説明

酸素含有無機粒状物質を変性する方法、それから得られる生成物、及びその使用方法

本発明は変性された酸素含有無機粒状物質を調製する方法であって:a)酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物及び式(I)によるアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル、C〜Cのシクロアルキル又はフェニルであり、Rは水素又はメチルであり、かつnは1乃至5の整数である、の混合物を調製すること;b)任意的に、第1の樹脂及び/又は第1の樹脂前駆体を添加すること;c)1以上のカップリング剤を該混合物に添加すること;d)任意的に、第2の樹脂及び/又は第2の樹脂前駆体を得られた混合物に添加すること;並びにここで、任意的に、工程b)、c)若しくはd)の前若しくは間に、又は工程d)の後に、該混合物から少なくとも部分的に水が除去され;かつ任意的に、工程c)の前、間、若しくは後に該第1の樹脂前駆体を該第1の樹脂に転化し、かつ/又は工程d)の後に該第2の樹脂前駆体を該第2の樹脂に転化する、の工程を含む上記方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変性された酸素含有無機粒状物質を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような方法は、米国特許第4330446号明細書から知られ、それは、水分散性のコロイド状シリカ、水溶性又は水分散性の有機ポリマー樹脂、及びジ−又はトリアルコキシ(又はアルコキシアルコキシ)シラン化合物から成る水分散性シリカ−有機ポリマー複合組成物を記載する。第1の段階で、該樹脂はイソプロピルアルコール(IPA)中で調製され、その後、アクリルポリマー樹脂の水性分散物を得るために水が添加される。該水性分散物にコロイド状シリカの水性分散物が添加され、その後、攪拌しながらかつ85℃までの加熱をしながら、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシランが添加される。
【0003】
米国特許出願公開第2001/0027223号明細書において、シリカ、シラン及び多官能性アクリルモノマーを含有する流体アクリル組成物が記載されている。これら組成物は、酸性水性シリカゾル含有シリカ、ビニルシラン、アルコキシル化アクリレート(メタクリレート)単量体及びイソプロピルアルコールを混合することにより調製されてよく、ここで該単量体は重合化されて該樹脂を形成し、その後該混合物は、水及び該アルコールを除去するために蒸留される。
【0004】
欧州特許出願公開第1366112号明細書は、ポリマー又は重合性モノマー/オリゴマー、及び非晶質二酸化ケイ素を含有する分散相を含む二酸化ケイ素の分散物を記載する。例として、シリカゾル、シラン及びイソプロパノールの混合物が調製され、そして40℃かつ85mbarで攪拌される。その後、ヒドロキシル含有ポリアクリレートが該混合物に添加される。得られた混合物はその後減圧下において40℃で蒸留される。
【0005】
独国特許出願公開第2047721号明細書は、メラミンホルムアルデヒド樹脂、コロイド状シリカ、及びモノオルガノトリアルコキシ又はトリアルコキシアルコキシシランを水及び水混和性有機溶媒から成る溶媒系中に含有する水性コーティング組成物を記載する。本参考文献は2つの分散物の調製を記載する:コロイド状シリカ及びシランを含有する第1、イソプロパノール/n−ブタノール溶媒混合物中に溶解されたメラミン樹脂を含有する第2。その後の段階で、該2つの分散物は混合される。
【0006】
米国特許出願公開第2003/0035888号明細書は、最初に、膜を用いて水性コロイド状シリカ中の大部分の量の水を、メタノールのような1以上の親水性有機溶媒により置換し、そして次に、該コロイド状シリカを、少なくとも1のアルコキシ基を有する加水分解可能なシリコン化合物又は加水分解物と反応させることにより、疎水性コロイド状シリカを調製する方法を開示する。得られた分散物からの該親水性有機溶媒はその後疎水性有機溶媒により置換される。
【0007】
先行技術の方法は概して大量の有機溶媒を用い、これは、体積単位当たりの比較的低い生産物収量で該方法が実施されることを意味する。この大量の溶媒はさらに、廃棄流の処理又は再循環の為に特定の処理を必要とし、これは更に先行技術の方法を経済的により魅力的でないものとする。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、変性された酸素含有無機粒状物質を調製する改善された方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は、変性された酸素含有無機粒状物質を調製する方法であって、
a)酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物及び式
【化1】

に従うアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル、C〜Cのシクロアルキル又はフェニルであり、好ましくはRはC〜Cのアルキルであり、Rは水素又はメチルであり、好ましくはRはメチルであり、かつnは1乃至5の整数である、の混合物を調製すること、
b)任意的に、第1の樹脂及び/又は第1の樹脂前駆体を添加すること、
c)1以上のカップリング剤を該混合物に添加すること、
d)任意的に、第2の樹脂及び/又は第2の樹脂前駆体を得られた混合物に添加すること、
並びにここで、
任意的に、工程b)、c)若しくはd)の前若しくは間に、又は工程d)の後に、該混合物から少なくとも部分的に水が除去され、
かつ任意的に、工程c)の前、間、若しくは後に該第1の樹脂前駆体を該第1の樹脂に転化し、かつ/又は工程d)の後に該第2の樹脂前駆体を該第2の樹脂に転化する、
の工程を含む上記方法により達成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の方法は、樹脂との良い適合性を有する、変性された酸素含有無機粒状物質を提供する。このようにして、樹脂の中の粒状物質の安定な分散物が得られうる。大抵の場合、慣用の方法よりも、より少ない工程及びより少ない溶媒を必要とし、無機粒状物質の単位体積当たりのより高い産出を可能とし、該方法をより効率的なものとすることが、本発明の方法の更なる利点である。アルコキシル化アルコールの利用は、酸素含有無機粒状物質、アルコキシル化アルコール及び水を含有する混合物から、より効率的な水の除去を引き起こす。アルコキシル化アルコールは大抵の樹脂と適合性があり、樹脂が(より)容易に溶解される他の溶媒の使用を不必要なものとすることの利点をアルコキシル化アルコールは更に有する。結果として、本発明の方法は概して、慣用の方法よりも、より簡単であり、経済的により魅力的であり、かつ環境的により友好的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施態様は、変性された無機の酸素含有性粒状物質を調製する方法であって、
a)無機の酸素含有性粒状物質の水性懸濁物及び式
【化2】

に従うアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル、C〜Cのシクロアルキル又はフェニルであり、好ましくはRはC〜Cのアルキルであり、Rは水素又はメチルであり、好ましくはRはメチルであり、かつnは1乃至5の整数である、の混合物を調製すること、
b)第1の樹脂及び/又は第1の樹脂前駆体を添加すること、
c)1以上のカップリング剤を該混合物に添加すること、
d)任意的に、第2の樹脂及び/又は第2の樹脂前駆体を得られた混合物に添加すること、
並びにここで、
任意的に、工程b)、c)若しくはd)の前若しくは間に、又は工程d)の後に、混合物から少なくとも部分的に水が除去され、
かつ任意的に、工程c)の前、間、若しくは後に該第1の樹脂前駆体を該第1の樹脂に転化し、かつ/又は工程d)の後に、該第2の樹脂前駆体を該第2の樹脂に転化する、
の工程を含む上記方法である。
【0012】
もし本方法の工程b)又はc)において、第1の樹脂又は第1の樹脂前駆体が水の存在と反応し又は水の存在において劣化するならば、工程b)が開始する前に水は除去されるべきである。
【0013】
樹脂が存在しながら、酸素含有無機粒状物質がカップリング剤により官能化されて、該樹脂に組み込まれるべき得られた無機粒状物質が1工程で生じる、という更なる利点を本実施態様は有する。この実施態様の方法は、第1の樹脂又は第1の樹脂前駆体が工程a)で添加されない本発明の方法よりも、さらに簡単でありかつその故により安価である。
【0014】
本発明の更なる実施態様は、変性された酸素含有無機粒状物質を調製する方法であって、
a)酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物及び式
【化3】

に従うアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル、C〜Cのシクロアルキル又はフェニルであり、好ましくはRはC〜Cのアルキルであり、Rは水素又はメチルであり、好ましくはRはメチルであり、かつnは1乃至5の整数である、の混合物を調製すること、
b)1以上のカップリング剤を該混合物に添加すること、
c)任意的に、第1の樹脂及び/又は第1の樹脂前駆体を得られた混合物に添加すること、
並びにここで、
任意的に、工程b)若しくはc)の前若しくは間に、又は工程c)の後に、該混合物から少なくとも部分的に水が除去され、
かつ任意的に、工程c)の後に、該第1の樹脂前駆体を該第1の樹脂に転化する、
の工程を含む上記方法である。工程a)及び工程b)において、酸素含有無機粒状物質だけが存在しそしてカップリング剤により変性される故に、容器のサイズが減じられうるという利点を、これは有する。更に、第2の樹脂又は第2の樹脂前駆体に別々に添加されうる、アルコキシル化アルコール中の変性された酸素含有無機粒状物質を該方法は結果して、1つの場所で変性された無機粒状物質を調製すること、それを輸送すること、及び別の場所で樹脂にそれを添加することを可能とする。
【0015】
本発明の文脈において、語「酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物」は、少なくとも一方向で1乃至1,000nmの間の寸法を有する酸素含有無機粒状物質の固体粒子の少なくとも一部が、水性媒体中に分散されている懸濁物を云う。
【0016】
本発明の方法において、水、特には水性懸濁物に由来する水は、工程の間の任意の時に除去されうる。それは、工程b)、c)若しくはd)の前若しくは間に、又は工程d)の後に除去されうる。該除去は、排出、蒸留、排出との組み合わせの蒸留、及び、該混合物から選択的に水を除去できる膜、例えば限外ろ過膜を用いること、のような当技術分野で既知の任意の方法により実施されうる。
【0017】
或る適用では、水の存在は樹脂を劣化しうる。そのような適用では、本発明の方法から得られる生成物中の水の量は典型的には、生成物の全重量に基づき、5重量%未満であり、好ましくは2重量%未満、及び最も好ましくは水の1重量%未満である。
【0018】
一般に、本発明の方法では、種々の出発成分が、以下の量で用いられる:
酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物、アルコール、カップリング剤、第1及び/若しくは第2の樹脂並びに/又は第1及び/若しくは第2の樹脂前駆体の全重量に基づき、
0.1〜80重量%、好ましくは0.2〜65重量%の酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物;
0.1〜90重量%、好ましくは0.2〜70重量%のアルコキシル化アルコール;
0.01〜25重量%、好ましくは0.05〜15重量%のカップリング剤;
1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%の第1及び/若しくは第2の樹脂、並びに/又は第1及び/若しくは第2の樹脂前駆体、ここで出発成分の合計重量は100重量%である。
【0019】
もし酸素含有無機粒状物質が、シリカ、アルミナ、アルミニウム三水和物、二酸化チタン、酸化スズ、インジウムスズ酸化物及び酸化亜鉛から成る群から選ばれるならば、種々の出発成分が以下の量で典型的に用いられる:
酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物、アルコール、カップリング剤、第1及び/若しくは第2の樹脂並びに/又は第1及び/若しくは第2の樹脂前駆体の全重量に基づき、
0.1〜65重量%、好ましくは0.2〜50重量%の酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物;
0.1〜90重量%、好ましくは0.2〜70重量%のアルコキシル化アルコール;
0.01〜25重量%、好ましくは0.05〜15重量%のカップリング剤;
1〜99重量%、好ましくは5〜95重量%の第1及び/若しくは第2の樹脂、並びに/又は第1及び/若しくは第2の樹脂前駆体、ここで出発成分の合計重量は100重量%である。
【0020】
本発明の方法の工程b)は、少なくとも一部のカップリング剤が、酸素含有無機粒状物質と反応するように実施される。一般に、工程b)は、アルコキシル化アルコール/水共沸混合物の沸騰温度と等しい又はより低い温度で実施される。典型的には、工程b)の間の温度は、0℃乃至140℃の間であり、より好ましくは10℃乃至120℃の間、及び最も好ましくは20℃乃至90℃の間である。
【0021】
本発明の方法は、バッチ反応器中で又は連続的に実施されうる。1つの実施態様では、本発明の方法は膜を含む連続的反応器中で実施され、カップリング剤が酸素含有無機粒状物質と反応する間に、該膜は水及びガス性副生成物を反応媒体から除去されることを許す。このようにして、所望の量の水を含みかつ、蒸留のような水を除去する為の何らの追加工程を必要としない生成物が得られる。
【0022】
酸素含有無機粒状物質は、本発明の方法において用いられるような懸濁物、すなわち固体粒状物質の少なくとも一部が水性媒体中に分散されている懸濁物を形成することが出来る、当技術分野における当業者に既知の任意の粒状物質であってよい。本発明の無機粒状物質は、該粒状物質が本発明の方法により変性される前に、すでに変性されていてもよく、例えば有機成分を含んでもよく、又は第2の無機材料中に部分的に又は完全に封入されうることが意図される。銅のような金属の核及び以下で例示されるような金属酸化物の殻を含む酸素含有無機粒状物質を用いることも意図される。酸素含有無機粒状物質は一般に、酸化物、水酸化物、粘土、カルシウム化合物、ゼオライト及びタルクから選ばれる。
【0023】
適当な酸化物及び水酸化物の例は、シリカ(すなわち二酸化ケイ素)、アルミナ、アルミニウム三水和物、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化コバルト、酸化ジスプロシウム、酸化エルビウム、酸化ユーロピウム、酸化インジウム、水酸化インジウム、インジウムスズ酸化物、酸化マグネシウム、酸化ネオジム、酸化ニッケル、酸化サマリウム、酸化テルビウム、酸化スズ、酸化タングステン、及び酸化イットリウムである。
【0024】
粘土は典型的には、カチオン性の又はアニオン性の粘土である。カチオン性の粘土の例は、モンモリロナイトのようなスメクタイトである。アニオン性の粘土の例は、ハイドロタルサイト及びハイドロタルサイト様LDHのような、層状複水酸化物(LDH)である。
【0025】
カルシウム化合物の例は、炭酸カルシウム及びリン酸カルシウムである。
【0026】
好ましい酸素含有無機粒状物質は酸化物及び水酸化物、特にシリカ、アルミナ、アルミニウム三水和物、二酸化チタン、酸化スズ、インジウムスズ酸化物、及び酸化亜鉛である。
【0027】
最も好まれる粒状物質はシリカである。水性コロイド状シリカの例は、アクゾノーベル エヌ.ブイ.からのNyacol(商標)、日産化学(株)からのSnowtex(商標)、及びClariantからのKlebosol(商標)である。
【0028】
本発明は、上述された無機粒状物質の2以上の混合物の変性も包含する。
【0029】
典型的には、本発明の酸素含有無機粒状物質は、動的光散乱方法を用いて測定される、1〜1000nmの間の数平均粒径、10〜50重量%の間の固形分含量を有する。好ましくは、数平均粒径は1〜150nmの間である。本発明に従う酸素含有無機粒状物質の懸濁物は、二峰又は多峰の粒径分布を含みうることが意図される。
【0030】
本発明の更に好まれる実施態様において、酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物、特に脱イオン化された水性シリカが用いられる。「脱イオン化」は、イオン交換技術のような当技術分野の当業者に既知の技術を用いて、Clのようなアニオン及びMg2+及びCa2+のようなカチオンのような、何らかの自由イオンが所望の濃度まで水性懸濁物から除去されることを意味する。「自由イオン」は、溶媒中に溶解されかつ該混合物中を自由に移動できるイオンを言う。自由イオンの量は典型的に、10,000ppm未満、好ましくは1,000ppm未満、及び最も好ましくは500ppm未満である。
【0031】
本発明の方法において、式
【化4】

に従うアルコキシル化アルコールが適当に用いられ、ここで、RはC〜Cのアルキル、C〜Cのシクロアルキル又はフェニル、好ましくはRはC〜Cのアルキル、Rは水素又はメチル、好ましくはRはメチル、かつnは1から5の整数である。そのようなアルコキシル化アルコールの例は、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノn−プロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノt−ブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールシクロヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコール2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノt−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールシクロヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノイソプロピルエーテル、及びジプロピレングリコールモノブチルエーテルである。これらのアルコールのうち、エチレングリコールモノメチルエーテル及びエチレングリコールモノエチルエーテルは好ましさが低く、何故ならそれらは催奇形性でありそして健康問題を引き起こしうるからである。
【0032】
最も好まれるアルコキシル化アルコールは、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びプロピレングリコールモノエチルエーテルである。溶媒は、例えばShell(Oxitol/Proxitol)及びDow(Dowanol)及びUnion Carbide(Carbitol/Cellosolve)から、入手可能である。
【0033】
本発明の方法において2以上のアルコキシル化アルコールを使用することも意図される。さらに、1以上のアルコキシル化アルコール及び以下で提示されるいずれかの溶媒のような他の溶媒の溶媒混合物を用いることが可能である。この溶媒混合物の組成は、該混合物が本発明の方法において用いられる水性懸濁物及び樹脂又は樹脂前駆体と適合するように選ばれるべきであることが注意される。
【0034】
アルコキシル化アルコールを少なくとも部分的に、他の適当な溶媒、特に第1及び/若しくは第2の樹脂又は第1及び/若しくは第2の樹脂前駆体とより適合である溶媒、及び/又は、アルコキシル化アルコールのヒドロキシル基と反応することができる成分を含むコーティング組成物におけるような適用において反応しない溶媒により、置換されることが更に意図される。そのような溶媒は、当技術分野の当業者に既知であり、メチルアミルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノンのようなケトン;エチルアセテート及びブチルアセテートのようなエステル;ブチルアクリレート、メチルメタクリレート及びトリメチロールプロパントリアクリレートのような不飽和アクリルエステル;トルエン及びキシレンのような芳香族炭化水素;並びにジブチルエーテルのようなエーテルである。
【0035】
酸素含有無機粒状物質と反応することができる任意のカップリング剤が、本発明の方法において用いられてよく、適当なカップリング剤は当技術分野の当業者に既知である。一般に、本発明のカップリング剤は、Si、Al、Ti、Zr、B、Zn、Sn及びVから成る群から選ばれる1以上の元素を含む。好ましくは、該カップリング剤は、Si、Al、Ti、Zr及びBから成る群から選ばれる1以上の元素を含む。
【0036】
本発明のカップリング剤は典型的には、式
【化5】

に従うカップリング剤であり、
ここでM及びMは、Si、Al、Ti、Zr及びBから成る群から独立的に選ばれ、
そしてR〜Rの少なくとも1つがヒドロキシル、塩素、1から10の炭素原子を有するアセトキシ、1から20の炭素原子を有するアルコキシ、1乃至20の炭素原子を含む2つの炭化水素基を含むオルガノホスフェート、及び1乃至20の炭素原子を含む2つの炭化水素基を含むオルガノピロホスフェートから独立的に選ばれ、ここでアセトキシ、アルコキシ、オルガノホスフェート又はオルガノピロホスフェートは任意的に少なくとも1の官能基を含む、
そして残るR〜Rは、ヒドロキシル、塩素、1から10,000の炭素原子を有する炭化水素、ここで該炭化水素は任意的に少なくとも1の官能基を含む、1から5の炭素原子を有するアセトキシ、及び1から20の炭素原子を有するアルコキシ、ここで該アルコキシは任意的に少なくとも1の官能基を含む、シロキサン並びにシラザン、ここで該シロキサン及び/又は該シラザンは任意的に環状構造、はしご状構造若しくはかご状構造であり又は残るR〜R基のいずれか1つと環、はしご、又はかご状構造を形成する、から独立的に選ばれ;
そしてXは酸素を表し、又はもしM及び/又はMがSiであるならばXはO、N、S、ジスルフィド、ポリスルフィド、R−S−R及び/又はR−S−Rであり、ここでR及びRは1から6の炭素原子を有する炭化水素から独立的に選ばれる、
そしてpは0から50の整数を表し、
但し、もしMがAl又はBであるとするならば、Rは不在であり、及び/又はもしMがAl又はBであるとするならば、Rは不在である。
官能基は、当技術分野の当業者に既知の任意の官能基でよい。そのような官能基の例は、ヒドロキシル、エポキシ、イソシアネート、チオール、オリゴスルフィド、アミン及びハロゲンである。
【0037】
本発明の方法において2以上のカップリング剤の組み合わせを使用することが可能である。カップリング剤は、混合物として又は別々に、酸素含有無機粒状物質と接触されうる。カップリング剤の比率は所望のように変わってよい。該粒状物質にカップリング剤を添加しながら、時間とともにカップリング剤の比率を変えることも意図される。
【0038】
本発明の更なる実施態様では、第1及び/又は第2の樹脂と反応することができる少なくとも1の官能基を該カップリング剤は含む。そのような官能基の例は、ヒドロキシル、エポキシ、イソシアネート、チオール、オリゴスルフィド、フェノール、ビニル、チオエーテル、チオエステル、アクリレート、メタクリレート、エピスルフィド、チオホスフェート、アリル、アミン及びハロゲンを含む。
【0039】
本発明の方法の1の実施態様では、上記のカップリング剤の少なくとも1つにより変性された酸素含有無機粒状物質は次に、追加のカップリング剤により、又は、該粒状物質に付けられたカップリング剤と反応することができる化合物により、変性される。例えば、変性された酸素含有性粒状物質をより疎水性にし、かつその結果として疎水性マトリックスとより相容性にするヘキサメチルジシラザン(HMDS)により、該変性された粒状物質は処理される。
【0040】
もし該酸素含有無機粒状物質がシリカであるならば、好ましいカップリング剤はケイ素に基づく化合物である。ケイ素に基づく化合物は典型的には、シラン、ジシラン、シランのオリゴマー、シラザン、シラン官能性シリコーン、シラン変性樹脂、及びシルセスキオキサンから成る群から選ばれる。好ましいケイ素に基づく化合物はシラン及びシラザンである。本発明の方法における使用の為に適当なシランは、式I〜VI:
【化6】

に従うシランであり、ここで、R、R、R、Rのそれぞれ1つは、水素又は1から20の炭素原子を有する炭化水素から独立的に選ばれ、該炭化水素は任意的に1以上の官能基を含む。もし式IVからVIのいずれか1つに従うシランが、本発明の方法に用いられるならば、イオン、特にCl−は、例えばイオン交換技術を用いることにより、混合物から好ましくは除去される。追加のイオン除去工程を回避する為に、式I〜IIIのいずれか1つに従うシランが好まれる。
【0041】
本発明によるシランの例は、トリブチルメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、トリメチルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン(Dynasylan(商標)MTMS)、メチルトリエトキシシラン(Dynasylan(商標)MTES)、プロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(商標)PTMO)、プロピルトリエトキシシラン(Dynasylan(商標)PTEO)、イソブチルトリメトキシシラン(Dynasylan(商標)IBTMO)、イソブチルトリエトキシシラン(Dynasylan(商標)IBTEO)、オクチルトリメトキシシラン(Dynasylan(商標)OCTMO)、オクチルトリエトキシシラン(Dynasylan(商標)OCTEO)、ヘキサデシルトリメトキシシラン(Dynasylan(商標)9116)、フェニルトリメトキシシラン(Dynasylan(商標)9165)、フェニルトリエトキシシラン(Dynasylan(商標)9265)3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(商標)GLYMO)、グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン(GLYEO)、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(商標)MTMO)、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(Dynasylan(商標)3403)、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Dynasylan(商標)MEMO)、ビニルトリエトキシシラン(Dynasylan(商標)VTEO)、ビニルトリメトキシシラン(Dynasylan(商標)VTMO)、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン(Dynasylan(商標)VTMOEO)、アセトキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、n−ヘキサデシルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチル−n−オクタデシルジエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、オクタンチオ酸、S−(トリエトキシシリル)プロピルエステル、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド(DegussaからのSi69(商標))、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(PCCからのSiSiB(商標)PC2300)、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、及び3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン(GEからのNXT(商標))である。シランカップリング剤の更なる例は、国際公開第99/09036号パンフレットからも集められてもよく、該シランカップリング剤は引用することにより本明細書中に組み込まれる。
【0042】
本発明の方法において用いられるシランは、式I〜VIのいずれか1つに従う、2以上のシランの混合物であることが更に意図される。
【0043】
適当なジシランの例は、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルートリエトキシシラン、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシルシリルエチル)ベンゼン、及び1,6−ビス(トリメトキシルシリル)ヘキサンである。
【0044】
シランの適当なオリゴマーの例は、ビニルトリメトキシシランオリゴマー(Dynasylan(商標)6490)、ビニルトリエトキシシランオリゴマー(Dynasylan(商標)6498)である。
【0045】
適当なシラザンの例は、ヘキサメチルジシラザン(Dynasylan(商標)HMDS)、テトラメチルジシラザン、ジメチルサイクリックシラザン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタメチルジシラザン、及びN−メチルシラザン樹脂(PetrarchからのPS117)である。
【0046】
適当なシロキサンの例は、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジエトキシジシロキサン、シラノールで停止されたポリジメチルシロキサン(例えば、FluorochemからのPS 340、PS 340.5、PS 341、PS 342.5及びPS 343)、ジアセトキシ官能化ポリジメチルシロキサン(FluorochemからのPS 363.5)、メチルジアセトキシ官能化ポリジメチルシロキサン(FluorochemからのPS 368.5及びPS 375)、ジメチルエトキシで停止されたポリジメチルシロキサン(FluorochemからのPS 393)、及びジメチルメトキシで停止されたポリジメチルシロキサン(FluorochemからのPS 397)である。
【0047】
シラン変性樹脂は一般的にモノアルコキシシリル、ジアルコキシシリル、若しくはトリアルコキシシリル部分又はそれらのヒドロキシシリル、アセトキシシリル若しくはクロロシリル対応物であり、それらは、当技術分野の当業者に明らかであるように、重合化の間にケイ素含有性モノマーを導入することにより又は樹脂を変性することにより調製されうる。好ましいシラン変性樹脂は、モノアルコキシシリル部分、ジアルコキシシリル部分又はトリアルコキシシリル部分を含むポリマーであり、何故ならそれらはより安定でありかつ、酸や塩化物のような望ましくない副生成物を除去する為の何らの追加処理工程も必要としないからである。そのようなシラン変性樹脂の例は、トリメトキシシリル変性ポリエチレンイミン(FluorochemからのPS 076)、メチルジメトキシシリル変性ポリエチレンイミン(FluorochemからのPS 076.5)、N−トリエトキシシリルプロピル−o−ポリエチレン−オキシドウレタン(FluorochemからのPS 077)、及びメチルジエトキシシリル変性1,2−ポリブタジエン(FluorochemからのPS 078.8)である。
【0048】
適当なシルセスキオキサンの例は、ポリメチルシルセスキオキサン(FluorochemからのPR 6155)、ポリフェニルプロピルシルセスキオキサン(FluorochemからのPR 6160)、及びOH−官能性ポリフェニルプロピルシルセスキオキサン(FluorochemからのPR 6163)である。
【0049】
本発明の方法において好まれる他のカップリング剤は、チタン、アルミニウム、ホウ素及びジルコニウムの有機メタレートである。
【0050】
チタン含有性カップリング剤の例は、イソプロピルイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトライソプロピルジ((ジオクチル)ホスフィト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル)ブチルジ((ジトリデシル)ホスフィト)チタネート、イソプロピルトリ((ジオクチル)ピロホスフェート)チタネート、イソプロポキシトリイソステアロイルチタネート、ジ((ジオクチル)ピロホスフェート)オキソエチレンチタネート、ジ((ジオクチル)ホスフェート)エチレンチタネート、ジ((ジオクチル)ピロホスフェート)エチレンチタネート、テトラオクチルチタネートジ(ジトリデシル)ホスフィット、チタン(IV)2,2−(ビス2−プロペノレートメチル)ブタノレート、トリス(ジオクチル)ピロホスフェート−O、及びジアルコキシビス(トリエタノールアミン)チタネートである。
【0051】
アルミニウム含有性カップリング剤の例は、ジイソプロピルアセトアルコキシアルミネート、イソプロピルジイソステアロイルアルミネート、及びイソプロピルジオクチルフォスフェートアルミネートである。
【0052】
ホウ素含有性カップリング剤の例は、トリメチルボレート(SemichemからのTMB)、トリエチルボレート(SemichemからのTEB)、及びトリプロピルボレートである。
【0053】
ジルコニウム含有性カップリング剤の例は、イソプロピルトリイソステアロイルジルコネート、ブチルトリイソステアロイルジルコネート、ブチルトリオレイルジルコネート、イソプロピルトリリノレイルジルコネート、ジ(クミル)フェニルオキソエチレンジルコネート、ジ(クミル)フェニルジブチルジルコネート、及びトリ(クミル)フェニルプロピルジルコネートである。
【0054】
第1及び第2の樹脂は同一でもよく又は異なってもよく、そして当技術分野の当業者に既知の任意の樹脂であってよい。そのような樹脂の例は、重付加ポリマー、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリ尿素、ポリウレタン−ポリエステル、ポリウレタン−ポリエーテル、セルロースアセトブチレートのようなセルロースに基づくバインダー、及び/又は複合樹脂である。上記樹脂の特定の例が、国際公開第04/018115号パンフレットに見られる。これら樹脂は、固体、液体、溶液、エマルジョン又は懸濁物の形態で適当に用いられうる。
【0055】
第1及び第2の樹脂前駆体はそれらの夫々の樹脂の、モノマー、オリゴマー又は樹脂のような、構成ブロックであり、そして夫々第1及び第2の樹脂に転化されうる。第1及び/又は第2の樹脂前駆体の転化は、当技術分野の当業者に既知の任意の慣用方法を用いて実施されうる。
【0056】
変性された酸素含有無機粒状物質及び、式
【化7】

に従うアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル又はフェニルであり、好ましくはRはC〜Cのアルキルであり、Rは水素又はメチルであり、好ましくはRはメチルであり、かつnは1から5の整数である、を含む本発明の方法により入手可能な懸濁物に本発明は更に関する。
【0057】
本発明の変性された粒状物質は、本発明の溶媒以外の溶媒中で変性された粒状物質に比べて、より低い凝集する傾向を有する故に、本発明の懸濁物は改善された安定性を概して有する。
【0058】
変性された酸素含有無機粒状物質の量は一般に、懸濁物の全重量に基づき、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、及び最も好ましくは少なくとも25重量%であり、かつ、懸濁物の全重量に基づき、多くとも70重量%、好ましくは多くとも65重量%、及び最も好ましくは多くとも60重量%である。
【0059】
本発明は更に、本発明に従う変性された酸素含有無機粒状物質の乾燥粉体に関する。そのような乾燥粉体は、本発明の懸濁物の溶媒の除去により得られる。溶媒の除去は、当技術分野で既知の任意の方法により実施されうる。本発明の乾燥粉体は、本発明の溶媒以外の溶媒中で変性された粒状物質に比べて、減少された凝集傾向を有する。結果として、該乾燥粉粉体は、より小量の凝集体を形成しながら又は全く凝集を形成しないで、溶媒中に再分散されうる。何らの理論にとらわれることを望むこと無く、凝集抵抗性の改善の為に、本発明のアルコキシル化アルコールは変性された酸素含有性粒状物質と反応及び/又は相互作用すること、及び更に、第1及び/又は第2の樹脂との、変性された粒状物質の相容性が増加されるだろうことが、考えられる。
【0060】
本発明の乾燥粉体の更なる利点は、溶媒の必要性無く、該粉体が第1及び/又は第2の樹脂と混合されうることである。最初に任意の適当な溶媒中に本発明の乾燥粉体を再分散し、そして次に、得られた懸濁物に第1及び/又は第2の樹脂を添加することも意図される。
【0061】
加えて、本発明は、変性された酸素含有無機粒状物質、アルコキシル化アルコール、並びに第1及び/又は第2の樹脂を含む、上記の方法のいずれか1つにより得られる樹脂組成物に関する。いくつかの適用の為に、当技術分野の当業者に既知の慣用方法を用いてアルコキシル化アルコールが除去された樹脂組成物を用いることが好まれる。得られた樹脂組成物は、変性された酸素含有無機粒状物質並びに第1及び/又は第2の樹脂を含む。本発明の樹脂組成物中の酸素含有無機粒状物質の量は、樹脂の量に基づき、0.1〜80重量%、好ましくは0.2〜70重量%、及び最も好ましくは0.5〜65重量%である。
【0062】
本発明の樹脂組成物の好ましい実施態様は、いわゆるマスターバッチ、すなわち、例えばポリマー配合の為に又はコーティング組成物添加剤として、高度に濃厚な添加剤予備混合物により構成される。本発明の方法におけるアルコキシル化アルコールの使用により、高濃度の変性された酸素含有無機粒状物質を有する樹脂組成物を調製することが可能であり、そしてその結果マスターバッチを調製することも可能である。そのようなマスターバッチは典型的には、マスターバッチの全重量に基づき、5から80重量%、好ましくは15から75重量%の樹脂組成物を含む。
【0063】
本発明の樹脂組成物は、そのような樹脂組成物中に慣用的に用いられる添加剤を更に含みうる。そのような添加物の例は、架橋化合物、UV安定剤、開始剤、難燃剤、触媒、滑剤、顔料、染料、熱安定剤、抗酸化剤、(ヒドロキシルアパタイト、シリカ、カーボンブラック、ガラス繊維、及び他の無機材料のような)充てん剤、核形成剤、衝撃改質剤、可塑剤、レオロジー改質剤、及び脱ガス剤等である。これら添加剤は、当業者に明らかなように、任意の適当な時点で及び任意の適当な量で、工程の間に添加されうる。
【0064】
コーティング組成物、(印刷)インク剤、粘着性タッキファイヤー、樹脂に基づく組成物、ゴム組成物、化粧品、洗浄剤、製紙、掘削液体及びセメント、石こう剤、不織布、線維、発泡体、矯正的形成のギプス(orthoplastic cast)、(プレ)セラミック材料、及びポリマーに基づくナノコンポジット材料中に、本発明の懸濁物又は樹脂組成物は適当に用いられうる。本発明の懸濁物は更に、溶液重合化、バルク重合化、エマルジョン重合化、及び懸濁重合化のような重合化反応において用いられうる。
【0065】
好ましい実施態様は、第1及び/又は第2の樹脂並びに本発明の方法により得られうる変性された酸素含有無機粒状物質を含むナノコンポジット材料である。語「ナノコンポジット材料」は、該複合体材料の少なくとも1つの成分が1乃至1000ナノメートル範囲の少なくとも1の1つの寸法を有する無機相を含む複合体材料を云う。これらナノコンポジット材料は本発明の懸濁物から又は本発明の樹脂組成物から調製されうる。一般に、本発明のナノコンポジット材料中に用いられる第1及び第2の樹脂は、熱可塑性又は熱硬化性の樹脂である。適当な樹脂の例は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリビニルクロライド、ポリメチルアクリレート(ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、並びにポリスチレン、ポリスチレンアクリロニトリル、ポリアクリロニトリルブタジエンスチレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリビニリデンフルオライド、ポリエーテルケトン、並びにポリアミド6、ポリアミド6,6、ポリアミド4,6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコールのようなナイロン、並びにポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)のようなポリスルフィド及びポリエステル、並びに天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリイソブチレン、ハロゲン化ポリイソブチレン、二トリルゴム、スチレン−イソプレン−スチレンのようなゴム、並びに同様のスチレンブロックコポリマー、ポリ(エピクロロヒドリン)ゴム、シリコンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、フッ素ゴム、エテン−ビニルアセテートゴム、ポリアクリルゴム、ポリノルボルネン、ポリエステル/エーテル熱可塑性エラストマー、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミンに基づく樹脂、アクリルに基づく熱硬化性樹脂、エポキシドに基づく樹脂、ジアクリレートに基づく樹脂、ビスフェノールA誘導体又はビスフェノールF誘導体を含有する樹脂、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル化合物である。
【0066】
慣用の無機充てん剤を含むマイクロコンポジット材料と比べて、改善された熱安定性、より良い寸法安定性、増された難燃性、及び改善された強度対重量比のような改善された特性を、本発明に従うナノコンポジット材料は概して有する。
【0067】
更に好ましい実施態様は、本発明の樹脂組成物を含むコーティング組成物である。そのようなコーティング組成物は、溶媒系コーティング、溶媒フリーコーティング及び水系コーティングを含む。該樹脂組成物の使用は、コーティング組成物の引っかき抵抗性を改善する。該樹脂組成物はさらに、コーティング組成物の傷抵抗性、難燃性、及び/又は車両洗浄耐性を改善し、かつ概してそれは、硬化の間のコーティング組成物の膨張率及び/又はコーティング組成物の収縮を減少する。更に、コーティング組成物中の変性された酸素含有無機粒状物質の量は慣用的に用いられるよりも高くされうる。
ケイ素含有性粒状物質又はアルミニウム含有性粒状物質を含む樹脂組成物がコーティング組成物中に好ましくは用いられる。なぜならこれら粒状物質は容易に入手でき、かつ経済的に最も魅力的だからである。
【0068】
本発明の樹脂組成物、特にチタン含有性粒状物質を含む樹脂組成物は、いわゆる自己清浄性コーティング組成物において用いられてもよく、該コーティング組成物は、ある種のチタン含有性化合物のような光酸化誘導要素の存在による、汚染物質の光酸化により清浄にされる。
【0069】
他の実施態様は、亜鉛含有性粒状物質又はチタン含有性粒状物質のような、UV線又はIR線を遮ること又はフィルターすることができるコーティング組成物である。
【0070】
本発明のコーティング組成物の特定の実施態様は、溶媒フリーコーティング組成物、特に粉体コーティング組成物により形成される。すなわち、本発明は、更に本発明に従う樹脂組成物及び硬化剤を含む粉体コーティング組成物に関する。
【0071】
粉体コーティングにおいて、樹脂組成物は、顔料をしめらせかつ顔料粒子間の結合強度を与える機能、並びに基体にしめらせ又は基体に結合する機能を有するバインダーとして作用し、そしてそれは、基体への適用後の硬化/焼付け工程において融解しかつ流れて、均一な膜を形成する。樹脂組成物の第1及び/又は第2の樹脂は一般に、熱硬化性樹脂であるだろうが、(例えば、ポリアミドに基づく)熱可塑性樹脂も、原則として、代わりに用いられうる。
【0072】
第1及び/又は第2の樹脂が熱硬化性樹脂である場合、固体ポリマー状バインダー系は一般に熱硬化性樹脂の為の固体硬化剤を含み、あるいは、二つの共反応的膜形成性熱硬化性樹脂が用いられうる。そのような第1及び/又は第2の樹脂の適当な例は、カルボキシ官能性ポリエステル樹脂、ヒドロキシル官能性ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、及び官能性アクリル樹脂から成る群から夫々選ばれる。
【0073】
粉体コーティングの固体膜形成性成分は例えば、ポリエポキシド硬化剤とともに用いられるカルボキシ官能性ポリエステル膜形成性樹脂を含む、固体ポリマー状バインダーシステムに基づく。そのようなカルボキシ官能性ポリエステル系は現在では、最も幅広く用いられている粉体コーティング材料である。該ポリエステルは一般に、10〜100の範囲の酸価、1,500から10,000の数平均分子量Mn、及び30℃から85℃、好ましくは少なくとも40℃のガラス転移温度Tgを有する。該ポリ−エポキシドは例えば、トリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)のような低分子量エポキシ化合物、ビスフェノールAのジグリシジルテレフタレート縮合グリシジルエーテルのような化合物、又は光安定性エポキシ樹脂でありうる。そのようなカルボキシ官能性ポリエステル膜形成性樹脂はあるいは、テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アジパミドのようなビス(β−ヒドロキシアルキルアミド)硬化剤とともに用いられうる。
【0074】
代わりに、ヒドロキシ官能性ポリエステルが、封鎖されたイソシアネート官能性硬化剤又は、例えばメラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、或いはグリコールウラールホルムアルデヒド樹脂、例えばCyanamid Companyより供給される材料「Powderlink 1174」、或いはヘキサヒドロキシメチルメラミンのような、アミンホルムアルデヒド縮合物と一緒に用いられうる。ヒドロキシ官能性ポリエステルの為の封鎖されたイソシアネート硬化剤は例えば、ウレトジオン型のように内部的に封鎖されてもよく、又はそれはカプロラクタム封鎖型、例えばイソフェロンジイソシアネート、であってもよい。
【0075】
更なる可能性は、例えばジシアンジアミドのようなアミン官能性硬化剤とエポキシ樹脂の使用である。エポキシ樹脂の為のアミン官能性硬化剤を使用する代わりに、フェノール系物質、好ましくは過剰のビスフェノールAとエピクロロヒドリンの反応により形成された物質(すなわち、ビスフェノールAとエポキシ樹脂の付加により形成されたポリフェノール)が使用され得る。
【0076】
粉体コーティングの更に他の可能な膜形成性成分は、45から70℃の範囲のガラス転移温度及び1,500から16,000の範囲の分子量を有する、固体アクリル樹脂である。この種のアクリル樹脂は、35から240g/mol KOHの範囲の酸価を有するカルボン酸官能性、又は35〜100g/mol KOHの範囲のヒドロキシル価を有するヒドロキシル官能性のいずれかを有してもよく、そしてカルボキシル官能性ポリエステル又はヒドロキシル官能性ポリエステルの為に用いられる硬化剤の範囲のいずれかと組み合わせられる。そのような製品は、Johnson Polymerの製品により例示されるが、これに限定されない。
【0077】
代わりに、粉体コーティング中の皮膜形成性ポリマーとして適当な固体アクリル樹脂は、250〜1100g/当量の範囲のエポキシ当量を有するグリシジル官能性を有し得、そしてとりわけAnderson Development Company and Reichhold Chemicals Incの製品により例示される。グリシジル官能性アクリルポリマーは最も典型的には、二官能性のカルボキシル官能性硬化剤、例えば1,12−ドデカン二酸と組み合わせられるが、ビスフェノール−A−エポキシ樹脂の為に入手できる硬化剤の範囲のいずれかとも反応されうる。
【0078】
膜形成性ポリマーの混合物が用いられうる。例えば、カルボキシ官能性ポリエステルは、カルボキシ官能性アクリル樹脂及び、両ポリマーを硬化するように働くビス(βヒドロキシアルキルアミド)のような硬化剤とともに用いられうる。混合されたバインダー系の為の更なる可能性は、エポキシ樹脂又はポリエステル樹脂(カルボキシ官能性又はヒドロキシ官能性)と一緒に用いられる、カルボキシ官能性、ヒドロキシ官能性、又はエポキシ官能性のアクリル樹脂である。そのような樹脂の組み合わせは、例えば、カルボキシ官能性アクリル樹脂がエポキシ樹脂と共硬化される、又はカルボキシ官能性ポリエステルがグリシジル官能性アクリル樹脂と共硬化されるような、共硬化されるように選択されうる。しかしながら、より通常は、そのような混合されたバインダー系は、単一の硬化剤により硬化されるように、処方される(例えば、ヒドロキシ官能性アクリル樹脂及びヒドロキシ官能性ポリエステルを硬化する為の封鎖されたイソシアネートの使用)。他の好ましい配合は、2つのポリマー状バインダーの混合物の夫々のバインダーのための異なる硬化剤の使用を含む(例えば、封鎖されたイソシアネート硬化ヒドロキシ官能性アクリル樹脂と併用される、アミン硬化エポキシ樹脂)。
【0079】
言及されうる他の膜形成性ポリマーは、官能性フルオロポリマー、官能性フルオロクロロポリマー、及び官能性フルオロアクリルポリマーを含み、それらは夫々、ヒドロキシ官能性又はカルボキシ官能性で有ってもよく、かつ、官能性ポリマーの為の適当な硬化剤とともに、単独の膜形成性ポリマーとして、又は1以上の官能性アクリル樹脂、官能性ポリエステル樹脂及び/又は官能性エポキシ樹脂との併用で用いられうる。
【0080】
言及されうる他の硬化剤は、エポキシフェノールノボラック及びエポキシクレゾールノボラック;メチルエチルケトオキシムにより封鎖されたイソフェロンジイソシアネート、アセトンオキシムにより封鎖されたテトラメチレンキシレンジイソシアネート及びメチルエチルケトオキシムにより封鎖されたDesmodur W(ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート硬化剤)のような、オキシムにより封鎖されたイソシアネート硬化剤;Monsantoにより供給される「Santolink LSE 120」のような光安定性エポキシ樹脂;及びDaicelにより供給される「EHPE−3150」のような脂環式ポリ−エポキシドを含む。
【0081】
粉体コーティングは一般に以下のように製造される:
別々に計量された成分、特には樹脂と任意的な他の材料が予備混合される。該予備混合物はその後、全成分を均一化する為に溶融押し出しに付される。該混合物は、一般にシートの形態で、押し出され、該シートは冷却されそして顆粒化(チップ化)され、その後該顆粒は粉体コーティングの為に適当な大きさに減じられる(微粉化される)。
【0082】
代わりに、より後の段階、例えば粉砕段階の間又は粉砕後に、他の材料が粉体コーティング組成物中に入れられうる。他の成分が粉体コーティング組成物に添加される正確な様式は、該成分の性質に依存し、そして当業者に知られるだろう。
【0083】
本発明の粉体コーティング組成物は、硬化剤、着色剤、充填剤、流動性補助剤、可塑剤、UV安定剤、及び抗ガス剤の一以上のような、粉体コーティング製造の分野において慣用の他の成分も含むだろう。どのように、いつ、そしていかなる量で、これら成分が用いられるべきかは、粉体コーティングの分野における当業者の範囲内である。
【0084】
着色剤は、顔料又は染料を含む。用いられうる顔料の例は、二酸化チタン、赤又は黄色の酸化鉄、クロム顔料、及びカーボンブラックのような無機顔料、及び、例えばフタロシアニン、アゾ、アントラキノン、チオインジゴ、イソジベンズアントロン、トリフェンジオキサン、及びキナクリドンの顔料のような有機顔料である。染料は、顔料の代わりに又は顔料と共に用いられうる。
【0085】
望まれるならば、乾燥混合により、1以上の流動性補助剤が粉体コーティング組成物中に入れられてもよく、該流動性補助剤は例えば国際公開第94/11446号パンフレット中に開示される流動性補助剤、及び特にはその参考文献中に開示される好ましい添加剤の組み合わせであり、該組み合わせは、好ましくは30:70から70:30の範囲の比率にある、酸化アルミニウム及び水酸化アルミニウムを含む。乾燥混合により入れられる流動性補助剤の量は例えば、該添加剤以外の組成物の総量に基づき0.05又は0.1から5重量%の範囲にあり得る。
【0086】
粉体コーティング組成物の粒径分布は0から150ミクロンの範囲、典型的には120ミクロンまでであり、15から75ミクロン、好ましくは少なくとも20から25ミクロンの平均粒径を有し、有利に50ミクロンを超えず、より特には20から45ミクロンである。
【0087】
本発明の方法により得られた粉体コーティング組成物は原則として、任意の粉体コーティング技術の方法により、例えば静電スプレーコーティング(コロナ帯電又は摩擦帯電)により、又は流動層プロセス或いは静電的な流動層プロセスにより、基体に適用されうる。
【0088】
当技術分野で既知のように有利に、基体は、粉体コーティング組成物の適用に先立ち化学的に又は機械的に清浄にされる。また、基体は好ましくは、例えばクロム酸塩に基づく化成被膜又はクロム酸洗いによる、陽極酸化及び/又は化学的処理に付される。他の可能な化学的予備処理は、硫酸鉄又はリン酸亜鉛による処理を含む。
【0089】
粉体コーティング組成物の基体への適用の後に、途切れの無いコーティングへの得られた付着粒子の変換(必要に応じて適用された該組成物の硬化を含む)は、熱処理により及び/又は照射エネルギー、とりわけ赤外、紫外又は電子線の照射により行われる。粉体コーティングは通常は、5〜200ミクロン、好ましくは10〜100ミクロン、より好ましくは15〜80ミクロンの膜厚で適用される。
【0090】
基体に付着しない粉体コーティング粒子は再使用の為に回収されることができ、従って、粉体コーティングが材料の使用において経済的なものとなる。また、粉体コーティング材料は一般的に、添加された溶媒を含んでおらず、そして特に、有機溶媒を使用せず、それ故に非環境汚染性である。基体にコーティングを備えること、ここで該基体は本発明に従う粉体コーティング組成物を備えられる、そして次に硬化することが続く方法、及び、このように得られた被覆された基体に本発明は関する。
【0091】
本発明は以下の実施例中で説明される。
【0092】
実施例
【0093】
以下の実験では、アクゾノーベルからの脱イオン化された水性コロイド状シリカが用いられた。該コロイド状シリカは、G.W. Searsにより、"Determination of Specific Surface Areaof Colloidal Silica By Titration With Sodium Hydroxide", Anal. Chem., 28, 1956, 1981-83)中で記載された方法により測定されると、190〜210m/グラムの比表面積を有する。
【0094】
実施例1
125.0グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)、51.14グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(Acrossから)、312グラムのエチルプロキシトール(Shellからの1−エトキシー2−プロパノール)及び23.1グラム(0.15モル)のビニルトリメトキシシラン(Acrossから)が、機械的攪拌機、還流凝縮器、温度計及び蒸留ユニットを備えられた500ml丸底フラスコに添加された。
温度は70℃に上昇され、その後圧力が5時間にわたり10mbarに減少された。溶媒及び水が蒸留分離された後、得られた樹脂が室温に冷却され、そして1.6−ヘキサンジオールジアクリレートにより15重量%の変性されたシリカ含有性樹脂へと希釈された。生成物は、高度に透明であり、円錐平板回転式レオメーター(TA Instruments AR2000)を用いて23℃で測定されると、5Paで0.02Pa.sの粘度を有した。
【0095】
実施例2
899.7グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)、418.9グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(Acrossから)、2,249グラムのエチルプロキシトール(Shellから)及び178.3グラム(0.72モル)のMEMO(Acrossから)が、機械的攪拌機、還流凝縮器、温度計及び蒸留ユニットを備えられた5,000ml丸底フラスコに添加された。混合物の温度は65℃に上昇され、その後圧力が6時間にわたり10mbarに減少され、溶媒及び水が蒸留分離された。得られた生成物は、高度に透明であり、円錐平板回転式レオメーター(TA Instruments AR2000)を用いて23℃で測定されると、5Paでの2.17Pa.sの粘度を有した。
【0096】
実施例3
2,016.4グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)及び3,109.0グラムのエチルプロキシトール(Shellから)が、機械的攪拌機、温度計及び蒸留ユニットを備えられた6リットル丸底フラスコ中に計量された。温度は37℃に上昇されかつ減圧が60mbarに減少され、そこで溶媒/水混合物が蒸留分離された。水の大部分を除去する為に、圧力は40mbarにゆっくりと減少された。30重量%固形分が達せられたところで、蒸留は止められた。次に、該オルガノゾルは、大きな粒子を除去する為に紙ろ過上でろ過された。
終値:固形分:30.5重量%(140℃でScaltec SMO 01を用いて測定された)。水のパーセンテージ:2.2重量%
【0097】
693.66グラムのシリカを含有する2,274.30グラムのオルガノゾルが、機械的攪拌機、温度計、蒸留ユニット及び配量ユニットを備えられた3リットル丸底フラスコ中に計量された。温度は約65℃に上昇された。次に、327.78グラム(2.21モル)のビニルトリメトキシシラン(Acrossから)、119.49グラム(6.63モル)の水、及び394グラムのエチルプロキシトール(Shellから)の均一な溶液が、2時間にわたり添加された。3.5時間の攪拌後、水/溶媒混合物を蒸留分離する為に、圧力が350mbarに減少された。圧力は2時間にわたり徐々に200mbarに減少され、33.5重量%の固形分を含有するシリカ分散物が得られた。
次に、Hyflo Super Cellが添加され、分散物はその後、Hyflo Super Cel上で650mbarでろ過された。ろ過された層は次に、追加の溶媒ですすぎ洗いされ、29.6重量%の変性されたシリカを含有する(140℃でScaltec SMOを用いて測定された)シリカ分散物が得られた。
【0098】
実施例4
機械的攪拌機、温度計、配量ユニット及び蒸留ユニットを備えられた6リットル4つ首丸底フラスコ中に2,271.3グラムのNyacol 2034Dl及び3,407グラムのエチルプロキシトールが計量された。温度は45℃に上昇され、そこで369.20グラム(2.49モル)のビニルトリメトキシシランが、100分間にわたり添加された。45分後、水/溶媒混合物を蒸留分離する為に、温度は55℃に上昇されかつ圧力が155mbarに減少された。圧力は12時間にわたり116mbarに徐々に減少され、49.2重量%の固形分を含有する(140℃でScaltec SMOを用いて測定された)、変性されたナノシリカ分散物が得られた。
次に、35グラムのHyflo Super Cellが添加され、そして、分散物はエチルプロキシトールにより40.2重量%の固形分へと希釈された。分散物は次に、ろ紙上でろ過された。
【0099】
実施例5:プロポキシル化エタノールに基づくオルガノゾル
機械的攪拌機、温度計及び蒸留ユニットを備えられた6,000ml4つ首丸底フラスコ中に、34重量%の固体を含有する6.00kgのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)が、660グラムのプロポキシル化エタノール(Shell Chemicalsからのエチルプロキシトール)とともに、計量された。次に、水/溶媒の共沸混合物を蒸留分離しながら、8,200グラムのエチルプロキシトールが17時間にわたり流し込まれた。圧力が50mbarにゆっくりと減少されながら、温度は40乃至50℃の間に維持された。得られたオルガノゾルは、大きなシリカ粒子を除去する為に、P2−ガラスフィルター上でろ過された。オルガノゾルは、34.4重量%のシリカの固形分量を有した(Scaltec SMO 01を用いて140℃で全溶媒を蒸発することにより測定された)。
水分含有は、カールフィッシャー法を用いて測定されると、0.57重量%であった。
【0100】
実施例6:プロポキシル化メタノールに基づくオルガノゾル
機械的攪拌機、温度計及び蒸留ユニットを備えられた2,000ml4つ首丸底フラスコ中に、34.4重量%の固体を含有する700グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)が、1,050グラムのプロポキシル化メタノール(DOW ChemicalsからのDowanol PM)とともに計量された。水/溶媒の共沸混合物を7時間にわたり蒸留分離する為に、圧力が104mbarに減少されながら、温度は50℃に上昇された。得られたオルガノゾルは、大きなシリカ凝集物を除去する為に、P2−ガラスフィルター上でろ過された。
オルガノゾルは、33.9重量%シリカの固形分量を有した(Scaltec SMO 01を用いて140℃で全溶媒を蒸発することにより測定された)。水分含有は、カールフィッシャー法を用いて測定されると、6.25重量%であった。
【0101】
実施例7:エトキシル化n−プロパノールに基づくオルガノゾル
機械的攪拌機、還流凝縮器及び蒸留ユニットを備えられた5,000ml4つ首丸底フラスコ中に、3,068.80グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)及び2,141.0グラムのエトキシル化n−プロパノール(Aldrichから)が計量された。水/溶媒混合物を蒸留分離する為に圧力が75mbarに減少されながら、温度は42℃に上昇された。
1時間後、圧力は70mbarに減少され、そして追加の671.6グラムの溶媒が添加され、その後、更に2.5時間後に255グラムの溶媒が添加された。
4時間後、圧力は65mbarに減少され、そして更に五時間、全体がその圧力で維持された。次に圧力が15mbarに減少され、1時間にわたり温度が50℃に上昇された。生成物はその後、大きなシリカ凝集物を除去する為に、P2−ガラスフィルター上でろ過された。
オルガノゾルは、34.3重量%シリカの固形分量を有した(Scaltec SMO 01を用いて、140℃で全溶媒を蒸発することにより測定された)。
水分含有は、カールフィッシャー法を用いて測定されると、0.37重量%であった。
【0102】
実施例8:エチルプロキシトールに基づくオルガノゾルの、オクチルトリメトキシシランによる変性
機械的攪拌機、温度計及び蒸留ユニットを備えられた1,000ml4つ首丸底フラスコ中に、156.52グラムのコロイド状シリカを含有する実施例5のオルガノゾル455.00グラムが計量された。温度は65℃に上昇された。次に、58.35グラムのオクチルトリメトキシシラン(Acrossから)、58.35グラムの蒸留水、及び233.40グラムのエチルプロキシトール(Shell Chemicalsから)の均一な溶液が1時間にわたり注入された。減圧下で、5時間にわたり溶媒/水混合物が蒸留分離された。30重量%の変性されたシリカの固形分量を有するオルガノゾルが得られるまで(Scaltec SMO 01により測定された)、圧力は300から10mbarにゆっくりと減少された。
【0103】
実施例9:イソブチルトリメトキシシランによる、エチルプロキシトールに基づくオルガノゾルの変性
機械的攪拌機、温度計及び蒸留ユニットを備えられた500ml4つ首丸底フラスコ中に、103.27グラムのコロイド状シリカを含有する、実施例5のオルガノゾル301.07グラム、48.22グラム(0.270モル)のイソブチルトリメトキシシラン(DegussaからのDynalsylan IBTMO)が計量された。温度は65℃に上昇され、そしてそこで5時間維持された。次に、45.7重量%の変性されたシリカ粒子の固形分を有するオルガノゾルが残るまで(Scaltec SMO 01を用いて140℃で全溶媒を蒸発することにより測定された)、減圧下で0.75時間にわたり溶媒/水混合物が蒸留分離された。
【0104】
実施例10:(メルカプトプロピル)トリメトキシシランによる、エチルプロキシトールに基づくオルガノゾルの変性
機械的攪拌機、蒸留ユニット及び温度計を備えられた4つ首丸底フラスコ中に、102.9グラムのコロイド状シリカを含有する実施例5のオルガノゾル300グラムが計量された。52.73グラム(0.269モル)の(メルカプトプロピル)トリメトキシシラン(Aldrichから)が、0.07グラムのマレイン酸及び3.93グラムの水とともに添加された。反応混合物は、減圧下で水/溶媒の混合物をゆっくりと蒸留分離しながら、65℃で5時間過熱された。
残存するオルガノゾルは、48.3重量%シリカの固形分量を有した(Scaltec SMO 01を用いて、140℃で全溶媒を蒸発することにより測定された)。
【0105】
実施例11:ビニルトリメトキシシランによる、エチルプロキシトールに基づくオルガノゾルの変性
オルガノゾルが30.5重量%のコロイド状シリカを含有することを除き、実施例5に従い調製されたエチルプロキシトールに基づくオルガノゾル2,274.30グラム(693.66グラムのシリカを含有する)が、機械的攪拌機、温度計、蒸留ユニット及び配量ユニットを備えられた3リットル丸底フラスコ中に計量された。温度は約65℃に上昇された。次に、327.78グラム(2.21モル)のビニルトリメトキシシラン(Acrossから)、119.49グラム(6.63モル)の水及び394グラムのエチルプロキシトール(Shell Chemicalsから)の均一な溶液が、2時間にわたり添加された。3.5時間の攪拌後、水/溶媒混合物を蒸留分離する為に、圧力が350mbarに減少された。圧力は、2時間で200mbarに徐々に減少され、33.5重量%の固体を含有するシリカ分散物が得られた。
次に、Hyflo Super Celが添加され、そして、その後分散物は650mbarでHyflo Super Cel上でろ過された。ろ過された層は次に、追加の溶媒によりすすぎ洗いされ、29.6重量%の変性されたシリカを含有する(140℃でScaltec SMO 01を用いて140℃で測定された)シリカ分散物が得られた。
【0106】
実施例12:フェニルトリエトキシシランによる、エチルプロキシトールに基づくオルガノゾルの変性
機械的攪拌機、温度計及び蒸留ユニットを備えられた1,000ml4つ首丸底フラスコ中に、オルガノゾルが35.5重量%のコロイド状シリカ(256.32グラム)を含有すること以外は実施例5に従い調製された、エチルプロキシトールに基づくオルガノゾル722.03グラム、153グラムのエチルプロキシトール、及び107.21グラムのフェニルトリエトキシシラン(Aldrichから)が計量された。温度は約65℃に上昇され、そしてそこで5時間維持された。
減圧下で溶媒(エタノール/エチルプロキシトール)の一部が蒸留分離され、36.9重量%の変性されたナノシリカを含有する(Scaltec SMO 01を用いて140℃で測定された)オルガノゾルが得られた。
【0107】
実施例13:プロピルトリメトキシシランによる、エチルプロキシトールに基づくオルガノゾルの変性
機械的攪拌機、温度計及び蒸留ユニットを備えられた250ml3つ首丸底フラスコ中に、オルガノゾルが30.7重量%のコロイド状シリカ(39.69グラム)を含有すること以外は実施例5に従い調製された、エチルプロキシトールに基づくオルガノゾル129.28グラムが計量された。反応混合物は110℃に加熱された。次に、20.80グラム(0.127モル)のプロピルトリメトキシシラン(Aldrichから)、8.20グラムの水、及び61.60グラムのエチルプロキシトールを含有する混合物が、メタノールを蒸留分離する為に減圧下で、2.5時間にわたり注入された。次に、温度が125℃に上昇され、そして溶媒の一部が蒸留分離され、残存する変性されたシリカ粒子の30.5重量%の固形分量を有する(Scaltec SMO 01を用いて、140℃で全ての溶媒を蒸発することにより測定された)オルガノゾルが得られた。
【0108】
実施例14:水性コロイド状シリカからの、Dynasylan 3221変性されたナノシリカ
機械的攪拌機、蒸留ユニット及び温度計を備えられた500ml4つ首丸底フラスコ中に、86.0グラムのシリカを含有する250グラムのNyacol 2034Dlが、375グラムのエチルプロキシトールとともに計量された。反応混合物は65℃に加熱された。次に、37.45グラム(0.1645モル)のDynasylan 3221(3,3’−ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド)が3時間にわたり添加された。追加の三時間後、水/溶媒混合物を蒸留分離する為に、圧力が減少された。
得られたオルガノゾルは、変性されたナノシリカの37.7重量%の固形分量を有した(Scaltec SMO 01を用いて、140℃で全ての溶媒を蒸発することにより測定された)。
【0109】
実施例15:水性コロイド状シリカからの、ビニルトリメトキシシラン変性されたナノシリカ
機械的攪拌機、温度計、配量ユニット及び蒸留ユニットを備えられた6リットル4つ首丸底フラスコ中に、2,271.3グラムのNyacol 2034Dl及び3,407グラムのエチルプロキシトールが計量された。温度は45℃に上昇され、そこで369.20グラム(2.49モル)のビニルトリメトキシシランが100分間にわたり添加された。45分後、水/溶媒混合物を蒸留分離する為に、温度が55℃に上昇されかつ圧力が155mbarに減少された。圧力は12時間にわたり更に116mbarに徐々に減少され、49.2重量%の固体を含有する(Scaltec SMO 01を用いて140℃で測定された)、変性されたナノシリカ分散物が得られた。
次に、35グラムのHyflo Super Cel溶剤(Fulka)が添加され、そして分散物はエチルプロキシトールにより、40.2重量%の固形分量に希釈された。分散物は、大きな凝集物を除去する為に、ろ紙上でろ過された。
【0110】
実施例16:水性コロイド状シリカからの、プロピルトリメトキシシラン変性されたナノシリカ
機械的攪拌機、蒸留ユニット及び温度計を備えられた500ml4つ首丸底フラスコ中に、31.52グラムのナノシリカを含有する91.62グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)及び137.43グラムのエチルプロキシトールが計量された。温度は65℃に上昇された。次に、16.52グラム(0.101モル)のプロピルトリメトキシシラン、5.43グラムの水、及び18.53グラムのエチルプロキシトールを含有する混合物が、1.5時間にわたり注入された。40.5重量%の変性されたナノシリカの固形分量を有する(Scaltec SMO 01を用いて、140℃で全ての溶媒を蒸発することにより測定された)オルガノゾルが残るまで、溶媒の一部が減圧下で蒸留分離された。
【0111】
実施例17:水性コロイド状シリカからの、Dynasylan MEMO変性されたナノシリカ
機械的攪拌機、蒸留ユニット及び温度計を備えられた1,000ml4つ首丸底フラスコ中に、120.40グラムのナノシリカを含有する350.00グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)、18.86グラム(0.076モル)のDynaSylan MEMO(3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン)、及び525.00グラムのエチルプロキシトールが計量された。温度は65℃に上昇された。2時間後、水/溶媒混合物を蒸留分離する為に、減圧が適用された。5時間後反応は止められた。反応混合物は、大きな凝集物を除去する為に、6グラムのHyflo Super Cel Medium(Acrosから)上でろ過された。
31.2重量%の変性されたナノシリカの固形分量を有する(Scaltec SMO 01を用いて、140℃で全ての溶媒を蒸発することにより測定された)オルガノゾルが残った。
【0112】
実施例18:エチルプロキシトールに基づくオルガノゾル中のDynasylanMEMO変性されたなの粒子とHDDAの混合
1.863グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが、0.329グラムの実施例17のオルガノゾルと混合された。減圧下で溶媒は蒸発され、15重量%の変性されたナノシリカを含有する、変性された樹脂が残った。
得られた生成物は高度に透明でありかつ、円錐平板回転式レオメーター(TA Instruments AR 2000)により23℃で測定されると、5Paでの0.02Pa.sの粘度を有した。得られた樹脂組成物は、少なくとも3月間同じ粘度を維持した。
【0113】
実施例19:OCTMO変性されたシリカ粒子によるSetal 291の変性
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた1,000ml4つ首丸底フラスコ中に、オルガノゾルが34.3重量%のコロイド状シリカを含有すること以外は実施例1に従って調製された455.00グラムのオルガノゾルが計量された。温度は65℃に上昇された。次に、58.35グラムのオクチルトリメトキシシラン(Aldrichから)、58.35グラムの水、及び233.40グラムのエチルプロキシトールの混合物が添加された。5時間後、溶媒の一部を蒸留分離する為に、減圧が適用された。30.2重量%の変性されたナノシリカの固形分を有するオルガノゾル(Scaltec SMO 01を用いて、140℃で全ての溶媒を蒸発することにより測定された)が残った。
1%の揮発物を含有する高固体アルキドであるSetal291の193.37グラムと、628.73グラムの該オルガノゾルが、機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた1リットル4つ首丸底フラスコ中に計量された。温度は45℃に上昇され、そして混合物は45分間攪拌された。溶媒の一部が、減圧下で蒸留分離された。最終生成物は、Scaltec SMO 01を用いて、140℃で全溶媒を蒸発することにより測定されると、61.9重量%の固体を含有した。
【0114】
実施例20:1,6−ヘキサンジールジアクリレート中のビニルトリメトキシシラン変性されたナノシリカ粒子
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた500ml4つ首丸底フラスコ中に、43.00グラムのコロイド状シリカを含有する125グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)、51.14グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(Acrosから)、0.20グラムの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、312グラムのエチルプロキシトール(Shell Chemicalsから)、及び23.10グラム(0.15モル)のビニルトリメトキシシラン(Acrosから)が計量された。
温度は70℃に上昇され、そして次に、全ての溶媒及び水を蒸留分離しながら、5時間にわたり圧力がゆっくりと10mbarに減少された。樹脂はその後、23℃に冷却され、そして1,6−ヘキサンジオールジアクリレートにより希釈され15重量%の変性されたシリカ含有性樹脂となった。
得られた生成物は高度に透明であり、円錐平板回転式レオメーター(TA Instruments AR 2000)により23℃で測定されると、5Paでの0.02Pa.sの粘度を有した。得られた樹脂組成物は、少なくとも3ヶ月間同じ粘度を維持した。
【0115】
実施例21:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート中のMEMO変性されたナノシリカ粒子
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた500ml4つ首丸底フラスコ中に、36.48グラムのナノシリカを含有する107.30グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)、40.96グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(Acrosから)、268.25グラムのエチルプロキシトール(Shell Chemicalsから)、0.04グラムのマレイン酸(Aldrichから)、0.16グラムの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、及び7.29グラム(0.029モル)のMEMO(Acrosから)が計量された。
温度は65℃に上昇され、そしてそこで5時間維持された。次に、全ての溶媒及び水を蒸留分離する為に、圧力がゆっくりと減少された。50重量%の変性されたナノシリカを含有する、変性された1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが得られた。円錐平板回転式レオメーター(TA Instruments Ar 2000)により23℃で測定されると、5Paでの0.085mPa.sの粘度を有した。
【0116】
実施例22:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート中のMEMO変性されたナノシリカ粒子
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた250ml3つ首丸底フラスコ中に、20.40グラムのナノシリカを含有する60.00グラムのNyacol 2034DL(アクゾノーベルから)、54.60グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(Acrosから)、Dow Chemicalsからの151.70グラムのDowanol PM、0.05グラムのマレイン酸(Aldrichから)、0.22グラムの2,6−ジーt−ブチルーp−クレゾール、及び4.89グラム(0.0197モル)のMEMO(Acrosから)が計量された。
温度は65℃に上昇され、そしてそこで5時間維持された。次に、全ての溶媒及び水を蒸留分離する為に、圧力がゆっくりと減少された。30重量%の変性されたナノシリカを含有する、変性された1,6−ヘキサンジオールジアクリレートが得られた。
【0117】
実施例23:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート中のMEMO変性されたナノシリカ粒子
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた250ml3つ首丸底フラスコ中に、18.70グラムのナノシリカを含有する55.00グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)、50.05グラムの1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(Acrosから)、189.00グラムのエトキシル化n−プロパノール(Aldrichから)、0.05グラムのマレイン酸(Aldrichから)、0.20グラムの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、及び4.49グラム(0.018モル)のMEMO(Acrosから)が計量された。
温度は65℃に上昇され、そしてそこで5時間維持された。次に、全ての溶媒及び水を蒸留分離する為に、圧力がゆっくりと減少された。30重量%の変性されたナノシリカを含有する、変性された1,6−ヘキサンジオールジアクラレートが得られた。
【0118】
実施例24
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた6,000ml4つ首丸底フラスコ中に、417.34グラムのコロイド状シリカを含有する1213.20グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)、3740.40グラムのDowanol PM、及び、米国特許第6,096,835号明細書の実施例2に従い調製された780.52グラムの樹脂が充てんされた。減圧下で(37℃で52mbar)、260グラムの水/Dowanol PM混合物が蒸留分離され、わずかに青みがかった溶液を結果した。次に、233.24グラム(1.573モル)のビニルトリメトキシシランが、35℃の温度で添加された。60重量%の固形分が得られるまで、減圧下で溶媒/水混合物が8時間にわたり蒸留分離された。
427グラムの酢酸ブチルが添加され、そして、Dowanol PM(沸点=116℃)を蒸留分離する為に温度が上昇された;470グラムの留出物が回収された後に追加の240グラムの酢酸ブチルが添加された。次に、更に260グラムが蒸留分離されるまで、懸濁物の温度は130℃に上昇された。
樹脂は次に103.2グラムの酢酸ブチルにより希釈され、68.5重量%の固形分となった(30分間140℃で循環オーブン中で測定された)。
【0119】
実施例25:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート中のMEMO変性された酸化アルミニウムナノ粒子
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた250ml3つ首丸底フラスコ中に、74.76グラムのエチルプロキシトール(Shell Chemicalsから)、0.19グラム(0.152ミリモル)のMEMO(Acrosから)、及び59.76グラム(0.246モル)の1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(Acrosから)、及び0.17グラムの2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールが計量された。次に、3.03グラムの酸化アルミニウムナノ粒子を含有する6.00グラムのNanoByk 3600(BYK−Chemie Gmbhから)が、激しい混合下で、ゆっくりと添加された。
温度は65℃に上昇され、そしてそこで5時間維持された。次に、全ての溶媒が蒸発するまで、圧力がゆっくりと減少された。最終生成物は、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート中に、変性された酸化アルミニウムナノ粒子の、5重量%の安定な分散物を含有した。
【0120】
実施例26:エチルプロキシトール中のMEMO変性された酸化チタン(IV)ナノ粒子
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた250ml3つ首丸底フラスコ中に、50.00グラムのエチルプロキシトール(Shell Chemicalsから)、0.52グラム(0.210ミリモル)のMEMO(Acrosから)、及び3.00グラムの酸化チタン(IV)ナノ粒子を含有する30.00グラム(Aldrichから)が計量された。
温度は65℃に上昇され、そしてそこで5時間維持された。次に、全ての溶媒が蒸発するまで、圧力がゆっくりと減じられた。最終生成物は、エチルプロキシトール中に、変性された酸化チタン(IV)の4.1重量%分散物を含有した。ナノ粒子は時間が経てば沈殿するが、攪拌により容易に再分散されうる。
【0121】
実施例27:エチルプロキシトール中のTYZOR ZEC変性されたナノシリカ粒子
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた250ml3つ首丸底フラスコ中に、オルガノゾルが35.5重量%のコロイド状シリカ(28.40グラム)を含有すること以外は実施例5に従って調製された、エチルプロキシトールに基づく80.00グラムのオルガノゾル、11.28グラム(固形分は59.5重量%である)のTyzor ZEC(DuPontからのクエン酸ジエチルキレート化されたジルコネート)、及び50.00グラムのエチルプロキシトールが計量された。
温度は65℃に上昇され、そしてそこで5時間維持された。次に、全ての溶媒が蒸発するまで、圧力がゆっくりと減じられた。最終生成物は、エチルプロキシトール中に、変性されたナノシリカの24.4重量%分散物を含有した。10重量%水準にあるナノ粒子は、Setalin V442(アクゾノーベルから)及び米国特許第6,096,835号明細書の実施例2に従って調製された樹脂中で、高度に透明な樹脂を与えた。
【0122】
実施例28:エチルプロキシトール中のTYZOR AA 105変性されたナノシリカ粒子
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた250ml3つ首丸底フラスコ中に、オルガノゾルが35.5重量%のコロイド状(21.30グラム)ナノシリカを有すること以外は実施例1に従って調製された、エチルプロキシトールに基づく60.00グラムのオルガノゾル、5.94グラム(固形分は59重量%である)のTyzor AA105(DuPontからのCAS no.68568−02−7)、及び80.00グラムのエチルプロキシトールが計量された。
温度は65℃に上昇され、そしてそこで5時間維持された。次に、全溶媒が蒸発するまで、圧力がゆっくりと減少された。最終生成物は、エチルプロキシトール中に、変性されたナノシリカの16.5重量%分散物を有した。10重量%水準にあるナノ粒子は、Setalin V442(アクゾノーベルから)中、HDDA(Aldrichから)及び米国特許第6,096,835号明細書の実施例2に従って調製された樹脂中で、高度に透明な、黄色に着色された樹脂を与えた。
【0123】
実施例29:エチルプロキシトール中のLica 38変性されたナノシリカ粒子
機械的攪拌機、温度計、及び蒸留ユニットを備えられた250ml3つ首丸底フラスコ中に、オルガノゾルが35.5重量%のコロイド状シリカ(28.40グラム)を含有すること以外は実施例5に従って調製された、エチルプロキシトールに基づく80.00グラムのオルガノゾル、5.92グラム(固形分量95重量%)のLica 38(Kenrich PetrochemicalsからのCAS no.103432−54−8)、及び80.00グラムのエチルプロキシトールが計量された。
温度は65℃に上昇され、そしてそこで5時間維持された。次に、全溶媒が蒸発するまで、圧力がゆっくりと減少された。最終生成物は、エチルプロキシトール中に、変性されたナノシリカの19.5重量%分散物を有した。
10重量%水準にあるナノ粒子は、Setalin V442(アクゾノーベルから)及び米国特許第6,096,835号明細書の実施例2に従い調製された樹脂中で、高度に透明な樹脂を与えた。
【0124】
実施例30:溶媒移動
機械的攪拌機、温度計、配量ユニット及び蒸留ユニットを備えられた5リットル4つ首丸底フラスコ中に、449.57グラムのコロイド状シリカを含有する1306.9グラムのNyacol 2034Dl及び、Shell Chemicalsからの1,960.35グラムのDowanol PMが計量された。温度は65℃に上昇され、そこで235.60グラム(1.434モル)のプロピルトリメトキシシラン、77.44グラムの水及び259.16グラムのDowanol PMの混合物が1時間にわたり添加された。
875グラムの溶媒/水混合物が、減圧下で5時間にわたり蒸留分離された。1040グラムの酢酸ブチルが添加され、そして温度が115℃に上昇された。蒸留の間に追加の580グラムの酢酸ブチルが添加されながら、5.5時間にわたり溶媒(Dowanol PM/水)が蒸留分離されて、59.0重量%の変性されたシリカナノ粒子を含有する(Scaltec SMO 01を用いて、140℃で全溶媒を蒸発することにより測定された)、酢酸ブチルに基づくオルガノゾルが得られた。
ガスクロマトグラフにより測定されると、Dowanol PMのパーセンテージは、0.6重量%より低かった。
【0125】
実施例31:トリプロピレングリコールジアクリレート中のビニルトリメトキシシラン変性されたナノシリカ粒子
機械的攪拌機、蒸留ユニット及び温度計を備えられた500ml4つ首丸底フラスコ中に、17.36グラムのナノシリカを含有する56.00グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)、30.97グラムのトリプロピレングリコールジアクリレート(Aldrichから)、9.33グラム(0.063モル)のビニルトリメトキシシラン(Aldrichから)、及び140.00グラムのエチルプロキシトール(Shell Chemicalsから)が計量された。温度は65℃に上昇され、そこで4時間維持された。次に、水/溶媒混合物を蒸留分離する為に、圧力が236mbarに減じられた。すべての溶媒を留去するために、圧力が18mbarへ3時間かけてゆっくりと減じられた。
得られた最終生成物は、高度に透明でありかつ、円錐平板回転式レオメーター(TA Instruments AR 2000)により23℃で測定されると、5Paで0.055Pa.sの粘度を有した。
【0126】
比較実施例32:トリプロピレングリコールジアクリレート中のビニルトリメトキシシラン変性されたナノシリカ粒子
機械的攪拌機、蒸留ユニット及び温度計を備えられた500ml4つ首丸底フラスコ中に、19.65グラムのナノシリカを含有する63.40グラムのNyacol 2034Dl(アクゾノーベルから)、35.06グラムのトリプロピレングリコールジアクリレート(Aldrichから)、10.56グラム(0.071モル)のビニルトリメトキシシラン(Aldrichから)、及び158.50グラムのイソプロパノールが計量された。温度は65℃に上昇され、そこで4時間45分間維持された。次に、水/溶媒混合物を蒸留分離する為に、圧力が436mbarに減じられた。1時間30分間後に、全溶媒を蒸留分離する為に、圧力は更に減じられた。高度に粘性のゲルが得られた。
本発明による実施例31と比較して、本発明の溶媒を用いることは低い粘性のかつ良く分散された樹脂組成物が得られるが、一方で溶媒としてイソプロパノールを用いることはゲルの形成を引き起こす。それ故に、実施例31の樹脂組成物は、実施例32の組成物よりもはるかに容易に取り扱い得、かつ加工され得る。
【0127】
実施例33
441グラムのメチルイソブチルケトン(MIBK)を、攪拌機、温度計、窒素注入口、及び還流凝縮器を備えられた3リットル5つ首丸底フラスコ中に充てんすること、そしてその後、一定の窒素雰囲気下でMIBKの沸点に加熱することにより、グリシジル官能性アクリルポリマーが調製された。安定な還流温度が得られたところで、295.2グラムのメタクリル酸メチル、114.8グラムのアクリル酸2-エチルヘキシル、205グラムのスチレン、410グラムのメタクリル酸グリシジル、及び24.9グラムのアゾ−ジ−(2−メチルブチロニトリル)の混合物が、3時間にわたり添加された。該添加が完了したところで、10gのMIBK中の2グラムのペルオキシ安息香酸t−ブチルが添加されて、還流が更に2時間維持された。反応混合物は、還流が止まるまで冷却され、そして濃縮器が蒸留装置に変えられて、その後、真空ポンプを用いて、最初は大気圧でそして最終的には減圧下で、フラスコが加熱されそしてMIBKが除去された。蒸留の間、反応生成物は、180〜190℃へ昇温することが許され、蒸留が停止したところで、反応生成物はアルミニウムトレイに排出され、そして放冷された。
【0128】
反応生成物は、以下の特徴を有する、固体のグリシジル官能性ポリマーであった。
固形分量: 99.1%
エポキシ当量: 367g/mol
200℃円錐平板粘度: 56p
数平均分子量(gpcによる): 6,835
【0129】
機械的攪拌機、温度計及び蒸留ユニットを備えられた500ml4つ首丸底フラスコ中に、60.00グラムのNyacol 2034Dl、57.28グラムの該固体グリシジル官能性ポリマー、及び259グラムのDowanol PM(DOW Chemicalsからのメトキシ2−プロパノール)が計量された。
不均一な分散物が30℃に加熱され、そして減圧下で66グラムの水/Dowanol PM混合物が蒸留分離されて、均一な溶液が得られた。
次に、0.05グラムのマレイン酸が計量され、そして11グラムのDowanol PM中の11.09グラム(0.075モル)のビニルトリメトキシシラン混合物が、1時間かけて添加された。温度は50℃に徐々に増され、そして圧力は2時間で30mbarに減少され、溶媒は蒸留分離された。50分後、反応が停止された。
【0130】
実施例34
アクリル系のクリア粉体コーティングが、表1中に示される成分及び量を用いて調製された。
【0131】
【表1】

Actiron NX3Pは、Synthronからの、無機基体上に60%(重量/重量)吸収された2,4,6−トリ(ジメチルアミノエチル)フェノールである。
Modaflow IIIは、UCB chemicalsからの、シリカ上に65%吸収されたアクリル系流動性改質剤である。
【0132】
表1の成分を混合器中で乾燥混合物として一緒にし、そしてその後、115℃の温度で動作する二軸エクストルーダー中へそれらを送り込むことにより、クリア粉体コーティングが製造された。押出物は、冷却されたプレート上で平らに圧延され、そしてチップに破砕され、該チップは衝撃式粉砕機中で粉砕され、そして106ミクロンメッシュを通じてふるいにかけられ、粉体コーティングを産出した。
【0133】
得られた粉体コーティングは、未処理アルミニウムパネルに静電気的に適用され、そして140℃に調節されたオーブン中で30分間硬化されて、50〜70μmの間の膜厚を有する透明で光沢のあるコーティングを形成した。
【0134】
実施例35
ポリエステル樹脂を調製する方法は2つの工程で実施される:
【0135】
工程1
【表2】

【0136】
加工触媒であるFascat 4100の2gと一緒に、上記成分が、攪拌機、予備凝縮器(グリコール損失を最小にする為)、主要水冷却化凝縮器、Dean and Starkトラップ、温度計及び窒素ガス注入口を備えられた5リットル丸底フラスコに充てんされた。
【0137】
攪拌された反応混合物が、4時間で250℃に徐々に加熱され、そして、混合物が透明になりかつポリマーの酸価が20mgKOH/g未満になるまで、250℃で維持された。
【0138】
工程2
反応の第2工程は以下のように実施された:
【0139】
サンプルが取られる前に混合物は200℃に冷却され、そして、グリコール損失を測定する為に、ヒドロキシル含量(OH V)が計測されそして理論的ヒドロキシル値(52.1)と比較された。
【0140】
グリコール損失を補正する為に、ネオペンチルグリコールが、
【表3】

と一緒に反応器に添加された。
攪拌された混合物は235℃に再加熱され、そして、約270gの水がDean & Stark分離器中に回収されるまで、窒素雰囲気下で反応が維持された。
【0141】
ここで、反応混合物は225℃に冷却され、そして、いくらかの残留する微量の水を除去する為に(約28インチ水銀の)部分減圧が適用されながら、この温度で1時間維持された。
【0142】
約35mgKOH/gの酸価が達せられるまで、反応は継続することが許された。
【0143】
ここで減圧が解除され、それから、ポリマーは、190℃に冷却され、ステンレススチールトレイ中に排出され、そして室温に放冷され、ここで、以下の特性を有する、脆性で透明な固体をそれを産出した。
【0144】
【表4】

【0145】
機械的攪拌機、蒸留ユニット及び温度計を備えられた250ml3つ首丸底フラスコ中に、39.51グラムのポリエステル樹脂及び158.04グラムのメチルエチルケトンが計量された。ポリエステル樹脂は65℃で溶解され、その後エチルプロキシトール中に34.3重量%の変性されていないナノシリカ粒子を含有するオルガノゾル(実施例1に記載された手順と同様の様式で調製された)が、3.99グラム(0.027モル)のビニルトリメトキシシラン(Acrossから)と一緒にされた。溶媒は、オーブン中で20mbarで170℃で除去された。
【0146】
実施例36
プリミドを硬化剤として含む粉体コーティングが以下の成分から調製された。
【0147】
【表5】

【0148】
ドライブレンドとしての成分の混合、及び、120℃〜130℃の間の温度のバレルでの二軸エクストルーダー中への送り込みに先立つ予備混合により、白く光沢のある最終物が製造された。
【0149】
押出物は圧延され、冷却され、そして破砕されて、「チップ」を製造した。これが衝撃式粉砕機中で粉砕され、そして106ミクロンメッシュを通じてふるいにかけられて、粉体コーティングを産出した。
【0150】
この粉体コーティングは、GemaPG 1 重力式供給ガンを用いて、リン酸塩処理されたアルミニウムパネルに静電気的に適用され、そして電気オーブン中で200℃で10分間(金属温度)焼付けされた。得られた膜は、50〜70μmの膜厚を有する透明で光沢のあるコーティングであった。
【0151】
実施例37
ポリエステル樹脂及びエポキシ樹脂を含む粉体コーティングが以下の成分から調製された:
【0152】
【表6】

【0153】
実施例36において述べられた方法に従って、粉体が製造されそして適用された。
【0154】
この粉体は、脱脂され、リン酸鉄処理されたスチールパネルに適用され、そして、180℃で15分間焼付けされ(金属温度)、滑らかで光沢のある膜を産生した。得られた膜は、50〜70μmの膜厚を有する、透明で光沢のあるコーティングであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
変性された酸素含有無機粒状物質を調製する方法であって、
a)酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物及び式
【化1】


に従うアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル又はフェニルであり、Rは水素又はメチルであり、かつnは1乃至5の整数である、の混合物を調製すること、
b)任意的に、第1の樹脂及び/又は第1の樹脂前駆体を添加すること、
c)1以上のカップリング剤を該混合物に添加すること、
d)任意的に、第2の樹脂及び/又は第2の樹脂前駆体を得られた混合物に添加すること、
並びにここで、
任意的に、工程b)、c)若しくはd)の前若しくは間に、又は工程d)の後に、該混合物から少なくとも部分的に水が除去され、
かつ任意的に、工程c)の前、間又は後に、該第1の樹脂前駆体を該第1の樹脂に転化し、かつ/又は、工程d)の後に該第2の樹脂前駆体を該第2の樹脂に転化する、
の工程を含む上記方法。
【請求項2】
変性されたコロイド状酸素含有無機粒状物質を調製する方法であって、
a)酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物及び式
【化2】

に従うアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル又はフェニルであり、Rは水素又はメチルであり、かつnは1乃至5の整数である、の混合物を調製すること、
b)第1の樹脂及び/又は第1の樹脂前駆体を添加すること、
c)1以上のカップリング剤を該混合物に添加すること、
d)任意的に、第2の樹脂及び/又は第2の樹脂前駆体を得られた混合物に添加すること、
並びにここで、
任意的に、工程b)、c)若しくはd)の前若しくは間に、又は工程d)の後に、該混合物から少なくとも部分的に水が除去され、
かつ任意的に、工程c)の前、間又は後に、該第1の樹脂前駆体を該第1の樹脂に転化し、かつ/又は、工程d)の後に該第2の樹脂前駆体を該第2の樹脂に転化する、
の工程を含む上記方法。
【請求項3】
変性されたコロイド状酸素含有無機粒状物質を調製する方法であって、
a)酸素含有無機粒状物質の水性懸濁物及び式
【化3】

に従うアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル又はフェニルであり、Rは水素又はメチルであり、かつnは1乃至5の整数である、の混合物を調製すること、
b)1以上のカップリング剤を該混合物に添加すること、
c)任意的に、第1の樹脂及び/又は第1の樹脂前駆体を得られた混合物に添加すること、
並びにここで、
任意的に、工程b)若しくはc)の前若しくは間に、又は工程d)の後に、該混合物から少なくとも部分的に水が除去され、
かつ任意的に、工程c)の後に、該第1の樹脂前駆体を該第1の樹脂に転化する、
の工程を含む上記方法。
【請求項4】
該酸素含有無機粒状物質が、シリカ、アルミナ、アルミニウム三水和物、二酸化チタン、酸化スズ、インジウムスズ酸化物及び酸化亜鉛からなる群から選ばれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該酸素含有無機粒状物質が、工程a)に先立ち脱イオン化されたシリカである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1の方法により得られる懸濁物であって、変性された酸素含有無機粒状物質及び式
【化4】


に従うアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル又はフェニルであり、Rは水素又はメチルであり、かつnは1乃至5の整数である、を含む上記懸濁物。
【請求項7】
変性された酸素含有無機粒状物質の乾燥粉体であって、変性された酸素含有無機粒状物質及び式
【化5】

に従うアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル又はフェニルであり、Rは水素又はメチルであり、かつnは1乃至5の整数である、を含む、請求項1の方法により得られる懸濁物から、アルコキシル化アルコールを除去することにより得られる上記乾燥粉体。
【請求項8】
請求項1〜5に記載の方法のいずれか1つにより得られる樹脂組成物であって、変性された酸素含有無機粒状物質、第1の樹脂及び/又は第2の樹脂、並びに式
【化6】

に従うアルコキシル化アルコール、ここでRはC〜Cのアルキル又はフェニルであり、Rは水素又はメチルであり、かつnは1乃至5の整数である、を含む上記樹脂組成物。
【請求項9】
請求項1〜5に記載の方法のいずれか1つにより得られる樹脂組成物であって、変性された酸素含有無機粒状物質並びに第1及び/又は第2の樹脂を含む上記樹脂組成物。
【請求項10】
請求項8及び9のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含むコーティング組成物。
【請求項11】
請求項9に従う樹脂組成物及び硬化剤を含む粉体コーティング組成物。
【請求項12】
第1の樹脂及び/又は第2の樹脂並びに、請求項1〜5に記載の方法のいずれか1つにより得られる変性された酸素含有無機粒状物質を含む、ナノコンポジット材料。

【公表番号】特表2008−544052(P2008−544052A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517472(P2008−517472)
【出願日】平成18年6月16日(2006.6.16)
【国際出願番号】PCT/EP2006/063284
【国際公開番号】WO2006/136534
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(390009612)アクゾ ノーベル ナムローゼ フェンノートシャップ (132)
【氏名又は名称原語表記】Akzo Nobel N.V.
【Fターム(参考)】