説明

酸素架橋構造及び方法

拡散バリア膜と金属膜との間の接着性を改善するための方法が提唱される。拡散バリア膜及び金属膜の両方は、いずれかのシークエンスで、半導体基板上へ堆積される。拡散バリア膜又は金属膜のいずれか一方である第一膜(第一膜は、基板の表面領域の少なくとも一部で暴露される)を有する基板は、酸素含有リアクタントに暴露され、第一膜の露出部分に酸素含有基又は酸素原子の約1の単層の表面終端を生成する。次いで、第二膜(これは、拡散バリア膜及び金属膜のうち他方である)が基板上に堆積される。さらに、酸素架橋構造が提唱され、該構造は、拡散バリア膜及び該拡散バリア膜との界面を有する金属膜を含む(ここで、界面は、酸素原子の単層を含有する)。
【課題】
【解決手段】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、集積回路の製造、より詳細には、金属膜と拡散バリア膜との間の接着に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
現在の集積回路技術において、金属膜(例えば、アルミニウム膜及び銅膜)がコンダクタとして使用される。金属膜とともに、拡散バリア膜が使用され、集積回路の他の領域(例えば、インシュレーター又は活性領域)への金属原子の拡散(これは、回路の機能に不利な影響を及ぼす)が回避される。拡散バリア膜上での金属膜の堆積、又は、金属膜上での拡散バリア膜の堆積に関する先行技術に伴う主な問題点は、この2タイプの膜間の低い接着性である。特に、第二膜が化学気相成長法(CVD)によって堆積される場合、その接着は問題を有する。ある場合には、金属の急速な表面拡散に起因して、堆積された金属膜が、拡散バリア上で非連続的なコーティングを形成さえするかもしれない。これは、銅膜にとって特に問題である。銅はプロセッシング温度において固体であるが、銅原子の非常に高い拡散速度が、拡散バリア上に銅の島(copper islands)の形成をもたらす。銅は高い界面張力を有し、また、銅を連続的な膜形態に保つことは困難である、と考えられる。
【0003】
この接着の問題に対する異なるタイプの解決手段が存在している。Srinivas Gandikota et. al.は、米国特許第6,362,099号において、Gandikota et. al.によれば酸化されたバリア表面が該バリアへの銅の弱い(poor)接着を引き起こすため、バリア表面が酸素原子の存在から完全にフリーでなければならないことを教示している。界面が酸素から完全にフリーに保たれている場合であっても、拡散バリア膜への銅膜の接着は常に十分というわけではなかった。
【0004】
バリア金属酸化物(例えば、TiO及びTa)の厚い層も、また、拡散バリアの制御されない酸化が、低い密度を有する金属酸化物を形成するため、問題を引き起こすかもしれない。
【0005】
厚い銅酸化物層は、銅酸化物が幾分軟らかく且つそれらが機械的ストレス下で容易に層間剥離する(delaminate)ため、接着の問題を引き起こすことが知られている。当該分野において知られている技術における失敗は、拡散バリア/銅界面における比較的厚い銅酸化物層の制御されない成長によって引き起こされるのかも知れない。
【0006】
本出願人の米国特許出願公開第2002/0004293A1号において、バリア膜上へ銅酸化物を堆積し、次いで、アルコール蒸気に暴露することによって銅酸化物膜を銅に還元することが提案されている。この方法は有効であると考えられ、そしてアルコール蒸気は、銅膜中に残される酸素が殆ど又は全くない拡散バリアとの界面に至るまで、全膜に渡って効率的に銅酸化物膜を還元した。しかしながら、この方法は、特別な銅還元工程を必要とする。さらに、この方法は、拡散バリア膜が金属膜上へ堆積される必要があるとき、この逆のシークエンスのための解決手段を提供していない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記の不利な点を回避すること、及び、金属膜と拡散バリア膜との間の良好な接着を達成するための方法及びプロセスを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要旨
本発明の1つの局面に従って、酸素原子の酸素架橋構造が金属膜と拡散バリア膜との間に生成されて、該金属膜と該拡散バリア膜との間の接着性が改善される。この酸素架橋構造は、第一膜(これは、拡散バリア膜又は金属膜のいずれか一方である)を酸素含有リアクタントに暴露することによって生成される。1つの実施形態において、酸素含有基又は酸素原子の約1の単層(about a monolayer)が、第一膜の暴露された表面上へ化学吸着される。ある実施形態において、複数の工程が、酸素含有リアクタントへの暴露とともに行われる。酸素含有リアクタントへの暴露の後、第二膜が第一膜上へ堆積される(第二膜は、金属膜及び拡散バリア膜のうち他方である)。酸素含有基又は酸素原子は、第二膜への結合部位(attachment sites)として機能し、各酸素原子は、金属膜原子と拡散バリア膜原子との間の架橋として働く。
【0009】
本発明の別の局面に従って、半導体デバイスを製造するための方法が提供される。この方法は、半導体基板を供給すること、及び、ALDによって該基板上へ拡散バリアを堆積させることを包含する。次いで、基板が酸素含有リアクタントに暴露されて、拡散バリア上に酸素含有基又は酸素原子の約1の単層の表面終端が生成される。次いで、金属膜が基板上に堆積される。
【0010】
本発明の別の局面に従って、酸素架橋構造が提供される。この構造は、拡散バリア膜、及び、該拡散バリア膜との界面を有する金属膜を有する。酸素原子の約1の単層が、拡散バリア膜と金属膜との間の界面にある。酸素原子は、拡散バリア膜原子と金属膜原子との間に架橋を形成する。
【0011】
本発明の別の局面に従って、集積回路における伝導経路(conductive pathway)が提供される。この経路は、金属窒化物、金属炭化物、金属リン化物、及び金属ホウ化物からなる群より選択される物質を含有する拡散バリア膜を含む。金属コンダクタは、拡散バリア膜に隣接して配置される。金属酸化物架橋材は、拡散バリア膜と金属コンダクタとの間に挟まれる(ここで、該架橋材は、約5の単層以下の厚さを有する)。
【0012】
好ましい実施形態の詳細な説明
代表的に、遷移金属窒化物(例えば、TiN、TaN、WN、NbN及びHfN)が拡散バリアとして使用される。可能な拡散バリア材料の更なる例は、金属炭化物(例えば、炭化タングステン(例えば、WC)、SiC)、遷移金属ホウ化物(例えば、ホウ化タンタルTaB及びホウ化チタンTiB)、遷移金属リン化物(例えば、リン化チタンTiP及びリン化タングステンWP)並びに、上記の様々な組み合わせである。純金属(例えば、W及びTa)も、拡散バリアとして使用されている。
【0013】
銅原子が、窒素原子と弱く結合することが知られている。例えば、窒化銅は、銅元素の形成及び窒素ガスの放出を伴って、300℃ほどの低温で分解する。さらに、銅と炭素との間の化学結合も非常に弱く、炭化銅は安定ではない。実際、銅アセチリド(Cu)は、爆発性である。同様に、銅とホウ素又はリンとの間の化学結合は弱い。
【0014】
他方、銅とVI−A族元素である酸素、硫黄及びセレンとの間の結合強度は、かなり高く、酸素と銅との間の結合強度は、最も高い。参考のために、2つの銅原子の間の結合強度が201kJ/molであることが示されるのに対し、銅と酸素、硫黄及びセレンとの間の結合強度は、それぞれ、343kJ/mol、293kJ/mol及び285kJ/molである。その結果、VI−A族原子の約1の単層(特に、酸素原子の約1の単層)が界面に存在することにより、拡散バリア膜上での銅膜の接着性が改善されることが見出された。酸素は、拡散バリア膜と銅膜との間の架橋原子として働く。
【0015】
金属膜上へ直接的に拡散バリア膜を堆積させる場合、拡散バリア膜上で直接的に金属膜を堆積させる場合と同様の接着の問題が生じるであろう。好ましい実施形態の方法は、堆積のシークエンスに関係なく、いかなる拡散バリア膜/金属膜界面へも適用され得る。
【0016】
好ましい実施形態に従う方法は、図1において概略的に示される。最初の工程110では、拡散バリア及び金属膜のいずれか一方である第一膜を有する半導体基板が供給される。第一膜は、例えば、化学気相成長法(CVD)、原子層堆積法(ALD)、物理気相成長法(PVD)又はスパッタリング、並びに、金属膜の場合には、電解めっき法(ECD)のような技術によって堆積され得る。第一膜は、半導体基板の表面領域の少なくとも一部で露出されている。次の工程130では、該基板が酸素含有リアクタントに暴露されて、第一膜の露出部分に酸素含有基又は酸素原子の約1の単層の表面終端が生成される。酸素含有リアクタントは、オゾン、原子状酸素又は別の酸化リアクタントであり得る。酸素含有リアクタントは、ヒドロキシル含有リアクタント(例えば、水、又はアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール又は他のアルコール物質))でもあり得る。さらに、蟻酸、酢酸又は他のカルボン酸のような、他の有機ヒドロキシル含有物質が使用され得る。或いは、H及びOから形成されるプラズマが使用されて、高エネルギーOH種(energetic OH species)が生成される。
【0017】
酸素含有リアクタント暴露工程130は、酸素原子又は酸素含有基の約1の単層の終端が、第一膜の露出部分の表面に形成されるように、デザインされる。「約1の単層(“About one monolayer”)は、本書において使用される場合、0.25の単層〜1の単層の表面終端を意味する(即ち、ここで、1の単層は、全ての利用可能な表面部位の完全カバレージ(full coverage)を示す)。次いで、次の工程150では、拡散バリア及び金属膜のうち他方である第二膜が堆積される。第二膜の堆積は、CVD、ALD、PVD又はスパッタリングによって行うことができるが、好ましくは、CVD又はALD技術によって行われる。
【0018】
本発明の別の実施形態は、図2において示される。最初の工程210において、拡散バリア及び金属膜の一方である第一膜を有する半導体基板が提供される。第一膜は、半導体基板の表面領域の少なくとも一部で露出されている。次の工程230では、基板が、ALD条件下でヒドロキシル含有リアクタント(酸素含有リアクタント種)に暴露される。「ALD条件下」は、リアクタントが、表面上に凝縮された液体又は固体の層を形成せず、熱分解もされないが、むしろ表面上へ化学吸着され、そこで、複数のヒドロキシル含有リアクタント分子の各々が、基板の表面に化学吸着されたヒドロキシル基を残すことを意味する。暴露工程230は、その完了後に第一膜の露出部分がヒドロキシル基の約1の単層で終結するように、デザインされる。次いで、次の工程250では、拡散バリア膜及び金属膜のうち他方である第二膜が堆積される。第二膜の堆積は、CVD、ALD、PVD又はスパッタリングによって行うことができるが、好ましくは、CVD又はALD技術によって行われる。
【0019】
図2に従う本発明の実施形態の特定のアレンジメントに従って、第一膜は拡散バリア膜であり、該拡散バリアの炭素、窒素、リン又はホウ素(「又は」は、包含的な意味で使用されている)に富む表面に、酸素含有基又は酸素原子の約1の単層の終端が付与され、その後金属膜が堆積される。好ましくは、金属膜は、銅、銅合金又は銅化合物を含有する。この酸素終端を達成するため、窒化物、炭化物、リン化物、及び/又はホウ化物表面は、酸素を含有しそして好ましくはヒドロキシル基を含有する気体リアクタントで処理される。適当なヒドロキシル含有リアクタントは水である。続いて、銅膜が表面上へ堆積され、それにより表面終端のヒドロキシル基又は他の酸素含有基又は酸素原子が酸素原子架橋に変わる(ここで、酸素原子は、拡散バリア原子と銅原子との間の接着を改善する架橋(adhesion−improving bridge)として働く)。
【0020】
本発明に従う方法のさらに別の実施形態が図3に示される。この実施形態は、ヒドロキシル含有リアクタントの化学吸着が、第一膜の表面の不活性に起因してゆっくり又は非常に不完全に進行する状況に対応する(address)。最初の工程310において、拡散バリア及び金属膜のいずれか一方である第一膜を有する半導体基板が提供される。第一膜は、半導体基板の表面領域の少なくとも一部が露出されている。次の工程330では、基板が、ALD条件下でヒドロキシル含有リアクタントに暴露される。第一膜の表面の不活性を克服するため、工程330は、ここで、基板がALD条件下で金属含有リアクタントに暴露される第一工程332、及び、基板がヒドロキシル含有リアクタントに暴露される第二工程334を包含する。第一膜の表面は非常に不活性なので、工程332及び334は、ループ335によって示されるように多数回繰り返されるはずである。第一膜表面上のヒドロキシル基の約1の単層カバレージ(monolayer coverage)を達成するのに必要とされるサイクルの数は、1〜50(化学吸着に対する長い阻害時間が与えられる第一膜表面に適用可能な終わりの数)まで変化し得る。長い阻害時間が与えられる膜表面の例は、炭化シリコン膜表面である。実際、工程330は、ALDによる金属酸化物の約1の単層の堆積を示す。次いで、工程350では、拡散バリア膜及び金属膜のうち他方である第二膜が堆積される。第二膜の堆積は、CVD、ALD、PVD又はスパッタリングによって行われ得るが、好ましくは、CVD又はALD技術によって行われる。
【0021】
金属含有リアクタント暴露工程332とヒドロキシル含有リアクタント暴露工程334との繰返しシークエンスが使用される図3に記載の方法において、金属酸化物の複数の単層が堆積され得ることが理解されるだろう(単層の数は、好ましくは5より少なく、更に好ましくは3より少ない)。特に、金属酸化物が伝導性であるとき、前記厚さの金属酸化物膜は、界面の電気抵抗に大きくは寄与しないであろう。金属含有リアクタントとヒドロキシル含有リアクタントとの組み合わせが用いられ、ヒドロキシル含有リアクタント暴露工程334が、金属リアクタント暴露工程332に続いて行われる場合、本発明に従って、金属酸化物界面膜の表面終端はヒドロキシル終端であるだろう。このようなアレンジメントでは、プロセスの各サイクルの間、表面終端の約1より小さい単層が形成されるが、架橋材が金属酸化物の複数の単層を有することが考えられ得る。
【0022】
図4は、図3に従う方法の具体例を図示する。工程410において、拡散バリアを有する半導体基板が供給される(拡散バリアは、基板の表面領域の少なくとも一部で露出されている)。次の工程430において、酸化チタンの約1の単層が堆積される。工程430は、基板がALD条件下でTiClに暴露される第一工程432を包含する。次の工程434において、基板は、ALD条件下で水蒸気に暴露される。工程432及び434は、ループ435によって示されるように、ヒドロキシル基がチタン原子に付着しているヒドロキシル終端酸化チタンの約1の単層が形成されるまで、1〜50回繰り返される。次いで、工程450において、銅膜が、既知の方法により(好ましくは、CVD又はALDにより)堆積される。使用される銅ソース物質でヒドロキシル終端酸化チタンの表面が暴露される際に、銅ソース分子がヒドロキシル基と反応することができ、その結果、酸素原子がチタン原子へ付着したまま、一方で、銅原子とヒドロキシル基の酸素原子との間の結合が形成される。水素原子は、ヒドロキシル基から放出され、気体副産物分子(この場合、アセチルアセトンHacac)を形成しながら銅ソース分子(例えば、アセチルアセトナートacac)におけるリガンドへの結合を形成し、そして使い果たされる。
【0023】
図5は、図3に従う方法の例を図示する。図5において、同様の参照番号が、図4に示されるような類似工程に用いられる。図5において、工程430は、基板が水蒸気に暴露される工程431から始まる。
【0024】
以下、第一膜が拡散バリアであり且つ第二膜が銅である場合の表面エンジニアリングの実施例1〜3を示す。
【0025】
【化1】

【0026】
実施例1では、窒化炭化タングステン表面が、酸化剤(例えば、水及び/又はオゾン及び/又はヒドロキシルラジカル)への暴露によって、ヒドロキシル終端表面へ変換される。ヒドロキシル終端表面が銅ソース化学物質に暴露されるとき、酸素と銅との間に強力な結合が形成される。
【0027】
実施例2では、窒化チタン表面が、酸化剤(例えば、水、オゾン及び/又はヒドロキシルラジカル)への暴露によって、ヒドロキシル終端表面へ変換される。ヒドロキシル終端表面が銅ソース化学物質に暴露されるとき、酸素と銅との間に強力な結合が形成される。
【0028】
実施例3では、窒化タンタル表面が、酸化剤(例えば、水、オゾン及び/又はヒドロキシルラジカル)への暴露によって、ヒドロキシル終端表面へ変換される。ヒドロキシル終端表面が銅ソース化学物質に暴露されるとき、酸素と銅との間に強力な結合が形成される。次いで、銅金属堆積が、酸素結合銅表面(oxygen−bonded copper surface)上で続けられ得、生じた銅金属膜は、その下にある拡散バリア表面上で良好な接着性を有する。
【0029】
前述された実施例において、好ましい金属として銅が言及されているが、本発明に従う方法は、バリア物質への他の金属(例えば、アルミニウム、Ni、Co及びRu)の堆積にも適用され得る。これらの金属のうち幾つかは、銅堆積のためのシード層としても使用され得る。
【0030】
図3に従う方法の幾つかの更なる具体例が、以下に記載される。これらの例において、第一膜は、拡散バリア膜(より具体的には、TiN又は他の遷移金属窒化物)である。金属含有リアクタント中の金属は、好ましくは、酸素及び窒素の両方と強い結合を形成する。酸化物層は非常に薄くて電気抵抗に殆ど寄与しないので、絶縁性の酸化物(例えば、Al)を使用することも可能であるが、堆積される金属酸化物は、好ましくは電気伝導性である。例えば、酸化スズ、酸化チタン、酸化タンタル又は酸化タングステンが、ALDによって拡散バリア表面上に堆積される。
【0031】
ALD法の1つの特別な利点は、膜の成長速度が非常に小さいものであり得るので、薄膜の全分子層を形成する前に、幾らかのパルシングサイクルが必要であるかも知れないことである。例えば、アルミニウムイソプロポキシドが表面上に化学吸着するとき、アルミニウムイソプロポキシドは、表面スペースを取る(reserve)嵩高なイソプロポキシドリガンドを有する。この種の立体障害のため、アルミニウム原子は、表面上で互いに接触することができない。イソプロポキシド終端表面が、ヒドロキシル基を有するアルミニウム酸化物へ酸化された場合、付加された酸化アルミニウム層の平均厚さは、アルミニウム酸化物の格子定数の約1/3〜1/5である。これは、1パルシングサイクル後、絶縁性の酸化物を含まない複数の表面領域が存在し、2パルス後、絶縁性の酸化物を含まない幾らかの表面領域が依然として存在し、表面が絶縁性の酸化物で全体的に覆われるようになるまで続けることを意味する。本開示を考慮すれば、当業者は、表面上に十分な酸素架橋を生成することができるけれども表面が絶縁性になりすぎず、且つ、拡散バリア膜と金属膜との間の接触抵抗が好適な回路機能のために十分に低くなるように、ALD堆積サイクルの数を容易に最適化することができる。当業者は、完全な単層に至らなくてもなお十分な接着性を付与することができ、一方、単層を越えてもなお過剰な抵抗性を回避することができることを理解するであろう。
【0032】
表面エンジニアリングの例を以下に示す。構造の左手側は拡散バリア側(db)に属し、構造の右手側は金属又はシード層側(met)に属する。
【0033】
【化2】

【0034】
実施例4において、窒化チタン表面は、先ず、スズソース化学物質パルス(例えば、四塩化スズSnCl)に暴露され、次いで、塩化物終端表面は、酸素含有ソース化学物質パルス(例えば、水又はHO)に暴露され、ヒドロキシル基が表面の終端をなすようにヒドロキシルに富む表面(hydroxyl−rich surface)を形成する。ヒドロキシル終端表面は、反応性であり、銅金属原子の表面への結合を可能にする。
【0035】
実施例5において、窒化チタン表面は、先ず、タングステンソース化学物質パルス(例えば、六フッ化タングステン又はWF)に暴露され、次いで、フッ化物終端表面は、酸素含有ソース化学物質パルス(例えば、水又はHO)に暴露され、ヒドロキシルに富む表面を形成する。ヒドロキシル終端表面は、反応性であり、銅金属原子の表面への結合を可能にする。
【0036】
実施例6において、窒化チタン表面は、先ず、チタンソース化学物質パルス(例えば、四塩化チタン又はTiCl)に暴露され、次いで、塩化物終端表面は、酸素含有ソース化学物質パルス(例えば、水又はHO)に暴露され、ヒドロキシルに富む表面を形成する。ヒドロキシル終端表面は、反応性であり、銅金属原子の表面への結合を可能にする。
【0037】
実施例6の表面化学が、図6に概略的に図示される。図6において、開始位置が示される(ここで、TiN膜610の表面がNH基を含有するが、これは、代表的に、TiN膜堆積がNH暴露工程で終わる場合である)。図6において、TiCl暴露後の表面が示され、TiCl分子が、N原子の水素終端と反応し、表面にTiCl終端を残す。図6において、水蒸気暴露後の表面が示され、水蒸気がTiCl終端を加水分解し、表面にヒドロキシル基630及び二重結合の酸素632の終端を残す。図6において、銅膜堆積後の基板が示され、ヒドロキシル基630から生じる強い酸素架橋640、及び、二重結合の酸素632から生じるより弱い酸素架橋642が示される。
【0038】
図7は、TiN拡散バリア膜710へ適用される、わずかに異なるスキームにおける表面化学を概略的に示す。図7において、開始の状況が表される。ここで、窒素原子は取り除かれ、酸素含有原子又は基に置き換わる。図7b1において、ヒドロキシル含有リアクタントへの暴露後、ヒドロキシル基730は窒素原子に取って代わる。或いは図7b2において、適当なオキシダント(例えば、オゾン)への暴露後、酸素原子734が窒素原子に取って代わる。オゾン暴露工程は、酸素原子(酸素原子は、ダングリングボンド736を有する)の約1の単層の表面終端が達成されるよう制御されるべきである。図7において、銅膜720の堆積後の基板が示される(ここで、ヒドロキシル基730又は酸素原子734のいずれか一方が、酸素架橋740へ変換される)。
【0039】
図8は、第一膜がALDによって堆積された拡散バリアである、本発明の好ましい実施形態を示す。工程810において基板を供給した後、工程820において、拡散バリア膜がALDによって堆積される。工程820は、金属含有リアクタント暴露工程822、窒素−、炭素−、リン−及び/又はホウ素−含有リアクタント暴露工程824、及び、繰返し又は前進工程826及び点線825で示されるループを包含する。工程822及び824は、所望の膜厚が堆積されるまで、順に繰り返される。工程820において、ALDシークエンスが金属含有リアクタント暴露工程で始まり、窒素−、炭素−、リン−又はホウ素−含有リアクタント暴露工程で終わることが示されるが、ALDシークエンスが工程822及び824のいずれか一方で始まり且つ終わり得ることが理解されるであろう。図8において「又は」が包含的な意味で用いられるように、幾つかのリアクタントがN、C、P及びBの2種又はそれ以上を含み得ることが理解されるであろう。
【0040】
ALDによる拡散バリア膜の堆積が完了した後、基板は、工程830においてヒドロキシル含有リアクタントに暴露される。工程830は、単独のヒドロキシル含有リアクタント暴露工程834であり得る。或いは、工程830は、また、金属含有リアクタント暴露工程832の後にヒドロキシル含有リアクタント暴露工程834を包含する金属酸化物堆積のためのALDシークエンスでもあり得る。工程832及び834は、金属酸化物又はヒドロキシル終端金属の単層を堆積するため、ループ835によって示されるように、好ましくは、1〜50回、より好ましくは2〜25回、順に繰り返される。必要に応じて、工程830は、ヒドロキシルリアクタント工程(示されない)で始まり、次いで、ALD堆積工程832及び834の繰返しシークエンスが続いて行われる。次に、金属膜が、好ましくはCVD又はALDによって、工程850において堆積される。
【0041】
図8に従う方法の具体例が、図9に示される。図9において、基板は、工程910において供給される。TiN拡散バリア膜は、工程920においてALDによって堆積される。工程920では、TiCl暴露工程922、NH暴露工程924、繰返し又は前進工程926、及びループ925によって表されるように、基板の表面が、繰返し且つ交互にTiCl及びNHのパルスに暴露される。工程920では、ALDシークエンスが、TiCl暴露工程922で始まり且つNH暴露工程924で終わることが示されているが、該シークエンスは、これらの工程のいずれか一方で始まり且つ終わり得る。続くリアクタントパルスの間、反応チャンバーは、次のリアクタントパルスが反応チャンバーへ入れられる前に、ポンプダウン及び/又はパージされ、任意の過剰なリアクタント又は反応産物が取り除かれる(これは、概して、本書で記載される全てのALD工程に当てはまる)。目標のTiN膜厚が達成されると、又は予め定められた数のサイクルが行われると、このプロセスは、ヒドロキシル暴露工程930によって完了する。工程930は、TiCl暴露工程932、それに続くHO暴露工程934を包含する。HO暴露は、表面の−OH終端をもたらす。
【0042】
ALD化学の殆どの場合において、リガンドの大きさ(立体障害)及び/又は反応性表面部位の限られた数に起因して、1の単層に満たない厚さが形成される。Mikko Ritala及びMarkku Leskelaによって説明されるように:「サイクル成長当たり1の単層に満たない理由は、反応性表面部位の限られた数、及び、化学吸収層における嵩高なリガンド間の立体障害である。結果として、飽和状態で(saturatively)形成されたとしても、化学吸収層は、膜材料の完全な単層を形成するには、非常に少ない金属原子しか含んでいない。」。Ritala et al., Handbook of Thin Film Materials. Vol. 1: Deposition and Processing of Thin Films (2002), Chapter 2, Atomic Layer Deposition, p. 106。従って、工程932及び934は、ヒドロキシル終端酸化チタンの約1の単層が形成されるまで、好ましくは多数回、好ましくは1〜50回、より好ましくは2〜25回、繰り返される。このとき、基板は、界面で銅原子が酸素に結合されるように、銅膜を受ける状態にある。工程950において、銅膜は、好ましくは、CVD又はALDによって堆積される。
【0043】
本発明に従う方法が、TiCl及びNHによるTiN堆積の具体例に限定されないことは明らかである。Ti又は他の遷移金属のための他のソース物質が使用され得る。同様に、窒素のための他のソース物質、或いは、炭素、リン又はホウ素のための他のソース物質も使用され得る。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態に従って、拡散バリアと金属又はシード層との間の架橋構造は、必須構成原子として酸素並びに中心原子として金属又は非金属を有するアニオン性基(即ち、負荷電分子)から成る。固相において、アニオンはその酸素原子を介して周囲の原子と結合する傾向にあり、その結果、中性の局所構造が生成される。好ましい実施形態では、その名称に接尾辞「−ate」を有する分子アニオンが利用される。アニオンを形成する多くの元素が存在する。現代の表記に従うと、元素名の末尾は、接尾辞「−ate」に変えられ、酸化数は、接尾辞の後の括弧内に置かれる。本願の場合には、接尾辞「−ate」は、アニオン分子内に結合された酸素原子が存在することを示している。これらのアニオンの利点は、アニオン分子が、拡散バリアにおける金属原子と金属層における金属原子の両方と強い化学結合を有し、その結果、電気的に中性な分子架橋構造が形成されることである。
【0045】
例えば、ホウ素は、幾つかの酸素に富むアニオンを有する(例として、ボレート(III)、[BO3−が挙げられる)。中心原子(この場合、ホウ素B)は、3つの酸素原子に囲まれて結合している。拡散バリア膜と金属膜との界面にボレート架橋構造が付与される場合、前記酸素原子の少なくとも1つは、拡散バリア膜における金属にさらに結合し、そして、前記酸素原子の少なくとももう1つは、金属膜における金属にさらに結合する。従って、拡散バリア膜と金属膜との間に強い分子架橋が形成される。酸化物(例えば、Al)とメタレートアニオン(例えば、アルミネート(III)、[AlO3−)の両方を有する元素の例として、アルミニウムが挙げられる。別の例は、ケイ素である。ここでは、酸化シリコンSiO及びシリケート(例えば、オルトシリケート(IV)[SiO4−を形成する。
【0046】
図10及び11は、可能な結合スキームの幾つかを図示する。図10において、拡散バリア1010は、リン化チタンTiPを含有する。TiP表面は、酸化ソース物質(例えば、酸素(O)、オゾン(O)及び/又は過酸化水素(H))に暴露され得る。生じたリン化チタンは、図10b1に示されるようなヒドロキシル基1030を有しているかも知れないし、図10b2に示されるようなダングリングボンド1036をもつ酸素原子を有しているかも知れない。図10に示されるように、銅膜1020の界面の銅原子は、酸素架橋1040を介して、リン酸基に対して強い化学結合を形成する。
【0047】
TiP表面が、先ずリンソース化学物質蒸気(例えば、五酸化リン(P))に暴露され、次いでヒドロキシル含有ソース化学物質蒸気(例えば、水(HO))に暴露されるという、ツーステップの暴露プロセスによってリン酸表面を形成することも可能である。
【0048】
図11には、幾つかの他のスキームが示される。図11において、アルミニウム原子は、窒素原子及びヒドロキシル基に結合される。この場合、拡散バリアは、窒化チタンアルミニウムを含有してもよく、また、表面は、例えば、−OH基を生成するための水で処理される。別の可能性としては、先ず、窒化チタン表面がアルミニウムソース化学物質(例えば、AlCl)に暴露され、次いで、塩化物終端表面が例えば水蒸気に暴露され、そして、表面がヒドロキシル基で終結される。より強い酸化剤は、図11に示されるように、表面上にアルミネートを形成するかも知れない。この場合、先ず、窒化チタン表面がアルミニウムアルコキシド蒸気(例えば、アルミニウムエトキシド)に暴露され、次いで、表面が強い酸化剤(例えば、オゾンガス又はオゾン/水蒸気混合物)に暴露され、その結果、表面がヒドロキシル終端をなすようになる。オゾンが使用される場合、拡散バリア表面上に化学吸着された金属リアクタントは、金属酸化物又はメタレート(例えば、アルミネート)を形成し得るが、一方、金属リアクタントの嵩高いリガンドは、広範囲な酸化から拡散バリアを保護する。窒化チタンシリコンからなる拡散バリアは、酸化剤(例えば、過酸化水素蒸気)で処理され得、その結果、図11に示されるように、ヒドロキシル基を有するシリケート表面が生成される。金属炭化物拡散バリアが酸化剤(例えば、オゾン/水蒸気混合物)に暴露される場合、図11に示されるように、カルボネート基が形成され得る。しかしながら、カルボネートは高温で固体酸化物と二酸化炭素蒸気に分解される傾向にあり、その結果、暴露温度に依存して、カルボネート表面がオキサイド−又はヒドロキシル−終端表面に発展し得る。拡散バリア表面を湿った二酸化硫黄ガスに暴露すると、図11に示されるように、幾つかの結合された水素を有するサルフェート基を形成することができる。金属ホウ化物拡散バリアを酸化剤(例えば、湿ったオゾンO/HO)に暴露すると、図11に示されるように、ボレート基が表面上に形成される。
【0049】
元素の周期表の多くの元素がメタレートアニオンを形成し、また、図10及び11に提示されるケースは、これらのメタレートの単なる例示として役立つに過ぎないことに留意すべきである。
【0050】
ALDは、均一な副分子層(sub−molecular layer)に至るまで層厚を制御するための手段を提供するので、ALDは薄膜表面上へ酸素に富むアニオン層を成長させるための好ましい方法である。副分子層は、表面の一部が酸素に富む分子で覆われており、表面の残りの部分がこのような酸素に富む分子を含まないことを意味する。拡散バリアと金属層との間の最も強い可能な接着を得るためには、架橋構造は、好ましくは、単一酸素架橋(single−oxygen bridges)の分子層、分子金属酸化物層又は分子メタレート層から成る。
【0051】
金属酸化物又はメタレート中に存在する元素は、好ましくは、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジミウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、レニウム(Re)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、炭素(C)、ケイ素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、リン(P)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、硫黄(S)、セレン(Se)及びテルル(Te)からなる群より選択される。
【0052】
当該分野において知られているように、適用可能な場合にはいつでも、in−situで(即ち、単一の反応チャンバー中で)前述のプロセスシークエンスの続く工程を行うことが有利であるかもしれない。或いは、外気への中間体暴露を避けるため、真空クラスターシステム(vacuum cluster system)の異なる反応チャンバーにおいて続く工程が行われ得る。例えば、図9のシークエンスにおいて、工程922及び924の繰返しシークエンスを経るALDによるTiN拡散バリアの堆積は、単一反応チャンバー中においてin−situで行われ得る。続く金属リアクタント暴露工程932及びヒドロキシルリアクタント暴露工程934は、また、同じALD反応チャンバー中で行われ得る。しかしながら、銅が、ローディングの間及び拡散バリアの堆積の前に、次のウェハーを汚染するので、工程950の銅堆積は、別々の反応チャンバー中で行われるべきである。或いは、金属リアクタント暴露工程932及びヒドロキシルリアクタント暴露工程934は、この目的のために使用されるチャンバー中で行われ得るか、又は、これらの工程は、銅堆積チャンバー中で行われ得る。異なるチャンバーが使用される場合、それらは、好ましくは、真空クラスターシステムを通じて連結される。
【0053】
第一膜の堆積が、金属酸化物膜のALDと共にクラスターシステムにおいて行われない場合、更なるプロセッシングのための十分に規定された開始点を作り出すため、第一膜表面の処理(例えば、炭化水素不純物の除去、又は、制御されていない量のネイティブな酸化物の除去)を行うことが必要かも知れない。
【0054】
本発明の別の実施形態に従って、分子架橋構造が提唱され、該架橋構造は、拡散バリア膜、金属膜及び酸素に富む原子の約1の単層又は拡散バリア膜と金属膜との界面に存在する分子層を含有する(酸素原子は、架橋を形成するか、又は、拡散バリア膜原子と金属膜原子との間の分子架橋の一部である)。
【0055】
本発明の特定の実施形態に従って、デュアルダマシン構造が提唱され、該デュアルダマシン構造は、1又はそれ以上の原子架橋構造を含有する。本発明に従うデュアルダマシン構造の例は、図12及び13に示される。第一誘電膜は、1210によって示される。この第一誘電膜1210は、第一金属膜1220が堆積されるトレンチを含む。第二誘電膜1230は、局所コンタクトホールを有し、又、第三誘電膜1240は、細長いトレンチ(elongated trenches)を有する。拡散バリア膜1250は、第二誘電膜1230のコンタクトホール及び第三誘電層1240のトレンチ中に堆積される。第二金属膜1270は、コンタクトホール及びトレンチ中の拡散バリア膜1250上へ堆積される。酸素原子架橋構造1265は、拡散バリア膜1250と第二金属膜1270との界面に存在する。好ましい金属膜は、Cu、Al、Ni、Co又はRu膜である。好ましい拡散バリア膜は、遷移金属窒化物、−炭化物、−リン化物、−ホウ化物、窒化炭化物(例えば、WN)又は遷移金属を含有する。図13は、図12と同様の構造を示す(ここで、同様の参照番号が、同様のアイテムに対して用いられている)。図13は、第一金属膜1220と拡散バリア膜1250との界面に存在する第二原子架橋構造1225を示す。
【0056】
先に述べた発明は、ある好ましい実施形態に関して記載されたが、他の実施形態も当業者に明らかであろう。例えば、ALDプロセッシングの文脈で、単なる表面終端又は更なる金属酸化物堆積のいずれかによって酸素架橋を生成することが説明されているが、本書に記載される実施形態のある特徴及び利点は、所望の酸素架橋構造を形成する他の方法への適用を有するだろう。
【0057】
例えば、制御された厚さの化学酸化物は、酸化を適度におこなう表面終端(oxidation−moderating surface termination)を介して、所望のシークエンスに依存して、バリア表面(又は、金属表面)を酸化することによって形成され得る。本書に記載される方法は、概して、金属表面を酸化する場合に、より有効である。水素又はフッ素終端より大きい、より好ましくはヒドロキシル終端より大きい表面終端は、先ず、酸化されるべき表面へ適用される。表面終端は、好ましくは、この酸化を適度におこなう表面終端の化学的吸着(化学吸着)を引き起こすALD技術を通じて提供される。次いで、オキシダント及び条件(例えば、温度)の注意深い選択を通じて、下に存在する表面は、表面終端の実質的な脱着を引き起こすことなく、表面終端を介して酸化される。好ましくは、この条件は、酸化物架橋材の5より少ない単層、より好ましくは約1の単層〜約3の単層まで酸化物成長を制限するよう、制御される。酸化(最小の電気抵抗と、結合を改善する酸化物架橋としてはたらく実質的なカバレージとのバランスを保つよう選択された)の後、表面終端は脱着され得、バリア及び金属層の他方の堆積が行われる。このような制御された酸化に関するプロセス及び更なる検討は、その開示が本書において参照として援用される2001年2月22日に出願された「METHOD OF FORMING ULTRATHIN OXIDE LAYER」というタイトルの米国特許出願第09/791,167(2002年12月10日に発行された米国特許第6,492,283)により詳細に記載される。
【0058】
さらに、他の組み合わせ、省略、代用及び改変は、本書の開示を考慮して、当業者に明らかであろう。従って、本発明は、好ましい実施形態の記載によって限定されることを意図せず、その代わりに、添付の特許請求の範囲への参照によって定義されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】図1は、本発明の実施形態に従う方法を示すブロックダイアグラムである。
【図2】図2は、本発明の実施形態に従う方法を示すブロックダイアグラムである。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従う方法を示すブロックダイアグラムである。
【図4】図4は、本発明の実施形態に従う方法を示すブロックダイアグラムである。
【図5】図5は、本発明の実施形態に従う方法を示すブロックダイアグラムである。
【図6】図6は、本発明のある実施形態の工程の間における表面化学の概略図である。
【図7】図7は、本発明のある実施形態の工程の間における表面化学の概略図である。
【図8】図8は、本発明に従う方法の更なる実施形態のブロックダイアグラムである。
【図9】図9は、本発明に従う方法の更なる実施形態のブロックダイアグラムである。
【図10】図10は、本発明の更なる実施形態における表面化学の概略図である。
【図11】図11は、本発明の更なる実施形態における表面化学の概略図である。
【図12】図12は、本発明の好ましい実施形態に従う酸素架橋構造を備えるデュアルダマシン構造の例である。
【図13】図13は、本発明の好ましい実施形態に従う酸素架橋構造を備えるデュアルダマシン構造の例である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスを製造するための方法であって、該方法は、以下の工程を順に包含する:
半導体基板を供給する工程(該基板は、拡散バリア膜及び金属膜のいずれか一方である第一膜を有し、該第一膜は、前記基板の表面領域の少なくとも一部で露出されている);
該基板を酸素含有リアクタントに暴露して、該第一膜の露出部分に酸素含有基又は酸素原子の約1の単層の表面終端を生成する工程;及び
基拡散バリア膜及び金属膜のうち他方である第二膜を、該基板上へ堆積させる工程。
【請求項2】
酸素含有リアクタントがヒドロキシル含有リアクタントであり、且つ、ヒドロキシル含有リアクタントでの暴露がALD条件下で行われて、第一膜の露出部分にヒドロキシル基の約1の単層の表面終端が生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
基板をALD条件下でヒドロキシル含有リアクタントに暴露して、第一膜の露出部分にヒドロキシル終端表面を生成する工程が、基板をALD条件下で金属含有リアクタント暴露工程とヒドロキシル含有リアクタント暴露工程との繰返し且つ交互のシークエンスにかけることを包含する(ここで、該シークエンスは、該第一膜の露出部分にヒドロキシル終端金属の約1の単層を形成するよう1〜50回繰り返される)、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
半導体デバイスを製造するための方法であって、該方法は以下の工程を順に包含する、:
半導体基板を供給する工程;
ALDによって、該基板上へ拡散バリアを堆積する工程;
該基板を酸素含有リアクタントに暴露して、拡散バリア上に酸素含有基又は酸素原子の約1の単層の表面終端を生成する工程;及び
該基板上に金属膜を堆積する工程。
【請求項5】
酸素含有リアクタントがヒドロキシル含有リアクタントであり、且つ、ヒドロキシル含有リアクタントでの暴露がALD条件下で行われて、拡散バリア上でヒドロキシル基の約1の単層の表面終端が生成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
基板をヒドロキシル含有リアクタントに暴露して、ヒドロキシル終端表面を形成することが、基板をALD条件下で金属含有リアクタント暴露工程とヒドロキシル含有リアクタント暴露工程との繰返し且つ交互のシークエンスにかけることを包含する(ここで、該シークエンスは、第一膜の露出部分にヒドロキシル終端金属の約1の単層を形成するよう1〜50回繰り返される)、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記金属膜が銅膜である、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記拡散バリアがTiNである、請求項4に記載の方法。
【請求項9】
前記ヒドロキシル含有リアクタントが、水蒸気、アルコール及びカルボン酸の少なくとも1種である、請求項4に記載の方法。
【請求項10】
前記アルコールが、メタノール、エタノール、及びプロパノールの1種であり、且つ、前記カルボン酸が、蟻酸及び酢酸の1種である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
以下を有する酸素架橋構造:
拡散バリア膜;
該拡散バリア膜との界面を有する金属膜;及び
拡散バリア膜と金属膜との間の界面における酸素原子の約1の単層(該酸素原子は、拡散バリア膜原子と金属膜原子との間に架橋を形成する)。
【請求項12】
拡散バリア膜が、遷移金属窒化物、炭化物、リン化物若しくはホウ化物、又は遷移金属、或いは前記物質の混合物である、請求項11に記載の酸素架橋構造。
【請求項13】
金属膜が、Cu、Al、Ni、Co又はRuを含有する、請求項11に記載の酸素架橋構造。
【請求項14】
デュアルダマシン構造を備える半導体デバイスであって、該デュアルダマシン構造が請求項10に記載の酸素架橋構造を含む、デバイス。
【請求項15】
以下を含有する、集積回路における伝導経路:
金属窒化物、金属炭化物、金属リン化物及び金属ホウ化物からなる群より選択される物質を含有する、拡散バリア膜;及び
該拡散バリア膜に隣接する金属コンダクタ;及び
該拡散バリア膜と該金属コンダクタとの間に挟まれる金属酸化物架橋材(該架橋材は、約5の単層以下の厚さを有する)。
【請求項16】
拡散バリア膜が、遷移金属窒化物、遷移金属炭化物、遷移金属リン化物及び遷移金属ホウ化物からなる群より選択される材料を含有する、請求項15に記載の伝導経路。
【請求項17】
該金属酸化物架橋材が、原子層堆積の特徴を示す拡散バリアを横切る厚さの均一性を有する、請求項16に記載の伝導経路。
【請求項18】
該架橋材が、約3の単層以下の厚さを有する、請求項15に記載の伝導経路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−505127(P2006−505127A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−548400(P2004−548400)
【出願日】平成15年10月21日(2003.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/033214
【国際公開番号】WO2004/040642
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(501380070)エーエスエム インターナショナル エヌ.ヴェー. (26)
【氏名又は名称原語表記】ASM INTERNATIONAL N.V.
【住所又は居所原語表記】The Netherlands 3723 BG Bilthoven Rembrandtlaan 7−9
【Fターム(参考)】