去してものを第一導線2として作製する。
【0056】
一方、第二導線3として、前記の実施の第三形態に示したものを用いる。複数の第一導線2と、複数の第二導線3とを、互いに隣り合う各第一導線2の間隔、および互いに隣り合う各第二導線3の間隔を、それらの被覆が除去された間隔例えば1cmにて格子状に、かつ、被覆除去部分を当接するように配置する。
【0057】
そのような格子状に配置された各第一導線2および各第二導線3を、可撓性、伸縮性、電気絶縁性および耐候性に優れたシート状の一対の各樹脂フィルムで挟み込み、上記各樹脂フィルム間に固定する。このようなシート状の各第一導線2および各第二導線3に対して、前述の第一スイッチSW1、各第二スイッチSW11〜14、制御部5、検出部6、および演算部7を取り付けて、本発明に係る実施の第四形態の変位センサが得られる。
【0058】
このような変位センサは、軽量であるから、被検査物表面に容易に張り付けて固定できて、上記被検査物表面のモニタリングを簡便化および低コスト化できる。
【0059】
また、上記変位センサに対し、RFIDタグの技術を適用することも可能である。RFIDタグの技術を適用した変位センサでは、RFIDタグを損傷検出用のアンテナとして使用できるよう、送受信のためのICチップと、アンテナとしてのコイルとの間の一部を切り離し、その切り離した部分にコネクタ等の接続手段を設ける等の加工を施しておき、その接続手段に、前述のVccにて示される電源線の端子と前述の各第二導線3(D0、D1、D2、D3)の各端子とにそれぞれ接続すればよい。
【0060】
このような変位センサにおいては、送受信装置から電波を上記アンテナとしてのコイルに送信すると、コイル内に微電流が発生し、ICチップ内の情報を送受信装置に送り返すという特性を利用して、上記コイルの一部が前述の電源線の端子と前述の各第二導線3の各端子とに接続されている。このような変位センサでは、上記コイルと前述の電源線および前述各第二導線3との間において、上記微電流が流れるループを生じていて、損傷に至る変位により前述のダイオード4が断線すると、上記ループ内の微電流が流れなくなることから、上記変位、しいては損傷を予測したり、計測したりできる。
【0061】
さらに、本発明の変位センサは、ビルや橋といった構造物内に組み込むことにより、上記構造物に生じる歪を、それが小さい段階にて検出できて、自己診断機能を上記構造物に付与することができる。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の酸化物半導体を用いた、本発明に係る変位センサは、変位の検出において、十分な時間的分解能、および十分な空間的分解能を確保できると共に、低コスト化できるので、トンネル、橋脚、ビルといった大型構造物、車両、航空機のような大型の移動用機械といった大型構造物に対する、亀裂形成や破壊発生の精度良く検出できて、上記大型構造物の保全管理の分野に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る変位センサの回路ブロック図である。
【図2】本発明に係る酸化物半導体の試料No.1のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図3】本発明に係る酸化物半導体の試料No.2のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図4】本発明に係る酸化物半導体の試料No.3のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明に係る酸化物半導体の試料No.4のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図6】本発明に係る酸化物半導体の試料No.5のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図7】比較例となる酸化物半導体の試料No.6のボルタンメトリー法による測定結果を示すグラフである。
【図8】上記各試料No.1〜6の各測定結果を合わせて示すグラフであり、(a)は全体を合わせたものであり、(b)はCuO、Cu2Oを示す部分を拡大して示すものである。
【図9】上記各試料No.1〜6の各測定結果を合わせ、ZnOを示す部分を拡大して示すグラフである。
【図10】上記試料No.4のダイオード特性を示すグラフである。
【図11】本発明に係る酸化物半導体の試料No.7のダイオード特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0064】
2 第一導線
3 第二導線
4 ダイオード(酸化物半導体)
5 制御部
6 検出部(検出・演算部)
7 演算部(検出・演算部)
SW1 第一スイッチ
SW11〜14 第二スイッチ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅−亜鉛合金上に、亜鉛酸化物を主とする第一層と、銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜が、整流作用を有するように形成されていることを特徴とする酸化物半導体。
【請求項2】
銅−亜鉛合金を低温酸化して、
上記銅−亜鉛合金上に、整流作用を有する銅酸化物−亜鉛酸化物の二層構造膜を形成することを特徴とする酸化物半導体の製造方法。
【請求項3】
前記低温酸化を、大気中、400℃〜600℃、3分間〜45分間にて行うことを特徴とする請求項2記載の酸化物半導体の製造方法。
【請求項4】
複数の第一導線と、
上記各第一導線に交差する、複数の第二導線と、
上記第一導線と第二導線との交点にて上記両者に対し接続されたダイオードと、
上記各第一導線に対し、順次切り換えて検出用電圧を印加するための第一スイッチと、
上記各第二導線の導通/非導通を、順次、切り換えるための第二スイッチと、
上記各第二導線からの上記検出用電圧を検出して、上記各交点の相互間の変位を検出・演算する検出・演算部とを有していることを特徴とする変位センサ。
【請求項5】
さらに、前記第一スイッチおよび第二スイッチの切り換えをそれぞれ制御すると共に、上記第一スイッチおよび第二スイッチの切り換え情報を前記検出・演算部に出力する制御部を有していることを特徴とする請求項4記載の変位センサ。
【請求項6】
前記ダイオードは、前記第一導線から第二導線に対し導通状態にて上記第一導線および第二導線を互いに接続していることを特徴とする請求項4または5に記載の変位センサ。
【請求項7】
前記各第二導線は請求項1に記載の銅−亜鉛合金を有し、前記ダイオードは、請求項1記載の二層構造膜であることを特徴とする請求項4ないし6の何れか1項に記載の変位センサ。
【請求項1】
銅−亜鉛合金上に、亜鉛酸化物を主とする第一層と、銅酸化物を主とする第二層とを備えた二層構造膜が、整流作用を有するように形成されていることを特徴とする酸化物半導体。
【請求項2】
銅−亜鉛合金を低温酸化して、
上記銅−亜鉛合金上に、整流作用を有する銅酸化物−亜鉛酸化物の二層構造膜を形成することを特徴とする酸化物半導体の製造方法。
【請求項3】
前記低温酸化を、大気中、400℃〜600℃、3分間〜45分間にて行うことを特徴とする請求項2記載の酸化物半導体の製造方法。
【請求項4】
複数の第一導線と、
上記各第一導線に交差する、複数の第二導線と、
上記第一導線と第二導線との交点にて上記両者に対し接続されたダイオードと、
上記各第一導線に対し、順次切り換えて検出用電圧を印加するための第一スイッチと、
上記各第二導線の導通/非導通を、順次、切り換えるための第二スイッチと、
上記各第二導線からの上記検出用電圧を検出して、上記各交点の相互間の変位を検出・演算する検出・演算部とを有していることを特徴とする変位センサ。
【請求項5】
さらに、前記第一スイッチおよび第二スイッチの切り換えをそれぞれ制御すると共に、上記第一スイッチおよび第二スイッチの切り換え情報を前記検出・演算部に出力する制御部を有していることを特徴とする請求項4記載の変位センサ。
【請求項6】
前記ダイオードは、前記第一導線から第二導線に対し導通状態にて上記第一導線および第二導線を互いに接続していることを特徴とする請求項4または5に記載の変位センサ。
【請求項7】
前記各第二導線は請求項1に記載の銅−亜鉛合金を有し、前記ダイオードは、請求項1記載の二層構造膜であることを特徴とする請求項4ないし6の何れか1項に記載の変位センサ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−210434(P2006−210434A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−17446(P2005−17446)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(504173471)国立大学法人 北海道大学 (971)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]