説明

酸化防止剤

本発明は、明細書に定義される基を有する式Iの化合物の酸化防止剤としての使用、相当する新規化合物及び製剤、並びに該化合物及び製剤の製造方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化防止剤として、又は、製品保護のため、又は、色素沈着制御のための化合物の使用に関し、対応する新規化合物及び組成物に関し、また、化合物及び組成物を製造するための対応する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の化合物の応用の一分野として、例えば、化粧品がある。ケア化粧品の目的は、可能な限り若々しい皮膚の印象を得ることである。基本的には、この目的を達成する様々な方法がある。例えば、異常色素沈着又は皺の発生などの皮膚損傷の存在は、白粉又はクリームを塗ることによって補うことができる。別の手法は、永久的損傷を導き皮膚を老化させる環境的影響に対して皮膚を保護することである。すなわち、この考えは、予防的に介在し、老化プロセスを遅延させることである。この例としては、特定の波長領域の吸収の結果として、皮膚損傷を防止又は少なくとも減少させるUVフィルタがある。UVフィルタの場合は、損傷的事象としてのUV線が皮膚により選別除去されるが、もう一つの経路は、皮膚の自然防御力を支援し、又は損傷事象に対抗する機序を修復しようと試みることである。最後に、他の手法は、この低下しつつある防御力を元に戻し、又は機能を修復することができる物質を外部から供給することにより、有害な影響に対して老化と共に弱まる皮膚の防御機能を補うものである。例えば、皮膚は、外的又は内的ストレス要因によって生成するフリーラジカルを捕捉する能力を有している。この能力は老化と共に弱まり、老化と共に老化過程を加速させることになる。
【0003】
化粧品の調製における他の困難は、化粧組成物中に組み入れようとする有効成分が不安定であることが多く、組成物中で損なわれる可能性のあることである。この損傷は、例えば、大気の酸素との反応又はUV線の吸収によって引き起こされる。このように損なわれた分子は、構造変化により、例えば、色が変化する、及び/又は活性を失う。酸化感受性成分を含む組成物の製造、保存や使用において、通常、相応の困難が生じる。
【0004】
前記の問題を扱う公知の方法は、組成物に酸化防止剤を添加することからなる。
【0005】
CD Roempp Chemie Lexikon [CD Roempp Lexicon of Chemistry] -Version 1.0, Stuttgart/New York: Georg Thieme Verlag 1995によれば、酸化防止剤は、酸素の作用、特に酸化過程により引き起こされる保護すべき物質における望ましくない変化を阻止又は防止する化合物である。応用分野は、例えば、老化保護のためプラスチック及びゴムに;酸敗臭防止のため脂肪に;増粘化予防のため油、家畜飼料、自動車ガソリン及びジェット燃料に;スラッジ形成に対して変換器油及びタービン油に;及び、臭気障害に対するフレイバーにある。酸化防止剤として有効な化合物は、中でも、フェノール類、ハイドロキノン類、ピロカテコール類、芳香族化合物類及びアミン類(これらは、各々立体障害基により置換されている)、及びこれらの金属錯体である。Roemppによれば、酸化防止剤の作用は、通常、自動酸化中に生じるフリーラジカルに対するフリーラジカル捕捉剤として作用することにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スキンケア用組成物で用いるのに適した皮膚忍容性の酸化防止剤がなお必要とされている。
【0007】
したがって、本発明の目的は、UV線に対する防御作用を有する、及び/又は体細胞に対する酸化的ストレスに対して防御作用を発揮する、及び/又は皮膚老化に対抗する、組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は、第1に、式Iで示される化合物又は式Iで示される化合物の塩の使用に関する:
【0009】
【化1】

(式中、
Arは、6〜18個の炭素原子を有する非置換又は一若しくは多置換の芳香族環又は縮合環系を表し、その少なくとも一つの環は芳香族性を有し、一つの環当たり1個又は2個のCH基がC=O、N、O又はSで置換されてよく、縮合環系の1個又は2個のCH2基がC=O又はC=CH2で置換されてよく、
1は、H又は分岐若しくは非分岐C130アルキル基又はC130ヒドロキシアルキル基、あるいは基Ra又はRbを表し、
【0010】
【化2】

〔ここで、mは1〜30の範囲の整数を表し、A1〜A3は各々互いに独立してベンジル基又は(CH2O)n(CH2o(O)pH基を表し、m及びoは各々互いに独立して0〜30の範囲の整数を表し、pは0又は1を表す〕
【0011】
Xは、−H、−CN、−C(=O)−R1及び−C(=O)−Z2−R1から選択される基を表し、
Yは、H又はArを表し、
1及びZ2は、各々互いに独立してO、S、CR78、NR7又は単結合を表し、
7及びR8は、各々互いに独立して、H、OH、直鎖又は分岐C1〜C20アルコキシ基、直鎖又は分岐C1〜C20アルキル基、直鎖又は分岐C3〜C20アルケニル基、直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)、及び直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)から選択される。)。
【0012】
本発明によれば、式Iaで示される化合物又は式Iaで示される化合物の塩の使用が好ましい:
【0013】
【化3】

(式中、
1、R7及びR8、Z1及びZ2、X及びYは請求項5に記載の意味を有し、
2〜R6は、各々互いに独立して、H、OH、直鎖又は分岐C1〜C20アルコキシ基、直鎖又は分岐C1〜C20アルキル基、直鎖又は分岐C3〜C20アルケニル基、直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)、及び直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)から選択され、
基R2〜R6の一つは、オリゴ又はポリシロキサン鎖にSi原子を介して結合している分岐又は非分岐C120アルコキシ基あるいは分岐又は非分岐C220アルキレンオキシスペーサーを表してもよい。)。
【0014】
本発明の特に好ましい態様において、式Iaで示される化合物におけるZ1は、単結合を表す。この場合、式Iaは、下記に単純化される。
【0015】
【化4】

【0016】
さらに、本発明によれば、下記が特に好ましい。
【0017】
【化5】

【0018】
本発明の塩についてここで用いることができる対イオンは、対応用途で許容される全てのアニオンである。ここで、強酸の塩が有利である。本発明によれば、塩は塩化物又は臭化物であることが特に好ましい。
【0019】
前記化合物は、本発明によれば、局所薬剤の、化粧品又は皮膚科組成物の調製に、又は、家庭用品の調製に有効成分として用いることができる。前記化合物は、製品保護に用いることができる。この応用の目的のために、製品保護は、特に、有機又は無機染料、酸化防止剤、ビタミン、香料成分、油成分のような酸化感受性の処方成分、又は、乳化剤、増粘剤、フィルム形成剤及び界面活性剤のようなマトリクス構成物質の保護を意味する。この応用は、対応する使用に関連している。
【0020】
本発明は、化粧品又は薬剤、特に皮膚科組成物又は食品若しくは食品サプリメントの調製、又は家庭用品の調製のための前記化合物の使用にも関連している。
【0021】
本発明は、さらに、式I又は式Iaで示される新規化合物に関する。
【0022】
ここで、R3及びR5は、各々互いに独立して、H、直鎖又は分岐C1〜C20アルコキシ基、直鎖又は分岐C1〜C20アルキル基、直鎖又は分岐C3〜C20アルケニル基、直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)、及び直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)から選択され、R3及びR5は、好ましくは、各々互いに独立して、直鎖又は分岐C1〜C4アルコキシ基、特に、メトキシ、イソプロポキシ及びtert−ブトキシ、及び直鎖又は分岐C1〜C6アルキル基、特に、メチル、イソプロピル及びtert−ブチルから選択され、及び
2、R4及びR6は、各々互いに独立して、H、OH、直鎖又は分岐C1〜C20アルコキシ基、直鎖又は分岐C1〜C20アルキル基、直鎖又は分岐C3〜C20アルケニル基、直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)、及び直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)から選択され、R2、R4及びR6は、好ましくは、H及びOHから選択され、
そして、基R2〜R6の一つは、式Iで示される、一つ以上の、化合物を含むオリゴ又はポリシロキサン鎖にSi原子を介して結合している分岐又は非分岐C120アルコキシあるいは分岐又は非分岐C220アルキレンオキシスペーサーを表してもよい、
【0023】
本発明の変形において、R2、R4及びR6の少なくとも一つの基がOHを表す式Iで示される、少なくとも一つの、化合物の使用が特に好ましい。これらの化合物は、特に著しい酸化防止性能を示す。
【0024】
本発明の別の変形において、R3及びR5からの、少なくとも一つの、基がt−ブチルを表す式Iで示される、少なくとも一つの、化合物の使用が特に好ましい。これらの化合物は、特に著しい酸化防止性能を示す。
【0025】
さらに、本発明によれば、長鎖炭化水素基、特に、分岐長鎖炭化水素基を含む式I又は式Iaで示される、少なくとも一つの、化合物の使用が好ましい。これらの化合物は、しばしば、特に油のような賦形剤と特に容易に混和し、従って、製剤中に特に容易に用いることができる。本発明のこの変形において、R1が分岐又は非分岐C730アルキル又はC630ヒドロキシアルキル基を表すことが特に好ましい。
【0026】
本発明の別の変形において、R4が、式Iで示される一つ以上の化合物を含むオリゴ又はポリシロキサン鎖にSi原子を介して結合している分岐又は非分岐C120アルコキシあるいは分岐又は非分岐C220アルキレンオキシスペーサーを表し、R4が、好ましくは、プロパニルオキシ、イソプロパニルオキシ、プロペニルオキシ、イソプロペニルオキシ又は特にアリルオキシスペーサーを表し、ケイ素原子が、好ましくは、スペーサー二重結合の1−C又は2−Cに結合している、式I又は式Iaで示される化合物を用いることが好ましい。
【0027】
さらに、本発明によれば、Xが−C(=O)−Z2−R1を表し、二つの基−Z2−R1が同一であり、R2〜R6が、好ましくは、各々互いに独立して、H、ヒドロキシ又はメトキシを表す、式Iで示される、少なくとも一つの、化合物を用いることが好ましい。
【0028】
ここで、4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、4−メトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、4−メトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、3,4,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、3,4−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸フェネチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、及び、プロパニルオキシ、イソプロパニルオキシ、プロペニルオキシ、イソプロペニルオキシ又はアリルオキシスペーサーを介して結合している、好ましくは、p−ベンジルマロン酸ジエチルのようなベンジルマロン酸誘導体又はフェニルプロピオン酸誘導体を含むオリゴ及びポリシロキサン、から選択される、式Iで示される、少なくとも一つの、化合物を使用することが特に好ましい。
【0029】
ここでは、化合物4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオン酸エチル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオン酸メチル、4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニルプロピオン酸エチル、4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニルプロピオン酸メチル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロピオン酸エチル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロピオン酸メチル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸エチル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸メチル、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルマロン酸ジエチル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルマロン酸ジエチル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルベンジルマロン酸ジメチルは、本発明では使用されないことが特に好ましい。
【0030】
さらに、本発明によれば、Z1がNHを表し、Xが−C(=O)−Z2−R1を表し、二つの基−Z2−R1が同一であり、R2〜R6が、好ましくは、各々互いに独立して、H、ヒドロキシ又はメトキシを表す、式Iで示される、少なくとも一つの、化合物を用いることが好ましい。
【0031】
さらに、Z1がNHを表し、R1が基Ra又はRbを表す、式Iで示される化合物を用いることが好ましい。
【0032】
【化6】

(ここで、mは1〜3の範囲の整数を表し、A1〜A3は各々互いに独立して基−(CH2o(O)pH基を表し、oは1、2又は3を表し、pは0又は1を表す。)
【0033】
さらに、本発明によれば、化合物Ib〜Iah及びそれらの塩、特にそれらの塩化物から選択される化合物を用いることが特に好ましい。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
【表5】

【0039】
【表6】

【0040】
【表7】

【0041】
本発明は、さらに、式Iで示される、少なくとも一つの、化合物を含む組成物に関する。組成物は、通常、局所的に用いうるいずれかの組成物、例えば、化粧品又は皮膚科組成物、又は食品若しくは食品サプリメント、あるいは家庭用品である。この場合、組成物は、美容のため又は皮膚科学的に適した、食品に適した、又は家庭用品に適した賦形剤を含み、所望の特性プロフィールに依り、付加的に別の適当な成分を含む。
【0042】
本発明の化合物、又は本発明の化合物の使用、又は本発明の組成物の利点は、特に、以下の事項である:
【0043】
・例えば、例えば、UV光よって、又は喫煙のような熱分解プロセスによって誘発される、過酸化物フリーラジカルアニオン又はNOフリーラジカルに対するようなフリーラジカルに対する、又は、例えば、一重項酸素及び過酸化物のような反応性酸素種に対する酸化防止作用、
・好ましい化合物は強い酸化防止作用を高い分子安定性と結びつける、
・化粧品、薬剤、特に皮膚科産物、又は家庭用品、あるいは食品及び食品サプリメントに対する、特に、染料、コンシステンシー物質又は匂い物質を含む産物に対する産物安定化作用、
・式Iで示される好ましい化合物は、組成物中の油成分として適している、
【0044】
・式Iで示される好ましい化合物は、例えば組成物の皮膚感触のような薬剤特性を向上させるのに適している、
・式Iで示される好ましい化合物は、好ましくは例えば結晶性成分用の溶媒としての、優れた溶解性及び溶媒特性を示す、
【0045】
・本発明の好ましい群の化合物は、皮膚褐色化を引き起こす、又は、ジヒドロキシアセトンのような皮膚褐色化物質の作用を向上させることもできる、
・良好な皮膚認容性を有する、
・特に、式Iで示されるアンモニウム化合物の場合、特に毛髪のようなケラチン線維への吸着挙動が優れている、
【0046】
・顔料及び表面被覆への産物安定化作用、
・式Iで示される好ましい化合物は、LSF、SPF、PPD又はIPDのような光防止因子、又はフリーラジカル防止因子の生成又は増強に適している、
・本出願で後述する特にポリエチレングリコール(PEG)又はポリグリセリン(PG)含有乳化剤のような自己酸化性PEG又はPG誘導体への安定化作用、又は、自己酸化性ポリエチレングリコール(PEG)又はポリグリセリン(PG)誘導体の分解産物の損傷作用の低減、
・着色剤、コンシステンシー物質又は匂い物質に対する、酸化防止剤又はビタミン、UVフィルタ、並びに二酸化チタン含有顔料に対する、特に、化粧品、薬剤、特に皮膚科産物、又は家庭用品、あるいは食品及び食品サプリメントにおける安定化作用、
【0047】
・大部分の酸化防止剤は、フリーラジカルとの反応後は役に立たなくなるが、式Iで示される好ましい化合物は、この反応後にUVフィルタ作用を示す、従ってその保護機能を維持する、
・酸化防止特性を有する本発明の好ましい化合物は、皮膚領域へ美白作用を有するので、色素沈着の制御のために用いることもできる
【0048】
さらに、ここに記載の好ましい化合物は無色又は弱くしか着色していず、従って、組成物の変色は起こさないか、変色が起きてもほんの僅かな程度である。
【0049】
先に既述したように、本発明は、さらに、化粧又は皮膚科組成物あるいは家庭用品に適した、少なくとも一つの、賦形剤、及び前記式I又は式Iaで示される、少なくとも一つの、化合物を含む組成物に関する。
【0050】
本発明によれば、組成物が、式I ena又は式I enbで示される、少なくとも一つの、化合物を含むことが特に好ましい:
【0051】
【化7】

(式中、基Ar、X、Y、Z1及びZ2、並びにR1は、各々互いに独立して、また式Iで示される化合物の基と無関係に、式Iで示す化合物について前述した意味を有する。)
【0052】
ここで、組成物が、式Ia ena又は式Ia enbで示される、少なくとも一つの、化合物を含むことが特に好ましい。
【0053】
【化8】

(式中、基X、Y、Z1及びZ2並びにR1〜R6は、各々互いに独立して、及び式Iaで示される化合物の基と無関係に、式Iaで示す化合物について前述した意味を有する。)
【0054】
ここで、式Iで示される、少なくとも一つの、化合物及び式I ena又は式I enbで示される、少なくとも一つの、化合物又は式Iaで示される、少なくとも一つの、化合物及び式Ia ena又は式Ia enbで示される、少なくとも一つの、化合物における基X、Y、Z1及びZ2並びにR1〜R6が同一であることが特に好ましい。この場合、式I又は式Iaで示される化合物は、同時に、式I ena又は式I enb、あるいは式Ia ena又は式Ia enbで示される化合物のUV吸収を潜在時に有する貯えとしての役目を有することができる。換言すれば、式I又は式Iaで示される化合物の使用が、このように、式I ena又は式I enbで示されるUVフィルタの使用濃度の低下を容易にする。使用濃度の調節は、当業者に全く問題を起こさない。
【0055】
ここで、式I ena又は式I enb、あるいは式Ia ena又は式Ia enbで示される、少なくとも一つの、化合物が、4−ヒドロキシ桂皮酸、4−ヒドロキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデンマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、4−メトキシベンジリデンマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、4−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、3,4,5−トリメトキシベンジリデンマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3−メトキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジリデンマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、3,4−ジヒドロキシベンジリデンマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸2−エチルヘキシル、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸、3,4−ジヒドロキシ桂皮酸フェネチル、2−シアノ−3−フェニル桂皮酸2−エチルヘキシル、及び、プロパニルオキシ、イソプロパニルオキシ、プロペニルオキシ、イソプロペニルオキシ又はアリルオキシスペーサーを介して結合している、好ましくはp−ベンジリデンマロン酸ジエチルのようなベンジリデンマロン酸誘導体又は桂皮酸誘導体を含むオリゴ及びポリシロキサン、から選択される化合物であることが特に好ましい。
【0056】
本発明によれば、式Ii又は式Iaで示される化合物は、一般に0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%、特に好ましくは1〜8重量%用いられる。当業者には、組成物の意図する作用に応じて量を適切に選択することに全く問題は生じない。
【0057】
本発明の化合物が皮膚に対してフリーラジカル捕捉剤としての陽性活性をかなり上手く発現することができるためには、本発明の化合物が皮膚層深部まで貫通することが好ましい。この目的には幾つかの可能性を利用できる。まず、本発明の化合物は、外部皮膚層を通って表皮層まで達することができるように適当な親油性を持つことができる。さらなる可能性として、本発明の化合物を外部皮膚層を通して輸送できるようにする、対応する輸送剤、例えば、リポソームを組成物中に加えてもよい。最後に、本発明の化合物の浸透的輸送もありうる。次に、組成物は、例えば、経口投与に適しているように設計される。
【0058】
通常、式Iで示される物質はフリーラジカル捕捉剤として作用する。このタイプのフリーラジカルは、日光のみによるのではなく、オゾン、窒素酸化物(例えば、たばこの煙)のような反応性物質の作用や重金属(例えば、食品中に含まれる)に曝されることによっても外因的に発生する。別の例は酸素欠乏であり、これは、チトクロム酸化酵素の上流の電子の流れを阻害すると共に、過酸化物フリーラジカルアニオンの形成;特に白血球の膜NADPH酸化酵素による過酸化物アニオンの形成を伴うが、ヒドロキシルフリーラジカル及び食菌作用の現象に通常含まれる他の反応性種の形成(鉄(II)イオンの存在下における不均化による)を伴う炎症;通常、ヒドロキシルフリーラジカルにより開始され、脂質アルコキシフリーラジカルやヒドロペルオキシドを生成する脂質自動酸化を引き起こす。
【0059】
これらの特性のせいで、本発明の化合物及び組成物は、通常、免疫保護並びにDNA及びRNAの保護に適している。特に、これらの化合物及び組成物は、酸化的攻撃、フリーラジカル及び放射線、特にUV線による損傷に対して、DNA及びRNAを保護するのに適している。本発明の化合物及び組成物の他の利点は、細胞保護、特に、前述の影響による損傷に対して、ランゲルハンス細胞を保護することである。全てのこれらの使用、及び対応して用いられ得る組成物の調製に本発明の化合物を使用することは、明らかに本発明の課題である。
【0060】
特に、本発明の好ましい化合物及び組成物は、分化及び細胞増殖に影響を与える角質化の欠陥を伴う皮膚病の治療、特に、尋常性座瘡、面皰性座瘡、多形性座瘡、酒さ性座瘡、結節性座瘡、集簇性座瘡、年齢誘発座瘡、副作用として生じる座瘡、例えば、日光座瘡、薬剤誘発座瘡又は職業性座瘡の治療、他の角質化の欠陥、特に、魚鱗癬、魚鱗癬様状態、ダリエ病、掌蹠角化症、白板症、白板症様状態、皮膚及び粘膜(頬)のヘルペス(苔癬)の治療、角質化の欠陥を伴うと共に炎症性及び/又は免疫アレルギー成分を有する他の皮膚病、特に皮膚、粘膜及び指及び足指の爪に影響を与える全ての型の乾癬、及び乾癬性リューマチ及び皮膚アトピー、例えば、湿疹又は呼吸器アトピー、又は歯肉の肥厚の治療(さらに、角質化の欠陥を伴わない一部の炎症に本化合物を用いることができる)、ウイルス起源であり得る真皮又は表皮の全ての良性又は悪性異常増殖、例えば、尋常性疣贅、扁平疣贅、疣贅状表皮発育異常症、口腔乳頭腫症、乳頭腫症フロリダ、及びUV線により引き起こされ得る異常増殖、特に、好塩基細胞上皮腫及び棘細胞上皮腫の治療、水疱性皮膚炎及びコラーゲンに影響を与える疾患のような他の皮膚病の治療、特定の眼疾患、特に、角膜疾患の治療、老化に伴う光誘発皮膚老化の克服又は対抗、色素沈着及び日射性角化症の低減、正常老化又は光誘発老化に伴う全ての疾患の治療、局所的又は全身に適用された副腎皮質ステロイドにより引き起こされる表皮及び/又は真皮の委縮及び全ての他のタイプの皮膚委縮の傷/瘢痕の予防又は治癒、創傷治癒の不良の予防又は治療、妊娠により引き起こされる伸展裂創の予防又は除去あるいは創傷治癒の促進、座瘡における過剰脂漏又は単純脂漏のような皮脂生成の異常に対抗すること、癌様状態又は前癌状態、特に前骨髄球性白血病への対抗又は予防、関節炎のような炎症性疾患の治療、皮膚又は身体の他の領域の全てのウイルス誘発疾患の治療、脱毛症の予防又は治療、皮膚疾患又は免疫学的成分を含む身体の他の領域の疾患の予防、動脈硬化又は高血圧のような心臓血管疾患の、及び非インスリン依存性糖尿病の治療、UV線により引き起こされる皮膚問題の治療にも適している。
【0061】
本発明の化合物の酸化防止作用は、例えば、2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル(DPPH)アッセイにより示すことができる。2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジルは、溶液中で安定なフリーラジカルである。不対電子により、515nmに強力な吸収バンドがあり、溶液は暗紫色となる。フリーラジカル捕捉剤の存在下において、電子が対になり、吸収が消失し、取り込まれた電子を勘案して化学量論的に脱色が進行する。光度計にて吸収を測定する。試験すべき物質の抗フリーラジカル特性を、用いた2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジルの50%がフリーラジカル捕捉剤と反応した濃度を測定することにより決める。この濃度を、所定の測定条件下における物質の特性であると見なされる値であるEC50として表す。調べた物質を、標準(例えば、トコフェロール)と比較する。ここで、EC50値は、それぞれの化合物がフリーラジカルを捕捉する性能の目安である。EC50値が低いほど、フリーラジカルを捕捉する性能が高い。本発明の目的において、EC50値がトコフェロールの値より低い場合に、「フリーラジカルを捕捉する大きな又は高い性能」という表現が用いられる。
【0062】
酸化防止剤の作用の別の重要な局面は、このEC50値が達成される時間である。分で測定されるこの時間は、これらの酸化防止剤がフリーラジカルを補足する速度を決めることができるEC50値を与える。本発明の目的において、60分より短時間でこの値を達成する酸化防止剤は速攻性であると見なされ、120分より長時間でやっとEC50値を達成するものは遅発性であると見なされる。
【0063】
抗フリーラジカル効率(AE)(C.Sanchez-Moreno、J.A.Larrauri及びF.Saura-CalixtoによりJ. Sci. Food Agric. 1998、 76(2)、 270-276に記載されている)は、以下の関係に従って上記数量より決まる:
【0064】
【数1】

【0065】
低AE(×103)は約10までの範囲であり、中AEは10〜20の範囲であり、高AEは、本発明によれば、20を超える値を有する。
【0066】
本発明に従うと、速攻性の酸化防止剤を、遅効性か遅延性のものと組み合わせることが特に好ましい。速攻性酸化防止剤と遅延性酸化防止剤との一般的な重量比は10:1〜1:10の範囲、好ましくは10:1〜1:1の範囲であり、皮膚保護組成物については、5:1〜2:1の範囲が特に好ましい。しかしながら、本発明により同様に好ましい他の組成物において、活性最適化の目的で、遅延性酸化防止剤が速攻性酸化防止剤よりも多いことが有利であるかもしれない。一般的な組成物は、速攻性酸化防止剤と遅延性酸化防止剤との重量比が1:1〜1:10の範囲、好ましくは1:2〜1:8の範囲である。
【0067】
組成物が1つ以上の他の酸化防止剤を含むときには、酸化ストレスに対する又はフリーラジカルの作用に対する保護活性をさらに向上させることができ、当業者には、速攻性酸化防止剤又は遅延性酸化防止剤を適切に選択することに全く問題がない。
【0068】
従って、本発明の好ましい態様において、組成物は、好ましくは、式Iで示される、1つ以上の、化合物に加え、1つ以上の他の酸化防止剤を含むことを特徴とした、酸化ストレスに対して体細胞を保護する、特に、皮膚老化を軽減させるための組成物である。
【0069】
抗酸化剤として用いることできる専門家の文献で知られている多くの立証済みの物質があり、例えばアミノ酸(例えばグリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)及びそれらの誘導体、イミダゾール(例えばウロカニン酸)及びそれらの誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンなどのペプチド及びそれらの誘導体(例えばアンセリン)、カロチノイド、カロチン(例えばα−カロチン、β−カロチン、リコピン)及びそれらの誘導体、クロロゲン酸及びその誘導体、リポ酸及びその誘導体(例えばジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシル及び他のチオール(例えばチオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンならびにそれらのグリコシル、N−アセチル、メチル、エチル、プロピル、アミル、ブチル及びラウリル、パルミトイル、オレイル、γ−リノレイル、コレステリル及びグリセリルエステル)及びそれらの塩、チオジプロピオン酸ジラウリル、チオジプロピオン酸ジステアリル、チオジプロピオン酸及びその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシド及び塩)、及び極めて低い忍容量(例えばpmol〜μmol/kg)のスルホキシイミン化合物(例えばブチオニンスルホキシイミン、ホモシステインスルホキシイミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−及びヘプタ−チオニンスルホキシイミン)、及び(金属)キレート化剤(例えばα−ヒドロキシ脂肪酸、パルミチン酸、フィチン酸、ラクトフェリン)、α−ヒドロキシ酸(例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸)、フミン酸、胆汁酸、胆汁エキス、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTA及びそれらの誘導体、不飽和脂肪酸及びそれらの誘導体、ビタミンC及び誘導体(例えばアスコルビン酸パルミテート、マグネシウムアスコルビン酸ホスフェート、アスコルビン酸アセテート)、トコフェロール及び誘導体(例えばビタミンE酢酸)、ビタミンA及び誘導体(例えばビタミンAパルミチン酸)、及びベンゾイン樹脂の安息香酸コニフェリル、ルチン酸及びその誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアイアレチン酸、トリヒドロキシブチロフェノン、ケルセチン、尿酸及びその誘導体、マンノース及びその誘導体、亜鉛及びその誘導体(例えばZnO、ZnSO4)、セレン及びその誘導体(例えばセレノメチオニン)、スチルベン及びその誘導体(例えばスチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシド)である。
【0070】
抗酸化剤の混合物も、同様に、本発明による化粧品組成物中で使用するのに適している。公知であり市販されている混合物としては、例えば、有効成分としてレシチン、パルミチン酸L−(+)−アスコルビル及びクエン酸を含む混合物(例えばOxynex(登録商標)AP)、天然トコフェロール、パルミチン酸L−(+)−アスコルビル、L−(+)−アスコルビン酸及びクエン酸を含む混合物(例えばOxynex(登録商標)K LIQUID)、天然源からのトコフェロールエキス、パルミチン酸L−(+)−アスコルビル、L−(+)−アスコルビン酸及びクエン酸を含む混合物(例えばOxynex(登録商標)L LIQUID)、DL−α−トコフェロール、パルミチン酸L−(+)−アスコルビル、クエン酸及びレシチンを含む混合物(例えばOxynex(登録商標)LM)又はブチルヒドロキシトルエン(BHT)、パルミチン酸L−(+)−アスコルビル及びクエン酸を含む混合物(例えばOxynex(登録商標)2004)である。通常、このタイプの抗酸化剤は、このタイプの組成物中で本発明の化合物と一緒に、1000:1〜1:1000の範囲の比で、好ましくは100:1〜1:100の量で用いられる。
【0071】
本発明の組成物は、別の成分としてビタミンを含んでよい。本発明の化粧組成物は、ビタミンA、ビタミンAプロピオン酸、ビタミンAパルミチン酸、ビタミンA酢酸、レチノール、ビタミンB、塩化チアミン塩酸塩(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ニコチンアミド、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD、エルゴカルシフェロール(ビタミンD2)、ビタミンE、DL−α−トコフェロール、トコフェロールE酢酸、コハク酸水素トコフェロール、ビタミンK1、エスクリン(ビタミンP活性成分)、チアミン(ビタミンB1)、ニコチン酸(ナイアシン)、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン(ビタミンB6)、パントテン酸、ビオチン、葉酸及びコバラミン(ビタミンB12)、特に好ましくは、ビタミンAパルミチン酸、レチノール、ビタミンC及びその誘導体、DL−α−トコフェロール、トコフェロールE酢酸、ニコチン酸、パントテン酸及びビオチンから選択されるビタミン及びビタミン誘導体を含むことが好ましい。この場合、ビタミンは、通常、本発明の化合物と共に、1000:1〜1:1000の範囲の比で、好ましくは100:1〜1:100の量で用いられる。
【0072】
ここで、例えばβ−カロチン及びトコフェロールのような酸化防止剤が、本発明の化合物をUV遮蔽化合物に転化することを促進することができることが分かった。従って、本出願は、さらに、本発明の化合物を活性化するために酸化防止剤を使用することに関する。
【0073】
本発明に従い好ましく用いられる化合物は、照射後には、UV−A及び/又はUV−B領域におけるUV吸収を示す。本発明に従い採用されるべき化合物は、単独で、又は他のUVフィルタと組み合わせて用いることができる、広帯域UVフィルタの前駆体を含む。同様に好ましい本発明の他の化合物は、UV−B線とUV−A線との間の境界領域において吸収最大を示すUVフィルタの前駆体である。UV−A IIフィルタとして、これらは、市販のUV−Bフィルタ及びUV−A Iフィルタの吸収スペクトルを好都合にも補完することができる。
【0074】
さらに、好ましい化合物は、組成物中に組み込んだ時には下記利点を示す:
・直鎖又は分岐C1〜C20−アルコキシ基、特に、エチルヘキシルオキシ基のような長鎖アルコキシ官能基が化合物の脂溶性を増加させる。
・ある場合には、このタイプの化合物は、油成分の形態で、組成物に容易に組み込むことができ、あるいは他の構成成分に対する溶媒として働くことができる。
【0075】
しかしながら、本発明の同様に好ましい態様において、本発明の組成物は、組成物マトリクス中へ低溶解性又は不溶性である本発明の化合物を含むこともできる。この場合、化合物は、微粉砕された形状で化粧組成物中に分散されることは好ましい。
【0076】
本発明に従う特に好ましい組成物は、サンスクリーンとして働くこともでき、本発明の化合物に加えてUVフィルタも含むことができる。
【0077】
UV−Aフィルタとして特に好ましいが、UV−Bフィルタとしても使用されるジベンゾイルメタン誘導体、又は本発明の化合物と組み合わせて特にUV−Bフィルタとして用いられる桂皮酸誘導体の使用時に、追加の利点が得られる:UV感受性ジベンゾイルメタン誘導体や桂皮酸誘導体は、本発明の化合物の存在により、さらに安定化する。従って、本発明は、さらに、組成物中のジベンゾイルメタン誘導体及び/又は桂皮酸誘導体の安定化のために、本発明の化合物を使用することに関する。
【0078】
大体において、全UVフィルタが、本発明の化合物と組み合わせるのに適している。生理学的許容性が既に示されているUVフィルタが特に好ましい。UV−Aフィルタ及びUV−Bフィルタの両方について、専門家文献から知られている実証された多くの物質がある。例えば、
【0079】
3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー(例えばEusolex(登録商標)6300)、3−ベンジリデンカンファー(例えばMexoryl(登録商標)SD)、N−{(2及び4)−[(2−オキソボルン−3−イリデン)メチル]ベンジル}アクリルアミドのポリマー(例えばMexoryl(登録商標)SW)、メチル硫酸N,N,N−トリメチル−4−(2−オキソボルン−3−イリデンメチル)アニリニウム(例えばMexoryl(登録商標)SK)、(2−オキソボルン−3−イリデン)トルエン−4−スルホン酸(例えばMexoryl(登録商標)SL)などのベンジリデンカンファー誘導体、
【0080】
1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン(例えばEusolex(登録商標)9020)、4−イソプロピルジベンゾイルメタン(例えばEusolex(登録商標)8020)などのベンゾイル又はジベンゾイルメタン類、
【0081】
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(例えばEusolex(登録商標)4360)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸及びそのナトリウム塩(例えばUvinul(登録商標)MS−40)などのベンゾフェノン類、
【0082】
メトキシ桂皮酸オクチル(例えばEusolex(登録商標)2292)、4−メトキシ桂皮酸イソペンテニル、例えば異性体の混合物として(例えばNeo Heliopan(登録商標)E 1000)などのメトキシ桂皮酸エステル類、
【0083】
サリチル酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OS)、サリチル酸4−イソプロピルベンジル(例えばMegasol(登録商標))、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(例えばEusolex(登録商標)HMS)などのサリチル酸誘導体、
【0084】
4−アミノ安息香酸、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)6007)、エトキシル化4−アミノ安息香酸エチル(例えばUvinul(登録商標)P25)などの4−アミノ安息香酸及び誘導体、
【0085】
2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸並びにそのカリウム、ナトリウム及びトリエタノールアミン塩(例えばEusolex(登録商標)232)、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンゾイミダゾール−4,6−ジスルホン酸及びその塩(例えばNeoheliopan(登録商標)AP)、2,2−(1,4−フェニレン)ビスベンゾイミダゾール−6−スルホン酸などのフェニルベンゾイミダゾールスルホン酸類、
【0086】
及び、
・2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(例えばEusolex(登録商標)OCR)、
・3,3’−(1,4−フェニレンジメチレン)ビス(7,7−ジメチル−2−オキソビシクロ[2.2.1]ヘプタ−1−イルメタンスルホン酸及びその塩(例えばMexoryl(登録商標)SX)、及び
・2,4,6−トリアニリノ−(p−カルボ−2’−エチルヘキシル−1’−オキシ)−1,3,5−トリアジン(例えばUvinul(登録商標)T 150)
・2−(4−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(例えばUvinul(登録商標)UVA Plus、BASF製)
などの他の物質。
【0087】
列挙した化合物は、単に例であると見なすべきである。もちろん、他のUVフィルタを用いることもできる。
【0088】
これらの有機UVフィルタは、通常、0.5〜10重量%、好ましくは1〜8%の量で化粧組成物中に混入される。
【0089】
他の好適な有機UVフィルタは、例えば、
・2−(2H−ベンゾトリアゾル−2−イル)−4−メチル−6−(2−メチル−3−(1,3,3,3−テトラメチル−1−(トリメチルシリルオキシ)ジシロキサニル)プロピル)フェノール(例えばSilatrizole(登録商標))、
・4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸)2−エチルヘキシル(例えばUvasorb(登録商標)HEB)、
・α−(トリメチルシリル)−ω−[トリメチルシリル)オキシ]ポリ[オキシ(ジメチル[及び、メチル[2−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル]ビニル]フェノキシ]−1−メチレンエチル]約6%及びメチル[3−[p−[2,2−ビス(エトキシカルボニル)ビニル]フェノキシ]プロペニル]約1.5%及び(メチル水素0.1〜0.4%]シリレン]](n≒60)(CAS No.207 574−74−1)
・2,2’−メチレンビス(6−(2H−ベンゾチアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール)(CAS No.103 597−45−1)
・2,2’−(1,4−フェニレン)ビス(1H−ベンズイミダゾール−4,6−ジスルホン酸、一ナトリウム塩)(CAS No.180 898−37−7)及び
・2,4−ビス{[4−(2−エチルヘキシロキシ)−2−ヒドロキシ]フェニル}−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(CAS No.103 597−45−、187 393−00−6)
・4,4’−[(6−[4−((1,1−ジメチルエチル)アミノカルボニル)フェニルアミノ]−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル)ジイミノ]ビス(安息香酸)2−エチルヘキシル(例えば、Uvasorb(登録商標)HEB)
である。
【0090】
別の適当なUVフィルタとして、先の独国特許出願DE−A−10232595によるメトキシフラボン類もある。
【0091】
有機UVフィルタは、通常、0.5〜20重量%、好ましくは1〜15%の量で化粧組成物中に混入される。
【0092】
考えられる無機UVフィルタは、例えば、コーティングされた二酸化チタン(例えばEusolex(登録商標)T−2000、Eusolex(登録商標)T−AQUA、Eusolex(登録商標)T−AVO)などの二酸化チタン、酸化亜鉛(例えばSachtotec(登録商標))、酸化鉄及び酸化セリウムからなる群から得られるものである。一般に、これらの無機UVフィルタは、0.5〜20重量%、好ましくは2〜10重量%の量で化粧用製剤中に配合する。
【0093】
UVフィルタ特性を有する好ましい化合物は、3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファー、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、メトキシ桂皮酸オクチル、サリチル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸2−エチルヘキシル、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、2−フェニルベンゾイミダゾール−5−スルホン酸並びにそのカリウム、ナトリウム及びトリエタノールアミン塩である。
【0094】
1つ以上の本発明の化合物を他のUVフィルタと組み合わせることによって、UV線の有害な効果に対する防御作用を最適化することができる。
【0095】
最適化した組成物は、例えば、有機UVフィルタ4’−メトキシ−6−ヒドロキシフラボンと1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)プロパン−1,3−ジオン及び3−(4’−メチルベンジリデン)−dl−カンファーとの組合せを含む。この組合せは、広帯域保護が得られ、二酸化チタン微粒子などの無機UVフィルタの添加によって補強することができる。
【0096】
前記UVフィルタ及び本発明の化合物の全てを、カプセル封入した状態で用いることもできる。特に、有機UVフィルタをカプセル封入した状態で用いることが有利である。詳しくは、以下の利点が生じる:
【0097】
・カプセル壁の親水性は、UVフィルタ又は式Iで示される化合物の可溶性と無関係に設定することができる。すなわち、例えば、疎水性のUVフィルタ又は本発明の化合物を、純粋に水性の組成物中に組み込むこともできる。さらに、不快であると見なされることが多い、疎水性UVフィルタを含む組成物の適用時の油性の印象が抑制される。
【0098】
・特定のUVフィルタ、特に、ジベンゾイルメタン誘導体は、化粧組成物中で低下した光安定性しか示さない。これらのフィルタ又は、例えば桂皮酸誘導体のようなこれらのフィルタの光安定性を損なう化合物をカプセル封入すると、組成物全体の光安定性を向上させることができる。
【0099】
・有機UVフィルタによる皮膚貫通、及び、それに関した、ヒトの皮膚に直接塗布したときの刺激に対する可能性は、文献において頻繁に論じられている。ここに提案されている対応する物質のカプセル封入は、この影響を抑制する。
【0100】
・通常、個々のUVフィルタ又は本発明の化合物又は他の成分をカプセル封入することは、結晶化プロセス、沈積及び凝集塊形成のような個々の組成物成分同士の相互反応により引き起こされる組成物の問題を、相互作用が抑制されることから、回避させることができる。
【0101】
従って、本発明によれば、前述のUVフィルタ又は本発明の化合物の1つ以上を、カプセル封入状態にすることが好ましい。ここで、カプセルが充分に小さく、裸眼で見ることができないことが有利である。前記効果を達成するために、さらに、カプセルが充分に安定であり、カプセル封入された有効成分(UVフィルタ)が環境中に僅かな程度にしか又は全く放出されないことが必要である。
【0102】
適当なカプセルは、無機又は有機ポリマーの壁を有し得る。例えば、US 6,242,099 B1は、キチン、キチン誘導体又はポリヒドロキシル化ポリアミンの壁を有する適当なカプセルの製造を記載している。本発明により特に好ましく用いることができるカプセルは、出願WO00/09652、WO00/72806及びWO00/71084に記載のように、ゾル−ゲル法により得ることができる壁を有する。ここでも、その壁がシリカゲル(シリカ:不定の酸化水酸化ケイ素)から形成されているカプセルが好ましい。対応するカプセルの製造は、例えば、その内容が本出願の課題に明らかに沿っている引用された特許出願から、当業者に知られている。
【0103】
本発明の組成物中のカプセルは、カプセル化されたUVフィルタが前述の量で製剤中に存在することを確実にする量で存在することが好ましい。
【0104】
さらに、本発明の組成物は他の従来型の皮膚保護又はスキンケア活性成分を含んでいてよい。これらは、理論的には、当業者に知られている有効成分である。
【0105】
特に好ましい有効成分は、ピリミジンカルボン酸及び/又はアリールオキシムである。
【0106】
ピリミジンカルボン酸は、好塩性微生物中に存在し、これらの生物体の浸透圧制御において役割を果たしている(E.A.Galinski他、Eur.J.Biochem、149(1985)135〜139)。ピリミジンカルボン酸のうち、ここで、エクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)及びヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)及びそれらの誘導体が特に挙げられる。これらの化合物は、水溶液及び有機溶媒中で酵素及び他の生体分子を安定化する。さらに、これらは、特に、塩、極端なpH値、界面活性剤、尿素、塩化グアニジニウム及び他の化合物のような変性条件に対して酵素を安定化する。
【0107】
エクトイン及びヒドロキシエクトインのようなエクトイン誘導体は、組成物中で有利に用いることができる。特に、皮膚病の治療用の組成物の調製のためにヒドロキシエクトインを用いることができる。一般に、ヒドロキシエクトイン及び他のエクトイン誘導体の他の適用領域は、例えば、トレハロースが添加剤として用いられる領域である。すなわち、ヒドロキシエクトインのようなエクトイン誘導体を、乾燥酵母及び細菌細胞に保護剤として用いることができる。グリコシル化されていない薬剤的に活性なペプチドや蛋白のような薬剤製品、例えばt−PAも、エクトイン又はその誘導体によって保護できる。
【0108】
化粧品用途のうち、老化、乾燥又は炎症を起こした皮膚を手入れするためにエクトイン及びエクトイン誘導体を使用することを特に挙げられる。すなわち、欧州特許出願EP−A−0 671 161は、特に、パウダー、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製品、口紅、ほお紅、メークアップ、ケアクリーム及び日焼け止め製剤のような化粧組成物にエクトイン及びヒドロキシエクトインを用いることを記載している。
【0109】
ここで、以下の式で示されるピリミジンカルボン酸を用いることが好ましい。
【0110】
【化9】

(式中、R1は、基H又はC1〜8−アルキルであり、R2は、基H又はC1〜4−アルキルであり、R3、R4、R5及びR6は、各々互いに独立して、基H、OH、NH2及びC1〜4−アルキルからの基である)。R2がメチル又はエチル基であり、R1又はR5及びR6がHであるピリミジンカルボン酸を使用することが好ましい。ピリミジンカルボン酸のエクトイン((S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)及びヒドロキシエクトイン((S,S)−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ヒドロキシ−2−メチル−4−ピリミジンカルボン酸)を使用することが特に好ましい。本発明による組成物は、15重量%までの量でこのタイプのピリミジンカルボン酸を含むことが好ましい。ここでは、本発明の化合物に対し、ピリミジンカルボン酸を100:1〜1:100の比で用いることが好ましく、1:10〜10:1の範囲の比であることが特に好ましい。
【0111】
アリールオキシムのうち、HMLO、LPO又はF5の別名でも知られる2−ヒドロキシ−5−メチル−ラウロフェノンオキシムを用いることが好ましい。化粧品組成物に用いることについてのその適合性は、例えば、DE−A−41 16 123に開示されている。したがって、2−ヒドロキシ−5−メチル−ラウロフェノンオキシムを含む製剤は、炎症を伴う皮膚疾患の治療に適している。このタイプの組成物は、例えば、乾癬、様々な形態の湿疹、刺激性及び中毒性皮膚炎、UV皮膚炎ならびに皮膚及び外皮付属器のその他のアレルギー性及び/又は炎症性疾患の治療に使用できることが知られている。式Iの化合物の他に、アリールオキシム、好ましくは2−ヒドロキシ−5−メチル−ラウロフェノンオキシムをさらに含む本発明による組成物は、驚くべき抗炎症適合性を示す。ここでは組成物は、アリールオキシム0.01〜10重量%を含むことが好ましく、組成物は、アリールオキシム0.05〜5重量%を含むことが特に好ましい。
【0112】
さらに同様に好ましい本発明の実施態様において、本発明の組成物は、少なくとも一つの自己褐色化剤を含む。
【0113】
用いることができる有利な自己タンニング剤は、特に、三炭糖及び四炭糖、例えば、以下の化合物である:
【0114】
【化10】

【0115】
新鮮なクルミの殻から抽出することができる5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(juglone)、及びヘナの葉から生じる2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン(lawsone)を挙げるべきである。フラボノイドジオスメチン及びそのグリコシド又は硫酸塩も用いることができる。ここで、これらの化合物は、純物質又は植物抽出物の状態で用いることができる。ジオスメチンは、好ましくは、例えば、菊抽出物として用いることができる。
【0116】
ヒトの身体で発生する3官能性糖である1,3−ジヒドロキシアセトン(DHA)、及びその誘導体が特に好ましい。
【0117】
【化11】

【0118】
前記自己褐色化剤は、単独で又は混合物として用いることができる。ここで、DHAを、前述した他の自己褐色化剤と混合して用いることが特に好ましい。
【0119】
自己褐色化剤と本発明の化合物との組み合わせにより、自己褐色化剤の単独使用と比較して促進された褐色になることがわかった。従って、本発明は、さらに、自己褐色化剤の褐色化作用を促進するための本発明の化合物の対応する使用に関する。
【0120】
組成物中で用いることができる全ての化合物又は成分は、既知で市販されているか、又は既知の方法により合成することができる。
【0121】
本発明の1つ以上の化合物は、従来の方法で化粧又は皮膚科組成物に混入することができる。適当な組成物は、外用の組成物であり、例えば、クリーム、ローション、ゲル、又は皮膚にスプレーすることができる溶液である。内服には、カプセル剤、糖衣錠剤、散剤、錠剤化液剤又は液剤などの投与形態が適している。
【0122】
本発明による組成物の応用形態として挙げられる例として、液剤、懸濁剤、乳剤、PIT乳剤、ペースト剤、軟膏剤、ジェル剤、クリーム剤、ローション剤、散剤、石鹸、界面活性剤含有クレンジング製剤、油剤、エアゾール剤及びスプレー剤がある。他の適用形の例は、スティック、シャンプー及びシャワー製剤である。望ましい従来型の賦形剤、助剤及び、必要に応じて他の活性成分を組成物に添加できる。
【0123】
好ましい助剤は、保存剤、酸化防止剤、安定化剤、可溶化剤、ビタミン、着色剤及び匂い改良剤の群から得られる。
【0124】
軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤及びジェル剤は、従来型の賦形剤、例えば、動物及び植物脂肪、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク及び酸化亜鉛、又はそれらの物質の混合物を含むことができる。
【0125】
散剤及びスプレー剤は、従来型の賦形剤、例えばラクトース、タルク、シリカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム及びポリアミド粉末、又はこれらの物質の混合物を含むことができる。スプレー剤は、従来型の噴射剤、例えばクロロフルオロカーボン、プロパン/ブタン又はジメチルエーテルをさらに含むことができる。
【0126】
液剤及び乳剤は、従来型の賦形剤、例えば溶剤、可溶化剤及び乳化剤、例えば水、エタノール、イソプロパノール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチルグリコール、油類、特に綿実油、落花生油、麦芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油、グリセロール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール並びにソルビタンの脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0127】
懸濁剤は、従来型の賦形剤、例えば液状希釈剤、例えば水、エタノール又はプロピレングリコール、懸濁媒体、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル及びポリオキシエチレンソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天並びにトラガカント、又はこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0128】
石鹸は、従来型の賦形剤、例えば脂肪酸アルカリ金属塩、脂肪酸モノエステルの塩、脂肪酸蛋白加水分解物、イソチオン酸塩、ラノリン、脂肪アルコール、植物油、植物エキス、グリセロール、糖類、又はこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0129】
界面活性剤含有クレンジング製品は、従来型の賦形剤、例えば脂肪アルコール硫酸エステルの塩、脂肪アルコールエーテル硫酸エステル、スルホコハク酸モノエステル、脂肪酸蛋白加水分解物、イソチオン酸塩、イミダゾリニウム誘導体、タウリン酸メチル、サルコシネート、脂肪酸アミドエーテル硫酸エステル、アルキルアミドベタイン、脂肪アルコール、脂肪酸グリセリド、脂肪酸ジエタノールアミド、植物及び合成油、ラノリン誘導体、エトキシル化グリセロール脂肪酸エステル、又はこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0130】
フェイス及びボディーオイルは、従来型の賦形剤、例えば脂肪酸エステル、脂肪アルコール、シリコーン油などの合成油、植物油及び油状植物エキスなどの天然油、パラフィン油若しくはラノリン油、又はこれらの物質の混合物を含むことができる。
【0131】
他の一般的な化粧品応用形態は、口紅、リップケアスティック、マスカラ、アイライナー、アイシャドウ、ほお紅、粉末状メークアップ、乳液状マークアップ及びワックス状メークアップ、並びに日焼け止め、日光浴前及び日光浴後用調製品でもある。
【0132】
本発明による好ましい組成物の形態として、特に乳剤がある。
【0133】
本発明の乳剤は有利であり、例えば、前記の脂肪、油、ワックス及び他の脂肪物質、並びにこのタイプの組成物の調製に通常使用される水及び乳化剤を含む。
【0134】
リピッド相は、以下の群の物質から有利に選択される:
・鉱油、ミネラルワックス;
・油、例えばカプリン酸又はカプリル酸のトリグリセリド、さらに、天然油、例えば、ヒマシ油;
・油脂、ワックス及び他の天然及び合成脂肪物質、好ましくは、脂肪酸と低炭素数のアルコールとの、例えばイソプロパノール、プロピレングリコール又はグリセロールとのエステル、又は脂肪アルコールと低炭素数のアルカン酸との若しくは脂肪酸とのエステル;
・シリコーン油、例えばジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン及びそれらの混合形態のもの。
【0135】
本発明の目的ため、乳剤、油性ゲル剤又は水分散剤若しくは油分散剤の油相は、鎖長が3〜30個の炭素原子である飽和及び/又は不飽和の、分枝及び/又は非分枝アルカンカルボン酸と鎖長が3〜30個の炭素原子である飽和及び/又は不飽和の、分枝及び/又は非分枝アルコールとのエステルからなる群から、又は芳香族カルボン酸と鎖長が3〜30個の炭素原子である飽和及び/又は不飽和の、分枝及び/又は非分枝アルコールとのエステルからなる群から選択されることが有利である。このタイプのエステル油は、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル及びこのタイプのエステルの合成、半合成及び天然混合物、例えばホホバ油から、有利に選択することができる。
【0136】
油相は、さらに、分岐及び非分岐の炭化水素の群、及びワックス、シリコーン油、ジアルキルエーテル、飽和又は不飽和の分岐及び非分岐のアルコールの群、及び脂肪酸トリグリセリド、具体的に、鎖長が8〜24個、特に12〜18個のC原子である飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルカンカルボン酸のトリグリセロールエステル、有利に選択することができる。脂肪酸トリグリセリドは、例えば、合成、半合成及び天然油の群、例えば、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、落花生油、菜種油、アーモンド油、パーム油、ココナッツ油、パーム核油等から有利に選択することもできる。
【0137】
このタイプの油及びワックス成分の好ましい混合物を、本発明の目的のために、有利に採用されることもできる。ワックス、例えば、パルミチン酸セチルを、油相の唯一の脂質成分として用いることも好都合であろう。
【0138】
油相は、イソステアリン酸2−エチルヘキシル、オクチルドデカノール、イソノナン酸イソトリデシル、イソエイコサン、ココナッツ酸2−エチルヘキシル、安息香酸C1215−アルキル、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド及びジカプリルエーテルの群から、有利に選択される。
【0139】
安息香酸C1215−アルキル及びイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物、安息香酸C1215−アルキル及びイソノナン酸イソトリデシルの混合物、及び安息香酸C1215−アルキル、イソステアリン酸2−エチルヘキシル及びイソノナン酸イソトリデシルの混合物が、特に有利である。
【0140】
炭化水素のうち、パラフィン油、スクワラン及びスクワレンを、本発明の目的のために、有利に用いることができる。
【0141】
さらに、油相は、シリコーン油に加えて他の油相成分をさらに有することが好ましいが、環状又は直鎖シリコーン油を含む、又は全体がこのタイプの油からなってもよい。
【0142】
本発明により用いられるべきシリコーン油は、シクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン)が有利である。しかしながら、本発明の目的のために、他のシリコーン油、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン又はポリ(メチルフェニルシロキサン)を用いることも有利である。
【0143】
また、シクロメチコンとイソノナン酸イソトリデシルの混合物、又はシクロメチコンとイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物も特に有利である。
【0144】
本発明の組成物の水相は、任意に、低炭素数のアルコール、ジオール又はポリオール、及びそれらのエーテル類、好ましくはエタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチル又はモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチル、モノエチル又はモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチル又はモノエチルエーテル、及び類似物、さらに、低炭素数のアルコール、例えばエタノール、イソプロパノール、1,2−プロパンジオール、グリセロール、及び特に、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、多糖類及びそれらの誘導体から有利に選択され得る、1つ以上の増粘剤、例えばヒアルロン酸、キサンタンガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、特に有利には、ポリアクリレート類の群からの、好ましくは、いわゆるカルボポール(Carbopol)、例えば、カルボポール グレード980、981、1382、2984又は5984の群からのポリアクリレートを、各々、個々に又は組み合わせて、含むことが有利である。
【0145】
特に、前記溶媒の混合物が用いられる。アルコール性溶媒の場合、水がさらなる構成要素である。
【0146】
本発明の乳液が有利であり、例えば、このタイプの組成に通常用いられるような、前記脂肪、油、ワックス及び他の脂肪物質、並びに水及び乳化剤を含む。
【0147】
好ましい実施形態では、本発明による製剤は親水性界面活性剤を含む。
【0148】
親水性界面活性剤は、好ましくは、アルキルグルコシド、アシルラクチレート、ベタイン及びココナッツアンホアセテートの群から選択される。
【0149】
アルキルグルコシド自体は、下記構造式で分類されるアルキルグルコシドからなる群から有利に選択される。
【0150】
【化12】

(式中、Rは4〜24個の炭素原子を有する分岐又は非分岐アルキル基を表し、DPは2までの平均グルコシル化度を表す)。
【0151】
値DPは、本発明に従って用いられるアルキルグルコシドのグルコシル化度を表し、以下のように定義される。
【0152】
【数2】

(式中、p1、p2、p3...、piは、1個、2個、3個...、i個グルコシル化された生成物の割合を重量パーセントで表している)。本発明によれば、1〜2のグルコシル化度を有する生成物が有利であり、1.1から1.5が特に有利であり、1.2〜1.4、特に1.3が特に有利である。
【0153】
値DPは、アルキルグルコシドが、一般に、その製造の結果として、モノ及びオリゴグルコシドの混合物の状態であるという事実を考慮している。モノグルコシドの比較的高い含量、一般に40〜70重量%が、本発明において有利である。
【0154】
本発明で特に有利に用いられるアルキルグルコシドは、オクチルグルコピラノシド、ノニルグルコピラノシド、デシルグルコピラノシド、ウンデシルグルコピラノシド、ドデシルグルコピラノシド、テトラデシルグルコピラノシド及びヘキサデシルグルコピラノシドの群から選択される。
【0155】
同様に、天然又は合成原料及び助剤又は、本発明に従い用いられる有効成分、例えば、Plantaren(登録商標)1200(Henkel KGaA)、Oramix(登録商標)NS10(Seppic)の効果的含量で区別される混合物を用いることが有利である。
【0156】
アシルラクチレート自体は、下記構造式で分類される物質からなる群から有利に選択される。
【0157】
【化13】


(式中、R1は、1〜30個の炭素原子を有する分枝又は非分枝アルキル基を表し、M+は、アルカリ金属イオンの群、及び1つ以上のアルキル基及び/又は1つ以上のヒドロキシアルキル基により置換されたアンモニウムイオンの群から選択され、又は半当量のアルカリ土類金属イオンに相当する。)
【0158】
例えば、イソステアリル乳酸ナトリウム、例えばAmerican Ingredients社からの製品Pathionic(登録商標)ISLが有利である。
【0159】
ベタインは、下記構造式により識別される物質の群から有利に選択される。
【0160】
【化14】

(式中、R2は、1〜30個の炭素原子を有する分枝又は非分枝アルキル基を表す。)
【0161】
2は、特に有利には、6〜12個の炭素原子を有する分枝又は非分枝アルキル基である。
【0162】
例えば、カプラミドプロピルベタイン、例えばTh.Goldschmidt AGからの製品Tego(登録商標)ベタイン810が有利である。
【0163】
本発明で有利であるココナッツアンホアセテートは、例えばMiranol Chemical社からMiranol(登録商標)Ultra C32の商品名で市販されているナトリウムココナッツアンホアセテートである。
【0164】
本発明の組成物は、親水性界面活性剤が、組成物の合計重量を基準に、0.01〜20重量%、好ましくは0.05〜10重量%、特に好ましくは0.1〜5重量%の濃度で存在することを特徴とすることが有利である。
【0165】
使用において、本発明の化粧及び皮膚科組成物は、化粧品用の通常の方法で、適当な量で皮膚及び/又は毛髪に適用される。
【0166】
本発明の化粧及び皮膚科組成物は、種々の形で存在してよい。すなわち、これらは、例えば、溶液、水非含有組成物、油中水(W/O)形又は水中油(O/W)形のエマルジョン又はミクロエマルジョン、例えば水中油中水(W/O/W)形の多元エマルジョン、ゲル、固形スティック、軟膏又はエアロゾルであり得る。有効成分をカプセル封入状態で、例えば、コラーゲンマトリクス及び他の従来のカプセル封入材料、例えばセルロースカプセル封入して、ゼラチン、ワックスマトリクス又はリポソームでカプセル封入して、投与することも有利である。特に、DE−A 43 08 282に記載のようなワックスマトリクスが好ましいとわかった。エマルジョンが好ましい。O/Wエマルジョンが特に好ましい。エマルジョン、W/Oエマルジョン及びO/Wエマルジョンは、従来の方法により得られる。
【0167】
使用することができる乳化剤は、例えば既知のW/O及びO/W乳化剤である。本発明の好ましいO/Wエマルジョン中に、別の従来の共乳化剤を使用することが有利である。
【0168】
本発明で有利な共乳化剤は、例えばO/W乳化剤が飽和した基R及びR’を有する限り、HLB値が11〜16、特に有利にはHLBが14.5〜15.5である物質の群より主に選択されるO/W乳化剤である。O/W乳化剤が不飽和基R及び/又はR’を有する場合、又はイソアルキル誘導体の場合、そのような乳化剤の好ましいHLB値は、それ以上低くても高くてもよい。
【0169】
エトキシル化されたステアリルアルコール、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール(セテアリルアルコール)の群から脂肪アルコールエトキシレートを選択することが有利である。特に好ましいのは以下のものである:ポリエチレングリコール(13)ステアリルエーテル(ステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)ステアリルエーテル(ステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)ステアリルエーテル(ステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)ステアリルエーテル(ステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)ステアリルエーテル(ステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)ステアリルエーテル(ステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)ステアリルエーテル(ステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)ステアリルエーテル(ステアレス−20)、ポリエチレングリコール(12)イソステアリルエーテル(イソステアレス−12)、ポリエチレングリコール(13)イソステアリルエーテル(イソステアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソステアリルエーテル(イソステアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソステアリルエーテル(イソステアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソステアリルエーテル(イソステアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソステアリルエーテル(イソステアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソステアリルエーテル(イソステアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソステアリルエーテル(イソステアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソステアリルエーテル(イソステアレス−20)、ポリエチレングリコール(13)セチルエーテル(セテス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルエーテル(セテス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルエーテル(セテス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルエーテル(セテス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルエーテル(セテス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルエーテル(セテス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルエーテル(セテス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルエーテル(セテス−20)、ポリエチレングリコール(13)イソセチルエーテル(イソセテス−13)、ポリエチレングリコール(14)イソセチルエーテル(イソセテス−14)、ポリエチレングリコール(15)イソセチルエーテル(イソセテス−15)、ポリエチレングリコール(16)イソセチルエーテル(イソセテス−16)、ポリエチレングリコール(17)イソセチルエーテル(イソセテス−17)、ポリエチレングリコール(18)イソセチルエーテル(イソセテス−18)、ポリエチレングリコール(19)イソセチルエーテル(イソセテス−19)、ポリエチレングリコール(20)イソセチルエーテル(イソセテス−20)、ポリエチレングリコール(12)オレイルエーテル(オレス−12)、ポリエチレングリコール(13)オレイルエーテル(オレス−13)、ポリエチレングリコール(14)オレイルエーテル(オレス−14)、ポリエチレングリコール(15)オレイルエーテル(オレス−15)、ポリエチレングリコール(12)ラウリルエーテル(ラウレス−12)、ポリエチレングリコール(12)イソラウリルエーテル(イソラウレス−12)、ポリエチレングリコール(13)セチルステアリルエステル(セテアレス−13)、ポリエチレングリコール(14)セチルステアリルエステル(セテアレス−14)、ポリエチレングリコール(15)セチルステアリルエステル(セテアレス−15)、ポリエチレングリコール(16)セチルステアリルエステル(セテアレス−16)、ポリエチレングリコール(17)セチルステアリルエステル(セテアレス−17)、ポリエチレングリコール(18)セチルステアリルエステル(セテアレス−18)、ポリエチレングリコール(19)セチルステアリルエステル(セテアレス−19)、ポリエチレングリコール(20)セチルステアリルエステル(セテアレス−20)。
【0170】
さらに、以下の群から脂肪酸エトキシレートを選択することが有利である:
【0171】
ステアリン酸ポリエチレングリコール(20)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(21)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(22)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(23)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(24)、ステアリン酸ポリエチレングリコール(25)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(12)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(13)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(14)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(15)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(16)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(17)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(18)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(19)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(20)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(21)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(22)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(23)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(24)、イソステアリン酸ポリエチレングリコール(25)、オレイン酸ポリエチレングリコール(12)、オレイン酸ポリエチレングリコール(13)、オレイン酸ポリエチレングリコール(14)、オレイン酸ポリエチレングリコール(15)、オレイン酸ポリエチレングリコール(16)、オレイン酸ポリエチレングリコール(17)、オレイン酸ポリエチレングリコール(18)、オレイン酸ポリエチレングリコール(19)、オレイン酸ポリエチレングリコール(20)。
【0172】
有利に用いることができるエトキシル化アルキルエーテルカルボン酸又はその塩は、ラウレス−11カルボン酸ナトリウムである。有利に用いることができるアルキルエーテル硫酸塩は、ラウレス−14硫酸ナトリウムである。有利に用いることができるエトキシル化コレステロール誘導体は、ポリエチレングリコール(30)コレステリルエーテルである。ポリエチレングリコール(25)大豆ステロールも良好であるとわかった。有利に用いることができるエトキシル化トリグリセリドは、ポリエチレングリコール(60)月見草グリセリドである。
【0173】
さらに、ポリエチレングリコール(20)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(21)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(22)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(23)グリセリルラウレート、ポリエチレングリコール(6)グリセリルカプレート/カプリネート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルオレエート、ポリエチレングリコール(20)グリセリルイソステアレート及びポリエチレングリコール(18)グリセリルオレエート/ココエートの群からポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステルを選択することが有利である。
【0174】
同様に、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノイソステアレート、ポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノパルミテート及びポリエチレングリコール(20)ソルビタンモノオレエートの群からソルビタンエステルを選択することが好ましい。
【0175】
任意のW/O乳化剤であるが、そうは言うものの、本発明に従い有利に用いることができる乳化剤を以下に示す:
【0176】
8〜30個の炭素原子を有する脂肪アルコール、鎖長が8〜24個、特に12〜18個の炭素原子である飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルカンカルボン酸のモノグリセロールエステル、鎖長が8〜24個、特に12〜18個のC原子である飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルカンカルボン酸のジグリセロールエステル、鎖長が8〜24個、特に12〜18個のC原子である飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルコールのモノグリセロールエステル、鎖長が8〜24個、特に12〜18個のC原子である飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルコールのジグリセロールエステル、鎖長が8〜24個、特に12〜18個のC原子である飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルカンカルボン酸のプロピレングリコールエステル、及び鎖長が8〜24個、特に12〜18個のC原子である飽和及び/又は不飽和の分岐及び/又は非分岐アルカンカルボン酸のソルビタンエステル。
【0177】
特に有利なW/O乳化剤は、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸ジグリセリル、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノカプリル酸ソルビタン、モノイソオレイン酸ソルビタン、ジステアリン酸スクロース、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキジルアルコール、ベヘニルアルコール、イソベヘニルアルコール、セルラキルアルコール、キミルアルコール、ポリエチレングリコール(2)ステアリルエーテル(ステアレス−2)、モノラウリン酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノカプリル酸グリセリルである。
【0178】
本発明の好ましい組成物は、老化プロセスに対して、及び酸化的ストレスに対して、すなわち、例えば日光、熱又は他の影響により発生されるようなフリーラジカルにより引き起こされる損傷に対して、ヒトの皮膚を保護するのに特に適している。これに関して、これらは、この用途で通常用いられる種々の投与形態にある。例えば、特に、ローション又はエマルジョン、例えば、クリーム又はミルク(O/W、W/O、O/W/O、W/O/W)の状態、油性アルコール性、油性水性又は水性アルコール性のゲル又は溶液の状態、固形スティックの状態又は、エアロゾルとして調製してよい。
【0179】
組成物は、このタイプの組成物において通常用いられる化粧品補助剤、例えば、増粘剤、軟化剤、加湿剤、界面活性剤、乳化剤、防腐剤、抑泡剤、香料、ワックス、ラノリン、推進剤、組成物そのもの又は皮膚を着色する染料及び/又は顔料、及び化粧品において通常用いられる他の成分を含んでよい。
【0180】
用いられる分散剤又は可溶化剤は、油、ワックス又は他の脂肪物質、低級モノアルコール又は低級ポリオールあるいはそれらの混合物であり得る。特に好ましいモノアルコール又はポリオールとしては、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、グリセロール及びソルビトールがある。
【0181】
本発明の好ましい実施態様は、本発明の化合物以外に、水の存在下に、例えば脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリド、ラノリン、天然及び合成油又はワックス、及び乳化剤を含む、保護用クリーム又はミルクの状態のエマルジョンである。
【0182】
さらに好ましい実施態様は、天然又は合成油及びワックス、ラノリン、脂肪酸エステル、特に脂肪酸のトリグリセリドに基づく油性ローション、又は、エタノールのような低級アルコール、プロピレングリコールのようなグリセロール、及び/又は、グリセロールのようなポリオール、及び油、ワックス及び脂肪酸のトリグリセリドのような脂肪酸エステルに基づく油性アルコール性ローションである。
【0183】
本発明の組成物は、エタノール、プロピレングリコール又はグリセロールのような一又は二以上の低級アルコール、及び珪質土のような増粘剤を含むアルコール性ゲルの状態であってもよい。油性アルコール性ゲルは、天然又は合成油又はワックスも含む。
【0184】
固形スティックは、天然又は合成ワックス及び油、脂肪アルコール、脂肪酸、脂肪酸エステル、ラノリン及び他の脂肪物質からなる。
【0185】
エアゾールとして製剤化する場合には、アルカン、フルオロアルカン及びクロロフルオロアルカンなどの従来型の噴射剤を一般に使用する。
【0186】
変色、漂白を防止するために光化学的損傷から、又は機械的性質の損傷から毛髪を保護するために化粧組成物を用いることもできる。この場合、適当な組成物は、リンスアウトシャンプー、ローション、ゲル又はエマルジョンの状態であり、この組成物は、シャンプーの前後、染め又は漂白の前後、又はパーマネントウェーブの前後に適用される。毛髪のスタイリング及び処理のためのローション又はゲルの状態の、ブラッシング又はブローウェーブのためのローション又はゲルの状態の、毛髪ラッカー、パーマネントウェーブ組成物、毛髪の着色剤又は漂白剤としての組成物を選択することもできる。本発明の化合物以外に、光保護特性を有する組成物は、このタイプの組成物において用いられる種々の補助剤、例えば、界面活性剤、増粘剤、ポリマー、軟化剤、防腐剤、泡安定化剤、電解質、有機溶媒、シリコーン誘導体、油、ワックス、耐油剤、組成物そのもの又は毛髪を着色する染料及び/又は顔料、あるいはヘアケアのために通常用いられる他の成分を含むことができる。
【0187】
本発明の組成物がヘアケア組成物である場合、この組成物が、R1が基Ra又はRbを表す式Iで示される化合物の少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0188】
【化15】

ここで、mは1〜3の範囲の整数を表し、A1〜A3は、各々互いに独立して、−(CH2o(O)pH基(oは1、2又は3であり、pは0又は1である)を表し、式Iで示される化合物の少なくとも一つが、前述のような化合物Iah及びIb〜Ivから選択される化合物であることが特に好ましい。
【0189】
本発明は、さらに、UV−A又はUV−B領域において、それ自体が著しいUV吸収を示さないが、使用条件下に反応性であり、UV−A又はUV−B保護を実現する化合物の少なくとも一つを、化粧又は皮膚科的に又は食品あるいは家庭用品に適している賦形剤と混合することを特徴とする組成物を調製する方法に、及び、酸化防止特性を有する組成物を調製するための式Iで示される化合物の使用に関する。
【0190】
本発明の組成物は、当業者に良く知られている技術を利用して調製することができる。
【0191】
混合により、賦形剤中へ、本発明の化合物を溶解、乳化又は分散することができる。
【0192】
本発明で好ましい方法において、式I ena又はI enbで示される化合物の少なくとも一つを水素化することにより式Iで示される化合物が製造される。
【0193】
【化16】

式中、基Ar、X、Y、Z1及びZ2並びにR1は、目的とする式Iの基に相当する。
【0194】
例えば、分子水素が水素化に適している。式I ena又はI enbで示される化合物の水素化のために分子状水素を用いる場合、水素化は、好ましくは、触媒又は触媒系の存在下に行われる。
【0195】
水素化に適当な触媒は、全ての普通の均一又は不均一触媒であり、特に好ましいものは元素Pt、Pd及びRhからできれば選択される少なくとも一つの貴金属、又はMo、W、Cr、特にFe、Co及びNiのような遷移金属であり、単独又は混合して用いられる。ここで、触媒又は触媒混合物は、炭素、活性炭、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸ストロンチウム又は珪藻土のような担体上で用いることもできる。ここで、金属はラネーニッケルのようなラネー化合物で用いてもよい。触媒作用が均一プロセスで行われる場合、用いられる触媒が、前記金属の1つ以上の錯体化合物、例えば、ウィルキソン触媒[クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム]であることが好ましい。さらに、還元剤によりその場で還元することができると共にその場で細かく分散された金属(0)種を形成することができる、前記金属の塩を用いることができる。適当な貴金属塩は、例えば、酢酸パラジウム、臭化パラジウム及び塩化パラジウムであり、適当な還元剤は、例えば、水素、ヒドラジン、ホウ水素化ナトリウム及び蟻酸塩である。本発明の好ましい変形において、不均一触媒が用いられ、本発明の方法で用いられる触媒が、好ましくは活性炭支持体上のPd又はPt、例えば、5重量%Pd又はPt/Cであることが特に好ましい。
【0196】
水素化は、通常、20〜150℃の範囲の温度で行われる。水素化は、さらに、1〜200バールの水素圧で行われることが有利である。
【0197】
適当な溶媒はプロトン性溶媒、特に、当業者に知られている通常のプロトン性溶媒、例えば、水、メタノール、エタノール及びイソプロパノールのような低級アルコール、及び第一及び第二アミン、並びにこのタイプのプロトン性溶媒の混合物であり、用いられる溶媒が水であることが特に好ましい。
【0198】
また、この反応に適した溶媒としては、さらに、従来の非プロトン性溶媒である。例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及びN−メチルピロリドンを用いることができる。
【0199】
さらに本発明の製造方法の好ましい実施態様において、固体状態で水素化が行われる、すなわち、余分な溶媒が必要無い。
【0200】
反応が終了すると、従来の方法により仕上げを行うことができる。例えば、触媒を濾去し、例えば大気圧に比べて減圧された圧力下に加熱することにより濾液から溶媒を除去し、得られる生成物を、さらに従来の方法により精製することができる。
【0201】
反応生成物のさらなる精製を、従来の方法で、例えば、適当な溶媒からの再結晶、又はクロマトグラフィー法で、同様に行うことができる。
【0202】
本発明の化合物が、組成物に安定化作用を奏し得ることもわかった。対応する製品で用いた場合、後者は、長期間安定で、薬学的にも感覚的にも性質を変化させない。特に、成分、例えば、ビタミンの有効性が、長期間の使用又は長期間の保存の場合にも維持される。このことは、化粧品が紫外線により特に高いストレスに曝されるので、特に、UV光の効果に対して皮膚を保護するための組成物の場合に特に有利である。
【0203】
本発明の化合物の正の効果は、化粧又は薬剤組成物での使用のための特別の適合性を提供する。
【0204】
式Iで示される化合物の特性は、同様に、食品において、又は食品サプリメントとしてもしくは機能性食品としての使用に正であると見なすべきである。食品用のさらなる説明は、対応して、食品サプリメント及び機能性食品にも適用される。
【0205】
本発明により本発明の1つ以上の化合物で強化されうる食品として、動物による消費又はヒトによる消費に適した全ての材料、例えば、ビタミン又はそのプロビタミン、脂肪、ミネラル又はアミノ酸がある。(これらの食品は、固体ばかりでなく、液体、すなわち飲料の形態であっても良い。)
【0206】
従って、本発明は、さらに、ヒト又は動物の栄養のための食品添加剤としての、式Iで示される化合物に使用、及び、食品又は食品サプリメントであって、対応する腑形剤を含む組成物に関する。
【0207】
本発明により本発明の1つ以上の化合物で強化できる食品は、また、例えば、単一天然供給源に由来する食品、例えば、糖、無糖ジュース、単一植物種のスカッシュ又はピューレ、例えば、無糖リンゴジュース(例えば、異なるタイプのリンゴジュースの混合物も)、グレープフルーツジュース、オレンジジュース、リンゴコンポート、アプリコットスカッシュ、トマトジュース、トマトソース、トマトピューレ、等である。本発明により本発明の1つ以上の化合物で強化できる食品の別の例は、トウモロコシ又は単一の植物種からの穀類、及びこのタイプの植物種から生成された材料、例えば、穀類シロップ、ライ麦粉、小麦粉又はカラス麦ふすまである。このタイプの食品の混合物も、本発明により本発明の1つ以上の化合物で強化するのに適しており、例えば、マルチビタミン製剤、ミネラル混合物又は加糖ジュースが挙げられる。本発明により本発明の1つ以上の化合物で強化できる食品の別の例として、食品組成物、例えば、調製穀類、ビスケット、混合飲料、例えばヨーグルトのような特に子供用に調製された食品、ダイエット食品、低カロリー食品又は、動物飼料が挙げられる。
【0208】
従って、本発明により本発明の1つ以上の化合物を豊富に含むことができる食品としては、炭水化物、脂質、蛋白、無機元素、微量元素、ビタミン、水又は、植物及び動物の活性代謝産物の全ての食用組み合わせが挙げられる。
【0209】
本発明により、本発明の1つ以上の化合物で強化することができる食品は、経口的に、例えば穀粉、丸剤、錠剤、カプセル剤、散剤、シロップ剤、液剤又は懸濁剤の形態で取られることが好ましい。
【0210】
本発明の1つ以上の化合物で強化された本発明による食品は、当業者に良く知られている技術を利用して調製することができる。
【0211】
酸化防止剤又はフリーラジカル捕捉剤としての作用の故に、本発明の化合物は、薬剤成分としても適しており、体内のフリーラジカルを捕捉する天然の機構を応援し、あるいは代替する。本発明の化合物は、一部の場合に、その作用を、ビタミンCのようなフリーラジカル捕捉剤と比べることができる。本発明の化合物は、例えば、皮膚の炎症及びアレルギーの予防的治療のため、及びある場合には、特定のタイプの癌の予防に用いることができる。本発明の化合物は、特に皮膚の炎症、アレルギー及び刺激の治療用の薬剤の調製に特に適している。さらに、静脈用強壮剤として、毛細血管の強度を増加させる薬剤として、クーペローズ(cuperose)阻害剤として、化学的、物理的又は光線紅斑の阻害剤として、敏感肌の治療用の薬剤として、充血除去剤として、脱水剤として、痩身剤として、皺防止剤として、細胞外マトリクスの成分の合成の刺激剤として、皮膚弾性を向上させるための強化剤として、及び老化防止剤として作用する薬剤を調製することができる。さらに、この点において好ましい本発明の化合物は、抗アレルギー、抗炎症及び抗刺激作用を示す。従って、これらは、炎症又はアレルギー反応の治療のための薬剤の調製に適している。
【実施例】
【0212】
本発明を、実施例を参照して以下により詳細に説明する。本発明は、特許請求の範囲の範囲で実施することができ、ここに挙げられる実施例に限定されない。
【0213】
実施例1:4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシルの製造
【0214】
【化17】

【0215】
(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジリデン)マロン酸ジ−2−エチルヘキシル(この化合物の合成がWO−A−2003/007906に記載されており、この点における開示内容が、明らかに、本発明の課題の一部である)を、メタノール(14ml/mmol)に溶解し、5%Pd/C(水56%;Merck社製:カタログ番号275175;0.54g/mmol)を加える。続いて、室温及び大気圧で、水素3.0を用いて水素化を行う。触媒を、濾過により分離除去する。濾液から減圧下に溶媒を除去し、残っている緑色を帯びた油をtert−ブチルメチルエーテル(MTBE)に取り込み、1N HClで2回、飽和NaHCO3水溶液で1回、及び飽和NaCl水溶液で1回抽出する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。シリカゲルを通して濾過することにより精製を行う。この目的で、粗生成物を石油エーテル(PE)に取り込み、PE/MTBEで溶離し、分析的に純粋な生成物を無色油状物として得る。
【0216】
実施例2:2−シアノ−3,3−ジフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシルの製造
【0217】
【化18】

【0218】
2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(Eusolex(登録商標)OCR;Merck社製)をテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、5%Pd/C(水56%;Merck社製:カタログ番号275175)を加える。続いて、室温及び大気圧で、水素3.0を用いて水素化を行う。触媒を、濾過により分離除去する。濾液から減圧下に溶媒を除去し、残渣を洗う。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧下に除去する。シリカゲルを通して濾過することにより精製を行い、分析的に純粋な生成物を得る。
【0219】
原理的に、式Iの全化合物は実施例1又は2と同じように製造することができる。例えば、下記の化合物がそれぞれ対応するベンジリデン化合物から得ることができる:
【0220】
4−メトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
4−メトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
4−ヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
3−ヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
3−ヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2−ヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2−ヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
【0221】
3,4,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
3,4,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,4,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,4,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,3,4−トリメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,3,4−トリメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,3,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,3,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,3,6−トリメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,3,6−トリメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,4,6−トリメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,4,6−トリメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,4−ジメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,4−ジメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,3−ジメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,3−ジメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
3,4−ジメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
3,4−ジメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
【0222】
3,4,5−トリヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
3,4,5−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,4,5−トリヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,4,5−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,3,4−トリヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,3,4−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,4−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,3−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,3−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
2,5−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
2,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
3,4−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
3,5−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
3,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、
3−ヒドロキシ−4−メトキシベンジルマロン酸ジ2−エチルヘキシル、
【0223】
4−メトキシベンジルマロン酸、
4−メトキシフェニルプロピオン酸、
4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸、
4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、
4−ヒドロキシベンジルマロン酸、
3−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、
3−ヒドロキシベンジルマロン酸、
2−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、
2−ヒドロキシベンジルマロン酸、
【0224】
3,4,5−トリメトキシベンジルマロン酸、
3,4,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸、
2,4,5−トリメトキシベンジルマロン酸、
2,4,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸、
2,3,4−トリメトキシベンジルマロン酸、
2,3,4−トリメトキシフェニルプロピオン酸、
2,3,5−トリメトキシベンジルマロン酸、
2,3,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸、
2,3,6−トリメトキシベンジルマロン酸、
2,3,6−トリメトキシフェニルプロピオン酸、
2,4,6−トリメトキシベンジルマロン酸、
2,4,6−トリメトキシフェニルプロピオン酸、
2,4−ジメトキシベンジルマロン酸、
2,4−ジメトキシフェニルプロピオン酸、
2,3−ジメトキシベンジルマロン酸、
2,3−ジメトキシフェニルプロピオン酸、
2,5−ジメトキシベンジルマロン酸、
2,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸、
3,4−ジメトキシベンジルマロン酸、
3,4−ジメトキシフェニルプロピオン酸、
3,5−ジメトキシベンジルマロン酸、
3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸、
【0225】
4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロピオン酸、
4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルマロン酸、
3,4,5−トリヒドロキシベンジルマロン酸、
3,4,5−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸、
2,4,5−トリヒドロキシベンジルマロン酸、
2,4,5−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸、
2,3,4−トリヒドロキシベンジルマロン酸、
2,3,4−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸、
2,4−ジヒドロキシベンジルマロン酸、
2,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、
2,3−ジヒドロキシベンジルマロン酸、
2,3−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、
2,5−ジヒドロキシベンジルマロン酸、
2,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、
3,4−ジヒドロキシベンジルマロン酸、
3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、
3,5−ジヒドロキシベンジルマロン酸、
3,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、
3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニルプロピオン酸、
3−ヒドロキシ−4−メトキシベンジルマロン酸、
4−メトキシベンジルマロン酸ジエチル、
4−メトキシフェニルプロピオン酸エチル、
4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
【0226】
3,4,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
3,4,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,4,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,4,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,3,4−トリメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,3,4−トリメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,3,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,3,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,3,6−トリメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,3,6−トリメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,4,6−トリメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,4,6−トリメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,4−ジメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,4−ジメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,3−ジメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,3−ジメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
3,4−ジメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
3,4−ジメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジエチル、
3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸エチル、
4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロピオン酸エチル、
4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルマロン酸ジエチル、
【0227】
3,4,5−トリヒドロキシベンジルマロン酸ジエチル、
3,4,5−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,4,5−トリヒドロキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,4,5−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,3,4−トリヒドロキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,3,4−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,4−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,3−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,3−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸エチル、
2,5−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジエチル、
2,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸エチル、
3,4−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジエチル、
3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸エチル、
3,5−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジエチル、
3,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸エチル、
3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニルプロピオン酸エチル、
3−ヒドロキシ−4−メトキシベンジルマロン酸ジエチル、
【0228】
4−メトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
4−メトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
3,4,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
3,4,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,4,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,4,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,3,4−トリメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,3,4−トリメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,3,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,3,5−トリメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,3,6−トリメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,3,6−トリメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,4,6−トリメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,4,6−トリメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,4−ジメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,4−ジメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,3−ジメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,3−ジメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
3,4−ジメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
3,4−ジメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
【0229】
3,4,5−トリヒドロキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
3,4,5−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,4,5−トリヒドロキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,4,5−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,3,4−トリヒドロキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,3,4−トリヒドロキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,4−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,3−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,3−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
2,5−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
2,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
3,4−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
3,5−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
3,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
3−ヒドロキシ−4−メトキシフェニルプロピオン酸フェネチル、
3−ヒドロキシ−4−メトキシベンジルマロン酸ジフェネチル、
【0230】
2−シアノ−3,3−ジフェニルプロピオン酸エチル
2−シアノ−3,3−ジフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル
2−シアノ−3,3−ジフェニルプロピオン酸、
N,N’−ビス[3−(エチルジメチルアンモニウム)プロピル]−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロンアミドの塩化物、
N,N’−ビス[3−(エチルジメチルアンモニウム)エチル]−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロンアミドの塩化物、
N,N’−ビス[3−(トリメチルアンモニウム)プロピル]−2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジル)マロンアミドの塩化物、
N,N’−ビス[3−(トリメチルアンモニウム)エチル]−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)マロンアミドの塩化物、
N,N’−ビス[3−(エチルジメチルアンモニウム)プロピル]−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)マロンアミドの塩化物、
N,N’−ビス[3−(エチルジメチルアンモニウム)エチル]−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)マロンアミドの塩化物、
N,N’−ビス[3−(トリメチルアンモニウム)プロピル]−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)マロンアミドの塩化物、
N,N’−ビス[3−(トリメチルアンモニウム)エチル]−2−(4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジル)マロンアミドの塩化物、
例えば、4−アルキレンオキシマロン酸ジエチルのような、アルキレンオキシ基で結合したベンジルマロン酸誘導体又はフェニルプロピオン酸誘導体を含むオリゴ−及びポリシロキサン類。
【0231】
実施例3:UV光中の酸化
図1は、UV光で照射した時の4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル(実施例1より)のUVスペクトルにおける変化を示す。
【0232】
曲線は、未照射物質(0kJ/m2露光)、15分照射後(86kJ/m2露光)、65分照射後(373kJ/m2露光)、235分照射後(1349kJ/m2露光)及び405分照射後(2325kJ/m2露光)を示す。スペクトルはCarry300バイオスペクトロメーターで記録される。290〜400nmの範囲で95.69W/m2の出力でUVスペシャルガラスフィルターを備えるAtlas Sun Test CPS,キセノンランプにより照射を行う。
【0233】
僅か65分後、より長い照射にさらに増加するが、UV−A領域(320〜340nmの領域におけるEmax)で化合物によるUV吸収の顕著な増加が起きる。
【0234】
実施例3a:別の酸化防止剤の存在下におけるUV光中の酸化
図2は、UV光で照射した時(実施例3を参照)の、β−カロチン0.5重量%及び4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル4重量%を含むエマルジョン(曲線A及びB)の、β−カロチン0.5重量%を含むが4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシルは含まないエマルジョン(曲線C及びD)と比較した、UV/VISスペクトルにおける変化を示す。
【0235】
曲線は、未照射エマルジョン(曲線A及びC)及び90分照射後のエマルジョン(曲線B及びD)を示す。スペクトルはCarry50スペクトロメーターに記録される。UVスペシャルガラスフィルターを備えるAtlas Sun Test CPS+キセノンランプにより照射を行う。結果は、4回測定による(n=4)。
【0236】
4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシルを含む照射サンプル(B)に対して、UV−A領域(320〜340nmの領域でのEmax)に反応生成物の吸収がこの場合もやはり起きている。しかし、さらに、このサンプルのβ−カロチンの吸収(440〜480nmの領域でのEmax)が、照射サンプルDに比べ顕著に強いことがわかる。その結果、本発明のエマルジョン中のβ−カロチンの分解が減る;4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシルがβ−カロチンを安定化する。
【0237】
実施例3b:DPPHアッセイ
例えば、2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル(DPPH)アッセイにより、フリーラジカル減少作用を示すことができる。2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジルは、溶液中で安定なフリーラジカルである。不対電子により、515nmに強力な吸収バンドが得られ、溶液は暗紫色である。フリーラジカル捕捉剤の存在下に、電子が対を形成し、吸収が消失し、電子の取り込みにより化学量論的に脱色が進行する。光度計にて吸収を測定する。被試験物質の抗フリーラジカル特性を、用いた2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジルの50%がフリーラジカル捕捉剤と反応した濃度を測定することにより決める。この濃度をEC50として表す。この値は、所定の測定条件下における物質の特性であると見なされる。調べられた物質は、標準(例えば、トロフェロール)と比較される。ここで、EC50値は、それぞれの化合物がフリーラジカルを捕捉する性能の目安である。EC50値が低いほど、フリーラジカルを捕捉する性能が高い。
【0238】
手順:
エタノール中に2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル(DPPH)を含む原液を調製する(DPPHフリーラジカル0.025g/l)。試験すべき種々の濃度の化合物を、少量のこの溶液に加える。それぞれの場合、吸収を、515nm、25℃及び1cmで測定する。
【0239】
測定されたEC50は、最初のDPPHフリーラジカル濃度の50%が依然として存在する値である。この値が低いほど、対応するフリーラジカル減少活性が高い。
【0240】
この値を達成するために必要な反応時間を、値TEC50(分として)で示す。
【0241】
次表は、いくつかの普通の酸化防止剤の活性及び安定性(上記DPPHアッセイにより測定された)を、本発明の酸化防止剤と比較している。
【0242】
【表8】

【0243】
実施例4: 組成物
実施例1又は2の化合物を含む化粧組成物の例示的調製を以下に示す。対応する化合物を、本発明の全ての化合物を用いて、同様にして製造することができる。
【0244】
さらに、市販化合物のINCl名称が示される。
【0245】
UV−Pearl,OMCはINCl名称を有する組成物を表す:
水(EUでは:Aqua)、メトキシ桂皮酸エチルヘキシル、シリカ、PVP、クロルフェネシン、BHT;この組成物は、Merck KGaA,Darmstadtから、Eusolex(登録商標)UV PearlTMOMCの名称で市販されている。
【0246】
表中に示される他のUV−Pearlは、OMCが示されたUVフィルタにより置換されている、各々、似た組成を有している。
【0247】
【表9】

【0248】
【表10】

【0249】
【表11】

【0250】
【表12】

【0251】
【表13】

【0252】
【表14】

【0253】
【表15】

【0254】
【表16】

【0255】
【表17】

【0256】
【表18】

【0257】
実施例5 ヘア・マスカラ
【0258】
【表19】

【0259】
調製方法:
相Bを75℃に、相Cを80℃に加熱する。相Bを相Cへ撹拌しながらゆっくりと加える。撹拌しながら65℃に冷まし、均一にする。40℃に冷まし、撹拌しながら相C、相D及び相Eを相B/Cに加え、再び均一にする。それから、撹拌しながら真珠光沢顔料を加える。室温まで冷やし、pHを6.0〜6.5に調整する。
以下のように修飾した毛髪マスカラ組成物を同様に調製することができる。
【0260】
下記の変更をしたヘア・マスカラ処方が同様にして調整される:
【0261】
【表20】

【0262】
実施例6:IR3535(登録商標)を含むコンディショナー
【0263】
【表21】

【0264】
調製方法:相A及び相Bを別々に混合する。相Bを相Aへ撹拌しながら加える。相Cを加える。
【0265】
下記の変更をしたコンディショナー組成物が同様にして調整される:
【0266】
【表22】

【0267】
実施例7:真珠光沢顔料を含むヘア・コンディショナー
【0268】
【表23】

【0269】
調製方法:相Aの水に真珠光沢顔料及びTiトリプレックスIIIを分散する。相A及び相Bの成分を75℃に熱する。相Bを相Aへ撹拌しながら加え、均一にする。40℃に冷まし、相C成分を加える。30℃に冷まし、再び約30秒間均一にする。pHを3.6〜4.0に調整する。
注:薦められる真珠光沢顔料は、Merck社からのTIMIRON(登録商標)銀色顔料及びTIMIRON(登録商標)干渉顔料である。
【0270】
下記の変更をしたコンディショナー組成物を実施例7と同様に調製される:
【0271】
【表24】

【図面の簡単な説明】
【0272】
【図1a】図1(図lbは図1aの詳細を示す)は、UV光の照射時の4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシルのUVスペクラムの変化を示す(実施例3参照):曲線は非照射のもの(0kJ/cm2の露光)、15分照射後(86kJ/cm2の露光)、65分照射後(373kJ/cm2の露光)、235分照射後(1349kJ/cm2の露光)及び405分照射後(2325kJ/cm2の露光)を表している。スペクトルはCarry 300 Bioスペクトロメーターで記録されている。照射は、UV特殊ガラスフィルター付の、Atlas Sun Test CPS、キセノンランプにより、290〜400nm範囲で出力95.69W/m2で行われる。結果は4回の測定からである(n=4)。
【図1b】図lbは図1aの詳細を示す。
【図2】図2は、UV光の照射時、β−カロチン0.5質量%と4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル4質量%を含む乳液の(カーブA及びカーブB)、β−カロチン0.5質量%を含むが4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシルを含まないエマルジョン(曲線C及び曲線D)と比べた、UV/VISスペクトラムの変化を示す:曲線は非照射のエマルジョン(曲線A及び曲線C)と90分照射後のエマルジョン(曲線B及び曲線D)を表している。スペクトルはCarry300Bioスペクトロメーターで記録されている。照射は、UV特殊ガラスフィルター付の、Atlas Sun Test CPS、キセノンランプにより、290〜400nm範囲で出力95.69W/m2で行われる。結果は4回の測定からである(n=4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iで示される化合物又は式Iで示される化合物の塩の酸化防止剤としての使用:
【化1】

(式中、
Arは、6〜18個のC原子を有する非置換又は一若しくは多置換の芳香族環又は縮合環系を表し、その少なくとも一つの環は芳香族性を有し、一つの環当たり1個又は2個のCH基がC=O、N、O又はSで置換されていてよく、縮合環系の1個又は2個のCH2基はC=O又はC=CH2で置換されていてよく、
1は、H又は分岐若しくは非分岐C130アルキル基又はC130ヒドロキシアルキル基、あるいは基Ra又はRbを表し、
【化2】

〔ここで、mは1〜30の範囲の整数を表し、A1〜A3は各々互いに独立してベンジル基又は(CHO2n(CH2o(O)pH基を表し、m及びoは各々互いに独立して0〜30の範囲の整数を表し、pは0又は1を表す。〕
Xは、−H、−CN、−C(=O)−R1及び−C(=O)−Z2−R1から選択される基を表し、
YはH又はArを表し、
1及びZ2は、各々互いに独立してO、S、CR78、NR7又は単結合を表し、
7及びR8は、各々互いに独立して、H、OH、直鎖又は分岐C1〜C20アルコキシ基、直鎖又は分岐C1〜C20アルキル基、直鎖又は分岐C3〜C20アルケニル基、直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)、及び直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)から選択される。)。
【請求項2】
式Iで示される化合物が式Iaで示される化合物又は式Iaで示される化合物の塩であることを特徴とする、請求項1に記載の使用:
【化3】

(式中、
1、R7及びR8、Z1及びZ2、X及びYは請求項5に記載の意味を有し、
2〜R6は、各々互いに独立して、H、OH、直鎖又は分岐C1〜C20アルコキシ基、直鎖又は分岐C1〜C20アルキル基、直鎖又は分岐C3〜C20アルケニル基、直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)、及び直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)から選択され、
基R2〜R6の一つは、オリゴ又はポリシロキサン鎖にSi原子を介して結合している分岐又は非分岐C120アルコキシ基あるいは分岐又は非分岐C220アルキレンオキシスペーサーを表してもよい。)。
【請求項3】
化粧品又は薬剤、特に皮膚科組成物又は食品若しくは食品サプリメントの調製、又は家庭用品の調製のための、請求項1に記載の式I又は請求項2に記載の式Iaで示される、少なくとも一つの、化合物の使用。
【請求項4】
3及びR5は、各々互いに独立して、H、直鎖又は分岐C1〜C20アルコキシ基、直鎖又は分岐C1〜C20アルキル基、直鎖又は分岐C3〜C20アルケニル基、直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)、及び直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)から選択され、R3及びR5は、好ましくは、各々互いに独立して、直鎖又は分岐C1〜C4アルコキシ基、特に、メトキシ、イソプロポキシ及びtert−ブトキシ、及び直鎖又は分岐C1〜C6アルキル基、特に、メチル、イソプロピル及びtert−ブチルから選択され、及び
2、R4及びR6は、各々互いに独立して、H、OH、直鎖又は分岐C1〜C20アルコキシ基、直鎖又は分岐C1〜C20アルキル基、直鎖又は分岐C3〜C20アルケニル基、直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)、及び直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)から選択され、R2、R4及びR6は、好ましくは、H及びOHから選択され、基R2〜R6の一つは、オリゴ又はポリシロキサン鎖にSi原子を介して結合している、代わりに式Iで示される一つ以上の化合物を含む、分岐又は非分岐C120アルコキシ基あるいは分岐又は非分岐C220アルキレンオキシスペーサーを表してもよい、ことを特徴とする、請求項2及び3の少なくとも1項に記載の式Iaで示される、少なくとも一つの、化合物の使用。
【請求項5】
2、R4及びR6からの少なくとも一つの基がOHを表すことを特徴とする、請求項2〜4の少なくとも1項に記載の式Iaで示される、少なくとも一つの、化合物の使用。
【請求項6】
2が単結合を表すことを特徴とする、請求項2〜5の少なくとも1項に記載の式Iaで示される、少なくとも一つの、化合物の使用。
【請求項7】
1が分岐又は非分岐C730アルキル基又はC630ヒドロキシアルキル基を表すことを特徴とする、請求項1〜6の少なくとも1項に記載の式I又はIaで示される、少なくとも一つの、化合物の使用。
【請求項8】
4が、式Iで示される1つ以上の化合物を含むオリゴ又はポリシロキサン鎖にSi原子を介して結合している分岐又は非分岐C120アルコキシあるいは分岐又は非分岐C220アルキレンオキシスペーサーを表し、R4が、好ましくは、プロパニルオキシ、イソプロパニルオキシ、プロペニルオキシ、イソプロペニルオキシ又は特にアリルオキシスペーサーを表し、ケイ素原子が、好ましくは、スペーサー二重結合の1−C又は2−Cに結合していることを特徴とする、請求項2〜7の少なくとも1項に記載の式Iaで示される、少なくとも一つの、化合物の使用。
【請求項9】
Xが−C(=O)−Z1−R1を表し、二つの基−Z1−R1が同一であり、R2〜R6が、好ましくは、各々互いに独立して、H、ヒドロキシ又はメトキシを表すことを特徴とする、請求項1〜8の少なくとも1項に記載の式Iで示される、少なくとも一つの、化合物の使用。
【請求項10】
少なくとも一つの化合物が、4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、4−ヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、4−メトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、4−メトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、3,4,5−トリメトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、4−ヒドロキシ−3−メトキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、3,4−ジヒドロキシベンジルマロン酸ジ−2−エチルヘキシル、3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、3,4−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸フェネチル、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロピオン酸2−エチルヘキシル、及び、プロパニルオキシ、イソプロパニルオキシ、プロペニルオキシ、イソプロペニルオキシ又はアリルオキシスペーサーを介して結合している好ましくはp−ベンジルマロン酸ジエチルのようなベンジルマロン酸誘導体又はフェニルプロピオン酸誘導体を含むオリゴ及びポリシロキサン、から選択されることを特徴とする、請求項1〜9の少なくとも1項に記載の式Iで示される、少なくとも一つの、化合物の使用。
【請求項11】
1がNHを表し、R1が基Ra又はRbを表すことを特徴とする、請求項1、2、4、5、6、8及び9の少なくとも1項に記載の基を含む、式I又は式Iaで示される化合物の、請求項1及び3の少なくとも1項に記載の使用:
【化4】

(式中、mは1〜3の範囲の整数を表し、A1〜A3は、各々互いに独立して、H又は基−(CH2o(O)pH(oは1、2又は3、pは0又は1を表す。)を表す。)
【請求項12】
化合物が、化合物Ib〜Iah及びそれらの塩、特にそれらの塩化物から選択されることを特徴とする、請求項11による使用:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【請求項13】
式Iで示される化合物又は式Iで示される化合物の塩:
【化5】

(式中、
Arは、6〜18個の炭素原子を有する非置換又は一若しくは多置換の芳香族環又は縮合環系を表し、その少なくとも一つの環は芳香族性を有し、一つの環当たり1又は2個のCH基がC=O、N、O又はSで置換されていてよく、縮合環系の1又は2個のCH2基がC=O又はC=CH2で置換されていてよく、
1は、H又は分岐若しくは非分岐C130アルキル基又はC130ヒドロキシアルキル基、あるいは基Ra又はRbを表し、
【化6】

〔ここで、mは1〜30の範囲の整数を表し、A1〜A3は各々互いに独立してベンジル基又は(CHO2n(CH2o(O)pH基を表し、m及びoは各々互いに独立して0〜30の範囲の整数を表し、pは0又は1を表す。〕
Xは、−H、−CN、−C(=O)−R1及び−C(=O)−Z2−R1から選択される基を表し、
YはH又はArを表し、
1及びZ2は、各々互いに独立して、O、S、CR78、NR7又は単結合を表し、
7及びR8は、各々互いに独立して、H、OH、直鎖又は分岐C1〜C20アルコキシ基、直鎖又は分岐C1〜C20アルキル基、直鎖又は分岐C3〜C20アルケニル基、直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)、及び直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)から選択される。)。
【請求項14】
式Iで示される化合物が式Iaで示される化合物又は式Iaで示される化合物の塩であることを特徴とする、請求項13に記載の化合物:
【化7】

(式中、
1、R7及びR8、Z1及びZ2、X及びYは、請求項5に記載の意味を有し、
2〜R6は、各々互いに独立して、H、OH、直鎖又は分岐C1〜C20アルコキシ基、直鎖又は分岐C1〜C20アルキル基、直鎖又は分岐C3〜C20アルケニル基、直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルキル基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)、及び直鎖又は分岐C1〜C20ヒドロキシアルコキシ基(ヒドロキシ基は鎖の第一級又は第二級炭素原子に結合してよく、さらにアルキル鎖は酸素で中断されてもよい)から選択され、
基R2〜R6の一つは、オリゴ又はポリシロキサン鎖にSi原子を介して結合している分岐又は非分岐C1-20アルコキシ基あるいは分岐又は非分岐C2-20アルキレンオキシスペーサーを表してもよい。)。
【請求項15】
1が単結合を表すことを特徴とする、請求項13又は14に記載の式I又は式Iaで示される化合物。
【請求項16】
3及びR5は、各々互いに独立して、直鎖又は分岐C1〜C4アルコキシ基、特に、メトキシ、イソプロポキシ及びtert−ブトキシ、及び直鎖又は分岐C1〜C6アルキル基、特に、メチル、イソプロピル及びtert−ブチルから選択され、
2、R4及びR6は、H及びOHから選択される、
ことを特徴とする、請求項14又は15に記載の式Iaで示される化合物。
【請求項17】
2、R4及びR6からの少なくとも一つの基がOHを表す、請求項14〜16の少なくとも1項に記載の式Iaで示される化合物。
【請求項18】
1が分岐又は非分岐C7-30アルキル基又はC6-30ヒドロキシアルキル基を表すことを特徴とする、請求項13〜17の少なくとも1項に記載の式I又は式Iaで示される化合物。
【請求項19】
Xが−C(=O)−Z2−R1を表し、二つの基−Z2−R1が同一であり、R2〜R6が、好ましくは、各々互いに独立して、H、ヒドロキシ又はメトキシを表すことを特徴とする、請求項13〜18の少なくとも1項に記載の式I又は式Iaで示される化合物。
【請求項20】
化粧品又は薬剤、特に皮膚科組成物、食品若しくは食品サプリメント又は家庭用品に適した少なくとも一つの賦形剤と、請求項1、2又は4〜12の少なくとも1項に記載の基を含む式I又は式Iaで示される、少なくとも一つの、化合物を含む組成物。
【請求項21】
式I又は式Iaで示される一つ以上の化合物を、0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%含むことを特徴とする、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
好ましくはビタミンAパルミチン酸、レチノール、ビタミンC及びそれらの誘導体、DL−α−トロフェロール、トコフェロールE酢酸、ニコチン酸、パントテン酸及びビオチンから選択される一つ以上のさらなる酸化防止剤及び/又はビタミンを好ましいものとして含むことを特徴とする、酸化的ストレスに対して体細胞を保護するため、特に、皮膚老化を低減させるための請求項20〜21の少なくとも1項に記載の組成物。
【請求項23】
組成物が少なくとも一つのセルフタンニング剤を含み、少なくとも一つのセルフタンニング剤が好ましくは三糖類及び四糖類から選択され、少なくとも一つのセルフタンニング剤が特に好ましくはジヒドロキシアセトンである、請求項20〜22の少なくとも1項に記載の組成物。
【請求項24】
製品保護のため、特に、有機又は無機染料、酸化防止剤、ビタミン、香料成分、油成分のような酸化感受性の処方成分、又は、乳化剤、増粘剤、フィルム形成剤及び界面活性剤のようなマトリクス構成物質の保護のための、請求項1、2又は4〜12の少なくとも1項に記載の基を含む式I又は式Iaで示される化合物の使用。
【請求項25】
色素沈着制御のための、特に、皮膚領域を美白にするための、請求項1、2又は4〜12の少なくとも1項に記載の基を含む式I又は式Iaで示される化合物の使用。
【請求項26】
請求項1、2又は4〜12の少なくとも一つによる基を含む式I又はIaで示される化合物を、化粧品又は薬剤、食品又は食品サプリメント、あるいは家庭用品に適した賦形剤と混合することを特徴とする、組成物の製造方法。
【請求項27】
式I ena又はI enbで示される、少なくとも一つの、化合物を水素化することを特徴とする、請求項5に記載の式Iで示される化合物の製造方法。
【化8】

(式中、基Ar、X、Y、Z1及びZ2並びにR1は、望ましい式Iの基に相当する。)

【図1a】
image rotate

【図1b】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2008−538381(P2008−538381A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506945(P2008−506945)
【出願日】平成18年3月21日(2006.3.21)
【国際出願番号】PCT/EP2006/002592
【国際公開番号】WO2006/111233
【国際公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】