説明

重要物品の持出し管理システム

【課題】従来のシステムでは重要物品を収納している収納室への入室は、本人認証動作のみによって許可するものが多いため、持ち出される重要物品と持出者との対応関係を確実に捉えて管理するのが比較的困難である。
【解決手段】本発明では、管理室10に設けた管理装置は、入室前の本人認証時に、認証された人と持出管理記録部に記録されている持出者が一致するかの判断処理を行って、一致したときのみ入室処理を行うので、重要物品の持出申請をしていない人が重要物品収納室内に入室することを防ぐことができ、セキュリティをより強固とした重要物品の持出し管理システムを提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば企業等に存在する機密情報や重要情報の漏洩を防止するための重要物品の持出し管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業等の機密情報や重要情報を記録した書類やCD−ROM、DVD−R、MOディスク等の記録媒体を収納している収納室等において、それらの書類や記録媒体等の重要物品が不正に持ち出されることを防ぐためのシステムが従来から種々提案されている。例えば特許文献1〜3等を参照のこと。
【0003】
これらの従来のシステムの中には、オフィス等の一般居室を対象としていることにより、平常時における人の動線を妨げないように緩やかなセキュリティを考慮しているものや、それよりもセキュリティレベルを高くしたシステム等がある。
【0004】
【特許文献1】特開平7−306987号公報
【特許文献2】特開2005−301331号公報
【特許文献3】特開2006−350682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のシステムでは、上述した重要物品を収納していて、それらの持出、返却処理が行われる収納室への入室は、本人認証動作のみによって許可するものが多いため、持ち出される重要物品と持出者との対応関係を確実に捉えて管理するのが比較的困難である。
【0006】
本発明は、このような点に鑑み創案されたもので、持ち出される重要物品と持出者との対応関係を、当初から返却まで確実に捉えて管理することにより、セキュリティをより強固とした重要物品の持出し管理システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明では、重要物品収納室に設けた入退室ゲートの近傍の室外側及び室内側に本人認証用記録媒体の読取装置を有する本人認証装置を設けると共に、室内側には物品に取り付けた無線ICタグの読取装置を有する物品検出ゲートを設け、更に重要物品収納室には、上記本人認証用記録媒体の読取装置と無線ICタグの読取装置を備えた持出・返却手続用装置を設け、これらの各装置を、管理システムの管理装置と通信ケーブルにて接続すると共に、管理室に設けた管理装置には、事前の申請により登録された持出者、持出物品及び持出期間をデータ項目とする持出管理記録領域を構成し、管理装置は、入室前の本人認証時に、認証された人と持出管理記録領域に記録されている持出者が一致するかの判断処理を行って、一致したときのみ入室処理を行うと共に、入室後の持出・返却手続用装置による持出又は返却手続において、夫々の読取装置により読み取った本人認証用記録媒体と無線ICタグの内容から得られる持出者と持出又は返却物品の組み合わせが、上記持出管理記録領域に記録されている組み合わせと一致するかの判断処理を行って、一致した場合にのみ持出又は返却確認処理を行い、更に物品検出ゲートにおいて検出された物品が、持出確認処理された物品と一致するかの判断処理を行って、一致した場合に退室処理を行う構成とした重要物品の持出し管理システムを提案するものである。
【0008】
また本発明では、上記の構成において、室外側の本人認証装置に生体認証装置を設けた重要物品の持出し管理システムを提案する。
【0009】
また本発明では、上記の構成において、入退室ゲートが共連れ防止機能を有するものとした重要物品の持出し管理システムを提案する。
【0010】
また本発明では、上記の構成において、重要物品収納室の室内側と室外側及び管理室とに渡るインターフォンを設けた重要物品の持出し管理システムを提案する。
【0011】
また本発明では、上記の構成において、重要物品収納室に、電気錠動作のドアを有する緊急用出口を設けた重要物品の持出し管理システムを提案する。
【0012】
また本発明では、上記の構成において、重要物品収納室内に監視カメラを設け、そのモニタを管理室内に設けた重要物品の持出し管理システムを提案する。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、管理室に設けた管理装置は、入室前の本人認証時に、認証された人と持出管理記録領域に記録されている持出者が一致するかの判断処理を行って、一致したときのみ入室処理を行うので、重要物品の持出申請をしていない人が重要物品収納室内に入室することを確実に防ぐことができる。
【0014】
更に管理装置は、入室後の持出・返却手続用装置による持出又は返却手続において、夫々の読取装置により読み取った本人認証用記録媒体と無線ICタグの内容から得られる持出者と持出又は返却物品の組み合わせが、上記持出管理記録領域に記録されている組み合わせと一致するかの判断処理を行って、一致した場合にのみ持出又は返却確認処理を行うので、重要物品と持出者との対応関係を、申請時から返却まで確実に捉えて管理することができる。
【0015】
そして管理装置は、物品検出ゲートにおいて検出された物品が、持出確認処理された物品と一致するかの判断処理を行って、一致した場合に退室処理を行うので、持出申請されていない重要物品が重要物品収納室から持ち出されることを確実に防ぐことができる。
【0016】
以上のことから、本発明では、セキュリティをより強固とした重要物品の持出し管理システムを提供することができる。
【0017】
室外側の本人認証装置に生体認証装置を設けたり、入退室ゲートが共連れ防止機能を有するものとすることにより、更にセキュリティレベルを向上することができる。
【0018】
セキュリティを強固としたことにより発生する、誤操作等における不都合動作に対しては、インターフォンにより管理者を呼び出して復旧を行うことができる。
【0019】
重要物品収納室に、電気錠動作のドアを有する緊急用出口を設けることにより、緊急時の安全性を確保することができる。
【0020】
監視カメラの画像を管理室内のモニタにより監視可能とすることにより、更にセキュリティレベルを向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
次に本発明の最良の実施の形態を添付図面を参照して説明する。
まず、図1は本発明に係る重要物品の持出し管理システムの実施の形態を示す説明図である。
符号1は上述したように、機密情報や重要情報を記録した書類やCD−ROM、DVD−R、MOディスク等の記録媒体等の重要物品を収納している重要物品収納室であり、この重要物品収納室1には入退室ゲート2を設けている。この入退室ゲート2は共連れ防止機能を有するものとしている。例えば入退室ゲート2には重量測定等による人検出手段2aを設けて、共連れを検出した場合に入退室ゲート2が開動作しない構成としている。
【0022】
入退室ゲート2の近傍の室外側には本人認証用記録媒体、例えば非接触ICカード等の本人認証用記録媒体の読取装置3a、この場合、非接触カードリーダと、生体認証装置4とから構成される本人認証装置を設けている。ここで生体認証装置4は、指紋、網膜、虹彩、顔貌や、声紋、筆跡等、適宜のバイオメトリクス情報を利用する装置を用いることができる。また入退室ゲート2の近傍の室内側には、本人認証装置として、上記と同様な読取装置3b、即ち非接触カードリーダを設けている。
【0023】
重要物品収納室1に収納して管理する重要物品(図示省略)は、無線ICタグ(RFID)を取り付けて管理するものとしており、それらの無線ICタグの情報を読み出す読取装置、即ち無線ICタグリーダを有する物品検出ゲート5を上記入退室ゲート2の近傍の室内側に設けている。
【0024】
更に重要物品収納室1内には、上記本人認証用記録媒体としての非接触ICカードの読取装置6、即ち非接触カードリーダと無線ICタグの読取装置7、即ち無線ICタグリーダを備えた持出・返却手続用装置8を設けている。この持出・返却手続用装置8は、これらの読取装置6、7を接続したコンピュータ装置として構成している。尚、符号9は、これらの装置6、7及び8を設置した手続用カウンタである。
【0025】
次に符号10は管理室であり、この管理室10に管理システムを構成する管理装置11を設けている。この実施の形態においては、管理装置11は、入退室管理用装置11aと、物品管理用装置11bと、監視カメラ用装置11cとに分けて構成しているが、これらは統合が可能である。
【0026】
また重要物品収納室1において、手続用カウンタ9の近傍にはインターフォン親機12aを設置し、また管理室10内にインターフォン副親機12bを設置すると共に、入退室ゲート2の近傍の室外側にインターフォン子機12cを設けてこれらの間で通話可能に構成している。
【0027】
また重要物品収納室1内には、適数の監視カメラ13a、13b、13c、13dを設け、そのモニタを管理室10内に設けている。即ち、各監視カメラ13a,13b,13c,13dのモニタを上記監視カメラ用装置11cに構成している。
【0028】
更に重要物品収納室1には、電気錠14により開閉動作するドア15を有する緊急用出口17を設けている。
【0029】
以上の構成において、入退室に関連する各装置、即ち、入退室ゲート2の近傍の読取装置3a,3bと生体認証装置4、重要物品収納室1内の読取装置6及び電気錠14は、第1の中継盤17aを介して通信ケーブル18に接続し、また物品管理に関連する各装置、即ち、物品検出ゲート5の読取装置、読取装置7及び持出・返却手続用装置8は、第2の中継盤17bを介して通信ケーブル18に接続すると共に、監視カメラ13a,13b,13c,13dは第3の中継盤17cを介して通信ケーブル18に接続している。
【0030】
一方、管理室10内の管理装置11を構成する入退室管理装置11a、物品管理装置11b及び監視カメラ装置11cも通信ケーブル18に接続して、上述した各装置とLANを構成している。このようにLANを構成している通信ケーブル18はWebサーバ19、ルーター20を介してインターネット21に接続している。
【0031】
尚、図中、通信ケーブル18におけるノード対応個所に記載した矩形枠は、ハブ、情報コンセント、リピーター等のLAN接続機器を示すものである。
【0032】
以上の構成において、本発明システムの動作を、図1に加えて、動作の流れを示す図2〜図5を参照して具体的に説明する。尚、図2〜図5において図中左側の流れは人の動作を示し、右側の流れはシステムの動作を示している。
【0033】
まず重要物品収納室1内に収納されている重要物品を持ち出す権限のある人が、特定の重要物品を持ち出そうとする場合には、持出者はステップH1に示すように事前に管理者に対して持ち出し申請を行う。申請の項目は、持出期間、持出者、持ち出す重要物品を必須の項目とし、これらの項目の内容は、ステップS1において管理者により管理装置11の記録手段に登録される。
【0034】
管理装置11を入退室管理装置11aと物品管理装置11bと監視カメラ装置11cに分けて構成している場合には、これらの持出申請の記録事項は、入退室管理装置11aと物品管理装置11bの夫々の記録領域に記録するようにしても良いし、これらの管理装置11a、11bの双方がアクセス可能な共有の記録領域に記録するようにすることができる。
【0035】
持出者は上記申請後、ステップH2において重要物品収納室1に出向き、入退室ゲート2の近傍において入室手続を行う。この入室手続は、ステップS2に示すように、自己所有の非接触ICカードを読取装置3aに入れて情報を読み込ませる操作と、生体認証装置4により所定の生体認証の操作であり、これらの情報が管理装置11に送信されて、ステップS3に示すように管理装置11において本人認証が成される。
【0036】
本発明では、この本人認証に加え、ステップS4において、認証された本人が、上記持出申請を行ったものか否かの判断を、上記持出申請の記録事項を用いて行う。
【0037】
ステップS4において、認証された本人が上記記録事項に記録されていない場合には、ステップS5の入室拒否処理に移行し、入退室ゲート2の施錠を維持すると共に、入室拒否のメッセージを発音したり、表示したりする等の入室拒否処理を行う。
【0038】
一方、ステップS4において、認証された本人が上記記録事項に記録されている場合には、ステップS6に移行して、開錠信号を送信し、入退室ゲート2の開錠を行う。こうして認証された本人は入退室ゲート2を通って重要物品収納室1内に入室することができる。
【0039】
この際、入退室ゲート2には人検出手段2aを設けているため、認証された本人が入退出ゲート2を通ろうとした際に、他人が共に通ろうとした場合には、人検出手段2aの検出信号に基づいて入退室ゲート2に施錠信号を送り、上記ステップS5の入室拒否処理に移行する。
【0040】
以上のことから本発明では、共連れを含めて、上記持出申請をした本人以外の人が重要物品収納室1に入室するのを確実に阻止することができる。
【0041】
こうして重要物品収納室1に入室した人は、所望の重要物品を、棚等の収納場所から取り出した後、手続用カウンタ9に移動して、そこでステップH4に示すように、持ち出す重要物品の持出登録手続を行う。
【0042】
この持出登録手続は、持出者と持出重要物品を必須の入力項目とし、自己所有の非接触ICカードを読取装置6に入れて情報を読み込ませる操作と、重要物品に取り付けられている無線ICタグの情報を読取装置7により読み取らせる操作を行い、持出・返却手続用装置8の表示画面を見ながら所定の入力操作を行って登録を行う。
【0043】
こうして持出・返却手続用装置8により入力された情報は、ステップS7において、管理装置11の、特に物品管理装置11bの記録領域に記録されると共に、ステップS8において入力された持出者と持出重要物品の組み合わせが、上述した持出申請の記録事項と一致するか否かの判断処理を行う。
【0044】
ステップS7の判断処理の結果、一致しない場合にはステップS9の持出不一致処理に移行し、再入力を促したのち、ステップS7に移行する。
【0045】
一方、ステップS7の判断処理の結果、一致している場合には、ステップS10の持出確認処理を行う。この持出確認処理は持出・返却手続用装置8の表示装置に所定の登録手続処理が完了した旨のメッセージを表示する等の処理であり、この後、持出者は物品検出ゲート5を通って入退室ゲート2に移動する。
【0046】
持出者が物品検出ゲート5を通過中のステップH5において、システムにおいてはステップS11において、物品検出ゲート5に設けている読取装置が持出重要物品に取り付けられている無線ICタグの情報を読み取り、次いでステップS12において物品管理装置11bにより、物品検出ゲート5において読み取られた無線ICタグの情報が、持出登録手続が行われた重要物品に取り付けられた無線ICタグの情報と一致するか否かを判断する。
【0047】
ステップS12において一致していると判定された場合には、ステップS13の退室開錠処理が実行されて、入退室ゲート2が開錠されるため、ステップH6において持出者は入退室ゲート2を通って退室することができる。
【0048】
管理装置2は入退室ゲート2を通して持出者が退室し、この退室を人検出手段2aを介して管理装置11の入退室管理装置11aが検出した場合には、次いで、持出者に関しての入退室及び持出履歴情報を、所定の記録ファイル等に登録する。この持出者は、上記持出申請者であるため、持出申請者に対しての全ての事項を記録するファイルを構成して管理を行うことができる。
【0049】
一方、ステップS12において、一致していないと判定された場合には、ステップS15の退室拒否処理に移行し、入退室ゲート2の施錠状態を維持すると共に、所定の警報処理等を行う。この警報が発生した場合には、持出者はインターフォン親機12aにより管理室10のインターフォン副親機12bを発呼し、管理者を呼び出す。こうして管理者の操作によりステップS16においてシステムの復旧処理が行われる。
【0050】
次に重要物品を持ち出した人が、持出重要物品を返却する場合には、返却者(持出者及び申請者と同じ)は、ステップH11において重要物品収納室1に出向き、入退室ゲート2の近傍において入室手続を行う。この入室手続は、上述と同様にステップS101に示すように、自己所有の非接触ICカードを読取装置3aに入れて情報を読み込ませる操作と、生体認証装置4により所定の生体認証の操作であり、これらの情報が管理装置11に送信されて、ステップS102に示すように管理装置11において本人認証が成される。
【0051】
上述の持出の際の入室時と同様に、本発明では、この本人認証に加え、ステップS103において、認証された本人が、先に重要物品の持出を行ったものか否かの判断を、上記持出履歴情報を用いて行う。
【0052】
ステップS103において、認証された本人が上記持出履歴情報に含まれていない場合には、ステップS104の入室拒否処理に移行し、入退室ゲート2の施錠を維持すると共に、入室拒否のメッセージを発音したり、表示したりする等の入室拒否処理を行う。
【0053】
一方、ステップS103において、認証された本人が持出者と判定された場合には、ステップS105に移行して、開錠信号を送信し、入退室ゲート2の開錠を行う。こうして認証された本人は入退室ゲート2を通って重要物品収納室1内に入室することができる。
【0054】
この際、前述と同様に、入退室ゲート2には人検出手段2aを設けているため、認証された本人が入退出ゲート2を通ろうとした際に、他人が共に通ろうとした場合には、人検出手段2aの検出信号に基づいて入退室ゲート2に施錠信号を送り、上記ステップS104の入室拒否処理に移行する。
【0055】
こうして重要物品収納室1に入室した人は、手続用カウンタ9に移動して、そこでステップH13に示すように、対象重要物品の返却登録手続を行う。
【0056】
この返却登録手続は、返却者と返却重要物品を必須の入力項目とし、自己所有の非接触ICカードを読取装置6に入れて情報を読み込ませる操作と、重要物品に取り付けられている無線ICタグの情報を読取装置7により読み取らせる操作を行い、持出・返却手続用装置8の表示画面を見ながら所定の入力操作を行って登録を行う。
【0057】
こうして持出・返却手続用装置8により入力された情報は、ステップS106において、管理装置11の記録領域に記録されると共に、ステップS107において入力された返却者と返却重要物品の組み合わせが、上述した持出履歴情報と一致するか否かの判断処理を行う。
【0058】
ステップS107の判断処理の結果、一致しない場合にはステップS108の返却不一致処理に移行し、再入力を促した後、ステップS106に移行する。
【0059】
一方、ステップS107の判断処理の結果、一致している場合には、ステップS109の返却済み確認処理を行う。この返却済み確認処理は持出・返却手続用装置8の表示装置に所定の返却手続処理が完了した旨のメッセージを表示する等の処理であり、この後、持出者は物品検出ゲート5を通って入退室ゲート2に移動する。
【0060】
持出者が物品検出ゲート5を通過中のステップH14において、システムにおいてはステップS110において、物品検出ゲート5に設けている読取装置が持出重要物品に取り付けられている無線ICタグを検出するか否かを監視し、検出した場合には、次のステップS111において、検出された無線ICタグが取り付けられている重要物品が、先に返却手続をしたものであるか否かを判断すると共に、ステップS112では、検出された無線ICタグが取り付けられている重要物品が、先に返却手続をしたものではない他のものであるか否かを判断する。
【0061】
いずれの無線ICタグも検出しない場合には、次いでステップS113の退室開錠処理が実行されて、入退室ゲート2が開錠されるため、ステップH15において持出者は入退室ゲート2を通って退室することができる。
【0062】
管理装置2は入退室ゲート2を通して持出者が退室し、この退室を人検出手段2aを介して管理装置11の入退室管理装置11aが検出した場合には、次いで、持出者に関しての入退室及び返却履歴情報を、所定の記録ファイル等に登録する。
【0063】
一方、ステップS110において無線ICタグの存在を検出した場合には、ステップS111及びステップS112からステップS115の退室拒否処理に移行し、入退室ゲート2の施錠状態を維持すると共に、所定の警報処理等を行う。この警報が発生した場合には、返却者はインターフォン親機12aにより管理室10のインターフォン副親機12bを発呼し、管理者を呼び出す。こうして管理者の操作によりステップS16においてシステムの復旧処理が行われる。
【0064】
以上詳細に説明したように、本発明では、管理室10に設けた管理装置11は、入室前の本人認証時に、認証された人と持出管理記録領域に記録されている持出者が一致するかの判断処理を行って、一致したときのみ入室処理を行うので、重要物品の持出申請をしていない人が重要物品収納室1内に入室することを確実に防ぐことができる。
【0065】
更に管理装置10は、入室後の持出・返却手続用装置8による持出又は返却手続において、夫々の読取装置6、7により読み取った本人認証用記録媒体と無線ICタグの内容から得られる持出者と持出又は返却物品の組み合わせが、上記持出管理記録領域に記録されている組み合わせと一致するかの判断処理を行って、一致した場合にのみ持出又は返却確認処理を行うので、重要物品と持出者との対応関係を、申請時から返却まで確実に捉えて管理することができる。
【0066】
そして管理装置10は、物品検出ゲート5において検出された重要物品が、持出確認処理された重要物品と一致するかの判断処理を行って、一致した場合に退室処理を行うので、持出申請されていない重要物品が重要物品収納室から持ち出されることを確実に防ぐことができる。
【0067】
以上のことから、本発明では、セキュリティをより強固とした重要物品の持出し管理システムを提供することができる。
【0068】
上述したとおり、室外側の本人認証装置に生体認証装置4を設けたり、入退室ゲートが共連れ防止機能を有するものとすることにより、更にセキュリティレベルを向上することができる。
【0069】
セキュリティを強固としたことにより発生する、誤操作等における不都合動作に対しては、インターフォン12により管理者を呼び出して復旧を行うことができる。
【0070】
重要物品収納室に、電気錠14動作のドア15を有する緊急用出口16を設けることにより、緊急時の安全性を確保することができる。
【0071】
監視カメラ13の画像を管理室10内のモニタにより監視可能とすることにより、更にセキュリティレベルを向上することができる。
【0072】
また上記実施の形態においては、本発明のシステムをWebサーバ19、ルーター20を介してインターネット21に接続していることにより、インターネット20を介しての遠隔管理を行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は以上のとおりであり、持ち出される重要物品と持出者との対応関係を、当初から返却まで確実に捉えて管理することにより、セキュリティをより強固とした重要物品の持出し管理システムを提供することができ、例えば企業等に存在する情報の機密漏洩を防止するために、重要機密書類、図書、物品を収納する室を設け、その室の出入りを特定の人に制限したり、機密情報書類、図書、物品の持ち出しを制限する管理システムを構築することにおいて利用可能性が大である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る重要物品の持出し管理システムの実施の形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係る重要物品の持出し管理システムの動作の流れを示す流れ図である。
【図3】本発明に係る重要物品の持出し管理システムの動作の流れを示す流れ図である。
【図4】本発明に係る重要物品の持出し管理システムの動作の流れを示す流れ図である。
【図5】本発明に係る重要物品の持出し管理システムの動作の流れを示す流れ図である。
【符号の説明】
【0075】
1 重要物品収納室
2 入退室ゲート
2a 人検出手段
3a,3b 読取装置(非接触カードリーダ)
4 生体認証装置
5 物品検出ゲート
6 読取装置(非接触カードリーダ)
7 読取装置(無線ICタグリーダ)
8 持出・返却手続用装置
9 手続用カウンタ
10 管理室
11 管理装置
11a 入退室管理装置
11b 物品管理装置
11c 監視カメラ装置
12a インターフォン親機
12b インターフォン副親機
12c インターフォン子機
13a,13b,13c,13d 監視カメラ
14 電気錠
15 ドア
16 緊急用出口
17a 第1の中継盤
17b 第2の中継盤
17c 第3の中継盤
18 通信ケーブル
19 Webサーバ
20 ルーター
21 インターネット
22 LAN接続機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重要物品収納室に設けた入退室ゲートの近傍の室外側及び室内側に本人認証用記録媒体の読取装置を有する本人認証装置を設けると共に、室内側には物品に取り付けた無線ICタグの読取装置を有する物品検出ゲートを設け、更に重要物品収納室には、上記本人認証用記録媒体の読取装置と無線ICタグの読取装置を備えた持出・返却手続用装置を設け、これらの各装置を、管理システムの管理装置と通信ケーブルにて接続すると共に、管理室に設けた管理装置には、事前の申請により登録された持出者、持出物品及び持出期間をデータ項目とする持出管理記録領域を構成し、管理装置は、入室前の本人認証時に、認証された人と持出管理記録領域に記録されている持出者が一致するかの判断処理を行って、一致したときのみ入室処理を行うと共に、入室後の持出・返却手続用装置による持出又は返却手続において、夫々の読取装置により読み取った本人認証用記録媒体と無線ICタグの内容から得られる持出者と持出又は返却物品の組み合わせが、上記持出管理記録領域に記録されている組み合わせと一致するかの判断処理を行って、一致した場合にのみ持出又は返却確認処理を行い、更に物品検出ゲートにおいて検出された物品が、持出確認処理された物品と一致するかの判断処理を行って、一致した場合に退室処理を行う構成としたことを特徴とする重要物品の持出し管理システム。
【請求項2】
室外側の本人認証装置に生体認証装置を設けていることを特徴とする請求項1に記載の重要物品の持出し管理システム。
【請求項3】
入退室ゲートが共連れ防止機能を有することを特徴とする請求項1に記載の重要物品の持出し管理システム。
【請求項4】
重要物品収納室の室内側と室外側及び管理室とに渡るインターフォンを設けたことを特徴とする請求項1に記載の重要物品の持出し管理システム。
【請求項5】
重要物品収納室に、電気錠動作のドアを有する緊急用出口を設けたことを特徴とする重要物品の持出し管理システム。
【請求項6】
重要物品収納室内に監視カメラを設け、そのモニタを管理室内に設けたことを特徴とする重要物品の持出し管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−146151(P2009−146151A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−322521(P2007−322521)
【出願日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【Fターム(参考)】